JP6811440B2 - 二酸化炭素分離回収用吸収液及び二酸化炭素分離回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、二酸化炭素を吸収する二酸化炭素分離回収用吸収液及びその二酸化炭素分離回収用吸収液を用いた二酸化炭素分離回収方法に関する。
酸性ガス、特に二酸化炭素を分離回収する技術は、天然ガスを原料とする水素やメタンの製造、宇宙空間や海中などの閉鎖状態にある住環境の維持等に必要であり、また、温暖化ガス排出量の削減の観点から火力発電所や製鉄所などの大量排出源を対象として盛んに研究されている。また、窒素酸化物、硫黄酸化物、硫化水素、無機酸や有機酸等の二酸化炭素以外の酸性ガスの除去も産業的・社会的に重要な技術である。酸性ガス分離技術としては、物理吸収法、化学吸収法、膜分離法、吸着法などが知られている。
このうち、化学吸収法は酸性ガスと化学反応する吸収液を用いた酸性ガス分離技術である。例えば、酸性ガスを含む気体を室温付近で吸収液に接触させ、酸性ガスを吸収液に化学的に吸収させ、酸性ガス濃度が減少した気体と酸性ガスを吸収した吸収液とを分離する。そして、分離した吸収液を昇温することで酸性ガスを吸収液から放散させて酸性ガスを回収する。また、酸性ガスを放散した吸収液は再生され、再び酸性ガスの分離回収に利用される。
この化学吸収法として、例えば特許文献1には、アルコールと塩基性化合物からなる混合溶液から構成される化学吸収液により、混合ガス中の二酸化炭素を化学的に吸収して分離回収する方法が記載されている。また、特許文献2には、不揮発性のイオン液体からなる吸収液を用いて、二酸化炭素を選択的に除去する環境浄化方法が記載され、アニオンとしてアルキルカルボン酸を使用できることが記載されている。
また、物理吸収法は、物理的に酸性ガスを吸収できる液体を用いた酸性ガス分離技術であり、酸性ガス吸収量の圧力依存性などを利用する。例えば、酸性ガスを含む気体を高圧下で吸収液に接触させ、吸収液に酸性ガスを吸収させ、酸性ガス濃度が減少した気体と酸性ガスを吸収した吸収液とを分離する。そして、分離した吸収液を減圧することで酸性ガスを吸収液から放散させて酸性ガスを回収する。また、酸性ガスを放散した吸収液は再生され、再び酸性ガスの分離回収に利用される。
この物理吸収法として、例えば特許文献3には、エーテル基及び/又はエステル基を有するイオン液体を少なくとも含む酸性ガス吸収液を用いた酸性ガス分離回収方法が記載され、アニオンとしてアセテートが記載されている。
特開2012−236165号公報 特開2012−055785号公報 特開2013−017993号公報
しかし、従来の化学吸収法は、汎用性に優れた技術であるが、吸収液を再生するために100℃以上の高温条件が必要となったり、吸収液と二酸化炭素との化学結合を切断する反応熱に加えて、比熱容量の大きい水の昇温と水の蒸発に要する熱エネルギーが多大に掛かり、吸収液再生に要する熱エネルギーが著しく大きいことが課題とされていた。また、昇温により吸収液が揮発するため、回収器などの付属設備を設置しなければならず、過剰の設備投資が必要であった。特許文献1に記載されている二酸化炭素の分離回収方法も、アルコールの蒸発潜熱によるエネルギー損失が生じる問題がある。これらの課題を解決するために、吸収液には、不揮発性、低比熱の特性が求められる。
ここで、イオン液体は、一般に、カチオンとアニオンから構成される液状の塩であり、その特徴として、蒸気圧が非常に低いこと、難燃性であること、熱・化学的に安定であること、幅広い温度範囲で液体であること、低い比熱を有すること等が挙げられる。従って、イオン液体は、吸収液に求められる前述の不揮発性、低比熱の特性を備えている。しかし、イオン液体を酸性ガス分離回収方法の吸収液として使用する研究は、いまだ十分とはいえない。
イオン液体を利用した特許文献2や3の技術は、低比熱かつ不揮発性というイオン液体の特徴を活かしたもので優れた方法である。しかし、吸放出時の温度及び圧力変化で回収できる酸性ガス量は必ずしも十分ではなく、さらに高効率の吸収液の技術開発が待たれていた。
すなわち、本発明の課題は、化学吸収性および物理吸収性の双方に優れた二酸化炭素分離回収用吸収液を提供すること、及びそれを用いた二酸化炭素分離回収方法を提供することである。
本発明者らは、イオン液体の酸性ガス吸収量並びにその温度依存性及び圧力依存性の制御を目標として鋭意研究開発を積み重ねた結果、常圧域においてはカルボキシレート部位が二酸化炭素の化学吸収能を向上させ、高圧域においてはエーテル結合部位が二酸化炭素の物理吸収能を向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するため、本発明の二酸化炭素分離回収用吸収液は、カチオンとアニオンからなるイオン液体を含み、前記アニオンは、下記一般構造式1で表される、エーテル結合を有するカルボキシレートである。
−O−R −CO ・・・(式1)
式1中、R は、エチレン基を表す。R は、アルキル基又はアルキルオキシエチレン基を表す。
前記R は、アルキルオキシエチレン基を表すと好ましい。
前記カルボキシレートは、3−(2−メトキシエトキシ)プロピオネートであると好ましい。
前記カチオンは窒素含有化合物であると好ましい。
前記窒素含有化合物はイミダゾリウム骨格を有すると好ましい。
前記イオン液体は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 3−(2−メトキシエトキシ)プロピオネートであると好ましい。
また、本発明の二酸化炭素分離回収方法は、前記の二酸化炭素分離回収用吸収液を、二酸化炭素を含む混合ガスと接触させることによって二酸化炭素を前記二酸化炭素分離回収用吸収液に吸収させて、前記混合ガスから前記二酸化炭素を選択的に分離する吸収工程を含む。
二酸化炭素を吸収した二酸化炭素分離回収用吸収液を、吸収時の温度より高温にすることで前記二酸化炭素を放散させて回収し、前記二酸化炭素分離回収用吸収液を再生する加熱再生工程を更に含むと好ましい。
前記加熱再生工程の圧力が吸収時の圧力より低いと好ましい。
二酸化炭素を吸収した二酸化炭素分離回収用吸収液を、吸収時の圧力より低圧にすることで前記二酸化炭素を放散させて回収し、前記二酸化炭素分離回収用吸収液を再生する減圧再生工程を更に含むと好ましい。
本発明の二酸化炭素分離回収用吸収液は、溶媒として水を必要とせず、常圧域においては二酸化炭素化学吸収能に優れるので、室温程度で多量の二酸化炭素を吸収する一方、100℃以下の低温で、吸収した二酸化炭素を効率的に放散できる。また、高圧域においては二酸化炭素物理吸収能に優れるので、高圧域で二酸化炭素を吸収する一方、低圧域で二酸化炭素を効率的に放散できる。また、その二酸化炭素分離回収用吸収液を用いた二酸化炭素分離回収方法は、省エネルギーかつ高効率である。
二酸化炭素吸収試験装置(常圧)を示す図。 二酸化炭素吸収試験装置(高圧・体積膨張率測定)を示す図。 二酸化炭素吸収試験装置(高圧・ガス吸収量測定)を示す図。 [emim][1O2Oace]のNMRスペクトル。 CO吸収後の[emim][1O2Oace]のNMRスペクトル。 [emim][1O2Opro]のNMRスペクトル。 CO吸収後の[emim][1O2Opro]のNMRスペクトル。 CO吸収後の[emim][ace]のNMRスペクトル。 イオン液体の粘度の温度依存性を示すグラフ。 イオン液体の密度の温度依存性を示すグラフ。 酸性ガス吸収液の二酸化炭素吸収量の温度依存性を示すグラフ。 酸性ガス吸収液の二酸化炭素吸収量の圧力依存性を示すグラフ。
本発明の酸性ガス吸収液は、カチオン及びアニオンからなるイオン液体を含む。
本発明に係るイオン液体は、100℃、大気圧で液体の塩である。本発明に用いるイオン液体は、特に室温(25℃)で液体であると好ましい。すなわち、本発明に係るイオン液体の融点は、100℃以下であれば特に限定されないが、50℃未満であると好ましく、25℃未満であるとより好ましい。また、本発明に係るイオン液体の融点の下限は、特に限定されない。
(アニオン)
本発明に係るイオン液体を構成するアニオンは、エーテル結合を有するカルボキシレートである。
エーテル結合を有するカルボキシレートは、下記一般構造式1で表されるものであると好ましい。
−O−R−CO ・・・(式1)
式1中、Rは、無置換又は置換基を有する、飽和又は不飽和の直鎖状炭化水素基を表す。Rは、無置換又は置換基を有する、飽和又は不飽和の、炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。
としては、例えば、無置換又は置換基を有するメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基などのアルキレン基;これらのアルケニレン基、アルキニレン基が挙げられる。中でも、Rは、無置換又は置換基を有する、炭素数2以上の飽和又は不飽和の直鎖状炭化水素基であると好ましく、無置換又は置換基を有するエチレン基がより好ましく、無置換のエチレン基が特に好ましい。
としては、例えば、無置換又は置換基を有するメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などのアルキル基;これらのアルケニレン基、アルキニレン基;これらのアルキル基、アルケニレン基、アルキニレン基の炭素原子の少なくとも一つがヘテロ原子で置き換わったヘテロ原子含有炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子含有炭化水素基のヘテロ原子は、炭素原子及び水素原子以外であれば特に限定されず、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。ヘテロ原子含有炭化水素基としては、例えばメトキシメチレン基、メトキシエチレン基、メトキシプロピレン基、メトキシブチレン基などのメトキシアルキレン基;エトキシメチレン基、エトキシエチレン基、エトキシプロピレン基、エトキシブチレン基などのエトキシアルキレン基;などのアルキルオキシアルキレン基が挙げられる。Rがアルキルオキシアルキレン基の場合、本発明に係るカルボキシレートは、2つ以上のエーテル結合を有する。このように、本発明に係るカルボキシレートは、2つ以上のエーテル結合を有すると好ましい。
本発明に係るアニオンの分子量は、特に限定されないが、300以下であると好ましい。イオン液体のアニオンがこの範囲にあると、酸性ガス吸収液の酸性ガス吸収性・放散性の点で好ましい。
(カチオン)
本発明に係るカチオンは、前記のアニオンとイオン液体を形成するものであれば、特に限定されないが、例えば、窒素含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物などが挙げられる。中でも、窒素含有化合物が好ましい。窒素含有化合物のカチオンとしては、イミダゾリウム骨格、ピロリジニウム骨格、ピリジニウム骨格、ピペリジニウム骨格、ピリミジニウム骨格などを有する窒素含有化合物、四級アンモニウムなどが挙げられる。
窒素含有化合物の中でも、イミダゾリウム骨格を有する窒素含有化合物が好ましい。イミダゾリウム骨格を有する窒素含有化合物としては、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−プロピルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウムなどの1つのアルキルで置換された非対称型のイミダゾリウム;1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,3−ジプロピルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウムなどの2つのアルキルで置換された対称型のイミダゾリウム;1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウム、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−ブチルイミダゾリウムなどの2つのアルキルで置換された非対称型のイミダゾリウム;2つ以上のアルキルで置換されたイミダゾリウムなどが挙げられる。中でも、2つのアルキルで置換されたイミダゾリウムが好ましく、2つのアルキルで置換された非対称型のイミダゾリウムがより好ましく、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムが特に好ましい。
これらの具体的なカチオンは、それぞれ、前述の具体的なアニオンと任意に組み合わせて用いることができる。
本発明に係るカチオンの分子量は、特に限定されないが、300以下の範囲にあると好ましい。カチオンの分子量がこの範囲にあると、酸性ガス吸収液の酸性ガス吸収性・放散性の点で好ましい。
(イオン液体)
本発明に係るイオン液体は、公知の方法により製造することができ、原料に応じて最適な条件を採用すればよい。例えば、カチオンが前述のカチオンであり、アニオンが炭酸エステルイオンである炭酸エステルオニウム塩(以下、炭酸エステルオニウム塩類という。)に、前述のエーテル結合を有するカルボキシレートに対応するエーテル結合を有するカルボン酸(以下、原料カルボン酸という。)を作用させる方法や、カチオンが前述のカチオンであり、アニオンが水酸化物イオンである水酸化オニウム塩(以下、水酸化オニウム塩類という。)に、原料カルボン酸を作用させる方法等を用いることができるが、これらに限定されない。
好ましい具体的な調製条件は以下の通りである。
炭酸エステルオニウム塩類又は水酸化オニウム塩類1モルに、有機溶媒中、0〜60℃、好ましくは10〜40℃で、0.9〜1.5モル、好ましくは0.95〜1.2モル、より好ましくは1.0〜1.05モルの原料カルボン酸を添加する。その後、反応混合物から、減圧下、0〜80℃、好ましくは20〜70℃で有機溶媒及び過剰の原料を留去すれば、本発明に係るイオン液体を得ることができる。得られたイオン液体は、必要に応じて有機溶剤で洗浄し、乾燥すれば、精製することができる。洗浄に使用する有機溶剤は、原料と混合し、イオン液体と分液するものであれば特に限定されないが、トルエン等の芳香族炭化水素化合物、ヘキサン等の脂肪族炭化水素化合物、酢酸エチル等のエステル化合物等が挙げられる。
ここで、炭酸エステルオニウム塩類は、N−アルキルイミダゾール類、N−アルキルピロリジン類、ピリジン類、N−アルキルピペリジン類、ピリミジン類、又は三級アミン類に、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等の炭酸ジエステル類を反応させれば製造することができる。また、水酸化オニウム塩類は、対応するハロゲン化オニウム塩に、水又はアルコール溶媒中、酸化銀(I)、水酸化アルカリ金属、又は強塩基性イオン交換樹脂を作用させれば製造することができる。
本発明に係るイオン液体の分子量は、特に限定されないが、600以下の範囲にあると好ましい。イオン液体の分子量がこの範囲にあると、酸性ガス吸収液の酸性ガス吸収性・放散性の点で好ましい。
本発明に係るイオン液体としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 2−メトキシエトキシアセテート(略記:[emim][1O2Oace])及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 3−(2−メトキシエトキシ)プロピオネート(略記:[emim][1O2Opro])が好ましく、[emim][1O2Opro]がより好ましい。
(酸性ガス吸収液)
本発明の酸性ガス吸収液は、前記の、カチオン及びアニオンからなるイオン液体を含む。イオン液体は、単独又は複数で用いることができ、例えば、主たるイオン液体の融点が常温(25℃)より高い場合には、希釈剤に溶解して用いることができる。希釈剤としては、本発明に係るイオン液体を用いることもでき、他の一般にイオン液体と称されるカチオン及びアニオンからなるイオン液体類、ジエチレングリコール類、アルコール類、水などが挙げられる。酸性ガス吸収液の蒸気圧を低減して揮発による損失を抑制するためには、イオン液体類又は高沸点のジエチレングリコール類の使用が好ましい。
また、本発明の酸性ガス吸収液は、本発明を阻害しない範囲で、他の成分を含むことができる。
本発明の酸性ガス吸収液は、10℃において、イオン液体1モルあたり0.15モル以上の二酸化炭素を吸収できると好ましい。また、本発明の酸性ガス吸収液は、温度差70℃で、必要により圧力をスイングさせることにより、イオン液体1モルあたり0.1モル以上の二酸化炭素を回収できると好ましく、温度差70℃で、イオン液体1モルあたり0.2モル以上の二酸化炭素を回収できるとより好ましい。また、イオン液体は、100℃以下の温度範囲で、必要により圧力をスイングさせることにより、25℃で吸収した二酸化炭素の80%以上を放散できるイオン液体を用いることが好ましい。ここで、二酸化炭素吸収量は、後述の方法で測定したものである。
本発明に係る酸性ガス吸収液の粘度は特に限定されないが、上限が、25℃で400mPa・s未満であると好ましく、25℃で300mPa・s未満であるとより好ましい。酸性ガス吸収液の粘度がこの範囲にあると、酸性ガス吸収液の酸性ガス吸収性・放散性の点で好ましい。また、本発明に係る酸性ガス吸収液の密度は特に限定されないが、上限が、25℃で1.5g/cm未満であると好ましく、25℃で1.2g/cm未満であるとより好ましい。酸性ガス吸収液の粘度や密度がこの範囲にあると、酸性ガス吸収液の酸性ガス吸収性・放散性の点で好ましい。本発明の酸性ガス吸収液の粘度、密度、及びその温度依存性は、用いるイオン液体のカチオン及びアニオンの種類や希釈剤で調整できる。
(酸性ガス分離回収方法)
次に、本発明の酸性ガス吸収液を用いた酸性ガス分離回収方法について説明する。
前述の酸性ガス吸収液を、酸性ガスを含む2成分又は3成分以上の混合ガスと接触させることによって酸性ガスを前記酸性ガス吸収液に吸収させて、前記混合ガスから前記酸性ガスを選択的に分離する。
酸性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、硫化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物、無機酸類(塩酸、硝酸、リン酸、硫酸等)、有機酸類(カルボン酸、スルホン酸、炭酸等)などの酸性ガスが挙げられるが、本発明の酸性ガス吸収液を用いた酸性ガス分離回収方法は、特に、二酸化炭素の分離に優れている。上記混合ガスは、これらの酸性ガスを含むガス状の混合物であれば、特に限定されない。また、混合ガス中に含まれる酸性ガスの種類及び組成も特に限定されない。
本発明の酸性ガス分離回収方法では、酸性ガス吸収液を、酸性ガスを含む混合ガスと接触させることによって、酸性ガス吸収液に含まれるイオン液体に酸性ガスを化学的及び/又は物理的に吸収させて、混合ガスから酸性ガスを選択的に分離する(吸収工程)。
本発明の酸性ガス分離回収方法において、酸性ガスを、酸性ガス吸収液に含まれるイオン液体に化学的に吸収させる吸収工程の温度は、特に限定されないが、通常、室温近傍(25℃±30℃)又は室温(25℃)以下である。混合ガスと酸性ガス吸収液の接触方法は、酸性ガスが酸性ガス吸収液に化学的に吸収される限り、特に限定されない。例えば、酸性ガス吸収液中に混合ガスをバブリングさせる方法、混合ガスに酸性ガス吸収液をスプレーする方法、酸性ガス吸収液を含浸又はゲル化させた材料と混合ガスを接触させる方法などが挙げられる。
本発明の酸性ガス分離回収方法において、酸性ガスを、酸性ガス吸収液に吸収させる物理吸収工程の圧力は、特に限定されないが、通常、大気圧以上、好ましくは2MPa以上、より好ましくは4MPa以上である。混合ガスと酸性ガス吸収液の接触方法は、酸性ガスが酸性ガス吸収液に吸収される限り、特に限定されない。例えば、前述の化学的に吸収させる方法と同様の方法などが挙げられる。物理的吸収と前述の化学的吸収は、別工程で行うこともでき、同時に行うこともできる。
酸性ガスを吸収した酸性ガス吸収液は、例えば、混合ガスと、酸性ガスを吸収した酸性ガス吸収液とを分離し、分離した酸性ガス吸収液を加熱又は/及び減圧することで酸性ガスを放散させて、酸性ガス吸収液を再生して再利用できる。分離した酸性ガス吸収液の加熱(加熱再生工程)と減圧(減圧再生工程)は、別工程で行うこともでき、同時に行うこともできる。
酸性ガス吸収液を加熱する場合、酸性ガスを吸収する温度よりも5〜100℃高い温度条件に設定することにより、酸性ガスを放散できる。例えば、酸性ガスを吸収した酸性ガス吸収液を、吸収時の温度より高温に昇温して、吸収した酸性ガスを放散させて回収し、前記酸性ガス吸収液を再生すると好ましい。100℃以下の温度条件で酸性ガスの放散を行うと、100℃以下の未利用の低品位廃熱を利用できるため、100℃以上の熱源を必要とする従来技術と比較して省エネルギーである。
また、酸性ガス吸収液を減圧する場合、酸性ガスを吸収した圧力よりも低圧条件に設定することにより、酸性ガスを放散できる。圧力条件は対象とする酸性ガス除去プロセスに応じて設定することができる。酸性ガス吸収液を減圧する際の温度は、特に限定されないが、酸性ガスを吸収した温度、即ち室温近傍(25℃±30℃)又は室温(25℃)以上であると好ましい。
中でも、加熱再生工程において、温度を吸収時の温度より高温かつ100℃以下とし、かつ圧力を酸性ガス吸収時の圧力より低くして、100℃以下の昇温で吸収した酸性ガスの80%以上を放散させて回収し、前記酸性ガス吸収液を再生すると好ましい。
酸性ガス吸収液を再生する装置は、吸収した酸性ガスが放散され、酸性ガス吸収液中のイオン液体が再生されるのであれば、特に限定されない。
本発明の酸性ガス分離回収方法によれば、吸収量が多いイオン液体を利用することで、プロセスの酸性ガス除去効率を高めることができる。また、従来の酸性ガス吸収液再生方法と比較して、これまで未使用であった100℃以下の低品位廃熱を有効利用できるため、酸性ガス吸収液の再生に要する熱エネルギーを低減できる。更に、酸性ガス吸収液に含まれるイオン液体の分子構造及び濃度を制御することで、対象とする酸性ガスに最適な分離プロセスを提供できる。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。測定は、以下の測定方法を用いた。圧力は、特に断りのない限り絶対圧である。
(1)NMRスペクトル
イオン液体、イオン液体を含む酸性ガス吸収液、又は二酸化炭素を吸収したこれらの、H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルは、JEOL REZONANCE製ECAII600を用いて測定した。特に断りの無い限り測定温度は40℃とし、キャピラリに封入したベンゼン−d6をロック溶媒として用いた。
(2)粘度及び密度
イオン液体、又はイオン液体を含む酸性ガス吸収液の粘度及び密度は、Anton Paar製粘度計Stabinger SVM3000及びAnton Paar製密度計DMA5000Mを用いて測定した。
(3)二酸化炭素吸収量(常圧)
図1に示す、二酸化炭素吸収試験装置を用いて常圧で測定を行った。二酸化炭素吸収試験装置は、ガラス製の反応容器112に窒素又は二酸化炭素を導入するための、窒素又は二酸化炭素のボンベ101、減圧弁102、流量計103、バルブ104、コイル状の熱交換器105、及びバルブ106、並びに、熱媒107を入れる恒温槽108、その恒温槽108内の熱媒107の温度を測定する白金測温体109を接続した抵抗表示器110、恒温槽108内の熱媒107の温度を一定に調節する冷却水循環装置111、反応容器112内に入れた回転子113を回転させるマグネチックスターラー114を備える。
反応容器112には、栓115、ガス導入管116、バルブ付き放出管117を取り付けることができる。バルブ106は、反応容器112に取り付けられたガス導入管116と接続できる。熱交換器105及び反応容器112は、恒温槽108の熱媒107に浸され、冷却水循環装置111で一定の温度に保たれる。反応容器112内には、回転子113が入れてあり、マグネチックスターラー114によって、反応容器112内の酸性ガス吸収液を撹拌できる。
以下に、この二酸化炭素吸収試験装置を用いた、二酸化炭素吸収量測定フローを記載する。
1)窒素雰囲気下で、所定量(約10cc)の酸性ガス吸収液をガラス製の反応容器112に取り分け、反応容器112の口を栓115で封じる。反応容器全体の質量を分析天秤で計測し、これから風袋(反応容器112、回転子113及び栓115)の質量を差し引き、酸性ガス吸収液の質量Wを得る。
2)反応容器112にガス導入管116及び放出管117を取り付け、再度、質量を計測して反応容器全体の質量Wを得る。
3)反応容器112を恒温槽108に設置する。ガス導入管116をバルブ106に接続する。
4)恒温槽108の温度を40℃に保ち、窒素のみを反応容器112に流通させ、容器内を窒素で置換する。一定時間(例えば60分)毎に反応容器全体の質量を分析天秤で測定する。測定毎の質量変化が0.001g以下になった際の、反応容器全体の質量をWとする。
5)続いて、二酸化炭素を反応容器112に流通させ、酸性ガス吸収液に二酸化炭素を吸収させる。一定時間(例えば60分)毎に反応容器全体の質量を分析天秤で測定する。測定毎の質量変化が0.001g以下になった際の、反応容器全体の質量をWとする。
6)酸性ガス吸収液に吸収された二酸化炭素の質量WCO2を下記式に基づき求める。
CO2=W−W
また、酸性ガス吸収液中のイオン液体1モルあたりの二酸化炭素吸収量αCO2を下記式に基づき決定する。
αCO2=(WCO2/MCO2)/(W/MIL
ここで上記式中、MCO2は二酸化炭素の分子量であり、MILはイオン液体の分子量である。
7)恒温槽108の温度を適宜変更し、前記5)〜6)の操作と解析を行い、各温度における二酸化炭素吸収量を決定する。その後、40℃で吸収された二酸化炭素の質量を再度計測し、再現性を確認する。
(4)二酸化炭素吸収量(高圧)
図2と3に示す試験装置を用いて、高圧条件下で二酸化炭素の吸収量を測定した。
(体積膨張率の測定)
図2の体積膨張率測定装置は、真空ポンプ201、カセトメーター202、撹拌子203、サファイアチューブセル204、永久磁石205、恒温槽206、バルブ208、バルブ209、バルブ210、サーミスター211、圧力計212、冷却水循環装置213、二酸化炭素ボンベ214を備える。207は液相高さを示す。
以下、具体的な操作を説明する。
1)十分に露点が低いグローブボックス内で、サファイアチューブセル204に、事前に十分に乾燥した酸性ガス吸収液を所定量(約0.6cc)仕込み、サファイアチューブセル204のバルブ208を閉じる。仕込み量(wIL)を電子天秤で測定する。
2)サファイアチューブセル204を、バルブ208を介してガス導入ラインに接続し、恒温槽206内部に設置し、バルブ208を閉じたまま、バルブ209とバルブ210を開け、真空ポンプ201でガス導入ライン内を十分に脱気する。その後、バルブ210を閉じ、バルブ209を開けてガス導入ラインに0.1MPa程度の二酸化炭素を導入し、バルブ209を閉じる。その後、バルブ208を開けてセル内部に二酸化炭素を導入し、酸性ガス吸収液を撹拌子203で1分撹拌した後、バルブ210を開けて0.05MPa程度まで減圧する。最後に、バルブ208を閉じ、ガス導入ラインを再び脱気した後、バルブ210を閉じる。以上の作業を5回繰り返す。
3)バルブ209を開けて、ガス導入ラインに0.1MPa程度の二酸化炭素を導入する。その後、バルブ209を閉じ、バルブ208を開けて、サファイアチューブセル204内に二酸化炭素を導入する。
4)サファイアチューブセル204外部の永久磁石205をモーター(図2に示していない)で上下に動かし、サファイアチューブセル204内部の撹拌子203を上下振動させ、イオン液体相を撹拌する。この際、撹拌子203が液面から出ないよう、永久磁石205の位置を調整する。その後、恒温槽206の温度を40℃に保ち、撹拌を継続しつつ、サファイアチューブセル204内の圧力を圧力計212にて測定する。気液平衡状態に到達したことは、圧力変化が1時間あたり0.0001MPa以下になったことで判断する。
5)気液平衡状態に到達した後、カセトメーター202による目視で液相の高さ(H)207を計測する。液相の高さ(H)と液相の体積(V)には直線関係があり、実験前に作成した検量線と液相の高さ(H)から液相の体積(V(p,T))を算出できる。この操作を、1時間ごとに、合計3回以上行い、その平均を用いて体積膨張率(ΔV)を求める。体積膨張率(ΔV)は以下の式で定義される。
ΔV=(V(p,T)−V(p,T))/V(p,T)
上記式中、V(p,T)は平衡圧力p、測定温度Tにおける液相の体積、V(p,T)は大気圧(0.1MPa(二酸化炭素が存在しない))、測定温度Tにおける液相の体積である。V(p,T)はAnton Paar製密度計DMA5000Mから得た密度を用いる。
6)系内の圧力および恒温槽206の温度を適宜変更し、4)と5)の操作を繰り返し、各圧力及び温度における体積膨張率を決定する。
(ガス吸収量の測定)
図3のガス吸収量測定装置は、真空ポンプ301、真空計302、高圧セル部303、ガスチャンバー部304、恒温槽305、バルブ306、バルブ307、バルブ308、バルブ309、バルブ310、サーミスター311、圧力計312、冷却水循環装置313、二酸化炭素ボンベ314を備える。高圧セル部303は、高圧セル315、スターラー316を備える。
以下、具体的な操作を説明する。
7)十分に露点が低いグローブボックス内で、高圧セル315に、事前に十分に乾燥した酸性ガス吸収液を所定量(約10cc)仕込み、高圧セル315を閉じ、さらにバルブ306を閉じ、電子天秤で酸性ガス吸収液の仕込み量を測定する。高圧セル315を、バルブ306で装置に接続し、バルブ306、307、308、309、310を開け、真空ポンプ301で系内を脱気する。系内の圧力は圧力計312と真空計302で計測し、圧力計の表示が0.0000MPa、真空計の指示が2Pa以下に到達した後、さらに6時間以上脱気操作を続ける。その後、バルブ308と310を閉じ、12時間以上放置し、圧力計の表示値の変化が0.0001MPa/12h以下であることを確認する。
8)バルブ306と309を閉じ、バルブ308を開けて二酸化炭素を6.0MPa程度導入する。続いて、バルブ308を閉じ、恒温槽305の温度を40℃に保ち、圧力を圧力計312で計測する。また、高圧セル315内部を、撹拌子(図3に示していない)を回転させ、撹拌する。撹拌子の回転にはスターラー316を使用し、以降、撹拌は測定終了まで継続する。
9)圧力変化が1時間あたり0.0001MPa以下になった際、ガスチャンバー部304が熱平衡に到達したと見なし、圧力を圧力計312で測定する。その後、温度と圧力から二酸化炭素のモル体積(v)を決定し、これとガスチャンバー部304の容積から二酸化炭素の物質量(n)を求める。本測定では、モル体積は、NIST REFPROP Ver.9.0を利用して求める。この操作を、1時間ごとに、合計3回以上繰り返し、その平均値を物質量(n)として採用する。
10)バルブ309、バルブ306の順に開け、二酸化炭素を酸性ガス吸収液に吸収させる。圧力変化が1時間あたり0.0001MPa以下になった際、気液平衡状態に到達したと見なし、圧力を圧力計312で測定する。温度と圧力から二酸化炭素のモル体積(v)を決定し、下式を用いて、酸性ガス吸収液に吸収された二酸化炭素の物質量(n)を決定する。
=n−[V−VIL(T)×(1+ΔV(T,p))]/v(T,p)
上記式中、nはガスチャンバーに導入された二酸化炭素の物質量を、v(T,p)は二酸化炭素のモル体積を、ΔV(T,p)は酸性ガス吸収液の体積膨張率を意味する。また、Vはガスチャンバー部304(容積:V)と高圧セル部303(容積:V)の容積の合計であり、nは下式から求める。
=V/v(T,p)
上記式中、v(T,p)は平衡圧力p、測定温度Tにおける二酸化炭素のモル体積である。なお、モル体積はガスの種類、温度、圧力のみで決定される。VIL(T)はガスを吸収する前の酸性ガス吸収液の体積であり、以下の式で求められる。
IL(T)=wILρ(T)
上記式中、wILは酸性ガス吸収液の仕込み量であり、上記操作7)で決定する。ρ(T)は酸性ガス吸収液の密度、Tは測定温度である。ΔV(T,p)は酸性ガス吸収液の体積膨張率であり、体積膨張率の測定結果から決定する。この操作を、1時間ごとに、合計3回以上繰り返し、その平均値を酸性ガス吸収液に吸収された二酸化炭素の物質量(n)として採用する。
11)系内の圧力および恒温槽の温度を適宜変更し、8)から10)の操作を繰り返し、各圧力及び温度における、イオン液体に吸収された二酸化炭素の物質量を決定する。
12)イオン液体中の二酸化炭素のモル分率(xCO2)は下記式から決定する。
CO2=n/(nIL+n
ILはイオン液体の物質量であり、酸性ガス吸収液の仕込み量wILを、酸性ガス吸収液に含まれるイオン液体の分子量MILで除することで得られる。
比較例2
1)1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 2−メトキシエトキシアセテートの合成
N−エチルイミダゾール269.2g(2.8モル)、メタノール358.9g(11.2モル)、及び炭酸ジメチル378.3g(4.2モル)をステンレス製反応容器に封入し、1時間かけて室温から115℃まで昇温した後、115℃付近で20.5時間撹拌した。冷却後、ステンレス製反応容器内をメタノール約100gで洗いながら内容物を抜き取り、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルカーボネート含有液1104.0gを得た。H−NMR分析より、N−エチルイミダゾールの1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルカーボネートへの転換率は66.8%であった。
この1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルカーボネート含有液556.3gに、2−メトキシエトキシ酢酸134.2g(1.0モル)を20〜25℃で1時間かけて滴下した後、19時間撹拌した。反応液を濃縮して得られた濃縮残をトルエン600gで2回洗浄した後、乾燥した。乾燥後の濃縮残をメタノール216gに溶解し、H−NMR分析で確認しながら1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルカーボネートのピークが消失するまで2−メトキシエトキシ酢酸を添加した。このとき、追加で添加した2−メトキシエトキシ酢酸の量は6.1gであった。得られた反応混合物を濃縮、トルエン洗浄、乾燥し、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 2−メトキシエトキシアセテート(略記:[emim][1O2Oace])243.7gを得た。[emim][1O2Oace]の構造式を式2に、NMRスペクトルを図4に示す。
2)イオン液体[emim][1O2Oace]を酸性ガス吸収液E1とし、二酸化炭素の分圧(PCO2)0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、酸性ガス吸収液E1の25.00℃、40.00℃、60.00℃における二酸化炭素吸収量を、圧力を変化させて測定した。その結果を表2に示す。また、大気圧下における粘度と密度の温度依存性を表3、図9、図10に、それぞれ示す。酸性ガス吸収液E1の粘度は、25℃で287.18mPa・s、密度は1.1124g/cmであった。酸性ガス吸収液E1は、25℃においてイオン液体1モルあたり0.14モルの二酸化炭素を、80℃において0.05モルの二酸化炭素を吸収しており、室温近傍で吸収した二酸化炭素の64%を80℃で放散している。二酸化炭素吸収後の酸性ガス吸収液E1のNMRスペクトルを図5に示す。H−NMRのスペクトル形状が変化し、13C−NMRスペクトルに二酸化炭素由来のピークが検出されており、二酸化炭素と[emim][1O2Oace]が化学的に反応したことを示す。また、25℃、4MPaにおける二酸化炭素のモル分率は0.510であり、イオン液体1モルあたり1.04モルの二酸化炭素を吸収している。
(実施例2)
1)1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 3−(2−メトキシエトキシ)プロピオネートの合成
比較例2と同様に反応を行い、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルカーボネート含有液1054.9gを得た。H−NMR分析より、N−エチルイミダゾールの1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルカーボネートへの転換率は53.6%であった。
この1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルカーボネート含有液743.9gに、3−(2−メトキシエトキシ)プロパン酸163.0g(1.1モル)を20〜25℃で1時間かけて滴下した後、12時間撹拌した。反応液を濃縮して得られた濃縮残をトルエン1060gで3回洗浄した後、乾燥した。乾燥後の濃縮残をメタノール245gに溶解し、H−NMR分析で確認しながら1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルカーボネートのピークが消失するまで3−(2−メトキシエトキシ)プロパン酸を添加した。このとき、追加で添加した3−(2−メトキシエトキシ)プロパン酸の量は18.8gであった。得られた反応混合物を濃縮、トルエン洗浄、ヘキサン洗浄、乾燥し、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 3−(2−メトキシエトキシ)プロピオネート(略記:[emim][1O2Opro])284.8gを得た。[emim][1O2Opro]の構造式を式3に、NMRスペクトルを図6に示す。
2)イオン液体[emim][1O2Opro]を酸性ガス吸収液E2として、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。酸性ガス吸収液E2の二酸化炭素吸収量を測定した結果を表1に示す。また、酸性ガス吸収液E2の25.00℃、40.00℃、60.00℃における二酸化炭素吸収量を、圧力を変化させて測定した。その結果を表2に示す。また、大気圧下における粘度と密度の温度依存性を表3、図9、図10に、それぞれ示す。酸性ガス吸収液E2の粘度は、25℃で202.72mPa・s、密度は1.1335g/cmであった。酸性ガス吸収液E2は、25℃においてイオン液体1モルあたり0.35モルの二酸化炭素を、80℃において0.17モルの二酸化炭素を吸収しており、25℃で吸収した二酸化炭素の51%を80℃で放散している。二酸化炭素吸収後の酸性ガス吸収液E2のNMRスペクトルを図7に示す。酸性ガス吸収液E1と同様の変化が認められ、二酸化炭素が[emim][1O2Opro]に化学的に吸収されたことを示す。また、25℃、4MPaにおける二酸化炭素のモル分率は0.556であり、イオン液体1モルあたり1.25モルの二酸化炭素を吸収している。
(比較例1)
1)1−エチル−3−メチルイミダゾリウム アセテートの合成
N-エチルイミダゾール48.01g、炭酸ジメチル225.19g、メタノール166.81gの溶液を調製した。この溶液をステンレス製反応容器に封入し、120℃で24時間反応させることで、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルカーボネートを含む反応物を得た。この反応物に、酢酸13.81gを、室温条件下、1秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌した。続いて、溶媒を減圧留去することで、粗製1−エチル−3−メチルイミダゾリウム アセテートを得た。これを、酢酸エチル50gで10回洗浄した後、減圧乾燥により溶媒を留去して、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート(略記:[emim][ace])33.1gを得た。[emim][ace]の構造式を式4に示す。
2)イオン液体[emim][ace]を酸性ガス吸収液R1として、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。また、酸性ガス吸収液R1の25.00℃、40.00℃、60.00℃における二酸化炭素吸収量を、圧力を変化させて測定した。その結果を表2に示す。また、大気圧下における粘度と密度の温度依存性を表3、図9、図10に、それぞれ示す。酸性ガス吸収液R1の粘度は、25℃で105.58mPa・s、密度は1.1005g/cmであった。酸性ガス吸収液R1は、25℃においてイオン液体1モルあたり0.31モルの二酸化炭素を、80℃において0.16モルの二酸化炭素を吸収しており、25℃で吸収した二酸化炭素の50%を80℃で放散している。なお、25℃では、二酸化炭素吸収後に凝固しており、25℃以下での測定は不可能であった。二酸化炭素吸収後の酸性ガス吸収液R1のNMRスペクトルを図8に示す。なお、[emim][ace]のH−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルは、Varian社製Inova300を用いて測定した。酸性ガス吸収液E1と同様の変化が認められ、二酸化炭素が[emim][ace]に化学的に吸収されたことを示す。また、25℃、4MPaにおける二酸化炭素のモル分率は0.500であり、イオン液体1モルあたり1.00モルの二酸化炭素を吸収している。
図11に、酸性ガス吸収液E1、E2(比較例2実施例2)及び酸性ガス吸収液R1(比較例1)のPCO2=0.10MPaにおけるイオン液体1モルあたりの二酸化炭素吸収量αCO2の温度依存性を示す。特に本発明に係る酸性ガス吸収液E2(実施例2)の二酸化炭素吸収量及び放散量が、既存のイオン液体(比較例1)と比較して優れていることがわかる。さらに、酸性ガス吸収液E1、E2は、二酸化炭素吸収後、25℃以下でも凝固せず、既存の酸性ガス吸収液R1よりも広い温度範囲で利用可能である。
また、図12に、酸性ガス吸収液E1、E2(比較例2実施例2)及び酸性ガス吸収液R1(比較例1)の25.00℃、40.00℃、60.00℃におけるイオン液体中の二酸化炭素吸収量xCO2の圧力依存性を示す。本発明に係る酸性ガス吸収液E2は、いずれの温度条件においても、二酸化炭素吸収量が既存の酸性ガス吸収液R1(比較例1)と比較して優れていることがわかる。また、酸性ガス吸収液E1、E2は、4MPaと0.1MPaの圧力差で、酸性ガス吸収液が吸収した二酸化炭素を、酸性ガス吸収液R1よりも多く回収できることがわかる。これらの結果から、本発明に係る酸性ガス吸収液は、化学吸収性及び/又は物理吸収性に優れていることがわかる。
(表1中、T/℃は、二酸化炭素吸収量測定時の温度、αCO2は、本発明に係るイオン液体1モルあたりの二酸化炭素吸収量を示す。)
(表2中、T/℃は、二酸化炭素吸収量測定時の温度、p/MPaは測定時の圧力、xCO2は、本発明に係るイオン液体中の二酸化炭素のモル分率を示す。)
(表3中、T/℃は測定時の温度、η/mPa・sは粘度、ρ/g・cm−3は密度を示す。)
本発明の酸性ガス吸収液は、室温近傍における酸性ガス吸収量に優れ、100℃以下の低温で、吸収した大部分の酸性ガスを放散し、回収できるイオン液体を含む。また、この酸性ガス吸収液を利用した酸性ガス分離回収方法は、二酸化炭素などの酸性ガスを選択的に分離するプロセスの、酸性ガス除去効率を向上させ、さらに、プロセス全体の消費エネルギーを低減可能であり、従来技術の課題を解決できる。そのため、本発明は、例えば、化学工場や製鉄所などの排気ガス中に含まれる酸性ガスの分離、脱炭酸によるエネルギー資源(天然ガス、バイオガス、合成ガス)の製造、自動車等の分散型排出源における脱硝、生活環境の維持(二酸化炭素濃度の管理)等、産業部門から民生部門まで利用できるが、これら例示された分野に限定されない。
101 窒素又は二酸化炭素のボンベ
102 減圧弁
103 流量計
104 バルブ
105 熱交換器
106 バルブ
107 熱媒
108 恒温槽
109 白金測温体
110 抵抗表示器
111 冷却水循環装置
112 反応容器
113 回転子
114 マグネチックスターラー
115 栓
116 ガス導入管
117 放出管
201 真空ポンプ
202 カセトメーター
203 撹拌子
204 サファイアチューブセル
205 永久磁石
206 恒温槽
207 液相高さ
208、209、210 バルブ
211 サーミスター
212 圧力計
213 冷却水循環装置
214 二酸化炭素ボンベ
301 真空ポンプ
302 真空計
303 高圧セル部
304 ガスチャンバー部
305 恒温槽
306、307、308、309、310 バルブ
311 サーミスター
312 圧力計
313 冷却水循環装置
314 二酸化炭素ボンベ
315 高圧セル
316 スターラー

Claims (10)

  1. カチオンとアニオンからなるイオン液体を含み、前記アニオンは、下記一般構造式1で表される、エーテル結合を有するカルボキシレートである、二酸化炭素分離回収用吸収液。
    −O−R −CO ・・・(式1)
    式1中、R は、エチレン基を表す。R は、アルキル基又はアルキルオキシエチレン基を表す。
  2. 前記R は、アルキルオキシエチレン基を表す、請求項1に記載の二酸化炭素分離回収用吸収液。
  3. 前記カルボキシレートは、3−(2−メトキシエトキシ)プロピオネートである、請求項2に記載の二酸化炭素分離回収用吸収液。
  4. 前記カチオンは窒素含有化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離回収用吸収液。
  5. 前記窒素含有化合物はイミダゾリウム骨格を有する、請求項に記載の二酸化炭素分離回収用吸収液。
  6. 前記イオン液体は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 3−(2−メトキシエトキシ)プロピオネートである、請求項1に記載の二酸化炭素分離回収用吸収液。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離回収用吸収液を、二酸化炭素を含む混合ガスと接触させることによって二酸化炭素を前記二酸化炭素分離回収用吸収液に吸収させて、前記混合ガスから前記二酸化炭素を選択的に分離する吸収工程を含む、二酸化炭素分離回収方法。
  8. 二酸化炭素を吸収した二酸化炭素分離回収用吸収液を、吸収時の温度より高温にすることで前記二酸化炭素を放散させて回収し、前記二酸化炭素分離回収用吸収液を再生する加熱再生工程を更に含む、請求項に記載の二酸化炭素分離回収方法。
  9. 前記加熱再生工程の圧力が吸収時の圧力より低い、請求項に記載の二酸化炭素分離回収方法。
  10. 二酸化炭素を吸収した二酸化炭素分離回収用吸収液を、吸収時の圧力より低圧にすることで前記二酸化炭素を放散させて回収し、前記二酸化炭素分離回収用吸収液を再生する減圧再生工程を更に含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離回収方法。
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