JP6792791B2 - 高温部品 - Google Patents

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Description

本発明は、1000℃以上の温度であり、且つ、1面側と他面側との間で酸素ポテンシャル差のある雰囲気下に曝されても構造安定性に優れる膜及びそれを備える積層物に関し、更に詳しくは、航空機のエンジン、ガスタービン等に配設される高温部品を与える膜及びそれを備える積層物に関する。
航空産業において、エンジンの燃費を改善したり、二酸化炭素の排出量を削減したりするために、高圧タービン部材等の高温部品の耐熱性を向上させる検討、又は、軽量化する検討が進められている。このような高温部品は、一般に、耐熱性材料からなる基部と、その表面に配設された保護膜とを備える構造を有する。
従来、高温部品における基部(基材)の構成材料として、ニッケル基系超合金等が使用されている。その中で、Al元素を含むニッケル基系超合金を用いて基部とする場合、航空機のエンジン、ガスタービン等の、高温腐食環境下で使用される耐久性構造部材として好適といわれている。この良好な性能は、高温酸素雰囲気下、合金表面に形成されるアルミナ膜が更なる酸化に対する保護膜として機能することによるものである。また、近年ではニッケル基系超合金よりも軽量であり且つ耐熱性に優れ、更には、高い温度範囲において比強度の大きい炭化珪素繊維強化炭化珪素複合材料(以下、「CMC(ceramic matrix composite)」という。)が注目されている。CMCは、高温の酸化雰囲気下においてSiO層を形成し、このSiO層は、CMCの更なる酸化に対する保護膜として作用する。しかし、高圧タービン等の1100℃以上の水蒸気環境下においては、SiO層が水蒸気と反応し揮発性の水酸化物を形成するため、保護膜の減肉・消失に伴う下地材の激しい酸化・劣化が問題となる。そのため、このCMCの表面に耐環境性コーティング(以下、「EBC(Environmental Barrier Coating)」という。)を形成して部材の酸化劣化、減肉化等を抑制し、耐久性を向上させる試みがなされており、例えば、下記の技術が知られている。
特許文献1には、炭化珪素を含有する第1層と、一般式RESi(RE:Y、Yb、Er、Dy)で表される希土類硅酸塩化合物を含有する第2層と、酸化珪素を含有し第1層及び第2層を接合する第3層とを有する積層セラミックスが開示されている。
特許文献2には、焼結SiC繊維結合体の表面が希土類酸化物を主成分とする層で覆われており、空気中1700℃で100時間熱処理後の強度保持率が70%以上であるセラミックス複合材料が開示されている。
また、特許文献3には、炭化珪素系繊維強化セラミックス複合材料を基材とし、該基材表面にアルミノシリケート系結晶化ガラスと希土類珪酸塩の混合体からなる中間層を備え、該中間層の上にトップコートとして希土類珪酸塩層が設けられた積層材料が開示されている。
特開平11−12050号公報 特開2002−104892号公報 特開2008−308374号公報
ニッケル基系超合金、CMC等の表面に形成する酸化物保護膜は、高温の酸素ポテンシャル勾配下に曝されており、酸素イオンは酸素ポテンシャルの高い膜表面側から酸素ポテンシャルの低い下地材との界面方向に拡散するのに対して、陽イオンは酸素ポテンシャルの低い方から高い方に拡散する。この陽イオンの拡散は、保護膜構造の崩壊や剥離をもたらすため、陽イオンの拡散を抑制することは、保護膜構造の安定性向上につながり、その結果として、ニッケル基系超合金、CMC等の耐久性も飛躍的に向上することとなる。
しかしながら、従来、公知の酸化物保護膜は、結晶同士がランダム配向した構造を有するために、保護膜構造の安定性に及ぼす粒界構造の相関が不明であった。そのため、粒界構造を積極的に制御して、陽イオンの拡散を抑制する試みもなかった。
本発明は、1000℃以上の温度であり、且つ、1面側と他面側との間で酸素ポテンシャル差のある雰囲気下に曝されても構造安定性に優れる膜及びそれを備える積層物を提供することを目的とする。
本発明は、粒界構造と陽イオンの拡散性との相関を明らかにし、その知見を基に、粒界構造を制御することにより、保護膜の構造安定性を効果的に向上させる手法を提供するものであり、以下に示される。
1.0<θ<180(度)の傾角粒界を有する酸化物からなり、該傾角を形成する2つの結晶の原子配列面が、上記膜の1面側に表出する表出部(以下、「特定構造の表出部」ともいう)を備えることを特徴とする膜。
2.上記酸化物が対称傾角粒界を有する上記項1に記載の膜。
3.上記酸化物が、アルミナ、ムライト、LnSiO(Lnは、Yb、Lu、Y又はGdである)、LnSi(Lnは、Yb、Lu、Y又はGdである)、HfSiO及びZrSiOから選ばれた少なくとも1種である上記項1又は2に記載の膜。
4.上記特定構造の表出部の面積の割合が、上記膜の1面側の表面積に対して50%以上である上記項1乃至3のいずれか一項に記載の膜。
5.無機材料を含む基部の表面に配設される上記項1乃至4のいずれか一項に記載の膜。
6.無機材料を含む基部と、該基部の表面に接合されている被覆層とを備え、上記被覆層は、上記項1乃至5のいずれか一項に記載の膜からなり、該被覆層に含まれる傾角粒界を有する酸化物の傾角を形成する2つの結晶の原子配列面が、上記被覆層の表面に表出していることを特徴とする積層物。
本発明の膜又は積層物は、高温の酸素ポテンシャル勾配下であって、特定構造の表出部又は被覆部が、高い酸素ポテンシャル雰囲気に曝された場合、0<θ<180(度)の傾角粒界を有する酸化物からなる結晶の粒界構造を利用して、酸化物を構成する陽イオンを膜厚の1方向への拡散を抑制することができるので、膜又は積層物の構造安定性を得ることができる。従って、このような膜を備える本発明の積層物は、航空機のエンジン、ガスタービン等に配設される高温部品の構成要素として好適である。
本発明の膜を構成する特定構造の表出部の構造を示す概略断面図である。 本発明の膜の1例を示す概略断面図である。 本発明の膜の他例を示す概略断面図である。 本発明の膜の他例を示す概略断面図である。 本発明の積層物の1例を示す概略断面図である。 〔実施例〕において、サファイア接合物から双晶回転軸に対して、水平方向に切削加工して、対称傾角粒界を有する実施例用の角板を得る調製法を示す概略図である。 〔実施例〕において、サファイア接合物から双晶回転軸に対して、垂直方向に切削加工して、対称傾角粒界を有する比較例用の角板を得る調製法を示す概略図である。 図9の熱処理装置にセットされる円板状試験片を示す概略斜視図である。 〔実施例〕で用いた熱処理装置を示す概略図である。 図6の方法により得られた円板状試験片を、上下をこのままとして図9の熱処理装置にセットして試験(方向A)したことを説明する概略図である。
1.膜
本発明の膜は、0<θ<180(度)の傾角粒界を有する酸化物からなり、傾角θを形成する2つの結晶の原子配列面が、上記膜の1面側に表出する表出部を備える。この特定構造の表出部11の断面構造は、図1に示され、双晶を形成し、傾角粒界が上面側に露出している。
本発明の膜は、図1の上面側が表出するように表出部11を備えるものであれば、特に限定されず、図2及び図3に示される単層構造、又は、図4に示される積層構造を有することができる。図1〜図4において、傾角粒界を、特定構造の表出部11に対して垂直方向に描写しているが、これに限定されず、斜め方向であってもよい。
上記表出部11を構成する酸化物は、0<θ<180(度)の傾角粒界を有する無機化合物であれば、特に限定されない。本発明においては、特定構造の表出部11側を高い酸素ポテンシャル雰囲気とし、その反対面側を低い酸素ポテンシャル雰囲気として、膜、又は、特定構造の表出部11が表出するように膜10を備える積層物(図5参照)を、1000℃以上の高温条件下とした場合に、優れた構造安定性が得られることから、好ましくは、アルミナ、ムライト、LnSiO(Lnは、Yb、Lu、Y又はGdである)、LnSi(Lnは、Yb、Lu、Y又はGdである)、HfSiO又はZrSiOである。これらの無機化合物は、単独で用いてよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
上記酸化物の傾角は、0<θ<180(度)であり、本発明の膜又はそれを備える積層物において高い構造安定性が得られることから、好ましくは0<θ<90(度)、より好ましくは0<θ<60(度)、更に好ましくは10≦θ≦30(度)である。尚、θは、図1におけるθ及びθの和であり、θ及びθは、互いに同一であってよいし、異なってもよい。θ及びθが同一である場合、即ち、上記酸化物が対称傾角粒界を有する場合、1000℃以上の高温条件下における構造安定性を更に向上させることができる。
上記特定構造の表出部11の(図1における)上面側から下面側における傾角粒界の長さ(「表出部11の厚さ」と解釈される場合がある)は、1000℃以上の高温条件下とした場合に、優れた構造安定性が得られることから、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは1〜300μm、更に好ましくは5〜100μmである。
上記のように、本発明の膜は、図2、図3及び図4に示す断面構造を有するものとすることができる。図2は、膜10の全体が特定構造の表出部11からなる態様であり、図3は、特定構造の表出部11と、他の無機材料からなる部分13とが隣り合っている態様である。この部分13は、部分13と隣り合う表出部11の構成酸化物と同一の又は異なる酸化物からなる、図3に示される表出部11の構造を上下反対としたもの等とすることができる。本発明の膜が図3の断面構造を有する場合、所期の構造安定性を得るために、特定構造の表出部11の面積の割合は、上面側表面積の全体に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上、更に好ましくは80%以上である。
また、図4の膜10は、積層構造を有するものであり、特定構造の表出部11と、これに接合された下層15とを備える膜である。下層15の構成材料は、表出部11の構成材料と反応しないものであれば、特に限定されず、例えば、表出部11及び下層15の構成材料を、それぞれ、アルミナ及びムライトとすることができる。尚、下層15の厚さの上限は、通常、100μmである。
上記特定構造の表出部11は、上記のように、傾角粒界が膜10の上面側に露出している。本発明の膜が有する表出部11の数は、特に限定されず、1つのみであってよいし、2つ以上であってもよい。複数の表出部11が有する場合、粒界露出部は、表出部11を上から見た場合に、点状、線状等のパターンを形成していてもよい。
本発明の膜の形状は、平面、曲面等とすることができる。また、厚さは、全体に渡って、同一であっても、異なってもよいが、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは1〜300μm、更に好ましくは5〜100μmである。
本発明の膜を製造する方法としては、例えば、粒界面を露出させた単結晶の複数を用いて、これらの粒界面どうしを面接触させて接合した後、接合物を切削加工する等により、傾角粒界を露出させつつ、所定の厚さに調整する方法、PVD法、CVD法、エアロゾルデポジション法等により緻密質の配向膜を形成した後、高温で粒成長させる方法等とすることができる。
2.積層物
本発明の積層物は、図5に示すように、無機材料を含む基部21と、該基部21の表面に接合されている被覆層23とを備える構造を有し、被覆層23は、上記本発明の膜10からなり、被覆層23に含まれる傾角粒界を有する酸化物の傾角を形成する2つの結晶の原子配列面が、被覆層23の表面に表出している。即ち、被覆層23側表面において、上記本発明の膜10に由来する特定構造の表出部11が表出している。
上記基部21を構成する無機材料は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。本発明においては、ニッケル基系超合金、窒化物、炭化物、ホウ化物等を主とするものであることが好ましい。
ニッケル基系超合金としては、ガンマプライム相を有するガンマプライム析出強化型ニッケル基超合金等が挙げられる。
窒化物としては、窒化珪素、サイアロン、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル等を用いることができる。
炭化物としては、炭化硅素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タンタル等を用いることができる。
ホウ化物としては、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タンタル等を用いることができる。
また、上記基部21が複数の材料からなる場合、炭素繊維又はセラミックス繊維が、窒化物、炭化物、ホウ化物等を含む母相の中に分散された繊維強化セラミックスを用いることができる。セラミックス繊維としては、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、炭窒化チタン繊維、炭化ホウ素繊維等が挙げられる。母相に含まれる炭素繊維又はセラミックス繊維の含有割合は、特に限定されないが、機械的強度、破壊靱性等の観点から、繊維強化セラミックスの全体に対して、好ましくは10〜50体積%、より好ましくは20〜45体積%である。
上記基部21の形状は、特に限定されず、板状、筒状、棒状、各種複雑三次元形状等の定形又はこれらを変形させた不定形とすることができる。
上記被覆層23の厚さは、全体に渡って、同一であっても、異なってもよいが、被覆層23と基部21との熱膨張係数差に起因した熱応力による破壊抑制の観点から、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは1〜300μm、更に好ましくは5〜100μmである。
本発明の積層物を製造する方法としては、例えば、基材の表面に、PVD法、CVD法、エアロゾルデポジション法等により緻密質の配向膜を形成した後、高温で粒成長させる方法等とすることができる。
3.膜及び積層物の性能
本発明は、表出部又は被覆部における結晶の粒界構造を利用して、傾角粒界を有する酸化物の構成元素を、表出部又は被覆部の厚さの1方向に優先的に拡散させない効果を有する。また、粒界の特定方位によっては、結晶粒界が物質移動に対して整流作用(電流を1方向にしか流さない)のような機能を発現させることができる。
例えば、0<θ<180(度)の傾角粒界を有する酸化物として、アルミナが、表出部及び被覆層を、それぞれ、構成する膜及び積層物の場合、1面側と他面側との間で酸素ポテンシャル差のある雰囲気下に曝されると、アルミニウムイオンの傾角側(高い酸素ポテンシャル雰囲気側)への移動を効果的に抑制することができる。
ムライト(Al13Si)の場合、アルミニウムイオンの傾角側(高い酸素ポテンシャル雰囲気側)への移動を効果的に抑制することができる。
LnSiO及びLnSi(Lnは、Yb、Lu、Y又はGdである)の場合、Lnイオンの傾角側(高い酸素ポテンシャル雰囲気側)への移動を効果的に抑制することができる。
また、HfSiO及びZrSiOの場合、Hfイオン又はZrイオンの傾角側(高い酸素ポテンシャル雰囲気側)への移動を効果的に抑制することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
1.膜の製造及び評価
実験例
信光社製高純度サファイア(α−アルミナ単結晶、純度99.99質量%以上)を加工して、25mm×20mm×6mmの大きさとした後、粒界面の鏡面加工を行い、これを2枚作製した。そして、鏡面(粒界面)どうしを重ねた状態で、大気中の熱処理(1500℃、10時間)を行って、両者を接合した(図6及び図7参照)。
次いで、接合物の双晶回転軸に対して、水平方向(図6)及び垂直方向(図7)から、それぞれ、切削加工を行い、いずれも、角板32を得た後、更に、切削加工及び両面に対する鏡面加工を行い、図8に示す外観を有する、粒界を介して2枚の半円板が接合されたような円板であって、上面及び下面に線状の対称傾角粒界が表出している円板状試験片30(φ11.5mm×0.25mm)を作製した。実施例用の角板(図6)から作製した円板状試験片の物理特性を表1に示す。
Figure 0006792791
上記2種の円板状試験片30の高温酸素透過試験を、図9の装置を用いて行った。この装置は、高温の酸素ポテンシャル勾配下において試験片の熱処理を行う装置である。この高温酸素透過試験において、図6の接合物から水平方向に切り出した円板状試験片については、1面側及び他面側の両方を上面となるようにセットして試験した。表出部が上面側にある場合の測定について、図10に示した。
まず、2本のアルミナ保護管の間に、Pt製ガスケットを介して円板状試験片30を配置し、上側のアルミナ保護管に対して錘にて一定荷重を加え、円板状試験片30と2つのPt製ガスケットとの間に面圧を付加した。その後、図9の下側に「He−1%H」と表記されているところ、及び、上側に「He−10%O」と表記されているところから、円板状試験片30の両面に、ドライアイスが投入されたエタノール浴中を通過させて−72℃に冷却した高純度Heガスを、毎分100mlの流速で供給した。そして、電気炉を駆動して1620℃まで昇温させてPt製ガスケットによるシールを完成させた。その後、降温させて1600℃とした状態で、図9の下側に「He−1%H」と表記されているところ、及び、上側に「He−10%O」と表記されているところから、円板状試験片30の両面に、ドライアイスが投入されたエタノール浴中を通過させて−72℃に冷却したHe−1%Hガスを、毎分100mlの流速で供給した。
次に、上部チャンバー(図9の上側に「He−10%O」が供給されるAl管の内部)に、He−1%Hガスに代えて、He−10%16ガスを供給し、円板状試験片30の厚さ方向に対して、PO2(hi)/PO2(lo)=10Pa/10−8Paの酸素ポテンシャル勾配を、1600℃で形成させた。この状態を9時間保持した後、上部チャンバーに供給するガスをHe−10%18ガスとした。1時間後、上部チャンバー及び下部チャンバーへのガスを供給したまま、電気炉の駆動を停止し、炉冷させた。1600℃から1000℃まで約10分要し、1000℃から350℃まで30分要した。尚、350℃になったところで、上部チャンバー及び下部チャンバーに供給するガスを、高純度Heガスに切り替えた。
比較のため、多結晶アルミナからなる円板状試験片に対しても同じ熱処理を行った。
その後、下記方法により、得られた熱処理物におけるアルミニウムイオンの粒界拡散係数を測定し、その結果を表2に示した。
<Alイオンの粒界拡散係数>
熱処理によりPO2(lo)側からPO2(hi)側にアルミニウムイオンが粒界拡散するため、PO2(hi)側の表面粒界に到達したアルミニウムイオンと16ガスとが反応して、新たなアルミナを形成し、線状に表出している粒界部分が隆起する。この隆起部の断面プロファイルを、キーエンス社製原子間力顕微鏡「VM−8000」(型式名)により計測し、隆起部の体積を求めた。そして、この体積がアルミニウムイオンの粒界拡散により形成されたものと仮定して、PO2=10Paのときのアルミニウムイオンの粒界拡散係数を算出した。
Figure 0006792791
表2より、粒界におけるアルミニウムイオンの拡散を、粒界の方向がランダムな多結晶の場合を1とすると、水平方向の傾角側から外に向かう移動(図6:酸素透過方向B)に対しては約1/3、傾角側に向かう移動(図6:酸素透過方向A)に対して約1/5にまで減少させることができる。従って、特定構造の表出部を高い酸素ポテンシャル雰囲気に配置すると優れた構造安定性が得られることが分かる。
本発明の膜及び積層物は、1000℃以上の高い温度であって、1面側と他面側との間で酸素ポテンシャル差のある、例えば、酸素、水蒸気等を含む雰囲気下に曝されても、構造安定性に優れるため、このような条件下、耐熱性(耐酸化性、耐水蒸気性、耐剥離性等)、形状安定性等が求められる用途に好適である。特に、酸素を含む高温ガス環境下で使用される航空機エンジンや発電用タービンにおける高圧タービン部の動翼部品、静翼部品又はシュラウド部品、更には、ロケットエンジンのスラスターや燃焼ガスチューブ等の高温部品の形成に好適である。
10:膜、11:表出部、13:他の部分、15:下層、20:積層物、21:基部、23:被覆層、30:円板状試験片、32:角板

Claims (3)

  1. 無機材料を含む基部と、該基部の表面に接合されている被覆層とを備える積層物からなり、該被覆層の表面が、1000℃〜1600℃の範囲の温度で、且つ、高い酸素ポテンシャル雰囲気に晒される高温部品において、
    前記被覆層は、0<θ<180(度)の傾角粒界を有する酸化物の膜からなり、該傾角を形成する2つの結晶の原子配列面が、該被覆層の表面側に表出する表出部(但し、前記酸化物膜の断面側に表出した部分を除く)を備え、前記酸化物の傾角を形成する2つの結晶の原子配列面が、前記被覆層の表面に、且つ、前記2つの結晶の双晶回転軸に対して平行な面が前記被覆層の表面に表出しており、
    前記酸化物は、アルミナ、ムライト、LnSiO(Lnは、Yb、Lu、Y又はGdである)、LnSi(Lnは、Yb、Lu、Y又はGdである)、HfSiO及びZrSiOから選ばれた少なくとも1種であり、
    前記基部を構成する前記無機材料は、ニッケル基系超合金、窒化物、炭化物及びホウ化物から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする高温部品。
  2. 前記酸化物が対称傾角粒界を有するアルミナである請求項1に記載の高温部品。
  3. 前記被覆層の厚さが0.1〜500μmである請求項1又は2に記載の高温部品。
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