JP6803228B2 - 磁気記録媒体用基板およびハードディスクドライブ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体用基板およびハードディスクドライブに関する。
近年、ハードディスクドライブに用いられる磁気記録媒体は、記録密度の著しい向上が図られつつある。特に、MR(magneto resistive)ヘッドやPRML(Partial Response Maximum Likelihood)技術が導入されて以来、磁気記録媒体の面記録密度の上昇は、更に激しさを増している。
また、近年のインタ−ネット網の発展やビッグデータの活用の拡大から、データセンターにおけるデータの蓄積量も増大を続けている。そして、データセンターのスペース上の問題から、データセンターの単位体積当たりの記憶容量を高める必要性が生じている。例えば、規格化されたハードディスクドライブ一台当たりの記憶容量を高めるため、磁気記録媒体一枚当たりの記憶容量を高める試みや、ドライブケースの内部に納める磁気記録媒体の枚数を増やす試みが行われている。
磁気記録媒体用基板としては、主に、アルミニウム合金基板とガラス基板が用いられている。このうち、アルミニウム合金基板は、ガラス基板に比べ靱性が高く、製造が容易である特徴を有し、外径が比較的大きい磁気記録媒体に用いられている。3.5インチのハードディスクドライブの磁気記録媒体に用いられるアルミニウム合金基板の厚さは、通常、1.27mmである。
ドライブケースの内部に納める磁気記録媒体の枚数を増やすために、磁気記録媒体用基板を薄板化した場合、アルミニウム合金基板は、ガラス基板に比べ、フラッタリングが生じやすい。フラッタリングとは、磁気記録媒体を高速回転させた場合に生じる磁気記録媒体のばたつきであり、フラッタリングが大きくなると、ハードディスクドライブにおける安定した読み取りが困難になる。
例えば、ガラス基板においては、フラッタリングを抑制するために、磁気記録媒体用基板の材料として、比弾性(比ヤング率)の高い材料を使用することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、3.5インチのハードディスクドライブのドライブケースの内部にヘリウムガスを充填することで、磁気記録媒体のフラッタリングを抑制し、これにより、アルミニウム合金基板を薄板化し、ドライブケースの内部に6枚以上の磁気記録媒体を収納することが行われている。
一方、磁気記録媒体一枚当たりの記憶容量を高めることができる、具体的には、1Tbit/inchクラスの面記録密度を実現することができる次世代記録媒体として、アシスト記録媒体が注目されている。アシスト記録媒体は、近接場光、マイクロ波等を磁気記録媒体に照射して表面を局所的にアシストし、磁気記録媒体の保磁力を低下させて書き込みが行われる。
アシスト記録媒体は、磁性層に、L1型結晶構造を有するFePt合金や、L1型結晶構造を有するCoPt合金が用いられるが、磁性層を形成するためには、基板温度を400℃以上まで高める必要がある。
磁気記録媒体用基板は、一般的には、以下の工程によって製造される。先ず、厚さ2mm以下程度のアルミニウム合金板をドーナツ状に打ち抜いて所望の寸法にする。次に、打ち抜かれたアルミニウム合金板に対して、内外径の面取り加工、データ面の旋削加工を施した後、旋盤加工後の表面粗さやうねりを下げるために、砥石による研削加工を施し、アルミニウム合金基板とする。その後、表面硬さの付与と表面欠陥の抑制を目的として、アルミニウム合金基板の表面にNiPめっき被膜を形成する。次に、NiPめっき被膜が形成されたアルミニウム合金基板の両面(データ面)に対して、研磨加工を施して磁気記録媒体用基板とする。
また、特許文献2には、Wを重量比で1〜20%含む無電解Niめっき膜が形成されている磁気記録媒体用基板が記載されている。
特開2015−26414号公報 特開昭61−224118号公報
本発明は、このような従来の事情に鑑み、規格化されたハードディスクドライブケースに納める磁気記録媒体の枚数を増やす、すなわち、薄板化してもフラッタリングを抑制することを可能とし、機械加工性に優れた磁気記録媒体用基板を提供することを目的とする。
また、本発明は、アシスト記録媒体に適用することが可能とする、すなわち、耐熱性が高い磁気記録媒体用基板を提供することを目的とする。
(1)アルミニウム合金基板の表面にNiWP系めっき被膜が形成されている磁気記録媒体用基板であって、前記NiWP系めっき被膜は、実質的にNi、W、PおよびPbのみからなり、Wを15〜22質量%の範囲内、Pを3〜10質量%の範囲内、Pbを0.03〜0.08質量%の範囲内で含み、厚さが5μm以上であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
(2)前記アルミニウム合金基板は、Mgを2〜7質量%の範囲内、Crを0.02〜0.3質量%の範囲内で含むことを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体用基板。
(3)磁性層に、L1型結晶構造を有するFePt合金、または、L1型結晶構造を有するCoPt合金が用いられている磁気記録媒体用の基板であることを特徴とする(1)または(2)に記載の磁気記録媒体用基板。
(4)外径が53mm以上であり、厚さが0.9mm以下であり、ヤング率が79GPa以上であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板。
(5)3.5インチのハードディスクドライブであって、(3)または(4)に記載の磁気記録媒体用基板が6枚以上用いられていることを特徴とするハードディスクドライブ。
本発明によれば、薄板化してもフラッタリングを抑制することを可能とし、機械加工性に優れた磁気記録媒体用基板を提供することができる。
また、本発明によれば、耐熱性が高い磁気記録媒体用基板を提供することができる。
本実施形態で用いられる研磨盤の一例を示す斜視図である。 本実施形態におけるハードディスクドライブの一例を示す斜視図である。 加熱後の比較例7の磁気記録媒体用基板の表面の微分干渉型光学顕微鏡写真である。 加熱後の実施例1の磁気記録媒体用基板の表面の微分干渉型光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態に係る磁気記録媒体用基板およびハードディスクドライブについて詳細に説明する。
本実施形態における磁気記録媒体用基板は、中心に開口部を有する円盤状のアルミニウム合金基板の表面にNiWP系めっき被膜が形成されている。そして、本実施形態における磁気記録媒体用基板のNiWP系めっき被膜上に、磁性層、保護層、潤滑膜等を順次積層することにより、本実施形態における磁気記録媒体を製造することができる。また、本実施形態におけるハードディスクドライブは、本実施形態における磁気記録媒体の中心部をスピンドルモータの回転軸に取り付けて、スピンドルモータにより回転駆動される磁気記録媒体の面上を磁気ヘッドが浮上走行しながら、磁気記録媒体に対して情報の書き込み又は読み出しを行う。
本実施形態におけるNiWP系めっき被膜は、Wを15〜22質量%の範囲内、Pを3〜10質量%の範囲内、Pbを0.03〜0.08質量%の範囲内、で含む。NiWP系めっき被膜のWの含有量が15質量%未満であると、磁気記録媒体用基板の耐熱性が低下すると共に、ヤング率が低下し、薄板化すると、フラッタリングが大きくなる。一方、NiWP系めっき被膜のWの含有量が22質量%を超えると、NiWP系めっき被膜のアモルファス化が阻害され、機械加工性が低下する。また、NiWP系めっき被膜のPの含有量が3質量%未満であると、NiWP系めっき被膜のアモルファス化が阻害され、機械加工性が低下し、10質量%を超えると、NiWP系めっき被膜の耐熱性が低下する。さらに、NiWP系めっき被膜のPbの含有量が0.03質量%未満である場合、または、0.08質量%を超える場合は、NiWP系めっき被膜のアモルファス化が阻害され、機械加工性が低下する。
磁気記録媒体用基板のめっき被膜には、通常、NiP系めっき被膜が用いられる。しかしながら、NiP系めっき被膜は、耐熱性が低いため、アシスト記録媒体用基板に適用するのは困難であった。すなわち、アシスト記録媒体の磁性層には、L1型結晶構造を有するFePt合金や、L1型結晶構造を有するCoPt合金が用いられるが、これらの磁性層を形成するためには、基板温度を400℃以上まで高める必要がある。このような温度では、NiP系めっき被膜の結晶化が進行し、結晶化に伴う体積の減少により、NiP系めっき被膜にくぼみが生じ、また、NiP系めっき被膜が磁性化する場合があった。
本実施形態におけるNiWP系めっき被膜は、Wの含有量が15質量%以上であるため、耐熱性が高まり、基板温度を400℃以上まで高めても結晶化が進行しない。このため、NiWP系めっき被膜にくぼみが生じにくくなり、また、NiWP系めっき被膜が磁性化しにくくなる。
一方で、NiWP系めっき被膜のWの含有量が15質量%以上であると、Pの含有量が低下し、NiWP系めっき被膜のアモルファス化が阻害される場合がある。そのため、本実施形態におけるNiWP系めっき被膜では、Pbの含有量を0.03〜0.08質量%の範囲内とすることで、NiWP系めっき被膜のWの含有量が15質量%以上である場合でも、NiWP系めっき被膜のアモルファス化を促進することができる。そのため、NiWP系めっき被膜中の欠陥が低下し、高品位の磁気記録媒体用基板を提供することが可能となる。
NiWP系めっき被膜は、従来から使用されているNiWP系めっきと同様の方法を用いて形成することができる。例えば、NiPめっき液にW塩、Pb塩を添加させためっき液を用いることができる。
W塩としては、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム等を用いることができる。
Pb塩としては、酢酸鉛、塩化鉛、酸化鉛等を用いることができる。
めっきは、無電解めっきにより行うのが好ましい。
めっき層の厚さは、めっき液への浸漬時間、めっき液の温度によって調整することが可能である。
めっき条件は、特に限定されるものではないが、めっき浴のpHを5.0〜8.6とし、めっき浴の温度を70〜100℃、好ましくは85〜95℃とし、浸漬時間を90〜150分間とするのが好ましい。
本実施形態におけるアルミニウム合金基板は、Mgを好ましくは2〜7質量%の範囲内、さらに好ましくは3.5〜3.5質量%の範囲内、Crを好ましくは0.02〜0.3質量%の範囲内、さらに好ましくは0.05〜0.25質量%の範囲内で含む。
そして、本実施形態におけるアルミニウム合金基板は、Mg、Crの添加元素の他に、適宜加える添加元素、不可避不純物、残部Alによって構成される。
本実施形態におけるアルミニウム合金基板は、高剛性であり、また、アルミニウム合金を構成する結晶粒は、平均粒径が2μm以下であり、微細である。また、本実施形態におけるアルミニウム合金基板は、本実施形態におけるNiWP系めっき被膜を均一に形成することができる。さらに、本実施形態におけるアルミニウム合金は、機械加工性が高いため、磁気記録媒体用基板を廉価で提供することを可能とする。
以下、各添加元素について詳細に説明する。
Mgは、アルミニウム合金マトリックスに固溶されるとともに、他の添加元素であるCrと結合し、析出物としてマトリックス中に分散し、ヤング率等の機械的特性を向上させ、他の固溶型元素との相乗効果により合金の切削性を一層向上させる。アルミニウム合金基板のMgの含有量が2質量%以上であることにより、上記の効果が向上し、7質量%以下であることにより、アルミニウム合金溶湯の酸化が抑制され、また、塑性加工性も向上する。また、アルミニウム合金基板のCrの含有量が0.02質量%以上であることにより、上記の効果が向上し、0.3質量%以下であることにより、結晶粒の粗大化が抑制される。
適宜加える添加元素としては、Si、Mn、Fe、Cu、Zn、Ti、Pb、Bi、Zr、B、V、Na、Ca、Sr等が挙げられる。
このとき、適宜加える各添加元素の添加量は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下とする。また、適宜加える添加元素の添加量の総量は、好ましくは4質量%以下とする。適宜加える各添加元素の添加量が1質量%以下であると共に、適宜加える添加元素の添加量の総量が4質量%以下であることにより、必須の添加元素であるMg、Crの添加効果が向上する。
適宜加える添加元素の添加効果としては、5000系のアルミニウム−マグネシウム合金で一般的に知られているように、鋳造性(流動性、引け特性、耐熱間割れ性)の改善、機械的性質の向上、機械加工性(切削性)の向上、結晶粒の微細化がある。
本実施形態におけるアルミニウム合金基板は、公知の方法で製造することができる。例えば、成分の分量を調整したアルミニウム合金材料を加熱溶融し、鋳造した後、圧延し、加熱焼鈍し、さらに、規定の寸法の中心に開口部を有する円盤状の基板に加工する。
前述のように、本実施形態におけるアルミニウム合金基板は、規格化されたハードディスクドライブケースに納める磁気記録媒体の枚数を増やす目的で使用されるものであるから、規格化されたハードディスクドライブケース、すなわち、2.5インチのハードディスクドライブケース、3.5インチのハードディスクドライブケース等に収納できることが好ましい。そして、2.5インチのハードディスクドライブでは、最大直径が67mm程度の基板が用いられ、3.5インチのハードディスクドライブでは、最大直径が97mm程度の基板が用いられるため、本実施形態におけるアルミニウム合金基板の外径は、好ましくは53mm以上とする。
本実施形態におけるNiWP系めっき被膜の厚さは、5μm以上とし、好ましく10μm以上とする。NiWP系めっき被膜の厚さが5μm以上であることにより、NiWP系めっき被膜の硬度が高くなり、磁気記録媒体用基板のヤング率を79GPa以上にすることができ、その結果、磁気記録媒体用基板を薄板化しても、フラッタリングを抑制することが可能となる。
本実施形態においては、めっき後のアルミニウム合金基板に加熱処理を施すのが好ましい。これにより、NiWP系めっき被膜の硬度がさらに高くなり、磁気記録媒体用基板のヤング率をさらに高くすることができる。この場合、加熱処理温度を300℃以上とするのが特に好ましい。
本実施形態における磁気記録媒体用基板の製造方法では、アルミニウム合金基板にめっきを施した後に、めっきが施されたアルミニウム合金基板の表面に対して研磨加工を施すのが好ましい。
また、本実施形態においては、平滑で、傷が少ないといった表面品質の向上と生産性の向上との両立の観点から、複数の独立した研磨盤を用いた2段階以上の研磨工程を有する多段階研磨方式を採用するのが好ましい。例えば、めっきが施されたアルミニウム合金基板の表面を研磨する工程として、第1の研磨盤を用いてアルミナ砥粒を含む研磨液を供給しながら粗研磨する粗研磨工程と、粗研磨されたアルミニウム合金基板を洗浄した後に、第2の研磨盤を用いてコロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を供給しながら研磨する仕上げ研磨工程を行う。
図1に、研磨盤の一例を示す。
研磨盤10は、上下一対の定盤11、12を備え、互いに逆向きに回転する定盤11、12の間で複数枚の基板Wを挟み込みながら、定盤11、12に設けられた研磨パッド13により基板Wの両面を研磨する。
本実施形態における磁気記録媒体用基板は、磁性層に、L1型結晶構造を有するFePt合金、または、L1型結晶構造を有するCoPt合金が用いられている磁気記録媒体用の基板、例えば、アシスト記録媒体用基板とするのが好ましい。
このようなアシスト記録媒体は、公知の方法で製造することができる。例えば、まず、本実施形態における磁気記録媒体用基板上に、第1の下地層として、厚さ50nmのCo−50at%Ti{Tiの含有量50at%、残部Co}膜を形成した後、200℃に加熱する。次に、第2の下地層として、厚さ5nmのNiO膜を形成した後、520℃に加熱する。次に、磁性層として、厚さ12nmの(Fe−45at%Pt−5at%Ag)−8mol%SiO−4mol%Cr{SiOの含有量8mol%、Crの含有量4mol%、残部(Ptの含有量45at%、Agの含有量5at%、残部Feの合金)}膜を形成した後、保護層として、厚さ3nmのDLC膜を形成する。
また、このようなアシスト記録媒体が用いられているハードディスクドライブは、アシスト記録媒体の中心部をスピンドルモータの回転軸に取り付けて、スピンドルモータにより回転駆動されるアシスト記録媒体の面上を磁気ヘッドが浮上走行しながら、アシスト記録媒体に対して情報の書き込み又は読み出しを行う。
一般に、ハードディスクドライブでは、磁気記録媒体を5000rpm以上で高速回転させるため、磁気記録媒体の機械的特性が低いと、フラッタリングが大きくなり、ハードディスクドライブにおける安定した読み取りが困難になる。
本願の発明者は、磁気記録媒体のフラッタリングと磁気記録媒体用基板のヤング率には密接な関係があり、磁気記録媒体用基板のヤング率を高めることで、フラッタリングを抑制できることを見出した。そして、本願の発明者は、磁気記録媒体用基板のヤング率を79GPa以上とすることで、外径が53mm以上であり、厚さが0.9mm以下である磁気記録媒体用基板を製造することが可能となることを見出した。
図2に、本実施形態におけるハードディスクドライブの一例を示す。
ハードディスクドライブ101は、磁気記録媒体111と、磁気記録媒体111を記録方向に駆動する媒体駆動部123と、記録部と再生部からなる磁気ヘッド124と、磁気ヘッド124を磁気記録媒体111に対して相対移動させるヘッド移動部126と、磁気ヘッド124からの記録再生信号の処理を行う記録再生信号処理部128とを具備する。
本実施形態における磁気記録媒体用基板は、ヤング率が高く、フラッタリングが抑制されるため、薄板化が可能であり、規格化されたハードディスクドライブケースの内部に納められる磁気記録媒体111の枚数を増やすことにより、高記録容量のハードディスクドライブ101を提供することを可能とする。
また、本実施形態における磁気記録媒体用基板は、大気中でのフラッタリングが抑えられるため、ハードディスクドライブケースの内部にヘリウムガス等の低分子量のガスを封入する必要がなくなり、高記録容量のハードディスクドライブ101の製造コストを低減することができる。
ハードディスクドライブ101は、特に、高記録容量の3.5インチのハードディスクドライブに適用するのが好ましい。
3.5インチのハードディスクドライブには、通常、厚さ1.27mmのアルミニウム合金基板が用いられている磁気記録媒体が最大で5枚収納されている。
これに対し、本実施形態における磁気記録媒体用基板は、厚さを0.9mm以下とすることができるため、磁気記録媒体を6枚以上収納することが可能となる。
以下、実施例、比較例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(アルミニウム合金基板の製造)
Al−Mg4−Mn0.5−Cr0.1−Si0.2−Fe0.3−Zn0.2{Mgの含有量4質量%、Mnの含有量0.5質量%、Crの含有量0.1質量%、Siの含有量0.2質量%、Feの含有量0.3質量%、Znの含有量0.2質量%、残部Al}となるように成分の分量を調整したアルミニウム合金材料としての、鋳塊をダイレクトチル鋳造により製造した。なお、鋳造速度は80mm/分とした。次に、鋳塊を520℃で10時間保持して均質化処理した後、圧延して厚さ1.2mmの板材とした。次に、板材を中央に開口部を有する外径97mmの円盤状に打ち抜いた後、表面、端面をダイヤモンドバイトにより旋削加工し、外径96mm、厚さ0.8mmのアルミニウム合金基板を作製した。
[実施例1]
(無電解めっき膜の形成)
アルミニウム合金基板の表面にNiWP系めっき被膜として、厚さ10μmのNi−W19−P4−Pb0.05{Wの含有量19質量%、Pの含有量4質量%、Pbの含有量0.05質量%、残部Ni}膜を形成した。
めっき液には、硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、酢酸鉛を使用し、これにクエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムを適宜加えて、上記組成のNiWP系めっき被膜が得られるように、成分の分量を調整した。このとき、めっき液のpHを6、めっき温度を90℃、めっき時間を2時間とした。また、めっき後の基板加熱条件を400℃で3分間とした。
(研磨加工)
研磨盤として、上下一対の定盤を備える3段のラッピングマシーンを用いて、NiWP系めっき被膜が形成されたアルミニウム合金基板の表面に対して、研磨加工を施し、磁気記録媒体用基板を作製した。このとき、研磨パッドには、スエードタイプ(Filwel社製)を用いた。そして、第1段目の研磨にはD50が0.5μmのアルミナ砥粒を、第2段目の研磨にはD50が30nmのコロイダルシリカ砥粒を、第3段目の研磨にはD50が10nmのコロイダルシリカ砥粒を用いた。また、研磨時間は、各段5分間とした。
[実施例2]
NiWP系めっき被膜の組成をNi−W22−P3−Pb0.05に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[実施例3]
NiWP系めっき被膜の組成をNi−W17−P6−Pb0.05に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[実施例4]
NiWP系めっき被膜の組成をNi−W15−P8−Pb0.05に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[実施例5]
NiWP系めっき被膜の組成をNi−W19−P4−Pb0.03に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[実施例6]
NiWP系めっき被膜の組成をNi−W19−P4−Pb0.08に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[比較例1]
NiWP系めっき被膜の組成をNi−W19−P4−Pb0.02に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[比較例2]
NiWP系めっき被膜の組成をNi−W19−P4−Pb0.01に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[比較例3]
NiWP系めっき被膜の組成をNi−W19−P4{Wの含有量19質量%、Pの含有量4質量%、残部Ni}に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[比較例4]
NiWP系めっき被膜の組成をNi−W14−P9−Pb0.05に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[比較例5]
NiWP系めっき被膜の組成をNi−W13−P10−Pb0.05に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[比較例6]
NiWP系めっき被膜の代わりに、NiP系めっき被膜として、Ni−P24{Pの含有量24質量%、残部Ni}膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。このとき、めっき後の基板加熱温度を300℃に変更した。
[比較例7]
NiP系めっき被膜の組成をNi−P10−Pb0.05{Pの含有量10質量%、Pbの含有量0.05質量%、残部Ni}に変更した以外は、比較例6と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
[比較例8]
NiP系めっき被膜の組成をNi−P12−Pb0.05に変更した以外は、比較例6と同様にして、磁気記録媒体用基板を作製した。
次に、磁気記録媒体用基板のヤング率を測定した。
(ヤング率)
ヤング率測定装置ARC−Y2型(アグネ社製)を用いて、共振法により磁気記録媒体用基板のヤング率を測定した。
表1に、磁気記録媒体用基板の特性を示す。
次に、磁気記録媒体用基板の機械加工性(平坦性)、フラッタリング、耐熱性(基板のそり、くぼみの深さ、面積密度)を評価した。
(平坦性)
磁気記録媒体用基板の表面を1000倍の微分干渉型光学顕微鏡で観察し、平坦性を評価した。なお、平坦性が優れている場合を◎、使用することが可能な範囲である場合を○、劣っている場合を×として、判定した。
なお、平坦性の判定が×の基板であっても、研磨加工の段数を増やし、また、砥粒の粒径を細かくすることで、平坦性を高めることが可能である。ただし、その場合は、基板の生産性が低下することとなる。
(フラッタリング)
磁気記録媒体用基板を10000rpmで回転させ、磁気記録媒体用基板の最外周面で生じるフラッタリングを、He−Neレーザー変位計を用いて測定した。
(基板のそり)
磁気記録媒体用基板を、真空度1×10−5Paの雰囲気下、450℃で2分間加熱した後の基板のそりを測定した。具体的には、定盤の上に基板を載置した後、光干渉式の非接触型変位測定装置を用いて、定盤の表面から基板の最も高い位置までの距離を測定し、その値から基板の厚さを差し引くことで、基板のそりを測定した。
(くぼみの深さ、面積密度)
磁気記録媒体用基板を、大気中、400℃で2時間加熱した後に基板の表面に生じるくぼみの深さ(平均値)、面積密度を、レーザー式のウェーハ欠陥検査装置を用いて測定した。本装置は、回転している基板にレーザー光線を当て、半径方向に相対移動することによって、基板の全面をレーザービームで走査し、その反射光からくぼみの深さを測定する。このとき、深さが5nm以上のものを、くぼみとして、カウントした。
なお、基板の表面に生じるくぼみは、めっき被膜の結晶化に伴う体積の減少によるものである。
図3に、加熱後の比較例7の磁気記録媒体用基板の表面の微分干渉型光学顕微鏡写真を示す。
図3から、NiP系めっき被膜では、400℃で2時間加熱することにより結晶化が進行し、NiP系めっき被膜の表面に、結晶化に伴う体積の減少によるくぼみが生じることがわかる。
図4に、加熱後の実施例1の磁気記録媒体用基板の表面の微分干渉型光学顕微鏡写真を示す。
図4から、NiWP系めっき被膜では、400℃で2時間加熱しても、表面の平滑性が維持されていることがわかる。
表2に、磁気記録媒体用基板の機械加工性(平坦性)、フラッタリング、耐熱性(基板のそり、くぼみの深さ、面積密度)の評価結果を示す。
表2から、実施例1〜6の磁気記録媒体用基板は、薄板化されているにも関わらず、フラッタリングが小さく、機械加工性に優れ、耐熱性が高いことがわかる。
これに対して、比較例1〜3の磁気記録媒体用基板は、NiWP系めっき被膜のPbの含有量が0〜0.02質量%であるため、機械加工性が低下する。
また、比較例4、5の磁気記録媒体用基板は、NiWP系めっき被膜のWの含有量が13〜14質量%であるため、耐熱性が低下することに加え、ヤング率が小さくなり、フラッタリングが大きくなる。
さらに、比較例6〜8の磁気記録媒体用基板は、NiP系めっき被膜が形成されているため、耐熱性が低下することに加え、ヤング率が小さくなり、フラッタリングが大きくなる。
10 研磨盤
11 定盤
12 定盤
13 研磨パッド
W 基板
101 ハードディスクドライブ
111 磁気記録媒体
123 媒体駆動部
124 磁気ヘッド
126 ヘッド移動部
128 記録再生信号処理部

Claims (5)

  1. アルミニウム合金基板の表面にNiWP系めっき被膜が形成されている磁気記録媒体用基板であって、
    前記NiWP系めっき被膜は、実質的にNi、W、PおよびPbのみからなり、Wを15〜22質量%の範囲内、Pを3〜10質量%の範囲内、Pbを0.03〜0.08質量%の範囲内で含み、厚さが5μm以上であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
  2. 前記アルミニウム合金基板は、Mgを2〜7質量%の範囲内、Crを0.02〜0.3質量%の範囲内で含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用基板。
  3. 磁性層に、L1型結晶構造を有するFePt合金、または、L1型結晶構造を有するCoPt合金が用いられている磁気記録媒体用の基板であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体用基板。
  4. 外径が53mm以上であり、
    厚さが0.9mm以下であり、
    ヤング率が79GPa以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板。
  5. 3.5インチのハードディスクドライブであって、
    請求項3または4に記載の磁気記録媒体用基板が6枚以上用いられていることを特徴とするハードディスクドライブ。
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