以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による複合機800の概念的外観図である。図1に示すように、本実施形態の複合機800は、原稿読み取り部200の奥側で、ヒンジ部などを通じて接続されている原稿送り装置100を備える。この複合機800を使用する際には、通常、原稿送り装置100を開いた状態で、原稿読み取り部200に原稿を置き、その後に、原稿送り装置100を閉じることで原稿の位置決めを行う。なお、原稿送り装置100には、自動原稿送り装置を採用することもできる。
ユーザは、操作パネル部843に設けられている表示部845(図2等)のタッチセンサであるところのタッチパネルディスプレイ310に表示される画面に従って、コピー、ファクシミリ、スキャンなどの各種指示を行えばよい。コピー等の指示がされた場合の複合機800の詳細な動作については、後掲の第5の実施の形態で説明することとして、ここでは概略説明にとどめるが、ユーザが表示部845等を通じて例えばコピーの指示をした際には、複合機本体830は、ピックアップローラ15(図8)等を作動させて、給紙トレイ600に収納されているシートを搬送させ、原稿読み取り部200によって読み取られた原稿の内容をシートに転写することによって印刷する。その後、複合機本体830は、排出ローラ対18(図8)を作動させ、原稿の内容が転写されたシートが、排出シート積載部19(図8)に排出される。
なお、ファクシミリ、スキャンの指示がなされた場合にも、それぞれ、既知のように、それらの指示に応じて、ファクシミリ処理、スキャン処理がなされる。
ここで、操作パネル部843は、その上部に設けられているヒンジ部等を通じて、複合機本体830の手前側に接続されている。操作パネル部843は、通常、コピー等の指示をする際には、図1に示す状態から、操作パネル部843を複合機本体830に対して回動させて、表示部845が設けられている操作面が略水平となるようにしてから操作をする。操作パネル部843は、使用後には図1に示すように戻せばよい。
なお、複合機本体830は、操作パネル部843が図1に示す位置にある場合には、節電のため省エネルギーモードに切り替え、この状態から操作パネル部843が回動されたことを検知すると、コピーなどを実行できる通常モードに切り替え、その後に、操作パネル部843が図1に示す位置に戻されたことを検知すると、再度、省エネルギーモードに切り替えるようにしてもよい。
また、複合機本体830は、操作パネル部843が、その操作面がほぼ水平となる位置にある状態で、所定期間、操作されない状態が続いたことを検知すると、通常モードから省エネルギーモードに移行するようにしてもよい。
図2(a)、図2(b)は、図1に示す操作パネル部843に設けられている表示部845のタッチパネルディスプレイ310に表示される画面例を示す図である。図2(a)、図2(b)には、それぞれ、タッチパネルディスプレイ310内に設けられたユーザ認証用の指紋検出部320と、指紋検出部320に付帯して設けられる画像形成に必要な指示を選択させるメニュー表示部330とを示している。
タッチパネルディスプレイ310は、実施形態にもよるが、音響波照合方式、超音波表面弾性波方式、静電容量方式、光方式、抵抗膜方式など、方式の種別を問わず採用することができる。本実施形態の場合には、タッチパネルディスプレイ310内に指紋検出部320が設けられているため、静電容量方式、光方式、抵抗膜方式などを採用することが好ましい。特に、後述するフリック操作を行う場合に反応性が高い静電容量方式を採用することが好ましい。また、タッチパネルディスプレイ310は、上記のように、指紋検出部320とメニュー表示部330との双方を表示するところ、これらは物理的に同一表面であるので滑らかに繋がっているため、ユーザは、指紋検出のための操作に引き続き、フリック操作を容易に行うことができる。
指紋検出部320は、タッチパネルディスプレイ310に対して全面的に設けてもよいし、特定の一部にのみ設けてもよい。全面的に設ける場合には、指紋検出をしていない時にタッチパネルディスプレイ310の全面を通じて、所要の表示を行うようにすべきである。
これを実現するためには、例えば、タッチパネルディスプレイ310が光方式の場合には、タッチパネルディスプレイ310の表層に光センサを配列することによって実現すればよく、抵抗膜方式の場合及び静電容量方式の場合には、タッチパネルディスプレイ310の表面側に液晶層又は有機EL層などの表示層を設け、タッチパネルディスプレイ310の裏面側に指紋検出部320を設けることによって実現すればよい。随時又は所定の期間にタッチパネルディスプレイ310の任意の箇所で表示内容に拘わらず指紋認証を受け付けることができるようになる。ただし、利用状況や装置の状態や有効にされている機能などに応じて、指紋認証を可能とする領域を変更し、他の領域で指紋認証を不可能としてもよい。その場合、指紋認証を可能としている領域であることを示すためにその領域の表示を変更してもよい。
一方、指紋検出部320は、図2(a)に示すように中央付近のみ或いは図2(b)に示すように右下付近のみのように、一部だけに設けてもよい。もっとも、図2(a)、図2(b)に示す指紋検出部320の位置はあくまで例示であり、例えば左下付近、上側半分程度などに設けることもできるが、これらに限定されるものではない。図2(b)を変形して、指紋検出部320を中央に置き、周囲八方にメニュー表示部330を設けてもよい。この場合、指紋検出部320から指が移動する方向のみにより選択されたメニュー項目を知ることができる。また、同じメニュー項目を表示する場合であっても、表示する位置により、指紋検出部320とメニュー表示部330との位置関係が異なるようにしてもよい。例えば、画面の右下の隅がタッチされた場合に指紋を検出するのであれば、図2(b)に示すような位置にメニュー表示部330を配置し、画面の中央部がタッチされた場合に指紋を検出するのであれば、その周囲八方のメニュー表示部330を配置するようにしてもよい。
メニュー表示部330は、既述のように、指紋検出部320に隣接して設けられている。ここでは、メニュー表示部330は、指紋検出部320とともに、例えば、アイコン表示で実現している。メニュー表示部330の各アイコンに割り当てる指示の具体例については、図3を用いて後述する。
図2(a)に示す例では、○形状をした指紋検出部320の上下左右の合計4か所に、□形状をしたメニュー表示部330が設けられている。もっとも、指紋検出部320とメニュー表示部330との数及びレイアウトは、図2(a)に示す場合に限られず、メニュー表示部330は指紋検出部320の上下左右のうちいくつかだけとしてもよいし、指紋検出部320の四隅のいくつかにも設けてもよいし、上下左右及び四隅のいくつかとしてもよい。
また、アイコンの形状も○又は□に限定されるものではない。特に、指紋検出部320については、平面的な2次元センサではなく、直線的な1次元センサとすることもできる。
図2(b)に示す例では、3行3列のアイコンのうち、3行3列目に指紋検出部320が位置し、他の行列にメニュー表示部330が合計8か所設けられている。行列数及び指紋検出部320とメニュー表示部330とのレイアウト及びアイコン形状は、図2(b)に示すものに限られない。
図3は、図2(a)に示すメニュー表示部330の表示例を示す図である。図3には、指紋検出部320を中心として、上側にコピーを指示する第1アイコン330aを、右側にスキャンを指示する第2アイコン330bを、左側にファクシミリの送信を指示する第3アイコン330cを、下側に各種ジョブメニューの呼び出しを指示する第4アイコン330dを示している。
本実施形態では、指紋検出部320により検出された指紋により特定されるユーザにより、第1アイコン330a乃至第4アイコン330dに割り当てる指示を切り替えてもよいし、少なくともその一部について、全てのユーザに共通した指示を割り当ててもよい。
第1アイコン330aが選択された場合には、既述のようなコピー処理がなされる。第2アイコン330bが選択された場合には、原稿をスキャンして、そのスキャンデータが図示しないイントラネットなどのネットワーク接続されているパーソナルコンピュータに対して送信し、当該コンピュータ上の共有フォルダへ格納される。第3アイコン330cが選択された場合には、予め登録されている宛先1へファクシミリが送信される。第4アイコン330dが選択された場合には、複合機800で用意されている各種ジョブメニューが呼び出されてタッチパネルディスプレイ310に表示される。
なお、第1〜第4アイコン330a〜330dに割り当てている各種指示は、あくまで例示であり、例えば、「カラーコピー」又は「片面コピー」のようにコピーの種別の指示としてもよいし、「宛先2へFAX」「宛先3へFAX」「宛先4へFAX」のように、複数の宛先へファクシミリを送信することの指示としてもよい。
また、例えば、宛先1、2、3をユーザごとに切り替えるようにしてもよい。
つまり、各アイコンに対する設定し得る指示は、コピー、ファクシミリ、スキャン或いは画像形成に必要なジョブの選択、又は、これらのいずれか種別の指示とすることができる。なお、ジョブメニューの例示を挙げると、イントラネットなどのネットワークの設定指示、スキャンデータの格納先の設定指示、スキャンデータの解像度設定指示、印刷の濃淡の設定指示などが挙げられる。
ユーザにより選択できるジョブを切り替えるようにしてもよいし、ユーザによりネットワーク設定項目の選択できる値(メニューにより複数)を切り替えるようにしてもよいし、ユーザにより選択できる格納先(複数)を切り替えるようにしてもよい。また、ユーザにより選択できる解像度を切り替えてもよいし、ユーザにより選択できる濃淡を切り替えてもよい。
これらは、ショートカットメニューであるので、他の値などを選択できないようにするわけではない。ショートカットメニューは、例えば、指紋認証できる領域をユーザが触れた時に表示する。
メニュー構成として、例えば、変更できる項目をメニュー項目として表示する。ユーザがその都度頻繁に変更する項目をメニュー項目とする。例えば、複写枚数、集約枚数、倍率、色モードをメニュー項目として、複写枚数が選択されたならば、複写枚数設定用の画面を表示する。ユーザA用に、複写枚数、集約枚数、倍率、色モードをメニュー項目とするならば、ユーザB用には、他のもの(例えば、解像度、濃度、・・・)をメニュー項目とする。
メニュー項目の設定は、ユーザが自分で行ってもよいし、装置側で、各ユーザが選択する内容に従って自動選択してもよい。自動選択したならば、設定前にユーザに確認を求め、ユーザによる変更を受け付けてもよい。
また、一台の複合機800を複数のユーザが使用できるようにしている場合には、例えば、ユーザAは図3に示す割り当て例のようなアイコン設定、ユーザBは全て複数の宛先へファクシミリを送信するといったアイコン設定というように、ユーザごとに異なるアイコン設定ができるようにしてもよい。
特定のユーザであっても、指紋認証用のユーザ情報として、人差指の指紋情報、親指の指紋情報という具合に、複数の指紋情報を登録することで、指紋情報毎に異なるアイコンの設定ができるようにしてもよい。また、例えば、人差指の指紋情報を指紋認証用とし、親指の指紋情報でコピーに関するメニュー表示をし、中指でファクシミリに関するメニュー表示をするというように、メニュー表示を選択できるようにしてもよい。
ところで、ログイン時に一旦ユーザを指紋認証によって特定したならば、その後、わざわざ同じ人を認証する必要はない。例えば、コピーする段階になって、ユーザによってカスタマイズされたメニューを表示するために、再度、指紋認証をする必要はない。したがって、図2、図3のようなメニューを表示させるために、その都度、指紋認証することが必要であってもよいが、一旦ユーザを特定したならば、ログアウト或いはタッチパネルディスプレイ310に対して所定期間のタッチが検知されずにタイムアウトするまで、ずっと、そのユーザにカスタマイズしたメニューを表示するようにしてもよい。つまり、この場合には、単に、指紋認証部320に指が載置されたならば、指紋認証を省略してそのユーザ用にカスタマイズされたメニューを表示してもよい。
図4は、図2及び図3に示す表示部845に係る指示領域表示装置の機能ブロック図である。図4には、以下説明する、メモリ510と、登録部520と、読取部530と、設定部540と、生成部550と、認証部560と、表示画像生成部570と、移動検知部580と、メニュー項目特定部590を示している。
メモリ510は、登録部520によって登録されるユーザの指紋情報と、設定部540によって設定されるメニュー表示部330に対応する指示内容と、生成部550によって生成された画面とが紐付けられて格納されるものである。
登録部520は、表示画像生成部570によってタッチパネルディスプレイ310に表示される指紋登録画面を通じて読み取られたユーザの指紋情報を、メモリ510に登録するものである。
読取部530は、指紋検出部320を用いてユーザの指紋情報を読み取るものである。読取部530によって読み取られた指紋情報は、認証部560に出力される。
設定部540は、メニュー表示部330の各々に設定し得るメニュー項目をユーザに選択させるために、設定画面をタッチパネルディスプレイ310に表示し、その結果、ユーザによって選択されるメニュー項目をメモリ510に設定するものである。
生成部550は、登録部520によって登録されるユーザの指紋情報毎に、図2(a)等に示す画面におけるメニュー表示部330に、設定部540によって設定されたメニュー項目を含むメニューを重畳させて図3に示すような第1〜第4アイコン330a〜330dを含む画面を生成して、メモリ510に格納するものである。
認証部560は、指紋検出部320によって読み取られたユーザ情報である指紋情報と、登録部510によって登録されている指紋情報とが一致するか否かを判定するものである。
表示画像生成部570は、タッチパネルディスプレイ310に表示される各種画面を生成するものである。表示画像生成部570は、特にメニュー画像生成部570aを含む。メニュー画像生成部570aは、主として、認証部560によって両指紋情報が相互に一致すると判定された場合に、生成部550によって生成された画面を生成するものである。つまり、登録部520により複数のユーザの指紋が登録されるが、読取部530により読み取られた指紋が、登録部520により登録されたどの指紋と一致するかにより、ユーザを特定することができ、そして、特定したユーザに関連付けられているメニューの画像を生成する。
移動検知部580は、生成部550によって生成された画面上で、ユーザがフリック操作又はスライド操作を行った場合に、その指の移動方向を検知するものである。また、必要に応じて、移動検知部580は、指の移動方向のみならず移動距離又は指が離れた位置を検知するものである。
メニュー項目特定部590は、移動検知部580により検知されたフリック操作などの操作方向と、指紋検出部320の位置を基準位置とした場合の各メニュー項目の方向に基づいて、ユーザがフリック操作により選択したメニュー項目を特定する。また、図2(b)のようなメニュー構成の場合には、移動検知部580により検知されたフリック操作などの操作方向及び操作距離と、指紋検出部320の位置を基準位置とした場合の各メニュー項目の方向とそこまでの距離に基づいて、ユーザがフリック操作により選択したメニュー項目を特定する。
つぎに、表示部845の操作手法について説明する。まず、初期設定の一貫として、ユーザは、本実施形態の複合機800の使用に先立って、複合機800に対してユーザ認証に必要なユーザ情報を登録しなければならない。
これを実現するため、タッチパネルディスプレイ310に対して、ユーザ情報を登録していないユーザであっても、操作可能な「ユーザ登録」を用意しておく。ユーザが「ユーザ登録」を選択すると、タッチパネルディスプレイ310には、指紋登録をするための説明が記載されている指紋登録画面が、表示画像生成部570によって表示される。
指紋登録画面は、一例を示すと、登録を希望する指紋が指紋検出部320によって読み取られるように、その指を指紋検出部320上に載置すること、載置した指を指紋の登録が完了するまで動かさないように促すこと、とが記載されている。登録を希望する指紋が指紋検出部320を用いて読取部530によって読み取られると、その指紋情報は、登録部520によってメモリ510に登録される。
指紋の登録が完了すると、ユーザは、初期設定の一貫として、メニュー表示部330の各々に対する指示内容の設定をしなければならない。これを実現するため、表示画像生成部570は、タッチパネルディスプレイ310に対して設定画面を表示する。
具体的には、まず、メニュー表示部330のいずれかを選択させる画面を表示する。ユーザが例えば指紋検出部320の上側のメニュー表示部330をタッチすると、そのアイコンに割り当てるべき「コピー」、「ファクシミリ」などの種別を選択させる選択画面に移行する。ユーザが選択画面を通じて例えば「コピー」を選択すると、つぎの設定部540によって、「コピー」という指示と指紋検出部320の上側のメニュー表示部330とが紐付けられてメモリ510に設定される。
同様の手順によって、全てのメニュー表示部330に対する種別が設定されると、生成部550は、図2(a)又は図2(b)に示す指紋検出部320及びメニュー表示部330の画面に、設定部540によって設定された指示内容を重畳させて、図3に示すような指示内容を示す第1〜第4アイコン330a〜330dを含む画面を生成してメモリ510に格納する。こうして、初期設定が完了する。
また、例えば、複写機能を利用する場合、スキャン機能を利用する場合など、機能に応じて、同一のユーザであっても表示するメニューを切り替えるのであれば、登録時に、指紋認証と対応させたい機能とをユーザに選択させ、選択された機能に応じて、メニュー項目の候補を切り替え、そこからユーザにメニュー項目を選択してもらうとよい。同じ機能であっても、異なった設定内容毎の画面があるのであれば、その画面にメニューを対応させるようにしてもよい。そのためには、登録時に、指紋認証と対応させたい機能と設定内容とをユーザに選択させ、選択された機能と設定内容に応じて、メニュー項目の候補を切り替え、そこからユーザにメニュー項目を選択してもらうとよい。実際にメニューを表示する場合には、装置は、現在選択されている機能又は現在表示している画面を把握しているので、判別したユーザと把握した機能、画面との組み合わせに基づいて、メニュー項目を切り替えることができる。
つぎに、初期設定を済ませたユーザが、複合機800でのコピー、ファクシミリ或いはスキャンなどを希望する場合には、例えば、操作パネル部843を図1に示す状態から、操作面が略水平となるように回動させたり、タッチパネルディスプレイ310をタッチしたりして、複合機800を省エネルギーモードから通常モードに復帰させる。
通常モードでは、まず、表示画像生成部570によって、タッチパネルディスプレイ310に指紋検出部320の位置を示すアイコンを表示するとともに、指紋認証を行うために指紋検出部320に指を載置することを促す画面を表示する。ただし、この際、タッチパネルディスプレイ310には、メニュー表示部330は表示されない。
つづいて、ユーザが、表示部845の表示内容に従って、指紋検出部320に指を載置すると、読取部530は、指紋検出部を用いてユーザ認証に必要な情報として、載置された指の指紋情報を読み取って認証部560に出力する。
認証部560は、読取部530から出力された指紋情報を入力すると、この指紋情報をメモリ510に登録済みの指紋情報と照合する。この結果、入力された指紋情報が登録済みの何れの指紋情報とも一致しない場合には、表示画像生成部570は、「認証NG」などの画面をタッチパネルディスプレイ310に表示する。
ここでは、初期設定を済ませた何れかのユーザが、指紋認証を行っているので、そのユーザの登録済みの指紋情報と入力された指紋情報は一致し、表示画像生成部570は、タッチパネルディスプレイ310に、生成部550によって生成された画面を表示する。この画面は、図3に示すように、指紋検出部320の周辺にメニュー表示部330が位置する画面を表示する際、例えば、ユーザに対して表示部845に「希望する指示のアイコンに向けて指を動かして下さい」などの表示をするか、図示しないスピーカを通じて、このような音声ガイダンスを行ってもよい。
例えば、図3に示すように指示が割り当てされているとすると、ユーザは、複合機800に対してコピーの指示を選択したい場合には、指紋検出部320にユーザが指を載置した状態で上側に向けてフリック操作又はスライド動作を行えばよい。
なお、フリック操作又はスライド動作に代えて、ユーザが指紋検出部320から指を離して、所望の指示が割り当てられているアイコンをタッチすることによって、複合機800に対する指示を選択してもよい。
ただし、通常、アイコンに割り当てた指示は頻繁に変更されることはないと考えられるので、ユーザは、各々のメニュー表示部330に対して、どのような指示が割り当てられているかを記憶することも多いと考えられる。この場合には、アイコンを目視してからタッチするよりも、4方向のいずれかにフリック操作又はスライド動作を行うことで指示が行えれば便利である。
一方、指紋認証を行ったユーザが、所定時間内に、フリック操作などのその後に続く処理を行わなかった場合には、複合機800の制御部は、そのままメニューの表示を予め複合機800側又はユーザによって選択された時間の到来まで継続させてもよいが、指紋認証を行ったユーザ以外の者による予期しない指示がなされることを回避したり、節電を目的としたりして、複合機800が自発的に省エネルギーモードに遷移させてもよい。
なお、省エネルギーモードへの遷移は、複合機800が自発的に行うのではなく、指紋認証を行ったユーザの明示的な指示によって、或いは、複合機800の付近に誰もいない状況に気付いた善意の第三者が節電のためなどを理由として行ってもよい。
このため、指紋認証を行ってからその後に続く処理が所定時間内になされなかった場合には、それを報知するためのアラートを発するなどしてもよい。また、あくまで省エネルギーモードへの遷移指示は、指紋認証を行ったユーザ本人に実行を委ねたい場合も考えられるので、例えば、当該ユーザが、もう一度、認証部560をタップするなどの、特定の操作を行った場合にのみなされるようにしてもよい。
また、図2(b)に示す態様で8つのメニュー表示部330が表示される場合には、指紋検出部320の例えば真上には2つのアイコンが位置している。したがって、係る場合には、移動検知部580は単にフリック方向等を検知するだけでは、これらのアイコンのいずれに対応する指示が選択されたかを判定できない。
したがって、係る場合には、ユーザに対して、選択したい指示に対応するアイコンの表示位置まで指を動かすように指示しておけば、移動検知部580が、フリック方向等に加えて指の移動距離を検知することによって、或いは、ユーザの指が表示部845から離れた位置を検知することによって、いずれの指示が選択されたかを判定することができる。
選択されたメニュー項目は、図2(a)の場合には、指紋検出部320を基準としてみた場合の各メニュー項目が配置されている方向とユーザのフリック方向とにより特定することができる。また、図2(b)の場合には、指紋検出部320を基準としてみた場合の各メニュー項目が配置されている方向とユーザのフリック方向とに加えて、フリック操作時におけるユーザがタッチパネルディスプレイ310から指を離すまでに指が移動した距離により特定することができる。また、ユーザが一旦指を離してからメニュー項目に指を置いた場合には、その置いた位置の座標を検出し、その座標と各メニュー項目の座標とに基づいて、ユーザにより選択されたメニュー項目を特定してよいし、その置いた位置の指紋検出部320からの方向と、指紋検出部320を基準としてみた場合の各メニュー項目が配置されている方向とに基づいて、ユーザにより選択されたメニュー項目を特定してもよい。
特定されたメニュー項目は、例えば、それを示すコード(数字、文字列、これらの組合せなど)として複合機800の制御部に出力される。そのコードを受け取った複合機800の制御部は、それをデコードして、デコード結果と現在の状態とに基づいて次の状態又は動作を決定する。
なお、メニューを表示した後に所定時間が経過してもユーザにより何れのメニュー項目も選択されない場合には、それだけで、メニューを消去してもよい。また、メニューを消去するためには、ユーザによるメニュー項目の選択以外の所定の入力(例えば、操作パネルに設けられた所定ボタンの押下、指紋入力部の再度のタップなど)が必要であるようにしてもよい。
なお、本実施形態では、ユーザ認証として指紋認証を行う場合を例に説明したが、指紋以外の声紋、網膜、虹彩、掌形、血管、顔などの各種生体認証を行ってもよい。その場合、タッチパネルディスプレイ310の指を載置されている場所を特定し、その周辺にメニューを表示すればよい。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、図5に示すように、表示部845に付帯して配設された表示機能付き入力ユニット410を含むものである。表示機能付き入力ユニット410は、指紋検出部320と、これを中心に十字状に伸びる4つの部分より構成されるタッチセンサであるところのタッチセンサディスプレイ340とを含む。タッチセンサディスプレイ340の各部分は、メニュー項目を表示するためのメニュー表示部330を有する。
指紋検出部320は、ユーザの指紋を入力する機能を有し、入力された指紋の画像又はそこから抽出した指紋の特徴パラメータを認証部560に出力する。
タッチセンサディスプレイ340は、メニュー表示部330により4つのメニュー項目を表示する機能と、ユーザの指が指紋検出部320からどのメニュー項目の方向にフリック等されたのかを検出する機能を有する。表示機能付き入力ユニット410が、指紋検出部320と、これを中心に八方に伸びるタッチセンサディスプレイとを含むのであれば、メニュー項目の数を8に増やすことができる。また、矩形のタッチセンサディスプレイの中央部に指紋検出部320を設け、その全周にメニュー表示部330を配置する構成としてもよい。この場合には、メニュー表示部の表示領域を調整することにより、メニュー項目の数を任意にすることができる。いずれの場合であっても、指紋検出部320の位置を基準としたメニュー項目が配置された方向とフリックの方向とを比較することにより、ユーザにより選択されたメニュー項目を検出することができる。また、いずれの場合であっても、指紋検出部320の全周を囲むようにタッチセンサディスプレイ340を配置してもよいし、その一部を囲むようにタッチセンサディスプレイ340を配置してもよい。さらに、いずれの場合であっても、指紋検出部320の表面とタッチセンサ340の表面との間に段差が生じないようにすれば、ユーザによるフリック操作が容易になる。
本実施形態の複合機800では、タッチパネルディスプレイ310に指紋検出部320及びタッチセンサディスプレイ340のうちのタッチセンス機能を設ける必要はない。このため、タッチパネルディスプレイ310は、必ずしもタッチパネル式である必要はない。しかし、他の用途などのためにタッチパネル式であってもよい。
表示機能付き入力ユニット410も、タッチパネルディスプレイ310と同様に、操作パネル部843に配置することができるが、原稿読み取り部200周辺で、原稿送り装置100やプラテンカバーなどと接触しない位置、或いは、複合機本体830でユーザの邪魔にならない位置などに設けてもよい。また、表示機能付き入力ユニット410を複合機800から独立させてもよい。この場合には、例えば、表示機能付き入力ユニット410は、指紋検出部320とメニュー表示部330とタッチセンサディスプレイ340とが表面に露出するように内蔵できるような筐体と、複合機800との間で通信するための通信部とを含むポータブル装置としてもよい。
本実施形態においても、第1の実施の形態と同様の操作によって、ユーザが、指紋認証に必要な操作と、所望の指示を複合機本体830に入力とを実施できるようにしている。
すなわち、ユーザが既述の初期設定後に何らかの画像形成に必要な指示を希望して指紋検出部320に指紋登録済みの指を載置すると、指紋検出部320によって指紋が読み取られ、複合機本体830は、これに応じてユーザ認証を行い、認証できたことを条件に、タッチセンサディスプレイ340にメニュー表示部330を含む画面を表示するようにしている。
このため、ユーザは、指紋検出部320に載置した指のフリック操作等を行うことで、メニュー表示部330を通じて所望の指示を行えばよい。
なお、例えば、表示機能付き入力ユニット410の配置位置を調整したり、これを含むポータブル装置の配置位置を調整したりすれば、ユーザが指紋検出部320に常時指を載置していても、指、手、腕などがタッチパネルディスプレイ310による画面表示を邪魔することがない。従って、一旦、指紋認証をしたならば、ユーザは、指紋検出部320に指を載置したまま、あるいは、必要時に載置することにより、その時々に有効になっている機能や画面によって切り替わるメニュー表示部330に表示されるメニュー項目から、必要なメニュー項目を選択することができるようになる。
また、第2の実施の形態による表示機能付き入力ユニット410は、タッチパネルディスプレイ310による表示と入力を補助する役割を有するものであってもよいが、例えば、複合機800が小型であれば、タッチパネルディスプレイ310を省略して、表示機能付き入力ユニット410が単独で表示と入力とをするようにしてもよい。
さらに、指紋検出部320は、二次元センサを備えるものであってもよいし、一次元センサを備えるものであってもよい。一次元センサの場合には、それをタッチセンサディスプレイ340との境界付近に配置すれば、ユーザが、指をスライドさせながら、中央部まで移動したならば、メニューを表示させられる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態は、図6に示すように、表示部845に付帯して配設された表示機能無し入力ユニット420を含むものである。表示機能無し入力ユニット420は、指紋検出部320と、これを中心に十字状に伸びる4つの部分より構成されるタッチセンサ360を含む。
ここで、第2の実施の形態とは異なり、タッチセンサ360は、メニュー表示部を有していない。その代わりに、メニュー項目の表示は、ディスプレイ350が行う。これを図6では、ディスプレイ350上のメニュー表示部330として示す。メニュー表示部330を、ディスプレイ350上のどの位置にどの程度の大きさで配置してもよいが、例えば、中央部に大きく表示してもよい。特に、視覚性を考慮して、表示機能無し入力ユニット420よりも大きく表示してもよい。なお、念のため付言すると、ここでは、メニュー表示部330は、タッチセンサ360に対応させていて、指紋検出部320で指紋を認証することによって特定されるユーザに依存するメニュー項目を示す画像が、メニュー表示部330に表示される。
指紋検出部320は、ユーザの指紋を入力する機能を有し、入力された指紋の画像又はそこから抽出した指紋の特徴パラメータを認証部560に出力する。
タッチセンサ360は、ユーザの指が指紋検出部320からディスプレイ350に表示されているどのメニュー項目の方向にフリックされたのかを検出する機能を有する。ここで、メニューの方向とは、ディスプレイ350に並んで配置されているメニュー項目の中心から見た方向である。ディスプレイ350に、この中心の位置がわかるようなマークを表示してもよい。
表示機能無し入力ユニット420が指紋検出部320と、これを中心に八方に伸びるタッチセンサを含むのであれば、メニュー項目の数を8に増やすことができる。また、矩形のタッチセンサの中央部に指紋検出部320を設ける構成としてもよい。この場合には、ディスプレイ350に表示するメニュー項目の表示領域を調整することにより、メニュー項目の数を任意にすることができる。いずれの場合であっても、指紋検出部320の位置を基準としたメニュー項目が配置された方向とフリックの方向とを比較することにより、ユーザにより選択されたメニュー項目を検出することができる。また、いずれの場合であっても、指紋検出部320の全周を囲むようにディスプレイ350を配置してもよいし、その一部を囲むようにディスプレイ350を配置してもよい。さらに、いずれの場合であっても、指紋検出部320の表面とタッチセンサ340の表面との間に段差が生じないようにすれば、ユーザによるフリック操作が容易になる。
本実施形態の複合機800では、ディスプレイ350に指紋検出部320及びタッチセンサ360を設ける必要はない。このため、ディスプレイ350としては、タッチパネル式でないものを利用することとしている。しかし、他の用途などのためにタッチパネル式であってもよい。
表示機能無し入力ユニット420も、ディスプレイ350と同様に、操作パネル部843に配置することができるが、原稿読み取り部200周辺で、原稿送り装置100やプラテンカバーなどと接触しない位置、或いは、複合機本体830でユーザの邪魔にならない位置などに設けてもよい。また、表示機能無し入力ユニット420を複合機800から独立させてもよい。この場合には、例えば、表示機能無し入力ユニット420は、指紋検出部320等が表面に露出するように内蔵できるような筐体と、複合機800との間で通信するための通信部とを含むポータブル装置としてもよい。
本実施形態においても、第1及び第2の実施の形態と同様の操作によって、ユーザが、指紋認証に必要な操作と、所望の指示を複合機本体830に入力とを実施できるようにしている。
すなわち、ユーザが既述の初期設定後に何らかの画像形成に必要な指示を希望して指紋検出部320に指紋登録済みの指を載置すると、指紋検出部320によって指紋が読み取られ、複合機本体830は、これに応じてユーザ認証を行う。そして、認証できたことを条件に、ディスプレイ350にメニュー表示部330を表示する。
このため、ユーザは、指紋検出部320に載置した指のフリック操作等を行うことで、タッチセンサ360を通じて所望の指示を行えばよい。
なお、例えば、表示機能無し入力ユニット420の配置位置を調整したり、これを含むポータブル装置の配置位置を調整したりすれば、ユーザが指紋検出部320に常時指を載置していても、指、手、腕などがディスプレイ350による画面表示を邪魔することがない。したがって、一旦、指紋認証をしたならば、ユーザは、指紋検出部320に指を載置したまま、あるいは、必要時に載置することにより、その時々に有効になっている機能や画面によって切り替わるメニュー表示部330に表示されるメニュー項目から、必要なメニュー項目を選択することができるようになる。
また、第2の実施の形態と同様に、指紋検出部320は、二次元センサを備えるものであってもよいし、一次元センサを備えるものであってもよい。一次元センサの場合には、それをタッチセンサディスプレイ340との境界付近に配置すれば、ユーザが、指をスライドさせながら、中央部まで移動したならば、メニューを表示させられる。
[第4の実施の形態]
図7は、本発明の第4の実施の形態に係るタッチパネルディスプレイ310の表示例を示す図である。
第1の実施の形態等では、主として、指紋によりユーザ認証を行う場合について説明したが、本実施形態では、ユーザ情報が登録された記録媒体を通じてユーザ認証を行う場合について説明する。
例えば、近年、社員IDなどが登録されたICカード社員証などが普及しており、オフィスの入り口などにはセキュリティゲートが設置されつつある。この場合には、セキュリティゲートを通過する際には、ユーザは、ICカード社員証をカードリーダにかざした個人認証を行っている。
また、電車、バス等の乗車運賃の支払い等を行える交通系カードといったICカードも広く普及している。社員証であろうが交通系カードであろうが、ICカードにはユーザ情報を登録することができるので、カードリーダを複合機800に設けておけば、個人認証を行うことが可能である。
更に、複合機800に特化したICカードにIDを登録してこれにより個人認証をすることもができる。
そこで、本実施形態では、複合機800の個人認証を行えるようにするとともに、係る場合においても、優れた操作性を発揮できるようにしている。
図7には、既述のタッチパネルディスプレイ310及びメニュー表示部330に加えて、指紋検出部320に代えてタッチパネルディスプレイ310の背面に設けられたNFC(Near field radio communication:近距離無線通信)アンテナ370と、NFCアンテナ370に接続されたNFCリーダライタによって読み取られるユーザ情報が登録されているICカード700とを示している。
本実施形態においては、ICカード700を用いて、メニュー項目の選択を行うために、NFCアンテナ370を図7に示すようにタッチパネル310を囲むように配設している。複合機800にログイン用に個人認証するためには、NFCアンテナ370を用いてもよいが、複合機800において別途配設されたNFCアンテナを用いてもよい。
また、タッチパネルディスプレイ310は、ICカードが載置された位置を検出する機能を有する。例えば、タッチパネルディスプレイ310の表面全体に光センサを配置すれば、ICカードが載置された位置とそうでない位置との受光量の相違により、ICカードが載置された位置を検出する機能を持たせることができる。また、タッチパネルディスプレイ310の表面全体に静電容量式のセンサを配置すれば、ICカードが載置された位置とそうでない位置との静電容量又は荷電量の相違により、ICカードが載置された位置を検出する機能を持たせることができる。
初期設定については、既存の指紋の登録に代えて、ICカード700に格納されているユーザIDを複合機800に対して登録すればよい。パスワードを追加して登録して、認証時にパスワードを求めるようにしてもよい。
次に、メニュー項目を選択する場合の動作についての説明をする。
まず、ユーザによりタッチパネルディスプレイ310にICカード700が載置されると、NFCアンテナ370を用いたNFCが開始され、ICカード700に保存されているユーザIDがNFCアンテナ370に接続されたNFCリーダライタにより読み込まれる。これにより個人認証が行われ、ユーザが特定される。なお、個人認証を行う場合に、ICカード700に保存されているユーザIDのみならず、パスワードを用いるようにしてもよい。この場合には、ユーザにパスワードを入力させる。
引き続き、ユーザに応じた複数のメニュー項目がタッチパネルディスプレイ310のメニュー表示部330に表示される。
ここで、メニュー表示部330が、図7に示すように、ICカード700が載置された位置の周辺に現れるようにする。このためには、上述したように、タッチパネルディスプレイ310の位置検出機能によりICカード700が載置された位置を特定しておく。
つぎに、ユーザによりICカード700がメニュー表示部330に含まれる何れかのメニュー項目の位置までスライドさせられたならば、スライド方向を検出し、これによりユーザにより選択されたメニュー項目を特定する。
メニューは、一層構造に限らず多層構造にしてもよい。一層構造の場合には、メニューの表示と選択されたメニュー項目の特定とを1回行えば、選択されたメニュー項目に応じた動作を複合機800が行うが、多層構造の例として2構造の場合には、第1層のメニューの表示と選択された第1層のメニュー項目の特定の次に、選択された第1層のメニュー項目に応じた第2層のメニューの表示と選択された第2層のメニュー項目の特定とを行い、選択された第2層のメニュー項目に応じた動作を複合機800が行う。特に、第1の実施の形態及び第4の実施の形態においては、第1層の選択されたメニュー項目を中心としてその周辺に第2層のメニュー項目を表示することができるが、こうすれば、ユーザは、第1層のメニュー項目を選択してから、第2層のメニュー項目を選択するまでの間に、指紋検出部まで一旦指を戻す必要がなくなる。
また、メニューは1以上のメニュー項目を含んでいればよい。そして、1以上のメニュー項目のうちの少なくとも1項目が認証されたユーザに依存するものであればよい。
[第5の実施の形態]
図8は、本発明の第5の実施の形態による複合機800の内部構成図である。図9は、図8に示す複合機の機能ブロック図である。図8及び図9に示すように、複合機800は、原稿の画像を読み取る原稿読取装置820と、シートに画像を形成する複合機本体(画像形成部本体)830と、原稿読取装置820及び複合機本体830を操作するための操作パネル部843と、操作パネル部843による操作に基づいて原稿読取装置820及び複合機本体830を制御する演算処理部841と、を備えている。
画像読取りのために原稿読取装置820を単体で用いること、画像形成のために複合機本体830を単体で用いることの他に、画像を複写するためにこれらを連動させることもできる。また、複合機800、一般的に、図示しない記憶装置及びファクシミリ装置を含んでいるが、必ずしもこれらを含まなくてもよい。記憶装置は、原稿読取装置820により読み取られた画像、又は、ファクシミリ装置により受信した画像を格納することができる。ファクシミリ装置は、原稿読取装置820により読み取られた画像や記憶装置に格納されている画像を送信することと、外部から画像を受信することとができる。さらに、複合機800は、ネットワークを介して図示しないパーソナルコンピュータと接続するためのインターフェースを含んでいてもよい。複合機800に接続されたパーソナルコンピュータは、これが管理できるデータについて複合機の機能を利用することができる。
原稿読取装置820は、原稿を自動給送する原稿自動給送部SPF(Single Pass Feeder)824と、原稿の画像を読み取る読取装置本体822と、を備えている。なお、原稿読取装置820は、図9に示す構成要素の他に、図9は示されないが図8に示される構成要素も含む。また、図8に示すように、読取装置本体822には、原稿台826が備わる。
図1に示した給紙トレイ600は、シートを給送するシート給送部10と、シートを手差し給送可能な手差し給送部20と、シート給送部10又は手差し給送部20により給送されるシートに画像を形成する画像形成部30と、を備えている。
シート給送部10は、シートを積載するシート積載部11と、シート積載部11に積載されたシートを1枚ずつ分離給送する分離給送部12と、を備えている。シート積載部11は、回転軸13を中心に回動する中板14を備えており、中板14は、シートを給送する際に回動してシートを上方に持ち上げる。分離給送部12は、中板14により持ち上げられたシートを給送するピックアップローラ15と、ピックアップローラ15により給送されるシートを1枚ずつに分離する分離ローラ対16と、を備えている。
手差し給送部20は、シートを積載可能な手差しトレイ21と、手差しトレイ21に積載されたシートを1枚ずつ分離給送する分離給送部22と、を備えている。手差しトレイ21は、複合機本体830に回動自在に支持されており、手差し給送する際には、所定の角度に固定させることでシートを積載可能になる。分離給送部22は、手差しトレイ21に積載されたシートを給送するピックアップローラ23と、ピックアップローラ23により給送されるシートを1枚ずつに分離する分離ローラ24及び分離パッド25と、を備えている。
画像形成部30は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する4つのプロセスカートリッジ31Y〜31Kと、後述する感光体ドラム740Y〜740Kと、これらの表面を露光する露光装置32と、感光体ドラム740Y〜740Kの表面に形成されたトナー像をシートに転写する転写部33と、転写したトナー像をシートに定着させる定着部34と、を備えている。なお、符号の最後に付すアルファベット(Y、M、C、K)は、それぞれの色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を示している。
4つのプロセスカートリッジ31Y〜31Kのそれぞれは、複合機本体830から取り外し可能に構成されており、交換可能となっている。なお、4つのプロセスカートリッジ31Y〜31Kは、形成する画像の色が異なること以外は同様な構成であるため、イエロー(Y)の画像を形成するプロセスカートリッジ31Yの構成のみの説明し、プロセスカートリッジ31M〜31Kの説明は省略する。
プロセスカートリッジ31Yは、像担持体としての感光体ドラム740Yと、感光体ドラム740Yを帯電させる帯電器741Yと、感光体ドラム740Y上に形成された静電潜像を現像する現像装置742Yと、感光体ドラム740Yの表面に残留するトナーを除去するドラムクリーナと、を備えている。現像装置742Yは、感光体ドラム740Yを現像する現像装置本体(詳細には図示せず)と、現像装置本体にトナーを供給するトナーカートリッジ(詳細には図示せず)と、を備えている。トナーカートリッジは、現像装置本体に着脱可能に構成されており、収容されたトナーが無くなると、現像装置本体から取り外して、交換することができるようになっている。
露光装置32は、レーザ光を照射する光源(図示せず)と、レーザ光を感光体ドラム740Y〜740Kに導く複数のミラー(図示せず)等と、を備えている。転写部33は、感光体ドラム740Y〜740Kに形成されたトナー像を担持する中間転写ベルト35と、感光体ドラム740Y〜740Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト35に一次転写する一次転写ローラ36Y〜36Kと、中間転写ベルト35に転写されたトナー像をシートに二次転写する二次転写ローラ37と、中間転写ベルト35に残留するトナーを除去するベルトクリーナ38と、を備えている。中間転写ベルト35は、駆動ローラ39a及び従動ローラ39bに掛け渡されており、一次転写ローラ36Y〜36Kによって感光体ドラム740Y〜740Kに押し付けられている。二次転写ローラ37は、駆動ローラ39aとで中間転写ベルト35をニップ(挟持)しており、ニップ部Nで中間転写ベルト35が担持するトナー像をシートに転写する。定着部34は、シートを加熱する加熱ローラ34aと、加熱ローラ34aに圧接する加圧ローラ34bと、を備えている。
操作パネル部843は、所定の情報を表示する表示部845と、ユーザが原稿読取装置820及び複合機本体830への印刷枚数などの指示を入力する入力部847と、を備えている。本実施形態においては、操作パネル部843は、読取装置本体822の正面側に配設されている。なお、正面側は図8の紙面の手前側に対応し、裏面側は図8の背面側に対応する。
図9に示すように、演算処理部841は、シート給送部10、手差し給送部20、画像形成部30及び原稿読取装置820を駆動制御するCPU841aと、CPU841aを動作させるための各種プログラムとCPU841aが用いる各種情報等を記憶するメモリ841bと、を備えている。演算処理部841は、ユーザによる操作パネル部843への操作に基づいて、シート給送部10、手差し給送部20、画像形成部30及び原稿読取装置820の動作を統合して制御し、シートに画像を形成させる。
次に、上述のように構成された複合機800による画像形成動作(演算処理部841による画像形成制御)について説明する。本実施形態においては、原稿自動給送部824により給送され、読取装置本体822により読み取られた読取原稿の画像を、シート給送部10により給送されるシートに画像形成部30が形成する画像形成動作を例にとり説明する。
ユーザによる操作パネル部843の入力部847への入力により、画像形成開始信号が発信されると、ユーザにより原稿自動給送部824に載置された読取原稿が原稿読取位置に向けて自動給送され、原稿読取位置で読取装置本体822によって画像が読み取られる。
読取装置本体822により原稿の画像が読み取られると、読み取られた原稿の画像情報に基づいて、露光装置32が感光体ドラム740Y〜740Kに向けて、それぞれに対応する複数のレーザ光を照射する。このとき、感光体ドラム740Y〜740Kは、それぞれ、帯電器741Y〜741Kにより予め帯電されており、それぞれに対応するレーザ光が照射されることで感光体ドラム740Y〜740K上にそれぞれの静電潜像が形成される。その後、現像装置742Y〜742Kにより感光体ドラム740Y〜740K上にそれぞれ形成された静電潜像が現像され、感光体ドラム740Y〜740K上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成される。感光体ドラム740Y〜740K上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ36Y〜36Kによって中間転写ベルト35に重畳転写され、重畳転写されたトナー像(フルカラーのトナー像)は、中間転写ベルト35に担持された状態でニップ部Nまで搬送される。
上述の画像形成動作に並行して、シート積載部11に積載されたシートが、分離給送部12によって1枚ずつに分離されながら、ピックアップローラ15によりシート搬送路26に給送される。そして、ニップ部Nのシート搬送方向上流にあるレジストローラ対27で、斜行が補正されると共に、所定の搬送タイミングでニップ部Nに搬送される。ニップ部Nに搬送されたシートは、二次転写ローラ37によって中間転写ベルト35が担持するフルカラーのトナー像が転写される。
トナー像が転写されたシートは、定着部34で加熱・加圧されることでトナー像が溶融定着され、排出ローラ対18により装置外に排出される。装置外に排出されたシートは、排出シート積載部19に積載される。
なお、シートの両面(第1面及び第2面)に画像を形成する場合には、第1面に画像が形成されたシートが装置外に排出される前に、排出ローラ対18を逆回転させて両面搬送路17に搬送し、両面搬送路17を介して画像形成部30に再搬送する。そして、第1面と同様に、第2面に画像を形成し、装置外に排出する。装置外に排出されたシートは、排出シート積載部19に積載される。
第1乃至第5の実施形態によるメニュー装置、入力装置及び操作パネルユニットは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、メニュー装置、入力装置及び操作パネルユニットにより行なわれるメニュー提供方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらに組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。