以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫1A,1B,1Cについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、図1に示す「上下」、「左右」、「前後」方向を基準として説明する。また、以下では、6ドアを例に挙げて説明するが、6ドアの冷蔵庫に限定されるものではない。また、各実施形態において、同一の構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫の外観斜視図である。
図1に示すように、冷蔵庫1Aは、例えば、上側から、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5および野菜室6を配置することで構成されている。なお、製氷室3と上段冷凍室4は、左右に並べて設けられている。冷蔵室2は、左右に分割された観音開き式の冷蔵室扉2a,2bを備えている。
また、冷蔵庫1Aは、庫外と庫内とが内部に発泡断熱材を充填することで構成された断熱箱体10により隔てられている。この断熱箱体10は、発泡断熱材の他に真空断熱材50(図3)を備え、この真空断熱材50によって断熱性を高めている。断熱箱体10は、外郭を成す外箱11と、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の食品などを貯蔵する各貯蔵室を構成する内箱12とを有している。
また、冷蔵庫1Aは、圧縮機(コンプレッサ)、凝縮器(コンデンサ、図示せず)、キャピラリチューブ(減圧手段、図示せず)および冷却器(エバポレータ)を含む公知の冷凍サイクルを備えている。
また、冷蔵庫1Aは、冷蔵室2の庫内に、操作パネル20(ユニット部材)を備えたものである。この操作パネル20は、庫内の左側面に設けられている。なお、操作パネル20の位置は、左側面に限定されるものではなく、右側の側面に設けてもよい。
また、操作パネル20は、矩形状を呈する表面部材21を有し、表面部材21に複数(本実施形態では6個)の押圧式の操作ボタン22が設けられている。また、操作パネル20は、冷蔵室2に設けられた仕切棚2cよりも前側に位置している。
図2は、冷蔵室の内部を示す正面図である。なお、図2は、扉2a,2bおよび内部の仕切棚2cなどを取り外した状態である。
図2に示すように、断熱箱体10の外箱11は、薄い板厚の鋼板製であり、冷蔵庫本体(断熱箱体10)の筐体を構成している。また、外箱11は、鋼帯からフォーミングロールなどを使用して、左右両側の側面板11a,11bおよび天面板11cを一体に成形したものに、底面板(不図示)および背面板11d(図3参照)を、ネジ止めなどで組み付けられる。
断熱箱体10の内箱12は、一枚の樹脂シートを加熱しながらエアブローを当てて延ばし、それを金型に入れ容器状に成形する真空成形法で成形されている。また、内箱12は、左側の側面壁12a、右側の側面壁12b、背面壁12c、天面壁12d(図1参照)、底面壁12e(図1参照)を一体に成形したものである。
図3は、図2のA−A線断面図である。
図3に示すように、断熱箱体10は、水平方向の断面視においてコ字状に形成されている。外箱11の側面板11a,11bは、前後方向に平行に延びている。
内箱12の側面壁12aは、背面側(後側)から正面側(前側)に向けて外箱11の側面板11a(外側面)に近づくようにゆるやかに傾斜する傾斜面12a1を有している。この傾斜面12a1は、金型からの離型性を確保するためであり、いわゆる抜きテーパと称されるものである。この傾斜面12a1(抜きテーパ)が形成されている面(側面壁12a)に操作パネル20が設けられている。なお、側面壁12bについても、側面壁12aと左右対称にして傾斜面が設けられている。
また、断熱箱体10の内側(壁の内部)には、真空断熱材50が設けられている。この真空断熱材50は、外箱11の側面板11a(外板)の内面に貼り付けられている。また、真空断熱材50は、その前端が操作パネル20よりも正面側(手前側、前側)に位置し、その後端が側面板11aの略後端まで延びて配置されている。
また、真空断熱材50は、中央部に配置される芯材を成す無機繊維集合体であるグラスウール層、吸着剤などを内袋材(図示せず)で内包し、アルミ箔などのガスバリヤ性を有する外被材で真空包装されている。
内袋材(図示せず)については、ポリエチレンフィルム、あるいは、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムなどが使用される。つまり、内袋材は、吸湿性が低く熱溶着でき、アウトガス(ガス漏洩)が少ないものを用いる。
吸着剤には、細孔で水分やガス分子を捕捉する物理吸着タイプの合成ゼオライトなどを用いる。なお、吸着剤は合成ゼオライトでなくとも、水分やガスを吸着するものであればよく、シリカゲルや酸化カルシウム、塩化カルシウム、酸化ストロンチウムなどの化学反応で水分やガスを吸着する化学反応型吸着剤を用いることもできる。
外被材については、表面層として吸湿性が低いポリプロピレンフィルムを設け、防湿層としてポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミ蒸着層を設けている。そして、ガスバリヤ層は、エチレンビニルアルコール共重合体フィルムにアルミ蒸着層を設けて、防湿層のアルミ蒸着層と向かい合わせるように貼り合せている。
本実施形態では、パネル状(平板状)の真空断熱材50を側面板11a(外板)の内壁面に貼り付けて、側面板11a(外板)と側面壁12a(内板)との間に形成される空間に硬質ウレタンフォームなどの発泡断熱材が充填される。
図4は、図3の要部拡大図である。
図4に示すように、操作パネル20は、操作ボタン22(図1参照)が設けられる表面部材21と、表面部材21の裏面側に設けられる制御基板31(回路基板)と、制御基板31を収納するとともに表面部材21を固定する基板収納部41と、を備えて構成されている。なお、操作ボタン22(図1参照)は、例えば、押圧操作式のものであり、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6などの庫内の温度を変更する際に操作されるものである。
表面部材21は、操作ボタン22(図1参照)が設けられるパネル部21aと、このパネル部21aの裏面の外周縁部から外箱の側面板11aに向けて延びるリブ21bと、を有している。また、表面部材21は、側面壁12a(傾斜面12a1)を貫通して形成された矩形状の取付孔12fに、リブ21bが挿入されることで基板収納部41に固定される。また、パネル部21aは、取付孔12fの開口面積よりも大きい矩形状を呈し、パネル部21aの外周縁部21rの全体が取付孔12fの開口縁部12gの全体に当接するように構成されている。これにより、表面部材21によって取付孔12fの全体が閉じられ、取付孔12fが外部(庫内)から視認できないようになる。
また、表面部材21は、抜きテーパを考慮して、背面側(後側)よりも正面側(前側)が側面壁12aの表面から庫内側に(庫内の幅方向の中央に向けて)突出するように(出っ張るように)構成されている。また、表面部材21(パネル部21a)の表面21a1は、真空断熱材50と略平行(または平行)に構成されている。なお、略平行とは、平行を含むとともに、表面21a1と傾斜面12a1とで成す傾きよりも平行に近い向きである。
制御基板31は、各種の電気部品や電子部品が実装された四角板状の回路基板(適宜「基板」と省略)で構成され、表面部材21のリブ21bの内側に位置している。換言すると、制御基板31がリブ21bによって囲まれるように構成されている。操作パネル20の操作メニューが増える(多機能化する)ことによって基板が大型化している。制御基板31からの信号は、断熱箱体10の天井に設けられたメイン基板に送られ、メイン基板から庫内の温度が制御されるように構成されている。
基板収納部41は、側面壁12aの裏側(断熱箱体10の内側)に配置され、制御基板31を収容する凹部42と、この凹部42の開口縁部から側面壁12aの裏面に沿って延びるつば部43と、を有して構成されている。
凹部42は、制御基板31と平行に配置される底面部42aと、この底面部42aの周縁部から側面壁12aに向けて起立して延びる側面部42bと、を有し、取付孔12fに向けて開口するように構成されている。また、凹部42は、背面側(後側)の開口からの深さH2よりも、正面側(前側)の開口からの深さH1が浅くなるように構成されている(H2>H1)。
また、凹部42の底面部42aは、外箱11側の裏面42cが、真空断熱材50と略平行(または平行)になるように構成されている。これにより、底面部42aの裏面42cと真空断熱材50との間の隙間Sは、背面側から正面側にかけて均一になる。なお、略平行とは、平行を含むとともに、裏面42cと傾斜面12a1とで成す傾きよりも平行に近い向きである。
また、凹部42の底面部42aは、外箱11側の裏面42cが外箱11(側面板11a)と略平行(または平行)になるように構成されている。これにより、側面板11aの裏面に真空断熱材50を取り付けた場合、底面部42aの裏面42cと真空断熱材50との間の隙間Sを、背面側から正面側にかけて均一にできる。
図5は、図2のB−B線断面図である。
図5に示すように、表面部材21のリブ21bは、制御基板31の外周縁部が当接する当接部21dが形成されている。これにより、表面部材21の裏面からの高さ位置を常に一定にできる。
基板収納部41の凹部42は、底面部42aから表面部材21に向けて突出する補強部41sが形成されている。補強部41sは、円筒状に形成され、底面部42aの中央から突出して形成されている。また、補強部41sの先端41s1は、側面壁12aと同一平面となる位置まで突出している。
とろこで、基板収納部41に収納される収納物が小さければ、基板収納部41を小さくでき、基板収納部41の背面にウレタン(発泡断熱材)が充填されたとしても、基板収納部41にかかる発泡圧も小さい。しかし、操作メニューが増えて基板が大型化すると、ウレタンの発泡圧によって基板が変形する可能性がある。そこで、ウレタンを充填する際には、基板収納部の変形を防止するための治具を側面壁の表面側から当てる必要がある。このように基板収納部41に補強部41sを設けることで発泡圧による変形を抑えることができる。なお、補強部41sの先端41s1は、治具に突き当たる位置まで延びていればよい。
また、基板収納部41に補強部41sが形成されているので、制御基板31の中央には、補強部41sを挿通可能な貫通孔31aが形成されている。これにより、補強部41sを底面部42aから側面壁12aと面一になる面まで突出させたとしても、制御基板31を基板収納部41に収納することができる。
図6は、操作パネルから制御基板を残して基板収納部を取り外した状態を裏側から見た平面図である。
図6に示すように、制御基板31は、平面視において矩形状を呈し、表面部材21の裏面に形成されたリブ21bの内側に配置されている。制御基板31の外周縁部は、リブ21bの近傍に位置している。
また、制御基板31は、表面部材21の裏面に形成された基板用爪部21c,21c,21d,21dによって制御基板31の縁部が係止されている。これにより、制御基板31が表面部材21において確実に保持される。
基板用爪部21c,21cは、制御基板31の上部に形成され、リブ21bと一体に形成され、互いに前後方向に離間して配置されている。また、基板用爪部21cは、リブ21bの制御基板31側の壁面に形成されている。爪部21d,21dは、表面部材21の裏面から突出して形成され、互いに前後方向に離間して配置されている。
リブ21bは、制御基板31の上辺部31bに沿って形成される上部リブ21eと、制御基板31の前後両側の側辺部31c,31cに沿って形成される側部リブ21f,21gと、制御基板31の下辺部31dに沿って形成される下部リブ21h,21iと、を有し、平面視において略コ字状(略C字状)に構成されている。下部リブ21h,21iは、側部リブ21f,21gの下端から互いに対向する前後方向に向かって短く形成されている。下部リブ21h,21iの先端下面には、表面部材21の厚み方向(図6の紙面に直交する方向)に延びる突起部21h1,21i1が突出して形成されている。
表面部材21の裏面には、下端部に上下方向に延びる排水溝21j,21j,21k,21kが形成されている。排水溝21j,21jは、前後方向の後側に位置している。排水溝21k,21kは、前後方向の前側に位置している。また、排水溝21j,21kは、表面部材21の裏面に、樋状(略半円状)に切り欠くことで構成されている。また、排水溝21j,21jは、下部リブ21hと上下方向において重ならない位置に形成されている。排水溝21k,21kは、下部リブ21iと上下方向において重ならない位置に形成されている。
また、上部リブ21eは、前後方向の中央(正面視において幅方向の中央)から前方(幅方向の一方)に向けて下るようにして傾斜する傾斜路21e1と、後方(幅方向の他方)に向けて下るようにして傾斜する傾斜路21e2と、を有している。
図13は、表面部材21と制御基板31とを取り外した状態で、基板収納部41を表側(庫内側)から見た斜視図である。図13に示すように、基板収納部41の底面部42aの中央近傍であって、補強部41sの周辺には、複数のガス抜き孔42hが形成されている。このように、ウレタン注入時に発生するガスを庫外に排出するガス抜き孔42hを、基板収納部41に形成することで、基板収納部41の裏側のウレタンの未充填を防ぐことができ、断熱性能が向上する。ここで、ガス抜き孔42hは、図14に示すように、裏側から穴を形成しているため、基板収納部41の裏側にバリが立たず、ウレタンの流動性を良好に保つことができる。このようなガス抜き孔42hを設けることで、例えば、基板収納部41と真空断熱材50との隙間が10mm未満の薄壁の断熱箱体とした場合でも、その隙間にウレタンを充填させることが可能となる。
また、図15に示すように、基板収納部41のつば部43の表面開口縁には、表裏の両面に粘着材を施した両面テープ45が取り付けられている。しかし、つば部43のうち開口縁から離れた内側の一部には、両面テープ45を設けることのできない領域が存在するので、両面テープ45の厚みに起因して、ボタンが押された際にパネル部21aが沈み込む可能性がある。このため、つば部43のうち両面テープ45が存在しない部分に、表面部材21(パネル部21a)に向けて延びる凸部43sを形成することで、ボタン押圧時の沈み込み量を低減し、操作感を良くできる。なお、基板収納部41の底面部42aの一部であって、補強部41sやガス抜き孔42hよりもつば部43に近い側に、凸部42sを形成すれば、ボタン押圧時におけるパネル部21aの沈み込みを更に抑制できる。なお、本実施形態では両面テープ45を用いて基板収納部41の表面を側面壁12aの裏面に固定しているが、接着剤を用いて固定しても良い。
次に、制御基板31が保持された表面部材21を、基板収納部41に取り付けるときの取付方法について説明する。図6に示すように、表面部材21の裏面には、それぞれ上下に離間して配置された複数の収納部用爪21e,21fが、側方へ突出するように一体的に形成されている。一方で、基板収納部41には、図13および図16に示すように、つば部43の表面の内側端から裏側へ向けて凹むことで空間を形成するような、袋状の爪係合部43e,43fを左右に有している。この爪係合部43e,43fと収納部用爪21e,21fとが当接することで、側面壁12aを介さずに、基板収納部41と表面部材21とを直接嵌合させて確実に固定できる。このとき、表面部材21の収納部用爪e,21fよりも表側に位置するパネル部21a(外周縁部21r)と、基板収納部41のつば部43とで、側面壁12aを挟み込むようになっており、表面部材21と側面壁12aとの間の隙間を塞いでいる。
図7は、操作パネルの縦断面図である。
図7に示すように、上部リブ21eは、表面部材21の裏面側から表面側に向けて下る傾斜面部21e3を有する。これにより、操作パネル20と側面壁12aとの隙間から水(結露水)などが、上部リブ21eに流れ込んだとしても、基板収納部41の底面部42a側に流れることがないので、制御基板31を保護することができる。
ところで、冷蔵室2内(庫内)は低温の環境にあるので、扉2a,2bの開け閉めによって冷蔵室2に暖気が入ると、結露するおそれがあり、制御基板31を結露から守る(保護する)必要がある。そこで、リブ21eの形状を、図6および図7で説明した形状にすることで、制御基板31を結露から保護することが可能になる。すなわち、図6において破線矢印で示すように、庫内で結露が発生して、表面部材21の上部から結露水が表面部材21の裏面側に浸入した場合、結露水をまず上部リブ21eで受けることができる。このとき、上部リブ21eは傾斜路21e1,21e2を有しているので、傾斜路21e1,21e2によって結露水が前後方向(図示左右方向)に流れる。また、このとき、上部リブ21eは傾斜面部21e3(図7参照)を有しているので、結露水が制御基板31側に流れ落ちることがない。
そして、上部リブ21eの前後方向の端部に流れた結露水は、側部リブ21f,21gの外面を表面張力によって接触しながら下方に流れ落ちる。そして、側部リブ21f,21gの下端まで流れた結露水は、下部リブ21h,21iの下面を表面張力によって接触しながら内側方に向けて流れる。そして、下部リブ21h,21iの先端まで流れた結露水は、下部リブ21h,21iの先端下面に形成された突起部21h1,21i1に当たり、下方に向けて流れ落ちる。そして、流れ落ちた結露水は、排水溝21j,21j,21k,21kを通って、表面部材21の外側に流れ出る。このように、結露水が流れ流路を形成することで、制御基板31を結露から保護することができる。
次に、第1実施形態と比較例とを参照しながら発明の作用効果について説明する。図8は、操作パネルと断熱箱体との位置関係を示す概略図であり、(a)は第1実施形態、(b)は比較例である。
図8(b)に示す比較例は、基板収納部141の裏面142cを傾斜面12a1に倣って形成するとともに、表面部材121の表面121aを傾斜面12a1に倣って形成した断熱箱体100の場合である。このように構成された比較例において、基板収納部141の裏面142cと真空断熱材50(表面50s)との間に形成される隙間S100は、正面側の隙間が背面側の隙間よりも狭くなり、正面側の隙間における発泡断熱材の流動性が悪化する。また、真空断熱材50が基板収納部41によって押し付けられて、真空断熱材50のリークなどの問題が発生する。
そこで、第1実施形態では、図8(a)に示すように、基板収納部41の裏面42cと真空断熱材50とを平行(略平行)にしたものである。すなわち、内箱12の側面壁12aから裏側への出っ張り(飛び出し量)について、背面側の出っ張り量(寸法)b1よりも正面側の出っ張り量(寸法)a1を少なく(小さく)したものである。これにより、基板収納部41の裏面42cと真空断熱材50(表面50s)との間の隙間Sが背面側から正面側にかけて均一になる。その結果、真空断熱材50と基板収納部41の裏面42c(操作パネル20の裏面)との寸法を短くすることができる。また、真空断熱材50の厚み寸法を大きくすることができ、冷蔵庫1Aの断熱性を高めることができる。また、第1実施形態では、基板収納部41と真空断熱材50との隙間を小さくできるので、冷蔵庫1Aの壁厚を薄くできる(側面板11aと側面壁12aとの距離を短くできる)。冷蔵庫1Aの壁厚を薄くできることで、冷蔵室2の庫内容量を増やすことができる。
また、第1実施形態では、図8(a)に示すように、基板収納部41の裏面42cと側面板11a(外箱11)とを平行(略平行)にしたものである。これにより、基板収納部41の裏面42cと真空断熱材50とを平行(略平行)にした場合と同様の効果を得ることができる。
また、図8(b)の比較例において、基板収納部141の裏面142cを一点鎖線L100で示す向きにして、裏面142cと真空断熱材50とを略平行にしようとすると、制御基板31の収納スペースが確保できなくなる。
そこで、第1実施形態では、図8(a)に示すように、表面部材21を、正面側が背面側よりも側面壁12a(側面)から庫内側に突出して形成したものである。すなわち、内箱12の側面壁12aから表側への出っ張りについて、背面側の出っ張り量(寸法)b2よりも正面側の出っ張り量(寸法)a2を多く(大きく)したものである。これにより、制御基板31の収納スペースを確保することができ、基板収納部41の裏面42cと真空断熱材50とを略平行(または略平行)に構成することが可能になる。その結果、真空断熱材50と基板収納部41の裏面42c(操作パネル20の裏面)との寸法を小さくすることができる。また、真空断熱材50の厚み寸法を大きくすることができ、冷蔵庫1Aの断熱性を高めることができる。また、第1実施形態では、基板収納部41と真空断熱材50との隙間を小さくできるので、冷蔵庫1Aの壁厚を小さくできる(側面板11aと側面壁12aとの距離を短くできる)。冷蔵庫1Aの壁厚を薄くできることで、冷蔵室2の庫内容量を増やすことができる。なお、基板収納部41の裏面42cには、真空断熱材50側へ延びるリブは設けないようにする。これにより、リブが真空断熱材50に接触することで真空断熱材50がリークするのを防止でき、またリーク防止のために真空断熱材50と基板収納部41との距離を必要以上に大きくする必要がなくなる。操作ボタン22が、タッチ式ではなく押圧式の場合は、特に有効である。
また、第1実施形態では、表面部材21が突出形成される側(正面側)の面の裏面に凹部21t(図6参照)が形成されている(縁部まで彫り込まれている)。これにより、凹部21tを形成することで、表面部材21の裏面縁部がつば状に形成されるので、表面部材21の強度を向上できる。また、操作パネル20の内側のスペースを有効に利用することができる。
また、第1実施形態では、表面部材21の裏面には、制御基板31の上辺部31bから側辺部31cを通って下方に延びるリブ(上部リブ21eおよび側部リブ21f,21g)が突出して形成され、上部リブ21eの上面が表面部材21の裏面側から表面側に向けて下る傾斜面部21e3を有する(図7参照)。これにより、結露水が制御基板31に流れ込むのを防止することができ、制御基板31を保護して、操作パネル20の信頼性を高めることができる。
また、第1実施形態では、上部リブ21eの上面は、正面視において幅方向中央から両側に向けて下るように傾斜する傾斜路21e1,21e2を有する。これにより、操作パネル20の上方から浸入した水(液滴)が、上部リブ21eに溜ることがなく、側部リブ21f,21gに案内することができ、制御基板31を保護することができる。
また、第1実施形態では、表面部材21の裏面には、上下方向の下端に排水溝21j,21kが形成されている。これにより、万一、基板収納部41内に水が入ったとしても、排水溝21j,21kから排水することができ、操作パネルの信頼性を高めることができる。
また、第1実施形態では、リブ21bは、排水溝21j,21kと上下方向に重なる位置には形成されていない。これにより、リブ21bによって水を排水溝21j,21kに誘導することができる。
また、第1実施形態では、基板収納部41の底面から表面部材21の側に向けて延びる補強部41sが形成されている。これにより、発泡断熱材を充填するときに、基板収納部41の変形を防止することができる。
ところで、側面壁12aの傾斜面12a1は、わずかにR形状(庫内側に凸となるように)となっている場合がある。このような場合、隙間対策として、基板収納部41も同様にR形状を持たせることが好ましい。そこで、以下に示す第2実施形態および第3実施形態では、側面壁12aにおける収納部61,81の取付箇所を平面にすることで、基板収納部61,81にR形状を持たせることが不要になる。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態の操作パネルと断熱箱体との位置関係を示す概略図である。
図9に示すように、第2実施形態の冷蔵庫1Bは、側面壁12aの傾斜面12a1に凹形状の段差部12mを形成したものである。この段差部12mは、側面壁12aの開口部から側面板11aに向けて延びる四角形状の筒体12m1と、この筒体12m1の先端から内方に向けて延びる環状部12m2と、を有している。環状部12m2は、真空断熱材50と略平行に形成されている。換言すると、環状部12m2は、側面板11aと略平行に形成されている。また、段差部12mは、側面壁12aの裏面側への出っ張り量において、背面側の出っ張り量(寸法)よりも正面側の出っ張り量(寸法)を少なく(小さく)したものである。
表面部材51は、裏面側に向けて突出するリブ52を有し、リブ52の先端がつば部12m2の表面に当接している。
基板収納部61は、制御基板31を収納する凹部62と、この凹部62の開口縁部に形成されるつば部63と、を有して構成されている。凹部62は、裏面62cが真空断熱材50と略平行に形成されている。つば部63は、環状部12m2に当接している。
第2実施形態では、基板収納部61の裏面62cと真空断熱材50とを略平行にできるので、裏面62cと真空断熱材50との間の隙間S1を均一にできる。また、第2実施形態の表面部材51では、正面側が背面側よりも側面壁12aの傾斜面12a1から庫内側に突出して形成されている。これにより、真空断熱材50と基板収納部61の裏面62c(操作パネル20の裏面)との隙間を小さくすることができる。このように隙間を小さくできることで、真空断熱材50の厚み寸法を大きくすることができ、冷蔵庫1Aの断熱性を高めることができる。また、第2実施形態では、基板収納部61と真空断熱材50との隙間を小さくできるので、冷蔵庫1Aの壁厚を小さくできる(側面板11aと側面壁12aとの距離を短くできる)。冷蔵庫1Aの壁厚を薄くできることで、冷蔵室2の庫内容量を増やすことができる。
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態の操作パネルと断熱箱体との位置関係を示す概略図である。
図10に示すように、第3実施形態の冷蔵庫1Cは、側面壁12aの傾斜面12a1に凸形状の段差部12pを形成したものである。この段差部12pは、側面壁12aの開口部から庫内に向けて延びる四角形状の筒体12p1と、この筒体12p1の先端から内方に向けて延びる環状部12p2と、を有している。環状部12p2は、真空断熱材50と略平行に形成されている。換言すると、環状部12p2は、側面板11aと略平行に形成されている。また、段差部12pは、側面壁12aの表面側への出っ張り量において、背面側の出っ張り量(寸法)よりも正面側の出っ張り量(寸法)を多く(大きく)したものである。
表面部材71は、裏面側に向けて突出するリブ72を有し、リブ72の先端が環状部12p2の表面に当接している。
基板収納部81は、制御基板31を収納する凹部82と、この凹部82の開口縁部に形成されるつば部83と、を有して構成されている。凹部82は、裏面82cが真空断熱材50と略平行に形成されている。つば部83は、環状部12p2に当接している。
第3実施形態では、基板収納部81の裏面82cと真空断熱材50とを略平行にできるので、裏面82cと真空断熱材50との間の隙間S2を均一にできる。また、第2実施形態では、表面部材71が、正面側が背面側よりも側面壁12aから庫内側に突出して形成されている。これにより、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第2実施形態では、側面壁12aを凹形状にし、第3実施形態では、側面壁12aを凸形状にした場合を例に挙げて説明したが、凹形状や凸形状にせずに単に取付箇所を平面にする構成であってもよい。
ところで、基板収納部41(以下、ケースとする)と外板(側面板11a)との間の隙間を小さくすると、ケースと真空断熱材50との間の隙間において、その隙間の周囲ではウレタン(発泡断熱材)が入るものの、中央付近にはウレタンが入らない状態も想定される。また、操作パネル20が多機能化することで制御基板31が大型化して、制御基板31を収納するケースも大型化し、ウレタン充填時の発泡圧の影響を受け易くなる。発泡圧力とウレタン密度の関係は、図11(a)に示すようになる。すなわち、隙間を小さくするとウレタン密度が上昇するので、ウレタン密度の上昇によって発泡圧力が高くなる。これによって、ケースなどの部品の損傷や変形などの不具合を生じる。そこで、このような不具合を回避するため、ウレタン密度(ρ)は、以下の関係式1を満足し、この式を満たす密度のウレタンを使用した冷蔵庫とする。
Ln(ρ)≦1066.7×K/A−17.48・・・・・・・・・・・・(式1)
ρ:ウレタン密度(kg/mm3)
K:ケース剛性(N/mm)
A:ケース裏面に入り込んだウレタンとケースとの設置面積(mm2)
なお、ケース剛性Kは、図11(b)に示すように、ケース外周およびケース内部の突起部の全てを支持した状態で、これに荷重Fを与え、(荷重F:N)/(変形量R:mm)によって求まる数値である。
本実施形態のような構造では、ケースによって断熱部が薄くなり、ウレタンの厚みが減少し、ウレタン密度が上昇する傾向にある。そこで、本実施形態では、ウレタン密度が45kg/m3以上となっている場合を想定している。
次に、式1の根拠について説明すると、密度(ρ:kg/mm3)と発泡圧(P:MPa)の関係より発泡による変形量は、下記(式2)の左辺で表すことができる。そして、ウレタン密度と発泡圧の関係は、発明者らが行った実験によれば、図11(a)のような傾向を示す。また、ウレタン発泡圧からケースなどの部品の損傷を防ぐ為には(式2)の関係を満足する必要がある。
[発泡圧]×[面積]/[ケース剛性]≦[許容値]・・・・・・・・・(式2)
そして、ケースと真空断熱材との隙間が1.0mm程度と仮定すると、ウレタン密度は一般的に500×10^9kg/mm3程度となる。この場合の発泡圧(MPa)を、図11(a)で得られる関係式から算出し、CAE解析によりケース剛性Kを求め、(式2)の右辺に相当する許容値を定めた。なお、今後の操作パネルの多機能化により、大きさが2倍となることを想定し、また材料変更などで、ケース剛性Kが1/4となることを見込み、許容値は8倍程度必要と考える。よって安全率を8としている。
以上で説明した、図11(a)で得られる関係式、(式2)、安全率を考慮した許容値、により、(式1)が導かれ、ケースの損傷や変形に対するウレタン密度の条件式となる。
断熱箱体10の壁厚を薄くした場合、ケースと真空断熱材との隙間が必然的に狭くなる。例えば、隙間を10mm未満にすると、ウレタン密度が高いので、発泡圧が高くなり、変形し易くなる。そこで、基板(制御基板31)を収納するケース(基板収納部41)と、外板(または真空断熱材50)との間に、少なくとも中央付近にウレタン(発泡断熱材)が介在しない冷蔵庫を提供することで、発泡圧による変形を抑制することができ、余裕を持たせるために必要だったスペースを節約できる。
また、図12に示すように、ケース(基板収納部41)と真空断熱材50との間に、介在部材90を設けてもよい。介在部材90は、発泡断熱材の浸入を抑えるまたは防ぐ部材であり、軟質ウレタンなどのスポンジ状のもの、あるいは発泡スチロールなどを適用できる。また、ケースと真空断熱材50との間の距離を6mm以下に狭く設定すれば、ケースと真空断熱材50との間に発泡断熱材が侵入し難くなる。
また、介在部材90を設けることで、ケースと真空断熱材50とが直接接触しないので、真空断熱材50のリークを防止できる。また、介在部材90は、ケースと真空断熱材50との間の隙間を塞ぐ圧縮性部材(もともとの隙間の寸法よりも大きいものをつぶして介在させたもの)であってもよい。なお、圧縮性部材としては、発泡スチロール、ポリエチレンフォームを適用できる。また、介在部材90は、発泡断熱材が浸みこまないものが好ましい。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、本実施形態では、操作パネル20を庫内の側面壁12aの傾斜面12a1に設けた場合について説明したが、庫内灯が設けられる天面壁12dに適用してもよい。あるいは、冷蔵庫の上面のメイン基板が搭載されている場所に適用してもよい。あるいは、IOT(Internet of Things)の基板を搭載する場所に適用してもよい。