JP6800001B2 - 塗料、および物品とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塗料、および物品とその製造方法に関する。
自動車内装部品、例えばインストルメントパネル、コンソールボックス等には、ソフトな触感を持たせるために、その表面に塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂等からなる軟質表皮が貼り付けられている。
しかし、軟質表皮を貼り付けた自動車内装部品は、貼り付け等の製造工程の増加、設備投資、表皮型の作製などのため、コストがかかるという問題があった。
このような問題を解決するために、表面にソフトフィール塗膜を形成して、自動車内装部品の表面にソフト感やクッション性を持たせる試みがなされている。
ソフトフィール塗膜を形成できる塗料として、例えば、特許文献1には、水酸基を有するポリウレタン樹脂と、ポリウレタン樹脂および高分子量エラストマーの混合摩砕微粉末とを含有する復元性塗料組成物が開示されている。
また、特許文献2には、ポリエステル系またはポリエーテル系ポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物と、溶剤とを特定量含有する塗料組成物が開示されている。
特許第2925837号公報 特許第3923021号公報
ところで、自動車内装部品は人の皮脂や汗が付着しやすい。特に、紫外線の強い時期などにおいて日焼け止めクリームが付着した手で自動車内装部品を触ると、日焼け止めクリームによって表面に形成された塗膜が剥がれたり、軟化したりしやすい。
しかしながら、特許文献1、2に記載の塗料より形成される塗膜では、皮脂や日焼け止めクリームに対する耐性(以下、「耐油脂性」ともいう。)を満足できない。
塗膜に耐油脂性を付与するには、塗料に含まれる樹脂のガラス転移温度や架橋密度を高くしたり、分子量を大きくしたりする必要がある。しかし、樹脂のガラス転移温度や架橋密度を高くしたり、分子量を大きくしたりすると塗膜の硬度が高くなる傾向にあり、ソフト感は得られにくくなる。
そのため、ソフト感と耐油脂性とを両立させるには、油脂の浸透を防ぐ目的でベースコート層を設ける必要があるが、このような2コート仕様は、ソフトフィール塗膜のみの形成(1コート)に比べて、手間やコストがかかりやすい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、1コートでも充分なソフト感と耐油脂性とを有する塗膜を形成できる塗料、およびソフト感と耐油脂性とを有する物品とその製造方法の提供を目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] アクリル樹脂にポリカーボネートジオールがグラフトされたポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂と、ポリイソシアネートとを含有し、前記ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂の質量平均分子量は5000〜15000であり、アクリル樹脂とポリカーボネートジオールとの質量比(アクリル樹脂:ポリカーボネートジオール)は30:70〜70:30である、塗料。
[2] ポリカーボネートジオールをさらに含有する、[1]に記載の塗料。
[3] 極性基を有するアクリル樹脂(ただし、前記ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂を除く)をさらに含有する、[1]または[2]に記載の塗料。
[4] 樹脂ビーズをさらに含有する、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の塗料。
[5] 基材上に、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の塗料の硬化物からなる塗膜を備える、物品。
[6] 基材上に、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の塗料を塗布し、塗布された塗料を硬化する、物品の製造方法。
本発明の塗料によれば、1コートでも充分なソフト感と耐油脂性とを有する塗膜を形成できる塗料、およびソフト感と耐油脂性とを有する物品とその製造方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、以下の明細書において、「塗膜」とは、本発明の塗料より形成された塗膜のことである。また、耐油脂性のうち、日焼け止めクリームに対する耐性を特に「耐日焼け止めクリーム性」ともいう。
「塗料」
本発明の塗料は、ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂と、ポリイソシアネートとを含有する。この塗料は、ポリカーボネートジオール、極性基を有するアクリル樹脂(ただし、前記ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂を除く)、樹脂ビーズなどをさらに含有することが好ましい。
以下、各成分について説明する。
<ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂>
ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂(以下、「PCD変性アクリル樹脂」ともいう。)は、アクリル樹脂にポリカーボネートジオールがグラフトされた、すなわち、アクリル樹脂にポリカーボネートジオールが結合した樹脂である。
塗料がPCD変性アクリル樹脂を含有することで、塗膜にソフト感と耐油脂性とを付与できる。
PCD変性アクリル樹脂の質量平均分子量は5000〜15000であり、6000〜12000が好ましい。PCD変性アクリル樹脂の質量平均分子量が5000未満であると、塗膜強度が低下する場合がある。一方、PCD変性アクリル樹脂の質量平均分子量が15000を超えると、粘度上昇により塗膜の平滑性等が低下する場合がある。
本発明において、質量平均分子量および後述の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した分子量をポリスチレン換算した値である。
PCD変性アクリル樹脂の水酸基価は、70〜170mgKOH/gが好ましく、100〜150mgKOH/gがより好ましい。PCD変性アクリル樹脂の水酸基価が70mgKOH/g未満であると、架橋密度が低下し、塗膜強度や耐薬品性等の物性が低下する場合がある。一方、PCD変性アクリル樹脂の水酸基価が170mgKOH/gを超えると、硬化収縮の増大により基材に対する塗膜の付着性が低下したり、塗膜の柔軟性が低下したりする場合がある。
本発明において、水酸基価は、JIS K 0070に準拠して求められる。具体的には、試料の固形分1g中の水酸基(−OH)を無水酢酸でアセチル化し、アセチル化に伴い生成した酢酸を中和するのに要した水酸化カリウムのmg数を滴定にて測定することで求められる。
PCD変性アクリル樹脂のガラス転移温度は、−75〜−15℃が好ましく、−60〜−30℃がより好ましい。PCD変性アクリル樹脂のガラス転移温度が−75℃未満であると、塗膜強度が低下する場合がある。一方、PCD変性アクリル樹脂のガラス転移温度が−15℃を超えると、硬質な塗膜となりやすく、柔軟性が低下する場合がある。
本発明において、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により求められる値である。
PCD変性アクリル樹脂は、例えば、アクリル樹脂とポリカーボネートジオール(以下、「PCD」ともいう。)とを反応させることで得られる。アクリル樹脂とPCDとの反応としては、アクリル樹脂にPCDをグラフト重合するグラフト重合反応などが挙げられる。
アクリル樹脂としては、重合開始剤を用いアクリルモノマーを公知の重合方法により重合して得られる重合体や、アクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、PCDとの相溶性を考慮すると、アクリルポリオールが好ましい。
アクリルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルコキシアルキルエステル;アリルアクリレート、アリルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルケニルエステル;アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシエチルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルケニルオキシアルキルエステル;アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
また、これらアクリルモノマーとともに、他のビニル系モノマーを併用しても構わない。他のビニル系モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のオレフィン系化合物;酢酸ビニル、アリルアルコール、マレイン酸などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物:アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。
アクリルポリオールは、水酸基を有するアクリルモノマーと、ジオールとを反応して得られる。
水酸基を有するアクリルモノマーとしては、アクリルモノマーの説明において先に例示したアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
PCDは、例えば、ジオールとカーボネートとを反応して得られる重合体である。
ジオールとしては、アクリルポリオールの説明において先に例示したものが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
PCDの数平均分子量は、500〜2000が好ましく、800〜1000がより好ましい。PCDの数平均分子量が500未満であると、塗膜の柔軟性が低下する場合がある。一方、PCDの数平均分子量が2000を超えると、アクリル樹脂との相溶性により、反応性が低下する場合がある。
PCDとしては市販品を用いることができ、例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製の商品名「デュラノールT5650J」、「デュラノールT5651」、「デュラノールT5652」、「デュラノールT5650E」などが挙げられる。
アクリル樹脂とPCDとの質量比(アクリル樹脂:PCD)は30:70〜70:30であり、40:60〜60:40が好ましい。アクリル樹脂とPCDとの質量比が30:70未満であると、アクリル樹脂とPCDとの相溶性により、反応性が低下する場合がある。一方、アクリル樹脂とPCDとの質量比が70:30を超えると、塗膜の柔軟性が低下する場合がある。
PCD変性アクリル樹脂としては市販品を用いることができ、例えば、DIC株式会社製の商品名「アクリディックWPU−273」などが挙げられる。
<ポリカーボネートジオール>
塗料がPCDを含有することで、塗膜のソフト感がさらに向上する。
PCDは、例えば、ジオールとカーボネートとを反応して得られる重合体であり、ジオールおよびカーボネートとしては、PCD変性アクリル樹脂の説明において先に例示したジオールおよびカーボネートなどが挙げられる。
PCDの数平均分子量は、500〜2000が好ましく、800〜1000がより好ましい。PCDの数平均分子量が500未満であると、目的とする柔軟性が得られにくくなる場合がある。一方、PCDの数平均分子量が2000を超えると、他の成分との相溶性が低下し、均一な塗膜が得られにくくなる場合がある。
PCDとしては市販品を用いることができ、例えばPCD変性アクリル樹脂の説明において先に例示したものが挙げられる。
<極性基を有するアクリル樹脂>
塗料が極性基を有するアクリル樹脂(ただし、前記ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂を除く)を含有することで、塗料に後述する顔料等の任意成分が含まれる場合、塗料中での顔料分散性が高まる。
ここで、「極性基」としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基などが挙げられる。
極性基を有するアクリル樹脂の質量平均分子量は5000〜20000が好ましく、6000〜15000がより好ましい。極性基を有するアクリル樹脂の質量平均分子量が5000未満であると、塗膜強度が低下する場合がある。一方、極性基を有するアクリル樹脂の質量平均分子量が20000を超えると、粘度の上昇による塗膜の平滑性が低下したり、硬化収縮の増大により基材に対する塗膜の付着性が低下したりする場合がある。
極性基を有するアクリル樹脂の水酸基価は、50〜200mgKOH/gが好ましく、80〜170mgKOH/gがより好ましい。極性基を有するアクリル樹脂の水酸基価が50mgKOH/g未満であると、塗膜強度や架橋密度が低下する場合がある。一方、極性基を有するアクリル樹脂の水酸基価が200mgKOH/gを超えると、硬化収縮の増大により、基材に対する塗膜の付着性が低下する場合がある。
極性基を有するアクリル樹脂としては、重合開始剤を用い極性基を有するアクリルモノマーと、必要に応じて他のモノマーとを公知の重合方法により重合して得られる重合体や、アクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、他の成分との相溶性を考慮すると、アクリルポリオールが好ましい。
極性基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、水酸基を有するアクリルモノマー、カルボキシ基を有するアクリルモノマー、アミノ基を有するアクリルモノマーなどが挙げられる。
水酸基を有するアクリルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられる。
カルボキシ基を有するアクリルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
アミノ基を有するアクリルモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートなどが挙げられる。
極性基を有するアクリルモノマーとしては、上述したモノマー以外にも、例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを用いることができる。
これら極性基を有するアクリルモノマーは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
他のモノマーとしては、極性基を有するアクリルモノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限されず、例えば、上述したアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸のアルコキシアルキルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸のアルケニルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸のアルケニルオキシアルキルエステル、他のビニル系モノマーなどが挙げられる。
重合開始剤としては、PCD変性アクリル樹脂の説明において先に例示したものが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、PCD変性アクリル樹脂の説明において先に例示したものが挙げられる。
また、顔料分散性がより向上する観点から、アクリルポリオールの中でも、アミノ基を有するアクリルポリマーが特に好ましい。
極性基を有するアクリル樹脂は、塗膜に柔軟性を付与する目的で、ラクトン変性アクリルモノマー単位を有していてもよい。以下、ラクトン変性アクリルモノマー単位を有する、極性基を有するアクリル樹脂を「ラクトン変性アクリル樹脂」ともいい、その中でも特にアクリル樹脂がアクリルポリオールの場合を「ラクトン変性アクリルポリオール」ともいう。
塗料がラクトン変性アクリル樹脂を含有することで、塗膜のソフト感がさらに向上する。
なお、「モノマー単位」とは、そのモノマーから誘導された構成単位のことである。
ラクトン変性アクリル樹脂は、例えば、上述した極性基を有するアクリルモノマーにラクトンが付加したラクトン変性アクリルモノマーと、必要に応じて他のモノマーとを公知の重合方法により重合して得られる。
ラクトンとしては、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ノナノイックラクトン、δ−ドデカノラクトンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
アクリルモノマーにラクトンを付加する方法としては特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、ラクトン変性アクリルモノマーは、触媒の存在下でアクリルモノマーにラクトンを反応(開環付加)させることで得られる。
極性基を有するアクリルモノマーにラクトンが付加したラクトン変性アクリルモノマーとしては市販品を用いることができ、例えば、株式会社ダイセル製の商品名「プラクセルFM1」、「プラクセルFM2」、「プラクセルFM3」、「プラクセルFM5」、「プラクセルFA1」、「プラクセルFA2」、「プラクセルFA3」、「プラクセルFA5」、「プラクセルFA10」などが挙げられる。
<ポリイソシアネート>
ポリイソシアネートは、架橋剤として作用する。ポリイソシアネートは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。
ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロへキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート,IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネートは、ビウレット体、ヌレート体、アダクト体、アロファネート体であってもよい。
ポリイソシアネートとしては、塗膜が黄変しにくい点で、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが好ましい。なかでも、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環族ポリイソシアネートの3量体であって、ビウレット体またはヌレート体のポリイソシアネートがより好ましく、HDIのビウレット体が特に好ましい。
<樹脂ビーズ>
塗料が樹脂ビーズを含有することで、塗膜のソフト感がさらに向上する。
樹脂ビーズとしては、ウレタン樹脂ビーズ、アクリル樹脂ビーズなどが挙げられる。これらの中でも、塗膜のソフト感がより高まる点で、ウレタン樹脂ビーズが好ましい。
ウレタン樹脂ビーズは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる、ビーズ状の樹脂であり、架橋していることが好ましい。
ウレタン樹脂ビーズとしては、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるポリエステル系ウレタン樹脂ビーズ;ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるポリカーボネート系ウレタン樹脂ビーズ;ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるポリエーテル系ウレタン樹脂ビーズなどが挙げられる。これらの中でも、汎用的に用いられる点ではポリエステル系ウレタン樹脂ビーズが好ましい。
ところで、ポリエステル系樹脂は、時間の経過とともに加水分解しやすい傾向にある。そのため、ポリエステル系樹脂を用いて形成された塗膜は、ポリエステル樹脂の加水分解によって、塗膜表面がべたついたり塗膜の物性(硬度など)が低下したりすることがある。
ポリカーボネート系ウレタン樹脂ビーズは、ポリエステル系ウレタン樹脂ビーズに比べて加水分解しにくい。よって、塗膜のべたつきや塗膜の物性低下を抑制し、塗膜の耐久性を向上させる点では、ポリカーボネート系ウレタン樹脂ビーズが好ましい。
樹脂ビーズの平均粒子径は、5〜15μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。樹脂ビーズの平均粒子径が5μm未満であると、樹脂ビーズが塗膜に埋まってしまい、目的とするソフト感が十分に得られない場合がある。一方、樹脂ビーズの平均粒子径が15μmを超えると、塗膜表面がざらつき、目的としたソフト感が十分に得られない場合がある。
本発明において、平均粒子径は、体積基準のメジアン径のことであり、具体的にはレーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定した値である。
<任意成分>
本発明の塗料には、必要に応じて顔料(例えば着色顔料、体質顔料、染料等)、公知の添加剤(例えば硬化促進剤、紫外線吸収剤、光安定剤、沈降防止剤、レベリング剤等)、溶剤などが任意成分として含まれてもよい。
溶剤としては、例えば、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、メチルプロピルケトン(2−ペンタノン)、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、イソホロン、イソ酪酸ブチル等、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ブチルグリコール、メチルジグリコール、エチルジグリコール、ブチルジグリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、テトラヒドロフラン等のグリコールエーテル類;ナフサなどが挙げられる。また、環境負荷をさらに低減させるために、水系媒体を使用してもよい。水系媒体とは、親水性のある有機溶剤である。親水性のある有機溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもいし、2種以上を併用してもよい。
<使用形態>
本発明の塗料は、2液型の塗料として使用されることが好ましい。すなわち、PCD変性アクリル樹脂等の樹脂成分を含む主剤と、ポリイソシアネート等を含む硬化剤とを別々に調製しておき、使用直前に主剤と硬化剤とを混合して使用することが好ましい。
樹脂成分は少なくともPCD変性アクリル樹脂を含む。塗料がPCDや極性基を有するアクリル樹脂を含有する場合、これらも樹脂成分に相当する。
樹脂成分の含有量、すなわち、PCD変性アクリル樹脂とPCDと極性基を有するアクリル樹脂の含有量の合計は、主剤の総質量に対して、10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。樹脂成分の含有量が上記範囲内であれば、作業性に適した塗料粘度となりやすい。
PCD変性アクリル樹脂の含有量は、樹脂成分の総質量(PCD変性アクリル樹脂とPCDと極性基を有するアクリル樹脂の含有量の合計)に対して、30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。PCD変性アクリル樹脂の含有量が上記範囲内であれば、塗膜のソフト感と耐油脂性のバランスが図りやすくなる。
PCDの含有量は、樹脂成分の総質量に対して、15〜40質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。PCDの含有量が上記範囲内であれば、塗膜のソフト感と耐油脂性のバランスが図りやすくなる。
極性基を有するアクリル樹脂の含有量は、樹脂成分の総質量に対して、10〜40質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。極性基を有するアクリル樹脂の含有量が上記範囲内であれば、塗膜のソフト感および耐油脂性を良好に維持しつつ、顔料分散性のバランスが図りやすくなる。
樹脂ビーズは、主剤に含まれることが好ましい。
樹脂ビーズの含有量は、樹脂成分100質量部に対して、60〜120質量部が好ましく、70〜90質量部がより好ましい。樹脂ビーズの含有量が上記範囲内であれば、塗膜のソフト感と耐油脂性のバランスが図りやすくなる。
ポリイソシアネートの含有量は、樹脂成分中の水酸基(−OH)の1モルに対するポリイソシアネート中のイソシアネート基(−NCO)のモル当量(NCO/OH当量比)が1.0〜2.0となる量が好ましく、より好ましくは1.3〜1.7である。NCO/OH当量比が1.0未満であると、架橋密度が低下し、塗膜強度や耐薬品性等の物性が低下する場合がある。一方、NCO/OH当量比が2.0以下であれば、塗膜が硬くなりにくく、ソフト感がより得られやすくなる。
樹脂成分中の水酸基のモル当量は、PCD変性アクリル樹脂中の水酸基と、PCD中の水酸基と、極性基を有するアクリル樹脂中の水酸基との合計モル当量である。
<製造方法>
本発明の塗料は、各成分を混合することにより調製できるが、上述したように本発明の塗料は2液型の塗料として使用されることが好ましい。したがって、予めPCD変性アクリル樹脂と、必要に応じてPCDや極性基を有するアクリル樹脂と、任意成分とを混合して主剤を調製しておき、使用直前にポリイソシアネートを含む硬化剤と主剤とを混合することが好ましい。
なお、予めポリイソシアネートと溶剤とを混合して硬化剤としてもよい。
以下、PCD変性アクリル樹脂と、PCDと、極性基を有するアクリル樹脂としてラクトン変性アクリル樹脂とを含有する塗料の製造方法の一例について説明する。
まず、アクリル樹脂とPCDとを反応させてPCD変性アクリル樹脂を得る。
別途、極性基を有するアクリルモノマーにラクトンを付加させてラクトン変性アクリルモノマーを製造する。得られたラクトン変性アクリルモノマーと、必要に応じて他のモノマーとを重合してラクトン変性アクリル樹脂を得る。もしくは、得られたラクトン変性アクリルモノマーと、ジオールとを反応させて、ラクトン変性アクリルポリオールを得る。
ついで、PCD変性アクリル樹脂、PCDおよびラクトン変性アクリル樹脂と、必要に応じて任意成分とを混合し、主剤を調製する。
別途、ポリイソシアネートと、必要に応じて溶剤とを混合し、硬化剤を調製する。
ついで、得られた主剤と硬化剤とを混合し、塗料を得る。
なお、PCD変性アクリル樹脂、PCD、ラクトン変性アクリル樹脂は、市販品を用いてもよい。
<作用効果>
以上説明した本発明の塗料は、少なくともPCD変性アクリル樹脂とポリイソシアネートとを含有するので、ソフト感および耐油脂性を有する塗膜を形成できる。かかる理由は以下のように考えられる。
PCD変性アクリル樹脂は、主鎖であるアクリル樹脂に結合しているPCD由来の側鎖を有する。PCD由来の側鎖を有することで、PCD変性アクリル樹脂とポリイソシアネートとの反応により高架橋密度を実現でき、化学成分の浸透抑制効果が発揮され、塗膜に耐油脂性(特に、耐日焼け止めクリーム性)を付与できると考えられる。加えて、PCD由来の側鎖は比較的長く、この長い側鎖での架橋構造により塗膜にソフト感を付与できると考えられる。
また、塗料がPCDをさらに含有していれば、塗膜のソフト感がさらに向上する。かかる理由は以下のように考えられる。
PCDは柔軟な特性を有する樹脂である。このPCDがポリイソシアネートと反応することで両末端の水酸基において架橋構造を形成しつつ、PCD変性アクリル樹脂の架橋構造にも取り込まれる。その結果、PCD変性アクリル樹脂のみを含有する場合に比べて、より緩慢で柔軟な架橋構造が形成されると考えられ、PCDの特性である柔軟性が塗膜に付与され、ソフト感がより高まると考えられる。
また、塗料が極性基を有するアクリル樹脂をさらに含有していれば、この極性基の作用により、顔料分散性にも優れる塗膜を形成できると考えられる。特に、極性基を有するアクリル樹脂がラクトン変性されていれば、すなわち、ラクトン変性アクリルモノマー単位を有していてれば、塗膜のソフト感がさらに向上する。
このように、本発明の塗料によれば、1コートでも充分なソフト感および耐油脂性を有する塗膜を形成できるので、塗膜上にトップコート層を形成する必要がない。
「物品」
本発明の物品は、基材上に上述した本発明の塗料の硬化物からなる塗膜を備える。
塗膜の膜厚は、20〜60μmが好ましく、25〜35μmがより好ましい。膜厚が厚くなるほど耐油脂性がより向上する傾向にあるが、厚くなるほど作業性や意匠性が低下する傾向にもある。膜厚が60μm以下であれば、作業性、意匠性を良好に維持しつつ、耐油脂性を高めることができる。
基材としては特に限定されないが、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。
本発明の物品は、例えば、基材上に本発明の塗料を塗布し、塗布された塗料を硬化させることで得られる。具体的には、塗料の使用直前に、上述した主剤と硬化剤とを混合し、得られた混合物(塗料)を基材上に塗布し、基材上に塗布された塗料を強制乾燥する。主剤と硬化剤とが混合した直後から硬化反応が開始される。
塗料の塗布方法としては、例えば、刷毛塗り法、ローラー塗り法、スプレーガンによる吹付法、ロールコーター法、浸漬法などが挙げられる。
強制乾燥の温度(焼付温度)は、70〜90℃が好ましく、80〜85℃がより好ましい。
強制乾燥の時間(焼付時間)は、20〜50分が好ましく、30〜40分がより好ましい。
以上説明した本発明の物品は、本発明の塗料の硬化物からなる塗膜を備えているので、ソフト感および耐油脂性を有する。
また、本発明の塗料は1コートでも充分なソフト感および耐油脂性を有する塗膜を形成できるので、物品の製造において手間やコストを削減できる。
なお、本発明においては、必要に応じて被塗物素材(基材)に併せたプライマー層を形成してもよい。
物品の用途としては特に限定されないが、人の手が触れやすいもの、例えば、インストルメントパネル、コンソールボックス等の自動車内装部品として好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例27、28は参考例である。
塗料に含まれる成分として、以下に示す化合物を用いた。
・PCD変性アクリル樹脂:アクリルポリオールにポリカーボネートジオールをグラフト重合させたもの(DIC株式会社製、商品名「アクリディックWPU−273」、質量平均分子量:8000、水酸基価:120mgKOH/g、ガラス転移温度−45℃、アクリルポリオール:PCD=5:5)。
・PCD:ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「デュラノールT5651」、数平均分子量:1000、水酸基価:110mgKOH/g、)。
・ラクトン変性アクリル樹脂:(DIC株式会社製、商品名「アクリディックWPU−569」、質量平均分子量:8500、水酸基価:144mgKOH/g)。
・ウレタン樹脂ビーズA:架橋型ポリエステル系ウレタン樹脂ビーズ(大日精化工業株式会社、商品名「ダイミックビーズUCN−5070D」、平均粒子径:7μm)。
・ウレタン樹脂ビーズB:架橋型ポリカーボネート系ウレタン樹脂ビーズ(大日精化工業株式会社、平均粒子径:7μm)。
・ポリイソシアネート:ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「デュラネート24A−100」、NCO価:23.5)。
・任意成分:表1に示す配合組成のものを用いた。
Figure 0006800001
表1中の各任意成分の配合量は、後述の主剤に含まれる樹脂成分100質量部に対する量(質量部)である。また、表1中の略号は以下の通りである。
・PTFE:ポリテトラフルオロエチレン。
・EAC:酢酸エチル。
「実施例1」
樹脂成分として、PCD変性アクリル樹脂30質量部、PCD50質量部およびラクトン変性アクリル樹脂20質量部と、樹脂ビーズとしてウレタン樹脂ビーズAを80質量部と、任意成分として表1に示す配合組成の任意成分(2)とを混合し、主剤を調製した。
別途、ポリイソシアネート100質量部と、溶剤として酢酸イソブチル88.7質量部とを混合し、硬化剤を調製した。
主剤と硬化剤とを質量比(主剤/硬化剤)が4/1となるように混合し、塗料を得た。なお、主剤/硬化剤=4/1は、樹脂成分中の水酸基(−OH)の1モルに対するポリイソシアネート中のイソシアネート基(−NCO)のモル当量(NCO/OH当量比)=1.5に相当する。
ABS板に、スプレーを用いて乾燥膜厚が25μmになるように得られた塗料を塗布した後、80℃で30分間強制乾燥(焼付)を行い、さらに25℃で168時間養生して、ABS板上に塗膜が形成された物品(試験片)を得た。
得られた試験片について、以下に示す条件により触感、耐油脂性および顔料分散性を評価した。結果を表2に示す。
<評価>
(触感の評価)
試験片の塗膜の表面を指先で触ったときの触感(ソフト感)を比較例1と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:比較例1よりもかなり良好である。
B:比較例1よりも良好である。
C:比較例1と同等である。
(耐油脂性の評価)
試験片の塗膜の表面に、日焼け止めクリーム(サンスクリーン剤(SPF45相当))0.5g/100cmを均一になるように塗布し、50℃で4時間放置した。放置後の塗膜の外観を目視にて観察し、塗膜の状態を比較例1と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:比較例1と同等である。
B:比較例1よりも劣るが許容レベルである。
C:比較例1よりも劣り、許容レベルではない。
(顔料分散性の評価)
塗料中の顔料の状態(分散性)を目視にて観察して比較例1と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:比較例1と同等である。
B:比較例1よりも劣るが許容レベルである。
C:比較例1よりも劣り、許容レベルではない。
「比較例1」
主剤(オリジン電気株式会社製、「エコネットEY」、樹脂成分:アクリルポリオール、顔料:カーボンブラック)と、硬化剤としてポリイソシアネート(オリジン電気株式会社製、「ポリハードFT」)とを質量比(主剤/硬化剤)が8/1となるように混合し、塗料を得た。
得られた塗料について、顔料の状態(分散性)を目視にて確認した。
得られた塗料を用い、実施例1と同様にして試験片を作製した。
得られた試験片について、塗膜の触感および耐油脂性を確認した。
「実施例2〜11」
主剤の配合組成を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして塗料を製造し、試験片を作製した。
得られた試験片について、実施例1と同様にして触感、耐油脂性および顔料分散性を評価した。結果を表2に示す。
「実施例12〜14」
主剤の配合組成を表3に示すように変更し、表3に示すNCO/OH当量比となるように主剤と硬化剤とを混合した以外は、実施例1と同様にして塗料を製造し、試験片を得た。
得られた試験片について、実施例1と同様にして触感および耐油脂性を評価した。結果を表3に示す。また、実施例2の結果も表3に示す。
「実施例15〜22」
主剤の配合組成を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして塗料を製造し、試験片を作製した。
得られた試験片について、以下に示す条件により触感、耐油脂性および加水分解性を評価した。結果を表4に示す。
<評価>
(触感の評価)
試験片の塗膜の表面を指先で触ったときの触感(ソフト感)を実施例16と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:実施例16よりも良好である。
B:実施例16と同等である。
C:実施例16よりもやや劣るが許容レベルである。
D:実施例16よりも劣るが許容レベルである。
E:実施例16よりもかなり劣り、許容レベルではない。
(耐油脂性の評価)
試験片の塗膜の表面に、日焼け止めクリーム(サンスクリーン剤(SPF45相当))0.5g/100cmを均一になるように塗布し、50℃で4時間放置した。放置後の塗膜の外観を目視にて観察し、塗膜の状態を実施例16と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:実施例16よりも良好である。
B:実施例16と同等である。
C:実施例16よりもやや劣るが許容レベルである。
D:実施例16よりも劣るが許容レベルである。
E:実施例16よりもかなり劣り、許容レベルではない。
(加水分解性の評価)
試験片の塗膜の鉛筆硬度をJIS K 5600−5−4に準拠して測定し、これを「加速試験前の鉛筆硬度結果」として記録した。
次いで、温度80℃、湿度95%RHの条件下で試験片を1か月放置して加速試験を行った。加速試験前の鉛筆硬度の測定に使用した鉛筆と同じ硬度の鉛筆を用い、JIS K 5600−5−4に準拠して加速試験後の試験片の塗膜の鉛筆硬度を測定し、以下の評価基準にて評価した。
A:加速試験後の試験片の塗膜が、鉛筆硬度の測定によりえぐられていない。
B:加速試験後の試験片の塗膜が、鉛筆硬度の測定によりえぐられた。
「実施例23〜26」
主剤の配合組成を表5に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして塗料を製造し、試験片を作製した。
得られた試験片について、以下に示す条件により触感および耐油脂性を評価した。結果を表5に示す。
<評価>
(触感の評価)
試験片の塗膜の表面を指先で触ったときの触感(ソフト感)を実施例23と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:実施例23よりも良好である。
B:実施例23と同等である。
C:実施例23よりもやや劣るが許容レベルである。
D:実施例23よりも劣るが許容レベルである。
E:実施例23よりもかなり劣り、許容レベルではない。
(耐油脂性の評価)
試験片の塗膜の表面に、日焼け止めクリーム(サンスクリーン剤(SPF45相当))0.5g/100cmを均一になるように塗布し、50℃で4時間放置した。放置後の塗膜の外観を目視にて観察し、塗膜の状態を実施例23と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:実施例23よりも良好である。
B:実施例23と同等である。
C:実施例23よりもやや劣るが許容レベルである。
D:実施例23よりも劣るが許容レベルである。
E:実施例23よりもかなり劣り、許容レベルではない。
「実施例27〜29」
主剤の配合組成を表6に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして塗料を製造し、試験片を作製した。
得られた試験片について、実施例1と同様にして触感、耐油脂性および顔料分散性を評価した。結果を表6に示す。
「実施例30〜35」
主剤の配合組成を表7に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして塗料を製造した。
得られた塗料を用い、製膜条件(焼付温度、焼付時間および膜厚)を表7に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
得られた試験片について、以下に示す条件により触感および耐油脂性を評価した。結果を表7に示す。
<評価>
(触感の評価)
試験片の塗膜の表面を指先で触ったときの触感(ソフト感)を実施例2と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:実施例2よりも良好である。
B:実施例2と同等である。
C:実施例2よりもやや劣るが許容レベルである。
D:実施例2よりも劣るが許容レベルである。
E:実施例2よりもかなり劣り、許容レベルではない。
(耐油脂性の評価)
試験片の塗膜の表面に、日焼け止めクリーム(サンスクリーン剤(SPF45相当))0.5g/100cmを均一になるように塗布し、50℃で4時間放置した。放置後の塗膜の外観を目視にて観察し、塗膜の状態を実施例2と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:実施例2よりも良好である。
B:実施例2と同等である。
C:実施例2よりもやや劣るが許容レベルである。
D:実施例2よりも劣るが許容レベルである。
E:実施例2よりもかなり劣り、許容レベルではない。
「実施例36〜45」
主剤の配合組成を表8、9に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして塗料を製造した。
得られた塗料を用い、製膜条件(焼付温度、焼付時間および膜厚)を表8、9に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
得られた試験片について、以下に示す条件により触感および耐油脂性を評価した。結果を表8、9に示す。
<評価>
(触感の評価)
試験片の塗膜の表面を指先で触ったときの触感(ソフト感)を実施例23と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:実施例23よりも良好である。
B:実施例23と同等である。
C:実施例23よりもやや劣るが許容レベルである。
D:実施例23よりも劣るが許容レベルである。
E:実施例23よりもかなり劣り、許容レベルではない。
(耐油脂性の評価)
試験片の塗膜の表面に、日焼け止めクリーム(サンスクリーン剤(SPF45相当))0.5g/100cmを均一になるように塗布し、50℃で4時間放置した。放置後の塗膜の外観を目視にて観察し、塗膜の状態を実施例23と比較し、以下の評価基準にて評価した。
A:実施例23よりも良好である。
B:実施例23と同等である。
C:実施例23よりもやや劣るが許容レベルである。
D:実施例23よりも劣るが許容レベルである。
E:実施例23よりもかなり劣り、許容レベルではない。
Figure 0006800001
Figure 0006800001
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Figure 0006800001
表2〜9から明らかなように、各実施例で得られた塗料は、1コートでも充分なソフト感と耐油脂性とを有する塗膜を形成できた。
特に、実施例1〜11、27〜29を比較すると、ラクトン変性アクリル樹脂を併用した実施例1〜11、29は、ラクトン変性アクリル樹脂を用いていない実施例27、28に比べて顔料分散性にも優れていた。なお、実施例27、28で得られた塗料は顔料分散性に劣るが、クリア塗料としては好適に使用できる。
また、実施例15〜22を比較すると、架橋型ポリカーボネート系ウレタン樹脂ビーズ(ウレタン樹脂ビーズB)を用いた実施例19〜22は、架橋型ポリエステル系ウレタン樹脂ビーズ(ウレタン樹脂ビーズA)を用いた実施例15〜18に比べて、塗膜の加水分解をより抑制できた。

Claims (7)

  1. アクリル樹脂にポリカーボネートジオールがグラフトされたポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂と、ポリイソシアネートと、極性基を有するアクリル樹脂(ただし、前記ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂を除く)と、顔料とを含有し、
    前記極性基が水酸基、カルボキシ基およびアミノ基からなる群より選ばれる1種以上であり、
    前記ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂の質量平均分子量は5000〜15000であり、
    前記ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂を構成するアクリル樹脂とポリカーボネートジオールとの質量比(アクリル樹脂:ポリカーボネートジオール)は30:70〜70:30である、塗料。
  2. ポリカーボネートジオールをさらに含有する、請求項1に記載の塗料。
  3. 樹脂ビーズをさらに含有する、請求項1または2に記載の塗料。
  4. 前記ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂のガラス転移温度が−75〜−15℃である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料。
  5. 前記ポリカーボネートジオール変性アクリル樹脂を構成するアクリル樹脂がアクリルポリオールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料。
  6. 基材上に、請求項1〜のいずれか一項に記載の塗料の硬化物からなる塗膜を備える、物品。
  7. 基材上に、請求項1〜のいずれか一項に記載の塗料を塗布し、塗布された塗料を硬化する、物品の製造方法。
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