JP6799546B2 - マイクロ流体光イオン化検出器 - Google Patents

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Description

本願は、2015年5月5日に出願された米国仮特許出願第62/157,238号に対する優先権の利益を主張する。上記出願の全体が参照により本明細書に援用される。
本発明は、全米科学財団により授与された助成金番号IIP−1342917と、環境保護庁により授与された助成金番号83564401とに基づく政府支援を受けてなされたものである。従って、米国政府は本発明に対して一定の権利を有する。
本開示は、標的分析物の検出と分析を行うためのガスクロマトグラフィーで使用可能な高感度のマイクロ流体光イオン化検出器に関するものである。
ガスクロマトグラフィー(GC)は、揮発性有機化合物(VOC)や他の分析物化合物の分析に広く用いられている。GCシステムは、分析目的で用いられる場合は、通常、分析物検出器も備える。炎イオン化検出器(FID)は、卓上GC機器用の一般的な蒸気検出器である。FIDは、感度が高く(ピコグラム単位の検出限界)、ダイナミックレンジが大きく(6桁の大きさ)、デッドボリュームがゼロである。携帯機器への応用として、小型FID(μFID)の開発が行われている。しかしながら、FIDやμFIDは破壊的であるため、蒸気流路の真ん中に置いて多次元のGC分離をモニターすることはできない。代わりに、GC機器の端末側終端部においてのみ使用される。さらに、水素の使用が要求されることにより、μGC装置への広い受け入れの妨げとなる。
また、蒸気検出器としては、熱伝導度検出器(TCD)やμTCDも用いられてきた。TCDは、非破壊的でフロースルー設計ではあるが、感度が低く(ナノグラム)、ヘリウムを必要とする。他のタイプの非破壊的蒸気検出器としては、電子捕獲型検出器(ECD)がある。このECDは非常に高感度ではあるが、ダイナミックレンジが限られており、分析物のイオン化に放射性物質を使用する必要がある。近年、このような小型の非破壊的蒸気検出器としては、表面音響波(SAW)、化学キャパシタ、化学抵抗器、光学蒸気センサ、ナノ電子センサを含む他にもたくさんのタイプのものがμGCへの応用に開発されている。これらのセンサは、設置面積が小さく非破壊的ではあるが、大きなデッドボリューム、低感度、電気−光−電気変換(すべての光学蒸気センサに関して)又は限られた蒸気タイプといった問題を抱えている場合がある。また、そのような蒸気センサは、通常、分析物を捕捉し、それと相互作用するためにその表面にポリマー塗膜を必要とする。これにより、吸収及び脱着プロセスに起因して、検出分析物のタイプの制限、及び/又は、検出速度の低下につながる場合がある。
光イオン化検出器(PID)は、過去50年間にわたって開発が進められてきたまた他のタイプの蒸気検出器である。このPIDは、感度が高く(ピコグラム)、非破壊的で、幅広い蒸気に適用可能である。そして、PIDは、非破壊的で、さまざまな有機化合物及び無機化合物の検出に使用可能である。さらに、大きなダイナミックレンジ(6桁の大きさ)を有する。しかしながら、イオン化チャンバとデッドボリュームが大きいため、応答時間が遅いという問題があり、GCシステムにおけるPIDの使用や一体化が制限されてきた。そのため、応答時間が改善され、分析物に対して高い感度を有する高速PID検出器の提供が望ましい。
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供するものであり、本開示の全範囲又はすべての特徴を包括的に開示するものではない。
本開示のさまざまな態様では、マイクロ流体光イオン化検出器(PID)が提供される。このPIDは、マイクロ流体チャネルを有する基板を備えてもよい。このマイクロ流体チャネルは、液状試料を受け入れる入口と、液状試料がマイクロ流体チャネルを出ていく出口とを有する。特定の変形例では、マイクロ流体チャネルの全ボリュームが約9μL未満である。このPID装置は、第1電極領域及びそれとは異なる第2電極領域が基板上に画定されていてもよい。第1電極領域は、マイクロ流体チャネルによって、第2電極領域から分離されていてもよい。PID装置は、透明窓を有するUV光源も備える。この透明窓は、マイクロ流体チャネルの少なくとも一部に隣接している。このUV光源は、そのマイクロ流体チャネルの一部に光子を向けるよう構成されている。
本開示の他の態様では、マイクロ流体チャネルを有する基板を備えるマイクロ流体光イオン化検出器(PID)が提供される。このマイクロ流体チャネルは、液状試料を受け入れる入口と、液状試料がマイクロ流体チャネルを出ていく出口とを有する。特定の変形例では、マイクロ流体チャネルは、基板上に蛇行パターンを画定する。このPID装置は、第1電極領域及びそれとは異なる第2電極領域が基板上に画定されていてもよい。第1電極領域は、マイクロ流体チャネルによって、第2電極領域から分離されていてもよい。PID装置は、透明窓を有するUV光源も備える。この透明窓は、マイクロ流体チャネルの少なくとも一部に隣接している。このUV光源は、そのマイクロ流体チャネルの一部に光子を向けるよう構成されている。
他の特定の態様では、液状試料を受け入れる入口と、液状試料がマイクロ流体チャネルを出ていく出口とを有するマイクロ流体チャネルを備える基板を備えるマイクロ流体光イオン化検出器(PID)が提供される。このマイクロ流体チャネルのデッドボリュームは、マイクロ流体チャネルの全ボリュームの約1%以下である。また、このPID装置は、基板上に画定された第1電極領域及びそれとは異なる第2電極領域であって、第1電極領域は、マイクロ流体チャネルによって、第2電極領域から分離されている、第1電極領域及び第2電極領域と、マイクロ流体チャネルの少なくとも一部に隣接した透明窓を有し、そのマイクロ流体チャネルの一部に光子を向けるよう構成されたUV光源とを備える。
また他の態様では、一つ以上のVOC分析物の検出システムが提供される。このシステムは、少なくとも一つのガスクロマトグラフィーカラムを有するガスクロマトグラフィー(GC)ユニットを備える。システムは、マイクロ流体光イオン化検出器(PID)をさらに備える。このPID装置は、液状試料を受け入れる入口と、液状試料がマイクロ流体チャネルを出ていく出口とを有するマイクロ流体チャネルを備える基板を備える。特定の変形例では、マイクロ流体チャネルの全ボリュームは、約9μL未満である。他の変形令では、マイクロ流体チャネルは、基板上に蛇行パターンを画定する。このPID装置は、第1電極領域及びそれとは異なる第2電極領域を基板上に画定してもよい。第1電極領域は、マイクロ流体チャネルによって、第2電極領域から分離されていてもよい。PID装置は、透明窓を有するUV光源も備える。この透明窓は、マイクロ流体チャネルの少なくとも一部に隣接している。このUV光源は、そのマイクロ流体チャネルの一部に光子を向けるよう構成されている。このように、PID装置は、ガスクロマトグラフィー(GC)ユニットで処理された試料を分析する。
本開示のさらなる態様では、複数のイオン化検出器(PID)を備える検出システムの較正方法についても考察される。この方法は、システムの基準光イオン化検出器を通る分析物の第1量を測定することと、その第1量についての第1ピーク面積(A)を判定することとを含む。システムの基準光イオン化検出器の下流にある一つ以上の第2光イオン化検出器を通る分析物の第2量も測定することができ、その第2量について、少なくとも一つの第2ピーク面積(A1A)を判定することができる。そして、例えば、式E=A/A1Aによって、較正係数(E)を計算することができる。一つ以上の第2光イオン化検出器は、較正係数Eに基づいて較正を行うことができる。
さらなる適用領域が本明細書の記載から明らかになるであろう。この概要における説明及び特定の例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
本明細書において説明される図面は、選択された実施例のみについての説明のためのものであり、すべての可能な実施例についての説明のためのものではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
本開示の特定の態様に係るマイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置の一部を示す概略平面図である。 本開示の特定の態様に係るマイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置の一部を概略的に示す部分断面側面図である。 本開示の特定の態様に従って形成されたPID装置100のマイクロチャネル部のイメージを示す図である。 アセンブリの一部として取り付けられたVUVランプを有する組み立てられたPID装置の写真である。 本開示の特定の態様に係る、ガスクロマトグラフィーシステム及びマイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置システムと一体化された電源回路の動作原理を概略的に示す図である。 本開示の特定の態様に係るマイクロ流体光イオン化検出器(PID)のバックグラウンド信号(V)対時間(秒)を示す図であり、ベースラインと真空紫外(VUV)光が点灯すると、VUVが消灯する。ノイズの標準偏差は0.68mVで、増幅は10倍である。増幅器の内部抵抗は、100MΩ+25pFである。測定中は、ヘリウムが2mL/minの流量でマイクロ流体PIDを流れる。差し込み図は、5.5分までの長期安定性を示す。 本開示の特定の態様に係るマイクロ流体光イオン化検出器(PID)の温度安定性テストを示す図である。図7Aは、左のY軸:装置温度に応じたベースライン信号を示す。20℃に関して、ノイズレベルは変化なしである。右のY軸:VUVランプ駆動回路の電流。図7Bは、温度に応じた分析物のPID感度を示す図である。対応するベースラインは取り除かれ、エラーバーは4つの測定に基づいて算出する。 本開示の特定の態様に係るマイクロ流体光イオン化検出器(PID)と従来の市販PID又はFID検出器との比較を示す比較性能図である。図8Aは、さまざまな流量で、市販PID、FID、マイクロ流体PIDにより得られたトルエンピークのFWHMを比較したものを示す。エラーバーを4つの測定に基づいて算出する。図8B及び図8Cは、2.3mL/minと10mL/minの流量で、FIDとマイクロ流体PIDにより得られた正規化トルエンピークを示し、それぞれ0.25秒と0.085秒のFWHMを示している。底部からピーク高さの90%までで測定された応答時間は、FWHMの約65%である。 本開示の特定の態様に係るマイクロ流体光イオン化検出器(PID)のトルエンについての正規化クロマトグラフィーピーク(信号(a.u.)対時間(秒))と従来の市販PID又はFID検出器との比較を示す図である。図9Aは、トルエンの流量が2.3mL/minの場合のデータを示し、図9Bじゃ、10mL/minの流量を示す。 本開示の特定の態様に係るガスクロマトグラフィーとマイクロ流体光イオン化検出器(PID)の5つの選択したVOC(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、ヘキサン)について、ピーク高さを注入質量に応じて示す図である。 本開示の特定の態様に係るマイクロ流体光イオン化検出器(PID)における5つの異なるVOCの直線性試験を示す図である。図11Aは、線形−線形スケールの注入質量(ng)に応じたピーク面積(Vs)を示す。実線が線形適合である(強制ゼロY切片)。対応する適合パラメータを表5に示す。エラーバーは、4つの測定により求められる。図11Bは、対数−対数スケールに示された図11Aの対応するデータ及び曲線を示す。破線は、視線をガイドする単一の傾斜を有する曲線を示す。 さまざまなチャンバサイズについて、正規化PID応答(イオン化チャンバ内のボリューム平均トルエン濃度に比例)をパージ時間に応じて示す図である。曲線(A)〜曲線(D)は、以下の図13A〜図13Dに対応する。曲線(A)〜曲線(D)の下降時間(すなわち、ピークからそのピークの10%までの時間)は、それぞれ、1.69秒、0.3秒、0.049秒、0.0035秒である。 さまざまなサイズのイオン化チャンバの分析物(トルエン)濃度(束)の大きさのCOMSOLシミュレーションを示す図である。図13Aは、4×4×4mm=64μLの寸法を有するチャンバを示す。図13Bは、2×2×4mm=16μLの寸法を有するチャンバを示す。図13Cは、1×1×4mm=4μLの寸法を有するチャンバを示す。図13Dは、0.4×0.4×4mm=0.64μLの寸法を有するチャンバを示す。各チャンバは、直径0.25mmの入口と出口を有する。まず、チャンバにトルエンを均一に充填する。t=0で、パージガスのヘリウムを5mL/minの流量で流し込んでチャンバのパージを行う。ヘリウム流速が最大速度の10%未満であるチャンバ内の領域として定義されるデッドボリュームは、(A)〜(D)について、それぞれ35.7μL、6.55μL、1.57μL、0.24μLとなる。 9つのVOCが、まずは、長さ6メートルのHP−5カラムを用いたガスクロマトグラフィーによって分離される、本開示の特定の態様に係るマイクロ流体PID検出を示す図である。各VOCは、注入された質量とFWHMと共に、以下のようになる。1.塩化ビニル(2.1ng、0.6s)2.cis−1,2−ジクロロエテン(1.0ng、0.7s)、3.ベンゼン(1.2ng、0.7s)、4.トリクロロエチレン(2.1ng、0.8s)、5.トルエン(1.5ng、0.9s)、6.テトラクロロエチレン(1.1ng、1s)、7.クロロベンゼン(1.0ng、1.2s)、8.エチルベンゼン(1.5ng、1.2s)、9.m−キシレン(1.5ng、1.3s)。温度傾斜は、0.2分間T=40℃で、その後毎分30℃の速度で75℃へ。図14Aは、ヘリウムを示し、図14Bは、2.0mL/minの流量でキャリアガスとして使用する乾燥空気を示す。 図10の5つの選択したVOC(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、ヘキサン)のうちのベンゼンについて、最低の注入質量で4回繰り返し行った本開示の特定の態様に係るGC−PIDシステムに基づくマイクロ流体PIDクロマトグラフピーク信号(V)対時間(秒)を示す図である。 図10の5つの選択したVOC(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、ヘキサン)のうちのトルエンについて、最低の注入質量で4回繰り返し行った本開示の特定の態様に係るGC−PIDシステムに基づくマイクロ流体PIDクロマトグラフピーク信号(V)対時間(秒)を示す図である。 図10の5つの選択したVOC(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、ヘキサン)のうちのエチルベンゼンについて、最低の注入質量で4回繰り返し行った本開示の特定の態様に係るGC−PIDシステムに基づくマイクロ流体PIDクロマトグラフピーク信号(V)対時間(秒)を示す図である。 図10の5つの選択したVOC(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、ヘキサン)のうちのm−キシレンについて、最低の注入質量で4回繰り返し行った本開示の特定の態様に係るGC−PIDシステムに基づくマイクロ流体PIDクロマトグラフピーク信号(V)対時間(秒)を示す図である。 図10の5つの選択したVOC(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、ヘキサン)のうちのヘキサンについて、最低の注入質量で4回繰り返し行った本開示の特定の態様に係るGC−PIDシステムに基づくマイクロ流体PIDクロマトグラフピーク信号(V)対時間(秒)を示す図である。 線形直線フロースルーマイクロ流体チャネルを有する、本開示の特定の態様に係るマイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置を示す概略図である。 図16のマイクロ流体光イオン化装置の線形直線フロースルー型マイクロ流体チャネルの詳細を示す側面図である。 本開示の特定の態様に係る複数のPIDの応答を特徴付けて較正するのに用いる1×4チャネルアレイを有する複数の光イオン化検出器(PID)を備える検出システムを示す概略図である。 85ngのエチルベンゼン(図19(a))と、92ngのトルエン(図19(b))に対する、図18のような検出システムの5つの光イオン化検出器(PID1A及びPID2A〜2D)の応答を示す図である。比較を目的として、PID2A〜2Dのピークは、各分析物について、PID1Aのピークに正規化される。さらに、分かりやすくするため、すべてのピークは水平方向にずらされている。従って、x軸は滞留時間を示さない。 トルエン(92ng)、エチルベンゼン(ng)、スチレン(ng)、ヘプタン(ng)、クロロベンゼン(ng)、ベンゼン(ng)、p−キシレン(ng)の分析物について、図18のような検出システムの4つの光イオン化検出器(PID2A〜2D)について得られた正規化ピーク面積を示す図である。 線形−線形スケールにおけるトルエンの注入質量に応じて、図18のような検出システムの3つの光イオン化検出器(PID1A、2A、2B)で得られたピーク面積を示す図である。エラーバーは3つの測定で求められる。 図21(a)から得られたPID1Aのピーク面積に正規化されたPID2A、PID2Bのピーク面積を示す図である。異なる濃度間で平均化された各PIDの較正係数と、関連する標準偏差が表示されている。 図18のような検出システムの基準光イオン化検出器(PID1A、黒色曲線)により得られたスチレン(285ng)と2−ヘプタン(420ng)の混合物の共溶出ピークを示す図である。このピークは、スチレン(赤色バー)について、図18のような検出システムの4つの光イオン化検出器(PID2A〜2D)からの信号により再構成される。PID1Aにより得られたスチレンを285ngで個別に注入した場合のピークを赤色曲線で示す。 基準光イオン化検出器PID1A(黒色曲線)により得られたスチレン(285ng)と2−ヘプタン(420ng)の混合物の共溶出ピークを示す図である。このピークは、2−ヘプタン(420ng)(青色バー)について、PID2A〜2Dからの信号により再構成される。PID1Aにより得られた2−ヘプタンを420ngで個別に注入した場合のピークを青色曲線で示す。 基準光イオン化検出器PID1A(黒色曲線)により得られたスチレン(285ng)と2−ヘプタン(420ng)の混合物の共溶出ピークを示す図である。黒色バーは、図22(a)及び図22(b)の赤色バーと青色バーの合計である。第1次元溶離液を第2次元カラムに送ることについては、図23に詳しく示す。ピーク面積を表2に詳しく示す。 スチレン(285ng)と2−ヘプタノン(420ng)が一緒に注入される場合に、図18のような検出システムの基準光イオン化検出器(PID1A)からの信号を示す図であり、145秒前後で第1次元から共溶出したこれらの2つの分析物を示している。このルーティングシステムは、溶離液を、それぞれ5秒の窓を有する4つのスライスに切り分け、その後それらを4つの第2次元カラムのそれぞれに送る。4つの光イオン化検出器(PID2A〜2D)からの信号は、スチレンと2−ヘプタノンが第2次元カラムで分離されることを示し、それにより、第1次元分離において溶出ピークの再構成を行うことができる。
対応する符号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。
次に、例示的な実施例について、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
例示的な実施例は、本開示が完全なものとなり、その範囲を当業者に十分に伝えるように示されている。本開示の実施例の完全な理解を可能にするために、特定の組成、構成要素、装置及び方法の実例など多くの特定の細部について述べている。当業者には、特定の細部は使用する必要はなく、例示的な実施例は多くの異なる形で具体化すること可能であり、また本開示の範囲を限定するものと解釈すべきでもないことが理解されるであろう。いくつかの例示的な実施例では、周知のプロセス、周知の装置構造、周知の技術については詳述されない。
本明細書で使用される専門用語は、特定の例示的な実施例を記述するためのものにすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるとき、単数形の「1つ(a、an)」及び「その(the)」は、文脈上別段の明確な指示がない限り、複数の形態も含むことを意図することがある。「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」及び「有している(having)」という用語は包括的であり、したがって、述べられた特徴、要素、組成、工程、整数、動作、及び/又は構成要素の存在を明示するが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しない。オープンエンドな用語である「備えている(comprising)」は、本明細書に記載されているさまざまな実施例の説明と主張を行うのに用いられる非限定的な用語であるが、特定の態様では、「から成る(consisting of)」または「から本質的に成る(consisting essentially of)」などのより限定的な用語として理解されてもよい。このように、組成、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、及び/又は処理ステップを列挙する任意の所与の実施例では、本開示はまた、このように列挙された組成、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、及び/又は処理ステップから成る、または本質的に成る実施例を具体的に含む。「から成る(consisting of)」の場合は、代替的な実施例は、任意の追加の組成、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、及び/又は処理ステップを除外する一方で、「から本質的に成る(consisting essentially of)」の場合は、基本的且つ新規な特性に実質的に影響を与える、任意の追加の組成、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、及び/又は処理ステップは、このような実施例から除外されるが、基本的且つ新規な特性に実質的に影響を与えない、任意の組成、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、及び/又は処理ステップは、実施例に含まれることができる。
本明細書に記載される方法ステップ、処理及び操作は、実施の順序として明確に特定されない限り、論じられた又は示された特定の順序で実施する必要があると必ずしも解釈されない。追加又は代替のステップを使用することが可能であることも理解されたい。
構成要素、要素又は層が、別の要素又は層「の上にある」、「に係合される」、「に接続される」又は「に結合される」と称されるとき、それは、直接的に、他の構成要素、要素又は層の上にあってもよく、他の構成要素、要素又は層に係合、接続、又は結合されてもよく、介在する要素又は層が存在してもよい。対照的に、要素が、別の要素又は層「の上に直接ある」、「に直接係合される」、「に直接接続される」又は「に直接結合される」と称されるとき、介在する要素又は層が存在しなくてもよい。要素間の関係を記載するために用いられる他の語は、同様な態様で解釈されるべきである(例えば「間に」に対する「直接間に」、「隣に」に対する「直接隣に」など)。本明細書において、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1以上の任意又は全ての組合せを含む。
様々な工程、要素、構成要素、領域、層及び/又は部分を記述するために、本明細書では第1、第2、第3などの用語を使用することがあるが、これらの工程、要素、構成要素、領域、層及び/又は部分は、これらの用語によって限定すべきではない。これらの用語は、ある工程、要素、構成要素、領域、層又は部分を、別の領域、層又は部分から区別するためにのみ使用することができる。本明細書で使用するとき、「第1」、「第2」などの用語及び他の数に関する用語は、文脈によって明確に指示されない限り、並び又は順序を意味するものではない。したがって、以下に述べる第1の工程、要素、構成要素、領域、層又は部分は、例示的な実施例の教示から逸脱することなく、第2の工程、要素、構成要素、領域、層又は部分と呼ぶことができる。
図に示される、ある要素又は構成の他の(1つ又は複数の)要素又は(1つ又は複数の)構成に対する関係を記述する場合に、本明細書では、「前」、「後」「内側」、「外側」、「下」、「下方」、「より下」、「より上」、「上方」などの空間的及び時間的な相対語を用いることがある。空間的及び時間的な相対語は、図に示す向きに加えて、使用時又は動作時の装置又はシステムの異なる向きを包含することを意図することがある。
本開示を通して、数値は、所与の値からの小さいずれ、および言及されたおよそのその値を有する実施例と同様に言及されたまさにその値を有する実施例を包含するように、近似的な測定値または範囲への限定を表す。詳細な説明の最後で与えられる作業例における以外、本明細書中のパラメータ(例えば、量または条件の)の数値はすべて、添付の特許請求の範囲を含めて、「約」が数値の前に実際に出現するかどうかにかかわらず、「約」という用語によってあらゆる場合に修飾されていると理解されるべきである。「約」は、記載された数値が、いくらかわずかな不正確を許容することを示す(値における正確さへの何らかの手法;値に近似的または合理的に近い;ほぼ(nearly)とともに)。「約」によって与えられる不正確が、この通常の意味によって当技術分野で別に理解されない場合、本明細書で使用される場合の「約」は、このようなパラメータを測定および使用する通常の方法から生じ得る変動を少なくとも示す。
さらに、範囲の開示は、範囲に与えられた端点を含む、範囲全体内の値のすべておよびさらに分けられた範囲の開示を含む。
ガスクロマトグラフィーを使ったシステムは、VOCやその他の化合物などの特定の分析物化合物の存在を検出するのに利用可能である。このようなシステムでは、蒸気検出器がGCカラムと併用して使用される。まず、分析対象の蒸気試料は、ガスクロマトグラフィー(GC)カラムに導入される。次に、このサンプルは、不活性ガスキャリアによってカラム内を移動し、サンプルにおける各化合物(分析物)の物理的性質によりGCカラム内で分類される。各溶出化合物は、GCカラムを離れて蒸気検出ユニットに進入する。他の設計では、この蒸気検出ユニットは、分析物の検出のため、GCカラム内の中間位置で使用されてもよい。
小型のGC、例えば、マイクロGC(μGC)については、フィールド適用の可能性に向けて集中的な開発が進められている。μGC装置内での重要な構成要素である蒸気検出器は、軽量で、設置面積が小さく、高速で高感度、かつ、低電力/電圧で動作可能でなければならない。また、非破壊特性及びフロースルー特性は、多次元μGCにおいて分析物やGC溶出プロフィールを破壊せずに連続的な蒸気分析を行うには非常に望ましい特性である。
従来の光イオン化検出器(PID)は、特定の分析物化合物の存在を検出するため、GCシステムと併用されることが多い。このようなGC−PIDシステムでは、分析対象の蒸気試料は、まず、ガスクロマトグラフィー(GC)カラムに導入される。次に、このサンプルは、不活性ガスキャリアによってカラム内を移動し、サンプルにおける各化合物(分析物)の物理的性質によりGCカラム内で分類される。各溶出化合物は、GCカラムを離れて、光イオン化検出器に進入する。
従来のPIDは、一般に、(例えば、紫外線(UV)波長域の)高エネルギー光子により、溶出分析物分子を正電荷を持つイオンに解離する。このPIDは、放電ランプチャンバでイオン化が行われた不活性ガスなど(ヘリウムなど)の放電ガスを使用することが多い。UVランプは、放電ガス内の原子が励起状態に移行するよう放電ガスによって吸収され得るUVエネルギーを利用する。放電チャンバでは、各イオンが別の原子と結合して一つ以上の光子を放出することができる。溶出化合物は、イオン化チャンバのPID装置に進入する。このイオン化チャンバと放電ランプチャンバは、通常、フッ化マグネシウムを含む光学的に透明な窓を介して互いに分離されている。その後、この溶出化合物を含むイオン化チャンバには、放電ランプチャンバからのイオン化された放電ガスによって生成された光子が照射される。
そして、この光子/エネルギーは、励起状態に移行して、別個のイオン化チャンバにおいてイオン化する分析物分子によって吸収され、最終的には正電荷を持つイオンが形成される。このように、GCカラムにおける相対保持時間に基づき、試料の異なる分析物分子同士が分離し、異なる時間で溶出した後、イオン化チャンバに進入し、そこでイオン化された放電ガスから放出された光子によりイオン化される。
ガスはこのようにして帯電し、イオンによって電流が生じ、その電流がイオン化された分析物分子の濃度に関する出力となる。各イオン化された化合物がイオン化チャンバに隣接する一つ以上の集電極を通過すると、電流が生じる。このように、分析物化合物の特定は、保持時間と各化合物のイオン化ポテンシャル(IP)との両方に基づいて行うことができる。PIDは、分析物に対する高い感度と大きなダイナミックレンジを有し、非破壊的な蒸気検出を提供するのに望ましい。しかしながら、従来のPIDには、イオン化チャンバとデッドボリュームがいずれも比較的大きいことから遅い応答や遅延が生じたり、動作に高い電力レベルを必要とするなどの重大な欠点もある。
一般の市販PIDは、デッドボリュームがイオン化チャンバボリュームの1/4−1/6である40−200μLのチャンバボリュームを有する。対応する応答時間は約数秒である。しかしながら、非常に高い流量(30mL/min)又はメイクアップガス(20mL/min)量により鋭いピークを生成することはできるが、複雑な流体設計及び/又は大幅な感度低下のためGCシステムやμGCシステムには望ましくない。近年、チャンバ設計の改善が行われ、チャンバボリュームが10μLのサイズまで縮小された。30mL/minの流量で30ミリ秒の応答時間(底部からピーク高さの90%までの時間として定義)又は45ミリ秒のFWHM(半値全幅)が得られた。しかしながら、応答速度はなおも比較的大きなチャンバ(及びデッドボリューム)によって制限され、通常μGCで用いられる低い流量では問題となる。
例えば、チャンバボリュームだけでは、1mL/minの流量に対して600ミリ秒のピークの広がりを引き起こす場合があり、関連するデッドボリュームによるさらなる広がりは言うまでもなく、それにより有効流量はさらに低くなる。迅速な応答を得るためには、イオン化チャンバとデッドボリュームは小さくなければならない。残念ながら、小型のチャンバは常に電極サイズ(イオン収集効率に対応)とUV照明断面(イオン化効率に対応)を犠牲にして成り立つものであり、PID感度の低下を生じる。
本開示は、これらの問題に対処し、フロースルー型の高感度なマイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置を提供する。このようなマイクロ流体PID装置は、特定の変形例ではアルキメデスらせん形チャネルにより、導電性シリコンウエハなどの基板に直接マイクロ加工することができる。さらに、このような本開示の特定の態様に従って製造されたマイクロ流体PID装置は、低電圧(<10−20VDC、一般的なPIDの10分の1以下の電圧)で動作可能である。特定の変形例では、マイクロ流体PIDのイオン化チャンバボリュームは、わずか1.3μLまで大幅に縮小され、これは最新のPIDのほぼ10分の1であり、市販PIDの100分の1以下である。
また、特定の態様では、本開示に従って製造されたPID装置は、そのフロースルー設計のおかげで、デッドボリュームがほぼゼロ(特定の変形例ではほんの約2nL)である。そのため、本教示に従って製造されたマイクロ流体PIDの応答時間は大幅に短縮可能であり、最終的にはその滞留時間に制限される(10mL/minで7.8ミリ秒、1mL/minで78ミリ秒)。実験に基づくと、本開示の特定の態様に係るマイクロ流体PID応答は、2.3mL/minと10mL/minの流量に対して、それぞれ0.25秒、0.085秒のピークFWHMを有する一般的な炎イオン化検出器(FID)と同じであることが認められている。
本明細書においてさらに説明するように、本開示の特定の変形例に係るマイクロ流体PIDは、UV照明面積と電極面積が大きいため、ピコグラムレベルまでの(3の標準偏差で)分析物の検出を行うことが可能である。特定の態様では、より一様かつ十分なUVイオン化のおかげで、6桁の大きさの線形ダイナミックレンジが得られる。最後に、電極間の距離が非常に短いため、マイクロ流体PIDの動作にはたった6VDCしか必要としない。従来のマイクロPIDと、従来のマイクロ放電PIDと、本開示の特定の態様に従って製造されたマイクロ流体PIDとの詳細な比較を表1に示す。
このように、本開示は、液状試料を受け入れる入口と、その液状試料がマイクロ流体チャネルを出ていく出口とを有するマイクロ流体チャネルを備えるマイクロ流体光イオン化検出器(PID)が提供される。このマイクロ流体チャネルは、以下にさらに説明するように、基板内又は基板上に形成することができる。マイクロ流体チャネルは、流体を含む試料の受取り、移動及び/又は貯蔵をマイクロ流体チャネルが行うのに十分な断面積及びボリュームを有する基板内又は基板上に形成されたマイクロチャネルである。流体には、ガス、蒸気、液体などが含まれる。このように、マイクロ流体チャネルは、一般的に、構造の長さが最大寸法となる、例えば、溝(開口形状)やチャネル(構造的に閉じた形状)のような寸法を有する。特定の変形例では、マイクロ流体チャネルは、本明細書でさらに説明するように、流体を連通させるボイド領域を画定する完全に閉鎖した構造であってもよい。マイクロ流体チャネルは、環状、円形、楕円形(管状又は円筒形状を形成する)、長方形などのさまざまな断面形状を有していてもよい。
さまざまな態様では、本開示によれば、形成方法及びマイクロスケールの特徴やチャネルを有する装置が提供される。いくつかの態様では、チャネルは、必要に応じて、ナノスケール構造など、マイクロスケールより小さくてもよい。本明細書で用いられるように、「マイクロスケール」という用語は、少なくとも一つの寸法が約500μm未満、任意に約400μm未満、任意に約300μm未満、任意に約200μm未満、任意に約150μm未満、また、特定の変形例では、任意に約100μm未満の構造を指す。「ナノスケール」構造は、少なくとも一つの寸法が、約50μm以下、任意に約10μm(10,000nm)以下、任意に約1μm(1,000nm)以下、任意に約0.1μm(100nm)以下、任意に約50nm未満、任意に約10nm未満である。本明細書で用いられるように、マイクロスケール、マイクロチャネル、マイクロ流体チャネル又はマイクロ構造という表現は、同等のナノスケール構造などのより小さな構造を包含する。
本開示の特定の態様に係る光イオン化検出器(PID)のマイクロ流体チャネルは、基板上に蛇行パターンを画定する。蛇行とは、流体チャネルが、流体流路を通じて蛇行し、180度の方向転換を少なくとも2回するフロースルー設計であることを意味している。このように、マイクロ流体チャネルによって画定される流体経路は複数回湾曲しているが、好適な態様では、デッドゾーンを生じたり、流体の流れを減少させる方向転換が回避される。そのような蛇行経路によって、らせん構造や交互嵌合型構造が画定されてもよい。好適な変形例の一つとしては、マイクロ流体チャネルによって、アルキメデスらせんが画定される。他の変形例では、マイクロ流体チャネルは、線形の直線流路などの他の流路構成を有していてもよい。
このマイクロ流体チャネルは、基板内又は基板上に形成することができる。基板は、無機物やポリマーから形成されてもよい。特定の態様では、基板はガラス(例えば、シリカやホウケイ酸ガラス)であってもよい。以下にさらに詳細に説明するように、特定の変形例では、基板上には一つ以上の層が形成されていてもよい。そして、少なくとも一つの層に導電性材料が含まれていればよい。この導電性材料は、導体材料又は半導体材料(ドープ半導体材料)から形成されてもよい。特定の態様では、導電性材料には、シリコン(Si)(例えば、ドープシリコン)、アルミニウム(Al)、インジウムスズ酸化物(ITO)、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、ステンレス鋼(SS)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、それらの合金及び酸化物、並びにその組み合わせから成る群から選択される材料が含まれる。特定の変形例では、基板は、複数の層から構成されている。その複数の層のうちの少なくとも2つの層が異なる組成を有していればよい。例えば、基板上の第1層は、ドープシリコンなどのドープ半導体材料から構成されていればよく、その第1層を覆う第2層は、導電性金属から構成されていればよい。
上記層は、マイクロ流体チャネルを形成するパターンで、選択領域において除去される。マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、第1電極と、それとは反対の極性の第2電極をさらに備える。例えば、マイクロ流体光イオン化検出器(PID)には、第1電極領域と、それとは異なる第2電極領域とが基板上に画定されていてもよい。これらの第1電極領域及び第2電極領域は、基板上の一つ以上の層の選択領域に形成されていてもよい。特定の変形例では、基板は、ドープシリコンの第1層と、導電性金属の第2層とを有する選択領域からなり、それらの選択領域は、第1電極領域と第2電極領域のそれぞれに対応する異なる領域である。第1電極領域は、マイクロ流体チャネルによって、第2電極領域から分離され、電気的に絶縁されていてもよい。マイクロ流体チャネルは、上記一つ以上の層に形成されてもよく、それにより第1及び第2電極領域の分離及び画定を行ってもよい。第1及び第2電極領域は、電源の外部のプラスとマイナスのリード線に接続することができる。こうして、イオン化された分析物が光子によって照射と励起が行われた際にマイクロ流体チャネル内に生じる電気信号を測定する能力が電極によって得られる。
また、マイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置は、光源も備える。上述のように、光源は、ランプ内で光又は電磁放射線を生成した後光子を生成し、それらはマイクロ流体チャネルの中身に向けられる。特に適した光が紫外線電磁放射スペクトルに含まれる。特定の変形例では、その光は、約10nm以上−約400nm以下の波長を有する紫外線(UV)(紫外線A、紫外線B、紫外線C、近紫外線、中間紫外線、遠紫外線、極紫外線、真空紫外線を含む)であってもよい。また他の変形例では、上記光は、約100nm以上から約400nm以下の範囲の紫外線(紫外線A、紫外線B、紫外線Cを含む)であってもよい。特に、光は、フィルター処理した光、集中光、偏光、又はスペクトル外の光や異なる波長を組み合わせたものであってもよい。そのUV光源は、(ランプ内で生成されるUV光や光子に対して)透明な窓を有するUVランプであってもよい。このランプは、PID装置の放電チャンバと見なされてもよく、クリプトン(Kr)などの不活性希ガスを含んでいてもよい。上記透明窓は、フッ化マグネシウム(MgF)から構成されていてもよい。
上記UV光源の透明窓は、マイクロ流体チャネルの上、マイクロ流体チャネルの下、又は、マイクロ流体チャネルの側面に沿って配置されていればよい。ある特定の設計では、UV光源の透明窓は、マイクロ流体チャネルの少なくとも一部の上に配置されていてもよく、それによりマイクロ流体チャネルを包み込む上部又は上側壁(例えば、三面チャネルの第4面)が形成されてもよい。しかしながら、その透明窓はマイクロ流体チャネルに接触しなくてもよく、その代わりに、マイクロ流体チャネルの近くに配置して、マイクロ流体チャネルから数ミリから約10μm未満離れた位置に小さな間隙を残してもよい。このように、UV光源は、マイクロ流体チャネル内に存在し得る試料流体に対して光子を向けるよう配置され、構成されている。従って、マイクロ流体チャネルは、マイクロ流体チャネル内に存在してそこを流れる分析物化合物のためのイオン化チャンバとしての機能を果たす。
特定の変形例では、マイクロ流体チャネル(又はイオン化チャンバ)は、その全ボリュームが約10μL以下である。特定の好適な態様では、約9μL以下、任意に約8μL以下、任意に約7μL以下、任意に約6μL以下、任意に約5μL以下、任意に約4μL以下、任意に約3μL以下、任意に約2μL以下、そして、特定の変形例では、任意に約1.5μL以下となる。例えば、一変形例では、マイクロ流体チャネルによって、イオン化チャンバのボリュームがわずか約1.3μLに設定されている。
さらに、特定の態様では、マイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置は、マイクロ流体チャネル経路にごくわずかなデッドボリュームを有している。このマイクロ流体チャネルのデッドボリュームは、マイクロ流体チャネルの全ボリュームの約1%以下であってもよく、例えば、マイクロ流体チャンバの全ボリュームが5μLの場合、1%以下のデッドボリュームは、0.05μL又は50nL以下のデッドボリュームとなる。また他の変形例では、マイクロ流体チャネルのデッドボリュームは、マイクロ流体チャネルの全ボリュームの約0.9%以下、任意にマイクロ流体チャネルの全ボリュームの約0.7%以下、任意にマイクロ流体チャネルの全ボリュームの約0.9%以下、そして、特定の変形例では、マイクロ流体チャネルの全ボリュームの約0.5%以下であってもよい。さらに他の変形例では、マイクロ流体チャネルのデッドボリュームは、約30nL以下、任意に約25nL以下、任意に約15nL以下、任意に約10nL以下、任意に約5nL以下、任意に約4nL以下、任意に約3nL以下、そして、特定の変形例では、任意に約2nL以下であってもよい。
マイクロ流体チャネルの幅は、約50μm以上から約200μm以下、任意に約100μm以上から約200μm以下、そして、特定の態様では、任意に約125μm以上から約175μm以下であってもよい。また他の変形例では、マイクロ流体チャネルの高さ又は深さは、約100μm以上から約600μm以下、任意に約200μm以上から約500μm以下、任意に約300μm以上から約400μm以下、特定の態様では、任意に約350μm以上から約400μm以下であってもよい。このマイクロ流体チャネルの全長は、約0.5cm以上から約10cm以下、任意に約1cm以上から約5cm以下、そして、特定の態様では、任意に約2cm以上から約3cm以下であってもよい。壁厚(例えば、マイクロ流体チャネル内の互いに隣接する各パス間の壁厚)は、約10μm以上から約100μm以下、任意に約25μm以上から約75μm以下、そして、特定の態様では、任意に約40μm以上から約60μm以下であってもよい。一実施例では、マイクロ流体チャネルは、断面が150μm(幅)×380μm(深さ)、壁厚が50μm、長さが2.3cmである。
本開示の特定の態様に従って製造されたマイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置は、低電圧、例えば、約20直流ボルト(VDC)以下、任意に約15VDC以下、任意に約10VDC以下、任意に約9VDC以下、任意に約8VDC以下、任意に約7VDC以下、任意に約6VDC以下で動作可能な低電圧装置である。例えば、PID装置内の電極間の距離が非常に短いため、特定の変形例では、動作にたった6VDCしか必要としない。
特に、上記PIDシステムには、データ処理システム、外部電源供給システム、流体ポンプ、一般的にPIDシステムで用いられる他の関連する構成要素及び装置が含まれていてもよい。上述のように、本開示で提供されるPIDシステムは、ガスクロマトグラフィーシステム又はマイクロガスクロマトグラフィーシステムに接続されていてもよく、もしくはそれと関連していてもよい。
本教示に従って製造されたPIDは、滞留時間によって比較的短い距離を有することができる。PIDの滞留時間(tresidence)の例としては、試料流体の流量が10mL/minに対して7.8ミリ秒から試料流体の流量が1mL/minに対して78ミリ秒の範囲にわたっていてもよい。本開示の特定の態様に係るマイクロ流体PID応答は、流体試料が2.3mL/minと10mL/minの流量に対して、それぞれ約0.25秒、0.085秒のピークFWHM(半値全幅)を有する一般的な炎イオン化検出器(FID)と同じであることが分かっている。
GCピークの広がりに寄与するtPIDで示されるPIDの応答時間は、以下のように、主にイオン化チャンバのボリュームとデッドボリュームに左右される。

ここで、tresidenceは、PIDチャンバを流れる分析物の大部分の分析物滞留時間であり、tdeadは、デッドボリューム内の分析物をPIDから一掃するのに必要な残留時間を示す。Vflow、Vdeadはそれぞれ、チャンバフローボリューム(すなわち、移動相によって流されたイオン化チャンバ内のボリューム)と、デッドボリューム(すなわち、移動相によって流されなかったイオン化チャンバ内のボリューム)である。Vflow+Vdead=全イオン化チャンバボリューム。F、F’は、チャンバフローボリュームとデッドボリュームそれぞれに存在する分析物の体積流量である。フロースルー型ではないPID設計では、デッドボリュームが、通常、チャンバボリュームの1/6から1/4であり、GCピークのテーリング効果の原因となる。tdeadは推定が難しいが、以下の表2に示すように、さまざまなPID設計のtresidenceは容易に算出可能である。表2は、比較例の市販PIDと、比較例の最新PIDと、本開示に係るマイクロ流体PIDとの分析物滞留時間の比較を示す。
PID応答時間は、最終的には、そのチャンバボリュームによって制限される(デッドボリュームをゼロと仮定した場合)。図13A〜図13D、図12は、さまざまなチャンバサイズのCOMSOLシミュレーション結果と、PID応答の対応する下降時間とを示す。小さいチャンバサイズと良好な流体設計が、PID応答時間を大幅に向上させることがはっきりと分かる。
PIDが生成する電流信号iは、以下のように表すことができる。

ここで、Iは、真空紫外(VUV)光子束(毎秒1m当たりの光子数を単位にして)であり、Aは、イオン化チャンバの有効VUV放射面積であり、σは、イオン化断面であり、[AB]は、分析物濃度であり、Cは、電極でのイオン/電子収集効率である。一定の分析物濃度と一定のVUV光源に関して、I、σ、[AB]は固定されているので、iは、放射領域に直線的に比例する。通常、VUV光源は、比較的大きな出力直径(例えば、実施例で使用されるランプでは3.5mm)を有している。しかしながら、より迅速な応答のためにチャンバボリュームを低下させるためには、従来のPID設計では、有効放射面積が大幅に削減されるので、VUVランプの利用度が著しく低下する。また、イオン収集効率を向上させるためには、検出信号に悪影響を与えるイオンの再結合や消滅の低減に比較的高い電圧(数百ボルト)が必要となる。
その一方で、特定の実施例では、本発明のマイクロ流体PID設計は、大きなVUV照明面積を維持しつつ、チャンバボリュームを軽減し、デッドボリュームを排除する蛇行チャネルを利用する。さらに、2つの電極間の距離が大幅に短縮され、電極面積が増大することにより、イオン収集効率が向上する。このように距離が短縮されることで、ある一定の印加電圧に対する電界強度が増大し、イオンの結合や消滅が軽減される。その結果、マイクロ流体PIDが低電圧、例えば、わずか6VDCで動作可能となる。また、VUV照明路が短いために、異なる深さにおける分析物に対して、より一様にイオン化を行って、検出の直線性を得ることができる。
図1は、本開示の特定の変形例に係る例示的なマイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置20の一部を示す概略平面図である。すなわち、PID装置20は、蛇行したアルキメデスらせん形状のマイクロ流体チャネル30を備える。このマイクロ流体チャネル30は、入口32と出口34を有している。入口32は、第1拡大台形領域33を有し、出口34は、デッドボリュームを軽減する第2拡大台形領域33を有している。そのらせん形状の中央領域36において、マイクロ流体チャネル30は、第1及び第2拡大台形領域33、35と比べて一様かつ縮小された断面積を有する。このように、このマイクロ流体チャネル30は、フロースルー設計を有する。
上記PID装置20は、第1電極領域40と、それとは異なる第2電極領域42とをさらに備える。第1電極領域40は、マイクロ流体チャネル30によって第2電極領域42から電気的かつ物理的に分離されている。第1電気コネクタ44は、第1電極領域40及び外部電源(図示せず)と電気的に連通している。同様に、第2電気コネクタ46は、第2電極領域42及び外部電源と電気的に連通している。
図2は、本開示の特定の態様に係るマイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置50の一部を概略的に示す部分断面側面図である。基板52(例えば、パイレックス(登録商標)(PYREX(登録商標))ガラスから形成された基板)上には、少なくとも一つの導電性材料(例えば、導電性シリコン材料)の層54が形成されている。マイクロ流体チャネル60によって、らせんパターンには複数の列が画定されている。この図示から、図2では出口は不図示であるが、ガスクロマトグラフィーカラム(不図示)への入口62が見てとれる。板状又は透明の窓64(例えば、MgFから形成された窓)が、マイクロ流体チャネル60の上側を覆うように、導電性材料層54の上に配置されている。そして、その透明窓64の上には、真空紫外線(VUV)ランプ70が配置されている。
VUVランプ70に電力を供給するために、電源74に接続された電力駆動回路72が設けられている。この電力駆動回路は、第1領域の導電性材料54と接続されて第1電極76を画定し、また、それとは異なる第2領域と接続されて反対の極性を有する第2電極78を画定する。第1及び第2電極76、78は、増幅器80にも接続されて、閉回路を形成する。PID理論に基づけば、PID信号は、電極76、78間に電流を生成するマイクロ流体チャネル60内を通る実験試料流体からの光イオン化された分子断片上の電荷から直接生成される。オームの法則によれば、最終的な電圧信号は、増幅器の内部抵抗にわたる電流信号に比例する。
本開示の他の態様では、マイクロ流体光イオン化検出器(PID)の製造方法について検討する。一実施例において、この方法は、基板にマイクロ流体チャネルを形成する工程を備えてもよい。特定の態様では、この基板の処理を、マイクロ流体チャネルが形成される前に行ってもよい。例えば、基板に一つ以上の層を塗布し、それをエッチングしてマイクロ流体チャネルを形成してもよい。特定の変形例では、導電性材料(又はその他の材料)の一つ以上の層を基板に塗布してもよい。一変形例では、まず、導電性シリコンウエハを、パイレックス(登録商標)(PYREX(登録商標))ガラスウエハ基板に陽極接合してもよい。次に、プラズマ化学気相成長法(PECVD)により、二酸化ケイ素を含む第2層をそのシリコンウエハの上に蒸着させてもよい。この導電シリコン層と二酸化シリコン層は、その形成後、ある形状(例えば、アルキメデスらせんのような蛇行形状)にパターニングされ、その後エッチングを行なってマイクロ流体チャネルを形成してもよい。一変形例において、パターニング工程では、リソグラフィー、蒸着及びリフトオフにより、2.0μmの厚さのアルミニウム層を塗布し、その後ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)によりシリコンウエハをエッチングして、最終的なマイクロ流体チャネルを形成してもよい。このマイクロチャネルを形成後、少なくとも2つの電極を異なる表面領域に接触させて、外部電源と電気的に接続する。こうしてパターニングされた領域上にUV光源の透明窓を配置して、マイクロ流体チャネルを形成してもよい。このPID装置の周辺にはシーラントを塗布してもよい。このように、UV光源は、接着剤又は機械的締結部材などのさらなる固定手段によりPID装置の一部として取り付けられてもよい。
低効率が0.001から0.005Ωcmで、厚さ380μmの高濃度ドープp型<100>の片面研磨された導電性Siウエハと、厚さ500μmのパイレックス(登録商標)(PYREX(登録商標))ガラスウエハをUniversity Wafer Company(マサチューセッツ州ボストン、それぞれP/N1318、P/N1112)から購入する。MgFクリスタル窓を有する10.6eVのVUV KrランプをBaseline−Mocon社(P/N043−257)から購入した。GCガードカラム(内径(i.d.)250μm、外径(o.d.)380μm)とHP−5被覆カラム(i.d.250μm、o.d.380μm、被覆厚さ0.25μm)をAgilent社から購入する。光学接着剤(ノーランド(登録商標)(Norland)81)をNorland社(ニュージャージー州クランベリー)から購入する。実験における比較を目的として使用する市販のPIDは、Baseline−Mocon社(P/N043−234)から入手する。実験で使用する市販の炎イオン化検出器(FID)は、バリアン3800GC機器にあらかじめインストールされている。
ベンゼン(P/N270709)、トルエン(P/N650579)、エチルベンゼン(P/N03080)、m−キシレン(P/N95670)、ヘキサン(P/N34859)の実験分析物を、Sigma−Aldrich社(米国ミズーリ州セントルイス)から購入し、さらなる精製を行わずに使用する。それらのVOCの関連する物理的性質を表3に挙げる。
例えば、図2に示すPID装置50のように、まずはパイレックス(登録商標)(PYREX(登録商標))ガラスウエハに陽極接合された導電性シリコンウエハ上に、アルキメデスらせん形状のマイクロチャネルを有するマイクロ流体PIDを作製する。次に、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によりシリコンウエハ上に2.0μmの二酸化シリコンを蒸着させてパターニングを行う。リソグラフィー、蒸着及びリフトオフにより厚さ2.0μmのアルミニウム層をパターニングした後、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)によりシリコンウエハをエッチングして、最終的に断面150μm(幅)×380μm(深さ)、壁厚50μm、長さ2.3cmのチャネルを形成する。このチャネル全体の外形寸法は、図3に示すように、15mm×15mmとなる。
図3は、形成されたPID装置100のマイクロチャネル部のイメージを示し、図4は、アセンブリの一部として取り付けられたVUVランプを有する組み立てられたPID装置の写真である。マイクロ流体チャネル110は、入口112と出口114を有している。GCカラムとマイクロ流体チャネル間の相互接続においてデッドボリュームを軽減するために、マイクロ流体チャネルの末端部は台形状になっている(400μm(底部幅)×150μm(上部幅)×100μm(高さ))。このマイクロ流体チャネル110の末端部(入口112、出口114)は、ガードカラムが挿入できるように(図3、図4)、さらに入口/出口ポート(長さ5.9mm)に接続されている。イオン化チャンバボリュームは、1.3μLであり、主にGCカラムとマイクロ流体PIDの入口/出口間の接続から生じるデッドボリュームは、約2nLと推定される。
マイクロ流体チャネルの作製後、第1電極120が、導電層(シリコン層及び二酸化シリコン層)の第1選択領域に接続される。そして、第2電極122が、導電層の第2選択領域に接続される。特定の態様では、2つの電極120、122は、図2に示すように、導電層(例えば、導電性シリコン/二酸化シリコン層又はアルミニウム層)にワイヤボンディングされて、電圧源と増幅器に接続されてもよい。
次に、MgFクリスタル窓を有するVUV Krランプをマイクロチャネル上に取り付け、光学接着剤でシールする。このランプは、3.5mmの有効照明径を有するので、このマイクロ流体PIDの全面積(2.4mm×2.4mm)をカバーすることができる。最後に、2つの長さ10cmのガードカラムを入口及び出口ポートにそれぞれ挿入し、光学接着剤でシールする。
マイクロ流体PIDの詳しい動作は、図2に示すシステムと同様である。このVUVランプに電力を供給するために、市販PID(通常5VDCの外部電圧源に接続されている)を備える電力駆動回路が用いられる。このマイクロ流体チャネル上の2つの電極は、−6VDCと接地にそれぞれ接続され、マイクロ流体チャネルにわたって約400V/cmの電場を発生させる。電極は、さらに増幅器(スタンフォードリサーチシステムズ社、SR560、入力インピーダンス=100MΩ+25pF)に接続されて、閉回路を形成する。
上述したように、PID信号は、電極間に電流を生成する光イオン化された分子断片上の電荷から直接生成される。オームの法則によれば、最終的な電圧信号は、増幅器の内部抵抗にわたる電流信号に比例する。動作時は、増幅器の帯域幅は、10Hzに維持される。増幅器からの出力電圧信号は、ラボビュー(登録商標)(LABVIEW)プログラムにより、データ収集(DAQ)カード(NI USB−6009、National Instruments社、テキサス州オースティン)を介して取得される。なお、このp型導電性シリコンウエハは、高濃度の自由正孔を有するが、ウェハが10.6eVのVUVにさらされても光電効果は生じる。
図5は、マイクロ流体光イオン化検出器(PID)装置とガスクロマトグラフィー(GC)ユニットを備えるシステム150を概略的に示す図である。GCインジェクタ160は、GCカラム162に流体試料を投入する。この試料は、GCカラム162から分離及び溶出すると、マイクロ流体PID164に投入される。このマイクロ流体PID164は、電圧を供給する電源に接続された電極166と電気的に連通している。また、マイクロ流体PID164は、増幅器168とも電気的に連通している。この増幅器168と電極166によって、電力駆動回路の一部が形成される。増幅器168は、マイクロ流体PID164で生成される信号に関するデータのモニタリングと収集を共に行うPC/コンピュータ172と通信を行うDAQカード170と通信を行う。なお、本開示では、より大型でより煩雑な増幅器及び電圧源を、特定のアプリケーション用の小型の電子回路と交換することについて検討する。
図6に示すように、VUV光が点灯すると、ベースラインジャンプは約94.3mVで、増幅器の前の94.3pAの電流変化に対応する。ノイズの標準偏差は0.68mVで、増幅は10倍である。増幅器の内部抵抗は、100MΩ+25pFである。測定中は、ヘリウムが2mL/minの流量でマイクロ流体PIDを流れる。差し込み図は、5.5分までの長期安定性を示す。
図7A及び図7Bは、マイクロ流体PIDの温度安定性テストを示す。図7Aは、装置温度に応じたベースラインである。図6の20℃に関して、ノイズレベルは変化なしである。図7Aでは、装置全体をGCオーブン内に載置することで、20℃から60℃までのマイクロ流体PIDの温度安定性も描かれている。温度が40℃以下の場合、ベースラインは、20℃の時とほぼ同じ状態のままとなる。VUVランプの特定最大動作温度(60℃)に近い温度では、ベースラインに44%の増加が見られた。一方、マイクロ流体PIDノイズは一定のまま(0.68mV)である。また、図7Bに示すように、分析物に対するPIDの感度もほぼ変わらないままとなる(<10%)。その後の実験では、このマイクロ流体PIDは、特別の定めのない限り、20℃で動作する。従って、対応するベースラインは、データ分析では差し引かれる。
5つの分析物、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、ヘキサンがモデルシステムとして選択される。このVOC試料は、気密シリンジを介して、対応するねじバイアル又はテフロン(登録商標)(TEFLON(登録商標))PTFEセプタム密封バイアル内の希釈ガス状試料のヘッドスペースで取り出され、60の分割比を有するバリアン3800GC機器の注入ポートへ注入される。検出器の特性としては、検出器(本開示に係るマイクロ流体PID又は比較例の市販PID又はFID)は、長さ3メートルのガードカラムを介してGC注入ポートに接続される。VOC分離実験については、長さ6メートルのHP−5カラムによりガードカラムを交換する。ヘリウムは、キャリアガスとして使用される。
比較を目的として、マイクロ流体PIDに代わって、バリアン3800GC機器にあらかじめインストールされた市販PIDやFIDを用いてVOC測定が行われる。GCカラムは、市販PIDの入口ポートに接続され、PIDは5VDCで駆動された。FID及び市販PIDからの信号は、SR560増幅器を介さずに、DAQカードによって直接記録される。
通常、数十から数百μLの範囲の流体チャンバボリュームと数μLから数十μLのデッドボリュームを有する、これまで報告されているPIDや市販PIDと比べて、マイクロ流体PIDのチャンバボリュームは、わずか1.3μLまで大幅に縮小し、デッドボリュームはほぼ無視できるほど(約2nL)となる。より小さなチャンバボリュームやデッドボリュームは、直接的により迅速な検出器応答時間につながる。
図8Aでは、本開示の特定の変形例に従って製造されたマイクロ流体PID、従来の市販PID、従来のFIDの流量に依存する半値全幅(FWHM)値を比較する。つまり、図8Aは、さまざまな流量で、市販PID、FID、マイクロ流体PIDにより得られたトルエンピークのFWHMを比較したものを示す。4つの測定に基づいて、エラーバーを算出する。流量が2.3mL/minから10mL/minまで増加すると、マイクロ流体PIDピーク幅(FWHM)は、0.25秒から0.085秒まで減少する。このピーク幅は、主に、GCインジェクタのデッドボリュームと、GCカラム内の分析物(トルエン)の縦分散によって生じる。
つまり、図8B及び図8Cは、マイクロ流体PIDによって、デッドボリュームがゼロのFIDとほぼ同一のピーク幅と形状が生じることを示している。図8B及び図8Cは、2.3mL/minと10mL/minの流量で、FIDとマイクロ流体PIDにより得られた正規化トルエンピークを示し、それぞれ0.25秒と0.085秒のFWHMを示している。底部からピーク高さの90%までで測定された応答時間は、FWHMの約65%である。市販PIDにより得られた対応するトルエンピークを図9A及び図9Bに示す。マイクロ流体PIDの最速応答時間(底部からピーク高さの90%までの時間として定義、FWHMの約65%)は、10mL/minの流量で約0.055秒であり、30mL/minの流量と非常に短い(0.2m)カラム(縦分散なし)で最新PIDにより得られた0.03秒に近い。
その一方、約200μLのチャンバボリュームを有する市販PIDは、他の市販PIDによって高い流量で得られるピーク幅と一致して、1−2.5秒のピーク幅を有する。マイクロ流体PIDのピーク幅は、市販PIDに比べて容易に10分の1に縮小される。最終的に、ピーク幅は、PIDチャンバボリュームやデッドボリュームによって決まる滞留時間により制限される。本発明のマイクロ流体PIDについては、1mL/minの流量での検出速度が78ミリ秒と速く、より短いチャネル長又はより小さい断面を用いることでさらに向上させることができる。
図10は、5つの選択したVOCについて、ピーク高さを注入質量に応じて示している。ピーク高さは、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレンで同様なのに対し、ヘキサンでは、イオン化ポテンシャルが高いため(VUVランプで得られる光の10.6eVに近い10.18eV)はるかに小さくなっている。注入質量が低いと、ピーク幅は変化することなく、注入質量の増加に対してピーク高さが直線的に増加し、対数の対数スケールの曲線の統一した傾きに反映されている。図15A〜図15Eは、5つの選択したVOC(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、ヘキサン)について、最低の注入質量でGC−PIDシステムに注入された5つの分析物の繰り返し可能な測定(4回)でのマイクロ流体PID信号を示す。高い注入質量(約1μg)では、ピーク高さが、ピークの広がりを伴って飽和状態になり始める。
検出限界の推定には、マイクロ流体PIDについて、ピーク高さ対質量の直線性、信号対ノイズ比、0.68mVのノイズ(σ)を考慮する。2.3mL/minの流量に対して3σに相当する検出限界を表4に示す。また、表4には、比較として、市販PIDとFIDの検出限界も示されている。マイクロ流体PIDは、1ピコグラムレベルまでVOCの検出が可能である(VUV光子エネルギーに近いイオン化ポテンシャルを有するヘキサンを除く)ことが分かる。市販PIDについては、検出限界がマイクロ流体PIDより約200倍高く、これはほぼ200倍大きなチャンバボリュームによって部分的に説明される。表4は、FID、本教示の特定の変形例に従って製造されたマイクロ流体PID、従来の市販PIDの検出限界の比較を示す。
大きいVUV照明面積、短い照明路、短い電極距離、大きい電極面積を組み合わせることにより、マイクロ流体PIDの良好な検出限界が得られる。まず、マイクロ流体チャネルの蛇行構造により、有効VUV照明面積は、約3.5mmとなり、これはマイクロ流体チャネルが占有する全面積(2.4mm×2.4mm、図3及び図4参照)の60%である。また、分析物の吸収により、VUV光強度が、イオン化チャンバを通過する際に非常に急激に低下する。照明路が短い(380μm)と、分析物のイオン化が一様かつ効率的に行えるようになる。
次に、光イオン化プロセス中は、イオンが電極に到達するまでの通過時間が長くなるにつれて、陰イオンと陽イオンの再結合や消滅が増大する。
その通過時間が電極距離と印加電圧の逆平方根に比例することが簡単な計算によって分かる。以下の式は、通過時間の計算を示す。
電場が一様であるとすると、イオンがある電極から他の電極へと移動するのに要する時間tは、以下の式によって得られる。

ここで、mとeは、それぞれイオンの質量と電荷である。Lは、2つの電極間の距離であり、Vは、印加電圧である。
従って、電極距離を縮めることが通過時間を短縮するのにより効果的な方法となる。マイクロ流体PIDの電極間の距離が短い(150μm)と、わずか6VDCで高い電場が生じ、イオンの再結合と消滅が抑制される。これにより、大きな電極面積(8.74mm)と相まって、イオン収集効率と一様性が大幅に向上する。PID性能の向上は、検出限界だけでなく、以下にさらに説明するように、装置の応答性曲線の直線性にも反映される。ほぼ直線の応答性曲線は、光イオン化やイオン収集が不十分であり一様ではないことを示している。
良好な感度及び検出限界に加えて、PIDは、直線の検出範囲が大きいことが望ましい。図11A、図11Bは、注入質量が50pg以下から1000ng以上の場合に、5つの異なるVOCについて、マイクロ流体PIDの応答性曲線を示す。図11Bのピーク面積は、線形回帰分析(ゼロ注入質量での強制ゼロY切片)において、Rが0.961から0.985(表5参照)の場合の注入質量に対する良好な線形応答を示している。表5は、図11Aで使用した線形の曲線適合パラメータを示す。
ガードカラム容量とサンプリングの制限により、注入質量は実験的に6桁の大きさをカバーしなかった。マイクロ流体PIDの検出限界は、わずか数ピコグラムであるため、かつ、図10によれば、注入質量が低い時、ピーク面積はピーク高さの低下と共に減少する(が、ピーク幅は変わらないままである)。このことから、マイクロ流体PIDの線形範囲は、数ピコグラムから数マイクログラムまで6桁の大きさに及ぶという推論結果を導き出すことができる。一方、比較例として、その関連する部分が本明細書に参照により組み込まれる、Sun他による「携帯型高速ガスクロマトグラフィーシステムのマイクロガスクロマトグラフィーカラムを有する改良された光イオン化検出器」、Sens. Actuators B. 188, pp.513−518(2013)には、注入質量(又は濃度)は6桁増加するが、検知信号は約1000倍しか増加せず、流体設計が不完全であること、並びに、光イオン化とイオン収集が不十分かつ一様ではないことを示している。最後に、図11A、図11Bの傾斜は、1ng当たりのVsで求められている(表5参照)。VUV光子エネルギーに非常に近いイオン化ポテンシャルを有し、イオン化が難しいヘキサンを除いて、残りの4つのVOCは、同様のイオン化ポテンシャルを有するが、それらの応答性の傾斜は、ベンゼンの0.1からエチルベンゼンの0.049までさまざまである。しかしながら、各傾斜にVOCの各分子量をかけることで求められる1mol当たりのVs単位の新しい傾斜は互いに近い(表5参照)。これは、マイクロ流体PIDが分析物のモル濃度を検出することを示唆し、PIDに期待される検出機構に一致している。
GCシステムにおけるマイクロ流体PIDの性能を説明するため、長さ6メートルのHP−5カラムにより9つのVOC分析物の分離を行う。図14A及び図14Bは、9つのVOCの信号(V)対時間(秒)を示す。各VOCは、注入された質量とFWHMと共に、以下のようになる。1.塩化ビニル(2.1ng、0.6s)2.cis−1,2−ジクロロエテン(1.0ng、0.7s)、3.ベンゼン(1.2ng、0.7s)、4.トリクロロエチレン(2.1ng、0.8s)、5.トルエン(1.5ng、0.9s)、6.テトラクロロエチレン(1.1ng、1s)、7.クロロベンゼン(1.0ng、1.2s)、8.エチルベンゼン(1.5ng、1.2s)、9.m−キシレン(1.5ng、1.3s)。温度傾斜は、0.2分間T=40℃で、その後毎分30℃の速度で75℃へ。図14Aは、ヘリウムを示し、図14Bは、2.0mL/minの流量でキャリアガスとして使用する乾燥空気(B)を示す。
分析物は、対応するねじバイアルのヘッドスペースで取り出された後、バリアン3800GC機器の注入ポートに分割比60で注入される。高純度のヘリウムが2.0mL/minの流量でキャリアガスとして使用される。カラム温度は、最初は0.2分間40℃に設定され、その後毎分30℃の速度で75℃まで上昇する。ピークはすべて、1秒以下又は1秒前後のピーク幅(FWHM)に対して対称であり、市販PIDとメイクアップガスによる従来のGC分離結果に比べて劇的な改善を示している。
本開示によれば、高速かつ高感度なVOC検出のためのGC(μGC)システムに利用可能なマイクロ流体PIDが提供される。マイクロ流体PIDは、そのフロースルー設計と非破壊的な性質のため、流路のほぼどこにでも設置することが可能である。例えば、2次元GCでは、第1次元カラムの端部と、第2次元カラムのサブユニットの入口との間の接合部で、PIDの非破壊的なフロースルー設定を利用してもよい。さらに、シンプルでロバストな構造並びに低電圧動作により、マイクロ流体PIDのフィールド適用が可能となる。
本開示では、部品レベル、サブシステムレベル、GCシステムレベルでのさらなる改良について検討する。部品レベルでは、マイクロ流体PIDの基本電流と関連するノイズをさらに減少させる改良によって、検出限界の改善と低減が達成される。例えば、UV遮蔽層を設けて露出したシリコンをカバーすることができる。異なるチャネル寸法や蛇行構造により、VUV照明やイオン収集効率を向上させてもよい。また、煩雑な増幅器や電圧源の代わりにコンパクトな電子回路を使用することもできる。さらに、マイクロ流体PIDの周りに電磁シールドを設置して電磁妨害を抑制してもよい。さらにまた、VUVランプの代わりに、チップに直接マイクロ加工されたマイクロ放電型VUV光源を使用してもよい。サブシステムレベルでは、μGC分離カラムをマイクロ流体PIDと同じチップに構成して、集積化を向上させることができる。GCシステムレベルでは、マイクロ流体PIDを多次元μGCシステムにインストールして、各次元から溶出する分析物のモニタリングを行うことができる。最後に、マイクロ流体PIDは、グラフェンナノ電子蒸気検出器などの他の電子蒸気センサと共に使用して、蒸気検出における識別をより良好に行うことができる。
本開示の他の特定の態様では、複数の光イオン化検出器(PID)を備えるシステムの較正を行う方法について検討する。このような方法では、システムが複数のPIDユニットから構成されていてもよい。これらのPIDユニットは、従来のPIDユニットであってもよく、上記本開示の特定の態様に従って製造されたマイクロ流体光イオン化検出器(μPID)であってもよい。このPIDユニットのうちの少なくとも一つを基準検出器として利用して、システムの残りのPIDユニットに対して使用できる較正係数を算出する。例えば、第1PIDユニットが上流の第1次元モジュールにあり、一つ以上の第2PIDユニットが下流の第2次元モジュールにあってもよい。これらの第1次元モジュールと、一つ以上の第2次元モジュールは、一つ以上のガスクロマトグラフィーカラムを備えてもよい。第1PIDユニットを基準検出器として用いて、一つ以上の第2PIDユニットの較正を行ってもよい。
PIDは、そのイオン化ポテンシャルが異なるため、異なる化合物に対してそれぞれ異なる応答性を示す。あるPIDについてのそのような応答性の違いについては、イソブチレンを用いた較正が行われ、イソブチレンと対象化合物との比率である応答係数(又は補正係数)として報告される。一方、異なるPIDは、濃度又は湿度が同じの同一の化合物に対して異なる応答性を有していてもよい。このような違いは、PIDランプ(その限られた寿命やクリプトンガス漏出のため)やPID窓(ガス分析物汚染、水エッチング、クリスタルソラリゼーション、UVダメージによる黄変効果によって生じる)の異なる経年状態などの要因に起因する場合もある。また、アセンブリ時にPID内のランプ窓とマイクロ流体チャネルのアラインメントが不完全であることによって生じる場合もある。PIDの応答性のばらつきは、GCシステム、特に多次元GCシステムにおいて複数のPIDを採用する上で問題となる場合もある。
異なるPID間の応答性の違いを較正するため、すべての予想濃度(質量)でのすべての対象分析物に対する各PIDの応答を測定することができる。しかしながら、この方法は面倒で、実現不可能な場合がある。最も簡単で実用的な方法としては、ある一定の濃度で、一つの分析物を用いて、GCシステムのすべてのPIDの応答を比較して較正する。ここで問題となるのは、この分析物と濃度で得られた較正係数が、概して、他の異なる濃度の分析物にも適用可能であるかどうかということである。この変形例では、1×4チャネルの2次元μGCシステムにおける、本教示の特定の態様に従って製造された5クリプトンμPID(UV光子エネルギー:10.6eV)の応答に関して、8.45eVから10.08eVのイオン化ポテンシャルと約1ngから約2000ngの濃度で、7つの異なる揮発性有機化合物(VOC)に対して系統的な研究が行われる。そのうちの一つのPIDを基準検出器として用いて、第1PIDに対して、残りの4つのPIDのそれぞれの較正係数を求める。これは、分析物、その濃度、又はクロマトグラフィーのピーク幅に関係なく極めて一様である。
上記観察に基づき、第1次元で共溶出したピークを、第2次元のPIDアレイで得られた信号により数値化する。これにより、単一の濃度の一つの分析物を用いて、多次元μGCシステムのPIDに対して高速かつその場で較正を行うことができる。そしてまた、複数のPIDがインストールされた多チャネル多次元GCを採用することが可能となる。
まず、本開示の特定の態様に従って、μPIDモジュールの製造と組み立てを行う。本教示に従って、マイクロ流体フロースルー型イオン化チャンバ/チャネルが形成される。クリプトンUVランプと、市販の内蔵型ランプ駆動回路と、Baseline−Mocon社の増幅器(コロラド州ライオンズ、P/N#043−234)とをマイクロ流体フロースルー型イオン化チャンバ/チャネルと共に組み立てる。本開示の他の変形例のような蛇行型のマイクロ流体チャネルを用いるのではなく、本実施例では、図16及び図17に示すように、直線のマイクロチャネル210を有する簡素化版のμPID200を構成する。図16は、μPID200アセンブリ全体を示し、図17は、マイクロ流体チャネル210を備えるμPIDの詳細部を示す。このマイクロ流体チャネル210は、第1基板214と第2基板216との間の間隙212(例えば、約380μm)によって形成される。幅380μm、高さ380μm、長さ2cmのマイクロ流体チャネルは、第1基板214と第2基板216との間隙212によって形成される。第1及び第2基板214、216は、0.001から0.005Ωcmの抵抗率を有するp型<100>導電性シリコンウエハであってもよい。第1及び第2基板214、216は、例えば、約380μmの厚さを有する。マイクロ流体チャネル210はその底部と上部をクリプトンUVランプ220とスライドガラス222でそれぞれ覆われ、これらは導電性を有する第1及び第2基板214、216(例えば、シリコンウエハ)に、エポキシ樹脂などの光学接着剤で接着されている。クリプトンUVランプ220は、内蔵されたランプ駆動回路(図示せず)と増幅器230に関連付けられている。このチャネルの有効UV照明長は、約3.5mm(すなわち、クリプトンランプ窓の直径)である。このマイクロ流体チャネル210は、その側面が導電性シリコンウエハでできているため、この装置構成では、信号収集電極としての機能を果たす。2つの銅線232は、第1及び第2基板214、216(例えば、シリコンウエハ)に接合され、増幅器230に接続されている。最後に、2つのガードカラム234(例えば、内径が250μm、外径が380μm)を、マイクロ流体チャネル210の入口236と出口238に挿入し、光学エポキシ樹脂でシールする。
較正技術の一般概念を示すため、PID特性のPID及びGCシステム250の実験装置を図18に示す。図18の構成には、図16、図17に示すような設計を有する本開示の特定の態様に従って製造された5つのPID260〜268(1A及び2A〜2Dでそれぞれ示す)が含まれる。このPID及びGCシステム250は、PID262、264、266、268(2A〜2D)の応答がPID260(1A)の応答に対して較正できるよう、1×4チャネル型2DのGCに似たフォーマットで構成されている。第1次元モジュールには、マイクロ加工されたプレコンセントレータ(μプレコン)270と、長さ10mのRTX−5msガスクロマトグラフィーカラム272、PID260(1A)が含まれる。各第2次元モジュール274には、マイクロ加工された熱インジェクタ(μTI)276、長さ3mのRTX−200ガスクロマトグラフィーカラム278、較正対象のPID(262〜268のうちの1つ)が含まれる。この2つの分離モジュール間のフロールーティングシステムには、PID1Aからそれに続く第2次元のPIDへと分析物のルーティングを行う2つの3ポートソレノイドバルブを有する3つのマイクロ加工されたディーンズ(μディーンズ)スイッチ280が含まれる。
上記μプレコン270及びμTI276には、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)が施されたテーパー入口/出口ポートを有するシリコン空洞、一体型プラチナヒーター、温度センサ、マイクロ流体チャネルが含まれる。その空洞には、ダイヤフラムポンプによって第3ポートを介してカーボパック(登録商標)(CARBOPACK)Bの顆粒がロードされ、ロード後シリコン接着剤でシールされる。小さなガードカラムの一部が流体ポートの入口と出口に挿入され、エポキシ接着剤で固定される。電気的接続としては、ヒーターと抵抗温度検出器(RTD)がプリント回路基板にワイヤボンディングされる。このμプレコン270とμTI276は、使用前に、ヘリウムフロー下300℃で12時間前処理が行われる。
長さ10mのRTX(登録商標)−5msGCカラム272と長さ3mのRTX(登録商標)−200GCカラム278とニッケル線が並行に載置されて、テフロン(登録商標)(TEFLON(登録商標))PTFEテープで包まれ、その後、直径5cm、高さ1cmの10cmのヘリックス状に巻かれる。A型K熱電対がコイル状カラムの間隙に挿入され、USB−TC01によりリアルタイムでカラム温度の測定を行う。プログラムされた温度傾斜プロファイルを得るため、パルス幅変調信号(4.0Hz方形波)を、ヒーター電力リレーにUSB−6212を介して印加する。方形波のデューティサイクルは、ラボビュー(登録商標)(LABVIEW)プログラムの比例積分微分コントローラによって計算され、定値温度とその時の測定温度に基づいて0.4s毎に更新される。
μプレコン270、μTI276、ヒーターに包まれたカラム272、278、μPID260〜268のすべてのコンポーネントが、カスタムプリント回路基板に搭載される。各コンポーネントに取り付けられたガードカラムは、汎用圧密ガラス毛管カラムコネクタ又は傾斜Yコネクタによって接続される。手作りのラボビュー(登録商標)(LABVIEW)プログラムは、システムの制御と操作を自動で行うため、また、PID信号の読み出しのために開発されたものである。
7つの分析物としては、Sigma−Aldrich社(ミズーリ州セントルイス)から、ベンゼン(>99.9%)、トルエン(99.5%)、エチルベンゼン(99.8%)、ヘプタン(99%)、スチレン(99.9%)、クロロベンゼン(99.8%)、p−キシレン(99%)、2−ヘプタノン(99%)が採用される。カーボパック(登録商標)(CARBOPACK)B(60−80メッシュ)は、Supelco社(ペンシルバニア州ベルフォンテ)から購入する。圧縮ヘリウムガス(99.998%)は、Cryogenic gases社(ミシガン州デトロイト)から購入する。GCガードカラム(内径(i.d.)250μm、外径(o.d.)380μm)、Rtx−5ms(10m×i.d.250μm、塗膜厚0.25μm)RTX−200(12m×i.d.250μm、塗膜厚0.25μm)、汎用圧密ガラス毛管カラムコネクタ、傾斜Yコネクタは、Restek社(ペンシルバニア州ベルフォンテ)から購入する。2ポート及び3ポートソレノイドバルブは、Lee Company社(コネチカット州ウェストブルック)から購入する。ダイヤフラムポンプは、Gast Manufacturing社(ミシガン州ベントンハーバー)から購入する。ニッケル線(直径0.32mm、1.24オームs/m)は、Lightning Vapes社(フロリダ州ブラデントン)から購入する。A型K熱電対は、Omega Engineering社(コネチカット州スタンフォード)から購入する。シリコンウエハは、University Wafer社(マサチューセッツ州ボストン)から購入する。PIDは、上述のように作成されたマイクロ流体フロースルー型イオン化チャンバ/チャネルを備えて製造され、UVランプ及び増幅器は、Baseline−Mocon社(コロラド州ライオンズ)から購入する。36VのAC/DCコンバータは、TDK−Lambda Americas社(カリフォルニア州ナショナルシティ)から購入する。24V及び12VのAC/DCコンバータと軸流ファンは、Delta Electronics社(台湾台北市)から購入する。データ収集カード、USB−6212(16ビット)、USB−TC01(熱電対測定用)は、National Instruments社(テキサス州オースティン)から購入する。
操作手順は2つのステップ、すなわち、PID260(1A)による第1検出ステップと、それに続くPID262〜268(2A〜2D)による第2検出ステップに分けられる。第1検出ステップでは、ガス分析物は、ダイヤフラムポンプ282によって2ポートバルブ284を介してくみ上げられ、μプレコン270内のカーボパック(登録商標)(CARBOPACK)Bに吸収される。サンプリングが行われた後、ガス源からのヘリウムガスが3ポートバルブ288に流れ込むように、2つのバルブ284が閉じられる。μプレコン270は、0.6秒で270℃まで加熱され、熱脱離が完全に行われるよう10秒間250℃に保たれる。この分析物は、RTX−5msカラム272を介して第1分離が行われ、PID260(1A)によって検出される。実験中は、カラム272は、50℃に加熱されて1分間保たれ、毎分5℃のペースで傾斜する。一方、PID260(1A)は、室温(25℃)に保たれる。
続いて、第2検出ステップでは、PID260(1A)を通る各分析物は(部分的に又はその全量が)、μディーンズスイッチ280によってルーティングされ、第2次元モジュール274の一つのμTI276によって捕捉される。そして、そのμTI276は0.6秒で270℃まで加熱され、5秒間250℃に保たれる。実験中は、第2次元のカラムがすべて40℃に保たれるのに対し、PID262〜268(2A〜2D)は、室温(25℃)に保たれる。
PID応答のテストと較正を行うため、特定質量の個別の分析物は、まず、テドラー(登録商標)(TEDLAR)バッグ内に入れられ、μプレコン270によって収集されて、第1次元カラム272へと投入される。そして、この分析物は、PID260(1A)による検出後、第2次元カラム278のうちの一つに投入され、対応するPID262〜268(PID2A〜2D)によって検出される。第2次元の4つのPIDすべてについてのテストが終了するまで同様の手順が繰り返される。
図19(a)及び図19(b)は、2つの代表的な分析物(エチルベンゼン(図19(a))及びトルエン(図19(a)))に対する、実験で使用する5つすべてのPID262〜268(PID1A及びPID2A〜2D)の応答を示す。PIDの非破壊的な性質のため、同量の分析物がPID1Aと第2次元のPIDのうちの一つの両方に流れる。それによって、第2次元のPIDの応答性を、PID260(1A)と比較することができる。分かりやすくするために、PID260(1A)を基準として、そのPID260(1A)に対して、PID262〜268(2A〜2D)の応答性を較正する。図19(a)及び図19(b)から分かるように、同量の同じ分析物に対してもPIDは非常にさまざまな応答を示す。このようなばらつきは、UVランプとUV窓のさまざまな経年状態に起因することもあり、μPIDの組立時における窓とマイクロ流体チャネルとのずれによって生じる可能性もある。第2次元のある特定のPIDに対する較正係数Eは、以下の式に示すように、ピーク面積の比率によって定義される。

ここで、Aは、PID2A〜2Dから得られたピーク面積、A1Aは、PID1Aから得られたピーク面積である。
上述と同じ方法により、イオン化ポテンシャルが8.45eV(p−キシレン)から10.08(ヘプタン)まで幅広い7つの異なる分析物に対して、PID2A〜2Dの応答を較正する。表6は、7つの異なる分析物について、PID2A〜2Dの較正係数(標準偏差)の比較を示す。平均較正係数(標準偏差)は、Eによって与えられる。
図20及び表6の結果は、7つの分析物がそれぞれ非常に異なる物理的及び科学的性質(イオン化ポテンシャル、蒸気圧、極性、クロマトグラフピーク幅など)を有しているにもかかわらず、各PIDの較正係数が極めて一様であることを示している。上記結果は、PID較正係数が単一の分析物によって得られることを示唆している。
また、分析物依存性研究に加えて、PIDの較正係数の濃度依存性についても研究が行われている。図21(a)は、注入質量が1.5ngから1800ngの場合に、PID260(1A)、262(2A)、264(2B)により得られたトルエンのピーク面積を示す。このピーク面積は、線形回帰分析(ゼロ注入質量での強制ゼロY切片)において、Rが0.9990から0.9995の場合の注入質量に対する良好な線形応答を示している。図21(b)は、図21(a)から得られた各注入質量について、PID262、264(2A、2B)の較正係数を示し、3桁に及ぶ注入質量にわたって一定した較正係数を示している。上記結果は、各PIDの較正係数が、単一の分析物の単一の濃度(又は質量)によって得られることを示唆している。
ここでは、共溶出ピークの定量的再構成についてさらに調査する。第2次元のPIDの較正係数をさらに検証し、複数のPIDを用いる重要なアプリケーションを示すため、第2次元のPIDから得られた結果を用いる第1次元分離の共溶出ピークを定量的に再構成する。この第1次元溶出ピークの再構成は、包括的な2次元(2−D)GCにおいて特に重要である。図18の装置は4つのカラムと4つの第2次元PIDを備えるため、溶離液の一部が第1次元カラムから第2次元カラムへと交互に送られる。
この実験では、スチレン及び2−ヘプタノンをモデルシステムとして用いる。PID260(1A)によって得られた図22(a)の黒色曲線は、これらの2つの分析物が145秒前後に第1次元から共溶出することを示している。
図23は、溶離液が、フロールーティングシステムによって、どのように4つの第2次元カラムに分けられて送られ、その後PID262〜268(2A〜2D)によって検出されるかを示している。元々は第1次元で重なり合っていた分離ピークを再構成するために、較正係数により、第2次元分離の各ピーク下の面積を計算して、PID260(1A)の応答に変換する。図22(a)及び図22(b)は、スチレンと2−ヘプタノンの再構成されたバーをそれぞれ示す。4つのバーは、PID2A〜2Cによって得られた信号から生成されたものである。各バーは、その高さhが以下のように計算される5sスライスに対応している。

ここで、Aは、第2次元PIDの一つによって得られたピーク面積であり、Eは、そのPIDの較正係数である(表6参照)。それらのバー下の全面積は、スチレン、2−ヘプタノンそれぞれについて2.575Vs、3.03Vsとなる。これら2つのバーの合計が図22(c)に描画され、合計面積5.605Vsは、PID260(1A)により直接得られた5.85Vsとほぼ同じである(図22(a)〜図22(c)の最大の黒色曲線を参照)。第1次元ピークの再構成を検証するために、図22(a)〜図22(c)は、スチレンと2−ヘプタノンが別々に注入された際にPID1Aによって検出されたその溶出ピークも描画している(図22(a)、図22(b)の赤色曲線と青色曲線を参照)。スチレンの2.46Vsのピーク面積と2−ヘプタノンの3.006Vsのピーク面積は、再構成されたピークにより得られた各面積によく一致する。PID262〜268(2A〜2D)により得られた赤色、青色、黒色バー下の全面積と、PID260(1A)により得られたピーク面積との比較を示す表7には、ピーク面積の詳細も示されている。
1×4チャネル2−D GCの異なるイオン化ポテンシャルと濃度を有する7つのVOCに対するそれぞれのPIDの応答性を示す。各PIDのピーク面積の比によって得られた較正係数は、分析物やその濃度に関係なく一様であり、単一の濃度の単一の分析物によって異なるPIDの較正が行えることを示唆している。また、第2次元のPIDアレイによる、第1次元の共溶出ピークの定量的再構成が示されている。これにより、PIDに対して高速かつその場で較正を行うことができ、また、複数のPIDを採用する多チャネル多次元GCの開発が可能となる。
このように、本開示の特定の態様では、複数のイオン化検出器(PID)を備える検出システムの較正方法についても考察される。この方法は、システムの基準光イオン化検出器を通る分析物の第1量を測定する工程と、その第1量についての第1ピーク面積(A)を判定する工程とを備える。システムの基準光イオン化検出器の下流にある一つ以上の第2光イオン化検出器を通る分析物の第2量も測定することができ、その第2量について、少なくとも一つの第2ピーク面積(A1A)を判定することができる。次に、例えば、式E=A/A1Aによって、較正係数(E)を計算することができる。このような計算は、コンピュータや、特別にプログラミングされ、較正係数(E)の決定を目的としたその他の専用ハードウェアにより行うことができる。そして、その一つ以上の第2光イオン化検出器は、較正係数Eに基づいて較正を行うことができる。このような方法では、さまざまな分析物に対して、一つ以上のPIDユニットの較正を行うには、たった一つの分析物による最初のテストが必要となる。
特定の変形例では、基準光イオン化検出器及び一つ以上の第2光イオン化検出器のうちの少なくとも一つがマイクロ流体光イオン化検出器である。このようなマイクロ流体光イオン化検出器は、分析物を含む液状試料を受け入れる入口と、その液状試料がマイクロ流体チャネルを出ていく出口とを有するマイクロ流体チャネルを備える基板を備えてもよい。このマイクロ流体チャネルの全ボリュームは、約9μL未満である。マイクロ流体光イオン化検出器は、第1電極領域と、それとは異なる第2電極領域とが基板上に画定されていてもよい。第1電極領域は、マイクロ流体チャネルによって、第2電極領域から分離されている。透明窓を有するUV光源は、マイクロ流体チャネルの一部に隣接して配置されている。このUV光源は、光子をマイクロ流体チャネルの一部に向けるよう構成されている。特定の態様では、UV光源の透明窓は、マイクロ流体チャネルの上、マイクロ流体チャネルの下、又は、マイクロ流体チャネルの側面に沿って配置されていてもよい。
特定の変形例では、マイクロ流体チャネルは、蛇行パターンや直線パターンを有している。特定の変形例では、この蛇行パターンは、アルキメデスらせん又は他のらせん形状であってもよい。また他の態様では、マイクロ流体チャネルは、その全ボリュームが約3μL未満であり、デッドボリュームが約3nL以下であってもよい。特定の態様では、第1電極領域及び第2電極領域が、約10直流ボルト(VDC)以下の最大電圧を有する低電圧電源に接続されている。このような検出システムでは、上記に説明したマイクロ流体光イオン化検出器のうちのいずれかを採用すればよい。
さらに他の変形例では、上記検出システムには、上記基準光イオン化検出器と流体連通した第1ガスクロマトグラフィーユニットと、上記一つ以上の第2光イオン化検出器と流体連通した一つ以上の第2ガスクロマトグラフィーユニットとをさらに備えてもよい。特定の態様では、上記一つ以上の第2光イオン化検出器は、マイクロ流体光イオン化検出器であり、上記一つ以上の第2ガスクロマトグラフィーユニットは、マイクロガスクロマトグラフィーユニットである。このように、この一つ以上のガスクロマトグラフィーユニットは、多次元μGCシステムを形成してもよく、一つ以上の第2マイクロ流体光イオン化検出器は、多次元μGCシステムの各次元の分析物を測定する。
上記実施例の説明は、例示及び説明の目的のために提示されているが、全てを網羅すること及び限定することを意図するものではない。特定の実施例の個々の要素又は特徴は、一般にその特定の実施例に限定されず、適用可能であれば、たとえ具体的に図示又は説明されていなくても、置き換え可能であり且つ選択された実施例で使用することができる。また、同じことが多くのやり方において変更可能である。そうした変形例は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、そうした全ての変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。

Claims (13)

  1. 第1の層と、
    前記第1の層上に配置された導電性材料を含む第2の導電性層と、
    前記第2の導電性層に形成され、前記第2の導電性層によって画定された2つの側壁を有するマイクロ流体チャネルであって、前記マイクロ流体チャネルは、流体試料を受け入れる入口と、前記流体試料が前記マイクロ流体チャネルを出ていく出口とを有し、180°の方向転換を少なくとも2回する流路を有する蛇行パターンを画定するマイクロ流体チャネルと、
    前記第2の導電性層によって画定された第1の電極領域及びそれとは別の第2の電極領域であって、前記第1の電極領域は、前記マイクロ流体チャネルによって前記第2の電極領域から分離されている、第1の電極領域及び第2の電極領域と、
    前記マイクロ流体チャネルの少なくとも一部に隣接して配置された透明窓を有するUV光源であって、光子を前記マイクロ流体チャネルに向けるように構成されたUV光源と
    を備えるマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  2. 前記蛇行パターンは、アルキメデスらせんである、請求項1に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  3. 前記第2の導電性層は、導電性ドープシリコン又は導電性金属を含む、請求項1に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  4. 前記マイクロ流体チャネルのデッドボリュームは、前記マイクロ流体チャネルの全ボリュームの約1%以下である、請求項1に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  5. 前記マイクロ流体チャネルは、全ボリュームが約10μL未満であり、デッドボリュームが約30nL以下である、又は、全ボリュームが約3μL未満であり、デッドボリュームが約3nL以下である、請求項1に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  6. 前記第1の電極領域及び前記第2の電極領域は、約20直流ボルト(VDC)以下の最大電圧を有する低電圧電源に接続されている、請求項1に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  7. 請求項1に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)を備える検出システムであって、ガスクロマトグラフィーユニットを更に備え、前記ガスクロマトグラフィーユニットは、前記マイクロ流体光イオン化検出器(PID)と流体連通し、前記マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、前記ガスクロマトグラフィーユニットから溶出した試料を分析する、検出システム。
  8. 第1の層と、
    前記第1の層上に配置された導電性材料を含む第2の導電性層と、
    前記第2の導電性層に形成され、前記第2の導電性層によって画定されたマイクロ流体チャネルであって、前記マイクロ流体チャネルは、流体試料を受け入れる入口と、前記流体試料が前記マイクロ流体チャネルを出ていく出口とを有し、前記マイクロ流体チャネルのデッドボリュームは、前記マイクロ流体チャネルの全ボリュームの約1%以下である、マイクロ流体チャネルと、
    前記第2の導電性層によって画定された第1の電極領域及びそれとは別の第2の電極領域であって、前記第1の電極領域は、前記マイクロ流体チャネルによって前記第2の電極領域から分離されている、第1の電極領域及び第2の電極領域と、
    前記マイクロ流体チャネルの少なくとも一部に隣接した透明窓を有するUV光源であって、光子を前記マイクロ流体チャネルの前記一部に向けるように構成されたUV光源と
    を備えるマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  9. 前記マイクロ流体チャネルは、直線パターン又は蛇行パターンを有する、請求項8に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  10. 前記蛇行パターンは、アルキメデスらせんである、請求項9に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  11. 前記第2の導電性層は、導電性ドープシリコン又は導電性金属を含む、請求項8に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  12. 前記マイクロ流体チャネルは、全ボリュームが約10μL未満であり、デッドボリュームが約30nL以下である、又は、全ボリュームが約3μL未満であり、デッドボリュームが約3nL以下である、請求項8に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
  13. 前記第1の電極領域及び前記第2の電極領域は、約20直流ボルト(VDC)以下の最大電圧を有する低電圧電源に接続されている、請求項8に記載のマイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
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