JP6801393B2 - 保護継電器の試験支援方法、及び保護継電器 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、不慣れな試験作業員でも保護継電器の動作試験を適正に実施できるよう支援することである。
図1は、保護継電器を含む電力系統の構成を示す単線図である。
高圧受電設備11は、零相変流器12と、変圧器13と、変流器14と、保護継電器15と、遮断器16と、を有する。
零相変流器12は、地絡によって二次側に流れる電流(零相電流)を保護継電器15に送る。
変圧器13は、高圧回路の電圧を低電圧に変換し、二次側の電圧を保護継電器15や、図示しない計器に供給する。二次側の定格電圧は例えば110[V]である。
保護継電器15は、多機能型の継電器であり、零相変流器12で検出した零相電流、変圧器13で変圧した電圧、及び変流器14で変流した電流に応じて、遮断器16を動作させる。具体的には、地絡、過電圧、不足電圧、過負荷、短絡等、電力系統の異常を検出したときに、遮断器16のトリップコイル17に通電することにより、電路を遮断する。
遮断器16は、トリップコイル17が通電されるときに、電路を遮断する。
保護継電器15は、保護継電器盤21に収容されている。
保護継電器盤21は、電圧用のテストターミナル22と、電流用のテストターミナル23と、トリップ用の出力端子24と、を備える。電圧用のテストターミナル22、及び電流用のテストターミナル23は、夫々、所定のテストプラグを挿入すると、主回路と盤内回路とが切り離されるように構成されている。一般に、盤メーカや盤の納品先で保護継電器15の動作試験を行なう際は、電圧用のテストターミナル22、電流用のテストターミナル23、及びトリップ用の出力端子24に、リレー試験機25を接続して行なう。すなわち、リレー試験機25から、電圧及び電流を模擬入力することで、保護継電器15の動作試験を実施する。リレー試験機25は、任意の電圧及び電流を発生でき、各試験要素の動作時間を計測することができる。
図3は、試験支援処理を示すフローチャートである。
ステップS101では、試験作業員からモード選択要求があったか否かを判定する。ここで、モード選択要求があったときにはステップS102に移行し、モード選択要求がないときにはモード選択要求があるまで待機する。
ステップS102では、モードの選択画面を表示する。
続くステップS105では、試験要素の選択操作があったか否かを判定する。ここで、試験要素の選択操作があったときにはステップS106に移行し、試験要素の選択操作がないときには選択操作があるまで待機する。
続くステップS107では、試験項目の選択操作があったか否かを判定する。ここで、試験項目の選択操作があったときにはステップS108に移行し、試験項目の選択操作がないときには選択操作があるまで待機する。
ステップS108では、整定値を読み出し、表示する。
続くステップS109では、理論値を計算し、表示する。
続くステップS110では、判定基準を計算し、表示する。
続くステップS112では、試験手順を表示する。
続くステップS113では、動作試験の実行を許可する旨を表示する。
続くステップS114では、動作試験が終了したか否かを判定する。ここで、動作試験が終了しているときにはステップS115に移行し、動作試験が終了していないときには終了するまで待機する。
ステップS115では、動作試験の動作状態、及び動作判定を表示する。
上記が試験支援処理である。
ここでは、表示パネル26が「情報提示部」に対応する。ステップS108〜S110、S112の処理が「第一の提示処理部」に対応する。ステップS115の処理が「第二の提示処理部」に対応する。ステップS111、S116の処理が「機能制御部」に対応する。図3の試験支援処理が「試験支援部」に対応する。
次に実施形態の動作について説明する。
保護継電器15の試験支援処理は、表示パネル26の表示に従った試験作業員の操作によって進められる。表示パネル26の表示に従った操作は、例えば保護継電器15に設けられた物理的な方向キー及び確定キー等のキー操作によって行われるが、タッチパネル式であればタッチ操作によって行われる。
先ず表示パネル26の表示に従って、モードの選択要求(S101)、モードの選択(S102、S103)、及び試験要素の選択(S104、S105)が行われる。
図中の(a)は通常モード画面の一例を示している。右下にはモード選択要求のための表示部31が表示されており、この表示部31が選択されるとモード選択要求が入力される。
図中の(b)は、モードの選択画面の一例を示している。上から順に計測モード、整定モード、テストモード、及び継電器試験モードが表示されており、継電器試験モードを選択するための表示部32が選択されると継電器試験モードが入力される。
その後、試験要素、及び試験項目に応じて必要とされる情報を表示パネル26に表示する(S106〜S115)。試験項目には、動作値試験、動作時間試験、位相特性試験がある。また、必要とされる情報には、例えば動作試験の整定値、理論値、判定基準、試験手順等の動作試験方法情報や、また試験要素の機能停止又は復旧を示す機能情報、さらに動作状態や動作判定等の動作情報がある。
図5及び図6は、試験要素、及び試験項目に応じた表示例である。
各試験項目の判定基準について説明する。
動作値試験では、保護継電器15が検出した電気量が理論値付近であれば正常と判定する。理論値付近とは、実際の精度判定が±5%であることから、その約50%程度を目安とし、理論値の±3%以内の値とする。保護継電器15が動作すれば、入力の精度とは関係なく理論値付近を検出するはずである。
位相特性試験では、入力が100%や1000%のように、各試験要素の規格に沿った試験条件になるため、理論値の例えば±10%程度とする。これも、動作時間試験と同様の考え方である。
保護継電器15の動作試験は、規格に沿った整定値や理論値、また判定基準や試験手順に基づいて実施されるため、試験作業員には高度な技能が求められる。また、近年は保護継電器が多機能化され、複数の保護要素を一つのユニットに搭載したものが増えており、対象となる試験要素によっては試験内容が重複する他の試験要素の機能を停止させ、終了後には復旧させなければならない。そのため、不慣れな試験作業員ほど、整定値や理論値を間違えたり、試験要素の機能を停止させたり復旧させたりする操作をし忘れたりして、試験ミスをする可能性があった。動作試験の試験方法や動作判定の見極め方は、全てマニュアルや仕様書に記載されているものの、多様な試験条件に対してピンポイントの情報ではなく、また判定基準の導出には複雑な計算も必要なため、不注意によるミスも生じやすい。
さらに、品質の優れた継電器の普及によって定期点検の周期も伸びており、また定期点検を継電器の納入業者ではなくメンテナンス業者が実施することもあり、益々、不慣れな試験作業員が従事することが考えられる。また、限られた作業時間のなかで多くの点検項目を実施しなければならないため、判定結果の妥当性をその場で評価できず、後から不備が発見されると、改めて点検し直さなければならなくなる。
また、動作試験を行なう際に、対象となる試験要素と試験内容が重複する他の試験要素の機能を停止させ、且つ動作試験の終了後にはその機能を復旧させる。これにより、試験要素の機能を停止させたり復旧させたりする操作をし忘れる、といった人為的な試験ミスを確実に防ぐことができる。
上記の実施形態では、試験方法情報として、動作試験の整定値、理論値、判定基準、試験手順の全てを表示しているが、これに限定されるものではなく、それらのうち少なくとも一つを表示するだけでもよい。
上記の実施形態では、対象となる試験要素と試験内容が重複する他の試験要素の機能を停止させる旨、つまり自動ロックする試験要素を表示しているが、これに限定されるものではなく、この表示は省略してもよい。
上記の実施形態では、保護継電器15の表示パネル26を介して、動作試験に必要な情報を表示しているが、これに限定されるものではない。例えば、汎用パーソナルコンピュータやタブレット端末などの外部端末27を保護継電器15に接続することで、この外部端末27に、動作試験に必要な情報を表示してもよい。さらには、動作試験に必要な情報を表示しているが、これに限定されるものではなく、音声によって案内してもよい。
12 零相変流器
13 変圧器
14 変流器
15 保護継電器
16 遮断器
17 トリップコイル
21 保護継電器盤
22 電圧用のテストターミナル
23 電流用のテストターミナル
24 トリップ用の出力端子
25 リレー試験機
26 表示パネル
27 外部端末
Claims (11)
- 保護継電器の動作試験を行なう際に、試験支援部によって試験要素の選択画面、及び試験項目の選択画面を提示し、選択された前記試験要素及び前記試験項目に応じて前記動作試験の試験方法情報及び試験手順情報を提示し、
前記動作試験の終了後に、前記試験支援部によって前記動作試験の動作判定情報を提示することを特徴とする保護継電器の試験支援方法。 - 前記試験支援部は、対象となる試験要素に応じて、前記動作試験の整定値及び理論値の少なくとも一方を、前記試験方法情報として提示することを特徴とする請求項1に記載の保護継電器の試験支援方法。
- 前記試験支援部は、対象となる試験要素に応じて、前記動作試験の判定基準を、前記試験方法情報として提示することを特徴とする請求項1又は2に記載の保護継電器の試験支援方法。
- 前記試験支援部は、前記動作試験を行なう際に、対象となる試験要素と試験内容が重複する他の試験要素の機能を停止させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の保護継電器の試験支援方法。
- 前記試験支援部は、前記動作試験の終了後に、前記他の保護要素の機能を復旧させることを特徴とする請求項4に記載の保護継電器の試験支援方法。
- 前記保護継電器、又は前記保護継電器に接続された外部端末に、前記試験支援部を設けることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の保護継電器の試験支援方法。
- 保護継電器に対する動作試験の支援を行なう試験支援部を備え、
前記試験支援部は、
情報を提示可能な情報提示部と、
前記保護継電器の動作試験を行なう際に、試験要素の選択画面及び試験項目の選択画面を前記情報提示部で提示し、選択された前記試験要素及び前記試験項目に応じて前記動作試験の試験方法情報及び試験手順情報を前記情報提示部で提示する第一の提示処理部と、
前記動作試験の終了後に、前記動作試験の動作判定情報を前記情報提示部で提示する第二の提示処理部と、を備えることを特徴とする保護継電器。 - 前記第一の提示処理部は、
対象となる試験要素に応じて、前記動作試験の整定値及び理論値の少なくとも一方を、前記試験方法情報として前記情報提示部で提示することを特徴とする請求項7に記載の保護継電器。 - 前記第一の提示処理部は、
対象となる試験要素に応じて、前記動作試験の判定基準を、前記試験方法情報として前記情報提示部で提示することを特徴とする請求項7又は8に記載の保護継電器。 - 前記動作試験を行なう際に、対象となる試験要素と試験内容が重複する他の試験要素の機能を停止させる機能制御部を備えることを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載の保護継電器。
- 前記機能制御部は、
前記動作試験の終了後に、前記他の試験要素の機能を復旧させることを特徴とする請求項10に記載の保護継電器。
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