JP6785722B2 - 導電材料の製造方法および導電材料前駆体 - Google Patents
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Description
(1)支持体上にハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を少なくとも有する導電材料前駆体を像様に露光し、その後、現像する導電材料の製造方法において、該導電材料前駆体はハロゲン化銀乳剤層上に保護層を有し、該保護層が平均分子量6000以上のポリエチレングリコールおよび/またはその誘導体を含有することにより、該ポリエチレングリコールおよび/またはその誘導体の存在下で現像することを特徴とする導電材料の製造方法。
本発明に用いるポリエチレングリコールおよび/またはその誘導体は、平均分子量が6000以上である。ポリエチレングリコールおよび/またはその誘導体の平均分子量の上限は特に限定されないが、100万以下であることが溶解性の観点から好ましい。本発明に用いるポリエチレングリコール誘導体としては、ポリエチレングリコールが有する1つ以上のヒドロキシ基をエーテル化、エステル化、アルコキシ化したものを例示できる。具体的には、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコール(モノメチル・モノエチル)エーテル、ポリエチレングリコール(モノパルミチル・モノステアリル)エーテル、ポリエチレングリコール(モノパルミチル・モノヘプタデシル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ酢酸エステル、ポリエチレングリコールジ酢酸エステル、ポリエチレングリコールモノステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールジステアリン酸エステル、ポリエチレングリコール(モノステアリン酸・モノパルミチン酸)エステル、モノメトキシポリエチレングリコールステアリン酸エステル等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよい。なお本発明における平均分子量は、特に断りがない限り数平均分子量を言い、数平均分子量とは、分子の大きさの重み付けを考慮しない方法で算出した平均分子量であり、ポリエチレングリコールおよび/またはその誘導体の平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて、ポリエチレングリコールによる校正曲線と対比させて算出して求めることができる。
本発明の導電材料の製造方法にて用いる導電材料前駆体について説明する。本発明の導電材料前駆体は、支持体上にハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を少なくとも有する。
導電材料前駆体が有する支持体の材質は特に限定されないが、本発明の導電材料をタッチパネルセンサー等の光透過性が必要な用途に利用する場合、導電材料の透明性の観点から、支持体は光透過性を有することが特に好ましい。光透過性を有する支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂フィルム、石英ガラス、無アルカリガラス等のガラス等が例示できる。導電材料の透明性の観点から、支持体の全光線透過率は60%以上が好ましく、特に好ましくは70%以上であり、同様の観点から支持体のヘイズは0〜3%が好ましく、特に好ましくは0〜2%である。支持体の厚さは10〜300μmであることが取り扱い性や透明性の観点から好ましい。支持体はその表面の少なくとも一方の面に、易接着層、ハードコート層、反射防止層、防眩層等の公知の層を有していてもよい。
導電材料前駆体が有するハロゲン化銀乳剤層は、ハロゲン化銀粒子が均一に分散された(乳化された)ハロゲン化銀乳剤を含有する層であることを意味し、したがってハロゲン化銀乳剤層はハロゲン化銀粒子を含有する。ハロゲン化銀乳剤に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術はそのまま用いることができる。
本発明の導電材料の製造方法において、銀塩拡散転写法により金属銀細線を形成することが、導電性の高い金属銀細線を得る観点から最も好ましく、この場合、導電材料前駆体は支持体上に物理現像核を少なくとも含有する物理現像核層を有することが特に好ましい。物理現像核層は、支持体上に直接有していてもよく、易接着層等の支持体が有する他の層上に有していてもよい。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等の金属コロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。導電材料上の金属銀細線と物理現像核層との接着性の観点から、物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で0.01〜10mg/m2が好ましい。
導電材料前駆体は、必要に応じて、裏塗り層、中間層、保護層等の非感光性層を有することができる。特に銀塩拡散転写法により金属銀細線を形成する場合、導電材料前駆体は中間層、保護層を有することが好ましく、本発明では保護層を必須とする。中間層は現像後に不要になったハロゲン化銀乳剤層の水洗除去を促進する目的で、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に有することが好ましい。保護層はハロゲン化銀乳剤層を傷付きから保護し、現像処理中にハロゲン化銀乳剤層の銀が系外に拡散するのを抑制し、物理現像核上への銀の析出効率を高める目的から、ハロゲン化銀乳剤層の上に有する。これらの非感光性層は、主に水溶性高分子化合物からなる層であり、ハロゲン化銀乳剤層が含有するバインダーとして例示した水溶性高分子化合物を用いることができる。非感光性層の水溶性高分子化合物量としては、各々の用途によって異なるが、0.001〜10g/m2の範囲が好ましい。これら非感光性層は、水溶性高分子化合物を架橋する目的で、物理現像核層が含有していてもよい架橋剤を含有できるが、銀塩拡散転写法により金属銀細線を形成する場合、現像後に不要になった各構成層を水洗除去するため、これを妨げない範囲で用いることが好ましい。
上記したハロゲン化銀乳剤層、物理現像核層、中間層や保護層等の、各構成層を支持体上に設ける方法は特に限定されないが、均一な厚みの各構成層を生産性よく設ける観点から、塗布により設けることが特に好ましい。塗布方法としてはディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング等が例示できるがこれらに限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。
本発明の導電材料の製造方法は、支持体上に所望する幾何学形状の金属銀細線を有する金属銀細線パターンを形成することを目的とし、導電材料前駆体を現像する工程の前に、像様に露光する工程を有する。像様に露光する方法としては、所望する金属銀細線パターンに応じた幾何学形状を有する透過原稿を用意し、導電材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に密着させて露光する方法、あるいは各種レーザー光(例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザーから発振されるレーザー光)を導電材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に照射し、所望する金属銀細線パターンに応じた幾何学形状に走査露光する方法等が例示できる。
本発明の導電材料の製造方法は、導電材料前駆体を像様に露光した後に、現像液に接触させる現像工程を有する。本発明において銀塩拡散転写法により金属銀細線を形成する場合、現像液に接触させることでハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀粒子が溶解・拡散し、物理現像核上で還元され金属銀細線パターンが形成される。この場合、導電材料前駆体にネガ型のハロゲン化銀粒子を用いた場合、露光により光を照射されなかったハロゲン化銀乳剤層に対応する部分が金属銀細線となり、ポジ型のハロゲン化銀粒子を用いた場合、露光により光を照射されたハロゲン化銀乳剤層に対応する部分が金属銀細線となる。
前述の導電材料前駆体が有する各構成層が現像主薬を含有する場合、上記した現像液は必ずしも現像主薬を含有する必要はなく、現像可能となる潜像核を有するハロゲン化銀粒子の還元を可能とするためのアルカリ性剤を含有する。アルカリ性剤として、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3リン酸ナトリウム、あるいは各種アミン化合物が挙げられる。現像液のpHは10以上が好ましくさらに11〜14の範囲が好ましい。
導電材料前駆体に接触させる現像液の温度は特に限定されないが、現像速度の観点、およびハロゲン化銀乳剤層が現像液中に溶出するのを防止する観点から15℃〜30℃が好ましく、18℃〜27℃が特に好ましい。現像時間は生産効率を考慮して120秒以下が好ましい。
上記方法に従い導電材料前駆体を現像した後、あるいは上述した定着工程の後に、水洗することが好ましい。特に銀塩拡散転写法により金属銀細線を形成する場合、現像後の導電材料前駆体を水洗することで、現像後に不要となったハロゲン化銀乳剤層等の各構成層を除去し、金属銀細線を支持体上に露出させることができる。水洗は水単体で行ってもよく、炭酸塩やリン酸塩等のpH緩衝剤を含有する水で行ってもよく、腐敗を防止する目的で防腐剤を含有する水で行ってもよい。
導電材料前駆体を現像し得られた金属銀細線の表面に対し、公知の金属表面処理を施してもよい。例えば特開2008−34366号公報に記載されているような還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化合物を作用させてもよく、特開2013−196779号公報に記載されているような分子内に2つ以上のメルカプト基を有するトリアジンもしくはその誘導体を作用させてもよく、特開2011−209626号公報に記載されているように硫化反応による黒化処理を施してもよい。あるいは特開2007−12404号公報に記載されているようにタンパク質分解酵素等の酵素を含有する処理液で処理し、残存するゼラチン等の除去を促進してもよい。
本発明の導電材料の製造方法により得られた導電材料の、支持体上の金属銀細線の線幅は特に限定されないが、1〜500μmであることが導電材料の信頼性の観点から好ましい。
支持体として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。なお、支持体の全光線透過率は92%、ヘイズは0.8%であった。
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40mL
蒸留水 1000mL
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000mL
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
前記硫化パラジウムゾル(固形分として) 0.5mg
2質量%グリオキサール水溶液 0.2mL
界面活性剤(S−1) 4mg
デナコール(登録商標)EX−830 25mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、平均分子量526)
10質量%エポミン(登録商標)SP−200水溶液 0.1g
((株)日本触媒製ポリエチレンイミン;平均分子量10000)
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
染料1 5mg
ハロゲン化銀乳剤 3.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
保護層1に平均分子量が3100のポリエチレングリコールを20mg/m2含有させた以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体2を得た。
保護層1に平均分子量が8800のポリエチレングリコールを20mg/m2含有させた以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体3を得た。
保護層1に平均分子量が11000のポリエチレングリコールを20mg/m2含有させた以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体4を得た。
保護層1に平均分子量が20000のポリエチレングリコールを20mg/m2含有させた以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体5を得た。
保護層1に平均分子量が4000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを20mg/m2含有させた以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体6を得た。
ハロゲン化銀乳剤層1に平均分子量が8800のポリエチレングリコールを20mg/m2含有させた以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体7を得た。
中間層1に平均分子量が8800のポリエチレングリコールを20mg/m2含有させた以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体8を得た。
保護層1およびハロゲン化銀乳剤層1の両方に平均分子量が8800のポリエチレングリコールをそれぞれ10mg/m2含有させた以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体9を得た。
保護層1に平均分子量が1000のポリエチレングリコールを20mg/m2含有させた以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体10を得た。
保護層1に平均分子量が2000のポリエチレングリコールを20mg/m2含有させた以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体11を得た。
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000mL、pH=12.2に調整した。
平均分子量が3100のポリエチレングリコールを1.0g/L追加した以外は現像液1と同様にして、現像液2を得た。
平均分子量が8800のポリエチレングリコールを1.0g/L追加した以外は現像液1と同様にして、現像液3を得た。
平均分子量が2000のポリエチレングリコールを1.0g/L追加した以外は現像液1と同様にして、現像液4を得た。
上記した導電材料前駆体1〜11それぞれについて、線幅5.0μm、一辺の長さが300μmの正方形を単位格子とする網目状パターンからなるポジ型透過原稿を密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介して露光した。その後、露光済みの導電材料前駆体1〜11と上記した現像液1〜4を、後述する表1の組み合わせにて現像し(露光済みの導電材料前駆体を20℃の現像液中に90秒間浸漬し)、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、および保護層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理することで、網目状金属銀細線パターンを有する導電材料1〜14を得た。導電材料1〜14の網目状金属銀細線パターンを構成する金属銀細線の線幅を顕微鏡で観察したところ、いずれも5.0μmであった。
導電材料1〜14の網目状金属銀細線パターンの表面抵抗率を、(株)三菱ケミカルアナリテック製、ロレスタ(登録商標)−GP/ESPプローブを用いて、JIS K 7194に従い測定した。導電材料1が有する網目状金属銀細線パターンの表面抵抗率を基準とし、導電材料2〜14が有する網目状金属銀細線パターンの表面抵抗率が、導電材料1の表面抵抗率の95〜105%の場合は「×」、85〜95%の場合は「△」、75〜85%の場合は「〇」、75%以下の場合は「◎」として導電性の評価を実施した。この結果を表1に示す。
Claims (2)
- 支持体上にハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を少なくとも有する導電材料前駆体を像様に露光し、その後、現像する導電材料の製造方法において、該導電材料前駆体はハロゲン化銀乳剤層上に保護層を有し、該保護層が平均分子量6000以上のポリエチレングリコールおよび/またはその誘導体を含有することにより、該ポリエチレングリコールおよび/またはその誘導体の存在下で現像することを特徴とする導電材料の製造方法。
- 支持体上にハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を少なくとも有する導電材料前駆体であって、該導電材料前駆体はハロゲン化銀乳剤層上に保護層を有し、該保護層が平均分子量6000以上のポリエチレングリコールおよび/またはその誘導体を含有することを特徴とする導電材料前駆体。
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