JP6793032B2 - 液体塗工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体塗工装置に関する。
従来、移動する被塗工物に接着剤等の液体を所定パターンで塗工する液体塗工装置として、外周面を形成する表面プレートと、該表面プレートよりも内側の部分を構成するロール本体とを備え、該ロール本体の内部を通って供給される液体をロール本体の外周面に形成された凹部に一旦溜めたのち、該凹部を被覆する表面プレートから吐出させるようにした吐出ロールを有する液体塗工装置が知られている。
出願人は、先に、所定の塗工パターンで被塗工物に接着剤等の液体を塗工する際に、該液体を、塗工すべき領域の全域にムラなく塗工することのできる液体塗工装置を提案した(特許文献1参照)。
また出願人は、これとは別の技術として、吸収体をカットするカッターロールが一回転する間に該カッターロールの周速度を一定パターンで加減速させて、カットされる吸収体の長さを調整する吸収性物品の製造方法を提案した(特許文献2参照)。
特許第5324154号 特開2004−16611号公報
ここで上述した従来の液体塗工装置は、ロール本体の外周面に表面プレートを取り付けて使用するため、例えば、1回転で1個の塗工をする場合等のようにロール本体の外径を小さくすると、表面プレートの曲率も小さくしなければならない。曲げ加工によって円弧状の表面プレートを形成する場合、曲率を小さくすると、多孔質体により形成される表面プレートの割れや積層させた多孔質体間の剥がれ等を起こすおそれが考えられる。このように、特許文献1に記載の液体塗工装置には、更なる改良の余地があった。
また、特許文献2の製造方法では、外周面にカッターが配されたカッターロールの周速度を加減速させることで吸収体の長さを調整しており、表面プレートから液体を吐出させて塗工する技術やロールの曲率に関して、何ら記載されていない。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る液体塗工装置を提供することにある。
本発明は、供給部から供給される液体を所定形状に吐出して、一定の搬送速度で搬送される被塗工物に塗工する液体塗工装置であって、軸芯部を含む本体部分、該本体部分の外周面上に配され且つ前記所定形状に対応するパターンに開口する1個の開口部を有するパターン形状プレート、及び該パターン形状プレートの該1個の開口部の内側部分と該本体部分の外周面とで形成された凹部を被覆する表面プレートを有する吐出ロールと、前記吐出ロールの回転角速度を制御する制御部とを備え、前記吐出ロールは、前記本体部分の外周面上に前記パターン形状プレート及び前記表面プレートが重なる重畳領域と、該重畳領域以外の該表面プレートが配されていない非重畳領域とを周方向に並んで有しており、前記重畳領域と前記被塗工物とが対向している状態においては、前記吐出ロールの前記表面プレートと前記被塗工物とが接触状態となり、前記非重畳領域と前記被塗工物とが対向している状態においては、前記吐出ロールと前記被塗工物とが非接触状態となり、前記制御部によって、前記吐出ロールの前記表面プレートが前記被塗工物と接触している間は該被塗工物の搬送速度に対応した回転角速度で前記吐出ロールを回転させ、前記吐出ロールの前記表面プレートが該被塗工物から離れると前記吐出ロールの回転角速度を加速させる、液体塗工装置を提供するものである。
本発明の液体塗工装置によれば、1回転で1個の塗工を行う場合等においても表面プレートの破損などを起こすことなく、効率よく連続的に液体の塗工を行うことができる。
図1は、本発明の一実施形態である液体塗工装置の吐出ロールを断面にして示した模式図である。 図2は、図1に示す吐出ロールのII−II線断面図である。 図3(a)は、図2に示す吐出ロールの回転動作を模式的に示す断面図であり、図3(b)は、図3(a)に示す吐出ロールの回転角速度を示すタイムチャート図である。 図4は、図1に示す吐出ロールの他の形態を模式的に示す断面図と吐出ロールの回転角速度を示すタイムチャート図である。 図5は、本発明の一実施形態である液体塗工装置の他の形態を示す模式図である。
以下、本発明の液体塗工装置を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の一実施形態である液体塗工装置100は、図1及び図2に示すように、供給部2から供給される液体を所定形状に吐出して、一定の搬送速度で搬送される被塗工物に塗工する液体塗工装置である。
被塗工物に塗工する液体としては、例えば、ホットメルト接着剤や油剤、スキンケアや保湿効果のある機能剤等の粘性を有する液体を用いることができる。ホットメルト接着剤としては、特に限定されないが、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系ゴム、又はアモルファスポリαオレフィン(APAO)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等のオレフィン系ポリマー等のホットメルト接着剤が挙げられる。ホットメルト接着剤以外の接着剤、例えば、低密度ポリエチレン、ポリビニルアセテート、シリコン樹脂、糊等を用いることもできる。粘性を有する液体の粘性としては、好ましくは1PS以上、より好ましくは10CPS以上、好ましくは10000CPS以下、より好ましくは8000CPS以下、好ましくは1CPS以上10000CPS以下、より好ましくは10CPS以上8000CPS以下である。
また液体が塗工される被塗工物としては、例えば、不織布、織布、樹脂フィルム、編み物等からなるシート状物、若しくはこれらのシート状物が2層以上に積層されてなる積層体、これらのシート状物や積層体に更に他の部材を積層したり挟んだりしてなる物品等が挙げられる。被塗工物は、連続する帯状体であっても良いし、所定の長さを有し、所定の間隔をあけて順次搬送されているものであっても良い。
以下においては、液体としてホットメルト接着剤Hを用い、被塗工物として帯状のシートSを用いた液体塗工装置100を例にとって説明する。
液体塗工装置100は、図1に示すように、ホットメルト接着剤Hを所定形状で吐出する吐出ロール3と、該吐出ロール3の回転角速度を制御する制御部7とを備えており、本実施形態では、それらに加えて、ホットメルト接着剤Hを供給する供給部2と、吐出ロール3と対向配置される受けロール4と、吐出ロール3を回転させる第1駆動源5と、受けロール4を回転させる第2駆動源6とを備えている。
供給部2は、図1に示すように、液体塗工装置100では、ホットメルト接着剤Hを収容したタンク20と、該タンク20及び吐出ロール3を連結する供給管21と、該供給管21を介してタンク20に収容されたホットメルト接着剤Hを吐出ロール3に送り出すポンプ22とを備えている。タンク20はその内部にヒータ等の加熱手段(図示せず)が組み込まれており、ヒータ等の加熱手段でタンク20の内部の温度調節が可能となっている。供給管21は、一端部がポンプ22を介してタンク20に接続され、他端部が吐出ロール3の後述する接続部10に接続されている。ポンプ22は駆動モータ22Mを有しており、該駆動モータ22Mを回転させることで駆動して、ホットメルト接着剤Hを供給管21を介して吐出ロール3に向けて送り出す。駆動モータ22Mは制御部7に電気的に接続されており、該制御部7によって回転が制御されている。
吐出ロール3は、図1及び図2に示すように、液体塗工装置100では、軸芯部を含む本体部分30、該本体部分30の外周面上に配され且つ所定形状に対応するパターンに開口する1個の開口部31hを有するパターン形状プレート31、及び該パターン形状プレート31の該1個の開口部31hの内側部分31rと該本体部分30の外周面30uとで形成された凹部33を被覆する表面プレート32を有している。ここで、「所定形状に対応するパターン」とは、凹部33を法線方向から視た際の凹部33の輪郭と、吐出されるホットメルト接着剤Hの形状とが一致していることを意味する。また吐出ロール3は、本体部分30の外周面30u上にパターン形状プレート31及び表面プレート32が重なる重畳領域34と、該重畳領域34以外の該表面プレート32が配されていない非重畳領域35とを周方向に並んで有している。液体塗工装置100の吐出ロール3は、1つの重畳領域34と1つの非重畳領域35とを周方向に隣接させて配されている。
本体部分30は、図1に示すように、液体塗工装置100では、略円柱形状に形成されており、軸芯部の回転軸方向の両端部に設けられた軸部30s,30sがフレーム11,11に回転自在に支持されている。本体部分30の一方側の軸部30sには供給部2の供給管21が接続される接続部10が配されており、接続部10は一方側の軸部30sに回転自在に取り付けられている。接続部10には、例えばロータリージョイントを用いることができる。
液体塗工装置100では、本体部分30の内部には、その軸芯部に回転軸方向に延出する主管路30mと、主管路30mから本体部分30の外周面に向けて放射方向に延出する分岐管路30dとが形成されている。また本体部分30の内部には、カートリッジヒータ等の加熱手段(図示せず)が組み込まれており、カートリッジヒータ等の加熱手段で本体部分30の内部の温度調節が可能となっている。本体部分30の内部の温度調節を行うことで、例えば、本体部分30の内部を流通するホットメルト接着剤Hが流動し易い粘度等となるように調節できるようになる。
本体部分30の内部に形成される主管路30mは、図1に示すように、液体塗工装置100では、本体部分30の回転軸方向の一方側の軸部30sから他方側の軸部30sに向けて回転軸方向に延出するように形成されている。具体的に主管路30mは、一方側の軸部30sから回転軸方向の略中央部分に亘って形成されている。分岐管路30dは、液体塗工装置100では、主管路30mから本体部分30の外周面に亘って形成されている。
本体部分30の外周面上に配されるパターン形状プレート31は、液体塗工装置100では、本体部分30の外周面上に着脱可能に取り付けられている。好適には、パターン形状プレート31は、図1及び図2に示すように、本体部分30の外周面の一部を被覆可能に形成されており、本体部分30の外周面の一部を被覆した状態で固定具(図示せず)により固定されている。パターン形状プレート31は、液体塗工装置100では、図2に示す周方向に沿う断面において、本体部分30の外周面の約半周を被覆した状態で本体部分30に固定されている。好適にパターン形状プレート31は、本体部分30の回転軸方向の全域に亘って周方向の約半分を被覆している。
またパターン形状プレート31には、該パターン形状プレート31の厚さ方向に貫通した所定形状に対応するパターンに開口する1個の開口部31hが形成されている。該開口部31hは、液体塗工装置100では、パターン形状プレート31を本体部分30の外周面30uに固定した際に本体部分30の分岐管路30dが配された位置に形成されている。このように液体塗工装置100では、パターン形状プレート31が本体部分30の外周面30u上の一部に配されており、本体部分30の主管路30mと、分岐管路30dと、パターン形状プレート31の開口部31hとが連通し、これらが供給部2から供給されるホットメルト接着剤Hの流路となっている。そして、本体部分30の外周面30uと、該外周面30uに配されたパターン形状プレート31の開口部31hの内側部分31rとで凹部33が形成されている。パターン形状プレート31を本体部分30に着脱自在にすることで、開口部の形状の異なるパターン形状プレートを本体部分30に容易に取り付け可能になり、異なる形状のホットメルト接着剤Hの塗工を容易に行うことができる。また本体部分30及びパターン形状プレート31のメンテナンスが容易となる。
表面プレート32は、図1及び図2に示すように、液体塗工装置100では、本体部分30の外周面30uと、該外周面30uに重畳配置されたパターン形状プレート31の開口部31hの内側部分31rとで形成される凹部33を被覆している。好適に、液体塗工装置100では、本体部分30の約半周を被覆した表面プレート32は、パターン形状プレート31の外周面と重なるようにパターン形状プレート31の外周面のみを被覆することで凹部33を被覆している。また表面プレート32は、該パターン形状プレート31の外周面に着脱可能に取り付けられている。即ち、表面プレート32は、本体部分30の外周面30uの全面に対応するように配されることはないものである。
以上のようにパターン形状プレート31と表面プレート32とが配された吐出ロール3は、重畳領域34と非重畳領域35とを有するようになる。吐出ロール3では、表面プレート32とパターン形状プレート31とが本体部分30の外周面30u上で重なっている部分が重畳領域34となっている。重畳領域34は、後述する受けロール4とでシートSにニップ圧を加える部分である。液体塗工装置100では、パターン形状プレート31が本体部分30の回転軸方向の全域に亘って周方向の約半周分を被覆しており、表面プレート32がパターン形状プレート31のみを被覆しているため、重畳領域34は、吐出ロール3の回転軸方向の全域に亘って周方向の約半周分に配されていることになる。即ち、液体塗工装置100の吐出ロール3では、1/2回転分の領域が重畳領域34となっている。また、重畳領域34以外の表面プレート32が配されていない領域が非重畳領域35となっており、液体塗工装置100の吐出ロール3では、重畳領域34以外の1/2回転分の領域が非重畳領域35となっている。非重畳領域35では、吐出ロール3は、本体部分30が露出した状態になっており、非重畳領域35における吐出ロール3の回転中心から本体部分30の外周面30uまでの距離が、重畳領域34における吐出ロール3の回転中心から表面プレート32の外周面までの距離よりも小さくなっている。その為、重畳領域34とシートSとが対向している状態においては、吐出ロール3の表面プレート32とシートSとが接触状態となり、非重畳領域35とシートSとが対向している状態においては、吐出ロール3とシートSとが非接触状態となる。つまり、吐出ロール3は、重畳領域34と受けロール4とでシートSにニップ圧を加えることができ、非重畳領域35と受けロール4とではシートSにニップ圧を加えることができないようになっている。
なお、液体塗工装置100では、吐出ロール3の1/2回転分の領域を重畳領域34とし、残りの1/2回転分の領域を非重畳領域35としたが、例えば、吐出ロール3の1/3回転分の領域を重畳領域34とし、残りの2/3回転分の領域を非重畳領域35としてもよい。吐出ロール3の回転方向に対して重畳領域34の割合をできるだけ小さな領域とすることで吐出ロール3を効率的に回転させて連続的な塗工を行うことができるようになる。吐出ロール3の回転方向全域に対する重畳領域34の割合((重畳領域/吐出ロールの回転方向全域)×100)としては、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、好ましくは50%以下、より好ましくは33%以下、好ましくは20%以上50%以下、より好ましくは25%以上33%以下である。
パターン形状プレート31は、折り曲げ加工が容易な材料により形成されており、液体塗工装置100では、ステンレス製のプレートにより形成されている。
表面プレート32は、厚さ方向に貫通する多数の微細孔を有する多孔性材料から構成されており、塗工すべき液体(液体塗工装置100ではホットメルト接着剤H)がそれらの微細孔を通って透過可能になっている。表面プレート32を構成する多孔性材料としては、金網、パンチングメタル、エッチング開孔材、焼結金属、セラミックス及びこれらの積層体等を用いることができる。
表面プレート32を構成する多孔性材料の微細孔の平均孔径としては、0.01mm以上2mm以下、特に0.03mm以上0.8mm以下であることが好ましい。該多孔性材料の微細孔の開口面積率としては、1%以上80%以下、特に50%以上60%以下であることが好ましい。また、該多孔性材料の個々の微細孔の面積としては、0.002mm2以上3.2mm2以下、特に0.004mm2以上0.5mm2以下であることが好ましい。
表面プレート32を構成する多孔性材料の微細孔の平均孔径及び微細孔の面積は、それぞれ、以下のようにして測定される。
微細孔の平均孔径は、光学顕微鏡によって表面プレート32を真上から観察し、表面上の目開きの面積を少なくとも10点計測し、S(孔の面積)=PAI/4×d2(PAI=3.14)で逆算されるdを円相当径とし、これらの平均値とする。微細孔の面積は、例えばキーエンス製デジタルHDマイクロスコープVH−7000を使用し、観察される画面上の任意の点を囲むことにより簡単に計測できる。
パターン形状プレート31の厚みとしては、該厚みが凹部33の深さとなることから、0.1mm以上5.0mm以下が好ましく、0.5mm以上1.0mm以下がより好ましい。
表面プレート32の厚みとしては、塗工すべき領域の全域にむらなく塗工する観点から、凹部33の深さに対して0.05倍以上20倍以下が好ましく、0.1倍以上2倍以下がより好ましい。また、同様の観点から、表面プレート32の厚みは、全体として20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、0.05mm以上2.0mm以下が一層好ましい。
パターン形状プレート31の外周面の曲率半径R1(図2参照)としては、割れや剥がれ等を防止する観点等から、好ましくは44.5mm以上、より好ましくは59.5mm以上、好ましくは149.5mm以下、より好ましくは99.5mm以下、好ましくは44.5mm以上149.5mm以下、より好ましくは59.5mm以上99.5mm以下である。
表面プレート32の外周面の曲率半径R2(図2参照)としては、同様の観点から、好ましくは45mm以上、より好ましくは60mm以上、好ましくは150mm以下、より好ましくは100mm以下、好ましくは45mm以上150mm以下、より好ましくは60mm以上150mm以下である。
吐出ロール3と対向配置される受けロール4は、図1及び図2に示すように、液体塗工装置100では、略円柱形状に形成されており、回転軸方向の両端部に設けられた軸部40s,40sがフレーム11,11に回転自在に支持されている。受けロール4は吐出ロール3の表面プレート32と対向配置されている。該受けロール4と表面プレート32の配された吐出ロール3とでシートSにニップ圧を加えてシートSを搬送しながら該シートSに吐出ロール3によりホットメルト接着剤Hを塗工する(図3(a)参照)。
吐出ロール3を回転させる第1駆動源5は、図1に示すように、液体塗工装置100では、タイミングベルト50を介して本体部分30の他方側の軸部30sに接続されている。第1駆動源5は、液体塗工装置100では、サーボモータにより構成されている。第1駆動源5(サーボモータ)は、制御部7に電気的に接続されており、制御部7により回転角速度が制御されている。
受けロール4を回転させる第2駆動源6は、図1に示すように、液体塗工装置100では、タイミングベルト60を介して受けロール4の他方側の軸部50sに接続されている。第2駆動源6は、制御部7に電気的に接続されており、制御部7により回転角速度が制御されている。
次に、制御部7によって制御される液体塗工装置100の塗工動作について、図3を参照しながら説明する。図3(a)は、吐出ロール3の回転動作を模式的に示す断面図であり、図3(b)は、図3(a)に示す吐出ロール3の回転角速度を示すタイムチャート図である。
制御部7は、図1に示す液体塗工装置100の塗工動作の開始信号を入力すると、先ず、タンク20のバルブ(図示せず)を開放し、ポンプ22の駆動モータ22Mを駆動してポンプ22を起動する。ポンプ22の起動により、ヒータ等の加熱手段によって予め溶融状態となっているホットメルト接着剤Hがタンク20から吐出ロール3に向けて送り出される。タンク20から送り出されたホットメルト接着剤Hは、供給管21を介して吐出ロール3に流入される。吐出ロール3に流入されたホットメルト接着剤Hは、接続部10を介して主管路30m内に流入し、主管路30m内を充填する。主管路30m内に充填されたホットメルト接着剤Hは、分岐管路30d内に流入し、分岐管路30d内を充填する。分岐管路30d内に充填されたホットメルト接着剤Hは、本体部分30の外周面30uとパターン形状プレート31の開口部31hの内側部分31rとで形成される凹部33に流入し、凹部33内に拡散する。凹部33内に拡散し凹部33内に充填されたホットメルト接着剤Hは、表面プレート32を厚さ方向に透過する。
また制御部7は、図1に示す液体塗工装置100の塗工動作の開始信号を入力すると、不図示の駆動ローラを駆動して、一定の搬送速度V1(m/s)で帯状のシートSの搬送を開始する。そして制御部7は、第1駆動源5及び第2駆動源6を制御して吐出ロール3及び受けロール4を回転させる。制御部7は、図3に示すように、液体塗工装置100では、吐出ロール3の表面プレート32がシートSと接触している間(図3(a)の(i)〜(iii)参照)はシートSの搬送速度V1(m/s)に対応した回転角速度ω1(rad/s)で吐出ロール3を回転させ(図3(b)のT1参照)、吐出ロール3の表面プレート32がシートSから離れる(図3(a)の(iv)参照)と吐出ロール3の回転角速度ω(rad/s)を加速させる(図3(b)のT2参照)。また制御部7は、吐出ロール3の表面プレート32とシートSとが離れて吐出ロール3の回転角速度ω(rad/s)を加速させた後(図3(b)のT2a参照)、吐出ロール3の回転により表面プレート32とシートSとが再接触するまでに吐出ロール3をシートSの搬送速度V1(m/s)に対応した回転角速度ω1(rad/s)まで減速させる(図3(b)のT2b参照)。一方、制御部7は、図2に示すように、液体塗工装置100では、受けロール4をシートSの搬送速度V1(m/s)に対応した回転角速度ω3(rad/s)で回転させる。受けロール4は、吐出ロール3の表面プレート32がシートSと接触している間(図3(a)の(i)〜(iii)参照)も、吐出ロール3の表面プレート32がシートSから離れる間(図3(a)の(iv)参照)も、常に一定の回転角速度ω3(rad/s)で回転している。なお、シートSの搬送速度V1(m/s)と対応する回転角速度ω1、ω3(rad/s)とは、各々、吐出ロール3及び受けロール4のニップ部でのシートの搬送速度V1が、シートSが搬送される一定の搬送速度V1と同じ速度になるようにした吐出ロール3及び受けロール4の回転角速度ωを意味する。即ち、シートSを一定の搬送速度V1のまま搬送するための吐出ロール3及び受けロール4の回転角速度ωを意味する。
制御部7について詳述すると、図1及び図3に示すように、液体塗工装置100では、一定の搬送速度V1(m/s)で搬送されてくるシートSに吐出ロール3の表面プレート32(重畳領域34)が接触すると、第1駆動源5を制御して、吐出ロール3の回転角速度ω(rad/s)を回転角速度ω1に設定する。受けロール4は、液体塗工装置100では、制御部7によって、常時、回転角速度ω3で回転するように設定されている。その為シートSは、吐出ロール3の表面プレート32(重畳領域34)に接触すると、搬送速度V1のまま搬送される(図3(b)のT1参照)。シートSは吐出ロール3の重畳領域34と受けロール4とでシートSにニップ圧を加える部分においても搬送速度V1で搬送されるため、余計な摩擦力が生じることなく滑らかに搬送される。
吐出ロール3の重畳領域34において表面プレート32を透過したホットメルト接着剤HがシートSに接触すると、回転角速度ω1で回転する吐出ロール3の回転に伴って搬送速度V1で移動するシートSにホットメルト接着剤Hが塗工される(図3(a)の(i)〜(iii)参照)。ホットメルト接着剤Hは、所定形状に対応するパターンに形成された開口部(凹部)の形状で表面プレート32を介して吐出されるため、シートSには、吐出ロール3の回転により所定パターンの形状でホットメルト接着剤が塗工される。
次いで、吐出ロール3の表面プレート32がシートSと接触してから1/2回転して非接触状態になると、制御部7は、液体塗工装置100では、吐出ロールの回転角速度をω2(ω1<ω2)に加速させる。吐出ロール3の表面プレート32がシートSと接触してから1/2回転すると、液体塗工装置100では、シートSは吐出ロール3の非重畳領域35と対向するようになるので、シートSと吐出ロール3とは非接触となる。その為、シートSの搬送に何ら影響を与えることなく吐出ロール3を加速させることができる。
制御部7は、図3(b)のT1に示すように、吐出ロール3の重畳領域34において表面プレート32がシートSと接触してから1/2回転した後、非重畳領域35において1/4回転する間に、吐出ロール3の回転角速度をω2まで加速させる(図3(a)の(iV)、図3(b)のT2a参照)。そして吐出ロール3が非重畳領域35において1/4回転した後(totalで3/4回転)、更に1/4回転するまで(totalで1回転)の間に、吐出ロール3の回転角速度をω1まで減速させる(図3(b)のT2b参照)。このように制御部7は、吐出ロール3の表面プレート32がシートSと接触してから1/2回転した後、吐出ロールとシートSとが非接触状態において吐出ロール3が1/2回転する間(totalで1回転)に該吐出ロール3を加減速させる。言い換えると、制御部7は、重畳領域34がシートSと対向(シートSと表面プレート32とが接触)している間は吐出ロール3を回転角速度ω1で回転させ、非重畳領域35がシートSと対向(シートSと表面プレート32とが非接触)している間は吐出ロール3を加減速させる。このように回転させることで、より短い時間で吐出ロール3を1回転させることができる。また、塗工間隔が短い場合であっても、塗工ロール径を小さくすることなく塗工可能となる。
また、制御部7は、吐出ロール3の表面プレート32がシートSから離れると供給部2から供給されるホットメルト接着剤Hの供給量を減らすように調整することが好ましい。制御部7は、液体塗工装置100では、吐出ロール3の表面プレート32がシートSと接触してから1/2回転した後、吐出ロールとシートSとが非接触状態において吐出ロール3が1/2回転する間(totalで1回転)においては、供給部2から供給されるホットメルト接着剤Hの供給量を減らすことが好ましい。言い換えると、制御部7は、吐出ロール3を回転角速度ω2まで加速させている間、及び回転角速度ω1まで減速させる間(加減速回転させている間)は、供給部2から供給されるホットメルト接着剤Hの供給量を減らすことが好ましい。制御部7は、供給部2のポンプ22を駆動する駆動モータの回転数を下げてポンプ22の出力を低下させることでホットメルト接着剤Hの供給量を減らすことができる。
即ち制御部7によって、吐出ロール3が回転角速度ω1で回転している間に表面プレート32を介して吐出されるホットメルト接着剤Hの量と、吐出ロール3が加減速回転している間に表面プレート32を介して吐出されるホットメルト接着剤Hとが同じ量となるように、供給部2から供給されるホットメルト接着剤Hの供給量を調整する。このように、制御部7によって、吐出ロール3の表面プレート32がシートSから離れると供給部2から供給されるホットメルト接着剤Hの供給量を減らすことで、例えば、吐出ロール3が加減速回転している間に、遠心力等の影響で表面プレート32に送られるホットメルト接着剤Hが塗工したい所望量よりも増えることを防止することができる。その為、吐出ロール3を加減速回転させた場合でも、一定量のホットメルト接着剤Hを表面プレート32を介して吐出させることができる。
以上説明したように、本実施形態の液体塗工装置100によれば、図2に示すように、本体部分30の外周面30u上にパターン形状プレート31及び表面プレート32が重なる重畳領域34と、該重畳領域34以外の該表面プレート32が配されていない非重畳領域35とを周方向に並んで設け、図3に示すように、非重畳領域35において吐出ロール3の表面プレート32とシートSとが非接触状態になると吐出ロール3の回転角速度ωを加速させることで、シートSの搬送に影響を与えることなく、1回転する時間を短くすることができる。その為、表面プレート32(吐出ロール3)の曲率半径を大きくした場合においても短い距離の塗工間隔で表面プレート32を介して効率よく連続的にホットメルト接着剤Hの塗工を行うことができる。例えば、1回転で1個の塗工をする場合に曲率半径の大きな表面プレート32(吐出ロール3)を用いても、重畳領域34において表面プレート32を介して効率よく連続的にホットメルト接着剤Hの塗工を行うことができる。また重畳領域34において曲率半径の大きな表面プレート32を用いることで、該表面プレート32の割れや積層させた多孔質体間の剥がれ等の破損を低減させることができる。特に、短い長さの塗工間隔での塗工を行う際に有効となる。
また、図3(b)に示すように、非重畳領域35において表面プレート32とシートSとが再び接触状態になるまでに吐出ロール3の回転角速度ωをシートSの搬送速度V1と同じ回転角速度ω1まで減速させるので、シートSと再接触した後もシートSに余計な摩擦力等を与えることなく滑らかに搬送させることができる。
次に、上述した液体塗工装置100の他の形態について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、図1に示す吐出ロール3の他の形態を模式的に示す断面図である。図5は、上述した液体塗工装置100の他の形態を示す模式図である。なお、以下に説明する他の形態においては、上述した液体塗工装置100と同じ部材には同じ符号を付している。
図4(a)に示す吐出ロール3は、図2に示す吐出ロール3に比べて非重畳領域35の周方向の長さが長くなっている。吐出ロール3は、図4(a)に示すように、パターン形状プレート31と表面プレート32とが重なっている部分の両端部を本体部分30の周面に対して鋭角に接するように切り欠くことで、非重畳領域35の周方向の長さを長くすることができる。非重畳領域35の周方向の長さを長くすることで、例えば、吐出ロール3の回転角速度ωを増速させることができる領域を長くすることができ、より速く吐出ロール3を1回転させることができる。また、鋭角に接するように切り欠くことで、シートSが吐出ロール3と接触する際のダメージを軽減させることができる。例えば、図4(b)のAで示す非重畳領域35が本体部分30の外周面の約半周の長さに配されている場合よりも、図4(b)のBで示す非重畳領域35が本体部分30の外周面の半周以上の長さに配されている場合の方が、加減速できる時間が長くなるので、より早く1回転させることができる。その為、より効率よく連続的にホットメルト接着剤Hの塗工を行うことができる。
また、一定の搬送速度V1で搬送されるシートSは、図5に示すように、受けロール4にシートSを捲き掛けて、シートSを搬送させてもよい。受けロール4にシートSを捲き掛けて吐出ロール3と受けロール4との間に搬送することで、例えば吐出ロール3が重畳領域34にてシートSに再接触する際の表面プレート32とシートSとの接触面積を減少させることが可能になり、シートSに余計な摩擦力等を与えることなく滑らかに搬送させることができる。
以上、本発明をその好ましい第実施形態に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、液体塗工装置100ではパターン形状プレート31を覆う表面プレート32の全面を多孔性材料で形成したが、本発明においては、例えば、パターン形状プレート31の開口部31hと重なる部分(凹部33のみを覆う部分のみ)を多孔性材料で構成してもよい。
また液体塗工装置100では、吐出ロール3は、1つの重畳領域34と1つの非重畳領域35とが周方向に隣接して配されているが、例えば、重畳領域34と非重畳領域35とが周方向に交互に複数配されていてもよい。
2 供給部
3 吐出ロール
30 本体部分
30u 外周面
30m 主管路
30d 分岐管路
31 パターン形状プレート
31h 開口部
31r 内側部分
32 表面プレート
33 凹部
4 受けロール
7 制御部
100 液体塗工装置
H ホットメルト接着剤(接着剤)
S シート(被塗工物)

Claims (5)

  1. 供給部から供給される液体を所定形状に吐出して、一定の搬送速度で搬送される被塗工物に塗工する液体塗工装置であって、
    軸芯部を含む本体部分、該本体部分の外周面上に配され且つ前記所定形状に対応するパターンに開口する1個の開口部を有するパターン形状プレート、及び該パターン形状プレートの該1個の開口部の内側部分と該本体部分の外周面とで形成された凹部を被覆する表面プレートを有する吐出ロールと、
    前記吐出ロールの回転角速度を制御する制御部とを備え、
    前記パターン形状プレートの前記開口部は、前記凹部を法線方向から視た際の該凹部の輪郭と、吐出される液体の前記所定形状とが一致する形状で開口しており、
    前記吐出ロールは、前記本体部分の外周面上に前記パターン形状プレート及び前記表面プレートが重なる重畳領域と、前記パターン形状プレート及び前記表面プレートのいずれもが存在していない非重畳領域とを周方向に並んで有しており、
    前記重畳領域と前記被塗工物とが対向している状態においては、前記吐出ロールの前記表面プレートと前記被塗工物とが接触状態となり、前記非重畳領域と前記被塗工物とが対向している状態においては、前記吐出ロールと前記被塗工物とが非接触状態となり、
    前記制御部によって、前記吐出ロールの前記表面プレートが前記被塗工物と接触している間は該被塗工物の搬送速度に対応した回転角速度で前記吐出ロールを回転させ、前記吐出ロールの前記表面プレートが該被塗工物から離れると前記吐出ロールの回転角速度を加速させる、液体塗工装置。
  2. 前記制御部によって、前記吐出ロールの前記表面プレートと前記被塗工物とが離れて該吐出ロールの回転角速度を加速させた後、該吐出ロールの回転により該表面プレートと該被塗工物とが再接触するまでに該吐出ロールを該被塗工物の搬送速度に対応した回転角速度まで減速させる、請求項1に記載の液体塗工装置。
  3. 前記吐出ロールの前記表面プレートと対向配置される受けロールを備え、
    前記受けロールに前記被塗工物を捲き掛けて、前記吐出ロールと該受けロールとの間に該被塗工物を搬送させる、請求項1又は2に記載の液体塗工装置。
  4. 前記制御部によって、前記吐出ロールの前記表面プレートが前記被塗工物から離れると前記供給部から供給される液体の供給量を減らす、請求項1〜3の何れか1項に記載の液体塗工装置。
  5. 前記パターン形状プレートが前記本体部分の外周面上に着脱可能に取り付けられている、請求項1〜4の何れか1項に記載の液体塗工装置。
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