JP6786625B2 - フジツボの幼生期の冷凍保存 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、請求項1の前提部分に記載のフジツボの卵、フジツボのノープリウス幼生及び/又はフジツボの幼体の大規模凍結保存方法に関する。本発明は、また、凍結保存された生体の蘇生化の方法に関する。さらに、本発明は、凍結保存された製品又は餌及び使用に関する。
発明の背景
海洋魚の幼生は、食べ始めてから最初の餌料である生餌の生物に主に依存するようになると、発達が早くなる。乾燥飼料餌などの人工餌は、次善の選択であり、海洋魚の幼生用餌として、成長の初期段階で当該人工餌を使用すると死亡率が高く、成長率の低下がよく見受けられる。初期の給餌段階において、このような人工餌の欠点にはいくつかの理由がある。他にも当該欠点の理由はあるが、人工餌の欠点の主な理由は、一般に、生きていない餌生物のため摂取率が低く、消化率が低下するだけでなく、人工餌の栄養価が欠如しており、水中の有機物負荷が高くなることである。したがって、海洋魚の幼生への初期給餌は、自然から捕獲した又は養殖目的で育てた生きた餌生物の供給に大きく依存される。海洋魚の幼生の初期給餌に使用される最も一般的な生物は、ブラインシュリンプ(アルテミア フランシスカーナ)及びワムシ類(ツボワムシ sp)の異なる系統である。これらの餌生物の生体は、一般的には養殖場で養殖され、生きた餌生物として直接摂取される。しかし、生餌として広く用いられているにもかかわらず、これら餌生物の生体の栄養価は、海洋魚の幼生の最適な成長、発達及び生存を担保するには最適ではない。オメガ3脂肪酸の含有量が高い海産油などのように、栄養価を向上させるためにさまざまな濃縮技術が開発されているが、それらの餌の栄養価はまだ最適ではないと考えられており、自然から捕獲した餌生物に基づく餌料と比較して、一般的に死亡率が高くなり、成長が抑制され、多くの場合発育不良が起こることになる。さらに、海洋魚の幼生の飼育及び改善には、手間とコストがかかる。
冷水海洋魚類の幼生の自然餌料は、通常、種々の期における、アカルチア属、カラヌスフィンマルキクス等のカイアシ類のノープリウス幼生及び初期のコペポダイトである。カイアシ類を使用して給餌を開始すると、同等の高い成長率と良好な生存率が得られる。カイアシ類は最適な餌であると考えられているため、その有効性を改善する努力がなされている。カイアシ類を使用して給餌を開始するための課題の1つは、自然からの捕獲は、これらの生物が海に繁殖している特定の限られた期間にのみ可能であるということである。さらには、生きた餌生物を保存することは困難であるため、すぐに使用する必要がある。最近、カイアシ類を養殖する技術が開発されてきているが、特に生育した生物を保存する技術は依然として課題が残る。
したがって、海洋魚の幼生の初期給餌において別の生きた餌生物の餌料が大いに必要とされている。特に、餌生物の現場の養殖又は季節に依存する自然からの捕獲に頼らない生餌の餌料が必要とされている。さらに、海洋の水産資源が限られており、特に海洋性脂質のための高品質の海洋原材料の需要が世界的に増加しているため、プランクトン種や未開拓の海洋無脊椎生物といった低栄養レベルの生物等の魚類以外の海洋資源を利用する必要がある。これらの水産資源を有効活用するためには、新しい方法と手法を開発する必要がある。
凍結保存は、構造上完全な生きた細胞及び組織だけでなく生体も保存するために、非常に低い温度を使用する。つまり、凍結保存は、分子運動を抑制し、代謝及び生化学反応を停止させるといった、低い温度における有益な効果を利用するものである。低温の保護効果を利用し、細胞、組織又は生体を凍結した形態で長時間保存するためには、特定の手順が必要となる。
凍結保存法は、凍結中の氷形成による損傷を引き起こすことなく、低温に到達するようにするものである。1つの重要な問題は、保存された細胞及び生体の凍結後の蘇生化の有効性である。
この分野における研究の多くは、哺乳生物種を含む医学的及び農業的に重要な細胞、組織、配偶子(精子)及び胚の凍結保存だけでなく、哺乳類以外の脊椎生物及び無脊椎生物からの凍結保存にも関係する。
凍結保存法は、一般に、2つの異なる技術に基づいており、低速凍結技術、及び例えば液体窒素中等の超高速凍結技術(ガラス化技術)で制御される。保存プロセスにおいて抗凍結剤を適用する際には、溶液効果、細胞外氷形成、脱水及び細胞内氷形成などの凍結保存中に起こりうる負の効果を低減しなければならない。
抗凍結剤は、保存プロセスにおけるその用途及び役割に応じて、通常2つのクラスに分けられる。細胞内抗凍結剤は、低分子量を有し、かつ細胞内に浸透する。グリセロール及びジメチルスルホキシドのような細胞内抗凍結剤は、通常、0.5〜3mol濃度で使用され、ゆっくりと凍結された場合、多くの生体系において細胞損傷を最小化する。抗凍結剤及びその濃度の選択は、凍結前及び凍結中の接触時間、それらの生物学的毒性及び生物学的物質の化学物質に対する個々の耐性などの多くの要因に依存する。一般的には、浸透性の材料を用いて凍結保存する材料を、生体内の抗凍結剤と、外部の抗凍結剤との濃度が浸透圧平衡に達するのに十分な時間、抗凍結剤でインキュベートする。
高速凍結技術は、通常、細胞に浸透しない比較的高分子量の細胞外の抗凍結剤を用いて行われる。その例としては、ポリビニルピロリドン及びヒドロキシエチルデンプンである。これらは、液体窒素中などで急速に冷凍する生物系を保護するのに有効である。当該非浸透性の細胞外抗凍結剤の一部は、細胞膜上に直接的な保護効果を示すが、それらの主要な作用機序は、細胞外ガラス質の形成のプロセスであるガラス状化の導入に関連する。
種々の細胞は、適用される最適な保存方法に対して異なる条件を有することは、多くの凍結保護研究からよく知られている。相互に関連する変数の最適条件を相当数検討する必要がある。特に、複雑な多細胞組織及び生体の凍結保存は興味深く、そして、例えば、細胞外氷の形成によって引き起こされる深刻な問題を伴う場合がある。さらに、保存されうる生体のサイズは、凍結保存プロセスに影響を及ぼす。小さな生体は、一般に、大きな生体と比較して平衡に達しやすいため、低速凍結技術によって保存することが比較的容易である。
凍結保存における主な課題の1つは、飼料用などの工業規模の用途で必要に応じてより大きなバッチを保存するのに適した方法がないことである。一般的には、凍結保存技術は、マイクロタイター又はミリリットルスケール、例えば0.5〜1.5mlの体積を有する小さなバイアル又はストローで適用される。したがって、公知の技術の適用は、一般に、少量に限定され、多量には適していない。
キン−マウン−オウ(Khin−Maung−Oo)らは、凍結保護性ストロー中に存在するタテジマフジツボ(Balanus amphitrite)種のノープリウス幼生を小規模に凍結保護する方法を、1998年に開示している(Khin−Maung−Oo et al. フジツボのノープリウス幼生の凍結保存 Balanus amphitrite Drawin、Fisheries Science、64(6):857−860)。当該文献における好ましい方法には、ノープリウス幼生ステージIIから水を排水し、29%の海水中に抗凍結剤として1.5Mのジメチルスルホキシドを含んだ液体中で20分間排水したノープリウス幼生ステージIIを平衡化させることが含まれている。また、ノープリウス幼生を20℃から−12℃までを5℃/分の速度で冷却し、−12℃で10分間保持し、その後−30℃まで0.5℃/分の速度で凍結させ、−30℃で20分間撹拌し、−196℃に急速に凍結させている。
ガコワ(Gakhova)らは、ヨーロッパフジツボ(Balanus improvises)のノープリウス幼生IIを2段階凍結プロセスで凍結保存するための別の方法を1990年に開示している(Gakhova E.N. フジツボ属フジツボ幼生の凍結における−196℃で改善 Biologiya Morya(Valdivstock)(4):62−65)。当該文献では、プラスチックチューブ中の200μlのノープリウス幼生/抗凍結剤懸濁液を6〜6.7℃/分の速度で−38〜−42℃の温度に凍結し、この温度で10分間保持し、その後液体窒素に移している。
アニル(Anil)らは、3つの異なる抗凍結剤(エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、及びグリセロール)を用いたタテジマフジツボ(Balanus amphitrite)のノープリウス幼生の凍結保存方法を1997年に開示しており、適用された抗凍結剤濃度に対する前記幼生の感受性の向上が示されている(Anil A.C.、Tulaskar、A.S.、Khandeparkar D.C、及びWagh、A.B. Balanus amphitriteのノープリウス幼生の凍結保存 Cryobiology 34,131−140)。当該文献によれば、3〜4Mのエチレングリコールの濃度の場合は、平衡時間後2時間まで損傷を引き起こさなかった。また、ノープリウス幼生は、−8℃での初期播種と組み合わされた2段階の低速凍結プロセスにより、少量(ストロー)凍結保存される。さらに、凍結速度は20℃から0℃まで5℃/分、0℃から−8℃まで1℃/分であった。そして、播種後、少なくとも20℃に達するまで冷却速度を0.3℃/分にしてゆっくりと凍結させることによって、温度を20分間保持した。その後、ストローを液体窒素に移した。2時間以上後、−40℃に達した時点でサンプルを液体窒素に移した。アニルらによれば、解凍1時間後では90%蘇生したことが報告されている。しかし、24時間後では、わずか35%の蘇生であったと報告している。
Science,64(6):p857−860(1998) Biologiya Morya(Valdivstock)(4):p62−65(1990) Cryobiology 34,p131−140(1997)
本発明が目的とする技術的課題
本発明は、フジツボの保存及び蘇生のための方法を提供することを目的としており、特に初期発育期、すなわちフジツボの卵期、胚性期、幼生期、及び幼体期に焦点を当てている。より詳細には、本発明は、一般的に海洋沿岸域に生息するこれらの生体の効率的な凍結保存のための凍結保存のプロトコルを提供することを目的とする。さらに、本発明は、海洋魚の幼生への初期給餌等の初期給餌目的の餌として好適な新種の海洋生物種の開拓を促進することを目的とし、また、産業用途に重点を置いた新種の海洋生物種を開拓できる方法を提供することを目的とする。本発明の別の目的は、海洋養殖生産における現在の生餌の体制と効率的に代替するように使用可能な生餌の生体の長期保存方法を提供することである。特に、本発明は、早熟な海洋魚の幼生の初期給餌などの養殖生産における生餌料として使用できる生体の大規模(量的)の凍結保護のための方法を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、解凍後のより長い期間の高生存率を達成する、フジツボの凍結保存方法を提供することである。例えば海洋魚の幼生による蘇生した生体の消費は、一般的には即時起こるものではなく、海洋魚の幼生用の養殖ユニットに当該蘇生した生体を加えてからある程度の時間を要するため、解凍後のより長い期間の高生存率を達成することは、初期給餌として使用する場合、特に重要である。したがって、数時間又は数日間の餌生物の長期生存が重要である。
本発明の別の目的は、大きなノープリウス幼生を有するフジツボ種に適した単位当たりの体積が大きい凍結保存の効率的な方法を提供することである。
本発明の別の目的は、高い活性化率を有する粒状凍結保存餌の製造方法を提供することである。
本発明の概略
本発明は、フジツボの種の様々な初期発育期(卵、ノープリプス幼生、及び幼体)の保存及び蘇生のための凍結保存のプロトコルに関する。本発明の主な目的の一つは、海洋養殖生産における現在の生餌体制と代替可能又は補完可能である、これらの生きた飼料生体を含む保存される貯蔵可能な製品の生産に関する。
したがって、第1の態様によれば、本発明は、フジツボの卵、フジツボのノープリウス幼生及び/又はフジツボの幼体の大規模凍結保存のための方法であって、
前記方法は、以下の順序で実施される工程:
−生体から水を排水する工程と、
−エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール及びジメチルスルホキシド又はそれらの混合物質からなる群から選択される抗凍結剤を含有する抗凍結溶液を5〜10M添加する工程と、
以下の(i)〜(iii)に続く工程に従って、容器中の混合物を凍結する工程と、
(i)前記混合物中の前記生体が結晶化し始める温度に至るまで、毎分1℃以下の温度を低下する第1の低速凍結速度で凍結する工程;
(ii)前記混合物中の前記生体及び前記抗凍結剤が完全に結晶化するまで、毎分0.1℃/分以下の温度を低下する第2の低速凍結速度で凍結する工程;並びに
(iii)低温保存温度まで第1の高速凍結速度で凍結する工程
を含む方法に関する。
好ましくは、抗凍結溶液と排水された生物との間の体積比は、少なくとも1:4、好ましくは1:4〜2:1、より好ましくは1:4〜1:1である。これは、前記混合物中の少なくとも約20%の体積が抗凍結剤であり、80%の生体が前記混合物中に存在することを意味する。
好ましい方法において、第1の低速凍結速度は、毎分0.5℃/分以下の温度を低下する、好ましくは毎分0.3℃以下の温度を低下する、より好ましくは毎分0.1℃分以下の温度を低下することである。
平衡化工程は、第1の凍結工程の前に、好ましくは5〜60分間、より好ましくは15〜30分間、最も好ましくは約15分間必要に応じて行うことができる。この平衡化工程の利点は、一般的には、最終生成物に影響を及ぼすことなく、平衡化工程を省略する場合よりも第1の低速凍結速度が上がることである。平衡化工程は、第1の低速凍結速度−0.5〜−1℃と組み合わせることができる。60分を超える平衡化時間はあまり好ましくなく、通常は凍結後の生存率が低下する。
前記凍結速度が毎分0.5℃未満の温度を低下する場合、平衡化時間は15分未満に短縮され、又は特に完全に省略する場合もある。フジツボは抗凍結剤に対して高い耐性を有することが示されていたとしても、平衡化時間の短縮の利点は、生体との接触を低減でき、より時間効率に優れる凍結手順にできることにある。本発明によれば、本発明による第1の低速凍結速度を使用する場合、フジツボのノープリウス幼生は、平衡化時間の短縮又は省略によって悪影響を受けないことを示しうるものであった。驚くべきことに、生体は、凍結の開始前に平衡に達することに依存するように見えない。
例えば、毎分0.5℃未満の温度を低下する凍結速度を使用する場合、結晶化が生じる前に、前記低速凍結過程の間の平衡化には十分である。平衡化工程を使用しない利点は、工程数が少なく、実行されるより少ない個々の工程を含む単純化されたプロセスで済むことにある。
好ましい実施形態では、第2の低速凍結速度は、毎分0.015℃〜毎分0.1℃の温度を低下する、好ましくは毎分0.04毎分0.08℃の温度を低下することである。特に好ましくは、第2の低速凍結速度が毎分0.0の温度を低下する、最も好ましくは、第2の低速凍結速度は毎分0.04℃の温度を低下することである。この条件は、凍結が特に穏やかであり、非常に均一な温度分布が得られる利点を有し、同一ユニット内で処理される、より大きな体積又は質量の場合にも適用される。
第2の低速凍結速度は、好ましくは少なくとも約−30℃、より好ましくは少なくとも−35℃、さらに好ましくは少なくとも−36℃、最も好ましくは−38℃〜−46℃に至るまで維持される。
好ましくは、排水された生体は、排水後において、6%〜14%、より好ましくは8%〜12%、最も好ましくは約10%の乾燥重量含量を有する。
好ましくは、抗凍結溶液は、2.0%〜4.5%のNaCl、より好ましくは3.0%〜3.8%のNaCl、最も好ましくは3.2%〜3.8%のNaClを含む。
生体に添加される抗凍結剤の濃度は、6M〜8Mであることがさらに好ましく、当該濃度が6.5〜7.5Mであることがさらに好ましい。特に好ましい形態では、抗凍結剤の濃度が、少なくとも6Mであり、より好ましくは少なくとも7M、最も好ましくは7.2Mである。好ましくは、抗凍結剤は、エチレングリコールとプロピレングリコールの混合物であり、好ましくはそれぞれ約50%であり、より好ましくは約75%のエチレングリコール及び25%のプロピレングリコールを含む。
任意の平衡化工程は、好ましくは0〜10℃、より好ましくは3〜8℃、最も好ましくは約5℃の温度で実施される。5℃より低い温度では、生存率の低下を招く。
本発明による方法は、特に開発され、より大量及び大体積の生体に適している。好ましくは、1ユニット中で凍結保存される材料の量は、少なくとも5g〜10g、好ましくは少なくとも10g〜50g、より好ましくは少なくとも50g〜100g、最も好ましくは200g〜2000gである。
抗凍結剤と生体との混合物を、平衡化工程の前、又はその後に、凍結保存に適した容器に入れることができる。前記容器内の前記混合物は、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下であり、最も好ましくは10mm以下である最大の厚みを有することができる。
好ましくは、約−10℃〜−13℃、好ましくは約−12℃〜−13℃に材料内の均質な温度が達すると、第1の低速凍結速度は終了する。
長時間の凍結及び低速凍結速度は、本発明に従って保存する場合の最終製品の品質にとって重要である。これは、大質量又は大体積を保存する場合に特に関係する。好ましくは、全凍結プロセスは、少なくとも5時間、より好ましくは6〜10時間、さらにより好ましくは10〜12時間、最も好ましくは12時間超継続する。これにより、高い生存率が達成される。
別の好ましい実施形態では、生体は、適切なサイズの金型で5〜50ml、好ましくは10〜25mlの体積で凍結保存される。好ましくは、前記金型は、シリコーン製である。凍結保存された生体を有するより大きなプレート又はポーチは、液体窒素中でより小さな粒子に粉砕することができ、それにより得られた粒子は、好ましくは、液体窒素中に充填することなく保存される。小さい粒子又はペレットの製造の利点は、例えば、その後の使用において、当該粒子が生餌の生体になることである。これは、生餌としての給餌中の蘇生化及び投与を容易にする。
本発明の第2の態様は、上記のパラグラフのいずれかによる凍結保存された生体の蘇生化方法であって、
30〜40℃の温水浴中で凍結保存された生体を解凍する方法、
冷凍された材料を粉砕し、10℃以下の冷海水の流水で前記材料を洗ってから、5℃以下で最大36時間かけて前記生体を蘇生する方法、及び
凍結した材料を粉砕し、10℃以下で通気して海水中で前記材料をインキュベートした後、5℃以下で最大36時間かけて前記生体を蘇生する方法、から選択されるいずれかの方法を適用する、凍結保存された生体の蘇生化方法である。
解凍された生体は、摂取する魚の培養物中の水温に解凍した後、任意に適合させることができる。
本発明の第3の態様は、凍結保存方法に関連する前述に開示された方法のいずれかによって得られることを特徴とする凍結保存製品又は飼料に関する。
本発明のさらに別の態様は、抗凍結剤としてプロピレングリコール又はグリセロールと混合されたエチレングリコール又はエチレングリコールを用いてフジツボを低温保存し、好ましくは前記フジツボの生体に6〜8Mの濃度で添加されることを特徴とする、フジツボの初期発育期を含む凍結保存された製品又は飼料に関する。
最後に、本発明は、海洋魚類の幼生及び無脊椎生物用の生餌としての凍結保存及び蘇生した初期発育期のフジツボの使用に関する。好ましい実施形態は、従属請求項にも定義されている。
前述した本発明の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく任意に組合せで組み合わせできることが理解されよう。
[発明の好ましい形態]
本発明の詳細な説明及び好ましい実施形態
本発明は、フジツボの種の種々の初期発育期(卵、ノープリウス幼生、及び幼体)の保存及び蘇生のための凍結プロトコルに関する。本発明の1つの主な目的は、海洋養殖生産における現在の生餌体制と代替可能又は補完可能である、これらの生きた飼料生体を含む保存される貯蔵可能な製品の生産に関する。
本発明による凍結保存方法は、以下の特定の抗凍結剤(凍結保存剤)を高濃度使用するいくつかの工程を用いた、非常に低速の凍結技術による凍結保存を含む。本発明による方法は、従来、有効に凍結保存できなかった大規模なバッチ(典型的には、1ユニットで、単位ユニットあたり数百グラムの凍結に適している)について開発したものである。本発明の大きな利点は、この方法が大規模/工業規模でのフジツボの初期発育期の凍結保存に適していることであり、特に、魚の初期給餌に適した新しいフジツボ製品を得るための自動化された大規模生産に適している。この方法はまた、(餌料の生体として)魚の初期給餌に適した粒状物質又はペレットを製造してもよい。
開示されたプロトコルにおける各工程の凍結速度は、凍結される各ユニットにおける材料の量及び/又は寸法(特に、その幅の広がり)に応じて変更しうる。しかしながら、最適な結果(すなわち、後に蘇生された後に生存可能で無害な生体)を得るためには、特定条件を満たす必要がある。前記工程に依存して、良好な結果を得るためには、凍結プロセス中において材料全体が実質的に均質な温度分布を示すことが重要であると判明した。これは、凍結プロセスにおいて、約−10℃〜−13℃前後で特に重要であり、生体が抗凍結剤と混合されたとき、通常生体は結晶化し始め、そして、特に−20℃〜−25℃の間で、抗凍結剤、例えば、エチレングリコールは、当該生体を取り囲み、結晶化するか又は結晶化し始める。結晶化温度の正確な温度範囲は、抗凍結剤の選択及び溶液中の塩の量に依存に応じて−20℃〜−25℃の間で変化する。本発明による方法の成功に関連する特に重要な点は、生体が結晶化する温度範囲、すなわち約−10℃〜−15℃、特に−12℃〜−13℃の範囲内において、熱放出による材料内の温度上昇を回避するか、又は制限することである。本発明に係る凍結プロトコルは、以下の特徴及び工程を含む:
第1の工程として、保存される生体から海水を排出する。例えば、前記生物を保持するために適切なメッシュ又は細孔サイズを有するネット又はフィルターを使用することによって、海水の排出を行うことができる。典型的には、排水後において、チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)又はハナフジツボ(Balanus crenatus)のようなフジツボの乾燥物質含量は、約10%である。しかし、これは、水を保持するための特性及び生体に依存して変化する可能性がある。したがって、乾燥重量含量は、最終製品の品質に著しい影響を与えることなく、6〜14%で変動し得る。
排出された生体は、その後、抗凍結剤のストック溶液と混合される。好ましくは、エチレングリコール(3〜4%のNaCl、好ましくは約3.5%のNaClを含む塩溶液中において、7.2molのエチレングリコールのストック溶液)を抗凍結剤として、好ましくは、生体に対する前記抗凍結剤を、1:4〜1:1の体積比で使用する。ストック溶液の塩分は変化し得る。実用上の理由から、通常は海水をストック溶液に使用し、塩(NaCl)を添加して塩分を増加させる。凍結保存で最適な結果を得るには、高濃度の抗凍結剤を使用することが重要である。一般に、添加した抗凍結剤の濃度は、5〜10Mの抗凍結剤の濃度範囲内、好ましくは6〜8Mの範囲内にあるべきである。したがって、抗凍結剤の濃度は、少なくとも6Mの抗凍結剤であることが好ましく、より好ましくは、約7M、最も好ましくは、約7.2Mである。
抗凍結溶液中の塩の添加は、塩を添加しない場合と比較して、ノープリウス幼生の蘇生化が改善されることが示された。特に遊泳活動が改善された。これにより、NaClの最終塩濃度は、好ましくは2.0〜4.5%、より好ましくは3.0〜3.8%、最も好ましくは3.2〜3.8%である。
別の好ましい実施形態では、エチレングリコールは、抗凍結剤としてエチレングリコールとプロピレングリコールとの混合物に置換してもよい。最良の結果は、75%のエチレングリコールと25%のプロピレングリコールとの混合物を使用した場合に達成された。蘇生後の生存の点では最適ではないが、50%のエチレングリコールへの置換も可能である。75%のエチレングリコールへの置換の場合も、同様に生存を示す結果を示した。また、25%のエチレングリコールをグリセロールで置換するとかなり良好な生存を示す結果が得られるが、75%のエチレングリコールと25%のプロピレングリコールとを使用した場合、又は抗凍結剤としてエチレングリコールのみを使用した場合ほど良好な結果ではなかった。エチレングリコールをプロピレングリコール又はグリセロールに置き換える利点は、プロピレングリコール及びグリセロールの一般的に認められる低毒性である。この点は、凍結保存された生物が、エチレングリコールを含む化学物質に対して非常に敏感であることが知られているので、海洋魚の幼生の餌として使用する場合に有益である。別の実施形態では、ジメチルスルホキシド(DMSO)を凍結保存剤として使用する。DMSOは、一般に認められているより高い毒性を示すため、生餌としての後の適用の場合にあまり好ましくない。
抗凍結剤と生体との混合物は、バッグ、パッケージ、及びポーチのような適切な容器で直接得られるか、又は混合後にこれらに移してもよい。凍結、保存及び後の解凍プロセスにおいて適切に維持される限り、異なる種類の材料を梱包に使用してもよい。一般的には、耐寒性プラスチック製の容器、バッグ、型、又はポーチを適用することができる。他の適切な材料はシリコンである。使用されるポーチの例は、以下の寸法を有する:500mm×190mm×10mm。このポーチは、約600gの混合物を含有するのに適している。抗凍結剤と生体との間の選択された比に応じて、このサイズのポーチは、通常保存される300〜450gのフジツボを内包できる。本発明に従って凍結されるべき各ユニット中の量(生体及び抗凍結剤が混合されている)は、通常50g〜1000gの範囲である。いくつかの用途では、5g、10g、20g、又は25gのように、個々に保存される単位ユニット当たりの量が少ないことが好ましい場合もある。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの特定の量及び寸法に限定されないことを理解するであろう。各ユニットにおいて制御された凍結及び十分に均一な温度分布が次の凍結プロセス中においても達成され得る限り、ポーチの他の寸法及び材料の量への変更が可能である。これは、特に、パッケージ/バッグの厚さに依存し、当該パッケージ/バッグの厚さは、50mmを超えないことが好ましく、10mmがより好ましく、5mmが最も好ましい。
意外にも、本発明のプロトコルによる凍結プロセスの開始前の平衡化の時間は、当該凍結プロセスが良い結果を得るためには必須ではないことが、本発明によって示された。従って、結晶化前に第1の凍結速度が遅い場合、本発明による凍結保存した際の生体の蘇生化速度に影響を与えることなく、規定の平衡化工程を完全に省略できることが示され得る。好ましくは、抗凍結剤を、5〜10℃の温度で生体に添加する。より低い温度ではあまり好ましくない。また、0℃付近の温度では生存率が低下する。
必要に応じて、本発明の凍結保存方法は、平衡化の時間と組み合わせることができる。実施する場合、平衡化の時間は、典型的には15〜60分継続することができる。当該時間が60分を超える場合、例えば120分の場合は、生存率に悪影響を及ぼすことがある。好ましくは、平衡中の温度は、抗凍結剤の効果的な取り込みのためのこの段階の間、5℃〜10℃の範囲内、最も好ましくは約5℃以内である。
20℃未満、特に5℃未満の温度は、保護効果を備えることができるこの段階の生体の代謝活性が全体的に低いため、このプロセスにおいて有益であると考えられる。
本発明の好ましい実施形態では、5℃で15〜30分間の平衡時間を採用する。しかしながら、本発明に関連して実施した試験結果から、抗凍結剤として7.2M(ストック溶液)氷冷エチレングリコールによる24時間の平衡時間であっても、チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)のフジツボのノープリウス幼生を著しく害することはないという毒性試験の結果が得られた。これは、高濃度及び長時間の抗凍結剤に対する非常に高い耐性を示す結果である。本発明は、本発明の凍結手順のように非常に長い時間にわたって抗凍結剤に接触された(曝された)場合でも、高濃度の抗凍結剤に対して非常に高い耐性を示す利点を利用するものである。本発明における非常に低速の凍結プロセスを行う間に前記大きなバッチを凍結する場合、ストローを使用する先行技術の以前から公知の方法と比べて、生体は高濃度の抗凍結剤に長期間曝されることになる。これにより、本発明による凍結プロセスは、平衡温度(例えば、5℃)に至ってから数時間、好ましくは少なくとも12時間継続され、抗凍結剤を添加したときの温度を、各々前記混合物を液体窒素(一般的には約−39℃〜−43℃、場合によっては−30℃又は35℃)に移す温度にする。前記凍結プロセスは、少なくとも5時間、より好ましくは少なくとも8時間、最も好ましくは12〜16時間継続することが最適であることが見出されている。前記凍結プロセスは、24時間以上継続する場合もある。大きなバッチユニットで凍結する場合、生体の高い蘇生速度を得るには、このように非常に長い凍結プロセス時間を費やすことが必要であると本発明において認められた。したがって、凍結プロセス中の暴露時間は、ストローのような少量で適用する公知技術又はガラス状化に基づく急速凍結技術を用いる場合と比べてはるかに長くなる。
平衡化工程後、抗凍結剤を添加した後のそれぞれにおいて、混合物を含む容器を冷凍装置、通常は凍結速度の制御を可能にする制御速度冷凍装置に移す。容器(例えば、バッグ、型、又はポーチ)には、材料内部の温度監視に適した手段が設けられている。これらの温度制御手段は、当業者には周知であるので、詳細には説明しない。その後、前記混合物は、2回の連続した低速凍結プロセスによって処理される。全凍結プロセスの間、適用される凍結速度は、材料内で均一な温度分布を示すことが重要である。これにより、生体に害を及ぼすものが防止又は軽減される。凍結速度は、好ましくは、第1の低速凍結速度の間、毎分1℃の温度の低下を超えないようにすべきである。より好ましくは、前記凍結速度は、毎分0.5℃/分以下の温度を低下することでありうる。
一例として、フラットポーチ(厚さ約10mm、約600gの混合物を含み、かつ制御された速度の冷凍庫内に静置される)に対して、典型的には、材料中の凍結速度である毎分約0.05℃〜毎分0.5℃の温度低下が、約+5℃から約−12℃まで適用される。
凍結プロセス下で前記混合物の過冷却が時折観察され、温度が例えば−15℃まで降下すると、約−13℃まで温度が上昇してから生体が結晶化する。溶解(融解)における潜熱(エネルギーの放出)がこの温度上昇を引き起こす。過冷却は変動して、単に温度を0.5℃のみ上昇させるか、又は温度上昇が見られないかであるが、一方、他のサンプルでは最高3℃の温度上昇がありうる。例えば、抗凍結剤の結晶化による約3℃の温度上昇は、混合物に含まれる生体に悪影響を及ぼさないようである。
エチレングリコールを混合物中の抗凍結剤として使用する場合(すなわち、平衡前に3%NaCl中の7.2M)、一般的には、−20℃〜−25℃付近で結晶化し始める。生体及び抗凍結剤の正確な結晶化温度は、また、平衡前に排水された材料中の残留海水含量、及び抗凍結溶液中の塩含有量に依存する。例えば、より低い水分含量は、それにより、抗凍結剤の混合物中の生体の高い結晶化温度、例えば約−16℃において、排水された材料の乾燥重量が12%という結果をもたらし、材料の乾燥重量9%で約−12℃といった結果をもたらす。使用する凍結技術に応じて、循環ガスを有する冷凍庫又は空気などで満たされた冷凍庫よりも効率的な温度移動及び分配を可能にする液体冷凍庫を使用する場合など、この段階でより高い凍結速度が適用され得る。
しかしながら、−12℃〜約−25℃に達する際に、材料全体に均質な温度分布が得られることが非常に重要である。
混合物を液体窒素に移した場合、−20℃から約−40℃〜約−42℃までの第2の低速凍結工程において、温度低下が非常に遅いことが非常に重要である。これは、前記大量に保存した場合に、凍結された生体の最適な蘇生化効率を得るために重要になる。特に、抗凍結剤/生体混合物の結晶化によって引き起こされる潜在的な温度上昇が、後工程の蘇生化効率に重大な影響を及ぼす可能性があることが判明したので、当該温度上昇を回避又は抑制しなければならない。前記凍結速度は、そのため、最大毎分0.3℃の温度低下、好ましくは毎分0.1℃以下の温度低下、より好ましくは毎分0.05℃以下の温度低下でなければならない。特に良好な結果(生存率)は、毎分0.04℃の温度低下である第2の低速凍結速度によって達成された。
前記第2の凍結速度におけるこのような非常に遅い凍結速度に代えて、結晶化の開始前に均質な温度分布が達成されるまで、充填された製品の厚さに依存して、通常、0.5〜3時間程度の長期間、温度は約−12℃から約−13℃及び約−22℃から約−23℃の付近の一定値に保つことができる。−22〜−23℃で0.5〜3時間の保持期間後、凍結速度は、毎分0.15℃の温度低下を超えてはならず、好ましくは毎分0.08℃以下の温度低下でありうる。保持時間を使用することにより、特に、第2の低速凍結速度は、保持時間が適用されない場合よりもある程度高い速度を選択することができる。
温度がさらに低下する前に、結晶化工程中に生成された熱を放出することが重要である。特に、空気ベースの冷凍庫を使用する場合、温度、すなわち冷凍庫内の周囲空気の温度を、上述の熱放出中に可能な限り一定かつ安定して維持することが重要であり(特に−10℃〜−13℃及び−20℃〜−25℃)、それにより、製品の温度上昇を効率的に回避又は最小化できる。それ以外の場合、害を及ぼす氷結晶化が起こり、生体である生物の蘇生化速度に悪影響を及ぼすことがある。
約−39〜−43℃に達すると、一般的にはプレートの形態の凍結材料は、さらなる凍結(第1の急速凍結段階)及び極低温での保存のために液体窒素に移される。前記プレートの保存は、液体窒素又は極低温貯蔵のための適切な冷凍庫などの種々の方法で行うことができる。
プレートは、保存容器に加えられる前に、外装なしで粒子に粉砕してもよい。
大量の凍結手順に費やされる時間は、容器(例えばポーチの厚さ)及び使用される冷凍庫に依存するが、典型的には少なくとも5〜10時間、より好ましくは10〜12時間、最も好ましくは12時間超である。
良好な結果を得るには、これらの上述した比較的大量の本発明による凍結保存プロセス(30分の平衡化から出発)の全体は、6〜8時間以内に速く行うべきではない。
一般的には、長い凍結時間の方が、短い時間よりも良好な生存率をもたらすものであり、5時間未満の凍結時間でもある程度の生存率を示すが、大きなバッチにとっては最適な条件ではなかった。典型的には、このプロセスは、凍結プロセスで使用される体積に応じて12〜24時間かかる。空気が冷凍庫の内部で冷却される冷凍庫を使用する代わりに、液体冷凍庫も使用しようできる。後者の場合、凍結プロセス及び熱放出のより効率的な制御により、凍結時間が短縮されうる。
本発明による方法により、フジツボの卵、ノープリウス幼生、及びキプリス幼生は、大規模、例えば、約5g〜約1kg以上の実質量の低温保存ができる。凍結保存分野における通常の手順は、バイアル及びストロー(一般には0.5〜1.5ml)といったミリリットルスケール又はマイクロリットルスケールで生体を凍結保存するものである。前記大規模凍結保存を達成するには、本発明において適用される、初期超低速の2段階凍結プロセスのような長時間に渡り標的生体に対して許容されることが予想される濃度よりも高濃度で凍結保護剤(抗凍結剤)を使用する。
一般的には、このような長い時間に渡る低速凍結の手順では、約3.2molより高い抗凍結剤の最終濃度を示す場合は、長期間の暴露の間に毒性効果を示し、凍結保存された生体にとって高い死亡率に繋がると予想される。
したがって、この方法の主な利点は、同じユニット内で大容積低温保存できうることである。公知の従来技術は、このような大容積の低温保存には適していないため、蘇生率が低いか又は全く蘇生できないため、当該従来技術では機能しない。本発明においては、生体が蘇生した際に正常な遊泳運動を示す場合、蘇生化が成功したものであるとしている。
本発明による凍結保存は、開発され、沿岸域に生息するフジツボの初期発育期は認可されている。典型的には、これらの生体は、内因性の保護用の抗凍結タンパク質を生成することにより寒冷環境において生命を維持している。
本発明に従って行われたように、より多くの量(生物の数)が同じバッチで保存されて同時に凍結保存される場合、材料全体に渡って均一な温度分布を達成するためには、非常に低速の凍結プロセスが重要であることが示されうる。本発明による凍結保存プロトコルによれば、これら生体の凍結量が大量に保存されたとしても、非常に低速の凍結、長い凍結時間、高濃度のエチレングリコール等の抗凍結剤及び規定された塩分濃度を組み合わせることによって、凍結保存された生体の高い生存率と再生可能な生存率とが達成できるものであった。
本発明に開示されたプロトコルを用いることにより、フジツボの種の卵、幼生及び幼体を凍結保存することができる。これらフジツボの例は、チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)種及びハナフジツボ(Balanus crenatus)種である。前者の種のノープリウス幼生は、先行技術から公知のタテジマフジツボ(Balanus amphithrite)及びヨーロッパフジツボ(Balananus improvises)等のフジツボのノープリウス幼生よりも大きい。大きい生体であるほど、一般に、凍結保存法によって保存することが難しくなり、特に浸透圧平衡に至ることを必要とする方法では、保存することがより困難である。ハナフジツボ(Balanus crenatus)(全長240μm、幅100μm)は、チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)(全長320μm、幅150μm)と比較して実質的により小さいノープリウス幼生を有する。
最も一般的な抗凍結剤、特に、細胞に浸透する抗凍結剤は、非常に多い容積で使用される。通常、抗凍結剤の生物学的物質に対する体積比は1:1でありうる。本発明では、蘇生化効率に影響を与えることなく、極めて少量の抗凍結剤が使用できることを見出した。したがって、本発明の方法を使用する場合には、70〜75%のフジツボ原体に対して20〜25%の抗凍結剤の容積を使用することが可能である。抗凍結剤の毒性は強い傾向を示すことから、当該抗凍結剤の使用を控え、かつ取扱い及び保管される当該化学物質の総量も減らされるものであるため、そのような抗凍結剤といった化学物質の使用する場合には、使用量が少ないという点は、明らかに利点である。さらに、フジツボの蘇生化時に化学廃棄物の量を削減する。
本発明の別の新規な態様において、細胞内での結晶化を回避する目的で凍結前に添加される抗凍結剤と浸透圧平衡に至るのに通常設けられる時間は、他の生体よりもフジツボにとって重要でないようである。
エチレングリコールとは別に、他の既知の抗凍結剤、例えばDMSO、並びにエチレングリコール及びプロピレングリコール又はグリセロールの混合物等を、本発明の方法と共に使用することができる。
本発明の文脈において、フジツボの初期発育期は、卵、幼生(例えば、ノープリウス幼生期)、及びこれらの生体の幼体を含むことを意味する。特に、定期性プランクトンの浮遊期などのこれら海洋生体のプランクトン遊泳期を含む。
均質な温度分布とは、温度が変化しないか、又は混合物(製品又は生成物)内で非常に低い変化率を示すことを理解するべきである。
温度に至ることは、凍結保存中に材料内部において、規定された均質な温度から±2℃内の温度を得ることである理解されるべきである。
混合物中の生体の結晶化温度は、当該生体の結晶化中に生じる混合物内の温度上昇(エネルギー放出)を測定することによって算出することができる。このような温度上昇は、しばしば、本発明における抗凍結剤の結晶化に起因するエネルギー放出よりも低い温度、すなわち凍結プロセスの後期でしばしば起こりうる。混合物中の生体については、典型的には約−13℃で結晶化するのに対して、抗凍結剤、例えば、エチレングリコールを用いた場合は、約−20〜−22℃で結晶化する。
大規模な保存は、この方法が同一ユニット又はバッチ中の量の凍結保存に適しており、小ストロー及びマイクロリッター又はミリリットルスケールのような既知の技術で通常に凍結保存された量よりも有意に高いことが理解されるべきである。これらは、一般的に5グラム以上(数百グラム又は1キログラム以上)の量であり、同一ユニット(容器)で同時に保存される。しかし、このことは、必要であればより少ない体積又は量にこの方法を使用できることを排除するものではない。したがって、当業者であれば、この方法が大規模な凍結保存における唯一の用途であるとは限定されず、少量及び小容積でも使用され得ることを理解するであろう。
凍結保存された生体の蘇生
凍結保存された生体の効率的な蘇生は、種々の方法を用いて達成することができる。凍結生体を含むポーチは、30〜40℃の水浴中で解凍することができ、ポーチを多かれ少なかれ連続的に混練して当該ポーチ内部の温度分布を均一に達成することが重要である。解凍後、生体を100μmフィルターメッシュに注ぎ、海水で(好ましくは10℃未満で)洗浄して抗凍結剤を除去する。洗浄後、3時間以上にわたり、通気された海水(5℃未満、好ましくは0℃〜3℃)で蘇生されて良好な遊泳活動を達成する。6時間から36時間の時間窓でより良い遊泳活動が達成される。解凍されたノープリウス幼生の温度は、蘇生段階の間にゆっくりと魚のタンクの温度に適合させることができる。
解凍後の生体(例えば、フジツボノープリウス幼生)のより高い遊泳活動を示す、より好ましい態様は、好ましくは10℃よりも低い海水で連続的に洗浄されるふるい又はフィルター上でポーチの凍結内容物を粉砕することである。洗浄後、良好な遊泳活動を達成するために、3時間以上にわたり、通気された海水(5℃未満、好ましくは0℃〜3℃)で蘇生される。より良い遊泳活動は時間窓で6〜36時間で達成される。解凍されたノープリウス幼生の温度は、活性化段階の間にゆっくりと魚のタンクの温度に適合させることができる。
あるいは、解凍された生体により高い活動力をもたらす方法としては、ポーチにおける粉砕された内容物を海水及び通気を伴うタンク内でインキュベートする方法である。この方法の欠点は、生体/水における抗凍結剤の潜在的な高い残留濃度であり、当該残留濃度は、魚幼生への初期給餌等といった後の適用では有毒になりうる。エチレングリコールを抗凍結剤として使用する場合、給餌を開始する際のエチレングリコールの最終濃度は、1リットルあたり100ppmを超えてはならない。
さらに好ましいのは、ポーチの内容物を、5℃未満の温度を有する少量の通気された海水中で粉砕し、解凍するまで(通常、15〜30分後の体積に応じて)インキュベートする方法である。その後、抗凍結剤を含む水は、120μm未満のメッシュサイズを有するフィルターの使用によって除去される。その後、生物体は、蘇生化と温度適応のために海水で満たされたタンクに移された。この目的のために、生物体は通常数時間そこに保持される。このタンクの温度は、開始時に5℃未満にする必要がある。インキュベーションの間、使用する標的魚培養物の温度まで慎重に温度を上げることができる。
さらに好ましくは、5℃未満の通気された海水体積中にポーチの内容物を粉砕(又は液体窒素貯蔵容器から直接ペレット又はプレ粉砕)し、海水を4時間以上連続的(5〜10リットル/時間の希釈率)に洗い流し、8時間以上で蘇生させる。海洋幼生に生体を給餌する前に、要求された温度に順応させることができる。場合により、解凍及び蘇生の間にスクロースなどの活性化剤を添加することができる。
本発明の実施形態は、以下の実施例によっても記載される。記載された実施例に対応する本発明による好ましい実施形態は、以下の工程を含む:
1.満潮帯のチシマフジツボ(Semibalanus balanoides)又は潮間帯下のハナフジツボ(Balanus crenatus)から選択されるフジツボからの卵及び/又はノーリプリウス幼生/幼生/早生期の採取又は培養。
1.水を含む貯留タンクへの生体の随意移送と中間貯蔵のための通気
2.水を排水するためのフィルターによる適量の生体の濾過
3.1:4〜1:1(体積比)の割合でエチレングリコールの7.2mol溶液(氷上に保つ)を濾過した排水された材料に添加する。
理論的には、生体と完全に平衡化している場合、混合物中のエチレングリコールの最終濃度が3.6molとなる。しかしながら、上記に説明され、以下の実験で示されるように、生体による抗凍結剤の同化ははるかに低い。平衡が100%ではなく、むしろこれらの生体では15%未満という傾向がある。抗凍結剤は、40%のエチレングリコール及び60%の海水体積:体積(30psu;PSU=実用塩分単位=g/kg)を含有する(7.2mol溶液に対応する)。海水は、エチレングリコールと混合する前に、50〜70PSUの最終濃度にさらに塩水化される。
4.通常、約600gの混合生体及び抗凍結剤をプラスチックポーチ(例えば、500mm×190mm×10mm;非常に低い温度に耐えるように作られている)に移し、5℃(平衡)又は他の適切な容器で30分間インキュベートする。
5.凍結保存すべき生体を有するポーチ/容器及び抗凍結剤は、プログラム可能なフリーザー又は通常の超冷凍機に移されて凍結される。
6.混合物を約−12〜−13℃の温度に凍結する。約600gの前記ポーチについて、+5℃〜−12℃の間で、毎分約−0.05〜−0.5℃の凍結速度が適用される。約−13℃及び約−39℃では、温度が全体の材料中に均一に分布するように、毎分凍結速度−0.025〜−0.07℃の凍結速度が使用される。材料中の均質な温度分布が達成される限り、生体を傷つけることなく、この段階でより高い凍結速度を適用することができる。保持時間が適用されている場合(上記を参照)は特に生体を傷つけることなく、この段階でより高い凍結速度を適用する。
7.混合物中の生体は、通常、−12℃〜−16℃の範囲で結晶化し始める。この範囲では、熱放出による温度上昇は可能な限り低くなければならない。これは、−0.02〜−0.1℃/分の間の好ましい凍結速度によって達成される。あるいは、結晶化の開始前にポーチ内の均質な温度分布が達成されるように、温度を約12〜−15℃付近で一定に保つことができる。
8.抗凍結剤は、約−22℃の温度で結晶化する。この範囲では、熱放出による温度上昇は可能な限り低くなければならない。これは、−0.02〜−0.1℃/分、好ましくは−0.04℃/分の好ましい凍結速度によって達成される。あるいは、結晶化の開始前にポーチ内の均質な温度分布が達成されるように、温度を約−22〜−25℃付近で一定に保つことができる。
9.通常、−0.01〜−0.1℃/分、好ましくは−0.04℃/分の低い凍結速度が約−25℃から約−38〜−43℃の温度範囲内で適用される。この工程に使用される時間は、好ましくは、もしくは5〜20時間以内、好ましくは12〜20時間以内であるべきである。
10.凍結した材料は、冷凍庫から迅速に取り出し、液体窒素に移し、蘇生まで低温(例えば、−196℃)で保存する。
実験セクション
実験1−毒性試験
チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)のフジツボノープリウス幼生ステージI及びIIを、7.2molのエチレングリコール溶液(ストック溶液)に接触させて、氷上で保存した。0、1、2、4、8、12及び24時間後にサンプルを取り出し、抗凍結剤を洗い流して、ノープリウスの生存率を調べた。生存率は、0、1、2、3、4及び5に分類して評価した。“0”は活性がなく(ノープリウス幼生の死)、“1〜3”は凍結前のノープリウス幼生よりも少ない付属器官が痙攣状態を示すが、“3”は、自然な遊泳に近い状態である。“4”は、凍結前のノープリウス幼生として遊泳し、“5”は過剰活性されたノープリウス幼生を示す。驚くべきことに、抗凍結剤に24時間接触させた後でさえも、全ノープリウス幼生は再生し(レベル2〜3)、比較的良好な遊泳行動(個体の80〜90%)を示した。
24時間後でも高い活動力を示すことから、フジツボノープリウス幼生ステージI及びIIは、非常に高濃度のエチレングリコールに長時間耐えられることが示されている。このエチレングリコール濃度は、通常長期間接触すると、有毒であると考えられることから、この結果から、エチレングリコールは、生物などの生体に対して限られた量しか摂取されないことを示し得ると考えられる。平衡化工程中のエチレングリコールの限られた摂取量の仮説は、解凍後に蘇生した凍結保存されたフジツボノープリウス幼生におけるエチレングリコールの分析によって裏付けられる(以下も参照のこと)。解凍直後に、ノープリウス幼生から水を排出し、再度当該ノープリウス幼生を凍結した。そして、前記ノープリウス幼生のエチレングリコール含有量を分析した。その結果、抗凍結剤のわずか5%が生体内に摂取されていることが確認された。分析前にエチレングリコールの一部がすでに解凍プロセスで生体外へ拡散している可能性もあるが、おそらく、当該生体内のエチレングリコール濃度は、抗凍結剤と完全に平衡状態にある外部の濃度をはるかに下回っていると考えられる。
実験2−種々の抗凍結剤を用いた凍結保存
種々の抗凍結剤の適合性を、本発明の凍結保存法を用いて下記の試験で評価した。下記のこれらの実験で適用した凍結保存法及び解凍手順の詳細は以下の通りである:
フジツボノープリウス幼生(チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)又はハナフジツボ(Balanus crenatus))を排水及び濃縮(10%乾燥重量)し、抗凍結剤(氷上で)と1:1の割合で混合した。当該混合により得られた混合物を充填し、密閉し、5℃で30分間、ポーチ(300mlの抗凍結剤及び300mlのフジツボからなる600g)中で平衡化した後、制御された冷凍庫に移した。前記ポーチをアルミニウムラックに入れ、温度ロガーを前記ポーチの中及び前記冷凍庫に入れて空気温度を測定した。試験では、代替的に約60g又はバイアルの少量を使用した。
本発明の方法を使用して5℃から−42℃まで凍結した後、12時間以上保持し、前記ポーチ内部の温度が−196℃の均一になるまで液体窒素中に前記ポーチを浸漬した。前記ポーチを175リットルの冷凍容器(液体窒素を含む)に移し、48時間以上保存した。生存率を確認するために、前記ポーチを前記冷凍容器から取り出して、粉砕して内容物を取得し、冷水(5℃未満)で解凍した。15分後、解凍したノープリウス幼生を100μmフィルターで洗浄して、抗凍結剤を除去した。30PSU海水(始動温度2.5℃)を含む通気タンク内で8時間以上かけて蘇生化を行った。
A)エチレングリコール:
抗凍結剤として7.2molのエチレングリコール溶液を用いて、当該抗凍結剤と後述のフジツボ生体との1:1の比率で混合した後に、当該フジツボ生体である、チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)又はハナフジツボ(Balanus crenatus)由来のフジツボノープリウス幼生ステージI及びIIを凍結保存した。解凍後における前記ノープリウス幼生は高い生存率を示し、50%を超えるノープリウス幼生は、常態の遊泳活動(レベル4)に達しており、残りは、遊泳活動1〜3(常態未満であるが、常態の遊泳活動に近い)に達していた。
B)ジメチルスルホキシド:
抗凍結剤として6molのジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を用い、当該抗凍結剤と後述のフジツボ生体と比率が1:1に混合して、当該フジツボ生体である、チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)由来のフジツボノープリウス幼生ステージI及びIIを処理した。3〜5℃で30分間平衡化工程を行った。
DMSOは、エチレングリコールよりも毒性が高く、解凍後の生存率は、エチレングリコールと接触したフジツボのノープリウス幼生に匹敵するものの、選択肢としての好ましい程度は少し低くなる。
C)グルコース又はプロピレングリコール:
エチレングリコールの代わりに、グルコース又はプロピレングリコール(60体積%の海水と混合した40体積%グルコース、メタノール又はプロピレングリコール;エチレングリコール3.4M、プロピレングリコール5.4M)を用いて、チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)のノープリウス幼生ステージI及びII(体積比1:1)に、本発明の凍結保存法を適用して試験した。ノープリウス幼生の生存が僅かに見られたが、解凍後の生存可能なノープリウス幼生の割合は、抗凍結剤としてエチレングリコールを使用した場合と比較して極僅かであった。
D)エチレングリコール及びプロピレングリコール又はグリセロール:
本発明による凍結保存後のチシマフジツボ(Semibalanus balanoides)由来のフジツボノープリウス幼生ステージI及びIIの生存率について、抗凍結剤であるエチレングリコールとプロピレングリコール又はグリセロールとの異なる混合物の効果を評価した。この実験では、25%、50%、又は75%のエチレングリコールをプロピレングリコール又はグリセロール(体積対体積)で置換した。75%のエチレングリコールをプロピレングリコール又はグリセロールと置換すると、7.2Mのエチレングリコール溶液(生体との体積比1:1)を使用した場合よりはるかに低い生存率が得られた。50%のエチレングリコールをプロピレングリコール又はグリセロールで置換すると、生存率の観点ではより良好な結果が得られたが(50%のプロピレングリコールを使用すると、50%のグリセロールを使用した場合よりも、はるかによい結果を示したが)、一方、25%のプロピレングリコールを使用した場合は、エチレングリコールを抗凍結剤として使用した場合と同等以上の生存率を示した。25%のグリセロールを使用した場合は、50%のグリセロールを使用した場合より良好な結果を与えたが、25%のプロピレングリコールを使用した場合に対して随分劣る結果となった。
プロピレングリコールは、エチレングリコールより毒性が低いので、特に、海洋餌料の代替餌として使用する場合、25%のプロピレングリコールと75%のエチレングリコールの混合物は、本発明による凍結保存のための好ましい抗凍結剤である。
実験3−抗凍結剤の種々の体積比を用いた凍結保存
凍結保存される生体の体積に対する抗凍結剤の種々の体積比の影響を試験した。細胞内に浸透する抗凍結剤は、一般に、体積比で50%の抗凍結剤を、凍結保護されるべき50%の体積の生体に添加される。
抗凍結剤であるエチレングリコールの種々の体積比の効果を、チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)由来のフジツボのノープリウス幼生ステージI及びIIの生存率について試験した。これらの生体サンプルは、A)30%の抗凍結剤に対して70%の生体(体積/体積)の体積比で凍結保存され、B)40%の抗凍結剤に対して60%の生体(体積/体積)の体積比で凍結保存された。コントロールは、C)50%の抗凍結剤に対して50%の生体(体積/体積)とした。全ての試験は3回実施した。
これらの生体は、本発明の方法に従って凍結保存され、その後蘇生した。生存率に関してこれら処理間に有意差はなかった。
この結果から、極僅かな量の抗凍結剤がフジツボに実際に取り込まれるようであること、及び凍結保存プロセス中の細胞内の保護に必要であることが確認された。この点は、蘇生化するにあたって極めて重要ことは、凍結前に、抗凍結剤が細胞内に取り込まれ、当該抗凍結剤の濃度が非常に高い状態で平衡に達することであると知られている他の生体とは対照的である。しかし、意外にも、これはフジツボノイプラスにとって有効ではないようである。本発明に開示されている方法に従って凍結保存における凍結工程を行う前に、フジツボのノープリウス幼生は、抗凍結剤との平衡化の設定に依存していないようである。これは、本発明における観察によってさらに確認され、平衡に達する前に生体を凍結保存することができる(実験4も参照のこと)。
実験4−生存率に対する平衡化の時間の影響
抗凍結剤との平衡に達するまでのインキュベーション時間の短縮の影響をチシマフジツボ(Semibalanus balanoides)のノープリウス幼生I及びIIのサンプルで試験した。
5℃の7.2Mエチレングリコール中((生体と1:1の体積比))において、0分、15分、30分、60分及び90分間、生体をインキュベートした。その後、生体を本発明に記載の方法で凍結保存し、液体窒素中に48時間保存し、解凍して蘇生させた。双眼顕微鏡を用いて、当該フジツボのノープリウス幼生の活動力を分析した。90分保存したサンプルを除き、他の処理よりも生存している生体が少ないこと以外、これらの処理間の活動力に有意差は認められなかった。
実験5−フジツボの抗凍結剤の細胞内への取り込み
チシマフジツボ(Semibalanus balanoides)由来のフジツボのノープリウス幼生を、本発明に記載されているように、生体に対して1:1の体積比で7.2Mエチレングリコールを用い、600gパック中で凍結保存した。解凍後、エチレングリコールを洗浄及び排水の直後に、エチレングリコールについてノープリウス幼生を解析した。小片の凍結物質をフィルター上に採取し、解凍するまですすいだ後、凍結して分析した。これは、時間ゼロ条件のサンプルであり、7400〜11000ppmのエチレングリコールが含有している結果が得られた。この結果は、約5%のエチレングリコールが生体に取り込まれていることを示唆している。おそらく、エチレングリコールの流出が起こったかもしれないが、生体内に10%を超えるエチレングリコールが存在するとは考え難い。そのため、完全に平衡状態になると、生体内部には、3.6Mのエチレングリコールが存在すると予想される。7.2Mのエチレングリコールのストック溶液は、400000ppmの濃度を示すものである。次いで、600グラムのサンプルを15リットルの海水に移し、15分後(排水及び凍結)に分析すると、2%未満加えられたエチレングリコール又は約0.1molのエチレングリコールである、6100から7000ppmのエチレングリコールを示した。第2段階(養殖場での製品の洗浄を模倣する)、水の排水、及びフジツボのノープリウス幼生の洗浄用の15リットルの海水を添加した場合、生体内の濃度は300ppm未満であった。蘇生した際、フジツボのノープリウス幼生から、再度海水を排水し、30リットルの海水を添加した。1時間後、排水されたフジツボのノープリウス幼生におけるエチレングリコール含量は、25ppm未満であった。2時間後、排水されたフジツボのノープリウス幼生におけるエチレングリコール含量は、検出レベル10ppm以下であった。エチレングリコールに対する水生生物の耐性レベルは、非常に変動するものであるが、一般に水生生物にとっては100ppm以下のレベルは無毒性であるとみなされている。
上記結果から、抗凍結剤のおよそ5%が実際に生物によって取り込まれたことを示している。これは、細胞内に作用する抗凍結剤によって凍結保存する間における他の生体内でのこの種の抗凍結剤の報告された取り込みとは対照的である。フジツボは高い濃度で抗凍結剤を摂取していないようである。理論に縛られるものではないが、これらの生体は、低温への曝露が珍しくないような沿岸域で生存するため、当該生体内には、内因性の抗凍結剤が既に備わった状態に起因する結果であると考えられうる。
実験6−餌料として使用するペレット状低温保存フジツボ
本発明は、低温保存餌料粒子又はペレットの製造方法をさらに開示する。海洋水産養殖の目的のための出発餌料として後の使用のために、より小さい単位でペレット化餌料粒子を効率的に製造するための試験が行われてきた。
本発明によれば、高い蘇生化率を有する凍結保存ペレット状飼料粒子は、2つの種々の方法によって製造することができることが見出された:
A)本発明で開示された方法に従って予め凍結保存された大量バッチの材料、例えば、数百グラムの材料を含み、かつ液体窒素中に貯蔵されたポーチ/プレートは、液体窒素中でより小さい粒子/ペレットに機械的に粉砕できる。
体積比で1:1になるよう7.2Mのエチレングリコールと生体とを用いて、本発明に記載されているようにパック600g中で試験を行った。得られた粒子は、いかなる形でも包装又は封止されることなく液体窒素中で直接保存することができる。粉砕後液体窒素中で7ヶ月以上保存した場合でも、粉砕工程は後の蘇生化速度に影響しなかった。
B)ペレットは、本発明のプロトコルを用いて典型的には5〜50mlのより少量の生体を凍結することによって、制御された凍結保存冷凍庫で産生され得る。ペレットは、本発明による凍結保存プロセスにおいて、生体と7.2Mエチレングリコールとを1:1の体積比で使用して、適切なサイズ及び形状のシリコーン鋳型を使用することによって製造した。これにより、標準化された粒子/ペレットの形状及びサイズが得られうる。これらの型内の凍結は、液体窒素中で7ヶ月以上保存しても、後の蘇生化速度には影響しなかった。

Claims (16)

  1. フジツボの卵、フジツボのノープリウス幼生及び/又はフジツボの幼体の凍結保存用の方法であって、
    前記方法は、以下の順序で実施される工程:
    前記フジツボの卵、前記フジツボのノープリウス幼生及び前記フジツボの幼体からなる群から選択される少なくとも1種である生体から水を排水する工程と、
    エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ジメチルスルホキシド及びこれらの混合物質からなる群から選択される抗凍結剤を含有する抗凍結溶液を5〜8M添加する工程と、
    以下の(i)〜(iii)に続く工程に従って、容器中の前記混合物を凍結する工程と、
    (i)前記混合物中の前記生体が結晶化し始める温度に至るまで、毎分1℃以下の温度を低下させる第1の低速凍結速度で凍結する工程;
    (ii)前記混合物中の前記生体及び前記抗凍結剤が完全に結晶化するまで、毎分0.1℃/分以下の温度を低下させる第2の低速凍結速度で凍結する工程;並びに
    (iii)低温保存温度まで第1の高速凍結速度で凍結する工程
    を含む。
  2. 前記第1の低速凍結速度は、毎分0.5℃/分以下の温度を低下する、好ましくは毎分0.3℃/分以下の温度を低下する、より好ましくは毎分0.1℃/分以下の温度を低下する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記(i)の工程又は前記(iii)の工程の前に、平衡化工程を実施し、好ましくは5〜60分間、より好ましくは15〜30分間、最も好ましくは約15分間平衡化工程を実施する、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
  4. 前記第2の低速凍結速度は、毎分0.015℃〜毎分0.1℃の温度を低下する、好ましくは毎分0.04℃〜毎分0.08℃の温度を低下する、より好ましくは毎分0.05℃の温度を低下する、最も好ましくは毎分0.04℃の温度を低下する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記排水された生体は、排水後において、6〜14%、より好ましくは8〜12%、最も好ましくは約10%の乾燥重量含量を有する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記生体に添加される前記抗凍結剤の濃度は、6M〜8M、より好ましくは6.5M〜7.5Mである、最も好ましくは7.2Mである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記抗凍結剤は、エチレングリコールとプロピレングリコールとの混合物であり、好ましくはそれぞれ約50%、より好ましくは約75%のエチレングリコールと25%のプロピレングリコールとの混合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 1つのユニット中で凍結保存される材料の量は、少なくとも5g〜10g、好ましくは少なくとも10g〜50g、より好ましくは少なくとも50g〜100g、最も好ましくは200g〜2000gである請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記1つのユニット中で凍結保存される材料における均一温度が約−10℃〜約13℃、好ましくは約−12℃〜約−13℃に至ると、前記第1の低速凍結速度が終了する請求項に記載の方法。
  10. 前記凍結プロセスの全体は、少なくとも5時間、好ましくは6〜10時間、より好ましくは10〜12時間、最も好ましくは12時間超継続する請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記生体は、内、好ましくはシリコーン製の型内で、5〜50ml、好ましくは10〜25mlの容量で凍結保存される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記生体は、プレート又はポーチ内で凍結され、前記プレート又は前記ポーチ内で凍結保存された生体は、液体窒素中で小さな粒子に粉砕され、それにより、得られた前記粒子は、好ましくは、液体窒素中に充填されることなく保存される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記凍結保存された生体を蘇生する生体の蘇生化方法であって
    30〜40℃の温水浴中で前記凍結保存された生体を解凍すること、
    前記凍結された材料を粉砕し、10℃以下の冷海水の流水で前記材料を洗ってから、5℃未満で最大36時間かけて前記生体を蘇生化すること、及び
    前記凍結した材料を粉砕し、10℃以下で通気して海水中で前記材料をインキュベートした後、5℃未満で最大36時間かけて前記生体を蘇生化すること、から選択されるいずれかの方法を適用する、請求項8又は9のいずれかに記載の凍結保存された生体の蘇生化方法。
  14. 前記解凍された生体は、解凍後に給餌される養殖場のタンク中の水温に適応する、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項1〜12のいずれかに記載の方法によって得られることを特徴とする、凍結保存製品又は飼料。
  16. 請求項1〜12のいずれかに記載の方法によって初期発育期のフジツボを凍結保存し、かつその後蘇生化する、海洋魚類の幼生及び無脊椎動物用の生餌としての初期発育期のフ
    ジツボの使用。
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