(実施例1) 図1ないし図13は、本発明に係る引戸のアシスト装置の実施例1を示す。図2に示す引戸は、ウォークインクローゼットや室内に面して設けた収納室の出入口を1枚構造の戸パネル1で開閉する場合を示している。本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従うものとする。
図2において、出入口に設けた開口枠の上部には、戸パネル1を開閉案内するガイドレール2が固定してあり、その内部に戸パネル1を吊持する左右一対のランナー3と、アシスト装置が収容してある。ランナー3は垂直のランナー軸4を介して、戸パネル1の上隅に装着したランナー台5と連結してある。戸パネル1の前後方向のふらつきを防ぐために、戸パネル1の下面にスライド溝6を設け、同溝6を床面に固定したガイドローラー7で案内している。符号8は把手である。
図7に示すようにガイドレール2は、下向きに開口する断面C字状のアルミニウム条材からなり、その下端の前後にランナー3を案内するレール壁2aが設けてある。この実施例におけるガイドレール2は、アシスト装置を備えていない引戸のランナー用に設けられた既存のガイドレールをそのまま利用しており、一般的なガイドレールに比べてレール内面の上下寸法が小さい。図1に示すようにランナー3は、左右に長いランナーブロック11と、同ブロック11の前後面の左右に配置される4個のローラー12、およびローラー軸13などで構成してある。ランナーブロック11の一側上部には、アシスト装置を連結するための連結座14が突設され、その肉壁の内部にボルト15をねじ込むための板ナット16が装着してある。また、連結座14の下面には4個の位置決めピン17が下向きに突設してある。ランナー3は、戸パネル1の閉じ端側と開放端側を吊持するが、閉じ端側のランナー3の連結座14に、アシスト装置のエンドブロック21がボルト15で連結してある。
図3においてアシスト装置は、上向きに開口するケーシング20と、ケーシング20の両端に固定される一対のエンドブロック21・22と、ガイドレール2の天井壁に固定される一対の切換え具23・24(図2参照)を備えている。ケーシング20の内部には、シリンダー型のダンパー25と、ダンパー25の一端および他端に接合される一対のスライダー26・27と、各スライダー26・27に設けた揺動軸28で左右揺動自在に軸支される一対のトリガー体29・30と、一対の蓄力ばね31と、各スライダー26・27をスライド案内するガイド軸(ばね保形具)32などが配置してある。蓄力ばね31は圧縮コイル形のばねからなり、スライダー26・27とエンドブロック21・22の対向面の間に配置されて、エンドブロック21・22とスライダー26・27を互いに遠ざかる向きに付勢する。ガイド軸32はステンレス製の丸軸で形成してあり、圧縮された蓄力ばね31の中央付近のコイル部が湾曲変形するのを規制するばね保形具を兼ねている。そのために、ガイド軸32の直径を蓄力ばね31の内径より僅かに小さく設定して、蓄力ばね31の内部にガイド軸32を配置している。
ケーシング20は、ステンレス板材を断面コ字状に折曲げて形成してあり、その両端にエンドブロック21・22用の装着部35が切欠き形成してある。また、図3に向かって左半側のケーシング20の前壁の上端と、右半側のケーシング20の後壁の上端のそれぞれに、スライダー26・27の上方移動を規制する規制壁36が折曲げ形成してある。さらに、図3に向かって左半側のケーシング20の後壁と、右半側のケーシング20の前壁のそれぞれに、揺動軸28を左右スライド自在に案内するガイド溝37が形成してある。ガイド溝37は、ケーシング壁を外向きに張り出し形成した左右横長の直線溝からなり、バーリング加工を施して形成してある。符号39は補強壁であり、規制壁36と対向する前後壁を折曲げて形成してある(図7参照)。補強壁39を設けることにより、ケーシング20の構造強度を向上できる。閉じ端側のトリガー体29の移動領域に臨むケーシング20の底壁と、開放端側のトリガー体30の移動領域に臨むケーシング20の底壁には、それぞれトリガー体29・30を捕捉係合するキャッチ開口(キャッチ部)47・77が形成してある。
図4において閉じ端側のエンドブロック21は、上向きに突設されるばね受部41と、ばね受部41の下部から横向きに突設した連結部42を一体に備えた、L字状のプラスチック成形品からなる。ばね受部41には、ガイド軸32の閉じ端を支持する軸支穴44が形成してあり、連結部42の前後には先の位置決めピン17と係合するピン溝45が形成してある。また、連結部42にはボルト15用の挿通穴46が上下貫通状に形成してある。ばね受部41および連結部42の前後幅は、ケーシング20の前後壁の対向間隔より僅かに小さく設定してある。ばね受部41の後面には、トリガー体29の閉じ端側の端部の出入りを許す凹部48が形成してある。
シリンダー型のダンパー25は、開放端側のスライダー27に連結されるシリンダー本体51と、閉じ端側のスライダー26に連結されるピストンロッド52を備えており、ピストンロッド52がシリンダー本体51内へ退入する際の運動エネルギーを吸収して戸パネル1を制動する。そのために、シリンダー本体51の内部にはオイルが封入してある。ダンパー25は、戸パネル1を閉じ端寄りと開放端寄りにおいて制動して、ゆっくりと閉じ端あるいは開放端へと移動させる。ピストンロッド52をスライダー26に追随して円滑に進出移動させるために、ピストンロッド52の周囲に圧縮コイル形のロッドばね53を配置し、同ばね53でピストンロッド52を進出付勢している。なお、ロッドばね53の付勢力は蓄力ばね31の弾性力より充分に小さく設定してある。
閉じ端側のスライダー26は、左右に長い四角棒状の本体部55と、本体部55の後面から開放端側へ向かって張出される支持腕56と、支持腕56の張出し端に設けられるキューブ状のばね受部57を一体に備えたプラスチック成形品からなる。本体部55の開放端には、ピストンロッド52用の連結穴58が凹み形成してあり、ばね受部57にはガイド軸32で案内されるスライド穴(スライド部)59が左右貫通状に設けてある。本体部55とスライド穴59をケーシング20とガイド軸32でスライド案内し、さらに本体部55に固定した揺動軸28をケーシング20のガイド溝37でスライド案内すると、スライダー26の左右スライド動作を円滑にしかも安定した状態で行うことができ、左右スライド時にスライダー26が蛇行するのを確実に防止して、戸パネル1を円滑にアシスト操作できる。
本体部55の後面側にトリガー体29が配置され、本体部55に圧嵌装着した揺動軸28でトリガー体29を左右揺動可能に支持している。図7に示すように揺動軸28には圧嵌溝61が周回状に形成してあり、この圧嵌溝61が本体部55のピン穴62に設けた突リブ63と係合することで、揺動軸28を抜止め保持している。ピストンロッド52は、その突端に固定した丸軸状の連結片64を連結穴58に圧嵌することでスライダー26に接合してある(図1参照)。
閉じ端側のトリガー体29は、切換え具23で傾動操作される切換え凹部67を備えた板状のプラスチック成型品からなり、トリガー体29の閉じ端の下面側には、先のキャッチ開口47に係脱するトリガー爪70が設けてある。切換え凹部67の凹部の左右には、切換え具23で受止められる受け面68と、切換え具23で傾動操作される傾動面69が設けてあり、受け面68に隣接して逃げ穴71が形成してある。逃げ穴71を設けることにより、トリガー体29の上面に逃げ穴71の内部に向かって弾性変形可能な弾性壁73が形成される。弾性壁73の機能は後述する。トリガー体29の開放端側の下面には、トリガー爪70がキャッチ開口47から離脱した状態において、ケーシング20の底壁で受止められる摺動部72が形成してある。
トリガー体29の傾動面69側の板面には、部分円弧状の規制溝99を形成し、スライダー26に固定したピン100で規制溝99の溝端を受止めるようにした。こうしたトリガー体29によれば、トリガー体29が待機姿勢から作動姿勢に切換るときに、受け面68に作用する衝撃をピン100に分散できるので、受け面68が早期に劣化するのを解消してトリガー体29の耐久性を向上できる。
上記のように、トリガー体29を揺動軸28で左右揺動可能に支持することにより、トリガー体29は待機姿勢と作動姿勢の間で往復揺動できる。待機姿勢におけるトリガー体29は、そのトリガー爪70がキャッチ開口47と係合して、蓄力ばね31を蓄力した状態に保持している。この状態の傾動面69を切換え具23で傾動操作することにより、トリガー体29を待機姿勢から作動姿勢に切換えることができる。また、作動姿勢におけるトリガー体29の受け面68を切換え具23で傾動操作することにより、トリガー体29を作動姿勢から待機姿勢に切換えることができる。トリガー体29を待機姿勢から作動姿勢に切換えた状態では、トリガー爪70がキャッチ開口47から離脱するので、蓄力ばね31の蓄力を開放できる。
図5において開放端側のエンドブロック22は、基本的に閉じ端側のエンドブロック21と同様に構成してあり、ばね受部41と連結部42を一体に備えたプラスチック製の成形品からなる。ばね受部41にガイド軸32の開放端を支持する軸支穴44が形成してある点、連結部42にボルト75(図6参照)用の挿通穴46が上下貫通状に形成してある点も、閉じ端側のエンドブロック21と同じである。開放端側のエンドブロック22が閉じ端側のエンドブロック21と異なるのは、連結部42に連続して支持枠79が形成してあり、同枠79で前後一対のローラー80と、垂直軸回りに回転するローラー81を支持している点である。エンドブロック22は、ケーシング20の開放端側の装着部35に装着されて、ケーシング20を前後に貫通するピン82で固定してある。さらに、ケーシング20の下面側から挿通したボルト75を、連結部42に設けた板ナット83にねじ込むことにより、ケーシング20と一体化してある(図6参照)。
開放端側のスライダー27は閉じ端側のスライダー26と同じであり、閉じ端側のスライダー26を左右に反転した状態で使用するので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。開放端側のスライダー27は、閉じ端側のスライダー26と同様に、本体部55とスライド穴59をケーシング20とガイド軸32でスライド案内し、さらに本体部55に固定した揺動軸28をケーシング20のガイド溝37でスライド案内してある。そのため、スライダー27の左右スライド動作を円滑にしかも安定した状態で行うことができ、左右スライド時にスライダー26が蛇行するのを確実に防止して、戸パネル1を円滑にアシスト操作できる。なお、開放端側のスライダー27の本体部55の閉じ端には、シリンダー本体51用の連結穴58が凹み形成してある。本体部55の前面側にトリガー体30が配置され、本体部55に圧嵌装着した揺動軸28でトリガー体30を左右揺動可能に支持している。揺動軸28の圧嵌構造は、閉じ端側のスライダー26の場合と同じである。シリンダー本体51は、その突端に固定した丸軸状の連結片84を連結穴58に圧嵌することでスライダー27に接合してある(図6参照)。
ケーシング20の左右中央には、ブラケット87がピン88で前後のケーシング壁に固定してあり、このブラケット87の左右に設けた軸支穴89と、左右のエンドブロック21・22の軸支穴44・44で、左右のガイド軸32を個別に支持している。蓄力ばね31と前後のケーシング壁との間にトリガー体29・30を配置するために、ガイド軸32はケーシング20の前後中心から前後いずれか一方に偏寄する状態で配置してある。詳しくは、図7および図8に示すように、閉じ端側のガイド軸32を、その中心軸がケーシング20の前後中心から前側へ偏寄する状態で配置して、蓄力ばね31とケーシング後壁との間にトリガー体29を配置するための隙間Eを設けている。また、開放端側のガイド軸32は、その中心軸をケーシング20の前後中心から後側へ偏寄する状態で配置して、蓄力ばね31とケーシング前壁との間にトリガー体30を配置するための隙間Eを設けている。
上記のように、実施例1では、ガイド軸32をケーシング20の前後いずれか一方に偏寄配置して、蓄力ばね31と一方のケーシング壁との間に隙間Eを形成し、この隙間Eを利用してトリガー体29・30を配置するようにした。こうしたアシスト装置によれば、トリガー体29・30を蓄力ばね31の前後いずれか一方に隣接配置することができるので、アシスト装置の前後幅が大きくなるのを解消して、従来のアシスト装置や戸閉装置に比べて、より小型でコンパクトなアシスト装置を提供できる。
開放端側のトリガー体30は閉じ端側のトリガー体29と同じであり、閉じ端側のトリガー体29を左右に反転した状態で使用するので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。開放端側のトリガー体30は、閉じ端側のトリガー体29と同様に、待機姿勢と作動姿勢の間で往復揺動できる。待機姿勢におけるトリガー体30は、そのトリガー爪70がキャッチ開口77と係合して、蓄力ばね31を蓄力した状態に保持している。この状態の傾動面69を切換え具24で傾動操作することにより、トリガー体30を待機姿勢から作動姿勢に切換えることができる。また、作動姿勢におけるトリガー体30の受け面68を切換え具24で傾動操作することにより、トリガー体30を作動姿勢から待機姿勢に切換えることができる。トリガー体30を待機姿勢から作動姿勢に切換えた状態では、トリガー爪70がキャッチ開口77から離脱するので、蓄力ばね31の蓄力を開放できる。
閉じ端側の切換え具23と、開放端側の切換え具24は同じ部品からなり、左右一対の締結座92と、下面中央の切換え突起93を一体に備えている(図9参照)。閉じ端側の切換え具23は、ガイドレール2の閉じ端寄りに配置されて、締結座92に挿通した2個のビス94でレール天井壁に締結固定してある。同様に、開放端側の切換え具24は、ガイドレール2の開放端寄りに配置されて、締結座92に挿通した2個のビス94でレール天井壁に締結固定してある(図12参照)。
以上のように構成したアシスト装置は、ケーシング20内にダンパー25を収容し、ブラケット87を固定してシリンダー本体51を仮固定する。次に、トリガー体29・30を各スライダー26・27に組付け、ガイド軸32を各スライダー26・27のスライド穴59に挿通しながら、その周囲に蓄力ばね31を装着し、ガイド軸32を左右のエンドブロック21・22の軸支穴44に差し込んで、エンドブロック21・22と、ガイド軸32と、蓄力ばね31の3者を仮組する。この状態の仮組体をケーシング20の両端からケーシング内に差し込み、トリガー体29・30を各スライダー26・27に組付け、各ガイド軸32をブラケット87の軸支穴89に係合し、ケーシング20の両端にエンドブロック21・22を固定することにより、アシスト装置をユニット部品化する。
次に、切換え具23・24をガイドレール2の所定位置に固定したのち、ユニット部品化されたアシスト装置とランナー3をガイドレール2内に収容し、閉じ端側のランナー3と閉じ端側のエンドブロック21をボルト15で締結して一体化する。この状態の左右のランナー3のランナー台5を戸パネル1に係合装着することにより、戸パネル1をガイドレール2で吊下げ支持できる。
以下、アシスト装置の動作を説明する。図1に示すように、戸パネル1が閉じ位置にあるとき、閉じ端側のトリガー体29は、対応する切換え具23が切換え凹部67に入り込んだ状態で位置保持されて、エンドブロック21から分離する作動姿勢になっている。この状態のトリガー体29のトリガー爪70と摺動部72は、ケーシング20の底壁で支持されており、揺動軸28はガイド溝37の開放端寄りに位置している。また、閉じ端側の蓄力ばね31は伸張して、戸パネル1を開口枠に押付けており、スライダー26のばね受部57はブラケット87の近傍に位置している。さらに、ピストンロッド52はシリンダー本体51の内部に退入して、ロッドばね53を全圧縮している。なお、開放端側のトリガー体30のトリガー爪70は、図6に示すように、対応するキャッチ開口47と係合して蓄力ばね31を蓄力状態に保持している。
(戸パネルが閉じ位置から開放操作されるとき)
上記の状態から、戸パネル1を開放操作すると、エンドブロック21はランナー3に同行して開放移動するが、図1に示すように、切換え凹部67の受け面68が切換え具23で受止められているので、スライダー26はトリガー体29と共に停止している。戸パネル1がさらに開放移動して開口枠から離れるのに伴い、図11に示すようにエンドブロック21がトリガー体29に接近する。そして、図9(a)に示すように、ガイド溝37が揺動軸28と相対スライドし、キャッチ開口47の開放端側の縁がトリガー爪70の下面側へ入込む。さらに、図9(b)に示すように、ガイド溝37の閉じ端が揺動軸28に接近して、キャッチ開口47の開放端側の縁がトリガー体29のトリガー爪70をくぐり抜けると、トリガー爪70の下端がキャッチ開口47に掛止し始める。
最終的には図9(c)に示すように、トリガー体29は反時計回転方向へ揺動して待機姿勢に切換り、そのトリガー爪70がキャッチ開口47と係合し、トリガー爪70の下面がキャッチ開口47の下方に露出する。このとき、トリガー爪70は急激にキャッチ開口47に落ち込み係合するが、その落込み距離が小さいので耳障りな叩打音が生じることはない。以上のように、エンドブロック21がランナー3に同行して開放移動し、トリガー爪70がキャッチ開口47と係合するまでの間の戸パネル1の開放動作によって、蓄力ばね31が圧縮変形されて蓄力される。この状態の切換え具23は図6に示すように、切換え凹部67から分離しているので、以後は戸パネル1を軽快に開放操作できる。
(戸パネルが開放途中位置から閉じ位置へ閉じ操作されるとき)
開放途中まで開放操作した戸パネル1を閉じ操作すると、図10(a)に示すように、閉じ端側のトリガー体29の切換え凹部67の傾動面69が切換え具23で受止められるので、トリガー体29は揺動軸28を中心にして時計回転方向へ揺動する。これに伴い、図10(b)に示すように、トリガー爪70がキャッチ開口47から離脱し始める。そしてトリガー爪70がケーシング20の底壁に乗上がってキャッチ開口47から離脱するのと同時に、図10(c)に示すように、蓄力ばね31の弾性力を受けたスライダー26が開放端側へ強制的にスライド操作され、切換え凹部67の受け面68が切換え具23で受止められる。このとき、受け面68は切換え具23に衝突するが、受け面68に隣接して逃げ穴71が形成してあるので、受け面68は閉じ端側へ向かって弾性変形して衝突衝撃を吸収する。従って、トリガー体29が待機姿勢から作動姿勢に切換るときの叩打音が生じることはなく、従来のこの種の装置に比べてアシスト装置の静粛性を向上できる。
上記の状態のスライダー26は、トリガー体29と共に切換え具23で位置保持されているので、蓄力ばね31の弾性力はエンドブロック21に作用する。従って、ケーシング20および戸パネル1は、図11に示すストロークSの分だけ閉じ端へ向かって移動する。同時にシリンダー本体51がケーシング20に同行移動し、ピストンロッド52をシリンダー本体51の内部に退入させ、その間に制動作用を発揮して、図1に示すように戸パネル1を閉じ位置までゆっくりと移動させる。
(戸パネルが開放途中位置から全開放位置へ開放されるとき)
開放途中まで開放操作した戸パネル1が全開放位置まで開放操作される場合には、図12(a)に示すように開放端寄りにおいて、切換え凹部67の傾動面69が開放端側の切換え具24で受止められるので、トリガー体30は揺動軸28を中心にして反時計回転方向へ揺動する。これに伴い、図12(b)に示すようにトリガー爪70がキャッチ開口77から離脱し始める。そして、トリガー爪70がキャッチ開口77の閉じ端側の縁に乗上がるのと同時に、図12(c)に示すように開放端側のトリガー体30が作動姿勢に切換って、蓄力ばね31の弾性力を受けたスライダー27が閉じ端側へ強制的にスライド操作され、切換え凹部67の受け面68が切換え具24で受止められる。このとき、受け面68は切換え具24に衝突するが、受け面68に隣接して逃げ穴71が形成してあるので、受け面68は閉じ端側へ向かって弾性変形して衝突衝撃を吸収する。従って、トリガー体30が待機姿勢から作動姿勢に切換るときに叩打音が生じることはなく、従来のこの種の装置に比べてアシスト装置の静粛性を向上できる。
上記の状態のスライダー27は、トリガー体30と共に切換え具24で位置保持されているので、蓄力ばね31の弾性力はエンドブロック22に作用する。従って、ケーシング20および戸パネル1は開放端へ向かって移動する。同時にピストンロッド52がシリンダー本体51の内部に退入し、その間に制動作用を発揮して、戸パネル1を開放位置までゆっくりと移動させる。なお、上記の開放移動時のストロークは、先に説明した閉じ移動時のストロークSと同じである。
戸パネル1が全開放位置にあるとき、開放端側のトリガー体30は、切換え具24が切換え凹部67に入り込んだ状態で位置保持されて、トリガー爪70がキャッチ開口77から離脱している。トリガー爪70および摺動部72は、ケーシング20の底壁で支持されており、揺動軸28はガイド溝37の閉じ端寄りに位置している。また、蓄力ばね31は伸びきっており、スライダー27のばね受部57はブラケット87の近傍に位置している。さらに、ピストンロッド52はシリンダー本体51の内部に退入して、ロッドばね53を全圧縮している。なお、閉じ端側のトリガー体29は、対応するエンドブロック21のキャッチ開口47と係合して、待機姿勢を保持して対応する蓄力ばね31を蓄力状態に保持している。
(戸パネルが全開放位置から閉じ操作されるとき)
戸パネル1を全開放位置から閉じ操作すると、エンドブロック22はケーシング20に同行して閉じ移動するが、切換え凹部67の受け面68が切換え具24で受止められているので、スライダー27はトリガー体30と共に停止している。エンドブロック22がさらに閉じ移動すると、図13(a)に示すようにガイド溝37が揺動軸28と相対スライドし、キャッチ開口77の閉じ端側の縁がトリガー爪70の下面に接近する。そして、キャッチ開口77の閉じ端側の縁が、トリガー爪70の下面をくぐり抜けると、図13(b)に示すようにトリガー爪70の下端がキャッチ開口77に落ち込み始める。
最終的には、図13(c)に示すようにトリガー体30は時計回転方向へ揺動して待機姿勢に切換り、そのトリガー爪70がキャッチ開口77と係合し、トリガー爪70の下面がキャッチ開口77の下方に露出する。このとき、トリガー爪70は急激にキャッチ開口77に落ち込み係合するが、その落込み距離が小さいので耳障りな叩打音が生じることはない。以上のように、エンドブロック22がランナー3に同行して閉じ移動し、トリガー爪70がキャッチ開口77と係合するまでの間の戸パネル1の閉じ動作によって、蓄力ばね31が圧縮変形されて蓄力される。この状態の切換え具24は、切換え凹部67から分離しているので、以後は戸パネル1を軽快に閉じ操作できる。
戸パネル1が開放途中位置に開放されている状態では、閉じ側のトリガー体29は図6に示すように、そのトリガー爪70がキャッチ開口47に係合して、待機姿勢を保持している。しかし、施工時の勘違いや、戸パネル1が乱暴に開閉されるような場合に、稀にトリガー体29が作動姿勢に切換ってしまうことがある。この状態のままで戸パネル1を閉じ操作すると、トリガー体29の上面が切換え具23の切換え突起93に衝突して破損するおそれがある。こうしたトリガー体29の破損を解消し、さらにトリガー体29のリセットを簡便に行うために逃げ穴71の上側に弾性壁73を設けている。戸パネル1が開放途中位置に開放された状態において、作動姿勢に切換ってしまったトリガー体29をリセットする場合には、戸パネル1を開放途中位置から閉じ位置へ向かって閉じ操作して、トリガー体29の弾性壁73を閉じ端側の切換え具23に接当させる。切換え具23に接当した弾性壁73は、逃げ穴71側へ弾性変形しながら切換え具23の下面をくぐり抜けるので、切換え具23を切換え凹部67に落込み係合させて待機姿勢に戻すことができる。開放側のトリガー体30も同様にしてリセット操作することができる。
上記構成のアシスト装置では、ケーシング20にエンドブロック21・22、ダンパー25、スライダー26・27、トリガー体29・30、蓄力ばね31などを組込んでアシスト装置の主要部を構成するようにした。こうしたアシスト装置によれば、特許文献1のアシスト装置に比べて、アシスト装置の構成部品点数を削減してコストを削減できる。また、全体構造を簡素化できる分だけアシスト装置を小形化しコンパクト化できる。さらに、トリガー爪70の落込み距離が小さいので、トリガー爪70がキャッチ開口47・77に係合するときに耳障りな叩打音が生じるのを解消できる。加えて、トリガー体29・30が待機姿勢から作動姿勢に切換る場合には、受け面68が弾性変形して衝突衝撃を吸収するので、トリガー体29・30が待機姿勢から作動姿勢に切換るときの叩打音を低減でき、全体としてアシスト装置の静粛性を向上できる。戸パネル1を閉じ端まで閉じるアシスト構造と、戸パネル1を開放端まで開放するアシスト構造を備えているので、閉じ端および開放端のそれぞれにおいて、戸パネル1をストローク端へ向かってゆっくりと移動操作できる。
蓄力ばね31を圧縮コイルばねで形成するので、蓄力ばねが引張りばねで形成してある場合に比べて、ばね定数を小さくでき、さらにフック部などの応力集中点がないので蓄力ばね31の耐久性を向上できる。因みに、線径とコイル径、および伸縮ストロークを同じにした場合の蓄力ばねの初期弾性力が8Nであるとき、引張りばねが一定長さまで引き伸ばされたときの作動荷重が20Nであった場合に、圧縮コイルばねが一定長さまで圧縮変形されたときの作動荷重は12Nにまで低下できる。また、引張りばねとは異なりばねの両端にフック部を形成する必要がないので、構造が簡単な分だけ低コストで製造できる。さらに、両端のフック部を省略することにより、ばね部分の有効長さを大きくできるので、弾性力を一定とした場合の蓄力ばね31の伸縮ストロークを小さくして、アシスト装置のコンパクト化に寄与できる。
上記の実施例では、蓄力ばね31の伸縮ストロークに臨んで設けたガイド軸32が、ばね保形具を兼ねるようにした。詳しくは、ガイド軸32を蓄力ばね31の内部に配置して、コイル部の内面をガイド軸32で支持するようにした。このように、蓄力ばね31をガイド軸32で内面から支持すると、蓄力ばね31が圧縮変形された状態において、中央付近のコイル部がばねの中心軸から径方向外側へ湾曲変形しようとするのを確実に防止できる。従って、蓄力ばね31の弾性力を圧縮たわみ量に比例させて、戸パネル1を一定の操作力で閉じ操作し、あるいは開放操作できる。上記のように、ガイド軸32は、スライダー26・27をスライド案内する機能と、蓄力ばね31が湾曲変形するのを規制するばね保形具を兼ねるので、ばね保形具が別途設けてある場合に比べて、アシスト装置の構造を簡素化できる。疲労破壊などにより、蓄力ばね31の中途部が破断した場合でも、分断した蓄力ばね31をガイド軸32で支持して弾性力を出力できるので、幾分弱まったばね出力になるものの、戸パネル1を開閉するアシスト機能が完全に損なわれることはない。
(実施例2) 図14および図15は、キャッチ部47・77をエンドブロック21・222の側に設けた実施例2を示している。そこでは、ばね受部41に形成した凹部48を前後に横切る状態で、キャッチ軸(キャッチ部)47をケーシング20およびばね受部41に前後貫通状に固定した。そのために、ケーシング20の前後壁およびばね受部41に、キャッチ軸47を挿通するための挿通穴98が前後貫通状に形成してある。また、トリガー体29の閉じ端側の端部にトリガー爪70を設けて、同爪70がキャッチ軸47に係脱するようにした。さらに、トリガー体29の下面の左右に摺動部72を形成して、待機姿勢において閉じ端側の摺動部72が、ケーシング20の底壁に形成した逃げ溝38に落ち込むようにした。キャッチ軸47は丸軸状に形成してあり、その軸端にキャッチ軸47の弾性変形を許すスリット50が形成してある。キャッチ軸47は実施例1におけるピン49を兼ねている。キャッチ軸47が摩耗した場合には、キャッチ軸47を交換するだけでトリガー爪70の捕捉機能を回復できる。従って、エンドブロック21を交換する場合に比べて、交換の手間とコストを削減できる。
実施例2においては、規制壁36を省略して前後のケーシング壁に補強壁39を形成するようにした。他は実施例1のアシスト装置と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。上記のように、規制壁36を省略すると、ダンパー25や、エンドブロック21、ガイド軸32、蓄力ばね31などの仮組体を、ケーシング20の上面側からケーシング内に組むことができるので、アシスト装置の組立の手間を軽減できる。なお、開放端側のエンドブロック22およびトリガー体30は、閉じ端側のエンドブロック21およびトリガー体29と同様に構成してあるので、その説明を省略する。
(実施例3) 図16および図17は、トリガー体29・30を2個ずつ設けるようにしたアシスト装置の実施例3を示している。そこでは、ガイド軸32・32を、ケーシング20の前後中心に沿って配置し、その周囲に配置した蓄力ばね31・31と前後のケーシング壁との間のそれぞれに隙間Eを形成して、前後の各隙間Eに板状の一対のトリガー体29を配置するようにした。このように、一対のトリガー体29を設けると、トリガー体29が待機姿勢から作動姿勢に切換るときに受け面68に作用する衝撃を分散した状態で前後のトリガー体29で負担できるので、トリガー体29の耐久性を高めてアシスト装置の信頼性を向上できる。なお、開放端側の2個のトリガー体30は、閉じ端側のトリガー体29と同様に、蓄力ばね31・31と前後のケーシング壁との間の一対の隙間Eに設けてある。実施例3に係る一対のトリガー体29は、両トリガー体29の上面どうしを橋絡壁で一体化して、縦断面がコ字状になるように構成することができる。同様に、開放端側の2個のトリガー体30も上面どうしを橋絡壁で一体化して、断面コ字状に形成することができる。この実施例におけるトリガー体29・30のトリガー爪70は、ケーシング20に設けたキャッチ開口47・77に係脱する。
(実施例4) 図18は、閉じ制動用のダンパー25Aと、開放制動用のダンパー25Bを設けたアシスト装置の実施例4を示している。詳しくは、ケーシング20の内部に、ストローク端へ向かって閉じ移動する戸パネル1を制動するダンパー25Aと、ストローク端へ向かって開放移動する戸パネル1を制動するダンパー25Bを配置した。また、前者ダンパー25Aの制動ストロークを50mmとするとき、後者ダンパー25Bの制動ストロークを10mmとして、ストローク端へ向かって閉じ移動する戸パネル1の制動距離が大きくなるようにした。また、ロッドばね53をシリンダー本体51の内部に収容するようにした。このように、閉じ制動用のダンパー25Aと開放制動用のダンパー25Bを設けると、個々のダンパー25A・25Bの制動ストロークと制動特性を異ならせることができるので、戸パネル1の開閉状況に応じた特性を備えた閉じ制動用のダンパー25Aと開放制動用のダンパー25Bを選定することができる。
(実施例5) 図19は、単機能化したアシスト装置の実施例5を示している。そこでは、実施例1においてケーシング20の開放端側に設けられる開放アシスト構造を省略して、戸パネル1が閉じ操作されるときに限って、戸パネル1をアシスト装置でストローク端へ向かって制動しながら移動操作できるようにした。実施例5のアシスト装置は、ケーシング20と、ケーシング20の閉じ端に固定されるエンドブロック21と、ガイドレール2のストローク端の近傍に固定される切換え具23を備えている。ケーシング20の内部にはひとつのシリンダー型のダンパー25と、ダンパー25の一端に接合されるスライダー26と、スライダー26に設けた揺動軸28で左右揺動自在に軸支されるトリガー体29と、ひとつの蓄力ばね31が配置してある。ダンパー25のシリンダー本体51の端部はスライダー26に接合してあり、ピストンロッド52の端部は開放端側のエンドブロック22に接合してある。
トリガー体29は戸パネル1の閉じ側のストローク端の近傍において切換え具23で切換え操作されて、待機姿勢と作動姿勢の間で往復揺動できる。待機姿勢におけるトリガー体29は、そのトリガー爪70がキャッチ開口47と係合して、蓄力ばね31を蓄力した状態に保持している。また、作動姿勢におけるトリガー体29は、そのトリガー爪70がキャッチ開口47から離脱した状態で切換え具23に係合保持されている。トリガー体29が切換え具23で待機姿勢から作動姿勢に切換えられた状態においては、エンドブロック21に作用する蓄力ばね31の弾性力で戸パネル1をストローク端へ向かって移動できる。蓄力ばね31は、スライダー26とエンドブロック21の対向面の間に配置した圧縮コイルばねで形成されて、エンドブロック21に固定したガイド軸(ばね保形具)32で、分離不能に保持してある。
実施例5で説明したアシスト装置以外に、アシスト装置は、開放操作されるときに限って戸パネル1をアシスト装置でストローク端へ向かって制動しながら移動操作する、開放制動型のアシスト装置として構成することができる。その場合には、実施例1においてケーシング20の閉じ端側に設けられる閉じアシスト構造を省略して、ピストンロッド52の突端を閉じ側のエンドブロック21に接合すればよい。
上記のように、単機能化したアシスト装置によれば、開放アシスト構造、あるいは閉じアシスト構造を省略した分だけケーシング20を短くして、アシスト装置をさらにコンパクト化できる。また、開放アシスト構造、あるいは閉じアシスト構造を省略した分だけアシスト装置の全体構造を簡素化して、その製造コストを削減できる。
(実施例6) 図20は、アシスト装置の実施例6を示している。そこでは、ばね保形具を蓄力ばね31の伸縮ストロークに臨む以下の部材で構成して、蓄力ばね31の中央付近のコイル部がばねの中心軸から径方向外側へ湾曲変形しようとするのを防止できるようにした。詳しくは、ケーシング20の前後の壁と、スライダー26・27の本体部55の上面壁55Aと、支持腕56およびトリガー体29・30と、実施例1に比べて大きく張り出された規制壁36で蓄力ばね31の周囲を囲んで、これらの部材がばね保形具を構成するようにした。この実施例におけるガイド軸32の外直径は蓄力ばね31の内径より充分に小さく、ガイド軸32と蓄力ばね31の隙間が大きいので、ガイド軸32に蓄力ばね31の湾曲変形を防ぐ機能は殆んどなく、スライダー26・27を案内する機能に特化される。必要があれば、この実施例におけるばね保形具は、実施例1で説明したガイド軸32と併用することができる。
(実施例7) 図21ないし図39に改良されたアシスト装置の実施例7を示す。実施例7においては、実施例1などのアシスト装置の構成部品の見直しを行って構造の簡素化を実現しながら動作の信頼性を向上できるようにした。また、施工時の勘違いや、戸パネル1が乱暴に開閉されて、トリガー体29が作動姿勢に切換ってしまった場合の復旧動作をさらに確実に行えるようにした。以下の説明においては、実施例1で説明したアシスト装置と異なる構造や機能などを主に説明する。
図21においてケーシング20は、基本的に実施例1で説明したケーシングと同じであるが、以下の点が異なる。実施例1において左半側のケーシング20の前壁の上端と、右半側のケーシング20の後壁の上端のそれぞれに設けられていた規制壁36を省略する。左半側のケーシング20の後壁と、右半側のケーシング20の前壁のそれぞれにガイド溝37を形成するが、同溝37はケーシング壁の下半側部を底壁に達する状態で切欠いて形成し、その上縁側を上向きに折返してガイド縁とする。補強壁39はケーシング20の前後壁の両側端を除いて連続して形成する。後述するように、補強壁39が形成されていない前後壁の上縁にエンドブロック21・22を上方から係合装着する。
図21および図22において閉じ端側のエンドブロック21は、ばね受部41と連結部42以外に、ばね受部41の下面に突設した前後一対の弾性係合片101と、キャッチ開口47に係合する脚片102と、ガイド突起103を一体に備えている。また、ばね受部41の上端前後にケーシング20の前後壁に係合する係合溝104を形成している。前後のガイド溝37に臨むケーシング20の底壁には、底壁の下突方向のたわみ変形を促進するスリット107が形成されており(図28参照)、スリット107とガイド溝37の間に弾性逃げ壁124が設けられている。弾性逃げ壁124は、切換え具23の真下に位置させている。エンドブロック21をケーシング20に組み付けた状態では、図27に示すように、弾性係合片101がケーシング20の底壁に設けた係合穴105と係合し、脚片102がキャッチ開口47の側端に係合し、係合溝104がケーシング20の前後壁の上縁に係合する。従って、ボルト15で締結するだけであった実施例1のエンドブロック21に比べて、より強固にエンドブロック21をケーシング20に固定し、エンドブロック21が前後にぐらつくのを確実に防止できる。実施例1における凹部48と、ピン49は省いてある。
図23において開放端側のエンドブロック22は、基本的に閉じ端側のエンドブロック21と同様に、ばね受部41および連結部42と、前後一対の弾性係合片101と、キャッチ開口47に係合する脚片102と、ガイド突起103を一体に備えている。また、ばね受部41の上端前後にケーシング20の前後壁に係合する係合溝104が形成されている。エンドブロック22の開放端側の支持枠79の側端前後には、ローラー80に換えて前後一対のスライド片106が一体に設けられている。実施例1におけるローラー81と、ピン82は省いている。
シリンダー型のダンパー25は、シリンダー本体51とピストンロッド52を備えているが、実施例4と同様に圧縮コイル形のロッドばね53をシリンダー本体51の内部に収容した点が異なる。ピストンロッド52の突端は、スライダー26の本体部55の側端に設けた連結穴58に差込み連結される。実施例1における連結片64は省略している。
図24において、閉じ端側のスライダー26は、四角棒状の本体部55と、開放端側へ向かって張出される支持腕56と、キューブ状のばね受部57を一体に備えている。符号56aは支持腕56の補強壁である。本体部55に連結穴58が凹み形成されている点、ばね受部57にスライド穴59が形成されている点は実施例1のスライダー26と同じである。この実施例では、本体部55の後面に揺動軸28とスライド軸109を一体に形成し、これら両軸28・109がガイド溝37に沿って往復スライドするようにした。また、支持腕56の閉じ端側の基部にトリガー体29用の規制凹部110を形成した。本体部55をケーシング20で、スライド穴59をガイド軸32でそれぞれスライド案内し、さらに揺動軸28とスライド軸109をガイド溝37でスライド案内することにより、スライダー26の左右スライド動作をさらに円滑にしかも安定した状態で行うことができる。さらに、左右スライド時にスライダー26が蛇行するのを確実に防止して、戸パネル1を円滑にアシスト操作できる。揺動軸28およびスライド軸109を本体部55と一体に形成するので、その分だけ部材点数を減らすことができる。
閉じ端側のトリガー体29は、切換え具23で傾動操作される切換え凹部67と、キャッチ開口47に係脱するトリガー爪70を備えており、切換え凹部67の凹部の左右に受け面68と傾動面69が設けられている。傾動面69に臨むトリガー体29の上縁の前後には、傾動面69を補強する受壁111が張出し形成されている。トリガー体29の下面には、先の揺動軸28に係合する優弧穴状の揺動穴112と、ばね受座113が形成され、開放端側の周面に先の規制凹部110内を往復揺動する規制突片114が突接されている。また、トリガー体29の閉じ端側の上面には、閉じ端側へ向かって下り傾斜するカム面116が形成してある。揺動穴112を揺動軸28に圧嵌係合することにより、トリガー体29がスライダー26と一体化され、この状態のスライド軸109とばね受座113の間に圧縮コイル形の付勢ばね115を配置することにより、トリガー体29が待機姿勢に向かって揺動付勢される。トリガー体29が待機姿勢に切換った状態では、規制突片114の上端面がスライダー26の規制凹部110の上端と対向している。トリガー体29の構造強度を向上するために実施例1における逃げ穴71は省略し、摺動部72も省略した。上記のように、トリガー体29を付勢ばね115で揺動付勢することにより、トリガー体29が切換え具23で作動姿勢から待機姿勢へ傾動操作されるときの傾動動作を明確で確実なものとすることができる。
上記のように、トリガー体29をスライダー26と一体の揺動軸28で左右揺動可能に支持することにより、トリガー体29は待機姿勢と作動姿勢の間で往復揺動できる。待機姿勢におけるトリガー体29は、そのトリガー爪70がキャッチ開口47と係合して、蓄力ばね31を蓄力した状態に保持している(図32(c)参照)。また、作動姿勢におけるトリガー体29は、そのトリガー爪70がキャッチ開口47から離脱するので、蓄力ばね31の蓄力を開放できる(図33(c)参照)。
開放端側のスライダー27は閉じ端側のスライダー26と同じであり、閉じ端側のスライダー26を左右に反転した状態で使用するので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。開放端側のスライダー27は、閉じ端側のスライダー26と同様に、本体部55とスライド穴59をケーシング20とガイド軸32でスライド案内し、さらに本体部55に設けた揺動軸28およびスライド軸109がケーシング20のガイド溝37でスライド案内している。従って、スライダー27の左右スライド動作をさらに円滑にしかも安定した状態で行うことができ、さらに、左右スライド時にスライダー26が蛇行するのを確実に防止して、戸パネル1を円滑にアシスト操作できる。本体部55の前面側にトリガー体30が配置され、本体部55に設けた揺動軸28でトリガー体30が左右揺動可能に支持される。
ケーシング20の左右中央には、ブラケット87が前後のケーシング壁に固定されており、このブラケット87の左右に設けた軸支穴89と、左右のエンドブロック21・22の軸支穴44・44で、左右のガイド軸32を個別に支持している。ピン88は、ブラケット87と一体に形成されて四角軸状に形成されている。前後のガイド軸32はケーシング20の前後中心から前後いずれか一方に偏寄する状態で配置されている。
開放端側のトリガー体30は閉じ端側のトリガー体29と同じであり、閉じ端側のトリガー体29を左右に反転した状態で使用するので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
図29に実施例7で使用する切換え具23・24を示す。切換え具23・24は、閉じ端側と開放端側で共用しており、左右一対の締結座92の下面の前後に、閉じ端側用の左右一対の切換片118と開放端側用の左右一対の切換片119が下向きに突設されている。また、閉じ端側用の切換片118においては、開放端側の切換片118の下端に逃げ切欠120を設け、開放端側用の切換片119においては、閉じ端側の切換片119の下端に逃げ切欠121を設けるようにした。逃げ切欠120・121を設ける意味は後述する。切換え具23・24は、ガイドレール2の閉じ端寄りと開放端寄りに配置されて、それぞれ締結座92に挿通した2個のビス94でレール天井壁に締結固定されており、閉じ端寄りにおいては切換片118のみが機能し、開放端寄りにおいては切換片119のみが機能する。なお、締結座92の下面に例えば切換片118のみを設けておいて、ガイドレール2の閉じ端寄りと開放端寄りで、切換え具23・24を左右に反転した状態で固定して使用することができる。
以上のように構成したアシスト装置は、実施例1と同様の組付け手順に従って、エンドブロック21・22と、ガイド軸32と、蓄力ばね31の3者を仮組し、さらにケーシング20に対して仮組体、トリガー体29・30、スライダー26・27、ガイド軸32、ブラケット87、エンドブロック21・22を固定することにより、アシスト装置をユニット部品化する。また、切換え具23・24をガイドレール2の所定位置に固定し、アシスト装置とランナー3をガイドレール2内に収容し、閉じ端側のランナー3とエンドブロック21をボルト15で締結して一体化する。この状態の左右のランナー3のランナー台5を戸パネル1に係合装着することにより、戸パネル1をガイドレール2で吊下げ支持できる。
以下、アシスト装置の動作を説明する。図30に示すように、戸パネル1が閉じ位置にあるとき、閉じ端側のトリガー体29は、対応する切換え具23の切換片118が切換え凹部67に入り込んだ状態で位置保持されて、トリガー爪70がエンドブロック21から遠ざかる作動姿勢になっている。この状態のトリガー体29のトリガー爪70は、ケーシング20の底壁で支持されており、揺動軸28はガイド溝37の中途部に位置している。また、閉じ端側の蓄力ばね31は伸張して、戸パネル1を開口枠に押付けており、スライダー26のばね受部57はブラケット87の近傍に位置している。さらに、ピストンロッド52はシリンダー本体51の内部に退入して、ロッドばね53を全圧縮している。なお、開放端側のトリガー体30のトリガー爪70は、図31に示すように、対応するキャッチ開口77と係合して蓄力ばね31を蓄力状態に保持している。
(戸パネルが閉じ位置から開放操作されるとき)
上記の状態から、戸パネル1を開放操作すると、エンドブロック21はランナー3に同行して開放移動するが、図30に示すように、切換え凹部67の受け面68が切換え具23の切換片118で受止められているので、スライダー26はトリガー体29と共に停止している。戸パネル1がさらに開放移動して開口枠から離れるのに伴い、図32に示すようにエンドブロック21がトリガー体29に接近する。そして、図32(a)に示すように、ガイド溝37が揺動軸28と相対スライドし、キャッチ開口47の開放端側の縁がトリガー爪70の下面側へ入込む。さらに、図32(b)に示すように、ガイド溝37の閉じ端が揺動軸28に接近して、キャッチ開口47の開放端側の縁がトリガー体29のトリガー爪70をくぐり抜けると、トリガー爪70の下端がキャッチ開口47に掛止し始める。
最終的には図32(c)に示すように、トリガー体29は反時計回転方向へ揺動して待機姿勢に切換り、そのトリガー爪70がキャッチ開口47と係合し、トリガー爪70の下面がキャッチ開口47の下方に露出する。このとき、トリガー爪70は付勢ばね115の付勢力を受けてキャッチ開口47へ落ち込み係合して待機姿勢に保持される。従って、戸パネル1が急速に開放操作されるような場合であっても、トリガー爪70を確実にキャッチ開口47に係合させることができる。この状態のトリガー爪70の受け面68の上端は、切換え具23の切換片118の下端より下側に位置しているので、以後は戸パネル1を軽快に開放操作できる。
(戸パネルが開放途中位置から閉じ位置へ閉じ操作されるとき)
開放途中まで開放操作した戸パネル1を閉じ操作すると、図33(a)に示すように、閉じ端側のトリガー体29の切換え凹部67の傾動面69が切換え具23で受止められるので、トリガー体29は揺動軸28を中心にして、付勢ばね115の付勢力に抗しながら時計回転方向へ揺動する。これに伴い、図33(b)に示すように、トリガー爪70がキャッチ開口47から離脱し始める。そしてトリガー爪70がケーシング20の底壁に乗上がってキャッチ開口47から離脱するのと同時に、図33(c)に示すように、蓄力ばね31の弾性力を受けたスライダー26が開放端側へ強制的にスライド操作され、切換え凹部67の受け面68が切換え具23で受止められる。
上記の状態のスライダー26は、トリガー体29と共に切換え具23で位置保持されているので、蓄力ばね31の弾性力はエンドブロック21に作用する。従って、ケーシング20および戸パネル1は、図31に示すストロークSの分だけ閉じ端へ向かって移動する。同時にシリンダー本体51がケーシング20に同行移動し、ピストンロッド52をシリンダー本体51の内部に退入させ、その間に制動作用を発揮して、図30に示すように戸パネル1を閉じ位置までゆっくりと移動させる。
(戸パネルが開放途中位置から全開放位置へ開放されるとき)
開放途中まで開放操作した戸パネル1が全開放位置まで開放操作される場合には、図34(a)に示すように、トリガー体30が開放端側の切換え具24の下面を通過したのち、切換え凹部67の傾動面69が開放端側の切換え具24の切換片119で受止められるので、トリガー体30は揺動軸28を中心にして、付勢ばね115の付勢力に抗しながら反時計回転方向へ揺動する。これに伴い、図34(b)に示すようにトリガー爪70がキャッチ開口77から離脱し始める。そして、トリガー爪70がキャッチ開口77の閉じ端側の縁に乗上がるのと同時に、図34(c)に示すように開放端側のトリガー体30が作動姿勢に切換って、蓄力ばね31の弾性力を受けたスライダー27が閉じ端側へ強制的にスライド操作され、切換え凹部67の受け面68が切換え具24の切換片119で受止められる。
上記の状態のスライダー27は、トリガー体30と共に切換え具24の切換片119で位置保持されているので、蓄力ばね31の弾性力はエンドブロック22に作用する。従って、ケーシング20および戸パネル1は開放端へ向かって移動する。同時にピストンロッド52がシリンダー本体51の内部に退入し、その間に制動作用を発揮して、戸パネル1を開放位置までゆっくりと移動させる。なお、上記の開放移動時のストロークは、先に説明した閉じ移動時のストロークSと同じである。
戸パネル1が全開放位置にあるとき、開放端側のトリガー体30は、切換え具24の切換片119が切換え凹部67に入り込んだ状態で位置保持されて、トリガー爪70がキャッチ開口77から離脱している。トリガー爪70は、ケーシング20の底壁で支持されており、揺動軸28はガイド溝37の閉じ端寄りに位置している。また、蓄力ばね31は伸びきっており、スライダー27のばね受部57はブラケット87の近傍に位置している。さらに、ピストンロッド52はシリンダー本体51の内部に退入して、ロッドばね53を全圧縮している。なお、閉じ端側のトリガー体29は、対応するエンドブロック21のキャッチ開口47と係合して、待機姿勢を保持して対応する蓄力ばね31を蓄力状態に保持している。
(戸パネルが全開放位置から閉じ操作されるとき)
戸パネル1を全開放位置から閉じ操作すると、エンドブロック22はケーシング20に同行して閉じ移動するが、切換え凹部67の受け面68が切換え具24の切換片119で受止められているので、スライダー27はトリガー体30と共に停止している。エンドブロック22がさらに閉じ移動すると、図35(a)に示すようにガイド溝37が揺動軸28と相対スライドし、キャッチ開口77の閉じ端側の縁がトリガー爪70の下面に接近する。そして、キャッチ開口77の閉じ端側の縁が、トリガー爪70の下面をくぐり抜けると、図35(b)に示すようにトリガー爪70の下端がキャッチ開口77に落ち込み始める。
最終的には、図35(c)に示すようにトリガー体30は時計回転方向へ揺動して待機姿勢に切換り、そのトリガー爪70がキャッチ開口77と係合し、トリガー爪70の下面がキャッチ開口77の下方に露出する。このとき、トリガー爪70は付勢ばね115の付勢力を受けてキャッチ開口77へ落ち込み係合して待機姿勢に保持される。従って、戸パネル1が急速に閉じ操作されるような場合であっても、トリガー爪70を確実にキャッチ開口77に係合させることができる。この状態のトリガー爪70の受け面68の上端は、切換え具23の切換片119の下端より下側に位置しているので、以後は戸パネル1を軽快に閉じ操作できる。
(アシスト装置のリセット操作)
戸パネル1が開放途中位置に開放されている状態では、閉じ端側のトリガー体29、および開放端側のトリガー体30は図36に示すように、それぞれのトリガー爪70がキャッチ開口47・77に係合して、待機姿勢を保持している。しかし、施工時の勘違いや、戸パネル1が乱暴に開閉されるような場合に、図37(a)に示すように左右のトリガー体29・30が作動姿勢に切換ってしまうことがある。このように、作動姿勢に切換ってしまったトリガー体29のリセット作業を簡便に、しかもトリガー体29を破損することなく行うために、ガイド溝37に臨むケーシング20の底壁に、スリット107とガイド溝37で区分される弾性逃げ壁124を設けている。
リセット作業を行う場合には、例えば図37(b)に示すように、戸パネル1を開放途中位置から閉じ位置へ向かって閉じ操作して、トリガー体29のカム面116を閉じ端側の切換え具23の切換片118に向かって接近移動させる。この移動によって、ケーシング20のキャッチ開口77が開放端側のトリガー体30に接近移動して、トリガー爪70の下面をくぐり抜けるので、開放端側のトリガー体30のトリガー爪70が付勢ばね115の付勢力を受けてキャッチ開口77に落込み係合して、トリガー体30を待機姿勢に保持する。このとき、閉じ端側のトリガー体29のカム面116が、切換片118に設けた逃げ切欠120に接当するので、トリガー体29には逃げ切欠120から反時計回転方向の反力モーメントを受ける。また、反力モーメントを受けたトリガー体29のトリガー爪70は、図38(a)に示すように、弾性逃げ壁124を下向きに弾性変形させながら、そのカム面116が逃げ切欠120をくぐり抜けて、一対の切換片118の間の凹部に落込み、切換え凹部67の受け面68が逃げ切欠120側の切換片118で受止められる(図38(b)参照)。この状態の弾性逃げ壁124はケーシング20の底壁と面一になっており、戸パネル1は開口枠の閉じ端に移動している。トリガー体29が切換え具23で捕捉係合されたことは、受け面68が一対の切換片118の間の凹部に落込み係合したときの係合音(カチッ)で確認することができる。
上記の状態で、図39(a)に示すように戸パネル1を開放操作すると、スライダー26およびトリガー体29が切換え具23で位置保持された状態のままで、ケーシング20およびエンドブロック21が開放方向へ移動する。この移動によって、ケーシング20のキャッチ開口47が閉じ端側のトリガー体29に接近移動して、トリガー爪70の下面をくぐり抜けるので、図39(b)に示すように閉じ端側のトリガー体29のトリガー爪70が付勢ばね115の付勢力を受けてキャッチ開口47に落込み係合し、トリガー体29を待機姿勢に保持する。なお、リセット作業は、図37(a)に示す状態から、戸パネル1を開放位置へ向かって開放操作して、まず閉じ端側のトリガー体29のトリガー爪70をキャッチ開口47に落込み係合させてもよい。以後は、開放端側のトリガー体30を開放端側の切換え具24で位置保持したのち、戸パネル1を閉じ操作して開放端側のトリガー体30のトリガー爪70をキャッチ開口77に落込み係合させることで、一連のリセット作業を終了できる。
以上のように実施例7のアシスト装置では、ケーシング20の底壁に切換え具23・24に対応する弾性逃げ壁124を設けておき、カム面116が逃げ切欠120をくぐり抜けるリセット操作時に、弾性逃げ壁124をトリガー爪70で弾性変形させて、トリガー体29・30の受け面68およびカム面116を切換え具23・24に落込み係合させるようにした。こうしたアシスト構造によれば、トリガー体29・30の一部を弾性変形させて、切換え具23・24に落込み係合させる場合に比べて、トリガー体29・30の構造強度を増強し耐久性を向上できる。従って、トリガー体29・30が使用途中に破損するのを解消して、長期にわたる動作の信頼性を向上できる。また、逃げ切欠120が形成してある分だけ、トリガー体29が大きく傾動操作されるのを防止して、弾性逃げ壁124が不必要に弾性変形操作されるのを解消できる。
また、実施例7のアシスト装置では、トリガー体29・30を付勢ばね115で待機姿勢に向かって傾動付勢するので、戸パネル1が急速に開閉操作されるような場合であっても、トリガー爪70を確実にキャッチ開口47・77に係合させることができる。さらに、揺動軸28をスライダー26・27と一体に形成するので、ピン状の揺動軸28でトリガー体29・30を支持する場合に比べて、部品点数を削減できる。加えて、トリガー体29・30に形成した優弧穴状の揺動穴112を揺動軸28に圧嵌装着するだけで、トリガー体29・30をスライダー26・27と一体化できるので、組立の手間を省ける利点もある。
エンドブロック21・22のばね受部41に、一対の弾性係合片101と脚片102を一体に設け、これら両者101・102をケーシング20の底壁に設けた係合穴105とキャッチ開口47・77に係合させるようにした。さらに、ばね受部41の上面の前後に設けた係合溝104をケーシング20の前後壁と係合させ、この状態で、エンドブロック21・22をボルト15でケーシング20に締結固定するようにした。こうした連結構造によれば、エンドブロック21・22の連結部42をボルト15で締結するだけであったエンドブロック21に比べて、より強固にエンドブロック21をケーシング20に固定できるうえ、エンドブロック21が前後にぐらつくのを確実に防止できる。
実施例1では、ガイド軸32をエンドブロック21・22とブラケット87で固定支持したが、その必要はなく、ガイド軸32はエンドブロック21・22またはブラケット87で片持ち支持してあってもよい。また、ケーシング20の上開口を塞ぐ蓋体状のばね保形具32を設けて、圧縮変形された蓄力ばね31が脱落するのを防止してもよい。その場合には、ばね受部41およびブラケット87に、蓄力ばね31の内面端部を係合保持するピンを併用することが好ましい。ガイド軸32は丸軸である必要はなく、角軸や楕円軸で形成してあってもよい。同様に、スライド部59はばね受部57を左右に貫通するスライド穴で形成する必要はなく、U字状の溝や四角穴などで形成してあってもよく、要はガイド軸32と相対スライドできる構造であればよい。
本発明に係るアシスト装置は、1枚構造の引き戸に適用する以外に、2枚構造の引き戸に適用することができる。また、本発明に係るアシスト装置は、吊車構造のランナー3で支持してある戸パネル1以外に、戸車で支持してある戸パネル1や、サッシュ構造の引違い窓にも適用できる。蓄力ばね31は、複数個のばねで構成することができ、その場合には、戸パネル1の重量の違いに応じてばねの使用個数を異ならせることで対応できる点で有利である。また、複数個のばねで蓄力ばね31を構成する場合には、全長が長い1個のばねで蓄力ばね31を構成する場合に比べて、個々のばねの製造コストを削減できる利点もある。なお、複数個のばねのばね定数や弾性力は、同じであることが好ましいが、必要があれば、複数の異なる特性のばねで蓄力ばね31を構成してもよい。