JP6795410B2 - 内視鏡用フード - Google Patents

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Description

本発明は、内視鏡の患部挿入側の先端に装着するフードに関する。
近年、外科的開腹術に頼ることなく、経口的に挿入された内視鏡を用いて行う内視鏡用手術が広く行なわれている。特に、食道、胃、大腸等においては、転移を伴わずに局所にとどまる早期癌に対しては、内視鏡の処置具挿通路内を通して病変部まで誘導された処置具を用いて粘膜から限局した病変部を切離する手法が採用されている。
このような内視鏡による切除術としては、3つの方法に大別される。すなわち、a)ポリペクトミー、b)内視鏡的粘膜切除術(EMR)、c)内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)がある。このうち、上記a)の方法は、キノコ形状の腫瘍、ポリープ等に対してスネアと呼ばれる金属の輪をかけて締め上げた後、高周波で焼き切る方法である。上記b)の方法は、平べったい形状の腫瘍のように病変部にスネアをかけることが難しい場合において、病変部の粘膜下層に生理食塩水等を注入することにより病変部を盛り上げ、その部分にスネアをかけて焼き切るという方法である。上記c)の方法は、病変部が大きく(通常2cm以上)、スネアもかけにくい場合において、高周波ナイフを用いて粘膜下層を剥がしながら切除する方法である。
この中でも、特にc)に該当する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)では、病変部をその周囲の非病変部ごと完全に切除するために、病変部の周囲を消化管の表層部である粘膜層のみ切開(粘膜層切開)し、粘膜下層を十分露出させた後、粘膜下層をさらに下の層に位置する固有筋層から剥離(粘膜下層剥離)することによって病変部を切除する。つまり、粘膜層切開に引き続いて粘膜下層剥離が行われる。より具体的には、以下のような工程を経て施術される。
[工程1]内視鏡を体外から消化管内に挿入し、切除目的部位まで到達させ、切除範囲を決定する。
[工程2]切除範囲が遺残なく摘除できるように、消化管壁の表層部である粘膜層を切開し、粘膜下層を露出させる。
[工程3]粘膜下層の下層にある固有筋層を傷つけることのないように、細心の注意を払いながら粘膜下層を剥離していく。その後、これらの工程1〜3の操作を繰り返すことにより、完全に病変部を摘除する。
ところが、一般に、粘膜下層を剥離する際に偶発症として出血又は穿孔、さらに食道の場合は縦隔気腫等を引き起こすおそれがあり、場合によっては生命にかかわる危険をもたらすことがある。特に、上記の[工程3]において、粘膜下層を剥離する際に、切除されつつある粘膜下層の一部が剥離操作部位に覆いかぶさってくるため、次に切除しようとする部位を直視することが困難ないしは不可能になる結果、固有筋層を損傷することによる穿孔のほか、血管損傷による出血を引き起こすおそれがある。それゆえに、安全かつ確実にESDを遂行するためには、相応の経験と高度な技術が施術者に要求される。
外科的開腹術によって病変部を切除する場合は、一般的には左手で病変部の一端を把持・固定できるので、右手で確実かつ正確に病変部を切除することができる。これに対し、ESDにより病変部を切除しようとする場合、内視鏡の処置具挿通路内から誘導された切離処置具が右手であれば、施術者(外科医)の左手に相当する、いわば把持・固定する処置具が存在しない。そのため、そのままの状態であれば、病変部が固定されていない状態で切除しなければならない。加えて、切除過程にある病変部の一部が切除面に被さって覆い隠すため、剥離・切除を盲目的に行なければならない局面も生じる。それゆえに、ESDでは、盲目的な切離操作により血管を損傷させると出血を招いたり、また切除・剥離面が必要以上に深くなってしまうと穿孔を引き起こすおそれがある。このような問題が生じた場合、十分な視野が確保しづらいためにそのリカバーも容易でなく、施術が難航又は遅延することにより生命に関わる局面に至ることも少なくない。
そこで、ESD等においては、外科医の左手の役割として、切除過程にある病変部を牽引・固定するためにいわゆるクリップ牽引法と呼ばれる方法が提案されている(非特許文献1〜3)。これは、内視鏡の処置具挿通路を通した鉗子に予めにクリップを装着し、そのクリップに糸を結んだ状態にして体内に挿入し、病変部をそのままクリップで把持・固定し、体外にある前記糸の他端を施術者が操作しながら病変部(切除部位)を牽引する方法である。
しかしながら、このようなクリップ牽引法では、処置具挿通路を一つしか有さない通常の内視鏡機種等にあっては、粘膜下層剥離操作の前に行う粘膜層切開のために使用するデバイスが処置具挿通路を占有するため、全長にわたって内視鏡の外部に位置する牽引用部材を把持するためのクリップ鉗子を処置具挿通路に通すためには、いったん内視鏡を体外に抜去しなければならない。特に、大腸等のように挿入自体が必ずしも容易ではない施術では、一度内視鏡を抜去してから処置具挿通路にクリップ鉗子を挿通し、糸を装着してから再び挿入しなければならず、患者及び施術者の両者にとって大きな負担を背負うことになる。この抜去・再挿入という工程は一定の時間を要するため、出血時に病変部を牽引し、出血部を展開し直視したいとき等の緊急を要する場合、クリップ牽引法では対応することは困難である。
また、クリップ牽引法における1つの改良形態として、特殊なクリップに弾性素材及びナイロンループが取り付けられた部材を用いてESDを実施する方法が提案されている(非特許文献4)。
しかしながら、この方法で使用される部材は、内視鏡の鉗子口(処置具挿通路)を通過できることを前提とするものであるため、その大きさ、形状等が限定される。例えば大きなクリップが必要な場合は、上記方法を適用することができない。このため、適用できる処置も制限されてしまう。より具体的には、前記弾性素材の長さが制限されるので、牽引するための対側の粘膜の距離が長い部位では適用しづらいという問題がある。また、前記弾性素材の直径のが小さいので、牽引力においても限界がある。さらに、前記部材において2本目のクリップが把持できる部位が小さいことから、そのクリップを把持するための高度な技能が要求される。
小池良樹,平澤大ほか、「食道ESDにおける糸付きクリップ牽引法の有用性:無作為化比較試験」日本消化器内視鏡学会雑誌 Vol.57(1), Jan.2015 上里昌也,赤井崇ほか、「食道内視鏡的粘膜下層剥離術におけるクリップ牽引法の有効性」千葉医 87:237〜243,2011 小山恒男,菊池勇一,鳥谷茂樹ほか、「胃EMRの適応拡大 大きさからみて一括切除を目指した手技の工夫と成績」胃と腸 2002;37:1155-61 ゼオンメディカル株式会社ホームページ「ESDにおけるトラクション法」www.zeonmedical.co.jp/case_report/portal/circulation/pdf/0003.pdf
従って、本発明の主な目的は、内視鏡下に消化管内の病変部及び消化管粘膜を比較的容易に把持・牽引することができる器具を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する内視鏡用フードが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の内視鏡用フードに係る。
1. 内視鏡の体内挿入側の先端部に取り外し可能な状態で装着するフードであって、
(1)前記フードは、前記先端部の外周に取り付けるための第1開口部と、前記先端部から内視鏡に内蔵された処置具の出口となる第2開口部とを有する筒状体であり、
(2)前記フードは、病変部を牽引するための牽引用部材を取り外し可能な状態で仮固定するための仮固定部を有し、
(3)前記仮固定部は、前記牽引用部材が前記処置具により把持できる位置に設けられている、
ことを特徴とする内視鏡用フード。
2. 前記仮固定部が、a)第1開口部、b)第2開口部、c)筒状体内面及びd)筒状体外面の少なくとも1つの位置に設置されている、前記項1に記載の内視鏡用フード。
3. 前記仮固定部が、前記牽引用部材を挟持できるV字状溝構造を有する、前記項1に記載の内視鏡用フード。
4. 前記牽引用部材が糸状部材により構成されており、少なくとも一部にループ部を含む、前記項1に記載の内視鏡用フード。
5. 前記牽引用部材は、その一端がクリップを介して病変部に固定され、他端がクリップを介して前記病変部以外の生体組織に固定される、前記項1に記載の内視鏡用フード。
6. 前記項1に記載の内視鏡用フード及びその仮固定部に取り外し可能な状態で仮固定されている牽引用部材を含むキット。
本発明フードによれば、内視鏡下に消化管内の病変部(病変組織)及び消化管粘膜を比較的容易に把持・牽引することができる。これによって、内視鏡による病変部の剥離・切除を効果的に行うことができる。例えば、リンパ節転移等が認められず、かつ、局所を取り除くことによって完治が期待できる早期消化管腫瘍の治療において、高周波ナイフ等を用いて粘膜を粘膜下層ごと剥離し、切除する内視鏡的粘膜切除術等を行うに際し、直視下に確認される粘膜を確実に消化管の内腔側に牽引し、剥離するための適切な層を直視下に展開し、出血予防のために切除すべき部位の血管の位置及び走行を直接的に確認しながら施術することができる。これにより、ESD等において、安全・確実に病変部下の粘膜下層から病変部を剥離し、切除することが可能となる。
また、本発明フードでは、その一端がクリップを介して病変部に固定され、他端がクリップを介して前記病変部以外の生体組織(特に非病変部)に固定される牽引用部材を用いることもできるので、従来のクリップ牽引法の問題も一挙に解決することができる。
すなわち、第1には、内視鏡を一度抜去し、再挿入するという負担を患者及び施術者のいずれにも負わせることない。第2には、病変部を牽引できる方向が任意に設定することができる。第3には、牽引用部材が最短距離で済むので、体内組織を傷つけるおそれも大幅に低減することができる。第4に、例えば大腸のように大きく屈曲している器官にも適用することができる。
図1(a)は、内視鏡本体に装着された本発明フードの概略図である。図1(b)は、図1(a)の矢印A方向からみた本発明フードの第2開口部を示す図である。 本発明フードに取り付けられる牽引用部材の形態の一例を示す図である。 本発明フードの別の実施形態を示す図である。 本発明フードにおける仮固定部の構成例を示す図である。 牽引用部材である糸状部材を本発明フードに仮固定した状態の一例を示す図である。 牽引用部材である糸状部材を本発明フードに仮固定した状態の一例を示す図である。 消化管内部において、病変部が牽引用部材により牽引されている状態を示す模式図である。
本発明の内視鏡用フード(本発明フード)は、内視鏡の体内挿入側の先端部に取り外し可能な状態で装着するフードであって、
(1)前記フードは、前記先端部の外周に取り付けるための第1開口部と、前記先端部から内視鏡に内蔵された処置具の出口となる第2開口部とを有する筒状体であり、
(2)前記フードは、病変部を牽引するための牽引用部材を取り外し可能な状態で仮固定するための仮固定部を有し、
(3)前記仮固定部は、前記牽引用部材が前記処置具により把持できる位置に設けられている、
ことを特徴とする。
本発明フードの一例を図示しながら説明する。図1には、内視鏡本体20の体内挿入側の先端部に装着された状態の本発明フード10を示す。図1では、牽引用部材が本発明フードに予め取り付けられた状態のものを示す。
本発明フード10は、前記先端部の外周に取り付けるための第1開口部10aと、前記先端部から内視鏡に内蔵された処置具の出口となる第2開口部10bとを有する筒状体である。この筒状体の大きさ、形状等は、既存のフードと同様に設定することができる。また、筒状体の材質も限定的でなく、例えば合成樹脂、合成ゴム、金属(合金を含む。)等のほか、これらの複合材料を採用することができる。後記に示すように、仮固定を磁力により実施する場合等においては、筒状体を金属又はそれを含む複合材料から構成することができる。
そして、本発明フードは、病変部を牽引するための牽引用部材12を取り外し可能な状態で仮固定するための仮固定部11a,11bを有する。
図1ではフード10に仮固定部は2つ設けられているが、仮固定部は1つであっても良いし、2つ以上であっても良い。また、2つ以上の仮固定部を有する場合、その仮固定の方法は、互いに同じであっても良いし、互いに異なっていても良い。
なお、内視鏡本体20の体内挿入側の先端部にフード10を装着・固定する方法及び手段は、公知又は市販のフードと同様にすれば良い。例えば、フード内径と内視鏡先端部の外径をほぼ同じに設定することにより両者がずれないように嵌合する方法、医療用テープをフードを装着した状態でフードの外側から内視鏡先端部に巻き付ける方法等を適宜採用することができる。また、必要に応じて、フード10の内面には、前記先端部がフードを完全に貫通しないようにストッパー(図示せず)等を適宜設けても良い。
図1において、仮固定部11a,11bはいずれも筒状体の内面(内周)に設けられている。本発明では、フードを付けた内視鏡が体内に挿入する際において操作上の支障がない限り、仮固定部は筒状体の外面(外周)に設けられていても良い。また、仮固定部が複数ある場合は、その一部が筒状体の内面に設けられ、残りの一部が筒状体の外面に設けられていても良い。
特に、本発明では、内視鏡本体20の処置具挿通路21から導出される処置具(図示せず)により牽引用部材12を把持できる位置とする。その場合、a)第1開口部(縁部)、b)第2開口部(縁部)、c)筒状体内面及びd)筒状体外面の少なくとも1つの位置のいずれであっても良い。例えば、図1のように、第2開口部(縁部)10b(又は筒状体内面)に仮固定部11a,11bを設け、第2開口部10bを跨ぐように牽引用部材12を配置することにより、処置具(特に鉗子)で容易に牽引用部材を把持することが可能となる。また、牽引用部材をぶら下げる場合、その一部でも把持可能な部位が内視鏡本体20の処置具挿通路21から導出される処置具(図示せず)により牽引用部材12を把持できるような位置にあれば良い。なお、図1では、2つの仮固定部が第2開口部に設けられてるが、その他の実施形態として第1開口部又はその周辺に仮固定部を設定することもできる。
牽引用部材としては、病変部を確実に牽引できる強度を有するものであれば限定されない。その素材としても、生体内に入れても支障がないものであれば制限されず、例えばゴム、樹脂、金属等の各種の材料を用いることができる。また、例えば絹、綿、麻等の天然繊維のような天然由来の素材を用いることもできる。さらに、牽引用部材は、その一部又は全部が弾性材料から構成されていても良い。これにより、切除組織の牽引をよりいっそう効果的に実施することが可能となる。
また、牽引用部材の形態も限定されないが、特に糸状部材を好適に採用することができる。糸状部材を用いる場合、その長さ(全長)は通常1〜10cm程度の範囲内において、例えば病変部の位置、大きさ等に応じて適宜設定することができるが、これに限定されるものではない。また、糸状部材の径(断面形状が円形の場合は直径、その他の形状の場合は最長径)も限定的でないが、通常は0.02〜1mm程度の範囲内とすれば良い。このような牽引用部材としては、例えば既製の医療用縫合糸を用いることも可能である。
さらに、牽引用部材は、クリップで確実に把持できる形態を有することが好ましい。その形態は限定的ではないが、例えば、1)ループ状(リング状)の形態を有するループ部、2)凸状の形態を有する突起形状、こぶ形状(例えば糸状部材を結んで得られる結び目)等の凸部等が挙げられる。
特に、本発明では、糸状部材により構成されており、少なくとも一部にループ部を含む牽引用部材を採用することが望ましい。ループ部を含むことにより、鉗子(特にクリップを装着した鉗子)により牽引用部材をよりいっそう容易に把持することが可能となる。このような形態の牽引用部材としては、例えば図2に示すように、(a)リング状部材、(b)めがね状部材、(c)はしご状部材、(d)チェーン状部材等が挙げられる。
本発明では、フードに取り付ける牽引用部材の数量は限定されない。図1では、牽引用部材は1つであるが、2つ以上を取り付けても良い。従って、長さ等が異なる2つ以上の牽引用部材をフードに搭載しても良い。
仮固定部による仮固定の方法は、脱着可能な状態で固定できるものであれば特に限定されず、機械的な嵌合による方法、磁力による方法、粘着力による方法等のいずれであっても良い。
例えば、機械的な嵌合による方法であれば、筒状体にV字状溝部を1つ又は2つ以上設け、糸状の牽引用部材をV字状溝部に食い込ませることにより仮固定することができる。このV字状溝部は、例えば筒状体の第2開口部(縁部)10bの一部に切り込みを入れることにより形成することができる。より具体的には、例えば図4(a)に示すように、筒状体の第2開口部10bの縁端部に仮固定部として2つの切り込み部11a,11bを設け、先端にループ部を有する牽引用部材12を引っ掛ける方法を採用することができる。
その他の実施形態としては、例えばa)筒状体に貫通孔を形成し、そこに牽引用部材の一部を挿入することにより仮固定する方法、b)筒状体の内面又は外面にマジックテープ(登録商標)等の面ファスナーを固定し、牽引用部材にも一部に面ファイナーを付ける方法、c)例えば図4(b)のように、フード10と一体的に成形されているが適度の力を加えることで離別できるリング状仮固定部11に牽引用部材12を仮固定する方法、d)牽引用部材を磁力によって筒状体に仮固定するため、筒状体に金属又は合金からなる仮固定部を設け、牽引用部材の一部にも金属又は合金からなる固定部位を設け、なおかつ、前記仮固定部及び固定部位の少なくとも一方を磁性体とする方法、e)例えば図4(c)のように、フード10の外周面に形成された凹部からなる2つの仮固定部11a,11b(11bは図示せず)と、それに嵌合できる凸部12a,12b(12bは図示せず)を両端に有する糸状牽引用部材12とを用い、前記凹部及び凸部の嵌合により仮固定する方法、f)輪ゴムに小さな穴をあけて牽引用部材を貫通させたり、接着剤又は粘着剤で一体化させた状態で、当該輪ゴムをフードに巻き付けることによりフードに仮固定する方法等が挙げられる。なお、上記d)の磁力による方法では、病変部を把持牽引した牽引用部材が、再び仮固定部の磁力により悪影響を及ぼさないレベルの磁力に設定されることが好ましい。
また、仮固定に際し、例えば図1に示すように、牽引用部材12は、内視鏡本体20の処置具挿通路21の出口からの延長線上Xに存在しないことが好ましい。すなわち、牽引用部材が内視鏡本体20の処置具挿通路21の出口からの延長線上Xに存在しないように、仮固定部を設置することが好ましい。このように設計することによって、牽引用部材を搭載した状態であっても、牽引用部材が処置具の操作を妨げないので、操作を円滑に行うことができる。
さらに、牽引用部材として糸状部材を仮固定する場合、糸状部材の一端又はその周辺だけ仮固定しても良いし、両端又はその周辺をそれぞれ仮固定しても良い。例えば、図5に示すように、少なくとも両端にループ部を有する糸状部材12の一端を第2開口部10bに設けた仮固定部11a,11bに仮固定し、糸状部材の取り出しに支障を来さない範囲内で、その他端を貫通孔11c,11dを通してフード内に挿通させた状態で仮固定することもできる。
また、別の形態として、図6に示すように、フード側面の内部にトンネル状挿通路13を形成し、挿通路開口部13a,13bを介して糸状部材を挿通させた状態で仮固定することもできる。さらに別の形態としては、トンネル状挿通路に代えて、フード側面の内面に溝状挿通路を形成し、同様に挿通路開口部から導入された糸状部材を溝状挿通路に這わせた状態で仮固定することもできる。これらのトンネル状挿通路又は溝状挿通路を形成することによって、フード全長を利用したかたちで仮固定することが可能となる。
このように、糸状部材の両端又はその付近をあらかじめ仮固定しておくことにより、糸状部材の一端がフリーとなることによる障害(操作の妨げ、視界の遮り等)を未然に回避することができる。
本発明フードを用いて処置する方法を図1を参照しながら説明する。まず、予め牽引用部材12を取り付けた本発明フード10を内視鏡本体20の先端部に装着する。次いで、経口等にて患者の病変部又はその付近に上記先端部を到達させ、病変部の周囲の粘膜層切開又は粘膜下層剥離を開始する。しかるべき段階で、内視鏡の処置具挿通路(鉗子挿通路)21からクリッピング鉗子(図示せず)を出し、クリップを開いた状態でクリップの片翼に牽引用部材12のループ部を引っ掛け、そのまま牽引したい病変部の一部を把持する。クリップ鉗子が病変部を把持した状態になると、クリップ鉗子(クリッピング発射装置)から離脱し、牽引用部材12が付いた状態になったクリップは切除すべき組織の一部を把持した状態になる。さらに、牽引用部材12の他端を同様に二つ目のクリップを使用して牽引したい方向に存在する消化管壁に適度な牽引力が作用する長さで固定させ、牽引し、引っ張ることができる状態が構成される。
本発明では、図1に示す形態とは別の実施形態を採用することもできる。すなわち、図1の牽引用部材は、その一端がクリップを介して病変部に固定され、他端がクリップを介して前記病変部以外の生体組織に固定される部材が採用されているが、例えば図3のような実施形態も採用することができる。すなわち、その一端がクリップを介して病変部に固定され、他端が体外まで延びて体外から施術者の手指で牽引できる部材も採用することができる。図3に示すように、長尺の牽引用部材12の一端aをフード10の仮固定部(図示せず)に取り付け、他端bを体外に出るように配置し、他端bを施術者が手指で牽引操作することができる。図3に示す実施形態では、牽引操作を施術者の手指で行うことができるので、例えば牽引力、牽引量等を微妙に調整することができる。
このように、本発明では、切除組織を牽引用部材によって牽引することにより、切除すべき部位を容易に直視することが可能になり、血管の位置、走行等をより確実に把握しやすくなる。これによって、切除そのものが出血又は穿孔を回避できるという意味で安全になり、切除操作を容易化させることができる。その結果、切除に要する時間の短縮化を図ることができ、早期消化管腫瘍の切除が安全・確実にできるとともに、患者及び施術者の負担の軽減にも寄与することができる。
なお、本発明フードを用いて処置する方法において、病変部に対するマーキング、局注、マーキング後の切開、止血等の各処置については、従来のESD等の場合と同様にして実施すれば良い。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
図1に示すような本発明フード10を用いて早期胃癌をESDにて切除する場合の施術例を以下に示す。図7には、病変部が牽引用部材によって牽引されている状態の模式図を示す。図7に示すように、消化管(胃)30を構成する粘膜層32(粘膜下層を含む。)及び固有筋層31において粘膜層に病変部33がある場合、その病変部33と非病変部32の一部にそれぞれクリップ22でリング状牽引用部材12でつなぎ、病変部を含む粘膜層32が牽引されている。
まず、図2(a)に示すリング状の牽引用部材12を本発明フード10の仮固定部11a,11bに仮固定する。牽引用部材12を取り付けたフードを内視鏡本体20の先端部位に本発明フードを装着させる。
この内視鏡を経口にて消化管内に挿入し、胃の病変部33又その付近(切除目的部位)まで到達させ、切除範囲を決定する。そして、切除範囲が遺残なく摘除できるように消化管壁(胃壁)の表層部である粘膜層32を切開し、その粘膜下層を露出させる。
次いで、内視鏡20の先端(フード10)を病変部に配置した状態のまま、処置具挿通路21を通じてクリップ鉗子(図示せず)を病変部まで誘導する。内視鏡先端部まで誘導したクリップ22aを開き、フードに装着させた牽引用部材12のループ部を引っ掛ける。そのままループ部を引っ掛けた状態でクリップを牽引したい病変部33にあてがい、クリップ22aを閉じることで病変部33を把持する。この時、クリップ22aはクリップ鉗子から離脱する。この場合、必要であれば、内視鏡を病変部から遠ざけるような操作により、牽引用部材12が装着されていたフード10から完全に離脱させる。
離脱した牽引用部材12のもう一方の遊離端の適切な部位を、内視鏡処置具挿通路21からさらに誘導された2本目のクリップ22bを使用で把持しながら、対面する消化管壁32(例えば胃壁の正常組織部分)に同様にして固定する。
このようにして、病変部33が牽引用部材12により持ち上げる方向(病変部がめくられる方向)に張力がかかった状態において、下層にある固有筋層31を傷つけることのないように粘膜下層32を剥離していく。剥離された粘膜下層32は牽引力がかかっているので、順にめくられていく。この場合、特に牽引用部材12の一部又は全部がゴム、バネ等の弾性材料から構成されている場合は、その牽引力をよりいっそう効果的に持続させることができる。このような一連の操作を繰り返すことにより、病変部33を完全に摘除することができる。
以上のような工程により、牽引を所望する病変部を適切な方向に適度の牽引力で引っ張り上げることができ、切除しようとする部位を露出させることができる結果、切除部位及び切除部に存在する血管を直視することが可能になり、安全な切除術が可能になる。仮に出血又は穿孔が生じた場合でも、牽引することで病変部が出血部又は穿孔部に覆い被さることを回避できるため、止血のための操作、穿孔部位を閉じる操作等が比較的容易に実施することができる。
なお、牽引用部材12が内視鏡視野又は切除操作を妨げるようになった場合でも、次のような操作によりその障害を容易に回避することができる。例えば、市販されている既存の鋏鉗子を内視鏡内処置具挿通路を通して病変部まで誘導すれば、牽引用部材を除去できる。また、必要に応じて、高周波ナイフ等によって牽引用部材を切断し、取り除くことも可能である。

Claims (6)

  1. 内視鏡の体内挿入側の先端部に取り外し可能な状態で装着するフードであって、
    (1)前記フードは、前記先端部の外周に取り付けるための第1開口部と、前記先端部から内視鏡に内蔵された処置具の出口となる第2開口部とを有する筒状体であり、
    (2)前記フードは、病変部を牽引するための牽引用部材を取り外し可能な状態で仮固定するための仮固定部を有し、
    (3)前記仮固定部は、前記フードの前記牽引用部材が前記処置具により把持できる位置に設けられている、
    ことを特徴とする内視鏡用フード。
  2. 前記仮固定部が、a)第1開口部、b)第2開口部、c)筒状体内面及びd)筒状体外面の少なくとも1つの位置に設置されている、請求項1に記載の内視鏡用フード。
  3. 前記仮固定部が、前記牽引用部材を挟持できるV字状溝構造を有する、請求項1に記載の内視鏡用フード。
  4. 前記牽引用部材が糸状部材により構成されており、少なくとも一部にループ部を含む、請求項1に記載の内視鏡用フード。
  5. 前記牽引用部材は、その一端がクリップを介して病変部に固定され、他端がクリップを介して前記病変部以外の生体組織に固定される、請求項1に記載の内視鏡用フード。
  6. 請求項1に記載の内視鏡用フード及びその仮固定部に取り外し可能な状態で仮固定されている牽引用部材を含むキット。
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