(本発明の基礎となった知見)
天井板等の造営材の上には、断熱性を高める断熱材施工(SB施工ともいう)が施されている場合がある。このような断熱材施工が施されている天井板にダウンライト等の照明器具を取り付ける場合に、通常のフィンを備えた放熱部材では、フィンの形状が自然対流向けの形状に最適化されているため、放熱部材が断熱材で覆われてしまうと、照明器具に生じる熱を十分に放熱することができない恐れがある。
このため、造営材に断熱材施工が施されている環境下で、断熱材に放熱部材が覆われても、照明器具の放熱性を確保することができる放熱部材が求められている。
そこで、放熱部材が断熱材で覆われた状態でも、放熱性を向上させることができる照明器具を提供する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、「略**」との記載は、「略同一」を例に挙げて説明すると、全く同一はもとより、実質的に同一と認められるものを含む意図である。なお、「**近傍」との記載においても同様である。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態)
[構成]
まず、本実施の形態に係る照明器具10の構成について、図1〜図4を用いて説明する。
図1は、実施の形態に係る照明器具10を示す斜視図である。図2は、図1のII−II線における実施の形態に係る照明器具10の断面図である。図3は、実施の形態に係る照明器具10の外観を示す平面図である。図4は、実施の形態に係る照明器具10の放熱板30及び発光モジュール50の斜視図である。
図1では、発光モジュール50の光軸Jの方向に平行な方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な方向をX軸方向とし、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向をY軸方向とする。なお、本実施の形態では、Z軸方向が鉛直方向であり、照明器具10は鉛直方向下向き(Z軸マイナス方向)に光を出射する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。なお、各図では、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、使用態様によって変化するため、これには限定されない。
図1及び図2に示される照明器具10は、造営材に形成された取付孔91に取り付けられる照明器具10である。照明器具10は、例えば建物の天井板90等の造営材に埋め込み配設されることにより、床や壁等の下方向(Z軸マイナス方向)を照明するダウンライト等の埋込型照明器具である。なお、照明器具10は、造営材に対して光軸J方向を傾斜させることができる、いわゆるユニバーサルダウンライトであってもよい。
図2に示されるように、天井板90は、X軸方向及びY軸方向で規定される平面と略平行に設けられている。天井板90の上面(Z軸プラス方向側の面)には、断熱材80が載置されている。断熱材80は、照明器具10が天井板90に取り付けられた場合において、天井板から上方向(Z軸プラス方向)に突出している照明器具10の一部分を覆っている。
照明器具10は、器具本体20と、発光モジュール50と、光学部材60とを備える。なお、図示しないが、発光モジュール50等は、ねじなどの固定部材で器具本体20に取り付けられている。
[器具本体]
器具本体20は、照明器具10の本体部分であり、発光モジュール50が取り付けられる。器具本体20は、放熱板30と、枠部材40(筐体の一例)とを備える。
図2及び図3に示されるように、放熱板30は、発光モジュール50が取り付けられる板状の部材であり、X軸方向及びY軸方向で規定される平面と略平行に設けられ、平面視で略矩形状をなしている。放熱板30は、発光モジュール50で発生した熱を放熱する。つまり、放熱板30は、発光モジュール50の熱を放散させるヒートシンクとして機能する。
照明器具10を平面視した場合において、放熱板30は、発光モジュール50の光軸Jと略直交する方向に、枠部材40よりも全周に渡って張り出すように延在している。本実施の形態では、放熱板30を平面視した場合において、延在板部31は、延在する方向と略直交する方向の幅が、どの方向においても、枠部材40の幅(枠部材40における径方向の幅)よりも大きい。
また、本実施の形態では、照明器具10の上下方向の高さが増さないように、放熱板30の高さは、枠部材40の高さよりも小さく設定されている。照明器具10の上下方向の高さは、鍔状部43の下面から放熱板30の上面までの距離である。放熱板30の高さは、放熱板30の下面から放熱板30の上面までの距離である。枠部材40の高さは、鍔状部43の下面から枠部材40の上面までの距離である。
放熱板30は、例えば、アルミニウム合金、銅合金等の金属製である。放熱板30は、例えば、アルミニウム合金を用いたアルミダイキャスト製であってもよく、プレス加工により成形してもよい。本実施の形態では、放熱板30は、平面視で矩形状をなしているが、形状は特に限定されない。
放熱板30は、延在板部31と、取付台35とを有する。
延在板部31は、平面視で略矩形状をなし、発光モジュール50で発生した熱を放熱することが可能な板状の部材である。延在板部31は、X軸方向及びY軸方向で規定される平面と略平行に設けられている。
延在板部31は、平面視した場合、枠部材40よりも全周に渡って張り出すように延在している。つまり、延在板部31は、枠部材40の幅よりも大きい。具体的には、照明器具10を平面視した場合において、放熱板30の幅W2は、枠部材40の幅W1よりも大きい。また、天井板90の取付孔91に取り付けた照明器具10を平面視した場合に、延在板部31の一部が天井板90と重なっている。
取付台35には、発光モジュール50が取り付けられる。取付台35は、平面視で、延在板部31に形成されている凸部であり、発光モジュール50が取り付けられる台として機能する部材である。取付台35は、X軸方向及びY軸方向で規定される平面と略平行に設けられている。本実施の形態では、取付台35の図心と放熱板30の延在板部31の図心とが一致している。
取付台35は、第1凸部36と、第2凸部37とを有する。
第1凸部36は、放熱板30の下面(Z軸マイナス方向側の面)から下方向に突出している台である。第2凸部37は、第1凸部36の略中央部から下方向に突出する台であり、第1凸部36よりも小径である。第1凸部36及び第2凸部37は、2つの段部を形成している。取付台35を平面視した場合に、第2凸部37の先端面(Z軸マイナス方向側の面)である取付面37aには、発光モジュール50が取り付けられている。
なお、取付台35は、第1凸部36及び第2凸部37に限定されず、3つ以上あってもよく、第1凸部36又は第2凸部37のいずれか1つであってもよい。また、本実施の形態では、取付台35は、放熱板30と一体化されているが、放熱板30と別部材であってもよい。また、取付台35は、放熱板30になくてもよく、放熱板30の必須の構成要件ではない。
図1及び図2に示されるように、枠部材40は、発光モジュール50を収容する部材であり、筒状をなしている。枠部材40は、放熱板30に固定されている。
枠部材40は、筒部41と、鍔状部43と、支持部44とを有する。
筒部41は、Z軸方向に貫通した筒体であり、Z軸プラス方向側で発光モジュール50の周囲を囲んでいる。本実施の形態では、筒部41は、円筒状をなしているが、形状は特に限定されない。
筒部41は、内周面41aを有している。内周面41aは、筒部41の内部に形成された支持部44よりもZ軸マイナス方向側に形成され、筒部41の内部に形成された曲面である。具体的には、内周面41aは、光学部材60側(Z軸プラス方向側)の端部から、光が出射される側(Z軸マイナス方向側)の端部に向かって内径が漸次大きくなるように構成された筒状の曲面である。
内周面41aは、光学部材60から出射された光の配光を制御する面である。内周面41aは、光学部材60から出射された光を、略下方向に反射させる。
なお、内周面41aは、内面にアルミニウムなどの金属膜が設けられてもよい。内周面41aは、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)など硬質の白色樹脂材料で形成されてもよい。なお、内周面41aには、光の反射を低下させるために、グレアを防止する黒色塗装がされていてもよい。黒色塗装には、例えば、カーボンブラック等を用いてもよい。また、内周面41aには、白色樹脂材料や黒色塗装に限定されず、グレアを防止することができれば、有色の材料を用いてもよい。
鍔状部43は、筒部41から外側向きに(つまり、光軸Jから遠ざかる向きに)突出する円環状の鍔である。鍔状部43は、後述する取付部材との間で天井板90を挟持することで、照明器具10を天井板90に固定してもよい。
支持部44は、筒部41の内部に形成され、内側に(光軸Jに近づく向きに)突出する円環状の凸部である。支持部44は、発光モジュール50よりもZ軸マイナス方向側に設けられている。支持部44は、支持部44の上側(Z軸プラス方向側)の面で、発光モジュール50と向かい合うように光学部材60を支持する。
[発光モジュール]
図2〜図4に示されるように、発光モジュール50は、放熱板30の中央領域Eに配置される。具体的には、放熱板30及び発光モジュール50を平面視した場合に、放熱板30の中央領域Eは、放熱板30の図心から発光モジュール50の長さで規定される領域である。発光モジュール50の長さとは、発光モジュール50の最長の長さであってもよい。発光モジュール50が放熱板30の中央領域Eに配置とは、発光モジュール50の光軸Jが中央領域E内に存在する場合であってもよい。なお、発光モジュール50の図心は、発光モジュール50の光軸J、より具体的には後述する光源51の光軸Jと同一であってもよい。
発光モジュール50は、光源51と、基台53とを有する。
光源51は、照明器具10から出射される光を生成する。本実施の形態では、光源51は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を有する。光源51は、例えば白色光を出射するように構成されている。光源51は、例えば、COB(Chip On Board)型LEDで構成され、基台53と、基台53上に実装されたベアチップ(LEDチップ)である複数の青色LEDと、それら青色LEDを封止し、黄色蛍光体を含む封止部材とを有する。
光源51に用いられる基台53は、複数のLEDを実装するための実装基板であって、例えばセラミックス基板、樹脂基板又は絶縁被覆されたメタルベース基板などである。また、基台53は、例えば平面視において略矩形状である平面を有する板材である。基台53は、Z軸方向プラス側の面が取付台35に向けて固定される。なお、図示しないが、基台53には、LEDを発光させるための直流電力を外部から受電するための一対の電極端子(正電極端子及び負電極端子)が形成されている。
本実施の形態では、基台53と取付台35との間には、放熱部材である熱伝導シート59が基台53と取付台35とに挟まれるように設けられている。熱伝導シート59は、基台53の上面(Z軸プラス方向側の面)と第2凸部37の取付面37aとで面接触するように設けられている。なお、熱伝導シート59に限らず、放熱グリスなどの放熱部材であってもよい。また、本実施の形態では、基台53と取付台35とに挟まれるように熱伝導シート59が設けられているが、熱伝導シート59が設けられていなくてもよい。例えば、熱伝導シートの代わりに、発光モジュール50と放熱板30とがネジ等の固定部材を介して放熱板30に固定されていてもよい。
[光学部材]
図2に示されるように、光学部材60は、発光モジュール50からの光が入射される透光性の部材である。光学部材60は、発光モジュール50から入射した光の配光を制御して出射する機能を有してもよい。光学部材60は、例えば、円板状のフレネルレンズであってもよい。光学部材60は、反射部材からの光を集光し、略円形の断面を有する光を出射する。
光学部材60は、透光性材料で形成されており、例えばアクリル、ポリカーボネート(PC)などの透明樹脂材料、又はガラス材料などの透明材料で形成される。
[取付部材]
枠部材40の外面には、取付部材が取り付けられていてもよい。取付部材は、照明器具10を天井板90の取付孔91に取り付けるための弾性部材であり、例えば板バネ構造を有していてもよい。取付部材が例えば板バネ構造の場合、鉄等の金属材料からなる長尺状の金属板をプレス加工等によって所定形状に形成される。例えば、枠部材40の外周面には、2つの取付部材が取り付けられていてもよいが、取付部材の個数は2つに限らない。
[シミュレーションによる実験結果の比較]
次に、モデル装置100における放熱板30’及び発光モジュール50の放熱性について説明する。
シミュレーションによる実験モデルでは、X軸方向及びY軸方向の長さを930mmとし、Z軸方向の高さを1015mmとした空間内に、X軸方向及びY軸方向の長さを930mmとし、Z軸方向の高さを530mmとした木製の箱体を、空気層の厚みを485mmとした場合の上方に設ける。また、この実験モデルでは、この箱体の内部に、一様に積層された231mmの厚みからなる断熱材80の層と、断熱材80の上方に空気層とを形成する。この実験モデルでは、この空間内の周囲の室温を30℃とする。
この実験モデルに用いたモデル装置100は、放熱板30’と、放熱板30’に熱的に結合した発光モジュール50とを備える。発光モジュール50における光軸JがZ軸マイナス方向を向くように、モデル装置100を箱体内に配置する。そして、モデル装置100の周囲を断熱材80の層で覆った状態で、モデル装置100の放熱性の測定を行った。
図5では、発光モジュール50を取り付けた放熱板30’を、底部190の上面(Z軸プラス方向側の面)から20mm離間し、かつ、断熱材80の上面から放熱板30’までの距離を206mm離間した状態で、モデル装置100を配置した場合の実験結果を示す。
発光モジュール50における光源51のLEDチップにおいては、基板層の材料がGaAs又はサファイヤであり、熱伝導率が54(W/mK)であり、放射率が0.9であり、発熱量が5.0(W)である。発光モジュール50における光源51の蛍光体においては、材料がシリコンゴムであり、熱伝導率が0.2(W/mK)であり、放射率が0.9である。発光モジュール50の基台53においては、材料がアルミニウム合金のA−5154であり、熱伝導率が127(W/mK)であり、放射率が0.9である。熱伝導シート59においては、商品名がGR−45A(シリコンを基材としている)であり、熱伝導率が4.5(W/mK)であり、放射率が0.9である。
放熱板30’においては、材料がアルミダイカストのADC12であり、熱伝導率が96.3(W/mK)であり、放射率は0.4である。放熱板30’のサイズは、X軸方向の長さ及びY軸方向の長さが134mmであり、高さが5mmである。なお、この放熱板30’では、放熱板30と異なり、取付台35を設けていない。
断熱材80においては、材料がグラスウールであり、熱伝導率が0.044(W/mK)であり、放射率が0.9である。
このような実験モデルにおいて、モデル装置100を用いて測定した結果を図5に示す。
図5の(a)は、実施の形態に係るモデル装置100の放熱板30’の中央領域Eに、発光モジュール50を配置した場合の温度分布を示す図である。図5の(b)は、実施の形態に係るモデル装置100の放熱板30’におけるY軸方向側の端縁に、発光モジュール50を配置した場合の温度分布を示す図である。図5の(c)は、実施の形態に係るモデル装置100の放熱板30’におけるX軸方向側の端縁に、発光モジュール50を配置した場合の温度分布を示す図である。図5の(d)は、実施の形態に係るモデル装置100における放熱板30’の角部に、発光モジュール50を配置した場合の温度分布を示す図である。
図5の(a)では、放熱板30’の図心と発光モジュール50の図心と一致している場合である。図5の(b)では、発光モジュール50は、発光モジュール50の図心が放熱板30’の図心から55mm離れた位置に配置されている。図5の(c)では、発光モジュール50は、発光モジュール50の図心が放熱板30’の図心から59.2mm離れた位置に配置されている。図5の(d)では、発光モジュール50は、発光モジュール50の図心が放熱板30’の図心から83.24mm離れた位置に配置されている。
図5の(a)では、光源51の最大温度が141.6℃である。図5の(b)では、光源51の最大温度が143.5℃である。図5の(c)では、光源51の最大温度が144.1℃である。図5の(d)では、光源51の最大温度が147.5℃である。
この結果から、発光モジュール50の図心が放熱板30’の図心と一致する場合に、放熱効果が最大となることが判る。
[作用効果]
次に、本実施の形態における照明器具10の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る照明器具10は、天井板90に形成された取付孔91に取り付けられる。照明器具10は、発光モジュール50と、発光モジュール50と熱的に結合された放熱板30と、発光モジュール50を収容し、放熱板30に固定された枠部材40とを備える。また、放熱板30は、平面視で、発光モジュール50の光軸Jと略直交する方向に、枠部材40よりも全周に渡って張り出すように延在する。そして、発光モジュール50は、放熱板30の中央領域Eに配置されている。
これによれば、発光モジュール50と熱的に結合された放熱板30が、発光モジュール50の光軸Jと略直交する方向に延在しているため、放熱板30と天井板90とが接近している。このため、放熱板30から天井板90及び天井板90下方の空気層までの熱抵抗を小さくすることができる。
また、放熱板30は、平面視で、発光モジュール50の光軸Jと略直交する方向に、枠部材40よりも張り出すように全周に渡って延在しているため、発光モジュール50で生じた熱が放熱板30で放射状に伝導することができる。このため、図5の(b)〜図5の(d)のように発光モジュール50を放熱板30の端部に配置する場合に比べて、この照明器具10では、放熱性に優れている。
したがって、放熱板30が断熱材80で覆われた状態でも、放熱性を向上することができる。
なお、本実施の形態の実験結果では、放熱板30が断熱材80で覆われた状態を想定しているが、この照明器具10は、放熱板30が断熱材80で覆われていない環境においても有用である。
また、本実施の形態に係る照明器具10において、放熱板30の中央領域Eは、放熱板30の図心から発光モジュール50の長さで規定される領域である。
これにおいても、放熱板30を介した発光モジュール50の放熱性の向上に有用である。
また、本実施の形態に係る照明器具10において、放熱板30の高さは、枠部材40の高さよりも小さい。
これによれば、放熱板30の高さが大きくなり難いため、照明器具10全体を薄型化することができる。このため、照明器具10では、重量の増加を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る照明器具10において、天井板90の取付孔91に取り付けた当該照明器具10を平面視した場合に、放熱板30の一部は、天井板90と重なっている。
これによれば、放熱板30と天井板90との熱抵抗、及び放熱板30と天井板90下方の空気層との熱抵抗が大きくなり難い。このため、放熱板30の熱が断熱材80を介して天井板90及び天井板90下方の空気層に放熱され易い。
(実施の形態の変形例1)
以下、本変形例に係る照明器具のモデル装置200について説明する。
実施の形態では、平面視で略矩形状の放熱板30を用いたが、本変形例では、平面視で円形状の放熱板130が設けられている点で相違する。
本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
[実験結果の比較]
次に、このようなモデル装置200における放熱板130及び発光モジュール50の放熱性について説明する。
放熱板130のサイズは、直径が151.2mmであり、厚みが5mmである。本変形例においても、実施の形態と同様のモデルで実験を行っているため、同一の部分については詳細な説明を省略する。なお、放熱板130の体積は、実施の形態の図5で用いた放熱板30’の体積と同様である。
このような実験モデルにおいて、モデル装置200を用いて測定した結果を図6に示す。
図6の(a)は、本変形例に係るモデル装置200の放熱板130の中央領域Eに、発光モジュール50を配置した場合の温度分布を示す図である。図6の(b)は、本変形例に係るモデル装置200の放熱板130におけるY軸方向側の端縁に、発光モジュール50を配置した場合の温度分布を示す図である。
図6の(a)では、放熱板130の図心と発光モジュール50の図心と一致している場合である。図6の(b)では、発光モジュール50は、発光モジュール50の図心が放熱板130の図心から66.44mm離れた位置に配置されている。
図6の(a)では、光源51の最大温度が144.0℃である。図6の(b)では、光源51の最大温度が147.1℃である。
この結果からも、発光モジュール50の図心が放熱板130の図心と一致する場合に、放熱効果が最大となることが判る。
本変形例における他の作用効果についても、実施の形態と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態の変形例2)
以下、本変形例に係る照明器具の発光モジュール50及び放熱板230について、図7を用いて説明する。
図7は、本変形例に係る照明器具の発光モジュール50及び放熱板230の外観を示す斜視図である。
実施の形態では、照明器具10に平板状の放熱板30を用いたが、本変形例では、放熱板230に熱伝導部240が設けられている点で相違する。
本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図7に示すように、放熱板230は、延在板部231、及び取付台35の他に、熱伝導部240を有する。
熱伝導部240は、天井板と放熱板230の延在板部231とを熱的に結合する。本実施の形態では、熱伝導部240は、放熱板230に一体的に形成され、天井板と熱的に結合するように放熱板230の下面から突出している。熱伝導部240は、放熱板230と天井板とを熱的に結合する熱伝導路として機能する。熱伝導部240は、天井板と熱的に結合するように、放熱板230の一部を折り曲げて形成される。
熱伝導部240は、延在板部231の端縁側に設けられ、延在板部231に対して、略垂直で下方向に折れ曲がっている。熱伝導部240の先端面241(下端面:Z軸マイナス方向側の面)は、天井板の上面と接触している。本実施の形態では、一対の熱伝導部240が延在板部231に形成されているが、1つでもよく、3つ以上でもよい。また、熱伝導部240は、光軸Jに対して線対称に設けられているが、光軸Jに対して対称に設けられていなくてもよい。
このような、本実施の形態に係る照明器具は、さらに、天井板90と放熱板230とを熱的に結合する熱伝導部240とを備える。
これによれば、発光モジュール50で生じた熱が放熱板230に伝導され、断熱材80を介して熱伝導部240から天井板に放熱され、天井板から下方の空気層に放熱される。つまり、発光モジュール50から下方の空気層に至るまで、断熱材80よりも熱抵抗の低い熱伝導部240が形成されているため、この照明器具では、放熱性が向上している。
また、本実施の形態に係る照明器具において、熱伝導部240は、放熱板230に一体的に形成され、天井板90と熱的に結合するように放熱板230から突出している。
これによれば、熱伝導部240が放熱板230に一体的に形成されているため、放熱板230と熱伝導部240とが異なる部材である場合に比べて、熱伝導し易い。
特に、この放熱板230では、熱伝導部240を形成する際に、折り曲げ加工等で形成することができるため、照明器具の部品点数が増加することもなく、製造コストも高騰化し難い。
本変形例における他の作用効果についても、実施の形態と同様の作用効果を奏する。
(変形例等)
以上、本発明について実施の形態及び実施の形態の変形例1、2に基づいて説明したが、本発明は、上記各実施の形態及び実施の形態の変形例1、2に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態等では、筐体と放熱板とが一体的に形成されていてもよい。この場合、筐体と放熱板とが別部材である場合に比べて照明装置の部品点数を削減することができるとともに、照明装置における組み付け工程も削減することができるため、照明装置の製造コストの低廉化を実現することができる。
また、上記実施の形態等では、熱伝導部は、放熱板の一部を折り曲げて形成しているが、これに限定されず、例えば、バネ等で接続してもよい。また、放熱板は、金属製であるが、これに限定されず、樹脂等でもよく、断熱材よりも熱伝導性の優れた材料であればよい。また、放熱板は、シート状でもよく、板状の部材に限定されない。
また、上記実施の形態等では、放熱板は、弾性復元力を有していてもよい。放熱板は、例えば、グラファイトシート等を用いて実現してもよい。例えば、復元力を有しない金属製等の放熱板では、照明器具を造営材に取り付ける際に、取付孔の径が放熱板の径よりも小さい場合では、照明器具の放熱板を取付孔の下側から挿入させて取り付け難い。しかし、この照明器具では、放熱板を弾性変形させて取付孔に挿入することで、取付孔に取り付けることができる。そして、弾性変形した放熱板は、その復元力により姿勢が復帰する。このため、この照明器具では、取付孔に取り付け易い。なお、放熱板が傘状に広がる機械的構造であってもよい。
また、上記実施の形態等における照明器具には、発光モジュールと光学部材との間には、光源から光が出射される側(Z軸プラス方向側)の端部から、光学部材に入射される側(Z軸マイナス方向側)の端部に向かって内径が漸次大きくなるように構成された反射部材をさらに設けてもよい。
また、上記実施の形態等における照明器具は、断熱材施工がされている造営材に用いられているが、これに限定されず、断熱材施工がされていない造営材においても用いることができる。つまり、照明器具の放熱板は、自然対流によっても放熱することができる。
また、上記実施の形態では、照明器具を天井板に形成された取付孔に埋込配設したが、これに限定されず、例えば建物等の壁(造営材の一例)に形成された取付孔に埋込配設してもよい。
また、上記実施の形態等では、放熱板は、平面視で矩形状、円形状をなしているがこれに限定されず、多角形状でもよく、半円状でもよく、これらの組み合わせた形状でもよい。
また、上記実施の形態等では、光源の発光素子は、例えば、表面実装(SMD:Surface Mount Device)型の白色LED素子であってもよい。発光素子は、赤色光を発する赤色LEDチップと、緑色光を発する緑色LEDチップと、青色光を発する青色LEDチップとを含んでいてもよい。これらの赤色光、緑色光及び青色光が混ざることにより、発光素子から白色光が出射されてもよい。
その他、上記各実施の形態及び実施の形態の変形例1、2に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態及び実施の形態の変形例1、2における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。