JP6793715B2 - テトラサイクリンの皮膚用医薬組成物 - Google Patents

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Description

関連出願のクロスリファレンス
本願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、(i)米国仮特許出願第62/304,119号(出願日:2016年3月4日);(ii)米国仮特許出願第62/279,654号(出願日:2016年1月15日);(iii)米国仮特許出願第62/266,650号(出願日:2015年12月13日);(iv)米国仮特許出願第62/251,001号(出願日:2015年11月4日);(v)米国仮特許出願第62/245,262号(出願日:2015年10月22日);および(vi)米国仮特許出願第62/137,216号(出願日:2015年3月23日)に基づく優先権の利益を主張する。
技術分野
本開示は、一般に、医薬組成物およびそのような組成物の製造方法、ならびに関連する用途に関する。用途には、例えば、とりわけ、様々な皮膚の状態や疾患の治療が含まれる。より具体的には、本開示は、例えば、テトラサイクリン系の活性成分、マグネシウム塩などのマグネシウム源、一価の脂肪族アルコール、およびポリオールを含有する安定な組成物、およびそのような組成物を製造および使用するための関連する方法に関する。また、例えば、ミノサイクリン、マグネシウム塩、および硫酸化合物(sulfite compound)を非水性溶媒中に含む安定な組成物およびそのような組成物を製造および使用するための関連する方法を提供する。
背景
テトラサイクリン系の抗生物質は50年以上にわたりいくつか知られているが、商業的に成功した製品を製造するために同時に対処しなければならない多くの課題のために、これらの抗生物質を含有する商業的に開発された局所用組成物は比較的少ない。
テトラサイクリン系の薬物、特にミノサイクリンは、その抗炎症効果により、ざ瘡の治療に有用である。それらのざ瘡の治療のための用途は、良好な有効性が示されている経口送達組成物で実証されている。しかしながら、テトラサイクリン系の薬物の全身への送達は、しばしば、下痢、腹部痙攣やめまい等の有害な副作用を伴う。高い全身レベルの薬物は、一般に、より大きな全身性の副作用をもたらす。これらは、例えば、主として全身にではなく、主に皮膚に薬物を送達する局所用組成物を使用することによって有益に低減し得る。残念なことに、ミノサイクリンのようなテトラサイクリン系の薬物の局所製剤はさらに、特に複数週にわたる毎日の適用で皮膚の色素沈着の可能性がある。
薬物の皮内または局所投与は、皮膚または局所の皮膚への効果を目的に、角質層を経て薬物を導入するというものである;すなわち、薬物の薬理学的効果は、薬物が浸透し蓄積する皮内領域に局在する。好ましくは、皮内吸収は、全身の吸収または蓄積がほとんどまたは全くない状態で起こる。薬物の皮内吸収は、適用されたビヒクルから角質層への薬物の分配、角質層を介する薬物の拡散、および角質層から表皮への薬物の分配を含む。対照的に、経皮投与は、治療量の薬物が全身の血液循環において達成されるように皮膚を介して薬物を輸送するというものである。
角質層を介して薬物を送達し、血流に有意の量が入らないよう、薬物の大部分を皮内に保持することを達成する局所用組成物は設計が難しく、革新的なアプローチを必要とする。局所適用される薬物の皮膚または皮膚の特定の層への浸透性はいくつかの要因によって決まる。これらの要因には、皮膚の特徴、薬物の特性(例えば、薬物のサイズ(分子量または分子量)、親油性/親水性、極性など)、適用される薬物の用量、適用される組成物の濃度および体積、薬物と送達ビヒクルとの間の相互作用、および薬物と皮膚との相互作用、および送達ビヒクル中での成分の存在下での薬物と皮膚との相互作用が挙げられる。薬物の局所投与に関与する要因が数多く存在するため、一般に、薬物の皮内送達が首尾よく達成され得るか否かは不確実であると認識されている。このように、局所投与は、患者の便宜と薬物送達の観点から望ましいにもかかわらず、局所投与で承認された薬物が比較的少ないことからも示されるように、テトラサイクリンを含め多くの化合物でほとんど成功していない。
テトラサイクリン系の抗生物質の局所投与に関する1つの重要な課題は、テトラサイクリン系の薬物が安定で、十分に可溶性で、標的組織または皮脂などの体液への浸透が可能な溶媒系を同定することである。
多くのテトラサイクリン系の薬物は、親水性の酸化剤、還元剤、または過酸化剤および/または水との接触および/または溶解による分解に対して敏感である。米国特許出願公開第2014/0147504号に記載されているように、ミノサイクリンの局所製剤の開発における主な課題は、溶液形態では不安定であり、水分、温度および光にも敏感であるという、その化学的性質にあった。この薬物に関する課題に対処するために幾つかの組成物が開発されている。この不安定性は、現在利用可能なすべてのテトラサイクリン系の薬物に当てはまる。
Salmanらは米国特許出願公開第2014/0147504号において、テトラサイクリンを溶解しないかまたはほとんど溶解しない液体媒体中にテトラサイクリンを懸濁させた局所用組成物を記載している。このアプローチは、テトラサイクリンの分解を制限するものとして記載されているが、薬物が液体培地に溶解していない組成物は、製剤中の薬物が皮膚に容易に浸透できないため好ましくない。皮膚に適用される多くの製品は急速な蒸発を受けるため、その適用後に薬物が皮膚表面に残る可能性が高い。そのような固体の薬物形態はバイオアベイラビリティーがない。
テトラサイクリン系の薬物の効力を維持するための別のアプローチは、潜在的に反応し得る物質との相互作用/曝露を制限するために、薬物をコーティングまたは物理的に封入するなどして、潜在的に反応し得る物質から薬物を隔離することである。物理的な封入は、様々な技術によって達成することができる。例えば、Heggieら(米国特許出願公開第2013/0195986号)には、ミノサイクリン粒子をコーティングして、溶媒中に溶解させるのではなく、懸濁させるための組成物が記載されている。しかし、このアプローチは、薬物が溶解していない溶媒系の使用について上述した問題の多くを抱えている。
軟膏等いくつかの提案された溶媒系は油っぽく感じるために、ざ瘡の治療には商業的に実行可能ではない。さらに悪いことに、そのような物質の中には、ざ瘡を局所的に治療するように設計された組成物の送達ビヒクルとしてコメドゲン生成物質の使用など、治療しようとする状態を進行させるものがある。さらに、ペトロラタム、パラフィンワックスおよび/または脂肪族アルコールなどの、疎水性の強い物質のいくつかは、皮膚への薬物の浸透を制限する閉塞性バリアを生じ得る。さらに、いくつかの疎水性物質は高い粘度を有しており、薬物の皮膚への拡散が制限され、薬物のバイオアベイラビリティーを低下させその有効性が制限される。
非局所領域での使用のために設計された組成物は、非局所的使用のために開発されたアプローチまたは組成物が局所適用には適さないように、異なる制約を有する。例えば、静脈内注射用の溶液は、血流中への注射に適合させるために水性の組成物を必要とする。しかしながら、そのような注射は、一般に、有効期限が厳重に管理され、薬局との密接な関係を有する病院や診療所で行われるので、冷蔵などの管理された保存状態は、一般に患者が保管する局所用組成物と比べ、静脈内投与用組成物には適しているかもしれない。米国特許出願公開第2014/0194393号明細書において、Griffithらは、pH調整剤である塩化マグネシウムと酸化防止剤を用いて水性のミノサイクリン組成物を安定化することを提案している。しかしながら、例示されたミノサイクリン組成物について記載された、37℃の暗所保存条件下、2週間後の最大の安定性は84.32%に過ぎない。このレベルの安定性は、ほとんどの薬物適用にとって不十分である。そこに提示されている他の組成物の安定性は様々であるが、一般に、強い水性環境はテトラサイクリン系の薬物の安定性を向上させない。
局所的に適用される薬物組成物は、典型的には、組成物が適用される皮膚組織内の1以上の深さに薬物を均一に送達することを意図するものである。しかしながら、ざ瘡に関わるP. acnesのように、幾つかの皮膚の状態や疾患に関わる細菌は、皮脂細胞を含む、脂質に富む組織などの特定のタイプの組織、または皮脂のような体液に主に存在している。そのような状態や疾患では、局所医薬組成物が、細菌が集中しているこれらの部位に優先的に送達されるならば、より効率的である。
皮脂腺のような標的組織、または皮脂のような標的体液に薬物を送達する送達ビヒクル中で十分な溶解性を可能にしながら、活性なテトラサイクリン系の薬物を安定化させる局所適用組成物が必要とされている。本組成物は、薬物の高い効力、すなわち、皮膚、皮脂および/または皮脂腺への浸透を、これらの部位におけるPropionibacterium acnes(P.acnes)菌の増殖を阻害するのに十分な活性を維持し、反復適用後に視覚的な皮膚の色素沈着を生じない。これらの基準の1以上を満たす組成物がいくつか提供されているが、単一の組成物でこれらの基準の全てまたは大部分を満たす組成物を提供することが望ましい。
本開示は、テトラサイクリン系の薬物を含有する現在の局所用組成物に関連する1以上の制限を克服する。第1の態様において、非水性溶媒中に、ミノサイクリン、マグネシウム塩および亜硫酸化合物を含有する局所用組成物を提供する。1以上の好ましい実施形態では、本組成物は局所投与用である。
第1の態様に関連する1以上の実施形態では、非水性溶媒は、一価の脂肪族アルコールを含んでなる。
1以上のさらなる実施形態では、非水性溶媒は、一価の脂肪族アルコールおよびポリオールを含んでなる。いくつかの関連する実施形態では、一価の脂肪族アルコールとポリオールとの重量比は、1:1〜99:1の範囲である。
さらに1以上の更なる実施形態では、本組成物は、ポリオールよりも一価の脂肪族アルコールの重量%が高い。例えば、1以上の関連する実施形態では、ポリオールに対する一価の脂肪族アルコールのw/wの比は、約2:1〜10:1の範囲である。
1以上のさらなる実施形態では、ミノサイクリンは非水性溶媒に溶解している。
いくつかの実施形態では、マグネシウム塩とミノサイクリンのモル比は、約2:1〜100:1の範囲である。
上記のいずれか1以上に関連するいくつかのさらなる実施形態では、マグネシウム塩は、塩化マグネシウムであるか、または塩化物よりも軟らかい対イオンを有するミノサイクリン塩である。
いくつかのさらなる実施形態では、一価の脂肪族アルコールは、エタノール、イソプロパノール、プロピルアルコール、tert-ブチルアルコール、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの特定の実施形態では、一価の脂肪族アルコールはエタノールである。
さらにいくつかのさらなる実施形態では、局所用組成物は、約0.1重量%〜約4重量%のミノサイクリンを含有する。
1以上のさらなる実施形態では、局所用組成物は、密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間保存したときの、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度の増加が1.0%/週未満である。さらに1以上のさらなる好ましい実施形態では、局所用組成物は、密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間保存したときの4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度の増加が、0.70%/週未満である。
いくつかの実施形態では、局所用組成物は、密閉容器内で25℃、相対湿度60%で12ヶ月間保存したときの、4−エピ−ミノサイクリンであるミノサイクリン分解産物の含有量が7%未満である。
1以上のさらなる実施形態では、ポリオールはC3−C8ジオールまたはトリオールである。さらに特定の具体的な実施形態では、ポリオールはプロピレングリコールである。
1以上のさらなる実施形態では、亜硫酸化合物は、亜硫酸塩であるか、または有機の亜硫酸化合物(organic sulfite)である。1以上の例示的な実施形態では、亜硫酸化合物は、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、またはメタ重亜硫酸塩化合物である。さらに1以上の具体的な実施形態では、亜硫酸化合物は無機の亜硫酸塩である。1以上のさらなる実施形態では、亜硫酸塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムから選択される無機のカチオンを含む無機の亜硫酸塩である。
1以上のさらなる実施形態では、亜硫酸化合物は有機の亜硫酸化合物である。1以上の関連する実施形態では、亜硫酸化合物は亜硫酸のエステルである。例示的な有機の亜硫酸化合物は、例えば、亜硫酸のエステル、アクリル酸の亜硫酸化合物(acrylic sulfites)、および環状の亜硫酸化合物を含む。いくつかの特定の実施形態では、有機の亜硫酸化合物は、亜硫酸エチル、亜硫酸p−トリルまたは亜硫酸イソプロピルである。
いくつかのさらなる実施形態では、局所用組成物は、約0.005重量%〜約3.0重量%の亜硫酸化合物を含む。1以上の特定の実施形態では、亜硫酸化合物は、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、およびメタ重亜硫酸ナトリウムからなる群から選択される。
さらにいくつかのさらなる実施形態では、局所用組成物は、約3重量%未満の水を含む。さらにいくつかの実施形態では、局所用組成物は、約2重量%未満の水を含む。
いくつかのさらなる実施形態では、局所用組成物はさらに精油を含有する。1以上の関連する実施形態では、精油は1,8−シネオールである。いくつかの実施形態では、局所用組成物は、約0.01〜5重量%の1,8−シネオールを含む。
いくつかのさらなる実施形態では、局所用組成物は、増粘剤を含む。1以上の関連する実施形態では、増粘剤はヒドロキシプロピルセルロースである。
さらにいくつかのさらなる実施形態では、組成物はエマルジョンではなく、および/またはナノ粒子(nanoparticles)またはマイクロ粒子(microparticles)を含まない。
いくつかのさらなる実施形態では、局所用組成物は、水と1:9の重量比で混合した場合に3〜6の有効pHを有する。いくつかの実施形態では、局所用組成物は、水と1:9の重量比で混合した場合に約3.8〜約5.0の有効pHを有する。
1以上のさらなる実施形態では、組成物は、ラットに28日間にわたって毎日適用した場合に非刺激性である。例えば、非刺激性組成物は、一般に、皮膚を刺激しないか、またはアレルギー反応を引き起こさない。
いくつかの実施形態では、組成物は、密閉容器中40℃で4週間エージングした後も有意の色変化を示さない。上記に関連するいくつかの特定の実施形態では、有意でない色変化とは、各値が0〜255の範囲で測定され式:色差RGB =((ΔR)2+(ΔG)2+(ΔB)20.5に従って計算される、3次元RGB空間における色差が20未満の色変化である。
さらに別の(即ち第2の)態様において、テトラサイクリン系の薬物またはその塩またはその溶媒和物、マグネシウム塩などのマグネシウム源、一価の脂肪族アルコール、およびポリオールを含む組成物が提供され、ここで、(i)一価の脂肪族アルコールとポリオールとの比は重量比で1:1〜99:1であり、(ii)テトラサイクリン系の薬物は局所用組成物に溶解している。好ましくは、組成物は局所投与用である。
いくつかの実施形態では、第1または第2の態様に関して、マグネシウム源は、テトラサイクリン薬を安定化させるのに有効である。
第2の態様に関する1以上の実施形態では、マグネシウム(マグネシウム源由来の)のテトラサイクリン薬に対するモル比は、約2:1〜約100:1の範囲である。いくつかの関連する実施形態では、マグネシウム源は、塩化物対イオンを有するマグネシウム塩または塩化物よりも柔らかいイオンである。
1以上のさらなる実施形態では、テトラサイクリン系の薬物はミノサイクリンであり、マグネシウム源は、密封容器中25℃、相対湿度60%で12ヶ月間組成物を保存した際に、ミノサイクリンを安定化するのに有効であり、組成物中のミノサイクリン分解産物であるエピマー、4−エピ−ミノサイクリンは7%未満である。例えば、上記保存条件下で、ミノサイクリン対エピマーの比は、w/wで約13:1より大きい。好ましくは、w/wでのミノサイクリン対エピマーの比は約15:1より大きい。
いくつかのさらなる実施形態では、25℃、相対湿度60%で12ヶ月間保存後、ミノサイクリンの少なくとも90%はその活性形態(すなわち、非エピマー化形態)のままである。
本組成物の1以上の実施形態では、一価の脂肪族アルコールは室温で液体である。1以上のさらなる実施形態では、一価の脂肪族アルコールは、エタノール、イソプロパノール、プロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
さらにいくつかのさらなる実施形態では、一価の脂肪族アルコールは、揮発性の一価の脂肪族アルコールである。
ポリオール成分に関連するさらにいくつかの実施形態では、ポリオールは室温で液体である。1以上の特定の実施形態では、ポリオールはC3−C8ジオールまたはトリオールである。さらにいくつかの特定の実施形態では、ポリオールはプロピレングリコールである。
ポリオールに関するさらにいくつかの実施形態では、ポリオールはグリセロールまたはグリセリンではない。
本組成物のいくつかの特定の実施形態では、マグネシウム源は、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、およびそれらの水和物および組合せからなる群から選択される。
1以上の好ましい実施形態では、テトラサイクリン系の薬物は、ミノサイクリンまたはその塩もしくは溶媒和物である。例えば、組成物は、約0.01〜10重量%のミノサイクリンまたは塩またはその溶媒和物を含有し得る。1以上の好ましい実施形態では、ミノサイクリンは水和物ではない。
他の実施形態では、テトラサイクリン系の薬物は、テトラサイクリン、チゲサイクリン、ライムサイクリン、およびドキシサイクリン、ならびにその塩または溶媒和物からなる群から選択される。
さらに別の実施形態では、テトラサイクリン系の薬物はフルオロサイクリンである。
1以上のさらなる実施形態では、組成物はさらに増粘剤を含有する。いくつかの特定の実施形態では、増粘剤はヒドロキシプロピルセルロースである。
組成物のいくつかのさらなる実施形態では、組成物は、25℃で75〜10,000センチポアズの範囲の粘度を有する。第2の態様のいくつかのさらなる実施形態では、組成物は、例えば酸化防止剤、増粘剤、着色剤または他の適当な添加剤などの1以上のさらなる添加剤を含む。
いくつかのさらなる実施形態では、局所用組成物はエマルジョンではない。
いくつかのさらなる実施形態では、局所用組成物は、ナノ粒子またはマイクロ粒子を含まない。
特定の実施形態では、局所用組成物は非水性である。別の実施形態では、局所用組成物は無水である。
1以上のさらなる実施形態では、組成物は、水と1:9の重量比で混合した場合、3〜6の有効pHを有する。
1以上のさらなる実施形態では、組成物は、水と1:9の重量比で混合した場合、約3.8〜約5.0の有効pHを有する。
いくつかの実施形態では、第1および第2の態様および関連する実施形態の組成物のex vivo でのヒトの顔皮膚への浸透効率に、局所用組成物中のテトラサイクリン系の薬物の濃度を乗じた値が、標的組織または標的体液中の標的細菌に対する薬物の最小生育阻止濃度(MIC)を超える。1以上の関連する実施形態では、標的細菌はP.acnesである。
いくつかのさらなる実施形態では、ex vivo でのヒトの顔皮膚への浸透効率は5%を超える。さらにいくつかのさらなる実施形態では、ex vivo でのヒトの顔皮膚への浸透効率は、5%〜30%の範囲である。いくつかの実施形態では、テトラサイクリン系の薬物の浸透効率は、5%を超え、より好ましくは8%を超え、またはより好ましくは10%を超える。いくつかの実施形態では、テトラサイクリン系の薬物の浸透効率は、5%〜30%の範囲内、または5%〜25%の範囲内、または5%〜10%の範囲内、またはより好ましくは10%〜30%の範囲である。
さらにいくつかのさらなる実施形態では、in vivoで皮膚の領域に適用した場合、組成物は60秒未満で乾燥する。
組成物がポリオールおよび1,8−シネオールを含むさらにいくつかの実施形態では、ポリオールと1,8−シネオールとの組み合わせは、週に少なくとも3回適用した場合、2週間以上の長期使用による皮膚の鱗屑化(スケーリング)や極度の乾燥の防止に効果的である。
1以上のさらなる実施形態では、組成物は、in vivoでヒトまたはラットの皮膚の領域に2週間毎日適用した場合に、皮膚組織に対して非色素沈着性である。
さらにいくつかのさらなる実施形態では、組成物は、例えば約0.1%(w/w)〜約10%(w/w)のテトラサイクリン系の薬物を含有する場合、in vivoでヒトまたはラットの皮膚の領域に2週間毎日適用した場合に、皮膚組織に対して非刺激性である。
1以上のさらなる実施形態において、本明細書に記載する組成物は、皮膚に直接適用される。1以上のさらなる実施形態では、本明細書に記載する組成物は、角膜または結膜に適用される。
本明細書はさらに、本明細書に記載する組成物の有効量を、ヒトの体の外側の上皮表面に局所的に適用することを含む、ヒトの患者におけるざ瘡の治療方法を記載する。
さらに別の態様では、ヒトにおいてテトラサイクリン系の薬物による治療に応答する状態または疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、本明細書に記載する組成物を、少なくとも1週間、ヒトの体の外側の上皮表面に少なくとも毎日局所的に適用することを含む。1以上の関連する実施形態では、状態または疾患は皮膚の状態または疾患であり、適用は、局所用組成物を約6週間〜約52週間の期間、1日に1回または2回、皮膚に適用することを含む。
1以上のさらなる実施形態では、皮膚の状態または疾患はざ瘡または酒さである。1以上の具体的な実施形態では、ざ瘡は、尋常性ざ瘡である。さらに別の実施形態では、ざ瘡は閃光状アクネ(acne fulminans)である。
ざ瘡を有する患者を治療する方法に関連する1以上のさらなる実施形態では、本方法は、約6〜約52週間、毎日適用した場合に、炎症病変の数を少なくとも50%または少なくとも70%減らすのに効果的である。1以上の実施形態において、本方法は、医師による全般重症度評価(Investigator's Global Assessment(IGA))スケール(“Guidance for Industry: Acne Vulgaris: Developing Drugs for Treatment”, U.S. Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration, Sept. 2005)によるざ瘡強度スコアを、初発のざ瘡強度スコアが3〜4の範囲、または2〜4の範囲のヒトに、本組成物を6〜52週間局所的に毎日適用した場合に、少なくとも2ポイント減少させるのに有効である。本方法は、6〜52週間の毎日の適用のいずれかの時点で、炎症病変数が少なくとも約50%減少する場合、上記の要件を満たすのに有効である。
1以上のさらなる実施形態では、本明細書に記載する組成物を局所投与する方法、または本明細書に記載する疾患または状態を治療する方法は、被験者の顔全体に本組成物の一回用量を適用し、テトラサイクリン系の薬物の血漿濃度を局所投与の1時間後に測定した場合に、ヒトの患者へ本組成物の1回用量を局所的に適用したときのその患者における薬物血漿レベルが増加しないか、無視できるまたは臨床的に有意でない増加しかもたらさない。
1以上のさらなる実施形態では、皮膚の状態または疾患を治療するための局所使用のための使用説明書を伴っている本明細書に記載の組成物が提供される。1以上の関連する実施形態では、この使用説明書は、本組成物を、約2週間〜少なくとも約6週間の期間、または皮膚の状態または疾患の改善が目で観察されるまで、1日に1〜3回、外側の皮膚表面に適用するための使用説明書を含む。
さらに別の態様では、例えばヒトにおけるざ瘡を治療するのに適した、組成物、好ましくは局所用組成物、の製造方法であって、(i)テトラサイクリン系の薬物またはその塩または溶媒和物、マグネシウム源、揮発性の一価の脂肪族アルコール、およびポリオールを混合して混合物とし、(ii)(i)で得た混合物を攪拌して溶液を形成することを含む、方法を提供する。
さらに別の態様では、組成物の製造方法であって、(i)ミノサイクリン、マグネシウム塩、および亜硫酸化合物を非水性溶媒中で混合して混合物を形成し、(ii)(i)で得た混合物を攪拌して、ミノサイクリンが溶解した溶液を形成する、ことを含む方法を提供する。
前述の態様および実施形態はそれぞれ、他の態様および実施形態のそれぞれおよびすべてに適用されることを意味する。組成物、関連する方法、組成物の成分などのさらなる実施形態は、以下の説明、実施例、図および請求項から明らかであろう。本開示のこれらおよび他の目的および特徴は、以下の詳細な説明と併せて読むと、より完全に明らかとなるであろう。
図1A、1Bは、実施例1に記載した組成物中のエタノール濃度に対する、エタノールとプロピレングリコールを種々の比率で含む液体組成物中のミノサイクリン塩酸塩の最大溶解度を示したグラフである。破線は、塩化マグネシウムを含まない液体組成物中のミノサイクリン塩酸塩の溶解度を示す。実線は、塩化マグネシウム(無水)を含む同様の液体組成物についてのミノサイクリン塩酸塩の溶解度を示す。図1Aは、1%シネオールを含む組成物についてのデータである。図1Bは、シネオールを含まない組成物のデータである。
図2A〜2Dは、実施例3記載の、ミノサイクリン塩酸塩、エタノールおよびプロピレングリコールを含む組成物中の、4−エピ−ミノサイクリンとミノサイクリンの相対濃度の経時的変化を示すグラフである。グラフ中の破線は塩化マグネシウムを含まない組成物である。グラフ中の実線は、塩化マグネシウムを含む同様の液体組成物である。図2Aおよび2Bは、1%シネオールを含む組成物について、それぞれ、4−エピ−ミノサイクリンとミノサイクリンの相対濃度の経時変化を示すグラフである。図2Cおよび2Dは、シネオールを含まない組成物について、それぞれ、4−エピ−ミノサイクリンとミノサイクリンの相対濃度の経時変化を示すグラフである。
図3は、実施例4記載の、ミノサイクリン塩酸塩、塩化マグネシウム、エタノール、およびプロピレングリコールを含む組成物の適用後の、ex vivo でのヒト腹部皮膚に対するミノサイクリンの平均浸透効率を、エタノール濃度に対して示したグラフである。
図4A〜4Cは、実施例6に記載した「対照」組織の結果を示す。図4Aは、皮膚のヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色断面である。図4Bおよび図4Cは、図4Aに示したのとほぼ同じ形状の組織からスライスされた切片の皮膚内のミノサイクリンおよび皮脂の位置を示す、MALDI−TOF質量分析データに基づく画像である。
図5A〜5Cは、実施例6に記載した「処置された」組織の結果を示す。図5Aは、実施例6に記載した、局所用組成物適用後の皮膚のH&E染色断面である。図5Bおよび5Cは、図5Aに示したのとほぼ同じ形状の組織からスライスされた切片の皮膚内のミノサイクリンおよび皮脂の位置を示す、MALDI−TOF質量分析データに基づく画像である。
図6は、実施例7に記載した、ヒト皮膚組織の断面内のミノサイクリンを示す蛍光顕微鏡写真である。
図7A〜Cは、実施例7に記載した、ヒト皮膚組織の横断面内のミノサイクリンを示す蛍光顕微鏡写真である。図7Aは、局所用組成物を適用していないヒト組織の断面を示す。図7Bおよび7Cは、それぞれ約1%および4%(w/w)のミノサイクリン遊離塩基当量を含む局所用組成物を適用したヒト組織の断面を示す。
図8Aは、実施例9に記載した、50℃にて7日間の強制分解後の、マグネシウム対ミノサイクリン遊離塩基当量のモル比に対する、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度の増分を示すグラフである。図8Bは、実施例9に記載したマグネシウム対ミノサイクリン遊離塩基当量のモル比に対する、例示したミノサイクリン組成物の蛍光(A.U.)を示すグラフである。
図9Aおよび9Bは、実施例12に記載した、それぞれ1%および4%ミノサイクリンを含む製剤について、ex vivo での顔皮膚においてHPLCにより測定されたミノサイクリン量(μg/cm)を示す。試験は、インタクトなおよびエピマー化されたミノサイクリンについて、2時間後および4時間後に行った。データは、ドナーの平均±SEを示す(図9Aおよび9Bのいずれも、親水性と親油性の製剤間でP≦0.05)。
図10は、1%および4%ミノサイクリンを含有する局所用製剤について、実施例12に記載したex vivo での試験における、顔皮膚におけるミノサイクリンの濃度(μg/cm)の経時変化を示すプロットである。
図11Aおよび11Bは、実施例12に記載した、それぞれミノサイクリンを1%および4%含有する製剤のex vivo での局所適用から生じるミノサイクリンのエピマー化を示す。
図12A〜12Eは、実施例12に記載した、4%ミノサイクリンを含有する局所製剤をex vivo で適用した顔皮膚の蛍光顕微鏡写真である。
図13Aおよび13Bは、密閉したガラスバイアル内で、40℃、7日間のエージング前後のテトラサイクリンおよびドキシサイクリンを含有する組成物の写真である。
図14A、図14Bおよび図14Cは、それぞれ25℃、30℃および40℃でのエージング条件について、実施例20に記載した組成物中のミノサイクリンの相対濃度を示すプロットである。
図15は、実施例20の組成物SS−0004〜SS−0011の公称ミノサイクリン濃度(塩基当量)に対する水分量を示すプロットである。
図16は、実施例20に記載した、25℃、30℃および40℃でのエージング後の、カールフィッシャー滴定によって測定した組成物の水分量に対する、ミノサイクリンの相対濃度の低下率のベストフィットを示すプロットである。
詳細な説明
以下、本発明をより詳細に説明する。但し、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載した実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態を、本開示が綿密かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように記載する。前述および以下の説明から理解されるように、本明細書に記載された各特徴、およびそのような特徴の2つ以上の各組み合わせは、そのような組み合わせが矛盾しない限り、本開示の範囲内に含まれる。さらに、任意の特徴または特徴の組み合わせは、本発明の任意の実施形態から具体的に除外されてもよい。本発明のさらなる態様および利点は、特に添付の実施例および図面と併せて考慮して、以下の説明および請求項に記載される。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願は、他に記載しない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。同一の用語が、参照により本明細書に組み入れられた刊行物、特許、または特許出願および本開示において定義されている場合、本開示における定義は、統括的な定義(controlling definition)を表す。特定のタイプの化合物、化学などの記載のために参照される刊行物、特許および特許出願については、そのような化合物、化学などに関する部分は、参照により本明細書に組み込まれる文献の部分である。
本明細書中で使用される、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に記載しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「活性成分」は、単一の成分および2以上の異なる成分を含み、「溶媒」は、単一の溶媒ならびに2以上の異なる溶媒または溶媒の複合混合物を指し、「マグネシウム塩」は、単一のマグネシウム塩ならびに2以上の異なるマグネシウム塩などを含む。
発明の詳細な説明および請求の範囲において、以下の用語は、以下に記載した定義に従って用いられる。
「局所用組成物」という用語は、活性医薬成分(API)を含む薬学的に許容される成分を含み、動物またはヒトの患者への投与を意図し、かつ、経口的にまたは静脈内(皮下)注射によって服用される材料とは対照的に、皮膚の表面に適用される材料を指す。局所用組成物は、一般に、適用部位においてその意図された効果を有し、(例えば、経皮組成物の場合のように)血流または他の組織において薬物の有意な濃度をもたらさないことが意図される。本明細書に記載する局所用組成物は、典型的には、皮膚の疾患または状態に関連する症状の緩和、皮膚の疾患または状態の処置、または皮膚の疾患または状態の予防の目的で投与される。
「溶媒」という用語は、1以上の固体成分がある程度溶解している物質を指す。いくつか挙げると、例えば、エタノール、イソプロパノールおよびプロピレングリコールは、ミノサイクリンの溶媒と考えられる。
「テトラサイクリン系の薬物」という用語は、テトラサイクリンおよびテトラサイクリン誘導体、例えば、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびそれらの対応する薬学的に許容される塩の形態ならびにそれらの溶媒和物および水和物を指し、種々の結晶形、多形、アモルファスなどを含む。テトラサイクリン系の抗生物質は、一般に4環オクタヒドロテトラセン−2−カルボキサミド骨格を含むが、骨格上の実際の置換基が変わり得る。
用語「ミノサイクリン」は、(4S,4aS,5aR,12aR)−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−1,10,11,12a−テトラヒドロキシ−3,12−ジオキソ−4a,5,5a,6−テトラヒドロ−4H−テトラセン−2−カルボキサミド(すなわち、CAS番号10118−90−8)およびその対応する薬学的に許容される塩の形態、ならびにその溶媒和物および水和物である。典型的な形態のミノサイクリンは、一般にそれらのCAS番号によって特定される。例えば、ミノサイクリン塩酸塩のCAS番号は13614−98−7である。
「一価の脂肪族アルコール」という用語は、ヒドロキシル官能基が、分枝状または直鎖状アルキル鎖の一部を形成する飽和炭素原子に共有結合している、芳香族環構造を形成する原子を含まない、単一のヒドロキシル基を有する単官能性の有機化合物を指す。一般に、本明細書に記載の組成物に用いるための一価の脂肪族アルコールは、RがC1−C4アルキルである式R−OHに一致する。適当なR基としては、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルが挙げられる。
「ポリオール」という用語は、2以上のヒドロキシル基を含み、3〜8個の炭素原子を有する薬学的に許容されるアルコールを指す。本発明の組成物に使用するのに適したポリオールは、必ずしもその必要はないが、ヒドロキシル基に加えて官能基、例えばエーテル結合を含み得る。本明細書において使用される場合、ポリエチレングリコールはポリオールであるとはみなされない。ポリオールの例としては、プロピレングリコール(PG)およびジプロピレングリコールなどのジオール、グリセロール、1,2,6ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンなどのトリオール、およびソルビトールおよびペンタエリスリトールなどの高級アルコール(すなわち、3を超えるヒドロキシル基を含む)が挙げられる。ポリオールには、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,6ヘキサンジオール、マンニトール、およびキシリトールも含まれる。これらの溶媒のいくつかは、望ましくないかもしれない固体でも、適当な混合物中で組み合わせた場合、本明細書に記載の局所用組成物での使用に適していると認識される。
「シネオール」という用語は、1,8−シネオールを意味する。
「化粧品」という用語は、「洗浄する、美しくする、魅力を高める、または外観を変えるために、塗り込まれる、注がれる、撒かれる、または噴霧される、組み込まれる、あるいは別の方法でヒトの身体に適用されることを意図した物」(U.S. FD&C Act,section 201(i)より)を意味する。米国食品医薬品局(FDA)は、化粧品や医薬品としてさまざまな品目を分類している。その定義は米国FDA分類に従うことを意図している。米国FDAはさらにウェブサイトで「この定義に含まれる製品には、スキンモイスチャライザー、香水、口紅、マニキュア(fingernail polish)、目と顔のメイクアップ調製物、クレンジングシャンプー、パーマネントウェーブ、ヘアカラーおよびデオドラント、ならびに化粧品の成分として使用することを意図した物質が含まれる」と定義している。
薬物または組成物の投与に関して「局所的」という用語は、そのような薬物または組成物の、皮膚または角膜を含む体の外側の上皮表面への適用を指す。この適用に関して、口、鼻、または耳などの身体の開口部の内部への適用は、局所適用であるとはみなされない。
25℃にて実施例1で測定したテトラサイクリン系の薬物の溶解度が少なくとも0.1%(w/w)であれば、溶媒は、そのテトラサイクリン系の薬物を「溶解する」と言える(または逆にその薬物は溶媒に可溶性であると言える)。エマルジョンなどの場合、薬物が溶媒中に取り込まれて溶液を形成するように薬物が溶媒と直接相互作用している場合に限り、その薬物は溶媒に溶解するとされる。したがって、例えば、溶媒との相互作用を制限するためにコーティングされた薬物は、それが粒子の形態のままであれば、その溶媒に溶解しているとは言えない。
溶媒または組成物中に水が添加されていない場合、溶媒または組成物は「無水」であると言える。すなわち、本明細書において、無水組成物は、水が成分として添加されていない組成物である。明確にするために、溶液または組成物は、遊離水(free water)が組成物に添加されない限り、ミノサイクリン塩酸塩の添加によって生じるような、組成物の成分から生じる水を含む場合であっても無水であるとみなされる。本明細書に記載した溶媒の多くは、多かれ少なかれ吸湿性であり、そのような溶媒は、自然に吸収される水に関係なく、無水組成物の一部であり得る。
溶媒または組成物は、カールフィッシャー滴定または他の適切な方法によって測定したときの、溶媒または組成物中の水分量がそれぞれ5重量%未満である場合、「非水性」であると言える。
溶媒または組成物は、大気圧下での沸点が100℃未満である場合、「揮発性」であると言える。揮発性の溶媒または組成物は、典型的には室温および大気圧で容易に蒸発する。揮発性溶媒の例としては、イソプロパノール、エタノールおよびt-ブチルアルコールが挙げられる。不揮発性溶媒の例としては、水、白色ワセリンおよびオリーブ油が挙げられる。
薬物は、活性成分または薬物を除き同一の物質をすべて同一の相対比率で含有する組成物から特定の物質を除いた場合に、暗い環境下、25℃、60%の相対湿度で保存し6ヶ月の時点で測定したときの効力の損失が、本来の組成物での効力の損失よりも大きいならば、組成物中に含まれるその特定の物質の存在によって「安定化」されていると言える。明確にするため、置換(すなわち、安定性増大の評価)を行う場合、組成物中の薬物の重量パーセントは増加せず、除いた物質を薬物以外の他の組成物の成分で、それらの割合が同等になるよう置き換える。例えば、30%(w/w)のA、30%(w/w)のB、20%(w/w)のC、10%(w/w)のDおよび10%(w/w)のEを含有する組成物を成分Aの効果について評価し、Eが有効成分(すなわちテトラサイクリンクラスの薬剤)である場合、比較組成物は0%(w/w)のA(除外成分)、45%(w/w)のB、30%(w/w)のC、15%(w/w)のDおよび10%(w/w)のE(活性成分)を含有する。
「浸透効率」という用語は、実施例4に記載したように組成物を約12mg/cmにて4時間皮膚表面に適用したときの、組成物のヒトの皮膚組織のex vivo 部分への適用後の、角質層から2〜3の層を越えて浸透した(すなわち、2回連続してテープ剥離により上層角質層を除去した後の)テトラサイクリン系の薬物の百分率を指す。
「MIC」または最小生育阻止濃度は、48時間のインキュベーション後に微生物の目に見える増殖を阻害する抗菌化合物の最低濃度として定義される。
略語「(w/w)」は、組成物中の成分の相対濃度を、体積または他の量に基づくのではなく、「重量に対する重量」(すなわち、百分率は総重量に対する百分率を示す)で表すことを示す。テトラサイクリン系の薬物、例えばミノサイクリン、の溶媒和物または水和物に関しては、重量パーセントは、薬物源に含まれる溶媒/または水和物分子に付随する質量に相当するように重量を補正する。例えば、1.16%(w/w)のミノサイクリン塩酸塩二水和物組成物を含む組成物は、ミノサイクリン遊離塩基(457.48)およびミノサイクリン塩酸塩二水和物(529.97)の分子量の比に基づいて1%ミノサイクリン遊離塩基と等価である。
テトラサイクリン系の薬物に関する用語「相対濃度」は、典型的にはHPLC測定によって決定され、活性なテトラサイクリン系の薬物のピーク面積を、HPLCクロマトグラムの溶媒ピークの溶出の溶出後のすべてのピークのピーク面積の合計で除したものに相当する。明確にするために、この測定の目的は、HPLCクロマトグラムが各溶媒ピークのピーク面積を省略し、テトラサイクリン系の薬物および検出されたその主要な分解産物に起因するピークのそれぞれを含むことである。例えば、実施例19に記載の各組成物について、活性なミノサイクリンの相対濃度を測定した。
テトラサイクリン系の薬物のエピマーに関して用語「相対濃度」は、典型的にはHPLC測定によって決定され、活性なテトラサイクリン系の薬物のピーク面積を、HPLCクロマトグラムの溶媒の溶出ピーク後の全てのピークについてのピーク面積の合計で除したものに対応する。明例えば、実施例19に記載の各組成物について、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度を測定した。
テトラサイクリン系の薬物に関して「濃度」という用語は、典型的にはHPLC測定によって決定され、活性なテトラサイクリン系の薬物のピーク面積に、作用標準における活性なテトラサイクリン系の薬物の濃度を乗じ、既知の量の活性なテトラサイクリン薬を含有する作業標準についての活性なテトラサイクリン薬のピーク面積で除したものに対応する。例えば、実施例20に記載の各組成物についてミノサイクリンの濃度を測定した。
「密閉したバイアル」のような「密閉した」という用語は、蒸発によるバイアルからの溶媒または他の物質の有意な損失を封止したバイアルを指す。本明細書に記載した実施例では、密閉されたガラスバイアルは、ポリエチレンコーンで裏打ちされたフェノールキャップで閉じられ、パラフィルムでシールされた、ホウケイ酸ガラスバイアルを指す。ガラスバイアル内での組成物は、アンバーガラスバイアルを使用するか、バイアルをアルミニウムホイルで包むことによって、光から保護した。
「粘度」という用語は、Brookfield LVF粘度計(Brookfield Engineering Laboratories, Inc., Middleboro, MA)または同等品などの、適用可能な粘度レベルの試験に適したスピンドルと速度の組み合わせを有する粘度計を用いた、物質の測定値を指す。
本明細書で使用される「皮膚の状態」とは、皮膚の美容上のおよび病理学上の障害を指す。皮膚の状態には、湿疹、脂漏性皮膚炎、水疱性皮膚炎、皮膚サルコイドーシス、カポジ肉腫、好中球性皮膚炎、接触性皮膚炎、酒さ(rosacea)、乾癬、およびざ瘡(酒さ性ざ瘡(acne rosacea)を含む)などの局所的な炎症性の皮膚状態、ならびに膿痂疹、蜂巣炎、丹毒、毛嚢炎、フルンケル、吹き出もの、ライム病、および他の皮膚感染症等の感染症が挙げられる。
本明細書で使用される「ざ瘡」とは、丘疹、膿疱、嚢胞、結節、面皰、および他の傷(blemishes)または皮膚病変を特徴とする皮膚の障害である。これらの傷や病変は、皮膚腺および毛嚢脂嚢の炎症、ならびに微生物感染、特に細菌感染を伴うことが多い。本明細書において、ざ瘡には、既知のあらゆるタイプのざ瘡が含まれる。ざ瘡の幾つかのタイプとして、尋常性ざ瘡、嚢胞性ざ瘡、萎縮性ざ瘡、臭素ざ瘡(bromide acne)、塩素ざ瘡(chlorine acne)、集簇性ざ瘡(acne conglobata)、化粧品性ざ瘡(acne cosmetica)、洗剤性ざ瘡(acne detergicans)、流行性ざ瘡(epidemic acne)、夏季ざ瘡(acne estivalis)、電撃性ざ瘡(acne fulminans)、ハロゲンざ瘡、硬結性ざ瘡、ヨードざ瘡(iodide acne)、ざ瘡ケロイド、機械的ざ瘡(acne mechanica)、丘疹性ざ瘡、ポマードざ瘡(pomade acne)、月経前ざ瘡(premenstral acne)、膿疱性ざ瘡、壊血病性ざ瘡(acne scorbutica)、腺病性ざ瘡(acne scrofulosorum)、蕁麻疹様ざ瘡、痘瘡状ざ瘡(acne varioliformis)、毒物性ざ瘡(acne venenata)、プロピオン酸ざ瘡(propionic acne)、表皮剥離性ざ瘡(acne excoriee)、グラム陰性ざ瘡(gram negative acne)、ステロイドざ瘡、結節嚢胞性ざ瘡(nodulocystic acne)および酒さ性ざ瘡、が挙げられる。酒さ性ざ瘡は、炎症性病変(紅斑)と毛細血管拡張症を特徴とする。毛細血管拡張症は、多くの疾患に関連する異常な永続的に拡張した血管である。例えば、顔面毛細血管拡張症は、年齢、酒さ性ざ瘡、日光への曝露、およびアルコールの使用に関連する。
物質または成分に関連して「薬学的に許容される」という用語は、本明細書に記載する組成物が含有し得るものであり、特定のレベルで患者に有意の有害な毒物学的影響を引き起こさないもの、またはレベルが特定されない場合、許容されるレベルであると当業者に知られているものを指す。本明細書に記載の組成物中の成分は全て、薬学的に許容されるレベルで提供される。明確にするために、有効成分は、1以上の副作用を引き起こし得、規制の面から許容される副作用プロファイルを有するそのような成分の包含は、それらの成分の「薬学的に許容される」レベルとみなされる。
「薬学的に許容される塩」は、患者に重大な有害な毒物学的影響を引き起こさない、塩形成に適した少なくとも1つの基を有する薬物または活性成分の塩の形態を意味する。本明細書に記載する活性成分は、その薬学的に許容される塩、ならびにその溶媒和物および水和物を包含することを意味する。薬学的に許容される塩には、その薬物中の官能基の性質に依存して、無機酸、有機酸、塩基性アミノ酸、または酸性アミノ酸との反応により調製される塩が含まれる。適切な薬学的に許容される塩としては、例えば、塩基性薬物の溶液を、その塩基性薬物の薬学的に許容される塩の形態を形成することができる酸の溶液、例えば、塩酸、ヨウ素酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、硫酸などが挙げられる。塩基性薬物の典型的なアニオンは、プロトン化形態の場合、塩化物、硫酸塩、臭化物、メシル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、リン酸塩などを含む。このような塩を同定するのに適した薬学的に許容される塩の形態および方法は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use, Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA, 2008; P. H. Stahl and C. G. Wermuth, Edsに記載されている。
本明細書に記載する局所製剤に関して「非刺激性」とは、5匹以上のSprague-Dawleyラットを用いた試験での修正ドレイズスケールの平均スコアが0.50未満である製剤を指す。修正ドレイズ試験は、以下のように実施される急性刺激性試験である。Sprague-Dawleyラットの適用領域を剃毛し、適用領域を約24時間休ませた後、非刺激性石鹸ですすいだ。試験組成物は、ラットの皮膚の10cmの領域に、2.5mg/cmにて、過度にこすりつけることなく均一に適用する。サンプルを24時間曝露させる。24時間後、適用領域の観察を容易にするために、適用領域を1×リン酸緩衝生理食塩水(1×PBS)および非刺激性石鹸で穏やかに洗浄する。次いで、適用領域を以下の尺度に従ってスコア化する。0=刺激のエビデンスなし;1=最小限の紅斑、かろうじて観察可能;2=明確な紅斑、容易に目に見える、ごく僅かな浮腫またはごく僅かな一般的な反応;3=紅斑および丘疹;4=明確な浮腫;5=紅斑、浮腫、および丘疹;6=小水疱性の発疹;7=試験部位を越えて広がる強い反応。
本明細書において「治療有効量」とは、標的組織または標的部位に所望レベルの活性成分を提供するのに必要とされる医薬製剤の量、または医薬製剤中の有効成分の量を意味する。正確な量は、多くの因子、例えば、具体的な有効成分、医薬製剤の成分および物理的特性、意図される患者集団、患者の考慮事項などに依存し、当業者であれば本明細書および関連する文献に記載された情報から容易に決定することができる。
室温とは約20〜25℃の範囲の温度を意味する。室温の厳密な表示を必要とする測定値または他の特徴に関しては、室温は25℃であると解される。
「患者」という用語は、本明細書に記載した組成物の投与によって予防または処置することができる状態に罹患しているかまたは罹りやすい生物を指し、ヒトおよび動物の両方を含む。好ましい動物は哺乳動物である。
「任意の」または「任意に」は、その後に記載した場合があってもなくてもよいことを意味し、したがって、その記載は、その場合があるときとないときを含む。
多くの場合において、本願は数値の範囲を記載する。そのような範囲は、そうすることで本文と矛盾しないかあるいは特に記載しない限り、その範囲の終点を含むと解釈される。
概要
本開示は、テトラサイクリン系の薬物を含む局所用組成物に関する、本明細書中、上記(例えば背景技術)に示した課題の少なくともいくつかを解決するものである。いくつかの組成物試みた結果、本出願人は、テトラサイクリン系の薬物の皮膚への浸透を促進し、そのような薬物が高い溶解性を有する、組成物および関連する溶媒系を見出した。そのような溶媒系では、溶媒が皮膚に浸透するとき薬物は理想的に溶液中に残る。本出願人が認識しているように、浸透前に溶媒の一部が蒸発で失われる場合、皮膚表面上の溶媒中の薬物の濃度は典型的に増加し、これは組成物中の薬物の溶解度がテトラサイクリンクラス化合物を含む改善された局所用組成物を設計する上で考慮すべき重要な特徴であることを意味する。さらに、本出願人によって発見されたように、保存中に薬物が完全に溶解している溶媒を選択することは、組成物全体の薬物濃度の変動を低減または排除する。以下の説明において、ミノサイクリンはしばしば典型的なテトラサイクリンクラス化合物と呼ばれるが、本明細書に開示される組成物および方法は、ミノサイクリン以外のテトラサイクリンクラス化合物にも適用される。さらに、テトラサイクリンクラスを含み、優れた安定性を有する液体組成物も本明細書に記載される。
本願は、局所用組成物および局所用組成物を製造するための関連する方法を提供する。一態様では、局所用組成物は、非水性溶媒中のミノサイクリン、マグネシウム塩および亜硫酸化合物を含み、ミノサイクリン(例示的なテトラサイクリン)、マグネシウム塩および亜硫酸化合物に関する詳細は上記および下記のセクションに記載される。亜硫酸化合物系の酸化防止剤を含む非水性溶媒系(好ましくは親水性溶媒系)中のミノサイクリンおよびマグネシウム塩を含む本明細書に記載するような液体組成物は、非亜硫酸化合物の酸化防止剤を含む組成物と比較して、これらの組成物よりも顕著におよび有利に安定であることが発見された。驚くべきことに、このような組成物は、非亜硫酸化合物ベースの酸化防止剤を含む対応する製剤と比較して、経時的にミノサイクリンの分解が有意に少ないことを示した。このような製剤はまた、色に関して長期の安定性を示し、すなわち保存時に有意の色変化を示さなかった。
別の態様では、テトラサイクリン系の薬物、マグネシウム源、一価の脂肪族アルコールおよびポリオールを含む局所用組成物であって、(i)一価の脂肪族アルコールとポリオールとの間の比が重量比で1:1〜99:1の範囲であり、(ii)テトラサイクリン系の薬物が局所用組成物中に溶解している、組成物が提供される。いくつかの例示的な実施形態において、一価の脂肪族アルコールは、エタノール、イソプロパノール、またはtert-ブチルアルコール(すなわち、t-ブチルアルコール)である。1以上のさらなる例示的な実施形態において、ポリオールは、C3−C8脂肪族、飽和ジオールまたはトリオールである。1以上のさらなる実施形態において、ポリオールは、1,2−ジオール、1,3−ジオールまたはトリオールである。例示的なポリオールとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびグリセロールが挙げられる。組成物および関連する方法のさらなる詳細は本明細書に記載される。
本出願人は、テトラサイクリン系の薬物、マグネシウム源、一価の脂肪族アルコールおよびポリオールの組み合わせが組成物中で共融体(eutectic)を形成し、その結果、示差走査熱量測定(DSC)によって測定されるように、溶媒を蒸発させた後の組成物の融点は、これらの4つの成分の1つが存在しない組成物のそれと比較して低下することを発見した。本出願人はまた、組成物中のミノサイクリンの溶解度が、3つの非薬物成分のうちの1つを含まない組成物についてのミノサイクリンの溶解度と比較して低下することを発見した。溶解度およびDSC測定に基づいて、これらの4つの成分は、局所用組成物に使用するための相乗的特性を有する独特のイオン相互作用または非特異的結合を形成することができると考えられる。これらの相乗的特性は、最適な可溶化のために4つの成分すべてを必要とし得る。理論に束縛されるものではないが、溶媒混合物は、ミノサイクリン−マグネシウム錯体中のイオン電荷を中和し、溶媒混合物中のミノサイクリンの溶解性を、いずれか単独の溶媒中のミノサイクリンの溶解度と比較して増大すると思われる。
1以上の実施形態において、一価の脂肪族アルコールは揮発性であり、ポリオールは不揮発性であり、テトラサイクリン系の薬物は、一価の脂肪族アルコールが、例えば蒸発により、組成物から除かれるかまたはその濃度が低減しても、組成物中に可溶性のままである。このような実施形態では、揮発性の一価の脂肪族アルコールまたは非水性溶媒の組成物に対する安定化効果(例えば、保存中の)と薬物の持続的な溶解性が存在する場合、それらの間で、組成物中のおよび皮膚に適用したとききの両方で、揮発性の一価の脂肪族アルコールの一部または全部が蒸発したとしても、好ましいバランスが達成される。このアプローチは、1)揮発性の一価の脂肪族アルコールが組成物を安定化させると思われ、さらに2)ポリオールがテトラサイクリン系の薬物を皮膚において長期間溶解状態に維持し、したがって、一価の脂肪族アルコールがポリオールに置き換わった場合より長い時間増大した浸透を可能にするため、有利であり得る。長期保存安定性と皮膚に適用したときのテトラサイクリン系の薬物の維持された溶解度のバランスを達成するのに有効な、組成物中の揮発性の一価の脂肪族アルコール、相対的に不揮発性のポリオールおよびテトラサイクリン系の薬物のそれぞれの相対重量パーセントは、本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚の状態または疾患の治療に使用される。組成物が使用され得る皮膚の状態または疾患の非限定的な例としては、ざ瘡、酒さ、脂漏性皮膚炎、乾癬、および膿痂疹などの表在性皮膚感染、ならびに創傷管理が挙げられるが、これらに限定されない。
組成物
上記のとおり、一態様では、局所用組成物は、非水性溶媒中にミノサイクリン、マグネシウム塩、および亜硫酸化合物を含む。さらに別の態様では、組成物は、テトラサイクリン系の薬物、マグネシウム源、一価の脂肪族アルコール、およびポリオールを含む。組成物の成分および特徴については、より詳細に説明する。
テトラサイクリン系の薬物としては、例えば、テトラサイクリン、およびデメクロサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリンなどのテトラサイクリン誘導体、ならびにそれらの対応する薬学的に許容される塩の形態、ならびにその溶媒和物および水和物が挙げられる。テトラサイクリン系の薬物はまた、フルオロサイクリン、すなわち、7−フルオロ−9−置換−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン、例えば、エラバシクリン(TP−434)または7−フルオロ−9−ピロリジノアセトアミド−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリンであってもよい。テトラサイクリンクラスに属する薬物は、一般に4環のオクタヒドロテトラセン−2−カルボキサミド骨格を含むが、骨格上の実際の置換基は変化し得る。テトラサイクリンは広範囲の細菌に対して活性を示す広範囲の抗生物質である。本明細書に記載される組成物において使用するための1つの好ましいテトラサイクリンは、ミノサイクリンである。ミノサイクリンは、広範囲のグラム陽性およびグラム陰性菌に対して活性を有する強力な半合成テトラサイクリンである。ミノサイクリンは、他のテトラサイクリン型化合物と比較してより広いスペクトルを示し、またテトラサイクリンなかで最も脂質に可溶性であり、すなわち、他のテトラサイクリンと比較して様々な組織に容易に浸透することができる。この特徴は、表皮を介する輸送に関して、他のテトラサイクリンと比較してその傾向が強いことから、ミノサイクリンを、特に遊離塩基形態で、局所投与することに関してさらなる手応えを示す。本明細書に記載した組成物は、任意の可能な形態(例えば、遊離塩基として、塩酸塩として、またはそのすべての結晶多形、溶媒和物、水和物または非晶形を含む、他の薬学的に許容される形態)のミノサイクリンまたは任意のテトラサイクリン抗生物質を含むことができる。1以上の好ましい実施形態において、ミノサイクリンまたはミノサイクリン塩は、水和物の形態ではない(すなわち、非水和形態である)。しかし、場合によっては、テトラサイクリン薬は、水和形態、例えば約20重量%未満の水を含む形態であり得る。いくつかの好ましい実施形態において、テトラサイクリン薬は、約5重量%未満の水を含むか、または約2重量%未満の水を含み得る。
局所用組成物中のテトラサイクリン系の薬物(例えば、ミノサイクリン)の量は、典型的には、約0.01重量%〜約10重量%、または約0.1重量%〜約5重量%の範囲である。例示的な範囲としては、約0.1重量%〜約4重量%、または約0.2重量%〜約3重量%または約0.2重量%〜約1.5重量%である。例えば、局所製剤は、以下のいずれかの重量パーセントのミノサイクリンを含む:0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、1.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%など。
局所用組成物はまた、典型的にはマグネシウム塩の形態のマグネシウム源を含む。マグネシウム塩の例としては、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、フッ化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、及びリン酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。マグネシウム塩は、しばしば、水和物として商業的に供給され、水和物は、本発明の製剤に使用することができる。しかし、いくつかの好ましい実施形態では、ミノサイクリンのようなテトラサイクリン系の薬物は水の存在下で不安定のため、マグネシウム塩は無水である。例えば実施例20参照。いくつかの好ましい実施形態では、マグネシウム源は、例えば硫酸塩またはフッ化物のような硬いイオンではなく、塩化物またはヨウ化物のような軟らかい(分極しやすい)イオンである対イオンを有するマグネシウム塩を含む。いくつかのさらなる実施形態において、マグネシウムの供給源は、塩化物イオンかまたは塩化物イオンよりも軟らかい対イオンを有するマグネシウム塩を含む。いくつかのさらなる実施形態では、マグネシウムの供給源は、酢酸イオン(CHCOO−)であるか、または酢酸イオンよりも軟らかい対イオンを有するマグネシウム塩を含む。
硬い/軟らかい酸/塩基(HSAB)理論は、硬から軟までのスケールで酸および塩基を等級分けする。軟らかいイオンを使用すると、混合物内の界面張力が低下し、溶解性が向上する。「軟らかい」として分類されるイオンに寄与する因子としては、大きなサイズ、低い電荷状態、および強い分極率が挙げられる。HSAB理論のさらなる詳細は、本明細書の一部を構成する"Hard and Soft Acids and Bases". J. Am. Chem. Soc. 1963; 85 (22): 3533-9 and Pearson, R.G. “Recent Advances in the Concept of Hard and Soft Acids and Bases.” J. Chem. Education. July 1987, 64 (7): 561-7に記載されている。
実施例1に記載するように、組成物中にマグネシウム塩が存在することは、本組成物中のテトラサイクリン系の薬物、例えばミノサイクリン、の溶解度を顕著に増大させるのに有効である。例えば、図1A参照。理論に縛られないが、ミノサイクリン単独のMIC値と比較したときの、MIC値に対する効果によって証明されるように、マグネシウムは組成物中でミノサイクリンと相互作用するようである。例えば、ミノサイクリン、無水塩化マグネシウム、およびこれら2つを1:1.5w/wで含む混合物についてのMIC測定値を記載している実施例5参照。ミノサイクリン単独では0.125マイクログラム/ミリリットルのMICを示したが、その組合せ物は0.5マイクロリットルのより高いMICを有し、4倍の増加を示した(組合せ物はミノサイクリン単独より4倍活性が低かった)。即ち、組合せ物中の重量差を考慮しても、結果はマグネシウムがミノサイクリンと相互作用していることを示している。分析技術を使用して、抗菌活性における観察された損失がミノサイクリンの分解によるものではないことを確認した。
本明細書に記載した局所用組成物中のマグネシウム源(例えば、マグネシウム塩)の典型的な量は、約0.2〜10重量%の範囲である。テトラサイクリン系の薬物、例えばミノサイクリン、に対するマグネシウム源のモル比は、約2:1〜約100:1の範囲である。例示的なモル比は、典型的には少なくとも約2:1(Mg:テトラサイクリン薬)である。例えば、適切なモル比は、約2:1、約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約4.5:1、約5:1、約5:1、約5.5:1、約6:1、約6.5:1、約7:1、約7.5:1、約8:1、約8.5:1、約9:1、約9.5:1および約10:1である。局所用組成物中のテトラサイクリン系の薬物に対するマグネシウム源の重量/重量(w/w)基準での相対量は、典型的には約1:3〜約3:1の範囲であるが、これよりも大きいまたは小さい範囲も、マグネシウム源およびテトラサイクリン系の薬物の形態の分子量に依存して使用される。従って、ミノサイクリン塩酸塩(すなわち、テトラサイクリンクラスの薬剤)に対するマグネシウム源の重量での相対量は、以下のいずれかの1以上を含み得る:0.4(すなわち、マグネシウムの量が重量でミノサイクリン成分の0.4倍)、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0(すなわち、等しい重量)、約1.5、約2、約2.5、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍または約10倍(上記2つの値の間の任意の範囲およびすべての範囲を含む)。典型的には、マグネシウム源、例えばマグネシウム塩、はミノサイクリンに対してモル過剰で存在する。本明細書に記載した実施例に基づいて、マグネシウム塩が本発明の組成物を安定化させるのに有効であることが分かる。
別法では、あるいはマグネシウム塩に加えてさらに、局所用製剤は、例えばカルシウム、アルミニウム、亜鉛のような二価の金属カチオンの塩を含むことができ、対イオンおよび相対量(例えば、二価金属イオン全体に対する)は、マグネシウム塩について上記した通りである。好ましい二価金属イオンは、ミノサイクリンと相互作用することができるものである。
局所用組成物は、一般に、その非水性溶媒系の一部として、一価の脂肪族アルコール、好ましくはさらに揮発性アルコールを含有する。一般に、本明細書に記載する組成物に使用するための一価の脂肪族アルコールは、式R−OH(式中、RはC−Cアルキル基である)に該当するものである。適当なR基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。好ましくは、一価の脂肪族アルコールは、エチルアルコール、プロピルアルコールまたはブチルアルコールのような一級アルコールである。1つの特に好ましい一価の脂肪族アルコールはエタノールである。いくつかの実施形態では、一価の脂肪族アルコールは、水中の溶解度が5%以上のものである。例えばメタノール、エタノール、1−および2−プロパノール、およびt−ブチルアルコールは水と混和性であり、一方、1−ブタノールは水中での溶解度が約9%であり、2−ブタノールは水中での溶解度が7.7%である。好ましいアルコールは親水性である。
さらに、局所用組成物のさらなる成分(すなわち、その溶媒系の一部を形成する)は、2以上のヒドロキシル基を含み、3〜8の炭素原子を有するポリオールであってもよい。典型的には、ポリオールは脂肪族化合物であり;本発明の組成物に使用するためのポリオールとしては、プロピレングリコール(PG、プロパン−1,2−ジオール)、ヘキシレングリコール(2−メチルペンタン−2,4−ジオール)、1,3−ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、およびジプロピレングリコール等のジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン等のトリオール類、ソルビトール、ペンタエリスリトール等の高級アルコール(3以上の水酸基を含むもの)等が挙げられる。好ましいポリオールはC3−C8ジオールおよびトリオールである。ジオールまたはトリオールは、典型的には約250未満、または約200未満の分子量を有する。場合によっては、ポリオールは約125未満の分子量を有する。ポリオールは、例えばプロピレングリコールのように、場合によっては吸湿性であってもよい。いくつかの実施形態において、ポリオールは、グリセロールまたはグリセリン以外のトリオールである。
エタノールのように、多くの一価の脂肪族アルコールは、テトラサイクリン系の薬物のための安定な溶媒として供することができるが、エタノールとプロピレングリコールの混合物におけるテトラサイクリン系の薬物の溶解性は限られている。さらに、エタノールは揮発性溶媒であるため、皮膚に塗布すると溶媒の多くが迅速に蒸発する。この蒸発は、皮膚の表面上のテトラサイクリン系の薬物の濃度を急激に上昇させ、皮膚表面または皮膚の上層に固体沈着物の形成をもたらす可能性があり、いずれも、特に、しみおよび/または皮膚の色素沈着を引き起こす可能性があるため好ましくない。本明細書に記載する組成物は、少なくとも部分的に、上記の欠点を克服することを目的とする。例えば、1.2%(w/w)のミノサイクリン塩酸塩(ミノサイクリン遊離塩基当量約1%(w/w))、1.2%(w/w)の塩化マグネシウム、77.6%(w/w)のエタノール、および20%(w/w)のプロピレングリコールを含む組成物が考えられる。エタノールは、プロピレングリコールよりもはるかに揮発性であり、すべてのエタノールが皮膚から蒸発しても、エタノール蒸発後に残留する組成物中のミノサイクリン遊離塩基当量の濃度は約4.5%になるであろう。ミノサイクリンは、塩化マグネシウムと組み合わせた場合、約7〜8%までのミノサイクリン遊離塩基当量(温度に依存する)レベルでプロピレングリコールに可溶であることを考慮すると、これは、上記の例では、特に皮膚の上昇した温度において、ミノサイクリンが望ましく(すなわち、溶解した状態で)溶液中に存在することを意味する。さらに、エタノールの一部は蒸発せずにミノサイクリンを皮膚に輸送するので、残留する組成物中のミノサイクリンの濃度はこの計算に記載されている濃度よりも低いであろう。
本明細書に記載する例示的な組成物は、一般に、ポリオールと比較してより高い重量パーセントの一価の脂肪族アルコールを含有する。例えば、本明細書に記載する有利な組成物は、約50%(w/w)〜約95%(w/w)の一価の脂肪族アルコール、約5%(w/w)〜約40%のポリオール、約0.1%(w/w)〜約10%(w/w)のテトラサイクリン系の薬物、および約0.2%(w/w)〜約15%(w/w)のマグネシウム源を含有し得る。本明細書に記載するいくつかの好ましい組成物は、約60%(w/w)〜約90%(w/w)の一価の脂肪族アルコール、約5%(w/w)〜約35%のポリオール、約0.2%(w/w)〜約5%(w/w)のテトラサイクリン系の薬物、および約0.2%(w/w)〜約10%(w/w)のマグネシウム源を含有し得る。
例示的な液体組成物は、例えば、以下の値のそれぞれの間の範囲も含め、以下の重量−重量パーセント:50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%の1以上の一価の脂肪族アルコールを含有することができ、好ましい場合は、アルコールの重量パーセントがポリオールの重量パーセントより高い。本明細書に記載するテトラサイクリン薬物および他の製剤成分のw/w量または範囲と組み合わせることができるアルコール成分のさらなる代表的な範囲は、50〜55%w/w、50〜60%w/w、50〜65%w/w、50〜70%w/w、50〜75%w/w、50〜80%w/w、50〜85%w/w、50〜90%w/w、50〜55%w/w、55〜60%w/w、55〜65%w/w、55〜70%w/w、55〜75%w/w、55〜80%w/w、55〜85%w/w、55〜90%w/w、55〜95%w/w、60〜65%w/w、60〜70%w/w、60〜75%w/w、60〜80%w/w、60〜85%w/w;60〜90%w/w、60〜95%w/w、65〜70%w/w、65〜75%w/w、65〜80%w/w、65〜85%w/w;65〜90%w/w、65〜95%w/w、70〜75%w/w、70〜80%w/w、70〜85%w/w、70〜90%w/w、70〜95%w/w、75〜80%w/w、75〜85%w/w、75〜90%w/w、75〜95%w/w、80〜85%w/w、80〜95%w/w、80〜95%w/w、85〜90%w/w、85〜95%w/w、90〜95%w/wである。
ポリオール成分の代表的な量としては、以下の値のそれぞれの間の範囲も含め、以下のいずれか1以上である:5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%または40%(w/w)が挙げられ、例えば、5%〜10%w/w、5〜15%w/w、5〜20%w/w、5〜30%w/w、5〜35%w/w、5〜40%w/w、10〜15%w/w、10〜20%w/w、10〜25%w/w、10〜30%w/w、10〜35%w/w、10〜40%w/w、15〜20%w/w、15〜25%w/w、15〜30%w/w、15〜35%w/w、15〜40%w/w、20〜25%w/w、20〜30%w/w、20〜35%w/w、20〜40%w/w;25〜30%w/w、25〜35%w/w、25〜40%w/w、30〜35%w/w、30〜40%w/w、または35〜40%w/w。
一般に、一価の脂肪族アルコールとポリオールとの比は、重量で1:1〜99:1の範囲である。上記のように、組成物は一般に、ポリオールと比較してより高い重量パーセントの一価の脂肪族アルコールを含有する。ポリオールに対するアルコールの典型的な重量/重量比は、例えば、約1:1、1.5:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1および95:1である。組成物は、約1:1〜20:1、または約1:1〜約15:1、または約1:1〜約10:1の、または約2:1〜約20:1、または約2:1〜約10:1、または約2:1〜約7:1の重量比の一価の脂肪族アルコールとポリオールを含有し得る。
ある特定の実施形態では、組成物は、疎水性の油またはワックスを含まない。いくつかの他の実施形態では、組成物は、脂肪酸および/または脂肪酸誘導体を含まない。いくつかの実施形態では、液体製剤は発泡剤を含まない。
本発明の組成物はまた、比較的少量の、例えば約10%(w/w)未満の、pH調節剤、保存料、増粘剤、ゲル化剤、乳化剤、酸化防止剤、香料等が挙げられるがこれらに限定されない1以上の局所使用に適した助剤を含有し得る。含有させるのに適した化合物は、例えば、R.C. Rowe, et al., Handbook of Pharmaceutical Excipients (4th Ed.), Pharmaceutical Press, London, 2003に記載されている。
局所用組成物に使用し得るゲル化剤としては、ゲル化特性についてよく知られている慣用のゲル化剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテル;ビニルアルコール;ビニルピロリドン;カラヤガム、ローカストビーンガム、グアーガム、ゼラチンガム、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガントガムなどの天然ガム類;カラゲナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムなど、およびオイドラギット(登録商標)(Rohm Pharma)の商品名などで入手可能なメタクリレートが挙げられる。他のゲル化剤としては、「ルトロール(登録商標)」の商品名などで入手可能なポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー(ポロキサマー)などが挙げられる。好ましいゲル化剤は、フリーのカルボキシル基を含まないもの、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、有機溶媒/冷水溶解性(organo/cold water soluble)セルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロース、エチル(ヒドロキシエチル)セルロースなどである。置換されたセルロースについては、テトラサイクリン薬物の安定性に対するヒドロキシル基の影響を制限するため、および/または選択された溶媒系におけるゲル化剤の溶解性を高めるために、中程度から高度の置換が好ましい。好ましい置換度は、少なくとも1.0、または好ましくは1.2〜6.0、またはより好ましくは2.5〜4.5の範囲である。
組成物はまた、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤が存在する場合、その量は、典型的には組成物の約0.005重量%〜約3.0重量%の範囲である。例えば、約0.01重量%〜約2.5重量%の酸化防止剤、約0.05重量%〜約2重量%の酸化防止剤、および約0.1重量%〜約1.5重量%の酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の量としては、例えば、0.01重量%、0.025重量%、0.05重量%、0.075重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%および1重量%が挙げられる。一実施形態では、組成物中に含まれる酸化防止剤の量は0.01重量%である。別の実施形態では、製剤中に含まれる酸化防止剤の量は0.2重量%である。適切な酸化防止剤としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、tert−ブチルヒドロキノン、没食子酸プロピル、α−トコフェロール、メタ重亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。酸化防止剤の1つの好ましいクラスは、メタ重亜硫酸ナトリウム、グルタチオン、N−アセチルシステイン、チオプロリン、およびタウリンなどの硫黄含有酸化防止剤である。さらなる好ましい組成物は、亜硫酸化合物、BHT、亜セレン酸ナトリウム、DL−アルファトコフェロール、ジチオエリスリトールとDL−アルファトコフェロールとの組み合わせ、およびエリソルビン酸ナトリウムからなるリストから選択される酸化防止剤を含む。重亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩および亜硫酸塩のような亜硫酸の塩および有機エステル(まとめて「亜硫酸化合物」と称される)も好ましい。
1以上の実施形態において、局所用組成物は、適当な量(例えば、約0.005重量%〜約3.0重量%)の、亜硫酸化合物、例えば亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩または重亜硫酸塩を含有し、亜硫酸化合物には適当な対イオンが付随している。実施例19に記載されているように、亜硫酸化合物の酸化防止剤は、本局所用製剤における使用に特に有利である。Table 24に示すように、亜硫酸化合物ベースの酸化防止剤は、局所用ミノサイクリン組成物中の4−エピ−ミノサイクリン形成を阻害するのに特に有益であると思われる。例えば、5および6列目のデータを参照。無機または他のカチオン(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)などの適切な対イオンを有する亜硫酸塩、重亜硫酸塩およびメタ重亜硫酸塩の例は、4−エピ−ミノサイクリンの形成の阻害、ならびに保存時の製剤の有意の色変化(すなわち、暗色化)の防止に特に有効である。例えば、亜硫酸の有機エステル、非環状亜硫酸化合物、および環状亜硫酸化合物等の有機の亜硫酸化合物も使用することができる。有機の亜硫酸化合物の例としては、エチル、p−トリルおよびイソプロピル亜硫酸化合物が挙げられるが、任意の適切な有機亜硫酸化合物を使用してもよい。
実施例19に記載されているように、亜硫酸化合物の酸化防止剤を含有する好ましい組成物は、ベースラインでの4−エピ−ミノサイクリン濃度(ミノサイクリンと比較して)が低く、経時的な4−エピ−ミノサイクリン形成の増加が小さいか増加しない。例えば、いくつかの好ましい組成物では、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインで5.0%未満であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの増加は1.00%未満/週である。いくつかの好ましい組成物において、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で1.0%未満であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの増加は1.00%未満/週である。より好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で1.0%未満であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの増加は0.70%未満/週である。好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度はベースラインの測定で約0.50%〜約1.00%の範囲であり、密閉したガラスバイアル内で、40℃にて4週間にわたり測定したときの増加の割合は、約0.20%〜約0.40%/週の範囲である。
好ましい組成物はさらに、活性なミノサイクリンの高い相対濃度を示し、経時的な活性なミノサイクリン相対濃度の減少が少ないか全く示さない。例えば、いくつかの好ましい組成物では、活性なミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で少なくとも95.0%であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの減少は1.50%未満/週である。いくつかの好ましい組成物では、活性なミノサイクリンの相対濃度はベースラインの測定で少なくとも98.0%であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの減少は1.00%未満/週である。より好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で少なくとも98.50%であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの減少は0.70%未満/週である。好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で約97.0%〜約99.0%の範囲であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの減少は約0.30%〜約1.00%/週の範囲である。
Table 24の6列目に示されるように、亜硫酸化合物ベースの酸化防止剤はまた、ミノサイクリン含有製剤の色変化(すなわち、暗色化)を防止するのに特に有効であると考えられる。この試験では、ベースラインと、密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間エージングした後とで、色の差を評価した。亜硫酸塩の酸化防止剤を含有する4つの組成物(すなわち組成物2−ss、3−sb、17−psおよび1−sbs)は、目視での観察では、エージング後とベースラインとで有意な色の差を示さなかった。非亜硫酸化合物ベースの酸化防止剤を含有する組成物は、採用した保存条件下で経時的に有意の色変化(暗色化)を示した。好ましい組成物は、密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間エージングした後も有意の色変化を示さない。色の変化を評価するための適切な方法は、実施例19に記載されている。
組成物はさらに、1以上の保存料を典型的に組成物の約0.01重量%〜約2.0重量%の範囲の量で含有し得る。保存料の例としては、例えば、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
局所用組成物はまた、天然の油または他の適当な試薬など、好ましい芳香を導入するのに有効な1以上の化合物を少量(例えば0.1〜10重量%)含むことができる。適当な精油としては、例えば、ユーカリ、フランキンセンス、パチュリ、ペパーミント、レモン、ラベンダー、オレンジ、ローズヒップ、ローズマリー、ティーツリー、ジャスミンなどからの植物の精油が挙げられる。例えば、1以上の実施形態において、組成物は、少量(例えば0.1重量%〜5重量%)の1,8−シネオールまたはいくつかの他の精油を含む。
ポリオールと1,8−シネオールとの組み合わせは、特に投与が長期間、例えば2週間以上の場合に、皮膚の鱗屑化(スケーリング)や極度の乾燥を防止するのに特に有効であり得る。予防できる乾燥肌の徴候としては、鱗屑化およびかゆみの両方が含まれる。
局所用組成物は、例えば、溶液、液体、スプレー、泡、ローション、ゲルなどを含む多くの異なる形態であり得る。好ましくは、組成物は液体であり、良好な安定性を有し、皮膚に付着し、滑らかな感触を有する。好ましくは、組成物はエマルジョンではない。一般に、好ましい組成物には、ナノ粒子および/またはマイクロ粒子が存在しないが、場合によっては、ナノ粒子および/またはマイクロ粒子を含み得る。適当な製剤に関するさらなる情報については、例えば、“Remington: The Science and Practice of Pharmacology,” 22nd edition, (Pharmaceutical Press, 2013)を参照。
本明細書に記載する組成物の安定性に関して、実施例3に記載されているように、例示的な組成物について、組成物中のテトラサイクリン系の薬物の経時的な分解の程度を評価するための安定性実験を行った。テトラサイクリン化合物であるミノサイクリンは、例えば、水または極性プロトン性溶媒の存在下でC4エピマー化を受ける。分解産物の抗生物質活性はごく僅かであるので、保存寿命にわたる製剤中のミノサイクリンの有意な分解は製剤の活性低下をもたらす。Tables 3および4の結果から分かるように、18ヶ月の外挿データに基づき、マグネシウム含有組成物は、形成したエピマーの量(および逆に、組成物中に保持されるインタクトなミノサイクリンの量)に関して非マグネシウム組成物と比較して有意な改善を示した。約75〜90%(w/w)のエタノール(すなわち、一価の脂肪族アルコール)および10〜25%(w/w)のプロピレングリコール(すなわち、ポリオール)を含む組成物(すなわち90−Mg、80−Mgおよび75−Mg)が試験条件下で形成したエピマーは、僅か3%(w/w)〜約7%(w/w)であり、一方、マグネシウム不含組成物では、99〜100%のエピマーへの変換が観察された。この試験例は、例えばミノサイクリンの分解/エピマー化を防止/最小化し、および製剤の活性を経時的に維持することにおいて、本組成物に対するマグネシウムの有意な安定化効果を実証するものである。マグネシウム含有組成物をさらに比較すると、約25〜50%(w/w)のエタノール(すなわち一価の脂肪族アルコール)および約50〜75%(w/w)のポリオール(プロピレングリコール)を含有する組成物は、より高い重量%の一価の脂肪族アルコールおよびより低い重量%のポリオールを有するMg含有組成物と比較して、約2倍の外挿された量のエピマーを含んでいた。したがって、1以上の実施形態において、エタノール成分(例えば、一価アルコール)は、特にマグネシウムの存在下で、およびポリオールとの組み合わせた場合において、局所用組成物に対し安定化効果を有するようである。
本明細書に記載の組成物を調製するために、様々な方法を使用することができる。概して、組成物は、薬学的に有効で望ましい組成物を得るのに十分な温度と時間で、本明細書に記載の組成物の成分を一緒に組み合わせることによって調製することができる。本明細書で使用される「一緒に組み合わせる」という用語は、所望の製品を得るために、組成物の成分の全てをほぼ同時に混合すること、または種々の成分を1以上の添加の順序(sequences or orders)で組み合わせることを意味する。組成物は、重量/重量(w/w)または重量/容量(w/v)基準で調製することができる。組成物は、一般に、例えば皮膚の表面に塗りやすいもので、好ましくは垂れ落ちないものである。
組成物は、典型的には、高剪断混合のように十分に撹拌して、成分を混合することによって調製することができる。混合はまた、任意の適切な手動または自動化された手段を用いて任意の適切な方法によって行うことができる。任意の追加工程として、上記の1以上の任意の補助成分が添加される工程が含まれる。医薬製剤の調製方法は当分野で周知であり、例えばHandbook of Pharmaceutical Formulations: Liquid Products, Vol 3, S. Niazi., CRC Press, 2004に記載されている。
組成物は、例えば、指先、スポンジアプリケータ、コットンアプリケーターを用いて、噴霧、エアロゾル化、または任意の他の適切な方法によって、皮膚の患部に直接局所適用することができる。本明細書に記載する組成物は、ミノサイクリンのようなテトラサイクリン系の薬物による処置に効き目のある任意の状態の処置に有用である。本明細書に記載する組成物は、例えば、ざ瘡、膿痂疹、蜂巣炎、丹毒、毛包炎、フルンケル、吹き出もの、ライム病、および他の皮膚感染、酒さ、脂漏性皮膚炎、水疱性皮膚炎、皮膚サルコイドーシス、カポジ肉腫、および好中球性皮膚炎、ならびにそれに関連する炎症が挙げられる。ざ瘡の種類には、例えば、尋常性ざ瘡、酒さ性ざ瘡、集簇性ざ瘡、電撃性ざ瘡、グラム陰性嚢胞疹および膿皮症が含まれる。例えば、組成物は、中等度から重度のざ瘡を治療するために使用することができ、そしてざ瘡は、結節性または嚢胞性であり得る。
1以上の実施形態では、本方法は、本明細書に記載する局所用組成物を、そのような治療を必要とするヒトまたは動物の適用可能な体の表面に投与する工程を含む。一般に、組成物は、処置されるざ瘡または状態が視覚的に減少または消失するまで、慣用の量にて週1回〜数回または毎日、皮膚の患部に適用される。例えば、局所用組成物は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも1日に1回局所的に適用することができ、または6〜52週間またはそれ以上の期間にわたって1日に1回または2回皮膚に適用してもよい。適用の回数および処置の期間は、処置される状態の重篤度、患者の考慮事項などによって変わる。したがって、組成物は、場合によっては、1日に1回、1日2回、1日おき、1週間に1〜3回、1週間に1〜4回、3日おきに適用することができる。
慣用の量は、患部に広がる、例えば、薄く広がるのに十分な量である。所望であれば、治療の有効性は、リーズシステム(Leeds system)(O’ Brien, SC., et al., J. Dermatol Treat 1998; 9:215-220)、包括的ざ瘡重症度スケール(Tan, JK, et al., J. Cutan Med Surg 2007 Nov; 11(6):211-6)またはグローバル・アクネ等級付けシステム(Doshi, A., et al., Int. J. Dermatol 1997 Jun 36(6); 416-8)などの等級付けシステムを用いて定量化することができる。1以上の実施形態において、治療の有効性は、冒された領域の視覚的検査によって評価される。予防的処置として、症状が視覚的に減少または消失しても、予防的処置を継続することがある場合もある。いくつかの実施形態では、治療の有効性は、総病変数の減少の評価によって評価され、本明細書に記載の局所用組成物の適用は、治療の開始から測定した総病変数の減少をもたらすのに有効である。
溶媒系および局所用組成物の特徴
実施例を考慮すると、実施例1は、室温および大気圧下での組成物中のエタノールおよびプロピレングリコールの濃度に対して、同じ溶媒系中でのミノサイクリン単独(すなわち、錯体化していないミノサイクリン)と比較して、マグネシウムで錯体化したミノサイクリンの溶解性を示している。示されるように、マグネシウムで錯体化したミノサイクリンは、エタノールまたはプロピレングリコールのいずれか単独における場合よりも、エタノールおよびプロピレングリコールを含む混合物においてかなり可溶性である。さらに、マグネシウムで錯体化したミノサイクリンは、エタノールおよびプロピレングリコールを含む混合物中でミノサイクリンよりも顕著に溶解性が高い。
実施例1に示されるように、ミノサイクリン塩酸塩は、エタノール、プロピレングリコールおよび塩化マグネシウムを含有する選択された組成物において、室温で100mg/mlを超える溶解度(例えば、100mg/ml〜約165mg/ml)を有する。すなわち、ある特定の好ましい実施形態では、局所用組成物は、テトラサイクリン系の薬物に加えさらに上記の成分、すなわちエタノール、プロピレングリコールおよび塩化マグネシウムを含む。
さらに、実施例1に示されるように、出願人は、マグネシウム源(例えば、塩化マグネシウム)を本明細書に記載の局所用組成物に添加すると、特にアルコールの量(重量)がポリオールの量を超える組成物の場合には、一価の脂肪族アルコール(例えばエタノール)およびポリオール(例えばプロピレングリコール)の混合物におけるテトラサイクリン系の薬物(例えばミノサイクリン)の溶解度が増大することを見出した。このように、1以上の好ましい実施形態では、組成物中のアルコールの量(重量)は、ポリオール成分の量(重量)を超える。
図1Aおよび図1Bに示すグラフでは、ミノサイクリン塩酸塩の濃度は、溶媒系におけるエタノール濃度に対してプロットされている。図1Aおよび1Bはいずれも、組成物が塩化マグネシウムを含有することにより、特にエタノール単独(100%エタノール)およびエタノールとプロピレングリコールの混合物中のエタノール濃度が高い組成物について、ミノサイクリン塩酸塩の溶解度が有意に増大することを示している。さらに、最大の薬物溶解度を達成するために必要な、組成物成分(例えば一価の脂肪族アルコールおよびポリオール)のそれぞれの相対量は、マグネシウム塩の添加によって変化する。特に、実施例1において、エタノールとプロピレングリコールとの混合物について、溶解した薬物のピーク(すなわち最大)濃度は、マグネシウム塩を含有することで、エタノール約25%からエタノール約75%にシフトし、溶解する薬物の最大量は、マグネシウム塩を含有することで約2倍に増大する。
例示的な局所用組成物では、ポリオールに対する一価の脂肪族アルコールの比は1:1(w/w)を超え、すなわち1:1〜99:1(w/w)または3:2〜9:1(w/w)、または2:1〜4:1(w/w)であり、組成物中のポリオールおよび一価の脂肪族アルコールの合計量は、組成物の50%(w/w)、好ましくは組成物の75%(w/w)、またはより好ましくは組成物の90%(w/w)を超える。いくつかの組成物では、エタノールとプロピレングリコールとの比は1:1(w/w)を超え、例えば、1:1〜99:1(w/w)、3:2〜9:1(w/w)、または2:1〜4:1(w/w)であり、組成物中のプロピレングリコールとエタノールの合計量は、組成物の50%(w/w)を超えるか、または好ましくは75%(w/w)を超えるか、またはより好ましくは90%(w/w)を超える。そのような組成物において、テトラサイクリン系の薬物は、1以上の実施形態において、ミノサイクリンである。
揮発性の一価の脂肪族アルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール、を含有する組成物を皮膚に適用する場合、揮発性アルコールは、蒸発、浸透またはその両方により、皮膚の表面から速やかに消失する。この溶媒含量の急速な減少によって、皮膚表面または皮膚組織の上層内の活性なテトラサイクリン系の薬物の濃度が有意に増加し得る。残った溶媒中の物質の溶解度が薬物を溶液中に維持するのに不十分である場合、薬物は固相を形成することがあり、これは、薬物が皮膚に浸透する前に最初に溶解エネルギー障壁を克服しなければならないので、その後の皮膚への薬物の浸透速度が低下する。このため、揮発性の一価の脂肪族アルコールを使用する場合、揮発性アルコールの濃度を最大溶解度より高くすることが好ましい場合がある。
いくつかの組成物では、ポリオールに対する一価の脂肪族アルコールの比は3:1(w/w)を超え、例えば3:1〜99:1(w/w)、3:1〜9:1(w/w)、または4:1〜8:1(w/w)であり、組成物中のプロピレングリコールとエタノールの合計量が、組成物の50%(w/w)を超え、または好ましくは75%を超える、またはより好ましくは組成物の90%(w/w)を超える。そのような組成物において、テトラサイクリン系の薬物は、好ましくはミノサイクリンである。
さらに、ポリオールがアルコールよりも揮発性が低い組成物では、皮膚表面における組成物中の薬物濃度では、ポリオールを使用しない場合よりも典型的に沈殿は遅くなるであろう。このより遅い沈殿速度は、より長い時間薬物が皮膚内へ浸透することを可能にし、標的組織(例えば、表皮、真皮または皮脂腺)または標的の体液(例えば、皮脂)への薬物の送達効率を改善するのに有益であり得る。
実施例2を参照すると、この実施例では示差走査熱量測定のデータが示されており、実施例1に記載された溶解度の差は、主な成分、即ちミノサイクリン、マグネシウム、エタノールおよびプロピレングリコール、の相互作用によって形成される共融体から生じると思われる。
実施例3には短期の安定性データが示されており、マグネシウムの存在により安定化された場合でも、プロピレングリコール単独ではミノサイクリンが十分に安定でないことが示されている。対照的に、安定な組成物は、エタノールとプロピレングリコールを組み合わせることによって得られている。マグネシウムによる安定化は、Table 2の結果から分かるように、組合せ組成物の安定性を顕著に改善している。好ましい組成物は、18ヶ月の安定性に外挿すると、少量のエピマー形成を有する組成物である。使用される加速安定性条件下でのエピマー形成が約15%未満である組成物が好ましい。
実施例4を参照すると、実施例4は、ヒト組織サンプルについてのex vivo での薬剤浸透試験から得られたデータを示す。これらの実験は、組成物の局所適用後に皮膚の最初の何層かを経て浸透するミノサイクリンの量を定量化するものであり、(i)プロピレングリコールがエタノールで置き換わると浸透効率が増加すること、および(ii)皮膚への良好な浸透効率を示している。
いくつかの実施形態では、浸透効率に組成物中のテトラサイクリン系の薬物の濃度を乗じた値は、テトラサイクリン系の薬物についてのP.acnes ATCC 6919細菌の最小生育阻止濃度を望ましく超える。いくつかの実施形態では、(実施例4に記載のex vivo でのヒト皮膚サンプルにおける)テトラサイクリン系の薬物の浸透効率は5%を超え、より好ましくは8%を超え、さらにより好ましくは10%を超える。いくつかの実施形態では、テトラサイクリン系の薬物の浸透効率は、約5%〜30%の範囲、または約5%〜10%の範囲、またはより好ましくは10%〜30%の範囲である。
実施例5で示される結果を考慮すると、この実施例は、ミノサイクリンのMIC値がマグネシウムの存在によって変化し、ミノサイクリンは、カルシウムと形成しない錯体をマグネシウムと形成することを示唆している。MIC値(またはその代わりに指定された倍数)は、標的組織への適切な送達が達成されたかどうかを決めるための閾値として使用することができる。実施例4から得られたデータは、実施例1で測定された溶解度の限界を十分に下回るミノサイクリン濃度で、浸透効率がミノサイクリンについてのMICを超えるには十分であることを示す。
実施例6および7は、本明細書に記載する製剤に含まれる局所的に適用されたミノサイクリンが皮膚に浸透するだけでなく、皮膚の皮脂腺および油性リザーバに優先的かつ有利に分配することを示す。データは、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF質量分析)(実施例6)および蛍光顕微鏡(実施例7)技術を用いた実験から示される(例えば、図4A〜Cおよび図5A〜Cおよび図6参照)。このデータに基づいて、テトラサイクリンは優先的に皮膚の上および皮膚内の両方の脂質に富む組織に送達されると考えられる。
実施例8は、本発明の組成物の毎日の反復局所適用が皮膚に対して非刺激性および非色素沈着性であることを示す、Sprague-Dawleyラットにおけるインビボ試験で得られたデータを示す。このように、1以上の実施形態において、局所用組成物は、皮膚に適用した場合に非刺激性である。さらに別の実施形態では、局所用組成物は、患者の皮膚に適用した場合に非色素沈着性である。
実施例9は、特定の溶媒系について、テトラサイクリン系の薬物に対するマグネシウムのモル比の予備的最適化のための方法を記載する。この方法は、製剤中の薬物の安定性とその蛍光放出との間の大まかな相関を示す。この方法を用いて、ミノサイクリンに対するマグネシウムの最適比を決定することができる。
局所用組成物の様々な例示的な実施形態は、本開示の実施例10に記載される。
本発明製剤の安定性のさらなるサポートとして、実施例11は、ミノサイクリンがプロピレングリコール、エタノールおよび塩化マグネシウムを含む溶液中で安定であることを示す6ヶ月の室温安定性データを提供する。
実施例6および7に関して上述したデータに加え、実施例12は、本発明による液体製剤の優れた皮膚取り込みをさらにサポートするものであり、さらに、例示的な親油性製剤と比較して本製剤の優れた性質を実証する。例示的な1%および4%ミノサイクリン製剤の両方において、取り込み効率は、Table 9に記載の親油性製剤と比較して、本明細書に記載する親水性製剤(ミノサイクリン、塩化マグネシウム、エタノール、プロピレングリコールおよびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む)では2〜3倍高かった。さらに、本発明による製剤は、親油性製剤と比較したとき、処置した皮膚において検出されるミノサイクリンエピマーの量がより少なく、親油性製剤と比較して本発明製剤の安定性が増大したことを示している。蛍光イメージングの結果は、4%ミノサイクリン製剤BPX−4Mが、例示的な4%親油性製剤と比較して、角質層、表皮および毛嚢脂腺の層により多くの量のミノサイクリンを送達したことを示した。
本発明の製剤は、皮膚に局所的に適用された場合、治療有効量のテトラサイクリン系薬物を提供するのに有効である(例えば、実施例13を参照)。また、実施例は、本組成物の非刺激性を示す(例えば、実施例14、15および18を参照)。さらに、実施例16に記載されている結果は、本明細書に記載の組成物について、哺乳動物への反復投与が、ミノサイクリンの投与量レベルで0.0mg/cm/日〜0.5mg/cm/日、好ましくは約0.025mg/cm/日〜約0.5mg/cm/日の範囲、より好ましくは約0.025mg/cm/日〜約0.25mg/cm/日の範囲で安全に行うことができることを示している。より高い用量のミノサイクリンは、より積極的な治療を可能にする。少なくとも0.01mg/cm/日の投与量または少なくとも0.025mg/cm/日の投与量が好ましい。
実施例19は、保存条件下に長時間置いた場合に、本明細書に記載したタイプの液体局所用組成物において、亜硫酸化合物ベースの酸化防止剤を使用することに関するいくつかの利点を示している。この実施例では、(酸化防止剤として)亜硫酸化合物を含有する本明細書に記載の組成物が、非亜硫酸化合物である酸化防止剤を含有する組成物よりも有意により安定であるという認識を強くするものである。好ましい組成物は、ベースラインでの4−エピ−ミノサイクリン相対濃度が低く、代表的な保存条件下で保存した場合の4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度の1週間あたりの増加が少ないかまたは全くないことを示す。例えば、いくつかの好ましい組成物では、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインで5.0%未満であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの増加は1.00%未満/週である。幾つかの好ましい組成物では、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で1.0%未満であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの増加は1.00%未満/週である。より好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で1.0%未満であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの増加は0.70%未満/週である。好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度はベースラインの測定で約0.50%〜約1.00%の範囲であり、密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの増加の割合は、約0.20%〜約0.40%/週の範囲である。
さらに、好ましい組成物は、活性なミノサイクリンの相対濃度が高く、そして活性なミノサイクリンの相対濃度の1週間あたりの減少が小さいか、または全くないことを示す。例えば、いくつかの好ましい組成物では、活性なミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で少なくとも95.0%であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの減少は1.50%/週未満である。いくつかの好ましい組成物では、活性なミノサイクリンの相対濃度はベースラインの測定で少なくとも98.0%であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの減少は1.00%/週未満である。より好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で少なくとも98.50%であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの減少は0.70%未満/週である。好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で約97.0%〜約99.0%の範囲であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたり測定したときの減少は約0.30%〜約1.00%/週の範囲である。4−エピ−ミノサイクリンおよび活性なミノサイクリンの相対濃度を決定するための計算は、実施例19に記載されている。
実施例19に示されるように、酸化防止剤として亜硫酸化合物を含有する代表的な組成物、すなわち組成物2−ss、3−sb、17−psおよび1−sbs、は、上記の保存条件下で試験したとき、エージングした組成物とベースラインの組成物との間で有意の色の差はなかった。他の非亜硫酸化合物含有組成物はそれぞれ、有意の色の差を示した。これらの色の差の強度は、活性なミノサイクリンの相対濃度の低下と相関していなかった。好ましい組成物は、密閉したガラスバイアル内で、40℃にて4週間エージングした後も有意の色の変化を示さない。好ましい組成物では、密閉したガラスバイアル内で、40℃にて4週間エージングした後の色変化は、各値が0〜255の範囲で測定される3次元RGB空間における色差が50未満、より好ましくは20未満である。距離は、次式に従って3次元RGB空間で計算される:
色差RGB =((ΔR)2+(ΔG)2+(ΔB)20.5
本発明の製剤のさらなる利点および特徴は、本明細書の全体にわたって記載されている。
このように、いくつかの有利な特性は、本明細書に記載の製剤および局所治療方法と関連する。局所製剤は、テトラサイクリン薬を表皮および皮脂腺に直接送達するのに有効である。さらに、本明細書に記載の製剤は、適用が容易であり、粘着性でなく、皮膚を塞がない。本製剤は、P.acneが存在する皮脂腺にテトラサイクリン薬、例えばミノサイクリン、を治療有効量で効果的に送達し、刺激性がないかごく僅かな刺激性しか示さない。さらに、本製剤は、例えば、極わずかなエピマー化産物の形成によって示されるように、長期間にわたっておよび適用の際に安定である。
以下の実施例は、組成物、その成分、有効成分、溶媒などを、関連する方法と共にどのように調製し評価するかについての完全な開示と説明を当業者に提供するために記載し、純粋に例示的なものであることを意図するものである。すなわち、実施例は、本発明者らが発明と考えるものの範囲を決して制限するものではない。例えば、純度、収率、安定性、臭気、色、粘度、浸透性などの組成物の特性を最適化するために採用し得る、数多くの変形および組み合わせ、例えば、成分濃度、所望の溶媒、溶媒混合物、酸化防止剤や他の混合物パラメータや条件が存在する。そのようなものも本開示の範囲内であるとされる。
特に示さない限り、以下の各実施例において、使用したミノサイクリン塩酸塩の形態は、ミノサイクリン塩酸塩二水和物であり、以下、実施例では単に「ミノサイクリン塩酸塩」とする。ミノサイクリンの他の塩や水和物を使用して組成物をどのように製造し得るかは、当業者には明らかであろう。
実施例1
ミノサイクリンおよびマグネシウム安定化ミノサイクリンの溶解度
エタノールとプロピレングリコールの混合物におけるミノサイクリンの溶解度に対する塩化マグネシウム(MgCl2)の影響を評価するための試験を行った。Table 1に記載したように、エタノール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、プロピレングリコール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)および1,8-シネオール(Penta International Company, Livingston, NJ)の混合物を調製した。組成は、エタノールとプロピレングリコールのおおよその重量比で以下のとおりとした:約0:1、1:3、1:1、3:1、4:1、9:1および1:0。
Figure 0006793715
Table 1に示すように、2種類の試験材料を用いた。第1の試験材料「ミノサイクリン*HCl with MgCl2」は、ミノサイクリン塩酸塩(Euticals S.P.A, Origgio, Italy)を塩化マグネシウム(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO)と1:1の比(w/w)で混合することにより形成した。(上記のとおり、「ミノサイクリン塩酸塩」と言及している実施例では、「ミノサイクリン塩酸塩二水和物」を使用した。)
ボルテックスミキサー(VORTEX GENIE, Scientific Industries, Inc. Bohemia, NY)にて、約3000rpmで、混合物を均一な混合物が得られるまで、少なくとも3分間混合した。塩化マグネシウム(無水)およびミノサイクリン塩酸塩の1:1(w/w)の比は、約5.6:1のマグネシウム対ミノサイクリンのモル比に対応する。第2の試験物質である「ミノサイクリン* HCl」はミノサイクリン塩酸塩単独であった。
Table 1に記載した各溶媒2グラム(2.0g)を4mLの透明なガラスバイアル(Phenomenex, Torrance, CA)に入れた。少量の試験物質を各ガラスバイアルに添加し、バイアルに蓋をして、ボルテックスミキサー(VORTEX GENIE, Scientific Industries, Inc. Bohemia, NY)を用いて撹拌し、超音波処理した(Branson 3210, Branson Ultrasonics, Danbury, CT)。これらの工程を、添加された試験材料が超音波処理しても完全に溶解しなくなるまで繰り返した。次いで、各ガラスバイアルを、蓋をしっかりと密閉し、室温にて暗所で一晩放置した。これらの工程により、各ガラスバイアル内でに飽和溶液を調製した。混合物の液体部分の100マイクロリットル(μL)のサンプルを各バイアルの上部から取り出した。このサンプリングステップ中、各バイアルの底部に沈殿した固形物を攪乱しないよう注意した。これらのサンプリングされた部分を、12,000rpmで2分間、マイクロ遠心分離機(SORVALL RMC 14, DuPont Sustainable Solutions, Wilmington, DE)にかけた。上清の部分20マイクロリットル(μL)をエタノールと1:49の比で混合した。得られた混合物の5マイクロリットル(μL)を、次の段落に記載されたミノサイクリンの評価のためのHPLC法に使用した。
この段落に記載されるHPLC法および次の段落に記載される計算は、変更または代替法を記載した場合を除いて、測定されたミノサイクリン濃度を記載する本明細書記載のすべての実施例について使用される。5マイクロリットル(μL)のサンプルを高速液体クロマトグラフィー装置(HPLC)(Agilent, Santa Clara, CA)に注入する。HPLCカラム(Phenomenex, Inc. Torrance, CA)は、粒径5マイクロメートル(μm)のC−18カラム100×4.6mmであった。HPLCシステムはさらに、ガードカラム(Phenomenex, Inc.)、および12%(v/v)ジメチルホルムアミド(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、8%テトラヒドロフラン(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、18mM EDTA(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)および0.12Mシュウ酸アンモニウム(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)のベース溶媒からなる移動層を用いる。移動相のpHを7.1〜7.2に調整した。HPLCの流速は1mL/分、カラム温度40℃、検出波長280nm、およびランタイムは少なくとも15分であった。溶液中に存在するミノサイクリンの量は外部較正に基づいて求めた。これは、ミノサイクリン塩酸塩の濃度の計算を可能にした。
ミノサイクリンのそのエピマーへの分解を、4−エピ−ミノサイクリンのピーク面積を、4−エピ−ミノサイクリンのピーク面積と活性なミノサイクリンのピーク面積の合計で割ったものとして計算した、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度の変化を評価することにより定量化した。別の定量として、活性なミノサイクリンピークをHPLCクロマトグラフィーで観察される全てのピークのピーク面積の合計で割って計算した、活性なミノサイクリンの相対濃度の変化を評価することによって安定性を定量化した。この意味における全てのピークという用語は、溶媒ピークの溶出後に生じるピークを意味する。溶媒のピークは、通常、最初の2分以内に溶出するので、すべてのピークの測定は2分後の時点で開始した。当業者には明らかであるように、溶媒ピークの位置は変化し得、開始点はそれに応じて調整される。
この実施例1では、得られた濃度は、各ガラスバイアルに最初に添加した2gの溶媒混合物に溶解した濃度を記載する。
図1Aおよび1Bでは、得られたミノサイクリン塩酸塩の濃度を、溶媒系におけるエタノール濃度に対してプロットする。すなわち、これらのグラフは、1%シネオール(図1A)およびシネオールなし(図1B)の組成物について、組成物中のエタノール濃度(重量ベース)の関数として、活性なミノサイクリンの溶解度を示す。結果は、特にエタノール単独(エタノール濃度100%のデータを参照)の組成物、およびエタノールとプロピレングリコールの混合物中のエタノール濃度が高い組成物について、塩化マグネシウムを添加することにより、ミノサイクリン塩酸塩の溶解度が有意に増加することを示す。さらに、エタノールとプロピレングリコールとの混合物についてのピーク濃度は、マグネシウム塩の存在により約25%エタノールから約75%エタノールにシフトする。
実施例2
DSC測定
この実験は、ミノサイクリン塩酸塩および塩化マグネシウムのそれぞれの融点と比較して、ミノサイクリン塩酸塩、塩化マグネシウム、エタノールおよびプロピレングリコールの混合物の融点に差があるかどうかを評価するために行った。
塩化マグネシウム(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO)とミノサイクリン塩酸塩(Euticals S.P.A, Origgio, Italy)の1:1の比(w/w)の試験混合物を、ボルテックスミキサー(VORTEX GENIE, Scientific Industries, Inc. Bohemia, NY)を用い、均一な混合物が得られるまで、または少なくとも3分間、約3000rpmで撹拌する。乾燥した混合物をセラミックの乳鉢に入れ、ステンレススチールスパチュラで攪拌しながら、エタノール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)およびプロピレングリコール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)からなる溶液(3:1(w/w))を滴下して混合物を均一に湿らせた。次いで、湿らせたサンプルを穏やかに混合して周囲条件下で全体的に乾燥させた。
熱分析は、インジウムで較正したQ2000 DSC(TA instruments, New Castle, DE)を使用する示差走査熱量測定(DSC)によって行った。DSC測定を、ミノサイクリン塩酸塩、塩化マグネシウムおよび乾燥した試験混合物について行った。2〜7mgのサンプルを秤量し、窒素パージガスを用いて25℃〜250℃の範囲の密閉されたアルミニウム皿中で10℃/分の加熱速度で分析した。
乾燥した試験混合物の融点とミノサイクリン塩酸塩および塩化マグネシウムの融点との比較は、顕著な融点降下を示し、共融混合物の形成を示した。
要約すると、テトラサイクリン系の薬物、マグネシウム源、一価の脂肪族アルコール、およびポリオールを含む組成物が共融体を形成することが出願人によって発見された。この共融体は、示差走査熱量測定(DSC)による評価のために、組成物から溶媒を蒸発させて、準安定析出物を形成し、乾燥成分のDSC結果と比較して融点が低下したかどうかを決定することによって実証された。
実施例3
ミノサイクリンおよびマグネシウム安定化ミノサイクリンの安定性
ミノサイクリン塩酸塩、塩化マグネシウム、エタノールおよびプロピレングリコールの例示的な混合物の薬効安定性およびエピマー形成に対する成分寄与の効果を、実施例1に記載の組成物を用いて評価した。
組成物中のミノサイクリンの分解および安定性は、密封したガラスバイアル内で、室温条件下、暗所で保存した後、1日目および6日目に測定した。
Table 2では、4−エピ−ミノサイクリンの形成を18カ月の期間に外挿した。外挿計算では、分解メカニズムが1〜6日目と同じ数学的速度で継続すると仮定した。これは、最悪の場合の値を示し、4−エピ−ミノサイクリンが組成物内でミノサイクリンと平衡に達し得るという事実を考慮しないため、99.76%および100%といった、極めて高レベルの4−エピ−ミノサイクリンは物理的に実在しないかもしれない。そのような場合、これらの値は、平衡に達するまで、エピマー化反応が進行することを単に示す。
図2Aおよび2Bは、1%シネオールを含有する組成物について、エタノール濃度(重量ベース)に対して、活性なミノサイクリンの相対濃度を示したグラフである。図2Cおよび図2Dは、シネオールを含まない組成物について、エタノール濃度(重量ベース)に対して、活性なミノサイクリンの相対濃度を示したグラフである。
Figure 0006793715


Table 3は、室温にて保存後1日目および6日目の、すべてのピーク面積で正規化した各製剤のミノサイクリンの濃度を示す。外挿計算では、分解メカニズムが1〜6日目と同じ速度で継続すると仮定した。
Figure 0006793715
プロピレングリコールは吸湿性であり、これは通常、プロピレングリコールを有意な量で含む組成物において、テトラサイクリン系薬物の不安定性に寄与する。しかしながら、この実施例に示されるように、プロピレングリコール(または他の類似の吸湿性のポリオール)を適度な量で含有する組成物は、特にマグネシウム塩の存在下で安定であることが示されている。
実施例4
ex vivo でのヒト皮膚への浸透
マグネシウム源、一価の脂肪族アルコールおよびポリオールを含む組成物に含有させて皮膚表面に適用したときに、活性なテトラサイクリン系薬物が所望の治療効果を達成するのに十分な濃度で皮膚に浸透するかどうかを決定するため、ex vivo での皮膚組織による浸透実験を行った。腹部皮膚への浸透を4人の異なるヒトドナーについて評価した。試験組成物は、ミノサイクリン塩酸塩、塩化マグネシウム、エタノールおよびプロピレングリコールからなる混合物を含んでいた。
Table 4に記載の割合で、エタノール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、プロピレングリコール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)および1,8−シネオール(Penta International Company, Livingston, NJ)の溶媒混合物を調製した。各溶媒混合物に0.5%(w/w)ミノサイクリン塩酸塩(Euticals S.P.A, Origgio, Italy)および0.5%(w/w)塩化マグネシウム(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO)を添加した。
Figure 0006793715
組成物を、4人のヒトドナーからの皮膚サンプルに12mg/cm2の用量で適用した。組織を湿った環境に維持して組織の乾燥を制限し、32℃で3〜4時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、過剰な組成物を、最初に乾いたガーゼパッド、次に70%イソプロピルアルコールで湿らせたガーゼパッド、最後に乾いたガーゼパッドで表面から拭き取った。角質層の上層を除去するためにテープ剥離を行った。6mmのパンチ生検を試験領域から採取した。酸性化したメタノールを用いて各生検からミノサイクリンを抽出した。実施例1に記載した方法と同様に、上清を高速液体クロマトグラフィーで分析した。
各濃度について、4つのドナーサンプルの平均値を図3に示す。結果は、プロピレングリコールがエタノールで置き換えられるにつれて浸透効率が増加することを示している。皮膚への良好な浸透効率も示されている。
実施例5
最小発育阻止濃度(MIC)測定−P. acnes
ミノサイクリンの抗菌活性を、最小発育阻止濃度(MIC)を測定することによって評価した。他のいくつかの材料および組み合わせについてもMICを評価し、ミノサイクリンMIC値の倍数として相対MIC値を計算した。MICは、Clinical and Laboratory Standards Instituteによって記載されたブロス微量希釈法を用いて測定し、増殖培地中の細菌の目に見える増殖を完全に阻害する試験物質の最低濃度を表す。
試験物質を水に溶解し、2倍に連続希釈して計11の濃度を調製した。P. acnes ATCC 6919菌株を播種した培養液196μLを添加することにより、96ウェルプレートを調製した。試験物質希釈物の4μLアリコートを各ウェルに添加し、各ウェルの全容量を200μLにした。試験した試験物質濃度は、0.0078〜16μg/mLの範囲であった。プレートを37℃で嫌気的条件で2日間インキュベートした。96ウェルプレートをTECAN INFINITE F50 ELISAマイクロプレートリーダー(Mnnnedorf、スイス)により波長620nmの吸光度モードで読み取った。増殖が起こったか阻害されたかについて各ウェルを評価した。増殖が阻害された最低濃度をMICとして記録した。各試験物質を二重に評価した。実験には、ビヒクル対照(水)、未処理対照(培地のみ)、および陽性対照(活性参照物質、テトラサイクリン)も含めた。
3種の試験物質:1)ミノサイクリン(Euticals S.P.A, Origgio, Italy)、2)無水塩化マグネシウム(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO, part number M8266)および3)1:1.5の比(w/w)でミノサイクリンと無水塩化マグネシウム含む混合物について、MIC値を測定した。
結果は、塩化マグネシウムと混合したミノサイクリンが0.5マイクログラム/ミリリットルのMIC値を有することを示した。ミノサイクリン単独のMIC値は、0.125マイクログラム/ミリリットルであった。塩化マグネシウム単独では、試験したいずれの濃度でも増殖を阻害しなかった。
このように、結果は、塩化マグネシウムがミノサイクリンと相互作用して、ミノサイクリンのMICが増大することを示す。追加のHPLC測定は、この減少がエピマー化による活性なミノサイクリンの分解によるものではないことを示している。むしろ、マグネシウムはミノサイクリンと強く相互作用するようである。
実施例6
油性の組織におけるミノサイクリンの優先的局在と皮膚組織への浸透を示すMALDI−TOF
局所用の医薬組成物は、意図した効果を得るために、所望の組織または材料に浸透しなければならない。ざ瘡のような皮膚の疾患では、皮膚、皮脂細胞および/または皮脂への浸透が必要である。局所薬の濃度は、薬理学的観点からはあまり重要でない領域と比べ、選択された場所でより高く、従って、潜在的に有効性を高め、与えられた用量での副作用を低減するのが理想的である。
局所用ミノサイクリン組成物をex vivo でヒトの顔皮膚の表面に適用し、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析を用いて皮膚の垂直断面を画像化した。データは、ミノサイクリンが皮膚組織に浸透するだけでなく、濃度は、皮脂腺および皮脂が豊富な領域においてより大きいことを示している。
MALDI−TOF質量分析法は、マトリックス材料中に紫外線レーザーでコーティングされた組織の制御されたアブレーションを含む方法である。これは、サンプルのアブレーションおよび脱離を誘発する。得られたイオン化粒子を気相質量分析計に射出させて、アブレーションされた材料の質量スペクトル特性を測定する。アブレーション過程は、波長377nmの窒素レーザーを使用し、これは、皮膚組織サンプルに適用される化学マトリックスによって非常に強く吸収される。レーザーはフォーカスしたレーザーエネルギー(x−y方向)の各位置で表面マトリックス層のアブレーションに導くように高強度かつ短いパルス持続時間(約1ミリ秒)を有する。皮膚組織サンプルは、制御されたx−y平行移動ステージを使用して正確に移動させることができる。このように、正確な二次元「画像」を皮膚組織サンプルから作成することができる。
飛行時間型質量分析法の使用により、皮膚組織サンプル内の2次元のそれぞれの位置で、選択した物質の存在を正確に同定することが可能になる。例えば、ミノサイクリンは、約458.4の分子質量電荷比(すなわち「m/z」)を有し、皮脂の成分は約494.36のm/z値を有する。皮膚内では、756.1のm/z値を有するホスファチジルコリンは、主として皮脂腺内に存在する。このように、これらのm/z値は、MALDI−TOF質量分析法を用いて、皮膚内の皮脂に富む領域や皮脂腺の場所を同定するために使用することができる。これらは、高いミノサイクリン濃度の存在位置が、皮脂が豊富な領域および/または皮脂腺と相関しているかどうかを評価するために使用することができる。このようにして、皮脂が豊富な領域および/または皮脂腺におけるミノサイクリンの相対濃度を決定することができる。
32℃のインキュベーター中、新鮮なヒトの顔皮膚切片を、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム溶液)で湿らせたガーゼ片に30分間置いた。試験組成物の1つを、単位面積あたり、管理された質量で皮膚表面に適用した。組織サンプルを、湿潤環境下、32℃で24時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、過剰な組成物を、最初に乾いたガーゼパッド、次に70%イソプロピルアルコールで湿らせたガーゼパッド、最後に乾いたガーゼパッドで表面から拭き取った。2つの6mmのパンチ生検を試験領域から採取した。さらに2つの追加の6mmのパンチ生検を試験領域外から採取して対照群とした。パンチ生検材料をアルミ箔で包み、液体窒素を用いて、MALDI−TOF質量分析分析の準備が整うまで凍結した。
MALDI−TOF質量分析法分析の直前に、クライオスタットを用いて凍結した組織を12マイクロメートル(μm)の垂直切片にスライスした。連続した切片を採取し、MALDI−TOF質量分析分析で得た画像とヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色された組織との間で比較できるようにした。MALDI−TOF質量分析で分析される切片には、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)の溶液を50%アセトニトリル(ACN)エアブラシを用いて組織に適用した。反射陽イオンモードで飛行時間型質量分析計(ultrafleXtreme, Bruker Daltonics, Inc., Billerica, MA)により行う質量分析により、得られた組織に対し、MALDI−TOF質量分析(Protea Biosciences, Inc., Morgantown, WV)を行った。
2つの異なる組成物を評価した。第1の組成物は、67.77%(w/w)のエタノール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、18.59%(w/w)のプロピレングリコール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、9.83%(w/w)の1,8−シネオール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、1.03%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(Ashland, Inc., Covington, KY)、1.34%(w/w)ODS修飾シリカ(米国特許出願第14/532,987号に記載の方法に従って製造)、0.99%(w/w)のミノサイクリン塩基(Hovione Inter Ltd., Loures, ポルトガル)および0.45%(w/w)の塩化マグネシウム(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO)を含んでいた。
第2の組成物は、68.03%(w/w)のエタノール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、20.15%(w/w)のプロピレングリコール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、10%(w/w)の1,8−シネオール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、1.39%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(Dow Chemicals, Pittsburg, CA)、0.30%(w/w)のミノサイクリン塩基(Hovione Inter Ltd., Loures, Portugal)および0.13%(w/w)の塩化マグネシウム(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO)を含んでいた。
図4Aおよび図5Aは、対照組織(すなわち、試験組成物を適用していない皮膚サンプル)および第1の「処置」組織(すなわち、第1の試験組成物がex vivoで適用された皮膚サンプル)のH&E染色された皮膚切片を示す。対照組織および第1の処置組織はいずれも、同じヒトドナーのものであった。図4B、図4C、図5Bおよび図5Cは、MALDI−TOF質量分析で収集したデータから構築された画像を示す。図4Bおよび図4Cは、対照組織の画像を示す。図5Bおよび図5Cは、第1の処置組織の画像を示す。図4Bおよび5Bは、ミノサイクリンに関連する458.5のM/Z値に対応するMALDI−TOF質量分析データから構築された画像を示す。これらの画像では、色調が明るいほど高いミノサイクリン濃度に対応する。図4Cおよび5Cは、皮脂の成分に関連するM/Z値494.36に対応するMALDI−TOF質量分析データから構築された画像を示す。これらの画像では、色調が明るいほど高い皮脂濃度に対応する。図5A、図5Bおよび図5Cの比較に基づいて、ミノサイクリンは皮膚に浸透することが示され、ミノサイクリンの濃度は表皮および皮膚の皮脂が豊富な領域により高い濃度で存在する一方、対照組織ではミノサイクリンは検出されなかったことが示された。
第2の同様の(対照を設定しない)実験では、MALDI−TOF質量分析を用いて、m/z値458.3のミノサイクリンおよびm/z値756.1のホスファチジルコリンを検出することにより、高いミノサイクリン濃度と皮脂腺との間の関連を確認した。
このように、結果は、高濃度の皮脂性脂質および/またはホスファチジルコリンの存在が、高濃度のミノサイクリンの存在と強く相関することを示す。即ち、この実験は、ミノサイクリンが皮膚組織サンプルに浸透し、ミノサイクリンが皮膚の皮脂が豊富な領域および皮脂腺に多く分布することを示している。試験組成物を適用していない対照サンプルでは、ミノサイクリンは検出されていない。
実施例7
ミノサイクリンおよびマグネシウムで安定化されたミノサイクリンの浸透および皮膚の脂質豊富な部分における分布
組織切片の蛍光顕微鏡検査を用いて、多くのテトラサイクリン系薬物の皮膚層および組織構造内の存在を示すことができる。様々な皮膚の状態または疾患は、皮膚内の種々の場所への薬物の優先的な標的化の恩恵を受け得る。例えば、テトラサイクリンクラスの薬剤が皮脂腺に送達される場合、ざ瘡の治療は有益に改善され得る。他方、乾癬の治療は、テトラサイクリン系の薬物が真皮に送達される場合、有益に改善され得る。
皮膚内の組成物の存在を同定するために2つの実験を行った。2種類の組成物を調製した。第1の組成物は、64.89%(w/w)のエタノール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、17.8%(w/w)のプロピレングリコール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、9.41%(w/w)の1,8−シネオール(Penta International Company, Livingston, NJ)、0.99%のヒドロキシプロピルセルロース(Ashland, Inc., Covington, KY)、4.2%(w/w)のODS修飾シリカ(米国特許出願第14/532,987号に記載の方法に従って製造)、0.1%(w/w)のメタ重硫酸ナトリウム(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、1.0%(w/w)のミノサイクリン塩酸塩(RIA International, East Hanover, NJ)(フリーのミノサイクリンとして約0.86%(w/w))および1.61%(w/w)の塩化マグネシウム(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO)を含んでいた。
第2の組成物は、61.97%(w/w)のエタノール、17%(w/w)のプロピレングリコール、8.99%(w/w)の1,8−シネオール、0.94%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース、4.0%(w/w)のODS修飾シリカ、および0.18%(w/w)のメタ重硫酸ナトリウム、3.84%(w/w)のミノサイクリン塩酸塩(フリーのミノサイクリンとして約3.3%(w/w))および3.08%(w/w)の塩化マグネシウムを含んでいた。
これらの組成物のそれぞれ約50mg/cm2をex vivo でのヒト組織サンプルに適用し、24時間インキュベートした。次いで、組成物を皮膚から洗浄し、最適切削温度(OCT)化合物に包埋し、凍結させ、クライオスタットを使用して厚さ約15マイクロメートル(μm)の横断組織切片にスライスした。組織切片は蛍光顕微鏡を用いて検査した。励起波長範囲は340〜480nmであり、発光波長範囲は620〜700nmであった。
第1の組成物を、図6に示した組織の上部皮膚表面(すなわち、角質層)に適用した。図は、角質層、生存している表皮、真皮表皮接合部、真皮、毛包および皮脂腺に浸透したミノサイクリンを示す。顕微鏡写真のより明るい(ピンク色の)領域は、ミノサイクリンの蛍光を示す。ミノサイクリンは、表皮の上部および皮脂腺に集中していた。皮脂腺へのミノサイクリンのこの標的化された送達は、組成物がざ瘡の治療に有利であることを示す。
第2の実験では、組成物中のミノサイクリンの濃度がミノサイクリンの取り込みにどのように影響するかを評価した。第1および第2の組成物を皮膚サンプルに適用し、インキュベートし、第1の実験と同様に準備した。その後、それらを同じドナーからの未処理の皮膚組織サンプルと比較した。蛍光顕微鏡写真を図7A−Cに示す。図7Aは、未処理の組織切片を示し、図7Bおよび7Cは、それぞれ第1および第2の組成物で処理された皮膚の組織切片を示す。ミノサイクリンの濃度の増大は、皮膚および皮脂腺におけるミノサイクリンの用量依存的増加を示す。
これらの2つの実験の結果は、テトラサイクリン系の薬物が皮膚のすべての層に送達されることに加え、テトラサイクリン系の薬物が皮脂腺および角質層の両方に優先的に送達されることを示している。これらの構造はいずれも脂質が豊富であり、皮膚の表面および内部のいずれも脂質が豊富な組織にテトラサイクリン系の薬物が優先的に送達されることを示している。テトラサイクリン系の薬物が皮脂腺に優先的に送達され、ミノサイクリンは(経口投与した場合に)ざ瘡の治療に有益であることが知られているので、これらの結果は、ざ瘡の治療のための本組成物の有用性を実証するものである。
実施例8
インビボラット反復投与試験
皮膚刺激および色素沈着
エタノールなどの一価の脂肪族アルコールとプロピレングリコールなどのポリオールとの混合物は、高濃度で皮膚に適用した場合(例えばこれらの2つの物質を50〜99.9%(w/w)で含む組成物、これらの2つの物質を70〜99.9%(w/w)で含む組成物、またはこれら物質を90〜99.9%(w/w)で含む組成物)は潜在的に刺激性となり得る。この実施例では、本明細書に記載のテトラサイクリン系の薬物およびマグネシウム源を含む組成物についてそのような刺激性を生じるかどうかを評価した。
以下のTable 5に記載した、プラセボ製剤、またはミノサイクリンを約0.5重量%、1重量%、2重量%、または4重量%を含有する4種類の製剤で14日間処置した後、ミノサイクリン塩酸塩の皮膚取り込みおよび血漿レベルの両方を評価した。組成物は、Table 5に記載の割合で調製した。
Figure 0006793715
10匹の雄のSprague-Dawleyラットを刺激について評価し、スコア化した。実験の開始時に、各ラットの前部または後部の皮膚の2箇所(2つの4cm領域)を剃毛し、ラットを無作為に5つの処置群に分け(それぞれTable 5に記載の製剤(それぞれ、プラセボ、および約0.5%、約1.0%、約2.0%および約4.0%のミノサイクリン等価塩基に対応する、0−B、0.5−B、1−B、2−Bまたは4−B)の1つを適用)を試験部位につき10mgまたは20mgのいずれかの用量を投与した。各組成物は、1組のラットのそれぞれ2つの剃毛箇所に毎日適用し、組成物につき合計4つの試験部位とした。ラットには、14日間にわたって4cmの領域それぞれに、10mgまたは20mg(すなわち、2.5mg/cmまたは5mg/cm)の組成物を投与した。それぞれ24時間処置した後、適用部位を2%の石鹸溶液で洗浄し、続いて1×PBSに浸したガーゼパッドで洗浄し、乾燥させた。UV画像と同様に、動物の白色光画像を毎日撮影した。観察は72時間までと72時間を超えて行った。各組成物(フリーのミノサイクリン塩基として0.5%、1%、2%および4%)を4cmの面積あたり20mgまでの量で毎日適用した結果、有意な紅斑、発赤、刺激および/または浮腫は生じなかった。いずれの処置群においても異常な体重変化は観察されず、血液中にミノサイクリンも検出されなかった。したがって、ラットにおける皮膚刺激性のインビボ試験は、治療部位でまたはその範囲を超えて、有意な紅斑または浮腫を示さなかった。
さらに、皮膚の色素沈着は、14日間の反復適用試験の終了時にはラットのいずれにも観察されず、実験終了時に組成物を皮膚からすすいだ後も蛍光の残留は認められなかった。これは、適用したミノサイクリンの濃度が比較的高いにもかかわらず、組成物が(5mg/cmまで)非色素沈着性であることを示している。
最後に、一連の製剤について、皮膚取込の効率を測定した。4cmのパッチにつき10mgと4cmのパッチにつき20mgで計算された効率は、0.5%、2%および4%のミノサイクリン製剤で非常に類似していた(効率約5〜8.5%)。1%ミノサイクリン製剤は、4cmのパッチにつき10mgでは約12.9%、4cmのパッチにつき20mgでは19.6%と、いずれの処置量においても高い効率を示した。1%製剤の4cmのパッチにつき10mgの群は、皮膚において治療用量を示す局所濃度を達成するために必要な浸透を十分に満足している。約5.3μg/cmで、1%製剤で4cmのパッチにつき10mgのミノサイクリンの取り込みは、皮膚におけるミノサイクリンの0.95μg/gに変換され、これは少なくともP. acnesを阻害する最小生育阻止濃度(MIC)を超えるオーダーである。
実施例9
マグネシウム濃度の関数としての蛍光強度
前述のように、マグネシウムは、組成物中のミノサイクリンの安定化に寄与する。この実験では、組成物中のマグネシウムの最適レベルを決定することを目的とする。蛍光強度を用いて、それを超えるマグネシウムをさらに添加しても安定性および/または溶解性を有意に改善しないおおよその比率を推定することができる。蛍光強度の試験を行い、更なるマグネシウムの添加後の蛍光の増加率が有意におよび/または急に低下するマグネシウムの濃度を評価した。
無水エタノール77.59%(w/w)、プロピレングリコール21.2%(w/w)、ミノサイクリン塩酸塩0.76%(ミノサイクリンFBEとして約0.66%(w/w))、ヒドロキシプロピルセルロースHF(HPC HF)0.39%/(w/w)、メタ重亜硫酸ナトリウム0.06%(w/w)のベース溶液。塩化マグネシウム無水物を4.4%(w/w)の濃度でベース溶液4mL(3.13g)に添加し、塩化マグネシウムのモル濃度が464.3mmol/kgの溶液を調製した。マグネシウムとミノサイクリンのモル比は30.18であった。調製した溶液をベース溶液で2倍に連続希釈し、ミノサイクリンに対してマグネシウムを異なるモル比:0、0.47、0.94、1.89、3.77、7.55、15.09および30.18で含有する塩化マグネシウム添加ベース溶液の調製物を形成した。
蛍光測定および50℃で7日後の4−エピ−ミノサイクリン濃度の測定結果をTable 6に示す。
Figure 0006793715
得られた組成物の蛍光強度はそれぞれ、励起波長380nmの蛍光分光光度計を用いて測定した。蛍光発光強度を473nmの波長で評価した。塩化マグネシウムを含まないサンプルの蛍光は、測定装置の検出限界よりも低かった。図8bに示すように、マグネシウムとミノサイクリンとの間のモル比が0から約3.8に増加するのに応じて、蛍光強度は急激に増加する。モル比が約3.8を超える場合、モル比に対する増加率は、約3.8未満のモル比に対応する増加率よりも著しく低い。このレベルを上回る塩化マグネシウムの量の増加は、この後も組成物の蛍光を有意に増大させることはない。局所的な環境において、蛍光強度は、ミノサイクリンのようなテトラサイクリン系の薬物の剛性(rigidity)と相関するので、データは、混合物中のモル比が約3.8にまで増加するに応じて、この組成物中のミノサイクリン−マグネシウム錯体形成がよりリジットになることを示している。換言すれば、ミノサイクリンの構造の剛性は、マグネシウム対ミノサイクリンのモル比が1:1または2:1を超えて有意に改善し続け、この組成物でのモル比が約3.8を超えるまでは頭打ちにはならない。したがって、本明細書の教示に従って構成された他の組成物では、この3.8:1のモル比は異なることがある。
ミノサイクリンの安定性は、上記の調製されたサンプルの各々におけるエピマー形成をモニターすることによって評価した。エピマーである4−エピ−ミノサイクリンの量を、50℃のオーブンで7日間強制熱分解の前後にHPLC分析によって測定した。エピマーのピーク面積とエピマーピーク面積と活性なミノサイクリンピーク面積の合計との間の比は、各組成物中のミノサイクリンの安定性の指標を与える。エピマー形成は、強制熱分解の前後で得たサンプルの、この比の差として計算した。マグネシウム対ミノサイクリンのより高いモル比は、より低いエピマー形成に対応していた。約3.8のモル比を超えるマグネシウムを添加するとエピマー形成は減少する。しかし、エピマー形成が減少する量は、モル比が高くなるほど小さくなる。
蛍光の量は、テトラサイクリン系の薬物の剛性を示すものである。図8aは、50℃で7日間の強制分解後の4−エピ−ミノサイクリン濃度の変化を示すグラフである。4−エピ−ミノサイクリンの濃度変化は、組成におけるミノサイクリンの安定性を示すものである。塩化マグネシウムをミノサイクリンに対するモル比が約3.8:1になるまで添加すると、組成物中のミノサイクリンの剛性が増し、ミノサイクリンの反応性が低下することによって安定性が改善される。この濃度を上回る塩化マグネシウムを添加すると、安定性が低下する。したがって、約3.8:1のモル比は、この具体的な組成物の最適化を始めるのに良い濃度である。
マグネシウム−ミノサイクリンの化学量論は、1:1または2:1であると提案されてきた。しかしながら、本明細書に記載の局所用組成物のように、マグネシウムとミノサイクリンが非水性溶媒混合物中に存在し、共融体が形成されるような場合、これらの提案された比は当てはまらないことがある。マグネシウム濃度に応じて変化するミノサイクリン蛍光の差は、化学エネルギーレベルの差およびイオン相互作用の差異を反映している。ミノサイクリンとマグネシウムとの間の錯体の形成は、エピマー化反応を制限し、したがって安定性を促進し得る。これらの方法および結果は、本溶媒系においてミノサイクリンとマグネシウムイオンとの最適なモル比が2:1を超えることを示唆している。化学量論と正確な比は、組成物に使用される具体的な成分に依存する。
実施例10
6ヶ月安定性測定
例示的な組成物の複数のサンプルを、室温で6ヶ月間保存後の効力について試験した。試験開始時の組成物は、エタノール69.36%(w/w)、プロピレングリコール17.92%(w/w)、1,8−シネオール9.41%(w/w)、ミノサイクリン塩酸塩1.0%(w/w)(ミノサイクリン遊離塩基として0.86(w/w))、塩化マグネシウム1.61%(w/w)、ヒドロキシプロピルセルロースHF0.6%(w/w)、およびメタ重硫酸ナトリウム0.1%(w/w)を含有した。試験開始時のサンプルおよび密封したバイアル内で室温条件下6ヶ月間保存後のサンプルについて、ミノサイクリンの量を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。試験開始時のサンプルでは、ミノサイクリンのピークは組成物中のミノサイクリンの約100.0%を含み、総ピーク面積で正規化したときミノサイクリンは約97.3%を示した。試験開始時のサンプルの4−エピ−ミノサイクリンのピークは、総ピーク面積で正規化した場合に約0.54%であった。ミノサイクリンおよび4−エピ−ミノサイクリンのピークの百分率は、較正曲線における小さな誤差のために100%以上になることに留意されたい。6ヶ月の保存後、活性なミノサイクリンのピークは、組成物中のミノサイクリンの97.1%を示し、ミノサイクリンは、総ピーク面積で正規化した場合、約95.0%を示した。従って、これらの測定は、室温で6ヶ月間保存後、活性なミノサイクリンが組成物中のミノサイクリンの約2.9%、総ピーク面積で標準化した場合に約2.3%減少したことを示した。室温で6ヶ月間保存した後のサンプルの4−エピ−ミノサイクリンのピークは、すべてのピーク面積で正規化した場合に約1.68%であり、室温で6ヶ月間保存後、約1.1%の4−エピ−ミノサイクリンピークの増加を示した。
実施例11
局所用組成物
Table 7は局所用組成物のさらなる例を示す。上記したように、各種成分を混合することにより組成物を製造する。上記のとおり、これらの組成物の例は、本発明者らが発明と考えるものの範囲を決して制限するものではない。それぞれの列には、左側に記載した組成物中の成分の重量%を記載する。各列は、合計すると100%になる。
Figure 0006793715
Figure 0006793715
Figure 0006793715
Figure 0006793715
実施例12
ex vivo でのヒト顔面組織におけるミノサイクリン取り込み
量的質的比較試験
皮膚浸透試験を行い、米国特許出願公開第2015/0056149に記載されている親油性ベースの製剤を用いて、1%または4%ミノサイクリンを含有する親水性液体製剤(それぞれ(BPX−1MおよびBPX−4M)における、ex vivo でのヒトの顔皮膚組織によるミノサイクリンの取り込みを測定し比較した。ミノサイクリンの送達は、HPLCを用いて、経時的に皮膚内のミノサイクリンの量を定量的に測定し、蛍光顕微鏡法によって毛包脂腺および表皮におけるミノサイクリンの存在を視覚的に測定した。
以下の局所用製剤を評価した。
Figure 0006793715
Figure 0006793715
ヒトの顔皮膚(女性、60歳)を−20℃の冷凍庫から取り出し、32℃で解凍した。皮下組織および脂肪層を除去した。皮膚片を約0.7cmにカットし、ガーゼパッドで裏打ちされたペトリ皿(0.2%アジ化ナトリウムを含む0.9%塩化ナトリウムで水和)に置いた。皮膚表面をブロット乾燥(blotted dry)した。−4℃で保存していた親水性BPX製剤を室温にした。親油性製剤は室温で固体であったため、塗布直前に温めて液体の状態した(32℃、約3分)。2.5mg/cmの用量を使用した。ピペットを用いて、各製剤を0.42cmの標的領域にわたって均一に適用した。乾燥するまで(約7秒)均一に塗り広げた。ペトリ皿中の組織を、ガーゼパッドを適度に湿らせた状態で、覆いをせずに32℃のインキュベーター中に置いた。製剤を2および4時間適用した。
Figure 0006793715
各測定時点の終わりに、製剤を70%イソプロパノールアルコールで湿らせたガーゼパッドで除去し、次いで乾いたガーゼパッドでブロット乾燥した。各試験部位から生検パンチ(6mm)を採取した。(それぞれの生検に皮膚の全厚を使用した。)次いで、各生検からミノサイクリンを500μlの酸性化メタノール(10μlの5N HClを1mlのMeOHに添加)で25℃にて24時間抽出した。上清をHPLC(注入量20μl、15分間、350nm)によって分析した。各試料について、インタクトなミノサイクリンならびにエピ−ミノサイクリン(4−エピ)のピーク面積を測定した。実施した治療群のドナーのデータを平均した。計算したミノサイクリ塩基の標準を用いて、ミノサイクリン−HClおよび酸性化されたメタノールについてHPLC標準を実行した(0.01、0.1、および1mg/ml)。
組織学:上記と同じ方法で組織を調製した。50mg/cmに相当する量をピペットで均一に適用した(Table 3)。ペトリ皿の組織を、パラフィルムでカバーして、32℃のインキュベーター内に24時間置いた。24時間後、過剰の製剤をやさしく拭き取り、製剤を適用しなかった皮膚の領域を切り取った。次いで、残った組織をO.C.Tに包埋した。組織ブロックの切片(約12μm)をカットした。2つの切片のそれぞれの間に約100μmの距離をあけて連続的にカットした。スライドを1×PBSで洗浄し、次いで蛍光画像を得るためグリセロールでカバースリップした。
親水性BPX−1M製剤では、2時間および4時間でそれぞれ5.9μg/cmおよび5.3μg/cmのミノサイクリンが検出された(図9A参照)。親油性の1%製剤では、2時間および4時間でそれぞれ2.4μg/cmおよび2.1μg/cmのミノサイクリンが検出された(図9A)。ミノサイクリンは、親油性プラセボ、BPXプラセボおよび未処理皮膚サンプルでは検出されなかった。親水性BPX−1M製剤は、親油性製剤と比較してミノサイクリン量が有意に高かった。
親水性BPX−4M製剤は、2時間および4時間でそれぞれ14.2μg/cmおよび13.0μg/cmのミノサイクリンを示した(図9B)。親油性の4%製剤では、2時間および4時間でそれぞれ3.7μg/cmおよび5.8μg/cmのミノサイクリンが検出された(図9B)。未処理の皮膚組織でミノサイクリンは検出されなかった。同様に、親油性プラセボまたはBPX−01プラセボで処置した皮膚組織では、ミノサイクリンは検出されなかった。親水性BPX−4M製剤では、親油性製剤と比較してミノサイクリンの量が有意に高かった。親水性BPX−1Mと親油性4%製剤での取り込みは、親油性製剤がミノサイクリン薬物の濃度が4倍高いにもかかわらず、いずれの時間も同程度であった(図10)。
適用前、1%製剤中で測定されたミノサイクリンエピマー濃度は、BPX−1M製剤および親油性製剤についてそれぞれ0.93%および0.86%であった(図11A)。親水性BPX−1M製剤について、処理された皮膚サンプルから2時間および4時間で測定されたミノサイクリンエピマー化は、それぞれ9.7%および10.6%であった。脂溶性1%製剤では、2時間および4時間でそれぞれ37.6%および29.8%と、増大したエピマー化の値が測定された(図11A)。
適用前、4%製剤中で測定されたミノサイクリンエピマー濃度は、BPX−1M製剤および親油性製剤についてそれぞれ1.08%および0.75%であった(図11B)。親水性BPX−4M製剤について、処理された皮膚サンプルから2時間および4時間で測定されたミノサイクリンエピマー化は、それぞれ5.1%および4.5%であった。脂溶性4%製剤では、2時間および4時間でそれぞれ7.3%および11.6%と、増大したエピマー化の値が測定された(図11B)。
親水性製剤は、親油性製剤よりもex vivo でのヒト皮膚に良好に浸透し、皮膚に浸透したミノサイクリンは、親水性製剤においては、親油性製剤のように有意に分解しなかった。
4%の親油性製剤(図12A)と比較して、親水性のBPX−4M製剤(図12D)では、角質層、表皮および皮脂腺において、顕著な蛍光強度の増加が観察される。このデータは、P. acnes細菌が存在する皮脂腺へのミノサイクリンの浸透を示す。比較のために、親油性プラセボ(図12B)、無処置(図12C)およびBPXプラセボ(図12E)についても蛍光強度が示されている。
実施例13
in vivoのミニブタでの7日および20日間反復投与パッチ試験
各種ミノサイクリン当量の塩基を含有するミノサイクリンの製剤(プラセボ、0.5%、1%、2%、および4%)の反復用量の適用について、皮膚および血漿取り込みおよび皮膚毒性を評価するために、7日間または20日間のいずれかの期間にわたってミニブタの局所適用試験を行った。この試験は、体重20〜30kg、12〜18ヶ月齢の4匹の非ナイーブ抗生物質フリーの雌のミニブタを用いて行った。適用した試験品は、実施例8、Table 5に記載したものと同じであった(すなわち、組成物0−B、0.5−B、1−B、2−Bおよび4−B)。
0日目に、動物を体重測定し、麻酔した。左右の側腹部を注意深くつまみ、剃毛し、それぞれ3cm×3cmまたは約10cmの6つの試験適用部位に印をつけた。試験品および対照品を、ポジティブディスプレイスメント式ピペットを用いて局所適用し、金属のスパチュラを用いてマークされた試験領域に広げた。6日目(グループ1)および20日目(グループ2)まで毎日投与を続けた。毎日の投与前に、処置部位を石鹸で1回やさしく拭き取り、次いでリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で穏やかに洗浄した。体重は週1回測定した。
Figure 0006793715
投与部位を、修正Draizeスコアリングシステムを用いて紅斑および浮腫について毎日評価した。0日目の投与前に写真を撮り、以後毎日撮影した。毎日、皮膚の色素沈着がないかを気を付けて観察した。さらに、投与部位のUVランプ写真を、0日目と投与終了時(グループ1の場合は7日目、グループ2の場合は20日目)に撮影した。試験終了時に、動物を屠殺し、皮膚組織を投与部位と1つの未処理部位から採取した。
結果:いずれの処置群においても異常な体重変化は観察されなかった。紅斑および浮腫の欠如によって示されるように、治療期間を通じて皮膚刺激は認められなかった。7または20日間の処置の間に適用された製剤の総量は、54.3mg(#151)、91.9mg(#152)、155mg(#251)および262.5mg(#252)であった。血漿抽出プロトコールの検出下限は1.0ng/mlであった。これらの分析では、分析した血漿試料のいずれにおいてもミノサイクリンは検出されなかった。
パッチの一過性の異なる黄変は、適用量125mgの1.0%製剤について4日目から観察され、実験期間中持続した(図1)。125mgの製剤は12.5mg/cmの処置に相当し、これはヒトにおいて1日当たり約5gの適用に相当する(ヒトの顔の面積を400cmと想定して)。黄変は、2%および4%の群で、早ければ処置の2日目から観察された。
すべての投与部位において、少なくとも1μg/cmのミノサイクリンが検出され、1%、2%および4%の製剤群で認められるミノサイクリンの量の少なくとも2〜3倍であった。ミノサイクリン取り込みの増加は直線的ではなかった。20日間の治療群では、25mgの適用レベルである程度の飽和が観察された。7日間の群および20日間の群は、皮膚におけるミノサイクリン取り込みにおいて同様の傾向を示し、治療レジメンが飽和に近づいている可能性があることを示唆した。
画像分析(ここに示されている)において、ミノサイクリンは、0.5%、1%、2%、および4%の製剤群において毛包腺内に局在していた。ミノサイクリンは、角質層および毛嚢において検出された。ミノサイクリン量の増大は4%群で検出された。7日間処置群と20日処置群とで差は観察されなかった。この試験では、0.5%の25mg投与群でも、少なくとも1.03μg/cmのミノサイクリン取り込みが観察され、これは治療用量を示す皮膚内の局所濃度を達成するのに必要な浸透の要件を満たすと考えられる。約1.03μg/cmでは、これは皮膚におけるミノサイクリンの0.18μg/gに変換され、P. acnesを阻害するのに必要なMICよりも少なくとも1桁大きい。
実施例14
in vivoラット単回投与試験
皮膚刺激、薬物動態用量範囲、および組織学
エタノールおよびプロピレングリコール(例えば50〜99.9w/w%)を含む溶媒系中にミノサイクリンおよびマグネシウム塩を含む局所投与組成物を投与したラットについて皮膚刺激試験を実施し、薬物動態パラメータも評価した。カールフィッシャー滴定によって測定した、適用された各組成物の水分量は、0.5%〜1%の範囲であった。各組成物のpH値は3.9〜4.4の範囲であった。一回用量の薬物動態パラメータを評価したところ、局所適用されたミノサイクリン組成物に対する全身の曝露は、皮膚中に同程度の濃度の薬物を提供するのに有効な経口剤形のそれよりも低かったことが示された。
以下のTable 12に記載する、約0.5重量%、1重量%、2重量%、または4重量%のミノサイクリンを含有する4つの製剤で一回処置した後に、ミノサイクリン塩酸塩の血漿レベルを評価した。
Figure 0006793715
処置の前日に、21匹の雄のSprague-Dawleyラットの肩と背中の15cmの領域を剃毛し、10cmの領域を適用試験部位としてマークした。ラットを無作為に7つの治療群に分けた。各群には、Table 12に記載の組成物の1つ(0−B−2,0.5−B、1−B、2−B−2または4−B)をTable 13に記載の量で適用した。各処置群のラットに組成物をそれぞれ適用した。組成物を、時間T=0に各ラットの適用試験部位に均一に適用した。
Figure 0006793715
適用の直前および適用後10、20および30分、1、2、4、6、8、12および24時間の時点で、24時間にわたって血液を採取した。各処置群について、血漿中のミノサイクリンの平均レベルをTable 14に示す。分析方法の定量下限(LLOQ)は10ng/mLであった。LLOQ未満の値はゼロとした。組成物を2.5または5.0mg/cmの量で均一に適用した10cm領域の剃毛された適用試験部位において、組成物を24時間にわたって浸透させた実験において、上記の時点で測定したとき、Sprague Dawleyラットにおける最大血清濃度(Cmax)は、試験した全ての組成物について550ng/mL未満であった。
これらの組成物の1つを除いて、Cmaxはすべて150ng/mL未満であった。これらのCmaxのレベルは、全身から皮膚に送達されるために血中でより高いレベルを必要とするので、皮膚において同程度の薬物レベルを達成するのに有効な、経口で摂取されるミノサイクリンの用量に勝るとも劣らない。
Figure 0006793715
修正Draizeスコアリングシステムを用いて刺激性を評価した。評価は、適用前および適用直後ならびに適用後30分、1、3、6および24時間の時点で実施した。測定可能な紅斑、発赤、刺激および/または浮腫は観察されなかった。修正されたDraizeスコアは、試験の各時点および各ラットについて0であった。これは、試験した各組成物が非刺激性であることを示している。
いずれの処置群においても異常な体重変化は観察されなかった。
ラットを24時間後まもなく安楽死させた。生検をラットの皮膚から採取し、ヘマトキシリンおよびエオシンによる色素沈着を含むさらなる組織学的分析が可能なように10%ホルマリン中で凍結または固定した。ミノサイクリンで処置した群を、組成物0−B−2で処置した群またはいずれの組成物でも処置しなかった群と比較した場合、いずれの皮膚切片においても有意な変化は観察されなかった。
実施例15
in vivoラット多回投与試験
皮膚の刺激および薬物動態の用量範囲
エタノールおよびプロピレングリコール(例えば50〜99.9w/w%)を含む溶媒系中にミノサイクリンおよびマグネシウム塩を含む局所投与組成物を投与したSprague-Dawley ラットについて複数用量の毒物動態試験を行った。例示的な組成物の潜在的な毒性を評価した。複数用量の薬物動態パラメータを評価したところ、局所適用されたミノサイクリン組成物に対する全身の曝露は、皮膚中に同程度の濃度の薬物を提供するのに有効な経口剤形のそれよりも低かったことが示された。この試験で各動物に毎日適用されたミノサイクリンの量は、0.0〜0.5mg/cmの範囲であった。ミノサイクリンの濃度は、Table 15に記載のとおり、組成物0−B−2,1−B−2または4−B−2において、約0%、1%および4%であった。
Figure 0006793715
20匹の健康な雄のラットおよび20匹の健康な雌のラットを、それぞれ5匹の雄および5匹の雌の4つの群に均等に分けた。試験開始時のラットは約8週齢であり、体重は280〜330グラムであった。組成物は、Table 16に記載されているように各ラットのグループ番号に基づいて28日間の試験で各ラットに毎日適用した。試験期間中、ラットは群の間で移動させなかった。
動物は個別に飼育した。手順が必要な場合を除いて、水とLab Diet Rodent Feed No. 5001の標準飼料を各ラットに自由飲食させた。
最初の適用の1日前に、標準的な動物用クリッパーを使用して肩の背面の15cmの領域を剃毛した。皮膚表面をアセトンで穏やかに拭いて皮脂を除去し、皮膚がきれいであることを確認した。非毒性の永久インクマーカーを用いて10cmの領域をマークした。カニューレに約150μlの1%ヘパリン食塩水を充填した。
毎日の投与前に、水なしのシャンプー(Sullivan E-Z Clean)とPBSで洗浄した。1〜27日目に、ポジティブディスプレイスメント式ピペットを用いて適当な試験組成物を適用し、きれいな金属スパチュラを用いて10cmのマークした試験領域に注意深く広げた。次いで適用した組成物を乾燥させ、各ラットをケージに戻した。
ミノサイクリン塩酸塩の血漿中レベルは、適用初日(第1日と表示)、適用14日目(第14日と表示)、適用28日目(第28日と表示)に分析した。血漿採取の前夜は、ラットを一晩絶食させ、水に自由に摂取させた。
Figure 0006793715
グループ1およびグループ2では有意な皮膚刺激は観察されず、グループ3およびグループ4では軽度の紅斑があり、グループ4ではその発生率と程度がより大きかった。
体重または変化、摂食量、臨床病理学的パラメータ、肉眼での病理所見または臓器重量について、試験品が関係する影響は認められなかった。さらに、いずれのグループについても、血漿中で測定されたミノサイクリンレベルを除き、血液学的または臨床化学的に差異はみられなかった。
適用した皮膚の領域でごく僅か〜軽度のアカントーシスが認められた。これらの病変は、分布がまばらで、グループ4で主に観察される、表皮細胞性のわずかな増加と時折の基底有糸分裂像(basal mitotic figures)を伴っていると考えられた。これらの結果に基づいて、無有害作用量(NOAEL)は約0.25mg/cm/日であり、これは約4%のミノサイクリンを含有する組成物の6.25mg/cm/日に相当した。
組成物の毎日の投与後に、組成物の毒物動態学的特徴を各動物の血漿中で測定した。各群について、評価を行った日(すなわち、1、14および28日目)のそれぞれについて、ミノサイクリンを検出した。Table 17のデータに詳細に記載されているように、血漿中でミノサイクリンの用量依存的増加が測定された。ミノサイクリンは、グループ1のラットにおいて有意なレベルで検出されなかった。この試験では雌雄で曝露に差が存在し、その原因は毛の密度の違いであった。
Figure 0006793715
実施例15に記載のとおり、この試験は、0.0mg/cm/日〜0.5mg/cm/日の範囲のミノサイクリンの投与量レベルで安全に哺乳動物の反復投薬を行うことができ、好ましくは 約0.025mg/cm/日〜約0.5mg/cm/日の範囲、またはより好ましくは約0.025mg/cm/日〜約0.25mg/cm/日の範囲である。より高い用量のミノサイクリンでより積極的な治療が可能である。0.25mg/cm/日を超える用量が好ましい。グループ4で示された刺激レベルを避けるために、0.5mg/cm/日未満の用量が好ましい。
実施例16
in vivoでのミニブタ複数回用量毒性動態試験
エタノールおよびプロピレングリコールを含む溶媒系(例えば50〜99.9w/w%)中にミノサイクリンおよびマグネシウム塩を含有する局所投与組成物を用いてゲッチンゲンミニブタで複数回用量の毒物動態試験を行った。例示的な組成物の潜在的な毒性を評価した。毒物動態(トキシコキネティクス)パラメータを評価した。試験で各動物に毎日適用した各製剤の量は、0.0〜12.5mg/cmの範囲であった。ミノサイクリンの濃度は、実施例15のTable 15に記載のとおり、組成物0−B−2、1−B−2および4−B−2において、約0%、1%および4%であった。
健康な雄のゲッチンゲンミニブタ15匹と健康な雌のゲッチンゲンミニブタ15匹を無作為に5群の3匹の雄および3匹の雌のミニブタに分けた。試験開始時、ミニブタは約20週齢であり、体重は7.4〜10.3kgであった。試験では、Table 18に記載のとおり、各ミニブタのグループ番号にしたがって、組成物を各ミニブタに毎日28日間適用した。グループ1を、偽(すなわち、非処置)対照群とした。グループ1のミニブタについては、マークした治療領域に試験組成物を適用しなかったことを除き、グループ2〜5のミニブタと同じ手順を行った。
動物は個別に飼育した。各ミニブタには水を自由に摂取させ、標準食を1日2回の割合で提供した。
最初の適用の前日およびその後必要に応じて、各ミニブタの背部の領域を、標準的な動物用のクリッパーで毛髪をクリッピングして準備した。クリッピング処置の間は、皮膚の擦り傷を避けるよう注意を払った。皮膚表面を水なしのシャンプー(SULLIVAN E-Z CLEAN, Sullivan Supply, Inc. Dunlap, IA)に浸したガーゼでやさしく拭き取り、次に温かい(37〜43℃)逆浸透水に浸したガーゼで、次いで乾いたガーゼで皮膚がきれいであることを確認した。各ミニブタについて適用標的の表面積を、以下の式に従って、週に1回計算した:標的表面積/平方メートル=[9.5*(グラムでの体重)2/3]/10,000。消えないインクで各ミニブタの対応する領域をマークした。この標的表面積は、全身の体表面積の約15%に相当する(Spector, W.S. Handbook of Biological Data. Philadelphia: W.B. Saunders Co. 1956; 175)。
毎日の投与前に、適用部位を上記のとおり洗浄した。1〜28日目に、適切な試験組成物をグループ2〜5のミニブタに適用し、きれいな使い捨てプラスチックアプリケータを用いて、マークした試験領域に注意深く広げた。次に、適用した組成物を乾燥させ、ミニブタをそれぞれケージに戻した。
ミノサイクリンの血漿レベルを、適用1日目(第1日と表示)、適用14日目(第14日と表示)、および適用28日目の翌日(28日目と表示)に評価した。血漿採取の前夜は、ミニブタを一晩絶食させ、水を自由に摂取させた。
第14日および剖検後に各ミニブタについて尿検査を行った。尿は、第14日の一晩のケージパン排液から、および剖検時の膀胱穿刺により採取した。ミニブタは、予定された剖検の前に一晩絶食させた。
Figure 0006793715
本試験で評価したパラメータおよびエンドポイントは以下のとおりである:
臨床的変化、皮膚スコア、体重、摂食量、眼科的変化、心電図リズム、臨床病理パラメータ(血液学、凝固、臨床化学、尿検査のパラメータを含む)、トキシコキネティクスパラメータ、病理所見、臓器重量、および組織病理学的特徴。
グループ1〜4では有害な臨床徴候は観察されなかった。グループ5では、投与直後の試験の最後の2週間、何匹かのミニブタに、活性、発声、過度の掻痒および振戦が認められた。そのような症状は、投与後1〜3時間以内に消えた。
グループ1〜3では、皮膚刺激は観察されなかった。グループ4および5では、皮膚刺激がいくつか観察された。皮膚刺激の平均重症度は、グループ4よりもグループ5で高く、潰瘍2例および亀裂1例を含んでいた。
体重、摂食量、眼科学的変化、心電図リズム、臨床病理パラメータ、肉眼的病理所見、臓器重量、または組織病理学的特徴について、試験品が関係する影響は認められなかった。
予定された剖検の前に死亡したミニブタはなかった。
組成物の毎日の局所投与後に、各ミニブタの血漿中の毒物動態学的特徴を測定した。Table 19のデータに詳細に記載されているように、血漿中でミノサイクリンの用量依存的増加が測定された。ミノサイクリンは、グループ1〜3では全サンプリング期間を通して、グループ4では1日目に1ng/mLの定量下限値を下回った。
Figure 0006793715
28日目に、処置領域を上記のとおり洗浄し、試験したミニブタを安楽死させた。皮膚サンプルを採取して、皮膚に存在するミノサイクリンのレベルを測定した。
Figure 0006793715
要約すると、この試験で試験した各組成物の経皮投与は、ミニブタには十分許容されるものであった。この結果に基づいて、無有害作用量(NOAEL)は、雄および雌の両方において、約0.25mg/cm/日(0.269mg/cm/日のミノサイクリンに対応する)であると考えられ、これは約4%のミノサイクリンを含有する組成物6.25mg/cm/日に相当し、28日の反復適用後、Cmaxが雄で25.6ng/mLおよび雌で15.2ng/mL、およびAUCが雄で408時間ng/mL、雌で273時間ng/mLであった。
実施例16に記載のとおり、この試験は、0.0mg/cm/日〜0.5mg/cm/日の範囲、好ましくは約0.025mg/cm/日〜約0.5mg/cm/日の範囲、またはより好ましくは約0.025mg/cm/日〜約0.25mg/cm/日の範囲のミノサイクリンの投与量レベルで安全に哺乳動物の反復投薬を行うことができることを示した。より高い用量のミノサイクリンはでより積極的な治療が可能である。少なくとも0.01mg/cm/日の用量または少なくとも0.025mg/cm/日の用量が好ましい。グループ5で示された刺激レベルを避けるために、0.5mg/cm/日未満の用量が好ましい。
実施例17
インビトロ眼刺激試験
epiocular EITモデル
エタノールおよびプロピレングリコールを含む溶媒系中にミノサイクリン、マグネシウム塩、およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む2つの組成物の眼刺激の影響について評価した。これらを、ミノサイクリンを含まないビークル組成物ならびに陽性対照および陰性対照と比較した。
国際連合は、眼の影響に関する分類として、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(GHS)を制定している(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS); Chapter 3: Serious Eye Damage/Irritation - Second Revised Edition, United Nations; No. ST/SG/AC. 10/30, Rev 2, 2007)。試験した化学物質および組成物は、3つの区分:
眼損傷なし(すなわち、GHSカテゴリー「カテゴリーなし」)、不可逆的な眼損傷(すなわち、GHS区分1)、または可逆的な眼刺激(すなわち、GHS区分2)のいずれかに分類される。
本試験では、眼刺激性を、MATTEK EPIOCULAR 眼刺激性試験(EIT)プロトコル(EpiOcularTM Eye Irritation (OCL-200-EIT) for the Prediction of Acute Ocular Irritation of Chemicals, Reference No. MK-24-007-0055, MatTek Corporation, Ashland, MA)に記載の手順に従って評価した。MATTEK EPIOCULARモデルは、正常なヒト表皮ケラチノサイトに由来するヒト角膜上皮の市販で入手可能な3次元モデルである。この試験の評価項目は、MTTアッセイ(メチルチアゾリルジフェニルテトラゾリウムブロミド)による細胞生存率の推定である。組成物によって最も一般的に損傷を受ける眼の領域は角膜の外表面であり、このモデルは角膜の外側部分を模倣するので、このモデルは化学物質の眼刺激性を評価するために一般的に使用される。EPIOCULAR EITプロトコルの使用は、OECD試験ガイドライン番号492に規定されている。この試験によって、インビボ試験で観察される眼の刺激または損傷のレベルが示される。
MTT細胞生存率が超純水の対照試料に対して60%より大きい場合、組成物は眼損傷性を有さない(すなわち、GHS区分で「区分なし」)とした。酢酸エチルを陽性対照として使用した。細胞生存率は、MULTISKAN SPECTRUMプレートリーダー(Thermo Fisher Scientific Oy, Vantaa, Finland)で測定した光学密度により測定した。MATTEK EPIOCULARモデルについて、MTT細胞生存率を、37℃、5%COに維持した加湿インキュベーター内に組成物(または対照)を30分間曝露した後に試験した。ネガティブコントロール(超純水)について、曝露後の細胞生存率と比較して、細胞生存率スケールを測定した。ネガティブコントロールの平均細胞生存率を用いて、100%細胞生存率に対応する値を設定した。曝露後の細胞生存率がネガティブコントロールサンプルの対応する平均細胞生存率の60%以下であった場合、組成物は眼刺激性または眼損傷性(すなわち、GHS区分1または2)を有するとした。この試験では、実施例15のTable 15に記載のとおり、組成物0−B−2、1−B−2および4−B−2を評価した。
試験の結果は、ネガティブコントロールに対する平均の曝露後MTT細胞生存率が、組成物0−B−2について48%、組成物1−B−2について64%、組成物4−B−2について49%であることを示した。したがって、組成物0−B−2および4−B−2は眼刺激性または眼損傷性(UN GHS区分1または2)であり、組成物1−B−2は眼損傷性を生じないとされた(すなわち、UN GHS区分「区分なし」)。
このように、本発明の組成物のいくつかは、MATTEK EPIOCULAR EITプロトコルにしたがってMATTEK EPIOCULARモデルで試験した場合に、組成物への曝露後のMTT細胞生存率がMTT細胞生存率の初期値に対し60%を超える。
実施例18
モルモットのin vivo皮膚感作試験
エタノールおよびプロピレングリコールを含む溶媒系中のミノサイクリン、マグネシウム塩、およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む組成物の皮膚感作性を評価した。この試験では、Table 21に示すグループについて、Hartley系アルビノモルモットを使用した。
Figure 0006793715
10匹の雄および10匹の雌のモルモット(グループ2)を、3週間連続して4−B−2(約4%ミノサイクリン)で1週間に1回局所処置した。さらに、5匹の雄および5匹のモルモット(グループ1)の対照群を、3週間連続してビヒクル(0−B−2)で1週間に1回局所処置した。約2週間の休止期間の後、グループ1およびグループ2のモルモットは、それぞれ4−B−2または0−B−2でそれぞれ再処置し、処置していない(ナイーブな)対照モルモット(グループ3)を4−B−2および0−B−2で処置した。処理していない(ナイーブな)対照モルモット(グループ3)については、組成物4−B−2および0−B−2の両組成物を、各試験動物の2つの異なる位置に適用した。グループ1およびグループ2の試験動物における処置の応答を、グループ3の処置対照動物での応答と比較した。
約1週間の休止期間の後、グループ1、グループ2およびグループ4の動物をTable 21に記載の適当な物質で局所処置し再処置を行った。試験動物(グループ1および2)における最処置の応答を、グループ4の対照動物の応答と比較した。
この試験にα−ヘキシルシンナムアルデヒド(HCA)陽性対照を含めた。この陽性対照は、HCA試験群(グループ5)のモルモット10匹およびHCA対照群(グループ6)のモルモット10匹から構成された。Table 21に記載のとおり、HCA試験動物を、感作にはエタノール中5%w/vのHCAで、惹起(チャレンジ)にはアセトン中2.5%および1.0%w/vのHCAで処置した。チャレンジには、1.0%および2.5%w/vのHCA組成物の両方を、各試験動物の2つの異なる部位に適用した。
動物はいずれも試験中に開始時の体重を上回り、良好な健康状態を示した。これとは別にチャレンジと再チャレンジ投与の間でわずかな体重減少を、試験および/またはビヒクル試験動物において認めたが、これらの減少はごく僅かであり、4−B−2または0−B−2組成物の適用に関連するとは考えられなかった。チャレンジ投与中にいくつかの動物で刺激性が認められた。この刺激性は再チャレンジのときには見られなかった。さらに、3回目の感作時にほとんど分からない程度の紅斑を伴う1匹の試験動物のみ、チャレンジ時に刺激性が認められた。物質が感作を引き起こした場合、チャレンジと再チャレンジの両方で、またより多くの数の動物での応答が予想される。
この試験の結果に基づいて、4−B−2および0−B−2は、モルモットにおける接触感作性物質であるとは考えられなかった。この試験は、実施例18に記載のとおり、0.1%〜4.0%の範囲、または好ましくは約0.25%〜約2%の範囲、より好ましくは約0.5%〜約1.5%の範囲のミノサイクリンの投与量レベルで、感作応答を発現させることなく、動物への投薬を行うことができることを示している。より高い用量のミノサイクリンでより積極的な治療が可能である。少なくとも約0.20%または少なくとも約1.0%の投与量が好ましい。
実施例19
酸化防止剤の安定性に対する影響
ミノサイクリンとマグネシウム安定化ミノサイクリン
例示的組成物について、薬効、安定性およびエピマー形成に対する選択した酸化防止剤の影響を評価した。組成物中のミノサイクリンの分解および安定性を、ベースラインと、密封ガラスバイアル内で40℃の暗所で、1,2および4週間保存した後で評価した。組成物と大気中の水蒸気との間の相互作用を低減するために、バイアル内での各組成物の上の空隙を最小限に(典型的な実験環境において実用的な程度まで)抑える努力をした。
ミノサイクリンのそのエピマーへの分解は、4−エピ−ミノサイクリンのピーク面積を、4−エピ−ミノサイクリンのピーク面積と活性なミノサイクリンのピーク面積の合計で割ったものとして計算した、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度の変化を評価することにより定量化した。これとは別に、活性なミノサイクリンのピーク面積を、HPLCクロマトグラフィーで観察される全てのピークのピーク面積の合計で割ったものとして計算した、活性なミノサイクリンの相対濃度の変化を評価することによって、安定性を定量化した。これらの測定のために、20分間のランタイムをHPLCに使用した。
本試験で評価した各組成物が含有する物質は、Table 22に記載のとおりである。上から6つの物質(すなわち、ミノサイクリン塩酸塩、ヒドロキシプロピルセルロース、塩化マグネシウム(無水)、エタノール(無水)、プロピレングリコール、および1,8−シネオール)で評価した各組成物の99.8%を占める。残りの0.2%を、Table 23に示した酸化防止剤の1つか、または対照としてエタノール(無水)とした。
Figure 0006793715
組成物は以下のように調製した:エタノール(無水)、プロピレングリコール、1,8−シネオール、およびTable 23に示した酸化防止剤またはエタノール(無水)を十分に分散するまで混合した。塩化マグネシウム(無水)およびミノサイクリン塩酸塩を混合物に加え、透明になるまで、または混合物が透明にならない場合は15分間混合した。ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL HF, Ashland Specialty Chemical, Wilmington DE)をゆっくりと加え、透明になるまで、または混合物が透明にならない場合は15分間混合した。
Figure 0006793715
Table 24は、4−エピ−ミノサイクリンの測定された相対濃度および各組成物中の活性なミノサイクリンの相対濃度を記載する。測定は、ベースライン時および密閉したガラスバイアル内で、40℃にて1〜2週間および4週間エージングした後に行った。コンピュータプログラムJMP Statistical Software Tool (SAS Institute, Inc., Cary, NC)を使用して、各組成物の測定データに基づいて週当たりの濃度の変化を評価し、各組成物の線形最小二乗最適適合式(linear least squares best fit equation)を得た。この線形最小二乗最良適合式の勾配を、4週間のエージング期間にわたる濃度の変化率としてTable 24に示す。Table 24は、ベースラインの測定値と週ごとの変化についてベストフィット勾配を示す。
Figure 0006793715
好ましい組成物は、ベースラインの4−エピ−ミノサイクリン相対濃度が低く、4−エピ−ミノサイクリン相対濃度の1週間あたりの増加がわずかであるか、または全くないことを示す。例えば、いくつかの好ましい組成物では、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で5.0%未満であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたって測定した場合の増加が1.00%/週未満である。いくつかの好ましい組成物において、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で1.0%未満であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたって測定した場合の増加が1.00%/週未満である。より好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で1.0%未満であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたって測定した場合の増加が0.70%/週未満である。好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で約0.50%〜約1.00%の範囲であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたって測定した場合の増加が、約0.20%〜約0.40%/週の範囲である。
好ましい組成物は、活性なミノサイクリンの高い相対濃度、および活性なミノサイクリンの相対濃度の1週間あたりの減少が小さいかまたは全くないことを示す。例えば、いくつかの好ましい組成物では、活性なミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で少なくとも95.0%であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたって測定した場合の減少が1.50%/週未満である。いくつかの好ましい組成物では、活性なミノサイクリンの相対濃度はベースラインの測定で少なくとも98.0%であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたって測定した場合の減少が1.00%/週未満である。より好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で少なくとも98.50%であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたって測定した場合の減少が0.70%/週未満である。好ましくは、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度は、ベースラインの測定で約97.0%〜約99.0%の範囲であり、ベースラインでの測定直後から密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間にわたって測定した場合の減少が約0.30%〜約1.00%/週の範囲である。
この試験ではさらに、ベースラインの組成物と、密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間エージングした後の組成物との間で色の違いを評価した。酸化防止剤としての亜硫酸化合物を含有する4つの組成物、すなわち組成物2−ss、3−sb、17−psおよび1−sbsは、エージング後の組成物とベースラインの組成物との間で有意の色の差はなかった。他の組成物はそれぞれ有意の色の差を示した。これらの色の差の強度は、活性なミノサイクリンの相対濃度の低下の量とは相関しなかった。例えば、組成物5−bht、12−対照および16−ssは、組成物8−dttおよび4−aaより暗色化が著しかったが、前者3つの組成物は後者の2つの組成物と比較して、活性なミノサイクリンの相対濃度の低下は緩やかであった。好ましい組成物は、密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間エージングした後も有意の色変化を示さない。
好ましい組成物では、密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間エージングした後の色変化は、各値が0〜255の範囲で測定される3次元RGB空間における色差が50未満、より好ましくは20未満である。色差は、次式に従って3次元RGB空間で計算される:
色差RGB =((ΔR)2+(ΔG)2+(ΔB)20.5
色の変化は、分光測色計(PANTONE CAPSURE, Model RM200, X-Rite, Inc., Grand Rapids, MI)を用いて評価することができる。2つの顕微鏡スライドを使用し、スライド間に1mmのスペーサーを置く。評価される領域内のスライド間の空間を満たすように組成物をピペットで分注する。組成物を分注した顕微鏡スライドを、標準的な非光沢コピー紙の白色片の上に置く。分光測色計の視野が組成物によって満たされ、紙が組成物を透過する光のバックグラウンドとなるように、分光測色計を上部顕微鏡プレートの上部に置く。
酸化防止剤として亜硫酸化合物を用いる組成物は、他の酸化防止剤を用いて製剤化したものよりも有意に安定であることが見出された。評価した亜硫酸化合物含有酸化防止剤を含有する組成物、すなわち組成物2−ss、3−sb、17−psおよび1−sbsは、それぞれ、活性なミノサイクリンの相対濃度が少なくとも97.0%であり、活性なミノサイクリンの相対濃度の1週間あたりの減少は、対照組成物(12−対照)を含め試験した他のすべての組成物での対応する減少よりも少なかった。これらの4つの組成物は、それぞれ、酸化防止剤である亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、およびメタ重亜硫酸ナトリウムをそれぞれ含んでいた。このことは、亜硫酸化合物が、一般的な酸化防止剤より優れた抗酸化特性を有することを示すものである。さらに、組成物13−comb1,8−dtt、11−cat、10−pg、15−comb3,4−aa、7−spおよび18−snにおける酸化防止剤を含め多くの酸化防止剤は、酸化防止剤を加えたにも関わらず、活性なミノサイクリンの分解速度が実際に増大した。これらの理由から、好ましい組成物は、亜硫酸化合物、BHT、亜セレン酸ナトリウム、DL−アルファトコフェロール、ジチオエリスリトールとDL−アルファトコフェロールとの組み合わせ、およびエリソルビン酸ナトリウムからなるリストから選択される酸化防止剤を含有する。より好ましくは、組成物は亜硫酸化合物を含有する。より好ましくは、組成物は、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、およびメタ重亜硫酸ナトリウムからなるリストから選択される亜硫酸塩を含有する。
実施例20
種々の水分量およびpHでのミノサイクリンおよびマグネシウム安定化ミノサイクリンの安定性試験
例示的な組成物について薬効安定性およびエピマー形成に対する水分量の影響を評価した。さらに、選択した例示的な組成物について長期間での薬効安定性とエピマー形成を評価するために12ヶ月間のデータを収集した。
組成物中のミノサイクリンの安定性およびエピマー形成を、医薬品規制調和国際会議(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)(スイス、ジュネーブ)のガイドライン「新医薬品および製品の安定性試験(Stability Testing of New Drug Substances and Products)」(2003年2月6日付)によって規定された条件で保存された密封ガラスバイアル内でベースラインと保存後に評価した。評価の試験条件には、ICHが指定する以下の条件が含まれる:「長期間」(25℃および相対湿度(RH)60%)、「中間」(30℃および65%RH)、および「加速」(40℃および75%RH)。
この段落に記載したHPLC法および次の段落に記載する計算は、あくまでこの実施例のために用いられるものである。20マイクロリットル(μL)の試料を高速液体クロマトグラフィー装置(HPLC)(Agilent, Santa Clara, CA)に注入する。HPLCカラム(Thermo Scientific)は、粒径5マイクロメートル(μm)のHYPERSIL BDS C18カラム250×4.6mmであった。HPLCシステムには、ガードカラム(Phenomenex, Inc.)と12%(v/v)ジメチルホルムアミド(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、8%テトラヒドロフラン(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)、1.8mM EDTA(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)および0.12Mシュウ酸アンモニウム(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)のベース溶媒からなる移動相を用いた。移動相のpHを7.1〜7.2に調整した。HPLCの流速は1.5mL/分、カラム温度40℃、検出波長280nm、およびランタイム30分であった。溶液中に存在するミノサイクリンの量は、外部較正に基づいて決定した。これによりミノサイクリン塩酸塩の濃度を計算することができた。
4−エピ−ミノサイクリンピーク面積を4−エピ−ミノサイクリンのピーク面積と活性なミノサイクリンのピーク面積の合計で割ったものとして計算された4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度の変化を評価することにより、ミノサイクリンのそのエピマーへの分解を定量化した。これとは別に、試料の活性なミノサイクリンのピーク面積を、作業標準の活性なミノサイクリンピーク面積と比較することによって計算された、活性なミノサイクリンの濃度の変化を評価することによって安定性を定量化した。さらに、活性なミノサイクリンのピーク面積をHPLCクロマトグラフィーで観察される全てのピークのピーク面積の合計で割ったものとして計算した、活性なミノサイクリンの相対濃度の変化を評価することによって、安定性を定量化した。
ミノサイクリンの作業標準は、50mgのメスフラスコに25mgのUSPミノサイクリン塩酸塩RSを入れ、次いで水で加えて混合し50mLの溶液を形成することによって調製した。作業標準は光から保護し、すぐに使用しない場合は冷蔵庫に保存し、調製から3時間以内に使用した。作業標準における活性なミノサイクリンの濃度は、式C=W*(100%-KF)*(P÷V)(ここでC(単位mg/mL)は活性なミノサイクリンの濃度であり、W (mg)はミノサイクリン塩酸塩の重量であり、KF(%)は溶液を調製するために加えた水の割合であり、Pはミノサイクリンの効力であり、V(mL)は溶液の体積である)に従って計算した。この実施例に用いたミノサイクリンの効力は0.917、即ち91.7%であった。
この実施例に記載の試験において評価した組成物はそれぞれ、Table 25および26に記載の材料を含有する。
Figure 0006793715
Figure 0006793715
各組成物を以下の工程に従って調製した:エタノール(無水)、プロピレングリコール、1,8−シネオールおよびメタ重亜硫酸ナトリウムを十分に分散するまで混合した。塩化マグネシウム(無水)およびミノサイクリン塩酸塩を混合物に加え、混合物が透明になるまで混合し、混合物が透明にならない場合は15分間混合した。ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL HF, Ashland Specialty Chemical, Wilmington DE)をゆっくり加え、透明になるまで混合した。pHを高めた組成物、すなわち組成物SS−0001、SS−0002およびSS−0003については、水酸化ナトリウムを、エタノール溶液中の5%水酸化ナトリウムとして添加した。
Table 25および26に記載の組成物のいくつかは、組成物のpHを高めるために水酸化ナトリウムを含んでいる。これらのpH調整された組成物は、pHが中性により近いことにより皮膚により良好に許容されるよう設計された。Table 25および26に示したエタノールは、水酸化ナトリウムエタノール溶液のエタノール(無水)とエタノールの総量を表す。水酸化ナトリウムの代わりに局所用製剤として適用するのに安全な他の塩基を使用することができる。このような塩基の選択は、当業者には明らかであろうし、過度の実験をすることなく評価することもできる。
Table 28および27は、活性なミノサイクリンのピークに対する割合として測定された4-エピ−ミノサイクリンの濃度、および各組成物中の活性なミノサイクリンの濃度として記載する。測定は、ベースラインと密閉したガラスバイアル内でのエージング後に行った。
Figure 0006793715
Figure 0006793715
各組成物についての活性なミノサイクリンの相対濃度は、図14A、14B、14Cのグラフ(それぞれ25℃、30℃、40℃でのエージング)に示されている。各組成物のこれらのグラフにおける最小二乗ベストフィットラインのそれぞれについて勾配を計算し、組成物中の活性なミノサイクリンの分解を記載し、組成物間の比較を可能にした。
この試験のいくつかの組成物は無水塩化マグネシウムを含有し、他の組成物は塩化マグネシウム六水和物を含有していた。組成物SS−0004〜SS−0008と組成物SS−0009〜SS−0011との間の重要な相違点は、塩化マグネシウムが前者の場合無水で、後者の場合は六水和物で添加されたことである。これにより、後者の組成物では含水量が増大し、組成物の安定性に対する水の影響を評価することが可能である。
塩化マグネシウムを名目上の活性なミノサイクリン量と共に直線的に増加させたので、ミノサイクリン濃度が高い組成物では含水量が増加した。図15は、名目上の活性なミノサイクリン量に対する組成物SS−0004〜SS−0011の各々における水の量を示す。水分量は、カールフィッシャー滴定によって測定した。図16は、これらの組成物の水分量および温度に対する安定性を示す。その濃度における活性なミノサイクリンの相対濃度の勾配によって示されるように、水分量の増加と分解速度の増加との間には相関がある。安定な組成物を維持するためには、好ましい組成物において、組成物の水分量を3.0%未満、好ましくは2.0%未満、より好ましくは1.0%未満にすることが望ましい。
組成物SS−0001〜SS−0011のpH値は、約3.8〜約5.0の範囲で変化した。例えば塩基の添加による、pH増大の影響は、組成物SS−0001およびSS−0002を組成物SS−0004およびSS−0005と比較することによって認められる。SS−0001およびSS−0002は、pH未調整の組成物SS−0004およびSS−0005のpHと比較して、組成物のpHを高める水酸化ナトリウムを含んでいた。Table 29は、様々なエージング条件について評価した各種試験組成物の計算された勾配を示す。組成物SS−0001およびSS−0002のミノサイクリンの分解速度を、それぞれ組成SS−0004およびSS−0005の分解速度と比較することにより、組成物の安定性は、pHの小さな増大では大きく変化しなかったことを示すことができる。この方法により、約4.0〜約6.0の範囲のpHを有する組成物を調製することができ、皮膚への刺激が低減されるため望ましいであろう。より好ましくは、組成物は、約4.5〜約6.0、約4.5〜約5.5、または約5.0〜約6.0のpH範囲を有する。
Figure 0006793715
組成物SS−0003とSS−0007の比較はpHの評価としては実施しなかった。なぜなら、これらの組成物について認められる傾向は、他の2組の組成物に基づいてこの段落に示した傾向とは矛盾するものであるが、プロピレングリコールの量が異なり安定性の差の原因を評価することがより困難であるからである。
活性なミノサイクリンの安定性は、組成物中の1%〜5%の範囲の1,8−シネオールの量に対して有意な変化は認められなかった。そのような組成物の例はこの実施例に示した。
活性なミノサイクリンの安定性は、組成物中のプロピレングリコールの量に対して変化することが認められた。一般に、プロピレングリコールをアルコールに置き換えて組成物を調製すると、組成物がより安定になった。しかしながら、プロピレングリコールは、塩酸ミノサイクリンの溶解性を増加させ、ヒトの皮膚に局所的に適用したときに組成物の蒸発速度を低下させ、組成物をヒトの皮膚に局所的に適用したときに乾燥を低減し、ミノサイクリンの皮膚への浸透を促進するので有益である。プロピレングリコールの量を変えた組成物の例を本実施例に示した。
実施例21
テトラサイクリン系薬物での安定性試験
薬効安定性およびエピマー形成に対するテトラサイクリン系薬物の選択の影響を、例示的な組成物について評価した。組成物は、ベースライン時および密封したガラスバイアル内で40℃にて暗所で保存後に評価した。これらの試験の各々について、組成物と大気中の水蒸気との間の相互作用を低減するために、バイアル内での各組成物の上の空隙を最小限に(典型的な実験環境において実用的な程度まで)抑える努力をした。
本明細書に記載した他の実施例の多くにおけるミノサイクリンに関して、テトラサイクリンの薬効の安定性は、活性なテトラサイクリンのピークを、HPLCクロマトグラフィーで観察された全てのピークのピーク面積の合計で割ったものとして計算された、活性なテトラサイクリンの相対濃度の変化を評価することによって定量化した。ミノサイクリンおよびテトラサイクリンの量の測定に関して、使用したHPLC法は分解成分の殆どを検出したので、相対的な活性薬物の測定は、標準のピークに対する薬物ピークの実際の測定よりも、組成物における活性な薬物の量を検出するためのより信頼性の高いおよびより代表的な方法であると思われる。測定を反復して、この方法の評価を確認した。ドキシサイクリンについては、HPLC法では、分解したドキシサイクリン成分の主なピークが検出されなかった。したがって、ドキシサイクリンについては、ピーク総面積ではなく、ドキシサイクリン標準の測定値に対して、活性なドキシサイクリンの量を算出した。
テトラサイクリンおよびドキシサイクリンの測定には実施例21に記載のHPLC法を用いたが、流速は1.0mL/分ではなく0.8mL/分とした。
この実施例に記載した試験で評価した組成物の成分をTable 30および31に示す。
Figure 0006793715
Figure 0006793715
各組成物を以下の工程に従って調製した:エタノール(無水)、プロピレングリコール、1,8−シネオールおよびメタ重亜硫酸ナトリウムを十分に分散するまで混合した。塩化マグネシウム(無水)およびテトラサイクリン塩酸塩またはドキシサイクリン水和物のいずれかを混合物に加え、混合物が透明になるまで混合し、混合物が透明にならない場合は15分間混合した。ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL HF, Ashland Specialty Chemical, Wilmington DE)をゆっくり加え、透明になるまで混合した。pHを高めた組成物、すなわち組成物の識別子の最後に「−a」を付した組成物については、水酸化ナトリウムを、エタノール溶液中の5%水酸化ナトリウムとして添加した。
Table 30および31に記載の組成物のいくつかは、組成物のpHを高めるために水酸化ナトリウムを含んでいる。これらのpH調整された組成物は、pHが中性により近いことにより皮膚により良好に許容されるよう設計された。Table 30および31に示したエタノールは、水酸化ナトリウムエタノール溶液のエタノール(無水)とエタノールの総量を表す。水酸化ナトリウムの代わりに局所用製剤として適用するのに安全な他の塩基を使用することができる。このような塩基の選択は、当業者には明らかであろうし、過度の実験をすることなく評価することもできる。
Table 32は、テトラサイクリンを含有する各組成物中の活性なテトラサイクリンの測定された相対濃度を記載する。測定は、ベースライン時および密閉したガラスバイアル内で40℃にてエージングした後に行った。Table 32のデータは、テトラサイクリンの安定性が、組成物中に塩化マグネシウムを含有することにより、または組成物中に塩化マグネシウムおよびSMBSを含有することによって低下することを示している。安定性は、pH緩衝化組成物および非緩衝化組成物のいずれも低下した。大部分の用途では、これらの組成物は、冷蔵しなければ、商業展開には十分安定ではない。このような組成物は、組成物を5℃±3℃の温度に維持するなどの適切な保存状態によって、いくつかの適用については十分に安定である。
Figure 0006793715
Figure 0006793715
Table 33は、ドキシサイクリンを含有する各組成物中の活性なドキシサイクリンの測定された濃度を記載する。測定は、ベースライン時および40℃にて密閉したガラスバイアル内で7日間および21日間エージング後に行った。これらのデータは、ドキシサイクリンの安定性が、組成物中に塩化マグネシウムを取り込むことによって、または組成物中に塩化マグネシウムおよびSMBSを取り込むことによって増大することを示している。pH緩衝化組成物が望ましい場合、データは、緩衝化した組成物のほうが緩衝化していない組成物よりも、塩化マグネシウムを含有することが有益であることを示している。いくつかの適用では、ドキシサイクリンは、本明細書に記載した皮膚の状態の治療に有用であるこれらの1以上の組成物において、冷蔵しなくても十分安定であり得る。
図13Aおよび13Bは、密閉したガラスバイアル内で40℃にて7日間エージングする前(図13A)およびエージングした後(図13B)の各組成物の色を示す。Table 32および33に記載のとおり、いくつかの組成物では7日間のエージング期間の間に色変化が生じた。
この実施例および本明細書に記載した他の実施例のデータに基づいて、ミノサイクリンおよびドキシサイクリンは、テトラサイクリンと比較してその優れた安定性により、本明細書に記載した組成物において使用するためのテトラサイクリン系の薬物の好ましい形態である。 他のテトラサイクリンクラスの薬剤は、局所用組成物の具体的な適用に関するそれらの安定性の適合性を評価するために、本明細書に記載の組成物において評価することができる。
実施例22
Ex Vivoヒト皮膚への浸透:
3つのテトラサイクリン系薬物の比較
Ex Vivo皮膚組織での浸透実験を行い、マグネシウム源、一価の脂肪族アルコール、およびポリオールを含む組成物に含有させて皮膚表面に適用したときの、3つの活性なテトラサイクリン系薬物の皮膚への浸透効率を測定した。腹部の皮膚への浸透を、3人のヒトドナーについてそれぞれ3種類の各薬物の試料を用い、組成物につき合計9種類の測定値について評価した。試験したテトラサイクリン系の薬物は、テトラサイクリン、ミノサイクリン、およびドキシサイクリンとした。この試験の一部として評価された組成物をTable 34に記載する。
Figure 0006793715
組成物を、約12mg/cmの用量で3人のヒトドナーの皮膚サンプルに適用した。組織を湿った環境に維持して組織の乾燥を制限し、32℃で3時間インキュベートした。インキュベーション時間の終了時に、最初に乾いたガーゼパッド、70%イソプロピルアルコールで湿らせたガーゼパッド、最後に乾いたガーゼパッドで過剰な組成物を表面から拭き取った。角質層の上層を除去するためにテープ剥離を行った。6mmのパンチ生検を試験領域から採取した。酸性化したメタノールを使用して、各生検からテトラサイクリン系薬物を抽出した。上清を高速液体クロマトグラフィーで分析した。
この試験の結果は、ドキシサイクリン、ミノサイクリンおよびテトラサイクリンの浸透効率は、これらの活性薬物それぞれの最小発育阻止濃度を十分上回っており、したがって皮膚の表面または内部の細菌(P.acnes等)を死滅させるのに有用であることを示した。ドキシサイクリンおよびミノサイクリンは、テトラサイクリンよりも高い浸透効率を示した。この理由から、ドキシサイクリンおよび/またはミノサイクリンは、いくつかの適用について、テトラサイクリンよりも好ましい。

Claims (43)

  1. ミノサイクリン、マグネシウム塩、亜硫酸化合物および一価の脂肪族アルコールと3〜8の炭素原子を有するポリオールとを含んでなる非水性溶媒を含有する局所用組成物であって、該組成物の水分量が5重量%未満であり、一価の脂肪族アルコールと3〜8の炭素原子を有するポリオールとの重量比が約1:1〜99:1の範囲または約2:1〜10:1の範囲である、組成物。
  2. ミノサイクリンが非水性溶媒に溶解している、請求項1に記載の局所用組成物。
  3. マグネシウム塩とミノサイクリンのモル比が約2:1〜100:1の範囲である、請求項1または2に記載の局所用組成物。
  4. マグネシウム塩が塩化マグネシウムであるか、または塩化物よりも軟らかい対イオンを有するマグネシウム塩である、請求項1〜のいずれかに記載の局所用組成物。
  5. 一価の脂肪族アルコールが、エタノール、イソプロパノール、プロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜のいずれかに記載の局所用組成物。
  6. 前記一価の脂肪族アルコールがエタノールである、請求項1〜のいずれかに記載の局所用組成物。
  7. 約0.1重量%〜約4重量%のミノサイクリンを含む、請求項1〜のいずれかに記載の局所用組成物。
  8. 密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間保存したときの、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度の増加が1.0%/週未満である、請求項1〜のいずれかに記載の局所用組成物。
  9. 密閉したガラスバイアル内で40℃にて4週間保存したときの、4−エピ−ミノサイクリンの相対濃度の増加が0.70%/週未満である、請求項に記載の局所用組成物。
  10. 密閉容器内で25℃、相対湿度60%にて12ヶ月間保存したときの、ミノサイクリン分解産物の含有量が7%未満であり、分解産物が4−エピ−ミノサイクリンである請求項1〜のいずれかに記載の局所用組成物。
  11. ポリオールがC3−C8ジオールまたはトリオールである、請求項1〜10のいずれかに記載の局所用組成物。
  12. ポリオールがプロピレングリコールである、請求項11に記載の局所用組成物。
  13. 亜硫酸化合物が、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩である、請求項1〜12のいずれかに記載の局所用組成物。
  14. 亜硫酸化合物が、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムから選択される無機カチオンを含む無機亜硫酸塩である、請求項13に記載の局所用組成物。
  15. 約0.005重量%〜約3.0重量%の亜硫酸化合物を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の局所用組成物。
  16. 亜硫酸化合物が、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項15に記載の局所用組成物。
  17. さらに精油を含有する、請求項1〜16のいずれかに記載の局所用組成物。
  18. 0.01〜5重量%の精油1,8−シネオールを含有する、請求項17に記載の局所用組成物。
  19. 増粘剤を含有する、請求項1〜18のいずれかに記載の局所用組成物。
  20. 増粘剤がヒドロキシプロピルセルロースである、請求項19に記載の局所用組成物。
  21. ミノサイクリンまたはドキシサイクリン、マグネシウム塩、一価の脂肪族アルコールおよび3〜8の炭素原子を有するポリオールを含有する局所用組成物であって、(i)一価の脂肪族アルコールとポリオールとの重量比が1:1〜99:1であり、(ii)テトラサイクリン系の薬物が該局所用組成物中に溶解しており、(iii)該局所用組成物の水 分量が5重量%未満である、局所用組成物。
  22. ミノサイクリン、マグネシウム塩、ならびに一価の脂肪族アルコールおよび3〜8の炭素原子を有するポリオールを含有する溶媒を含有する局所用組成物であって、(i)一価の脂肪族アルコールとポリオールとの重量比が1:1〜99:1であり、(ii)ミノサイクリンが該局所用組成物中に溶解している、局所用組成物。
  23. マグネシウム塩とドキシサイクリンまたはミノサイクリンとのモル比がそれぞれ2:1〜100:1の範囲である、請求項21または22に記載の局所用組成物。
  24. マグネシウム塩が塩化マグネシウムであるか、または塩化物よりも軟らかい対イオンを有するマグネシウム塩である、請求項2123のいずれかに記載の局所用組成物。
  25. 一価の脂肪族アルコールが、エタノール、イソプロパノール、プロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2124のいずれかに記載の局所用組成物。
  26. ポリオールがC3−C8ジオールまたはトリオールである、請求項2125のいずれかに記載の局所用組成物。
  27. ポリオールがプロピレングリコールである、請求項2126のいずれかに記載の局所用組成物。
  28. さらに酸化防止剤を含有する、請求項2127のいずれかに記載の局所用組成物。
  29. テトラサイクリン系の薬物がミノサイクリンである、請求項212428のいずれかに記載の局所用組成物。
  30. ミノサイクリンまたはドキシサイクリンに対するマグネシウム塩のモル比が少なくとも3:1である、請求項1〜29のいずれかに記載の局所用組成物。
  31. ミノサイクリンまたはドキシサイクリンに対するマグネシウム塩の重量比が1:3〜3:1の範囲である、請求項1〜29のいずれかに記載の局所用組成物。
  32. 溶媒が一価の脂肪族アルコールおよびポリオールからなる、請求項2231のいずれかに記載の局所用組成物。
  33. 約50重量%〜約95重量%の一価の脂肪族アルコール、約5重量%〜約40重量%のポリオール、約0.1重量%〜約10重量%のミノサイクリン、および約0.2重量%〜約15重量%のマグネシウム塩を含有する、請求項2232のいずれかに記載の局所用組成物。
  34. 少なくとも1週間、少なくとも1日1回、哺乳類の体の外側の上皮表面に適用するのに適した、皮膚の状態または疾患の処置において使用するための、請求項1〜33のいずれかに記載の局所用組成物。
  35. 組成物が、少なくとも1ヶ月間、外側の上皮表面に局所適用される、請求項34に記載の局所用組成物。
  36. 皮膚の状態または疾患がざ瘡または酒さであり、組成物が、6〜52週間、1日に1回または2回、皮膚に適用するのに適している、請求項34または35に記載の局所用組成物。
  37. ex vivoでのヒトの顔皮膚への浸透効率に、局所用組成物中のミノサイクリンまたはテトラサイクリン系の薬物の濃度をそれぞれ乗じた値が、標的組織または標的体液中の標的細菌に対する該薬物についての最小生育阻止濃度(MIC)を超える、請求項3436のいずれかに記載の局所用組成物。
  38. 標的細菌がP.acnesである、請求項37に記載の局所用組成物。
  39. 皮膚の状態または疾患がざ瘡、膿痂疹または酒さである、請求項34に記載の局所用組成物。
  40. ざ瘡が尋常性ざ瘡である、請求項39に記載の局所用組成物。
  41. 組成物を、約2週間〜少なくとも約6週間または皮膚の状態または疾患の改善が目で観察されるまで、1日に1〜3回、外側の皮膚表面に適用するのに適した、請求項39または40に記載の局所用組成物。
  42. (i)ミノサイクリン、マグネシウム塩および亜硫酸化合物を、揮発性の一価の脂肪族アルコールと3〜8の炭素原子を有するポリオールとを含んでなる溶媒中で混合して混合物を形成する工程であって、一価の脂肪族アルコールとポリオールとの重量比が約1:1〜99:1の範囲である工程、および(ii)(i)の混合物を攪拌して、ミノサイクリンが溶解した溶液を形成する工程を含む、局所用組成物の製造方法であって、該組成物の水分量が5重量%未満である方法。
  43. (i)ミノサイクリンまたはドキシサイクリン、マグネシウム塩、揮発性の一価の脂肪族アルコール、および3〜8の炭素原子を有するポリオールを混合して混合物を形成する工程であって、一価の脂肪族アルコールとポリオールとの重量比が約1:1〜99:1の範囲である工程、および(ii)(i)の混合物を撹拌して、ミノサイクリンまたはドキシサイクリンが溶解した、水分量が5重量%未満の溶液を形成する工程を含む、局所用組成物の製造方法。
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