以下、本発明の実施の形態における画像形成装置について説明する。
本実施の形態において、画像形成装置は、例えば、電子写真方式により用紙に画像を形成する、タンデム型のカラーデジタル複写機である。
[画像形成装置1の全体構成]
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体の構成を示す図である。
図1に示されるように、画像形成装置1は、原稿を自動的に搬送する原稿自動搬送装置2と、搬送された原稿の画像を読み取る原稿読取部10と、この原稿読取部10で読み取った画像を記録シート上にプリントして再現する画像形成部20とを有している。
原稿自動搬送装置2は、原稿がセットされる原稿給紙トレイ3を備えている。原稿自動搬送装置2は、原稿給紙トレイ3に載置された原稿を1枚ずつプラテンガラス11上の原稿読取位置まで搬送する。原稿読取部10は、搬送された原稿を読み取る。原稿自動搬送装置2は、さらに原稿を搬送し、原稿排紙トレイ4上に排出する。
原稿読取部10は、スキャナや、フルカラーのCCDセンサ12(図3に示す。)を備えている。スキャナは、プラテンガラス11上に搬送された原稿を露光走査する。CCDセンサ12は、スキャナの露光による原稿の反射光を電気信号に変換する。スキャナにより原稿が露光走査されると、CCDセンサ12において光電変換が行われて、画像を示す赤(r)、緑(g)、青(b)成分の電気信号が制御部100に送られる。
赤(r)、緑(g)、青(b)の各色成分の画像データは、制御部100の画像信号処理部101(図3に示す。)において補正処理を受け、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の階調データに変換される。階調データは、画像メモリ102(図3に示す。)に一旦格納される。以下、赤、緑、青の各色成分を単に「r,g,b」と表すことがあり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色を、それぞれ「Y,M,C,K」と表すことがある。
画像形成部20は、画像プロセス部30と、用紙Sを給送するための給紙装置40とを備えている。画像形成部20は、電子写真方式により、記録シートとしての用紙S上に画像を形成する。
図2は、画像プロセス部30を示す図である。
図2に示されるように、画像プロセス部30は、Y,M,C,Kの各再現色のそれぞれに対応する作像ユニット20Y,20M,20C,20Kと、矢印A方向に回転する中間転写ベルト31とを備えている。画像プロセス部30は、各再現色の階調データに対応して画像形成を行う。
作像ユニット20Y−20Kは、中間転写ベルト31に対向して、中間転写ベルト31の回転方向上流側から回転方向下流側に、所定間隔で直列に配置されている。作像ユニット20Y−20Kは、感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kと、帯電器22Y,22M,22C,22Kと、露光部23Y,23M,23C,23Kと、現像器24Y,24M,24C,24Kと、中間転写ベルト31を挟むように感光体ドラム21Y−21Kに対向する一次転写ローラ25Y,25M,25C,25Kと、クリーナ26Y,26M,26C,26Kとを備えている。感光体ドラム21Y−21Kは、矢印B方向に回転する。帯電器22Y−22K、露光部23Y−23K、現像器24Y−24K、一次転写ローラ25Y−25K、及びクリーナ26Y−26Kは、感光体ドラム21Y−21Kの周囲に、感光体ドラム21Y−21Kの回転方向上流側からこの順に並ぶように配置されている。なお、作像ユニット20Y−20Kは、装置に対し着脱可能に構成されている。
現像器24Y−24Kには、それぞれの再現色の現像剤が収容されている。本実施の形態においては、例えば、一成分現像方式によるトナーが収容されている。各再現色のトナーには、シリカ等の電荷制御剤が含まれている。現像器24Y−24K内で攪拌が行われることなどによりトナー粒子が擦れ合うと、トナーが帯電して、現像に供される。
現像器24Yは、現像ローラ241Yと、規制板242Yと、攪拌ローラ対243Yとを備えている。現像ローラ241Yは、感光体ドラム21Yに対向している。現像ローラ241Yは、表面にY色用のトナーを担持した状態で感光体ドラム21Yの回転方向と逆方向に回転し、担持しているトナーを感光体ドラム21Yに供給する。攪拌ローラ対243Yは、回転することで、現像器24Y内に収容されているトナーを攪拌しながら、トナーを現像ローラ241Yに送る。規制板242Yは、その先端が一様に現像ローラ241Y表面に接触するように配されている。規制板242Yは、攪拌ローラ対243によって現像ローラ241Yに送られるトナーを規制して、現像ローラ241Yの表面にトナーによる均一な薄層を形成する。このような構成は、他の現像器24M,24C,24Kについても同様である。
なお、作像ユニット20Y−20Kにモータ等の駆動源が設けられており、各作像ユニット20Y−20Kが独立して駆動可能である。トナーの強制消費動作(強制排出動作)は、各再現色で、個別に実行可能である。トナーの強制消費動作は、感光体ドラム21Y−21Kにベタ画像を作り、これを用紙に転写させることなくクリーナ26Y−26Kで回収することにより行われる。
図1に戻って、中間転写ベルト31は、駆動ローラ34と、従動ローラ33と、テンションローラ32とに張架されている。
給紙装置40は、後述のように、用紙Sを収容する給紙カセット41と、給紙ローラ42と、一対のレジストローラ44等とを備えている。給紙ローラ42は、給紙カセット41内の用紙Sを1枚ずつ繰り出す。レジストローラ44は、二次転写位置Tに用紙Sを送り出すタイミングをとる。
画像形成に際し、制御部100は、画像メモリ102(図3に示す。)から該当するページの各色の画像データを順次読み出して、露光部23Y−23Kのレーザダイオード(図示せず。)を駆動させるための駆動信号を生成する。露光部23Y−23Kのレーザダイオードは、制御部100からの駆動信号により変調駆動され、レーザ光を発して感光体ドラム21Y−21Kを露光する。
感光体ドラム21Y−21Kは、クリーナ26Y−26Kで表面の残存トナーが除去され、イレーサランプ(図示せず)に照射されて除電される。その後、帯電器22Y−22Kにより感光体ドラム21Y−21Kの表面が一様に帯電される。感光体ドラム21Y−21Kは、このように一様に帯電した状態で、露光部23Y−23Kのレーザ光による露光を受ける。露光を受けると、感光体ドラム21Y−21Kの表面に、静電潜像が形成される。
各静電潜像は、それぞれ各色の現像器24Y−24Kにより現像される。これにより、感光体ドラム21Y−21Kの表面に、Y,M,C,K色のトナー像が作像される。各色トナー像は、一次転写ローラ25Y−25Kの静電的作用により、一次転写位置において、中間転写ベルト31上に順次転写される。この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト31上の同じ位置に重ね合わせて転写されるように、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
中間転写ベルト31上で各色が重ね合わされて形成されたトナー像は、中間転写ベルト31の回転に伴って、二次転写位置Tに移動する。
中間転写ベルト31上のトナー像の二次転写位置Tへの移動タイミングに合わせて、レジストローラ44を介して用紙Sが給送される。そして、二次転写位置Tにおいて、二次転写ローラ35の静電的作用により、中間転写ベルト31上の各色のトナー像が用紙S上に一括して転写される。
各色のトナー像が転写された用紙Sは、定着部36を通過する。これにより、トナー像が用紙Sに熱定着する。用紙Sは、排出ローラ対37を介して排紙トレイ38上に排出される。これにより、カラー画像の形成動作が終了する。
[制御部100の構成]
図3は、制御部100の構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、制御部100は、画像信号処理部101、画像メモリ102、判定部103、レーザダイオード(LD)駆動部104、ROM105、RAM106、画像形成枚数記憶部107、及びCPU108を備えている。画像メモリ102には、原稿読取部10によって読み込まれた画像データが一旦格納される。ROM105には、画像形成装置1の各機能の制御に必要なプログラム105bが格納されている。RAM106は、プログラム105b実行時のワークエリアとして用いられる。CPU108は、プログラム105bを実行することで、画像形成装置1の種々の機能の制御を行う。
画像信号処理部101は、原稿読取部10のCCDセンサ12から送られたr,g,bの画像データについて、シェーディング補正等の補正処理を施す。そして、画像信号処理部101は、画像データをY,M,C,Kの各再現色の画像データに変換して、その変換後の画像データを、画像メモリ102に格納させる。
画像メモリ102は、CPU108からアドレスを指示されて読出し要求を受けると、そのアドレスに格納されている各再現色の画像データ(画素データ)を、ページ単位で、判定部103及びレーザダイオード駆動部104に送る。
判定部103は、画像メモリ102から送られた画像データに基づき、ページ単位で、トナーの強制消費動作の実行タイミング(トナーの排出タイミング)を判定する。判定部103は、判定結果を判定情報としてCPU108に送る。CPU108は、判定情報に基づいて強制消費動作を行うことが必要であると判断すると、強制消費動作を実行させ、トナーを現像器24Y−24Kから排出させる。
他方、レーザダイオード駆動部104は、画像メモリ102から送られた画像データに基づき、各露光部23Y−23Kのレーザダイオードを変調駆動させ、感光体ドラム21Y−21Kを露光させる。
CPU108は、ROM105に記憶されているプログラム105bに基づいて、原稿自動搬送装置2や原稿読取部10、画像形成部20などの各部の動作を制御したり、紙詰まりの判定等を実行したりする。これにより、円滑にカラー画像の形成動作を行うことができる。
[給紙装置40についての説明]
図4は、給紙装置40の構成を示す側面図である。
図4に示されるように、給紙装置40は、給紙カセット41、給紙ローラ42及びさばきローラ43と、一対のレジストローラ44とを有している。給紙ローラ42とレジストローラ44との間には、通紙経路45が設けられている。
給紙ローラ42は、さばきローラ43と協働し、給紙カセット41から用紙を一枚ずつ繰り出す。用紙は、図4において右方となる方向(給紙方向)に繰り出される。
レジストローラ44は、給紙ローラ42よりも用紙の搬送方向下流側(以下、単に下流側ということがある)に位置している。レジストローラ44は、用紙傾き補正に用いられる。また、レジストローラ44は、用紙傾き補正が行われた用紙を二次転写位置Tに搬送する。
通紙経路45は、給紙ローラ42からその上方のレジストローラ44までを結ぶように設けられている。本実施の形態において、通紙経路45は、給紙方向に凸をなすように、湾曲している。通紙経路45は、湾曲している外側に設けられている外側ガイド46と、内側に設けられている内側ガイド47とに挟まれるようにして配置されている。外側ガイド46と内側ガイド47との間隔は、この部分で用紙がたるむことができるように、比較的広くなっている。
通紙経路45のうち、レジストローラ44の上流側には、用紙端検知センサ49が配置されている。用紙端検知センサ49は、通紙経路45の検知位置の用紙の有無を検知できる。すなわち、用紙の先端が検知位置に到達したことや、用紙の後端が検知位置に到達したことが、用紙端検知センサ49により検知される。
用紙の搬送は、給紙ローラ42が駆動されて、給紙カセット41上の用紙が繰り出されることで開始される。このとき、さばきローラ43が存在することにより、用紙の重送が防止される。1枚の用紙が繰り出されると、給紙ローラ42の駆動が継続され、用紙が通紙経路45上を搬送される。このとき、用紙の先端は、外側ガイド46に沿って上方に案内される。
通紙経路45上を搬送される用紙の先端が検知位置に到達すると、用紙端検知センサ49によりそのことが検知される。そうすると、そのタイミングを基準として、レジストローラ44と給紙ローラ42とを用いた、用紙傾き補正が行われる。
用紙傾き補正は、停止しているレジストローラ44に用紙を突き当てたまま、給紙ローラ42により所定の時間(又は距離)だけ用紙の搬送を継続し、用紙を通紙経路45上でたるませる(用紙ループを形成する)ことにより行われる。用紙をたるませた後、レジストローラ44の駆動を行うことで、用紙の傾きを正したうえで用紙を二次転写位置に搬送することができる。
[用紙ずれに関する説明]
一般に、用紙の傾き補正を行った後で、レジストローラ44を駆動したとき、用紙ずれが発生し問題となることがある。用紙ずれは、通紙経路上での用紙の姿勢が理想的な状態に維持されず、用紙が突っ張ったり、レジストローラ44に対して押し込まれたりすることにより発生することがある。
図5は、用紙の突っ張りについて説明する図である。
図5においては、用紙P1の搬送中において、用紙傾き補正が行われた後に、レジストローラ44が回転し(矢印R1)、給紙ローラ42の駆動は停止している場合が示されている。なお、給紙ローラ42は、例えばワンウェイクラッチなどの機構により、駆動されていなくても、用紙P1の搬送に伴って回動する。
給紙ローラ42が傾き補正後に停止し、レジストローラ44が駆動されると、傾き補正時に形成されていた用紙ループは解消される。そして、図5に示されているように、用紙P1が給紙ローラ42とレジストローラ44との間で突っ張る状態になると、レジストローラ44の駆動が継続されることにより、用紙P1の搬送に伴って給紙ローラ42が回転する。このとき、給紙ローラ42はワンウェイクラッチ等の機構により回転自在となっているとはいえ、用紙P1は給紙ローラ42とさばきローラ43とで挟まれているので、若干引きずられる。また、通紙経路45が湾曲しているので、用紙P1が内側ガイド47に接触した状態で用紙P1の搬送が継続され、用紙P1にその摩擦抵抗がかかる。そのため、レジストローラ44には、下向き(用紙P1の搬送を妨げる向き;矢印F1)の負荷がかかる。そうすると、レジストローラ44の部分で用紙ずれが発生し、用紙の搬送量が意図された量よりも少なくなる可能性がある。
図6は、用紙の押し込みについて説明する図である。
図6においては、用紙P2の搬送中において、用紙傾き補正が行われた後に、レジストローラ44が駆動され(矢印R1)、給紙ローラ42も駆動されている(矢印P1)場合が示されている。レジストローラ44の駆動が開始された後も、上記のような用紙の突っ張りが生じないように、レジストローラ44よりも速い回転速度で給紙ローラ42が駆動される。
このような場合には、レジストローラ44と共に給紙ローラ42が駆動されるので、時間が経過するにつれて、用紙ループの量が、傾き補正時よりも増大する。用紙ループの量が増大すると、用紙P2が外側ガイド46の方に貼り付き、それ以上の用紙P2が逃げられるスペースがなくなる。そうすると、さらに給紙ローラ42が駆動されることにより、用紙P2に腰があることにより、レジストローラ44に上向き(用紙P2の搬送方向;矢印F2)の負荷がかかる。そうすると、レジストローラ44の部分で用紙ずれが発生し、レジストローラ44が本来の用紙搬送を行うことができなくなり、用紙の搬送量が意図された量よりも大きくなる可能性がある。
[給紙ローラ42の速度制御に関する説明]
このような用紙ずれが発生するのを防止するため、本実施の形態においては、用紙傾き補正が行われた直後にレジストローラ44が駆動されるとき、通紙経路45における用紙のたるみ量が保たれるように、給紙ローラ42の速度制御が行われる。このような速度制御は、制御部100の制御に基づいて行われる。
図7は、本実施の形態における用紙の搬送について説明する図である。
図7においては、用紙傾き補正が行われた後で、用紙P3がレジストローラ44から二次転写位置Tに搬送される場面が示されている。本実施の形態においては、用紙P3が、通紙経路45の略中央(内側ガイド47と外側ガイド46とのどちらにも近づきすぎない位置)にある状態(図7に実線で示す)を中心に、内側ガイド47と外側ガイド46との両側に一定程度だけ近づく範囲内で搬送されるように、給紙ローラ42の速度制御が行われる。図7において破線で示されるように、最も用紙P3のループ量が小さくなったときに内側ガイド47に接触せず、かつ、最も用紙P3のループ量が大きくなったときに外側ガイド46に接触しないように、給紙ローラ42の速度制御が行われ、用紙P3のループ量が一定範囲内に維持される。
図8は、用紙の種類と速度制御との関係について説明する図である。
図8においては、用紙厚みが比較的薄い用紙P10について用紙傾き補正が行われる場合と、用紙厚みが比較的厚い用紙P20について用紙傾き補正が行われる場合とが示されている。図8に示されるように、レジストローラ44で用紙の傾き補正が行われた直後の姿勢は、用紙P10と用紙P20とで異なる。すなわち、薄い用紙P10は、腰が弱いため、先端が用紙端検知センサ49に検知され、レジストローラ44に突き当てられるときには、比較的外側ガイド46に沿った姿勢となっている。換言すると、薄い用紙P10のループ量は、傾き補正が行われたときに、比較的大きくなっている。他方、厚い用紙P20は、腰が強いため、先端が用紙端検知センサ49に検知され、レジストローラ44に突き当てられるときでも、比較的外側ガイド46から離れた姿勢となっている。換言すると、厚い用紙P20のループ量は、傾き補正が行われたときに、比較的小さくなっている。
このような用紙厚みによる用紙P10,P20の違いがあるため、本実施の形態においては、用紙傾き補正後に行う給紙ローラ42の速度制御は、用紙厚みに対応した態様(用紙の種類の一例)で行われる。すなわち、用紙P20が搬送される場合のような、用紙の腰が比較的強い場合と、用紙P10が搬送される場合のような、用紙の腰が比較的弱い場合とで、速度制御の態様とが切り替えられる。
具体的には、本実施の形態においては、用紙厚みが所定値以上である場合(以下、この場合について「厚紙時」ということがある)と、用紙厚みが所定値未満である場合(以下、この場合について「薄紙時」ということがある)との2つの区分のいずれに属するかに応じて、互いに異なる態様で、給紙ローラ42の速度制御が行われる。
図9は、制御部100の制御に基づいて給紙装置40が行う給紙動作を説明するフローチャートである。
画像形成装置1において用紙へのプリントが行われるとき、図9に示されるような一連の給紙動作が開始される。給紙動作が完了すると、用紙が二次転写位置Tまで搬送される。
図9に示されるように、ステップS101において、搬送対象となる用紙の用紙厚み(用紙厚)が判別される。判別は、例えば、事前に画像形成装置1に登録された用紙情報に基づいて行われる。この場合、用紙情報は、給紙カセット41に収容される用紙について予めユーザから情報が入力されることで、登録されていればよい。なお、このような判別方法に限られず、例えば、用紙へのプリントの実行指示にあわせてユーザから用紙厚みの情報入力されるようにしてもよい。
ステップS102において、制御部100は、例えばROM105等に予め記憶されている制御テーブルに基づいて、速度制御を開始するタイミングと、速度制御中の給紙ローラ42の速度とを決定する。制御テーブルには、例えば、用紙厚みに関する条件(例えば、厚紙時であるか、薄紙時であるか)と、その条件に対応する用紙に対して適用する速度制御に関する設定値とが対応付けられて記憶されている。設定値として、速度制御を開始するタイミングに関する値(例えば、用紙端検知センサ49で用紙先端が検知されてから速度制御を開始するまでの時間)が記憶されている。また、設定値として、速度制御中の給紙ローラ42の速度に関する値(例えば、後述のように給紙ローラ42の回転と停止とを繰り返す場合における回転時間及び停止時間)が記憶されている。
ステップS103において、用紙の給紙が開始される。給紙ローラ42及びさばきローラ43により、1枚の用紙が通紙経路45上を搬送される。
ステップS104において、用紙の先端が用紙端検知センサ49により検知される。
用紙の先端が検知されると、ステップS105において、用紙傾き補正が行われる。
ステップS106において、ステップS102で決定したタイミングと速度とで、給紙ローラ42と、レジストローラ44とを駆動する。用紙端検知センサ49で用紙が検知されたタイミング(すなわち、その所定時間後の用紙傾き補正が行われたタイミング)を基準として、決定されたタイミングで、速度制御が開始される。速度制御は、例えば、レジストローラ44を所定速度で駆動しながら、決定された速度で給紙ローラ42を駆動することにより行われる。
ステップS107において、制御部100により、用紙の後端手前まで搬送された(用紙の後端近傍が給紙ローラ42に到達し、かつ、用紙の後端が給紙ローラ42を通過していない状態となったか)か否かが判断される。判断されるまで、速度制御が継続される。判断は、搬送対象となる用紙のサイズ情報に基づいて行われる。制御部100は、サイズ情報を、例えば用紙厚みと同様にして取得可能である。
用紙の後端手前まで搬送されたと判断すると、ステップS108に示されるように、制御部100は、それ以後、給紙ローラ42を強制的に回転させて速度制御を行う。すなわち、給紙ローラ42を用紙の後端部が通過するときには、用紙がたるんだ状態になるように速度制御が行われる。これにより、用紙のサイズや紙種によらず、給紙ローラ42が回転している状態で、用紙が給紙ローラ42から離れるので、用紙に、給紙ローラ42の引きずりによる力が加わるのを確実に防止することができる。
用紙の後端が給紙ローラ42を通過すると、給紙ローラ42についての速度制御が終了する。搬送中の用紙は、引き続き、レジストローラ44により、二次転写位置Tまで搬送される。
[速度制御の具体例の説明]
本実施の形態において、給紙ローラ42の速度制御は、主に、給紙ローラ42をレジストローラ44より速い速度で回転させることと、停止させることとを繰り返すことにより行われる。単位時間における給紙ローラ42の回転時間が占める割合(デュティ比)を変更させることにより、見かけの給紙ローラ42の回転速度を変更させることができる。給紙ローラ42の回転時間と停止時間とを、レジストローラ44の回転速度に対応させて速度制御を行うことにより、通紙経路45における用紙のたるみ量が保たれる。
図10は、速度制御の具体例を示す図である。
図10において、横軸は時間の経過を示す。レジストローラ44は、厚紙であるか薄紙であるかにかかわらず、同一の回転速度(画像形成を行う際のシステム速度)で駆動されるものとする。これに対し、給紙ローラ42の速度制御の態様は、図に一点鎖線で示される厚紙時と、図に破線で示される薄紙時とで異なる。給紙ローラ42は、回転されるとき(図において「回転」となるとき)、レジストローラ44の回転速度よりも速い回転速度で回転する。
図10に示される例において、用紙の用紙厚みに応じて速度制御を開始するタイミングが変更されることで、速度制御の態様が変更される。すなわち、厚紙時よりも薄紙時の方が、用紙傾き補正が行われてレジストローラ44が駆動されてから、速度制御を開始するまでの間の時間が短くなるように制御される。これにより、厚紙時と薄紙時とで図8に示されるような用紙の姿勢の差があるところ、この差を改善したうえで用紙の通紙位置を所定の範囲内に維持することができる。
時刻t0は、用紙傾き補正が完了する時刻である。時刻t0までは、レジストローラ44は停止した状態で給紙ローラ42は駆動され、用紙ループが形成されて用紙傾き補正が行われる。時刻t0になると、給紙ローラ42も一旦停止される。
時刻t0から所定時間が経過した時刻t1に、二次転写位置Tまでの用紙の搬送が開始される。時刻t1に、それまで停止していたレジストローラ44と給紙ローラ42とが両方とも駆動される。このとき、給紙ローラ42はレジストローラ44よりも高速で駆動されるので、用紙ループはこのような駆動状態が続くにつれて大きくなる。図10に示される制御例において、この段階では、速度制御は開始されておらず、給紙ローラ42は単に回転しているのみである。
時刻t1に用紙の搬送が開始されると、それから所定のタイミングで、速度制御が開始される。すなわち、給紙ローラ42が停止され、以後、所定の周期で給紙ローラ42の回転と停止とが変更される。薄紙時には時刻t1から第1の所定時間が経過したタイミングの時刻t2に、給紙ローラ42の停止と回転との繰り返しが開始される。厚紙時には、時刻t1から、第1の所定時間より長い第2の所定時間が経過したタイミングの時刻t3に、給紙ローラ42の停止と回転との繰り返しが開始される。
速度制御は、レジストローラ44の速度に対応させた速度で給紙ローラ42が駆動されるようにして行われればよい。すなわち、用紙のループ量が大きくなり、用紙が外側ガイド46に接触するより前に、給紙ローラ42は停止される。そして、用紙のループ量が小さくなり、用紙が内側ガイド47に接触するより前に、給紙ローラ42が回転される。このように、給紙ローラ42の停止と回転とが繰り返されて速度制御が行われるので、通紙経路45における用紙のループ量を一定範囲内に維持することができる。レジストローラ44に、給紙ローラ42を引きずることによる力や用紙がガイド46,47に接触することによる力が作用することによる負荷変動が生じることを防止することができる。したがって、用紙のたるみを検知するためのセンサ等を設けることなく、簡素な構成で、レジストローラ44における用紙ずれの発生を防止することができる。これにより、画像形成装置1で適正に画像を形成することができる。
このように、厚紙時と薄紙時とで、レジストローラ44及び給紙ローラ42の回転開始タイミングに対する、給紙ローラ42の停止タイミング(速度制御の開始タイミング)が変更される。すなわち、図8において説明したように、薄紙時は、用紙傾き補正が行われたときに用紙が比較的外側ガイド46に近い位置にある。そのため、厚紙時よりも早いタイミングにおいて、給紙ローラ42を一端停止させて速度制御を開始することによって、用紙を通紙経路45の中央部分など、理想的な位置、ループ量にすることができる。他方、厚紙時は、用紙傾き補正が行われたときに用紙が比較的内側ガイド47に近い位置にある。そのため、薄紙時より、給紙ローラ42を一端停止させて速度制御を開始させるタイミングを遅らせることによって、用紙のループ量を増大させる。これにより、用紙を理想的な位置、ループ量にした状態で、それ以後の速度制御を行うことができる。
なお、速度制御の開始タイミングと、給紙ローラ42の回転時間や停止時間とは、給紙装置40の通紙経路45の形状や、給紙ローラ42及びレジストローラ44の回転速度等に応じて異なる。これらの値は、速度制御の態様を切り替える用紙厚みの範囲ごと(例えば、薄紙時と厚紙時など)に、実験等により求められ、設定されていればよい。設定値は、上述のように、その用紙厚みに関する条件に対応付けて、制御テーブルとして記憶され、以後の速度制御に用いられる。
図11は、速度制御の別の具体例を示す図である。
図11においても、図10と同様に、横軸は時間の経過を示す。レジストローラ44は、厚紙であるか薄紙であるかにかかわらず、同一の回転速度で駆動されるものとする。これに対し、給紙ローラ42の速度制御の態様は、図に一点鎖線で示される厚紙時と、図に破線で示される薄紙時とで異なる。給紙ローラ42は、回転されるとき、レジストローラ44の回転速度よりも速い回転速度で回転する。
図11に示される例においても、用紙の用紙厚みに応じて速度制御を開始するタイミングが変更されることで、速度制御の態様が変更される。本例では、薄紙時の方が、用紙傾き補正が行われてレジストローラ44が駆動されてから、給紙ローラ42の回転を開始させることで速度制御を開始するタイミングが遅くなるように制御される。これにより、厚紙時と薄紙時とで図8に示されるような用紙の姿勢の差があるところ、この差を改善したうえで用紙の通紙位置を所定の範囲内に維持することができる。
時刻t0に用紙傾き補正が完了すると、それから所定時間が経過した時刻t11に、レジストローラ44が回転し、二次転写位置Tまでの用紙の搬送が開始される。ここで、図11に示される変形例において、厚紙時には、時刻t11に、給紙ローラ42が駆動されることで、速度制御が開始される。以後、上述のようにレジストローラ44の回転速度に対応する回転時間及び停止時間で、回転と停止とが繰り返される。
これに対して、薄紙時には、時刻t11になっても速度制御が開始されず、給紙ローラ42が停止したまま維持される。そして、時刻t11から第3の所定時間が経過した時刻t12に、給紙ローラ42が駆動されることで、速度制御が開始される。以後、厚紙時と同様の回転時間及び停止時間で、給紙ローラ42の回転と停止とが繰り返される。
図11に示されるように、厚紙時と薄紙時とで、レジストローラ44の回転開始タイミングに対する、給紙ローラ42の回転開始タイミング(速度制御の開始タイミング)が変更される。したがって、上述と同様に、用紙傾き補正時に用紙が外側ガイド46に近くなる薄紙時には、レジストローラ44を回転させることでループ量を削減させた状態で、給紙ローラ42の回転を開始させ、速度制御が開始される。したがって、上述と同様に、薄紙時と厚紙時との両方において、それぞれ用紙を理想的な位置、ループ量にした状態で、それ以後の速度制御を行い、用紙ずれの発生を防止することができる。
なお、図11に示される状態で、厚紙時の場合に、レジストローラ44の回転開始よりも早いタイミングで給紙ローラ42を回転させて、速度制御を開始するようにしてもよい。この場合も、同様に、用紙を理想的な位置、ループ量にした状態で、それ以後の速度制御を行い、用紙ずれの発生を防止することができる。
[速度制御の変形例の説明]
なお、給紙ローラ42の回転速度は、レジストローラ44の回転速度よりも速いハイ側と、レジストローラ44の回転速度よりも遅いロー側との2通りに切り替え可能にしてもよい。この場合においても、単位時間における給紙ローラ42のハイ側の回転時間が占める割合を変更させることにより、見かけの給紙ローラ42の回転速度を変更させることができる。給紙ローラ42のハイ側の回転時間とロー側の停止時間とを、レジストローラ44の回転速度に対応させて速度制御を行うことにより、通紙経路45における用紙のたるみ量が保たれる。
この場合、用紙の用紙厚みに応じて、速度制御の開始時において給紙ローラ42の回転速度がハイ側とロー側とで切り替えられることで、速度制御の態様が変更されようにしてもよい。すなわち、薄紙時には、速度制御の開始時に給紙ローラ42がロー側の速度で回転するように制御される。他方、厚紙時には、速度制御の開始時に給紙ローラ42がハイ側の速度で回転するように制御される。これにより、厚紙時と薄紙時とで図8に示されるような用紙の姿勢の差があるところ、この差を改善したうえで用紙の通紙位置を所定の範囲内に維持することができる。
図12は、速度制御の変形例を示す図である。
図12においても、図10と同様に、横軸は時間の経過を示す。レジストローラ44は、厚紙であるか薄紙であるかにかかわらず、同一の回転速度で駆動されるものとする。これに対し、給紙ローラ42の速度制御の態様は、図に一点鎖線で示される厚紙時と、図に破線で示される薄紙時とで異なる。
時刻t0に用紙傾き補正が完了すると、給紙ローラ42は一旦停止される。そして、それから所定時間が経過した時刻t21に、レジストローラ44が回転し、二次転写位置Tまでの用紙の搬送が開始される。また、厚紙時においても薄紙時においても、時刻t21に給紙ローラ42が駆動され、速度制御が開始される。
ここで、厚紙時には、速度制御が開始される時刻t21において、ハイ側の速度で給紙ローラ42が駆動される。以後、レジストローラ44の回転速度に対応するハイ側回転時間とロー側回転時間とで、給紙ローラ42の回転速度がハイ側とロー側とで切り替えられる。
これに対して、薄紙時には、速度制御が開始される時刻t21において、ロー側の速度で給紙ローラ42が駆動される。以後、レジストローラ44の回転速度に対応する回転時間の割合で、給紙ローラ42の回転速度がハイ側とロー側とで切り替得られる。
このように、用紙傾き補正時に用紙が内側ガイド47に近くなる厚紙時には、ハイ側の速度で給紙ローラ42の速度制御が開始される。これにより、速度制御の開始時には用紙のループ量が増大するように給紙ローラ42が駆動されて、以後、用紙のループ量が保たれる。これに対して、用紙傾き補正時に用紙が外側ガイド46に近くなる薄紙時には、ロー側の速度で給紙ローラ42の速度制御が開始される。これにより、速度制御の開始時には用紙のループ量が減少するように給紙ローラ42が駆動されて、以後、用紙のループ量が保たれる。したがって、上述の他の速度制御の具体例と同様に、薄紙時と厚紙時との両方において、それぞれ用紙を理想的な位置、ループ量にした状態で、それ以後の速度制御を行い、用紙ずれの発生を防止することができる。
[実施の形態における効果]
給紙ローラ42の速度が切り替えられて、速度制御が行われるので、通紙経路45における用紙のループ量を一定範囲内に維持することができる。レジストローラ44に、給紙ローラ42を引きずることによる力や用紙がガイド46,47に接触することによる力が作用することによる負荷変動が生じることを防止することができる。したがって、用紙のたるみを検知するためのセンサ等を設けることなく、簡素な構成で、レジストローラ44における用紙ずれの発生を防止することができる。これにより、マシン構成の大型化や構成の複雑化を招くことなく、適正に画像を形成することができる画像形成装置1を実現することができる。
このように、厚紙時と薄紙時とで、レジストローラ44及び給紙ローラ42の回転開始タイミングに対する、給紙ローラ42の停止タイミング(速度制御の開始タイミング)が変更される。すなわち、図8において説明したように、薄紙時は、用紙傾き補正が行われたときに用紙が比較的外側ガイド46に近い位置にある。そのため、厚紙時よりも早いタイミングにおいて、給紙ローラ42を一端停止させて速度制御を開始することによって、用紙を通紙経路45の中央部分など、理想的な位置、ループ量にすることができる。他方、厚紙時は、用紙傾き補正が行われたときに用紙が比較的内側ガイド47に近い位置にある。そのため、薄紙時より、給紙ローラ42を一端停止させて速度制御を開始させるタイミングを遅らせることによって、用紙のループ量を増大させる。これにより、用紙を理想的な位置、ループ量にした状態で、それ以後の速度制御を行うことができる。
なお、速度制御の開始タイミングと、給紙ローラ42の回転時間や停止時間とは、給紙装置40の通紙経路45の形状や、給紙ローラ42及びレジストローラ44の回転速度等に応じて異なる。これらの値は、速度制御の態様を切り替える用紙厚みの範囲ごと(例えば、薄紙時と厚紙時など)に、実験等により求められ、設定されていればよい。設定値は、上述のように、その用紙厚みに関する条件に対応付けて、制御テーブルとして記憶され、以後の速度制御に用いられる。
[その他]
なお、上述の実施の形態では、厚紙時と薄紙時と2通りの場合で速度制御の態様を変更する例を示したが、用紙厚みについてより多くの区分を設け、それらの各区分に対応する態様で、速度制御が行われるようにしてもよい。
例えば、用紙厚みの値と、速度制御の態様を定めるための予め設定された計算方法とを用いて、速度制御を行う場合に用いられる制御パラメータを算出することで、用紙厚みに応じた態様の速度制御が行われるようにしてもよい。換言すると、用紙厚みに対応する、用紙厚みに応じて決定されるように予め定められた態様で、速度制御が行われるようにしてもよい。
給紙ローラの速度制御は、使用する(搬送対象となる)用紙の種類に対応した態様で行われればよく、用紙厚みの違いに基づいて態様が切り替えられるものに限られない。例えば、その他の紙質(用紙の種類の一例)の違いに応じて、速度制御の態様が変更されるようにしてもよい。具体的には、例えば、表面処理の違いにより用紙の腰が違う場合には、その用紙の腰の強さに応じて、速度制御の態様が変更されるようにしてもよい。
給紙ローラの速度制御は、回転と停止とを切り替えたり、2段階の速度を切り替えたりして行われるものに限られない。より多段階に給紙ローラの速度を変更できるように構成されていてもよい。
画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。また、電子写真方式により画像を形成するものに限られず、例えばいわゆるインクジェット方式により画像を形成するものであってもよい。
また、本発明に係る給紙装置は、画像形成装置に用いられるものに限られない。例えば、本発明は、画像データを読み取るスキャナ装置など、種々の装置に用いられる給紙装置においても適用可能である。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートで文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。