まずは、本開示の走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)の概要を説明する。本開示における走査型レーザー検眼鏡(以下、「SLO」と記す)は、眼底の正面画像を撮影する。SLOは、正面画像として、蛍光画像を撮影する。また、反射画像を撮影してもよい。
蛍光画像は、眼底血管に投与された造影剤による造影蛍光画像であってもよいし、眼底に蓄積された蛍光物質(例えば、リポフスチンなど)の自発蛍光による自発蛍光画像であってもよい。反射画像は、赤外域の光による眼底画像であってもよいし、可視域の光による眼底画像であってもよい。
<第1実施形態>
初めに、本開示の第1実施形態について説明する。第1実施形態において、SLOは、例えば、撮影光学系と、画像形成部と、を有してもよい。撮影光学系は、SLOが眼底画像を取得するために利用する主要な光学系である。撮影光学系には、照射光学系と、受光光学系と、が含まれる。
<照射光学系>
照射光学系は、例えば、光源からの光を走査部の駆動により走査しつつ、被検眼の眼底に光を照射する。光源からの光は、励起光として、蛍光画像の撮影に利用されてもよい。また、光源からの光は、照明光として、反射画像の撮影に利用されてもよい。ある波長域の光源からの光が、照明光および励起光として、兼用されてもよい。光源からの光が、蛍光画像撮影用の励起光として利用されるか、それとも、反射画像撮影用の照明光として利用されるかは、例えば、後述の撮影モードに応じて決定されてもよい。なお、励起光として利用される光と、照明光として利用される光とは、同一の波長域の光であってもよいし、互いに異なる波長域の光であってもよい。光源は、カラー画像を構築する3原色を、同時に、又は、交互に照射可能であってもよい。
走査部は、光源から発せられた光を、眼底上で走査するためのユニットである。スポット光を眼底上で2次元的に走査するポイントスキャン方式が適用される場合、走査部は、2次元光スキャナであってもよい。この場合、第1方向と、第1方向とは交差する第2方向と、の走査が、複数の光スキャナの組み合わせによって実現されてもよいし、単一の光スキャナによって実現されてもよい。また、SLOのスキャン方式は、ラインスキャン方式であってもよい。この場合、ライン状の光を眼底上で一方向に走査するために、走査部に1次元光スキャナが適用されてもよい。
<受光光学系>
受光光学系は、例えば、分光部と、受光素子と、を有する。受光素子は、少なくとも2つ(第1受光素子,および,第2受光素子)設けられる。
分光部は、眼底からの戻り光を、第1波長域の光と第2波長域の光とに分光する。第1波長域と、第2波長域とは、互いに異なる。戻り光は、反射画像が撮影される場合には、照明光の眼底反射光が含まれ、蛍光画像が撮影される場合には、眼底への励起光の照射に伴って放出される蛍光が含まれる。分光された戻り光のうち、第1波長域の光は、第1受光素子によって受光され、第2波長域の光は、第2受光素子によって受光される。
分光部は、カラー撮影に利用される3原色のうち少なくとも2色を色毎に分光するものであってもよいし、可視域と赤外域とを分光するものであってもよい。カラー撮影に利用される3原色の分光は、例えば、赤と緑との分光、または、緑と青との分光のいずれかであってもよい。但し、ここでいう3原色の分光は、必ずしも、赤,緑,青の3色の分光である必要はなく、カラー画像(又は、疑似カラー画像)を形成する3色の分光であってもよい。つまり、分光される3つの波長域に含まれる主な成分が、赤,緑,青の各色に対し、長波長または短波長となるような分光特性を持つ分光部が、適用されてもよい。
分光部には、例えば、波長選択的なビームスプリッター、プリズム、回折格子等が用いられてもよい。波長選択的なビームスプリッターとしては、例えば、ダイクロイックミラーが利用されてもよい。分光部は、複数の部材を組み合わせからなるものであってもよい。例えば、例えば、ハーフミラーおよびフィルタを組合せたものであってもよい。
受光光学系は、励起光による眼底反射光が、第1受光素子,および,第2受光素子へ入射することを抑制するための構成(主には、光学部材)を有する。この構成は、例えば、分光部であってもよい。即ち、分光部が、眼底からの光を、第1波長域の光と第2波長域の光のうち少なくとも一方と、励起光の波長域(第3の波長域)の光とに、更に分光してもよい。この場合、分光された第3の波長域の光を受光する第3の受光素子が、更に、受光光学系に設けられていてもよい。また、第1受光素子と第2受光素子に対する励起光による眼底反射光の入射を抑制する構成は、分光部に限定されるものではない。例えば、励起光の波長域を遮光し、蛍光を通過させるフィルタ(バリアフィルタ)が、分光部とは別に設けられていてもよい。バリアフィルタは、アクチュエータの駆動に応じて、受光光学系の光路に対して挿脱自在であってもよい。
<画像形成部>
被検眼への励起光の照射によって眼底から発せられた蛍光のうち,第1波長域の光が入射される第1受光素子からの信号,および,第2波長域の光が入射される,第2受光素子からの信号,に基づいて、画像形成部は、蛍光眼底画像を形成する。蛍光眼底画像は、第1受光素子からの信号と第2受光素子からの信号とに基づく加算画像である。なお、ここでいう加算画像は、単純加算によって形成される画像であってもよいし、加算平均、または加重平均によって形成される画像であってもよいし、他の加算手法が利用されて形成される画像であってもよい。
加算画像は、各画素が、第1受光素子からの信号と第2受光素子からの信号との加算結果として表現される。より具体的には、画像の輝度に関する信号の加算結果として各画素が表現されてもよい。第1受光素子からの信号と、第2受光素子からの信号と、は、信号レベルで加算されていてもよいし、画像レベルで加算されていてもよい。画像レベルでの加算は、例えば、第1受光素子からの信号に基づく眼底画像(第1蛍光眼底画像)と、第2受光素子からの信号に基づく眼底画像(第2蛍光眼底画像)と、を画像形成部が生成し、両者を加算することによって、実現されてもよい。蛍光眼底画像は、分光部で分光された第1波長域と第2波長域との両方を用いて形成されるので、良好な画質が確保されやすくなる。また、各画素が、第1受光素子からの信号と第2受光素子からの信号との加算結果であるため、加算によるノイズ低減効果が期待される。
第1受光素子からの信号と、第2受光素子からの信号と、の加算は、単純加算であってもよいし、重み付加算であってもよい。重み付加算は、第1受光素子からの信号と第2受光素子からの信号との各信号におけるSN比に応じた重み付け加算であることが好ましい(以下、説明する)。
ここで、複数の信号を加算した場合において、加算された信号の強度Itotalは、それぞれ信号の強度(I1,I2,・・・)の単純加算で表すことができる。また、加算された信号におけるノイズの標準偏差は、それぞれの信号におけるノイズ標準偏差(σ1,σ2,・・・)の2乗和の平方根で表すことができることが知られている(1),(2)参照。なお、SN比は、Itotal /σtotalによって、表すことができる。
Itotal=I1+ I2 + …+ In ・・・(1)
σtotal=√(σ1 2 + σ2 2+ …+σn 2) ・・・(2)
第1受光素子へ入射される蛍光と、第2受光素子へ入射される蛍光とは、波長域が互いに異なるので、各受光素子から出力される信号の強度は、互いに異なりうる。この場合、第1受光素子からの信号と、第2受光素子からの信号とを単純に加算してしまうと、加算によるSN比の改善効果が十分に得られない可能性がある。
そこで、例えば、本開示において、画像形成部は、第1受光素子からの信号と、第2受光素子からの信号とのうち、SN比が高い一方についての重みづけを他方よりも大きくして両者の加算を行い、その結果に基づいて各画素を表現する。これにより、画質の良好な蛍光眼底画像を形成することができる。以下、好適な重み付けの条件を示す。
例えば、第1受光素子からの信号と、第2受光素子からの信号と、におけるノイズ標準偏差は、互いに等しい値(以下、「σ」で表す)として仮定する。また、第1受光素子からの信号の強度をI、第2受光素子からの信号の強度、第1受光素子からの信号の強度のα倍と仮定し、αIとする。
ここで、第1受光素子からの信号と第2受光素子からの信号との加算において、第2受光素子からの信号が、第1受光素子からの信号のβ倍に重み付けされた場合、I total ,σ total は、以下の(3),(4)のようになる。また、SN比は、(5)のように表すことができる。
I total =(1+αβ)I ・・・(3)
σ total =√(1+β 2 ) σ ・・・(4)
I total /σ total =( ( 1 +αβ) / √( 1 + β 2 ) ) I/σ ・・・(5)
このSN比の値は、α=βの時に最大値√(1+β2) I/σとなる。換言すれば、第1受光素子からの信号と、第2受光素子からの信号との強度比が、1:αである場合、第1受光素子からの信号と第2受光素子からの信号とを、1:αで重み付けして加算することで、SN比が最大化される。
このように、SLOが、互いのノイズ標準偏差が同程度となる第1受光素子と第2受光素子とを有している場合、第1受光素子からの信号と第2受光素子からの信号との重み付け加算が、第1受光素子からの信号のSN比と,第2受光素子からの信号のSN比と,の比に応じた重み付けで行われることで、その結果として、SN比が良好に改善された蛍光眼底画像を得ることができる。
このような重み付加算の係数β(合成比ともいう)は、例えば、眼底から発せられる蛍光のスペクトル(波長毎の強度分布)、各受光素子の入出力特性、の少なくともいずれかに基づいて推定される推測値であってもよい。
また、例えば、βは、被検眼を実際に蛍光撮影したときの第1受光素子および第2受光素子からの信号のSN比の比に基づいて定められてもよい。この場合、βは、撮影毎に設定される値であってもよいし、事前の撮影に基づいて予め定められる値であってもよい。
その際、実際のI,αIの値は、第1受光素子からの信号によって形成される眼底画像と、第2受光素子からの信号によって形成される眼底画像と、をそれぞれ平滑化処理した画像に基づいて、それぞれ推定されてもよい。平滑化処理は、眼底画像のノイズ成分を除去するための処理であり、例えば、複数枚の眼底画像の加算平均、又は、移動平均を取る処理であってもよいし、ガウシアンフィルタ,メディアンフィルタをかけるフィルタリングであってもよいし、画像を周波数空間に変換し,特定の成分を除去・抑制する処理であってもよい。平滑化処理によって、それぞれの画像におけるノイズ成分が低減され、平滑化処理の結果として得られた画像を信号強度成分のみで形成される画像とみなすことで、例えば、平滑化処理の結果として得られた画像におけるヒストグラムの幅(標準偏差)から、それぞれの信号強度が推定されてもよい。
また、画像形成部は、第1受光素子からの信号と、第2受光素子からの信号と、のそれぞれに基づく眼底画像から、βの値が互いに異なる加算画像を複数生成し、その中から、一番画質の高い画像を、最終的な蛍光眼底画像として選択してもよい。
但し、第1受光素子からの信号と第2受光素子からの信号との各信号におけるSN比に応じた重み付加算は、これら2種類の信号が単純加算される場合と比べてSN比が改善されるものであればよく、上記α=βの条件を満たすものに限定されない。例えば、0≦α≦1の範囲の値であるとした場合、βは、1未満の値であれば、単純加算の場合と比べてSN比の改善が見込まれる。換言すれば、第1受光素子からの信号と、第2受光素子からの信号とのうち、SN比が高い信号をより大きく重み付けして、重み付け加算が行われるとよい。
また、第1受光素子からの信号と第2受光素子からの信号におけるノイズ標準偏差は、必ずしも同程度である必要はない。ノイズ標準偏差は、各受光素子のゲイン設定等に応じて変化するので、ゲイン等の各設定値とノイズ標準偏差とを予め対応づけたルックアップテーブル等を用いて、撮影時のノイズ標準偏差の値を取得するようにしてもよい。また、重み付の条件は、当業者の通常の知識に基づいて、適宜変更されてもよい。
また、画像形成部は、眼底反射光を受光した第1受光素子,または,第2受光素子からの信号に基づいて眼底の反射画像を形成してもよい。画像形成部において、蛍光眼底画像,および,反射画像のうち、いずれが形成されるかは、モード切替部によって設定される撮影モードに応じて設定されてもよい。
なお、上記実施形態において、第1受光素子からの信号と、第2受光素子からの信号の加算は、『Itotal=I1 + I2』で表したが、これに代えて、『Itotal=I1 + (I2−I2ave)×γ』と表してもよい。即ち、1つの受光素子からの信号の強度と、他の受光素子からの信号における画像全体の平均値I2aveとの差分値とが加算されてもよい。なお、γは定数である。また、平均値に代えて、中央値最頻値等が用いられてもよい。
<モード切替部>
SLOは、上記したモード切替部を更に有していてもよい。モード切替部は、SLOにおける撮影モードの設定および変更を行う。本開示において、撮影モードとは、撮影光学系による眼底の撮影方法と、それに対応する画像形成部での画像形成方法と、を意味する。
例えば、モード切替部は、反射撮影モードと、蛍光撮影モードと、に切換可能であってもよい。モード切替部は、反射撮影モードでは、第1受光素子,および,第2受光素子の一方に、眼底からの反射光が受光されるように撮影光学系を制御する。蛍光撮影モードでは、第1受光素子,および,第2受光素子に、眼底からの蛍光が受光されるように撮影光学系を制御する。ここでいう撮影光学系の制御には、例えば、光源から出射される光の波長域の選択制御、撮影光学系の光路中に配置される通過波長選択部の駆動制御のいずれかが含まれていてもよい。通過波長選択部は、例えば、蛍光撮影において利用される、エキサイタフィルタ,および,バリアフィルタの一方または両方であってもよい。通過波長選択部の駆動制御では、通過波長選択部を変位させるためのアクチュエータが制御される。
モード切替部によって反射撮影モードに設定されて(切り替えられて)いる場合、画像形成部は、第1受光素子からの信号,および,第2受光素子の信号の各々からの信号を合成して、眼底画像を形成してもよいし、各々の信号を合成することなく、眼底画像を形成してもよい。また、モード切替部によって蛍光撮影モードに設定されて(切り替えられて)いる場合、画像形成部が、第1受光素子からの信号,および,第2受光素子からの信号を加算し、その加算結果による眼底画像を形成する。
なお、第1実施形態の技術は、分光部によって眼底からの蛍光が分光された結果として、3つ以上の受光素子のそれぞれで分光された蛍光の一部が受光される場合に対しても適用可能である。この場合、画像形成部は、分光された蛍光が受光される複数の受光素子のうち2つの受光素子からの信号に基づいて、蛍光眼底画像を形成してもよいし、3つ以上の受光素子からの信号に基づいて、蛍光眼底画像を形成してもよい。3つ以上の受光素子からの信号に基づいて蛍光眼底画像が形成される場合、蛍光眼底画像における各画素は、各受光素子からの信号の加算結果として表現されたものであってもよい。このとき、加算結果は、重み付け加算によるものであってもよく、更に、重み付加算の場合は、各受光素子からの信号におけるSN比が考慮されてもよい。即ち、例えば、SN比が高い順に大きな重み付がされて、重み付加算が行われていてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態にかかるSLOを説明する。第1実施形態では、蛍光撮影時に、眼底からの蛍光が分光部によって分光されることで、眼底からの蛍光が第1受光素子と第2受光素子とに分かれて受光された。これに対し、第2実施形態では、蛍光撮影時には、分光部を光学系の光路外に退避しておくことで、眼底からの蛍光が分光部で分光されることなく、第1受光素子または第2受光素子のうちいずれか一つに受光される。蛍光が分光部で分光されずに1つの受光素子に受光されるので、第1実施形態に示した加算処理を必ずしも利用しなくとも、良好な画質の蛍光眼底画像を得ることが可能となる。
このような第2実施形態において、SLOは、例えば、撮影光学系(照射光学系および受光光学系)と、モード切替部と、画像形成部と、を有してもよい。このうち、撮影光学系は、第1実施形態と同様または略同様の構成であってもよい。なお、受光光学系に設けられる分光部を、光路に対して挿脱させるアクチュエータを、SLOは有する。
モード切替部は、SLOにおける撮影モードの設定および変更を行う。モード切替部は、反射撮影モードと蛍光撮影モードとの間のモード切換において、上記の分光部の挿脱制御を行う。詳細には、反射撮影モードから蛍光撮影モードへ切り替える場合、予め光路中に配置されている分光部を、光路外へ退避させる。また、蛍光撮影モードから反射撮影モードへ切り替える場合、分光部を、光路外へ挿入する。
<実施例>
以下、実施例として、第1実施形態に係る装置の具体例を説明する。本実施例におけるSLO1は、レーザー光を眼底上で走査し、眼底からのレーザー光の戻り光を受光することによって眼底の正面画像を取得する装置である。SLO1は、光干渉断層計(OCT:Optical Coherence Tomography)、視野計などの他の眼科装置と一体化された装置であってもよい。
なお、以下の説明において、SLO1は、観察面上でスポット上に集光されるレーザー光を、走査部の動作に基づき,2次元的に走査することで眼底画像を得るものとする。
<光学構成>
初めに、図1を参照して、SLO1に設けられた光学系を説明する。図1に示すように、SLO1は、照射光学系10と、受光光学系20と、を有する(まとめて、「撮影光学系」と称す)。SLO1は、これらの光学系10,20を用いて眼底画像を撮影する。
照射光学系10は、少なくとも走査部16と、対物レンズ系17と、を含む。また、図1に示すように、照射光学系10は、更に、レーザー光出射部11、コリメーティングレンズ12、穴開きミラー13、レンズ14(本実施例において、視度調節部40の一部)、および、レンズ15を有してもよい。
レーザー光出射部11は、照射光学系10の光源である。本実施例では、レーザー光出射部11からのレーザー光が、照射光学系10から眼底Erへ照射される照明光として利用される。レーザー光出射部11は、例えば、レーザーダイオード(LD)、および、スーパールミネッセントダイオード(SLD)等を含んでいてもよい。具体的な構造についての説明は省略するが、レーザー光出射部11は、少なくとも1種類以上の波長域の光を出射する。本実施例では、複数色の光が、同時に、又は選択的に、レーザー光出射部11から出射されるものとする。例えば、本実施例では、レーザー光出射部11から、青,緑,赤の可視域の3色と、赤外域の1色と、の計4色の光が出射される。各色の光は、同時に、又は、交互に出射可能である。青,緑,赤の可視域の3色は、例えば、カラー撮影に利用される。ここでいう同時は、厳密に同時である必要はなく、それぞれの波長の光の出射タイミングにタイムラグがあってもよい。タイムラグは、例えば、それぞれの波長の光に基づいて形成される眼底画像において、眼球運動による画像間のずれが許容される範囲であってもよい。
例えば、光源11から青,緑,赤の3色が実質的に同時に出射されることによって、カラー撮影が行われる。また、可視域の3色のうち、いずれか1色が、可視蛍光撮影に利用されてもよい。例えば、青色の光が、可視蛍光撮影の一種であるFA撮影(フルオレセイン蛍光造影撮影)に利用されてもよい。また、例えば、緑色の光が、FAF撮影(Fundus Auto-Fluorescence:自発蛍光)に利用されてもよい。つまり、眼底に蓄積された蛍光物質(例えば、リポフスチン)の励起光として利用されてもよい。また、例えば、赤外域の光は、赤外域の眼底反射光を用いる赤外撮影の他、赤外蛍光撮影に利用されてもよい。例えば、赤外蛍光撮影には、IA撮影(インドシアニングリーン蛍光造影撮影)が知られている。この場合、レーザー光源11から出射される赤外光は、IA撮影で使用されるインドシアニングリーンの蛍光波長とは異なる波長域に設定されていることが好ましい。
レーザー光は、図1に示した光線の経路にて眼底Erに導かれる。つまり、レーザー光出射部11からのレーザー光は、コリメーティングレンズ12を経て穴開きミラー13に形成された開口部を通り、レンズ14およびレンズ15を介した後、走査部16に向かう。走査部16によって反射されたレーザー光は、対物レンズ系17を通過した後、被検眼Eの眼底Erに照射される。その結果、レーザー光は、眼底Erで反射・散乱される、或いは、眼底に存在する蛍光物質を励起させ、眼底からの蛍光を生じさせる。これらの光(つまり、反射・散乱光および蛍光等)が、戻り光として、瞳孔から出射される。
本実施例において、図1に示すレンズ14は、視度調節部40の一部である。視度調節部40は、被検眼Eの視度の誤差を矯正(軽減)するために利用される。例えば、レンズ14は、駆動機構14aによって、照射光学系10の光軸方向へ移動可能である。レンズ14の位置に応じて、照射光学系10および受光光学系20の視度が変わる。このため、レンズ14の位置が調節されることで、被検眼Eの視度の誤差が軽減され、その結果として、レーザー光の集光位置が、眼底Erの観察部位(例えば、網膜表面)に設定可能となる。なお、視度調節部40は、例えば、バダール光学系など、図1とは異なる光学系が適用されてもよい。
走査部16(「光スキャナ」ともいう)は、光源(レーザー光出射部11)から発せられたレーザー光を、眼底上で走査するためのユニットである。以下の説明では、特に断りが無い限り、走査部16は、レーザー光の走査方向が互いに異なる2つの光スキャナを含むものとする。即ち、主走査用(例えば、X方向への走査用)の光スキャナ16aと、副走査用(例えば、Y方向への走査用)の光スキャナ16bと、を含む。以下では、主走査用の光スキャナ16aはレゾナントスキャナであり、副走査用の光スキャナ16bはガルバノミラーであるものとしてを説明する。但し、各光スキャナ16a,16bには、他の光スキャナが適用されてもよい。例えば、各光スキャナ16a,16bに対し、他の反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ、および、MEMS等)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が適用されてもよい。
対物レンズ系17は、SLO1の対物光学系である。対物レンズ系17は、走査部16によって走査されるレーザー光を、眼底Erに導くために利用される。そのために、対物レンズ系17は、走査部16を経たレーザー光が旋回される旋回点Pを形成する。旋回点Pは、照射光学系10の光軸L1上であって、対物レンズ系17に関して走査部16と光学的に共役な位置に形成される。なお、本開示において「共役」とは、必ずしも完全な共役関係に限定されるものではなく、「略共役」を含むものとする。即ち、眼底画像の利用目的(例えば、観察、解析等)との関係で許容される範囲で、完全な共役位置からズレて配置される場合も、本開示における「共役」に含まれる。但し、SLO1の対物光学系は、レンズ系に限定されるものではなく、ミラー系であってもよいし、レンズ系とミラー系とを組み合わせたものでもあってもよいし、その他の光学系であってもよい。
走査部16を経たレーザー光は、対物レンズ系17を通過することによって、旋回点Pを経て、眼底Erに照射される。このため、対物レンズ系17を通過したレーザー光は、走査部16の動作に伴って旋回点Pを中心に旋回される。その結果として、本実施例では、眼底Er上でレーザー光が2次元的に走査される。眼底Erに照射されたレーザー光は、集光位置(例えば、網膜表面)にて反射される。また、レーザー光は、集光位置の前後の組織にて散乱される。反射光および散乱光は、平行光としてそれぞれ瞳孔から出射する。
次に、受光光学系20について説明する。受光光学系20は、1つ又は複数の受光素子を持つ。例えば、図1に示すように、複数の受光素子25,27,29を有してもよい。この場合、照射光学系10によって照射されたレーザー光による眼底Erからの光は、受光素子25,27,29によって受光される。
図1に示すように、本実施例における受光光学系20は、対物レンズ系17から穴開きミラー13までに配置された各部材を、照射光学系10と共用してもよい。この場合、眼底からの光は、照射光学系10の光路を遡って、穴開きミラー13まで導かれる。穴開きミラー13は、被検眼の角膜,および,装置内部の光学系(例えば対物レンズ系のレンズ面等)での反射によるノイズ光の少なくとも一部を取り除きつつ、眼底Erからの光を、受光光学系20の独立光路へ導く。
なお、照射光学系10と受光光学系20とを分岐させる光路分岐部材は、穴開きミラー13に限られるものではなく、その他のビームスプリッターが利用されてもよい。
本実施例の受光光学系20は、穴開きミラー13の反射光路に、レンズ21、ピンホール板23、および、光分離部(光分離ユニット)30を有する。また、光分離部30と各受光素子25,27,29との間に、レンズ24,26,28が設けられている。本実施例において、光分離部(光分離ユニット)30が、分光部として利用される。更に、本実施例の受光光学系20は、フィルタ挿脱部45を有している。
ピンホール板23は、眼底共役面に配置されており、SLO1における共焦点絞りとして機能する。すなわち、視度調節部40によって視度が適正に補正される場合において、レンズ21を通過した眼底Erからの光は、ピンホール板23の開口において焦点を結ぶ。ピンホール板23によって、眼底Erの集光点(あるいは、焦点面)以外の位置からの光が取り除かれ、残り(集光点からの光)が主に受光素子25,27,29へ導かれる。
光分離部30は、眼底Erからの光を分離させる。本実施例では、光分離部30によって、眼底Erからの光が波長選択的に光分離される。また、光分離部30は、受光光学系20の光路を分岐させる光分岐部を兼用していてもよい。例えば、図1に示すように、光分離部30は、光分離特性(波長分離特性)が互いに異なる2つのダイクロイックミラー(ダイクロイックフィルター)31,32を含んでいてもよい。受光光学系20の光路は、2つのダイクロイックミラー31,32によって、3つに分岐される。また、それぞれの分岐光路の先には、受光素子25,27,29の1つがそれぞれ配置される。
例えば、光分離部30は、眼底Erからの光の波長を分離させ、3つの受光素子25,27,29に、互いに異なる波長域の光を受光させる。例えば、青,緑,赤の3色の光を、受光素子25,27,29に1色ずつ受光させてもよい。この場合、各受光素子25,27,29の受光結果から、カラー画像を得ることができる。
また、光分離部30は、赤外撮影で使用される赤外域の光を、受光素子25,27,29の少なくとも1つに受光させる。この場合において、例えば、蛍光撮影で使用される蛍光と、赤外撮影で使用される赤外域の光とが、互いに異なる受光素子に受光されてもよい。
図2を参照し、本実施例における光分離部30の分光特性を説明する。受光素子25側の光路には、ダイクロイックミラー31によって反射される波長域の光が導かれる。ダイクロイックミラー31は、赤色の波長域の光と赤外域(第1赤外域)の光とを少なくとも反射し、それ以外の波長域の光を透過する。その後、フィルタ33によって、更に一部の波長域が取り除かれる。フィルタ33を透過した光は、レンズ24を介して受光素子25へ受光される。図2に示すように、結果として、受光素子25では、赤色の波長域の光と赤外域(第1赤外域)の光とが受光される。赤色の波長域は、例えば、カラー撮影に利用される。また、第1赤外域は、例えば、IA撮影に利用される。つまり、本実施例では、インドシアニングリーンの蛍光波長である赤外成分が含まれるように、第1赤外域は設定される。また、本実施例において受光素子25で受光される赤色の波長域には、リポフスチンによる自発蛍光の波長域の一部が含まれている(図2,5参照)。
受光素子27側の光路には、ダイクロイックミラー31を透過し、且つ、ダイクロイックミラー32によって反射される波長域の光が導かれる。本実施例において、ダイクロイックミラー32は、緑色の波長域の光を少なくとも反射する。反射光のうち、フィルタ34を透過した波長域の光が、レンズ25を介して受光素子25で受光される。図2に示すように、結果として、受光素子27では、緑色の波長域の光が受光される。緑色の波長域は、カラー撮影に利用される。また、緑色の波長域は、FA撮影に利用されてもよい。つまり、本実施例では、フルオレセインの蛍光波長である緑色成分が含まれるように、緑色の波長域が設定されてもよい。また、本実施例において受光素子27で受光される緑色の波長域には、リポフスチンによる自発蛍光の波長域の一部が含まれている(図2,5参照)。
受光素子29側の光路には、2つのダイクロイックミラー31,32を透過する波長域の光が導かれる。本実施例では、青色の波長域の光と、赤外域の光とが少なくとも透過される。なお、各ダイクロイックミラー31,32を透過する赤外光は、ダイクロイックミラー31で反射される赤外光に対し、短波長側の波長域を持つ。各ダイクロイックミラー31,32を透過した光のうち、フィルタ35を透過した波長域の光が、レンズ27を介して受光素子29で受光される。図2に示すように、結果として、受光素子29では、青色の波長域の光と、第1赤外域と比べて短波長側の第2赤外域の光と、が受光される。青色の波長域は、例えば、カラー撮影に利用される。また、第2赤外域は、例えば、赤外撮影に利用される。
フィルタ挿脱部45は、蛍光撮影において励起光の眼底反射光を除去するためのフィルタを、光路中から挿脱する機構である。例えば、本実施例のフィルタ挿脱部45は、フィルタ46と、アクチュエータ47とを有する。一例として、フィルタ46は、FAF撮影が行われる場合に光路中に挿入される。この場合において、フィルタ46は、励起光の眼底反射光である青色の波長域の光を遮光する。また、本実施形態のフィルタ46は、遮光する波長域以外の光を透過する。よって、眼底のリポフスチンから発生する蛍光の他、赤外域の眼底反射光もフィルタ46を透過する。また、FAF撮影を行わない場合には、フィルタ46は光路中から退避されてもよい。少なくとも、カラー撮影が行われる場合には、フィルタ46は退避される。本実施形態のアクチュエータ47は、受光光学系20の光軸と交差する方向にフィルタ46を移動させることによって、フィルタ46の挿脱を行う。但し、挿脱の手法は、必ずしもこれに限定されるものではない。
また、フィルタ46は、必ずしも必須ではない。実施例の光学系において、フィルタ46が設けられてない場合、青色の波長域の光の眼底反射光も受光素子29で受光され、青色光,または青色光と赤外光によって眼底反射像が観察される。その結果、装置を簡素に構成できる。
<制御系の構成>
次に、図3を参照して、SLO1の制御系を説明する。SLO1は、制御部70によっての各部の制御が行われる。制御部70は、SLO1の各部の制御処理と、演算処理とを行う電子回路を有する処理装置(プロセッサ)である。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリ等で実現される。制御部70は、記憶部71と、バス等を介して電気的に接続されている。また、制御部70は、レーザー光出射部11、受光素子25,27,29、駆動部14a、走査部16、入力インターフェイス75、およびモニタ80等の各部とも電気的に接続されている。
記憶部71には、各種の制御プログラムおよび固定データ等が格納される。また、記憶部71には、一時データ等が記憶されてもよい。SLO1で得られた画像は、記憶部71に記憶されていてもよい。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、外部の記憶装置(例えば、LANおよびWANで制御部70に接続される記憶装置)へSLO1で得られた画像が記憶されてもよい。
本実施例では、制御部70が画像処理部(画像形成部)、および、モード切替部を兼用する。画像処理部として、制御部70は、例えば、受光素子25,27,29から出力される受光信号を基に眼底画像を形成する。より詳細には、制御部70は、走査部16による光走査と同期して眼底画像を形成する。例えば、制御部70は、副走査用の光スキャナ16bがn回(nは、1以上の整数)往復する度に、少なくとも1フレーム(換言すれば、1枚)の眼底画像を、(受光素子毎に)形成する。なお、以下では、特段の断りが無い限り、便宜上、副走査用の光スキャナ16bの1往復につき、その1往復に基づく1フレームの眼底画像が形成されるものとする。本実施例では、3つの受光素子25,27,29が設けられているので、制御部70は、それぞれの受光素子25,27,29からの信号に基づく最大3種類の画像を、副走査用の光スキャナ16bが1往復する度に生成する。
制御部70は、上記のような装置の動作に基づいて逐次形成される複数フレームの眼底画像を、観察画像として時系列にモニタ80へ表示させてもよい。観察画像は、略リアルタイムに取得された眼底画像からなる動画像である。また、制御部70は、逐次形成される複数の眼底画像のうち一部を、撮影画像(キャプチャ画像)として取り込む(キャプチャする)。その際、撮影画像は記憶媒体に記憶される。撮影画像が記憶される記憶媒体は、不揮発性の記憶媒体(例えば、ハードディスク,フラッシュメモリ等)であってもよい。本実施例では、例えば、トリガ信号(例えば、レリーズ操作信号等)の出力後、所定のタイミング(又は,期間)に形成される眼底画像がキャプチャされる。
入力インターフェイス75は、検者の操作を受け付ける操作部である。例えば、タッチパネル、マウス、および、キーボード等が、入力インターフェイス75として利用されてもよい。このような入力インターフェイス75は、SLO1とは別体のデバイスであってもよい。制御部70は、入力インターフェイス75(操作部)から出力される操作信号に基づいて、上記の各部材を制御する。入力インターフェイス75には、例えば、撮影モードを選択するための操作、レリーズのための操作等のいずれかが入力されてもよい。
<動作説明>
次に、図4を参照し、SLO1の撮影動作を、撮影モード毎に説明する。本実施例の制御部70は、SLO1の撮影モードを、カラー撮影モード,IA撮影モード,FAF撮影モードの3つの中から選択して、設定可能である。カラー撮影モードは、反射撮影モードの1例であり、IA撮影モードとFAF撮影モードとは、蛍光撮影モードの1例である。なお、これら3種類の他にも撮影モードが用意されていてもよい。なお、本実施例では、蛍光撮影モードの各モードにおいて、蛍光眼底画像と、反射画像とが、同時に撮影が可能とされている。これにより、例えば、蛍光眼底画像における撮影範囲を、反射画像を用いて特定することが可能となる。
例えば、制御部70は、入力インターフェイス75への検者の操作に応じて、撮影モードを設定してもよい。また、例えば、制御部70は、予め定められた順序で、各撮影モードでの撮影後に、撮影モードを自動的に切換えてもよい。
<カラー撮影モード>
カラー撮影モードは、眼底反射光によるカラーの眼底画像が撮影される撮影モードである。カラー撮影モードにおいて、制御部70は、レーザー光出射部11から、赤,緑,青の波長域の光を、同時に出射させる。また、フィルタ46を受光光学系20の光路外へ退避させる。その結果、図4に示すように、各色の眼底反射光のうち、赤色成分が受光素子25で受光され、緑色成分が受光素子27で受光され、青色成分が受光素子29で受光される。制御部70は、それぞれの受光素子25,27,29からの信号を処理して、カラーによる眼底画像を形成する。このとき、制御部70は、それぞれの受光素子25,27,29からの信号に基づき、赤,緑,青の各成分に対応する3種類の眼底画像を形成したうえで、それらを1枚に合成してカラー眼底画像を形成してもよい。
<FAF撮影モード>
FAF撮影モードは、眼底に存在する蛍光物質(例えば、リポフスチン)からの蛍光による蛍光眼底画像(以下、FAF画像と称す場合がある)が撮影される撮影モードである。
FAF撮影モードにおいて、制御部70は、レーザー光出射部11から、青色の波長域の光と、赤外域の光とを、同時に出射させる。また、フィルタ46を受光光学系20の光路中へ挿入させる。その結果、青色の波長域の光は蛍光物質を励起させ、その結果として、図5に示す波長スペクトルで蛍光(眼底自発蛍光)が生じる。この蛍光は、ダイクロイックミラー31によって、第1波長域と、第2波長域とに分光される。例えば、第1波長域は、緑色成分を含む波長域であり、受光素子27で受光される。また、第2波長域は、赤色成分を含む波長域であり、受光素子25で受光される。また、図4に示すように、赤外域の眼底反射光が、受光素子29で受光される。
FAF撮影モードにおいて制御部70は、受光素子25および受光素子27からの信号に基づいて、FAF画像を形成する。FAF画像における各画素は、受光素子25からの信号と、受光素子27からの信号と、の加算結果にて表現される。
ここで、例えば、受光素子25と受光素子27とに、同一製品が適用されている等の理由により、第1波長域の光に対する受光素子の特性と、第2波長域の光に対する受光素子27の特性と、が同じである場合、受光素子25からの信号と、受光素子27からの信号と、が次のような重み付加算で加算されていてもよい。第1波長域および第2波長域が、自発蛍光のスペクトルに対し、図5に示すように設定されている場合、第1波長域のほうが、第2波長域に比べ、受光素子への入力が大きく、出力信号のSNが高い。このため、第2波長域の光を受光する受光素子27からの信号に対し、第1波長域の光を受光する受光素子25からの信号に、より大きな重み付を行い、重み付加算が行われることが好ましい。これにより、上記説明したように、単純加算の場合に対して、SN比が高い蛍光眼底画像を得ることができる。
なお、リポフスチンは、緑色の波長域の光に対しても蛍光を示すので、FAF撮影モードでは、青色の光に代えて、緑色の光が励起光として利用されてもよい。この場合、緑色の光の眼底反射光を遮光し,蛍光を通過させるバリアフィルタを、受光光学系の独立光路上に配置させてもよい。
<IA撮影モード>
IA撮影モードは、造影剤の一種であるICG(インドシアニングリーン)からの蛍光による蛍光眼底画像(以下、IA画像と称す場合がある)が撮影される撮影モードである。
IA撮影モードにおいて、制御部70は、レーザー光出射部11から、赤外域の光を出射させる。その結果、赤外域の光は、予め眼底血管に注入されている蛍光物質(ICG)を励起させ、その結果として蛍光(ICG蛍光)を生じさせる。この蛍光は、ダイクロイックミラー13によって、赤外域の光による眼底反射光と分離される。例えば、ICG蛍光は、励起光に対し、長波長側に生じる赤外域の光であり、受光素子25で受光される。また、赤外域の眼底反射光は、受光素子29で受光される。
IA撮影モードにおいて制御部70は、受光素子25からの信号に基づいて、ICG画像を形成する。また、受光素子29からの信号に基づいて、制御部70は、赤外反射画像を生成する。IA撮影のような造影蛍光撮影は、FAF撮影と比較して強度の高い蛍光が生じるので、FAF撮影モードで実行された複数の受光素子からの信号の加算は、必ずしも行われなくてもよい。
以上、実施形態に基づいて説明を行ったが、本開示を実施するうえで、実施形態の内容を適宜変更することができる。