以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。X方向は、例えば後述する天井搬送車及びクレーンの走行方向であり、Y方向は、例えば後述する天井搬送車及びクレーンの移載方向である。また、X、Y、Z方向の各方向について、適宜、矢印と同じ側を+側(例、+X側)と称し、その反対側を−X側(例、−X側)と称する。
図1は、本実施形態に係る自動倉庫システム100の一例を模式的に示した斜視図である。図2は、自動倉庫システム100の平面図である。図3は、自動倉庫システム100の側面図である。なお、図2及び図3は、図1に対して簡略化して示している。図1から図3に示すように、自動倉庫システム100は、例えば、半導体製造工場等の建屋内に設置され、半導体ウエハを収容するFOUPあるいはレチクルを収容するレチクルPodなどの物品Mを保管する。ここでは、物品MがFOUPである例を説明するが、物品Mは、FOUP以外であってもよい。また、自動倉庫システム100は、半導体製造分野以外の設備においても適用可能であり、物品Mは、自動倉庫システム100が設置される設備で扱われる各種の物品でもよい。自動倉庫システム100は、天井搬送車10と、自動倉庫20と、庫内走行レール30とを備える。
図4は、自動倉庫20内における天井搬送車10の一例を示す図である。天井搬送車10は、図4に示すように、走行部11と、本体部12と、移載部13と、搬送車制御部14とを備える。走行部11は、天井搬送車10の走行経路である軌道Rに沿って走行する。軌道Rは、建屋の天井部Cから吊り下げられて配置されている。走行部11は、電動モータ又はリニアモータ等の駆動装置により軌道Rを走行する。走行部11の走行及び停止は、搬送車制御部14により制御される。
軌道Rは、図1から図3に示すように、幹線R1と、支線R2とを有する。幹線R1は、自動倉庫20の側方(+Y側)に沿って、X方向に沿って延びた状態で配置される。なお、図1においては、自動倉庫20の内部の位置関係を把握しやすくするため、幹線R1の一部を切断した状態で示している。支線R2は、幹線R1から分岐して配置され、後述の庫内走行レール30に接続される。この構成により、天井搬送車10は、幹線R1から支線R2に入ることにより、容易に庫内走行レール30に進入することができる。
支線R2は、進入用支線R2aと、戻り用支線R2bとを有する。進入用支線R2aは、幹線R1から分岐して庫内走行レール30に天井搬送車10が入るための進入経路である。戻り用支線R2bは、天井搬送車10が庫内走行レール30からから分岐して幹線R1に戻るための戻り経路である。このように、天井搬送車10が庫内走行レール30に入る支線(R2a)と、天井搬送車10が幹線R1に戻る支線(R2b)とが区別されるので、天井搬送車10による庫内走行レール30への進入、及び幹線R1への戻りを一方向の走行で円滑に行うことができる。
なお、進入用支線R2aは、後述する自動倉庫20のクレーン通路25の−X側の端部25aを跨いで庫内走行レール30に接続される。戻り用支線R2bは、庫内走行レール30から、後述する自動倉庫20の+Y側の棚部22を跨いで幹線R1に接続される。
天井搬送車10の本体部12は、図4に示すように、走行部11に吊り下げられた状態で取り付けられ、走行部11と一体的に移動する。本体部12は、物品Mを収容可能である。移載部13は、本体部12に設けられ、物品Mを保持する保持部15と、保持部15を移動させる移動機構16とを有する。
保持部15は、物品Mのフランジ部を把持することにより、物品Mを吊り下げた状態で保持する。保持部15は、例えば、水平方向に開閉可能な爪部を有するチャックであり、爪部を物品Mのフランジ部の下方に進入させ、保持部15を上昇させることで、物品Mを保持する。保持部15は、ワイヤあるいはベルトなどの吊り下げ部材と接続されている。吊り下げ部材は、複数本、例えば4本設けられる。保持部15の動作は、搬送車制御部14により制御される。
移動機構16は、保持部15を鉛直方向に昇降させる昇降駆動部17と、昇降駆動部17を軌道Rの側方に横移動させる横出し機構18とを有する。昇降駆動部17は、例えばホイストであり、上記吊り下げ部材を繰り出すことにより保持部15を降下させ、また、吊り下げ部材を巻き取ることにより保持部15を上昇させる。昇降駆動部17は、搬送車制御部14に制御されて、所定の速度で保持部15を降下あるいは上昇させる。また、昇降駆動部17は、搬送車制御部14に制御されて、保持部15を目標の高さに保持する。
横出し機構18は、例えば上下方向に重ねて配置された複数の可動板を有する。複数の可動板は、互いにスライド可能であり、最下層の可動板を走行部11の走行方向の側方に突出させる(横出しする)ことが可能である。最下層の可動板には、昇降駆動部17が取り付けられている。横出し機構18は、可動板を案内する不図示のガイド、及び可動板を移動させる不図示の駆動部などを有する。横出し機構18の動作は、搬送車制御部14により制御される。
また、移載部13は、上記可動板と昇降駆動部17との間に回動部を有してもよい。回動部は、昇降駆動部17を上下方向の軸周りに回転させることができる。この構成により、昇降駆動部17及び保持部15を回転させることができ、保持部15に保持されている物品Mを上下方向の軸周りに回転させることができる。なお、移載部13は、回動部を備えるか否かは任意であり、備えなくてもよい。
搬送車制御部14は、例えば、本体部12に設けられる。搬送車制御部14は、不図示の上位制御装置から、天井搬送車10の移動先あるいは物品Mの搬送先などの指示を受け、この指示により天井搬送車10を動作させる。また、搬送車制御部14は、天井搬送車10の走行の障害になる情報等を上位制御装置あるいは後述する倉庫制御部24から受信する。例えば、搬送車制御部14は、庫内走行レール30の下方に後述するクレーン23が存在するという情報を倉庫制御部24から受信した場合に、天井搬送車10が庫内走行レール30へ進入するのを規制する。
自動倉庫20は、図1から図3に示すように、天井搬送車10の走行経路である軌道Rの幹線R1に沿った側方に位置するように、建屋等の床部Fに設置されている。自動倉庫20は、壁部21と、棚部22と、クレーン23と、倉庫制御部24と、を有する。自動倉庫20は、壁部21に囲まれた内側空間に複数の物品Mを保管する。自動倉庫20には、天井搬送車10が進入可能な第1エリア20Aと、天井搬送車10が進入できない第2エリア20Bとが設定される。第1エリア20Aは、自動倉庫20の−X側に設定される。第2エリア20Bは、自動倉庫20の+X側に設定される。天井搬送車10が第1エリア20Aに存在しているときでも、第2エリア20Bにおいては、後述するクレーン23の稼働を許容する。
壁部21は、棚部22を囲むように設けられ、自動倉庫20の内外を区画する。壁部21は、例えば上方から見た場合に矩形状に設けられる。なお、図1では、後述するクレーン23の移動空間であるクレーン通路25の+X側及び−X側の端部が開放されているが、壁部21によって閉じられてもよい。クレーン通路25の+X側及び−X側の端部が壁部21で閉じられる場合、+X側及び−X側を壁部21のいずれか一方又は双方に作業者が自動倉庫20内に入るための扉が設けられてもよい。
棚部22は、物品Mを載置可能である。棚部22は、壁部21の内側に設けられた不図示のフレームに支持され、自動倉庫20内の上下方向(Z方向)に複数段設けられる。本実施形態では、このような複数段の棚部22が、X方向に複数列配置される。また、複数段の棚部22は、自動倉庫20内において、後述するクレーン通路25を挟んで2列配置される。また、複数の棚部22のそれぞれには、後述するクレーン23の保持部39が上下方向に通過可能な切り欠き部が形成されている。
本実施形態において、棚部22は、段部22aを有する。段部22aは、自動倉庫20において天井搬送車10が進入可能な第1エリア20A内の+Y側に設けられる。段部22aが設けられた部分は、他の部分よりも床部Fからの高さが低くなっている。段部22aが設けられることにより、戻り用支線R2bを走行する天井搬送車10と棚部22との干渉が回避される。なお、本実施形態では、進入用支線R2aが、自動倉庫20のクレーン通路25のうち−X側の端部25aから庫内走行レール30に接続される。このため、天井搬送車10が戻り用支線R2bを走行するスペースを除いて、段部22aの上方のスペースを利用することが可能となっている。
この段部22aの上方のスペースには、保管棚26が配置される。保管棚26は、例えば吊り下げ部材26aにより天井部Cから吊り下げられている。なお、保管棚26は、棚部22と上下方向において連続するように、棚部22から立ち上がるように設けられてもよい。保管棚26は、天井搬送車10との間で物品Mの受け渡しが可能であり、さらに、後述するクレーン23との間で物品Mの受け渡しが可能である。従って、保管棚26は、天井搬送車10とクレーン23との間で物品Mの受け渡しを行う受け渡しポートとして使用可能である。このように、段部22aが設けられた部分に保管棚26を配置することが可能であるため、段部22aによる棚部22の減少を保管棚26によって補うことができ、物品Mの保管数を確保することができる。
なお、天井搬送車10は、図4に示すように、−Y側の棚部22の最上段に対して物品Mの受け渡しが可能である。ただし、この棚部22に載置する際は、物品Mを180度回転させて物品Mの蓋部がクレーン通路25に向くようにしている。−Y側の棚部22の最上段においても、天井搬送車10とクレーン23とによって物品Mの受け渡しが可能であり、この棚部22の最上段も受け渡しポートとして使用可能である。
図5は、クレーン23の一例を示す図である。クレーン23は、物品Mを水平方向および上下方向に移動させて、例えば移載場所である複数の棚部22のいずれかに移載する。クレーン23は、図5に示すように、2台の走行部31と、マスト32と、昇降台33と、移載部34と、昇降駆動部35と、を備える。走行部31は、庫内走行レール30に沿って走行する。走行部31は、天井搬送車10の走行部11と同様の構成であり、電動モータ又はリニアモータ等の駆動装置により庫内走行レール30を走行する。走行部31による走行及び停止は、クレーン23に備える不図示の制御部によって制御される。
マスト32は、走行部31下方に取り付けられた上部支持体37から吊り下げられており、昇降台33を案内する。マスト32は、走行部31の走行方向の前後両側にそれぞれ設けられている。上部支持体37へのマスト32の取り付けは、例えば、ボルト及びナットなどの締結部材が用いられてもよいし、溶接などが用いられてもよい。
昇降台33は、後述する移載部34によって物品Mを支持し、マスト32に案内されて昇降する。昇降台33は、2つのマスト32の間に配置されている。昇降台33の上面には、移載部34が搭載される。移載部34は、棚部22から物品Mを受け取る際に、棚部22に載置された物品Mに対して、アーム部38が伸びて保持部39を物品Mの底面の下方に配置する。続いて、移載部34は、昇降台33が上昇することによって、棚部22の切り欠き部を通過する保持部39によって物品Mをすくい上げる。続いて、移載部34は、保持部39上に物品Mを載置した状態でアーム部38が縮むことにより、物品M(保持部39)を昇降台33の上に配置する。また、移載部34は、棚部22へ物品Mを渡す際に、棚部22に対して位置決めされた状態でアーム部38を伸ばし、保持部39上の物品Mを棚部22の上方に配置する。続いて、昇降台33が下降することによって、保持部39が棚部22の切り欠き部を通過し、物品Mを保持部39から棚部22に渡す。
昇降駆動部35は、マスト32に沿って昇降台33を昇降させる。昇降駆動部35は、吊り下げ部材35aおよび駆動部35bを備える。吊り下げ部材35aは、例えば、ベルトあるいはワイヤなどであり、昇降台33は、この吊り下げ部材35aによって上部支持体37から吊り下げられている。駆動部35bは、上部支持体37に設けられ、吊り下げ部材35aの繰り出し、又は巻き取りを行う。昇降台33は、駆動部35bが吊り下げ部材35aを繰り出すと、マスト32に案内されて降下する。また、昇降台33は、駆動部35bが吊り下げ部材35aを巻き取ると、マスト32に案内されて上昇する。
昇降駆動部35は、上部支持体37に設けられるが、この構成に限定されない。昇降駆動部35は、例えば、昇降台33に設けられてもよい。昇降台33に昇降駆動部35が設けられる構成としては、例えば、上部支持体37から吊り下げたベルトあるいはワイヤなどを昇降台33に搭載した装置(例、ホイストなど)により巻き上げまたは繰り出しを行うことにより昇降台33を昇降させてもよい。また、昇降台33にピニオンギアを駆動する電動モータ等を搭載し、このピニオンギアと噛み合うラックをマスト32に形成し、電動モータ等を駆動してピニオンギアを回転させることにより昇降台33を昇降させてもよい。
また、クレーン23は、下部連結体40と、ローラ41とを有する。下部連結体40は、マスト32の下部を連結する。ローラ41は、Z軸に沿った軸線周りに回転する。ローラ41は、下側レール42を挟んでY方向に並んで配置される。下側レール42は、ローラ41を案内することにより、クレーン23の下端がY方向に揺動するのを規制する。図3に示すように、下側レール42の−X側の端部42aには、ストッパ42cが配置される。また、下側レール42の+X側の端部42bには、ストッパ42dが配置される。ストッパ42c、42dは、クレーン23がクレーン通路25を超えて移動することを規制する。本実施形態では、後述する庫内走行レール30の+X側の端部30bにストッパ30dが配置されるため、ストッパ42dについては設けなくてもよい。
また、自動倉庫20は、図4に示すように、第2エリア20Bにクレーン23専用の物品Mの入出庫口27を有する。入出庫口27は、壁部21の外側から作業者などによって物品Mの受け渡しが可能である。また、図4の一点鎖線で示すように、壁部21から突出して受け渡しポート27aを設け、入出庫口27と受け渡しポート27aとの間で物品Mを移送させてもよい。入出庫口27においては、天井搬送車10が庫内走行レール30に存在しているときでも、クレーン23によって物品Mの受け渡しを行うことができる。この構成により、天井搬送車10の位置にかかわらず、作業者などとの間で物品Mの受け渡しが可能となり、物品Mの搬送効率を向上させることができる。
倉庫制御部24は、クレーン23の動作を含めた自動倉庫20の動作を制御する。倉庫制御部24は、例えば、クレーン23に対して棚部22の物品Mを他の棚部22(あるいは受け渡しポートとしての棚部22)に移載するよう制御する。また、倉庫制御部24は、庫内走行レール30に天井搬送車10が存在する場合に、クレーン23が第1エリア20Aに進入するのを規制し、天井搬送車10が存在する庫内走行レール30の下方に進入するのを防止する。
庫内走行レール30は、図1から図3に示すように、自動倉庫20のクレーン通路25の上方に配置される。庫内走行レール30は、クレーン通路25に沿ってX方向に沿って延びた状態で配置される。庫内走行レール30は、自動倉庫20の第1エリア20Aから第2エリア20Bにかけて設けられる。庫内走行レール30は、第1エリア20Aに設けられる部分について、天井搬送車10が乗り入れ可能である。庫内走行レール30は、第1エリア20Aに設けられる部分が、自動倉庫20のクレーン23の走行レールとして兼用される。庫内走行レール30が、自動倉庫20のクレーン23の走行レールとしても兼用される場合には、構造をシンプルにすることができ、設置コストを低減できる。
庫内走行レール30は、−X側の端部30aが進入用支線R2aに接続される。庫内走行レール30の+X側の端部30bには、ストッパ30dが設けられる。ストッパ30dは、クレーン23がクレーン通路25を超えて自動倉庫20の外へ移動するのを規制する。また、ストッパ30dは、天井搬送車10が誤って第2エリア20Bに進入した場合に、天井搬送車10が庫内走行レール30を超えて庫内走行レール30から落下するのを防止する。また、庫内走行レール30には、端部30aと端部30bとの中間部分において、戻り用支線R2bが接続される。
自動倉庫システム100の動作を説明する。自動倉庫システム100において、天井搬送車10は、例えば、物品Mを保持して軌道Rの幹線R1を走行し、物品Mを搬送先へと搬送する。以下、天井搬送車10による物品Mの搬送先が自動倉庫20の保管棚26である場合を例に挙げて説明する。
図6は、自動倉庫システム100の動作の一例を示すフローチャートである。図7は、自動倉庫システム100の動作の一態様を示す図である。図6(A)及び図7(A)は、自動倉庫システム100において天井搬送車10が自動倉庫20内に物品Mを搬送する場合の動作を示す図である。また、図6(B)及び図7(B)は、自動倉庫20のクレーン23が物品Mを移載する動作の一態様を示す図である。
天井搬送車10の各動作は、本体部12に備える搬送車制御部14により制御される。天井搬送車10の走行部11は、搬送車制御部14の指示により軌道Rの幹線R1に沿って走行する。走行部11が進入用支線R2aへの分岐部分に到達した場合、図6に示すように、搬送車制御部14は、庫内走行レール30の第1エリア20Aにクレーン23が存在するか否かを判定する(ステップST01)。ステップST01において、搬送車制御部14は、例えば、倉庫制御部24との間で通信を行い、クレーン23のX方向の位置を取得する。搬送車制御部14は、取得したクレーン23のX方向の位置に基づいて、クレーン23が第1エリア20Aに存在するか否かの判定を行う。
搬送車制御部14によりクレーン23が第1エリア20Aに存在しないと判定された場合(ステップST01のNO)、搬送車制御部14は、天井搬送車10の制御部に対して進入可能の情報を供給する。天井搬送車10の制御部は、この情報に基づいて、図7(A)に示すように、天井搬送車10が幹線R1から進入用支線R2aに入り、進入用支線R2aを走行して庫内走行レール30に進入するように制御する(ステップST02)。
また、搬送車制御部14によりクレーン23が第1エリア20Aに存在すると判定された場合(ステップST01のYES)、搬送車制御部14は、天井搬送車10の制御部に対して進入不可の情報を供給する。天井搬送車10の制御部は、この情報に基づいて、図7(B)に示すように、天井搬送車10が幹線R1において待機するように制御する。その後、天井搬送車10は、クレーン23が第1エリア20Aに存在しないと判定されるまで、幹線R1において待機する。なお、天井搬送車10は、幹線R1から進入用支線R2aに進入した位置で待機してもよい。天井搬送車10が進入用支線R2aに進入した位置で待機することにより、幹線R1を走行する別の天井搬送車10の走行の支障とならず、物品Mの搬送効率が低下するのを抑制できる。
天井搬送車10は、庫内走行レール30に進入した後、庫内走行レール30に沿って保管棚26の−Y側の位置まで移動し、走行を停止する。その後、横出し機構18は、保持部15を+Y方向に突出させ、物品Mを保管棚26の上方に配置させる。その後、昇降駆動部17は、保持部15を下降させて物品Mを保管棚26に載置させる。物品Mが保管棚26に載置された後、保持部15は、物品Mの保持を解除する。その後、昇降駆動部17により保持部15を上昇させ、横出し機構18により保持部15を本体部12内に収容する。この一連の動作により、物品Mの搬送が完了する。その後、天井搬送車10は、庫内走行レール30から戻り用支線R2bに入り、戻り用支線R2bを走行して幹線R1に戻る。
また、自動倉庫20では、天井搬送車10により保管棚26に搬送された物品Mを、クレーン23により棚部22に移載する場合がある。以下、自動倉庫20のクレーン23による物品Mの移載動作を説明する。
図6(B)は、自動倉庫システム100において、自動倉庫20のクレーン23による物品Mの移載動作の一例を示すフローチャートである。以下の説明において、自動倉庫20の各動作は、倉庫制御部24の指示により実行される。自動倉庫20において、倉庫制御部24は、庫内走行レール30の第1エリア20Aに天井搬送車10が存在するか否かを判定する(ステップST03)。ステップST03において、倉庫制御部24は、例えば、搬送車制御部14との間で通信を行い、天井搬送車10のX方向の位置を取得する。倉庫制御部24は、取得した天井搬送車10のX方向の位置に基づいて、天井搬送車10が第1エリア20Aに存在するか否かの判定を行う。
倉庫制御部24により天井搬送車10が第1エリア20Aに存在すると判定された場合(ステップST03のYES)、クレーン23は、図7(A)に示すように、第2エリア20Bにおいて待機、又は第2エリア20B内で他の物品Mの移載を行うなどの動作を継続する。その後、クレーン23は、天井搬送車10が第1エリア20Aに存在しないと判定されるまで第1エリア20Aには進入しない。また、倉庫制御部24により天井搬送車10が第1エリア20Aに存在しないと判定された場合(ステップST03のNO)、クレーン23は、図7(B)に示すように、庫内走行レール30に沿って走行し、第2エリア20Bから第1エリア20Aへと進入する(ステップST04)。
クレーン23は、図7(B)に示すように、第1エリア20Aに進入した後、庫内走行レール30に沿って保管棚26の−Y側の位置まで移動し、走行を停止する。その後(あるいは走行動作と並行して)、昇降駆動部35は、昇降台33を上昇または下降させることにより、昇降台33の高さを保管棚26の高さに合わせる。その後、移載部34によりアーム部38を伸張させ、昇降台33によりアーム部38を上昇させることにより、保持部39で物品Mをすくい上げて保持する。その後、移載部34によりアーム部38を縮めて、物品Mを昇降台33上に移動させる。その後、クレーン23は、移載先の棚部22まで移動し、物品Mを棚部22に載置する。この一連の動作により、物品Mの移載が完了する。
このように、本実施形態に係る自動倉庫システム100及び自動倉庫システムの制御方法によれば、自動倉庫20のクレーン通路25を天井搬送車10の通路としても利用するので、天井搬送車10が棚部22の上方を移動する場合と比較して、物品Mの保管数の減少を抑えることができる。また、天井搬送車10は、庫内走行レール30に進入するようになっているため、幹線R1を自動倉庫20から離して配置する必要がなく、工場建屋内のスペース効率が悪化するのを回避できる。
なお、上記した実施形態では、進入用支線R2aが、自動倉庫20のクレーン通路25の端部25aを跨いで庫内走行レール30に接続される構成を例に挙げて説明したが、この例に限定されない。図8(A)及び(B)は、他の例に係る自動倉庫システム100Aの構成を模式的に示す図である。
自動倉庫システム100Aは、図8(A)に示すように、幹線R1から庫内走行レール30の途中の位置に進入用支線R2aが接続される。また、自動倉庫システム100Aは、戻り用支線R2bが、自動倉庫20のクレーン通路25の+X側の端部25bを跨いで庫内走行レール30に接続される。従って、自動倉庫システム100Aにおいては、自動倉庫20の+X側が天井搬送車10の進入可能な第1エリア20Aとなり、自動倉庫20の−X側が、天井搬送車10が進入できない第2エリア20Bとなる。
図8(A)に示すように、庫内走行レール30の−X側の端部30aには、ストッパ30cが配置される。ストッパ30cは、クレーン23が自動倉庫20の−X側から外部に飛び出すことを抑制する。また、図8(B)に示すように、クレーン23の下側レール42には、上記した実施形態と同様に、−X側の端部42aにストッパ42cが配置され、+X側の端部42bにストッパ42dが配置される。なお、図8(A)に示すように、庫内走行レール30の−X側の端部30aにストッパ30cが配置されるため、ストッパ42cはなくてもよい。
このように、自動倉庫システム100Aは、戻り用支線R2bが、自動倉庫20のクレーン通路25の+X側の端部25bを跨いで庫内走行レール30に接続される。この構成により、戻り用支線R2bを配置するために自動倉庫20の棚部22に空けるスペースが抑えられる。
図9(A)及び(B)は、他の例に係る自動倉庫システム100Bの構成を模式的に示す図である。自動倉庫システム100Bでは、図9(A)に示すように、幹線R1から庫内走行レール30の接続位置30eに進入用支線R2aが接続される。また、自動倉庫システム100Aでは、戻り用支線R2bが、庫内走行レール30の接続位置30fから延びて幹線R1に接続される。接続位置30eは、庫内走行レール30のX方向の中央部に対して−X側の位置である。接続位置30fは、庫内走行レール30のX方向の中央部に対して+X側の位置である。
接続位置30e及び接続位置30fは、庫内走行レール30のX方向の中央部分を挟んで配置される。この自動倉庫システム100Bにおいては、接続位置30eと接続位置30fとの間の領域が天井搬送車10の進入可能な第1エリア20Aとなる。第1エリア20Aは、自動倉庫20のX方向の中央部を含む。また、自動倉庫システム100Bにおいては、接続位置30eよりも−X側及び接続位置30fよりも+X側の2つの領域が、天井搬送車10が進入できない第2エリア20Bとなる。
図9(A)に示すように、庫内走行レール30のX方向の端部30a、30bには、ストッパ30c、30cが配置される。また、図9(B)に示すように、クレーン23の下側レール42には、上記した実施形態と同様に、端部42a、42bにそれぞれストッパ42c、42cが配置される。なお、庫内走行レール30にストッパ30c、30cが配置されるため、ストッパ42c、42cはなくてもよい。
このように、自動倉庫システム100Bでは、幹線R1から庫内走行レール30の接続位置30eに進入用支線R2aが接続され、戻り用支線R2bが、庫内走行レール30の接続位置30fから分岐して幹線R1に接続される。この構成では、天井搬送車10から自動倉庫20に搬送される物品Mの搬送先(保管棚26)が、自動倉庫20のX方向の中央部に配置されることになる。この構成により、クレーン23が保管棚26と棚部22との間を移動する距離が全体として短くなる。
図10(A)及び(B)は、他の例に係る自動倉庫システム100Cの構成を模式的に示す図である。自動倉庫システム100Cでは、図10(A)に示すように、進入用支線R2a及び戻り用支線R2bが自動倉庫20の−X側端部及び+X側端部の2個所に配置される。つまり、進入用支線R2a及び戻り用支線R2bが、図2に示す位置と、図8に示す位置とに配置される。従って、自動倉庫システム100Cでは、自動倉庫20の−X側端部及び+X側端部が天井搬送車10の進入可能な2つの第1エリア20Aとなり、自動倉庫20のX方向の中央部分が、天井搬送車10が進入できない第2エリア20Bとなる。
図10(A)に示すように、庫内走行レール30のX方向の端部30a、30bには、ストッパが配置されない。このため、図10(B)に示すように、クレーン23の下側レール42には、−X側の端部42aにストッパ42cが配置され、+X側の端部42bにストッパ42dが配置される。この構成では、天井搬送車10から搬送される物品Mの搬送先(保管棚26)を、自動倉庫20の+X側及び−X側の2個所に設けることができる。また、2つの第1エリア20Aに、それぞれ別の天井搬送車10が進入可能となり、その結果、天井搬送車10から自動倉庫20に効率よく物品Mを搬送することができる。
また、上記した自動倉庫システム100の構成に加え、支線R2において、幹線R1を走行する天井搬送車10、及び庫内走行レール30を走行するクレーン23と干渉しない位置に、天井搬送車10が待機可能な待機位置を設定してもよい。図11は、天井搬送車10の待機位置を模式的に示す図である。図11に示すように、自動倉庫システム100において、進入用支線R2aには、待機位置51が設けられている。また、戻り用支線R2bには、待機位置52が設けられている。この構成により、天井搬送車10が庫内走行レール30に進入する場合、及び天井搬送車10が幹線R1に戻る場合において、幹線R1を走行する他の天井搬送車10、及び庫内走行レール30を走行するクレーン23の走行に支障が生じることを回避しつつ、必要に応じて待機することができ、物品Mの搬送効率の低下を抑制できる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。上記した実施形態では、クレーン23が庫内走行レール30及び下側レール42の双方に沿って移動しているが、下側レール42がない構成であってもよい。また、上記した実施形態では、クレーン23がいわゆる懸垂式クレーンであり、庫内走行レール30を用いて走行する構成を例に挙げて説明したが、この形態に限定されない。例えば、クレーン23は、庫内走行レール30を用いることなく、例えば下側レール42のみを用いて走行する構成であってもよい。また、上記した実施形態では、自動倉庫20に1台のクレーン23が配置されているが、この形態に限定されず、1つの自動倉庫20に2台以上のクレーン23が配置されてもよい。
また、上記した実施形態において、自動倉庫20のクレーン23は、庫内走行レール30から支線R2を介して幹線R1に進入し、幹線R1を走行することも可能である。天井搬送車10の走行部11とクレーン23の走行部31とは構成が同一又はほぼ同一であり、走行部31が幹線R1を走行可能である。その結果、クレーン23は、自動倉庫20から他の自動倉庫20又はメンテナンスエリア等まで幹線R1を介して自走することができる。また、法令で許容される限りにおいて、日本特許出願である特願2017−142647、及び本明細書で引用した全ての文献、の内容を援用して本文の記載の一部とする。