JP6791472B2 - 被処理水の処理方法 - Google Patents
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すなわち、近年、多量に排出されるプラスチックを始めとする廃棄物に対し所定の処理を施して資源として利用する各種の手法の提案がなされている。また、その一例として、バイオマス(木材、汚泥、家畜糞尿、生ゴミ等)や廃プラスチック等の有機物処理材料を熱分解処理して、熱分解ガスと熱分解残渣とを生成するとともに、熱分解ガスを凝縮することにより分解油として回収し、残渣に対しては所定の処理をすることにより炭化物として利用することが考えられている。この中でも、有機物処理材料として廃プラスチックを用いると、分解油を高効率で回収することができる。このような廃プラスチックを熱分解油化処理する廃プラスチック処理装置に関しては多くの提案がなされている。
この従来提案は、熱分解炉を有し、この熱分解炉内に投入された有機物処理材料を熱分解ガスと残渣とに熱分解する熱分解装置と、熱分解炉内で発生した熱分解ガスを凝縮して分解油を生成する熱分解ガスエジェクタと、熱分解ガスエジェクタにて生成した分解油を貯留する分解油分離器と、分解油分離器からの分解油を冷却する分解油冷却器と、熱分解装置の熱分解炉内を熱分解温度に加熱する加熱装置とを備え、分解油分離器と分解油冷却器との間に循環ポンプを設置するとともに、分解油を分解油冷却器で冷却後、戻しラインを介して熱分解ガスエジェクタに戻して熱分解ガスエジェクタの凝縮冷却源とし、分解油分離器、循環ポンプ、分解油冷却器、戻しラインおよび熱分解ガスエジェクタにより循環ラインを形成し、分解油分離器内の分解油から分離排出されるオフガスをオフガス吸引エジェクタにより吸引し、加熱装置に送って加熱装置の加熱源とすることを特徴とする、という熱分解処理システムである。
しかし、この従来提案では結構コストがかかってしまうという問題があった。
(1)この発明の被処理水の処理方法は、被処理水の微細粒子噴霧室を有し、前記微細粒子噴霧室で微細粒子化できなかった被処理水に、水反応性発熱媒体を接触させるようにしたことを特徴とする。
この被処理水の処理方法では、被処理水の微細粒子噴霧室を有するので、被処理水の微細粒子噴霧室で微細化した被処理水は表面積の総計が増大することにより気化を促進することができる。
また、前記微細粒子噴霧室で微細粒子化できなかった被処理水に、水反応性発熱媒体を接触させるようにしたので、微細粒子化できず落下した比較的粒径が大きい被処理水粒子について、水反応性発熱媒体と水(H2O)の反応生成熱を利用して蒸発させることが出来る。
被処理水の微細粒子噴霧室で微細化した被処理水は、後述の微細粒子中の汚れ物質の熱分解室に送ったり(汚れ物質の熱分解)、電解スクラバーに送ったりして浄化することが出来る(汚れ物質の電解塩素による酸化)。
ここで、前記被処理水として、化学工場、食品加工工場などの排水、スクラバー水、福島・スリーマイル島・チェルノブイリなど世界各地の放射能汚染土壌の除染処理水などを例示することが出来る。
前記微細粒子は、飛散さえすれば特に粒径にこだわらないが、できれば直径1mm以下が好ましい。そして、細かければ細かいほど好ましい。
前記水反応性発熱媒体として、生石灰、金属ナトリウム、金属マグネシウムなどを例示することが出来る。水反応性発熱媒体として、金属ナトリウム、金属マグネシウムを用いた場合は、副生する水素ガスを燃料等として二次利用することが出来る。
このように構成し、前記微細粒子中の汚れ物質の熱分解室を有するようにすると、この微細粒子ないし気化成分を汚れ物質の熱分解室で無害化(例えば、ダイオキシン類のような有毒有機物質を900℃で熱分解させる)することが出来る。
このように構成し、前記微細粒子噴霧室で微細粒子化できなかった被処理水に水反応性発熱媒体を接触させてなる蒸発分を熱分解室に送るようにすると、被処理水中で微粒子化できなかった比較的粒径が大きい被処理水粒子を反応生成熱で蒸発させ熱分解室で浄化処理することが出来る。
このように構成し、水反応性発熱媒体として生石灰を用いるようにすると、生石灰(CaO)と水(H2O)の大きな反応熱(15,478cal/mol)を利用して、被処理水を効率よく蒸発させることが出来る。
また、処理後の石灰(消石灰 Ca(OH)2)は、その熱分解温度(580℃)以上に加熱して生石灰に再生することが出来る。さらに、被処理水にダイオキシン類などの有害物質が含まれる場合は、その熱分解温度である900℃以上まで加熱して生石灰に再生することが出来る。
被処理中に食塩などの無機の塩類が含有される場合は、前記処理後の石灰を水洗浄し脱塩ないし減塩してから加熱再生することが出来る。
このように構成し、微細粒子噴霧室では、流下する被処理水の薄膜状水幕に細長状空気噴流を衝突させるようにすると、複数の水滴を滴下する場合に比べて薄膜状水幕により細長状空気噴流に及ぼす水量を増加させることが出来る。
このように構成し、前記被処理水の薄膜状水幕は、上側解放状堰き止め手段(例えば、板状の堰き止め手段)を越流させることにより形成するようにすると、ノズルを用いて微細粒子を噴霧するときのような先端孔の詰まり(特に、被処理水中に粘稠な成分を含む場合)を抑制ないし回避することが出来る。
このように構成し、被処理水を室温以上(例えば30℃〜)で微細粒子噴霧室で噴霧すると、微細粒子・ミスト化が促進されることになる。
このように構成し、微細粒子噴霧室を加熱(例えば60〜90℃)して微細粒子を噴霧すると、室内の飽和水蒸気量が増加し、一旦微細化した水微粒子の凝縮を抑制して微細粒子化の割合を増大させることが出来る
また、微細粒子噴霧室の内壁面が湿潤化し、排水中の汚れ成分が比較的に粘稠な物質であったとしても、該水分の流下が促進されてべたべたが改善されることとなる。
このように構成し、微細粒子噴霧室で微細粒子を噴霧して火炎(例えばガス・バーナーの炎)を及ぼすと、被処理水の微粒子化を大きく増大させることが出来る。
このように構成し、前記微細粒子中の汚れ物質の熱分解室の熱源と生石灰の再生の熱源を兼用するようにすると、全体の構造を嵩低く設定することが出来る。
このように構成し、被処理水の微細粒子を回転子に衝突させるようにすると、衝撃により微細粒子の粒子径をより微細化することが出来る。
微細粒子化できず落下した比較的粒径が大きい被処理水粒子について、水反応性発熱媒体と水(H2O)の反応生成熱を利用して蒸発させることが出来るので、従来よりもコストを下げることが出来る被処理水の処理方法を提供することが出来る。
水反応性発熱媒体2(生石灰)の貯留槽は、微細粒子噴霧室1の下方に位置せしめ、微細粒子化できなかった被処理水は重力で前記貯留槽に落下するようにしている。この処理槽を、左右一対で構成した。
前記被処理水として、ショ糖脂肪酸エステルを製造する化学工場の排水(COD 62,000ppm)を処理した。排水中にはショ糖が6%程度含まれている。この排水は室温だとかなり粘稠であり、製品製造後の60℃程度で処理した。また、この排水にはDMSOが約3%程度含有されている。排水は、先ず原水槽3に受け入れるようにした。図中、原水槽3からの排水の供給ラインを、薄いグレー色の一点鎖線で示す。
前記微細粒子は、飛散さえすれば特に粒径にこだわらないが、できれば直径1mm以下が好ましい。そして、細かければ細かいほど好ましい。微粒子が分子サイズに近づけば、それだけ気相に相変化する際の潜熱を抑えて効率的に処理することが出来る。飛散後の微細粒子を微細粒子噴霧室1の外で凝縮させて回収しCODを測定すると800ppmであった。
前記被処理水は、35〜40℃程度で微細粒子噴霧室1に噴霧するようにした。前記微細粒子噴霧室1を、60〜90℃に加熱して微細粒子を噴霧するようにした。
この被処理水の処理方法では、被処理水の微細粒子噴霧室1を有するので、被処理水の微細粒子噴霧室1で微細化した被処理水は表面積の総計が増大することにより気化を促進することができる。
また、前記微細粒子噴霧室1で微細粒子化できなかった被処理水に、水反応性発熱媒体2(生石灰)を接触させるようにしたので、微細粒子化できず落下した比較的粒径が大きい被処理水粒子について、水反応性発熱媒体2と水(H2O)の反応生成熱を利用して蒸発させることができ、従来よりもコストを下げることが出来るという利点を有する。
図3に示すように、被処理水の微細粒子噴霧室1で微細化した被処理水は、後述の微細粒子中の汚れ物質の熱分解室6に送ったり、又は2連の電解スクラバー7に送ったりして浄化して排出することが出来る。電解スクラバー水は、電解装置8との間を循環・浄化するようにした。
図3は、被処理水の微細粒子噴霧室1で微細化した被処理水を、汚れ物質の熱分解室6(900℃以上に加熱して汚れ物質の有機成分を熱分解する)に送り、次いで2連の電解スクラバー7(汚れ物質を電解塩素により酸化分解する)に送って浄化し、最終的に活性炭槽9を通して大気解放するシステム構成例を示す。
また、処理後の石灰(消石灰 Ca(OH)2)は、その熱分解温度(580℃)以上に加熱して生石灰に再生することが出来る。具体的には、約1,300℃のLNGバーナーの火炎を石灰の貯留槽に吹き込み、雰囲気温度を900℃以上まで加熱して生石灰へと再生するようにした。
なお、被処理中に食塩などの無機の塩類が含有される場合は、前記処理後の石灰を水洗浄し脱塩ないし減塩してから加熱再生することが出来る。
前記被処理水の薄膜状水幕は、上側解放状堰き止め手段(板状の堰き止め手段)を越流させることにより形成するようにしたので、ノズルを用いて微細粒子を噴霧するときのような先端孔の詰まり(特に、被処理水中に粘稠な成分を含む場合)を抑制ないし回避することが出来た。
被処理水を加温35〜40℃程度で微細粒子噴霧室1に噴霧したので、微細粒子・ミスト化が促進されることになった。
石灰の再生後のLNGバーナーによる約700℃の熱風を吹き込み、微細粒子噴霧室1を60〜90℃に加熱して微細粒子を噴霧したので、室内の飽和水蒸気量が増加し、一旦微細化した水微粒子の凝縮を抑制して微細粒子化の割合を増大させることが出来た。
具体的には、微細粒子噴霧室1が7℃の状態で、排水250cc/分の流量で噴霧すると、気化量は15 cc/分(噴霧量の6%)であった。
微細粒子噴霧室1が23℃の状態で、排水250cc/分の流量で噴霧すると、気化量は65 cc/分(噴霧量の26%)であった。
微細粒子噴霧室1を60℃に加熱した状態で、排水250cc/分の流量で噴霧すると、気化量は90 cc/分(噴霧量の36%)であった。
微細粒子噴霧室1を70℃に加熱した状態で、排水250cc/分の流量で噴霧すると、気化量は120 cc/分(噴霧量の48%)であった。
一方、微細粒子噴霧室1を75℃に加熱した状態で、排水250cc/分の流量で噴霧すると、気化量は127 cc/分(噴霧量の51%)であった。
微細粒子噴霧室1を80℃に加熱した状態で、排水250cc/分の流量で噴霧すると、気化量は144cc/分(噴霧量の58%)であった。
微細粒子噴霧室1を90℃に加熱した状態で、排水250cc/分の流量で噴霧すると、気化量は188cc/分(噴霧量の75%)であった。
このように、微細粒子噴霧室1を75℃以上に加熱した状態で、排水250cc/分の流量で噴霧すると、気化量は噴霧量の50%を越えているという好ましい結果が得られた。
また、微細粒子噴霧室1の内壁面が湿潤化し、排水中の汚れ成分が比較的に粘稠な物質であったとしても、該水分の流下が促進されて壁面のべたべたが改善されたという効果も見られた。
被処理水の微細粒子を回転子5に衝突させるようにしたので、衝撃により微細粒子の粒子径をより微細化することが出来た。
以下、上記実施形態1と異なる点を説明する。
また、前記微細粒子噴霧室1で微細粒子化できなかった被処理水に水反応性発熱媒体2を接触させてなる蒸発分を熱分解室6に送るようにしたので、被処理水中で微粒子化できなかった比較的粒径が大きい被処理水粒子を反応生成熱で蒸発させ熱分解室6で浄化処理することが出来た。
2 水反応性発熱媒体
5 回転子
6 汚れ物質の熱分解室
Claims (10)
- 被処理水の微細粒子噴霧室(1)を有し、前記微細粒子噴霧室(1)で微細粒子化できなかった被処理水に、水反応性発熱媒体(2)を接触させるようにし、被処理水の微細粒子噴霧室(1)で微細化した被処理水を、汚れ物質の熱分解室(6)に送り、前記微細粒子噴霧室(1)で微細粒子化できなかった被処理水に水反応性発熱媒体(2)を接触させてなる蒸発分を熱分解室(6)に送るようにし、前記微粒子は直径1mm以下としたことを特徴とする被処理水の処理方法。
- 前記微細粒子中の汚れ物質の熱分解室(6)を有する請求項1記載の被処理水の処理方法。
- 前記水反応性発熱媒体(2)として生石灰を用いるようにした請求項1又は2記載の被処理水の処理方法。
- 前記微細粒子噴霧室(1)では、流下する被処理水の薄膜状水幕に細長状空気噴流を衝突させるようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の被処理水の処理方法。
- 前記被処理水の薄膜状水幕は、上側解放状堰き止め手段を越流させることにより形成するようにした請求項4に記載の被処理水の処理方法。
- 前記被処理水を室温以上で微細粒子噴霧室(1)に噴霧するようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の被処理水の処理方法。
- 前記微細粒子噴霧室(1)を加熱して微細粒子を噴霧するようにした請求項1乃至6のいずれかに記載の被処理水の処理方法。
- 前記微細粒子噴霧室(1)で微細粒子を噴霧して火炎を及ぼすようにした請求項1乃至7のいずれかに記載の被処理水の処理方法。
- 前記微細粒子中の汚れ物質の熱分解室(6)の熱源と生石灰の再生の熱源を兼用するようにした請求項3乃至8のいずれかに記載の被処理水の処理方法。
- 前記被処理水の微細粒子を回転子(5)に衝突させるようにした請求項3乃至9のいずれかに記載の被処理水の処理方法。
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