(第1実施形態)
以下、図面に基づいて本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態に係る冷蔵庫1は、図1および図2に示すように、前面に開口するキャビネット2を備える。キャビネット2は、鋼板製の外箱4と合成樹脂製の内箱6との間に形成された断熱空間8に断熱材を有して構成されている。キャビネット2の内部には複数の貯蔵室が設けられており、具体的には、図1に示すように、上段から順に、冷蔵室10、野菜室12が設けられ、その下方に製氷室14と小冷凍室(図示せず)が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室16が設けられている。製氷室14内には、自動製氷装置18が設けられている。
冷蔵室10および野菜室12は、いずれも冷蔵温度帯(例えば、1〜4℃)に冷却される貯蔵室であり、それらの間は、合成樹脂製の仕切壁20により上下に仕切られている。冷蔵室10の前面開口部には、ヒンジ開閉式の断熱扉10aが設けられている。断熱扉10a前面には、庫内温度などを表示する表示部とブザー音や音声を発する音声部と庫内温度などを調節する操作部を備えた操作パネル13と、使用者の操作によって開扉装置15を作動させる開扉スイッチ17が設けられている。
開扉装置15は、図1に示すように、キャビネット2の天井壁の上面に設けられており、開扉スイッチ17の操作を受けて、不図示の押圧部材を前方に突き出すことにより断熱扉10aを前方へ押圧して開扉する。また、冷蔵室10内には、冷蔵室10の庫内温度を検出する冷蔵室温度センサ11や、断熱扉10aの開閉を検知する扉センサ21や冷蔵室10内を照明する庫内灯23が設けられている。
野菜室12の前面開口部には、引出し式の断熱扉12aが設けられている。この断熱扉12aの背面部には、貯蔵容器を構成する上下2段の収納ケース22が連結されている。
製氷室14、小冷凍室、及び冷凍室16は、いずれも冷凍温度帯(例えば、−10〜−20℃)に冷却される貯蔵室であり、野菜室12と製氷室14および小冷凍室との間は、内部に断熱材が設けられた断熱仕切壁28により上下に仕切られている。製氷室14の前面開口部には、引出し式の断熱扉14aが設けられており、その断熱扉14aの背面部に貯氷容器30が連結されている。小冷凍室の前面開口部にも、図示はしないが、貯蔵容器が連結された引出し式の断熱扉が設けられている。冷凍室16の前面開口部にも、上下2段の貯蔵容器32が連結された引出し式の断熱扉16aが設けられている。
製氷室14、小冷凍室、及び冷凍室16の前面には、各断熱扉14a、16aの開閉を検知する扉センサ24、25が設けられている。また、冷凍室16の背面には、冷凍室16の庫内温度を検出する冷凍室温度センサ26が設けられている。
キャビネット2内には、各貯蔵室を冷却する冷凍サイクル50(図3参照)が組み込まれている。詳細は後述するが、冷凍サイクル50は、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室10、野菜室12を冷却するための冷蔵冷却器52と、冷凍温度帯の貯蔵室である製氷室14、小冷凍室、冷凍室16を冷却するための冷凍冷却器54とを含んで構成されている。図1に示すように、キャビネット2の外箱4の外側、この例では、キャビネット2の背面下端部には、機械室34が設けられている。この機械室34内に、冷凍サイクル50を構成する圧縮機56や凝縮器58(図3参照)およびこれらを冷却するための冷却ファン57(図4参照)などが配設されている。
キャビネット2の冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室10及び野菜室12)の奥部には、冷蔵冷却器室36及びダクト38が形成されている。冷蔵冷却器室36には、冷蔵冷却器52及び冷蔵ファン53が設けられており、冷蔵ファン53が、冷蔵冷却器52で冷却した冷蔵冷却器室36内の空気をダクト38を介して冷蔵室10および野菜室12に供給することで、これらの貯蔵室を冷却する。
また、冷蔵冷却器室36には、冷蔵冷却器52から発生した除霜水を受ける冷蔵水受部31が設けられている。冷蔵水受部31で受けた除霜水は、冷蔵排水ホース33(図7参照)を介して、機械室34内に設けられた蒸発皿に排水され、機械室34内で発生する熱を受けて蒸発するようになっている。
キャビネット2内部において冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室14、小冷凍室、冷凍室16)の奥部には、冷凍冷却器室40及びダクト44が設けられている。この冷凍冷却器室40は、その上方が断熱仕切壁28によって区画され、後方がキャビネット2の背壁2eによって区画され、左右側方がキャビネット2の左右側壁2a,2bによって区画され、前方がカバー体59によって区画された空間であり、その内部に冷凍冷却器54及び冷凍ファン55が設けられている。冷凍冷却器室40に設けられた冷凍ファン55は、冷凍冷却器54で冷却した冷凍冷却器室40内の空気をダクト44を介して製氷室14、小冷凍室、冷凍室16に供給することで、これらの貯蔵室を冷却する。
また、冷凍冷却器室40には、冷凍冷却器54から発生した除霜水を受ける冷凍水受部35が設けられている。冷凍水受部35で受けた除霜水は、キャビネット2の底部断熱壁を通る冷凍排水ホース37を介して、機械室34内に設けられた蒸発皿に排水され、機械室34内で発生する熱を受けて蒸発するようになっている。
キャビネット2の外側、例えば、キャビネット2の天井壁2cの上面後部には、冷蔵庫1を制御するマイコン等を実装した制御基板46が設けられている。この制御基板46には、図4に示すように、冷蔵室温度センサ11、操作パネル13、開扉装置15、開扉スイッチ17、扉センサ21、24,25、庫内灯23、冷凍室温度センサ26、冷蔵ファン53、冷凍ファン55、圧縮機56、冷却ファン57及び三方弁70等のキャビネット2の内側又は外側に設けられた電気部品が、リード線90によって電気接続されており、各種センサやスイッチから入力される信号と予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、操作パネル13、開扉装置15、庫内灯23、冷蔵ファン53、冷凍ファン55、圧縮機56、冷却ファン57及び三方弁70の動作を制御して冷蔵庫1の動作全般を制御する。
次に、冷凍サイクル50の構成について詳述する。冷凍サイクル50は、図3に示すように、高温高圧のガス状の冷媒を吐出する圧縮機56の吐出側から順番に、蒸発パイプ60、凝縮器58、放熱パイプ64、防露パイプ66、ドライヤ68、および三方弁70の入口側が接続されている。
三方弁70の一方の出口には、減圧手段としての冷蔵キャピラリチューブ72、冷蔵冷却器52、冷蔵アキュムレータ74および冷蔵サクションパイプ76が、配管により順に接続されている。三方弁70の他方の出口には、減圧手段としての冷凍キャピラリチューブ78、冷凍冷却器54、冷凍アキュムレータ80、冷凍サクションパイプ82および逆止弁84が配管により順に接続されている。そして、逆止弁84の出口側と冷蔵サクションパイプ76の出口側が一つになって圧縮機56の吸入側に接続されている。
三方弁70は、凝縮器58で液化した冷媒を、冷蔵冷却器52と冷凍冷却器54に対して交互に供給するように流路を切り替える切替弁であり、圧縮機56から凝縮器58及び冷蔵キャピラリチューブ72を介して供給される低温の冷媒を冷蔵冷却器52に供給する冷蔵冷却運転の状態と、冷蔵冷却器52に供給せずに冷凍冷却器54に供給する冷凍冷却運転の状態とに、切り替える。
この冷凍サイクル50では、冷媒は、圧縮機56で圧縮されて、高温高圧の気体状の冷媒に変化し、凝縮器58と放熱パイプ64と防露パイプ66で放熱しながら液体状の冷媒となる。液体状の冷媒は、三方弁70によって冷蔵キャピラリチューブ72又は冷凍キャピラリチューブ78に送られ、各キャピラリチューブ72,78で気化し易いように減圧され、その後に冷蔵冷却器52又は冷凍冷却器54で気化し、周囲から熱を奪うことにより冷気が発生する。周囲から熱を奪った冷媒は、各アキュムレータ74,80にそれぞれ流れ、各アキュムレータ74,80では気液混合体状の冷媒を気体状の冷媒と液体状の冷媒とにそれぞれ分離し、気体状の冷媒のみが各サクションパイプ76、82を経て圧縮機56へ戻り、再び圧縮され高温高圧の気体状の冷媒となる。
次に、キャビネット2の具体的構成について、図面を参照しながら説明する。
キャビネット2は、左側壁2a、右側壁2b、天井壁2c、底壁2dおよび背壁2eにおける断熱空間8に平板状の真空断熱材7a、7b、7c、7d、7eが設けられ、機械室34の周囲やキャビネット2の角部や、断熱仕切壁28の内部等の真空断熱材が存在しない箇所に、発泡ウレタンや発泡スチロールや段ボール等の断熱材9とともに、放熱パイプ64、防露パイプ66、冷蔵キャピラリチューブ72、冷蔵サクションパイプ76、冷凍キャピラリチューブ78及び冷凍サクションパイプ82などの冷媒パイプや、キャビネット2の内側あるいは外側に設けられた電気部品と制御基板46とを電気接続するリード線90が設けられている。
具体的には、キャビネット2の外郭を構成する鋼板製の外箱4は、左側板4a、右側板4b、天板4c、底板4dおよび背板4eを有する前面に開口した箱状をなしている。左側板4a、右側板4b、天板4cは、一枚の長尺な鋼板をほぼU字状に折曲することにより形成されている。底板4dおよび背板4eは、左側板4a、右側板4b、及び天板4cと別個に設けられた部材であり、底板4dには、機械室34を形成するための段差部4d−1が折曲形成されている。
また、図2に示すように、左側板4aおよび右側板4bにおいて、前端部には、内方に突出するフランジ部4a−1および4b−1が形成され、後端部には、前方に指向するフランジ部4a−2および4b−2が形成されている。更に、背板4eの左右の両端部には、左側板4aおよび右側板4bのフランジ部4a−2および4b−2に挿入係合されるフランジ部4e−1および4e−2が形成されている。
合成樹脂製の内箱6は、真空成形機で一体成形されたもので、外箱4の左側板4a、右側板4b、天板4c、底板4dおよび背板4eとそれぞれ対向する左側板6a、右側板6b、天板6c、底板6dおよび背板6eを有する前面に開口した箱状をなしている。
内箱6の底板6dには、外箱4の底板4dの段差部4d−1に対応して機械室34を形成するための段差部6d−1が形成されている。内箱6の背板6eには、断熱仕切壁28を形成する仕切部6fが内箱6の前面開口部に向けて突出している。この仕切部6fは、図5に示すように、内箱6の左側板6a、右側板6b、背板6e、後述する面取り部6ae、6beに開口し、この開口を介して外箱4と内箱6との間に形成される断熱空間8と、断熱仕切壁28の内部とが連通している。
内箱6の左側板6aおよび右側板6bの前端部には、外箱4の左側板4aおよび右側板4bのフランジ部4a−1および4b−1に挿入係合されるフランジ部6a−1および6b−1が形成されている。
また、図1、図2、図5及び図7に示すように、内箱6の背板6eとこれに連なる他の板とがなす角部には、当該角部よりも内箱6の内方に突出する面取り部6ae、6be、6ceが形成されている。具体的には、内箱6の左側板6aと背板6eとがなす角部には、左側板6a及び背板6eを連結する面取り部6aeが上下方向に沿って設けられ、内箱6の右側板6bと背板6eとがなす角部には、右側板6b及び背板6eを連結する面取り部6beが上下方向に沿って設けられ、内箱6の天板6cと背板6eとがなす角部には、天板6c及び背板6eを連結する面取り部6ceが冷蔵庫幅方向に沿って設けられている。
冷蔵庫1に設けられた電気部品のうち、冷蔵室温度センサ11、扉センサ21、24,25、冷凍室温度センサ26、冷蔵ファン53、及び冷凍ファン55等のキャビネット2の内側に設けられた電気部品や、圧縮機56、冷却ファン57、及び三方弁70等のキャビネット2の外側に設けられた電気部品は、内箱6の面取り部6ae、6be、6ceに沿わせて配置されたリード線90によって、キャビネット2の天井壁2cの上面後部に設けられた制御基板46に電気接続されている。
複数のリード線90は、例えば、図5に示すように、天板6c及び背板6eを連結する面取り部6ceの外側(断熱空間8側)で2分割され、一方を右側板6bに向け、他方を左側板6aに向けて面取り部6ceに沿わせて配置されている。
左側板6a又は右側板6bに向けて面取り部6ceに沿わせて配置された複数のリード線90は、面取り部6ceの左端部又は右端部において下方に折れ曲がり面取り部6ae、6beに沿わせて設けられている。面取り部6ae、6beに沿わせて設けられた複数のリード線90は、その一部が面取り部6ae、6beに設けられた導入孔6be−1から内箱6の内側に進入して冷蔵室温度センサ11等のキャビネット2の内側に設けられた電気部品に接続され、残りが外箱4の段差部4d−1を貫通して機械室34に進入して圧縮機56等のキャビネット2の外側に設けられた電気部品に接続される。
そして、面取り部6ae、6be、6ceに沿わせて配置された複数のリード線90は、面取り部6ae、6be、6ceの外側に貼付された保持具100によって引き揃えられた状態で保持されている。
この保持具100は、図6に例示すように、ループ状又はコイル状の起毛部102を備えた面ファスナ104と、面ファスナ104の起毛部102に係止するフック部106を備えた面ファスナ108とを備え、一対の面ファスナ104、108のいずれか一方が両面接着テープなどによって面取り部6ae、6be、6ceの外側に貼付されている。
この例では、面ファスナ108には、フック部106を間引いて形成された複数の収納部110が間隔をあけて平行に設けられており、これらの収納部110に引き揃えられたリード線90が嵌まり込んだ状態で、面ファスナ108のフック部106が面ファスナ104の起毛部102に係止する。保持具100は、収納部110の深さが保持具100で保持するリード線90の外径より大きく設定されており、一対の面ファスナ104,108の間でリード線90を挟持することで、内箱6の面取り部6ae、6be、6ceの外側にリード線90を引き揃えた状態で沿わせて保持する。
保持具100によって内箱6の面取り部6ae、6be、6ceに引き揃えた状態で設けられた複数のリード線90は、図2に示すように、キャビネット2の背壁2eに設けられた真空断熱材7eと内箱6との間で前後方向に挟まれるように配置されてもよく、このような配置に加え、更に、キャビネット2の左側壁2a又は右側壁2bに設けられた真空断熱材7a、7bと内箱6との間で幅方向に挟まれるように配置されてもよい。このような配置により、内箱6に沿わせて設けられ庫内の冷熱によって冷却されやすいリード線90の外側を真空断熱材7a、7b、7eで覆うことができるため、外部への冷熱漏洩を抑えることができるとともに、キャビネット2の角部における結露の発生を抑えることができる。
そして、冷凍サイクル50の冷蔵キャピラリチューブ72及び冷蔵サクションパイプ76は、ロウ付けなどによって互いに熱交換可能に一体化され冷蔵パイプ体73を構成する。
この冷蔵パイプ体73は、図7に示すように、内箱6の内側において背板6eに沿わせて設けられた冷蔵冷却器52から背板6eに設けられた導出孔6e−1を通って断熱空間8内に進入し、左右一方の面取り部、この例では、内箱6の左側板6a及び背板6eを連結する面取り部6aeの外側(断熱空間8側)まで引き出される。面取り部6aeの外側に引き出された冷蔵パイプ体73は、面取り部6aeに沿って上昇した後、面取り部6ceに沿って幅方向反対側(正面から見て右側)の面取り部6beに向かって延び、更に、下方に折れ曲がり面取り部6beに沿って下降し、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。
そして、機械室34に進入した冷蔵パイプ体73は、冷蔵キャピラリチューブ72が三方弁70の一方の出口に接続され、冷蔵サクションパイプ76が圧縮機56の吸入側に接続される。
なお、図7は、内箱6を背面から見ているため、冷蔵パイプ体73の左右方向の向きが逆転している。また、図7では、内箱6の面取り部6ae、6be、6ceに沿わせて設けた複数のリード線90と保持具100を省略している。
また、冷凍サイクル50の冷凍キャピラリチューブ78及び冷凍サクションパイプ82も、冷蔵キャピラリチューブ72及び冷蔵サクションパイプ76と同様、ロウ付けなどによって互いに熱交換可能に一体化され冷凍パイプ体79を構成する。この冷凍パイプ体79は、冷凍冷却器室40の上方を区画する断熱仕切壁28を通って断熱空間8へ進入する。
つまり、冷凍パイプ体79は、内箱6の内側において背板6eに沿わせて設けられた冷凍冷却器54からキャビネット2の断熱仕切壁28を形成する内箱6の仕切部6fの下面に設けられた導出孔6f−1を通って断熱仕切壁28内に進入する。
導出孔6f−1から断熱仕切壁28内に進入した冷凍パイプ体79は、断熱仕切壁28において冷蔵温度帯の貯蔵室より冷凍温度帯の貯蔵室に近接する側(この例では断熱仕切壁28の下側)を通って、上記した冷蔵パイプ体73が引き出された左右一方の面取り部と反対側の面取り部、この例では、内箱6の右側板6b及び背板6eを連結する面取り部6beの外側(断熱空間8側)まで引き出される。
面取り部6beの外側に引き出された冷凍パイプ体79は、上方に向けて折り曲げられ面取り部6beの外側に沿って上昇し、当該面取り部6beの上端部において下方に折り曲げられる。その際、当該面取り部6beの上端部では、冷凍パイプ体79が冷蔵庫幅方向外側から内側に向かって折り曲げられている。これにより、面取り部6beの外側には、冷凍冷却器54に近接する上流側冷凍サクションパイプ82aが、これより下流側(圧縮機56側)に位置する下流側冷凍サクションパイプ82bより冷蔵庫幅方向外側に配置され、上流側冷凍サクションパイプ82a及び下流側冷凍サクションパイプ82bが上下方向に並走している。
そして、このように面取り部6beの外側に沿って設けられた冷凍パイプ体79は、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。機械室34に進入した冷凍パイプ体79は、冷凍キャピラリチューブ78が三方弁70の他方の出口に接続され、冷凍サクションパイプ78が逆止弁84を介して圧縮機56の吸入側に接続される。
冷蔵水受部31に接続された冷蔵排水ホース33は、図7に示すように、背板6eにおいて導出孔6e−1の下方に設けられた導出孔6e−2を通って断熱空間8内に進入し、冷蔵パイプ体73が引き出された左右一方の面取り部6ae(つまり、冷凍パイプ体79が引き出された左右他方の面取り部6beと反対側の面取り部6ae)の外面まで引き出される。面取り部6aeの外面に引き出された冷蔵排水ホース33は、面取り部6aeに沿って下降し、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。
なお、本実施形態では、内箱6の面取り部6ae、6be、6ceの外側に沿って設けられた冷蔵パイプ体73及び冷凍パイプ体79が、内箱6の面取り部6ae、6beの外側に固定された発泡スチロールなどの断熱材を所定形状に成型した断熱固定具130、140によって、面取り部6ae、6be、6ceから所定間隔をあけて断熱空間8に設けられている(図2、図7、図8参照)。
具体的には、内箱6の仕切部6fより上方に設けられた断熱固定具130は、図2に示すように、内箱6の面取り部6ae、6beの断熱空間8側に対向して配置される基部132と、基部132から左右側板6a、6bの断熱空間8側に沿って延びる延出部134とを備える。断熱固定具130は、基部132及び延出部134に設けられた両面接着テープなどに接着剤により内箱6に固定され、基部132の外側に設けられた溝136によって冷蔵パイプ体73や冷凍パイプ体79を保持する。この時、互いに平行して並ぶ冷蔵パイプ体73と冷凍パイプ体79とをインジェクション部品を用いてパイプ体同士を互いに固定してから、断熱固定具130に保持させても良い。これにより、パイプ体73、79を一体に扱って適切な位置に配設できるため、製造性を向上させることができる。
また、内箱6の仕切部6fに設けられた断熱固定具140は、図8に示すように、内箱6の面取り部6beの外側に対向して配置される基部142と、基部142から内箱6側に突出する挿入部144とを備え、挿入部144が面取り部6beに開口する開口部より仕切部6fに挿入されることで内箱6に固定される。基部142の断熱空間8側には、湾曲溝146と直線溝148が設けられている。この断熱固定具140は、湾曲溝146に断熱仕切壁28を通って面取り部6beの外側に引き出され冷凍パイプ体79において上方に向けて折り曲げられた部分が収納され、直線溝148に下流側冷凍サクションパイプ82bを有する冷凍パイプ体79と冷蔵パイプ体73が収納されている。
このように断熱材からなる断熱固定具130,140によって内箱6から離して冷蔵パイプ体73及び冷凍パイプ体79を断熱空間8に設けることで、冷蔵パイプ体73が有する冷蔵サクションパイプ76や、冷凍パイプ体79が有する冷凍サクションパイプ82の冷熱が内箱6に伝導しにくくなり、内箱6の内側における結露の発生を抑えることができる。
なお、上記のように冷蔵パイプ体73や冷凍パイプ体79を面取り部6ae、6be、6ceから所定間隔をあけて断熱空間8に設ける際に、冷蔵パイプ体73が有する冷蔵サクションパイプ76や、冷凍パイプ体79が有する冷凍サクションパイプ82は、キャビネット2の左側壁2aや右側壁2bや背壁2eに設けられた真空断熱材7a、7b、7eに接触せず所定の間隔をあけて断熱空間8に配置することが好ましい。このように冷蔵サクションパイプ76や冷凍サクションパイプ82が真空断熱材7a、7b、7eに接触しないように配置することで、冷蔵サクションパイプ76や冷凍サクションパイプ82の冷熱が、真空断熱材7a、7b、7eの外皮を構成する金属膜層を介して真空断熱材7a、7b、7eに接触する外箱4に伝導しにくくなり、外箱4表面における結露の発生を抑えることができる。
また、本実施形態では、断熱固定具130、140に冷蔵パイプ体73や冷凍パイプ体79を保持させたが、これに加えて断熱空間8に設けられたリード線90や冷蔵排水ホース33を保持させもよい。その際、リード線90や冷蔵排水ホース33は、上流側冷凍サクションパイプ82aを有する冷凍パイプ体79より下流側冷凍サクションパイプ82bを有する冷凍パイプ体79に近接させて断熱固定具130,140に保持させることが好ましい。これにより、リード線90や冷蔵排水ホース33は、冷凍冷却器54から流れ出て間もない比較的低温の冷媒が流れる上流側冷凍サクションパイプ82aの冷熱の影響を受けにくくなり、リード線90が冷却されることにより内箱6に生じる結露の発生を抑えたり、冷蔵排水ホース33を流れる除霜水の凍結を抑えることができる。
放熱パイプ64および防露パイプ66は、外箱4と接触するようにキャビネット2の断熱空間8内に埋設されている。この例では、図2及び図9に示すように、放熱パイプ64は、機械室34から外箱4の段差部4d−1を貫通して断熱空間8内に進入し、外箱4の背板4eに沿って配される背板放熱パイプ64Aと、右側板4bに沿って配される右放熱パイプ64Bと、天板4cに沿って配される天井放熱パイプ64Cと、左側板4aに沿って配される左放熱パイプ64Dとから構成されている。凝縮器58から流れ出た高温高圧の冷媒は、背板放熱パイプ64A、右放熱パイプ64B、天井放熱パイプ64C、左放熱パイプ64Dの順に流れ、その後、防露パイプ66を通って機械室34に設けられたドライヤ68に流れ込む。
背板放熱パイプ64A、右放熱パイプ64B、及び左放熱パイプ64Dは、真空断熱材7e、7b、7aの外箱4側に設けられた凹溝7e−1、7b−1、7a−1に収納され、真空断熱材7e,7b、7aの外側を覆う外箱4の背板4e、右側板4b、左側板4aと接触する。天井放熱パイプ64Cは、天井壁2cの断熱空間8に配設された真空断熱材7cと外箱4の天板4cとの間に設けられ断熱材9内に天板4cと接触するように埋設されている。
なお、背板放熱パイプ64A、右放熱パイプ64B、及び左放熱パイプ64Dは、断熱空間8において真空断熱材7e,7b,7aの外側(外箱4側)であって、その周縁部に近接させて配置してもよい。キャビネット2の左右側壁2a、2bの前端部や、左右側壁2a、2bと背壁2eとの角部は、真空断熱材を設けることが困難であり、真空断熱材で覆われた箇所に比べて断熱性能を確保しにくいが、背板放熱パイプ64A、右放熱パイプ64B、及び左放熱パイプ64Dを真空断熱材7e,7b,7aの外側の周縁部に近接配置することで、断熱性能が確保しにくいキャビネット2の前端部や角部において結露の発生を抑えることができる。
防露パイプ66は、結露が生じやすい扉周囲としてキャビネット2の前面開口部に配設されており、その凝縮熱により扉周囲の露付きを抑制している。
しかして、図1及び図2に示すように、外箱4の左側板4a、右側板4b、背板4eの内面には、左放熱パイプ64D、右放熱パイプ64B、背板放熱パイプ64Aを凹溝7a−1、7b−1、7e−1に収納した状態で面接着テープ或いはホットメルトなどの接着剤により真空断熱材7a、7b、7eが接着され、外箱4の天板4cの内面には、天井放熱パイプ64Cが金属箔テープなどにより固定されている。また、内箱6の天板6cおよび底板6dの外面には、両面接着テープ或いはホットメルトなどの接着剤により真空断熱材7c、7dが接着されている。
そして、外箱4の左側板4a、右側板4b及び天板4cの内側に内箱6を配置して、内箱6の左側板6aおよび右側板6bのフランジ部6a−1aおよび6b−1aを外箱4の左側板4aおよび右側板4bのフランジ部4a−1および4b−1に挿入係合させる。
その後、内箱6の面取り部6ae、6be、6ceには、保持具100が貼付され、複数のリード線90が保持具100によって引き揃えられた状態で配線される。そして、リード線90の配線後、断熱固定具130、140を用いて冷蔵パイプ体73と冷凍パイプ体79を内箱6の面取り部6ae、6be、6ceの外側に所定間隔あけて配置するとともに、冷蔵パイプ体73を内箱6の背板6eに設けられた導出孔6e−1を通して内箱6の断熱空間8側から庫内側の冷蔵冷却器室36へ挿入し、冷凍パイプ体79を内箱6の仕切部6fの下面に沿わせた後、導出孔6f−1を通して庫内側の冷凍冷却器室40へ挿入する。
そして、外箱4の底板4dを外箱4の左側板4a及び右側板4bに取り付け、更に、外箱4の背板4eを左側板4a、右側板4b、底板4dに取り付けて背板4eに設けられた真空断熱材7eを内箱6の背板6eの外面に圧接させる。
その後、外箱4及び内箱6の前面開口部を下方に向けつつ、内箱6内に発泡治具を嵌め込んだ状態にして、外箱4の背板4eに設けられた不図示の注入孔から発泡ウレタン等の発泡断熱材の原液を注入し、断熱空間8において真空断熱材7a,7b,7c,7d,7eが存在しない箇所に断熱材9を発泡充填することで、キャビネット2が形成される。
本実施形態では、冷凍サクションパイプ82が冷凍冷却器54から冷却器室40の上方を区画している断熱仕切壁28の内部を通って断熱空間8へ進入するように配管されているため、キャビネット2の背壁2e内部を通ることなく左右側壁2a、2bと背壁2eとで形成された断熱空間8の角部へ冷凍サクションパイプ82を配管することができる。そのため、背壁2eの広範囲に真空断熱材7eを設けることができ、断熱性能を確保しつつ背壁2eの厚みを抑えることができ、設置スペースに対する内容積の大容量化を図ることができる。
また、本実施形態では、冷凍サクションパイプ82が、キャビネット2の右側壁2bと背壁2eとで形成された断熱空間8の角部において上下に折り返されており、内箱6を介して貯蔵室と対向する左側壁2a、右側壁2b、背壁2e等の断熱空間8に冷凍サクションパイプ82が配設されることがない。そのため、キャビネット2の断熱性能に比較的影響が大きい内箱6を介して貯蔵室と対向する位置に真空断熱材を広範囲に設けつつ、冷凍サクションパイプ82は、内部を流れる冷媒が温度上昇するために必要な長さを確保することができる。
また、本実施形態では、冷凍サイクル50が有する冷蔵冷却器52で生成された除霜水をキャビネット2の外側へ排水する冷蔵排水ホース33を、冷凍サクションパイプ82が配設された断熱空間8の角部と異なる角部に設けており、冷蔵排水ホース33が冷凍冷却器54から流れ出た直後の比較的低温の冷媒が流れる冷凍サクションパイプ82と並走することがないため、冷蔵排水ホース33を流れる除霜水がホース内で凍結するおそれがない。
また,本実施形態では、断熱仕切壁28内部に設けられた冷凍サクションパイプ82が、断熱仕切壁28内部を冷蔵温度帯の貯蔵室より冷凍温度帯の貯蔵室に近接する側を通って面取り部6beの外側の断熱空間8まで引き出されるため、冷凍冷却器54から流れ出て間もない冷凍温度帯に近い温度の冷媒が冷凍サクションパイプ82に流れても、断熱仕切壁28において結露が発生しにくい。
更にまた、本実施形態では、上流側冷凍サクションパイプ82aが下流側冷凍サクションパイプ82bより冷蔵庫の幅方向外側に配置されているため、内箱6の背板6eとこれに連なる他の板とがなす角部に内箱6の内方に突出する面取り部6beを設けることで、冷凍冷却器54から流れ出て間もない比較的低温の冷媒が流れる上流側冷凍サクションパイプ82aと内箱6との間隔を確保しやすくなり、内箱6への結露の発生を抑えることができる。
なお、上記した本実施形態では、冷凍サクションパイプ82が、冷凍冷却器54の天井壁を構成する断熱仕切壁28からキャビネット2の断熱空間8に進入する場合について説明したが、当該貯蔵室の左右いずれかを区画する左側壁2a又は右側壁2bから断熱空間8に進入してもよく、その際、貯蔵室を区画する左側壁2a又は右側壁2bは、背壁2eに垂直な平面であっても、幅方向外方に行くほど前方に向かうような傾斜面であってもよい。このような場合であっても、冷凍冷却器54が内箱6の背板6aに沿わせ設けられているため、キャビネット2の側壁2a,2bをほとんど通ることなく側壁2a、2bと背壁2eとで形成された断熱空間8の角部へ冷凍サクションパイプ82を配管することができ、断熱空間8の広範囲に真空断熱材を設けて設置スペースに対する内容積の大容量化を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図10及び図11を参照して説明する。この第2実施形態は、1つの冷却器154によって、冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とを冷却する点で、冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とをそれぞれ別個の冷却器52、54で冷却する第1実施形態と異なる。
本実施形態では、キャビネット2の内部が、上下に2段の断熱仕切壁28a、28bによって仕切られており、上段の断熱仕切壁28aの上方に冷蔵温度帯の貯蔵室、例えば、冷蔵室10が形成され、上下2段の断熱仕切壁28a、28bの間に冷凍温度帯の貯蔵室、例えば、製氷室14、小冷凍室、冷凍室16が形成され、下段の断熱仕切壁28bの下方に冷蔵温度帯の貯蔵室、例えば、野菜室12が形成されている。上下2段の断熱仕切壁28a、28bの間に形成された冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室14、小冷凍室、冷凍室16)の奥部には、冷却器室120及びダクト121が設けられている。この冷却器室120には、冷却器154及び送風ファン155が設けられており、送風ファン155が、冷却器154で冷却した冷却器室120内の空気をダクト121を介して冷凍温度帯の貯蔵室14,16に供給するとともに、冷蔵温度帯の貯蔵室10、12に供給することで、これらの貯蔵室を冷却する。
このような構成の本実施形態の冷蔵庫1では、冷却器154の冷媒流れ方向の上流側に接続されたキャピラリチューブ178と、冷却器154と圧縮機56の吸込側との間に設けられたサクションパイプ182とが、ロウ付けなどによって互いに熱交換可能に一体化されパイプ体179を構成する。
このパイプ体179は、冷却器室120において内箱6の背板6eに沿わせて設けられた冷却器154から冷却器室120の上方を区画する断熱仕切壁28a又は冷却器室120の左右側方を区画する左右側壁2a、2bから断熱空間8へ進入する。断熱仕切壁28a又は左右側壁2a,2b内に進入したパイプ体179は、左右いずれか一方の面取り部6ae、6be、例えば、右側の面取り部6beの外側まで引き出される。面取り部6beの外側に引き出されたパイプ体179は、上方に向けて折り曲げられ面取り部6beの外側に沿って上昇し、当該面取り部6beの上端部において下方に折り曲げられ、その後、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。
また、冷蔵庫1では、冷却器154で発生した除霜水を受ける水受部135と、この水受部135で受けた除霜水をキャビネット2の外側に設けられた機械室34へ排水する排水ホース137とが設けられている。この排水ホース137は、背板6eに設けられた導出孔6e−2を通って断熱空間8内に進入し、パイプ体179が引き出された左側の面取り部6beと反対側の面取り部6aeの断熱空間8まで引き出され、当該面取り部6aeに沿って下降し、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。
このように1つの冷却器154によって冷蔵温度帯の貯蔵室10,12と冷凍温度帯の貯蔵室14,16とを冷却する本実施形態の冷蔵庫であっても、冷却器室120を上方又は側方を区画する断熱仕切壁28a又は左右側壁2a,2bからサクションパイプ182を断熱空間8へ進入させ断熱空間8を通って機械室34に設けられた圧縮機56に接続することで、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。