次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るミラー旋回装置80を有する光書込装置32を備える画像形成装置1の全体的な構成を示すブロック図である。
初めに、本発明の実施の一形態に係るミラー旋回装置80を有する光書込装置32を備える画像形成装置1の全体的な構成について図1を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、主として、装置制御部10、操作部11、表示部12、画像処理部13、通信部14、画像形成部15及び記憶部19を備える。
装置制御部10は、画像形成装置1の各構成要素の動作を制御するものである。装置制御部10は、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマ等からなるマイクロコンピュータによって実現される。装置制御部10は、ROM等に予め格納された制御プログラムに基づいて各ハードウェアを有機的に動作させることにより、画像形成装置1を機能させる。
操作部11は、画像形成装置1を操作するためのインタフェースである。操作部11は、例えば、キー及びボタン等として構成することができる。或いは、操作部11は、表示部12と一体的に設けられたタッチパネルとして構成されてもよい。ユーザは、操作部11を操作することによって、画像形成装置1に対して各種の指示を行うことができる。
表示部12は、各種情報の表示を行う部分であり、例えば液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等で構成される。
画像処理部13は、各種の画像処理を行う。例えば、画像処理部13は、図略の画像読取部で読み取られて生成された画像データについて、操作部11からの指示に従って、明るさ調整及びコントラスト調整等の処理を行うことができる。
通信部14は、ネットワーク等を介して、コンピュータや携帯情報端末、外部の情報処理装置やファクシミリ等との通信を行い、メールやFAX等の種々の情報をこれら外部の通信装置との間で送受信する。
画像形成部15は、画像処理部13によって生成された画像データを用紙上に印刷するものであり、感光ドラム202と、感光ドラム202に静電潜像を書き込むための光書込装置32と、を備えている。光書込装置32は、書込制御部21、半導体レーザ(光源)22、ミラー旋回装置80、書込設定部25、及び反射部66を備える。この構成で、画像形成部15は、画像処理部13によって生成された画像データに基づいて感光ドラム202に光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させることでトナー像を形成する。感光ドラム202の表面に形成されたトナー像は、感光ドラム202の回転によって図略の転写ローラ側へ近づくように移動し、その電界吸引力によって用紙に転写され、加熱することで定着される。
書込制御部21は、例えばマイクロコンピュータとして構成されており、半導体レーザ22の発光タイミング等を制御するものである。
半導体レーザ22は、電流を流すことによりレーザ光を発振する。
ミラー旋回装置80は、複数のミラー(平面ミラー)24を等角速度で旋回させるための装置である。ミラー旋回装置80の詳細な構成については後述する。
図2に示すように、複数のミラー24は、全体として複数の辺を有する正多角形(本実施形態では、正6角形)の各辺に配置されており、それぞれは平面状の反射鏡をなしている。半導体レーザ22から出射してミラー24で反射したレーザ光は、(図2に示す後述の反射部66で反射して)感光ドラム202に照射される。このとき、レーザ光の照射位置は、ミラー24の反射面の角度に応じて変化する。言い換えれば、ミラー24は、半導体レーザ22からのレーザ光を偏向することで当該ミラー24からのレーザ光の出射角を変更し、これにより、レーザ光が、感光ドラム202上で主走査方向Xに走査される。感光ドラム202を回転させながら、当該感光ドラム202の軸方向の一端から他端までレーザ光の走査(照射)を繰り返すことで、感光ドラム202の表面に2次元の静電潜像を書き込むことができる。
なお、仮に、ミラー24を、公知のポリゴンミラーの各辺の反射面のように、回転中心に対する(半径方向の)位置が固定された正多角形状に配置した場合、ミラー24での光の反射位置(偏向中心の位置)の、回転中心からの距離は、ミラー24の回転角によって変動する。後に詳述するように、本実施形態のミラー旋回装置80は、ミラー24の旋回に伴って光の反射位置が変動するのを抑制する機能を果たす。
本実施形態では、1回の主走査分のレーザ光の照射により、画像データのうちの用紙の幅方向の一端から他端までの1列分に相当する画素列が、感光ドラム202の表面に静電潜像として形成されることになる。
図1の書込設定部25は、例えばROM等により構成されており、光書込装置32における画像の書込みに関する様々なパラメータを変更可能に記憶することができる。書込設定部25に対する設定は、例えば操作部11を操作することにより行うことができる。
反射部66は、複数の反射面を有しており、ミラー24で反射されたレーザ光を適宜反射させて、感光ドラム202の表面に導く。なお、反射部66の詳細な構成は後述する。
記憶部19は、画像形成装置1の各種機能を実現するために必要な情報や、プログラムを記憶するものである。記憶部19としては、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶媒体が用いられる。
次に、画像形成装置1に備えられる光書込装置32の構成及びその作用について、主として図2及び図3を参照して詳細に説明する。
図2は、光書込装置32の構成を示す概略図である。図2に示すように、光書込装置32は、レーザ光を走査する光学系を構成する光学素子又は光学ユニットとして、レーザ光の光路に沿って半導体レーザ22の側から順に、レンズ61、プリズム62、第1折返しミラー63、第2折返しミラー64、ミラー24、及び反射部66を備えている。半導体レーザ22及びミラー24等によって出射部が構成されている。
光書込装置32は、上記光学素子及び光学ユニットの少なくとも一部を内蔵する筐体69を備えている。図2は、筐体69が第2折返しミラー64、ミラー24、及び反射部66を収容する場合を示しているが、これは一例に過ぎない。筐体69には、当該筐体69の内部からレーザ光を感光ドラム202に向かって照射するためのレーザ照射口34が形成されている。
レンズ61は、半導体レーザ22で発光されたレーザ光が焦点を結ぶことを可能にするための光学素子である。プリズム62、第1折返しミラー63、及び第2折返しミラー64は、レンズ61を通過したレーザ光をミラー24の反射面に導く。また、プリズム62、第1折返しミラー63、及び第2折返しミラー64は、ミラー24よりも光路上流側で、レーザ光を感光ドラム202の表面上で合焦させるために必要な光路長を確保すべく光路を折り曲げる光学ユニットを構成する。これらの素子62,63,64は適宜省略可能であるし、他のプリズム又はミラーがレンズ61とミラー24との間に適宜追加されてもよい。
ミラー24は、旋回することにより、所定の回転角度範囲内にあるときに、第2折返しミラー64から入射したレーザ光を等速で角移動させるようにして放射する。反射部66は、ミラー24から出射した光を反射し、主走査線52(具体的には、感光ドラム202の表面において軸方向に平行な直線)上の照射位置に導く。ミラー24の回転角が変化することにより、照射位置は、感光ドラム202上の主走査線52に沿って主走査方向Xに順次移動する。半導体レーザ22から照射位置までの光路長は、全ての照射位置にわたって略一定である。
ミラー24は、その回転角を一定の速度で変化させるように、ミラー旋回装置80に備えられる駆動源によって旋回駆動される。従って、ミラー24からのレーザ光の出射角は、一定の角速度で変化する。
図3は、偏向中心Cと、第1反射部71と、第2反射部72と、主走査線52と、の位置関係を示す概略図である。本実施形態に係る光書込装置32は、ミラー24の回転角に応じてレーザ光の焦点距離を変える手段を備えていない。従って、仮に反射部66が存在しなければ、レーザ光の焦点(光に沿って半導体レーザ22から一定距離離れた点)は、図3の上側に示すように、ミラー24の回転角が所定の回転角度範囲の一端から他端まで(主走査1回分)変化するのに伴って円弧状の軌跡を描く。この軌跡の中心は、ミラー24によってレーザ光を偏向させる偏向中心Cであり、その軌跡の半径は当該偏向中心Cから焦点までの光路長である。一方、主走査線52は、円弧状の軌跡と異なり、主走査方向Xに直線的に延びる。すると、主走査線52上の照射位置から焦点までの距離が、当該照射位置に応じて変わってしまう。よって、上記の偏向中心Cから主走査線52上の任意の照射位置までの経路長を考えると、当該光路長は一定とならず、当該照射位置の位置に応じて変化することになる。
反射部66は、この課題を解消するために備えられており、ミラー24からのレーザ光を少なくとも2度反射してから感光ドラム202(主走査線52)に導く。反射部66は、所定の回転角度範囲内にあるミラー24の反射面(厳密には、光の反射位置)から感光ドラム202上の主走査線52上の任意の照射位置までの光路長が全ての照射位置で略一定となるように、複数の反射部71,72を有している。
本実施形態に係る反射部66は、ミラー24からのレーザ光を反射する第1反射部71と、当該第1反射部71からのレーザ光を更に反射する第2反射部72とを有し、ミラー24からのレーザ光を2度反射する。反射部66は、これら第1反射部71と第2反射部72とにより構成され、筐体69内で固定されている。ただし、反射部66は、3以上の反射部を有していてもよい。
上述したように、仮に、第1反射部71及び第2反射部72が存在しなければ、レーザ光の焦点(光に沿って半導体レーザ22から一定の距離離れた点)は、光の出射角が変化するのに伴って、偏向中心Cを中心とした円弧(以降、「仮想円弧」と称する場合がある。)を描くこととなる。仮想円弧の半径は、偏向中心Cから焦点までの光路長である。第1反射部71及び第2反射部72は、偏向中心Cから焦点までの光路を折り曲げ、それにより仮想円弧を感光ドラム202上で概ね主走査方向Xに直線状に延びるように変換する。詳細に言えば、仮想円弧を分割した分割円弧DA1,DA2,・・・の位置は、当該分割円弧DA1,DA2,・・・の各弦VC1,VC2,・・・の向きが主走査線52と略一致するように、反射部66によって変換される。
即ち、第1反射部71及び第2反射部72はそれぞれ複数の反射面を有しており、レーザ光のミラー24からの出射角の範囲(所定の回転角度範囲)が複数に分割された分割角度範囲ごとに、光に沿って半導体レーザ22から一定距離離れた点(焦点)が当該分割角度範囲において光の出射角が変化するのに伴って描く軌跡である分割円弧DA1,DA2,・・・の弦VC1,VC2,・・・が、主走査方向Xと同じ方向となるように(主走査方向Xに並ぶように)、光を複数回反射させる。
仮想円弧の位置を主走査線52に一致させるように変換するための具体的な方法について簡単に説明すると、まず、仮想円弧を等間隔に分割することにより複数の分割円弧DA1,DA2,・・・を得る。そして、複数の分割円弧DA1,DA2,・・・のそれぞれに対応した複数の仮想弦VC1,VC2,・・・を得る。そして、複数の仮想弦VC1,VC2,・・・が感光ドラム202上で主走査方向Xに順次に直線状に並ぶように、第1反射部71及び第2反射部72がそれぞれ有する反射面の位置及び向きを定める。
このように主走査線52を形成すると、分割円弧DA1,DA2,・・・の両端2点が主走査線52上に配置され、分割円弧DA1,DA2,・・・(即ち、当該2点を繋ぐ曲線)が、主走査線52よりも光軸方向下流側へと再配置される。レーザ光の焦点は、このように位置が変換された分割円弧DA1,DA2,・・・に沿って移動する。
仮想円弧を分割して複数の分割円弧DA1,DA2,・・・を得ると、分割円弧DA1,DA2,・・・はこれに対応した仮想弦VC1,VC2,・・・に良好に近似する。このため、ミラー24の偏向中心Cから主走査線52上の任意の照射位置までの光路長は、全ての照射位置にわたって略一定となる。分割円弧DA1,DA2,・・・は、対応する仮想弦VC1,VC2,・・・に良好に近似しているので、それぞれの分割円弧DA1,DA2,・・・における焦点の挙動は、主走査線52に沿う等速直線運動と良好に近似する。
分割円弧DA1,DA2,・・・の分割数が増えれば増えるほど、仮想弦VC1,VC2,・・・の中点と分割円弧DA1,DA2,・・・の中点との間の距離が小さくなり、焦点の軌跡が仮想弦VC1,VC2,・・・に近づく。このため、光路長の一定性を高く保つことができる。分割数は、光書込装置32に許容される誤差に応じて適宜に定めることができる。
なお、本実施形態の光書込装置32では、図3及び図4に示すように、それぞれの分割角度範囲において、当該分割角度範囲の一端から他端まで光の出射角が変化したときの光の感光ドラム202への照射位置の軌跡である照射範囲を考えたときに、互いに隣接する分割角度範囲の間で照射範囲が主走査方向Xで一部重複するように意図的に配置している。この構成により、光の走査の連続性を確実に確保することができる。言い換えれば、光の走査の欠けを確実に無くすことができる。
一方で、本実施形態の光書込装置32では、光の走査の重複を無くすために、書込制御部21が、照射範囲が重複している部分において、2つの分割角度範囲の光が選択的に照射されるように、半導体レーザ22からの光の照射を制御している。
本実施形態では、光書込装置32に、半導体レーザ22からの光の照射に関する設定が可能な書込設定部25(図1を参照)が備えられている。この書込設定部25は、それぞれの分割角度範囲において、光の照射が許容される角度範囲が開始する出射角である照射開始出射角と、前記角度範囲が終了する出射角である照射終了出射角と、を設定可能となっている。書込制御部21は、設定されたそれぞれの分割角度範囲における照射開始出射角と、照射終了出射角と、に基づいて、半導体レーザ22からの光の照射、ひいてはミラー24からの光の照射を制御することが可能である。
より具体的には、本実施形態の光書込装置32では、照射範囲が重複している部分において、一側の分割角度範囲における照射終了出射角に対応する照射位置と、他側の分割角度範囲における照射開始出射角に対応する照射位置と、が一致するように、書込設定部25によりそれぞれの分割角度範囲における照射開始出射角と、照射終了出射角と、が設定されている。これらの設定値は、例えば、画像形成装置1の工場出荷時に作業者が行う測定作業に基づいて決定される。この構成により、照射範囲が重複している部分において、2つの分割角度範囲における光の照射が、ある照射位置を基準にして振り分けられるので、光の照射の重複や欠けを防止することができる。
以下では、1回の主走査分のミラー24の角度変更に伴ってレーザ光の出射角が0°から120°まで変化し、仮想円弧を8つの分割円弧DA1,DA2,・・・に等分割して配置転換することにより主走査線52を形成した場合の、レーザ光のON・OFFの制御について、図4を参照して説明する。図4は、照射範囲が重複している部分において、2つの分割角度範囲の光を選択的に照射するように、レーザ光のON・OFFが制御されることを説明する概念図である。なお、図4では、実際には反射部66によって折り曲げられている光路を展開した形で示している。また、図4では、各分割角度範囲に対応する照射範囲を区別して分かり易く示すために、主走査方向Xで隣接する照射範囲同士が上下で位置を異ならせるように描いているが、実際には、複数の照射範囲は主走査線52に沿って一直線状に並んで配置される。
上記の例では、レーザ光の出射角が120°変化することに基づく仮想円弧を8等分しているので、1つの分割円弧DA1,DA2,・・・に相当する出射角の角度範囲は、理論的には15°である。1回の主走査分の照射における瞬時瞬時のタイミングをレーザ光のミラー24からの出射角θ(0≦θ≦120°)で表したとき、例えば、0°≦θ≦15°の照射範囲と、15°≦θ≦30°の照射範囲と、は主走査方向Xで一部重複している。この重複している範囲に含まれる1点の照射位置は、一側の分割角度範囲に含まれる角度であるθ1Bで表すこともでき、他側の分割角度範囲に含まれるθ1Aで表すこともできる。例えば、θ1B=14°、θ2A=16°であったとする。
この場合に、本実施形態では、θ1B<θ<θ2Aの区間ではレーザ光をOFFとし、それ以外の区間で走査を行うように制御する。これにより、走査の重複を防止することができる。
これと同じ考え方で、他の角度範囲の被り代の部分についても、重複する2つの分割角度範囲における光の照射を、重複している範囲に含まれる1点を境界にして振り分ける。従って、図4の例では、θ2B<θ<θ3A及びθ3B<θ<θ4Aの区間においてもレーザ光がOFFとされる(走査が行われない)。
このように、θ1B<θ<θ2A,θ2B<θ<θ3A,θ3B<θ<θ4A,・・・の範囲ではレーザ光をOFFとする一方、それ以外の角度範囲ではレーザ光を通常どおり走査することにより、光が重畳することも途切れることもなく主走査線52に沿って走査することができる。
以下では、ミラー旋回装置80の詳細な構成について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、本実施形態に係るミラー旋回装置80の構成を示す断面図である。図6は、ミラー旋回装置80をターンテーブル82の回転軸線方向で見た様子を示す図である。
上述したように、ミラー旋回装置80は、ミラー24を旋回駆動させるための装置である。また、このミラー旋回装置80は、ミラー24の旋回に伴って光の反射位置が変動するのを抑制することができる。
本実施形態のミラー旋回装置80は、ベース板(カム部材)86、入力軸81、ターンテーブル(回転部材)82、モータ83、支持部材84、ミラー24、カムフォロワ(従動部材)85、リニアガイド(直線案内機構)90、及び付勢機構95等を備える。
ベース板86は、図5及び図6に示すように矩形板状に形成され、その厚み方向を水平に向けた状態で、例えば光書込装置32が備える図示しないフレームに固定される。このベース板86の一側の面には、ループ状のカム溝86aが形成されている。
図5に示す入力軸81は、ミラー旋回装置80に動力を入力するためのものであり、その一端部がベース板86の中央部に相対回転可能に支持されている。本実施形態の入力軸81は長い軸状の部材であり、その軸線を水平方向に向けた状態で設けられる。入力軸81の中途部には、ターンテーブル82の中心部が固定される。従って、ベース板86に対してターンテーブル82が相対回転可能となっている。入力軸81の一端部には、駆動源としてのモータ83が備える出力軸83aがカップリングを介して連結されている。
ターンテーブル82は、円板状の部材である。ターンテーブル82は、モータ83からの動力により、その回転軸線82c(入力軸81の回転軸線)を中心にして回転する。ターンテーブル82には、その回転方向(周方向)に等角度で複数(本実施形態では、6つ)の貫通孔82aが形成されている。貫通孔82aはターンテーブル82を厚み方向に貫通し、当該ターンテーブル82の半径方向に細長い形状に形成される。また、ターンテーブル82には、各貫通孔82aに対応するように、リニアガイド90のレール部91が固定される。このレール部91の延びる方向は、貫通孔82aの延びる方向に一致するように設けられている。
支持部材84は、ミラー24を支持するとともに、カムフォロワ85を回転可能に支持するものである。図5に示すように、支持部材84は、ターンテーブル82の各貫通孔82aを通過するように配置されて、当該貫通孔82aの長手方向に沿ってスライド可能に設けられる。
詳細には、支持部材84は、入力軸81の中心(ターンテーブル82の回転軸線82c)を通る平面で切った断面で見たとき、図5に示すように矩形の2つの角部にターンテーブル82の半径方向外側への突出部84a,84bを付加したような形状を有する。この2つの突出部84a,84bは、ターンテーブル82を挟んで互いに反対側に配置される。
2つの突出部のうちのベース板86側に配置される突出部84aの先端部分には、カムフォロワ85が回転可能に支持されている。カムフォロワ85は、ターンテーブル82の回転軸線82cと平行な回転軸線を中心として回転可能に構成されており、ベース板86のカム溝86aの内部に配置されている。
2つの突出部のうち、ベース板86と反対側に配置される突出部84bの、ターンテーブル82の半径方向外側を向いている端部には、ミラー24が固定されている。ミラー24は、その反射面をターンテーブル82の回転軸線82cとは反対側に向けた状態で、支持部材84に固定されている。
本実施形態のミラー旋回装置80においては図6に示すように、ターンテーブル82の回転軸線82cと平行な向きで見たときに、カムフォロワ85の中心と、ミラー24の反射面の中点と、が一致するように配置されている。
支持部材84の2つの突出部84a,84bの間の部分(矩形の部分)には、リニアガイド90が備えるキャリッジ92が固定されている。キャリッジ92は、前述のレール部91に沿ってスライドする。この構成により、支持部材84はリニアガイド90の案内によりターンテーブル82の半径方向に沿って移動可能である。なお、ターンテーブル82の半径方向(以下、単に「半径方向」と呼ぶ場合がある。)は、当該ターンテーブル82の回転軸線を中心軸とする円柱を仮想的に考えた場合に、当該仮想円柱の半径方向と言い換えることができる。
図6に示すように、ミラー24は、各支持部材84に1つずつ設けられる。従って、本実施形態では、6つのミラー24が設けられる。各ミラー24は、その平面状の反射面をターンテーブル82の半径方向外側に向けた状態で設けられる。ミラー旋回装置80全体として見たとき、ミラー24は正6角形の各辺に対応するように配置されている。
カムフォロワ85は、ベース板86に形成されたカム溝86aに沿って回転しながら移動できるように構成されている。より詳細には、カムフォロワ85は、カム溝86aの側壁のうち入力軸81に近い側の側壁に接触した状態を保ちながら回転し、カム溝86a内を周回する。
図5及び図6に示すように、ベース板86は、そのカム溝86aがカムフォロワ85を収容するように配置される。カムフォロワ85が(後述の付勢機構95により)カム溝86aの側壁のうち入力軸81に近い側の側壁に接触した状態を保ちながら回転することで、支持部材84を周期的に運動させることができ、ひいてはミラー24を周期的に運動させることができる。本実施形態では、カムフォロワ85とベース板86(カム溝86a)とによりカム機構87が構成されているということができる。
リニアガイド90は、ターンテーブル82の各貫通孔82aに対応して設けられ、支持部材84(ミラー24)をターンテーブル82の半径方向に沿って直線的にスライドさせる。
図5及び図6に示す付勢機構95は、支持部材84に回転可能に支持されたカムフォロワ85の外周面を、カム溝86aの内周側の側壁に接触した状態に保持するように、支持部材84を付勢するものである。言い換えれば、付勢機構95は、カムフォロワ85をカム溝86aの側壁のうち半径方向内側の側壁に押し付けるものである。図5に示すように、本実施形態の付勢機構95は、バネ受部材96と、ロッド97と、バネ98と、により構成される。本実施形態では、上記のカム機構87と付勢機構95とにより往復運動機構100が構成されているということができる。
バネ受部材96は、ターンテーブル82の外周部のうち、貫通孔82aが配置されている回転角に対応する位置に、ターンテーブル82の半径方向外側に向かって突出するように取り付けられる、L字型のステーである。バネ受部材96のこのL字の1辺は、支持部材84の矩形の1辺(入力軸81に対して反対側を向いている辺)と対面するように配置されている。バネ受部材96のこのL字の1辺が、一側のバネ受部をなしている。
ロッド97は、概ね丸棒状の部材であり、中途部に太さが部分的に拡大した拡径部を有している。この拡径部は、バネ受部材96のバネ受部よりも入力軸81に近い位置に配置されている。ロッド97は、バネ受部材96のL字の1辺にスライド可能に支持されるとともに、入力軸81に近い側の端部が支持部材84に固定されている。ロッド97の拡径部と、バネ受部材96と、の間に、付勢部材としてのバネ98が配置されている。ロッド97は、バネ98の付勢力により、常に支持部材84を入力軸81側に向かって押している。これにより、カムフォロワ85がカム溝86aの内周面に押し付けられている。
ミラー旋回装置80に備えられるミラー24は、上述したように略正多角形状(本実施形態では、略正6角形状)に配置されている。ミラー旋回装置80が入力軸81を中心にして回転することで、前述の第2折返しミラー64で反射されて一定の向きに入射するレーザ光が、ミラー旋回装置80のミラー24の反射面により偏向される。本実施形態では、レーザ光がミラー旋回装置80の回転中心に向かって下方に入射するように光軸が調整されている。
より詳細に説明すると、ミラー旋回装置80が備える6つのミラー24のうち1つのミラー24に着目し、当該ミラー24の反射面にレーザ光が垂直に入射するときの角度を0°として、ターンテーブル82の回転角を−180°から180°までの角度で表すと、図7から図9までに示すように、当該1つのミラー24は、ターンテーブル82の回転角が−30°から30°までの角度範囲にあるときに、光の偏向手段として機能する。図7から図9までにおいては、着目するミラー24が黒塗りで示されている。
なお、ターンテーブル82の回転角が上記以外の角度範囲にあるときは、着目したミラー24以外の5つのミラー24のうち何れかが光の偏向手段として機能する。このように、ターンテーブル82の回転に伴って、光の偏向手段としての機能を受け持つミラー24が順次切り替わる。
また、レーザ光が入射する位相を0°として、ベース板86のカム溝86aの位相を−180°から180°までの角度で表すと、図7に示すように、カム溝86aのうち−30°から30°までの角度範囲の部分(カム溝86p)は、0°のときが半径方向で最も外側となる小さな円弧状のカムプロフィールを有するように形成されている。従って、ターンテーブル82の回転に伴って光の入射位置を通過するミラー24は、ベース板86のカム溝86pが有する円弧状のカムプロフィールに沿ってカムフォロワ85が半径方向外側に変位することにより、図8に示すようにターンテーブル82の半径方向外側に変位する。
具体的には、レーザ光が入射する0°の位相を、着目する1つのミラー24の反射面の旋回方向先頭側の端部が図7に示すように通過してから、図8に示すように当該ミラー24の反射面の中点が通過するまでの間は、支持部材84(ミラー24)がターンテーブル82の半径方向外側に向かって徐々に変位する。また、0°の位相を当該ミラー24の反射面の中点が通過してから、図9に示すように当該ミラー24の反射面の旋回方向末尾側の端部が通過するまでの間は、支持部材84(ミラー24)がターンテーブル82の半径方向内側に向かって徐々に変位する。このように、第2折返しミラー64からのレーザ光を偏向するミラー24は、ターンテーブル82の回転に連動して半径方向に往復運動する。これにより、光の反射位置が変動するのを抑制することができる。
一方、上記の角度範囲以外の部分のカム溝86qのカムプロフィールは、半径方向の変動がない大きな円弧状となっている。
仮に、ミラー旋回装置80に上述したような往復運動機構100が備えられておらず、各ミラー24が固定的に設けられていたとした場合、各ミラー24は、従来からある公知の正6角形状のポリゴンミラーを単純に回転させた場合と同じ挙動を示す。その場合、ポリゴンミラーの外形は円ではなく正多角形状であるため、ポリゴンミラーの回転中心から光の反射位置までの距離は、ポリゴンミラーの回転角に応じて変動する。従って、仮にミラー旋回装置80において上述したような往復運動機構100が備えられていないとしたら、光の反射位置が半径方向に変動することとなり、光の走査の歪み等が生じることとなる。本実施形態では、この問題点に着目し、上述したように、第2折返しミラー64からのレーザ光を偏向する位置にあるミラー24を、ターンテーブル82の回転に連動して半径方向に往復運動させることとしている。そのために、本実施形態では、−30°から30°までの角度範囲のカム溝86pに、上記の円弧状のカムプロフィールを適用している。
以下では、−30°から30°までの角度範囲においてベース板86のカム溝86pが備えるカムプロフィールについて、図7を中心に参照して詳細に説明する。
図7においてレーザ光は上から入射するが、光の反射位置を変動させないためには、着目するミラー24が図7から図8を経由して図9に至るどの状態でも、光がミラー24に当たる点Rが変化しないようにする必要がある。言い換えれば、ミラー24の反射面が常に固定点Rを通る必要がある。なお、ミラー24がなす正6角形の1辺の長さをLとする。
ところで、図7において、ターンテーブル82の回転軸線82c(回転中心O)とミラー24の反射面の中点Mとを結ぶ線分OMを考えると、当該線分OMと、点Rを通過するミラー24の反射面と、がなす角度は常に90°である(言い換えれば、∠OMR=90°)。従って、円周角の定理の逆により、そのような条件を満たす点Mの軌跡は、線分ORを直径とする円弧となることが明らかである。
本実施形態において、カムフォロワ85の中心は、ミラー24の中点Mと一致するように配置されている。従って、カム溝86pのカムプロフィールは、線分OR(長さL)を直径とする円弧に基づき、カムフォロワ85の半径等を考慮して定めればよい。これにより、ターンテーブル82の回転により光の入射位置に差し掛かったミラー24が、半径方向に順次往復運動することで、光の走査の歪みを実質的に回避することができる。
一方で、−30°から30°以外の角度範囲においては、ミラー24を往復運動させる必要がない。従って、当該角度範囲におけるカム溝86qのカムプロフィールは、ミラー24の中点Mの軌跡が、ミラー24がなす正6角形の内接円と一致するように定めればよい。
図7の状態で、回転中心Oとミラー24との距離は、幾何学的関係により、√3・L/2である。一方、図8の状態では、回転中心Oとミラー24との距離はLである。従って、ミラー24の半径方向の往復ストロークは(1−√3/2)・Lであり、これは、ミラー24を1辺とする正6角形の外接円の半径と、当該正6角形の内接円の半径と、の差に等しくなる。更に言えば、ミラー24の反射面の中点Mは、図7及び図9の状態では前記正6角形の内接円上に位置し、図8の状態では前記正6角形の外接円上に位置する。
以上に説明したように、本実施形態のミラー旋回装置80は、ターンテーブル(回転部材)102と、複数のミラー(平面ミラー)24,24,・・・と、カム機構87及び付勢機構95により構成される往復運動機構100と、を備える。ターンテーブル82は、回転可能に支持される。複数のミラー24,24,・・・は、ターンテーブル82の回転方向に等角度で配置され、それぞれが、ターンテーブル82の回転軸線を中心軸とする仮想円柱の半径方向外側にその平面状の反射面を向けた状態でターンテーブル82とともに回転し、かつ、それぞれが前記半径方向に平行移動可能である。カム機構87及び付勢機構95により構成される往復運動機構100は、ある位相(光の入射位置)をミラーの24の反射面の回転方向一側の端部が通過してから、当該位相を前記反射面の回転方向他側の端部が通過するまでに、当該ミラー24を前記半径方向外側へ移動させた後に、半径方向内側へ移動させるように、ターンテーブル82の回転に連動してそれぞれのミラー24を順次往復運動させる。
これにより、所定の位相に光を入射させた場合に、ターンテーブル82の回転とともに光の入射位置を通過するミラー24が連動して往復運動することにより、光の反射位置が変動するのを抑制することができる。よって、単純に従来からあるポリゴンミラーを回転させる構成において生じていた走査の歪み等を低減することができる。また、複数のミラー24,24,・・・を一体的に運動させずに、それぞれのミラー24を往復運動させるので、慣性力による位置精度の低下や振動等の問題を抑制することができる。
また、本実施形態のミラー旋回装置80においては、図7から図9までに示すように、複数のミラー24,24,・・・がなす正多角形の辺の数で360°を除算した角度(60°)だけミラー24が回転する間に、当該ミラー24の反射面の中点Mが、1つの平面ミラー24を1辺とする正6角形の内接円上の位置から、当該正6角形の外接円上の位置まで移動し、更に当該正6角形の内接円上の位置まで移動する。
これにより、光の反射位置の変動を良好に低減することが可能となる。
また、本実施形態のミラー旋回装置80においては、往復運動機構100はカム機構87を含む。カム機構87は、カムフォロワ(従動部材)85と、共通のベース板(カム部材)86と、を備える。カムフォロワ85は、ミラー24,24,・・・に対応して配置される。共通のベース板86には、複数のカムフォロワ85が接触する。
これにより、ベース板86のカムプロフィールを適切に定めることで、光の反射位置の変動を実質的に無くすことが可能となる。また、共通のベース板86を用いることで、構成が簡素となるとともに、複数のミラー24,24,・・・の往復運動を容易に揃えることができる。
また、本実施形態のミラー旋回装置80は、ベース板86において、ミラー24を往復運動させる部分(カム溝86p)のカムプロフィールは円弧状に形成されている。
これにより、単純な円弧の形状のカムプロフィールを採用することにより、光の反射位置の変動を無くすことができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記の実施形態では、回転部材は円板状のターンテーブル82であるものとしたが、その形状は円板状に限るものではなく、例えばこれに代えて、放射状のアームを等角度に有する形状としてもよい。その場合、各アームにミラー24が往復運動可能に備えられているものとすることができる。
上記の実施形態では、従動部材は回転可能なカムフォロワ85であるものとしたが、必ずしもこれに限るものではなく、例えばこれに代えて、従動部材を回転不能な突起状のものとしてもよい。即ち、従動部材はカム部材に接触して案内されるものであればよい。
上記の実施形態では、ベース板86は、ターンテーブル82の回転軸線82cに近い側と遠い側とに1対の側壁を有するカム溝86aを有するものとしたが、必ずしもこれに限るものではない。例えば、カムフォロワ85が押し付けられる側と反対側の側壁を省略することもできる。
上記の実施形態の付勢機構95に代えて、例えば、入力軸81と支持部材84との間に引張バネを設けることで、カムフォロワ85をカム溝86aの内周側の側壁に押し付けても良い。
カムフォロワ85を半径方向内側でなく、半径方向外側に付勢して、カム溝86aの外周側の側壁に押し付けるように変更することができる。
上記の実施形態では、ミラー旋回装置80は6つのミラー24,24,・・・を備えるものとしたが、ミラーの数はこれに限るものではなく、これより多くても少なくてもよい。また、ミラー旋回装置80に備えられる複数のミラーは、当該複数のミラーの数に応じた正多角形状に配置されていればよく、上述したような正6角形状に配置されるものに限定されるものではない。なお、ある数(N個)のミラーを正N角形状に配置する構成とした場合、当該正N角形の1辺に相当する中心角(360/N)°だけミラーが回転する間に当該ミラーが半径方向の往復運動を1回行うものとすればよい。
ミラー旋回装置80に光が入射する方向、ターンテーブル82の回転軸線82cの方向は、画像形成装置1のレイアウト等に応じて適宜変更することができる。
上記の実施形態においては、ミラー旋回装置80は、画像形成装置1の光書込装置32に備えられるものとしたが、これに限るものではなく、例えばソーラーパネル等の製造時に表面を加工するために用いられる光照射装置に備えられていてもよい。あるいは、検知対象の光の入射角を変更させながら読み取る光読取装置に、本発明のミラー旋回装置80を適用してもよい。