JP6790694B2 - 光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Description
前記ガラスファイバの外周に塗布された樹脂の偏肉量を測定する測定工程と、
前記測定工程の測定結果と、前記ガラスファイバの外周に塗布する樹脂の粘度とに基づいて、塗布する樹脂の偏肉量調整を行う調整工程と、を含む。
最初に本発明の実施形態を列記して説明する。
本発明の実施形態に係る光ファイバの製造方法は、
(1) 光ファイバ用のガラス母材を加熱して線引して細径のガラスファイバとし、その外周に樹脂を被覆して光ファイバを製造する方法であって、
前記ガラスファイバの外周に塗布された樹脂の偏肉量を測定する測定工程と、
前記測定工程の測定結果と、前記ガラスファイバの外周に塗布する樹脂の粘度とに基づいて、塗布する樹脂の偏肉量調整を行う調整工程と、を含む。
塗布する樹脂の粘度に応じて偏肉量調整を行うことにより、塗布する樹脂のロットが変わった場合などでも従来に比べて高精度の偏肉量調整を行うことができる。したがって、光ファイバの被覆樹脂の偏肉を抑制することが可能となる。
樹脂の粘度に基づいて、樹脂塗布装置の位置、樹脂塗布装置の傾き、樹脂塗布装置における樹脂塗布圧力、および樹脂塗布装置における樹脂温度の少なくとも一つを調整することで、偏肉量調整を高精度に行いやすい。
樹脂のロットによって粘度の温度依存性が異なる場合が多く、樹脂のロットを変更すると偏肉量調整の条件が変化してしまうが、所望の樹脂粘度となるよう樹脂温度を調整することで、偏肉量調整の条件を最適化して偏肉量調整を高精度に行いやすくなる。
前記確認工程で得られた偏肉量の応答性データを基に、前記調整工程を行う。
樹脂のロット変更後または樹脂塗布装置のリセット後には偏肉量調整の条件が変化してしまうが、樹脂塗布装置の位置、樹脂塗布装置の傾き、樹脂塗布装置における樹脂塗布圧力、および樹脂塗布装置における樹脂温度の変動に対する偏肉量の応答性を確認しておくことで、偏肉量調整を高精度に行いやすくなる。
本発明の実施形態に係る光ファイバの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1に示す光ファイバの製造装置1では、光ファイバ用のガラス母材2の下端部が、線引炉3で加熱、溶融され、ガラス母材2は線引きされる。ガラス母材2が線引きされて形成されたガラスファイバGは、ガラスファイバGの走行方向(図1中の矢印Aの方向)において線引炉3の下流に設けられた冷却装置4を通過する。冷却されたガラスファイバGは、冷却装置4の下流に設けられた樹脂塗布装置5を通過する。樹脂塗布装置5には、図示しない樹脂供給部から供給された液状の樹脂6が溜められている。そのため、ガラスファイバGが樹脂塗布装置5を通過することにより、ガラスファイバGの外周に樹脂6が塗布される。なお、製造される光ファイバ9の被覆層は二層以上であってもよい。例えば被覆層が二層の場合、プライマリー樹脂、セカンダリー樹脂の両方、或いはプライマリー樹脂が塗布されるものでもよい。
図3は、樹脂塗布装置制御部および樹脂塗布装置の一例を示す概略構成図である。図3に示すように、樹脂塗布装置制御部20は、偏肉量調整部21と、樹脂塗布装置5の位置を制御する位置制御部22と、樹脂塗布装置5に供給する樹脂の圧力を制御する樹脂供給圧力制御部23と、樹脂塗布装置5における樹脂温度を制御する温度制御部24と、樹脂塗布装置5の傾きを制御する傾き制御部25とを有する。
まず、この検証実験で使用したロットA、ロットBの樹脂粘度の温度特性を図4に示す。図4の(a)はロットA、ロットBの樹脂粘度の温度特性を示すグラフであり、図4の(b)は図4の(a)の一部を拡大した図である。
まず、実験例1として、ロットAの樹脂を用いて、樹脂温度を30.0℃となるように加熱し、光ファイバ9を製造した。このときの樹脂粘度は3.1Pa・sである(図4の(b)参照)。ロットAで線引き中に、樹脂塗布装置5の位置及び傾きの調整を実施し、ガラスファイバGの被覆部に対する偏心が無くなるように調整を行って、光ファイバ9を製造した結果、偏肉距離Dが0.5μmの光ファイバ9が得られた。
次に、実験例2として、製造設備の状態を変えずに、樹脂のロットをロットAからロットBに入れ替え、樹脂温度を30.0℃となるように加熱し、光ファイバ9を製造した。このときの樹脂粘度は3.3Pa・sである(図4の(b)参照)。製造された光ファイバ9の偏肉距離Dは、9.2μmであり、光ファイバ9の偏肉量は大きく悪化した(偏肉距離Dが大きくなった)。
実験例2に続けて、実験例3を行った。樹脂の粘度が上記実験例1の場合と同じになるように、樹脂のロットBを用いて、温度を30.0℃から30.7℃に上げて光ファイバ9の製造を続けた。このときの樹脂粘度は3.1Pa・sである(図4の(b)参照)。その結果、得られた光ファイバ9の偏肉距離Dは0.8μmと大幅に改善し、実験例1で得られた光ファイバ9とほぼ同等の偏肉量であった。
本実施形態に係る光ファイバの製造方法は、光ファイバ用のガラス母材2を加熱して線引して細径のガラスファイバGとし、その外周に樹脂6を被覆して光ファイバ9を製造する方法である。そして、本実施形態に係る光ファイバの製造方法は、ガラスファイバGの外周に塗布された樹脂6の偏肉量を測定する測定工程と、測定工程の測定結果と、ガラスファイバGの外周に塗布する樹脂6の粘度とに基づいて、塗布する樹脂6の偏肉量調整を行う調整工程と、を有している。
図1で示した光ファイバの製造装置1において、光ファイバ9が偏肉量測定部10を通過する際に、ガラスファイバGの外周に塗布された樹脂6によって形成された被覆層9bの偏肉量を測定する。例えば、図2で示す偏肉量測定部10により、照射部11からガラスファイバ9aと被覆層9bとからなる光ファイバ9に光(例えば、レーザ光)を照射し、前方散乱光を受光部12で検出することにより偏肉量(偏肉距離Dおよび偏肉角度θ)を測定する。
調整工程は、上記測定工程の測定結果である偏肉量(偏肉距離Dおよび偏肉角度θ)と、ガラスファイバGの外周に塗布する樹脂6の粘度とに基づいて、塗布する樹脂6の偏肉量調整を行う。例えば、ガラスファイバGの外周に樹脂を塗布するための樹脂塗布装置5の位置(後述の(a)参照)、樹脂塗布装置5の傾き(後述の(b)参照)、樹脂塗布装置5における樹脂塗布圧力(後述の(c)参照)、および樹脂塗布装置5における樹脂温度(後述の(d)参照)、の少なくとも一つを調整することで偏肉量調整を行う。
1.樹脂6の粘度が高くなった場合
樹脂塗布装置5において、樹脂溜め62に供給された樹脂6のガラスファイバGの周囲への回り込み性が悪化する。これにより、ガラスファイバGにおける樹脂塗布状態は、樹脂供給管64側の側面では樹脂6が厚く塗布された状態となり、樹脂供給管64側の反対側の側面では樹脂6が薄く塗布された状態となる。
2.樹脂6の粘度が低くなった場合
樹脂塗布装置5において、樹脂溜め62に供給された樹脂6のガラスファイバGの周囲への回り込み性が良くなる。これにより、ガラスファイバGにおける樹脂供給管64側の反対側に樹脂6が塗布されやすくなる。
樹脂粘度が高い場合は、ガラスファイバGの位置が樹脂塗布装置5の中心にあるときよりも樹脂供給管64側に近づくように樹脂塗布装置5の位置を、位置制御部22によって調整する。これにより、ガラスファイバGにおける樹脂供給管64側の側面の樹脂塗布厚は薄くなり、反対側の樹脂塗布厚は厚くなる。樹脂粘度が高いことで生じる、樹脂塗布厚の変化を調整することができる。
樹脂粘度が低い場合、位置制御部22は、ガラスファイバGの位置を樹脂供給管64側に近づけないで、樹脂塗布装置5の中心付近に維持させる。
樹脂粘度が高い場合は、樹脂溜め62において樹脂供給管64側の反対側に回り込む樹脂6の量が少なくなるので、傾き制御部25によって樹脂供給管64側が高くなるように樹脂塗布装置5を傾ける。これにより、樹脂溜め62における樹脂供給管64側の反対側に樹脂6が回り込みやすくなる。
樹脂粘度が低い場合は、樹脂溜め62における樹脂供給管64側の反対側に樹脂6が回り込む量は少なくならないので、傾き制御部25によって樹脂塗布装置5の傾きを小さくする。
樹脂粘度が高い場合は、樹脂6がガラスファイバGの周囲に回り込みづらくなるので、樹脂供給圧力制御部23によって樹脂塗布圧力を上げて樹脂6を強制的にガラスファイバGの周囲に均等に回り込むようにさせる。
樹脂粘度が低い場合は、樹脂6がガラスファイバGの周囲に回り込み易くなるので、樹脂供給圧力制御部23によって樹脂塗布圧力を下げる(樹脂塗布圧力を下げても、樹脂6はガラスファイバGの周囲に均等に回り込む)。
樹脂粘度は、樹脂温度によって変化し、樹脂温度が高くなるほど樹脂粘度は低くなる。このため、樹脂粘度が変化した際に、樹脂6を温度制御部24によって樹脂粘度を調整できる。
樹脂粘度が高くなった場合は、温度制御部24により樹脂6の温度を上げるようにする。
樹脂粘度が低くなった場合は、温度制御部24により樹脂6の温度を下げるようにする。
2 ガラス母材
3 線引炉
4 冷却装置
5 樹脂塗布装置
6 樹脂
7 樹脂硬化装置
8a ガイドローラ
8b 引取り部
8c 巻取りドラム
9 光ファイバ
9a、9a’ ガラスファイバ
9b 被覆層
10 偏肉量測定部
11 照射部
12 受光部
20 樹脂塗布装置制御部
21 偏肉量調整部
22 位置制御部
23 樹脂供給圧力制御部
24 温度制御部
25 傾き制御部
51 通し孔
52 ポイント
53 ダイスホルダ
54 段部
55 フランジ部
56 開口
57 封板
58 ポイント位置修正ねじ
59 ねじ駆動モータ
60 ノズル
61 ダイス
62 樹脂溜め
63 貫通孔
64 樹脂供給管
65 開口
66 固定ステージ
67 可動ステージ
68 球面継手
69、70 開口
71 傾斜位置修正ロッド
C1、C2 中心位置
D 偏肉距離
G ガラスファイバ
θ 偏肉角度
Claims (3)
- ファイバ用のガラス母材を加熱して線引して細径のガラスファイバとし、その外周に樹脂を被覆して光ファイバを製造する方法であって、
前記ガラスファイバの外周に塗布された樹脂の偏肉量を測定する測定工程と、
前記測定工程の測定結果と、前記ガラスファイバの外周に塗布する樹脂の粘度とに基づいて、塗布する樹脂の偏肉量調整を行う調整工程と、
前記ガラスファイバの外周に塗布する樹脂のロットを変更する際に、または、前記ガラスファイバの外周に樹脂を塗布するための樹脂塗布装置をリセットした際に、前記樹脂塗布装置の位置、前記樹脂塗布装置の傾き、前記樹脂塗布装置における樹脂塗布圧力、および前記樹脂塗布装置における樹脂温度、をそれぞれ変動させた場合の偏肉量の応答性を確認する確認工程と、
を含み、
前記確認工程で得られた偏肉量の応答性データを基に、前記調整工程を行う、
光ファイバの製造方法。 - 前記調整工程は、前記ガラスファイバの外周に樹脂を塗布するための樹脂塗布装置の位置、前記樹脂塗布装置の傾き、前記樹脂塗布装置における樹脂塗布圧力、および前記樹脂塗布装置における樹脂温度、の少なくとも一つを調整することで前記偏肉量調整を行う、請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記ガラスファイバの外周に塗布する樹脂のロットを変更する際に、変更後のロットの樹脂における粘度の温度依存性データに基づき、所望の樹脂粘度となるよう樹脂温度を調整する工程を含む、請求項1または請求項2に記載の光ファイバの製造方法。
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