JP2020113381A - 導電材料前駆体および導電材料の製造方法 - Google Patents

導電材料前駆体および導電材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性と経時安定性に優れた導電材料の製造に好適な導電材料前駆体、および該導電材料の製造方法を提供する。【解決手段】支持体上に物理現像核層、中間層、およびハロゲン化銀乳剤層をこの順で有し、該中間層が水溶性ポリビニルアセタールを含有する導電材料前駆体。および該導電材料前駆体を像様に露光し、その後現像する導電材料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、導電材料の製造に好適な導電材料前駆体、および該導電材料前駆体を用いた導電材料の製造方法に関する。
スマートフォン、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ノートPC、タブレットPC、OA機器、医療機器、あるいはカーナビゲーションシステム等の電子機器においては、これらのディスプレイに入力手段としてタッチパネルセンサーが広く用いられている。
タッチパネルセンサーには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、抵抗膜方式、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等があり、上記したディスプレイ用途においては抵抗膜方式と投影型静電容量方式が好適に利用されている。抵抗膜方式のタッチパネルセンサーは、支持体上に光透過性導電層を有する導電材料を2枚利用し、これら導電材料をドットスペーサーを介して対向配置した構造を有しており、タッチパネルセンサーの1点に力を加えることにより光透過性導電層同士が接触し、各光透過性導電層に印加された電圧をもう一方の光透過性導電層を通して測定することで、力の加えられた位置の検出を行うものである。一方、投影型静電容量方式のタッチパネルセンサーは、2層の光透過性導電層を有する導電材料を1枚、または1層の光透過性導電層を有する導電材料を2枚利用し、指等を接近させた際の光透過性導電層間の静電容量変化を検出し、指を接近させた位置の検出を行うものである。後者は可動部分がないため耐久性に優れる他、多点同時検出ができることから、スマートフォンやタブレットPC等で、とりわけ広く利用されている。
投影型静電容量方式のタッチパネルセンサーにおいては、支持体上に光透過性導電層をパターニングすることで得られた複数のセンサーからなるセンサー部を配することで、多点同時検出や移動点の検出を可能にしている。このセンサー部が検出した静電容量の変化を電気信号として外部に取り出すため、導電材料が有する全てのセンサーに対して、外部に電気信号を取り出すために設けられる複数の端子からなる端子部と、これらを電気的に接続する複数の周辺配線からなる周辺配線部が設けられる。通常、前述した光透過性導電層はディスプレイ上に位置し、端子部や周辺配線部はディスプレイの外、いわゆる額縁部に位置する。従来技術においては、光透過性導電層はITO(インジウム−錫酸化物)導電膜により形成されるのが一般的であり、端子部や周辺配線部は、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属により形成されるのが一般的であった。例えば特開2012−138018号公報(特許文献1)には、光透過性導電層の材料としてITOやIZO(インジウム亜鉛オキサイド)等の導電性酸化物を使用し、取出配線(周辺配線部)や接続端子(端子部)の材料として金属や合金を使用したタッチパネルが開示されている。
また、近年では銀塩感光材料を導電材料前駆体として用い、該導電材料前駆体を露光、現像することで得られた網目状金属銀細線パターンを光透過性導電層とする方法も提案されている。例えば直接現像法を用いて支持体上に網目状金属銀細線パターンを形成する方法が国際公開第2001/51276号パンフレット(特許文献2)、特開2004−221564号公報(特許文献3)等に開示され、例えば硬化現像法を用いて支持体上に網目状金属銀細線パターンを形成する方法が特開2007−59270号公報(特許文献4)に開示される。また特開2003−77350号公報(特許文献5)や特開2005−250169号公報(特許文献6)等では、支持体上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を少なくともこの順に有する導電材料前駆体に、可溶性銀塩形成剤および還元剤をアルカリ液中で作用させ、支持体上に網目状金属銀細線パターンを形成する銀塩拡散転写法が開示されている。上記した方法は銀塩感光材料を導電材料前駆体として用いることから、網目状金属銀細線パターンを有する光透過性導電層と、周辺配線部および端子部とを一度に形成でき生産性に優れる。
一方、導電材料を、例えばタッチパネルセンサーを製造する用途に用いる場合、光透過性導電層、周辺配線部、端子部を有する側の面に、粘着剤層を介して機能材料を設けることが知られている。例えば特開2014−198811号公報(特許文献7)にはタッチパネルセンサー上に粘着シートからなる粘着剤層と、該粘着剤層上に保護基板(機能材料)を有するタッチパネル用積層体が開示されている。
しかし、外部との電気的接続を担うフレキシブルプリント配線板等の配線部材を端子部に接続する場合、端子部および端子部近傍の周辺配線部は、その一部が粘着剤層から露出している必要がある。このような場合、露出した端子部および端子部近傍の周辺配線部は、長時間の経時に伴って抵抗値が変化し、センサー部が検出した静電容量の変化が電気信号として正常に取り出されなくなる場合があった。この結果、タッチパネルセンサーの検出感度の低下や誤認識が発生する等して、タッチパネルセンサーの信頼性を著しく低下させる場合があった。つまり、より経時安定性に優れた導電材料が求められていた。
このような問題に対し、例えば特開2009−188360号公報(特許文献8)には、電子回路のマイグレーションを防止し、長時間駆動した場合であっても絶縁抵抗が低下しない電子回路として、金属配線部にベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体、メルカプト系化合物等の金属イオントラップ剤が吸着された電子回路が開示される。しかし、さらなる経時安定性の改善が求められていた。
他方、銀塩感光材料を導電材料前駆体として用いて得られた光透過性導電層を有する導電材料上に、ポリビニルアセタールを含有する接着層を設けることが知られている。例えば特開2010−153153号公報(特許文献9)には光透過性基材上に金属パターンから構成される光透過性導電層を有する光透過性電極が開示され、該光透過性導電層上に設けられる接着層を、ポリビニルブチラールや、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂にて構成できることが記載されている。特開2018−180622号公報(特許文献10)には、支持体上に網目状金属細線パターンを含む光透過性導電層と、該光透過性導電層上にポリビニルアセタールおよび有機酸エステルを含有する接着層と、該接着層上に機能材料とを少なくともこの順で有する導電材料積層体が開示されている。
特開2012−138018号公報 国際公開第2001/51276号パンフレット 特開2004−221564号公報 特開2007−59270号公報 特開2003−77350号公報 特開2005−250169号公報 特開2014−198811号公報 特開2009−188360号公報 特開2010−153153号公報 特開2018−180622号公報
本発明の課題は、導電性と経時安定性に優れた導電材料の製造に好適な導電材料前駆体、および導電性と経時安定性に優れた導電材料が得られる導電材料の製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の発明によって解決される。
(1)支持体上に物理現像核層、中間層、およびハロゲン化銀乳剤層をこの順で有する導電材料前駆体であって、該中間層が水溶性ポリビニルアセタールを含有することを特徴とする導電材料前駆体。
(2)上記(1)記載の導電材料前駆体を像様に露光する露光工程、および露光済みの導電材料前駆体を現像する現像工程を少なくとも具備することを特徴とする導電材料の製造方法。
本発明により、導電性と経時安定性に優れた導電材料の製造に好適な導電材料前駆体、および導電性と経時安定性に優れた導電材料が得られる導電材料の製造方法を提供することができる。
実施例で用いたポジ型透過原稿の概略図
以下、本発明について説明する。本発明の導電材料前駆体は、支持体上に物理現像核層、中間層、およびハロゲン化銀乳剤層をこの順で有する導電材料前駆体であって、該中間層が水溶性ポリビニルアセタールを含有することを特徴とする。なお本発明において、支持体上に物理現像核層、中間層、およびハロゲン化銀乳剤層をこの順で有するとは、前記した物理現像核層と中間層、および中間層とハロゲン化銀乳剤層との間には他の層が介在せず、支持体側から前記した順に積層されていることを意味し、支持体と物理現像核層との間、あるいはハロゲン化銀乳剤層上には後述するような公知の層を有していてもよい。
<支持体>
本発明の導電材料前駆体が有する支持体は特に限定されないが、本発明によって得られた導電材料をタッチパネルセンサー等の光透過性が必要な用途に利用する場合、支持体は光透過性を有することが特に好ましい。光透過性を有する支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂フィルム、石英ガラス、無アルカリガラス等のガラス等が例示できる。得られる導電材料の透明性の観点から、光透過性を有する支持体の全光線透過率は60%以上が好ましく、特に好ましくは70%以上であり、同様の観点から支持体のヘーズ値は0〜3%が好ましく、特に好ましくは0〜2%である。支持体の厚さは10〜300μmであることが取り扱い性に優れることから好ましい。支持体はその表面の少なくとも一方の面に、易接着層、ハードコート層、反射防止層、防眩層、帯電防止層等の公知の層を有していてもよく、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理、ケン化処理等の公知の表面改質処理が施されていてもよい。
<物理現像核層>
本発明の導電材料前駆体が有する物理現像核層は、支持体上に直接有していてもよく、易接着層等の支持体が有する他の層上に有していてもよい。物理現像核層が含有する物理現像核としては、金、銀、パラジウム、亜鉛あるいはそれら硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。得られる導電材料の金属銀細線と物理現像核層との接着性が優れることから、物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で0.01〜10mg/mが好ましい。
物理現像核層は上記した物理現像核のバインダーとして水溶性高分子化合物や、非水溶性高分子化合物を含有することが、物理現像核層の強度や支持体への接着性が優れるため好ましい。水溶性高分子化合物は限定されず、公知のものを使用できる。具体的にはゼラチン、カゼイン、アルブミンなどのタンパク質、澱粉、デキストリン等の多糖類、セルロースおよびその誘導体(例えばカルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、メチルセルロースなど)、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、キサンタンガム、フコイダン、キトサン、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリリジンやこれらのグラフト重合ポリマー等が例示できる。またコハク化ゼラチンなど公知の方法で修飾した化合物を用いることもできる。
非水溶性高分子化合物としては公知の単独重合体や共重合体が例示できる。単独重合体としては酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレンなどがあり、共重合体としてはエチレン・ブタジエン、スチレン・ブタジエン、スチレン・p−メトオキシスチレン、スチレン・酢酸ビニル、酢酸ビニル・塩化ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル、メチルメタクリレート・アクリロニトリル、メチルメタクリレート・ブタジエン、メチルメタクリレート・スチレン、メチルメタクリレート・酢酸ビニル、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン、メチルアクリレート・アクリロニトリル、メチルアクリレート・ブタジエン、メチルアクリレート・スチレン、メチルアクリレート・酢酸ビニル、アクリル酸・ブチルアクリレート、メチルアクリレート・塩化ビニル、ブチルアクリレート・スチレン等が例示できる。上記非水溶性高分子化合物としては、水に分散させたエマルションを使用することが好ましい。非水溶性高分子化合物のエマルションの平均粒径は0.01〜1.0μmであることが好ましく、特に好ましくは0.05〜0.8μmである。
上記した中でも、水溶性高分子化合物を含有することがより好ましく、中でもポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のアミノ基を有する水溶性高分子化合物を含有することが特に好ましい。物理現像核層が含有する水溶性高分子化合物や非水溶性高分子化合物の含有量は、物理現像核に対して10〜50000質量%が好ましい。
物理現像核層が水溶性高分子化合物を含有する場合、該水溶性高分子化合物を架橋するために架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は特に限定されず、公知の架橋剤を用いることができる。具体的にはテトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、ノルマルブチルジルコネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等の有機金属化合物、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩等の活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基を2つ以上有する化合物、ソルビトールポリグリシジルエーテルやポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ基を分子中に2個以上有する化合物、硫酸カリウムアルミニウム(ミョウバン)、その他「高分子の化学反応」(大河原 信 著、1972、化学同人社)の2.6.7章、5.2章、9.3章等に記載の架橋剤等が例示できる。中でもグリオキサール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のジアルデヒド類やエポキシ基を分子中に2個以上有する化合物が好ましい。架橋剤は、物理現像核層に含まれる水溶性高分子化合物に対して0.1〜80質量%を物理現像核層に含有させることが好ましい。
物理現像核層は、上記した物質以外にも界面活性剤、消泡剤、増粘剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
<中間層>
従来技術において、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層との間に位置する中間層は、不要になったハロゲン化銀乳剤層の水洗除去を促進する目的で好適に利用されてきた。本発明における中間層は水溶性ポリビニルアセタールを含有することで、得られた導電材料を長時間経時した際に生じる抵抗値の変動を改善することができる。中間層を有する導電材料前駆体を用いて銀塩拡散転写法にて銀画像を形成すると、物理現像核層と中間層との界面近傍に銀画像が形成されるが、本発明では中間層が水溶性ポリビニルアセタールを含有することで銀の堆積構造に変化が生じ、それが長期間の経時による影響を軽減しているものと推測される。
中間層の固形分量は特に限定されないが、10〜400mg/mであることが優れた導電性を有する導電材料が製造できることから好ましく、20〜200mg/mであることがより好ましい。中間層の全固形分量に対する水溶性ポリビニルアセタールが占める割合は80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上がより好ましく、特に好ましくは90質量%以上である。中間層が水溶性ポリビニルアセタール以外に含有していてもよい成分としては、前述した物理現像核層が含有していてもよいバインダーとして例示した水溶性高分子化合物、非水溶性高分子化合物等が例示できる。
本発明に用いるポリビニルアセタールとは、アセタール基を有するポリビニルアルコールを意味し、その製造方法としてはポリビニルアルコールをホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド等のアルデヒド化合物を用いてアセタール化する方法が例示できる。
本発明に用いるポリビニルアセタールは水溶性である必要がある。ポリビニルアセタールが非水溶性の場合、銀塩拡散転写法により銀画像を形成する際にハロゲン化銀粒子の溶解・拡散を制限してしまい、導電性に優れた導電材料を製造できない。なお、本発明における水溶性ポリビニルアセタールとは、アセタール化度が40モル%以下であるポリビニルアセタールを意味し、より好ましいアセタール化度は20モル%以下である。下限は特に限定されないが、5モル%以上であることが好ましい。なお、ポリビニルアセタールのアセタール化度とは、ポリビニルアセタールの全単量体単位100モル%中におけるアセタール化されたビニルアルコール単量体単位の含有率を意味する。ポリビニルアセタールのアセタール化度は、JIS K 6728:1977「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により求めることができる。
上記したような水溶性ポリビニルアセタールとしては市販品を用いることができる。水溶性ポリビニルアセタールの市販品としては、例えば積水化学工業(株)より市販されるエスレック(登録商標)KW−1、KW−3、KW−10等が挙げられ、これらを入手し利用することができる。
中間層は、上記した水溶性ポリビニルアセタール以外にも界面活性剤、消泡剤、増粘剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
<ハロゲン化銀乳剤層>
本発明の導電材料前駆体が有するハロゲン化銀乳剤層は、ハロゲン化銀粒子が均一に分散された(乳化された)ハロゲン化銀乳剤を含有する。従ってハロゲン化銀乳剤層はハロゲン化銀粒子を含有する。該ハロゲン化銀粒子の製造には、ハロゲン化銀乳剤に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術はそのまま用いることができる。
ハロゲン化銀乳剤層が含有するハロゲン化銀粒子は、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀およびフッ化銀のいずれであってもよく、これらの組み合わせでもよい。ハロゲン化銀粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の当業界では周知の方法が用いられる。中でも同時混合法の1種で、粒子形成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径の揃ったハロゲン化銀粒子が得られる点において好ましい。本発明においては、優れた導電性を有する導電材料が製造できること、ハロゲン化銀粒子の分散安定性が優れることから、好ましいハロゲン化銀粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。ハロゲン化銀乳剤層が含有するハロゲン化銀粒子は、80mol%以上が塩化銀であることが優れた導電性を有する導電材料が製造できることから好ましく、特に好ましくは90mol%以上である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(六角平板状、三角形平板状、四角形平板状など)、八面体状、十四面体状など様々な形状であることができる。
ハロゲン化銀粒子は、その形成あるいは物理熟成の過程において必要に応じて亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、あるいはロジウム塩もしくはその錯塩、イリジウム塩もしくはその錯塩などVIII族金属元素の塩もしくはその錯塩を共存させてもよい。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。
ハロゲン化銀粒子は、必要に応じて分光増感することもできる。また、ハロゲン化銀粒子は必ずしもネガ感光性でなくてもよく、必要に応じてポジ感光性を有するハロゲン化銀粒子としてもよい。ポジ感光性を有するハロゲン化銀粒子に関しては、特開平8−171210号公報、同平8−202041号公報に記載されている方法によって作製することができる。
ハロゲン化銀乳剤層は、ハロゲン化銀粒子の保護コロイドとしてバインダーを含有することが好ましい。バインダーとしては、物理現像核層が含有していてもよいバインダーとして例示した水溶性高分子化合物、非水溶性高分子化合物が例示できる。中でも、ハロゲン化銀粒子の分散安定性が優れたハロゲン化銀乳剤層が得られることから、ハロゲン化銀乳剤層は水溶性高分子化合物を含有することが好ましく、ゼラチンを含有することが特に好ましい。
導電材料前駆体が有するハロゲン化銀乳剤層の銀/バインダー質量比は1.3以上であることが優れた導電性を有する導電材料が製造できることから好ましく、同じ観点からハロゲン化銀粒子の含有量は銀換算で2g/m以上であることが好ましい。さらに好ましくは銀/バインダー質量比が1.7〜3.5、ハロゲン化銀粒子の含有量は銀換算で2.5〜4.0g/mである。銀/バインダー質量比は高すぎるとハロゲン化銀粒子の保護コロイドとしてのバインダーの割合が不足するため、ハロゲン化銀粒子の分散安定性が不足する場合がある。またハロゲン化銀粒子の含有量を増やしすぎることは、長い現像時間が必要となったり、支持体に近い側のハロゲン化銀粒子の感光性が低下したりする場合がある。
ハロゲン化銀乳剤層は、現像主薬を含有してもよい。現像主薬としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができ、後述する現像液が含有していてもよい現像主薬が例示できる。現像主薬は2種以上含有していてもよい。
ハロゲン化銀乳剤層は、バインダーを架橋する目的で前述した物理現像核層が含有していてもよい架橋剤を含有できるが、現像後に不要になったハロゲン化銀乳剤層を水洗除去するため、架橋剤はこれを妨げない範囲で用いることが好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層は公知の写真用添加剤を含有してもよい。具体的にはResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載、あるいは引用された文献に記載されている添加剤を例示できる。その他、界面活性剤、消泡剤、増粘剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
<その他の構成層>
本発明において導電材料前駆体は、必要に応じて、裏塗り層、保護層等の非感光性層を有することができる。中でも、導電材料前駆体は保護層を有することが好ましい。保護層はハロゲン化銀乳剤層を傷付きから保護し、現像処理中にハロゲン化銀乳剤層の銀が系外に拡散するのを抑制し、物理現像核上への銀の析出効率を高める目的から、ハロゲン化銀乳剤層の上に有することが好ましい。これらの非感光性層は、主に水溶性高分子化合物を含有する層であり、該水溶性高分子化合物としては物理現像核層が含有していてもよいバインダーとして例示した水溶性高分子化合物が挙げられる。非感光性層の水溶性高分子化合物量としては、各々の用途によって異なるが、0.001〜10g/mの範囲が好ましい。これら非感光性層は、水溶性高分子化合物を架橋する目的で、該水溶性高分子化合物を架橋可能な架橋剤を含有できるが、現像後に不要になった各構成層を水洗除去するため、架橋剤はこれを妨げない範囲で用いることが好ましい。
上記した各構成層中には、ハロゲン化銀乳剤の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料または顔料を、画質向上のためのハレーション、あるいはイラジエーション防止剤として含有することが好ましい。ハレーション防止剤は、上記裏塗り層あるいは、物理現像核層、中間層等のハロゲン化銀乳剤層と支持体の間に設けられる層に用いることが好ましく、これら2つ以上の層に分けて用いてもよい。イラジエーション防止剤としては、ハロゲン化銀乳剤層に用いることが好ましい。これら非増感性染料または顔料の添加量は、目的の効果が得られるのであれば特に限定されないが、0.01〜1g/mの範囲が好ましい。また上記した各構成層は、必要に応じて公知の写真用添加剤、界面活性剤、マット剤、滑剤、後述する現像液が含有していてもよい現像主薬等を含有できる。
<構成層の製造方法>
上記した物理現像核層、中間層、ハロゲン化銀乳剤層、保護層、裏塗り層の、各構成層を支持体上に設ける方法は特に限定されないが、均一な厚みの各構成層を生産性よく設ける観点から、塗布により設けることが特に好ましい。塗布方法としてはディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング等が例示できるがこれらに限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。
次に、本発明の導電材料の製造方法について説明する。本発明の導電材料の製造方法は、支持体上に所望する幾何学形状の光透過性導電層となる網目状金属銀細線パターンや、周辺配線部、および端子部を形成することを目的とし、導電材料前駆体を像様に露光する工程を有する。
<露光工程>
像様に露光する方法としては、所望する網目状金属銀細線パターン等に応じた幾何学形状を有する透過原稿を用意し、導電材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に密着させて露光する方法、あるいは各種レーザー光(例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザーから発振されるレーザー光)を導電材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に照射し、所望する網目状金属銀細線パターン等に応じた幾何学形状に走査露光する方法等が例示できる。
<現像工程>
本発明の導電材料の製造方法は、導電材料前駆体を像様に露光する露光工程後に、これを現像する(現像液に接触させる)現像工程を有する。現像することでハロゲン化銀乳剤層が含有するハロゲン化銀粒子が溶解・拡散し、物理現像核上で還元され、網目状金属銀細線パターン等が形成される。導電材料前駆体にネガ型のハロゲン化銀粒子を用いた場合、露光により光を照射されなかったハロゲン化銀乳剤層に対応する部分が網目状金属銀細線パターン等となり、ポジ型のハロゲン化銀粒子を用いた場合、露光により光を照射されたハロゲン化銀乳剤層に対応する部分が網目状金属銀細線パターン等となる。
<現像液>
前述の導電材料前駆体が有する各構成層が現像主薬を含有する場合、現像液は必ずしも現像主薬を含有する必要はなく、現像可能となる潜像核を有するハロゲン化銀粒子の還元を可能とするためのアルカリ性剤を含有する。アルカリ性剤として、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3リン酸ナトリウム、あるいは各種アミン化合物が挙げられる。現像液のpHは10以上が好ましく、さらに11〜14の範囲が好ましい。
前述の導電材料前駆体が有する各構成層が、現像可能となる潜像核を有するハロゲン化銀粒子の還元を可能とする量の現像主薬を含有しない場合、上記した現像液は現像主薬を含有する。現像液が含有する現像主薬としては、例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−p−クロロフェニル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン、アスコルビン酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよい。導電性に優れた金属銀細線を有する導電材料が得られることから、現像液中の現像主薬の含有量は1〜100g/Lであることが好ましい。
現像液はその他に、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤や、pHを好ましい範囲に保つために炭酸塩やリン酸塩等のpH緩衝剤を含有することが好ましい。さらに臭化物イオン、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール等、現像可能な潜像核を有さないハロゲン化銀粒子が還元されないように加えられるカブリ防止剤を含有していてもよい。
現像液は可溶性銀錯塩形成剤を含有することが特に好ましい。可溶性銀錯塩形成剤としては、具体的にはチオ硫酸アンモニウムやチオ硫酸ナトリウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、1,10−ジチア−18−クラウン−6、2,2′−チオジエタノールなどのチオエーテル類、オキサゾリドン類、2−メルカプト安息香酸およびその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475)」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。これらの可溶性銀錯塩形成剤の中で特にアルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンとしては、例えばN−(2−アミノエチル)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。導電性に優れた金属銀細線を有する導電材料が得られることから、現像液中の可溶性銀錯塩形成剤量の含有量としては0.1〜40g/Lが好ましく、より好ましくは1〜20g/Lである。
<現像条件>
導電材料前駆体を現像する際の現像液の温度は特に限定されないが、現像速度の観点、およびハロゲン化銀乳剤層が現像液中に溶出するのを防止する観点から15〜30℃が好ましく、18〜27℃が特に好ましい。現像時間は生産効率を考慮して120秒以下が好ましい。
像様に露光した後の導電材料前駆体を現像する方法としては、導電材料前駆体を現像液に浸漬する方法や、導電材料前駆体上に現像液を塗布する方法を例示できる。導電材料前駆体上に現像液を塗布する場合、現像液の塗布量は40〜120mL/m程度が好ましい。
<水洗工程>
上記方法に従い導電材料前駆体を現像した後、水洗することが好ましい。現像後の導電材料前駆体を水洗することで、現像後に不要となったハロゲン化銀乳剤層等の各構成層を除去し、金属銀細線を支持体上に露出させることができる。水洗は水単体で行ってもよく、炭酸塩やリン酸塩等のpH緩衝剤を含有する水で行ってもよく、腐敗を防止する目的で防腐剤を含有する水で行ってもよい。
水洗方法としては、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。また、シャワーやスリットを複数個設けて、除去の効率を高めることもできる。また、ハロゲン化銀乳剤層を除去する際には、水洗除去の代わりに、剥離紙等に転写剥離する方法を用いてもよい。剥離紙等で転写剥離する方法としては、ハロゲン化銀乳剤層上の余分な現像液を予めローラ等で絞り取っておき、ハロゲン化銀乳剤層等と剥離紙を密着させてハロゲン化銀乳剤層等をプラスチック樹脂フィルムから剥離紙に転写させて剥離する方法である。剥離紙としては吸水性のある紙や不織布、あるいは紙の上にシリカのような微粒子顔料とポリビニルアルコールのようなバインダーとで吸水性の空隙層を設けたものが用いられる。
<現像後の後処理>
導電材料前駆体を現像し得られた網目状金属銀細線パターン等の表面に対し、公知の金属表面処理を施してもよい。例えば特開2008−34366号公報に記載されているような還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化合物を作用させてもよく、特開2013−196779号公報に記載されているような分子内に2つ以上のメルカプト基を有するトリアジンもしくはその誘導体を作用させてもよく、特開2011−209626号公報に記載されているように硫化反応による黒化処理を施してもよい。あるいは特開2007−12404号公報に記載されているようにタンパク質分解酵素等の酵素を含有する処理液で処理し、残存するゼラチン等の除去を促進してもよい。
<導電材料>
本発明の導電材料の製造方法により得られた導電材料をタッチパネルセンサーに利用する場合、網目状金属銀細線パターンを有する光透過性導電層を有することが好ましく、該光透過性導電層は互いに電気的に絶縁された複数のセンサーを有するセンサー部を有することが好ましい。センサー部となる網目状金属銀細線パターンは、複数の単位格子を網目状に配置した幾何学形状を有することがセンサーの感度、視認性(センサーの形状が見えにくい、いわゆる難視認性、以下、単に視認性と記載する。)に優れることから好ましい。単位格子の形状としては、例えば正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形、星形等を組み合わせた形状が挙げられ、またこれらの形状の単独の繰り返し、あるいは2種類以上の複数の形状の組み合わせが挙げられる。中でも単位格子の形状としては正方形もしくは菱形が好ましい。またボロノイ図形やドロネー図形、ペンローズタイル図形等に代表される不規則幾何学形状も好ましい網目状金属銀細線パターンの形状の一つである。
網目状金属銀細線パターンを構成する金属銀細線の線幅は、視認性が優れることから20μm以下であることが好ましく、より好ましくは15μm以下であり、特に好ましくは10μm以下である。金属銀細線の線幅の下限は特に限定されないが、1μm以上であることが金属銀細線の導電性が優れることから好ましい。網目状金属銀細線パターンを構成する金属銀細線の線幅は全て同一であってもよく、異なっていてもよい。
単位格子の繰り返し間隔は50〜600μmであることがセンサーの感度、視認性に優れることから好ましく、さらに好ましくは50〜400μmである。網目状金属銀細線パターンの開口率は85%以上であることが光透過性に優れるため好ましく、88〜99%がより好ましい。
網目状金属銀細線パターンを構成する金属銀細線の厚みは特に限定されないが、厚すぎると金属銀細線の視認性が悪化する場合があり、薄すぎると金属銀細線の導電性が不足する場合がある。よって、金属銀細線の厚みは0.05〜5μmが好ましく、より好ましくは0.07〜3μmであり、特に好ましくは0.1〜1μmである。
本発明の導電材料の製造方法により得られた導電材料をタッチパネルセンサーに利用する場合、センサー部が検出した静電容量の変化を外部に電気信号を取り出すために複数の端子を有する端子部や、センサー部と端子部とを電気的に接続する複数の周辺配線を有する周辺配線部が設けられることが好ましい。
本発明において、端子部は外部との電気的接続を担うフレキシブルプリント配線板等の配線部材を接続するために設けられることが好ましい。端子部は一般的に複数の端子を有しており、該端子の幅は特に限定されないが、15μm以上であることが配線部材の接続が容易になることから好ましく、より好ましくは30μm以上であり、特に好ましくは60μm以上である。上限は特に限定されないが、前記した配線部材の実装面積を抑制して部材を小型化するため、該端子の幅は2000μm以下であることが好ましい。各端子の間隔は特に限定されないが、1μm以上であることが絶縁性を確保する観点から好ましい。各端子の間隔の上限は2000μm以下とすることが実装面積を抑制できるため好ましい。
本発明において、周辺配線部が有する複数の周辺配線の線幅は特に限定されないが、3μm以上であることが、周辺配線の導電性が優れることから好ましく、好ましくは5μm以上であり、特に好ましくは7μm以上である。上限は2000μm以下であることが、いわゆる額縁部分の面積を抑制できるため好ましい。各周辺配線の間隔は特に限定されないが、1μm以上であることが絶縁性を確保する観点から好ましい。各周辺配線の間隔の上限は2000μm以下とすることが、額縁部分の面積を抑制できるため好ましい。
本発明の導電材料の製造方法により得られた導電材料は、光透過性導電層、周辺配線部、端子部を有する側の面に粘着剤層を設けてもよく、さらに粘着剤層上に機能材料を設けてもよい。粘着剤層を形成する粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の公知の粘着剤が例示できる。機能材料としては、光透過性導電層を支持体上に有する導電材料や、ガラスや樹脂フィルムからなる保護板、および上記ガラスや樹脂フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層、反射防止層、防眩層、ITO等からなる導電性非金属層、遮光層、加飾層等の公知の機能層を有する材料が例示できる。
粘着剤層として、特開2011−168688号公報、特開2011−74308号公報等に例示されているアクリル系光学用粘着テープや、特開2016−35012号公報、特開2012−46658号公報等に例示されているアクリル系モノマーおよびアクリル系オリゴマーを含有する組成物の硬化物を用いてもよい。アクリル系光学用粘着テープ、アクリル系モノマーおよびアクリル系オリゴマーを含有する組成物はともに市販されており、前者としてはスリーエムジャパン(株)より高透明性接着剤転写テープ(8146−1/8146−2/8146−3/8146−4等)、日東電工(株)より光学用透明粘着シート(LUCIACS(登録商標) CS9864UAS/CS9864UA等)等が例示でき、後者としてはデクセリアルズ(株)より光学弾性樹脂SVR(登録商標)シリーズ(SVR1150、SVR1320等)、協立化学産業(株)よりWORLD ROCK(登録商標)シリーズ(HRJ(登録商標)−46、HRJ−203等)、ヘンケルジャパン(株)より紫外線硬化型光学透明接着剤Loctite(登録商標) LOCAシリーズ(Loctite3192、Loctite3193等)等が例示でき、これらを入手し利用することができる。
本発明の導電材料の製造方法により得られた導電材料をタッチパネルセンサーに利用する場合、端子部および端子部近傍の周辺配線部が粘着剤層から露出していることが、外部との電気的接続を担うフレキシブルプリント配線板等の配線部材の接続が容易になるため好ましい。このような露出した端子部および端子部近傍の周辺配線部は長時間の経時に伴って抵抗値の変化を生じやすいが、本発明の導電材料の製造方法により得られた導電材料は経時安定性に優れるため、露出した端子部および端子部近傍の周辺配線部を有する導電材料においてとりわけ有効に作用する。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<導電材料前駆体1の作製>
支持体として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該支持体の全光線透過率およびヘーズ値をスガ試験機(株)製ヘーズメーターHZ−V3で測定したところ、全光線透過率は91.7%、ヘーズ値は0.6%であった。この支持体上に下記組成の裏塗り層を塗布、乾燥した。
<裏塗り層組成/1mあたり>
ゼラチン 2g
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg
界面活性剤(S−1) 400mg
染料1 200mg
次に、裏塗り層を有する支持体の、裏塗り層を有する面とは反対側の面に下記組成の物理現像核層塗液を塗布、乾燥して物理現像核層を設けた。
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40mL
蒸留水 1000mL
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000mL
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
<物理現像核層塗液/1mあたり>
前記硫化パラジウムゾル(固形分として) 0.5mg
2質量%グリオキサール水溶液 0.2mL
界面活性剤(S−1) 4mg
デナコール(登録商標)EX−830 25mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)
10質量%エポミン(登録商標)SP−200水溶液 0.1g
((株)日本触媒製ポリエチレンイミン;数平均分子量10000)
続いて、支持体に近い方から順に下記組成の中間層1、ハロゲン化銀乳剤層1、および保護層1を上記物理現像核層の上に塗布、乾燥して、導電材料前駆体1を得た。ハロゲン化銀乳剤層1が含有するハロゲン化銀乳剤は、コントロールドダブルジェット法で製造した。このハロゲン化銀乳剤が含有するハロゲン化銀粒子は、塩化銀95mol%と臭化銀5mol%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀粒子を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は、銀1gあたり0.5gのゼラチンを保護コロイド(バインダー)として含有する。
<中間層1組成/1mあたり>
エスレックKW−3(固形分として) 50mg
(積水化学工業(株)製水溶性ポリビニルアセタールの20質量%水溶液、アセタール化度30モル%)
界面活性剤(S−1) 5mg
<ハロゲン化銀乳剤層1組成/1mあたり>
ハロゲン化銀乳剤 3.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
<保護層1組成/1mあたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
<導電材料前駆体2の作製>
中間層1に代わり、下記組成の中間層2を塗布、乾燥した以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体2を得た。
<中間層2組成/1mあたり>
エスレックKW−10(固形分として) 50mg
(積水化学工業(株)製水溶性ポリビニルアセタールの25質量%水溶液、アセタール化度8モル%)
界面活性剤(S−1) 5mg
<導電材料前駆体3の作製>
中間層1に代わり、下記組成の中間層3を塗布、乾燥した以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体3を得た。なお、中間層1、中間層2は水溶液として塗布したが、中間層3についてはエタノール溶液として塗布した。
<中間層3組成/1mあたり>
エスレックBX−L(固形分として) 50mg
(積水化学工業(株)製非水溶性ポリビニルアセタール粉末、アセタール化度61モル%)
<導電材料前駆体4の作製>
中間層1に代わり、下記組成の中間層4を塗布、乾燥した以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体4を得た。
<中間層4組成/1mあたり>
クラレポバール95−88 50mg
((株)クラレ製ポリビニルアルコール粉末、ケン化度88モル%)
界面活性剤(S−1) 5mg
<導電材料前駆体5の作製>
中間層1に代わり、下記組成の中間層5を塗布、乾燥した以外は導電材料前駆体1と同様にして、導電材料前駆体5を得た。
<中間層5組成/1mあたり>
シーピーガム(登録商標)FA 50mg
(DSP五協フード&ケミカル(株)製カラギーナン粉末)
界面活性剤(S−1) 5mg
<導電材料1〜5の作製>
上記した導電材料前駆体1〜5それぞれについて、図1で示したポジ型透過原稿を密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介して、それぞれ露光した。該ポジ型透過原稿はセンサー相当部21(21a〜21dの4本)、周辺配線相当部22(22a〜22dの4本)、周辺配線相当部22’(22a’〜22d ’の4本)、端子相当部23(23a〜23dの4本)、端子相当部23’(23a’〜23d’の4本)を有する。センサー相当部21は線幅5.0μm、一辺の長さが300μmの正方形の単位格子による網目状パターンによって形成されており、周辺配線相当部22、22’、端子相当部23、23’は全て塗りつぶしパターンである。周辺配線相当部22、22’の線幅は全て40μmであり、隣接する周辺配線相当部間の最短距離は40μmである。端子相当部23、23’の線幅は500μmであり、隣接する端子相当部間の最短距離は500μmである。なお図中、破線は後述する機能材料の貼合領域31を表し、ポジ型透過原稿上に破線は存在しない。
その後、下記拡散転写現像液中に20℃で60秒間浸漬した後、続いて裏塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、中間層、および保護層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。こうしてポジ型透過原稿に対応する導電材料1〜5を得た。デジタルマイクロスコープによる観察の結果、得られた導電材料1〜5が有するパターンの形状、線幅等はポジ型透過原稿と同様であり、網目状金属銀細線パターンを構成する金属銀細線の線幅は5.0μm、開口率は96.7%、金属銀細線の厚みは0.15μmであった。
<拡散転写現像液の作製>
下記の組成の拡散転写現像液を作製した。
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000mL、pH=12.2に調整した。
<試料1〜5の作製>
導電材料1〜5それぞれについて、図1に示した機能材料の貼合領域31にスリーエムジャパン(株)製高透明性接着剤転写テープ8146−4を貼合し、厚み100μmの粘着剤層(全光線透過率99%以上、ヘーズ値0.4%)とした。続いて機能材料としてEAGLE XG(登録商標)(コーニングジャパン(株)製無アルカリガラス)を粘着剤層上に貼合し、試料1〜5を得た。試料1〜5はいずれも端子部および端子部近傍の周辺配線部が粘着剤層から露出している。同様の手順を繰り返し、試料1〜5を各30枚作製した。
<導電性評価>
試料1〜5それぞれについて、設計上導通している端子23aと端子23a’との間の抵抗値を、三和電気計器(株)製デジタルマルチメータPC700を用いて測定し、試料1〜5の抵抗値とした。試料5の抵抗値を基準として、試料1〜4の抵抗値が95%未満の場合は「4」、95%〜105%の場合は「3」、105%〜115%の場合は「2」、115%超の場合を「1」として導電性の評価を実施した。この結果を表1に示す。
<経時変化が生じた試料数>
試料1〜5、各30枚について、設計上導通している左右の端子間(ポジ型透過原稿における23a−23a’間〜23d−23d’間に相当する4組)の抵抗値を測定し初期抵抗値(Ra〜Rd)とした。次に、JIS Z 2381:2017に準じた遮蔽暴露試験(自然通風型)を3ヶ月間実施した。試験後、設計上導通している左右の端子間の抵抗値を測定し、試験後抵抗値(Ra〜Rd)とした。そして以下の式に従い、端子間の抵抗値変化率(単位:%)を算出した。4組の端子間のうち、1端子間でも抵抗値変化率が±10%を超えた場合、経時変化が生じたと判断した。試料1〜5の各30枚中、経時変化が生じた枚数を表1に示す。
端子間の抵抗値変化率(単位:%)=(Rx−Rx)/Rx×100
式中xはa〜dを表す。
表1の結果から、本発明によって導電性および経時安定性に優れた導電材料が得られることが判る。
21 センサー相当部
22、22’ 周辺配線相当部
23、23’ 端子相当部
31 機能材料の貼合領域

Claims (2)

  1. 支持体上に物理現像核層、中間層、およびハロゲン化銀乳剤層をこの順で有する導電材料前駆体であって、該中間層が水溶性ポリビニルアセタールを含有することを特徴とする導電材料前駆体。
  2. 請求項1記載の導電材料前駆体を像様に露光する露光工程、および露光済みの導電材料前駆体を現像する現像工程を少なくとも具備することを特徴とする導電材料の製造方法。
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