JP6811004B2 - マイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents

マイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物並びにそれを用いたマイクロレンズパターンの製造方法及びマイクロレンズの製造方法に関する。
従来、カメラ、ビデオカメラ等には、固体撮像素子が用いられている。この固体撮像素子には、CCD(charge−coupled device)イメージセンサや、CMOS(complementary metal−oxide semiconductor)イメージセンサが用いられている。イメージセンサには集光率の向上を目的とした微細な集光レンズ(以下、マイクロレンズと呼ぶ)が設けられている。
マイクロレンズは、例えば、ポジ型感光性樹脂組成物を用いたエッチング法により形成される。具体的には、レンズ材料層上に、ポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を形成した後、これを選択的に露光する。次いで、現像により露光部分を除去した後、熱処理によりポジ型感光性樹脂組成物層を流動化させ、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成する。その後、レンズ材料層及びマスク層をドライエッチングして、レンズ材料層にマイクロレンズパターンの形状を転写することによってマイクロレンズが得られる。従来、上記マスク層を形成するために用いられるマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物としては、例えば、アクリル系又はノボラック系のポジ型レジスト材料が用いられている(特許文献1)。
特開2013−117662号公報
上記のようなマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物には、優れた解像性及び広いフローマージン(良好なマイクロレンズパターンを形成することができる温度幅)が求められるが、従来のマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物は、これらの特性が十分でない。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、優れた解像性及び広いフローマージンのいずれをも備えたマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物並びにそれを用いたマイクロレンズパターンの製造方法及びマイクロレンズの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する特定の樹脂と、少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物とを組み合わせることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明の第一の態様は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A)と、少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)と、光酸発生剤(C)とを含有するマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物であって、上記樹脂(A)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位における少なくとも1個の水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基含有基で置換された構成単位(a2)とを有する樹脂(A1)を含むポジ型感光性樹脂組成物である。
本発明の第二の態様は、上記ポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を形成するポジ型感光性樹脂組成物層形成工程と、上記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、露光された上記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱する加熱工程と、を含むマイクロレンズパターンの製造方法である。
本発明の第三の態様は、レンズ材料層上に、上記ポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を積層するポジ型感光性樹脂組成物層積層工程と、上記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、露光された上記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、上記レンズ材料層及び上記マスク層をドライエッチングして、上記レンズ材料層に上記マイクロレンズパターンの形状を転写する形状転写工程と、を含むマイクロレンズの製造方法である。
本発明によれば、優れた解像性及び広いフローマージンのいずれをも備えたマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物並びにそれを用いたマイクロレンズパターンの製造方法及びマイクロレンズの製造方法を提供することができる。
<マイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物>
本発明に係るマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A)と、少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)と、光酸発生剤(C)とを含有し、上記樹脂(A)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位における少なくとも1個の水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基含有基で置換された構成単位(a2)とを有する樹脂(A1)を含む。このポジ型感光性樹脂組成物は、エッチング法によるマイクロレンズの製造において、マイクロレンズパターンを有するマスク層の形成に好適に用いられる。以下、上記ポジ型感光性樹脂組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
[酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A)]
酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位における少なくとも1個の水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基含有基で置換された構成単位(a2)とを有する樹脂(A1)を含む。樹脂(A)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
樹脂(A)が、構成単位(a1)と構成単位(a2)とを有する樹脂(A1)を含むことにより、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性が優れたものとなりやすく、また、広いフローマージンが確保されやすい。
構成単位(a1)としては、例えば、下記一般式(a1−1)で表される構成単位が例示できる。また、構成単位(a2)としては、例えば、下記一般式(a2−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 0006811004
(式中、Ra1及びRa3は独立に水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されたアルキル基を示し、Ra2及びRa5は独立にアルキル基を示し、Ra4は酸解離性溶解抑制基を示し、p及びrは独立に1〜5の整数を示し、q、s、及びtは独立に0〜4の整数を示し、但し、p+q及びr+s+tは独立に1〜5の整数である。)
一般式(a1−1)中、Ra1及びRa3は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されたアルキル基を表す。Ra1及びRa3のアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であり、直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。ハロゲン原子で置換されたアルキル基は、上述した炭素数1〜5のアルキル基の一部又は全部の水素原子がハロゲン原子で置換されたものである。本発明においては水素原子が全部ハロゲン化されていることが好ましい。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、ハロゲン原子で置換された直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、特に、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等のフッ素化アルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基(−CF)が最も好ましい。Ra1及びRa3としては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
a2及びRa5の炭素数1〜5のアルキル基としては、Ra1及びRa3のアルキル基と同様のものが挙げられる。q、s、及びtは独立に0〜4の整数である。これらのうち、q、s、及びtは0又は1であることが好ましく、特に工業上0であることが好ましい。Ra2の置換位置は、qが1である場合には、o−位、m−位、p−位のいずれでもよく、更に、qが2〜4の整数である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。Ra5の置換位置は、tが1である場合には、o−位、m−位、p−位のいずれでもよく、更に、tが1〜4の整数である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。p及びrは1〜5の整数を示し、好ましくは1〜3の整数であり、好ましくは1である。水酸基の置換位置は、p及びsが1である場合、o−位、m−位、p−位のいずれでもよいが、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。更に、pが2〜5の整数である場合及びsが2〜4の整数である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。
上記Ra4で表される酸解離性溶解抑制基としては、下記式(a2−1−1)で表される基、下記式(a2−1−2)で表される基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、ビニルオキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラフラニル基、又はトリアルキルシリル基が挙げられる。
Figure 0006811004
上記式(a2−1−1)及び(a2−1−2)中、Ra6及びRa7は独立に水素原子又はアルキル基を示し、Ra8及びRa10は独立にアルキル基又はシクロアルキル基を示し、Ra9は単結合又はアルキレン基を示し、但し、Ra6、Ra7、及びRa8の少なくとも2種は互いに結合して環を形成してもよい。
a6又はRa7で表されるアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。Ra8で表されるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、Ra8で表されるシクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。Ra9で表されるアルキレン基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキレン基が挙げられる。Ra10で表されるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、Ra10で表されるシクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基が挙げられる。
上記直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。また、上記シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。上記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、及びエチルメチレン基が挙げられる。
ここで、上記式(a2−1−1)で表される酸解離性溶解抑制基として、具体的には、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、イソブトキシエチル基、tert−ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基等が挙げられる。また、上記式(a2−1−2)で表される酸解離性溶解抑制基として、具体的には、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。また、上記トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリ−tert−ブチルジメチルシリル基等の各アルキル基の炭素数1〜6のものが挙げられる。
構成単位(a1)及び(a2)の各々は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1)中、構成単位(a1)及び(a2)の合計の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、10〜100モル%であることが好ましく、30〜100モル%がより好ましく、50〜100モル%が更に好ましく、70〜100モル%が特に好ましく、100モル%が最も好ましい。上記割合が上記範囲内であると、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性がより優れたものとなりやすく、また、より広いフローマージンが確保されやすく、加えて、他の構成単位とのバランスが良好である。
構成単位(a1)及び(a2)の合計中、構成単位(a2)の割合(即ち、ヒドロキシスチレンの保護率)は、10〜60モル%であることが好ましく、20〜40モル%がより好ましい。ヒドロキシスチレンの保護率が上記範囲内であると、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性が更により優れたものとなりやすく、また、更により広いフローマージンが確保されやすい。
(他の構成単位)
樹脂(A1)は、構成単位(a1)及び(a2)に加えて、更に、構成単位(a1)及び(a2)以外の他の構成単位を含有してもよい。他の構成単位として具体的には、例えば、下記構成単位(a3)及び(a4)等が挙げられる。
・構成単位(a3)
構成単位(a3)は、スチレンから誘導される構成単位である。構成単位(a3)を含有させ、その含有量を調整することにより、樹脂(A1)のアルカリ現像液に対する溶解性を調整できる場合があり、それによって、厚膜レジスト膜のアルカリ溶解性をコントロールできる場合があり、形状を更に向上させることができる場合がある。
ここで、「スチレン」とは、狭義のスチレン、及び狭義のスチレンのα位の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。スチレンは、フェニル基の水素原子が低級アルキル基(例えば、炭素数1〜5のアルキル基)等の置換基で置換されていてもよい。
構成単位(a3)としては、下記一般式(a3−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 0006811004
式中、Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されたアルキル基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、rは0〜3の整数を表す。
Rとしては、上記Ra1及びRa3について例示したのと同様の基が挙げられる。Rとしては、上記Ra2及びRa5について例示したのと同様の基が挙げられる。
rは、0〜3の整数である。これらのうち、rは0又は1であることが好ましく、特に工業上0であることが好ましい。
の置換位置は、rが1である場合にはo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、rが2又は3の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A1)中、構成単位(a3)の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、0〜90モル%であることが好ましく、0〜70モル%がより好ましく、0〜50モル%が更に好ましく、0〜30モル%が特に好ましく、0モル%が最も好ましい。上記割合が上記範囲内であると、他の構成単位とのバランスが良好になりやすい。上記割合の下限は、樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、1モル%が好ましく、3モル%がより好ましく、5モル%が特に好ましい。上記下限が上記の値であると、構成単位(a3)を有することによる効果が高くなりやすい。
・構成単位(a4)
構成単位(a4)は、アルコール性水酸基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。かかる構成単位(a4)を有することにより、本発明の効果が更に向上する場合がある。
好ましい構成単位(a4)としては、アルコール性水酸基を有する鎖状又は環状アルキル基を有する構成単位が例示できる。即ち、構成単位(a4)は、アルコール性水酸基含有鎖状又は環状アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが好ましい。
構成単位(a4)が、アルコール性水酸基含有環状アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、単に「水酸基含有環状アルキル基を有する構成単位」ということがある。)を有すると、解像性が高まる場合があるとともにエッチング耐性も向上する場合がある。
また、構成単位(a4)が、アルコール性水酸基含有鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、単に「水酸基含有鎖状アルキル基を有する構成単位」ということがある。)を有すると、(A)成分全体の親水性が高まる場合があり、現像液との親和性が高まる場合があることにより、解像性が向上する場合がある。
・・水酸基含有環状アルキル基を有する構成単位
水酸基含有環状アルキル基を有する構成単位としては、例えば、アクリル酸エステルのエステル基[−C(O)O−]に水酸基含有環状アルキル基が結合している構成単位等が挙げられる。ここで、「水酸基含有環状アルキル基」とは、環状アルキル基に水酸基が結合している基である。
水酸基は、例えば、1〜3個結合していることが好ましく、1個結合していることが更に好ましい。
環状アルキル基は、単環でも多環でもよいが、多環式基であることが好ましい。また、環状アルキル基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
環状アルキル基の具体例としては以下のものが挙げられる。
単環式の環状アルキル基としては、シクロアルカンから1個〜4個の水素原子を除いた基等が挙げられる。より具体的には、単環式の環状アルキル基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルカンから1個〜4個の水素原子を除いた基が挙げられ、これらのなかでもシクロヘキシル基が好ましい。
多環式の環状アルキル基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個〜4個の水素原子を除いた基等が挙げられる。より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個〜4個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
なお、この様な環状アルキル基は、例えば、ArFエキシマレーザープロセス用のホトレジスト組成物用樹脂において、酸解離性溶解抑制基を構成するものとして多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの中でもシクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、及びテトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基及び多環式基の中でも、シクロヘキシル基及びアダマンチル基が好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
水酸基含有環状アルキル基を有する構成単位の具体例として、例えば、下記一般式(a4−1)で表される構成単位(a4−1)が好ましい。
Figure 0006811004
(a4−1)
式中、Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されたアルキル基を表し、sは1〜3の整数である。
Rとしては、上記Ra1及びRa3について例示したのと同様の基が挙げられる。
sは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
水酸基の結合位置は、特に限定しないが、アダマンチル基の3位の位置に水酸基が結合していることが好ましい。
・・水酸基含有鎖状アルキル基を有する構成単位
水酸基含有鎖状アルキル基を有する構成単位としては、例えば、アクリル酸エステルのエステル基[−C(O)O−]に鎖状のヒドロキシアルキル基が結合している構成単位等が挙げられる。ここで、「鎖状のヒドロキシアルキル基」とは、鎖状(直鎖又は分岐状)のアルキル基における水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されてなる基を意味する。
水酸基含有鎖状アルキル基を有する構成単位としては、特に、下記一般式(a4−2)で表される構成単位(a4−2)が好ましい。
Figure 0006811004
(a4−2)
式中、Rは上記と同様であり、Rは鎖状のヒドロキシアルキル基である。]
Rとしては、上記Ra1及びRa3について例示したのと同様の基が挙げられる。
のヒドロキシアルキル基は、好ましくは炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基であり、より好ましくは炭素数2〜8のヒドロキシアルキル基であり、更に好ましくは炭素数2〜4の直鎖状のヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基における水酸基の数及び結合位置は特に限定するものではないが、通常、水酸基の数は1つであり、また、結合位置はアルキル基の末端が好ましい。
構成単位(a4)は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1)中、構成単位(a4)の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、0〜90モル%であることが好ましく、0〜70モル%がより好ましく、0〜50モル%が更に好ましく、0〜30モル%が特に好ましく、0モル%が最も好ましい。上記割合が上記範囲内であると、他の構成単位とのバランスが良好になりやすい。上記割合の下限は、樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、1モル%が好ましく、3モル%がより好ましく、5モル%が特に好ましい。上記下限が上記の値であると、構成単位(a4)を有することによる効果が高くなりやすい。
樹脂(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a4)以外の他の構成単位(a5)を含んでいてもよい。
構成単位(a5)は、上述の構成単位(a1)〜(a4)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFポジエキシマレーザー用(好ましくはKrFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
樹脂(A1)は、1種単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中、樹脂(A1)の割合は、本発明の効果のためには、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
樹脂(A1)は、下記式(a1−1)で表される構成単位と、下記式(a2−1)で表される構成単位とを有する樹脂(A2)を含むことが好ましい。
Figure 0006811004
(式中、Ra1〜Ra5及びp〜tは、上記の通りである。)
樹脂(A1)が樹脂(A2)を含むことにより、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性がより優れたものとなりやすく、また、より広いフローマージンが確保されやすい。
樹脂(A2)は、1種単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂(A1)中、樹脂(A2)の割合は、本発明の効果のためには、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
樹脂(A2)は、上記式(a1−1)で表される構成単位と、下記式(a2−2)で表される構成単位及び/又は下記式(a2−3)で表される構成単位とを有する樹脂(A3)を含むことが好ましい。
Figure 0006811004
(式中、Ra3、Ra5〜Ra10、r、s、及びtは上記の通りである。)
樹脂(A2)が樹脂(A3)を含むことにより、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性が更により優れたものとなりやすく、また、更により広いフローマージンが確保されやすい。
樹脂(A3)は、1種単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂(A2)中、樹脂(A3)の割合は、本発明の効果のためには、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
樹脂(A3)は、上記式(a1−1)で表される構成単位と、上記式(a2−2)で表される構成単位とを有する樹脂(A4)及び/又は上記式(a1−1)で表される構成単位と、上記式(a2−3)で表される構成単位とを有する樹脂(A5)を含むことが好ましい。
樹脂(A3)が樹脂(A4)及び/又は樹脂(A5)を含むことにより、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性が一層更により優れたものとなりやすく、また、一層更により広いフローマージンが確保されやすい。
特に、樹脂(A3)が樹脂(A4)及び樹脂(A5)の両方を含む場合には、高い解像性と広いフローマージンとの両立を図りやすく好ましい。
樹脂(A4)及び樹脂(A5)の各々は、1種単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂(A3)中、樹脂(A4)及び(A5)の合計の割合は、本発明の効果のためには、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
樹脂(A4)の量は、樹脂(A4)と樹脂(A5)との合計に対し、60〜90モル%であることが好ましく、70〜80モル%であることがより好ましい。樹脂(A4)の量が上記範囲内であると、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性が特に優れたものとなりやすく、また、特に広いフローマージンが確保されやすい。
樹脂(A1)の質量平均分子量(Mw)は、5000〜30000であることが好ましい。樹脂(A2)及び(A3)の質量平均分子量についても同様である。上記質量平均分子量が上記範囲内であると、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性、耐熱性、及びフロー性が良好となりやすい。なお、本明細書において、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算のものをいう。
樹脂(A4)の質量平均分子量は、15000〜30000であることが好ましく、17000〜25000であることがより好ましい。上記質量平均分子量が15000以上であると、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、耐熱性が向上しやすく、また、フロー性が高くなり過ぎないため、広いフローマージンが確保されやすい。一方、上記質量平均分子量が30000以下であると、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性が優れたものとなりやすい。
樹脂(A5)の質量平均分子量は、5000〜15000であることが好ましく、7000〜10000であることがより好ましい。上記質量平均分子量が上記範囲内であると、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、耐熱性及びフロー性が良好となりやすい。
本発明においては、(A)成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂(A1)に加えて、PHS系樹脂、アクリル系樹脂等の、一般に化学増幅型ポジ型レジスト用樹脂として用いられている樹脂を含有してもよい。
樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)は、5000〜30000であることが好ましい。上記質量平均分子量が上記範囲内であると、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性、耐熱性、及びフロー性が良好となりやすい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
[少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)]
少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)は、ビニルオキシ基(CH=CH−O−)の酸素原子が炭素原子に結合したビニルエーテル基を2以上有する化合物であれば、特に限定されない。かかる化合物を含有することにより、得られるポジ型感光性樹脂組成物は、解像性が優れたものとなりやすく、また、広いフローマージンが確保されやすい。(B)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)は、(A)成分に対して架橋剤として作用することによって上記効果を発揮すると推測される。即ち、少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)は、プレベーク時の加熱により(A)成分との架橋反応が進行し、基板全面にアルカリ不溶化レジスト層を形成する。その後、露光時に(B)成分から発生した酸の作用により該架橋が分解され、露光部はアルカリ可溶性へ変化し、未露光部はアルカリ不溶のまま変化しないため、溶解コントラストが向上すると推測される。また、ポストベーク時に樹脂(A)との架橋が更に進行することにより、フローマージンが向上すると推測される。
少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)として、具体的には、特開平6−148889号公報、特開平6−230574号公報等に多数列挙されており、これらの中から任意に選択して使用することができる。特に、熱架橋性と酸による分解性に起因するレジストプロファイル形状、及び露光部と未露光部とのコントラストの特性を考慮すると、下記一般式(f−2)で表されるアルコールの水酸基の一部又は全部を、その水素原子をビニル基で置換することにより、エーテル化した化合物が好ましい。
Rb−(OH) (f−2)
式中、Rbは、直鎖状、分岐状、又は環状のアルカンからb個の水素原子を除いた基であり、置換基を有していてもよい。また、アルカン中には酸素結合(エーテル結合)が存在していてもよい。bは2、3、又は4を示す。
具体的には、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)としては、下記一般式(f−3)で示すものも好ましい。
CH=CH−O−R27−O−CH=CH (f−3)
式(f−3)において、R27は、炭素数1〜10の分岐状若しくは直鎖状のアルキレン基又は下記一般式(f−4)で表される基である。R27は、置換基を有していてもよい。また、R27は、主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。
Figure 0006811004
一般式(f−4)中、R28は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の分岐状又は直鎖状のアルキレン基であり、当該アルキレン基は、主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。cは、それぞれ独立に、0又は1である。
27としては、−C−、−COC−、−COCOC−、一般式(f−4)で表される基等が好ましく、中でも一般式(f−4)で表される基が好ましく、特に、R28が炭素数1のアルキレン基(即ち、メチレン基)であり、cが1である一般式(f−4)で表される基が好ましい。
一般式(f−3)で表される化合物としては、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル[以下、CHDVEと略記する]が好ましい。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物中、(B)成分の含有量は、得られるポジ型感光性樹脂組成物の解像性及びフローマージンが向上しやすいことから、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましい。
[光酸発生剤(C)]
本発明に用いられる光酸発生剤(C)は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物であれば、特に限定されない。(C)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(C)成分としては、以下に説明する、第一〜第五の態様の光酸発生剤が好ましい。以下、(C)成分のうち好適なものについて、第一から第五の態様として説明する。
(C)成分における第一の態様としては、下記式(c1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006811004
上記式(c1)中、X1cは、原子価gの硫黄原子又はヨウ素原子を表し、gは1又は2である。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。R1cは、X1cに結合している有機基であり、炭素数6〜30のアリール基、炭素数4〜30の複素環基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、又は炭素数2〜30のアルキニル基を表し、R1cは、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、アシロキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリール、複素環、アリールオキシ、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキレンオキシ、アミノ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。R1cの個数はg+h(g−1)+1であり、R1cはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。また、2個以上のR1cが互いに直接、又は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NR2c−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、若しくはフェニレン基を介して結合し、X1cを含む環構造を形成してもよい。R2cは炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。
2cは下記式(c2)で表される構造である。
Figure 0006811004
上記式(c2)中、X4cは炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数8〜20の複素環化合物の2価の基を表し、X4cは炭素数1〜8のアルキル、炭素数1〜8のアルコキシ、炭素数6〜10のアリール、ヒドロキシ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。X5cは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NR2c−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。h+1個のX4c及びh個のX5cはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R2cは前述の定義と同じである。
3c−はオニウムの対イオンであり、下記式(c17)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオン又は下記式(c18)で表されるボレートアニオンが挙げられる。
Figure 0006811004
上記式(c17)中、R3cは水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。jはその個数を示し、1〜5の整数である。j個のR3cはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 0006811004
上記式(c18)中、R4c〜R7cは、それぞれ独立にフッ素原子又はフェニル基を表し、該フェニル基の水素原子の一部又は全部は、フッ素原子及びトリフルオロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
上記式(c1)で表される化合物中のオニウムイオンとしては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、オクタデシルメチルフェナシルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、又は4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、等が挙げられる。
上記式(c1)で表される化合物中のオニウムイオンのうち、好ましいオニウムイオンとしては下記式(c19)で表されるスルホニウムイオンが挙げられる。
Figure 0006811004
上記式(c19)中、R8cはそれぞれ独立に水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアリール、アリールカルボニル、からなる群より選ばれる基を表す。X2cは、上記式(c1)中のX2cと同じ意味を表す。
上記式(c19)で表されるスルホニウムイオンの具体例としては、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウムが挙げられる。
上記式(c17)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンにおいて、R3cはフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、好ましい炭素数は1〜8、更に好ましい炭素数は1〜4である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル等の直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐アルキル基;更にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基等が挙げられ、アルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された割合は、通常、80モル%以上、好ましくは90モル%以上、更に好ましくは100モル%である。フッ素原子の置換率が80モル%未満である場合には、上記式(c1)で表されるオニウムフッ素化アルキルフルオロリン酸塩の酸強度が低下する。
特に好ましいR3cは、炭素数1〜4、かつフッ素原子の置換率が100モル%の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基であり、具体例としては、CF、CFCF、(CFCF、CFCFCF、CFCFCFCF、(CFCFCF、CFCF(CF)CF、(CFCが挙げられる。R3cの個数jは、1〜5の整数であり、好ましくは2〜4、特に好ましくは2又は3である。
好ましいフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンの具体例としては、[(CFCFPF、[(CFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[(CFCFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCFCFPF、[((CFCFCFPF、[(CFCFCFCFPF、又は[(CFCFCFPFが挙げられ、これらのうち、[(CFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[((CFCFCFPF、又は[((CFCFCFPFが特に好ましい。
上記式(c18)で表されるボレートアニオンの好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C)、テトラキス[(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート([B(CCF)、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(CBF)、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C)BF)、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート([B(C)等が挙げられる。これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C)が特に好ましい。
(C)成分における第二の態様としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、並びにトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の下記式(c3)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
Figure 0006811004
上記式(c3)中、R9c、R10c、R11cは、それぞれ独立にハロゲン化アルキル基を表す。
また、(C)成分における第三の態様としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、並びにオキシムスルホネート基を含有する下記式(c4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006811004
上記式(c4)中、R12cは、1価、2価、又は3価の有機基を表し、R13cは、置換若しくは未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、又は芳香族性化合物基を表し、nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
上記式(c4)中、芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基や、フリル基、チエニル基等のヘテロアリール基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を1個以上有していてもよい。また、R13cは、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。特に、R12cが芳香族性化合物基であり、R13cが炭素数1〜4のアルキル基である化合物が好ましい。
上記式(c4)で表される酸発生剤としては、n=1のとき、R12cがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基のいずれかであって、R13cがメチル基の化合物、具体的にはα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリル、〔2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロキシチオフェン−3−イリデン〕(o−トリル)アセトニトリル等が挙げられる。n=2のとき、上記式(c4)で表される光酸発生剤としては、具体的には下記式で表される光酸発生剤が挙げられる。
Figure 0006811004
また、(C)成分における第四の態様としては、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩が挙げられる。この「ナフタレン環を有する」とは、ナフタレンに由来する構造を有することを意味し、少なくとも2つの環の構造と、それらの芳香族性が維持されていることを意味する。このナフタレン環は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。ナフタレン環に由来する構造は、1価基(遊離原子価が1つ)であっても、2価基(遊離原子価が2つ)以上であってもよいが、1価基であることが望ましい(ただし、このとき、上記置換基と結合する部分を除いて遊離原子価を数えるものとする)。ナフタレン環の数は1〜3が好ましい。
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のカチオン部としては、下記式(c5)で表される構造が好ましい。
Figure 0006811004
上記式(c5)中、R14c、R15c、R16cのうち少なくとも1つは下記式(c6)で表される基を表し、残りは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、水酸基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表す。あるいは、R14c、R15c、R16cのうちの1つが下記式(c6)で表される基であり、残りの2つはそれぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。
Figure 0006811004
上記式(c6)中、R17c、R18cは、それぞれ独立に水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、R19cは、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。l及びmは、それぞれ独立に0〜2の整数を表し、l+mは3以下である。ただし、R17cが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。また、R18cが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
上記R14c、R15c、R16cのうち上記式(c6)で表される基の数は、化合物の安定性の点から好ましくは1つであり、残りは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。この場合、上記2つのアルキレン基は、硫黄原子を含めて3〜9員環を構成する。環を構成する原子(硫黄原子を含む)の数は、好ましくは5〜6である。
また、上記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、酸素原子(この場合、アルキレン基を構成する炭素原子とともにカルボニル基を形成する)、水酸基等が挙げられる。
また、フェニル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
これらのカチオン部として好適なものとしては、下記式(c7)、(c8)で表されるもの等を挙げることができ、特に下記式(c8)で表される構造が好ましい。
Figure 0006811004
このようなカチオン部としては、ヨードニウム塩であってもスルホニウム塩であってもよいが、酸発生効率等の点からスルホニウム塩が望ましい。
従って、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のアニオン部として好適なものとしては、スルホニウム塩を形成可能なアニオンが望ましい。
このような酸発生剤のアニオン部としては、水素原子の一部又は全部がフッ素化されたフルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンである。
フルオロアルキルスルホン酸イオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、発生する酸の嵩高さとその拡散距離から、炭素数1〜10であることが好ましい。特に、分岐状や環状のものは拡散距離が短いため好ましい。また、安価に合成可能なことから、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等を好ましいものとして挙げることができる。
アリールスルホン酸イオンにおけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。特に、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。好ましいものの具体例として、フェニル基、トルエンスルホニル基、エチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等を挙げることができる。
上記フルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンにおいて、水素原子の一部又は全部がフッ素化されている場合のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。このようなものとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート等が挙げられる。
これらの中でも、好ましいアニオン部として、下記式(c9)で表されるものが挙げられる。
20cSO (c9)
上記式(c9)において、R20cは、下記式(c10)、(c11)で表される基や、下記式(c12)で表される基である。
Figure 0006811004
上記式(c10)中、xは1〜4の整数を表す。また、上記式(c11)中、R21cは、水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表し、yは1〜3の整数を表す。これらの中でも、安全性の観点からトリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートが好ましい。
また、アニオン部としては、下記式(c13)、(c14)で表される窒素を含有するものを用いることもできる。
Figure 0006811004
上記式(c13)、(c14)中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは3〜5、最も好ましくは炭素数3である。また、Y、Zは、それぞれ独立に少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
のアルキレン基の炭素数、又はY、Zのアルキル基の炭素数が小さいほど有機溶剤への溶解性も良好であるため好ましい。
また、Xのアルキレン基又はY、Zのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、即ち、フッ素化率は、好ましくは70〜100%、より好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩として好ましいものとしては、下記式(c15)、(c16)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006811004
また、(C)成分における第五の態様としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシラート、ニトロベンジルスルホナート、ニトロベンジルカルボナート、ジニトロベンジルカルボナート等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールトリメシラート、ピロガロールトリトシラート、ベンジルトシラート、ベンジルスルホナート、N−メチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−トリクロロメチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−フェニルスルホニルオキシマレイミド、N−メチルスルホニルオキシフタルイミド等のスルホン酸エステル類;N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシナフタルイミド等のトリフルオロメタンスルホン酸エステル類;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等のオニウム塩類;ベンゾイントシラート、α−メチルベンゾイントシラート等のベンゾイントシレート類;その他のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、フェニルジアゾニウム塩、ベンジルカルボナート等が挙げられる。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物中、(C)成分の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
[第3級脂肪族アミンを含有する含窒素有機化合物(D)]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、更に(D)成分を含有してもよい。これにより、レジストパターン形状が良好となりやすく、例えば、側壁の垂直性が高く、矩形性に優れたレジストパターンが得られやすい。かかる効果が得られる理由としては、定かではないが、第3級脂肪族アミンはレジスト膜中で均一に分散し、(C)成分から発生した酸の拡散を効果的に抑制できるためではないかと推測される。また、(D)成分を含有することにより、ポジ型感光性樹脂組成物の引き置き経時安定性等も向上しやすい。(D)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
第3級脂肪族アミンとしては、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよく、例えば、アンモニアNHの3つの水素原子の全てが炭素数12以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基で置換されたアミン(トリアルキルアミン又はトリ(アルキルアルコール)アミン)が挙げられる。
トリアルキルアミンの具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等が挙げられる。
トリ(アルキルアルコール)アミンの具体例としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等が挙げられる。
第3級脂肪族アミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)成分中、第3級脂肪族アミンの割合は、本発明の効果のためには、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
本発明においては、(D)成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、第3級脂肪族アミン以外の含窒素有機化合物を含有してもよい。
第3級脂肪族アミン以外の含窒素有機化合物としては、特に制限はなく、公知のものから任意に用いればよい。具体的には、環式アミン、第3級脂肪族アミン以外の脂肪族アミン等が挙げられる。
ここで、本発明において、「脂肪族アミン」とは、アンモニアNHの3つの水素原子のうち、少なくとも1つが1価の脂肪族基で置換された構造を有し、かつ分子内に環構造を有しない鎖状のアミンを意味する。該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
「環式アミン」は、分子内に環構造を有するアミンを意味し、環構造は、脂肪族であっても芳香族であってもよいものとする。
環式アミンとしては、例えば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
第3級脂肪族アミン以外の脂肪族アミンとしては、例えば、アンモニアNHの水素原子の1つを、炭素数12以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基で置換したアミン(モノアルキルアミン又はモノ(アルキルアルコール)アミン);アンモニアNHの水素原子の2つを、炭素数12以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基で置換したアミン(ジアルキルアミン又はジ(アルキルアルコール)アミン)等が挙げられる。モノアルキルアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等が挙げられる。
ジアルキルアミンの具体例としては、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
ジ(アルキルアルコール)アミンの具体例としては、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物中、(D)成分の含有量は、(D)成分を添加することによる効果が得られやすいことから、(A)成分100質量部に対して、0.005〜5.0質量部であることが好ましく、0.01〜0.3質量部であることがより好ましく、0.015〜0.2質量部が更により好ましい。
[有機溶剤(S)]
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は有機溶剤(S)を含有してもよい。上記ポジ型感光性樹脂組成物が有機溶剤(S)を含有することで、上記ポジ型感光性樹脂組成物の塗布性や、上記ポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成されるポジ型感光性樹脂組成物層の膜厚の調整が容易となりやすい。(S)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(S)成分の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、及びジプロピレングリコールモノアセテート、並びにこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル、又はモノフェニルエーテル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサン等の環式エーテル類;蟻酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;等を挙げることができる。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物中、有機溶剤(S)の含有量は、(A)成分100質量部に対して、50〜3000質量部であることが好ましく、100〜2000質量部であることがより好ましい。上記含有量が上記範囲内であると、上記ポジ型感光性樹脂組成物の塗布性が向上しやすく、上記ポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成されるポジ型感光性樹脂組成物層の膜厚の調整が容易となりやすい。
[その他の成分]
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、形成される被膜の可塑性を向上させるため、更にポリビニル樹脂を含有していてもよい。ポリビニル樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニル安息香酸、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルフェノール、及びこれらの共重合体等が挙げられる。ポリビニル樹脂は、ガラス転移点の低さの点から、好ましくはポリビニルメチルエーテルである。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、支持体との接着性を向上させるため、更に接着助剤を含有していてもよい。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させるため、更に界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤の具体例としては、BM−1000、BM−1100(いずれもBMケミー社製)、メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183(いずれも大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、フロラードFC−170C、フロラードFC−430、フロラードFC−431(いずれも住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、サーフロンS−113、サーフロンS−131、サーフロンS−141、サーフロンS−145(いずれも旭硝子社製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428(いずれも東レシリコーン社製)等の市販のフッ素系界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、現像液に対する溶解性を微調整するために、酸又は酸無水物を更に含有していてもよい。
酸及び酸無水物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、安息香酸、桂皮酸等のモノカルボン酸類;乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸等のヒドロキシモノカルボン酸類;シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸類;無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリタート、グリセリントリス無水トリメリタート等の酸無水物;等を挙げることができる。
<マイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明に係るマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物は、上記各成分を通常の方法で混合及び撹拌することで調製することができ、必要に応じ、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散機を用いて分散及び混合を行ってもよい。また、混合した後で、更にメッシュ、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
<マイクロレンズパターンの製造方法>
本発明に係るマイクロレンズパターンの製造方法は、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を形成するポジ型感光性樹脂組成物層形成工程と、上記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、露光された上記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱する加熱工程と、を含むものである。
[ポジ型感光性樹脂組成物層形成工程]
ポジ型感光性樹脂組成物層形成工程では、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を形成する。上記ポジ型感光性樹脂組成物層は、好ましくは基材上に形成される。基材としては、例えば、後述するレンズ材料層が挙げられる。
上記ポジ型感光性樹脂組成物層を形成する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。ポジ型感光性樹脂組成物が固体や高粘度のゲルである場合、例えば、所定量のポジ型感光性樹脂組成物を基材上に供給した後、ポジ型感光性樹脂組成物を、適宜加熱しながら、プレスする方法で、ポジ型感光性樹脂組成物層を形成することができる。ポジ型感光性樹脂組成物が液体である場合(例えば、ポジ型感光性樹脂組成物が有機溶剤(S)を含有する場合)、例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて、ポジ型感光性樹脂組成物を基材上に、所望の膜厚となるよう塗布して塗膜を形成し、適宜、加熱処理(プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理)して塗膜中の有機溶剤を除去することによって、ポジ型感光性樹脂組成物層を形成することができる。
上記加熱処理の条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚等によって異なるが、加熱温度は、例えば、60〜150℃(好ましくは70〜140℃)で、加熱時間は、例えば、0.5〜60分間(好ましくは1〜50分間)程度である。
ポジ型感光性樹脂組成物層の膜厚は、好ましくは100nm〜4.0μm、より好ましくは400nm〜2.0μmの範囲である。
[露光工程]
露光工程では、上記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する。選択的な露光は、例えば、所望のマスクパターンを介して行うことができる。露光に用いる波長は、特に限定されない。露光は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、特に、KrFエキシマレーザーに対して有効である。
露光後は、適宜、PEB処理(露光後加熱処理)を施す。PEB処理の条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚等によって異なるが、例えば、加熱温度は、60〜150℃(好ましくは70〜140℃)で、加熱時間は、例えば、0.5〜60分間(好ましくは1〜50分間)程度である。
[現像工程]
現像工程では、露光された上記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する。これにより、不要な部分を溶解及び除去する。
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナン等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。現像液としては、0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が好ましい。
現像時間は、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物の組成やポジ型感光性樹脂組成物層の膜厚等によっても異なるが、通常、1〜30分間である。現像方法は、液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー現像法等のいずれでもよい。
現像後は、適宜、流水洗浄を30〜90秒間行い、エアーガンやオーブン等を用いて乾燥させる。
[加熱工程]
加熱工程では、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱する。これにより、上記ポジ型感光性樹脂組成物層が熱変形することにより、マイクロレンズパターン、好ましくは凸面状のマイクロレンズパターンが形成される。
加熱の条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚等によって異なるが、例えば、加熱温度は、130〜170℃(好ましくは140〜160℃)で、加熱時間は、例えば、1〜30分間(好ましくは3〜10分間)程度である。
<マイクロレンズの製造方法>
本発明に係るマイクロレンズパターンの製造方法は、レンズ材料層上に、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を積層するポジ型感光性樹脂組成物層積層工程と、上記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、露光された上記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、上記レンズ材料層及び上記マスク層をドライエッチングして、上記レンズ材料層に上記マイクロレンズパターンの形状を転写する形状転写工程と、を含むものである。
[ポジ型感光性樹脂組成物層積層工程]
ポジ型感光性樹脂組成物層積層工程では、レンズ材料層上に、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を積層する。レンズ材料層としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、画像素子が形成されたシリコンウェーハ等の基板上に透明平坦化膜のみ又は反射防止膜及び透明平坦化膜を設け、この透明平坦化膜上に設けたレンズ材料層が挙げられる。
ポジ型感光性樹脂組成物層積層工程は、基材としてレンズ材料層を用いる以外は、上述のマイクロレンズパターンの製造方法におけるポジ型感光性樹脂組成物層形成工程と同様である。
[露光工程]
露光工程では、上記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する。露光工程は、上述のマイクロレンズパターンの製造方法における露光工程と同様である。
[現像工程]
現像工程では、露光された上記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する。現像工程は、上述のマイクロレンズパターンの製造方法における現像工程と同様である。
[マスク層形成工程]
マスク層形成工程では、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成する。マスク層形成工程において、現像後の上記ポジ型感光性樹脂組成物層の加熱は、上述のマイクロレンズパターンの製造方法における加熱工程と同様に行うことができる。マスク層形成工程において形成されるマスク層が有するマイクロレンズパターンは、上述のマイクロレンズパターンの製造方法により得られるマイクロレンズパターンに対応する。
[形状転写工程]
形状転写工程では、上記レンズ材料層及び上記マスク層をドライエッチングして、上記レンズ材料層に上記マイクロレンズパターンの形状を転写する。これにより、上記レンズ材料層からマイクロレンズを得ることができる。
ドライエッチングとしては、特に限定されず、例えば、プラズマ(酸素、アルゴン、CF等)、コロナ放電等によるドライエッチングが挙げられる
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜7及び比較例1〜3]
表1に示す(A)〜(D)成分を有機溶剤(S)に均一に溶解し、ポジ型感光性樹脂組成物を調製した。表1中の括弧内の数値は各成分の配合量(単位:質量部)を表す。
Figure 0006811004
下記A−1〜A−4を表す下記の各式において、各繰り返し単位に付された添え字(x、y、及びz)は、当該樹脂に含まれる全繰り返し単位に対する各繰り返し単位の比率(モル%)である。
A−1:下記式で表される樹脂(質量平均分子量20000、x=70、y=30)
A−1a:下記式で表される樹脂(質量平均分子量7000、x=70、y=30)
Figure 0006811004
A−2:下記式で表される樹脂(質量平均分子量8000、x=75、y=25)
Figure 0006811004
A−3:下記式で表される樹脂(質量平均分子量20000、x=70、y=30)
Figure 0006811004
A−4:下記式で表される樹脂(比較例、質量平均分子量10000、x=65、y=25、z=10)
Figure 0006811004
B−1:下記式で表される化合物
Figure 0006811004
C−1:下記式で表される化合物
Figure 0006811004
C−2:下記式で表される化合物
Figure 0006811004
D−1:トリエチルアミン
D−2:トリエタノールアミン
S−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと乳酸エチルとの混合溶剤(質量比:6/4)
<評価>
[レジストパターン形状(限界解像力の評価)]
Si基板に反射防止膜及びアクリル系の透明平坦化膜を形成した基板上に、スピンナーを用いて、実施例又は比較例で調製したポジ型感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成した。上記塗膜について、ホットプレート上で100℃にて90秒プレベーク処理を行って上記塗膜を乾燥させることにより膜厚800nmのポジ型感光性樹脂組成物層を形成した。
次いで、KrF露光装置NSR−S203B(Nikon製、NA=0.68、S=0.75)を用いて、マスクを介して、上記ポジ型感光性樹脂組成物層にKrFエキシマレーザー(248nm)を選択的に照射した。
その後、上記ポジ型感光性樹脂組成物層について、110℃で90秒間PEB処理を行い、次いで、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間現像を行い、その後、純水を用いて30秒間リンスを行った。純粋を振り切り、乾燥を行って、レジストパターンを得た。
得られたレジストパターンの断面をSEMで観察した。マスク寸法を変化させることにより限界解像力を求め、以下の基準で限界解像力を評価した。結果を表2に示す。
◎(極めて良好):限界解像力が0.17μm以下
○(良好):限界解像力が0.17μm超0.18μm以下
△(不良):限界解像力が0.18μm超0.19μm以下
×(極めて不良):限界解像力が0.19μm超
[解像性の評価(ホワイトバンドの幅)]
上記と同様にして得たレジストパターンについて、上方からSEMで観察した。各レジストパターンの周囲に現れるホワイトバンドの幅を測定し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。ホワイトバンドはレジストパターンのトップ部分の寸法よりもボトム部分の寸法の方が大きいときに確認されるものである。ホワイトバンドの幅はトップ部分とボトム部分との寸法差であり、テーパ形状の度合いを示す。ホワイトバンドの幅が小さいほどパターンの垂直性が高く良好である。
◎(極めて良好):ホワイトバンドの幅が0.07μm未満
○(良好):ホワイトバンドの幅が0.07μm以上0.075μm未満
△(不良):ホワイトバンドの幅が0.075μm以上0.08μm未満
×(極めて不良):ホワイトバンドの幅が0.08μm以上
[フロー性の評価(フローマージン)]
上記と同様にして得たレジストパターンについて、130〜170℃の各温度で300秒間ポストベーク処理を行い、レジストパターンの断面をSEMで観察した。上記のポストベーク処理によりマイクロレンズパターンが形成される最低温度Tと、隣り合うマイクロレンズパターン同士の裾部分が接触する最低温度Tとを求めた。差T−Tをフローマージンとし、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
◎◎(極めて良好):フローマージンが10℃以上
◎(良好):フローマージンが7℃以上10℃未満
○(やや良好):フローマージンが4℃以上7℃未満
×(不良):フローマージンが4℃未満
Figure 0006811004
表2から分かるように、本発明の(A)成分及び(B)成分を含有する実施例1〜7の組成物は、優れた解像性及び広いフローマージンのいずれをも備えていた。これに対して、本発明の(A)成分及び/又は(B)成分を含有しない比較例1〜3の組成物は、フローマージンが狭かった。

Claims (8)

  1. 酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A)と、少なくとも2個のビニルオキシ基を有する化合物(B)と、光酸発生剤(C)とを含有する、凸面状のマイクロレンズパターン製造用ポジ型感光性樹脂組成物であって、
    前記樹脂(A)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位における少なくとも1個の水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基含有基で置換された構成単位(a2)とを有する樹脂(A1)を含み、
    前記樹脂(A1)の質量平均分子量が5000〜30000であり、
    前記凸面状のマイクロレンズパターンは、
    前記ポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を形成するポジ型感光性樹脂組成物層形成工程と、
    前記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、
    露光された前記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、
    現像後の前記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱変形させることにより凸面状のマイクロレンズパターンを形成する加熱工程と、を含むマイクロレンズパターンの製造方法により製造される、ポジ型感光性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂(A1)は、下記式(a1−1)で表される構成単位と、下記式(a2−1)で表される構成単位とを有する樹脂(A2)を含む請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 0006811004
    (式中、Ra1及びRa3は独立に水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されたアルキル基を示し、Ra2及びRa5は独立にアルキル基を示し、Ra4は酸解離性溶解抑制基を示し、p及びrは独立に1〜5の整数を示し、q、s、及びtは独立に0〜4の整数を示し、但し、p+q及びr+s+tは独立に1〜5の整数である。)
  3. 前記樹脂(A2)は、上記式(a1−1)で表される構成単位と、下記式(a2−2)で表される構成単位及び/又は下記式(a2−3)で表される構成単位とを有する樹脂(A3)を含む請求項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 0006811004
    (式中、Ra3、Ra5、r、s、及びtは前記の通りであり、Ra6及びRa7は独立に水素原子又はアルキル基を示し、Ra8及びRa10は独立にアルキル基又はシクロアルキル基を示し、Ra9は単結合又はアルキレン基を示し、但し、Ra6、Ra7、及びRa8の少なくとも2種は互いに結合して環を形成してもよい。)
  4. 前記樹脂(A3)は、上記式(a1−1)で表される構成単位と、上記式(a2−2)で表される構成単位とを有する樹脂(A4)及び/又は上記式(a1−1)で表される構成単位と、上記式(a2−3)で表される構成単位とを有する樹脂(A5)を含む請求項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  5. 前記樹脂(A4)の量が前記樹脂(A4)と前記樹脂(A5)との合計に対し60〜90モル%である請求項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  6. 更に、第3級脂肪族アミンを含有する含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1からのいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1からのいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を形成するポジ型感光性樹脂組成物層形成工程と、
    前記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、
    露光された前記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、
    現像後の前記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱変形させることにより凸面状のマイクロレンズパターンを形成する加熱工程と、を含むマイクロレンズパターンの製造方法。
  8. レンズ材料層上に、請求項1からのいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いてポジ型感光性樹脂組成物層を積層するポジ型感光性樹脂組成物層積層工程と、
    前記ポジ型感光性樹脂組成物層を選択的に露光する露光工程と、
    露光された前記ポジ型感光性樹脂組成物層を現像する現像工程と、
    現像後の前記ポジ型感光性樹脂組成物層を加熱変形させることにより凸面状のマイクロレンズパターンを有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、
    前記レンズ材料層及び前記マスク層をドライエッチングして、前記レンズ材料層に前記マイクロレンズパターンの形状を転写する形状転写工程と、を含むマイクロレンズの製造方法。
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