JP6788350B2 - 多軸慣性センサを用いた手首装着型歩数計 - Google Patents

多軸慣性センサを用いた手首装着型歩数計 Download PDF

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Description

本発明は、歩数計に関し、より具体的には、ユーザの手首に装着される多軸慣性センサを用いた歩数計に関する。
歩数計は、ユーザによって保持又は装着され、ユーザが行った歩数をカウントする電子デバイスとしてよく知られている。通常、近頃の歩数計は、歩数計の移動を検出するために、例えば1つ又は複数の加速度センサのような慣性センサを使用している。歩数計は、ユーザの胴に、例えばベルトや襟上にクリップされるかポケットに収められるなどして、装着されることも多い。ユーザの胴回りに装着された場合、慣性センサに加わる主な力は、ユーザによって行われる足の運びと関連している。従って、慣性センサによって受け取られる信号を解析することによって、比較的容易にユーザによって行われる足の運びを検出し、歩数をカウントすることができる。
しかしながら、歩数計がユーザの手首に装着されて使用される場合、歩数計は、例えば、手首の移動によって生じる更なる大きな力を受けることになる。加えて、手首装着型歩数計の方向は、ユーザが歩行又は走行するとき、例えばひじを曲げた場合に大きく変化することがある。したがって、ユーザの手首に装着された手首装着型歩数計では、胴部に装着された歩数計に比べて、歩数を検出しカウントすることはより多くの複雑さを伴うという問題点があった。
本発明に記載の手首装着型歩数計は、多軸慣性センサを備える。多軸慣性センサの各軸の信号が受け取られ、どの軸が安定した周期的な信号を出力しているかが判定するために独立に解析され、その安定した周期的な信号を出力する軸が歩数のカウントに用いられる軸であるカウント軸として選び出される。更に歩数計はそのカウント軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定する。ユーザの歩数は、例えば、検出されたピークやピーク間隔のような検出されたイベントに基づいてカウントされる。カウント軸が足の運びを記録している場合には、検出されたイベント毎に1歩をカウントし、カウント軸が腕の動きを記録している場合には、検出されたイベント毎に2歩をカウントする。選び出されたカウント軸の安定性が失われたときには、安定した周期的な信号を出力する他の軸がカウント軸として選ばれる。
一実施形態としては、手首装着型の歩数計を用いて歩数をカウントする方法であって、歩数計に内蔵された多軸慣性センサの各軸からの信号を受け取るステップと、多軸慣性センサの各軸からの各信号におけるピークを検出するステップと、多軸慣性センサの各軸からの各信号におけるピーク間隔を算出するステップと、ピーク間隔に基づいて、安定した周期的な信号が得られる第1軸を決定するステップと、安定した周期的な信号が得られる第1軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定するステップと、安定した周期的な信号が得られる第1軸が腕の動きを記録している場合には、検出されたイベント毎に歩をカウントし、安定した周期的な信号が得られる第1軸が足の運びを記録している場合、検出されたイベント毎に歩をカウントするステップを含む。
一実施形態としては、歩数を数えるための手首装着型歩数計であって、各軸毎に信号を出力する多軸慣性センサと、多軸慣性センサに結合されたプロセッサとを備え、プロセッサが、歩数計の内部の多軸慣性センサの各軸からの信号を受け取り、プロセッサが、多軸慣性センサの各軸からの各信号のピークを検出し、多軸慣性センサの各軸からの各信号のピーク間隔を算出し、ピーク間隔に基づいて安定した周期的な信号が得られる第1軸を判別し、安定した周期的な信号が得られる第1軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定し、安定した信号が得られる第1軸が腕の動きを記録しているときは検出されたイベント毎に歩を、安定した信号が得られる第1軸が足の運びを記録しているときは、検出されたイベント毎に歩をカウントするように構成される。
上記構成によれば、ユーザの手首に装着される歩数計である手首装着型歩数計によって、ユーザの歩数をカウントすることが可能となる。
多軸慣性センサを具備する手首装着型歩数計 手首装着型歩数計を装着し歩行しているユーザ ユーザの歩行時における一定時間にわたる歩数計の慣性センサの3軸から出力される信号 手首装着型歩数計を用いた歩数カウントのプロセスを示すフローチャート 手首装着型歩数計を用いた歩数カウントの別プロセスを示すフローチャート 多軸慣性センサとコントロール部を備える手首装着型歩数計のブロック図 本明細書に記載の方法を実施するために用いられる歩数計におけるコントロール部のコンポーネントの模式図
図1は、多軸慣性センサ110を備える手首装着型歩数計100を示す。リストバンドの一部は歩数計の横から広がるように図示されている。慣性センサ110は歩数計100の内部に収められるため、破線で図示されている。多軸慣性センサ110は、例えば、3軸(ここでは、それぞれの軸をX軸、Y軸、及びZ軸と表記する)加速度センサであるとよい。歩数計100は破線で書かれた内部コントロール部120も備え、内部コントロール部120には、プロセッサやメモリ等も含まれる。歩数計100は、歩数、走行距離、及び時間等の情報を表示し、ユーザ入力のためのタッチパッドとして働くユーザインタフェース102を備えることもある。所望によって、歩数計100はユーザ入力のための物理的なボタン(図示せず)を具備することもある。
図2は、歩行時の手首に手首装着型歩数計100を装着しているユーザ90を示す。説明のために、ユーザ90はさらに胴に歩数計92を装着している。歩数計92によって検出される力は、主として鉛直方向の力(矢印92vで図示される)であって、鉛直方向の力はユーザ90の前進に伴って生じる。言い換えれば、重力や一歩ごとのユーザの上下動に伴う力に加え、歩数計92に備えられた慣性センサはユーザの足が地面に着いたときの衝撃を検出する。歩数計92は、ユーザの胸部に取り付けられるため、左右の足が地面についたときの衝撃を両方とも検出することができる。
一方で、手首装着型歩数計100は、ユーザの腕と共に動くため、慣性センサの1つの軸が、ユーザの前進に伴う鉛直方向の力(矢印100vで図示される)を検出し、慣性センサの他の軸がユーザの腕の振りに関連する水平方向の力(100hで示される)を検出する。さらに、例えばユーザが歩行と走行の間を移行するときのように、単に腕を曲げることによって、ユーザが歩数計100の方向を変えることもあり、それによって、鉛直方向の力、水平方向の力を検出する慣性センサの軸の変更が生じる。
例として、図3は、ユーザ90が歩行しているときの一定時間にわたる歩数計100の慣性センサ110によって出力された信号300、310、320を示している。信号300、310、及び、320は、歩数計100に内蔵された慣性センサ110のX軸、Y軸及びZ軸によって、各々出力されたものとして図示されている。例として、慣性センサ110のX軸は前進に伴う鉛直方向の力に敏感であり、慣性センサ110のY軸は歩数計100が装着されたユーザの腕の振りと関係づけられる水平方向の力に敏感である。Z軸は水平及び鉛直方向の力を受けず、それ故、Z軸は、ノイズを伴う信号320を発生するように図示されている。
歩行や走行は、繰り返し行うことのできる身体運動であり、したがって、図3に図示されるように、X軸及びY軸から信号300及び310はそれぞれ周期的である。図示されているように、Y軸からの信号310の周期は、X軸からの信号の周期よりも2倍長い。周期の差は、鉛直方向の力に敏感な軸からの信号(例えば図3に示されるようにX軸からの信号300)には、1周期につき1歩が存在するのに対し、水平方向に敏感な軸からの信号(例えば図3に示されるようにY軸からの信号310)には、1周期につき2歩が存在するためである。
歩数計100は独立に慣性センサ110のそれぞれの軸からの信号を分析し、どの軸が安定した周期的な信号を出力しているかを判定する。安定した周期的な信号を出力する軸は、カウント軸、すなわち、歩数をカウントするために使われる軸として、選択される。さらに、歩数計は、カウント軸が腕の動き又は足の運び(footstep)のどちらを検出しているかを判定する。ユーザの歩数は、カウント軸からの信号に基づいてカウントされ、カウント軸は足の運びを記録しているのであれば、検出されたイベント毎に1歩が用いられ、カウント軸は腕の動きを記録しているのではれば、検出されたイベント毎に2歩が用いられる。カウント軸の信号の周期性が消えた場合には、安定な信号を出力する他の軸がカウント軸として選ばれ、新しいカウント軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかが判定される。歩数のカウントは新しいカウント軸からの信号を用いて継続される。
図4は歩数計100によって採用されうる手首装着型歩数計のよる歩数カウントのプロセスを図示するフローチャートである。図示されるように、手首装着型歩数計に内蔵された慣性センサの各軸から信号が受け取られる(402)。所望ならば、信号は、例えば、移動平均フィルタ又は信号をスムーズにする他の所望のフィルタによって、フィルタされうる。多軸慣性センサの各軸からの信号においてピークが検出される(404)。信号におけるピーク検出の方法は周知のものでよい。例としては、ピーク最大値は信号の方向が変化するとき求めることができる。例えば、信号Xでは、それぞれの点において、Δx=X(t)−X(t−1)を算出することができ、ここではΔxはXの方向を示す。すなわち、Δx≧0であれば、Xは増加方向へ進んでおり、そうでなければ、Xは減少方向に進んでいる。したがって、Δxが正から負に変わるとき、X(t−1)は検出されたピークととらえることができる。ピークを検出する他の方法としては、2次の差分を用いる。例えば、信号Xでは、1次の差分は、それぞれのサンプリング点において計算することが可能である。
Figure 0006788350
であれば、極大点(ピーク)又は極小点(谷)が存在する。2次差分ΔΔxを計算することによって、その点が極小点(谷)、すなわちΔΔx≧0であるかどうか、又は、その点が極大点(ピーク)、すなわちΔΔx≦0であるかどうかを判別することができる。ピーク検出の他の方法も利用することが可能である。例えば、ピークを、所定の最小値を超えるスロープを有して下方へ進みゼロを交差する信号の一次微分に基づいて見つけることが可能である。所望であれば、所定の振幅閾値よりも元のデータの値が大きい点にのみピーク最大値が存在するようにしてもよい。例として、図3には、信号300、310、320では検出されたピークが「x」を付けて示されている。各々の信号のピークは、いかなる所望の方法によって検出されてもよい。
各々の軸のピーク間隔が算出され(405)、ピーク間隔に基づいて、安定した周期的な信号を持つ軸が判別される(406)。このように、各軸に対して、ピーク間隔の時系列データが求められる。例えば、図3に示されるように、X軸の信号300の時系列データは、IX,IX,IX,IX,IX...と表される:Y軸の信号310の時系列データはIY,IY,IY,IY,IY...と表される:Z軸の信号320の時系列データはIZ,IZ,IZ,IZ,IZ...と表される。規定数のピーク間隔データが解析に用いて、周期の安定性が判定される。図3に示されるように、例えば、各軸に対して安定性を決定するために、最近の5つのピーク間隔が、移動窓(ムービング・ウィンドウ)を用いて解析される。もちろん、所望であれば、ピーク間隔の所定の数は5より多くても少なくてもよい。一実施形態としては、各軸に対して、最近の所定の数のピーク間隔の標準偏差を求め、所定の閾値Tと比較し、その軸が安定した周期的な信号を出力しているかを判定する。所望であれば、安定性を調べるために、他の尺度を用いてもよい。例えば、安定性を周波数ドメインで決定づけることもできる。周波数ドメインにおいて、移動窓の中での信号の周波数の稠密度は安定性を間接的に示している。図に示されるように、図3においては、X軸は、所定の数の、例えば5つの、連続した安定した間隔を示す第1軸である。従って、X軸がカウント軸、すなわち歩数をカウントするために用いられる軸として使用される。
移動窓を用いて、X軸からの信号300の周期の安定性を連続的に監視することもできる。すなわち、最近の所定数のピーク間隔を解析することで、Xからの周期的な信号が安定しているかを判定し、又はいつからもはや安定しなくなったかを判定することができる。例えば、最近の所定数のピーク間隔の標準偏差を連続的にアップデートし、所定の閾値Tと比較して、その軸が安定した周期的な信号を出力し続けているかどうかを調べる。所望であれば、一旦、安定軸が決まると、その軸が安定した周期的な信号を出力し続けているかどうかを調べるために、異なった(例えば、減少した)閾値を設けてもよい。さらに、他の残りの軸を連続的に監視し、これらの軸が安定した周期的な信号を出力しているかを判定してもよい。
図4に示されるように、安定した周期的な信号を出力している軸が、腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかが判定される(408)。カウント軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかの判定が行われることによって、その結果、その軸が腕の動きを記録しているのであれば、検出されたイベント毎に歩をカウントし、その軸が足の運びを記録しているのであれば、検出されたイベント毎に歩をカウントするように構成される。検出されたイベントは、信号の各ピーク又は信号のピークの間隔であればよい。カウント軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかは、例えば、カウント軸の周期に基づいて判定される。腕の動きの1周期には、2歩の足の運びが存在する。従って、カウント軸の周期を、例えば、他の信号の安定軸からの信号の周期と比較することで、カウント軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判別することができる。例えば、一実施形態としては、カウント軸からの信号のピーク間隔を求め、安定した周期的な信号が得られる任意の軸からの周期の最小値に基づいて、最小周期時間長を求めることができる。カウント軸の周期を最小周期時間長と比較することができる。もし、カウント軸が最小周期時間長よりも極めて大きい、例えば約2倍大きいのであれば、カウント軸は腕の動きを記録し、そうでなければカウント軸は足の運びを記録している。
上述した通り、カウント軸の信号の周期の安定性は連続的に監視されている。他の軸の安定性もまた、連続的に監視されている。もし、カウント軸が安定性を失う、例えば、最近の所定数の間隔の標準偏差が所定の閾値を下回れば、安定した周期的な信号が得られる異なる軸の検索が行われる。例えば、残りの軸各々に対して、最近の所定数の間隔の標準偏差が求められ、所定の閾値Tと比べられ、安定した周期的な信号を出力しているかどうかを判定する。もし安定した周期的な信号を出力しているのであれば、その軸がカウント軸となる。
所望であれば、現在のカウント軸の不安定性を検出した後異なるカウント軸を検索するよりも、現在のカウント軸とは異なる軸が現在のカウント軸よりもより安定となった場合にその異なる軸がカウント軸として選ばれるようにしてもよい。例えば、現在のカウント軸及び異なる軸の安定性を求め、互いに比較し、もし、異なる軸の安定性が大きければ、その場合に、その異なる軸がカウント軸として選ばれるようにすることもできる。所望であれば、所定の閾値の分だけ異なる軸の安定性が現在のカウント軸の安定性を超過する必要があるようにすることもできる。上述の通り、現在のカウント軸とそれ以外の別のカウント軸の安定性は、最近の所望の数のピーク間隔の標準偏差を計算する方法を含めて、所望のいかなる方法を用いて求められてもよい。
安定した周期的な信号が得られる新しいカウント軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかが判定される。新しいカウント軸が腕の動きを記録しているのであれば、新しいカウント軸で検出されたイベント毎に歩をカウントし、足の運びを記録しているのであれば、新しいカウント軸で検出されたイベント毎に歩をカウントする。新しいカウント軸が記録しているのが腕の動き又は足の運びのどちらであるかは、例えば新しいカウント軸の周期に基づいて判定される。例えば、新しいカウント軸の周期を以前のカウント軸の周期と比較してもよい。
図5は、歩数計100に採用されうる手首装着型歩数計での歩数カウントの別のプロセスを図示するフローチャートである。図5のプロセスは、図4に図示されたプロセスと同様であるが、所望により設けられうる追加の要件を備える。図5に示されるように、手首装着型歩数計の多軸慣性センサの各軸から信号を受け取る(502)。その信号は、例えば、移動平均フィルタや、所望によって信号をスムーズにする他の所望のフィルタによって、フィルタ処理が行われる。上述のように、多軸慣性センサの各軸からの信号のピークが検出され(504)、そして、多軸慣性センサの各軸の信号の隣接したピークの間でピーク間隔が求められる(506)。
初期カウント軸が決定される(508)。例えば、上述のように、初期カウント軸を第1番目の安定した軸によって決定してもよい。例えば最近の所定数のピーク間隔に対する標準偏差を計算し、その標準偏差を所定の閾値Tと比較することで、その軸が安定かどうかを判定する。もし標準偏差が閾値Tよりも小さければ、その軸は、所定数の連続した安定的なピーク間隔を出力しているため、安定していると考えられる。初期カウント軸からの信号の周期の時間の長さは、「初期周期時間長」としてストアされうる。初期カウント軸の周期の長さは、所定数のピーク間隔の平均値又は中央値とすることもできる。このように、図3を参照すると、X軸が安定した周期的な信号を出力している第1番目の軸と判定され、X軸が初期カウント軸に決定されたと仮定すれば、初期周期時間長がIX、IX、IX、IX、及びIXの平均値又は中央値となる。さらに、「最小周期時間長」も、初期周期時間長として初期化することもできる。しかし、最小周期時間長は、歩数カウントのプロセスの間に連続的に更新される。従って、歩数カウントのプロセスの間はいつでも、所定数の連続した安定したピーク間隔を出力し、現在の最小周期時間長よりも所定数のピーク間隔が短い場合には、最小周期時間長はアップデートされる。一般的には、最小周期時間長は1歩に要する時間であると考えられる。
更に、図5に図示されるように、初期カウント軸が判定されると、「増倍係数」及び「2ステップ係数」が初期化される(508)。増倍係数は、0.5、1、又は2に等しい擬似変数である。増倍係数は、現在のカウント軸の周期時間長と初期周期時間長との増倍関係を示す。言い換えれば、初期周期時間長を単位として考え、増倍係数は、現在のカウント軸において検出されたイベント1個(具体的には、1つの検出されたピーク又は1つのピーク間隔)によって、どれだけの数の単位(0.5、1、又は2)が表されるかを示す。初期カウント軸の周期時間長によって初期周期時間長が定義されるため、増倍係数は1に初期化される。増倍係数は、カウント軸が変わる際に、アップデートされる。
2ステップ係数は、別の擬似変数であって1又は2である。2ステップ係数は、初期周期時間長によって、どれだけの歩数(1歩又は2歩)が表されるかを示す。初期周期時間長を単位として考えれば、1つの検出されたイベント(具体的には、1つの検出されたピーク又は1つのピーク間隔)はいくつかの単位(増倍係数で表される)を含み、初期カウント軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかに依存して、各々の単位は1歩又は2歩(2ステップ係数で表される)を表す。初期カウント軸の周期を他の軸の周期又は最小周期時間に比較することで、2ステップ係数を決定することができる。例えば、一実施形態としては、2ステップ係数は、次の式のように決められる。
Figure 0006788350
(式1)のIPTLは、初期周期時間長であり、MTPLは最小周期時間長を表す。2ステップ係数は1に初期化されるが、カウントが終わらない限り、全ての軸を用いて、連続的にアップデートされる(510)。例えば、(式1)に基づけば、最小周期時間長が減少したときはいつでも、2ステップ係数はアップデートされる。
図5に示されるように、カウント軸が安定(例えば、上述のように最近の所定数のピーク間隔の分散が所定の閾値Tより小さい)であれば(512)、連続的にアップデートされる(510)2ステップ係数と増倍係数に基づき、歩数はカウント軸の信号を用いてカウントされる(514)。例えば、カウント軸で検出されたイベントに基づいて歩数はカウントされ、検出されたイベントとはカウント軸において検出されたピークか又はピーク間隔である。歩数をカウントするために、検出されたイベントは各々、増倍係数と2ステップ係数の積によって乗算される。さらに、所定のピーク間隔が過ぎるまで(かつ、安定であると分かるまで)カウント軸が決定されないため、検出されたイベントの数は所定数のピーク間隔で初期化される。例えば、もしカウント軸が安定したピーク間隔5つ分を経た後決定されるのであれば、歩数カウントを5歩からスタートさせることもできる。もし、現在のカウント軸に対する2ステップ係数が1から2へアップデートされれば、検出されたイベントの数は2倍される。例えば、2ステップ係数が2になる前に、n回の検出されたイベントに基づき、報告された歩数がnであり、2ステップ係数が2になった後、n+1回目のイベントを検出されれば、合計の歩数は、2n+2に増加する。
カウント軸が安定でなくなったならば(512)、カウント軸は、慣性センサを備える他の残りの軸の1つにスイッチされる(516)。もし他の残りのどの軸も安定でないのであれば、そのスイッチは有効ではなく(518)、歩数カウントは終了する(520)。もしカウントが終了したならば(520)、所望すれば、ステップ502からプロセスが開始される。一方で、もし他の残りの軸の信号が安定であれば、スイッチは有効である(518)。カウント軸のスイッチの際に、増倍係数もアップデートされる。増倍係数のアップデートは、新しいカウント軸の平均値又は中間値と初期周期時間長との比較に基づいて行われる。例えば、新しいカウント軸の平均値が、初期周期時間長よりの半分より短ければ、増倍係数は0.5であり、新しいカウント軸の平均値が初期周期時間長の2倍より大きいときは、増倍係数は2であり、それ以外の場合は、増倍係数は1である。例えば、図3を参照すると、初期カウント軸はX軸であったと仮定すれば、安定性を失った後は、新しいカウント軸はYであり、新しいカウント軸の平均値又は中間値(IYAVEと表される)は、現在の時刻Cまでの所定数の連続したピーク間隔、例えば、IYC−4,,IYC−3,IYC−2,IYC−1,IYの平均値又は中間値で求められる。増倍係数は、次の式に基づき、0.5、1又は2の中から選ばれる。
Figure 0006788350
カウント軸が安定である(512)限りは、連続的にアップデートされる2ステップ係数(510)とアップデートされる増倍係数に基づいて、現在のカウント軸(514)を用いて、歩数がカウントされる(522)。
上述のような、カウント軸のスイッチを伴う歩数カウントのプロセスの動作を示すいくつかの例を挙げることができる。一つの例としては、初期カウント軸が腕の動きを記録し、スイッチの後のカウント軸は足の運びを記録する。現在の例では、初期カウント軸は、安定した周期的な信号を出力する第1軸で決定される。初期周期時間長には、初期カウント軸の平均周期がストアされ、最小周期時間長は、初期周期時間長に初期化される。増倍係数が1に初期化され、2ステップ係数が1に初期化されるが、2ステップ係数はすぐに2にアップデートされる。なぜなら、足の運びをカウントするカウント軸でない軸において安定で周期的な信号が検出されると、最小周期時間長がすぐに減少するためである。このように、腕の動きを記録する初期カウント軸に対して、検出されたピーク、又は検出されたピーク間隔である各々の検出されたイベントは、増倍係数(1)と2ステップ係数(2)の積によって乗算される。すなわち、1×2=2であり、したがって、検出されたイベント各々に2歩ずつカウントする。カウント軸はスイッチされる場合もある。例えば、初期カウント軸がもはや安定ではなくなり、異なるカウント軸に安定なピーク間隔が存在し、その結果、その軸が新しいカウント軸となる。現在の例では、新しいカウント軸は、足の運びを記録しており、したがって、新しいカウント軸の平均周期長は初期周期時間長の約半分である。従って、カウント軸がスイッチすると、増倍係数は、0.5にアップデートされる。このように、足の運びを記録する新しいカウント軸に対して、検出されたイベントは各々、増倍係数(0.5)と2ステップ係数(1)の積で乗算される。すなわち、0.5×2=1であり、したがって、検出されたイベント各々に対して1歩がカウントされる。
他の実施例としては、初期カウント軸は足の運びを記録し、スイッチの後のカウント軸は腕の動きを記録する。上の例では、初期カウント軸は、安定した周期的な信号を出力する第1軸で決定され、初期周期時間長には、初期化カウント軸の平均周期がストアされ、最小周期時間長は、初期周期時間長に初期化される。増倍係数は1に初期化され、2ステップ係数は1に初期化される。現在の例では、2ステップ係数は初期カウント軸に対しして1のままである。なぜなら、腕の動きを記録するカウント軸ではない軸において安定で周期的な信号が検出されたとしても、最小周期時間長は減少しないからである。このように、足の運びを記録する初期カウント軸に対して、検出されたピーク、又は検出されたピーク間隔である各々の検出されたイベントは、増倍係数(1)と2ステップ係数(1)の積によって乗算される。すなわち、1×1=1であり、したがって、検出されたイベント各々に1歩をカウントする。カウント軸はスイッチされる場合もある。例えば、初期カウント軸がもはや安定ではなくなり、異なるカウント軸で安定なピーク間隔が存在し、その結果、その軸が新しいカウント軸となる。現在の例では、新しいカウント軸は、腕の動きを記録しており、したがって、新しいカウント軸の平均周期長は、初期周期時間長の約2倍である。従って、カウント軸がスイッチすると、増倍係数は、2にアップデートされる。このように、腕の動きを記録する新しいカウント軸に対して、検出されたイベントは各々、増倍係数(2)と2ステップ係数(1)の積で乗算される。すなわち、2×1=2であり、したがって、検出されたイベント各々に対して2歩がカウントされる。
他の例としては、初期カウント軸は足の運びを記録し、スイッチ後のカウント軸もまた足の運びを記録する。例えば、ユーザが腕を曲げ、歩数計の向きを変えた場合に、このようなことが起きうる。上述の例にように、初期カウント軸は、安定な周期的な信号を出力する第1軸で決定され、初期周期時間長には、初期カウント軸の平均周期がストアされ、最小周期時間長は、初期周期時間長で初期化される。増倍係数は1で初期化され、2ステップ係数は1で初期化される。現在の例では、2ステップ係数は初期カウント軸に対して1のままである。なぜなら、腕の動きを記録するカウント軸でない軸であって安定で周期的な信号が検出された場合であっても、最小周期時間長は減少しないからである。このように、足の運びを記録する初期カウント軸に対して、検出されたピーク、又は検出ピーク間隔である各々の検出されたイベントは、増倍係数(1)と2ステップ係数(1)の積で乗算される。すなわち1×1=1であり、したがって、検出されたイベント各々に1歩をカウントする。カウント軸がスイッチされる場合もある。例えば、初期カウント軸がもはや安定ではなくなり、異なるカウント軸からの安定なピーク間隔が存在し、その結果、その軸が新しいカウント軸となる。現在の例では、新しいカウント軸もまた足の運びを記録し、したがって、新しいカウント軸に対する平均周期は、おおよそ、初期周期時間長と同じである。従って、カウント軸がスイッチしたときも、増倍係数は1のままである。このように、足の運びを記録する新しいカウント軸に対して、検出されたイベントは各々、増倍係数(1)と2ステップ係数(1)の積で乗算される。すなわち、1×1=1であり、したがって、それぞれの検出イベントに対して1歩が加算される。
他の例では、初期カウント軸は、腕の動きを記録し、スイッチ後のカウント軸もまた腕の動きを記録する。例えば、ユーザが腕を曲げ、歩数計の向きを変えた場合に、このようなことが起きる。上述の例のように、初期カウント軸は安定した周期的な信号を出力する第1軸で決定され、初期周期時間長には、初期カウント軸の平均周期がストアされ、最小周期時間長は、初期周期時間長に初期化される。増倍係数は1で初期化され、2ステップ係数は1に初期化されるが、2ステップ係数は、すぐに2にアップデートされる。なぜなら、安定的な周期的は信号が足の運びを記録するカウント軸でない軸に検出されるとすぐに、最小周期時間長は減少する。このように、腕の動きを記録する初期カウント軸に対して、検出されたピーク、又は、検出ピーク間隔である各々の検出されたイベントは、増倍係数(1)と2ステップ係数(2)の積によって乗算される。すなわち1×2=2であり、したがって、検出されたイベント各々に2歩をカウントする。カウント軸がスイッチされる場合もある。例えば、初期カウント軸がもはや安定ではなくなり、異なるカウント軸で安定なピーク間隔が存在し、その結果、その軸が新しいカウント軸となる。現在の例では、新しいカウント軸は、腕の動きを記録しており、したがって、新しいカウント軸の平均周期長は、おおよそ、初期周期時間長と同じである。従って、カウント軸がスイッチしたとしても、増倍係数は1のままである。このように、足の運びを記録する新しいカウント軸に対して、検出されたイベントは各々、増倍係数(1)と2ステップ係数(2)との積で乗算される。すなわち、1×2=2であって、したがって、検出されたイベント各々に対して2歩がカウントされる。
図6は、本明細書で議論されるような多軸慣性センサ110を備えユーザによって手首に装着される歩数計100のブロック図である。歩数計100は、慣性センサ110の1つの軸をカウント軸として用い、そのカウント軸が腕の動き又は足の運びどちらを記録しているかを判定し、カウント軸が足の運びを記録しているならば検出されたイベント毎に1歩を、カウント軸が腕の動きを記録しているならば検出されたイベント毎に2歩をカウントする。多軸慣性センサ110は2軸又は3軸を含み、例えば、3軸加速度計、ジャイロスコープ又は同様のものであってよい。歩数計100は、更に、ユーザインタフェース102を備え、そのインタフェースには、例えば、ディスプレイ、並びに、鍵、仮想キー、又は、例えばユーザが情報を入力し選択し歩数計100をリセットすることができる他の入力デバイスを備える。
歩数計100は慣性センサ110からの信号を受け取りユーザインタフェース102と通信できるように接続されたコントロール部120もまた備える。コントロール部120は、本明細書で述べられるように慣性センサ110からの信号を受け取り処理する。その処理には、カウント軸を選定し、カウント軸が記録しているのは腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定し、カウント軸が足の運びを記録しているのであれば検出されたイベント毎に1歩を、カウント軸が腕の動きを記録しているのであれば検出されたイベント毎に2歩をカウントする処理も含まれる。コントロール部120は、バス120b、プロセッサ120p、連想メモリ120m、ハードウェア120h、ファームウェア120f、ソフトウェア120sを備えてもよい。コントロール部120は、さらに、多軸慣性センサ110からの各軸の信号のピークを検出するピーク検出部122を備えるように図示されている。安定信号検出部124は、例えば、各軸の信号のピーク間隔を計算し、信号が所定数の安定したピーク間隔を出力したときを判定することによって、慣性センサ110からの安定した周期的な信号を検出する。安定信号検出部124は、カウント軸を見分け、そして選択し、カウント軸がもはや安定ではなく、そのためカウント軸のスイッチが必要となるときを判定する。カウント軸登録決定部126は、現在のカウント軸が記録しているのが、腕の動きか又は足の運びかを判定する。例えば、カウント軸登録決定部126は、増倍係数と2ステップ係数を初期化しアップデートし、メモリ120mに記録する。歩数カウント部128は、例えば、検出されたピーク又はピーク間隔のような、カウント軸のイベントを検出し、例えば、検出されたイベントを各々増倍係数と2ステップ係数の積で乗算することによって、カウント軸が腕の動きを記録しているのであれば、検出されたイベント毎に歩を、または、カウント軸が足の運びを記録しているのであれば、検出されたイベント毎に歩をカウントする。コントロール部120は、それから、ユーザインタフェース102に、歩数と共に他の関連した情報、例えば、歩数から決定されたものであって、例えば、歩行距離、消費カロリなどを表示する。
ピーク検出部122、安定信号検出部124、カウント軸登録決定部126及び歩数カウント部128は、明確にするために、プロセッサ120pとは分けて図示されているが、プロセッサ120pの一部であるか、又は、プロセッサ120pで実行されるソフトウェア120sにおける命令に基づいて、そのプロセッサに埋め込まれていてもよいと理解されたい。本明細書では、プロセッサ120pは、1又は複数のマイクロプロセッサ、組込プロセッサ、コントローラ、特定用途向け集積回路(ASICS)、デジタル信号処理デバイス(DSPDs)、プログラマブルロジックデバイス(PLDs)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び同様のものを含むことができるが、必ずしも必要ではないと理解されたい。プロセッサという単語は、特別なハードウェアというよりも、システムで実装される機能を記述することを意図している。さらに、本明細書では、「メモリ」という単語は、長期、短期、又はモパイルデバイスに関する他のメモリを含む、いかなるタイプのコンピュータ記録媒体を示し、いかなる特定の種類、特定の数、又は情報を蓄える特定のタイプの媒体に限定されるものではない。
本明細書に記載の方法は、用途に応じて様々な手段で実装されうる。例えば、これらの方法は、ハードウェア120h、ファームウェア120f、ソフトウェア120s、そして、それらのいかなる組み合わせでも実装することができる。ハードウェアの実装としては、処理装置は、1つあるいは複数の、特定用途向け集積回路(ASICS)、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、デジタル信号処理デバイス(DSPDs)、プログラマブルロジックデバイス(PLDs)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、ここに記載の機能を果たすようデザインされた電子部品又はそれらの結合を用いて実装することができる。
ファームウェア、および/又は、ソフトウェアの実装に対して、ここに記載の方法は、ここに記載の機能を果たすモジュール(例えば、プロシージャ、ファンクション等)を用いて実装することができる。いかなる命令を有形に保持するコンピュータ読み取り可能媒体もここで記述の方法を実装する際に使用されうる。例えば、ソフトウェアコードはメモリ120mにストアされ、プロセッサ120pによって実行される。メモリ120mは、プロセッサ120pの内部又は外部に実装されうる。もし、ファームウェア、および/又は、ソフトウェアに実装されたときに、ファンクションは、1つ又は複数の命令として、又は、コンピュータ読み取り可能媒体上のコードとしてストアされる。実施例としては、あるデータ構造にエンコードされた非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体やコンピュータプログラムによってエンコードされたコンピュータ読み取り可能媒体が含まれる。コンピュータ読み取り可能媒体としては、物理的な、すなわち、非一時的なコンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスすることができるいかなる利用可能な媒体であってもよい。例としては、際限ないものであって、そのようなコンピュータ読み取り可能媒体としては、RAM,ROM,EEPROM,CD−ROMや、他の光学ディスク媒体、磁気ディスク媒体、他の磁気記録デバイス、及び、他の媒体であって、所望のプログラムコードを命令やデータ構造の形で格納するために利用でき、かつ、コンピュータによってアクセス可能な他の記録媒体を含む。本明細書で述べられるディスクとは、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光学ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フレキシブルディスク、ブルーレイディスクを含み、磁気的に又はレーザーを用いて光学的にデータを再生することができる。上述の媒体の結合もコンピュータ読み取り可能媒体の範囲に含まれる。
図7は、例として、ここに記載の方法を実装するために利用されるコントロール部120のコンポーネントを模式的に図示している。慣性センサ110以外に、図7で示されるコンポーネントは、プロセッサ120pの中のハードウェア、例えば、FPGAのモジュール又はコンポーネントのような形で埋め込まれるか、又は、複数のコンポーネントを含む分離したハードウェアコンポーネントに実装されることもある。さらに、そのコンポーネントは、プロセッサ120pを含む、1つ又は複数のプロセッサで実行されるソフトウェアに実装される。他の実施形態としては、それらのコンポーネントは、ハードウェアとソフトウェアのコンポーネントの結合に実装されることもある。
図7には、例として、X,Y,及びZとして符号される各軸からの信号を出力する多軸慣性センサ110が図示され、その信号は、フィルタ702によって受け取られる。フィルタ702は移動平均フィルタ、又は信号をスムーズにする他の所望のフィルタであって、例えばプロセッサ120p(図6)によって信号が受け取られる前に、ハードウェア的に実装されるか、又はプロセッサ120pによって実装される。他の実施形態としては、フィルタ702は、プロセッサ120pで実行されるソフトウェアに実装することができる。フィルタ702は、各軸からの信号の移動平均を出力し、それらはX_Arv、Y_Arv、及びZ_Arvと符号され、ピーク検出部704によって受け取られる。
ピーク検出部704は、例として、ピークを検出するために、各軸の信号の一次微分を算出し、下方に向かいゼロを横切るとき所定の下限値を超えるスロープを持ち、かつ、オリジナルの信号が所定の振幅閾値を超えたときを検出する。ピーク検出部704は、各信号におけるピークをX_Peak、Y_Peak、及びZ_Peakとラベル付けし、ピーク間隔算出部706に出力する。ピーク間隔算出部706は、各軸の連続したピーク間隔を計算し、ピーク間隔の信号を、X_Intrvl、Y_Intrvl、及びZ_Intrvlと符号し、安定信号セレクタ708に出力する。
安定信号セレクタ708は、X_Intrvl、Y_Intrvl、及びZ_Intrvlの信号を解析し、所定の数のピーク間隔にわたるピーク間隔の安定性を判定する。例えば、安定信号セレクタ708は、最近の所定数のピーク間隔、例えば、5つの各信号のピーク間隔の標準偏差を求める。各軸の標準偏差を算出するために、安定信号セレクタ708は、所定数のピーク間隔の長さの平均を生成し、平均の長さと各ピーク間隔の長さの自乗差(具体的には、平均の長さと各ピーク間隔の長さの差を求め、その結果を2乗する)を算出し、その後、その自乗差を平均する。安定信号セレクタ708は、その後、標準偏差を所定の閾値Tと比較し、間隔が安定するかどうかを判定する。安定した周期的な信号を持つと判定された第1軸は、カウント軸として選ばれ、安定信号セレクタ708によって、その信号が出力され、Stbl_Sigと符号される。安定信号セレクタ708は、X_Intrvl、Y_Intrvl及びZ_Intrvlの信号を解析し続け、選択されたカウント軸が安定した信号をもはや出さなくなったときを判定し、安定な信号を提供する他の軸を見出す。安定信号セレクタ708は、カウント軸の変更を示す目印となる信号を出力し、その出力信号はChngと符号される。さらに、安定信号セレクタ708は、すべての軸から最近の所定数のピーク間隔に対する最小平均時間長を出力し、Shrt_Aveと符号する。
図示されているように、最小平均ピーク間隔長(Shrt_Ave)は、IPTL(初期周期時間長)設定部710によって受け取られる。IPTL設定部710は、初期カウント軸に対して求められ最初に受け取られた最小平均ピーク間隔長(Shrt_Ave)を初期周期時間長としてメモリにストアする。歩数カウントが停止し(例えば、軸のスイッチに失敗した場合)、カウントが再開されない限り、初期周期時間長はアップデートされない。IPTL設定部710は、IPTLと符号された初期周期時間長の値を出力する。
最小平均ピーク間隔長(Shrt_Ave)は、MPTL(最小周期時間長)及びTSC(2ステップ係数)アップデータ712によって受信される。MPTL及びTSCアップデータ712は、IPTL設定部710からのIPTL信号も受信する。MPTL及びTSCアップデータ712は、最小平均ピーク間隔長Shrt_Aveが減少するときはいつも、最小周期時間長を連続的にアップデートする。さらに、MPTL及びTSCアップデータ712は、最小周期時間長が減少するときはいつも、例えば、(式1)にある通り、最小周期時間長及び初期周期時間長を用いて、2ステップ係数をアップデートする。MPTL及びTSCアップデータ712は、two−step coefとラベル付された2ステップ係数を出力する。
最小平均ピーク間隔長(Shrt_Ave)は、MC(増倍係数)アップデータ714によっても受け取られる。MCアップデータ714は、IPTL設定部710からのIPTL信号と安定信号セレクタ708からのChng信号も受け取る。MCアップデータ714は、Chng信号によって示されるように、カウント軸に変更があるときに、増倍係数をアップデートする。その際、例えば、(式2)にある通り、新しく選択されたカウント軸の平均ピーク間隔長である最小平均ピーク間隔長(Shrt_Ave)と初期周期時間長とが用いられる。MCアップデータ714は、Multi Coeffとラベル付された増倍係数を出力する。
歩数カウンタ716は、Stbl_Sig上に設けられたピーク間隔をカウントし、各々のカウントに増倍係数と2ステップ係数の積を乗算する。所望ならば、歩数カウンタ716は、例えばピーク検出部704からピークを持つ信号が歩数カウンタ716に出力される場合には、ピーク間隔よりもむしろ検出されたピークをカウントしてもよい。
本発明は、本発明を説明する目的の特別な実施形態に関連して示されているが、本発明はそれらに限定されるものではない。本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な応用や修正を行うこともできる。それゆえ、添付の請求項の真の趣旨及び範囲は上述の記述に限られるものではない。

Claims (18)

  1. 手首装着型の歩数計を用いて歩数をカウントする方法であって、
    前記歩数計に内蔵された多軸慣性センサの各軸からの信号を受け取るステップと、
    前記多軸慣性センサの各軸からの各信号におけるピークを検出するステップと、
    前記多軸慣性センサの各軸からの各信号におけるピーク間隔を算出するステップと、
    前記ピーク間隔に基づいて、安定した周期的な信号が得られる第1軸を決定するステップと、
    前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定するステップと、
    前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸が腕の動きを記録している場合には、検出されたイベント毎に2歩をカウントし、前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸が足の運びを記録している場合には、検出されたイベント毎に1歩をカウントするステップとを含むことを特徴とする方法。
  2. 前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸を決定する前記ステップが、
    各軸からの各信号における所定数の前記ピーク間隔から標準偏差を算出するステップと、
    前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸を決めるために、前記各軸からの前記標準偏差を所定の閾値と比較するステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定する前記ステップが、
    前記第1軸の前記ピークの周期の平均値又は中間値を算出するステップと、
    安定した周期的な信号が得られる任意の軸からの周期の最小値に基づいて、最小周期時間長を求めるステップと、
    前記第1軸のピークの周期の平均値又は中間値と前記最小周期時間長とを比較し、前記第1軸のピークの周期が前記最小周期時間長の少なくとも2倍である場合には、前記第1軸は腕の動きを記録していると判別するステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記検出されたイベントが、検出されたピーク又は検出されたピーク間隔であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 安定した周期的な信号が得られる第2軸を決定するステップと、
    前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定するステップと、
    前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が腕の動きを記録している場合には、検出されたイベント毎に2歩をカウントし、前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が足の運びを記録している場合には、検出されたイベント毎に1歩をカウントするステップとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸を決定する前記ステップが、前記第2軸で前記安定した周期的な信号を得られることを判定する前に、前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸がもはや安定ではないことを判定するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸を決定する前記ステップが、
    前記第1軸からの前記信号の安定性を算出するステップと、
    前記第2軸からの前記信号の安定性を算出するステップと、
    前記第2軸からの前記信号の前記安定性が前記第1軸からの前記信号の前記安定性よりも大きいと判定するステップとを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  8. 前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定する前記ステップが、
    前記第2軸のピーク間隔の平均値又は中間値を算出するステップと、
    前記安定した周期的な信号が得られる任意の軸からの周期の最小値に基づき、最小周期時間長を導出するステップと、
    前記第1軸の前記ピーク間隔の平均値又は中間値を前記最小周期時間長と比較し、前記第1軸の前記ピーク間隔の平均値又は中間値が前記最小周期時間長の少なくとも2倍であれば、前記第1軸が腕の動きを記録していると判定するステップとを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  9. 前記第1軸が腕の動きを記録していると判定された場合には2ステップ係数が2の値にセットされ、そうでない場合には2ステップ係数が1の値にセットされ、
    前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定する前記ステップが、
    前記第1軸が安定した周期的な信号を出力していると判定された場合には、初期周期時間長に前記第1軸の前記ピーク間隔の平均値又は中間値を設定するステップと、
    前記第2軸のピーク間隔の平均値又は中間値を前記初期周期時間長と比較するステップであって、前記第2軸の平均値又は中間値が前記初期周期時間長の半分以下である場合には、増倍係数を0.5に設定し、前記第2軸の平均値又は中間値が、前記初期周期時間長の2倍以上である場合には、前記増倍係数を2に設定し、それ以外の場合は、前記増倍係数を1に設定するステップとを更に含み、
    前記安定した周期的な信号を出力する前記第2軸が腕の動きを記録している場合には、検出されたイベント毎に2歩をカウントし、前記安定した周期的な信号を出力する前記第2軸が足の運びを記録している場合には、検出されたイベント毎1歩をカウントするステップが、検出されたイベントに前記2ステップ係数と前記増倍係数の積をカウントするステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 歩数をカウントするための手首装着型の歩数計であって、
    各軸毎に信号を出力する多軸慣性センサと、
    前記多軸慣性センサに結合されたプロセッサとを備え、
    前記プロセッサが、当該歩数計の内部の前記多軸慣性センサの各軸からの前記信号を受け取り、
    前記プロセッサが、前記多軸慣性センサの各軸からの前記各信号のピークを検出し、前記多軸慣性センサの各軸からの前記各信号のピーク間隔を算出し、前記ピーク間隔に基づいて安定した周期的な信号が得られる第1軸を判別し、前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定し、前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸が腕の動きを記録しているときは検出されたイベント毎に2歩を、前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸が足の運びを記録しているときは、検出されたイベント毎に1歩をカウントするように構成されることを特徴とする歩数計。
  11. 前記プロセッサは、各軸の各信号の所定数の前記ピーク間隔の標準偏差を算出し、かつ、前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸を決定するために、各軸からの前記ピーク間隔の前記標準偏差を所定の閾値と比較するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の歩数計。
  12. 前記プロセッサが、前記第1軸のピーク間隔の平均値又は中間値を算出し、安定した周期的な信号が得られる任意の軸からの信号のうち最も短いピーク間隔に基づいて最小周期時間長を求め、かつ、前記第1軸のピーク間隔の平均値又は中間値と前記最小周期時間長とを比較し、前記第1軸のピーク間隔が前記最小周期時間長の少なくとも2倍である場合には、前記第1軸は腕の動きを記録していると判定するように構成されており、
    それによって、前記プロセッサは前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸が腕の動き又は足の運びのどちらを記録しているかを判定するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の歩数計。
  13. 前記検出されたイベントが、検出されたピーク又は検出されたピークの間隔であることを特徴とする請求項10に記載の歩数計。
  14. 前記プロセッサが、更に、安定した周期的な信号が得られる第2軸を決定し、前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が腕の動き又は足の運びどちらを記録しているかを判定し、前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が腕の動きを記録している場合には、検出されたイベント毎に2歩をカウントし、前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が足の運びを記録している場合には、検出されたイベント毎に1歩をカウントするように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の歩数計。
  15. 前記プロセッサが、更に前記第2軸で前記安定した周期的な信号が得られることを判別する前に、前記安定した周期的な信号が得られる前記第1軸がもはや安定ではないことを判定するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の歩数計。
  16. 前記プロセッサが、前記第1軸からの信号の安定性を算出し、前記第2軸からの信号の安定性を算出し、かつ、前記第2軸からの前記信号の前記安定性が前記第1軸からの前記信号の前記安定性よりも大きいと判定できるように構成されており、
    それによって、前記プロセッサが前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸を判別できるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の歩数計。
  17. 前記プロセッサが、前記第2軸のピーク間隔の平均値又は中間値を算出し、安定した周期的な信号が得られる任意の軸の周期の最小値に基づいて最小周期時間長を導出し、かつ、前記第1軸でのピーク間隔の平均値又は中間値と前記最小周期時間長を比較し、前記第1軸のピーク周期が前記最小周期時間長の少なくとも2倍である場合には、前記第1軸が腕の動きを記録していると判定するように構成されており、
    それによって、前記プロセッサが前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が記録しているのが腕の動きか又は足の運びかを判定できるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の歩数計。
  18. 前記プロセッサが、前記第1軸が腕の動きを記録しているときは2ステップ係数に2の値にセットされ、そうでない場合には前記2ステップ係数に1の値を設定するように構成されており、
    前記プロセッサが、前記第1軸が前記安定した周期的な信号を出力していると判定した場合は、初期周期時間長に前記第1軸の前記ピーク間隔の平均値又は中間値を設定し、前記初期周期時間長を前記第2軸の前記ピーク間隔の平均値又は中間値と比較し、前記第2軸のピーク間隔の平均値又は中間値が前記初期周期時間長の半分以下である場合には増倍係数を0.5の値に設定し、前記第2軸のピーク間隔の平均値又は中間値が前記初期周期時間長の2倍以上である場合には前記増倍係数を2に設定し、他の場合に前記増倍係数を1に設定するように構成され、
    前記プロセッサが、前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が記録しているのは、腕の動き又は足の運びどちらを記録しているかを判定するように構成され、
    前記プロセッサが検出されたイベントに前記2ステップ係数と前記増倍係数との積をカウントするように構成されることによって、前記プロセッサが、前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が腕の動きを記録している場合には、検出されたイベント毎に歩をカウントし、前記安定した周期的な信号が得られる前記第2軸が足の運びを記録している場合には、検出されたイベント毎に歩をカウントするように構成されていることを特徴とする請求項17に記載の歩数計。
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