JP6806138B2 - 病理染色用粒子の製造方法、病理染色用粒子および洗浄方法 - Google Patents

病理染色用粒子の製造方法、病理染色用粒子および洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、病理染色用粒子の製造方法、病理染色用粒子および洗浄方法に関し、詳しくは、病理染色に用いられる、輝点の感度及び輝点数の再現性が良好な粒子の製造方法、当該製造方法により作製された病理染色用粒子、および染色スライドを、酸性水溶液を用いて洗浄する処理に関する。
従来、医学的診断の1つとして病理診断が行なわれている。病理医は、病理診断により、人体から採取した組織片に対して行った生体検査の結果を示すデータから病気を診断し、治療や手術の要不要を臨床医に伝える。患者の状態と病理診断によって、内科系医師は薬物治療方針、外科系の医師は手術を行うか否かを決定する。
被験者が対象疾患に罹患しているか否かを判断するためのデータを提供するために、被験者の組織切片等について免疫染色が行われている。この免疫染色では、例えば、前記罹患の有無によって発現量が増減する生体内の分子(抗原)に、蛍光標識した抗体を特異的に結合させることにより抗原を蛍光標識し、蛍光シグナルの量から疾患に関連する抗原の量を定量することが行われる。これにより、被験者が対象の疾患に罹患しているか否かを診断するためのデータが提供される。従来の免疫染色法は、所定の基質を添加したときに色素を生成する酵素で標識した抗体を利用する方法(酵素抗体法)が採用されていた。近年、より識別性に優れる蛍光体で標識した抗体を利用する免疫染色法(蛍光抗体法)が利用されるようになった。蛍光標識した抗体を抗原に結合させる技術として、蛍光色素を粒子に内包または粒子表面に固定させた病理染色用粒子の表面を修飾して修飾足場を作り、この修飾足場に抗体を直接的または間接的に結合させ、これを抗原に結合させる技術が知られている。この技術においては、有効なデータを得るために、蛍光標識に基づき観察される輝点の感度及び輝点数の再現性が良好であることが要求される。
この輝点の感度及び輝点数の再現性の良否は、粒子表面のアミノ基を含む修飾足場に依存していることが知られている。しかし、従来の病理染色技術においては、この修飾足場の量を増やすことが難しいので、輝点の感度及び輝点数の再現性、特に低発現での輝点の感度及び輝点数の再現性を向上させることは困難であった。
粒子を表面修飾する方法として、特許文献1に、ナノ粒子とリガンド相互作用剤を会合させ、ヘキサメトキシメチルメラミンなどの架橋剤でリガンド相互作用剤を架橋させた後、リガンド相互作用剤に表面修飾リガンドを結合させる方法が開示されている。しかし、この方法においてナノ粒子に蛍光色素を含有させて病理染色用粒子として用いても、修飾足場の量を増やすことはできず、輝点の感度及び輝点数の再現性の向上を図ることは困難であった。
前記診断のためのデータを提供するために、臓器摘出や針生検によって得た組織検体を厚さ数ミクロン程度に薄切して組織切片(組織標本)を作成し、組織切片に所定の染色処理を行った後、様々な所見を得るために光学顕微鏡や蛍光顕微鏡を用いて観察することが広く行われている。ここで、蛍光標識のために前述したような蛍光色素を内包した粒子を用いる場合、従来の酵素を利用する免疫染色法と違って色素が混合するということがないので、一枚の組織切片上で、免疫染色法による染色処理に加えて、細胞の形態観察用の染色処理を同時に行うことができる。多くの場合、組織切片は、採取した組織を固定するため脱水し、パラフィンブロック化した後、数μmの厚さに薄切りし、パラフィンを取り除いて作製される。ここで、組織切片は光を殆ど吸収および散乱せず無色透明に近いため、上記観察に先立って、組織切片の細胞形態を観察するための形態観察染色、例えばヘマトキシリンおよびエオジンの2つの色素を用いるヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)が標準的に行われる。他の形態観察染色としては、例えば細胞診で用いられるパパニコロウ染色(Pap染色)等が挙げられる。
例えば、細胞または組織の形態観察用に標準的に用いられているヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を利用する場合、ヘマトキシリン染色により細胞核・石灰部・軟骨組織・細菌・粘液が青藍色〜淡青色に染色され、エオジン染色により細胞質・間質・各種線維・赤血球・角化細胞が赤〜濃赤色に染色される。このようにして免疫染色された組織切片は、褪色防止剤を含有する封入剤を用いて封入処理をした後、所定の励起光を照射しながら蛍光画像が撮影され、さらに明視野において形態観察用の染色画像が撮影される(なお、エオジンは蛍光を発するので、エオジンの染色画像は蛍光画像として撮影することも可能である)。そして、撮影された抗原タンパクが標識された蛍光画像と、細胞膜の位置を特定できる細胞の形態観察用の(蛍光)画像とを重ねあわせ、一細胞あたりの細胞膜領域内に観察される輝点の数を計測し、その値によって抗原タンパクが異常発現しているか否かが判定される。
上記のような免疫染色法(蛍光抗体法)と同時に形態観察染色処理が行われる実施形態においても、蛍光体として蛍光色素内包ナノ粒子を用いることが好適であり、そのような実施形態は、例えば、特許文献2(国際公開WO2013/035703号パンフレット)、特許文献3(国際公開WO2013/147081号パンフレット)などを参照することができる。
特表2015−511167号公報 国際公開WO2013/035703号パンフレット 国際公開WO2013/147081号パンフレット
本発明は、輝点の感度及び輝点数の再現性が良好な病理染色用粒子、特に、低発現での輝点の感度及び輝点数の再現性が良好な病理染色用粒子を製造する方法(以下、「本発明の製造方法」と称する。)を提供することを目的とする。また、本発明は、病理染色用粒子を提供することを第2の目的とする。
従来の免疫染色法による組織評価法で使用される病理染色用粒子は、染色液(例えば、形態観察用染色液であるヘマトキシリン溶液および/またはエオジン溶液)と併用される場合、顕微鏡画像の観察において、病理染色用輝度の低下が生じたりする問題があった。また、病理染色用粒子の輝度低下率は染色液による染色処理ごとに異なり一定ではないため、染色後の病理染色用粒子の輝度のばらつきが大きくなってしまう(つまり一律に補正することができない)という問題もあった。
すなわち、本発明は、免疫染色法により、検体スライド上の組織切片に含まれる目的生体物質を病理染色用粒子で標識する処理(蛍光標識処理)を行い、続いて前記蛍光標識処理された組織切片を形態観察用染色液で染色する処理(染色処理)を行っても、染色スライドの輝度の低下および輝度のばらつきを抑制することのできる方法を提供することを第3の目的とする。
前記目的を達成する本発明は、一つの側面において、
下記一般式(1)で表わされる化合物を縮重合して粒子を製造する病理染色用粒子の製造方法を提供する。
Figure 0006806138
(式(1)において、R1はそれぞれ独立に、水素原子、CH2OR2またはCH2OHであり、R2は有機基であって、R1の少なくとも1つはCH2OHである。)
また、本発明は別の側面において、下記一般式(1)で表わされる化合物の縮重合物を含有する粒子を有する病理染色用粒子を提供する。
Figure 0006806138
(式(1)において、R1はそれぞれ独立に、水素原子、CH2OR2またはCH2OHであり、R2は有機基であって、R1の少なくとも1つはCH2OHである。)
本発明はさらなる側面において、免疫染色法により、検体スライド上の組織切片に含まれる目的生体物質を、前記の病理染色用粒子で蛍光標識する処理(蛍光標識処理)、
前記蛍光標識処理された組織切片を形態観察用染色液で染色する処理(染色処理)、および
染色処理された組織切片を酸性水溶液で洗浄する処理(洗浄処理)を行う、染色スライドの洗浄方法を提供する。
本発明の病理染色用粒子の製造方法によれば、蛍光標識に基づき観察される輝点の感度及び輝点数の再現性、特に低発現での輝点の感度及び輝点数の再現性が良好である病理染色用粒子を製造することができる。
本発明の病理染色用粒子は、蛍光標識に基づき観察される輝点の感度及び輝点数の再現性に優れ、特に低発現での輝点の感度及び輝点数を良好に再現する。この様に、本発明によれば低発現での輝点の感度及び輝点数を良好に再現することが可能な優れた診断性を発現する病理染色用粒子の提供を可能にする。
また、本発明の病理染色用粒子を使用して作製した染色スライドを、酸性水溶液で洗浄処理することにより、検体スライドにヘマトキシリン等の形態観察用染色液を用いて染色しても、染色スライドの輝度のばらつきが低減され、輝度低下を抑制できる。
それにより、目的タンパク質に対応するシグナル精度が向上した蛍光画像を取得し、目的とするタンパク質の発現レベルをより正確に評価することができるようになり、病理診断の信頼性向上につながる。
本発明の製造方法で作製される病理染色用粒子を使用して作製した染色スライドの洗浄方法の免疫染色法に基づく染色を行う場合の実施形態の例を示すフローチャートである。
本発明は、下記一般式(1)で表わされる化合物(以下、化合物(1)ともいう)を縮重合して粒子を製造する病理染色用粒子の製造方法である。また、本発明の病理染色用粒子は、化合物(1)の縮重合物を含有する粒子を有する。
Figure 0006806138
式(1)において、6個のR1はそれぞれ独立に、水素原子、CH2OR2またはCH2OHであり、R2は有機基である。前記有機基としては、化合物(1)が縮重合可能な限り特に制限はなく、例えばアルキル基等が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基等である。
6個のR1のうち、少なくとも1つはCH2OHであり、好ましくは少なくとも2つはCH2OHである。つまり、式(1)で表わされる化合物は1分子中に1〜6個のCH2OH基を有し、2〜6個のCH2OH基を有することが好ましい。6個のR1において、CH2OHと、CH2OR2との合計は4〜6が好ましく、5〜6がより好ましく、6が特に好ましい。
1の2つがCH2OHである場合、式(1)における6個のR1のうちどのR1がCH2OHであっても差し支えない。式(1)に含まれる3つのアミノ基のうちの1つのアミノ基が有する2つのR1がともにCH2OHであってもよく、1つのアミノ基が有する2つのR1のうちの一方がCH2OHであり、他の1つのアミノ基が有する2つのR1のうちの一方がCH2OHであってもよい。R1の3つがCH2OHである場合も、6個のR1のうちどのR1がCH2OHであっても構わず、式(1)に含まれる3つのアミノ基がそれぞれ有する2つのR1のうちの一方がCH2OHであってもよく、1つのアミノ基が有する2つのR1がともにCH2OHであり、他の1つのアミノ基が有する2つのR1のうちの一方がCH2OHであってもよい。R1の4つがCH2OHである場合も、6個のR1のうちどのR1がCH2OHであっても構わず、式(1)に含まれる2つのアミノ基がそれぞれ有する2つのR1がともにCH2OHであってもよく、1つのアミノ基が有する2つのR1がともにCH2OHであり、他の2つのアミノ基がそれぞれ有する2つのR1のうちの一方がCH2OHであってもよい。
式(1)のR1が表わす水素原子及びCH2OR2についても、R1の少なくとも1つがCH2OHである限り、その個数及び結合位置に制限はない。
式(1)で表わされる化合物において、R1の1つがCH2OHである化合物の例としては下記式(2)または(3)で表わされる化合物が挙げられ、R1の3つがCH2OHである化合物の例としては下記式(4)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 0006806138
Figure 0006806138
Figure 0006806138
本発明の製造方法において、化合物(1)は一種単独で使用してもよいし、異なる化学式で表わされる2種以上の化合物(1)を組み合わせて使用してもよい。すなわち、化合物(1)から選ばれる2つ以上の化合物の混合物を使用してもよい。また、式(1)で表わされる、異なる個数のCH2OH基を有する化合物の混合物であって、1分子に含まれるCH2OH基の個数の平均値が1〜6である混合物であってもよい。
従来、メラミン樹脂から作製される病理染色用粒子は、下記式(5)で表わされる化合物を縮重合することにより製造されていた。
Figure 0006806138
下記式(5)で表わされる化合物(以下、化合物(5)ともいう)は、OCH3基は持つが、OH基を持たないので、化合物(5)を縮重合することにより得られるメラミン樹脂粒子もOCH3基は持つが、OH基を持たない。メラミン樹脂粒子に抗体を結合させるとき、一般に、二官能アミンをメラミン樹脂粒子に反応させ、粒子表面を、アミノ基を含む基で修飾して修飾足場を作り、この修飾足場に抗体を直接的または間接的に結合させる。二官能アミンはOCH3基には反応しにくいので、化合物(5)を縮重合することにより得られるメラミン樹脂粒子に修飾足場を多量に導入することはできない。このため、メラミン樹脂から作製される従来の病理染色用粒子に結合させることのできる抗体の量には制限があった。その結果として、蛍光色素を含む、メラミン樹脂から作製される従来の病理染色用粒子は、蛍光標識に基づき観察される輝点の感度及び輝点数の再現性が良好でなかった。
これに対し、本発明の病理染色用粒子の製造方法は、化合物(1)を縮重合して粒子を製造する。化合物(1)は前述のとおりCH2OH基を少なくとも1つ有する。このため、化合物(1)を縮重合することにより得られるメラミン樹脂粒子は、縮重合に関与しなかったCH2OH基に基づくOH基を必然的に有する。OH基は二官能アミンと容易に反応するので、化合物(1)を縮重合して得られたメラミン樹脂粒子に二官能アミンを反応させて、修飾足場を作ることは容易であり、メラミン樹脂粒子に修飾足場を多量に導入することが可能である。このため、化合物(1)を縮重合して得られた病理染色用粒子には多くの抗体を結合させることができ、病理染色用粒子における蛍光色素の密度を高めることができる。その結果として、本発明の製造方法によって得られる、蛍光色素を含む、メラミン樹脂から作製される病理染色用粒子は、蛍光標識に基づき観察される輝点の感度及び輝点数の再現性が良好となる。
以上の説明からわかるとおり、修飾足場を多量に導入するために、メラミン樹脂粒子はOH基を多く有していることが好ましい。化合物(1)が多くのCH2OH基を有しているほど、縮重合に関与しなかったCH2OH基に基づくOH基が多く残存するので、本発明の製造方法において化合物(1)は多くのCH2OH基を有しているほど好ましい。このため、式(1)の6個のR1は、1つは必ずCH2OHであり、2つがCH2OHであるほうが好ましく、6つすべてがCH2OHであることが最も好ましい。
化合物(1)は、メラミンのホルムアルデヒドによるメチロール化、さらにそのメチロール化物とR2OHで表わされる化合物との反応において、メチロール化、及びメチロール化物とR2OHで表わされる化合物との反応の程度を調整することにより合成することができる。メチロール化を強く行えば生成物中に導入されるCH2OH基の数を多くすることができ、メチロール化を弱く行えば生成物中に導入されるCH2OH基の数を少なくすることができる。さらにそのメチロール化物とR2OHで表わされる化合物との反応を行わないか、または弱く行えば残存するCH2OH基の個数を多くすることができ、R2OHで表わされる化合物との反応を強く行えば残存するCH2OH基の個数を少なくすることができる。
本発明の病理染色用粒子の製造方法で使用するメラミン樹脂は、例えば、化合物(1)のうち、CH2OR2であるR1を含み、R2がアルキル基である化合物は、メラミンとホルムアルデヒドとの反応によりメチロールメラミンを合成し、さらにそのメチロールメラミンをR2OHで表わされるアルコールでエーテル化することにより合成することができる。
これらの反応は、常法に従い行うことができる。
式(1)で表わされる化合物を縮重合する際の反応条件は、従来知られているメラミン樹脂の合成条件に従えばよい。
蛍光体集積ナノ粒子は、後述する蛍光色素のような蛍光体を複数個、母体となる物質に内包したり表面に付着させたりすることで集積化した、ナノサイズの(直径が1μm未満の)粒子状の蛍光体である。本発明の製造方法において、蛍光色素の存在下において化合物(1)を縮重合することができる。このように縮重合を行うと、化合物(1)が蛍光色素を包み込みながら縮重合するので、蛍光色素を含有するメラミン樹脂粒子を得ることができる。また、メラミン樹脂は微細な網目構造を有するので、包み込まれた蛍光色素はメラミン樹脂粒子から漏出しにくい。
また、本発明の製造方法の別の態様としては、化合物(1)を縮重合して得られる粒子に、蛍光色素を添加、含有させる病理染色用粒子の製造方法が挙げられる。このような縮重合の後に、蛍光色素を添加、含有させることにより、メラミン樹脂表面に蛍光色素を吸着ないし、メラミン樹脂内部に蛍光色素を内包させることが可能である。このような方法で、病理染色用粒子である、蛍光色素を有するメラミン樹脂粒子を得ることができる。
したがって、本発明においては、蛍光体集積ナノ粒子は、蛍光色素をメラミン樹脂に内包したり表面に付着させたりすることで集積化した、粒子状の蛍光体のことを指す。免疫染色においてこのような蛍光体集積ナノ粒子を用いることは、蛍光体を単独で(蛍光色素を一分子で)用いる場合と比較して、目的とする生体分子を標識した蛍光標識体1つあたりが発する蛍光の強度を増強し、細胞の自家蛍光等のノイズや他の色素との識別性を高めることができること、また励起光の照射による褪色を抑制することができることから好ましい。
前記蛍光色素としては、特に制限がないが、免疫染色の観点から、有機蛍光色素が好ましく、例えば、ローダミン系色素、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)、スクアリリウム系色素、芳香族系色素等が挙げられる。
このうち、芳香族炭化水素系色素などの芳香族系色素、ローダミン系色素などは、比較的耐光性が高いので好ましく、なかでも芳香族系色素に属するペリレン(perylene)やピレン(Pyrene)、ペリレンジイミド(perylene diimide)が好ましい。さらにローダミン系色素やペリレンジイミドは量子収率や吸光等が優れており、発光効率が優れるので、これらを含有した樹脂粒子は、他の色素を含有した樹脂粒子と比べて発光強度が優れる。
ローダミン系色素の具体例としては、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、テキサスレッド、SpectrumRed、LD700PERCHLORATE、それらの誘導体などが挙げられる。
BODIPY系色素の具体例としては、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上インビトロジェン社製)、それらの誘導体などが挙げられる。
スクアリリウム系色素の具体例としては、SRfluor680−Carboxylate、1,3−Bis[4−(dimethylamino)−2−hydroxyphenyl]−2,4−dihydroxycyclobutenediylium dihydroxide, bis、1,3−Bis[4−(dimethylamino)phenyl]−2,4−dihydroxycyclobutenediylium dihydroxide, bis、2−(4−(Diethylamino)−2−hydroxyphenyl)−4−(4−(diethyliminio)−2−hydroxycyclohexa−2,5−dienylidene)−3−oxocyclobut−1−enolate、2−(4−(Dibutylamino)−2−hydroxyphenyl)−4−(4−(dibutyliminio)−2−hydroxycyclohexa−2,5−dienylidene)−3−oxocyclobut−1−enolate、2−(8−Hydroxy−1,1,7,7−tetramethyl−1,2,3,5,6,7−hexahydropyrido[3,2,1−ij]quinolin−9−yl)−4−(8−hydroxy−1,1,7,7−tetramethyl−2,3,6,7−tetrahydro−1H−pyrido[3,2,1−ij]quinolinium−9(5H)−ylidene)−3−oxocyclobut−1−enolate、それらの誘導体などが挙げられる。
芳香族炭化水素系色素の具体例としては、N, N−Bis−(2,6−diisopropylphenyl)−1,6,7,12−(4−tert−butylphenoxy)−perylene−3,4,9,10−tetracarbonaciddiimide、N,N'−Bis(2,6−diisopropylphenyl)−1,6,7,12−tetraphenoxyperylene−3,4:9,10−tetracarboxdiimide、N,N'−Bis(2,6−diisopropylphenyl)perylene−3,4,9,10−bis(dicarbimide)、16,N,N'−Bis(2,6−dimethylphenyl)perylene−3,4,9,10−tetracarboxylicdiimide、4,4'−[(8,16−Dihydro−8,16−dioxodibenzo[a,j]perylene−2,10−diyl)dioxy]dibutyric acid、2,10−Dihydroxy−dibenzo[a,j]perylene−8,16−dione、2,10−Bis(3−aminopropoxy)dibenzo[a,j]perylene−8,16−dione, 3,3'−[(8,16−Dihydro−8,16−dioxodibenzo[a,j]perylen−2,10−diyl)dioxy]dipropylamine、17−BIS(Octyloxy)Anthra[9,1,2−cde−]Benzo[RST]Pentaphene−5−10−Dione、Octadecanoicacid, 5,10−dihydro−5,10−dioxoanthra[9,1,2−cde]benzo[rst]pentaphene−16,17−diylester、Dihydroxydibenzanthrone、Benzenesulfonicacid, 4,4',4'',4'''−[[2,9−bis[2,6−bis(1−methylethyl)phenyl]−1,2,3,8,9,10−hexahydro−1,3,8,10−tetraoxoanthra[2,1,9−def:6,5,10−d'e'f']diisoquinoline−5,6,12,13−tetrayl]tetrakis(oxy)]tetrakis-,Benzeneethanaminium、4,4',4'',4'''−[[2,9−bis[2,6−bis(1−methylethyl)phenyl]−1,2,3,8,9,10−hexahydro−1,3,8,10−tetraoxoanthra[2,1,9−def:6,5,10−d'e'f']diisoquinoline−5,6,12,13−tetrayl]tetrakis(oxy)]tetrakis[N,N,N−trimethyl−]、それらの誘導体などが挙げられる。
蛍光色素の添加量は、化合物(1)1gに対し、通常17〜27mg、好ましくは20〜25mgである。
以上のように化合物(1)を縮重合して製造された病理染色用粒子の平均粒子径は、通常10〜500nmであり、50〜200nmであることが好ましい。平均粒子径の変動係数は5〜20%であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましい。本発明において示される粒子の平均粒子径及びその変動係数は、粒子のSEM観察を行い、得られたSEM像から任意に粒子1000個の粒子径を計測し、その計測値から算出された平均粒子径及びその変動係数である。
本発明の製造方法においては、前述のとおり、式(1)で表わされる化合物を縮重合して得られたメラミン樹脂粒子に二官能アミンを反応させて、粒子の表面に修飾足場となるアミノ基を含む基を導入することができる。
前記二官能アミンとしては、直接的または間接的に抗体を結合させることができる修飾足場を導入できれば特に制限はないが、抗体の効率的な結合などの観点から、特にメタンジアミン及びポリエチレングリコールジアミン等が好適である。また、前記二官能アミンに換えて、その他のアミノ化試薬を用いることもできる。その他のアミノ化試薬としては、例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
メラミン樹脂粒子に対する二官能アミンの反応は、従来知られているメラミン樹脂粒子に対する二官能アミンの反応条件に従えばよい。
化合物(1)を縮重合して得られたメラミン樹脂粒子に二官能アミンを反応させて得られた、表面に修飾足場となるアミノ基を含む基を有する粒子は、常法に従い、その修飾足場に抗体を直接的または間接的に結合させることができる。このように抗体を結合させた粒子は、常法に従い免疫染色に供することができる。前述のとおり、化合物(1)を縮重合して得られた病理染色用粒子を用いて免疫染色を行えば、蛍光標識に基づき観察される輝点の良好な感度及び輝点数の良好な再現性が得られる。特に、従来の病理染色用粒子では満足できるデータが得られなかった低発現においても、良好な輝点の感度及び輝点数の再現性が得られる。
また、本発明の病理染色用粒子は、上記製造方法によって得ることができる。本発明の病理染色用粒子は、後述する本発明の染色スライドの洗浄方法により、蛍光色素の輝度のばらつきの低減、輝度低下を抑制することができるが、この効果がどのような作用機序によってもたらされているかは不明である。恐らく、病理染色用粒子表面の構造が影響していることは推測できるものの、本発明の染色スライドの洗浄方法により得られる効果を発揮するために、必要な構造を明確に示すことは難しい。
本発明の病理染色用粒子の製造方法で作製された病理染色用粒子は、たとえば、免疫染色法により、検体スライド上の組織切片に含まれる目的生体物質を標識する処理(蛍光標識処理)に使用され、続いて前記蛍光標識処理された組織切片を形態観察用染色液で染色する処理(染色処理)を行うことにより染色スライドが作製される。
本発明の病理染色用粒子の製造方法で作製される病理染色用粒子(以下、染色用粒子、あるいは、簡単に粒子、ともいう)は、たとえば、以下の処理を行うことにより染色スライドに使用することができる。
すなわち、検体スライド上の組織切片に含まれる目的生体物質を本発明の病理染色用粒子で標識する処理(蛍光標識処理)、前記蛍光標識処理された組織切片を形態観察用染色液で染色する処理(染色処理)、さらに、染色処理された組織切片を洗浄する処理(洗浄処理)することにより、染色スライドが作製される。
ここで、染色処理された組織切片を洗浄処理する際、洗浄液に酸性水溶液を用いることが好ましい。酸性水溶液を用いた洗浄により、検体スライドにヘマトキシリン、あるいはヘマトキシリン−エオジン等の染色液を用いた染色を行った際、病理染色用粒子の輝度のばらつきがより低減され、輝度低下のさらなる抑制を可能にする。それにより、目的タンパク質に対応するシグナル精度が向上した蛍光画像を取得し、目的とするタンパク質の発現レベルをより正確に評価することができ、病理診断の信頼性を高めることにつながる。
この様に、上記のような手順で検体スライドの染色を行った場合、検体スライドを酸性水溶液で洗浄処理することにより、上記効果が得られる理由は明らかではないが以下の様に推測される。すなわち、ヘマトキシリンやエオジン等の形態観察用染色液が病理染色用粒子に吸着して、輝度の低下やばらつきが発生するものと推測され、酸性水溶液による洗浄により形態観察用染色液の病理染色用粒子への吸着が抑制されて、病理染色用粒子の輝度が比較的高く保たれ、かつ、ばらつきも抑制されるものと考えられる。
本発明の病理染色用粒子の製造方法で作製される病理染色用粒子を使用して染色スライドを作製する際に行われる洗浄処理で使用される酸性水溶液は、pHが2以上7未満のものが好ましく、pHが3以上6.5以下のものがより好ましい。
(染色スライドの作製方法)
以下、染色スライドの作製方法について説明する。
染色スライドを作製するための工程全体は、主に「標本前処理工程」、「染色工程」および「標本後処理工程」に分類することができる。
上記「標本前処理工程」には、一般的に、脱パラフィン処理、抗原賦活化処理、洗浄処理などが含まれる。
上記「染色工程」には、免疫染色法に基づき蛍光標識を行う処理(免疫染色処理)、すなわち目的生体物質を直接的に標識するか、間接的に標識するかに応じた、1次抗体処理、2次抗体処理、蛍光標識処理、形態観察用染色処理などが含まれる。
上記「標本後処理工程」には、洗浄処理、封入処理、必要に応じて溶媒置換処理および脱水処理が含まれる。
以下、本発明を実施するために必要な処理についてさらに説明する。本明細書に特に記載されていない事項、例えば、免疫染色法に基づいて染色されたスライドを完成するために必要とされる工程及び処理の全般的な事項や、完成した染色スライドを用いた観察・撮影工程、撮影された画像を用いた画像処理・分析工程などについては、特許文献2〜3の記載事項およびその他の一般的な技術的事項に準じた適切なものとすることができる。
以下、「染色工程」に含まれる「蛍光標識処理」(免疫染色処理)と「形態観察用染色処理」について説明する。
<蛍光標識処理(免疫染色処理)>
上記「染色工程」に含まれる蛍光標識処理は、免疫染色法に基づいて目的とするタンパク質を病理染色用粒子で標識する処理である。
標識処理を免疫染色法に基づいて行う場合、賦活化処理を経た検体スライドを免疫染色用の標識液に浸漬し、標識液中の1または複数の標識剤を直接的または間接的に標的とするタンパク質(抗原)に結合させて標識化する。
標的タンパク質(抗原)は特に限定されるものではないが、典型的には、免疫染色法に基づく病理診断の対象となり得る遺伝子、例えばHER2、TOP2A、HER3、EGFR、P53、MET、その他の各種のがん・腫瘍関連遺伝子(いわゆるバイオマーカー遺伝子)由来のタンパク質、さらにはがんの増殖因子、転写制御因子、増殖制御因子受容体、転写制御因子受容体等のがんに関連するタンパク質から選択することができる。したがって、次に述べる抗体も、上記のような標的タンパク質(抗原)に適した結合能を有するものとして、公知の手法に基づいて作製することが可能であり、市販品として入手することもできる。
免疫染色処理には様々な手法があり、目的とするタンパク質を蛍光標識して病理診断等に用いることのできるよう組織切片を染色することができれば特に限定されるものではないが、代表的には次のようなものが挙げられる:
蛍光体と1次抗体を連結した蛍光標識1次抗体を用意し、その蛍光標識1次抗体で目的タンパク質を直接的に蛍光標識し染色する方法(1次抗体法);
1次抗体、および蛍光標識体と2次抗体を連結した蛍光標識2次抗体を用意し、目的タンパク質に1次抗体を反応させた後、その1次抗体に蛍光標識2次抗体を反応させることで、目的タンパク質を間接的に蛍光標識し染色する方法(2次抗体法)
1次抗体とビオチンを連結したビオチン修飾1次抗体、および蛍光体とアビジンないしストレプトアビジンを連結したアビジン修飾蛍光体を用意し、目的タンパク質にビオチン修飾1次抗体を反応させた後、さらにアビジン修飾蛍光体を反応させて、アビジン−ビオチン反応を利用して目的タンパク質を間接的に蛍光標識し染色する方法(アビジン−ビオチン併用1次抗体法);
1次抗体、2次抗体とビオチンを連結したビオチン修飾2次抗体、および蛍光体とアビジンないしストレプトアビジンを連結したアビジン修飾蛍光体を用意し、目的タンパク質に1次抗体を反応させ、次いでビオチン修飾2次抗体を反応させた後、さらにアビジン修飾蛍光体を反応させて、アビジン−ビオチン反応を利用して目的タンパク質を間接的に蛍光標識し染色する方法(アビジン−ビオチン併用2次抗体法)。
なお、上記のアビジン−ビオチン併用1次抗体法またはアビジン−ビオチン併用2次抗体法において、ビオチンおよびアビジンの代わりに、ハプテン(免疫原性を有さないが抗原性を示し抗体と反応しうる比較的分子量の低い物質)および抗ハプテン抗体、たとえばジコキシゲニンおよび抗ジコキシゲニン抗体、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)および抗FITC抗原、さらには同様の特異的な反応性を有するその他の物質の組み合わせを利用することもできる。
免疫染色処理は、上述した各種手法のそれぞれに標準的な手順および処理条件に従って行えばよい。一般的には、検体を載置した検体スライドを免疫染色法に応じた1種類または2種類以上の試薬に、適切な温度および時間条件の下(例えば4℃で一晩)、浸漬すればよい。免疫染色に必要な各種の試薬、すなわち蛍光標識1次/2次抗体、ビオチン修飾1次/2次抗体、アビジン修飾2次抗体/蛍光体などが溶解し、必要に応じてBSA等のブロッキング剤が添加された緩衝液等の溶液は、公知の方法にしたがって作製することが可能であり、市販品として入手することもできる。
標識液を用いた処理後、好ましくは検体スライドをPBS等の洗浄液に浸漬して洗浄する。通常、この標識液での処理後に行われるPBSを用いた洗浄処理の温度は室温であり、時間は3〜30分である。必要により、浸漬途中でPBSを交換してもよい。
<形態観察用染色処理>
次に、上記「染色工程」に含まれる「形態観察用染色処理」について説明する。「形態観察用染色処理」は、上記「染色工程」において、標識物質として病理染色用粒子で検体スライドを標識した後、細胞ないし組織の形状や細胞の各部の位置情報を得るために検体スライドを形態観察用染色液で染色するものである。
形態観察用染色液としては、例えばヘマトキシリン染色液、エオジン染色液、パパニコロウ(Pap)染色液が挙げられる。
ヘマトキシリン染色液としては、
マイヤーヘマトキシリン液(組成例:ヘマトキシリン1.0g/カリウムミョウバン50g/よう素酸ナトリウム0.2g/抱水クロラール50g/くえん酸1.0g/蒸留水1,000ml)、マイヤーヘマトキシリン液(×2)(組成例:ヘマトキシリン2.0g/カリウムミョウバン50g/よう素酸ナトリウム0.4g/抱水クロラール50g/くえん酸1.0g/蒸留水1,000ml)、カラッチヘマトキシリン液(組成例:ヘマトキシリン1.0g/カリウムミョウバン50g/よう素酸ナトリウム0.2g/グリセリン200ml/蒸留水800ml)、ギルヘマトキシリン液(No.1,組成例:ヘマトキシリン2.0g/硫酸アルミニウム14〜18水17.6g/よう素酸ナトリウム0.2g/エチレングリコール250ml/氷酢酸20ml/蒸留水730ml)、および、リリーマイヤーヘマトキシリン液(組成例:ヘマトキシリン5.0g/アンモニウムミョウバン50g/よう素酸ナトリウム0.5g/グリセリン300ml/氷酢酸20ml/蒸留水700ml)が挙げられる。
エオシン染色液としては、
1%エオシンY溶液(組成例:エオシンY5.0g/蒸留水500ml/酢酸数滴)、0.1%エオシンYエタノール溶液(組成例:10%エオシンY溶液5ml/95%エタノール495ml)、0.5%エオシンYエタノール溶液(組成例:10%エオシンY溶液25ml/95%エタノール475ml)、および、エオシンアルコール液、酸抽出品(酸抽出エオシン液100ml/95%エタノール800ml/酢酸8ml)が挙げられる。
形態観察用染色液を用いた染色処理は、一般的な手順に従って行えばよい。例えば、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色の場合、マイヤーヘマトキシリン液で5分間染色し、45℃の流水で3分間洗浄した後、1%エオシン液で5分間染色するといった処理が行われる。
<洗浄処理>
上記「標本後処理工程」で行われる洗浄処理は、溶媒置換処理の前に(溶媒置換処理の前に任意工程である脱水処理が行われる場合は脱水処理の前に)行われる処理であって、所定の酸性水溶液を用いて、染色された検体スライドを洗浄する処理である。
前述のヘマトキシリンやエオシンのような形態観察用染色液を用いて形態観察用染色処理を行った後、このような洗浄処理を行う場合、病理染色用粒子に結合した染色液を除去、洗浄することが可能となるものと考えられる。すなわち、染色液は組織のみならず病理染色用粒子にも結合し、その蛍光を失活させる。また、染色液と病理染色用粒子の結合の程度も病理染色用粒子の種類によって異なるため、輝度のばらつきが生じるものと考えられる。所定の酸性水溶液による洗浄処理により、病理染色用粒子と染色液との結合が弱められて蛍光の失活が抑制され、病理染色用粒子の観察が可能となるものと考えられる。
一方、中性〜アルカリ性の水溶液を用いた場合、染色液が病理染色用粒子に結合したままとなるため、輝度が低下するものと推測される。
なお、検体スライドの作製過程では、各種の溶液で検体スライドを処理した後にその検体スライドの洗浄が行われる場合があるが、ここでいう酸性水溶液を用いる洗浄処理は、形態観察用染色液を用いた形態観察用染色処理の後、溶媒置換処理の前に(溶媒置換処理の前に任意工程である脱水処理が行われる場合は脱水処理の前に)行うものを指す。
(酸性水溶液)
上記「洗浄処理」に使用される酸性水溶液は、酸と水とを適切な割合で混合することによって調製することができる。酸性水溶液のpHの範囲は、輝度の低下およびばらつきを抑制する効果を考慮すると、2以上7未満が好ましく、pH3以上6.5以下がより好ましい。酸性水溶液のpHを好ましくは2以上7未満、より好ましくはpH3〜6.5とすることにより、病理染色用粒子の輝度のばらつきを抑制する効果が十分に保持され、輝度の低下を低減する効果が発現される。
酸は水とよく混ざる(相溶性を有する)ものであれば、有機酸・無機酸を問わず使用が可能である。有機酸としては、例えばギ酸、酢酸、クエン酸またはシュウ酸等が挙げられ、無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、リン酸または硫酸等が挙げられる。特に、塩酸、クエン酸等が好適に用いられる。
酸性水溶液を用いた洗浄処理の手法は特に限定されるものではないが、一般的には、容器に収容された酸性水溶液に染色スライドを浸漬するようにして行えばよい。酸性水溶液への浸漬は、通常は室温で行えばよく、浸漬時間は、通常1秒〜30分間、好ましくは5秒〜15分間である。浸漬等の操作は、複数回繰り返してもよい。
[製造例1]
メラミンとホルムアルデヒドとを、メラミン 1、ホルムアルデヒド 6のモル比で混合し、この混合液に水酸化ナトリウムをpH9〜14になるように加え、70℃で30分間加熱反応を行った。その後、その反応物とメタノールを、反応物1、メタノール1のモル比で混合し、この混合液に硫酸をpH0〜3になるように加え、85℃で30分間加熱反応を行い、メラミン樹脂を得た。
[製造例2]
メラミンとホルムアルデヒドとを、メラミン 1、ホルムアルデヒド 5のモル比で混合し、この混合液に水酸化ナトリウムをpH9〜14になるように加え、70℃で30分間加熱反応を行った。その後、その反応物とメタノールを、反応物1、メタノール1のモル比で混合し、この混合液に硫酸をpH0〜3になるように加え、85℃で30分間加熱反応を行い、メラミン樹脂を得た。
[製造例3]
メラミンとホルムアルデヒドとを、メラミン1、ホルムアルデヒド6のモル比で混合し、この混合液に水酸化ナトリウムをpH9〜14になるように加え、70℃で30分間加熱反応を行った。その後、その反応物とメタノールを、反応物 1、メタノール2のモル比で混合し、この混合液に硫酸をpH0〜3になるように加え、85℃で30分間加熱反応を行い、メラミン樹脂を得た。
[製造例4]
メラミンとホルムアルデヒドを、メラミン 1、ホルムアルデヒド 6のモル比で混合し、この混合液に水酸化ナトリウムをpH9〜14になるように加え、70℃で30分間、加熱反応を行った。その後、その反応物と、メタノールを、反応物 1、メタノール 3のモル比で混合し、この混合液に硫酸をpH0〜3になるように加え、85℃で30分間加熱反応を行い、メラミン樹脂を得た。
[製造例5]
メラミンとホルムアルデヒドを、メラミン 1、ホルムアルデヒド 6のモル比で混合し、この混合液に水酸化ナトリウムをpH9〜14になるように加え、70℃で30分間、加熱反応を行った。その後、その反応物とメタノールを、反応物 1、メタノール 4のモル比で混合し、この混合液に硫酸をpH0〜3になるように加え、85℃で30分間加熱反応を行い、メラミン樹脂を得た。
[製造例6]
メラミンとホルムアルデヒドを、メラミン 1、ホルムアルデヒド 6のモル比で混合し、この混合液に水酸化ナトリウムをpH9〜14になるように加え、70℃で30分間、加熱反応を行った。その後、その反応物とメタノールを、反応物 1、メタノール 5のモル比で混合し、この混合液に硫酸をpH0〜3になるように加え、85℃で30分間加熱反応を行い、メラミン樹脂を得た。
[製造例7]
メラミンとホルムアルデヒドを、メラミン 1、ホルムアルデヒド 6のモル比で混合し、この混合液に水酸化ナトリウムをpH9〜14になるように加え、70℃で30分間加熱反応を行った。その後、その反応物とメタノールを、反応物 1、メタノール 6のモル比で混合し、この混合液に硫酸をpH0〜3になるように加え、85℃で30分間加熱反応を行い、メラミン樹脂を得た。
[製造例8]
メラミンとホルムアルデヒドを、メラミン 1、ホルムアルデヒド 6のモル比で混合し、この混合液に水酸化ナトリウムをpH9〜14になるように加え、70℃で30分間加熱反応を行い、メラミン樹脂を得た。
[製造例9]
メラミンとホルムアルデヒドを、メラミン 1、ホルムアルデヒド 4のモル比で混合し、この混合液に水酸化ナトリウムをpH9〜14になるように加え、70℃で30分間加熱反応を行い、メラミン樹脂を得た。
製造例1〜9のメラミン樹脂の製造に使用された化合物のOH基およびメトキシ基の数をH−NMR、熱分析および元素分析で測定し、その結果を表1に示した。
(病理染色用粒子の輝点の感度および再現性評価)
[実施例1]
〔病理染色用粒子の製造〕
蛍光粒子としてPI色素含有ポリメラミン粒子を、下記のとおり作製した。
N,N'−Bis(2,6−diisopropylphenyl)−1,6,7,12−tetraphenoxyperylene−3,4:9,10−tetracarboxdiimideを濃硫酸で処理し、ペリレンジイミドスルホン酸誘導体を作製した。これを酸クロリドに変換してペリレンジイミドスルホン酸クロリド誘導体とした。
ペリレンジイミドスルホン酸クロリド誘導体14.4mgを水22.5mLに加えた後、ホットスターラ―上で、70℃で20分間加熱し、この溶液に製造例1で製造されたメラミン樹脂0.65g加え、さらに5分間加熱撹拌した。この分散液にギ酸100μLを加え、60℃で20分間加熱攪拌した後、室温放冷した。冷却後、反応混合物を遠心用チューブに入れて12,000rpmで20分間遠心分離を行い、上澄みを除去した。得られたPI色素含有ポリメラミン粒子をエタノールと水とで洗浄した。
〔病理染色用粒子への抗体の結合〕
得られたPI色素含有ポリメラミン粒子0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、この分散液にアミノプロピルトリメトキシシランLS−3150(信越化学工業社製)2μLを加えて8時間反応させて、表面アミノ化処理を行なった。
表面アミノ化処理がなされた粒子に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有したEDTAとPBS(リン酸緩衝液生理的食塩水)との混合溶液を加えて、粒子の濃度を3nMに調整した。この分散液に最終濃度が10mMとなるようSM(PEG)12(サーモサイエンティフィック社製、succinimidyl−[(N−maleomidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester)を混合し、1時間反応させた。この混合液を10,000Gで20分間遠心分離を行い、上澄みを除去した後、沈降物に、EDTAを2mM含有したEDTAとPBSとの混合溶液を加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行うことで末端にマレイミド基を有するPI色素含有ポリメラミン粒子(蛍光粒子)を得た。
一方、ストレプトアビジン(和光純薬社製)を、N−succinimidyl S−acetylthioacetate(SATA)を用いてチオール基付加処理を行ったのち、ゲルろ過カラムによるろ過を行い、PI色素含有ポリメラミン粒子に結合可能なストレプトアビジン溶液を得た。
上記のマレイミド基を有するPI色素含有ポリメラミン粒子とストレプトアビジンとを、EDTAを2mM含有したEDTAとPBSとの混合溶液中で混合し、1時間反応させた。反応液に10mMメルカプトエタノールを添加し、反応を停止させた。得られた溶液を遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲルろ過カラムを用いて未反応ストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジン結合PI色素含有ポリメラミン粒子(病理染色用粒子)を得た。
〔免疫染色(免疫組織化学(IHC)法)〕
病理切片として、あらかじめELISAで総タンパク量を測定しているものを使用し、抗原はHER2を用い、判定には、SK-BR−3とMDA-MB-231の培養細胞を用いた。
その後、上記病理切片を、製造例1で製造されたメラミン樹脂を用いて作成したストレプトアビジン結合PI色素含有ポリメラミン粒子(標識体)を用い、免疫染色し、その後形態観察染色(H染色)を実施した。免疫染色と形態観察染色は下記のとおりに実施した。
培養細胞をキシレンにより脱パラフィン処理した後、水に置換する洗浄を行った。洗浄した培養細胞スライドを10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)中で、121℃で5分間オートクレーブ処理することで、抗原の賦活化処理を行った。賦活化処理後の培養細胞スライドを、PBS緩衝液を用いて洗浄した後、湿潤箱中で1時間、1%BSA含有PBS緩衝液を用いてブロッキング処理を行った。ブロッキング処理後、1%BSA含有PBS緩衝液で0.05nMに希釈した抗HER2ウサギモノクローナル抗体(4B5)(ベンタナ社製)を切片と2時間反応させた。これをPBS緩衝液で洗浄後、1%BSA含有PBS緩衝液で2μg/mLに希釈した、4B5に結合することのできるビオチン標識抗ウサギモノクローナル抗体と30分反応させた。この反応後、1%BSA含有PBS緩衝液で0.2nMに希釈した前述のストレプトアビジン結合PI色素含有ポリメラミン粒子を切片と、中性のpH環境(pH6.9〜7.4)、室温の条件下で3時間反応させた。その後、前述の処理を行った培養細胞スライドを、PBS緩衝液(pH7.0)を用いて洗浄した。
以上の免疫染色を行った後、形態観察染色(H染色)を行った。免疫染色した培養細胞スライドをマイヤーヘマトキシリン液で5分間染色してヘマトキシリン染色(H染色)を行い、染色スライドを得た。その後、該切片を45℃の流水で3分間洗浄した。
ヘマトキシリン染色後、純エタノールに5分間漬ける操作4回行い、洗浄および脱水を行った。続いてキシレンに5分間漬ける操作を4回行い、透徹を行った。最後に、封入剤(「エンテランニュー」、Merck社製)を用いて組織切片を封入して観察用のサンプルスライドとした。
[観察工程]
ヘマトキシリン染色後のSK−BR-3とMDA-MB-231の輝点数をカウントし、(SK−BR-3の輝点数/MDA-MB231の輝点数)をSN比とし表1に示した。SN比が15未満である場合は×、15以上20未満である場合は○、20以上である場合は◎と判定した。
免疫染色および形態観察染色した組織切片に対して所定の励起光を照射して蛍光を発光させた。その状態の組織切片を蛍光顕微鏡(BX−53,オリンパス社製)により観察し、撮像した。また、輝点計測は、ImageJ FindMaxima法により計測した(露光時間400m秒でNoiseToleranceは60)。上記励起光の波長は、光学フィルターに通すことで、PI色素含有ポリメラミン粒子に対して575〜600nmに設定した。また、観察する蛍光の波長(nm)の範囲についても、光学フィルターに通すことで、612〜682nmに設定した。顕微鏡観察、画像取得時の励起波長条件は視野中心部付近の照射エネルギーが900W/cm2となるようにした。画像取得時の露光時間は画像の輝度が飽和しないように任意に設定(例えば400m秒に設定)して撮像した。
[実施例2〜7]
製造例1で製造されたメラミン樹脂に替えて、製造例2〜7で製造されたメラミン樹脂をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様に行うことにより、実施例2〜7を実施した。
SN比を表1に示す。実施例1と同様に判定を行った。
[比較例1および2]
製造例1で製造されたメラミン樹脂に替えて、製造例8および9で製造されたメラミン樹脂をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様に行うことにより、比較例1および2を実施した。
SN比を表1に示す。実施例1と同様に判定を行った。
Figure 0006806138
(実施例8〜11;製造例1〜4で作製した粒子を使用し、ヘマトキシリン染色液による形態観察染色後に、洗浄処理を行った場合の輝点の感度および再現性)
前述のH染色までは実施例1〜4と同様に行い、染色スライドを得た。
H染色処理後、各染色スライドに以下の(i)〜(ii)の手順で洗浄処理を行った。
(i)pH7の洗浄液を調製した。pHが7の洗浄液としては、純水を用いた。
(ii)形態観察用染色処理を行った各染色スライドをそれぞれ、常温で洗浄液に4分間浸漬して、洗浄処理を行った。
(脱水処理)
洗浄処理が行われた各染色スライドに対して、脱水エタノールに5分間浸漬した。この操作を4回繰り返し、脱水処理を行った。
(溶媒置換処理)
脱水処理が行われた各染色スライドを、常温で2〜10秒、キシレンに浸漬することで、溶媒置換処理を行った。この操作を4回繰り返した。
(封入処理)
染色スライドを以下の(i)〜(ii)の手順で、封入処理を行った。
(i)溶媒置換処理が行われた染色スライドを常温でエンテランニュー(メルク社)を滴下した後、カバーガラスを被せ、常温で10分間、風乾することで、封入処理を行った。
(ii)その後、シグナルの計測まで、封入処理が行われた染色スライドを遮光して保存した。
<蛍光画像の撮影および分析>
封入処理を終えた各染色スライドに対して所定の励起光を照射して、蛍光を発光させた。その状態の染色スライドを、前述した蛍光顕微鏡(オリンパス社製「BX−53」)、および前述した顕微鏡用デジタルカメラ(オリンパス社製「DP73」)により観察および撮像を行った。上記励起光は、光学フィルターに通すことで575〜600nmに設定した。また、観察する蛍光の波長(nm)の範囲についても、光学フィルターを通すことで612〜692nmに設定した。顕微鏡観察、画像取得時の励起波長の条件は、580nmの励起では視野中心部付近の照射エネルギーが900W/cm2となるようにした。画像取得時の露光時間は、画像の輝度が飽和しないように任意に設定(例えば4000μ秒に設定)して撮像した。HER2(3+)の組織の輝点数は、400倍で撮像した画像をもとにImageJ FindMaxims法により計測した1000細胞の平均値とした。また、撮像した1枚の画像から、1細胞当たりの病理染色用粒子を算出し、ばらつきを表す指標として変動係数(CV)を算出した。
(比較例3;製造例9で作製した粒子を使用し、ヘマトキシリン染色液による形態観察染色後に洗浄処理を行った場合の輝点の感度および再現性)
前述の比較例2で作製したスライドと同様の条件で作製したスライド試料を使用した以外は、実施例8と同様に実施した。
(実施例12〜17;ヘマトキシリン染色液による形態観察染色後のpHの異なる酸性水溶液による洗浄処理を行った場合の輝点の感度および再現性)
前述のH染色までは実施例4と同様に行い、染色スライドを得た。H染色処理後、各染色スライドで、以下の(i)〜(ii)の手順に変更した洗浄処理を行ったこと以外は、実施例8と同様に実施した。(i)pHが1,2,3,4,5または6の6種の洗浄液を調製した。pHが1〜6の洗浄液は、1Mの塩酸を希釈して調製した。
(ii)形態観察用染色処理を行った各染色スライドをそれぞれ、常温で各洗浄液に4分間浸漬して、洗浄処理を行った。
実施例8〜11および比較例3の結果を表2に示す。実施例8〜11の染色スライドは、判定が○以上の良好な結果となった。特に、製造例4で作製した粒子を使用した実施例11の染色スライドは、輝点数(SN比)が多く、また輝度のばらつき(CV)が小さかった。そこで、後述の実施例については、製造例4で作製した粒子を使用した染色スライドを作製することで、実施した。
実施例12〜17の結果を表2に示す。pHが1〜6の酸性の洗浄液を用いた場合、pHが7の中性の洗浄液を用いた場合に比べ、観察される病理染色用粒子の個数が多く、また病理染色用粒子の輝度のばらつき(CV)が小さいことが分かる。
Figure 0006806138
表中の※は、SK−BR−3培養細胞を使用して作製した染色スライドのPIDスコアを表す。当該PIDスコアは、SK−BR−3培養細胞を使用して作製した10枚の染色スライドの輝点数をカウントした解析結果の平均値である。表2中の評価項目で、「−」となっているのは、その評価項目について、未実施であることを示す。
(実施例18−27;ヘマトキシリンーエオジン染色液による形態観察染色後の酸性水溶液による洗浄処理を行った場合の輝点の感度および再現性)
(1)標本前処理工程
(1−1)脱パラフィン処理
HER2陽性染色対照標本の検体スライドとして(コスモバイオ社 CB−A712のシリーズ)を、以下の(i)〜(iii)の手順で脱パラフィン処理を行った。
(i)キシレンを入れた容器に検体スライドを30分間、常温で浸漬する。途中3回キシレンを交換した。(ii)エタノールを入れた容器に検体スライドを常温で、30分間浸漬する。途中3回エタノールを交換した。(iii)水を入れた容器に検体スライドを30分浸漬させた。途中3回水を交換した。
(1−2)賦活化処理
検体スライドを脱パラフィン処理した後、以下の(i)〜(v)の手順で賦活化処理を行った。
(i)検体スライドを水に置換する洗浄を行った。(ii)10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)に検体スライドを30分浸漬させた。(iii)121℃で10分、オートクレーブ処理を行った。(iv)PBSを入れた容器に、オートクレーブ処理後の検体スライドを30分浸漬し、洗浄した。(v)1%BSA含有PBSを検体スライドに載せて、1時間、ブロッキング処理を行った。
(2)免疫染色工程
(2−1)1次抗体処理
検体スライドを賦活化処理した後、1次抗体処理を行った。BSAを1%含有するPBSを用いて、ベンタナ社製「抗HER2ウサギモノクロナール抗体(4B5)」を0.05nMに調製し、該1次抗体の溶液を上述のブロッキング処理した検体スライドに対して4℃で1晩反応させた。
(2−2)2次抗体処理
1次抗体処理を行った検体スライドをPBSで洗浄した後、1%BSA含有のPBSで6μg/mLに希釈した、上記ビオチン修飾2次抗体溶液と室温で30分間反応させた。
(2−3)蛍光標識処理
2次抗体処理を行った検体スライドを以下の(i)〜(ii)の手順で、免疫染色法による蛍光標識処理を行った。
(i)検体スライドに対して、1%BSA含有のPBSで0.02nMに希釈した実施例4で作製した病理染色用粒子を、中性のpH環境(pH6.9〜7.4)室温の条件下で3時間反応させた。
(ii)該反応後の検体スライドをPBSで洗浄した。
(2−4)形態観察用染色処理
蛍光標識処理を行った検体スライドを以下の(i)〜(ii)の手順で、形態観察染色処理(ヘマトキシリンーエオシン染色)を行った。(i)抗体により蛍光標識処理されたスライドをマイヤーヘマトキシリン液で5分間染色してヘマトキシリン染色を行った。その後、該スライドを45℃の流水で3分間洗浄した。
(ii)次に、1%エオシン液で5分間染色してエオシン染色を行い、染色スライドを作製した。当該形態観察染色処理後、10枚の染色スライドを以下の(i)〜(ii)の手順で洗浄処理を行った。
(i)pHが1,2,3,4,5,6,7,8,9または10の10種の洗浄液を調製した。pHが1〜6の洗浄液は、1Mの塩酸を希釈して調製した。pHが7の洗浄液としては、純水を用いた。pHが8〜10の洗浄液は、28%アンモニア水溶液を希釈して調製した。
(ii)形態観察用染色処理を行った10枚の染色スライドをそれぞれ、常温で各洗浄液に10分間浸漬して、洗浄処理を行った。
(脱水処理)
洗浄処理が行われた各染色スライドに対して、脱水エタノールに5分間浸漬した。この操作を4回繰り返し、脱水処理を行った。
(溶媒置換処理)
脱水処理が行われた各染色スライドを、常温で2〜10秒、キシレンに浸漬することで、溶媒置換処理を行った。この操作を4回繰り返した。
(封入処理)
染色スライドを以下の(i)〜(ii)の手順で、封入処理を行った。
(i)溶媒置換処理が行われた染色スライドを常温でエンテランニュー(メルク社)を滴下した後、カバーガラスを被せ、常温で10分間、風乾することで、封入処理を行った。
(ii)その後、シグナルの計測まで、封入処理が行われた染色スライドを遮光して保存した。
<蛍光画像の撮影および分析>は前記[0105]に記載の方法と同様に実施した。
Figure 0006806138
表中の※は、HER2陽性染色対照標本の検体スライドを使用して作製した染色スライドのPIDスコアを表す。当該PIDスコアは、同一の患者由来のHER2陽性染色対照標本の検体スライドを使用して作製した10枚の染色スライドの輝点数をカウントした解析結果の平均値である。
実施例18〜27の結果を表3に示す。pHが1〜6の酸性の洗浄液を用いた場合、pHが7〜10の中性またはアルカリ性の洗浄液を用いた場合に比べ、観察される病理染色用粒子の個数が多く、また病理染色用粒子の輝度のばらつき(CV)が小さいことが分かる。

Claims (19)

  1. 下記一般式(1)で表わされる化合物を縮重合して粒子を製造する病理染色用粒子の製造方法。
    Figure 0006806138
    (式(1)において、R1はそれぞれ独立に、水素原子、CH2OR2またはCH2OHであり、R2は有機基であって、R1の少なくとも1つはCH2OHであり、 1 の少なくとも1つはCH 2 OR 2 である。)
  2. 前記式(1)において、R1の少なくとも2つはCH2OHである請求項1に記載の病理染色用粒子の製造方法。
  3. 前記一般式(1)で表される化合物を縮重合して得られる粒子に、蛍光色素を添加、含有させる請求項1または2に記載の病理染色用粒子の製造方法。
  4. 前記蛍光色素の存在下において前記式(1)で表わされる化合物を縮重合して、蛍光色素を含有する粒子を製造する請求項1または2に記載の病理染色用粒子の製造方法。
  5. 前記蛍光色素はローダミンまたは芳香族系色素である請求項3または4に記載の病理染色用粒子の製造方法。
  6. 前記式(1)で表わされる化合物を縮重合して得られた粒子に二官能アミンを反応させて、前記粒子の表面を、アミノ基を含む基で修飾する請求項1〜5のいずれかに記載の病理染色用粒子の製造方法。
  7. 前記二官能アミンはメタンジアミンまたはポリエチレングリコールジアミンである請求項6に記載の病理染色用粒子の製造方法。
  8. 前記病理染色用粒子が蛍光体集積ナノ粒子であって、その平均粒子径が10nm〜500nmである、請求項3〜7のいずれかに記載の病理染色用粒子の製造方法。
  9. 下記一般式(1)で表わされる化合物の縮重合物を含有する粒子を有する病理染色用粒子。
    Figure 0006806138
    (式(1)において、R1はそれぞれ独立に、水素原子、CH2OR2またはCH2OHであり、R2は有機基であって、R1の少なくとも1つはCH2OHであり、 1 の少なくとも1つはCH 2 OR 2 である。)
  10. 前記式(1)において、R1の少なくとも2つはCH2OHである請求項9に記載の病理染色用粒子。
  11. 前記病理染色用粒子が、一般式(1)で表される化合物の縮重合物を含有する粒子に、蛍光色素を含有させた粒子である請求項9または10に記載の病理染色用粒子。
  12. 前記蛍光色素がローダミンまたは芳香族系色素である請求項11に記載の病理染色用粒子。
  13. 前記式(1)で表わされる化合物の縮重合物を含有する粒子の表面にアミノ基を含む基が存在する請求項9〜12のいずれかに記載の病理染色用粒子。
  14. 前記粒子の表面に存在するアミノ基を含む基がメタンジアミンまたはポリエチレングリコールジアミンに由来する構造を有する請求項13に記載の病理染色用粒子。
  15. 前記病理染色用粒子が蛍光体集積ナノ粒子であり、その平均粒子径が10nm〜500nmである、請求項9〜14のいずれかに記載の病理染色用粒子。
  16. 免疫染色法により、検体スライド上の組織切片に含まれる目的生体物質を、請求項9〜15のいずれかに記載の病理染色用粒子で蛍光標識する処理(蛍光標識処理)、
    前記蛍光標識処理された組織切片を形態観察用染色液で染色する処理(染色処理)、および
    染色処理された組織切片を酸性水溶液で洗浄する処理(洗浄処理)を行う、染色スライドの洗浄方法。
  17. 前記酸性水溶液のpHが2以上7未満である、請求項16に記載の染色スライドの洗浄方法。
  18. 前記酸性水溶液のpHが3以上6.5以下である、請求項16または17に記載の染色スライドの洗浄方法。
  19. 前記染色液がヘマトキシリンおよび/またはエオジンより選択される、請求項16〜18のいずれかに記載の染色スライドの洗浄方法。
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