JP6809779B2 - 研磨パッド、研磨パッドのコンディショニング方法、パッドコンディショニング剤、それらの利用 - Google Patents

研磨パッド、研磨パッドのコンディショニング方法、パッドコンディショニング剤、それらの利用 Download PDF

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本発明は、研磨パッドに関する。詳しくは、磁気ディスク基板の研磨に好ましく用いられる研磨パッドに関する。
一般に、磁気ディスク基板や半導体基板など高精度な表面が要求される基板の製造プロセスには、研磨パッドを用いて研磨対象基板を研磨する工程が含まれる。このような研磨工程は、通常、砥粒および水を含む研磨スラリーを研磨対象基板に供給して行われる。研磨パッドとしては、典型的には、パッドドレッシングにより所望の表面に調整したものが好ましく用いられている。この種の研磨パッドは、さらに必要に応じてダミー研磨を行う等して表面を安定化した後、研磨対象基板の研磨に利用される。研磨パッドに関する先行技術文献としては、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1では、表面粗さが制御された研磨パッドが提案されている。
特開平11−335979号公報
研磨パッドの表面状態は基板表面に転写され得ることから、基板表面のさらなる高精度化のためには、研磨パッド表面の平滑化が欠かせない。特に、微小うねりが低減した基板表面を実現するためには、研磨パッド表面をより平滑化させることが重要である。しかし、特許文献1に開示されているような接触法による表面粗さ評価方法を利用して、表面粗さを低減した研磨パッドを得て、これを用いて研磨を実施しても、微小うねりは期待したように低減しない。より低数値化した微小うねりの要望に対して、従来の評価指標は、もはや有効でなくなりつつある。
そこで、本発明者らはまず、微小うねりと高い相関を示す研磨パッド表面状態の評価指標の検討を行い、非接触方式による評価方法に到達した。この方法によると、接触方式における触針圧力の研磨パッド(弾性体)への影響を排除できることに加えて、分解能を調節することで実際のパッド表面状態(具体的には、微小うねりに影響するプロファイル)を高いレベルで再現することができる。このことは、研磨パッド表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像との照合によって確認された。また、非接触法による研磨パッド表面情報の取得は、分解能を単に高くすればよいというものではなく、微小うねりを算出する80〜500μmの周波数をベースに、微小うねりに影響しない極小凹凸の検出をキャンセルすることによってなされたことも留意される。そして、この新たに確立した評価指標に基づき、さらに検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記従来の問題に鑑み、微小うねり低減に有効な新たな評価指標の確立に基づき創出されたものであり、その目的は、微小うねりを低減し得る研磨パッドを提供すること、および上記研磨パッドのコンディショニング方法を提供することを目的とする。また本発明は、関連する他の目的として、上記研磨パッドを用いた研磨方法の提供および基板の製造方法の提供を包含し、さらに上記コンディショニング方法に用いるパッドコンディショニング剤の提供を包含する。
本発明によると、パッドコンディショニング剤を用いてコンディショニング処理を施した研磨パッドが提供される。前記研磨パッドは、非接触法による算術平均粗さRaが3.0μm以下である表面を有する。上記特性を満足する研磨パッドを用いて研磨を行うことによって、基板表面の微小うねりを低減することができる。
また、本発明によると、研磨パッドのコンディショニング方法が提供される。この方法は、研磨パッドを用意する工程と;前記研磨パッドの表面に対して、パッドコンディショニング剤を用いてコンディショニング処理を施す工程と;を含む。このコンディショニング方法において、前記コンディショニング処理工程は、非接触法による算術平均粗さRaが3.0μm以下となるように前記研磨パッドの表面を処理する工程である。上記コンディショニング方法によると、微小うねりを低減し得る研磨パッドを得ることができる。
また、本発明によると、基板の研磨方法が提供される。この方法は、ここに開示されるコンディショニング処理が施された研磨パッドを用いて研磨対象基板を研磨する工程を含む。上記方法によると、基板表面の微小うねりを低減することができる。また、本明細書によると、ここに開示される研磨パッド(典型的には、非接触法による算術平均粗さRaが3.0μm以下を満足する表面を有する研磨パッド)を用いて研磨対象基板を研磨する工程を含む研磨方法が提供され得る。
また、本発明によると、基板の製造方法が提供される。この方法は、ここに開示されるコンディショニング処理が施された研磨パッドを用いて研磨対象基板を研磨する工程を含む。上記方法によると、微小うねりが低減された基板を実現することができる。また、本明細書によると、ここに開示される研磨パッド(典型的には、非接触法による算術平均粗さRaが3.0μm以下を満足する表面を有する研磨パッド)を用いて研磨対象基板を研磨する工程を含む基板の製造方法が提供され得る。
さらに、本発明によると、ここに開示されるいずれかのコンディショニング処理に用いられるパッドコンディショニング剤が提供される。上記パッドコンディショニング剤を用いて研磨パッドのコンディショニング処理を行うことにより、基板表面の微小うねりは低減される。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、パッドコンディショニング剤は、ベンゼン環構造を有する水溶性高分子または界面活性剤である。このようなパッドコンディショニング剤を用いることによって、基板表面の微小うねり低減が好ましく実現される。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<研磨パッド>
(研磨パッドの表面粗さ)
ここに開示される研磨パッドは、非接触法による算術平均粗さRa(以下「非接触法Ra」ともいう。)が3.0μm以下である表面を有する。ここで非接触法Raとは、非接触式の表面粗さ測定機を用いて測定された算術平均粗さを意味する。非接触法Raは、好ましくは2.5μm以下(例えば2.2μm以下、典型的には2.0μm以下)である。
非接触法Raの測定機としては、レーザ顕微鏡(ピンホール配置共焦点光学系)が用いられる。上記測定における走査系はサンプル走査方式(ステージ走査方式ともいう。)であり、凡そ400倍の測定倍率の測定視野に対し、レーザ顕微鏡の分解能は4μmとする。Raは、上記条件で得られた画像に基づき、解析ソフト上で1.25mm以上の距離の点を測定点として選択し、仮想の二次元プロファイルから算出される。具体的な測定機としては、キーエンス社製の製品名「レーザマイクロスコープ VK−X200」またはその相当品を使用する。なお、非接触法Raの測定方法は、上記方法と同様の結果が得られる限りにおいて、測定機や走査系の変更(例えばレーザ走査方式)が可能である。走査系に関しては、微小うねりに対応する領域を考慮すると、サンプル走査方式が好ましい。同様に、レーザ顕微鏡の分解能も、凡そ10μm以下(例えば8μm以下、典型的には6μm以下)とすることができ、また毛羽立ちと称される微小うねりには影響しない極小凹凸の検出をキャンセルするため、凡そ2μm以上(例えば3μm以上、典型的には4μm以上)とすることが望ましい。
また、特に限定されるものではないが、ここに開示される研磨パッドの表面は、接触法による算術平均粗さRa(以下「接触法Ra」ともいう。)が10μm以下であることが適当である。接触法Raは、ここに開示される技術における微小うねり低減の主要因ではないが、研磨パッドの表面状態が基板表面に転写され得ることを考慮すると、接触法による算術平均粗さRaも低い方がよい。また、ここに開示される技術は、接触法Raを所定値以下に制御した研磨パッド表面を、さらに非接触法Raが3.0μm以下となるレベルまで高平滑化したものであるということもできる。上記接触法Raは、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下(例えば1.5μm以下)である。接触法RaはJIS B 0601:2001に準拠して測定することができる。具体的には、後述の実施例の方法で測定することができる。
上記算術平均粗さ(非接触法Raおよび接触法Raを包含する。)は、パッドコンディショニング剤を用いてコンディショニング処理を施した後であって、研磨対象基板に対する研磨(本研磨ともいう。)の開始前における研磨パッド表面の値である。上記研磨前において上記の非接触法Raを有する研磨パッドを用いて研磨を行うことによって、基板表面の微小うねりを効果的に低減することができる。
(研磨パッド材料)
ここに開示される研磨パッドは、全体が発泡ポリウレタンにより構成されているパッド、発泡ポリウレタンの層が不織布やポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のパッド基材(ベース層)に支持されたパッド等のポリウレタン製研磨パッドであり得る。微小うねり低減の観点から、PETフィルムをベース層とする研磨パッドが好ましい。研磨パッドは、スウェードタイプのバフパッドであってもよいが、典型的には、表面をバフ加工していないノンバフ状態にある研磨パッド(いわゆるノンバフパッド)に対して、後述のパッドドレッシング、コンディショニング処理を行ったものを用いることが好ましい。発泡ポリウレタンとしては、例えば特開2005−335028号公報に記載されているような、湿式成膜法で形成されたスウェードタイプと呼ばれるものが好ましく用いられる。上記スウェードタイプの研磨パッドは、加工性に優れ、また欠陥低減など基板表面の高品質化を実現しやすい。このような研磨パッドは、基板表面の高精度化を目的として用いられる小径の砥粒と組み合わせて用いられることで、小径の砥粒による基板表面の高品質化をサポートする。例えば、スウェードタイプの発泡ポリウレタン製研磨パッドと、小径(例えば平均一次粒子径30nm以下)のシリカ砥粒(典型的にはコロイダルシリカ砥粒)との組合せは、二次研磨や仕上げ研磨による高精度表面の実現に特に優れた威力を発揮する。
(パッドドレッシング)
上記研磨パッドは、典型的には、コンディショニング処理の前にパッドドレッシング処理される(パッドドレッシング工程)。この工程は、研磨パッドが研磨装置に装着された状態で行われることが好ましい。研磨装置としては、研磨パッドを用いる研磨の分野において公知の各種片面研磨装置、両面研磨装置等を用いることができ、特に限定されない。パッドドレッシング工程は、このような研磨装置の定盤に研磨パッドが、例えば粘着テープや接着剤等を用いて固定された状態で好ましく実施され得る。
パッドドレッシングは、公知の材料や条件を適用して行うことができる。好ましい一態様では、パッドドレッシングは、研磨装置の定盤に固定されている研磨パッドに対し、パッドドレッサーを用いて、研磨パッドの表層を削りとる処理であり得る。パッドドレッサーとしては、ステンレススチール等の金属からなる基材の表面に電着または焼結によりダイヤモンド粉末を固定させたものが好ましく用いられる。この種のパッドドレッサーを用いたパッドドレッシングは、ダイヤモンドドレッシング処理と称される。パッドドレッサーとしては、例えば特開2003−117823号公報に記載されているパッドドレッサーが挙げられる。
パッドドレッシングは、上記研磨パッドの表層を、2μm以上削りとるか、あるいは研磨パッドの発泡部分(ポア)が2μm以上(通常は5μm以上40μm以下)の平均開口径で表面に現れるまで削りとるように行うことが好ましい。平均開口径を40μm以下に制限することにより、研磨パッドによる基板表面に対する圧力集中が避けられ、基板表面の微小うねり低減を実現しやすい傾向がある。
なお、研磨パッド表面の平均開口径は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真の画像解析によって求められる。具体的には、写真1枚当たりポアが10〜150個観察されるように倍率を調整し、50個以上のポアの開口径を測定し、その平均値を採用すればよい。上記平均開口径は、例えば150μm×250μmの区画内に存在するポアの平均開口径であり得る。
パッドドレッシングは、水を供給して行うとよい。水の供給量は、研磨パッド表面の単位面積(m)当たり3〜15L/分・mとすることが好ましい。パッドドレッシングの後、パッドの削り屑を除去するために、高圧ジェットまたはブラシドレス等で洗浄を行ってもよい。
パッドドレッシングは、条件(a):平均開口径(μm)×ポア数(個)/写真面積(μm)≦0.4;を満たすように行うことが好ましい。上記条件(a)を満たすことで、微小うねり低減効果がより得られやすくなる。
また、パッドドレッシングは、条件(b):ポア密度が3.0×10−3(個/μm)以上である;を満たすように行うことが好ましい。上記条件(b)を満たすことで、微小うねり低減効果がより得られやすくなる。なお、ポア密度は、上述のSEM写真の画像解析によって求められる。特に好ましい一態様では、パッドドレッシングは、上記条件(a)および(b)を満たすように行われる。
なお、ここに開示される技術は、例えば、研磨パッドを研磨装置に装着する前にパッドドレッシング工程を行い、そのパッドドレッシング工程を経た研磨パッドを研磨装置に装着して後述のコンディショニング処理工程を行う態様で実施することも可能である。表面がノンバフ状態の研磨パッドに対してパッドドレッシングを実施することによって、微小うねりを低減し得る研磨パッドを好ましく実現することができる。
(パッドコンディショニング)
ここに開示される研磨パッドは、コンディショニング処理を施すことによって製造することができる。コンディショニング処理は、典型的には、後述するパッドコンディショニング剤を用いて研磨パッドの表面を整える処理である。コンディショニング処理は、パッドドレッシングされた研磨パッドおよびパッドコンディショニング剤を含む組成物(パッドコンディショニング用組成物)を用いて行うことが好ましい。研磨パッド表面の平滑性を高める観点から、コンディショニング処理工程は、研磨パッドを研磨装置に装着した状態で実施することが好ましい。
好ましい一態様では、コンディショニング処理工程を実施するにあたって、研磨パッドを研磨装置に装着し、研磨装置にダミー基板をセットする。そして、当該研磨装置に、パッドコンディショニング剤含有液(パッドコンディショニング用組成物)を供給して、上記研磨パッドによりダミー基板を研磨する。上記研磨は常法により行えばよい。例えば、上記研磨パッドが装着された研磨装置にダミー基板をセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記ダミー基板の表面(研磨対象面)に上記パッドコンディショニング用組成物を供給する。典型的には、上記パッドコンディショニング用組成物を連続的に供給しつつ、ダミー基板の表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。ダミー基板としては、研磨対象基板と同種のものを別途用意し、これをダミー基板として用いればよい。パッドコンディショニング用組成物の供給速度は特に限定されないが、ダミー基板1枚当たり毎分5〜15mL供給されることが好ましい。
コンディショニング処理工程の時間は、特に限定されず、研磨パッド表面の非接触法Raが所定値以下となるまで行われる。コンディショニング処理工程は少なくとも20分以上(より好ましくは60分以上)行うことが好ましい。コンディショニング処理工程は通常、5分以上20分以下程度の時間内で行われる小工程を5回以上(好ましくは10回以上)繰り返す工程であり得る。コンディショニング処理工程における温度は特に限定されないが、20〜35℃とすることが好ましい。
<パッドコンディショニング剤>
パッドコンディショニング剤としては、研磨パッド表面の非接触法Raを3.0μm以下に低減する作用(パッドコンディショニング作用)を発揮し得る化合物であればよく、その限りにおいて特に制限はない。好ましい一態様では、パッドコンディショニング剤として、ベンゼン環構造を有する水溶性高分子または界面活性剤が用いられる。特に好ましくは、ナフタレン構造を有する水溶性高分子または界面活性剤が用いられる。上記ベンゼン環構造やナフタレン構造は、典型的には水溶性高分子や界面活性剤の主鎖中に含まれる。また、パッドコンディショニング剤は、スルホン酸基を有する化合物(スルホン酸系化合物)であることが好ましい。なお、ここでいうスルホン酸系化合物の概念には、スルホン酸系化合物およびその塩が包含される。優れたパッドコンディショニング作用を発揮する観点から、ベンゼン環構造(典型的にはナフタレン構造)を有するスルホン酸基含有化合物が特に好ましい。
パッドコンディショニング剤としては、例えばスルホン酸系化合物等の有機化合物から選択され得る。具体的には、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸等のスルホン酸系化合物、その塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)等から選択され得る。なかでも、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のナフタレンスルホン酸系化合物およびその塩が好ましく、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩がより好ましい。
パッドコンディショニング剤の分子量は特に限定されないが、研磨パッド表面の非接触法Raを低減する観点から、凡そ400以上(例えば1000以上、典型的には1500以上)であることが好ましく、30万以下であることが適当であり、好ましくは5万以下(例えば9000以下、典型的には5000以下)である。なお、この明細書において分子量とは、構造式から求められる分子量、またはゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)に基づく重量平均分子量(標準ポリスチレン基準)を指す。
<パッドコンディショニング用組成物>
(基本組成)
パッドコンディショニング用組成物は、パッドコンディショニング剤を含む他は特に制限はなく、典型的には、パッドコンディショニング剤と、その分散媒または溶媒となる液体と、を含むパッドコンディショニング剤含有液であり得る。上記液体としては、水が好ましく用いられる。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、蒸留水、純水等を用いることができる。そのようなパッドコンディショニング剤含有液は、典型的には、パッドコンディショニング剤が水に溶解した形態のものであり得る。
パッドコンディショニング用組成物におけるパッドコンディショニング剤の含有量は、研磨パッド表面の非接触法Raを低減する観点から、0.01g/L以上とすることが適当であり、好ましくは0.05g/L以上、より好ましくは0.1g/L以上、さらに好ましくは0.2g/L以上である。また、上記と同様の理由から、上記含有量は100g/L以下とすることが適当であり、好ましくは50g/L以下、例えば10g/L以下である。
(砥粒)
好ましい一態様では、パッドコンディショニング用組成物は砥粒を含む。砥粒を含ませることによって、研磨パッド表面の平滑性が向上する傾向がある。砥粒としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ等のシリカ粒子や、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア等の金属酸化物粒子、ポリアクリル酸等の樹脂粒子等の非シリカ粒子の1種または2種以上を使用することができる。ここに開示される技術によると、砥粒としてコロイダルシリカ粒子の1種または2種以上を含むパッドコンディショニング用組成物を用いる態様において、所望の効果(微小うねり低減効果)を好ましく実現することができる。
砥粒(典型的にはコロイダルシリカ粒子)の平均一次粒子径は、研磨パッド表面の粗さを低減する観点から、典型的には5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また凡そ300nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは60nm以下、さらに好ましくは30nm以下である。上述の粒径範囲(特に小径)の砥粒は研磨パッド表面に堆積しやすく、この堆積によって研磨パッド表面の粗さ低減が阻害され得ると考えられるが、そのような構成においても、ここに開示されるパッドコンディショニング剤を用いることによって、研磨パッド表面の非接触法Raを低減することができ、ひいては基板表面の微小うねり低減を実現することができる。
この明細書において、砥粒の平均一次粒子径は、例えば、BET法により測定される比表面積S(m/g)から平均一次粒子径(nm)=2727/Sの式により算出することができる。砥粒の比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
パッドコンディショニング用組成物中における砥粒の平均二次粒子径は、研磨パッド表面の粗さを低減する観点から、典型的には10nm以上であり、通常は20nm超、好ましくは30nm超、より好ましくは40nm超、さらに好ましくは50nm超であり、例えば1μm以下であり得る。分散安定性等の観点から、平均二次粒子径は、通常は500nm以下が適当であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは110nm以下、特に好ましくは70nm以下(例えば55nm以下)である。
この明細書において、砥粒の平均二次粒子径とは、超音波方式で測定される粒度分布における体積基準の平均粒子径(mean particle diameter)をいう。平均二次粒子径は、例えば、日本ルフト社製の超音波方式粒度分布・ゼータ電位測定装置(商品名「DT−1200」)を用いて測定することができる。
なお、ここに開示されるパッドコンディショニング用組成物がコロイダルシリカ粒子を含む場合、コロイダルシリカ粒子に加えて、コロイダルシリカ粒子以外の砥粒を含有してもよい。コロイダルシリカ粒子以外の砥粒としては、例えばヒュームドシリカ、沈降性シリカ等のシリカ粒子や、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア等の金属酸化物粒子、ポリアクリル酸等の樹脂粒子等の非シリカ粒子の1種または2種以上を使用することができる。これらコロイダルシリカ粒子以外の砥粒の含有量は、コロイダルシリカ粒子の含有量を100重量%としたとき、100重量%(すなわち同量)未満であることが適当であり、好ましくは50重量%以下(例えば30重量%以下、典型的には10重量%以下)である。ここに開示される技術は、コロイダルシリカ粒子以外の砥粒を実質的に含まない態様で実施することができる。
パッドコンディショニング用組成物中における砥粒の含有量(例えばコロイダルシリカ粒子の濃度)は、特に制限されない。上記砥粒の濃度は、研磨パッド表面の粗さを低減する観点から、1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは3重量%以上である。また、分散安定性等の観点から、例えば30重量%以下とすることができ、通常は20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。
(酸または塩)
パッドコンディショニング用組成物は、酸または塩を含有することが好ましい。上記酸または塩を、上記パッドコンディショニング剤と組み合わせて使用することで、ここに開示される技術による効果が好ましく実現される。本明細書において、酸または塩を含むとは、酸および塩の少なくとも一方を含むことを指し、酸を含み塩を含まない態様、塩を含み酸を含まない態様、および酸と塩の両方を含む態様、のいずれをも包含する意味である。
酸の例としては、無機酸や有機酸(例えば、炭素原子数が1〜10程度の有機カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸等)が挙げられるが、これらに限定されない。酸は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機酸の具体例としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ホウ酸等が挙げられる。
有機酸の具体例としては、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、イタコン酸、マロン酸、イミノ二酢酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、クロトン酸、ニコチン酸、酢酸、アジピン酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、メタクリル酸、グルタル酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、イソクエン酸、メチレンコハク酸、没食子酸、アスコルビン酸、ニトロ酢酸、オキサロ酢酸、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ピコリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、エチルグリコールアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、フィチン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸、アミノポリ(メチレンホスホン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アミノエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
塩の例としては、上述した無機酸または有機酸の金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;上述した無機酸または有機酸のアンモニウム塩、例えばテトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩;上述した無機酸または有機酸のアルカノールアミン塩、例えばモノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩;等が挙げられる。
上述した無機酸または有機酸の金属塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩およびアルカリ金属リン酸水素塩;等が挙げられる。
その他、塩の例としては、グルタミン酸二酢酸のアルカリ金属塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等。以下同じ。)、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸のアルカリ金属塩、トリエチレンテトラミン六酢酸のアルカリ金属塩;等が挙げられる。例えば、L−グルタミン酸二酢酸四ナトリウムを好ましく使用し得る。塩は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここに開示される技術は、シリカ粒子(例えばコロイダルシリカ粒子)およびリン酸(塩)を含むパッドコンディショニング用組成物を用いる態様で好ましく実施され得る。パッドコンディショニング剤は、リン酸を介したシリカの凝集を抑制し、研磨パッド表面へのシリカの吸着を好ましく阻止し得る。なお、ここに開示される技術は、硫酸、有機ホスホン酸(例えば1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)の少なくとも1種(例えば両方)を実質的に含まない態様でも好ましく実施することができる。
パッドコンディショニング用組成物が酸または塩を含む場合、その含有量は、0.01mol/L以上であることが好ましく、より好ましくは0.05mol/L以上であり、また1mol/L以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mol/L以下である。
(酸化剤)
ここに開示されるパッドコンディショニング用組成物は、酸化剤を含有することが好ましい。酸化剤の例としては、過酸化物、硝酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、酸素酸またはその塩、金属塩類、硫酸類等が挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、硝酸、硝酸鉄、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過塩素酸、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄等が挙げられる。好ましい酸化剤として、過酸化水素、硝酸鉄、ペルオキソ二硫酸および硝酸が例示される。少なくとも過酸化水素を含むことが好ましく、過酸化水素からなることがより好ましい。
パッドコンディショニング用組成物が酸化剤を含む場合、その含有量は、0.1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.3重量%以上であり、また、3重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5重量%以下である。
(塩基性化合物)
パッドコンディショニング用組成物には、塩基性化合物を含有させることができる。ここで塩基性化合物とは、上記組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。例えば、アルカリ金属の水酸化物、第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン、リン酸塩やリン酸水素塩、有機酸塩等が挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウムが挙げられる。
アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類、等が挙げられる。
リン酸塩やリン酸水素塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属塩、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられる。
(イオン強度)
特に限定するものではないが、パッドコンディショニング用組成物が砥粒を含む場合、該組成物は、砥粒含有量が6重量%となる濃度におけるイオン強度が0.50mol/L以下であり得る。イオン強度が0.50mol/L以下であるパッドコンディショニング用組成物は、砥粒(例えばコロイダルシリカ粒子)の分散安定性に優れる傾向がある。かかる観点から、イオン強度が0.25mol/L以下であるパッドコンディショニング用組成物がより好ましく、イオン強度が0.11mol/L以下であるパッドコンディショニング用組成物がさらに好ましい。イオン強度の下限は特に限定されず、パッドコンディショニング用組成物を所望のpHに調整できればよい。研磨パッド表面の粗さ低減の観点から、通常は、イオン強度が0.01mol/L以上であることが好ましく、0.02mol/L以上であることがより好ましく、0.03mol/L以上であることがさらに好ましい。組成物のイオン強度は後述の方法により測定することができる。
(その他の成分)
パッドコンディショニング用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、分散剤や界面活性剤、キレート剤、防腐剤等の、研磨液やリンス液(典型的には、Ni−P基板等のような磁気ディスク基板の研磨に用いられる研磨液やリンス液等の研磨用組成物)に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。なお、上記任意成分は、いずれもパッドコンディショニング剤には該当しない成分である。これらは、パ後述の研磨用組成物において例示するもののなかから適宜選択し、適当量を添加して用いればよい。
(使用形態等)
パッドコンディショニング用組成物は、研磨パッドに供給される前には濃縮された形態(濃縮液の形態)であってもよい。かかる濃縮液の形態のパッドコンディショニング用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば1.5倍〜50倍程度とすることができる。濃縮液の貯蔵安定性等の観点から、通常は、2倍〜20倍(典型的には2倍〜10倍)程度の濃縮倍率が適当である。このように濃縮液の形態にあるパッドコンディショニング用組成物は、所望のタイミングで希釈し、その希釈液を研磨対象基板に供給する態様で好適に使用することができる。
パッドコンディショニング用組成物のpHは特に限定されない。例えば、pH4以下が好ましく、pH3以下がより好ましい。上記pHが実現されるように、必要に応じて有機酸、無機酸等のpH調整剤を含有させることができる。上記pHは、例えば、Ni−Pの研磨に用いられる研磨パッドのコンディショニングに好ましく適用され得る。
ここに開示されるパッドコンディショニング用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該組成物の構成成分(典型的には、水系溶媒以外の成分)のうち一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液とが混合されて、コンディショニング処理に用いられるように構成されていてもよい。
<基板の研磨方法>
ここに開示される技術は、基板の研磨方法を包含する。この研磨方法は、上記のようにしてコンディショニング処理が施された研磨パッドを用いて研磨対象基板を研磨する工程(研磨工程)を含む。したがって、ここに開示される研磨方法は、上記研磨工程の前に、パッドドレッシング工程およびコンディショニング処理工程を含み得る。
好ましい一態様において、上述のコンディショニング処理工程が終了すると、必要に応じて洗浄を行う等した後、ダミー基板を取り外し、研磨対象である基板を研磨装置にセットする。そして、研磨装置に研磨液を供給して、上記研磨パッドにより基板を研磨する。上記研磨は常法により行えばよい。例えば、上記研磨パッドが装着された研磨装置に研磨対象(被研磨物)としての基板をセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記研磨対象基板の表面(被研磨面)に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、研磨対象基板の表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。かかる研磨工程を経て基板の研磨が完了する。その後、必要に応じて洗浄、乾燥等を行うことで、基板は製造され得る。したがって、ここに開示される技術によると、上記研磨パッドを用いて研磨対象基板を研磨する工程を含む基板の製造方法が提供される。
<研磨用組成物>
研磨工程に使用される研磨液としては、基板の研磨に使用され得る各種研磨液を使用すればよく特に制限はない。上記研磨液は、典型的には、少なくとも砥粒および水を含む。研磨装置に供給される研磨液は、当初の研磨用組成物に濃度調整(例えば希釈)やpH調整等の操作を加えて調製された研磨液であり得る。あるいは、当初の研磨用組成物をそのまま研磨液として用いてもよい。
(砥粒)
研磨用組成物に含まれる砥粒としては、パッドコンディショニング用組成物において例示した各種砥粒の1種または2種以上を用いることができる。好適例としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ等のシリカ砥粒が挙げられ、そのなかでも、コロイダルシリカ砥粒が好ましい。
上記砥粒(好ましくはシリカ砥粒。より好ましくはコロイダルシリカ砥粒)の平均一次粒子径は、典型的には5nm以上、好ましくは10nm以上である。平均一次粒子径の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。上記砥粒の平均一次粒子径の上限は特に限定されない。より平滑性の高い表面を得る観点から、平均一次粒子径は、典型的には300nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは60nm以下、さらに好ましくは30nm以下である。例えば、一次研磨を終えたNi−P基板を研磨する用途向けの研磨用組成物において、上記の平均一次粒子径を有する砥粒を好ましく採用し得る。
研磨用組成物中における砥粒(好ましくはシリカ砥粒。より好ましくはコロイダルシリカ砥粒)の平均二次粒子径は、典型的には10nm以上であり、通常は20nm超、好ましくは30nm超、より好ましくは40nm超、さらに好ましくは50nm超である。平均二次粒子径の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。上記砥粒の平均二次粒子径の上限は特に限定されず、例えば1μm以下であり得る。分散安定性等の観点から、平均二次粒子径は、通常は500nm以下が適当であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは110nm以下、特に好ましくは70nm以下である。さらに高品位の表面を得る観点から、平均二次粒子径は、例えば55nm以下であってもよい。
研磨用組成物中における砥粒(好ましくはシリカ砥粒。より好ましくはコロイダルシリカ砥粒)の含有量(すなわち砥粒の濃度)は、特に制限されない。上記コロイダルシリカ砥粒の濃度は、例えば30重量%以下とすることができ、通常は20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。また、上記砥粒の濃度は、1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは3重量%以上である。砥粒濃度が低すぎると、物理的な研磨作用が小さくなり、研磨速度が低下するため、実用上好ましくない場合がある。上記砥粒濃度は、研磨対象基板に供給される研磨液の砥粒濃度にも好ましく適用され得る。
なお、ここに開示される研磨用組成物がコロイダルシリカ砥粒を含む場合、コロイダルシリカ砥粒に加えて、コロイダルシリカ砥粒以外の砥粒を含有してもよい。コロイダルシリカ砥粒以外の砥粒としては、パッドコンディショニング用組成物において例示した各種砥粒の1種または2種以上を用いることができる。これらコロイダルシリカ砥粒以外の砥粒の含有量は、コロイダルシリカ砥粒の含有量を100重量%としたとき、100重量%(すなわち同量)未満であることが適当であり、好ましくは50重量%以下(例えば30重量%以下、典型的には10重量%以下)である。ここに開示される技術は、コロイダルシリカ砥粒以外の砥粒を実質的に含まない態様で実施することができる。
(水)
ここに開示される研磨用組成物は水を含有する。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、蒸留水、純水等を用いることができる。
(酸または塩)
研磨用組成物は、研磨促進剤として、酸または塩を含有することが好ましい。酸または塩としては、パッドコンディショニング用組成物において例示した各種酸または塩の1種または2種以上を用いることができる。また、ここに開示される技術は、微小うねり低減の観点から、シリカ砥粒(例えばコロイダルシリカ砥粒)、パッドコンディショニング剤およびリン酸(塩)を含む研磨液を用いる態様で好ましく実施され得る。
酸または塩は、典型的には後述する酸化剤と合わせて用いられることにより、研磨促進剤として効果的に作用し得る。研磨効率の観点から好ましい酸として、メタンスルホン酸、硫酸、硝酸、リン酸、フィチン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等が例示される。なかでも好ましい酸として、メタンスルホン酸、クエン酸およびリン酸が挙げられる。研磨効率の観点から好ましい塩として、リン酸塩やリン酸水素塩、グルタミン酸二酢酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸のアルカリ金属塩、トリエチレンテトラミン六酢酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
研磨用組成物が酸または塩を含む場合、その含有量は、0.01mol/L以上であることが好ましく、より好ましくは0.05mol/L以上である。酸または塩の含有量が少なすぎると、研磨速度が低下し、実用上好ましくない場合がある。また、研磨用組成物が酸または塩を含む場合、その含有量は、1mol/L以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mol/L以下である。酸または塩の含有量が多すぎると、研磨対象物の表面精度が悪くなり、実用上好ましくない場合がある。
(酸化剤)
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒および水の他に、研磨促進剤として、酸化剤を含有することが好ましい。酸化剤の例としては、パッドコンディショニング用組成物において例示した各種酸化剤の1種または2種以上を用いることができる。好ましい酸化剤として、過酸化水素、硝酸鉄、ペルオキソ二硫酸および硝酸が例示される。少なくとも過酸化水素を含むことが好ましく、過酸化水素からなることがより好ましい。
研磨用組成物が酸化剤を含む場合、その含有量は、0.1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.3重量%以上である。酸化剤の含有量が少なすぎると、研磨対象物を酸化する速度が遅くなり、研磨速度が低下するため、実用上好ましくない場合がある。また、研磨用組成物中に酸化剤を含む場合、その含有量は、3重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5重量%以下である。酸化剤の含有量が多すぎると、研磨対象物の表面精度が悪くなったり、コストの点等から実用上好ましくない場合がある。
(塩基性化合物)
研磨用組成物には、塩基性化合物を含有させることができる。塩基性化合物の例としては、パッドコンディショニング用組成物において例示した各種塩基性化合物の1種または2種以上を用いることができる。
(イオン強度)
特に限定するものではないが、好ましい一態様に係る研磨用組成物は、砥粒含有量が6重量%となる濃度におけるイオン強度が0.50mol/L以下であり得る。イオン強度が0.50mol/L以下である研磨用組成物は、砥粒(例えばコロイダルシリカ砥粒)の分散安定性に優れる傾向がある。かかる観点から、イオン強度が0.25mol/L以下である研磨用組成物がより好ましく、イオン強度が0.11mol/L以下であるパッドコンディショニング用組成物がさらに好ましい。イオン強度の下限は特に限定されず、研磨用組成物を所望のpHに調整できればよい。研磨速度の向上の観点から、通常は、イオン強度が0.01mol/L以上であることが好ましく、0.02mol/L以上であることがより好ましく、0.03mol/L以上であることがさらに好ましい。
本明細書中においてイオン強度とは、上記組成物の砥粒含有量が6重量%となる濃度において、該組成物中の全てのイオンについて下記式(1)により算出される値をいう。目的とする組成物の砥粒含有量が6重量%とは異なる場合には、水の量を増減することにより砥粒含有量6重量%に濃度調整した場合における組成物についてイオン強度を算出する。
Figure 0006809779
ここで、式(1)中のIは、イオン強度[mol/L]を表す。mは、各イオンのモル濃度[mol/L]を表す。zは、各イオンの電荷(価数)を表す。各イオンのモル濃度は、イオン強度の算出に係る組成物のpH域において解離する(イオン化する)各物質のイオン量(割合)から算出される。例えば、砥粒含有量6重量%に調製された組成物中に1mol/Lの濃度で含まれる物質Aが、そのpH域において50%しかイオン化しない場合、イオン強度に反映させるモル濃度は0.5mol/Lとなる。
イオン強度の算出に係る組成物(すなわち、砥粒含有量が6重量%となるように必要に応じて濃度調整を行った組成物)のpH域で解離している各物質のイオン量(割合)は、各物質の解離定数(電離定数、酸解離定数)によって求めることができる。
例えば、組成物中でAとHに解離する物質AHの酸解離定数がpKaであり、上記物質AHが組成物中に1.0mol/L含まれており、その組成物のpHが3である場合には、Aの濃度mは、(10−pKa×1.0[mol/L])/1.0×10−3の式で求められる。
組成物に塩を添加する場合には、その塩のカウンターイオンのモル濃度によってイオン強度を算出する。例えば、組成物中でAとBに解離する物質ABについては、組成物中AHまたはBOHについては、分けてイオン強度を算出する。
また、組成物中で一段階以上の多段階の解離をする物質を含む組成物においては、それぞれの段階で解離しているイオンについてイオン強度を求める。
なお、イオン強度の算出は、組成物の温度が25℃である場合について行うものとする。
組成物のイオン強度は、例えば、該組成物に含まれるイオン性化合物の種類および使用量(濃度)により調節することができる。上記イオン性化合物としては、上述した酸または塩、塩基性化合物として機能する化合物を利用し得る。これら以外のイオン性化合物を用いてイオン強度を調節してもよい。
(パッドコンディショニング剤)
ここに開示される研磨用組成物は、パッドコンディショニング剤を含むことが好ましい。これによって、基板表面の微小うねりはより低減される。特に、コロイダルシリカ砥粒を用いる態様において、微小うねり低減効果は効果的に発揮され得る。パッドコンディショニング剤としては、上述の具体例のなかから好ましいものを選択して使用すればよい。なかでも、微小うねり低減効果を好適に実現する観点から、ベンゼン環構造(典型的にはナフタレン構造)を有するスルホン酸基含有化合物がより好ましく、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物がさらに好ましい。
研磨用組成物におけるパッドコンディショニング剤の含有量は、パッドコンディショニング剤の添加効果を十分に発揮させる観点から、0.01g/L以上とすることが適当であり、好ましくは0.05g/L以上、より好ましくは0.1g/L以上、さらに好ましくは0.2g/L以上である。また、上記含有量は100g/L以下とすることが適当であり、好ましくは50g/L以下、例えば10g/L以下である。
(その他の成分)
研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、分散剤や界面活性剤、キレート剤、防腐剤等の、研磨用組成物(典型的には、Ni−P基板等のような磁気ディスク基板の研磨に用いられる研磨用組成物)に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。なお、上記任意成分は、いずれもパッドコンディショニング剤には該当しない成分である。
分散安定性向上等の目的で用いられ得る分散剤としては、水溶性ポリマー(典型的にはアニオン性水溶性ポリマー)が挙げられる。そのような分散剤として、例えばポリスチレンスルホン酸およびその塩等が挙げられる。上記ポリスチレンスルホン酸系化合物の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。分散剤の他の例として、ポリアクリル酸およびその塩(例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩)等が挙げられる。
上記水溶性ポリマーの分子量は、分散安定性向上効果を十分に発揮する観点から、凡そ1万以上(例えば5万超)であることが適当である。上記分子量の上限は特に限定されないが、凡そ80万以下(例えば60万以下、典型的には30万以下)程度であり得る。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤が好ましく用いられ得る。上記アニオン性界面活性剤は、典型的には分散剤と比べて比較的低分子量の化合物である。アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
キレート剤の例としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸およびα−メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましく、なかでも好ましいものとしてエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。特に好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)が挙げられる。
(使用形態等)
ここに開示される研磨用組成物(典型的には研磨液)は、パッドコンディショニング用組成物と同じ組成を有してもよく、異なる組成を有してもよい。微小うねり低減の観点から、研磨用組成物は、パッドコンディショニング用組成物と同じ組成を有することが好ましい。
上述のような研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象基板(例えば磁気ディスク基板)に供給されて、該研磨対象基板の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、研磨用組成物を希釈して調製されたものであり得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨対象基板に供給される研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液との双方が包含される。
研磨用組成物は、研磨対象基板に供給される前には濃縮された形態(濃縮液の形態)であってもよい。かかる濃縮液の形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば1.5倍〜50倍程度とすることができる。濃縮液の貯蔵安定性等の観点から、通常は、2倍〜20倍(典型的には2倍〜10倍)程度の濃縮倍率が適当である。
このように濃縮液の形態にある研磨用組成物は、所望のタイミングで希釈して研磨液を調製し、その研磨液を研磨対象基板に供給する態様で好適に使用することができる。
研磨用組成物のpHは特に限定されない。例えば、研磨レートや表面平滑性等の観点から、pH4以下が好ましく、pH3以下がより好ましい。研磨液において上記pHが実現されるように、必要に応じて有機酸、無機酸等のpH調整剤を含有させることができる。上記pHは、例えば、Ni−Pの研磨に用いられる研磨液に好ましく適用され得る。
ここに開示される研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分(典型的には、水系溶媒以外の成分)のうち一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液とが混合されて研磨対象基板の研磨に用いられるように構成されていてもよい。
<研磨対象>
ここに開示される技術において、研磨対象となる基板は特に限定されない。例えば、磁気ディスク基板や、シリコンウェーハ等の半導体基板のように、高精度な表面が要求される各種基板の製造に適用され得る。好ましい適用対象として、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板(Ni−P基板)が例示される。上記基材ディスクは、例えば、アルミニウム合金製、ガラス製等であり得る。このような基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層以外の金属層または金属化合物層を備えたディスク基板であってもよい。なかでも好ましい適用対象として、アルミニウム合金製の基材ディスク上にニッケルリンめっき層を有するNi−P基板が挙げられる。
<用途>
また、ここに開示される研磨用組成物は、例えば、Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000WRC」により測定される表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))が100Å〜300Å程度の磁気ディスク基板を一次研磨して10Å以下の表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))に調整する用途や、一次研磨を経た磁気ディスク基板をさらに研磨(二次研磨または仕上げ研磨)する用途等に好適である。なかでも、磁気ディスク基板を二次研磨または仕上げ研磨する用途においては、ここに開示される研磨用組成物を適用することが特に有意義である。したがって、ここに開示される技術における基板の研磨方法は、一次研磨工程と、該一次研磨工程の後に実施される研磨工程(二次研磨工程および/または仕上げ研磨工程)を含み、上記研磨用組成物は、上記二次研磨または仕上げ研磨(好ましくは仕上げ研磨工程)に好ましく用いられる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<実施例および比較例>
(パッドコンディショニング用スラリーの調製)
コロイダルシリカ砥粒(平均一次粒子径25nm)6%、リン酸0.1mol/L、パッドコンディショニング剤としてのナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物1g/L、H0.4%となるように各成分およびイオン交換水を混合して、パッドコンディショニング用スラリーAを調製した。このスラリーAのpHは約2であった。
また、パッドコンディショニング剤を使用しなかった他は上記スラリーAと同様にして、パッドコンディショニング用スラリーBを調製した。
(パッドドレッシング)
研磨パッドとして、ポリウレタン製ノンバフパッドを用意した。この研磨パッドは、ベース層の上にポリウレタン製発泡層が設けられたスウェードタイプの研磨パッドである。上記研磨パッド2枚を、両面研磨装置(スピードファム社製「9B−5P」)の上定盤と下定盤に各1枚ずつ固定した。ダイヤモンドドレッサーを2枚/キャリア×5キャリア(計10枚)装填し、1〜1.5L/分のレートでイオン交換水を供給しながら、研磨パッドの研磨面に対してパッドドレッシングを行った。
(コンディショニング処理)
次いで、上記研磨パッドが引き続き定盤に固定された状態で、該研磨パッドの研磨面に高圧ジェット水流を吹き付けて洗浄した。そして、上記両面研磨装置にダミー基板をセットし、各例につき表1に示すスラリーを用いて下記の条件で一定時間コンディショニング処理を行った。コンディショニング処理終了後、リンスを行った。
ダミー基板としては、表面に無電解ニッケルリンめっき層を備えた直径3.5インチ(約95mm)、厚さ1.27mmのハードディスク用アルミニウム基板を用いた。
[コンディショニング処理条件]
研磨荷重:120g/cm
定盤回転数:50rpm
スラリー供給レート:80mL/分
コンディショニング処理後の研磨パッドの表面に対し、接触法および非接触法に基づき下記の条件で算術平均粗さRaを測定した。結果を表1に示す。
[接触法Ra測定条件]
方法: 触針子による接触方式
使用機器: 製品名「Handysurf E−35B」(東京精密社製)
触針子: 先端部90°円錐、先端曲率半径5μm
フィルター: 2.5mm以上をカット
測定長: 12.5mm
分解能: 40μm
[非接触法Ra測定条件]
方法: レーザ光スキャンによる非接触方式
使用機器: 製品名「レーザマイクロスコープ VK−X200」(キーエンス社製)
測定倍率: 400倍
フィルター: なし
測定長: 1.25mm
分解能: 4μm
(研磨対象基板の研磨)
コンディショニング処理終了後、ダミー基板を取り外し、研磨対象基板をセットした。研磨対象基板としては、表面に無電解ニッケルリンめっき層を備えた直径3.5インチ(約95mm)、厚さ1.27mmのハードディスク用アルミニウム基板を、Schmitt Measurement System社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000WRC」により測定される表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))の値が6Åとなるように予備研磨したものを使用した。研磨液としては、上記で用意したパッドコンディショニング用スラリーA,Bをそれぞれ研磨用スラリーA,Bとして用いた。各例につき、表1に示すスラリーを用いて下記の条件で所定時間、研磨対象基板を研磨した。
[研磨条件]
研磨荷重:120g/cm
定盤回転数:50rpm
研磨液の供給レート:80mL/分
<評価>
[基板うねり]
各実施例および各比較例に係る基板(研磨後の研磨対象基板)2枚の表裏、計4面につき、非接触表面形状測定機(商品名「NewView5032」、Zygo社製)を用いて、対物レンズ倍率2.5倍、中間レンズ倍率0.5倍、バンドパスフィルター80〜500μmの条件で微小うねりを測定した。研磨後の基板の中心から径方向外側に37mmの位置に対し、90°ずつ4ヵ所を測定し、その平均値を基板うねり(Å)として求めた。基板うねりが0.9Å以下であったものを「○」、0.9Åを超えたものを「×」と評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006809779
表1に示されるように、実施例、比較例ともに接触法Raについては同等の値が得られたが、非接触法Raについては異なる値となった。そして、非接触法Raが3.0μm以下の表面を有する研磨パッドを用いた実施例1,2では基板うねりの低数値化を実現することができたのに対して、上記非接触法Raが3.0μmを超えた比較例1,2では、接触法Raが実施例1,2と同じであったにもかかわらず、さらには研磨用スラリーの種類にかかわらず、基板うねりは比較的高い値となった。具体的には、実施例1,2では、比較例1,2と比べて0.25Åの基板うねりの低数値化を実現することができた。これらの結果から、非接触法Raが3.0μm以下である表面を有する研磨パッドを用いることにより、基板表面の微小うねりが低減されることがわかる。なお、コンディショニング処理および研磨工程の両方においてパッドコンディショニング剤を使用した実施例1では、最も低い基板うねり値を示した。
また、パッドコンディショニング剤を用いてコンディショニング処理を施した実施例1,2では、コンディショニング処理後の研磨パッド表面の非接触法Raが3.0μm以下となった一方で、パッドコンディショニング剤を使用しなかった比較例1,2では、研磨パッド表面の非接触法Raが3.0μmを超えた。上記結果から、パッドコンディショニング剤を用いることで、研磨パッド表面の粗さがより低減し、これが基板うねりの低減に寄与したことがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (3)

  1. 基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造に用いられる研磨パッドのコンディショニング方法であって、
    スウェードタイプの研磨パッドを用意する工程と;
    前記研磨パッドの表面に対して、パッドコンディショニング剤を用いてコンディショニング処理を施す工程と;
    を含み、
    ここで、前記コンディショニング処理工程は、非接触法による算術平均粗さRaが3.0μm以下となるように前記研磨パッドの表面を処理する工程であり、
    前記パッドコンディショニング剤は、ベンゼン環構造を有する水溶性高分子または界面活性剤である、研磨パッドのコンディショニング方法。
  2. 請求項に記載のコンディショニング処理が施された研磨パッドを用いて研磨対象基板を研磨する工程を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の研磨方法。
  3. 請求項に記載のコンディショニング処理が施された研磨パッドを用いて研磨対象基板を研磨する工程を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法。
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