JP6787179B2 - ガラス積層体、電子デバイス作製用基板、及び電子デバイスの製造方法。 - Google Patents
ガラス積層体、電子デバイス作製用基板、及び電子デバイスの製造方法。 Download PDFInfo
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Description
一方で、ガラスフィルム積層体は剛直性が不十分であるため、通常のガラス基板の使用を前提としたデバイス形成工程を適用することは難しい。そこで、支持体とガラスフィルムを積層させて剛性を向上させ、ガラスフィルム上に液晶素子等の電子デバイス材を積層した後、レーザーを照射することで支持体を剥離する、ガラス基板の製造方法が提案されている。
このため、レーザー照射により支持体を剥離でき、かつハンドリング性に優れたガラス基板が望まれている。
すなわち本発明は以下のとおりである。
該樹脂層は、0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以上であるポリエーテルイミド樹脂(A)と、
0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%未満である熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を含み、
かつ0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以下であり、
該熱可塑性ポリイミド樹脂(B)は、主鎖にエーテル結合を有する芳香族ポリイミドであることを特徴とするガラス積層体。
[2] 前記ポリエーテルイミド樹脂(A)が、イソプロピリデン基を有することを特徴とする[1]に記載のガラス積層体。
[3] 前記樹脂層は、前記ポリエーテルイミド樹脂(A)と前記熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を80:20〜20:80の重量割合で含むことを特徴とする[1]又は[2]に記載のガラス積層体。
[4] 該樹脂層のガラス転移温度が100℃以上、300℃以下であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載のガラス積層体。
[5] 前記樹脂層と第1のガラス層との密着性が、碁盤目試験法(JIS K5400準拠)で剥離しない碁盤目の数が全体の90%以上あることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載のガラス積層体。
[6] [1]乃至[5]のいずれかに記載のガラス積層体を用いる電子デバイス作製用基板。
[7] [6]の電子デバイス作製用基板を用いることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
本発明に係る第1のガラス層は、電子デバイス部材の形成工程における第2のガラス層のハンドリング性を向上させ、変形や破損を抑制する。
第1のガラス層の波長308nmにおける分光透過率が上記範囲内であれば、照射するレーザー光を樹脂層で効率よく吸収できるため、低パワーのレーザー照射で、ガラス積層体から第1のガラス層を剥離できる傾向にある。
上記の分光透過率を満たす第1のガラス層の材料として、例えば、無アルカリガラスを好適に用いることができる。
本発明に用いられる樹脂層は、第1のガラス層と第2のガラス層との間に介在する層であり、該樹脂層は、0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以上であるポリエーテルイミド樹脂(A)と、0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%未満である熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を含み、かつ、0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以下であり、該熱可塑性ポリイミド樹脂(B)は、主鎖にエーテル結合を有する芳香族ポリイミドである。
0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以上であるポリエーテルイミド樹脂(A)および0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%未満である熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を組み合わせることで、当該樹脂層の0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率を上記範囲に調整することができる。
また、当該ポリエーテルイミド樹脂(A)と当該熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を組み合わせることで、樹脂層と第1のガラス層との密着強度や当該樹脂層のガラス転移温度を調整できる。
このため、本発明に係るガラス積層体は、その製造が容易であり、また、電子デバイス部材形成工程においては、積層構成を維持することができ、また、電子デバイス部材形成後においては、レーザー照射によりパーティクル等異物が発生することなく容易に第1のガラス層を剥離することができる。
当該ポリエーテルイミド樹脂(A)および当該熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を組み合わせることで、樹脂層と第1のガラス層との密着強度の調整でき、また樹脂層の0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率を後述する範囲に調整でき、また樹脂層のガラス転移温度を後述する範囲に調整することが可能となるためである。
本発明に係るポリエーテルイミド樹脂(A)は、樹脂層の波長308nmにおける分光透過率を調整する観点から、0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以上であることが重要である。
ポリエーテルイミド樹脂(A)の0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率は、20%以上、50%以下が好ましく、20%以上、40%以下がより好ましく、20%以上、30%以下がさらに好ましく、21%以上、30%以下が特に好ましい。
具体的には、例えば、上記構造式(1)において、Rがイソプロピリデン基であり、かつ2つのイミド環がフェニレン基に対して相互にパラ位で結合している繰り返し単位を有するポリエーテルイミドがSABIC社製の商品名「Ultem CRS5001」として市販されており、上記構造式(1)において、Rがイソプロピリデン基であり、かつ2つのイミド環がフェニレン基に対して相互にメソ位で結合している繰り返し単位を有するポリエーテルイミドがSABIC社製の商品名「Ultem 1000」として市販されている。
本発明においては上記構造式(1)において、Rがイソプロピリデン基であり、かつ2つのイミド環がフェニレン基に対して相互にメソ位で結合している繰り返し単位を有するポリエーテルイミドが好適に使用される。
本発明に係る熱可塑性ポリイミド樹脂(B)は、樹脂層と第1のガラス層との密着強度や当該樹脂層のガラス転移温度の観点から、主鎖にエーテル結合を有する芳香族ポリイミドであることが重要である。
上記構造式(2)中、nは0〜20の整数、好ましくは0〜13の整数、より好ましくは0〜9の整数を表す。なお、上記構造式(2)において、ベンゼン環がそれぞれ独立に置換基(例えば炭素数1〜10のアルキル基)を有していてもよい。
テトラカルボン酸二無水物の一部を上記構造式(3)で表わされるテトラカルボン酸二無水物とすることで、得られるポリイミドの可撓性をより高めることができる。
本発明に係る熱可塑性ポリイミド樹脂(B)の0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。一方、下限は特に限定されないが、通常は0.1%以上である。
この範囲内であれば、波長308nmにおける分光透過率が低い値となり、かつ第1のガラス層との密着強度も確保できるため、ポリエーテルイミド樹脂(A)および熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を含む樹脂層の0.5μm厚に調整した時の波長308nmの分光透過率も20%以下になり、レーザー照射により第1のガラス層を剥離できる傾向にある。
熱可塑性ポリイミド樹脂(B)における全構造単位中のイソプロピリデン基を含む構造単位の割合は5%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましく、イソプロピリデン基を含む構造単位を有しないことが殊更に好ましい。
ガラス転移温度は、後述する方法で測定することができる。
上記範囲でポリエーテルイミド樹脂(A)と熱可塑性ポリイミド樹脂(B)が含むことにより、当該樹脂層と第1のガラス層との密着強度や、当該樹脂層を0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率、当該樹脂層のガラス転移温度を所定範囲に調整することができる傾向があり、これにより、エキシマレーザー(波長308nm)を第1のガラス層側から当該樹脂層に照射した場合に、当該樹脂層と第1のガラス層の界面付近でのみ樹脂層成分のプラズマ化が起こり、剥離起点が形成され、樹脂層成分の炭化によるパーティクル等異物が発生することなく、ガラス積層体から第1のガラス層を容易に剥離できる傾向にある。
本発明に係る樹脂層は、ポリエーテルイミド樹脂(A)と熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を70:30〜30:70の重量割合で含むことがより好ましい。
当該透過率が20%以下であれば、樹脂層に対してエキシマレーザー(波長308nm)で照射したときに、エキシマレーザーの照射に伴う当該樹脂層成分の炭化によるパーティクル等異物が発生することなく、ガラス積層体から第1のガラス層を容易に剥離することができる。
本発明に係る樹脂層の透過率は18%以下が好ましく、15%以下がさらに好ましい。下限は限定されないが通常0.5%以上である。
当該樹脂層のガラス転移温度が300℃以下であれば、熱ラミネートによりガラス積層体を作製することが容易になり、100℃以上であれば、電子デバイス部材形成工程中の加熱工程においても不具合が生じにくい傾向にある。
本発明に係る樹脂層のガラス転移温度の上限は250℃以下がより好ましく、230℃以下がさらに好ましく、下限は130℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましい。
本発明に係る樹脂層の厚みが上記範囲であれば、当該樹脂層から発生するアウトガスの量を抑制でき、また、第1のガラス層から第2のガラス層及び樹脂層を剥離した後も、第2のガラス層が破損し、飛散防止する効果が十分に発揮できる。
本発明に係る樹脂層の耐熱温度が400℃以上であれば、電子デバイス部材形成工程で当該樹脂層から発生するアウトガスの量を抑制でき、アウトガスによる電子デバイスの性能低下を防止することができる傾向にある。
本発明に係る樹脂層の耐熱温度は450℃以上が好ましく、500℃以上がさらに好ましい。上限は限定されないが通常700℃以下である。
碁盤目試験法で剥離しない碁盤目の数が90%以上であれば、電子デバイスの基板として、電子デバイス部材形成工程中の洗浄プロセス等の搬送工程において、第1のガラス層である支持ガラスから第2のガラス層および樹脂層の積層体が脱離することなく、好適に使用することができる。
本実施形態において、ガラス積層体における各層間の剥離強度を調整する方法として、用いる樹脂の種類により接着力を調整する方法や、各層の表面処理により接着力を調整する方法があげられる。接着力を調整する表面処理としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などによるカップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、イオン処理などの化成処理、プラズマ処理、グロー放電処理、アーク放電処理、コロナ処理などの放電処理、紫外線処理、X線処理、ガンマ線処理、レーザー処理などの電磁波照射処理、その他火炎処理、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ワックス系樹脂を含む離型剤による離型処理などがあげられる。
本発明に係るガラス積層体を構成する第2のガラス層は、電子デバイス用基板として使用でき、可撓性を有するものであれば、特に限定されない。当該第2のガラス層の構成材料として、具体的には、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどを例示することができる。
本発明に係るガラス積層体は、第1のガラス層、樹脂層及び第2のガラス層をこの順に備え、該樹脂層は、0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以上であるポリエーテルイミド樹脂(A)と、0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%未満である熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を含み、0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以下であり、該熱可塑性ポリイミド樹脂(B)は、主鎖にエーテル結合を有する芳香族ポリイミドであることにより、その製造が容易であり、また、当該ガラス積層体の第2のガラス層上に電子デバイス部材を形成する工程において、真空、加熱などの外部環境の変化や洗浄等による物理的刺激があっても、各層の剥離や気泡の発生が生ぜず積層構成を維持することができ、また、電子デバイス部材形成後においては、樹脂層へのレーザー照射によりパーティクル等異物が発生することなく容易に支持ガラスを剥離することができる。
本発明に係るガラス積層体の製造方法は、第1のガラス層上にポリエーテルイミド樹脂(A)と熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を含む樹脂層を形成する樹脂層形成工程、及び当該樹脂層上に第2のガラス層を積層する積層工程を含む。
本発明に係るガラス積層体の製造方法における樹脂層形成工程は、第1のガラス層上にポリエーテルイミド樹脂(A)と熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を含む樹脂層を形成する工程である。
本発明に係るガラス積層体の製造方法における積層工程は、樹脂層形成工程で得られた第1のガラス層とポリエーテルイミド樹脂(A)と熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を含む樹脂層との積層体に、当該樹脂層を介して第2のガラス層を積層する工程である。
熱ラミネートする場合、既知の装置を用いればよいが、例えば熱ラミネート装置の一部分に、樹脂組成物を第1のガラス層上に塗工する塗工装置、及び塗工後の樹脂組成物を乾燥させる乾燥装置を組み込んだ熱ラミネート装置とし、第1のガラス層上への樹脂層の形成と、第2のガラス層の積層を連続的に行ってもよい。
樹脂層表面には、熱ラミネート前に、第2のガラス層との密着性を向上させるためにプラズマ処理やコロナ処理などの表面処理を行ってもよい。
また、ニップロールを用いて積層する場合、ニップロール圧は、第2のガラス層および第1のガラス層の破損を防ぎ、かつ、第2のガラス層と樹脂層との密着性を高める観点から、通常0.5MPa・cm以上、5MPa・cm以下である。
本発明に係るガラス積層体から第1のガラス層を剥離する方法は、剥離起点を形成する剥離起点形成工程と、形成された剥離起点から、第1のガラス層を剥離する剥離工程を有する。
本発明に係るガラス積層体からの第1のガラス層の剥離方法における剥離起点形成工程は、第1のガラス層側から樹脂層に対してエキシマレーザー(波長308nm)を照射することで、第1のガラス層と樹脂層との剥離起点を形成する工程である。
第1のガラス層側からの樹脂層に対するエキシマレーザー(波長308nm)の照射に伴って、当該波長の光を吸収する樹脂層の第1のガラス層近傍部分がプラズマ化する。
樹脂層の第1のガラス層近傍部分のプラズマ化により生じたガスが、第1のガラス層と樹脂層とを分離させるように両層を押し分ける。この作用により、第1のガラス層の一部が樹脂層から剥離して、剥離起点部が形成される。
エキシマレーザーの各種条件は特に限定されないが、例えば、XeClレーザーを用い、繰り返し周波数50Hz、70mJ以上、220mJ以下のエネルギー密度、7.8mm/secのビームスピードで照射することにより、剥離起点部を形成することができる。
本発明に係るガラス積層体からの第1のガラス層の剥離方法における剥離工程は、剥離起点形成工程後に、ガラス積層体から第1のガラス層を剥離する工程である。
既に剥離起点形成工程において、第1のガラス層と樹脂層との界面において剥離起点が形成されているおり、第1のガラス層をガラス積層体から剥離できれば、特に限定されない。
例えば、第1のガラス層と樹脂層との界面に、水と圧縮空気との混合流体を吹き付けたりして剥離することができる。好ましくは、ガラス積層体において、第1のガラス層が上側、第2のガラス層が下側となるように定盤上に設置し、第2のガラス層側を定盤上に真空吸着し、この状態で第1のガラス層側を複数の真空吸着パッドで吸着し、真空吸着パッドを上昇させる。そうすると第1のガラス層と樹脂層との界面へ空気層が形成され、その空気層が界面の全面に広がり、ガラス積層体から第1のガラス層を容易に剥離することができる。
本発明に係るガラス積層体は、例えば、有機EL素子などの電子デバイス作製用基板として好適に用いることができる。有機EL素子などの電子デバイス作製用基板として用いた場合、ガラス積層体の第2のガラス層上に電子デバイス部材を形成した後、上述した方法で樹脂層と第1のガラス層との界面で剥離することによって、可撓性に優れた電子デバイスを得ることができるため、フレキシブルディスプレイやフレキシブル照明に用いることができる。
電子デバイスとしては、有機EL素子以外にも、太陽電池素子、薄膜二次電池素子、液晶表示素子、等が挙げられる。
なお、電子デバイス部材とは、第2のガラス層上に形成され、電子デバイスの少なくとも一部を構成する部材であり、具体的には、有機EL素子、太陽電池素子、薄膜二次電池素子、液晶表示素子、または、各種電子部品などに用いられる部材が挙げられる。
また、太陽電池素子に用いられる部材としては、有機太陽電池素子の場合は、有機電子供与体及び有機電子受容体からなる有機半導体層、透明電極層、金属電極層等が挙げられ、その他に化合物型、色素増感型、量子ドット型太陽電池素子などに対応する各種部材等が挙げられる。
また、液晶表示素子に用いられる部材としては、透明電極層、液晶層等が挙げられる。
また、薄膜二次電池用部材としては、リチウムイオン型では、透明電極層、リチウム化合物を含む電解質層、金属を含む集電層が挙げられる。その他に、ニッケル水素型、ポリマー型、セラミックス電解質型などに対応する各種部材等が挙げられる。
また、電子部品用部材としては、CCDやCMOSでは、導電部や、絶縁部
等が挙げられ、その他に、圧力センサ、加速度センサなどの各種センサに対応する各種部材等が挙げられる。
そこで、第2のガラス層を、樹脂層などを介して第1のガラス層に固定することで、電子デバイス部材を形成する工程中のハンドリング性が著しく向上し、良好な電子デバイスを形成することができる。
このように、本発明に係るガラス積層体を電子デバイス作製用基板として用いた電子デバイスの製造方法は優れた効果を有している。
また、上述したような電子デバイス部材形成工程後に、ガラス積層体から第1のガラス層を樹脂層との界面で剥離して得られる電子デバイス、或いはフレキシブルデバイスは、第2のガラス層表面を樹脂層で覆っていることから、ガラス基板の割れや飛散を防止することが可能となる。
なお、実施例における測定・評価は以下の方法・基準で行った。
(碁盤目試験)
碁盤目試験法(JIS K5400準拠)により、樹脂層と第1のガラス層との密着性を評価した。
具体的には、樹脂層にカッターナイフを用いて、第1のガラス層に達する11本の切り傷をつけ、100個の碁盤目を作った。切り傷の間隔は1mmとした。
碁盤目部分にセロテープ(登録商標)を圧着させ、テープの端を45°の角度で引き剥がし、剥離した碁盤目の個数を数えた。
RIGAKU製Thermo plus TG8120を用いて、窒素50mL/min雰囲気下、昇温速度20℃/minにおける熱減量を測定し、熱減量が5%となる温度を樹脂層の耐熱温度とした。
樹脂層の透過率は0.5mmの無アルカリガラス(OA−10G、日本電気硝子社製)上に0.5μmの樹脂層を積層し、日立ハイテク製の分光光度計「UV−4000」を用いて、波長308nmにおける積層体の分光透過率を測定し、樹脂層の波長308nmにおける分光透過率とした。
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定における振動周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分の条件でシート状に成形した各樹脂層を測定した際の、tanδ(=損失弾性率/貯蔵弾性率)のピーク温度で評価した。なお、tanδのピーク温度が複数ある場合には、最も高い温度をガラス転移温度とした。
XeClレーザーを用い、繰り返し周波数50Hz、70mJ以上、220mJ以下のエネルギー密度、7.8mm/secのビームスピードで、第1のガラス層側からガラス積層体の樹脂層に向けて照射することにより、剥離起点部を形成した後、第2のガラス層および樹脂層の積層体端部を手で把持し第1のガラス層から剥離を試み、剥離可否判断と樹脂層表面の観察を行った。
判断基準:
○:剥離時に第2のガラス層に破損なし、かつ樹脂層表面にパーティクル等異物(黒粉)が発生していない。
×:剥離時に第2のガラス層破損、または、樹脂層表面にパーティクル等異物(黒粉)が発生している。
電子デバイス部材形成工程前のガラス基板の洗浄を想定し、超音波試験を行った。具体的にはガラス積層体を60℃の温水中で30分間超音波洗浄を施し、ガラス積層体中の発泡及び剥離現象を目視で確認した。
評価基準は、ガラス積層体を60℃の温水中での超音波洗浄中、ガラス積層体中に1mm2以上の気泡が発生するまでの時間であり、以下のとおりである。
○:30分間で発泡せず、且つ、ガラス積層体中に剥離が見られなかった。
×:5分未満で発泡し、且つ、ガラス積層体中に一部剥離が見られた。
電子デバイス部材形成工程中のガラス基板の加熱を想定し、加熱試験を行った。加熱試験の評価基準は、ガラス積層体を350℃のオーブンに入れた時に、ガラス積層体中に1mm2以上の気泡が発生するまでの時間であり、以下のとおりである。
○:1時間以上
×:1時間未満
・ポリエーテルイミド樹脂(A):SABIC社製、商品名「Ultem1000」
上述の構造式(1)において、Rがイソプロピリデン基であり、かつ2つのイミド環がフェニレン基に対して相互にメソ位で結合している繰り返し単位を有する。
・熱可塑性ポリイミドワニス(B−1):上述の構造式(2)においてn=1で表される構造を有する1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンと、上述の構造式(3)において、Rがエーテル結合である4,4’−オキシジフタル酸二無水物を反応させて得られる構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂(B)をN−メチル−2ピロリドンに溶解させたポリイミドワニス(固形分濃度15重量%)。
・ポリイミドワニス(C−1):ジアミン成分として1、4−フェニレンジアミンを、酸二無水物成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を反応性させて得られる構造単位を有するポリイミド樹脂(C)をN−メチル−2ピロリドンに溶解させたポリイミドワニス(固形分濃度18重量%)。
ポリエーテルイミド樹脂(A−1)をN−メチル−2ピロリドンに溶解させ、ポリエーテルイミド溶液を得た。ポリエーテルイミド溶液を固形分換算で70重量%、熱可塑性ポリイミドワニス(B−1)を固形分換算で30重量%の割合で混合した。
前記混合液を、第1のガラス層(日本電気硝子社製無アルカリガラス、商品名「OA−10G」厚さ:0.5mm)上に乾燥後の膜厚が3μmになるように塗工させた後、熱風乾燥炉中で乾燥させた。さらに、第2のガラス層(日本電気硝子社製 商品名「OA−10G」 厚み:50μm)を熱ラミネートし、ガラス積層体を得た。
得られたガラス積層体についてレーザー剥離試験、洗浄試験および加熱試験を行った。各種評価結果は表1に示す。
ポリエーテルイミド溶液と熱可塑性ポリイミドワニス(B−1)を固形分換算で50重量:50重量で混合した以外は、実施例1と同様にして、ガラス積層体を得た。
得られたガラス積層体についてレーザー剥離試験、洗浄試験および加熱試験を行った。各種評価結果は表1に示す。
ポリエーテルイミド溶液と熱可塑性ポリイミドワニス(B−1)を固形分換算で30重量:70重量で混合した以外は、実施例1と同様にして、ガラス積層体を得た。
得られたガラス積層体についてレーザー剥離試験、洗浄試験および加熱試験を行った。各種評価結果は表1に示す。
実施例1と同様に、得たポリエーテルイミド溶液を第1のガラス層(日本電気硝子社製無アルカリガラス、商品名「OA−10G」厚さ:0.5mm)上に乾燥後の膜厚が3μmになるように塗工させた後、熱風乾燥炉中で乾燥させた。さらに、第2のガラス層(日本電気硝子社製 商品名「OA−10G」 厚み:50μm)を熱ラミネートし、ガラス積層体を得た。
得られたガラス積層体についてレーザー剥離試験を行ったところ、レーザー照射により樹脂層が炭化し樹脂層表面に黒粉が付着していた。洗浄試験、加熱試験および各種評価結果は表1に示す。
比較例1と同様に、ポリイミドワニス(C−1)を第1のガラス層(日本電気硝子社製無アルカリガラス、商品名「OA−10G」厚さ:0.5mm)上に乾燥後の膜厚が3μmになるように塗工させた後、熱風乾燥炉中で乾燥、焼成させた。さらに第2のガラス層(日本電気硝子社製 商品名「OA−10G」 厚み:50μm)を熱ラミネートしようとしたが、熱プレスや加熱ニップロールの設定上限温度よりも、ポリイミド樹脂のTgが高いため、熱ラミネートすることができなかった。各種評価結果は表1に示す。
熱可塑性ポリイミドワニス(B−1)を第1のガラス層(日本電気硝子社製無アルカリガラス、商品名「OA−10G」厚さ:0.5mm)上に乾燥後の膜厚が3μmになるように塗工させた以外は比較例1と同様にして、ガラス積層体を得た。
得られたガラス積層体についてレーザー剥離試験を行ったところ、樹脂層と第1のガラス層との密着強度が高すぎるため、第2のガラス層の一部が破損した。洗浄試験、加熱試験および各種評価結果は表1に示す。
実施例1乃至3の結果から、樹脂層が0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以上であるポリエーテルイミド樹脂(A)と、0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%未満であり、主鎖にエーテル結合を有する芳香族ポリイミド熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を含み、かつ0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以下であれば、レーザー剥離試験の結果が良好であり、超音波試験や加熱試験においても剥離や発泡等の不具合が生じない、電子デバイス作製用基板として好適なガラス積層体が得られることが分かった。
比較例1と比較例3の結果から、ポリエーテルイミド樹脂(A)、または主鎖にエーテル結合を有する芳香族ポリイミド熱可塑性ポリイミド樹脂(B)からなる樹脂層を有するガラス積層体では、レーザー剥離時に不具合が生じることが分かった。
比較例2の結果から、主鎖にエーテル結合を有しない芳香族ポリイミド樹脂(C)からなる樹脂層では、樹脂層自体のガラス転移温度が高く、また熱可塑性を有しないため、ガラス積層体を作製することができなかった。
Claims (7)
- 第1のガラス層、樹脂層及び第2のガラス層をこの順に備えるガラス積層体であって、
該樹脂層は、0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以上であるポリエーテルイミド樹脂(A)と、
0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%未満である熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を含み、
かつ0.5μm厚に調整した時の波長308nmにおける分光透過率が20%以下であり
該熱可塑性ポリイミド樹脂(B)は、主鎖にエーテル結合を有する芳香族ポリイミドであることを特徴とするガラス積層体。 - 前記ポリエーテルイミド樹脂(A)が、イソプロピリデン基を有することを特徴とする請求項1に記載のガラス積層体。
- 前記樹脂層は、前記ポリエーテルイミド樹脂(A)と前記熱可塑性ポリイミド樹脂(B)を80:20〜20:80の重量割合で含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス積層体。
- 該樹脂層のガラス転移温度が100℃以上、300℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガラス積層体。
- 前記樹脂層と第1のガラス層との密着性が、碁盤目試験法(JIS K5400準拠)で剥離しない碁盤目の数が全体の90%以上あることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のガラス積層体。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のガラス積層体を用いる電子デバイス作製用基板。
- 請求項6の電子デバイス作製用基板を用いることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
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