JP6789563B2 - 繊維処理用組成物及び当該組成物で処理された繊維製品 - Google Patents
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Description
尚、繊維処理用組成物とは具体的には浸漬、コーティング、スプレーその他の方法で繊維を加工処理するために調合された処理液のことをいう。
(A)下記式(1)〜(4)のいずれかの構造を有する第4級アンモニウム塩の少なくとも一種類と、
(B)フッ素を含まないはっ水剤、
とを含有する繊維処理用組成物に関する。
(a)前記のいずれかに記載の繊維処理用組成物で繊維を浸漬、コーティング、スプレーその他の方法で処理する工程と、
(b)前記工程の後、100℃以上の温度で熱処理する工程と、を含む、繊維製品のはっ水加工方法に関する。
本発明の繊維処理用組成物は、(A)特定の第4級アンモニウム塩の少なくとも1種と(B)フッ素を含まないはっ水剤とを含む。本発明における(A)第4級アンモニウム塩は、下記式(1)〜(4)で表される第4級アンモニウム塩の少なくとも1種類を含む。
R2,R3,R4はそれぞれ独立に選択されるメチル基又はエチル基であり、これら3つの置換基は互いに同じでも異なっていてもよい。
X−は1価のアニオンであり、フッ素以外のハロゲン化物イオン(Cl−、Br−、I−)、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等が挙げられる。
R6は水素、メチル基又はエチル基を示す。
R8は水素、メチル基又はエチル基を示す。
R10は水素、メチル基又はエチル基を示す。
Yは炭素数3〜9のアルキレン基又は−CH2CH2OCH2CH2−であり、アルキレン基の場合、炭素数4〜6であることがより好ましい。またアルキレン基にメチル基や水酸基のような置換基を有してもよい。
また、アニオンは1種のみを用いても複数のアニオンを併用しても構わない。
フッ素を含まないはっ水剤とは、分子の構造中にフッ素原子を含まず、かつ繊維に付与した時にはっ水性を発揮するものであれば特に制限されない。具体的には、ステアリル基のような長鎖アルキル基を持つ(メタ)アクリレートを60重量%以上含むアクリル系共重合体、パラフィンワックス、メラミンワックス、高級脂肪酸エステル系化合物、高級脂肪酸アミド系化合物、アルキレン尿素系化合物、アルキルケテンダイマー、ジルコニウム系化合物の他、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、アミノ変性シリコーンのようなシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中では、長鎖アルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを60重量%以上含むアクリル系共重合体、パラフィンワックス、高級脂肪酸エステル系化合物、シリコーン樹脂がより好ましいが、これに限定されるものではない。また、フッ素を含まないはっ水剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
炭素数12以上のアルキル基は鎖状アルキル基でも環状アルキル基であってもよく、鎖状アルキル基は、直鎖でも分岐を有してもよいが、鎖状で直鎖のものがより好ましい。例えば、ラウリル基、ミリスチル基、ステアリル基、イソステアリル基、ノニルフェニル基等が挙げられる。
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと共重合する重合性単量体としては例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸グリシジル、N−ビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限ったものではない。
また、1段目と2段目の熱処理は通常同じ機構の装置を用いるが、異なる機構の装置を使っても良い。
<第4級アンモニウム塩の製造>
製造例1:n−ブチルトリメチルアンモニウム=ブロミドの合成
オートクレーブにトルエン 100g、n−ブチルジメチルアミン 101g、ブロモメタン 95gを混合して密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、60℃で24時間反応させた後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 180gを得た。
オートクレーブにテトラヒドロフラン 100g、1−クロロヘキサン 120gを入れて密閉し、内部を100mmHg未満まで減圧した後、撹拌下、100℃で30%トリメチルアミン水溶液 200gを滴下しながら反応させる。反応後、減圧下テトラヒドロフラン及びトリメチルアミンを留去した後ノルマルヘキサン 100gを加えて未反応物を抽出し、水層を集めて、乾燥し、目的物 140gを得た。
オートクレーブにノルマルヘキサン 100gとnーオクチルジメチルアミン 157gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、硫酸ジエチル 160gを滴下しながら、30〜40℃で24時間反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 300gを得た。
オートクレーブにトルエン 100g、1−ブロモオクタン 193g、ピリジン 79gを入れて密閉し、内部を100mmHg未満に減圧した後、撹拌下、100℃で24時間反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 250gを得た。
オートクレーブにトルエン 100g、塩化ベンジル 126g、ピリジン 79gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、60℃で24時間反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 170gを得た。
オートクレーブにトルエン 100g、1−メチルイミダゾール 82g、2−エチル−1−ブロモヘキサン 193gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、80℃で24時間反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 250gを得た。
オートクレーブにトルエン 100g、1−メチルピペラジン 99g、1−ヨーディドヘキサン 211gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、60℃で24時間反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 280gを得た。
オートクレーブにノルマルヘキサン 100g、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン 127gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、ジメチル硫酸 126gを40℃で滴下しながら反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 230gを得た。
オートクレーブにテトラヒドロフラン 100g、塩化ベンジル 126g、n−オクチルジメチルアミン 157gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、50℃で24時間反応させる。反応後、乾燥して溶剤を除去し、乾燥物をノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 250gを得た。
オートクレーブにトルエン 100g、1−クロロデカン 176g、1−メチルイミダゾール 82gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、100℃で24時間反応させる。反応後、乾燥して溶剤を除去し、乾燥物をノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 290gを得た。
オートクレーブにテトラヒドロフラン 100g、4−メチルモルホリン 101gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、ジメチル硫酸 126gを滴下しながら40℃で反応させる。反応後、乾燥して溶剤を除去し、乾燥物をノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 200gを得た。
氷水に浸した500mlフラスコに水 206gを入れ、撹拌しながら水酸化カリウム 56gを溶解させ、次いでJP−502(城北化学工業株式会社製 エチルアシッドホスフェート) 109gを内温が50℃以下となるように滴下し、有効成分 40%の目的物 370gを得た。
1.非フッ素系はっ水剤B−1(長鎖アルキル基を持つアクリル系共重合体)
500mLフラスコに、オクタデシルアクリレート70g、スチレン28g、N−メチロールアクリルアミド2g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド1g、ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル6g、ポリオキシエチレン(21モル)ラウリルエーテル2g、ドデシルメルカプタン0.1g、ジプロピレングリコール30gを入れ、50℃に加温して均一に撹拌した後、イオン交換水224.7gを滴下しながら50℃にて高速撹拌により乳化分散させ混合液を得た。その後、40℃に保ちながら高圧ホモジナイザーを用いて、40MPaにて処理し乳化液を得た。乳化液を還流冷却管を取り付けた500mL3口フラスコに移し、室温に冷却した後、アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩0.3gを加え、窒素雰囲気下で60℃にて10時間ラジカル重合を行い、ポリマー濃度30重量%を含む生成物 364gを得た。
300mlフラスコに140Fパラフィン 100g、低融点酸化ポリエチレン 20g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド 2g、ポリオキシエチレン(10モル)ヘキサデシルエーテル 12g、水酸化カリウム 0.6gを加え、80℃で加熱溶融して均一に撹拌した後、溶融液を1000mlビーカーに80℃に加熱した水350gの中にホモミキサーで5000rpmで撹拌しながら加えて乳化する。40℃まで冷却後、酢酸ジルコニル 20gを加えて固形分30%の乳化液 500gを得た。
300mlフラスコに140Fパラフィン 104g、ベヘン酸ジグリセリド 30g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド 2g、ポリオキシエチレン(7モル)ヘキサデシルエーテル 8g、ポリオキシエチレン(12モル)ヘキサデシルエーテル 6g、水酸化カリウム 0.6gを加え、80℃で加熱溶融して均一に撹拌した後、溶融液を1000mlビーカーに80℃に加熱した水350gの中にホモミキサーで5000rpmで撹拌しながら加えて乳化する。40℃まで冷却し、固形分30%の乳化液 500gを得た。
500mlフラスコにメチルハイドロジェンポリシロキサン 150g、ココアルキルトリメチルアンモニウムクロライド 1g、ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル 5g、ポリオキシエチレン(15モル)ラウリルエーテル 5g、イオン交換水 340gを入れ、50℃にて高速撹拌により乳化分散させ混合液を得た。その後、40℃に保ちながら高圧ホモジナイザーを用いて、40MPaにて処理し、固形分30%の乳化液 500gを得た。
非フッ素系はっ水剤(B−1) 50g/L、メイカネートFM−1(明成化学工業株式会社製 ブロックトイソシアネート系架橋剤) 10g/L、製造例1〜12の第4級アンモニウム塩他を有効成分3g/Lとなるように水で希釈したはっ水剤加工液(繊維処理用組成物)を調整し、実施例1〜8及び比較例1〜10のはっ水剤加工液を得た。組成を表2に示す。
各はっ水剤加工液を、ポリエステルタフタ布にパティングし、2本のゴムローラーでニップ(ピックアップ35%)し、110℃にて1分間乾燥させた後、170℃にて1分間熱処理を行って評価布を作成した。得られた評価布を用いてはっ水性をJIS L 1092.2009.7.2のスプレー法にて評価した。評価布は、いずれの場合も洗濯後自然乾燥を行った。なお、はっ水性は、表1に示す1〜5の5段階の数値にて表記し、数字に+(−)の付いた場合、その数字の評価よりもわずかに良い(悪い)ことを示す。評価結果を表2に示す。
作成した評価布を洗濯回数0回(HL−0)とし、JIS L 1092.98.5.2a)3)c)に記載の洗濯方法に準じて洗濯を10回(HL−10)行い、釣り干し乾燥後、同様にはっ水性を評価した。結果を表2に示す。
はっ水性の評価と同様に加工したポリエステルタフタ布をJIS L 1094.97.5.2法に記載の方法に準じて、タテ方向、被摩擦布:綿、RH=40%で摩擦帯電圧を測定した。結果を表2に示す。
はっ水加工に用いた液300mlを500mlビーカーに入れて35℃ に加温し、更にディスパーTL(明成化学工業株式会社製 アニオン系染料分散剤)を0.03g添加し、卓上型ホモミキサーを使用して、試験液を2500rpm×5分撹拌後、ポリエステル濃色布でろ過を行ない、ろ過布を風乾した。布上に残ったスカムの量により安定性を評価した。評価基準は、スカムが多量に認められるものを1級、スカムが殆ど認められないものを5級とする、5段階評価とした。結果を表2に示す。
実施例に対して、炭素数が小さいアルキル基や芳香環を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例1〜4、7)は帯電防止性が十分でなかった。炭素数が大きいアルキル基を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例5、6)ははっ水性を大きく阻害した。第4級アンモニウム塩以外の帯電防止剤を用いた例(比較例8、9)ははっ水性が十分でなく、加工液の安定性が不良であった。
非フッ素系はっ水剤(B−2) 50g/L、メイカネートFM−1(明成化学工業株式会社製 ブロックトイソシアネート系架橋剤) 10g/Lを使用し、表3に示す各第4級アンモニウム塩他を有効成分3g/Lとなるように水で希釈したはっ水剤加工液を調整し、実施例9〜12及び比較例11〜16のはっ水剤加工液(繊維処理用組成物)を得た。組成を表3に示す。
各はっ水剤加工液を使用して、はっ水剤B−1のときと同様にポリエステルウーリータフタを加工し、はっ水性、摩擦帯電圧及び安定性を評価した。その結果を表3に示す。
実施例に対して、炭素数が小さいアルキル基や芳香環を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例11〜13)は帯電防止性が十分でなかった。炭素数が大きいアルキル基を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例14)ははっ水性を大きく阻害した。第4級アンモニウム塩以外の帯電防止剤を用いた例(比較例15)ははっ水性が十分でなく、加工液の安定性が不良であった。
非フッ素系はっ水剤(B−3) 50g/L、メイカネートFM−1(明成化学工業株式会社製 ブロックトイソシアネート系架橋剤) 10g/Lを使用し、表4に示す各第4級アンモニウム塩他を有効成分3g/Lとなるように水で希釈したはっ水剤加工液を調整し、実施例13〜16及び比較例17〜22のはっ水剤加工液(繊維処理用組成物)を得た。組成を表4に示す。
各はっ水剤加工液を使用して、はっ水剤B−1のときと同様にポリエステルウーリータフタを加工し、はっ水性、摩擦帯電圧及び安定性を評価した。その結果を表4に示す。
実施例に対して、炭素数が小さいアルキル基や芳香環を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例17〜19)は帯電防止性が十分でなかった。炭素数が大きいアルキル基を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例20)ははっ水性を大きく阻害した。第4級アンモニウム塩以外の帯電防止剤を用いた例(比較例21)ははっ水性が十分でなく、加工液の安定性が低かった。
非フッ素系はっ水剤(B−4) 50g/L、亜鉛系触媒 5g/Lを使用し、表5に示す各第4級アンモニウム塩他を有効成分3g/Lとなるように水で希釈したはっ水剤加工液を調整し、実施例17〜20及び比較例23〜28のはっ水剤加工液(繊維処理用組成物)を得た。組成を表5に示す。
各はっ水剤加工液を使用して、はっ水剤B−1のときと同様にポリエステルウーリータフタを加工し、はっ水性、摩擦帯電圧及び安定性を評価した。その結果を表5に示す。
実施例に対して、炭素数4のアルキル基を4つ有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例23)、芳香環を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例24)は帯電防止性が十分でなかった。炭素数が大きいアルキル基を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例25)ははっ水性を大きく阻害した。炭素数が低い第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例26)は帯電防止性が十分でなかった。第4級アンモニウム塩以外の帯電防止剤を用いた例(比較例27)ははっ水性及び加工液の安定性が劣っていた。
Claims (7)
- (A)下記式(1)〜(4)のいずれかの構造を有する第4級アンモニウム塩の少なくとも一種類と、
(B)フッ素を含まないはっ水剤と、
を含有する繊維処理用組成物。 - 前記R1、R5、R7及びR9の炭素数が6〜8である、請求項1に記載の繊維処理用組成物。
- 前記(B)フッ素を含まないはっ水剤が、炭素数12以上の長鎖アルキル基を持つ(メタ)アクリレートを60重量%以上含むアクリル系共重合体、パラフィンワックス、メラミンワックス、高級脂肪酸エステル系化合物、高級脂肪酸アミド系化合物、アルキレン尿素系化合物、ジルコニウム系化合物及びシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の繊維処理用組成物。
- 前記(B)フッ素を含まないはっ水剤が、炭素数12以上の長鎖アルキル基を持つ(メタ)アクリレートを60重量%以上含むアクリル系共重合体、パラフィンワックス、高級脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の繊維処理用組成物。
- 前記X−が、フッ素以外のハロゲン化物イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維処理用組成物。
- (a)請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維処理用組成物で繊維を処理する工程と、
(b)前記工程の後、100℃以上の温度で熱処理する工程と、を含む、繊維製品のはっ水加工方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維処理用組成物で処理された、はっ水性を付与された繊維製品。
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