<概要>
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る実施形態を説明する。特に断りが無い限り、眼底撮影装置(眼科装置の一例)による実施形態を説明する。各実施形態は、他の実施形態の一部を適宜利用できる。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る眼底撮影装置は、対物光学系を切換えて撮影光学系の画角を切換えるときに、アライメント指標像として撮像される角膜反射像の大きさの変化を、光学的に補正する。
眼底撮影装置は、撮影光学系と、アライメント光学系と、アライメント調整部と、画角切換部と、補正部と、を有する。
撮影光学系(図1,2参照)は、対物光学系を介して被検眼の眼底へ光を照射し、眼底からの戻り光に基づいて被検眼の眼底を撮影する。撮影光学系は、眼底からの撮影光の戻り光を受光する受光素子を有し、受光素子からの信号に基づいて眼底画像を取得してもよい。
対物光学系(図1,2参照)は、屈折系であってもよいし、反射系であってもよいし、両者を組み合わせたものであってもよい。以下の説明では、便宜上、対物光学系は、複数枚のレンズを有するものとして説明する。
アライメント光学系(図1,2参照)は、少なくとも対物光学系を撮影光学系と共用している。また、アライメント光学系は、被検眼に投影される指標光束の角膜反射光に基づくアライメント指標像を撮影する受光素子を有する。アライメント指標像は、上下左右方向のアライメント状態を示すものであってもよいし、前後方向(作動距離方向ともいう)のアライメント状態を示すものであってもよい。指標光束は、例えば、アライメント光源から、被検眼の角膜へ向けて投影され、角膜で反射される。このとき、少なくとも角膜から受光素子までの受光経路において、指標光束(より詳細には、指標光束の角膜反射光)が、対物光学系を通過する。アライメント光源から角膜までの投光経路においても、対物光学系を介して指標光束が角膜へ投影されてもよいし、対物光学系を経ずに指標光束が角膜へ投影されてもよい。
指標光束は、例えば、予め定められた適正作動距離である場合において、角膜の曲率半径の中心と角膜面との中間点に向かって指標光が入射するように設定されていてもよい。即ち、適正作動距離である場合において、中間点との共役位置に、指標光束の光源であるアライメント光源が配置されていてもよい。これによって、作動距離が適正作動距離である場合に、角膜反射像が受光素子における受光面上に形成されるものであってもよい。
アライメント光学系は、後述のアライメント調整部によって、撮影光学系と被検眼との位置関係が調整される際に、撮影光学系と一体的に被検眼との位置関係が変位される。
アライメント調整部は、撮影光学系と被検眼との位置関係を調整する。位置関係は、例えば、上下、前後、左右の各方向に調整されてもよい。アライメント調整部には、撮影光学系と被検眼との位置関係を変位させる駆動部を有していてもよい。駆動部は、撮影光学系を移動させるものであってもよいし、被検者の顔を移動させるものであってもよい。駆動部は、メカニカルな機構であってもよいし、制御信号に基づいて動作するアクチュエータを含むものであってもよい。後者の場合、アライメント調整部は、眼底撮影装置の制御部を含んでいてもよく、受光素子で撮影されるアライメント指標像に基づいて、撮影光学系と被検眼との位置関係が調整されてもよい。
画角切換部は、対物光学系のパワーを少なくとも切換えることで撮影光学系における画角を切換える。換言すれば、画角切換部は、撮影光学系を変倍させる。
画角切換部は、例えば、対物光学系におけるレンズ構成を切換えることで、画角を切換えるものであってもよい。一例として、レンズアタッチメント(図2参照)のようなアタッチメントユニットの着脱によって、撮影画角が予め定められた2つの撮影画角のいずれかへ選択的に切換えられてもよい。ここでは、より狭い撮影画角を「第1画角」、より広い方の撮影画角を「第2画角」、と称す。例えば、第1画角は、90°未満であり、第2画角は、90°以上であってもよい。例えば、第1画角は、45°~60°程度であり、第2画角は90°~150°程度であってもよい。
但し、撮影光学系の画角を切換える手法は、アタッチメントユニットの着脱に限られるものでは無い。例えば、対物光学系の一部または全部を交換することで、画角が切換えられてもよい。
<アライメント指標像の大きさ補正>
補正部は、撮影光学系の画角切換に基づくアライメント指標像の大きさの変化を光学的に補正する。詳細には、補正部は、画角切換の際において、眼底画像の倍率の変化量に対して、アライメント指標像の倍率の変化量を抑制する。
補正部は、少なくとも、補正用光学素子を含んでいてもよい。補正用光学素子は、アライメント光学系における、撮影光学系に対する独立光路に設けられていてもよい。
この場合、補正部は、角膜反射光の焦点と受光素子における受光面との距離を変更することで、アライメント指標像の倍率を切換えるものであってもよい(図1,2参照)。より詳細には、第2画角の場合では、第1画角の場合に対して焦点と受光面とを遠ざけることで、倍率を切換える。また、この場合、補正部は、アライメント光学系における焦点距離を変位するものであってもよいし、受光素子を移動させるものであってもよいし、両者を組み合わせたものであってもよい。例えば、焦点距離は、補正用光学素子(例えば、レンズ)の位置を光軸方向に変位することで変更されてもよいし、アライメント光学系の光路中から補正用光学素子が挿脱されることで変更されてもよい。また、補正用光学素子として液晶レンズ等の可変焦点レンズ等を用いることで、焦点距離が変更されてもよい。
また、補正用光学素子は、焦点距離が互いに異なる複数の焦点を有していてもよい。例えば、補正用光学素子は、少なくとも第1の焦点距離の第1領域と、第2の焦点距離の第2領域とをレンズ中に有する多焦点レンズであってもよい。一例として、図3に示す補正用光学素子を、アライメント光学系は有していてもよい。図3では、ハッチングの領域の焦点距離が第1の焦点距離であって、ハッチングの無い領域の焦点距離が、第2の焦点距離である。第1の焦点距離は、は第1画角と対応しており、第2の焦点距離は第2画角と対応し、焦点から受光面までの距離がより遠くなっていてもよい。
これに代えて、補正部は、受光素子と補正用光学素子との間の光路を、補正用光学素子の焦点と各受光素子の受光面との距離が互いに異なる複数の光路に分岐する光路分岐部を有していてもよい。例えば、補正部は、少なくとも2つの受光素子(符号55a,55b)と光路分岐部を設け、補正用光学素子の焦点と各受光素子の受光面との距離が互いに異なるように、光路分岐部および各受光素子を配置してもよい(図4参照)。また、1つの受光素子と補正用光学素子との間に距離が異なる2つの光路を光路分岐によって形成することで、1つの受光素子で、倍率の異なるアライメント指標像を同時に撮像してもよい(図5参照)。なお、光路分岐部は、種々のビームスプリッターを用いることができる。例えば、光路分岐部は、ハーフミラーであってもよいし、跳ね上げミラーであってもよいし、穴開きミラーであってもよいし、その他の部材であってもよい。
また、補正部は、被検眼に投影されるときのアライメント指標の大きさを変更するものであってもよい。換言すれば、被検眼に投影される指標光束の光束径を変更する光束径変更部を有していてもよい。光束径変更部は、例えば、後述のようにアライメント光源そのものであってもよいし、可変ビームエキスパンダであってもよいし、その他の光学素子であってもよい。
補正用光学素子はアライメント光源であって、該光源の面積を変更することで、被検眼に投影されるときのアライメント指標の大きさを切換えてもよい。また、補正用光学素子はアライメント光源と被検眼との間に配置される光学素子であって、被検眼へ投影されるアライメント指標の倍率を切換えるものであってもよい。なお、第1画角の場合と第2画角の場合との間で、指標光束の光源は互いに異なっていてもよい。
また、眼底撮影装置は、アライメント指標像が光学的に、又は、電子的に、重畳された前眼部の観察画像を、取得してもよい。前眼部の観察画像は、前眼部観察光学系の受光素子からの信号に基づいて取得される。例えば、前眼部観察光学系の受光素子が、アライメント光学系の受光素子と兼用されている場合、アライメント指標像が重畳された前眼部観察画像を取得し得る。また、前眼部観察光学系の受光素子が、アライメント光学系の受光素子とは別体である場合に、電子的にアライメント指標像を観察画像上に重畳してもよい。これらの場合において、前眼部観察光学系もまた、画角切換部と連動して画角切換が行われるものであってもよい。そこで、例えば、画角切換の際には、アライメント指標像の倍率と共に、前眼部観察光学系における倍率もあわせて、光学的に補正されてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態において、特に断りが無い限り、眼底撮影装置における撮影光学系および画角切換部については、第1実施形態の説明を援用し、記載を省略する。
第2実施形態に係る眼底撮影装置は、対物光学系に含まれる何れかのレンズの面と角膜とによる多重反射光であって、観察光の(一部による)多重反射光に基づいて、アライメント指標像が形成される。ここでいう観察光は、前眼部観察に利用されるものであってもよいし、眼底観察に利用されるものであってもよい。
多重反射光は、観察光のうち、対物光学系に含まれる何れかのレンズで少なくとも1回反射された後、角膜へ投影されて更に反射されたものである。ここでは、少なくとも2回の反射によって多重反射光を規定しているが、実際に多重反射光が受光面へ到達するためには、対物光学系および角膜において、3回以上の奇数回の反射が必要となる(図6参照)。上記規定に係る2回以外の反射については、対物光学系に含まれるレンズおよび角膜のうち、任意の面で生じたものであってもよい。
対物光学系に含まれ、多重反射光を形成するために観察光を反射するレンズは、撮影光学系の光軸と共軸に配置されていてもよい。この場合、被検眼の角膜と、又は、他の共軸なレンズと、光軸近傍の面が平行となるので、多重反射光が良好に形成される。
また、多重反射光を形成するために観察光を反射するレンズのレンズ面には、撮影光の反射率に対して観察光の反射率が高い反射特性を持つコーティングが施されていてもよい(図7参照)。このとき、撮影光は、観察光とは異なる波長域の光であって、撮影光学系によって眼底画像を得るために眼底へ照射される。上記のコーティングが施されている場合、撮影光については、多重反射は生じ難くいので、多重反射光によるアーチファクトが、撮影画像上に重畳し難い。一方、観察光については、多重反射光に基づくアライメント指標像が良好に形成され、これを、アライメントに利用できる。
アタッチメントユニット(アタッチメント光学系)が対物光学系に対して装着される場合、アライメント指標像を形成する観察光の多重反射光は、少なくともアタッチメント光学系に含まれるレンズで反射されていてもよい。アタッチメント光学系は、アタッチメントユニットが有する光学系である。この場合、観察光の光源とは異なる光源からの指標光束(第1指標光束ともいう)を、眼底撮影装置は投影可能であってもよい。例えば、アタッチメント光学系が未装着(非装着)の状態では、第1指標光束の角膜反射像(第1アライメント指標像)を取得し、アタッチメント光学系の装着状態においては多重反射光による角膜反射像(第2アライメント指標像ともいう)を取得してもよい。アタッチメント光学系が装着されることで撮影光学系の画角が増大する場合、第1実施形態と同様に、第1アライメント指標像は、アタッチメント光学系の装着に伴って縮小され、第1アライメント指標像に基づいて精度よくアライメントを行い難くなってしまう。そこで、アタッチメント光学系の装着時には第2アライメント指標像が利用可能となることで、アタッチメント光学系の装着時においてもアライメントの正確性が担保される。
第2実施形態において、指標像を撮像する受光素子は、眼底撮影用の受光素子と兼用されていてもよいし、別体であってもよい。指標像を撮像する受光素子が眼底撮影用の受光素子と兼用されている場合、受光素子からの信号に基づいて観察画像を取得してもよい。観察画像は、略リアルタイムな動画像である。観察画像は、眼底観察画像であってもよい。観察画像は、例えば、モニタに表示される。アライメント指標像は、眼底観察画像上に重畳されるので、実際の眼底の結像状態と同時にアライメント状態を確認できる。
<実施例>
以下、本発明の典型的な一実施例について、図面を参照して説明する。まず、図1から図2を参照して、眼科撮影装置1の全体構成について説明する。本実施例において、眼底撮影装置1は、眼科撮影装置1は、走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Opthalmoscope:SLO)の構成を備える。眼科撮影装置1は、被検眼Eの眼底Erの正面画像を撮影する装置である。眼科撮影装置1は、レーザー光を眼底Er上で走査し、眼底Erからのレーザー光の戻り光を受光することによって、眼底Erの正面画像(「被検眼Eの画像」の一例)を取得する。
なお、以下の説明において、眼科撮影装置1は、観察面上でスポット上に集光されるレーザー光を、走査部(光スキャナ)の動作に基づき,2次元的に走査することで眼底画像を得るものとする。ただし、必ずしもこれに限られるものではなく、眼科撮影装置1は、いわゆるラインスキャンタイプの装置であってもよい。この場合、観察面上で、ライン状の光束が走査される。また、眼底Erの正面画像を撮影する装置としては、本実施例に示す走査型の装置だけでなく、非走査型の装置も知られている。この種の装置に対しても、本実施例の技術は、適宜適用できる。
図1,2を参照して、眼科撮影装置1に設けられた光学系を説明する。図1に示すように、眼科撮影装置1は、照射光学系10と、受光光学系20と、を有する。眼科撮影装置1は、これらの光学系10,20を用いて眼底画像を撮影する。
本実施形態の眼科撮影装置1は、対物光学系におけるレンズ構成を切換えることで、撮影画角を切換える。詳細には、レンズアタッチメント3(図2参照)の着脱によって、撮影画角が予め定められた2つの撮影画角のいずれかに選択的に切換えられる。ここでは、より狭い方の撮影画角を「第1画角」、より広い撮影画角を「第2画角」と称す。本実施例において、第1画角は、45°~60°程度であり、第2画角は90°~150°程度であるものとする。
初めに、図1を参照して、撮影画角が第2画角である場合の光学系を説明する。本実施形態では、レンズアタッチメント3(図2参照)が未装着の場合に、撮影画角が第2画角に設定される。
照射光学系10は、走査部16と、対物光学系17と、を含む。対物光学系17は、少なくとも1つのレンズを含む。また、図1に示すように、照射光学系10は、更に、レーザー光源11、コリメーティングレンズ12、穴開きミラー13、レンズ14(本実施形態において、視度調節部40の一部)、および、レンズ15を有する。
レーザー光源11は、照射光学系10の光源である。本実施形態では、レーザー光源11からのレーザー光が、撮影光として利用される。本実施形態のレーザー光源11は、複数色の光を、同時に、又は選択的に出射可能である。一例として、本実施形態では、レーザー光源11は、青,緑,赤の可視域の3色と、赤外域の1色と、の計4色の光を出射する。各色の光は、任意の組合せで同時に出射可能である。ここでいう同時は、厳密に同時である必要はなく、それぞれの波長の光の出射タイミングにタイムラグがあってもよい。タイムラグは、例えば、それぞれの波長の光に基づいて形成される眼底画像において、眼球運動による画像間のずれが許容される範囲であってもよい。レーザー光源11は、例えば、レーザーダイオード(LD)、および、スーパールミネッセントダイオード(SLD)等を含んで形成されてもよい。第1実施例において、レーザー光源11から出射される各色の光は、眼底の撮影に利用される。なお、眼底反射光に基づいて撮影される眼底画像を反射画像、眼底Erに存在する蛍光物質からの蛍光に基づいて撮影される眼底画像を、蛍光画像と称する場合がある。
反射画像としては、赤外画像、カラー画像、レッドフリー画像、および、単色可視画像等のいずれか、または全てが撮影されてもよい。また、蛍光画像として、造影蛍光画像、および、自発蛍光画像のいずれかまたは全てが撮影されてもよい。造影蛍光画像は、眼底Erに静注された造影剤の蛍光発光による画像であって、例えば、FA画像(フルオレセイン造影撮影画像)であってもよいし、ICGA画像(インドシアニングリーン造影撮影画像)であってもよい。また、自発蛍光画像は、眼底Erに蓄積された蛍光物質の蛍光発光による画像であってもよく、例えば、リポフスチンの蛍光発光による画像であってもよい。
本実施形態において、レーザー光源11からのレーザー光は、穴開きミラー13に形成された開口部を通り、レンズ14およびレンズ15を介した後、走査部16に向かう。走査部16によって反射されたレーザー光は、ダイクロイックミラー51を通過し、対物光学系17を通過した後、被検眼Eの眼底Erに照射される。その結果、レーザー光は、眼底Erで反射・散乱される、或いは、眼底Erに存在する蛍光物質を励起させ、眼底からの蛍光を生じさせる。これらの光(つまり、反射・散乱光および蛍光等)が、レーザー光の照射に伴う被検眼からの光(戻り光)として、瞳孔から出射される。
走査部16(「光スキャナ」ともいう)は、レーザー光源11から発せられたレーザー光を、眼底Er上で走査するためのユニットである。以下の説明では、特に断りが無い限り、走査部16は、レーザー光の走査方向が互いに異なる2つの光スキャナを含むものとする。即ち、主走査用(例えば、X方向への走査用)の光スキャナ16aと、副走査用(例えば、Y方向への走査用)の光スキャナ16bと、を含む。以下では、主走査用の光スキャナ16aはレゾナントスキャナであり、副走査用の光スキャナ16bはガルバノミラーであるものとして説明する。ただし、各光スキャナ16a,16bには、他の光スキャナが適用されてもよい。例えば、各光スキャナ16a,16bに対し、他の反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ、および、MEMS等)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が適用されてもよい。
対物光学系17は、眼科撮影装置1の対物光学系である。対物光学系17は、走査部16によって走査されるレーザー光を、被検眼Eに照射させ、眼底Erに導くために利用される。そのために、対物光学系17は、走査部16を経たレーザー光が旋回される旋回点Pを形成する。旋回点Pは、照射光学系10の基準光軸L1上であって、対物光学系17に関して走査部16と光学的に共役な位置に形成される。なお、本開示において「共役」とは、必ずしも完全な共役関係に限定されるものではなく、「略共役」を含むものとする。即ち、眼底画像の利用目的(例えば、観察、解析等)との関係で許容される範囲で、完全な共役位置からずれて配置される場合も、本開示における「共役」に含まれる。本実施形態では、眼科撮影装置1の対物光学系17がレンズだけで実現されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、レンズとミラーの組合せによって実現されてもよい。
走査部16を経たレーザー光は、対物光学系17を通過することによって、旋回点Pを経て、眼底Erに照射される。このため、対物光学系17を通過したレーザー光は、走査部16の動作に伴って旋回点Pを中心に旋回される。その結果として、本実施形態では、眼底Er上でレーザー光が2次元的に走査される。眼底Erに照射されたレーザー光は、集光位置(例えば、網膜表面)にて集光される。
次に、受光光学系20について説明する。受光光学系20は、1つ又は複数の受光素子を少なくとも有する。例えば、図1に示すように、受光光学系20は、複数の受光素子25,27,29を有してもよい。この場合、照射光学系10によって照射されたレーザー光による眼底Erからの光は、受光素子25,27,29の少なくともいずれかによって受光される。
図1に示すように、本実施形態における受光光学系20は、対物光学系17から穴開きミラー13までに配置された各部材を、照射光学系10と共用してもよい。この場合、眼底Erからの光は、照射光学系10の光路を遡って、穴開きミラー13まで導かれる。穴開きミラー13は、被検眼Eの角膜,および,装置内部の光学系(例えば対物レンズ系のレンズ面等)での反射によるノイズ光の少なくとも一部を取り除きつつ、眼底Erからの光を、受光光学系20の独立光路へ導く。
なお、照射光学系10と受光光学系20とを分岐させる光路分岐部材は、穴開きミラー13に限られるものではなく、その他の光学部材(例えばハーフミラー等)が利用されてもよい。
本実施形態の受光光学系20は、穴開きミラー13の反射光路に、レンズ21、ピンホール板23、および、光分離部(光分離ユニット)30を有する。
また、本実施形態の受光光学系20は、投光系と受光系の光路分岐部を、穴開きミラー13と、ダイクロイックミラー45との間で切換配置してもよい。ダイクロイックミラー45は、自発蛍光撮影における励起光(例えば、青色の光)を透過し(つまり、被検眼側へ通過させ)、眼底からの自発蛍光を反射する(つまり、受光素子25,27,29側へ通過させる)。ダイクロイックミラー45は、例えば、第2画角の場合(つまり、レンズアタッチメント3を装着した場合)において、自発蛍光撮影を実行するために配置される。撮影画角が広くなると、レーザー光が照射される被検眼Eの眼底の面積が広くなることで眼底画像のコントラストが低下しやすくなる。これに対し、本実施形態では、自発蛍光撮影の際には、穴開きミラー13からダイクロイックミラー45に切換え配置されることで、信号効率を向上させることができる。結果として、自発蛍光画像におけるコントラストを向上させやすくなる。
ピンホール板23は、眼底共役面に配置されており、眼科撮影装置1における共焦点絞りとして機能する。すなわち、視度調節部40によって視度が適正に補正される場合において、レンズ21を通過した眼底Erからの光は、ピンホール板23の開口において焦点を結ぶ。ピンホール板23によって、眼底Erの集光点(あるいは、焦点面)以外の位置からの光が取り除かれ、残り(集光点からの光)が受光素子25,27,29の少なくともいずれかへ導かれる。
穴開きミラー13の開口、ピンホール板23の共焦点開口等の開口径は、画角と連動して(つまり、レンズアタッチメント3の着脱と連動して)切り替え可能であってもよい。
光分離部30は、眼底Erからの光を分離させる。本実施形態では、光分離部30によって、眼底Erからの光が波長選択的に光分離される。また、光分離部30は、受光光学系20の光路を分岐させる光分岐部を兼用していてもよい。例えば、図1に示すように、光分離部30は、光分離特性(波長分離特性)が互いに異なる2つのダイクロイックミラー(ダイクロイックフィルター)31,32を含んでいてもよい。受光光学系20の光路は、2つのダイクロイックミラー31,32によって、3つに分岐される。また、それぞれの分岐光路の先には、受光素子25,27,29の1つがそれぞれ配置される。
例えば、光分離部30は、眼底Erからの光の波長を分離させ、3つの受光素子25,27,29に、互いに異なる波長域の光を受光させる。例えば、青,緑,赤の3色の光を、受光素子25,27,29に1色ずつ受光させてもよい。この場合、各受光素子25,27,29の受光結果から、カラー画像を取得してもよい。
また、光分離部30は、眼底自発蛍光と、観察光の眼底反射光である赤外光とを、互いに異なる受光素子に受光させてもよい。これにより、蛍光画像と同時に、赤外画像を撮影可能であってもよい。本実施形態では、レーザー光源11から照射される青色の光が、自発蛍光の励起光として利用される。
次に、アライメント光学系50について説明する。本実施形態のアライメント光学系50は、一例として、ダイクロイックミラー51、光源52、レンズ53、および受光素子55を有する。光源52は、アライメント光を出射するためのアライメント光源と、絞りとして機能する図示無き開口部を有する。一例として、光源52は、2つのアライメント光源を有する。
アライメント光源から出射されたアライメント光は、ダイクロイックミラー51によって反射され、対物光学系を介して被検眼Eに向けて照射される。被検眼Eの角膜によって反射されたアライメント光は、対物光学系を経て、ダイクロイックミラー51によって反射され、レンズ53を通過する。レンズ53を通過した光は、受光素子55によって受光される。受光素子55の受光結果に基づいて、対物光学系に対する被検眼Eのアライメント状態が検出される。受光素子55から出力された信号は、制御部70(図9参照)に入力される。制御部70は、入力された信号に基づいて、被検眼Eのアライメント状態を示す画像(以下、「アライメント画像」ともいう)を生成してもよい。アライメント画像は、例えば、被検眼Eの角膜によって反射されたアライメント光を示すアライメント指標像を含む画像等であってもよい。
ここで、レンズ53は、光軸に沿って移動可能であって、これにより、アライメント光学系50の焦点距離を変更し、アライメント指標像の倍率を切換える。眼科撮影装置1には、レンズ53を移動させる駆動部53aが設けられていてもよい。レンズ53は、レンズアタッチメント3の着脱に応じて(つまり、画角切換に応じて)変位される。
なお、アライメント光学系50として、被検眼の前眼部を撮影する前眼部観察系が用いられてもよい。また、受光素子25,27,29の少なくともいずれかが、アライメント検出部の一部として機能してもよい。つまり、受光素子25,27,29の少なくともいずれかが、受光素子55の代わりに用いられて、アライメント状態を検出してもよい。この場合、アライメント光学系50のアライメント光源以外の光学系は省略されてもよい。また、例えば、制御部70は、受光素子25,27,29の少なくともいずれかからの信号に基づき、アライメント状態を検出してもよい。
本実施形態では、例えば、対物光学系に対する被検眼Eのアライメント状態は、対物光学系に対する基準位置に対する、被検眼Eの位置のずれ量である。上述の通り、レーザー光の旋回点Pは、照射光学系10の基準光軸L1上であって、対物光学系17に関して走査部16と光学的に共役な位置に形成される。本実施形態では、旋回点Pが被検眼Eの瞳の位置と略一致する場合に、対物光学系に対する被検眼Eのアライメントが合っているとする。アライメントが合っている際の被検眼Eの位置が、基準位置となる。また、例えば、基準位置に対する被検眼Eの位置のずれ量は、対物光学系と基準位置との距離と、対物光学系と被検眼Eとの距離とのずれ量を含んでいてもよい。また、例えば、対物光学系に対する被検眼Eのアライメント状態は、基準光軸L1の方向(Z方向)における、被検眼Eと対物光学系との距離を含んでいてもよい。この場合、基準光軸L1の方向における、被検眼Eと基準位置のずれ量が、アライメント状態として検出されてもよい。
一例として、制御部70は、アライメント画像に対して画像処理を行い、アライメント指標像の結像状態(例えば、ぼけ量および座標位置の少なくともいずれか)を定量化することで、基準光軸L1の方向(Z方向)における対物光学系と被検眼Eの間の距離(作動距離)を検出する。制御部70は、作動距離と、対物光学系から基準位置までの間の距離のずれ量を、アライメント状態として検出する。ただし、アライメント状態を検出する方法を変更することも可能である。例えば、制御部70は、Z方向における対物光学系から被検眼Eまでの間の距離に加えて、基準光軸L1に交差する方向(XY方向)への被検眼Eのずれ量も、アライメント状態として検出してもよい。
作動距離は、被検眼Eと、眼科撮影装置1の対物光学系との距離として規定される。より詳細には、被検眼Eの角膜面と、眼科撮影装置1の検査窓(例えば、対物光学系の最も被検眼Eに近いレンズ面)との距離として規定されてもよい。
なお、対物光学系に対する基準位置(本実施形態では、基準光軸L1の方向における、被検眼Eと対物光学系との適切な距離)は、種々の撮影条件(例えば撮影画角等)に応じて異なってもよい。
次に、図2を参照して、撮影画角がより広画角な第2画角である場合の光学構成を示す。本実施形態では、対物光学系17と被検眼Eとの間に、レンズアタッチメント3が配置されることで、第2画角で撮影を行うための対物光学系18が構成される。本実施形態のレンズアタッチメント3は、少なくとも1つのレンズを有する。図2に示すように、レンズアタッチメント3は、複数のレンズを有していてもよい。
レンズアタッチメント3は、正のパワーを持ち、対物光学系17へ装着されることによって、撮影画角が増大される。一方で、倍率は低減されるので、レンズアタッチメント3の着脱の前後で、レンズ53と受光素子55との位置関係が保たれていると、受光素子55によって撮影されるアライメント指標像は縮小してしまう(図10(a)⇒図10(b))。詳細は後述するが、本実施例では、レンズ53を変位させ、指標光束の角膜反射光の焦点と受光素子55の受光面との距離を切換えることで、撮影光学系の画角切換に基づくアライメント指標像の大きさの変化が、光学的に補正される。
次に、図9を参照して、眼科撮影装置1の制御系を説明する。眼科撮影装置1は、制御部70によっての各部の制御が行われる。制御部70は、眼科撮影装置1の各部の制御処理と、演算処理とを行う電子回路を有する処理装置(プロセッサ)である。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリ等で実現される。制御部70は、記憶部71と、バス等を介して電気的に接続されている。また、制御部70は、レーザー光源11、受光素子25,27,29、走査部16、アライメント光学系50の各部(詳細には、光源52および受光素子55)、入力インターフェイス75、およびモニタ80等の各部とも電気的に接続されている。
記憶部71には、各種の制御プログラムおよび固定データ等が格納される。本実施形態では、撮影制御プログラム等が記憶部71に記憶される。また、記憶部71には、一時データ等が記憶されてもよい。眼科撮影装置1で得られた画像は、記憶部71に記憶されていてもよい。ただし、必ずしもこれに限られるものではなく、外部の記憶装置(例えば、LANおよびWANで制御部70に接続される記憶装置)へ眼科撮影装置1で得られた画像が記憶されてもよい。
制御部70は、例えば、受光素子25,27,29から出力される受光信号を基に眼底画像を形成する。より詳細には、制御部70は、走査部16による光走査と同期して眼底画像を形成する。例えば、制御部70は、副走査用の光スキャナ16bがn回(nは、1以上の整数)往復する度に、少なくとも1フレーム(換言すれば、1枚)の眼底画像を、(受光素子毎に)形成する。なお、以下では、特段の断りが無い限り、便宜上、副走査用の光スキャナ16bの1往復につき、その1往復に基づく1フレームの眼底画像が形成されるものとする。本実施形態では、3つの受光素子25,27,29が設けられているので、制御部70は、それぞれの受光素子25,27,29からの信号に基づく最大3種類の画像を、副走査用の光スキャナ16bが1往復する度に生成する。
制御部70は、上記のような装置の動作に基づいて逐次形成される複数フレームの眼底画像を、観察画像として時系列にモニタ80へ表示させてもよい。観察画像は、略リアルタイムに取得された眼底画像からなる動画像である。また、制御部70は、逐次形成される複数の眼底画像のうち一部を、撮影画像(キャプチャ画像)として取り込む(キャプチャする)。その際、撮影画像は記憶媒体に記憶される。撮影画像が記憶される記憶媒体は、不揮発性の記憶媒体(例えば、ハードディスク,フラッシュメモリ等)であってもよい。本実施形態では、例えば、トリガ信号(例えば、レリーズ操作信号等)の出力後、所定のタイミング(又は,期間)に形成される眼底画像がキャプチャされる。
また、制御部70は、分光部60における分光特性と、被検眼Eへ照射される光の波長と、を制御する。例えば、本実施形態では、モード切換によって、反射撮影モードと、蛍光撮影モードとが設定可能である。反射撮影モードとして、例えば、カラー撮影モードが設定可能である。また、蛍光撮影モードとして、例えば、ICGAモード、FAモード、および、FAFモードが設定可能である。設定した撮影モードに応じて、レーザー光源11から出射される光の波長が選択される。
入力インターフェイス75は、検者の操作を受け付ける操作部である。例えば、タッチパネル、マウス、および、キーボード等が、入力インターフェイス75として利用されてもよい。このような入力インターフェイス75は、眼科撮影装置1とは別体のデバイスであってもよい。制御部70は、入力インターフェイス75(操作部)から出力される操作信号に基づいて、上記の各部材を制御してもよい。入力インターフェイス75には、例えば、撮影モードを選択するための操作、レリーズのための操作等のいずれかが入力されてもよい。
<撮影動作>
次に、眼科撮影装置1の撮影動作を説明する。まず、検者は、眼科撮影装置1にレンズアタッチメント3を着脱させ、眼科撮影装置1の撮影画角を設定する。レンズアタッチメント3の着脱状態は、検者が手動で眼科撮影装置1に入力してもよい。また、レンズアタッチメント3の着脱状態を検出するセンサを眼科撮影装置1に設け、センサからの検出信号が、眼科撮影装置1に入力されてもよい。
本実施形態の制御部70は、眼科撮影装置1の撮影モードを、反射撮影モードおよび蛍光撮影モードのいずれかを選択して、設定可能である。例えば、蛍光撮影モードとして、ICGAモード,FAモード,および,FAFモードのいずれかを選択可能であってもよい。ここでは、一例として、反射撮影モードで撮影が行われる場合について説明する。
なお、撮影モードは、検者の操作に基づいて設定されてもよい。また、例えば、制御部70は、予め定められた順序で、各撮影モードでの撮影後に、撮影モードを自動的に切換えてもよい。
本実施形態の反射撮影モードでは、眼底反射光によるカラーの眼底画像が撮影される。反射撮影モードにおいて、制御部70は、レーザー光源11から、赤,緑,青の波長域の光を、同時に出射させる。その結果、赤色成分が受光素子25で受光され、緑色成分が受光素子27で受光され、青色成分が受光素子29で受光される。制御部70は、それぞれの受光素子25,27,29からの信号を処理して、カラーによる眼底画像を形成する。そして、赤,緑,青の各成分に対応する3種類の眼底画像を形成したうえで、それらを1枚に合成してカラー眼底画像を形成してもよい。
なお、反射撮影モードは、カラー画像ではなく、近赤外光を用いた赤外画像が撮影される撮影モードであってもよい。
眼科撮影装置1は、各々の蛍光画像と同時に、反射画像を撮影してもよい。反射画像は、連続して撮影される各々の蛍光画像の位置関係を対応付けるために利用することも可能である。
次に、蛍光撮影モードにおける装置動作の具体例を説明する。まず、検者は、撮影モード等を含む撮影条件を設定し、被検眼Eに対する対物光学系のアライメントを行う。
アライメントに際して、検者は、眼科撮影装置1の顔支持ユニット(図示略)に被検者の顔を固定させる。また、眼科撮影装置1の固視標投影ユニット(図示略)によって被検眼Eを固視させる。
また、制御部70は、アライメント光学系50のアライメント光源52からアライメント光を出射させる。本実施形態では、受光素子55を用いて取得される被検眼Eのアライメント画像が、アライメントに利用される。例えば、検者は、モニタ80に表示されたアライメント画像に含まれるアライメント指標像を観察し、被検眼Eに対する手動アライメントを行ってもよい。
制御部70は、レンズアタッチメント3が装着されていない場合(つまり、第1画角である場合)は、指標光束の角膜反射光の焦点と受光素子55の受光面との距離を、第1距離に設定する。一方、制御部70は、レンズアタッチメント3が装着された場合(つまり、第2画角である場合)は、指標光束の角膜反射光の焦点と受光素子55の受光面との距離を、第1距離よりも離れた第2距離に設定する。これにより、第2画角の場合において、アライメント指標像が縮小されることが抑制される。焦点と受光素子55の受光面との距離は、レンズアタッチメント3の検出結果に基づいて制御されてもよい。
例えば、検者は、アライメント指標像の結像状態を参考にして、対物光学系と被検眼Eとの間隔を適正な作動距離となるように調節してもよい。検者は、アライメント指標像のピントが合うように、対物光学系を支持する撮影部(図示略)を前後に移動させることでアライメントを行う。
また、検者は、アライメント指標像の形成位置を参考にして、被検眼Eに対する対物光学系の上下左右方向に関するアライメントを行ってもよい。検者は、アライメント指標像が所定の位置に形成されるように、撮影部を上下左右方向に移動させることでアライメントを行う。
その結果、第1画角、第2画角、の何れの場合においても、適正なアライメント状態へ導くことができ、その結果として、撮影光のケラレを抑制して良好に眼底を撮影できる。
また、制御部70は、眼科撮影装置1の各部を制御し、レーザー光源11からのレーザー光の出射、走査部16の駆動、受光素子25,27,29の少なくともいずれかからの受光信号に基づく被検眼Eの正面画像の生成および表示を行う。
上記実施形態は、種々の変更が可能である。
例えば、<実施例>においては、第1画角の場合と第2画角の場合との各々において、適正な大きさのアライメント指標像を得るために、画角の切換に連動して、アライメント光学系50における焦点位置を切換える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2画角の場合には、レンズアタッチメント3に含まれるレンズ面を少なくとも反射面とする、観察光の多重反射光に基づいて、アライメント指標像(多重反射像と称する場合がある)を得るようにしてもよい(図6参照)。例えば、この変形例では、図6に示すように、レンズ332のレンズ面332a⇒レンズ331のレンズ面331aの順で反射された、一部の観察光が角膜に投影される。このとき投影された光が指標光束として利用され、更には、指標光束の角膜反射光(つまり、多重反射光)が、アライメント指標像として利用される。アライメント指標像は、眼底の観察画像上に重畳表示されるので、眼底の観察画像を確認しながら、アライメント調整を行うことが可能となる。レンズ面331a、332aには、観察光である赤外光の反射率を、撮影光である可視光に対して高めるコーティングが施されていてもよく、これにより、観察画像上には多重反射光による指標像を形成しつつ、指標像が映り込むことを抑制できる。
なお、アライメント光学系50におけるアライメント指標像は、上記の通り、第2画角においては第1画角の場合と比べて縮小されてしまうものの、アライメントの際に、多重反射光と併用されてもよい。即ち、第2画角の場合において、まずは、アライメント光学系50による指標像を利用して、多重反射光による指標像が観察画像上で確認できるようになるまで、ラフにアライメント調整を行い、その後、多重反射光による指標像を用いて、より詳細なアライメント調整を行うようにしてもよい。
また、制御部が、アライメント状態の検出処理を行い、検出結果に基づいてアライメントを誘導する場合において、制御部は、第1画角と第2画角との間で、アライメント検出処理を切換てもよい。この場合、例えば、第1画角と第2画角との間で、検出処理において検出される指標像が互いに異なっていてもよい。また、第1画角と第2画角のうちは、指標像を用いてアライメント状態を検出し、他方では、指標像を用いずにアライメント状態を検出してもよい。指標像を用いずにアライメント状態を検出する方法としては、例えば、前眼部観察画像中の瞳孔検出によるものであってもよいし、他の方法によるものであってもよい。また、第1画角と第2画角との間で、検出処理において検出する指標像は、共通しているものの、検出条件が互いに異なっていてもよい。検出条件としては、指標像を検出するうえでの輝度の閾値であってもよいし、検出範囲であってもよいし、その他の条件であってもよい。
このように、第1画角と第2画角との切換の前後において、制御部は、アライメント状態を検出するための方法を切換えてもよい。なお、検出方法の切換には、例えば、第1画角および第2画角の一方の場合で、角膜へ投影したアライメント指標像に基づいてアライメント状態を検出し、他方の場合には、アライメント状態の検出を実行しないものが含まれていてもよい。
眼科撮影装置1として、SLO以外の眼科撮影装置(例えば、OCT装置、眼底カメラ等)が用いられてもよい。また、眼科撮影装置1は、互いに異なる画像を撮影する複数の撮影ユニット(例えば、SLOのユニットおよびOCT装置のユニット等)を備えていてもよい。
また、本開示は、以下の課題解決手段を含む。例えば、第1の眼科装置は、1又は複数枚のレンズを含む対物光学系を介して被検眼へ光を照射し、被検眼からの戻り光に基づいて被検眼を撮影または測定する第1光学系と、前記第1光学系と被検眼との位置関係を調整するアライメント調整手段と、被検眼と前記第1光学系との作動距離が予め定められた距離である場合に所定の受光面上に形成されるアライメント指標像であって、前記対物光学系に含まれるレンズ面で少なくとも1回反射されてから更に被検眼の角膜で反射された前記光の多重反射光によって形成されるアライメント指標像、を撮像するための受光素子とを備える。
第1の眼科装置によれば、眼底を撮影するために照射される光の多重反射光によって、アライメント指標像が形成されるので、アライメント指標を被検眼へ投影および撮像のいずれかを行う光学系を、必ずしも設ける必要なく、アライメント指標像を用いて、アライメント状態を調整できる。
第2の眼科装置は、第1の眼科装置であって、前記対物光学系は、前記第1光学系の光軸と共軸な共軸レンズを有し、共軸レンズのレンズ面で反射された前記光によって前記アライメント指標像を形成する。
共軸レンズは、光軸の近傍領域が、被検眼の角膜と、又は、他の共軸なレンズと、平行になるので、多重反射光が良好に生じやすくなる。
第3の眼科装置は、第1又は第2の眼科装置であって、前記対物光学系の光学パワーを変更するために前記対物光学系に対して挿脱されるアタッチメント光学系を備え、前記アタッチメント光学系に含まれるレンズのレンズ面で反射された前記光によって前記アライメント指標像が形成される。
第4の眼科装置は、第1から第3のいずれかの眼科装置であって、前記レンズ面は、別のレンズ面または角膜による反射光を更に反射して、被検眼の角膜に導く。
なお、第1の眼科装置ないし第4の眼科装置は、上記実施形態で示した眼底撮影装置に、必ずしも限定されるものではなく、各種の眼科撮影装置に適用してもよい。また、眼科撮影装置に限らず、被検眼の眼特性を測定する眼科測定装置に適用してもよい。