JP6811004B2 - マイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明に係るマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A)と、少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)と、光酸発生剤(C)とを含有し、上記樹脂(A)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位における少なくとも1個の水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基含有基で置換された構成単位(a2)とを有する樹脂(A1)を含む。このポジ型感光性樹脂組成物は、エッチング法によるマイクロレンズの製造において、マイクロレンズパターンを有するマスク層の形成に好適に用いられる。以下、上記ポジ型感光性樹脂組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位における少なくとも1個の水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基含有基で置換された構成単位(a2)とを有する樹脂(A1)を含む。樹脂(A)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
樹脂(A1)中、構成単位(a1)及び(a2)の合計の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、10〜100モル%であることが好ましく、30〜100モル%がより好ましく、50〜100モル%が更に好ましく、70〜100モル%が特に好ましく、100モル%が最も好ましい。上記割合が上記範囲内であると、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性がより優れたものとなりやすく、また、より広いフローマージンが確保されやすく、加えて、他の構成単位とのバランスが良好である。
樹脂(A1)は、構成単位(a1)及び(a2)に加えて、更に、構成単位(a1)及び(a2)以外の他の構成単位を含有してもよい。他の構成単位として具体的には、例えば、下記構成単位(a3)及び(a4)等が挙げられる。
構成単位(a3)は、スチレンから誘導される構成単位である。構成単位(a3)を含有させ、その含有量を調整することにより、樹脂(A1)のアルカリ現像液に対する溶解性を調整できる場合があり、それによって、厚膜レジスト膜のアルカリ溶解性をコントロールできる場合があり、形状を更に向上させることができる場合がある。
ここで、「スチレン」とは、狭義のスチレン、及び狭義のスチレンのα位の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。スチレンは、フェニル基の水素原子が低級アルキル基(例えば、炭素数1〜5のアルキル基)等の置換基で置換されていてもよい。
構成単位(a3)としては、下記一般式(a3−1)で表される構成単位が例示できる。
rは、0〜3の整数である。これらのうち、rは0又は1であることが好ましく、特に工業上0であることが好ましい。
R7の置換位置は、rが1である場合にはo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、rが2又は3の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
樹脂(A1)中、構成単位(a3)の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、0〜90モル%であることが好ましく、0〜70モル%がより好ましく、0〜50モル%が更に好ましく、0〜30モル%が特に好ましく、0モル%が最も好ましい。上記割合が上記範囲内であると、他の構成単位とのバランスが良好になりやすい。上記割合の下限は、樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、1モル%が好ましく、3モル%がより好ましく、5モル%が特に好ましい。上記下限が上記の値であると、構成単位(a3)を有することによる効果が高くなりやすい。
構成単位(a4)は、アルコール性水酸基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。かかる構成単位(a4)を有することにより、本発明の効果が更に向上する場合がある。
好ましい構成単位(a4)としては、アルコール性水酸基を有する鎖状又は環状アルキル基を有する構成単位が例示できる。即ち、構成単位(a4)は、アルコール性水酸基含有鎖状又は環状アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが好ましい。
構成単位(a4)が、アルコール性水酸基含有環状アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、単に「水酸基含有環状アルキル基を有する構成単位」ということがある。)を有すると、解像性が高まる場合があるとともにエッチング耐性も向上する場合がある。
また、構成単位(a4)が、アルコール性水酸基含有鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、単に「水酸基含有鎖状アルキル基を有する構成単位」ということがある。)を有すると、(A)成分全体の親水性が高まる場合があり、現像液との親和性が高まる場合があることにより、解像性が向上する場合がある。
水酸基含有環状アルキル基を有する構成単位としては、例えば、アクリル酸エステルのエステル基[−C(O)O−]に水酸基含有環状アルキル基が結合している構成単位等が挙げられる。ここで、「水酸基含有環状アルキル基」とは、環状アルキル基に水酸基が結合している基である。
水酸基は、例えば、1〜3個結合していることが好ましく、1個結合していることが更に好ましい。
環状アルキル基は、単環でも多環でもよいが、多環式基であることが好ましい。また、環状アルキル基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
環状アルキル基の具体例としては以下のものが挙げられる。
単環式の環状アルキル基としては、シクロアルカンから1個〜4個の水素原子を除いた基等が挙げられる。より具体的には、単環式の環状アルキル基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルカンから1個〜4個の水素原子を除いた基が挙げられ、これらのなかでもシクロヘキシル基が好ましい。
多環式の環状アルキル基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個〜4個の水素原子を除いた基等が挙げられる。より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個〜4個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
なお、この様な環状アルキル基は、例えば、ArFエキシマレーザープロセス用のホトレジスト組成物用樹脂において、酸解離性溶解抑制基を構成するものとして多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの中でもシクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、及びテトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基及び多環式基の中でも、シクロヘキシル基及びアダマンチル基が好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
水酸基含有環状アルキル基を有する構成単位の具体例として、例えば、下記一般式(a4−1)で表される構成単位(a4−1)が好ましい。
sは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
水酸基の結合位置は、特に限定しないが、アダマンチル基の3位の位置に水酸基が結合していることが好ましい。
水酸基含有鎖状アルキル基を有する構成単位としては、例えば、アクリル酸エステルのエステル基[−C(O)O−]に鎖状のヒドロキシアルキル基が結合している構成単位等が挙げられる。ここで、「鎖状のヒドロキシアルキル基」とは、鎖状(直鎖又は分岐状)のアルキル基における水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されてなる基を意味する。
水酸基含有鎖状アルキル基を有する構成単位としては、特に、下記一般式(a4−2)で表される構成単位(a4−2)が好ましい。
R8のヒドロキシアルキル基は、好ましくは炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基であり、より好ましくは炭素数2〜8のヒドロキシアルキル基であり、更に好ましくは炭素数2〜4の直鎖状のヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基における水酸基の数及び結合位置は特に限定するものではないが、通常、水酸基の数は1つであり、また、結合位置はアルキル基の末端が好ましい。
樹脂(A1)中、構成単位(a4)の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、0〜90モル%であることが好ましく、0〜70モル%がより好ましく、0〜50モル%が更に好ましく、0〜30モル%が特に好ましく、0モル%が最も好ましい。上記割合が上記範囲内であると、他の構成単位とのバランスが良好になりやすい。上記割合の下限は、樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、1モル%が好ましく、3モル%がより好ましく、5モル%が特に好ましい。上記下限が上記の値であると、構成単位(a4)を有することによる効果が高くなりやすい。
構成単位(a5)は、上述の構成単位(a1)〜(a4)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFポジエキシマレーザー用(好ましくはKrFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
(A)成分中、樹脂(A1)の割合は、本発明の効果のためには、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
樹脂(A1)中、樹脂(A2)の割合は、本発明の効果のためには、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
樹脂(A2)中、樹脂(A3)の割合は、本発明の効果のためには、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
特に、樹脂(A3)が樹脂(A4)及び樹脂(A5)の両方を含む場合には、高い解像性と広いフローマージンとの両立を図りやすく好ましい。
樹脂(A3)中、樹脂(A4)及び(A5)の合計の割合は、本発明の効果のためには、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)は、ビニルオキシ基(CH2=CH−O−)の酸素原子が炭素原子に結合したビニルエーテル基を2以上有する化合物であれば、特に限定されない。かかる化合物を含有することにより、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性が優れたものとなりやすく、また、広いフローマージンが確保されやすい。(B)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)は、(A)成分に対して架橋剤として作用することによって上記効果を発揮すると推測される。即ち、少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)は、プレベーク時の加熱により(A)成分との架橋反応が進行し、基板全面にアルカリ不溶化レジスト層を形成する。その後、露光時に(B)成分から発生した酸の作用により該架橋が分解され、露光部はアルカリ可溶性へ変化し、未露光部はアルカリ不溶のまま変化しないため、溶解コントラストが向上すると推測される。また、ポストベーク時に樹脂(A)との架橋が更に進行することにより、フローマージンが向上すると推測される。
Rb−(OH)b (f−2)
式中、Rbは、直鎖状、分岐状、又は環状のアルカンからb個の水素原子を除いた基であり、置換基を有していてもよい。また、アルカン中には酸素結合(エーテル結合)が存在していてもよい。bは2、3、又は4を示す。
CH2=CH−O−R27−O−CH=CH2 (f−3)
式(f−3)において、R27は、炭素数1〜10の分岐状若しくは直鎖状のアルキレン基又は下記一般式(f−4)で表される基である。R27は、置換基を有していてもよい。また、R27は、主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。
一般式(f−3)で表される化合物としては、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル[以下、CHDVEと略記する]が好ましい。
本発明に用いられる光酸発生剤(C)は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物であれば、特に限定されない。(C)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
R20cSO3 − (c9)
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、更に(D)成分を含有してもよい。これにより、レジストパターン形状が良好となりやすく、例えば、側壁の垂直性が高く、矩形性に優れたレジストパターンが得られやすい。かかる効果が得られる理由としては、定かではないが、第3級脂肪族アミンはレジスト膜中で均一に分散し、(C)成分から発生した酸の拡散を効果的に抑制できるためではないかと推測される。また、(D)成分を含有することにより、ポジ型感光性樹脂組成物の引き置き経時安定性等も向上しやすい。(D)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
トリアルキルアミンの具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等が挙げられる。
トリ(アルキルアルコール)アミンの具体例としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等が挙げられる。
(D)成分中、第3級脂肪族アミンの割合は、本発明の効果のためには、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
第3級脂肪族アミン以外の含窒素有機化合物としては、特に制限はなく、公知のものから任意に用いればよい。具体的には、環式アミン、第3級脂肪族アミン以外の脂肪族アミン等が挙げられる。
「環式アミン」は、分子内に環構造を有するアミンを意味し、環構造は、脂肪族であっても芳香族であってもよいものとする。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
第3級脂肪族アミン以外の脂肪族アミンとしては、例えば、アンモニアNH3の水素原子の1つを、炭素数12以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基で置換したアミン(モノアルキルアミン又はモノ(アルキルアルコール)アミン);アンモニアNH3の水素原子の2つを、炭素数12以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基で置換したアミン(ジアルキルアミン又はジ(アルキルアルコール)アミン)等が挙げられる。モノアルキルアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等が挙げられる。
ジアルキルアミンの具体例としては、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
ジ(アルキルアルコール)アミンの具体例としては、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は有機溶剤(S)を含有してもよい。上記ポジ型感光性樹脂組成物が有機溶剤(S)を含有することで、上記ポジ型感光性樹脂組成物の塗布性や、上記ポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成されるポジ型感光性樹脂組成物層の膜厚の調整が容易となりやすい。(S)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、形成される被膜の可塑性を向上させるため、更にポリビニル樹脂を含有していてもよい。ポリビニル樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニル安息香酸、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルフェノール、及びこれらの共重合体等が挙げられる。ポリビニル樹脂は、ガラス転移点の低さの点から、好ましくはポリビニルメチルエーテルである。
本発明に係るマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物は、上記各成分を通常の方法で混合及び撹拌することで調製することができ、必要に応じ、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散機を用いて分散及び混合を行ってもよい。また、混合した後で、更にメッシュ、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
本発明に係るマイクロレンズパターンの製造方法は、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を形成するポジ型感光性樹脂組成物層形成工程と、上記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、露光された上記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱する加熱工程と、を含むものである。
ポジ型感光性樹脂組成物層形成工程では、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を形成する。上記ポジ型感光性樹脂組成物層は、好ましくは基材上に形成される。基材としては、例えば、後述するレンズ材料層が挙げられる。
ポジ型感光性樹脂組成物層の膜厚は、好ましくは100nm〜4.0μm、より好ましくは400nm〜2.0μmの範囲である。
露光工程では、上記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する。選択的な露光は、例えば、所望のマスクパターンを介して行うことができる。露光に用いる波長は、特に限定されない。露光は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、特に、KrFエキシマレーザーに対して有効である。
現像工程では、露光された上記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する。これにより、不要な部分を溶解及び除去する。
加熱工程では、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱する。これにより、上記ポジ型感光性樹脂組成物層が熱変形することにより、マイクロレンズパターン、好ましくは凸面状のマイクロレンズパターンが形成される。
本発明に係るマイクロレンズパターンの製造方法は、レンズ材料層上に、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を積層するポジ型感光性樹脂組成物層積層工程と、上記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、露光された上記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、上記レンズ材料層及び上記マスク層をドライエッチングして、上記レンズ材料層に上記マイクロレンズパターンの形状を転写する形状転写工程と、を含むものである。
ポジ型感光性樹脂組成物層積層工程では、レンズ材料層上に、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を積層する。レンズ材料層としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、画像素子が形成されたシリコンウェーハ等の基板上に透明平坦化膜のみ又は反射防止膜及び透明平坦化膜を設け、この透明平坦化膜上に設けたレンズ材料層が挙げられる。
露光工程では、上記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する。露光工程は、上述のマイクロレンズパターンの製造方法における露光工程と同様である。
現像工程では、露光された上記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する。現像工程は、上述のマイクロレンズパターンの製造方法における現像工程と同様である。
マスク層形成工程では、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成する。マスク層形成工程において、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層の加熱は、上述のマイクロレンズパターンの製造方法における加熱工程と同様に行うことができる。マスク層形成工程において形成されるマスク層が有するマイクロレンズパターンは、上述のマイクロレンズパターンの製造方法により得られるマイクロレンズパターンに対応する。
形状転写工程では、上記レンズ材料層及び上記マスク層をドライエッチングして、上記レンズ材料層に上記マイクロレンズパターンの形状を転写する。これにより、上記レンズ材料層からマイクロレンズを得ることができる。
表1に示す(A)〜(D)成分を有機溶剤(S)に均一に溶解し、ポジ型感光性樹脂組成物を調製した。表1中の括弧内の数値は各成分の配合量(単位:質量部)を表す。
D−2:トリエタノールアミン
S−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと乳酸エチルとの混合溶剤(質量比:6/4)
[レジストパターン形状(限界解像力の評価)]
Si基板に反射防止膜及びアクリル系の透明平坦化膜を形成した基板上に、スピンナーを用いて、実施例又は比較例で調製したポジ型感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成した。上記塗膜について、ホットプレート上で100℃にて90秒プレベーク処理を行って上記塗膜を乾燥させることにより膜厚800nmのポジ型感光性樹脂組成物層を形成した。
次いで、KrF露光装置NSR−S203B(Nikon製、NA=0.68、S=0.75)を用いて、マスクを介して、上記ポジ型感光性樹脂組成物層にKrFエキシマレーザー(248nm)を選択的に照射した。
その後、上記ポジ型感光性樹脂組成物層について、110℃で90秒間PEB処理を行い、次いで、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間現像を行い、その後、純水を用いて30秒間リンスを行った。純粋を振り切り、乾燥を行って、レジストパターンを得た。
得られたレジストパターンの断面をSEMで観察した。マスク寸法を変化させることにより限界解像力を求め、以下の基準で限界解像力を評価した。結果を表2に示す。
◎(極めて良好):限界解像力が0.17μm以下
○(良好):限界解像力が0.17μm超0.18μm以下
△(不良):限界解像力が0.18μm超0.19μm以下
×(極めて不良):限界解像力が0.19μm超
上記と同様にして得たレジストパターンについて、上方からSEMで観察した。各レジストパターンの周囲に現れるホワイトバンドの幅を測定し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。ホワイトバンドはレジストパターンのトップ部分の寸法よりもボトム部分の寸法の方が大きいときに確認されるものである。ホワイトバンドの幅はトップ部分とボトム部分との寸法差であり、テーパ形状の度合いを示す。ホワイトバンドの幅が小さいほどパターンの垂直性が高く良好である。
◎(極めて良好):ホワイトバンドの幅が0.07μm未満
○(良好):ホワイトバンドの幅が0.07μm以上0.075μm未満
△(不良):ホワイトバンドの幅が0.075μm以上0.08μm未満
×(極めて不良):ホワイトバンドの幅が0.08μm以上
上記と同様にして得たレジストパターンについて、130〜170℃の各温度で300秒間ポストベーク処理を行い、レジストパターンの断面をSEMで観察した。上記のポストベーク処理によりマイクロレンズパターンが形成される最低温度T1と、隣り合うマイクロレンズパターン同士の裾部分が接触する最低温度T2とを求めた。差T2−T1をフローマージンとし、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
◎◎(極めて良好):フローマージンが10℃以上
◎(良好):フローマージンが7℃以上10℃未満
○(やや良好):フローマージンが4℃以上7℃未満
×(不良):フローマージンが4℃未満
Claims (8)
- 酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A)と、少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)と、光酸発生剤(C)とを含有する、凸面状のマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記樹脂(A)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位における少なくとも1個の水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基含有基で置換された構成単位(a2)とを有する樹脂(A1)を含み、
前記樹脂(A1)の質量平均分子量が5000〜30000であり、
前記凸面状のマイクロレンズパターンは、
前記ポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を形成するポジ型感光性樹脂組成物層形成工程と、
前記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、
露光された前記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、
現像後の前記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱変形させることにより凸面状のマイクロレンズパターンを形成する加熱工程と、を含むマイクロレンズパターンの製造方法により製造される、ポジ型感光性樹脂組成物。 - 前記樹脂(A3)は、上記式(a1−1)で表される構成単位と、上記式(a2−2)で表される構成単位とを有する樹脂(A4)及び/又は上記式(a1−1)で表される構成単位と、上記式(a2−3)で表される構成単位とを有する樹脂(A5)を含む請求項3に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記樹脂(A4)の量が前記樹脂(A4)と前記樹脂(A5)との合計に対し60〜90モル%である請求項4に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 更に、第3級脂肪族アミンを含有する含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1から5のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を形成するポジ型感光性樹脂組成物層形成工程と、
前記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、
露光された前記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、
現像後の前記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱変形させることにより凸面状のマイクロレンズパターンを形成する加熱工程と、を含むマイクロレンズパターンの製造方法。 - レンズ材料層上に、請求項1から6のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を積層するポジ型感光性樹脂組成物層積層工程と、
前記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、
露光された前記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、
現像後の前記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱変形させることにより凸面状のマイクロレンズパターンを有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、
前記レンズ材料層及び前記マスク層をドライエッチングして、前記レンズ材料層に前記マイクロレンズパターンの形状を転写する形状転写工程と、を含むマイクロレンズの製造方法。
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