JP6796829B2 - 免震床 - Google Patents
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Description
変位復元機構は、例えば、支持床に設けられた復元ばねと、復元ばねと免震床とを連結するワイヤと、を有し、復元ばねの復元力によって免震床を原位置に復元させるように構成されている。
連結部には、通常時に変位復元機構が連結される他に、免震床に残留変位が生じた場合や、施工時やメンテナンスを行う場合などに、免震床を強制的に移動させるために手動ウインチなどの機器類が連結されることがある。
また、連結部を溶接によって鋼板に接合する作業は、手間がかかるという問題もある。
また、連結部を基部に溶接せずに突出板部を平板部に対して折り曲げることで形成できることにより、免震床に連結部を容易に設けることができる。
本発明では、移動手段とは、支持床に対して変位した免震床を原位置に復元するための変位復元機構や、施工時やメンテナンスを行う場合などに、免震床を強制的に移動させるための手動ウインチなどの機器類で、免震床を支持床に沿って移動させるための手段を示している。
免震床が複数の平板部の上面に上側平板部が重なった構造となることにより、免震床の強度を向上させることができる。また、上側平板部の切欠き部に一対の突出板部を挿通させることで上側平板部を複数の平板部の上に容易に配置することができる。
平板部と一体に形成された折り返し板部が上側平板部の上側に折り返されて、平板部とともに上側平板部を挟持することにより、平板部と上側平板部とが離間することを防止できる。
以下、本発明の第1実施形態による免震床について、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態による免震床1Aは、支持床11の上を滑動可能に構成されている。免震床1Aには、支持床11に対して変位した免震床を原位置に復元する変位復元機構12が連結されている。免震床1Aは、支持床11および変位復元機構12とともに免震構造を構成していて、地震が生じた際に支持床11の上を滑動することで免震機能を発揮するように構成されている。
基部2は、平板状に形成されて、板面が水平面となる向きに配置されている。基部2は、水平方向に配列された複数の平板部21,21…がそれぞれの縁部を突き合わせるように接続された構造となっている。複数の平板部21,21…には、それぞれ薄板状の鋼板で用いられている。複数の平板部21,21…は、それぞれ同じ形状に形成されていてもよいし、異なる形状に形成されていてもよい。
連結部3は、平板状に形成された一対の突出板部31,31が互いに重ねあわされた構造となっている。一対の突出板部31,31は、それぞれ水平方向に隣り合う平板部21,21の縁部から上側に突出している。
水平方向に隣り合う平板部21,21のうちの一方を第1平板部22,他方を第2平板部23とし、一対の突出板部31,31のうちの一方を第1突出板部32,他方を第2突出板部33とする。図2に示すように、第1突出板部32および第2突出板部33には、互いに重なる位置にそれぞれ板面を貫通する孔部32a,33aが形成されている。
第2突出板部33は、鋼板で第2平板部23と一体に形成されていて、第2平板部23の縁部から上側に突出している。第2平板部23と第2突出板部33とを合せて第2鋼板部35とする。
以下では、第1鋼板部34と第2鋼板部35とは、第1鋼板部34が第2鋼板部35のY方向の一方側となるようにY方向に配列されているものとする。また、第1鋼板部34ものとする。
図4に示すように、第1鋼板部34は、製作される際に、まず、第1平板部22と第1突出板部32とが同一面上に配置される平板状に形成されている。そして、図2および図3に示すように、第1鋼板部34は、第1突出板部32が第1平板部22に対して第1平板部22と第1突出板部32との境界部34aで略90°折り曲げられることで第1突出板部32が第1平板部22から突出した形状に形成されている。
図4に示すように、第2鋼板部35は、製作される際に、まず、第2平板部23と第2突出板部33とが同一面上に配置される平板状に形成されている。そして、図2および図3に示すように、第2鋼板部35は、第2突出板部33が第2平板部23に対して第2平板部23と第2突出板部33との境界部35aで略90°折り曲げられることで第2突出板部33が第2平板部23から突出した形状に形成されている。
第1突出板部32と第2突出板部33とがY方向に重なった状態における第1突出板部32の孔部32aおよび第2突出板部33の孔部33aを合せ連結用孔部36とする。連結用孔部には、変位復元機構12のワイヤ121または連結部3にワイヤ121を連結する金具を挿通可能に構成されている。連結用孔部36に挿通されたワイヤ121は、連結部3に緊結され、免震床1Aと変位復元装置とを連結している。
また、連結用孔部36には、免震床1Aに残留変位が生じた場合や、施工時やメンテナンスを行う場合などに、免震床1Aを強制的に移動させるために手動ウインチなどの機器類のワイヤなどまたは連結部3にワイヤなどを連結する金具を挿通可能に構成されている。連結用孔部36に挿通されたワイヤは、連結部3に緊結され、免震床1Aと機器類とを連結している。
変位復元機構12は、フロアプレート112の外側において構造床111に設けられたばね部122と、ばね部122と免震床1Aとを連結するワイヤ121と、を有している。変位復元機構12は、ばね部122の付勢力によって免震床1Aを原位置に復元するように構成されている。上述したように、ワイヤ121は、免震床1Aの連結用孔部36に挿通されて連結部3に取り付けられることにより免震床1Aに連結されている。
上述した第1実施形態による免震床1Aでは、変位復元機構12や手動ウインチなどの免震床1Aを移動させるための移動手段が連結される連結部3の一対の突出板部31,31は、それぞれ基部2の平板部21,21と一体に形成されて折り曲げられることで形成されている。連結部3が溶接で基部2に接合されている場合では、溶接によって基部2に反りや歪みが生じたり溶接跡が残ったりする虞がある。これに対し、本発明では、連結部3を基部2に溶接せずに形成することができるため、基部2に反りや歪みが生じたり溶接跡が残ったりする虞がなく、連結部3を免震床1Aの免震性能に影響なく設けることができる。
また、連結部3を基部2に溶接せずに突出板部31,31を平板部21,21に対して折り曲げることで形成できることにより、免震床1Aに連結部3を容易に設けることができる。
次に、他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図5に示すように、第2実施形態による免震床1Bは、図2に示す第1実施形態の免震床1Aと同様の基部2の上に重なるように上側平板部4が設けられている。上側平板部4は、板面が水平面となる向きで配置されている。
上側平板部4は、基部2を構成する複数の平板部21,21…全体の上に重なる1枚の鋼板で形成されている。上側平板部4には、上下方向に貫通するとともに側方に向かって開口し、連結部3を挿通可能な切欠き部41が複数されている。
切欠き部41は、Y方向の長さ寸法が連結部3のY方向の長さ寸法よりやや長く、X方向の長さ寸法が連結部3のX方向の長さ寸法よりもやや長くなるように形成されている。上側平板部4が第1平板部22および第2平板部23の上側に重なるように配置されると、連結部3が切欠き部41に挿通された状態に配置される。
なお、切欠き部41の形状は、挿通される連結部3の形状に対応する形状に形成されている。
図6に示すように、第3実施形態による免震床1Cでは、第2実施形態の免震床1Bと同様に上側平板部4が設けられているとともに、基部2Cが平板部21と連続して設けられた折り返し板部5を有している。
第1平板部22と連続して設けられた折り返し板部5を第1折り返し板部51とし、第2平板部23と連続して設けられた折り返し板部5を第2折り返し板部52とする。
第1折り返し板部51は、第1平板部22および第1突出板部32とは、同一の鋼板で一体に形成されている。図7に示すように、第3実施形態の第1鋼板部34Cは、第1平板部22、第1突出板部32および第1折り返し板部51を有している。第1突出板部32は、Y方向の長さ寸法が例えば40mm程度に設定されている。
第2折り返し板部52は、第2平板部23および第2突出板部33とは、同一の鋼板で一体に形成されている。図7に示すように、第3実施形態の第2鋼板部35Cは、第2平板部23、第2突出板部33および第2折り返し板部52を有している。第2突出板部33は、Y方向の長さ寸法が例えば40mm程度に設定されている。
第2鋼板部35Cは、製作される際に、まず、第2平板部23、第2突出板部33および第2折り返し板部52が同一面上に配置される平板状に形成されている。そして、第1実施形態と同様に、第1鋼板部34Cは、第1突出板部32が第1平板部22に対して略90°折り曲げられることで第2突出板部33が第2平板部23から突出した形状に形成されている。
そして、第1平板部22および第2平板部23の上側に上側平板部4が配置された状態で、第1折り返し板部51を第1平板部22と第1折り返し板部51との境界部34bで上側に折り返すとともに、第2折り返し板部52を第2平板部23と第2折り返し板部52との境界部35bで上側に折り返すことで、第1折り返し板部51および第2折り返し板部52が上側平板部4の上側に配置され、第1平板部22および第2平板部23と共に上側平板部4を挟持する。
なお、第1平板部22および第2平板部23以外の平板部21に接続された折り返し板部5も同様に折り返して上側平板部4の上側に配置する。
第1実施形態による免震床1Aには、免震床1Aを床面に固定し、連結部3に連結したワイヤを介して免震床1Aに300kgf〜500kgfの引張荷重を与え、その後除荷する実験を行った。
第2実施形態および第3実施形態による免震床1B,1Cには、以下のような実験を行った。
まず、床面に沿って延びる下側鉄骨とこの鉄骨から上側に延びる上側鉄骨とを有するL字形状の鉄骨フレームを設置し、下側鉄骨に免震床1B,1Cを固定し、上側フレームに手動ウインチを設置する。手動インチと免震床1B,1Cとをワイヤで連結し、手動ウインチの鉛直方向の下方にローラを設けてワイヤを掛けてワイヤをローラで90°屈曲させる。屈曲部から延びるワイヤは水平方向に延びていて、手動ウインチによる引張力が免震床1B,1Cに水平方向に作用するようにした。そして、連結部3に連結したワイヤを介して免震床1B,1Cに400kgf〜500kgfの引張荷重を与え、その後除荷した。
第2実施形態による免震床1Bでは、400kgfまでの引張力を与えた場合には、基部2は床面から浮き上がらず、連結部3は変形しなかった。
第3実施形態による免震床1Cでは、500kgfの引張力を与えた場合でも、基部2は床面から浮き上がらず、連結部3は変形しなかった。
また、折り返し板部が設けられていない第2実施形態による免震床1Bに比べて、折り返し板部が設けられた第3実施形態による免震床1Cの方が限界引張荷重が大きくなることがわかる。
例えば、上記の実施形態では、第1平板部22および第2平板部23の板面が矩形状に形成されているが、第1平板部22および第2平板部23の板面の形状は適宜設定されてよい。
また、上記の実施形態では変位復元機構12は、ばね部122の付勢力によって免震床1Aを原位置に復元するように構成されているが、ばね部以外の付勢部材によって免震床1Aを原位置に復元するように構成されていてもよい。
2,2C 基部
3 連結部
4 上側平板部
5 折り返し板部
11 支持床
12 変位復元機構(移動手段)
21 平板部
22 第1平板部
23 第2平板部
31 突出板部
32 第1突出板部
33 第2突出板部
34a,34b,35a,35b 境界部
41 切欠き部
51 第1折り返し板部
52 第2折り返し板部
121 ワイヤ
Claims (3)
- 支持床の上を水平方向に滑動可能に構成された免震床において、
前記免震床は、前記支持床の上面に沿って配置される基部と、前記基部から上方に突出し前記免震床を前記支持床に沿って移動させるための移動手段が連結される連結部と、を有し、
前記基部は、それぞれ平板状に形成され板面が水平面となる向きで端部どうしを突き合わせるように水平方向に配列されて接続された複数の平板部を有し、
前記連結部は、前記複数の平板部のうちの水平方向に隣り合う前記平板部それぞれから上側に突出した平板状に形成され互いに対向して重ねあわされた一対の突出板部を有し、
前記平板部と前記突出板部とは、一体に形成されて、前記平板部と前記突出板部とが互いの境界部で折り曲げられることで前記突出板部が前記平板部から突出していることを特徴とする免震床。 - 前記複数の平板部の上側に重なって配置される上側平板部を有し、
前記上側平板部には、前記一対の突出板部が挿通される切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の免震床。 - 前記平板部と一体の平板状に形成されて、前記平板部との境界部で折り返されて上側平板部の上側に重なり、前記上側平板部を前記平板部とともに挟持する折り返し板部を有することを特徴とする請求項2に記載の免震床。
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