(第1実施形態)
以下、モータの第1実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図1は、本実施形態のブラシレスモータMの全体斜視図を示し、回転軸(図示せず)に固着されたロータ80の外側にモータハウジング(図示せず)に固着された環状のステータ90が配置されている。
ブラシレスモータMは、図2〜図4に示す単一モータMaを軸方向に3段積層していて、図1において、上からU相モータ部Mu、V相モータ部Mv、W相モータ部Mwの順に構成されている。
(ロータ80)
ロータ80は、図5及び図6に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wの3つから構成されている。各相のロータ80u,80v,80wは、図7及び図8に示すように、第1及び第2ロータコア81,82と界磁磁石83とから構成されている。
(第1ロータコア81)
図8に示すように、第1ロータコア81は、円環板状に形成された第1ロータコアベース84を有している。第1ロータコアベース84の中央位置には、回転軸(図示せず)を貫通し固着するための貫通穴81aが形成されている。また、第1ロータコアベース84の外周面には、等間隔に12個の第1ロータ側爪状磁極85が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向第2ロータコア82側に延出形成されている。
第1ロータ側爪状磁極85の周方向端面85a,85bは、径方向に延びる(軸方向から見て径方向に対して傾斜していない)平坦面であって、第1ロータ側爪状磁極85は軸直交方向断面が扇形状に形成されている。
各第1ロータ側爪状磁極85の周方向の角度、即ち、周方向端面85a,85b間が回転軸(図示せず)の中心軸線となす角度は、隣り合う第1ロータ側爪状磁極85と第1ロータ側爪状磁極85の間の隙間の角度より小さく設定されている。
(第2ロータコア82)
図8に示すように、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と同一材質及び同一形状であって、略円板状に形成された第2ロータコアベース86の中央位置には、回転軸(図示せず)を貫通し固着するための貫通穴82aが形成されている。また、第2ロータコアベース86の外周面には、等間隔に12個の第2ロータ側爪状磁極87が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向第1ロータコア81側に延出形成されている。
第2ロータ側爪状磁極87の周方向端面87a,87bは、径方向に延びる平坦面であって、第2ロータ側爪状磁極87は軸直交方向断面が扇形状に形成されている。
各第2ロータ側爪状磁極87の周方向の角度、即ち、周方向端面87a,87b間が回転軸(図示せず)の中心軸線となす角度は、隣り合う第2ロータ側爪状磁極87と第2ロータ側爪状磁極87の間の隙間の角度より小さく設定されている。
そして、第2ロータコア82は、第1ロータコア81に対して、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極87が、軸方向から見てそれぞれ第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85間に位置するように配置固定されるようになっている。このとき、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と第2ロータコア82との軸方向の間に界磁磁石83が配置されるように、第1ロータコア81に対して組み付けられる。
詳述すると、界磁磁石83は、図4及び図8に示すように、第1ロータコアベース84の第2ロータコアベース86側の面(対向面84a)と第2ロータコアベース86の第1ロータコアベース84側の面(対向面86a)の間に挟持される。
このとき、第1ロータ側爪状磁極85の一方の周方向の端面85aと第2ロータ側爪状磁極87の他方の周方向の端面87bとが、軸方向に沿って平行をなすように形成されるため、両端面85a,87b間の間隙が軸方向に沿って略直線状をなすように形成されている。また、第1ロータ側爪状磁極85の他方の周方向の端面85bと第2ロータ側爪状磁極87の一方の周方向の端面87aとが、軸方向に沿って平行をなすように形成されるため、両端面85b,87a間の間隙が軸方向に沿って略直線状をなすように形成されている。
(界磁磁石83)
界磁磁石83は、本実施形態では、フェライト磁石よりなる円環板状の永久磁石である。図8に示すように、界磁磁石83は、その中央位置に回転軸(図示せず)を貫通する貫通穴83aが形成されている。そして、界磁磁石83の一方の側面83bが、第1ロータコアベース84の対向面84aと、界磁磁石83の他方の側面83cが、第2ロータコアベース86の対向面86aとそれぞれ当接し、界磁磁石83は第1ロータコア81と第2ロータコア82との間に挟持固定される。
界磁磁石83の外径は、第1及び第2ロータコアベース84,86の外径と一致するように設定され、厚さが予め定めた厚さに設定されている。
つまり、図4に示すように、第1ロータコア81と第2ロータコア82との間に、界磁磁石83を配置する。このとき、第1ロータ側爪状磁極85の先端面85cと第2ロータコアベース86の反対向面86bとが面一になるとともに、第2ロータ側爪状磁極87の先端面87cと第1ロータコアベース84の反対向面84bとが面一になるようにしている。
図4に示すように、界磁磁石83は、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア81側をN極、第2ロータコア82側をS極となるように磁化されている。従って、この界磁磁石83によって、第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85はN極(第1磁極)として機能し、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極87はS極(第2磁極)として機能する。
このように構成された、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、界磁磁石83を用いた、所謂ランデル型構造のロータとなる。そして、各ロータ80u,80v,80wは、N極となる第1ロータ側爪状磁極85と、S極となる第2ロータ側爪状磁極87とが周方向に交互に配置され磁極数が24極(極数対が12個)のロータとなる。
そして、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、図5に示すように、軸方向に積層されてロータ80が形成される。
ここで、図4及び図7に示すように、界磁磁石83に対して第1ロータコア81が上側、第2ロータコア82が下側である構成(界磁磁石83の磁化方向が上向きの構成)を、ロータ80u,80v,80wの表としたとき、U相及びW相ロータ80u,80wは表向き、V相ロータ80vは裏向きで積層される。これにより、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向は、図5中の矢印に示すように、同方向(図5において上向き)とされ、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁化方向は、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向に対して反対向き(図5において下向き)とされる。
また、U相及びV相ロータ80u,80vの第2ロータコアベース86同士が軸方向に隣接しており、その隣接する第2ロータコアベース86を介してU相及びV相ロータ80u,80vの界磁磁石83のS極側が向かい合うように構成されている。また、V相及びW相ロータ80v,80wの第1ロータコアベース84同士が軸方向に隣接しており、その隣接する第1ロータコアベース84を介してV相及びW相ロータ80v,80wの界磁磁石83のN極側が向かい合うように構成されている。
また、U相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータ側爪状磁極85の軸方向への延出方向は、同方向(図5において下向き)であり、その方向に対してV相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極85の軸方向への延出方向は反対向き(図5において上向き)となっている。なお、U相の第1ロータ側爪状磁極85とV相の第1ロータ側爪状磁極85の軸方向先端同士は、軸方向に当接している。
同様に、U相及びW相ロータ80u,80wの第2ロータ側爪状磁極87の軸方向への延出方向は、同方向(図5において上向き)であり、その方向に対してV相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極87の軸方向への延出方向は反対向き(図5において下向き)となっている。なお、V相の第2ロータ側爪状磁極87とW相の第2ロータ側爪状磁極87の軸方向先端同士は、軸方向に当接している。
また、図5及び図6に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして積層されている。
詳述すると、V相ロータ80vは、U相ロータ80uに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸に固着されている。W相ロータ80wは、そのV相ロータ80vに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸に固着されている。
(ステータ90)
ロータ80の径方向外側に配置されたステータ90は、図9及び図10に示すように、U相ステータ90u、V相ステータ90v、W相ステータ90wの3つから構成されている。各相のステータ90u,90v,90wは、径方向において対応するU相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wとそれぞれ対向するように軸線方向に順番に積層することに構成されている。
各相のステータ90u,90v,90wは、同じ構成であって、図11、図12に示すように、第1及び第2ステータコア91,92とコイル部93から構成されている。
(第1ステータコア91)
第1ステータコア91は、図12に示すように、円環板状の第1ステータコアベース94を有し、その第1ステータコアベース94の外周部には、円筒状の円筒壁94cが軸方向第2ステータコア92側に向かって延出形成されている。また、第1ステータコアベース94の内周部には、12個の第1ステータ側爪状磁極95が軸方向第2ステータコア92側に向かって等間隔に延出形成されている。
第1ステータ側爪状磁極95の周方向端面95a,95bは、平坦面であって、第1ステータ側爪状磁極95は軸直交方向断面が扇形状に形成されている。
各第1ステータ側爪状磁極95の周方向の角度、即ち、周方向端面95a,95b間が回転軸(図示せず)の中心軸線となす角度は、隣り合う第1ステータ側爪状磁極95と第1ステータ側爪状磁極95の間の隙間の角度より小さく設定されている。
(第2ステータコア92)
図12に示すように、第2ステータコア92は、第1ステータコアベース94と同一材質及び同形状の円環板状の第2ステータコアベース96を有している。その第2ステータコアベース96は、その外周部が第1ステータコア91に形成した円筒壁94cの環状の先端面と当接するようになっている。
また、第2ステータコアベース96の内周部には、等間隔に12個の第2ステータ側爪状磁極97が第1ステータコア91側に等間隔に延出形成されている。
第2ステータ側爪状磁極97の周方向端面97a,97bは、平坦面であって、第2ステータ側爪状磁極97は軸直交方向断面が扇形状に形成されている。
各第2ステータ側爪状磁極97の周方向の角度、即ち、周方向端面97a,97b間が回転軸(図示せず)の中心軸線となす角度は、隣り合う第2ステータ側爪状磁極97と第2ステータ側爪状磁極97の間の隙間の角度より小さく設定されている。
つまり、第2ステータコア92の形状は、第1ステータコア91についてその円筒壁94cを省略したときの形状と同一形状となる。
そして、第2ステータコア92は、第1ステータコア91に対して、第2ステータコア92の第2ステータ側爪状磁極97が、軸方向から見てそれぞれ第1ステータコア91の第1ステータ側爪状磁極95間に位置するように配置固定されるようになっている。
なお、第2ステータコア92は、第1ステータコア91と第2ステータコア92との軸方向の間にコイル部93が配置されるように、第1ステータコア91に対して組み付けられる。
詳述すると、コイル部93は、図4及び図12に示すように、第1ステータコアベース94の第2ステータコアベース96側の面(対向面94a)と第2ステータコアベース96の第1ステータコアベース94側の面(対向面96a)の間に挟持される。
このとき、第1ステータ側爪状磁極95の一方の周方向の端面95aと第2ステータ側爪状磁極97の他方の周方向の端面97bとが、軸方向に沿って平行をなすように形成されるため、両端面95a,97b間の間隙が軸方向に沿って略直線状をなすように形成されている。また、第1ステータ側爪状磁極95の他方の周方向の端面95bと第2ステータ側爪状磁極97の一方の周方向の端面97aとが、軸方向に沿って平行をなすように形成されるため、両端面95b,97a間の間隙が軸方向に沿って略直線状をなすように形成されている。
(コイル部93)
コイル部93は、図4に示すように、環状巻線98を有し、その環状巻線98が、円環状のコイルボビン99に内装されている。コイルボビン99は、径方向内側が開口したコ字状の断面形状に形成されている。コイルボビン99の外径は第1ステータコア91の円筒壁94cの内径と略同一に形成され、コイルボビン99の径方向外周面が円筒壁94cの内周面に当接するように配設されている。コイルボビン99の内径は第1ステータ側爪状磁極95(第2ステータ側爪状磁極97)の外径と略同一に形成され、コイルボビン99の径方向内側先端面が第1ステータ側爪状磁極95及び第2ステータ側爪状磁極97の外側面に当接するように配設されている。
また、コイルボビン99の軸方向であって第1ステータコア91側の外側面は、第1ステータコアベース94の対向面94aに当接し、コイルボビン99の軸方向であって第2ステータコア92側の外側面は、第2ステータコアベース96の対向面96aに当接するようになっている。
コイルボビン99の厚さ(軸方向の長さ)は、第1ステータ側爪状磁極95(第2ステータ側爪状磁極97)の軸方向の長さにあわせて、予め定めた厚さに設定されている。
つまり、図4に示すように、第1ステータコア91と第2ステータコア92との間に、環状巻線98を内装したコイルボビン99を配置する。このとき、第1ステータ側爪状磁極95の先端面95cと第2ステータコアベース96の反対向面96bが面一になるとともに、第2ステータ側爪状磁極97の先端面97cと第1ステータコアベース94の反対向面94bとが面一になるようにしている。
またこのとき、第1ステータコアベース94の反対向面94bから第2ステータコアベース96の反対向面96bまでの軸方向の長さは、第1ロータコアベース84の反対向面84bから第2ロータコアベース86の反対向面86bまでの軸方向の長さと一致させている。
従って、第1ステータ側爪状磁極95(第2ステータ側爪状磁極97)の軸方向の長さは、第1ロータ側爪状磁極85(第2ロータ側爪状磁極87)の軸方向の長さと一致する。
なお、図12では、説明の便宜上、環状巻線98の引出し端子及びコイルボビン99の端子取付部を図面上省略した。これにあわせて、第1ステータコア91の円筒壁94cに形成する端子取付部を外部に導き出すための切欠きを図面上省略している。
このように構成された、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、第1及び第2ステータコア91,92間の環状巻線98にて第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97をその時々で互いに異なる磁極に励磁する24極の所謂ランデル型(クローポール型)構造のステータとなる。そして、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、図9及び図10に示すように、軸方向に積層されてステータ90が形成される。
このとき、図9及び図10に示すように、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wからなるステータ90について、そのU相ステータ90u、V相ステータ90v及びW相ステータ90wを電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして積層している。
詳述すると、V相ステータ90vは、U相ステータ90uに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてモータハウジング(図示せず)に固定されている。W相ステータ90wは、そのV相ステータ90vに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてモータハウジングに固定されている。
つまり、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97と相対向する各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87間において、周方向のずれが対向面では互いに逆方向に傾斜するようにしている。
そして、U相ステータ90uの環状巻線98には3相交流電源のU相電源電圧が印加され、V相ステータ90vの環状巻線98には3相交流電源のV相電源電圧が印加され、W相ステータ90wの環状巻線98には3相交流電源のW相電源電圧が印加される。
次に、上記のように構成したブラシレスモータMの作用について説明する。
今、ステータ90に3相交流電源電圧を印加する。すなわち、U相ステータ90uの環状巻線98にはU相電源電圧が、V相ステータ90vの環状巻線98にはV相電源電圧が、W相ステータ90wの環状巻線98にはW相電源電圧がそれぞれ印加される。これによって、ステータ90に回転磁界が発生し、ロータ80が回転駆動される。
このとき、ステータ90は、3相交流電源にあわせて、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと3段構造にした。そして、これに対応してロータ80も、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wと同じ3段構造にした。これによって、各相のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石83の磁束を軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができ、出力アップを図ることができる。
また、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wを電気角で時計回り方向に60度ずつずらしたのに対して、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wを電気角で反時計回り方向に60度ずつずらした。すなわち、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと相対向するU相、V相、W相ロータ80u,80v,80w間において、周方向のずれが、対向面では互いに逆方向に傾斜するようにした。
これにより、各相の環状巻線98に流れる各相交流電流による第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の切り替わりに対して各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を好適に追従させることができ、その結果、ロータ80の好適な回転を実現できる。
また、上記実施形態では、V相ロータ80vの界磁磁石83は、U相及びW相のロータ80u,80wの界磁磁石83に対して磁化方向が反対に設定されている。これにより、V相の界磁磁石83の軸方向両側の極性が、軸方向に向き合うU相及びW相の界磁磁石83の極性と同極性となるため、V相の界磁磁石83の磁束がU相及びW相ロータ80u,80w側に漏れにくくなり、その結果、V相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87側に好適に流れるようになっている。
さらに、本実施形態は、磁極数の変更の要求があった場合、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、ランデル型構造をなすことから、界磁磁石83を同一構造としながら第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の数を変更することにより、極数の変更が容易である。同様に、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、クローポール型構造をなしていることから、コイル部93を同一構造としながら第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の数を変更することにより、極数の変更が容易となっている。
つまり、本実施形態のブラシレスモータは、ロータ80及びステータ90の互いの磁極数が様々組み合わされる仕様変更に対して、大幅な設計変更を伴わずに容易に対応できる構成となっている。
次に、上記第1実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、ステータ90を、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの3段構造にするとともに、これに対応してロータ80も、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wと同じ3段構造にした。そして、ステータ90に3相交流電源を印加した。そして、各相のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石83の磁束を、軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができるようにしたので、ブラシレスモータMの出力アップを図ることができる。
また、各相(各段)のロータ80u,80v,80wの周方向のずれ方向と、各相(各段)のステータ90u,90v,90wの周方向のずれ方向とが互いに反対であるため、ロータ80の好適な回転を実現できる。
(2)上記実施形態では、V相ロータ80vの界磁磁石83は、U相及びW相のロータ80u,80wの界磁磁石83に対して磁化方向が反対に設定される。この構成によれば、V相の界磁磁石83の軸方向両側の極性が、軸方向に向き合うU相及びW相の界磁磁石83の極性と同極性となるため、V相の界磁磁石83の磁束が同相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87側に流れやすくなる。このため、V相ロータ80vにおいて、界磁磁石83の磁束を第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87に好適に作用させることができ、ロータ80のより好適な回転を実現できる。
(3)上記実施形態によれば、ロータ80の各相のロータ80u,80v,80wをランデル型構造とするとともに、ステータ90の各相のステータ90u,90v,90wをクローポール型構造にした。従って、界磁磁石83及びコイル部93を同一構成としながら第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87と第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の数を変更することにより、極数を容易に変更できる。その結果、ロータ80及びステータ90の互いの磁極数が様々組み合わされるモータの仕様変更に対して、大幅な設計変更を伴わずに容易に対応できる構成となっている。
(4)上記実施形態によれば、ステータ90を構成する各相のステータ90u,90v,90wの各コイル部93は、環状巻線98がブラシレスモータMの軸線回り(周方向)に環状に巻装されている。そのため、ステータ90の高さ(軸方向長さ)をロータ80と同等に構成でき(所謂コイルエンド部分が生じないため)、ブラシレスモータMの軸方向への小型化を実現できる。
(第2実施形態)
次に、モータの第2実施形態について、図13〜図21に従って説明する。
本実施形態は、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87と第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97に特徴を有し、ロータ80及びステータ90の段数及びそれら極数は、上記第1実施形態と同じ構成であるため、その特徴部分について詳細に説明し共通部分については説明の便宜上省略する。
図13は、本実施形態のブラシレスモータMの全体斜視図を示し、回転軸(図示せず)に固着されたロータ80の外側にモータハウジング(図示せず)に固着された環状のステータ90が配置されている。
ブラシレスモータMは、第1実施形態と同様に、図14、図15、図16に示す単一モータMaを軸方向に3段積層していて、図13において、上からU相モータ部Mu、V相モータ部Mv、W相モータ部Mwの順に構成されている。
図17及び図18に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wの第1及び第2ロータコア81,82に形成した第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1が、共に第1実施形態に比べて短く形成されている。
詳述すると、第1実施形態では、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87は、その先端面85c,87cが、それぞれ第1及び第2ロータコアベース84,86の反対向面84b,86bと面一となる長さであった。
これに対して、本実施形態では、図16及び図18に示すように、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87は、その先端面85c,87cが、それぞれ第1及び第2ロータコアベース84,86の対向面84a,86aと面一となる長さにした。すなわち、本実施形態では、第1及び第2ロータコアベース84,86の軸方向の厚さ分、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の長さD1を短くした。
一方、同様に、図16、図19、図20に示すように、U相ステータ90u、V相ステータ90v、W相ステータ90wの第1及び第2ステータコア91,92に形成した第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2が、共に第1実施形態に比べて短く形成されている。
詳述すると、第1実施形態では、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97は、その先端面95c,97cが、それぞれ第1及び第2ステータコアベース94,96の反対向面94b,96bと面一となる長さであった。
これに対して、本実施形態では、図16及び図18に示すように、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97は、その先端面95c,97cが、それぞれ第1及び第2ステータコアベース94,96の対向面94a,96aと面一となる長さにした。すなわち、本実施形態では、第1及び第2ステータコアベース94,96の軸方向の厚さ分、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を短くした。
次に、上記のように構成したブラシレスモータMの作用について説明する。
今、ステータ90に3相交流電源電圧を印加すると、第1実施形態と同様に、U相ステータ90uの環状巻線98にはU相電源電圧が、V相ステータ90vの環状巻線98にはV相電源電圧が、W相ステータ90wの環状巻線98にはW相電源電圧がそれぞれ印加される。これによって、ステータ90に回転磁界が発生し、ロータ80が回転駆動される。
このとき、図19に示すように、ステータ90は、3相交流電源にあわせて、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと3段構造にし、これに対応してロータ80も、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wと同じ3段構造にした。これによって、各相のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石83の磁束を軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができ、出力アップを図ることができる。
しかも、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を短くした。
つまり、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wにおいて、各第1ステータ側爪状磁極95間は離間するとともに、各第2ステータ側爪状磁極97間は離間する。その結果、各相の第1ステータ側爪状磁極95間での磁束の短絡が抑制されるとともに、各相の第2ステータ側爪状磁極97間での磁束の短絡が抑制される。
同様に、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を短くした。
これにより、U相ロータ80uの第1ロータ側爪状磁極85と、V相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極85とが軸方向に互いに離間し、V相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極87とW相ロータ80wの第2ロータ側爪状磁極87とが軸方向に互いに離間する。その結果、U相−V相の第1ロータ側爪状磁極85間での磁束の短絡が抑制されるとともに、V相−W相の第2ロータ側爪状磁極87間での磁束の短絡が抑制される。
以上のことから、所定の爪状磁極間が互いに開放され、磁束の短絡が抑制されることから、トルクの発生に必要な磁気回路が形成されブラシレスモータMの高トルク化が可能となる。
ここで、本実施形態のブラシレスモータMと第1実施形態のブラシレスモータMとについて発生するトルクの大小を検証すべく実験を行った。なお、実験に際して、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を短くした点と、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を短くした点とを除いて、全て同じ条件で行った。
図21は、実験により得られたトルクの比較を示すグラフである。横軸は、第1及び第2ステータ側爪状磁極、並びに、第1及び第2ロータ側爪状磁極の種類を示し、「A」は第1実施形態のブラシレスモータMであって、「B」は本実施形態のブラシレスモータMを示す。縦軸は、トルクであって、第1実施形態のブラシレスモータMのトルクを基準(100%)にしてパーセントで示している。
この図21から明らかなように、「A」(第1実施形態のブラシレスモータM)より「B」(本実施形態のブラシレスモータM)のトルクのほうが、300%(3倍)大きくなることがわかった。
ちなみに、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を同じに短くし、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を第1実施形態と同じにしたブラシレスモータの場合についても、発生するトルクを実験して求めた。その実験結果について、横軸に「C」で示す。
図21から明らかなように、「A」の100%に対し、「C」のトルクはそれよりも大きく約120%近くあった。
また、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を本実施形態と同じに短くし、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を第1実施形態と同じにしたブラシレスモータの場合についても、発生するトルクを実験して求めた。その実験結果について、横軸に「D」で示す。
図21から明らかなように、「A」の100%に対し、「D」のトルクはそれよりも大きく約290%近くあった。
これからわかることは、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2、または、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1の少なくともいずれか一方を短くすることによって、第1実施形態のブラシレスモータMよりも高トルクを実現できる。
さらに、本実施形態も、前記第1実施形態と同様に、磁極数の変更の要求があった場合、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、ランデル型構造をなすことから、界磁磁石83を同一構造としながら第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。同様に、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、クローポール型構造をなしていることから、コイル部93を同一構造としながら第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。
以上詳述したように、本実施形態は、前記第1実施形態の効果に加えて以下の効果を有する。
本実施形態によれば、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2、並びに、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1をそれぞれ短くした。そして、所定の爪状磁極間を互いに開放させることで磁束の短絡を抑制して、トルクを発生するのに必要な磁気回路を形成したので、ブラシレスモータMの高トルク化を実現できる。
(第3実施形態)
次に、モータの第3実施形態を図22〜図32に従って説明する。
なお、本実施形態は、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87に特徴を有し、ロータ80及びステータ90の段数及びそれらの極数は、上記第2実施形態と同じ構成であるため、その特徴部分について詳細に説明し共通部分については説明の便宜上省略する。
図22は、本実施形態のブラシレスモータMの全体斜視図を示し、回転軸(図示せず)に固着されたロータ80の外側にモータハウジング(図示せず)に固着された環状のステータ90が配置されている。
ブラシレスモータMは、図23〜図25に示す単一モータMaを軸方向に3段積層していて、図22において、上からU相モータ部Mu、V相モータ部Mv、W相モータ部Mwの順に構成されている。
(ロータ80)
ブラシレスモータMのロータ80は、図26及び図27に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wの3つから構成されている。各相のロータ80u,80v,80wは、図28及び図29に示すように、第1及び第2ロータコア81,82と界磁磁石83とから構成されている。
(第1ロータコア81)
図29に示すように、第1ロータコア81は、円環板状に形成された第1ロータコアベース84を有している。第1ロータコアベース84の中央位置には、回転軸(図示せず)を貫通し固着するための貫通穴81aが形成されている。
また、第1ロータコアベース84の外周面84cには、等間隔に12個の同一形状をした第1ロータ側爪状磁極85が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向第2ロータコア82側に延出形成されている。
第1ロータ側爪状磁極85において、第1ロータコアベース84の外周面84cから径方向外側に突出した部分は、その板厚(軸線方向の長さ)を第1ロータコアベース84の板厚(軸線方向の長さ)より厚く形成し、第1段差部85dとしている。この第1段差部85dは、第2ロータコア82側に厚くなるように形成されていて、反第2ロータコア82側の水平な面が第1ロータコアベース84の反対向面84bと面一となっている。
ここで、第1段差部85dの第1ロータコアベース84の対向面84aから第2ロータコア82側の水平な面までの軸方向長さを段差部高さXという。
従って、第1段差部85dの径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積(以下、磁路面積という)は、第2実施形態で示す第1ロータコアベース84の外周面から径方向外側に突出した部分の断面積に較べて大きくなる。つまり、第1段差部85dの断面の磁路面積が大きくなることによって、第1段差部85dの磁気抵抗は、第2実施形態で示す第1ロータコアベース84の外周面から径方向外側に突出した部分よりも小さくすることができる。
第1段差部85dの径方向内側に形成された第1段差面85eは、軸線方向から見て、中心軸線を中心として第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面である。
そして、第1段差部85dの径方向外側端から軸方向第2ロータコア82側に第1磁極部85fが延出形成されることによって第1ロータ側爪状磁極85が形成される。
第1段差部85dと第1磁極部85fからなる第1ロータ側爪状磁極85の周方向端面85a,85bは、径方向に延びる(軸方向から見て径方向に対して傾斜していない)平坦面であって、第1ロータ側爪状磁極85の第1磁極部85fは軸直交方向断面が扇形状に形成されている。
各第1ロータ側爪状磁極85の周方向の角度、即ち、周方向端面85a,85b間が回転軸(図示せず)の中心軸線となす角度は、隣り合う第1ロータ側爪状磁極85と第1ロータ側爪状磁極85の間の隙間の角度より小さく設定されている。
(第2ロータコア82)
図29に示すように、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と同一材質及び同一形状であって、略円板状に形成された第2ロータコアベース86の中央位置には、回転軸(図示せず)を貫通し固着するための貫通穴82aが形成されている。
また、第2ロータコアベース86の外周面には、等間隔に12個の同一形状をなした第2ロータ側爪状磁極87が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向第1ロータコア81側に延出形成されている。
第2ロータ側爪状磁極87において、第2ロータコアベース86の外周面86cから径方向外側に突出した部分は、その板厚(軸線方向の長さ)を第2ロータコアベース86の板厚(軸線方向の長さ)より厚く形成し、第2段差部87dとしている。この第2段差部87dは、第1ロータコア81側に厚くなるように形成されていて、反第1ロータコア81側の水平な面が第2ロータコアベース86の反対向面86bと面一となっている。
ここで、第2段差部87dの第2ロータコアベース86の対向面86aから第1ロータコア81側の水平な面までの軸方向長さを段差部高さXという。
従って、第2段差部87dの径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積(以下、磁路面積という)は、第2実施形態で示す第2ロータコアベース86の外周面から径方向外側に突出した部分の断面積に較べて大きくなる。つまり、第2段差部87dの断面の磁路面積が大きくなることによって、第2段差部87dの磁気抵抗を、第2実施形態で示す第2ロータコアベース86の外周面から径方向外側に突出した部分よりも小さくすることができる。
第2段差部87dの径方向内側に形成された第2段差面87eは、軸線方向から見て、中心軸線を中心として第2ロータコアベース86の外周面86cと同心円をなす円弧面である。
そして、第2段差部87dの径方向外側端から軸方向第1ロータコア81側に第2磁極部87fが延出形成されることによって第2ロータ側爪状磁極87が形成される。
第2段差部87dと第2磁極部87fからなる第2ロータ側爪状磁極87の周方向端面87a,87bは、径方向に延びる平坦面であって、第2ロータ側爪状磁極87の第2磁極部87fは軸直交方向断面が扇形状に形成されている。
各第2ロータ側爪状磁極87の周方向の角度、即ち、周方向端面87a,87b間が回転軸(図示せず)の中心軸線となす角度は、隣り合う第2ロータ側爪状磁極87と第2ロータ側爪状磁極87の間の隙間の角度より小さく設定されている。
そして、第2ロータコア82は、第1ロータコア81に対して、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極87が、軸方向から見てそれぞれ第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85間に位置するように配置固定されるようになっている。このとき、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と第2ロータコア82との軸方向の間に界磁磁石83が配置されるように、第1ロータコア81に対して組み付けられる。
(界磁磁石83)
界磁磁石83は、本実施形態では、フェライト磁石よりなる円環板状の永久磁石である。図29に示すように、界磁磁石83は、その中央位置に回転軸(図示せず)を貫通する貫通穴83aが形成されている。そして、界磁磁石83の一方の側面83bが、第1ロータコアベース84の対向面84aと、界磁磁石83の他方の側面83cが、第2ロータコアベース86の対向面86aとそれぞれ当接し、界磁磁石83は第1ロータコア81と第2ロータコア82との間に挟持固定される。
界磁磁石83の外径は、第1及び第2ロータコアベース84,86(外周面84c,86c)の外径と一致するように設定されている。
従って、第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86とで界磁磁石83を挟持するとき、各第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eを、界磁磁石83の外周面83dが圧入して圧接する。
また、界磁磁石83の厚さY(軸線方向の長さ)は、予め定めた厚さに設定されている。本実施形態では、第2実施形態と同様に、図25に示すように、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87は、その先端面85c,87cが、それぞれ第1及び第2ロータコアベース84,86の対向面84a,86aと面一となる長さにした。すなわち、本実施形態では、第2実施形態と同様に、図28に示すように、第1及び第2ロータコアベース84,86の軸方向の厚さ分、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を短くした。
そして、界磁磁石83は、図25に示すように、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア81側をN極、第2ロータコア82側をS極となるように磁化されている。従って、この界磁磁石83によって、第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85はN極(第1磁極)として機能し、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極87はS極(第2磁極)として機能する。
このように構成された、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、界磁磁石83を用いた、所謂ランデル型構造のロータとなる。そして、各ロータ80u,80v,80wは、N極となる第1ロータ側爪状磁極85と、S極となる第2ロータ側爪状磁極87とが周方向に交互に配置され磁極数が24極(極数対が12個)のロータとなる。
そして、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、図26及び図27に示すように、軸方向に積層されてロータ80が形成される。
ここで、図25及び図28に示すように、界磁磁石83に対して第1ロータコア81が上側、第2ロータコア82が下側である構成(界磁磁石83の磁化方向が上向きの構成)を、ロータ80u,80v,80wの表としたとき、U相及びW相ロータ80u,80wは表向き、V相ロータ80vは裏向きで積層される。これにより、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向は、図26中の矢印に示すように、同方向(図26において上向き)とされ、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁化方向は、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向に対して反対向き(図26において下向き)とされる。
また、U相及びV相ロータ80u,80vの第2ロータコアベース86同士が軸方向に隣接しており、その隣接する第2ロータコアベース86を介してU相及びV相ロータ80u,80vの界磁磁石83のS極側が向かい合うように構成されている。また、V相及びW相ロータ80v,80wの第1ロータコアベース84同士が軸方向に隣接しており、その隣接する第1ロータコアベース84を介してV相及びW相ロータ80v,80wの界磁磁石83のN極側が向かい合うように構成されている。
また、U相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータ側爪状磁極85の軸方向への延出方向は、同方向(図26において下向き)であり、その方向に対してV相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極85の軸方向への延出方向は反対向き(図26において上向き)となっている。なお、U相の第1ロータ側爪状磁極85とV相の第1ロータ側爪状磁極85とは、軸方向に離間している。
同様に、U相及びW相ロータ80u,80wの第2ロータ側爪状磁極87の軸方向への延出方向は、同方向(図26において上向き)であり、その方向に対してV相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極87の軸方向への延出方向は反対向き(図26において下向き)となっている。なお、V相の第2ロータ側爪状磁極87とW相の第2ロータ側爪状磁極87とは、軸方向に離間している。
また、図26及び図27に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして積層されている。
詳述すると、V相ロータ80vは、U相ロータ80uに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸に固着されている。W相ロータ80wは、そのV相ロータ80vに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸に固着されている。
(ステータ90)
ロータ80の径方向外側に配置されたステータ90は、図30に示すように、第2実施形態と同様に、U相ステータ90u、V相ステータ90v、W相ステータ90wの3つから構成されている。各相のステータ90u,90v,90wは、径方向において対応するU相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wとそれぞれ対向するように軸線方向に順番に積層することに構成されている。
各相のステータ90u,90v,90wは、同じ構成であって、図31に示すように、第2実施形態と同様に、第1及び第2ステータコア91,92とコイル部93から構成されている。つまり、本実施形態では、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の長さD2は、その先端面95c,97cが、それぞれ第1及び第2ステータコアベース94,96の対向面94a,96aと面一となる長さにした。
このように構成された、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、第1及び第2ステータコア91,92間の環状巻線98にて第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97をその時々で互いに異なる磁極に励磁する24極の所謂ランデル型(クローポール型)構造のステータとなる。そして、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、図30に示すように、軸方向に積層されてステータ90が形成される。
このとき、第1及び第2実施形態と同様に、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wからなるステータ90について、そのU相ステータ90u、V相ステータ90v及びW相ステータ90wを電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして積層している。
詳述すると、V相ステータ90vは、U相ステータ90uに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてモータハウジング(図示せず)に固定されている。W相ステータ90wは、そのV相ステータ90vに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてモータハウジングに固定されている。
つまり、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97と相対向する各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87間において、周方向のずれが対向面では互いに逆方向に傾斜するようにしている。
そして、U相ステータ90uの環状巻線98には3相交流電源のU相電源電圧が印加され、V相ステータ90vの環状巻線98には3相交流電源のV相電源電圧が印加され、W相ステータ90wの環状巻線98には3相交流電源のW相電源電圧が印加される。
次に、上記のように構成したブラシレスモータMの作用効果について説明する。
今、ステータ90に3相交流電源電圧を印加すると、第1及び第2実施形態と同様に、U相ステータ90uの環状巻線98にはU相電源電圧が、V相ステータ90vの環状巻線98にはV相電源電圧が、W相ステータ90wの環状巻線98にはW相電源電圧がそれぞれ印加される。これによって、ステータ90に回転磁界が発生し、ロータ80が回転駆動される。
このとき、ステータ90は、3相交流電源にあわせて、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと3段構造にし、これに対応してロータ80も、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wと同じ3段構造にした。これによって、各相のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石83の磁束を軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができ、出力アップを図ることができる。
しかも、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を短くした。
つまり、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wにおいて、各第1ステータ側爪状磁極95間は離間するとともに、各第2ステータ側爪状磁極97間は離間する。その結果、各相の第1ステータ側爪状磁極95間での磁束の短絡が抑制されるとともに、各相の第2ステータ側爪状磁極97間での磁束の短絡が抑制される。
同様に、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を短くした。
これにより、U相ロータ80uの第1ロータ側爪状磁極85と、V相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極85とが軸方向に互いに離間し、V相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極87とW相ロータ80wの第2ロータ側爪状磁極87とが軸方向に互いに離間する。その結果、U相−V相の第1ロータ側爪状磁極85間での磁束の短絡が抑制されるとともに、V相−W相の第2ロータ側爪状磁極87間での磁束の短絡が抑制される。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87に磁路断面積の大きい第1及び第2段差部85d,87dを設けた。従って、第1及び第2段差部85d,87dの磁気抵抗は小さくなり、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の第1及び第2磁極部85f,87fと第1及び第2ロータコアベース84,86との間での磁束の磁気飽和を解消でき、出力アップを図ることができる。
さらに、界磁磁石83の外周面83dが第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eにそれぞれ圧接されることから、磁気抵抗となるエアギャップを低減でき、さらに出力アップを図ることができる。
しかも、界磁磁石83の外周面83dを第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eに圧入させて、界磁磁石83は第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86に挟持し固定されている。従って、第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86の間に界磁磁石83を位置決め挟持固定する作業は、特別の固定部材及び機構を必要とすることなく、圧入固定するだけの簡単な作業で行える。
以上のことから、所定の爪状磁極間が互いに開放され、磁束の短絡が抑制されることから、トルクの発生に必要な磁気飽和のない磁気回路が形成されブラシレスモータMの高トルク化が可能となる。
ここで、本実施形態のブラシレスモータMについて、界磁磁石83の厚さY(軸線方向の長さ)に対する、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の第1及び第2段差部85d,87dの段差部高さXを可変、即ち、厚さYと段差部高さXの比率(=X/Y(%))を変更して実施した場合の発生するトルクの大小を検証すべく実験を行った。
図32は、実験により得られたトルクの比較を示すグラフである。図32において、横軸は、(段差部高さX)/(界磁磁石83の厚さY)の比率をパーセントで示し、縦軸は、トルクであって、段差部高さXが界磁磁石83の厚さYに対してゼロのときのトルクを基準(100%)にしてパーセントで示している。
この図32から明らかなように、比率が0%より大きく、40%より小さい範囲で、トルクが基準(100%)を超えることがわかった。特に、比率が約17%、すなわち、段差部高さXを、界磁磁石83の厚さYの約0.17倍に設定することで、トルクが105%(1.05倍)と最も大きくなることがわかった。
これからわかることは、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97に第1及び第2段差部85d,87dを形成する。そして、第1及び第2段差部85d,87dの段差部高さXを、界磁磁石83の厚さYの0%より大きく40%より小さく設定することによって、第2実施形態に示すブラシレスモータMよりも高トルクを得ることができ、約17%に設定することとで最も高いトルクを得ることができる。
なお、本実施形態も、第1及び第2実施形態と同様に、磁極数の変更の要求があった場合、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、ランデル型構造をなすことから、界磁磁石83を同一構造としながら第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。同様に、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、クローポール型構造をなしていることから、コイル部93を同一構造としながら第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。
(第4実施形態)
次に、モータの第4実施形態を図33〜図48に従って説明する。
なお、本実施形態は、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87、並びに、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97に特徴を有している。そのため、その特徴部分について詳細に説明し共通部分については説明の便宜上省略する。
図33は、本実施形態のブラシレスモータMの全体斜視図を示し、回転軸SFに固着されたロータ80の外側にモータハウジング(図示せず)に固着された環状のステータ90が配置されている。
ブラシレスモータMは、図34〜図36に示す単一モータMaを軸方向に3段積層していて、図33において、上からU相モータ部Mu、V相モータ部Mv、W相モータ部Mwの順に構成されている。
(ロータ80)
ブラシレスモータMのロータ80は、図37及び図38に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wの3つから構成されている。各相のロータ80u,80v,80wは、図39及び図40に示すように、第1及び第2ロータコア81,82と界磁磁石83から構成されている。
(第1ロータコア81)
図40に示すように、第1ロータコア81は、円板状に形成された第1ロータコアベース84を有している。第1ロータコアベース84の中央位置には、回転軸SFを貫通し固着するための貫通穴81aが形成されている。
また、第1ロータコアベース84の外周面84cには、等間隔に12個の同一形状をした第1ロータ側爪状磁極85が、径方向外側に突出されその先端が軸方向第2ロータコア82側に屈曲形成されている。
ここで、第1ロータ側爪状磁極85において、第1ロータコアベース84の外周面84cから径方向外側に突出した部分を第1ロータ側基部85gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第1ロータ側磁極部85hという。そして、第1ロータ側磁極部85hが屈曲形成される以前の第1ロータ側爪状磁極85(図45に示すロータコア素材101)は、軸方向から見たとき、先端に向かうほど先細となる台形形状に形成されている。
つまり、第1ロータ側基部85gを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第1ロータ側磁極部85hを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。そして、第1ロータ側基部85gと第1ロータ側磁極部85hからなる第1ロータ側爪状磁極85の周方向端面85a,85bは、共に平坦面であって、径方向外側に向かうほど互いに近づくことになる。
これによって、第1ロータ側基部85gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向外側に向かうほどその断面積が小さくなる。また、第1ロータ側磁極部85hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第1ロータ側磁極部85hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面85j及び内側面85kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面である。
また、各第1ロータ側爪状磁極85の第1ロータ側基部85gの周方向の角度、即ち、周方向端面85a,85bの基端部間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第1ロータ側爪状磁極85の第1ロータ側基部85gに基端間の隙間の角度より小さく設定されている。
(第2ロータコア82)
図40に示すように、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と同一材質及び同一形状であって、円板状に形成された第2ロータコアベース86の中央位置には、回転軸SFを貫通し固着するための貫通穴82aが形成されている。
また、第2ロータコアベース86の外周面には、等間隔に12個の同一形状をなした第2ロータ側爪状磁極87が、径方向外側に突出されその先端が軸方向第1ロータコア81側に屈曲形成されている。
ここで、第2ロータ側爪状磁極87において、第2ロータコアベース86の外周面86cから径方向外側に突出した部分を第2ロータ側基部87gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第2ロータ側磁極部87hという。そして、第2ロータ側磁極部87hが屈曲形成される以前の第2ロータ側爪状磁極87(図45に示すロータコア素材101)は、軸方向から見たとき、先端に向かうほど先細となる台形形状に形成されている。
つまり、第2ロータ側基部87gの軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第2ロータ側磁極部87hの径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。そして、第2ロータ側基部87gと第2ロータ側磁極部87hからなる第2ロータ側爪状磁極87の周方向端面87a,87bは、共に平坦面であって、径方向外側に向かうほど互いに近づくことになる。
これによって、第2ロータ側基部87gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向外側に向かうほどその面積が小さくなる。また、第2ロータ側磁極部87hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第2ロータ側磁極部87hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面87j及び内側面87kは、軸線方向から見て、中心軸線を中心として第2ロータコアベース86の外周面86cと同心円をなす円弧面である。
各第2ロータ側爪状磁極87の第2ロータ側基部87gの周方向の角度、即ち、周方向端面87a,87bの基端部間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第2ロータ側爪状磁極87の第2ロータ側基部87gに基端間の隙間の角度より小さく設定されている。
そして、第2ロータコア82は、第1ロータコア81に対して、その第2ロータ側爪状磁極87が、軸方向から見てそれぞれ第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85間に位置するように配置固定されるようになっている。このとき、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と第2ロータコア82との軸方向の間に界磁磁石83が配置されるように、第1ロータコア81に対して組み付けられる。
(界磁磁石83)
界磁磁石83は、本実施形態では、フェライト磁石よりなる円板状の永久磁石である。図40に示すように、界磁磁石83は、その中央位置に回転軸SFを貫通する貫通穴83aが形成されている。そして、界磁磁石83の一方の側面83bが、第1ロータコアベース84の対向面84aと、界磁磁石83の他方の側面83cが、第2ロータコアベース86の対向面86aとそれぞれ当接し、界磁磁石83は第1ロータコア81と第2ロータコア82との間に挟持固定される。
界磁磁石83の外径は、第1及び第2ロータコアベース84,86(外周面84c,86c)の外径と一致するように設定されている。
また、界磁磁石83の厚さは、予め定めた厚さに設定されている。
本実施形態では、第2実施形態と同様に、図36に示すように、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87は、その先端面85c,87cが、それぞれ第1及び第2ロータコアベース84,86の対向面84a,86aと面一となる長さにした。すなわち、本実施形態では、第2実施形態と同様に、図36に示すように、第1及び第2ロータコアベース84,86の軸方向の厚さ分、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を短くした。
そして、界磁磁石83は、図36に示すように、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア81側をN極、第2ロータコア82側をS極となるように磁化されている。従って、この界磁磁石83によって、第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85はN極(第1磁極)として機能し、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極87はS極(第2磁極)として機能する。
このように構成された、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、界磁磁石83を用いた、所謂ランデル型構造のロータとなる。そして、各ロータ80u,80v,80wは、N極となる第1ロータ側爪状磁極85と、S極となる第2ロータ側爪状磁極87とが周方向に交互に配置され磁極数が24極(極数対が12個)のロータとなる。
そして、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、図37及び図38に示すように、軸方向に積層されてロータ80が形成される。
ここで、図36及び図39に示すように、界磁磁石83に対して第1ロータコア81が上側、第2ロータコア82が下側である構成(界磁磁石83の磁化方向が上向きの構成)を、ロータ80u,80v,80wの表としたとき、U相及びW相ロータ80u,80wは表向き、V相ロータ80vは裏向きで積層される。これにより、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向は、同方向(図39において上向き)とされ、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁化方向は、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向に対して反対向き(図39において下向き)とされる。この各相のロータ80u,80v,80wの積層態様は、上記第2実施形態や第3実施形態と同様である。
図38に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして積層されている。
詳述すると、V相ロータ80vは、U相ロータ80uに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸SFに固着されている。W相ロータ80wは、そのV相ロータ80vに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸SFに固着されている。
(ステータ90)
ロータ80の径方向外側に配置されたステータ90は、図41及び図42に示すように、U相ステータ90u、V相ステータ90v、W相ステータ90wの3つから構成されている。各相のステータ90u,90v,90wは、径方向において対応するU相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wとそれぞれ対向するように軸線方向に順番に積層することによって構成されている。
各相のステータ90u,90v,90wは、同じ構成であって、図43及び図44に示すように、第1及び第2ステータコア91,92とコイル部93から構成されている。
(第1ステータコア91)
第1ステータコア91は、図44に示すように、円環状の第1ステータコアベース94を有している。円環状の第1ステータコアベース94は、軸線方向の長さが径方向の長さより長く形成され、その軸方向の長さは各相のロータの軸線方向の長さの半分の長さである。
その第1ステータコアベース94の内周面94dには、等間隔に12個の第1ステータ側爪状磁極95が、径方向内側に突出されその先端が軸方向第2ステータコア92側に屈曲形成されている。
ここで、第1ステータ側爪状磁極95において、第1ステータコアベース94の一側内周面94dから径方向内側に突出した部分を第1ステータ側基部95gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第1ステータ側磁極部95hという。そして、第1ステータ側磁極部95hが屈曲形成される以前の第1ステータ側爪状磁極95(図46に示すステータコア素材102)は、軸方向から見たとき、先端に向かうほど先細となる台形形状に形成されている。
つまり、第1ステータ側基部95gを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第1ステータ側磁極部95hを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。そして、第1ステータ側基部95gと第1ステータ側磁極部95hからなる第1ステータ側爪状磁極95の周方向端面95a,95bは、共に平坦面であって、径方向外側に向かうほど互いに近づくことになる。
これによって、第1ステータ側基部95gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向外側に向かうほどその断面積が小さくなる。また、第1ステータ側磁極部95hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第1ステータ側磁極部95hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面95j及び内側面95kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ステータコアベース94の内周面94dと同心円をなす円弧面である。
各第1ステータ側爪状磁極95の第1ステータ側基部95gの周方向の角度、即ち、周方向端面95a,95bの基端部間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第1ステータ側爪状磁極95の第1ステータ側基部95gに基端間の隙間の角度より小さく設定されている。
(第2ステータコア92)
図44に示すように、第2ステータコア92は、第1ステータコアベース94と同一材質及び同形状の円環状の第2ステータコアベース96を有している。第2ステータコアベース96は、その軸方向一側端が、第1ステータコアベース94の軸方向他側端と当接する。
その第2ステータコアベース96の内周面96dには、等間隔に12個の第2ステータ側爪状磁極97が、径方向内側に突出されその先端が軸方向第1ステータコア91側に屈曲形成されている。
ここで、第2ステータ側爪状磁極97において、第2ステータコアベース96の他側内周面96dから径方向内側に突出した部分を第2ステータ側基部97gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第2ステータ側磁極部97hという。そして、第2ステータ側磁極部97hが屈曲形成される以前の第2ステータ側爪状磁極97(図46に示すステータコア素材102)は、軸方向から見たとき、先端に向かうほど先細となる台形形状に形成されている。
つまり、第2ステータ側基部97gを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第2ステータ側磁極部97hを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。そして、第2ステータ側基部97gと第2ステータ側磁極部97hからなる第2ステータ側爪状磁極97の周方向端面97a,97bは、共に平坦面であって、径方向外側に向かうほど互いに近づくことになる。
これによって、第2ステータ側基部97gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向外側に向かうほどその断面積が小さくなる。また、第2ステータ側磁極部97hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第2ステータ側磁極部97hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面97j及び内側面97kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第2ステータコアベース96の内周面96dと同心円をなす円弧面である。
各第2ステータ側爪状磁極97の第2ステータ側基部97gの周方向の角度、即ち、周方向端面97a,97bの基端部間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第2ステータ側爪状磁極97の第2ステータ側基部97gに基端間の隙間の角度より小さく設定されている。
つまり、このように形成されることによって、第2ステータコア92の形状は、第1ステータコア91と同一形状となる。そして、第1ステータコアベース94の他側端面と第2ステータコアベース96の一側端面とを当接させ、かつ、第2ステータコア92は、各第2ステータ側爪状磁極97が、軸方向から見てそれぞれ第1ステータ側爪状磁極95間に位置するように配置固定する。
このとき、第1ステータ側爪状磁極95は、その第1ステータ側磁極部95hの先端面95cが第2ステータ側基部97gの第1ステータコア91と対向する対向面97mと面一となる位置に設定している。同様に、第2ステータ側爪状磁極97は、その第2ステータ側磁極部97hの先端面97cが第1ステータ側基部95gの第2ステータコア92と対向する対向面95mと面一となる位置に設定している。すなわち、本実施形態では、第1及び第2ステータコアベース94,96の軸方向の厚さ分、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を短くした。
ちなみに、第1及び第2ステータコアベース94,96の内周面94d,96d、第1及び第2ステータ側基部95g,97gの対向面95m,97m、及び、第1及び第2ステータ側磁極部95h,97hの外側面95j,97jで区画される断面四角形状の環状空間が形成される。そして、図36に示すように、その断面四角形状の環状空間にコイル部93が配置され固定される。
(コイル部93)
コイル部93は、図44に示すように、環状巻線98を有し、その環状巻線98が環状空間に巻回されている。
このように構成された、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、第1及び第2ステータコア91,92間の環状巻線98にて第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97をその時々で互いに異なる磁極に励磁する24極の所謂ランデル型(クローポール型)構造のステータとなる。そして、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、図41及び図42に示すように、軸方向に積層されてステータ90が形成される。
このとき、図41及び図42に示すように、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wからなるステータ90について、そのU相ステータ90u、V相ステータ90v及びW相ステータ90wを電気角で60度位相をずらして積層している。
詳述すると、V相ステータ90vは、U相ステータ90uに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてモータハウジング(図示せず)に固定されている。W相ステータ90wは、そのV相ステータ90vに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてモータハウジングに固定されている。
つまり、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97と相対向する各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87間において、周方向のずれが対向面では互いに逆方向に傾斜するようにしている。
そして、U相ステータ90uの環状巻線98には3相交流電源のU相電源電圧が印加され、V相ステータ90vの環状巻線98には3相交流電源のV相電源電圧が印加され、W相ステータ90wの環状巻線98には3相交流電源のW相電源電圧が印加される。
次に、上記のように構成したブラシレスモータMの作用について説明する。
今、ステータ90に3相交流電源電圧を印加すると、上記第1〜第3実施形態と同様に、U相ステータ90uの環状巻線98にはU相電源電圧が、V相ステータ90vの環状巻線98にはV相電源電圧が、W相ステータ90wの環状巻線98にはW相電源電圧がそれぞれ印加される。これによって、ステータ90に回転磁界が発生し、ロータ80が回転駆動される。
このとき、ステータ90は、3相交流電源にあわせて、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと3段構造にし、これに対応してロータ80も、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wと同じ3段構造にした。これによって、各相のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石83の磁束を軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができ、出力アップを図ることができる。
しかも、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を短くした。
これにより、U相ロータ80uの第1ロータ側爪状磁極85と、V相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極85とが軸方向に互いに離間し、V相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極87とW相ロータ80wの第2ロータ側爪状磁極87とが軸方向に互いに離間する。その結果、U相−V相の第1ロータ側爪状磁極85間での磁束の短絡が抑制されるとともに、V相−W相の第2ロータ側爪状磁極87間での磁束の短絡が抑制される。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を短くした。
つまり、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wにおいて、各第1ステータ側爪状磁極95間は離間するとともに、各第2ステータ側爪状磁極97間は離間する。その結果、各相の第1ステータ側爪状磁極95間での磁束の短絡が抑制されるとともに、各相の第2ステータ側爪状磁極97間での磁束の短絡が抑制される。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を先細の台形形状に形成したことから、界磁磁石83からの磁束は第1及び第2ロータ側磁極部85h,87hの先端部までより効率よく導かれる。
同様に、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97を先細の台形形状に形成したことから、環状巻線98からの磁束は第1及び第2ステータ側磁極部95h,97hの先端部までより効率よく導かれる。
以上のことから、所定の爪状磁極間が互いに開放され、磁束の短絡が抑制されるとともに、磁束が各磁極部85h,87h,95h,97hの先端部までより効率よく導かれることから、ブラシレスモータMの高トルク化が可能となる。
なお、本実施形態も、上記各実施形態と同様に、磁極数の変更の要求があった場合、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、ランデル型構造をなすことから、界磁磁石83を同一構造としながら第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。同様に、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、クローポール型構造をなしていることから、コイル部93を同一構造としながら第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。
次に、上記のように構成したロータ80の第1ロータコア81とステータ90の第1ステータコア91の製造方法について説明する。
なお、第2ロータコア82は第1ロータコア81と同一形状であり、第2ステータコア92は第1ステータコア91と同一形状である。そのため、第1ロータコア81と第1ステータコア91の製造方法を説明し、第2ロータコア82と第2ステータコア92の製造方法を省略する。
図45及び図46に示すように、第1ロータコア81のロータコア素材101及び第1ステータコア91のステータコア素材102は、プレス打ち抜き型にて、珪素鋼板等の帯状の圧延鋼板をプレス打ち抜きして一度に製造される。
図45で示すように、ロータコア素材101は、第1ロータコアベース84となるロータコアベース部分101aが円板形状に形成され、そのロータコアベース部分101aの外周部に12個の第1ロータ側爪状磁極85となるロータ磁極部分101bが先細の台形形状に形成されている。
また、図46で示すように、ステータコア素材102は、第1ステータコアベース94となるステータコアベース部分102aが環状形状に形成され、そのステータコアベース部分102aの内周部に12個の第1ステータ側爪状磁極95となるステータ磁極部分102bが先細の台形形状に形成されている。
図47はロータコア素材101とステータコア素材102の製造工程を説明するための説明図、図48はロータコア素材101とステータコア素材102が打ち抜かれる帯状の圧延鋼板103を説明するための正面図を示す。
図47において、帯状の圧延鋼板103が上流から下流に(図において左から右に)向かって搬送されている。そして、その搬送途中に、圧延鋼板103はプレス打ち抜き型104に案内されロータコア素材101及びステータコア素材102が打ち抜き製造される。
帯状の圧延鋼板103は、珪素鋼板よりなり、図48に2点鎖線で示す部分において、ロータコア素材101及びステータコア素材102が同時に打ち抜き製造される。
つまり、圧延鋼板103において、図48に示すように、環状のステータコアベース部分102aに対して円板状のロータコアベース部分101aを内側に配置させる。このとき、12個の台形のステータ磁極部分102bと12個の台形のロータ磁極部分101bが周方向に交互に配置、即ち、ステータ磁極部分102bとステータ磁極部分102bの間に、ロータ磁極部分101bが位置するように配置されるように、プレス打ち抜き型104によって打ち抜き製造する。
これによって、圧延鋼板103からロータコア素材101とステータコア素材102が同時に製造される。そして、搬送案内されてくる圧延鋼板103に対して、プレス打ち抜き型104がこれを繰り返すことによって、順次、ロータコア素材101とステータコア素材102が圧延鋼板103から同時に製造される。
そして、ロータコア素材101は、プレス加工機によって、折り曲げ加工されて、図40に示す第1ロータコア81が成形される。
同様に、ステータコア素材102は、プレス加工機によって、折り曲げ加工されて、図44に示す第1ロータコア81が成形される。
以上詳述したように、本実施形態は、前記第1及び第2実施形態の効果に加えて以下の効果を有する。
(1)上記実施形態によれば、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を先細の台形形状に形成して、界磁磁石83からの磁束が第1及び第2ロータ側磁極部85h,87hの先端部までより効率よく届くようにした。
同様に、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97を先細の台形形状に形成して、環状巻線98からの磁束が第1及び第2ステータ側磁極部95h,97hの先端部までより効率よく届くようにした。
従って、界磁磁石83及び環状巻線98からの磁束がそれぞれ各磁極部85h,87h,95h,97hの先端部までより効率よく導かれ、有効に磁力として作用することから、ブラシレスモータMの高トルク化が可能となる。
(2)上記実施形態によれば、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を先細の台形形状に形成するとともに、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97を先細の台形形状に形成した。
従って、圧延鋼板103からロータコア素材101及びステータコア素材102を製造するとき、環状のステータコアベース部分102aに対して円板状のロータコアベース部分101aを内側に配置させる。このとき、12個の台形のステータ磁極部分102bと12個の台形のロータ磁極部分101bが周方向に交互に位置するように配置されるようにした。
従って、ロータコア素材101及びステータコア素材102を同時にプレス打ち抜き型104によって打ち抜き製造することができる。
しかも、圧延鋼板103において、ステータコア素材102の内側の部分を使ってロータコア素材101が製造されることから、圧延鋼板103の歩留まりがよく、ロータコア素材101及びステータコア素材102の製造コストを低減させることができる。
さらに、ステータ磁極部分102b及びロータ磁極部分101bを先細の台形形状にした。これによって、ステータ磁極部分102bとステータ磁極部分102bとの間に配置されるロータ磁極部分101bは、先端部が先細なので周方向に対向する相手のステータ磁極部分102bと干渉されることなく打ち抜かれる。同様に、ロータ磁極部分101bとロータ磁極部分101bとの間に配置されるステータ磁極部分102bは、先端部が先細なので周方向に対向する相手のロータ磁極部分101bと干渉されることなく打ち抜かれる。
従って、ロータコア素材101及びステータコア素材102を同時に打ち抜き製造する際の加工ミスを低減しさらに歩留まりを上げ製造コストを低減させることができる。
(第5実施形態)
次に、モータの第5実施形態を図49〜図61に従って説明する。
なお、上記第1〜第4実施形態がインナーロータ型のブラシレスモータMであるのに対して、本実施形態は、アウターロータ型のブラシレスモータMである点に特徴を有している。
図49において、ブラシレスモータMは、モータハウジング110を有し、そのモータハウジング110は円板形状のベースハウジング111と、そのベースハウジング111の一側を覆う有蓋円筒状のカバーハウジング112とで構成されている。ベースハウジング111は、その内側中心位置に円柱状のボス部113を形成している。ベースハウジング111のボス部113を含む中心位置には、貫通穴114が貫通形成され、その貫通穴114には軸受115が固設されている。また、有蓋円筒状のカバーハウジング112の蓋部中心位置には、同じく貫通穴116が形成され、その貫通穴116には軸受117が固設されている。そして、両貫通穴114,116に固設された軸受115,117は、モータハウジング110を貫通する回転軸SFを回転可能に支持している。
また、図49に示すように、モータハウジング110内には、有蓋円筒状のロータハウジング118を有し、ロータハウジング118は円形蓋部118aと円筒壁118bとで構成されている。ロータハウジング118は、円形蓋部118aの中心位置を回転軸SFが貫通し固着され、回転軸SFとともに一体回転する。
ブラシレスモータMは、ステータ90及びロータ80を有している。ステータ90は、ベースハウジング111に形成したボス部113の外周面に固着されている。ロータ80は、ロータハウジング118の円筒壁118bの内周面にステータ90を内包するように固着されている。
図50に示すように、ブラシレスモータMは、図51〜図53に示す単一モータMaを軸方向に3段積層していて、上からU相モータ部Mu、V相モータ部Mv、W相モータ部Mwの順に構成されている。
(ステータ90)
図49に示すように、ベースハウジング111のボス部113の外周面に固設されたステータ90は、図54及び図55に示すように、U相ステータ90u、V相ステータ90v、W相ステータ90wの3つから構成されている。各相のステータ90u,90v,90wは、図58及び図59に示すように、径方向において対応するU相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wとそれぞれ対向するように軸線方向に順番に積層することによって構成されている。
各相のステータ90u,90v,90wは、同じ構成であって、図56及び図57に示すように、第1及び第2ステータコア91,92とコイル部93から構成されている。
(第1ステータコア91)
図57に示すように、第1ステータコア91は、円板状に形成された第1ステータコアベース120を有している。第1ステータコアベース120の中央位置には、ボス部113を貫通し固着するための貫通穴121が形成されている。第1ステータコアベース120の軸方向第2ステータコア92側の中央部は外周部より厚く(軸方向の長さが長く)形成されている。そして、中央の肉厚部分を肉厚部120aといい、その肉厚部120aの外周部分を肉薄部120bという。
また、第1ステータコアベース120の外周面120cには、等間隔に12個の同一形状をした第1ステータ側爪状磁極122が、径方向外側に突出されその先端が軸方向第2ステータコア92側に屈曲形成されている。
ここで、第1ステータ側爪状磁極122において、第1ステータコアベース120の外周面120cから径方向外側に突出した部分を第1ステータ側基部122gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第1ステータ側磁極部122hという。そして、第1ステータ側磁極部122hが屈曲形成される以前の第1ステータ側爪状磁極122は、軸方向から見たとき、先端に向かうほど先細となる台形形状に形成されている。
つまり、第1ステータ側基部122gを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第1ステータ側磁極部122hを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。そして、第1ステータ側基部122gと第1ステータ側磁極部122hからなる第1ステータ側爪状磁極122の周方向端面122a,122bは、共に平坦面であって、径方向外側に向かうほど互いに近づくことになる。
これによって、第1ステータ側基部122gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向外側に向かうほどその断面積が小さくなる。また、第1ステータ側磁極部122hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第1ステータ側磁極部122hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面122j及び内側面122kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ステータコアベース120の外周面120cと同心円をなす円弧面である。
また、各第1ステータ側爪状磁極122の第1ステータ側基部122gの周方向の角度、即ち、周方向端面122a,122bの基端部間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第1ステータ側爪状磁極122の第1ステータ側基部122gに基端間の隙間の角度より小さく設定されている。
(第2ステータコア92)
図57に示すように、第2ステータコア92は、第1ステータコア91と同一材質及び同一形状であって、円板状に形成された第2ステータコアベース130の中央位置には、ボス部113を貫通し固着するための貫通穴131が形成されている。第2ステータコアベース130の軸方向第1ステータコア91側の中央部は外周部より厚く(軸方向の長さが長く)形成されている。そして、中央の肉厚部分を肉厚部130aといい、その肉厚部130aの外周部分を肉薄部130bという。
また、第2ステータコアベース130の外周面130cには、等間隔に12個の同一形状をなした第2ステータ側爪状磁極132が、径方向外側に突出されその先端が軸方向第1ステータコア91側に屈曲形成されている。
ここで、第2ステータ側爪状磁極132において、第2ステータコアベース130の外周面130cから径方向外側に突出した部分を第2ステータ側基部132gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第2ステータ側磁極部132hという。そして、第2ステータ側磁極部132hが屈曲形成される以前の第2ステータ側爪状磁極132は、軸方向から見たとき、先端に向かうほど先細となる台形形状に形成されている。
つまり、第2ステータ側基部132gの軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第2ステータ側磁極部132hの径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。そして、第2ステータ側基部132gと第2ステータ側磁極部132hからなる第2ステータ側爪状磁極132の周方向端面132a,132bは、共に平坦面であって、径方向外側に向かうほど互いに近づくことになる。
これによって、第2ステータ側基部132gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向外側に向かうほどその断面積が小さくなる。また、第2ステータ側磁極部132hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第2ステータ側磁極部132hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面132j及び内側面132kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第2ステータコアベース130の外周面130cと同心円をなす円弧面である。
各第2ステータ側爪状磁極132の第2ステータ側基部132gの周方向の角度、即ち、周方向端面132a,132bの基端部間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第2ステータ側爪状磁極132の第2ステータ側基部132gに基端間の隙間の角度より小さく設定されている。
第2ステータコア92は、第1ステータコア91に対して、その第2ステータ側爪状磁極132が、軸方向から見てそれぞれ第1ステータコア91の第1ステータ側爪状磁極122間に位置するように配置される。そして、第1及び第2ステータコアベース120,130の肉厚部120a,130aが互いに圧接されて固定されるようになっている。
このとき、図53に示すように、第1ステータ側爪状磁極122は、その第1ステータ側磁極部122hの先端面122cが第2ステータコアベース130の肉薄部130bであって第1ステータコア91と対向する対向面130dと面一となる位置に設定している。同様に、第2ステータ側爪状磁極132は、その第2ステータ側磁極部132hの先端面132cが第1ステータコアベース120の肉薄部120bであって第2ステータコア92と対向する対向面120dと面一となる位置に設定している。すなわち、本実施形態では、肉薄部120b,130bの軸方向の厚さ分、第1及び第2ステータ側爪状磁極122,132の軸方向の長さD2(図56参照)を短くした。
ちなみに、両肉厚部120a,130aが互いに圧接されて第1及び第2ステータコアベース120,130が組み付けられるとき、第1及び第2ステータコアベース120,130の肉薄部120b,130b間に断面四角形状の環状空間が形成される。そして、図53及び図57に示すように、その断面四角形状の環状空間にコイル部93が配置され固定される。
(コイル部93)
コイル部93は、図57に示すように、環状巻線98であって、その環状巻線98が環状空間に巻回されている。
このように構成された、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、第1及び第2ステータコア91,92間の環状巻線98にて第1及び第2ステータ側爪状磁極122,132をその時々で互いに異なる磁極に励磁する24極の所謂ランデル型(クローポール型)構造のステータとなる。そして、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、図54及び図55に示すように、軸方向に積層されてステータ90が形成される。
このとき、図55に示すように、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wからなるステータ90について、そのU相ステータ90u、V相ステータ90v及びW相ステータ90wを電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして積層している。
詳述すると、V相ステータ90vは、U相ステータ90uに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてベースハウジング111に形成したボス部113に固定されている。また、W相ステータ90wは、そのV相ステータ90vに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてベースハウジング111に形成したボス部113に固定されている。
そして、U相ステータ90uの環状巻線98には3相交流電源のU相電源電圧が印加され、V相ステータ90vの環状巻線98には3相交流電源のV相電源電圧が印加され、W相ステータ90wの環状巻線98には3相交流電源のW相電源電圧が印加される。
(ロータ80)
図49に示すように、ロータハウジング118の円筒壁118bの内側面に固設されたロータ80は、図58及び図59に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wの3つから構成されている。各相のロータ80u,80v,80wは、図54及び図55に示すように、径方向において対応するU相ステータ90u、V相ステータ90v、W相ステータ90wとそれぞれ対向するように軸線方向に順番に積層することによって構成されている。
各相のロータ80u,80v,80wは、図60及び図61に示すように、第1及び第2ロータコア81,82と界磁磁石83から構成されている。
(第1ロータコア81)
第1ロータコア81は、図61に示すように、円環板状の第1ロータコアベース140を有している。第1ロータコアベース140の内周面140dには、等間隔に12個の第1ロータ側爪状磁極142が、径方向内側に突出されその先端が軸方向第2ロータコア82側に屈曲形成されている。
ここで、第1ロータ側爪状磁極142において、第1ロータコアベース140の内周面140dから径方向内側に突出した部分を第1ロータ側基部142gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第1ロータ側磁極部142hという。そして、第1ロータ側磁極部142hが屈曲形成される以前の第1ロータ側爪状磁極142は、軸方向から見たとき、先端に向かうほど先細となる台形形状に形成されている。
つまり、第1ロータ側基部142gを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第1ロータ側磁極部142hを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。そして、第1ロータ側基部142gと第1ロータ側磁極部142hからなる第1ロータ側爪状磁極142の周方向端面142a,142bは、共に平坦面であって、径方向外側に向かうほど互いに近づくことになる。
これによって、第1ロータ側基部142gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向外側に向かうほどその断面積が小さくなる。また、第1ロータ側磁極部142hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第1ロータ側磁極部142hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面142j及び内側面142kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ロータコアベース140の内周面140dと同心円をなす円弧面である。
各第1ロータ側爪状磁極142の第1ロータ側基部142gの周方向の角度、即ち、周方向端面142a,142bの基端部間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第1ロータ側爪状磁極142の第1ロータ側基部142gに基端間の隙間の角度より小さく設定されている。
(第2ロータコア82)
図61に示すように、第2ロータコア82は、第1ロータコアベース140と同一材質及び同形状の円環板状の第2ロータコアベース150を有している。第2ロータコアベース150の内周面150dには、等間隔に12個の第2ロータ側爪状磁極152が、径方向内側に突出されその先端が軸方向第1ロータコア81側に屈曲形成されている。
ここで、第2ロータ側爪状磁極152において、第2ロータコアベース150の内周面150dから径方向内側に突出した部分を第2ロータ側基部152gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第2ロータ側磁極部152hという。そして、第2ロータ側磁極部152hが屈曲形成される以前の第2ロータ側爪状磁極152は、軸方向から見たとき、先端に向かうほど先細となる台形形状に形成されている。
つまり、第2ロータ側基部152gを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第2ロータ側磁極部152hを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。そして、第2ロータ側基部152gと第2ロータ側磁極部152hからなる第2ロータ側爪状磁極152の周方向端面152a,152bは、共に平坦面であって、径方向外側に向かうほど互いに近づくことになる。
これによって、第2ロータ側基部152gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向外側に向かうほどその断面積が小さくなる。また、第2ロータ側磁極部152hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第2ロータ側磁極部152hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面152j及び内側面152kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第2ロータコアベース150の内周面150dと同心円をなす円弧面である。
各第2ロータ側爪状磁極152の第2ロータ側基部152gの周方向の角度、即ち、周方向端面152a,152bの基端部間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第2ロータ側爪状磁極152の第2ロータ側基部152gに基端間の隙間の角度より小さく設定されている。
そして、第2ロータコア82は、第1ロータコア81に対して、その第2ロータ側爪状磁極152が、軸方向から見てそれぞれ第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極142間に位置するように配置固定されるようになっている。このとき、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と第2ロータコア82との軸方向の間に界磁磁石83が配置されるように、第1ロータコア81に対して組み付けられる。
(界磁磁石83)
界磁磁石83は、本実施形態では、フェライト磁石よりなる円環板状の永久磁石である。そして、界磁磁石83の一方の側面83bが、第1ロータコアベース140の対向面140aと、界磁磁石83の他方の側面83cが、第2ロータコアベース150の対向面150aとそれぞれ当接し、界磁磁石83は第1ロータコア81と第2ロータコア82との間に挟持固定される。
界磁磁石83の外径は、第1及び第2ロータコアベース140,150(外周面140c,150c)の外径と一致するように設定されている。また、界磁磁石83の内径は、第1及び第2ロータコアベース140,150(内周面140d,150d)の内径と一致するように設定されている。
さらに、界磁磁石83の厚さは、予め定めた厚さに設定されている。本実施形態では、図53に示すように、第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152は、その先端面142c,152cが、それぞれ第1及び第2ロータコアベース140,150の対向面140a,150aと面一となる長さにした。すなわち、本実施形態では、第1及び第2ロータコアベース140,150の軸方向の厚さ分、第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152の軸方向の長さD1(図60参照)を短くした。
そして、界磁磁石83は、図53に示すように、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア81側をN極、第2ロータコア82側をS極となるように磁化されている。従って、この界磁磁石83によって、第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極142はN極(第1磁極)として機能し、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極152はS極(第2磁極)として機能する。
このように構成された、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、界磁磁石83を用いた、所謂ランデル型構造のロータとなる。そして、各ロータ80u,80v,80wは、N極となる第1ロータ側爪状磁極142と、S極となる第2ロータ側爪状磁極152とが周方向に交互に配置され磁極数が24極(極数対が12個)のロータとなる。
そして、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、図58及び図59に示すように、軸方向に積層されてロータ80が形成される。
ここで、図60に示すように、界磁磁石83に対して第1ロータコア81が上側、第2ロータコア82が下側である構成(界磁磁石83の磁化方向が上向きの構成)を、ロータ80u,80v,80wの表としたとき、U相及びW相ロータ80u,80wは表向き、V相ロータ80vは裏向きで積層される。これにより、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向は、図59中の矢印に示すように、同方向(図59において上向き)とされ、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁化方向は、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向に対して反対向き(図59において下向き)とされる。
また、図58に示すように、U相及びV相ロータ80u,80vの第2ロータコアベース150同士が軸方向に隣接しており、その隣接する第2ロータコアベース150を介してU相及びV相ロータ80u,80vの界磁磁石83のS極側が向かい合うように構成されている。また、V相及びW相ロータ80v,80wの第1ロータコアベース140同士が軸方向に隣接しており、その隣接する第1ロータコアベース140を介してV相及びW相ロータ80v,80wの界磁磁石83のN極側が向かい合うように構成されている。
また、U相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータ側爪状磁極142の軸方向への延出方向は、同方向(図58において下向き)であり、その方向に対してV相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極142の軸方向への延出方向は反対向き(図58において上向き)となっている。なお、U相の第1ロータ側爪状磁極142とV相の第1ロータ側爪状磁極142とは、軸方向に離間している。
同様に、U相及びW相ロータ80u,80wの第2ロータ側爪状磁極152の軸方向への延出方向は、同方向(図58において上向き)であり、その方向に対してV相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極152の軸方向への延出方向は反対向き(図58において下向き)となっている。なお、V相の第2ロータ側爪状磁極152とW相の第2ロータ側爪状磁極152とは、軸方向に離間している。
また、図58及び図59に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして積層されている。
詳述すると、V相ロータ80vは、U相ロータ80uに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてロータハウジング118の円筒壁118bに固着されている。W相ロータ80wは、そのV相ロータ80vに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてロータハウジング118の円筒壁118bに固着されている。
つまり、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152と相対向する各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極122,132間において、周方向のずれが対向面では互いに逆方向に傾斜するようにしている。
そして、有蓋円筒状のロータハウジング118の円筒壁118bに固設されたロータ80は、ベースハウジング111のボス部113に固設されたステータ90は発生する回転磁界によって回転軸SFを回転中心として同回転軸SFと一体回転することになる。即ち、本実施形態のブラシレスモータMは、アウターマグネットロータ型のモータである。
次に、上記のように構成したブラシレスモータMの作用について説明する。
今、ステータ90に3相交流電源電圧を印加すると、上記第1〜第3実施形態と同様に、U相ステータ90uの環状巻線98にはU相電源電圧が、V相ステータ90vの環状巻線98にはV相電源電圧が、W相ステータ90wの環状巻線98にはW相電源電圧がそれぞれ印加される。これによって、ステータ90に回転磁界が発生し、ロータ80が回転駆動される。
このとき、ステータ90は、3相交流電源にあわせて、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと3段構造にし、これに対応してロータ80も、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wと同じ3段構造にした。これによって、各相のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石83の磁束を軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができ、出力アップを図ることができる。
しかも、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152の軸方向の長さD1を短くした。
これにより、U相ロータ80uの第1ロータ側爪状磁極142と、V相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極142とが軸方向に互いに離間し、V相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極152とW相ロータ80wの第2ロータ側爪状磁極152とが軸方向に互いに離間する。その結果、U相−V相の第1ロータ側爪状磁極142間での磁束の短絡が抑制されるとともに、V相−W相の第2ロータ側爪状磁極152間での磁束の短絡が抑制される。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極122,132の軸方向の長さD2を短くした。
つまり、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wにおいて、各第1ステータ側爪状磁極122間は離間するとともに、各第2ステータ側爪状磁極132間は離間する。その結果、各相の第1ステータ側爪状磁極122間での磁束の短絡が抑制されるとともに、各相の第2ステータ側爪状磁極132間での磁束の短絡が抑制される。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152を先細の台形形状に形成したことから、界磁磁石83からの磁束は第1及び第2ロータ側磁極部142h,152hの先端部までより効率よく導かれる。
同様に、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極122,132を先細の台形形状に形成したことから、環状巻線98からの磁束は第1及び第2ステータ側磁極部122h,132hの先端部までより効率よく導かれる。
以上のことから、所定の爪状磁極間が互いに開放され、磁束の短絡が抑制されるとともに、磁束が各磁極部122h,132h,142h,152hの先端部までより効率よく導かれることから、ブラシレスモータMの高トルク化が可能となる。
また、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wを電気角で時計回り方向に60度ずつずらしたのに対して、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wを電気角で反時計回り方向に60度ずつずらした。すなわち、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと相対向するU相、V相、W相ロータ80u,80v,80w間において、周方向のずれが、対向面では互いに逆方向に傾斜するようにした。
これにより、各相の環状巻線98に流れる各相交流電流による第1及び第2ステータ側爪状磁極122,132の切り替わりに対して各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152を好適に追従させることができ、その結果、ロータ80の好適な回転を実現できる。
また、上記実施形態では、V相ロータ80vの界磁磁石83は、U相及びW相のロータ80u,80wの界磁磁石83に対して磁化方向が反対に設定されている。これにより、V相の界磁磁石83の軸方向両側の極性が、軸方向に向き合うU相及びW相の界磁磁石83の極性と同極性となるため、V相の界磁磁石83の磁束がU相及びW相ロータ80u,80w側に漏れにくくなり、その結果、V相の第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152側に好適に流れるようになっている。
さらにまた、ロータ80がステータ90の外周を囲むように配置されたアウターロータ型であるため、第1及び第2ロータコア81,82の間に挟持される界磁磁石83の外径が大きくなる。そのため、界磁磁石83からの磁束が大きくなり、さらにブラシレスモータMの出力アップを図ることができる。
なお、本実施形態も、上記各実施形態と同様に、磁極数の変更の要求があった場合、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、ランデル型構造をなすことから、界磁磁石83を同一構造としながら第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。同様に、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、クローポール型構造をなしていることから、コイル部93(環状巻線98)を同一構造としながら第1及び第2ステータ側爪状磁極122,132の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)上記実施形態によれば、ステータ90の外周にロータ80を配置したアウターロータ型であるため、第1及び第2ロータコア81,82の間に挟持される界磁磁石83の外径を大きくすることができる。そのため、界磁磁石83から第1及び第2ロータ側磁極部142h,142hへの磁束の磁束密度を大きくすることができることから、アウターロータ型のブラシレスモータMの出力アップを図ることができる。
(2)上記実施形態によれば、第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152を先細の台形形状に形成して、界磁磁石83からの磁束が第1及び第2ロータ側磁極部142h,142hの先端部までより効率よく届くようにした。
同様に、第1及び第2ステータ側爪状磁極122,132を先細の台形形状に形成して、環状巻線98からの磁束が第1及び第2ステータ側磁極部122h,132hの先端部までより効率よく届くようにした。
従って、界磁磁石83及び環状巻線98からの磁束がそれぞれ各磁極部122h,132h,142h,152hの先端部までより効率よく導かれ、有効に磁力として作用することから、アウターロータ型のブラシレスモータMの出力アップを図ることができる。
(3)上記実施形態によれば、ステータ90は、3相交流電源にあわせて、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと3段構造にし、これに対応してロータ80も、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wと同じ3段構造にした。従って、各相のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石83の磁束を軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができ、アウターロータ型のブラシレスモータMの出力アップを図ることができる。
また、各相(各段)のロータ80u,80v,80wの周方向のずれ方向と、各相(各段)のステータ90u,90v,90wの周方向のずれ方向とが互いに反対であるため、ロータ80の好適な回転を実現できる。
(4)上記実施形態によれば、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極122,132の軸方向の長さD2を短くした。そして、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wにおいて、各第1ステータ側爪状磁極122間を離間させるとともに、各第2ステータ側爪状磁極132間を離間させた。その結果、各相の第1ステータ側爪状磁極122間での磁束の短絡が抑制されるとともに、各相の第2ステータ側爪状磁極132間での磁束の短絡が抑制される。
同様に、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152の軸方向の長さD1を短くした。これにより、U相ロータ80uの第1ロータ側爪状磁極142と、V相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極142とが軸方向に互いに離間し、V相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極152とW相ロータ80wの第2ロータ側爪状磁極152とが軸方向に互いに離間する。その結果、U相−V相の第1ロータ側爪状磁極142間での磁束の短絡が抑制されるとともに、V相−W相の第2ロータ側爪状磁極152間での磁束の短絡が抑制される。
従って、アウターロータ型のブラシレスモータMの出力アップを図ることができる。
(5)上記実施形態によれば、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、ランデル型構造をなすことから、界磁磁石83を同一構造としながら第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。同様に、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、クローポール型構造をなしていることから、コイル部93(環状巻線98)を同一構造としながら第1及び第2ステータ側爪状磁極122,132の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。
従って、ロータ80及びステータ90が、界磁部材(界磁磁石83、環状巻線98)を同一構成として大幅な設計変更を伴わずにそれぞれの極数が変更できるため、極数の変更が容易なアウターロータ型モータを製作できる。
(第6実施形態)
次に、モータの第6実施形態を図62〜図77に従って説明する。
図62において、ブラシレスモータMは、モータハウジング110を有している。モータハウジング110は、同モータハウジング110を貫通する回転軸SFを、軸受115,117を介して回転可能に支持している。モータハウジング110内には、ロータ80及びステータ90が設けられている。ロータ80は、回転軸SFに固着され、回転軸SFとともに一体回転するようになっている。ステータ90は、ロータ80を囲むように、モータハウジング110の内周面に固設されている。
ブラシレスモータMは、図64〜図66に示す単一モータMaが3つ軸方向に配列されていて、図63において、上からU相モータ部Mu、V相モータ部Mv、W相モータ部Mwの順に構成されている。このとき、U相モータ部MuとV相モータ部Mv、及び、V相モータ部MvとW相モータ部Mwとが、それぞれ軸方向に予め定めた間隔Gだけ離間した隙間CGを設けて配置されている。
(ロータ80)
ブラシレスモータMのロータ80は、図67及び図68に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wの3つから構成されている。そして、U相ロータ80uとV相ロータ80v、及び、V相ロータ80vとW相ロータ80wとが、それぞれ軸方向に予め定めた間隔Gだけ離間した隙間CGを開けて回転軸SFに固着されている。各相のロータ80u,80v,80wは、図69及び図70に示すように、第1及び第2ロータコア81,82と界磁磁石83から構成されている。
(第1ロータコア81)
図70に示すように、第1ロータコア81は、円板状に形成された第1ロータコアベース84を有している。第1ロータコアベース84の中央位置には、回転軸SFを貫通し固着するための貫通穴81aが形成されている。
また、第1ロータコアベース84の外周面84cには、等間隔に12個の同一形状をした第1ロータ側爪状磁極85が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向第2ロータコア82側に延出形成されている。
第1ロータ側爪状磁極85において、第1ロータコアベース84の外周面84cから径方向外側に突出した部分は、その板厚(軸線方向の長さ)を第1ロータコアベース84の板厚(軸線方向の長さ)より厚く形成し、第1段差部85dとしている。この第1段差部85dは、第2ロータコア82側に厚くなるように形成されていて、反第2ロータコア82側の水平な面が第1ロータコアベース84の反対向面84bと面一となっている。
従って、第1段差部85dの径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積(以下、磁路面積という)は、第4実施形態で示す第1ロータコアベース84の外周面から径方向外側に突出した部分(図40に示す第1ロータ側基部85g)の断面積に較べて大きくなる。つまり、第1段差部85dの断面の磁路面積が大きくなることによって、第1段差部85dの磁気抵抗を、第4実施形態で示す第1ロータコアベース84の外周面から径方向外側に突出した部分(図40に示す第1ロータ側基部85g)よりも小さくすることができる。
第1段差部85dの径方向内側に形成された第1段差面85eは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面である。
そして、第1段差部85dの径方向外側端から軸方向第2ロータコア82側に第1磁極部85fが延出形成されることによって第1ロータ側爪状磁極85が形成される。
第1段差部85dと第1磁極部85fからなる第1ロータ側爪状磁極85の周方向端面85a,85bは、共に平坦面であって、先端に向かうほど互いに近づくようになっている。
つまり、第1段差部85dを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第1磁極部85fを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。
第1ロータ側爪状磁極85の第1磁極部85fは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その第1磁極部85fの径方向の外側面85j及び内側面85kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面である。
また、各第1ロータ側爪状磁極85の周方向の角度、即ち、周方向端面85a,85b間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第1ロータ側爪状磁極85と第1ロータ側爪状磁極85の間の隙間の角度より小さく設定されている。
(第2ロータコア82)
図70に示すように、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と同一材質及び同一形状であって、円板状に形成された第2ロータコアベース86の中央位置には、回転軸SFを貫通し固着するための貫通穴82aが形成されている。
また、第2ロータコアベース86の外周面には、等間隔に12個の同一形状をなした第2ロータ側爪状磁極87が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向第1ロータコア81側に延出形成されている。
第2ロータ側爪状磁極87において、第2ロータコアベース86の外周面86cから径方向外側に突出した部分は、その板厚(軸線方向の長さ)を第2ロータコアベース86の板厚(軸線方向の長さ)より厚く形成し、第2段差部87dとしている。この第2段差部87dは、第1ロータコア81側に厚くなるように形成されていて、反第1ロータコア81側の水平な面が第2ロータコアベース86の反対向面86bと面一となっている。
従って、第2段差部87dの径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積(以下、磁路面積という)は、第4実施形態で示す第2ロータコアベース86の外周面から径方向外側に突出した部分(図40に示す第2ロータ側基部87g)の断面積に較べて大きくなる。つまり、第2段差部87dの断面の磁路面積が大きくなることによって、第2段差部87dの磁気抵抗を、第4実施形態で示す第2ロータコアベース86の外周面から径方向外側に突出した部分(図40に示す第2ロータ側基部87g)よりも小さくすることができる。
第2段差部87dの径方向内側に形成された第2段差面87eは、軸線方向から見て、中心軸線を中心として第2ロータコアベース86の外周面86cと同心円をなす円弧面である。
そして、第2段差部87dの径方向外側端から軸方向第1ロータコア81側に第2磁極部87fが延出形成されることによって第2ロータ側爪状磁極87が形成される。
第2段差部87dと第2磁極部87fからなる第2ロータ側爪状磁極87の周方向端面87a,87bは、共に平坦面であって、先端に向かうほど互いに近づくようになっている。
つまり、第2段差部87dを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第2磁極部87fを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。
第2ロータ側爪状磁極87の第2磁極部87fは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その第2磁極部87fの径方向の外側面87j及び内側面87kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面である。
また、各第2ロータ側爪状磁極87の周方向の角度、即ち、周方向端面87a,87b間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第2ロータ側爪状磁極87と第2ロータ側爪状磁極87の間の隙間の角度より小さく設定されている。
そして、第2ロータコア82は、第1ロータコア81に対して、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極87が、軸方向から見てそれぞれ第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85間に位置するように配置固定されるようになっている。このとき、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と第2ロータコア82との軸方向の間に界磁磁石83が配置されるように、第1ロータコア81に対して組み付けられる。
(界磁磁石83)
図70に示すように、界磁磁石83は、本実施形態では、フェライト磁石よりなる円板状の永久磁石であって、その中央位置に回転軸SFを貫通する貫通穴83aが形成されている。そして、界磁磁石83の一方の側面83bが、第1ロータコアベース84の対向面84aと、界磁磁石83の他方の側面83cが、第2ロータコアベース86の対向面86aとそれぞれ当接し、界磁磁石83は第1ロータコア81と第2ロータコア82との間に挟持固定される。
界磁磁石83の外径は、第1及び第2ロータコアベース84,86(外周面84c,86c)の外径と一致するように設定されている。
従って、第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86とで界磁磁石83を挟持するとき、各第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eに、界磁磁石83の外周面83dが圧入して圧接する。
また、界磁磁石83の厚さ(軸線方向の長さ)は、予め定めた厚さに設定されている。本実施形態では、図66に示すように、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87は、その先端面85c,87cが、それぞれ第1及び第2ロータコアベース84,86の対向面84a,86aと面一となる長さにした。すなわち、本実施形態では、図69に示すように、第1及び第2ロータコアベース84,86の軸方向の厚さ分、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の長さD1を短くした。
そして、界磁磁石83は、図66に示すように、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア81側をN極、第2ロータコア82側をS極となるように磁化されている。従って、この界磁磁石83によって、第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85はN極(第1磁極)として機能し、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極87はS極(第2磁極)として機能する。
このように構成された、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、界磁磁石83を用いた、所謂ランデル型構造のロータとなる。そして、各ロータ80u,80v,80wは、N極となる第1ロータ側爪状磁極85と、S極となる第2ロータ側爪状磁極87とが周方向に交互に配置され磁極数が24極(極数対が12個)のロータとなる。
そして、ロータ80は、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wが、図67及び図68に示すように、軸方向に間隔Gの隙間CGをもって配列されて形成される。
ここで、図66及び図69に示すように、界磁磁石83に対して第1ロータコア81が上側、第2ロータコア82が下側である構成(界磁磁石83の磁化方向が上向きの構成)を、ロータ80u,80v,80wの表としたとき、U相及びW相ロータ80u,80wは表向き、V相ロータ80vは裏向きで設けられる。これにより、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向は、同方向(図67において上向き)とされ、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁化方向は、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向に対して反対向き(図67において下向き)とされる。
また、図68に示すように、U相及びV相ロータ80u,80vの第2ロータコアベース86同士が、軸方向に隙間CG(及び後述の第1回路基板155)を介して対向しており、U相及びV相ロータ80u,80vの界磁磁石83のS極側が向かい合うように構成されている。また、V相及びW相ロータ80v,80wの第1ロータコアベース84同士が、軸方向に隙間CG(及び後述の第2回路基板156)を介して対向しており、V相及びW相ロータ80v,80wの界磁磁石83のN極側が向かい合うように構成されている。
また、図67に示すように、U相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータ側爪状磁極85の軸方向への延出方向は、同方向(図67において下向き)であり、その方向に対してV相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極85の軸方向への延出方向は反対向き(図67において上向き)となっている。なお、各相の第1ロータ側爪状磁極85は、軸方向に互いに離間している。
同様に、U相及びW相ロータ80u,80wの第2ロータ側爪状磁極87の軸方向への延出方向は、同方向(図67において上向き)であり、その方向に対してV相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極87の軸方向への延出方向は反対向き(図67において下向き)となっている。なお、各相の第2ロータ側爪状磁極87は、軸方向に互いに離間している。
また、図67及び図68に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして配置されている。
詳述すると、V相ロータ80vは、U相ロータ80uに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸に固着されている。W相ロータ80wは、そのV相ロータ80vに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸に固着されている。
(ステータ90)
ロータ80の径方向外側に配置されたステータ90は、図71及び図72に示すように、U相ステータ90u、V相ステータ90v、W相ステータ90wの3つから構成されている。各相のステータ90u,90v,90wは、径方向において対応するU相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wとそれぞれ対向するように軸線方向に順番に配置されることによって構成されている。
そして、U相ステータ90uとV相ステータ90v、及び、V相ステータ90vとW相ステータ90wとが、それぞれ軸方向に予め定めた間隔Gだけ離間した隙間CGを開けてモータハウジング110の内周面に固設されている。
各相のステータ90u,90v,90wは、同じ構成であって、図73及び図74に示すように、第1及び第2ステータコア91,92とコイル部93から構成されている。
(第1ステータコア91)
第1ステータコア91は、図74に示すように、円環板状の第1ステータコアベース94を有している。円環板状の第1ステータコアベース94は、その外周部を第2ステータコア92側に屈曲形成して第1ステータ側円筒壁94eが形成されている。第1ステータ側円筒壁94eの環状の先端面94fは、第2ステータコア92と対峙するようになっている。第1ステータ側円筒壁94eの軸線方向の長さは、各相のロータの軸線方向の長さの半分の長さである。
その第1ステータコアベース94の内周面94dには、等間隔に12個の第1ステータ側爪状磁極95が、径方向内側に突出されその先端が軸方向第2ステータコア92側に屈曲形成されている。
ここで、第1ステータ側爪状磁極95において、第1ステータコアベース94の内周面94dから径方向内側に突出した部分を第1ステータ側基部95gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第1ステータ側磁極部95hという。そして、第1ステータ側磁極部95hが屈曲形成される以前の第1ステータ側爪状磁極95は、軸方向から見たとき、先端に向かうほど先細となる台形形状に形成されている。
つまり、第1ステータ側基部95gを軸方向から見たときの形状は径方向内側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第1ステータ側磁極部95hを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。そして、第1ステータ側基部95gと第1ステータ側磁極部95hからなる第1ステータ側爪状磁極95の周方向端面95a,95bは、共に平坦面であって、先端に向かうほど互いに近づくことになる。
これによって、第1ステータ側基部95gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向内側に向かうほどその断面積が小さくなる。また、第1ステータ側磁極部95hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第1ステータ側磁極部95hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面95j及び内側面95kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ステータコアベース94の内周面94dと同心円をなす円弧面である。
各第1ステータ側爪状磁極95の第1ステータ側基部95gの周方向の角度、即ち、周方向端面95a,95bの基端部間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第1ステータ側爪状磁極95の第1ステータ側基部95gに基端間の隙間の角度より小さく設定されている。
(第2ステータコア92)
図74に示すように、第2ステータコア92は、第1ステータコアベース94と同一材質及び同形状の円環板状の第2ステータコアベース96を有している。円環板状の第2ステータコアベース96は、その外周部を第1ステータコア91側に屈曲形成して第2ステータ側円筒壁96eが形成されている。第2ステータ側円筒壁96eの環状の先端面96fは、第1ステータ側円筒壁94eの先端面94fと対峙するようになっている。第2ステータ側円筒壁96eの軸線方向の長さは、各相のロータの軸線方向の長さの半分の長さである。
その第2ステータコアベース96の内周面96dには、等間隔に12個の第2ステータ側爪状磁極97が、径方向内側に突出されその先端が軸方向第1ステータコア91側に屈曲形成されている。
ここで、第2ステータ側爪状磁極97において、第2ステータコアベース96の内周面96dから径方向内側に突出した部分を第2ステータ側基部97gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第2ステータ側磁極部97hという。そして、第2ステータ側磁極部97hが屈曲形成される以前の第2ステータ側爪状磁極97は、軸方向から見たとき、先端に向かうほど先細となる台形形状に形成されている。
つまり、第2ステータ側基部97gを軸方向から見たときの形状は径方向内側にいくほど幅狭になる台形形状になるとともに、第2ステータ側磁極部97hを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状になる。そして、第2ステータ側基部97gと第2ステータ側磁極部97hからなる第2ステータ側爪状磁極97の周方向端面97a,97bは、共に平坦面であって、先端に向かうほど互いに近づくことになる。
これによって、第2ステータ側基部97gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向内側に向かうほどその断面積が小さくなる。また、第2ステータ側磁極部97hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第2ステータ側磁極部97hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面97j及び内側面97kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第2ステータコアベース96の内周面96dと同心円をなす円弧面である。
各第2ステータ側爪状磁極97の第2ステータ側基部97gの周方向の角度、即ち、周方向端面97a,97bの基端部間が回転軸SFの中心軸線Oとなす角度は、隣り合う第2ステータ側爪状磁極97の第2ステータ側基部97gに基端間の隙間の角度より小さく設定されている。
つまり、このように形成されることによって、第2ステータコア92の形状は、第1ステータコア91と同一形状となる。そして、第1ステータ側円筒壁94eの先端面94fと第2ステータ側円筒壁96eの先端面96fとを当接させ、かつ、各第2ステータ側爪状磁極97が、軸方向から見てそれぞれ第1ステータ側爪状磁極95間に位置するように、第1及び第2ステータコア91,92を配置固定する。
このとき、図66に示すように、第1ステータ側爪状磁極95は、その第1ステータ側磁極部95hの先端面95cが第2ステータコアベース96の対向面96aと面一となる位置に設定している。同様に、第2ステータ側爪状磁極97は、その第2ステータ側磁極部97hの先端面97cが第1ステータコアベース94の対向面94aと面一となる位置に設定している。すなわち、本実施形態では、第1及び第2ステータコアベース94,96の軸方向の厚さ分、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2(図73参照)を短くした。
ちなみに、第1及び第2ステータコアベース94,96の対向面94a,96a、第1及び第2ステータ側円筒壁94e,96eの内周面、及び、第1及び第2ステータ側磁極部95h,97hの外側面95j,97jで区画される断面四角形状の環状空間が形成される。そして、図66に示すように、その断面四角形状の環状空間にコイル部93(環状巻線98)が配置され固定される。
(コイル部93)
コイル部93は、図74に示すように、環状巻線98を有し、その環状巻線98が前記環状空間に巻回されている。
このように構成された、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、第1及び第2ステータコア91,92間の環状巻線98にて第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97をその時々で互いに異なる磁極に励磁する24極の所謂ランデル型(クローポール型)構造のステータとなる。そして、ステータ90は、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wが、図71及び図72に示すように、軸方向に間隔Gの隙間CGを開けて配置されて形成される。
このとき、図72に示すように、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wからなるステータ90について、そのU相ステータ90u、V相ステータ90v及びW相ステータ90wを電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして配置している。
詳述すると、V相ステータ90vは、U相ステータ90uに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてモータハウジング110に固定されている。W相ステータ90wは、そのV相ステータ90vに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらしてモータハウジング110に固定されている。
つまり、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97と相対向する各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87間において、周方向のずれが対向面では互いに逆方向に傾斜するようにしている。
そして、U相ステータ90uの環状巻線98には3相交流電源のU相電源電圧が印加され、V相ステータ90vの環状巻線98には3相交流電源のV相電源電圧が印加され、W相ステータ90wの環状巻線98には3相交流電源のW相電源電圧が印加される。
図62に示すように、ブラシレスモータMは、U相モータ部MuとV相モータ部Mvとの間に形成された隙間CGには第1回路基板155が設けられているとともに、V相モータ部MvとW相モータ部Mwとの間に形成された隙間CGには第2回路基板156が設けられている。第1及び第2回路基板155,156は、円板状の絶縁基板であって、その外周面がモータハウジング110の内周面に固設され、中央部に回転軸SFが貫通する貫通穴155a,156aが形成されている。
U相モータ部MuとV相モータ部Mvとの間の隙間CGに設けられた第1回路基板155には、U相ステータ90uの環状巻線98にU相電源電圧を供給制御するための駆動制御回路が実装されている。また、V相モータ部MvとW相モータ部Mwとの間の隙間CGに設けられた第2回路基板156には、W相ステータ90wの環状巻線98にW相電源電圧を供給制御するための駆動制御回路が実装されている。
なお、V相ステータ90vの環状巻線98にV相電源電圧を供給制御するための駆動制御回路は、第1回路基板155又は第2回路基板156のいずれか一方に実装されている。ちなみに、V相ステータ90vの環状巻線98にV相電源電圧を供給制御するための駆動制御回路は、第1回路基板155と第2回路基板156とにそれぞれ分担して実装してもよい。
次に、上記のように構成したブラシレスモータMの作用について説明する。
今、ステータ90に3相交流電源電圧を印加すると、上記各実施形態と同様に、U相ステータ90uの環状巻線98にはU相電源電圧が、V相ステータ90vの環状巻線98にはV相電源電圧が、W相ステータ90wの環状巻線98にはW相電源電圧が、それぞれ印加される。これによって、ステータ90に回転磁界が発生し、ロータ80が回転駆動される。
このとき、ステータ90は、3相交流電源にあわせて、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと3段構造にし、これに対応してロータ80も、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wと同じ3段構造にした。これによって、各相のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石83の磁束を軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができ、出力アップを図ることができる。
また、V相ロータ80vの界磁磁石83は、U相及びW相のロータ80u,80wの界磁磁石83に対して磁化方向が反対に設定されている。これにより、V相の界磁磁石83の軸方向両側の極性が、軸方向に向き合うU相及びW相の界磁磁石83の極性と同極性となるため、V相の界磁磁石83の磁束がU相及びW相ロータ80u,80w側に漏れにくくなり、その結果、V相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87側に好適に流れるようになっている。
さらに、本実施形態では、U相モータ部MuとV相モータ部Mvとの間に隙間CGが設けられるとともに、V相モータ部MvとW相モータ部Mwとの間に隙間CGが設けられている。
従って、図75に示すように、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wが互いに離間することから、界磁磁石83に基づく主磁束φ1の一部が、隣接するロータに漏れ磁束φaとなって漏れることがより一層抑制される。同様に、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wが互いに離間することから、環状巻線98に基づく主磁束φ2の一部が、隣接するステータに漏れ磁束φbとなって漏れることが抑制される。
ここで、U相モータ部MuとV相モータ部Mvとの間、及び、V相モータ部MvとW相モータ部Mwとの間に設けた隙間CG(間隔G)の大小に対するトルクの増加率(%)及びリップル率(%)を検証すべく実験を行った。なお、実験に際して、U相モータ部MuとV相モータ部Mvの間の隙間CG、及び、V相モータ部MvとW相モータ部Mwの間の隙間CGが、共に同じ間隔Gでもって可変した点を除いて、全て同じ条件で行った。
図76は、実験により得られた隙間CGの間隔Gの大小に対するトルクの増加率(%)を示すグラフである。横軸は、隙間CGの間隔G(mm)を示し、縦軸は、トルク増加率(%)であって、隙間CGの間隔Gが0の時のブラシレスモータMのトルクを基準(100%)にしてパーセントで示している。
この図76から明らかなように、間隔Gを約0,25mm以上開けると、漏れ磁束φa,φbが減少してトルク増加率が上昇することがわかった。
図77は、実験により得られた隙間CGの間隔Gの大小に対するリップル率(%)を示すグラフである。横軸は、隙間CGの間隔G(mm)を示し、縦軸は、リップル率(%)を示している。
この図77から明らかなように、間隔Gを開けることによって、U相、V相、W相の磁気的アンバランスが解消されて、磁束のバランスを均等にすることができ、リップルが低下することがわかった。
ちなみに、トルク増加率が高いのは、間隔Gが0.5mmの時と、1mmの時である。この時、間隔Gが0.5mmと1mmとでは、間隔Gが1mmのほうが間隔Gが0.5mmよりもリップル率が低いことがわかる。
このことから、少なくとも、間隔Gを0.25mm以上開けることで、リップルを下げて高トルクを得るブラシレスモータMを実現できる。
また、U相モータ部MuとV相モータ部Mvとの間の隙間CGには第1回路基板155を設けるとともに、V相モータ部MvとW相モータ部Mwとの間の隙間CGには第2回路基板156を設けた。そして、第1及び第2回路基板155,156に、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの環状巻線98にそれぞれU相、V相、W相電源電圧をそれぞれ供給制御するための駆動制御回路を実装した。
つまり、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの環状巻線98の近接位置にそれぞれ駆動制御回路が配置されることから、環状巻線98の配線を短くでき取り回しも簡単となる。その結果、組み付け作業が容易となる。
さらに、第1及び第2回路基板155,156は、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wにて形成した隙間CGに配置したので、実装した駆動制御回路から放射される電磁波は、外部に放射され難くなり、他の電気機器への誤動作等の悪影響を低減させることができる。
しかも、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を短くした。
つまり、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wにおいて、各第1ロータ側爪状磁極85間は離間するとともに、各第2ロータ側爪状磁極87間は離間する。その結果、各相の第1ロータ側爪状磁極85間での磁束の短絡が抑制されるとともに、各相の第2ロータ側爪状磁極87間での磁束の短絡が抑制される。
同様に、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を短くした。
つまり、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wにおいて、各第1ステータ側爪状磁極95間は離間するとともに、各第2ステータ側爪状磁極97間は離間する。その結果、各相の第1ステータ側爪状磁極95間での磁束の短絡が抑制されるとともに、各相の第2ステータ側爪状磁極97間での磁束の短絡が抑制される。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を先細の台形形状に形成したことから、界磁磁石83からの磁束は第1及び第2磁極部85f,87fの先端部までより効率よく導かれる。
同様に、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97を先細の台形形状に形成したことから、環状巻線98からの磁束は第1及び第2ステータ側磁極部95h,97hの先端部までより効率よく導かれる。
以上のことから、各相の爪状磁極間が互いに開放され、磁束の短絡が抑制されるとともに、磁束が各磁極部85f,87f,95h,97hの先端部までより効率よく導かれることから、ブラシレスモータMの高トルク化が可能となる。
また、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wを電気角で時計回り方向に60度ずらしたのに対して、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wを電気角で時計回り方向に60度ずらした。すなわち、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと相対向するU相、V相、W相ロータ80u,80v,80w間において、周方向のずれが、対向面では互いに逆方向に傾斜するようにした。
これにより、各相の環状巻線98に流れる各相交流電流による第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の切り替わりに対して各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を好適に追従させることができ、その結果、ロータ80の好適な回転を実現できる。
さらにまた、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87に磁路断面積の大きい第1及び第2段差部85d,87dを設けた。従って、第1及び第2段差部85d,87dの磁気抵抗は小さくなり、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の第1及び第2磁極部85f,87fと第1及び第2ロータコアベース84,86との間での磁束の磁気飽和を解消でき、出力アップを図ることができる。
さらに、界磁磁石83の外周面83dが第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eにそれぞれ圧接されることから、磁気抵抗となるエアギャップを低減でき、さらに出力アップを図ることができる。
しかも、界磁磁石83の外周面83dを第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eに圧入させて、界磁磁石83は第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86に挟持し固定されている。従って、第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86の間に界磁磁石83を位置決め挟持固定する作業は、特別の固定部材及び機構を必要とすることなく、圧入固定するだけの簡単な作業で行える。
以上のことから、各相の爪状磁極間が互いに開放され、磁束の短絡が抑制されることから、トルクの発生に必要な磁気飽和のない磁気回路が形成されブラシレスモータMの高トルク化が可能となる。
なお、本実施形態も、上記各実施形態と同様に、磁極数の変更の要求があった場合、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、ランデル型構造をなすことから、界磁磁石83を同一構造としながら第1及び第2ロータ側爪状磁極142,152の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。同様に、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、クローポール型構造をなしていることから、コイル部93(環状巻線98)を同一構造としながら第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。
以上詳述したように、本実施形態は上記各実施形態の効果に加えて以下の特徴的な効果を有する。
(1)上記実施形態によれば、U相モータ部MuとV相モータ部Mvとの間に隙間CGを設けるとともに、V相モータ部MvとW相モータ部Mwとの間に隙間CGを設けた。
従って、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wが互いに離間することから、界磁磁石83に基づく主磁束φ1の一部が、隣接するロータに漏れ磁束φaとなって漏れることが抑制される。同様に、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wも互いに離間することから、環状巻線98に基づく主磁束φ2の一部が、隣接するステータに漏れ磁束φbとなって漏れることが抑制される。その結果、ブラシレスモータMのより高トルク化を図ることができる。
特に、隙間CGの間隔Gを、0.25mm以上開けることで、間隔Gが0mmの場合に較べてトルクの増加とリップルの低減を図ることができる。
(2)上記実施形態によれば、U相モータ部MuとV相モータ部Mvとの間の隙間CGには第1回路基板155を設けるとともに、V相モータ部MvとW相モータ部Mwとの間の隙間CGには第2回路基板156を設けた。そして、第1及び第2回路基板155,156に、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの環状巻線98にそれぞれU相、V相、W相電源電圧をそれぞれ供給制御するための駆動制御回路を実装した。
従って、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの環状巻線98の近接位置にそれぞれ駆動制御回路が配置されることから、環状巻線98の配線を短くでき取り回しも簡単となる。その結果、組み付け作業が容易となる。
(3)上記実施形態によれば、U相、V相、W相電源電圧をそれぞれ供給制御するための駆動制御回路を実装した第1及び第2回路基板155,156を、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wにて形成した隙間CGに配置した。
従って、実装した各駆動制御回路から放射される電磁波は、外部に放射され難くなり、他の電気機器への悪影響の心配を低減させることができる。
(第7実施形態)
次に、モータの第7実施形態を図78〜図88に従って説明する。
図78において、ブラシレスモータMは、モータハウジング110を有している。モータハウジング110は、同モータハウジング110を貫通する回転軸SFを、軸受115,117を介して回転可能に支持している。モータハウジング110内には、ロータ80及びステータ90が設けられている。ロータ80は、回転軸SFに固着され、回転軸SFとともに一体回転するようになっている。ステータ90は、ロータ80を囲むように、モータハウジング110の内周面に固設されている。
ブラシレスモータMは、図78〜図82に示す単一モータMaが3つ軸方向に配列されていて、図78において、上からU相モータ部Mu、V相モータ部Mv、W相モータ部Mwの順に積層されている。
(ロータ80)
ブラシレスモータMのロータ80は、図83及び図84に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wの3つから構成され、それぞれ回転軸SFに固着されている。そして、上からU相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wの順に積層配置されている。
各相のロータ80u,80v,80wは、上記各実施形態と同様に、第1及び第2ロータコア81,82と界磁磁石83から構成されている。しかしながら、本実施形態では、U相及びW相ロータ80u,80wが同じ形状で構成されているのに対して、V相ロータ80vだけが異なる形状で構成されている。
詳述すると、V相ロータ80vが有する界磁磁石83の磁力を、U相及びW相ロータ80u,80wが有する界磁磁石83の磁力より小さくするようにしている。具体的には、U相及びW相ロータ80u,80wが有する界磁磁石83の厚み(軸方向の長さT1(図80参照))に対して、V相ロータ80vが有する界磁磁石83の厚み(軸方向の長さT2(図82参照))を小さくさせている。そして、この界磁磁石83の厚みの相違に基づいて、U相及びW相ロータ80u,80wが有する第1及び第2ロータコア81,82の形状と、V相ロータ80vが有する第1及び第2ロータコア81,82の形状とが相違する。
まず、U相及びW相ロータ80u,80wの構成について説明する。
(U相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータコア81)
U相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータコア81は、第6実施形態と同じ形状をなしている。簡単に説明すると、図85に示すように、第1ロータコア81は、円板状に形成された第1ロータコアベース84を有し、その第1ロータコアベース84の中央位置には、回転軸SFを貫通し固着するための貫通穴81aが形成されている。
また、第1ロータコアベース84の外周面84cには、等間隔に12個の同一形状をした第1ロータ側爪状磁極85が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向第2ロータコア82側に延出形成されている。
第1ロータ側爪状磁極85は、第6実施形態の第1ロータコアベース84と同様に、第1ロータコアベース84の外周面84cから径方向外側に突出した部分に、第1段差部85dを形成している。そして、第1段差部85dの径方向内側に形成された第1段差面85eは、第6実施形態の第1ロータコアベース84と同様に、第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面である。
これによって、第6実施形態の第1ロータコアベース84と同様に、第1段差部85dの径方向外側端から軸方向第2ロータコア82側に第1磁極部85fが延出形成されることによって第1ロータ側爪状磁極85が形成される。
また、同様に、第1段差部85dを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状に形成されているとともに、第1磁極部85fを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状に形成されている。
さらに、第1ロータ側爪状磁極85の第1磁極部85fは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その第1磁極部85fの径方向の外側面85j及び内側面85kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面に形成されている。
(U相及びW相ロータ80u,80wの第2ロータコア82)
ロータ80u,80wの第2ロータコア82も、第6実施形態と同じ形状をなしている。簡単に説明すると、図85に示すように、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と同一材質及び同一形状であって、円板状に形成された第2ロータコアベース86の中央位置には、回転軸SFを貫通し固着するための貫通穴82aが形成されている。
また、第2ロータコアベース86の外周面には、等間隔に12個の同一形状をなした第2ロータ側爪状磁極87が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向第1ロータコア81側に延出形成されている。
第2ロータ側爪状磁極87は、第6実施形態の第2ロータコアベース86と同様に、第2ロータコアベース86の外周面86cから径方向外側に突出した部分に、第2段差部87dを形成している。そして、第2段差部87dの径方向内側に形成された第2段差面87eは、第6実施形態の第2ロータコアベース86と同様に、第2ロータコアベース86の外周面86cと同心円をなす円弧面である。
これによって、第6実施形態の第2ロータコアベース86と同様に、第2段差部87dの径方向外側端から軸方向第1ロータコア81側に第2磁極部87fが延出形成されることによって第2ロータ側爪状磁極87が形成される。
また、同様に、第2段差部87dを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状に形成されているとともに、第2磁極部87fを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状に形成されている。
さらに、第2ロータ側爪状磁極87の第2磁極部87fは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その第2磁極部87fの径方向の外側面87j及び内側面87kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面に形成されている。
(U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83)
U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83は、第6実施形態と同じ形状をなし、第1ロータコア81と第2ロータコア82との軸方向の間に配置され組み付けられる。簡単に説明すると、図85に示すように、界磁磁石83は、その中央位置に回転軸SFを貫通する貫通穴83aが形成されている。そして、界磁磁石83の一方の側面83bが、第1ロータコアベース84の対向面84aと、界磁磁石83の他方の側面83cが、第2ロータコアベース86の対向面86aとそれぞれ当接し、界磁磁石83は第1ロータコア81と第2ロータコア82との間に挟持固定される。
界磁磁石83の外径は、第1及び第2ロータコアベース84,86(外周面84c,86c)の外径と一致するように設定されている。
従って、第6実施形態と同様に、第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86とで界磁磁石83を挟持するとき、各第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eに、界磁磁石83の外周面83dが圧入して圧接する。
また、界磁磁石83の厚さ(軸線方向の長さT1)は、予め定めた厚さに設定されている。図80に示すように、界磁磁石83の厚さ(軸線方向の長さT1)にあわせて、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87は、その先端面85c,87cが、それぞれ第1及び第2ロータコアベース84,86の対向面84a,86aと面一となる長さにしている。すなわち、本実施形態も同様に、図84に示すように、第1及び第2ロータコアベース84,86の軸方向の厚さ分、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の長さD1を短くした。
そして、界磁磁石83は、図80に示すように、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア81側をN極、第2ロータコア82側をS極となるように磁化されている。従って、この界磁磁石83によって、第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85はN極(第1磁極)として機能し、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極87はS極(第2磁極)として機能する。
次に、V相ロータ80vの構成について説明する。
(V相ロータ80vの第1ロータコア81)
図86に示すように、V相ロータ80vの第1ロータコア81は、円板状に形成された第1ロータコアベース84を有し、その中央位置には、回転軸SFを貫通し固着するための貫通穴81aが形成されている。このV相ロータ80vの第1ロータコアベース84の外径は、U相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータコアベース84の外径と同じである。
また、第1ロータコアベース84の外周面84cには、等間隔に12個の同一形状をした第1ロータ側爪状磁極85が、径方向外側に突出されその先端が軸方向第2ロータコア82側に屈曲形成されている。ここで、第1ロータ側爪状磁極85において、第1ロータコアベース84の外周面84cから径方向外側に突出した部分を第1ロータ側基部85gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第1ロータ側磁極部85hという。
第1ロータ側基部85gは、軸方向から見たときの形状がU相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータコア81の第1段差部85dを軸方向から見たときの形状と同じ外形であって、径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状に形成されている。また、第1ロータ側磁極部85hは、径方向から見たときの形状がU相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータコア81の第1磁極部85fを径方向から見たときの形状と同じ外形であって、先端にいくほど幅狭になる台形形状に形成されている。
そして、第1ロータ側基部85gと第1ロータ側磁極部85hからなる第1ロータ側爪状磁極85の周方向端面85a,85bは、共に平坦面であって、径方向外側に向かうほど互いに近づくことになる。これによって、第1ロータ側基部85gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向外側に向かうほどその断面積が小さくなる。また、第1ロータ側磁極部85hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第1ロータ側磁極部85hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面85j及び内側面85kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面に形成されている。
また、第1ロータコアベース84は、その厚さ(軸線方向の長さ)が第1ロータ側基部85gの厚さ(軸線方向の長さ)より厚く形成されていて、対向面84aが第2ロータコア82側に張り出し形成されている。これは、後述する界磁磁石83の厚さ(軸方向の長さT2)を、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の厚さ(軸方向の長さT1)より小さく設定するためである。
(V相ロータ80vの第2ロータコア82)
図86に示すように、V相ロータ80vの第2ロータコア82は、同ロータ80vの第1ロータコア81と同一材質及び同一形状であって、円板状に形成された第2ロータコアベース86の中央位置には、回転軸SFを貫通し固着するための貫通穴82aが形成されている。従って、このV相ロータ80vの第2ロータコアベース86の外径は、U相及びW相ロータ80u,80wの第2ロータコアベース86の外径と同じである。
また、第2ロータコアベース86の外周面には、等間隔に12個の同一形状をなした第2ロータ側爪状磁極87が、径方向外側に突出されその先端が軸方向第1ロータコア81側に屈曲形成されている。ここで、第2ロータ側爪状磁極87において、第2ロータコアベース86の外周面86cから径方向外側に突出した部分を第2ロータ側基部87gといい、軸方向に屈曲された先端部分を第2ロータ側磁極部87hという。
第2ロータ側基部87gは、軸方向から見たときの形状がU相及びW相ロータ80u,80wの第2ロータコア82の第2段差部87dを軸方向から見たときの形状と同じ外形であって、径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状に形成されている。また、第2ロータ側磁極部87hは、径方向から見たときの形状がU相及びW相ロータ80u,80wの第2ロータコア82の第2磁極部87fを径方向から見たときの形状と同じ外形であって、先端にいくほど幅狭になる台形形状に形成されている。
そして、第2ロータ側基部87gと第2ロータ側磁極部87hからなる第2ロータ側爪状磁極87の周方向端面87a,87bは、共に平坦面であって、径方向外側に向かうほど互いに近づくことになる。これによって、第2ロータ側基部87gを径方向から見た軸線方向に切断した断面の断面積は、径方向外側に向かうほどその面積が小さくなる。また、第2ロータ側磁極部87hを軸方向から見た径方向に切断した断面の断面積は、先端側に向かうほどその断面積が小さくなる。
なお、軸方向に屈曲形成された第2ロータ側磁極部87hは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その径方向の外側面87j及び内側面87kは、軸線方向から見て、中心軸線を中心として第2ロータコアベース86の外周面86cと同心円をなす円弧面である。
また、第2ロータコアベース86は、その厚さ(軸線方向の長さ)が第2ロータ側基部87gの厚さ(軸線方向の長さ)より厚く形成されていて、対向面86aが第1ロータコア81側に張り出し形成されている。これは、後述する界磁磁石83の厚さ(軸方向の長さT2)を、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の厚さ(軸方向の長さT1)より小さく設定するためである。
そして、第2ロータコア82は、第1ロータコア81に対して、その第2ロータ側爪状磁極87が、軸方向から見てそれぞれ第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85間に位置するように配置固定されるようになっている。このとき、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と第2ロータコア82との軸方向の間に界磁磁石83が配置されるように、第1ロータコア81に対して組み付けられる。
(V相ロータ80vの界磁磁石83)
図86に示すように、V相ロータ80vの界磁磁石83は、フェライト磁石よりなる円板状の永久磁石である。界磁磁石83は、その中央位置に回転軸SFを貫通する貫通穴83aが形成されている。そして、界磁磁石83の一方の側面83bが、第1ロータコアベース84の対向面84aと、界磁磁石83の他方の側面83cが、第2ロータコアベース86の対向面86aとそれぞれ当接し、界磁磁石83は第1ロータコア81と第2ロータコア82との間に挟持固定される。
界磁磁石83の外径は、第1及び第2ロータコアベース84,86(外周面84c,86c)の外径と一致するように設定されている。
また、界磁磁石83の厚さは、予め定めた厚さに設定されている。本実施形態では、V相ロータ80vの軸方向の長さが、U相及びW相ロータ80u,80wの軸方向の長さと同じとなるように設定されている。従って、V相ロータ80vの界磁磁石83の軸方向の長さT2(厚さ)は、V相ロータ80vの第1及び第2ロータコアベース84,86の軸方向の長さがU相及びW相ロータ80u,80wの第1及び第2ロータコアベース84,86の軸方向の長さより長い分だけ短くなっている。
つまり、V相ロータ80vの界磁磁石83の軸方向の長さT2(厚さ)は、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の軸方向の長さT1(厚さ)より短く形成されている。従って、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁力は、その厚さがU相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の厚さより短く形成されている分だけ、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁力より小さくなっている。
また、本実施形態では、図82に示すように、V相ロータ80vの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87は、その先端面85c,87cが、それぞれ第1及び第2ロータコアベース84,86の対向面84a,86aと面一となる長さにしている。すなわち、この場合にも、図84に示すように、第1及び第2ロータコアベース84,86の軸方向の厚さ分、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の長さD1を短くしている。
このV相ロータ80vの界磁磁石83は、図82に示すように、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア81側をN極、第2ロータコア82側をS極となるように磁化されている。従って、この界磁磁石83によって、第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85はN極(第1磁極)として機能し、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極87はS極(第2磁極)として機能する。
このように構成された、V相ロータ80vは、界磁磁石83を用いた、所謂ランデル型構造のロータとなる。そして、V相ロータ80vは、N極となる第1ロータ側爪状磁極85と、S極となる第2ロータ側爪状磁極87とが周方向に交互に配置され磁極数が24極(極数対が12個)のロータとなる。
そして、ロータ80は、図83及び図84に示すように、上から順に、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wが、積層配置されて形成される。
ここで、界磁磁石83に対して第1ロータコア81が上側、第2ロータコア82が下側である構成(界磁磁石83の磁化方向が上向きの構成)を、ロータ80u,80v,80wの表としたとき、U相及びW相ロータ80u,80wは表向き、V相ロータ80vは裏向きで積層される。これにより、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向は、同方向(図84において上向き)とされ、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁化方向は、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向に対して反対向き(図84において下向き)とされる。
また、U相及びV相ロータ80u,80vの第2ロータコアベース86同士が軸方向に隣接しており、その隣接する第2ロータコアベース86を介してU相及びV相ロータ80u,80vの界磁磁石83のS極側が向かい合うように構成されている。また、V相及びW相ロータ80v,80wの第1ロータコアベース84同士が軸方向に隣接しており、その隣接する第1ロータコアベース84を介してV相及びW相ロータ80v,80wの界磁磁石83のN極側が向かい合うように構成されている。
また、U相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータ側爪状磁極85の軸方向への延出方向は、同方向(図83において下向き)であり、その方向に対してV相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極85の軸方向への延出方向は反対向き(図83において上向き)となっている。なお、U相の第1ロータ側爪状磁極85とV相の第1ロータ側爪状磁極85とは、軸方向に離間している。
同様に、U相及びW相ロータ80u,80wの第2ロータ側爪状磁極87の軸方向への延出方向は、同方向(図83において上向き)であり、その方向に対してV相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極87の軸方向への延出方向は反対向き(図83において下向き)となっている。なお、V相の第2ロータ側爪状磁極87とW相の第2ロータ側爪状磁極87とは、軸方向に離間している。
また、図83及び図84に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして配置されている。詳述すると、V相ロータ80vは、U相ロータ80uに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸SFに固着されている。W相ロータ80wは、そのV相ロータ80vに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸SFに固着されている。
(ステータ90)
本実施形態のステータ90は、先に説明した第4実施形態のステータ90と同じ構成である。つまり、本実施形態のステータ90の各相のステータ90u,90v,90wを構成する第1及び第2ステータコア91,92、並びに、コイル部93は、先の図41〜図44に示す第4実施形態のステータ90の記載を理解すれば容易に理解できるためここでは詳細な説明は省略する。
従って、本実施形態のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、第1及び第2ステータコア91,92間の環状巻線98(コイル部93)にて第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97をその時々で互いに異なる磁極に励磁する24極の所謂ランデル型(クローポール型)構造のステータとなる。そして、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、図41及び図42に示すように、軸方向に積層されてステータ90が形成される。
このとき、本実施形態のステータ90は、第4実施形態と同様に、図41及び図42に示すように、そのU相ステータ90u、V相ステータ90v及びW相ステータ90wを電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして積層している。
そして、U相ステータ90uの環状巻線98には3相交流電源のU相電源電圧が印加され、V相ステータ90vの環状巻線98には3相交流電源のV相電源電圧が印加され、W相ステータ90wの環状巻線98には3相交流電源のW相電源電圧が印加される。
次に、上記のように構成したブラシレスモータMの作用について説明する。
今、ステータ90に3相交流電源電圧を印加すると、上記各実施形態と同様に、U相ステータ90uの環状巻線98にはU相電源電圧が、V相ステータ90vの環状巻線98にはV相電源電圧が、W相ステータ90wの環状巻線98にはW相電源電圧が、それぞれ印加される。これによって、ステータ90に回転磁界が発生し、ロータ80が回転駆動される。
このとき、ステータ90は、3相交流電源にあわせて、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと3段構造にし、これに対応してロータ80も、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wと同じ3段構造にした。これによって、各相のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石83の磁束を軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができ、出力アップを図ることができる。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を短くした。
これにより、U相ロータ80uの第1ロータ側爪状磁極85と、V相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極85とが軸方向に互いに離間し、V相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極87とW相ロータ80wの第2ロータ側爪状磁極87とが軸方向に互いに離間する。その結果、U相−V相の第1ロータ側爪状磁極85間での磁束の短絡が抑制されるとともに、V相−W相の第2ロータ側爪状磁極87間での磁束の短絡が抑制される。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を短くした。
つまり、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wにおいて、各第1ステータ側爪状磁極95間は離間するとともに、各第2ステータ側爪状磁極97間は離間する。その結果、各相の第1ステータ側爪状磁極95間での磁束の短絡が抑制されるとともに、各相の第2ステータ側爪状磁極97間での磁束の短絡が抑制される。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を先細の台形形状に形成したことから、界磁磁石83からの磁束は第1及び第2磁極部85f,87fの先端部までより効率よく導かれる。
同様に、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97を先細の台形形状に形成したことから、環状巻線98からの磁束は第1及び第2ステータ側磁極部95h,97hの先端部までより効率よく導かれる。
以上のことから、所定の爪状磁極間が互いに開放され、磁束の短絡が抑制されるとともに、磁束が各磁極部85f,87f,95h,97hの先端部までより効率よく導かれることから、ブラシレスモータMの高トルク化が可能となる。
また、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wを電気角で時計回り方向に60度ずつずらしたのに対して、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wを電気角で反時計回り方向に60度ずつずらした。すなわち、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと相対向するU相、V相、W相ロータ80u,80v,80w間において、周方向のずれが、対向面では互いに逆方向に傾斜するようにした。
これにより、各相の環状巻線98に流れる各相交流電流による第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の切り替わりに対して各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を好適に追従させることができ、その結果、ロータ80の好適な回転を実現できる。
さらにまた、U相及びW相ロータ80u,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87に磁路断面積の大きい第1及び第2段差部85d,87dを設けた。従って、第1及び第2段差部85d,87dの磁気抵抗は小さくなり、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の第1及び第2磁極部85f,87fと第1及び第2ロータコアベース84,86との間での磁束の磁気飽和を解消でき、出力アップを図ることができる。
さらに、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の外周面83dが第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eにそれぞれ圧接されるため、磁気抵抗となるエアギャップを低減でき、さらに出力アップを図ることができる。
しかも、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の外周面83dを第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eに圧入させて、界磁磁石83は第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86に挟持し固定されている。従って、U相及びW相ロータ80u,80wの第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86の間に界磁磁石83を位置決め挟持固定する作業は、特別の固定部材及び機構を必要とすることなく、圧入固定するだけの簡単な作業で行える。
また、ブラシレスモータMは、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁力をU相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁力より小さくした。即ち、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の軸方向の長さT1に対して、V相ロータ80vの界磁磁石83の軸方向の長さT2を短くした。これによって、トルクを低下させることなくトルクリップルを低減させるブラシレスモータMを実現できる。
ここで、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の軸方向の長さT1に対してV相ロータ80vの界磁磁石83の軸方向の長さT2を変更することによるトルクの増加量(%)及びリップル率(%)を検証すべく実験を行った。
なお、実験に際して、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の軸方向の長さT1を同じとしV相ロータ80vの軸方向の長さT2を可変した点を除いて、全て同じ条件で行った。
図87は、実験により得られたU相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の軸方向の長さT1を同じにし、V相ロータ80vの軸方向の長さT2を長さT1より小さい方向に可変させた場合のトルクの増加量(%)を示すグラフである。
横軸は、軸方向の長さT1に対する軸方向の長さT2の肉厚比R(=T2/T1)を示し、縦軸は、トルク増加量(%)であって、軸方向の長さT1に対する軸方向の長さT2が等しい時(肉厚比R=1.0)のブラシレスモータMのトルクを基準(100%)にしてパーセントで示している。
この図87から明らかなように、肉厚比Rが1未満から0.75まではトルク増加量(%)がほぼ変わらず、肉厚比Rが0,75から小さくなる従ってトルク増加量(%)がマイナスに増加することがわかった。
図88は、実験により得られたU相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の軸方向の長さT1を同じにし、V相ロータ80vの軸方向の長さT2を長さT1より小さい方向に可変させた場合のリップル率(%)を示すグラフである。
横軸は、軸方向の長さT1に対する軸方向の長さT2の肉厚比R(=T2/T1)を示し、縦軸は、リップル率(%)を示している。
この図88から明らかなように、肉厚比Rが1未満であって肉厚比Rが0.45以上の間では、肉厚比Rが1の時よりトルクリップルが低下することがわかった。
ちなみに、肉厚比R(=T2/T1)が0.75のとき、トルク増加量をマイナスにしないでトルクリップル率を低下させることがわかる。
これは、U相用及びW相用の界磁磁石83の磁束の一部が、真ん中に挟まれたV相用の界磁磁石83に集まり、V相用ロータ80vの第1及び第2ロータコア81,82に流れる。このとき、V相用の界磁磁石83の軸方向の長さT2が短い、すなわち、V相用の界磁磁石83の磁力がU相用及びW相用の界磁磁石83の磁力より小さい。その結果、その小さい分の磁束を、U相用及びW相用の界磁磁石83の磁束の一部が補填することから、各相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータコア81,82の磁束の流れ方が等しくなりアンバランスが解消されると考えられる。
このことから、少なくとも、肉厚比R(=T2/T1)を1未満、0.75以上に設定すると、トルク増加量をマイナスにしないでトルクリップルを下げることのできるブラシレスモータMを実現できる。
なお、本実施形態も、上記各実施形態と同様に、磁極数の変更の要求があった場合、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、ランデル型構造をなすことから、界磁磁石83を同一構造としながら第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。同様に、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、クローポール型構造をなしていることから、コイル部93(環状巻線98)を同一構造としながら第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。
以上詳述したように、本実施形態は上記第1〜第5実施形態の効果に加えて以下の特徴的な効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ブラシレスモータMは、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の軸方向の長さT1を、V相ロータ80vの界磁磁石83の軸方向の長さT2より短くしたことから、トルクを低下させることなくトルクリップルを低減させるブラシレスモータMを実現できる。
特に、軸方向の長さT1に対する軸方向の長さT2の肉厚比R(=T2/T1)を1未満、0.75以上に設定することで、トルク増加量をマイナスにしないでトルクリップルを下げ、高品質の出力を得ることができる。
(2)本実施形態によれば、V相ロータ80vの界磁磁石83の軸方向の長さT2を、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の軸方向の長さT1に対して変更するだけで、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁力を簡単に調整でき、低トルクリップルのブラシレスモータMを実現できる。
なお、本実施形態では、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁力をU相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁力より小さくするために、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の軸方向の長さT1に対して、V相ロータ80vの界磁磁石83の軸方向の長さT2を短くした。
これを、80u,80wの界磁磁石83と、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁性材料を変更(例えば、ネオジム磁石とフェライト磁石)したり、着磁率を変更して実現してもよい。この場合、U相、V相、W相の第1及び第2ロータコア81,82の形状を同一にして実施することができる。
また、本実施形態では、V相ロータ80vの界磁磁石83の軸方向の長さT2を短くした。これを、V相ロータ80vの界磁磁石83に代えて、U相ロータ80uの界磁磁石83又はW相ロータ80wのいずれか一方の相を他の2つの相の界磁磁石83の軸方向の長さより短くして実施してもよい。
さらに、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの内の2つの相の界磁磁石83を、他の1つ相の界磁磁石83よりも、その軸線方向の長さを短くして実施してもよい。
さらにまた、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの各界磁磁石83の軸線方向の長さをそれぞれ異なるように実施してもよい。
また、本実施形態では、単一モータMaを3層構造としたブラシレスモータMであったが、単一モータMaを2層構造としたブラシレスモータや、または、単一モータMaを4層以上の構造のブラシレスモータに応用してもよい。
(第8実施形態)
次に、モータの第8実施形態を図89〜図95に従って説明する。
図89において、ブラシレスモータMは、モータハウジング110を有している。モータハウジング110は、同モータハウジング110を貫通する回転軸SFを、軸受115,117を介して回転可能に支持している。モータハウジング110内には、ロータ80及びステータ90が設けられている。ロータ80は、回転軸SFに固着され、回転軸SFとともに一体回転するようになっている。ステータ90は、ロータ80を囲むように、モータハウジング110の内周面に固設されている。
ブラシレスモータMは、図89〜図92に示す単一モータMaが3つ軸方向に配列されていて、図89において、上からU相モータ部Mu、V相モータ部Mv、W相モータ部Mwの順に積層されている。
(ロータ80)
ブラシレスモータMのロータ80は、第7実施形態で示した図83及び図84に示すように、U相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wの3つから構成され、それぞれ回転軸SFに固着されている。そして、上からU相ロータ80u、V相ロータ80v、W相ロータ80wの順に積層配置されている。各相のロータ80u,80v,80wは、図93に示すように、第1及び第2ロータコア81,82と界磁磁石83から構成されている。
(第1ロータコア81)
図93に示すように、第1ロータコア81は、円板状に形成された第1ロータコアベース84を有し、その第1ロータコアベース84の中央位置には、回転軸SFを貫通し固着するための貫通穴81aが形成されている。
また、第1ロータコアベース84の外周面84cには、等間隔に12個の同一形状をした第1ロータ側爪状磁極85が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向第2ロータコア82側に延出形成されている。
第1ロータ側爪状磁極85は、第6実施形態の第1ロータコア81と同様に、第1ロータコアベース84の外周面84cから径方向外側に突出した部分に、第1段差部85dを形成している。そして、第1段差部85dの径方向内側に形成された第1段差面85eは、第6実施形態の第1ロータコア81と同様に、第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面である。
これによって、第6実施形態の第1ロータコア81と同様に、第1段差部85dの径方向外側端から軸方向第2ロータコア82側に第1磁極部85fが延出形成されることによって第1ロータ側爪状磁極85が形成される。
また、同様に、第1段差部85dを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状に形成されているとともに、第1磁極部85fを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状に形成されている。
さらに、第1ロータ側爪状磁極85の第1磁極部85fは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その第1磁極部85fの径方向の外側面85j及び内側面85kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面に形成されている。
また、第1ロータコアベース84は、対向面84aの中央部には円形の第1コア側凹部84dが凹設されている。この対向面84aに形成した第1コア側凹部84dの内径及び深さは、後述する界磁磁石83の形状にあわせて予め設定されている。
(第2ロータコア82)
第2ロータコア82も、第6実施形態と同じ形状をなしている。簡単に説明すると、図93に示すように、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と同一材質及び同一形状であって、円板状に形成された第2ロータコアベース86の中央位置には、回転軸SFを貫通し固着するための貫通穴82aが形成されている。
また、第2ロータコアベース86の外周面には、等間隔に12個の同一形状をなした第2ロータ側爪状磁極87が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向第1ロータコア81側に延出形成されている。
第2ロータ側爪状磁極87は、第6実施形態の第2ロータコア82と同様に、第2ロータコアベース86の外周面86cから径方向外側に突出した部分に、第2段差部87dを形成している。そして、第2段差部87dの径方向内側に形成された第2段差面87eは、第6実施形態の第2ロータコア82と同様に、第2ロータコアベース86の外周面86cと同心円をなす円弧面である。
これによって、第6実施形態の第2ロータコア82と同様に、第2段差部87dの径方向外側端から軸方向第1ロータコア81側に第2磁極部87fが延出形成されることによって、第2ロータ側爪状磁極87が形成される。
また、同様に、第2段差部87dを軸方向から見たときの形状は径方向外側にいくほど幅狭になる台形形状に形成されているとともに、第2磁極部87fを径方向から見たときの形状は先端にいくほど幅狭になる台形形状に形成されている。
さらに、第2ロータ側爪状磁極87の第2磁極部87fは軸直交方向断面が扇形状に形成されていて、その第2磁極部87fの径方向の外側面87j及び内側面87kは、軸線方向から見て、中心軸線Oを中心として第1ロータコアベース84の外周面84cと同心円をなす円弧面に形成されている。
また、第2ロータコアベース86の対向面86aの中央部には、円形の第2コア側凹部86dが凹設されている。この対向面86aに形成した第2コア側凹部86dの内径及び深さは、後述する界磁磁石83の形状にあわせて予め設定されている。
そして、第2ロータコア82は、第1ロータコア81に対して、その第2ロータ側爪状磁極87が、軸方向から見てそれぞれ第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85間に位置するように配置固定されるようになっている。このとき、第2ロータコア82は、第1ロータコア81と第2ロータコア82との軸方向の間に界磁磁石83が配置されるように、第1ロータコア81に対して組み付けられる。
(界磁磁石83)
界磁磁石83は、フェライト磁石よりなる円板状の永久磁石である。図93に示すように、界磁磁石83は、その中央位置に回転軸SFを貫通する貫通穴83aが形成されている。
界磁磁石83の外径R0(図92参照)は、第1及び第2ロータコアベース84,86(外周面84c,86c)の外径と一致するように設定されている。
界磁磁石83の一方の側面83bには、第1ロータコアベース84の対向面84aに形成した第1コア側凹部84dと嵌着するように形成された外径R1(図92参照)の円柱状の第1コア側柱状肉厚部N1が第1ロータコア81側に突出形成されている。また、界磁磁石83の他方の側面83cには、第2ロータコアベース86の対向面86aに形成した第2コア側凹部86dと嵌着するように形成された第1コア側柱状肉厚部N1と同じ外径R1の円柱状の第2コア側柱状肉厚部N2が第2ロータコア82側に突出形成されている。
従って、本実施形態の界磁磁石83は、円板状であって、第1及び第2ロータコア81,82側に小径の第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2が突出形成された永久磁石である。
ここで、界磁磁石83の一方の側面83bであって、第1コア側柱状肉厚部N1に対して、外側に位置する環状の肉薄部分を環状肉薄部N1aという。また、界磁磁石83の他方の側面83cであって、第2コア側柱状肉厚部N2に対して、外側に位置する環状の肉薄部分を環状肉薄部N2aという。
そして、界磁磁石83が第1ロータコア81と第2ロータコア82との間に挟持固定されるとき、第1コア側柱状肉厚部N1が第1コア側凹部84dと嵌着し、同第1コア側柱状肉厚部N1の表面が同第1コア側凹部84dの底部に当接する。同様に、第2コア側柱状肉厚部N2が第2コア側凹部86dと嵌着し、同第2コア側柱状肉厚部N2の表面が同第2コア側凹部86dの底部に当接する。
このとき、界磁磁石83の側面83bの環状肉薄部N1aは、第1ロータコアベース84の第1コア側凹部84dの外側の対向面84aと当接する。同様に、界磁磁石83の側面83cの環状肉薄部N2aは、第2ロータコアベース86の第2コア側凹部86dの外側の対向面86aと当接する。
また、第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86とで界磁磁石83を挟持するとき、第6実施形態と同様に、各第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eに、界磁磁石83の外周面83dが圧入して圧接する。そして、図92に示すように、本実施形態でも、第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86とで界磁磁石83を挟持した時、第1及び第2ロータコアベース84,86の軸方向の厚さ分、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の長さD1を短くしている。
図92に示すように、界磁磁石83は、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア81側をN極、第2ロータコア82側をS極となるように磁化されている。従って、この界磁磁石83によって、第1ロータコア81の第1ロータ側爪状磁極85はN極(第1磁極)として機能し、第2ロータコア82の第2ロータ側爪状磁極87はS極(第2磁極)として機能する。
このように構成された、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、界磁磁石83を用いた、所謂ランデル型構造のロータとなる。そして、各ロータ80u,80v,80wは、N極となる第1ロータ側爪状磁極85と、S極となる第2ロータ側爪状磁極87とが周方向に交互に配置され磁極数が24極(極数対が12個)のロータとなる。
そして、図83及び図84に示す第7実施形態と同様に、ロータ80は、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wが、軸方向に順番に配列されて形成される。U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの積層態様は、上記第7実施形態と同様である。
また、図83及び図84に示す第7実施形態と同様に、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wからなるロータ80について、U相ロータ80u、V相ロータ80v及びW相ロータ80wは、電気角で60度(機械角で5度)位相をずらして配置されている。
詳述すると、V相ロータ80vは、U相ロータ80uに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸SFに固着されている。W相ロータ80wは、そのV相ロータ80vに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして回転軸SFに固着されている。
(ステータ90)
本実施形態のステータ90は、先に説明した第4実施形態のステータ90と同じ構成である。つまり、本実施形態のステータ90の各相のステータ90u,90v,90wを構成する第1及び第2ステータコア91,92、並びに、コイル部93は、先の図41〜図44に示す第4実施形態のステータ90の記載を理解すれば容易に理解できるためここでは詳細な説明を省略する。
従って、本実施形態のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、第1及び第2ステータコア91,92間の環状巻線98(コイル部93)にて第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97をその時々で互いに異なる磁極に励磁する24極の所謂ランデル型(クローポール型)構造のステータとなる。そして、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、第4実施形態の図41及び図42に示すように、軸方向に積層されてステータ90が形成される。
このとき、本実施形態のステータ90は、第4実施形態と同様に、図41及び図42に示すように、そのU相ステータ90u、V相ステータ90v及びW相ステータ90wを電気角で60度位相をずらして積層している。
そして、U相ステータ90uの環状巻線98には3相交流電源のU相電源電圧が印加され、V相ステータ90vの環状巻線98には3相交流電源のV相電源電圧が印加され、W相ステータ90wの環状巻線98には3相交流電源のW相電源電圧が印加される。
次に、上記のように構成したブラシレスモータMの作用について説明する。
今、ステータ90に3相交流電源電圧を印加すると、上記各実施形態と同様に、U相ステータ90uの環状巻線98にはU相電源電圧が、V相ステータ90vの環状巻線98にはV相電源電圧が、W相ステータ90wの環状巻線98にはW相電源電圧が、それぞれ印加される。これによって、ステータ90に回転磁界が発生し、ロータ80が回転駆動される。
このとき、ステータ90は、3相交流電源にあわせて、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと3段構造にし、これに対応してロータ80も、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wと同じ3段構造にした。これによって、各相のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石83の磁束を軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができ、出力アップを図ることができる。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の軸方向の長さD1を短くした。
これにより、U相ロータ80uの第1ロータ側爪状磁極85と、V相ロータ80vの第1ロータ側爪状磁極85とが軸方向に互いに離間し、V相ロータ80vの第2ロータ側爪状磁極87とW相ロータ80wの第2ロータ側爪状磁極87とが軸方向に互いに離間する。その結果、U相−V相の第1ロータ側爪状磁極85間での磁束の短絡が抑制されるとともに、V相−W相の第2ロータ側爪状磁極87間での磁束の短絡が抑制される。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の軸方向の長さD2を短くした。
つまり、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wにおいて、各第1ステータ側爪状磁極95間は離間するとともに、各第2ステータ側爪状磁極97間は離間する。その結果、各相の第1ステータ側爪状磁極95間での磁束の短絡が抑制されるとともに、各相の第2ステータ側爪状磁極97間での磁束の短絡が抑制される。
また、3段構造にしたU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を先細の台形形状に形成したことから、界磁磁石83からの磁束は第1及び第2磁極部85f,87fの先端部までより効率よく導かれる。
同様に、3段構造にしたU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wの第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97を先細の台形形状に形成したことから、環状巻線98からの磁束は第1及び第2ステータ側磁極部95h,97hの先端部までより効率よく導かれる。
以上のことから、所定の爪状磁極間が互いに開放され、磁束の短絡が抑制されるとともに、磁束が各磁極部85f,87f,95h,97hの先端部までより効率よく導かれることから、ブラシレスモータMの高トルク化が可能となる。
また、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wを電気角で時計回り方向に60度ずつずらしたのに対して、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wを電気角で反時計回り方向に60度ずらした。すなわち、U相、V相、W相ステータ90u,90v,90wと相対向するU相、V相、W相ロータ80u,80v,80w間において、周方向のずれが、対向面では互いに逆方向に傾斜するようにした。
これにより、各相の環状巻線98に流れる各相交流電流による第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の切り替わりに対して各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を好適に追従させることができ、その結果、ロータ80の好適な回転を実現できる。
さらにまた、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87に磁路断面積の大きい第1及び第2段差部85d,87dを設けた。従って、第1及び第2段差部85d,87dの磁気抵抗は小さくなり、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の第1及び第2磁極部85f,87fと第1及び第2ロータコアベース84,86との間での磁束の磁気飽和を解消でき、出力アップを図ることができる。
さらに、界磁磁石83の外周面83dが第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eにそれぞれ圧接されることから、磁気抵抗となるエアギャップを低減でき、さらに出力アップを図ることができる。
しかも、界磁磁石83の外周面83dを第1及び第2段差部85d,87dの第1及び第2段差面85e,87eに圧入させて、界磁磁石83が第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86に挟持し固定されている。さらに、界磁磁石83の第1及び第2コア側柱状肉厚部N1、N2が、第1及び第2ロータコアベース84,86の第1及び第2コア側凹部84d,86dに嵌着されている。
従って、第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86の間に界磁磁石83を位置決め挟持固定する作業は、特別の固定部材及び機構を必要とすることなく、圧入固定するだけの簡単な作業で行える。
また、ブラシレスモータMは、U相、V相及びW相ロータ80u,80v,80wの界磁磁石83の中央部に第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2を形成した。これによって、トルクアップを向上させるブラシレスモータMを実現できる。
そこで、これを検証すべく2つの実験を行った。
なお、これら実験に際して、界磁磁石83の環状肉薄部N1a,N2a間の長さ(厚さ)を基本長Ta(図92参照)という。また、環状肉薄部N1aの表面から第1コア側柱状肉厚部N1の表面までの軸方向の長さ(=Tb/2;図92参照)と、環状肉薄部N2aの表面から第2コア側柱状肉厚部N2の表面までの軸方向の長さ(=Tb/2;図92参照)を加算した長さを張出長Tbという。
また、基本長Taに対する張出長Tbの張出比(=Tb/Ta)をパーセントで表した数値を張出率Pという。さらに、界磁磁石83の外径R0に対する第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2の外径R1の肉厚占有比(=R1/R0)をパーセントで表した数値を肉厚占有率Qという。
(実験1)
実験1は、外径R0に対する外径R1の肉厚占有比を変更することによるトルクの増加量(%)の検証を行った。
ここで、界磁磁石83の外径R0を一定(R0=2×31.6mm=63.2mm)にするとともに、張出率Pを一定(83%;Ta=3mm、Tb=2.51mm)にする。そして、第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2の外径R1を可変した点を除いて、全て同じ条件で行った。
図94は、実験により得られた第1コア側柱状肉厚部N1(第2コア側柱状肉厚部N2)の外径R1を可変させた場合のトルクの増加量(%)を示すグラフである。
横軸は、肉厚占有率Qを示す。縦軸は、トルク増加量(%)であって、外径R1が0、即ち、第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2が形成されていない時(肉厚占有率Q=0%)のブラシレスモータMのトルクを基準(100%)にしてパーセントにて示している。
この図94から明らかなように、肉厚占有率Qが0%から70%までは肉厚占有率Qの増加に相対してトルク増加量(%)が上昇する(肉厚占有率Qが約70%でトルク増加量が約103%と最大となる)。そして、肉厚占有率Qを70%からさらに増加させるとトルク増加量(%)が急激に低下し、肉厚占有率Qが75%以上になると、トルク増加量(%)が100%以下に急激に低下することがわかる。
これは、第1及び第2ロータコアベース84,86の形成した第1及び第2コア側凹部84d,86dに第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2をそれぞれ嵌着させた。これによって、磁気飽和するのに余裕がある第1及び第2ロータコア81,82の径方向内側が、第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2に基づく磁気回路として有効に利用され、出力アップにつながっていると考えられる。
従って、肉厚占有率Qを50%から70%の間において実施すれば、高トルク化を実現できる。
(実験2)
実験2は、基本長Taに対する張出長Tbの張出比を変更することによるトルクの増加量(%)の検証を行った。
ここで、基本長Taを一定(Ta=3mm)にするとともに、肉厚占有率Qを一定(50.6%;R0=63.2mm、R1=16.mm)にする。そして、張出長Tbを可変した点を除いて、全て同じ条件で行った。
図95は、実験により得られた張出長Tbを可変させた場合のトルクの増加量(%)を示すグラフである。
横軸は、張出率Pを示す。縦軸は、トルク増加量(%)であって、第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2の張出長Tbが0、即ち、第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2が形成されていない時(張出率P=0%)のブラシレスモータMのトルクを基準(100%)にしてパーセントにて示している。
この図95から明らかなように、張出率Pが0%から約70%までは張出率Pの増加に相対してトルク増加量(%)が上昇する(張出率Pが約70%でトルク増加量が約102.5%と最大となる)。そして、張出率Pが約70%からさらに増加させるとトルク増加量(%)が低下し、張出率Pが約133%以上になると、トルク増加量(%)が100%以下に急激に低下することがわかる。
これは、実験1と同様に、磁気飽和するのに余裕がある第1及び第2ロータコア81,82の径方向内側が、第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2に基づく磁気回路として有効に利用され、出力アップにつながっていると考えられる。
従って、張出率Pを65%から133%の間において実施すれば、高トルク化を実現できる。
なお、本実施形態も、上記各実施形態と同様に、磁極数の変更の要求があった場合、ロータ80のU相、V相、W相ロータ80u,80v,80wは、ランデル型構造をなすことから、界磁磁石83を同一構造としながら第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。同様に、ステータ90のU相、V相、W相ステータ90u,90v,90wは、クローポール型構造をなしていることから、コイル部93(環状巻線98)を同一構造としながら第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の数を変更するだけで極数の変更が容易となる。
以上詳述したように、本実施形態は上記第1〜第5実施形態の効果に加えて以下の特徴的な効果を有する。
(1)本実施形態によれば、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの各界磁磁石83の両側面83b,83cに小径(外径R1)の第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2を形成したので、ブラシレスモータMのより高トルク化を図ることができる。
特に、肉厚占有率Qを50%から70%の間に設定することで、高トルクのブラシレスモータMを実現できる。同様に、張出率Pを65%から133%の間に設定することで、高トルクのブラシレスモータMを実現できる。
しかも、各界磁磁石83において、肉厚占有率Q又は張出率Pの少なくとも一方を調整するだけで、すなわち、界磁磁石83の形状を変更するだけで、希望する高いトルクに調整でき、高品質の出力を得ることができる。
(2)本実施形態によれば、界磁磁石83の第1及び第2コア側柱状肉厚部N1、N2が、第1及び第2ロータコアベース84,86の第1及び第2コア側凹部84d,86dに嵌着させた。従って、第1ロータコアベース84と第2ロータコアベース86の間に界磁磁石83を位置決め挟持固定する作業は、特別の固定部材及び機構を必要とすることなく、圧入固定するだけの簡単な作業で行える。
(3)本実施形態によれば、界磁磁石83を1つの永久磁石で構成したので、その界磁磁石83の製造工程が容易となり安価なブラシレスモータMを実現できる。
なお、上記の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記第1〜第8実施形態では、特に言及していないが、ステータ及びロータは、例えば磁性金属板材の積層や、磁性粉体の成形にて構成してもよい。
○上記各実施形態では、各相のステータ90u,90v,90wを時計回り方向に等角度ずつ(電気角で60度ずつ)ずらして配置し、各相のロータ80u,80v,80wを反時計回り方向に等角度ずつ(電気角で60度ずつ)ずらして配置したが、これに特に限定されるものではない。例えば、U相ステータ90uに対するV相ステータ90vのずれ角度と、そのV相ステータ90vに対するW相ステータ90wのずれ角度とを異ならせてもよい。同様に、U相ロータ80uに対するV相ロータ80vのずれ角度と、そのV相ロータ80vに対するW相ロータ80wのずれ角度とを異ならせてもよい。また、例えば、各相のステータ90u,90v,90wを電気角で反時計回り方向に順次ずらして配置し、各相のロータ80u,80v,80wを電気角で時計回り方向に順次ずらして配置してもよい。
○上記第1〜第4実施形態及び第6〜第8実施形態では、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97と相対向する各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87間において、周方向のずれが対向面では互いに逆方向に傾斜するようにした。しかしながら、これ以外の参考例としては、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97と相対向する各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87間において、周方向のずれが対向面では互いに同方向に傾斜するように構成してもよい。また、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97と、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を共にずらさないで実施してもよい。また、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97をずらし、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87をずらさないで実施してもよい。さらに、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97をずらさないで、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87をずらして実施してもよい。
勿論、第5実施形態で示したアウターロータ型のブラシレスモータMも同様に、変更して実施してもよいことは勿論である。
○上記各実施形態のロータ80では、2段目のV相ロータ80vを1段目及び3段目のU相及びW相ロータ80u,80wに対して反対向き(裏向き)として、V相ロータ80vの界磁磁石83の磁化方向が、U相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の磁化方向に対して反対向きとなるように構成した。しかしながら、これに特に限定されるものではなく、各相のロータ80u,80v,80wを全て同じ向きに配置し、各相の界磁磁石83の磁化方向が同じ向きとなるように構成してもよい。
○上記第2〜第4実施形態及び第6〜第8実施形態では、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97を第1及び第2ステータコアベース94,96の厚さ分、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87を第1及び第2ロータコアベース84,86の厚さ分、それぞれ短くしたがこれに限定されるものではない。要は、各相の爪状磁極間において磁束の短絡を抑制できる短さであればよい。
勿論、第5実施形態で示したアウターロータ型のブラシレスモータMも同様に、変更して実施してもよいことは勿論である。
○上記第2〜第4実施形態及び第6〜第8実施形態では、各相の第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97と、各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87とを、共に軸方向に短くして実施したが、いずれか一方のみを短くして実施してもよい。勿論、第5実施形態で示したアウターロータ型のブラシレスモータMも同様に、変更して実施してもよいことは勿論である。
○上記各実施形態では、界磁磁石83をフェライト磁石としたが、これ以外に例えば、ネオジム磁石としてもよい。
○上記第4及び第6〜第8実施形態では、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87、並びに、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97を、台形形状にした。これを、例えば、三角形、半円形、半楕円形、その他多角形等、要は、先端部にいくほど細くなる形状であればよい。
○上記第4及び第6〜第8実施形態では、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87の第1及び第2ロータ側基部85g,87g、並びに、第1及び第2ステータ側爪状磁極95,97の第1及び第2ステータ側基部95g,97gを、台形形状にした。これを、先細の台形形状でなく長方形にして実施してもよい。そして、第1及び第2ロータ側磁極部85h,87h、並びに、第1及び第2ステータ側磁極部95h,97hのみ台形形状にして実施してもよい。勿論、第1及び第2ロータ側磁極部85h,87h、並びに、第1及び第2ステータ側磁極部95h,97hのみを、例えば、三角形、半円形等、先端部にいくほど細くなる形状にして実施してもよいことは勿論である。
勿論、第5実施形態で示したアウターロータ型のブラシレスモータMも同様に、変更して実施してもよいことは勿論である。
○上記第3実施形態及び第6実施形態において、第1及び第2ロータ側爪状磁極85,87にそれぞれ第1及び第2段差部85d,87dを設けた。この第1及び第2段差部85d,87dを第4及び第5実施形態に具体化して実施してもよいことは勿論である。
○上記第1〜第5実施形態では、単一モータMaを3層構造としたブラシレスモータMであったが、単一モータMaのみのブラシレスモータや、単一モータMaを2層構造としたブラシレスモータや、または、単一モータMaを4層以上の構造のブラシレスモータに応用してもよい。
○上記第4実施形態では、インナー型のロータ80のロータコア素材101及びアウター型のステータ90のステータコア素材102の製造方法を説明した。これを、アウター型のロータのロータコア素材及びインナー型のステータのステータコア素材102の製造方法に応用して実施してもよいことは勿論である。
○第1〜第5実施形態、並びに、第7及び第8実施形態において、第6実施形態のようにU相モータ部MuとV相モータ部Mvとの間に隙間CGを設けるとともに、V相モータ部MvとW相モータ部Mwとの間に隙間CGを設けて実施してもよい。
○第6実施形態では、各隙間CGに、それぞれ第1及び第2回路基板155,156を設けたが、これら第1及び第2回路基板155,156を隙間CGに配置しないで実施してもよい。勿論、いずれか一方の隙間CGに各相の駆動制御回路を実装した回路基板を配置し、残る隙間CGには何も配置しないで実施してもよい。
○上記第6実施形態では、単一モータMaを3層構造としたブラシレスモータMであったが、単一モータMaを2層構造としたブラシレスモータや、または、単一モータMaを4層以上の構造のブラシレスモータに応用してもよい。
○上記第7実施形態では、V相ロータ80vの界磁磁石83の軸方向の長さT2をU相及びW相ロータ80u,80wの界磁磁石83の軸方向の長さT1より短くしたものであった。これを、第1〜第6実施形態のロータに応用してもよい。
○第1〜第6実施形態及び第8実施形態において、第7実施形態のように各相の界磁磁石83の磁力を変更調整して実施してもよい。
○上記第8実施形態では、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの各界磁磁石83において、それぞれ両側面83b、83cに第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2を形成した。これを、例えば、V相ロータ80vの界磁磁石83だけは両側面83b、83cに第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2を形成しないで実施してもよい。これによって、各相用ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータコア81,82の磁束の流れ方のバランスを改善できリップルを低減させることができる。
○上記第8実施形態では、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの各界磁磁石83は、それぞれ両側面83b、83cに第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2を形成した。これを、各界磁磁石83において、それぞれ両側面83b、83cのいずれか一方の側面のみに柱状肉厚部を形成して実施してもよい。
また、図96に示すように、U相ロータ80uの界磁磁石83は第1コア側柱状肉厚部N1のみ、W相ロータ80wの界磁磁石83は第2コア側柱状肉厚部N2のみ設ける。そして、V相ロータ80vの界磁磁石83は第1及び第2コア側柱状肉厚部N1,N2を設けないようにしたブラシレスモータMに応用してもよい。この場合も同様に、各相用ロータ80u,80v,80wの第1及び第2ロータコア81,82の磁束の流れ方のバランスを改善できリップルを低減させることができる。
○上記第8実施形態では、U相、V相、W相ロータ80u,80v,80wの各界磁磁石83は、それぞれ1つの永久磁石にて形成した。
これを、図97に示すように、円板状に形成した大径(外径R0)の第1永久磁石MG1に対して、その両側面に円板状に形成した小径(外径R1)の第2永久磁石MG2を重ね合わせて各界磁磁石83を形成して実施してもよい。
この場合、第2永久磁石MG2によって、又、第1永久磁石MG1の磁力と第2永久磁石MG2の磁力を相違させることによって、所望の出力を容易に選定できることになりより自由度の高いモータを実現できる。
また、大径の第1永久磁石MG1のいずれか一側面に第2永久磁石MG2を重ね合わせて実施してもよい。
また、図98に示すように、大径であって円環板状に形成した第1永久磁石MG1に対して、小径であって前記第1永久磁石MG1の軸線方向の長さより長い円板状に形成された第2永久磁石MG2を設け、同第2永久磁石MG2を第1永久磁石MG1の内側に嵌合させて各界磁磁石83を形成して実施してもよい。
この場合、第1永久磁石MG1の磁力と第2永久磁石MG2の磁力を相違させることができ、所望の出力を容易に選定できることになりより自由度の高いモータを実現できる。
○上記第8実施形態では、単一モータMaを3層構造としたブラシレスモータMであったが、単一モータMaを2層構造としたブラシレスモータや、または、単一モータMaを4層以上の構造のブラシレスモータに応用してもよい。
○第1〜第7実施形態において、第8実施形態のように界磁磁石83の中央部に肉厚部を形成して実施してもよい。
以下に技術的思想を記載する。
・モータは、周方向等間隔に複数の第1爪状磁極を有する第1ロータコアと、周方向等間隔に複数の第2爪状磁極を有する第2ロータコアと、前記各ロータコア間に配置され軸方向に磁化された界磁磁石とを備え、前記第1及び第2爪状磁極を周方向に交互に配置し、前記界磁磁石にて第1及び第2爪状磁極を互いに異なる磁極として構成したロータと、周方向等間隔に複数の第1爪状磁極を有する第1ステータコアと、周方向等間隔に複数の第2爪状磁極を有する第2ステータコアと、前記各ステータコア間に配置され周方向に巻回されたコイル部とを備え、該ステータ側の第1及び第2爪状磁極を周方向に交互に配置すると共に前記ロータ側の第1及び第2爪状磁極と対向させ、前記コイル部への通電に基づいて前記ステータ側の第1及び第2爪状磁極を互いに異なる磁極でその極性が切り替えられるように構成したステータとからなる単一モータが、軸方向に第1段、第2段及び第3段の順で3段に配列されて構成され、第2段のロータは第1段のロータに対して周方向一方にずれて配置されるとともに、第3段のロータは前記第2段のロータに対して前記周方向一方にずれて配置され、第2段のステータは第1段のステータに対して前記周方向一方とは反対の周方向他方にずれて配置されるとともに、第3段のステータは前記第2段のステータに対して前記周方向他方にずれて配置され、前記第1ロータコアは、円環板状に形成された第1ロータコアベースを有し、その第1ロータコアベースの外周面に、等間隔に複数個の第1ロータ側爪状磁極が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向の前記界磁磁石側に延出形成されたものであり、前記第2ロータコアは、円環板状に形成された第2ロータコアベースを有し、その第2ロータコアベースの外周面に、等間隔に複数個の第2ロータ側爪状磁極が、径方向外側に突出されその先端が屈曲して軸方向の前記界磁磁石側に延出形成されたものである。
上記構成によれば、ロータ及びステータが、界磁部材(界磁磁石、コイル部)を同一構成として大幅な設計変更を伴わずにそれぞれの極数が変更できるため、極数の変更が容易なモータを製作できる。しかも、各段のステータとロータにおいて、それぞれ界磁磁石の磁束を、軸方向に沿って対向するステータが個々に受けることができ、モータの出力アップを図ることができる。
また、各段のロータにおける周方向のずれ方向と、各段のステータにおける周方向のずれ方向とが互いに反対であるため、ロータの好適な回転を実現できる。
また、第1及び第2ロータコアは、円環板状の第1及び第2ロータコアベースの外周面に、複数個の第1及び第2ロータ側爪状磁極をそれぞれ有するため、各段の爪状磁極間が互いに開放し磁束の短絡を抑制でき、トルクの発生に必要な磁気回路を形成できることからモータの高トルク化を実現できる。
・上記モータにおいて、前記第2段のロータの界磁磁石は、前記第1段及び第3段のロータの界磁磁石に対して磁化方向が反対に設定されている。
上記構成によれば、第2段の界磁磁石の軸方向両側の極性が、ロータコアを介して対向する第1段及び第3段の界磁磁石の極性と同極性となるため、第2段の界磁磁石の磁束が同段の爪状磁極側に流れやすくなる。このため、第2段のロータにおいて、界磁磁石の磁束を爪状磁極に好適に作用させることができ、ロータのより好適な回転を実現できる。
・上記モータにおいて、前記軸方向に多段に配列されたコアであって、各段に形成された第1及び第2爪状磁極が隣接する段の第1及び第2爪状磁極と互いに軸方向において離間するように、第1及び第2爪状磁極の軸方向の長さを短く形成する。
上記構成によれば、各段の爪状磁極間が互いに開放し磁束の短絡を抑制でき、トルクの発生に必要な磁気回路を形成できることからモータの高トルク化を実現できる。
・上記モータにおいて、前記周方向等間隔に複数設けた第1及び第2爪状磁極であって、前記第1及び第2ロータコアベースの外周面径方向外側に突出された基端部の部位に、前記界磁磁石側に厚くなる段差部をそれぞれ形成した。
上記構成によれば、各爪状磁極の磁路断面積を大きくできることから、磁気抵抗が小さくなり、磁気飽和をなくすことができることからモータのより高トルク化を実現できる。
・上記モータにおいて、前記段差部の径方向内側に形成される段差面は、前記界磁磁石の外周面を圧入圧接するように形成する。
上記構成によれば、エアギャップによる磁気抵抗をなくしモータのより高トルク化を実現できる。また、第1ロータコアベースと第2ロータコアベースの間に環状磁石を位置決め挟持固定する作業が簡単に行える。
・上記モータにおいて、前記段差部の段差高さは、前記界磁磁石の軸方向の長さの40%未満である。
上記構成によれば、モータのより高トルク化を実現できる。
・上記モータにおいて、前記ロータ側の前記第1及び第2爪状磁極、並びに、前記ステータ側の前記第1及び第2爪状磁極を、それぞれ先細形状にした。
上記構成によれば、ロータ側の第1及び第爪状磁極を先細形状に形成したことから、界磁磁石からの磁束はロータ側の第1及び第2磁極の先端部まで効率よく届く。また、ステータ側の第1及び第2爪状磁極を先細形状に形成したことから、コイル部からの磁束はステータ側の第1及び第2磁極の先端部まで効率よく届く。従って、磁束が各磁極の先端部までより効率よく導かれることから、モータは所望の出力を得ることができる。
・上記モータにおいて、前記ロータ側の前記第1及び第2爪状磁極、並びに、前記ステータ側の前記第1及び第2爪状磁極は、それぞれ台形形状にした。
上記構成によれば、ロータ側の第1及び第爪状磁極を先細の台形形状に形成したことから、界磁磁石からの磁束はロータ側の第1及び第2磁極の先端部まで効率よく届く。また、ステータ側の第1及び第2爪状磁極を先細の台形形状に形成したことから、コイル部からの磁束はステータ側の第1及び第2磁極の先端部まで効率よく届く。
・上記モータにおいて、軸方向に隣り合う単一モータ間に隙間が設けられている。
上記構成によれば、隙間によって界磁磁石に基づく主磁束の一部が、隣接する単一モータのロータに漏れ磁束となって漏れることが抑制される。同様に、隙間によってコイル部に基づく主磁束の一部が、隣接するステータに漏れ磁束となって漏れることが抑制される。その結果、モータのより高トルク化を図ることができる。
・上記モータにおいて、前記隣り合う単一モータ間の隙間には、単一モータに供給する電源電圧を供給制御する駆動制御回路を実装する回路基板が配置されている。
上記構成によれば、隙間に単一モータに供給する電源電圧を供給制御する駆動制御回路を実装した回路基板を設けることにより、単一モータのコイル部の近接位置に駆動制御回路が位置することになりコイル部への配線が短くでき取り回しも簡単となる。その結果、組み付け作業が容易となる。
・上記モータにおいて、前記隙間は、0.25mm以上である。
上記構成によれば、高トルク、低リップルのモータを実現できる。
・上記モータにおいて、3段の前記単一モータのうち、少なくとも1つの単一モータの界磁磁石の磁力を、他の単一モータの界磁磁石の磁力と異ならせる。
上記構成によれば、各段のロータの第1及び第2ロータコアに流れる磁束のバランスを均等にすることができ、低リップル等、高品質の出力を実現することができる。
・上記モータにおいて、第1段及び第3段の単一モータの界磁磁石の軸方向の長さに対して、第2段の単一モータの界磁磁石の軸方向の長さを短く形成する。
上記構成によれば、第2段の界磁磁石の磁力が小さくなり、各相のロータに設けた第1及び第2ロータコアに流れる磁束のバランスを均等にすることができ、低リップル等、高品質の出力を実現することができる。
・上記モータにおいて、前記第1段及び第3段の単一モータの界磁磁石の軸方向の長さは、同じである。
上記構成によれば、第2段の界磁磁石の磁力が小さくなり、各相のロータに設けた第1及び第2ロータコアに流れる磁束のバランスを均等にすることができ、低リップル等、高品質の出力を実現することができる。
・上記モータにおいて、前記第1段及び第3段の単一モータの界磁磁石の軸方向の長さに対する前記第2段の単一モータの界磁磁石の軸方向の長さの比を肉厚比としたとき、前記肉厚比を0.75以上、1未満に設定する。
上記構成によれば、各相のロータに設けた第1及び第2ロータコアに流れる磁束のバランスを均等にすることができ、低リップル等、高品質の出力を実現することができる。
・上記モータにおいて、3段の前記単一モータのうちの少なくとも1つの単一モータの界磁磁石に対して、その界磁磁石の軸方向の両側面の少なくとも一方の側面に小径の肉厚部を形成する。
上記構成によれば、磁気飽和するのに余裕があるロータコアの径方向内側が、界磁磁石の肉厚部に基づく磁気回路として有効として利用され、出力アップを図ることができる。
・上記モータにおいて、前記肉厚部を有した界磁磁石は、大径の界磁磁石の外径に対する小径の肉厚部の外径の比を肉厚占有比としたとき、前記肉厚占有比を0.5以上、0.75未満に設定する。
上記構成によれば、磁気飽和するのに余裕があるロータコアの径方向内側が、界磁磁石の肉厚部に基づく磁気回路として有効として利用され、出力アップを図ることができる。
・上記モータにおいて、前記肉厚部を有した界磁磁石は、大径の界磁磁石の軸方向の長さに対する小径の肉厚部の軸方向の長さの比を張出比としたとき、前記張出比を0.65以上、1.33未満に設定する。
上記構成によれば、磁気飽和するのに余裕があるロータコアの径方向内側が、界磁磁石の肉厚部に基づく磁気回路として有効として利用され、出力アップを図ることができる。
・モータのステーコア及びロータコアの製造方法は、上記のいずれか1つに記載のモータのステーコア及びロータコアの製造方法であって、前記ステータコアの素材について、環状形状のステータコアベースの内周部に設けられた複数の爪状磁極を先細形状とし、前記ロータコアの素材について、前記ロータコアベースを前記ステータコアベースに内包される形状とし、前記ロータコアベースの外側に設けられた複数の爪状磁極を先細形状とし、1枚のコア用板材にて前記ステータコアベースと前記ロータコアベースを打ち抜き成形する際、前記ステータコアベースに対して前記ロータコアベースを内側に位置させるとともに、前記ステータコアベース側の爪状磁極と前記ロータコアベース側の爪状磁極が周方向に交互に位置するように、打ち抜き成形する。
上記製造方法によれば、ロータコアの素材及びステータコアの素材を同時に打ち抜き製造することができる。しかも、ステータコアの素材の内側の部分を使ってロータコアの素材が製造されることから、歩留まりがよく、ロータコアの素材及びステータコアの素材を製造できる。このとき、ロータ及びステータの爪状磁極を先細形状にしたので、打ち抜き製造させる際に、爪状磁極の先端部が先細なので周方向に対向する相手の爪状磁極と干渉されることなく打ち抜かれる。
・上記製造方法において、前記ステータコアの素材及び前記ロータコアの素材の爪状磁極を、それぞれ台形形状とする。
上記構成によれば、ステータコアの素材及びロータコアの素材を、爪状磁極をそれぞれ台形形状とすることから、打ち抜き製造する際に、周方向に対向する相手の爪状磁極と干渉されることなく打ち抜かれる。