JP6787081B2 - 共押出多層フィルムおよび深絞り容器 - Google Patents
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Description
すなわち、第1の本発明は、ポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂層、ポリエチレンテレフタレート樹脂層、ポリアミド樹脂層、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物層、エチレン系樹脂層、および、シール性層をこの順に有する共押出多層フィルムにおいて、上記エチレン系樹脂層が、低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体およびエチレン−メタクリル酸メチル共重合体のうち少なくとも1種類以上からなり、上記シール性層が、130℃以上の融点を有する高密度ポリエチレン樹脂からなり、フィルム総厚が80μm以上200μm以下であり、フィルム総厚100μm当たりの耐荷重が20Pa以上である深絞り容器に用いることを特徴とする共押出多層フィルムである。
図1は、第1の本発明の一実施形態に係る共押出多層フィルムの層構成を示す図である。図1に示した共押出多層フィルムは、ポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂層(PETG層)、ポリエチレンテレフタレート樹脂層(PET層)、ポリアミド樹脂層、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物層(EVOH層)、エチレン系樹脂層、および、シール性層をこの順に有する共押出多層フィルムである。
該共押出多層フィルムを深絞り容器に成形すると、ポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂層は外側となり、シール性層は内容物に面する内側となる。
共押出多層フィルム(以下、単に「フィルム」と称することがある。)について説明する場合でも、同様に、ポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂層側を外側、シール性層側を内側と呼称する。
以下、各層について説明する。
本発明のフィルムは、外側にポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)樹脂からなる層を配することにより、良好な腰、光沢、透明性が得られる。
本発明のフィルムのPETG樹脂とは、多価アルコール成分100モル%中に1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が5モル%以上含まれるポリエステル樹脂をいう。1.4−シクロヘキサンジメタノール成分の含有量の下限は、非晶化度を高める観点から、10モル%以上が好ましく、12モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、上限は、フィルムの十分な衝撃強度を得る観点から、50モル%が好ましく、47モル%以下がより好ましく、45モル%以下が更に好ましい。
多価カルボン酸成分としては、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸の他、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、下記が挙げられる。
・イソフタル酸、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸類
・2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸類
・4,4’−ジカルボキシジフェニル、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4 ’−ジカルボン酸などのジカルボキシビフェニル類
・1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸およびその置換体
・1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸およびその置換体
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシリン酸、テトラデカンジカルボン酸、タプシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコサンジカルボン酸などが挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、1,3−ジカルボキシシクロヘキサンなどが挙げられる。
・脂肪族ジオールとして、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオールなど。
・脂環式ジオールとして、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど。
・芳香族ジオールとして、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホンなどのビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物や、キシリレングリコールなど。
・ポリアルキレングリコールとして、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなど。
本発明のフィルムは、PETG層の内側にポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)層を配することにより、フィルムに剛性、強度、成形性を付与できる。
PETとしては、一般に、樹脂全体のうちエチレンテレフタレートユニット比率が80モル%以上であり、83モル%以上が好ましく、85モル%以上がより好ましい。
多価カルボン酸成分としては、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸の他、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸を挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、下記が挙げられる。
・イソフタル酸、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸類
・2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸類
・4,4’−ジカルボキシジフェニル、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4 ’−ジカルボン酸などのジカルボキシビフェニル類
・1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸およびその置換体
・1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸およびその置換体
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシリン酸、テトラデカンジカルボン酸、タプシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコサンジカルボン酸などが挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、1,3−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。
・脂肪族ジオールとして、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオールなど。
・脂環式ジオールとして、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど。
・芳香族ジオールとして、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホンなどのビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物や、キシリレングリコールなど。
・ポリアルキレングリコールとして、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなど。
また、PET層を構成する樹脂は、単一の共重合体、2種類以上の共重合体、または単独重合体の混合物の何れを用いてもよい。
フィルム総厚に対するPETG層とPET層との合計厚の比は、フィルムのリジッド性と製膜性との点から、60%以上95%以下が好ましく、70%以上95%以下がより好ましく、80%以上95%以下が更に好ましい。
極限粘度(IV)が0.64dl/g以上であれば、フィルムの剛性、強度および成形性が良好であり、極限粘度が0.90dl/g以下であれば、フィルム製膜性が良好である。
極限粘度(IV)の測定は、フィルムのPETG層、PET層を各々300mg採取し、フェノ−ルと1,1,2,2−テトラクロルエタンとの質量混合比1:1の溶媒30mlに溶解させ、ウベローゼ型粘度計を用いて落下時間を測定し、極限粘度(IV)を算出して得られる。
本発明のフィルムは、PET層の内側にポリアミド樹脂(PA)層を配することにより、フィルムに衝撃強度とガスバリア性を付与できる。また、本発明のフィルムは、比較的脆性質であるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物層の内外両側に、ポリアミド樹脂層を配することにより、フィルムの耐衝撃性がより向上する。そのため、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)層とエチレン系樹脂層との間にも、PA層を配するとより好ましい。
PET層の内側に配するPA層と、EVOH層とエチレン系樹脂層との間のPA層とは、使用する樹脂や層厚は、それぞれ適宜選択でき、両層が同じであっても良く異なっていても良い。
本発明のフィルムは、ポリアミド樹脂層の内側にエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)層を配することにより、フィルムに酸素ガスバリア性を高めることができる。
EVOHのエチレンモノマー含有率は、特に限定されないが、フィルム製膜安定性の観点から29モル%以上47モル%以下が好ましく、32モル%以上44モル%以下がより好ましい。また、EVOHのけん化度は、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。エチレンモノマー含有率およびけん化度を上記範囲に設定することにより、フィルムの共押出性、強度が良好となる。
本発明のフィルムは、シール性層の外側に、エチレン系樹脂層を配することにより、フィルムの透明性を高めることができる。後述の本発明のフィルムのシール性層は、ヘイジーであるため、シール性層に隣接して高透明のエチレン系樹脂層を配設することで、フィルムのヒートシール性と透明性の兼備が可能となる。
エチレン系樹脂層は、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体およびエチレン−メタクリル酸メチル共重合体のうち少なくとも1種類以上からなる。
エチレン系樹脂層の厚みは、フィルム透明性を向上させる点から、下限は1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましい。また、エチレン系樹脂層はフィルムに柔軟性を与えるので、フィルムのリジッド性(腰)に影響するPETG層とPET層の厚みとのバランスから、エチレン系樹脂層の厚みの上限は、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、25μm以下が更に好ましい。
本発明のフィルムは、内側にヒートシールを担うシール性層を配設する。
シール性層は、130℃以上の融点を有する高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)で構成される。HDPEの融点の上限は、一般に140℃以下である。
HDPEの密度の下限は0.95g/cm3以上が好ましく、0.96g/cm3以上がより好ましい。上限は1.00g/cm3以下が好ましく、0.99g/cm3以下がより好ましい。
HDPEのマスフローレート(MFR)の下限は、5.0g/10分以上が好ましく、6.0g/10分以上がより好ましい。上限は20.0g/10分以下が好ましく、15.0g/10分以下がより好ましい。HDPEのMFRは、JIS K 7210、温度190℃、荷重21.18Nに準じて測定できる。
HDPEの密度、MFRを上記範囲で選定すると、フィルム共押出製膜性、深絞り及びリブの成形性が良好となる。
薄肉化したフィルムを用いた深絞り容器に、従来の厚いフィルムを用いて成形した深絞り容器と同等の強度を付与するには、容器に線状突起(リブ)を形成することが有効である。耐荷重の大きい容器を作るには、例えばリブの長手方向に直交する平面におけるリブの断面形状が台形であり、該台形のリブの底角、及び、頂角の外角(後述する図5(a)のα参照)が鋭角である(該条件を満たすリブを「鋭角なリブ」と称する。)ことが効果的である。
鋭角なリブを形成するには、深絞り加熱成形を高温で行わなければならない。そのためには、フィルムの熱板に接触する側であるシール性層が、ヒートシール性を持つと共に高い耐熱性を有する必要がある。その点から、高融点のHDPEでシール性層を構成することが望ましい。
具体的な例としては、鋭角なリブを成形するには成形温度90〜120℃、成形時間1〜5秒で行うので、シール性層を構成するHDPEの融点は、130℃以上が好ましく、135℃以上がより好ましい。
融点は、JIS K 7121法に準じて測定できる。
本発明のフィルムは、親和性の弱い層同士の間に接着性樹脂層を設けることが出来る。例えば、PET層とポリアミド樹脂層との間、EVOH層とエチレン系樹脂層との間、等が挙げられる。
PET層とポリアミド樹脂層との層間の接着性樹脂としては、例えば、ポリエステル系エラストマー接着樹脂、EVOH層あるいはポリアミド樹脂層とエチレン系樹脂層との層間の接着樹脂としては、ポリエチレン系接着樹脂の使用が、層間接着性の点で良好である。
接着性樹脂層の厚みは、1〜20μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
本発明のフィルムの総厚は、80μm以上200μm以下である。下限は、90μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。上限は、180μm以下が好ましく、150μm未満がより好ましい。80μm以上であれば、深絞り容器が強固となり易い。また、従来300μm以上である深絞り成形用フィルムを200μm以下にすることにより、包材の大幅な減量化を可能とする。フィルムの総厚は、収容物に対する耐荷重性、包装体を積み重ね梱包および輸送する際の耐荷重性、耐衝撃性に応じて、選定するとよい。
また、JIS K 7375に基づく全光線透過率測定において、90%以上が好ましく、92%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましい。
本発明のフィルムは、上記層構成を有するものであれば特に限定されず、本発明の効果を妨げない範囲で、上記説明した各層間に他の層を有していてもよい。
本発明のフィルムを深絞り容器に成形し、その深絞り部にスライスハム等の内容物を充填し、さらにガスを充填すると共に、深絞り容器の上部を蓋材フィルムでヒートシールし、冷却後、ヒートシール部で連結されていた深絞り包装体同士をカットすることにより、各個の深絞り包装体が作製される。
(深絞り成形)
本発明の深絞り容器は、一般の深絞り成形装置によって製造できる。
例えば、フィルムを装置に供給して、加熱した金型に圧着して、所定の形状の深絞り容器となる。上記金型には、深絞り容器にリブを備えさせるための形状が設けられており、リブは深絞り成形と共に成形することができる。深絞り成形の際のフィルム加熱温度は80〜110℃、フィルム加熱時間は1〜10秒、圧空成形時間は1〜10秒程度である。
深絞り部の形状は、特に限定されないが、例えば、深絞り成形が角筒絞り成形である場合には、長辺または長軸が10〜20cm、短辺または短軸が11〜16cm、深さが2〜5cm程度の略直方体状とすることができ、その他の形状として、略立方体状、略楕円筒状、略円筒状、略半球状などが挙げられる。底面と上面とは同面積とは限らず、底面の方が上面に対し、1〜9割程度小さい場合もある。
本発明の深絞り容器は、内容物の荷重や、ガス充填の内圧や、包装体を積み重ねに耐え得るように、容器の底面および/または側面に、内容物側に一または複数の凸の線状突起(リブ)を有する。
図4(a)に深絞り容器1の底部1aを図3(a)にIVaで示した方向から視た拡大図を、図4(b)、(c)に深絞り容器1の側部1bを、それぞれ図3(b)にIVb、IVcで示した方向から視た拡大図を示す。図4(b)および(c)に示した側面1bと対向する側面1bの形状は、それぞれ図4(b)および(c)と同一とすることができる。図4(a)〜(c)に示すように、底面1aおよび4つの側面1bには角錐台形状のリブ4が形成されている。
側面のリブの配設パターンは、例えば図4(b)および(c)のように、リブの長手方向が容器深さ方向と平行になるように配設することにより、包装体を積み重ねた際に潰れ難くなる。また、その場合、側面のリブの上端と容器上面との垂直距離(図4(b)および(c)にd2で示す。)は、0mm以上3mm以下、側面のリブの下端と容器底面との垂直距離(図4(b)および(c)にd3で示す。)は、0mm以上20mm以下が好ましい。
また、底面および側面のリブが連続して繋がっているリブ(「連続リブ」と称する。)が存在すると、より好ましい。その場合、連続リブは底面のみのリブまたは側面のみのリブと混在しても良いし、連続リブのみが存在しても良い。また、連続リブの底面における延在方向が底面の短辺に平行であり、且つ、連続リブの側面における延在方向が容器深さ方向と平行であると、更に好ましい。
底面および/または側面のリブの形状は、1本当たりの幅(図5(a)および(b)にwで示す。)が0.5mm以上10mm以下、高さ(図5(a)および(b)にhで示す。)が0.5mm以上10mm以下であり、且つ幅に対する高さの比(h/w)は0.5以上4.0以下が好ましい。
1本あたりの幅は、1mm以上8mm以下がより好ましく、2mm以上6mm以下が更に好ましい。高さは1mm以上8mm以下がより好ましく、2mm以上6mm以下が更に好ましい。
リブの幅および高さを、0.5mm以上とすることによって、リブ自身および深絞り容器に強度を付与できる。また、リブの幅および高さを、10mm以下とすることによって、多様なリブの形状や配置を設計でき、またリブによる深絞り内容積の低減を抑制できる。
リブの幅に対する高さの比の下限は1.0以上がより好ましく、上限は3.0以下がより好ましい。当該比を1.0以上とすることにより、リブ自身および深絞り容器が強固になる。また、当該比を4.0以下により、リブが潰れ難くなる。
中でも、底面および側面のリブが、1本当たりの幅が1mm以上8mm以下、高さが1mm以上8mm以下である直線状のリブを2本以上5本以下ずつ有すると、容器の耐荷重性、耐内圧性が増し、潰れ難くなる。また、略直方体状の深絞り容器の四隅に、直線状のリブを少なくとも1本有することにより、容器四隅が強固となる。
耐荷重性に優れる本発明の深絞り容器では、図7(a)に示すように荷重により容器が潰れることが無い。しかしながら、耐荷重性が弱い場合は、容器の上面に荷重をかけると、例えば、図7(b)に示すように容器の上部が外へ横広がりに開き、下部が容器中央側へ寄り、容器中央部が接地面から浮き上がったり、図7(c)に示すように底面と側面との連結箇所が押し潰れたり、さらには図7(d)に示すように、容器の中央部が浮き上がり、且つ、底面と側面との連結箇所が押し潰れて容器の外側へ広がったりする。
容器の上面全体にフィルム総厚100μm当たり10Paの圧力がかかるとは、スライスハム100gを収容した包装体をおよそ10個載せる条件に相当する。耐荷重20Pa以上であれば、多数の包装体を積み重ねる場合、勢い良く積載される場合、梱包・輸送時の上下振動を受ける場合、等において、容器の変形や潰れを抑制しやすい。
深絞り容器のヘイズは、底面の平らな箇所を採取し測定する。
蓋材フィルムは、本発明のフィルムとヒートシール可能であり、深絞り包装体の積み重ねや輸送に耐え得るものであれば特に制限はない。例えば、延伸ポリプロピレン樹脂層と透明蒸着ポリエチレンテレフタレート系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層とを積層した蓋材フィルムや、延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂と、EVOHおよびNyを含みLLDPEをシール層とした共押出フィルムを積層した蓋材フィルムを挙げることができる。
各例に示す層構成の多層フィルムを共押出法で作製した。層構成を外層側から内層側の順に記す。各層の原材料は、下記の略号を用いて示した。
PETG: イーストマン・ケミカル社製PETG 極限粘度0.78dl/g
PET: ポリエチレンテレフタレート樹脂 極限粘度0.80dl/g
Ny: 6−66共重合ナイロン ナイロン66比率15質量%
EVOH1: エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物 エチレン38mol けん化度99モル%以上
EVOH2: エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物 エチレン32mol けん化度99モル%以上
EVA: エチレン−酢酸ビニル共重合体 融点113℃ 密度0.920g/cm3 MFR3.0g/10分
LD: 低密度ポリエチレン樹脂 融点112℃ 密度0.924g/cm3 MFR0.6g/10分
LL: 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂 融点125℃ 密度0.920g/cm3 MFR2.1g/10分
HD: 高密度ポリエチレン樹脂 融点135℃ 密度0.964g/cm3 MFR7.0g/10分
接着1: 変性ポリエステル系エラストマー樹脂
接着2: 不飽和カルボン酸変性ポリエチレン系樹脂
次の層構成の共押出多層フィルムを作製し、深絞り成形装置を用いて、フィルム加熱温度95℃、フィルム加熱時間3秒、圧空成形温度120℃、圧空成形時間2秒の条件で、上面の長辺15cmおよび短辺11cm、底面の長辺10cmおよび短辺6cm、垂直深さ3cmの略直方体状の深絞り容器を作製した。また、容器底面に、短辺方向と平行に等間隔に、幅5mm、長さ50mm、高さ5mmの直線状リブを3本形成した。
PETG(10μm)/PET(55μm)/接着1(10μm)/Ny(5μm)/EVOH1(5μm)/接着2(5μm)/LD(5μm)/HD(5μm)、総厚100μm
実施例1において、PET層厚55μmを85μmに代えた他は、同様にしてフィルムとリブ付き深絞り容器を作製した。
PETG(10μm)/PET(85μm)/接着1(10μm)/Ny(5μm)/EVOH1(5μm)/接着2(5μm)/LD(5μm)/HD(5μm)、総厚130μm
実施例1において、PET層厚55μmを155μmに代え、EVOH1をEVOH2に代え、LD層をEVA層に代えた他は、同様にしてフィルムとリブ付き深絞り容器を作製した。
PETG(10μm)/PET(155μm)/接着1(10μm)/Ny(5μm)/EVOH2(5μm)/接着2(5μm)/EVA(5μm)/HD(5μm)、総厚200μm
実施例1において、EVOH1層の両側にNy層2.5μm厚を配した他は、同様にしてフィルムとリブ付き深絞り容器を作製した。
PETG(10μm)/PET(55μm)/接着1(10μm)/Ny(2.5μm)/EVOH1(5μm)/Ny(2.5μm)/接着2(5μm)/LD(5μm)/HD(5μm)、総厚100μm
実施例1において、HD層をLL層に代え、深絞り成形温度を100℃に代えた他は、同様にしてフィルムとリブ付き深絞り容器を作製した。
PETG(10μm)/PET(55μm)/接着1(10μm)/Ny(5μm)/EVOH1(5μm)/接着2(5μm)/LD(5μm)/LL(5μm)、総厚100μm
実施例2において、HD層をLD層に代え、深絞り成形温度を100℃に代えた他は、同様にしてフィルムとリブ付き深絞り容器を作製した。
PETG(10μm)/PET(85μm)/接着1(10μm)/Ny(5μm)/EVOH1(5μm)/接着2(5μm)/LD(5μm)/LD(5μm)、総厚130μm
実施例3において、HD層をLL層に代え、深絞り成形温度を100℃に代えた他は、同様にしてフィルムとリブ付き深絞り容器を作製した。
PETG(10μm)/PET(155μm)/接着1(10μm)/Ny(5μm)/EVOH2(5μm)/接着2(5μm)/EVA(5μm)/LL(5μm)、総厚200μm
実施例1において、LD層をHD層に代えた他は、同様にしてフィルムとリブ付き深絞り容器を作製した。
PETG(10μm)/PET(55μm)/接着1(10μm)/Ny(5μm)/EVOH1(5μm)/接着2(5μm)/HD(5μm)/HD(5μm)、総厚100μm
実施例3において、EVA層をHD層に代えた他は、同様にしてフィルムとリブ付き深絞り容器を作製した。
PETG(10μm)/PET(155μm)/接着1(10μm)/Ny(5μm)/EVOH2(5μm)/接着2(5μm)/HD(5μm)/HD(5μm)、総厚200μm
実施例1において、リブを形成しなかった他は、同様にしてフィルムと深絞り容器を作製した。
実施例1において、幅20mm、長さ60mm、高さ0.5mmの直線状リブを底面中央部に短辺方向に平行に1本形成した他は、同様にしてフィルムと深絞り容器を作製した。
(耐荷重性)
各例で作製した深絞り容器を、底面を水平かつ平坦な台に接地させて置き、容器の上面全体にフィルム総厚100μm当たり10Pa、20Pa、30Pa、40Pa、50Paの圧力をかけ、容器底面の変形を観察した。容器底面が変形し中央部が接地面から浮いて離れる場合を「×」、中央部が浮かない場合を「○」と評価した。
各例で作製した容器の平らな底面箇所を採取し、JIS K 7136に基づきヘイズ(%)を測定した。
比較例1〜3は、シール性層がLLまたはLDであり、成形時のフィルム加熱温度を高く出来ず、リブが鋭角な台形状にならずに丸くなり、同じフィルム総厚の実施例1〜3と比較すると、耐荷重性が劣った。
比較例4〜5は、シール性層の外層側に隣接した層がHD層であり、透明性が劣った。
比較例6は、リブが無く、比較例7はリブが太く且つリブの幅に対する高さの比が小さく、耐荷重性が劣った。
2 蓋材フィルム
3 ヒートシール部
4 リブ
10 深絞り包装体
Claims (6)
- ポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂層、ポリエチレンテレフタレート樹脂層、ポリアミド樹脂層、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物層、エチレン系樹脂層、および、シール性層をこの順に有する共押出多層フィルムにおいて、
前記エチレン系樹脂層が、低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体およびエチレン−メタクリル酸メチル共重合体のうち少なくとも1種類以上からなり、
前記シール性層が、130℃以上の融点を有する高密度ポリエチレン樹脂からなり、
フィルム総厚が80μm以上200μm以下であり、
フィルム総厚100μm当たりの耐荷重が20Pa以上である深絞り容器に用いることを特徴とする共押出多層フィルム。 - さらに、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物層と前記エチレン系樹脂層との間に、ポリアミド樹脂層を有する請求項1に記載の共押出多層フィルム。
- 前記フィルム総厚が80μm以上150μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の共押出多層フィルム。
- 請求項1〜3の何れかに記載の共押出多層フィルムを用いた深絞り容器において、
底面に、前記深絞り容器の内側に向けて一または複数の凸のリブを有し、
前記底面の前記リブは、1本当たりの幅が0.5mm以上10mm以下、高さが0.5mm以上10mm以下であり、且つ前記幅に対する前記高さの比が0.5以上4.0以下であり、
前記底面の前記リブの全本数の合計長さが、前記底面の短辺または短軸長さに対し2.0倍以上8.0倍以下であり、側面に、前記深絞り容器の内側に向けて一または複数の凸のリブを、該リブの長手方向が容器深さ方向と平行になるように有し、
前記側面の前記リブは、1本当たりの幅が0.5mm以上10mm以下、高さが0.5mm以上10mm以下であり、且つ前記幅に対する前記高さの比が0.5以上4.0以下であり、
前記側面の前記リブの全本数の合計長さが、前記深絞り容器の深さ距離に対し2.0倍以上8.0倍以下である深絞り容器。 - 請求項4に記載の深絞り容器において、
前記深絞り成形が角筒絞り成形であり、
前記底面および前記側面に、前記深絞り容器の内側に向けて一または複数の前記凸のリブを有し、
前記底面には、1本当たりの幅が1mm以上8mm以下、且つ高さが1mm以上8mm以下である直線状の前記リブを2本以上5本以下有し、
前記側面には、1本当たりの幅が1mm以上8mm以下、且つ高さが1mm以上8mm以下である直線状の前記リブを、前記側面の各面に2本以上5本以下ずつと、四隅に少なくとも各1本を有する深絞り容器。 - フィルム総厚100μm当たりの深絞り容器耐荷重20Pa以上であり、且つヘイズが6%以下である、請求項4または5に記載の深絞り容器。
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