JP6784226B2 - シリコーン変性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

シリコーン変性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、優れた熱安定性及び高温高湿耐性を保ちつつ、弾性率を低下し、クラックや剥離を抑制できるシリコーン変性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置に関する。
近年、半導体装置は目覚しい技術革新を迎えている。スマートフォン、タブレットなど携帯情報、通信端末は大容量の情報を高速で処理できるよう、TSV(スルーシリコンビア)技術が用いられている。この技術では、先ず半導体素子を多層接続し、8インチ乃至12インチのシリコンインターポーザーにフリップチップ接続する。その後、多層接続された半導体素子が複数個搭載されたインターポーザーごと熱硬化樹脂により封止する。半導体素子上の不要な硬化樹脂を研磨した後、個片化し、薄型で小型、多機能かつ高速処理可能な半導体装置を得ることができる。しかしながら、8インチ乃至12インチの薄いシリコンインターポーザー上の全面に熱硬化樹脂を塗布し、封止した場合、シリコンと熱硬化性樹脂との熱膨張係数の違いから大きな反りが発生する。反りが大きいと、その後の研磨工程や個片化工程に適用することができず大きな技術課題となっている。
また近年、地球温暖化対策として、化石燃料からのエネルギー転換などといった地球レベルでの環境対策が進められている。このため自動車の分野では、ハイブリット車や電気自動車の生産台数が増えてきている。また、中国やインドなど新興国においても、家庭用電気機器に省エネルギー対策としてインバーターモーターを搭載した機種が増えてきている。
ハイブリッド車や電気自動車、インバーターモーターでは、交流を直流、直流を交流に変換したり、電圧を変圧したりするパワー半導体が重要となる。しかしながら、長年半導体として使用されてきたシリコン(Si)は性能限界に近づいており、例えば、電力変換時の電力損失を減らすために、パワーMOSFETの低抵抗化など、飛躍的な性能向上を期待することが困難になってきた。そこで、炭化ケイ素(SiC)、チッ化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドなどのバンドギャップが広い(ワイドギャップ)半導体を用いた次世代型パワー半導体に注目が集まるようになっている。これらの中でも、SiCを使った低損失パワーMOSFETの開発が進められている。
ワイドギャップ半導体においてSiCやGaNは、バンドギャップがSiの約3倍、破壊電界強度が10倍以上という優れた特性を持っている。また、高温動作(SiCでは650℃動作の報告がある)、高い熱伝導度(SiCはCu並み)、大きな飽和電子ドリフト速度などの特徴もある。これらの特性から、SiCやGaNを使えばパワー半導体のオン抵抗を下げ、電力変換回路の電力損失を大幅に削減することが可能である。
パワー半導体は、一般的にエポキシ樹脂によるトランスファー成形、シリコーンゲルによるポッティング封止により保護されている。最近は小型、軽量化の観点(特に自動車用途)から、エポキシ樹脂によるトランスファー成形が主流になりつつある。しかし、エポキシ樹脂は成形性、基材との密着性及び機械的強度に優れるバランスの取れた熱硬化樹脂であるが、200℃を超える温度では架橋点の熱分解が進行してしまう。このため、SiC、GaNに期待される高温での動作環境ではエポキシ樹脂を封止材として用いることが困難であることが予想される。
そこで、耐熱特性に優れる材料としてシアネート樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物が検討されている。耐熱特性の中で、特にシアネート樹脂は膨張係数が非常に小さく、封止硬化時の収縮応力を抑制することができるため、大径や薄型のウエハや金属等の大径基板を封止した場合であっても、基板やウエハの反りを抑制することができる。
例えば、特許文献1には、多価シアン酸エステルとエポキシ樹脂との反応によるオキサゾール環をフェノールノボラック樹脂の硬化物中に形成することにより、安定した耐熱性を得られることが記載されている。更に、特許文献1には、エポキシ樹脂のエポキシ当量1に対して、フェノールノボラック樹脂の水酸基当量が0.4〜1.0及び多価シアン酸エステルのシアナト基当量が0.1〜0.6であることにより、耐熱性及び耐水性に優れる硬化物を提供できることが記載されている。しかし、この組成物は、エポキシ基とシアナト基との反応によるオキサゾール環の形成に高温かつ長時間の熱硬化工程が必要であり、量産性に劣るという問題を有する。
また特許文献2には、特定構造を有する、シアン酸エステル化合物、フェノール化合物及び無機充填剤を含む熱硬化性樹脂組成物が、耐熱性に優れ、高い機械的強度を有することが記載されているが、耐湿性が不十分であるため、高温高湿下に長期間置くと剥離やクラックが生じるという問題を有する。
更に特許文献3には、シアネートエステル化合物を含有する組成物にフェノール化合物、及び特定構造を有するエポキシ樹脂を配合し、かつ、シアネートエステル化合物に対するフェノール化合物の配合量及びシアネートエステル化合物に対するエポキシ樹脂の配合量を特定の範囲内にすることにより、優れた熱安定性及び高温高湿耐性を有する硬化物を提供できることが記載されている。しかし、この組成物は、弾性率が高く、基板の素子搭載面と樹脂組成物の硬化物との界面での剥離の抑制が十分ではない。
また、パッケージのクラックの発生や基板の素子搭載面と樹脂組成物の硬化物との界面での剥離などが問題になっていることから、これらを防ぐ手段として低応力化、すなわち硬化物の弾性率を下げることも望まれている。
特公平6−15603号公報 特開2013−53218号公報 特開2016−210907号公報
本発明は、優れた熱安定性及び高温高湿耐性を保ちつつ、弾性率を低下し、クラックや剥離を抑制できるシリコーン変性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し、樹脂組成物として、特定のシアネートエステル化合物、特定のシリコーン変性エポキシ樹脂、特定のフェノール化合物及び/又は特定のシリコーン変性フェノール樹脂を含有し、且つ、シアネートエステル化合物に対するフェノール化合物の配合量及びシアネートエステル化合物に対するエポキシ樹脂の配合量を特定の範囲内にすることにより、優れた熱安定性を保ちつつ、弾性率を低下し、クラックや剥離を抑制できることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記のシリコーン変性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供する。
〔1〕
(A)1分子中に2個以上のシアナト基を有するシアネートエステル化合物、
(B)アルケニル基含有エポキシ化合物と下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により得られるシリコーン変性エポキシ樹脂、
Figure 0006784226
(上記式(1)中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、aは0.01≦a≦1の正数であり、bは1≦b≦3の正数であり、1.01≦a+b<4である。)
(C)アルケニル基含有フェノール化合物と上記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により得られるシリコーン変性フェノール樹脂
を含み、上記(A)成分のシアネートエステル化合物中のシアナト基に対する上記(B)成分のエポキシ樹脂中のエポキシ基のモル比が0.04〜0.30であり、且つ、上記(A)成分のシアネートエステル化合物中のシアナト基に対する上記(C)成分のフェノール化合物中のフェノール性水酸基のモル比が0.08〜0.30であることを特徴とするシリコーン変性エポキシ樹脂組成物。
〔2〕
(A)成分が、下記一般式(2)で表される化合物である〔1〕記載のシリコーン変性エポキシ樹脂組成物。
Figure 0006784226
[上記式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R3は、互いに独立に、下記式で表される2価の基のいずれかである。
Figure 0006784226
4は、互いに独立に、水素原子またはメチル基であり、nは0〜10の整数である。]
〔3〕
(B)成分及び(C)成分における上記オルガノポリシロキサンが、下記式(a)〜(c)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である〔1〕又は〔2〕記載のシリコーン変性エポキシ樹脂組成物。
Figure 0006784226
(上記式(a)において、Rは上記と同じであり、R1は水素原子又はRの選択肢から選ばれる基であり、n1は0〜200の整数であり、n2は0〜2の整数であり、n3は0〜10の整数であり、且つ、n1、n2、n3は同時に0とならない。R2は下記式(a’)に示す基であり、
Figure 0006784226
上記式(a’)において、R及びR1は上記と同じであり、n4は1〜10の整数であり、括弧内に示される各シロキサン単位はランダムに結合していてもブロック単位を形成していてもよい。但し、上記式(a)の化合物は1分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合した水素原子を有する。)
Figure 0006784226
(上記式(b)において、Rは上記と同じであり、n5は0〜10の整数であり、n6は1〜4の整数であり、但し、3≦n5+n6≦12を満たす数であり、括弧内に示される各シロキサン単位の結合順序は制限されない。)
Figure 0006784226
(上記式(c)において、R及びR1は上記と同じであり、rは0〜3の整数であり、R7は水素原子、又は炭素数1〜10の有機基であり、上記式(c)の化合物は1分子中に少なくとも1個の、ケイ素原子に結合した水素原子を有する。)
〔4〕
上記(C)成分のアルケニル基含有フェノール化合物は、下記式で表される〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のシリコーン変性エポキシ樹脂組成物。
Figure 0006784226
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のシリコーン変性エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置。
本発明の樹脂組成物によれば、エポキシ樹脂として特定のシリコーン変性エポキシ樹脂、硬化剤として特定のフェノール化合物及び/又はシリコーン変性フェノール樹脂を用いることにより、優れた熱安定性及び高温高湿耐性を保ちつつ、弾性率を低下し、クラックや剥離を抑制することができ、半導体封止用の樹脂組成物として非常に有用である。
実施例1〜4及び比較例1,2の各組成物におけるガラス転移温度を決定する方法を説明するための概略図である。
本発明の樹脂組成物は、下記(A)〜(C)成分、
(A)1分子中に2個以上のシアナト基を有するシアネートエステル化合物、
(B)アルケニル基含有エポキシ化合物と特定の平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により得られるシリコーン変性エポキシ樹脂、
(C)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物、及び/又は、アルケニル基含有フェノール化合物と上記特定の平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により得られるシリコーン変性フェノール樹脂
を必須成分として含む。
(A)シアネートエステル化合物
(A)成分は、1分子中に2個以上のシアナト基を有するシアネートエステル化合物である。上記シアネートエステル化合物は1分子中に2個以上のシアナト基を有するものであればよく、一般に公知のものが使用できる。上記シアネートエステル化合物は、例えば、下記一般式(2)で表すものが挙げられる。
Figure 0006784226
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R3は、互いに独立に、下記式で表される2価の基のいずれかである。
Figure 0006784226
4は、互いに独立に、水素原子又はメチル基であり、nは0〜10の整数である。]
(A)成分のシアネートエステル化合物としては、例えば、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ジ(4−シアナトフェニル)チオエーテル、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、2−tert−ブチル−1,4−ジシアナトベンゼン、2,4−ジメチル−1,3−ジシアナトベンゼン、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ジシアナトベンゼン、テトラメチル−1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、2,2’−ジシアナトビフェニル、4,4’−ジシアナトビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジシアナトビフェニル、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,5−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン;1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル;4,4’−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェニルシアネート、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナト−フェニル)ホスフィン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、フェノールノボラック型シアネート、クレゾールノボラック型シアネート、ジシクロペンタジエンノボラック型シアネート、フェニルアラルキル型シアネートエステル、ビフェニルアラルキル型シアネートエステル、ナフタレンアラルキル型シアネートエステルなどが挙げられる。これらのシアネートエステル化合物は1種又は2種以上混合して用いることができる。
上記シアネートエステル化合物は、フェノール類と塩化シアンとを塩基性下で反応させることにより得られる。上記シアネートエステル化合物は、その構造により軟化点が106℃の固形のものから、常温で液状のものまでの幅広い特性を有するものの中から用途に合せて適宜選択することができる。例えば、液状のエポキシ樹脂組成物を製造する際には常温で液状のシアネートエステル化合物を使用し、溶媒に溶かしてワニスにする場合には溶解性や溶液粘度に応じて選択することが好ましい。また、パワー半導体封止用にトランスファー成形で使用するときには常温で固体のシアネートエステル化合物を選択することが好ましい。
また、シアナト基の当量が小さいもの、即ち、官能基間分子量が小さいものは硬化収縮が小さく、低熱膨張で高ガラス転移温度の硬化物を得ることができる。シアナト基当量が大きいものは若干ガラス転移温度が低下するが、トリアジン架橋間隔がフレキシブルになり、低弾性化、高強靭化及び低吸水化が期待できる。シアネートエステル化合物中に結合あるいは残存している塩素は、50ppm以下、更には20ppm以下であることが好適である。塩素の量が50ppmを超えると、高温下に長期間置いたときに熱分解により遊離した塩素或いは塩素イオンが酸化されたCuフレームやCuワイヤー、Agメッキを腐食し、硬化物の剥離や電気的不良を引き起こす可能性がある。また、樹脂の絶縁性も低下するおそれがある。(A)成分のシアネートエステル化合物の配合量は、(A),(B)及び(C)成分の樹脂成分合計100質量部に対して、好ましくは40〜80質量部であり、より好ましくは50〜76質量部である。
(B)シリコーン変性エポキシ樹脂
(B)成分は、アルケニル基含有エポキシ化合物と下記平均組成式(1)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により得られる共重合化合物である。この共重合化合物を含有することにより、本発明の樹脂組成物は、低弾性化を付与することができる。
上記アルケニル基含有エポキシ化合物は、エポキシ基及びアルケニル基を有し、通常、半導体を封止するための樹脂組成物として用いるものであれば、特に限定されない。
このうちエポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、トリフェニルアルカン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、トリアジン誘導体エポキシ樹脂、エポキシシクロヘキシル型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのエポキシ樹脂にビニル基,アリル基等のアルケニル基を有するものが用いられる。
上記のようなエポキシ化合物の中でも、以下のような構造式の化合物を用いることで作業性に優れるため、好適な化合物として挙げられる。
Figure 0006784226
下記平均組成式(1)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも1個のSiH基を有し、好ましくは2〜10個のSiH基を有する。下記式(1)において、Rは炭素数1〜10、好ましくは1〜6の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基が挙げられる。なお、これら炭化水素基の水素原子の一部がフッ素、臭素、塩素などのハロゲン原子で置換された基も使用することができる。
Figure 0006784226
上記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサンは、直鎖状、環状、及び分岐状のいずれでもよい。例えば、下記式(a)〜(c)で表すものが挙げられる。
Figure 0006784226
上記式(a)において、Rは上記と同じであり、R1は水素原子又はRの選択肢から選ばれる基である。R2は、下記式(a’)に示す基である。
Figure 0006784226
上記式(a’)において、R及びR1は上記と同じであり、n4は1〜10、好ましくは0〜2の整数である。
上記式(a)において、n1は0〜200、好ましくは0〜20の整数であり、n2は0〜2、好ましくは0又は1の整数であり、n3は0〜10、好ましくは0〜6の整数であり、且つ、n1、n2、n3は同時に0とならない。なお、括弧内に示される各シロキサン単位はランダムに結合していてもブロック単位を形成していてもよい。但し、上記式(a)の化合物は1分子中に少なくとも1個、好ましくは2〜10個のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を有する。したがって、上記式(a)において、n2が0の場合、式(a)及び(a’)のR1のうちの少なくとも1個は水素原子である。
Figure 0006784226
上記式(b)において、Rは上記と同じであり、n5は0〜10、好ましくは0〜6の整数であり、n6は1〜4、好ましくは2〜4の整数であり、且つ、3≦n5+n6≦12を満たす数であり、括弧内に示される各シロキサン単位の結合順序は制限されない。
Figure 0006784226
上記式(c)において、R及びR1は上記と同じであり、rは0〜3の整数であり、R7は水素原子又は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の有機基、特に1価炭化水素基であり、上記式(c)の化合物は1分子中に少なくとも1個の、ケイ素原子に結合した水素原子を有する。したがって、上記式(c)のrが0の場合、R7のうち少なくとも1個は水素原子となる。
7の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、イソプロピル基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、及び水素原子などが挙げられ、中でも水素原子、メチル基、フェニル基が好ましい。
上記ハイドロジェンオルガノポリシロキサンとしては、両末端ハイドロジェンメチルポリシロキサン、両末端ハイドロジェンメチルフェニルポリシロキサンなどが好適である。例えば、以下の化合物が好ましい。
Figure 0006784226
(上記式中、nは1〜100の整数である。)
Figure 0006784226
(B)成分のシリコーン変性エポキシ樹脂を得るためのヒドロシリル化反応は従来公知の方法に従えばよい。例えば、塩化白金酸のような白金系触媒の存在下で加熱反応させることにより得ることができる。上記ヒドロシリル反応は、特には、ベンゼン、トルエン、等の不活性溶剤中で60〜120℃に加熱して行うのがよい。エポキシ化合物とポリシロキサンとの配合割合は、エポキシ化合物が有するアルケニル基1個に対するポリシロキサンが有するSiH基の個数を1.0以上、好ましくは1.5〜5.0にすることがよい。
上記エポキシ樹脂はシアネートエステル化合物と反応してオキサゾール環を形成するが、シアナト基のトリアジン環形成に比べると反応性が遅い。なお、エポキシ基の割合が多いと、硬化時間が長くなりトランスファー成形には不利である。ここにトリエチルアミンのような3級アミンを使用する例もあるが、保存性が悪くなるおそれがある。
上記エポキシ樹脂の配合量は、シアネートエステル化合物のシアナト基1モルに対して、エポキシ基当量が0.04〜0.30モルとなる配合量である。エポキシ樹脂の配合量が上記下限値より少ないと、本発明の樹脂組成物の硬化物の吸湿量が多くなり、高温高湿度下でリードフレームと硬化物の間に剥離が発生する。また、エポキシ樹脂の量が上記上限値より多いと、本発明の樹脂組成物の硬化が不十分となり、硬化物のガラス転移温度の低下や、高温高湿保管特性の低下を引き起こす場合がある。
(C)フェノール化合物/シリコーン変性フェノール樹脂
(C)成分としてフェノール化合物を用いる場合、該フェノール化合物としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物であり、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するものであれば一般に公知のものが使用できる。このフェノール化合物は、例えば下記一般式(3)で表すことができる。
Figure 0006784226
上記式中、R5及びR6は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R7は、互いに独立に、下記のいずれかである。
Figure 0006784226
4は、互いに独立に、水素原子またはメチル基であり、mは0〜10の整数である。
上記式(3)で表されるフェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールA型樹脂、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル型樹脂、ビフェニルアラルキル型樹脂、ナフタレンアラルキル型樹脂などが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を併用してもよい。
(C)成分としてシリコーン変性フェノール樹脂を用いる場合、該シリコーン変性フェノール樹脂とは、アルケニル基含有フェノール化合物と上記平均組成式(1)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により得られる共重合化合物である。この共重合体を含有することにより、本発明の樹脂組成物は、低弾性化を付与することができる。上記アルケニル基含有フェノール化合物は、フェノール性水酸基及びアルケニル基を有し、通常、半導体を封止するための樹脂組成物として用いられるものであれば、特に限定されない。フェノール樹脂系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル型樹脂、ビフェニルアラルキル型樹脂、ビスA型フェノール樹脂、ビスF型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、シリコーン変性型フェノール樹脂、トリフェノールアルカン型樹脂などが挙げられ、これらにビニル基,アリル基等のアルケニル基を有するものが用いられる。
上記のようなフェノール化合物の中でも、以下のような構造式の化合物を用いることで作業性、耐トラッキング性に優れるため、好適な化合物として挙げられる。
Figure 0006784226
また、上記アルケニル基含有フェノール化合物反応させるハイドロジェンオルガノポリシロキサンとしては、(B)成分で用いる該ポリシロキサンで例示されたものと同様の構造のものが好適に用いられる。
(C)成分のシリコーン変性フェノール樹脂を得るためのヒドロシリル化反応は従来公知の方法に従えばよい。例えば、塩化白金酸のような白金系触媒の存在下で加熱反応させることにより得ることができる。上記ヒドロシリル化反応は、特には、ベンゼン、トルエン等の不活性溶剤中で60〜120℃に加熱して行うのがよい。フェノール化合物とポリシロキサンとの配合割合は、フェノール化合物が有するアルケニル基1個に対するポリシロキサンが有するSiH基の個数を1.0以上、好ましくは1.5〜5.0にするのがよい。
従来、シアネートエステル化合物の硬化触媒としては金属塩、金属錯体などが用いられていた(特開昭64−43527号公報、特開平11−106480号公報、特表2005−506422号公報)。しかしながら、金属塩、金属錯体として用いられるのは遷移金属であり、遷移金属類は高温下、有機樹脂の酸化劣化を促進する懸念がある。本発明の樹脂組成物では、上記フェノール化合物がシアネートエステル化合物の環化反応の触媒として機能する。従って、金属塩及び金属錯体を使用する必要がない。これにより高温下での長期保管安定性をより向上することができる。
また、一分子中に少なくとも2個以上の水酸基を持つフェノール化合物はトリアジン環をつなぐ架橋剤として期待できる。フェノール化合物は、エポキシ化合物やアミン化合物と異なり、シアネートエステル化合物と結合することにより、−C−O−Ar−で表される構造を形成することができる。この構造は、シアネートエステル化合物を単独で硬化した時に形成されるトリアジン環構造と類似しているため、得られる硬化物の耐熱性を更に向上することが期待できる。
なお、水酸基当量が小さいフェノール化合物、例えば水酸基当量が110以下であるフェノール化合物はシアネート基との反応性が高い。このため、120℃以下で組成物を溶融混練する際に硬化反応が進行してしまい、流動性が著しく損なわれる場合があり、トランスファー成形には好ましくない。従って、フェノール化合物は水酸基当量111以上であることが特に好ましい。
フェノール化合物の配合量は、シアナト基1モルに対してフェノール性水酸基が0.08〜0.30モルとなる量である。フェノール化合物の配合量が上記下限値より少ないと、シアナト基の反応が不十分となり、未反応のシアナト基が残存する。残存したシアナト基は高湿度雰囲気下において加水分解を受ける。このため、高温高湿下に置くと、機械的強度の低下や、基材との密着力低下を引き起こす場合がある。また、フェノール化合物の配合量が上記上限値より多いと、硬化反応が低温から進行してしまう。このため、樹脂組成物の流動性が損なわれ、成形性が悪くなる場合がある。
また、上記フェノール化合物中のハロゲン元素やアルカリ金属等の含有量は、120℃、2気圧下での抽出で10ppm、特に5ppm以下であることが望ましい。
(D)その他の成分
本発明の樹脂組成物には、上記(A)〜(C)成分のほか、必要に応じて、無機充填材、硬化促進剤、黒色顔料、離型剤、難燃剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、接着付与剤など各種の添加剤を配合することができる。
無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、クリストバライト等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チタン、ガラス繊維、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。これら無機充填材の平均粒径や形状は特に制限されないが、通常1〜50μmであり、好ましくは4〜20μmである。上記の平均粒径とは、シーラスレーザー等レーザー回折粒度分布測定で得られる値である。
上記無機充填材は、125℃、2.1気圧、20時間でサンプル10g/水50gの抽出条件で抽出される不純物として、クロルイオンが10ppm以下、ナトリウムイオンが10ppm以下であることが好適であり、クロルイオンが5ppm以下、ナトリウムイオンが5ppm以下であることが更に好適である。上記範囲内であれば、組成物で封止された半導体装置の耐湿特性が低下するおそれがなく好ましい。
上記無機充填材の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して好ましくは150〜1,500質量部であり、より好ましくは250〜1,200質量部である。また、上記無機充填材は、樹脂組成物全体の好ましくは60〜94質量%、より好ましくは70〜92質量%、更に好ましくは75〜90質量%であるのがよい。
上記無機充填材は、用いられる樹脂成分と無機充填材との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合することが好ましい。このようなカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの反応物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、γ−メルカプトシラン、γ−エピスルフィドキシプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランなどのシランカップリング剤を用いることが好ましい。表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法は特に制限されるものではなく、従来公知の方法に従えばよい。
硬化促進剤は、硬化反応を促進させるものであれば特に制限されない。硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(p−ノニルフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスフィン・テトラ(p−メチルフェニル)ボレート又はトリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物等のリン系化合物;トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の第三アミン化合物;及び2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられる。これらの硬化促進剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの硬化促進剤を多孔質シリカに含浸させたり、ポリメチルメタクリレートのような熱可塑性樹脂で被覆したりして使用してもよい。
硬化促進剤の配合量は有効量であればよく、特に制限されないが、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2質量部である。
黒色顔料としては、例えば従来の封止樹脂組成物に用いられているカーボンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらに制限されるものではないが、カーボンブラックが好ましい。本発明の樹脂組成物を黒色とすることにより、これを半導体封止材として用いて製造された半導体装置は、従来のエポキシ樹脂等で封止された半導体装置と同様の良好な外観及びレーザーマーキング性を得ることができる。黒色顔料の配合量は、樹脂組成物中の樹脂成分[(A)及び(B)成分]の総質量100質量部に対し、1質量部以上とすることが好ましく、特に3質量部以上が好ましい。1質量部以上であれば光沢度が高くなり過ぎず、半導体装置の表面に半導体素子跡がうつる外観不良を抑制でき、十分な黒色となりレーザーマーキング性も良好となるため好ましい。
離型剤は、特に制限されず公知のものを使用することができる。離型剤としては、例えば、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックスなどの天然ワックス系離型剤、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成高分子系離型剤、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、ステアリン酸エステル、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸誘導体系離型剤、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体等が挙げられる。これらの離型剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの離型剤の配合量は上記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量100質量部に対して0.5〜5質量部であることが好ましく、1〜3質量部であることがより好ましい。
難燃剤は、特に制限されず公知のものを使用することができる。難燃剤としては、例えば、ホスファゼン化合物、シリコーン化合物、モリブデン酸亜鉛担持タルク、モリブデン酸亜鉛担持酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化モリブデン及び三酸化アンチモン等が挙げられる。難燃剤の配合量は上記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量100質量部に対して2〜20質量部であることが好ましく、3〜10質量部であることがより好ましい。
イオントラップ剤は、特に制限されず公知のものを使用することができる。イオントラップ剤としては、例えば、ハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス化合物、希土類酸化物等が挙げられる。イオントラップ剤の配合量は上記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、1.5〜5質量部であることがより好ましい。
接着性付与剤は、特に制限されず公知のものを使用することができる。接着性付与剤としては、例えば上記無機充填材の表面処理に用いたカップリング剤を用いることができる。これらの接着性付与剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。接着性付与剤の配合量は上記の(A)、(B)及び(C)成分の総量100質量部に対して0.2〜5質量部であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。
本発明の組成物の製造方法については特に制限されるものでない。例えば、上記の(A)〜(D)成分を同時に又は別々に、必要により加熱処理を加えながら、撹拌、溶解、混合、分散し、場合によってはこれらの混合物にその他の成分を加えて混合、撹拌、分散させることにより得ることができる。混合等に使用する装置は特に限定されないが、撹拌、加熱装置を備えたライカイ機、2本ロール、3本ロール、ボールミル、連続押し出し機、プラネタリーミキサー、マスコロイダー等を用いることができる。これらの装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、トランジスタ型、モジュール型、DIP型、SO型、フラットパック型、ボールグリッドアレイ型等の半導体装置の封止樹脂として特に有効である。本発明の組成物による半導体装置の封止方法は特に制限されるものでなく、従来の成形法、例えばトランスファー成形、インジェクション成形、注型法等を利用すればよい。本発明の組成物の成形は、160〜190℃で45〜300秒間、ポストキュアは170〜250℃で2〜16時間行うことが好ましい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1,2、参考例I,II
下記合成例1〜5で合成した(A)及び(B)成分、並びに下記成分を、表1に記載の組成に従って配合した後、100℃で3分間均一に溶融混合し熱硬化性樹脂組成物を調製した。
(A)シアネートエステル化合物
下記式(4)で表されるシアネートエステル化合物(プリマセットPT−60、ロンザジャパン株式会社製、シアナト基当量119)
Figure 0006784226
(n=0〜10の混合物)
(B)シリコーン変性エポキシ樹脂(E−01,E−02,E−03)
[合成例1]
1Lのセパラブルフラスコに0.5質量%塩化白金酸トルエン溶液0.16g、トルエン80g、モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業製、MA−DGIC)323gを入れ、攪拌した後、内温を80℃まで上昇させた。その後、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(信越化学工業製)81gを30分かけて滴下し、90℃で4時間反応させた。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することで下記式(5)を構造とするシリコーン変性エポキシ樹脂E−01を得た。E−01のエポキシ当量は169g/eqであった。
Figure 0006784226
[合成例2]
1Lのセパラブルフラスコに0.5質量%塩化白金酸トルエン溶液0.16g、トルエン80g、o−アリルフェニルグリシジルエーテル(四日市合成製、OAP−EP)296gを入れ、攪拌した後、内温を80℃まで上昇させた。その後、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(信越化学工業製)110gを30分かけて滴下し、90℃で4時間反応させた。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することで下記式(6)を構造とするシリコーン変性エポキシ樹脂E−02を得た。E−02のエポキシ当量は257g/eqであった。
Figure 0006784226
[合成例3]
1Lのセパラブルフラスコに0.5質量%塩化白金酸トルエン溶液0.16g、トルエン80g、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(ダイセル製)272gを入れ、攪拌した後、内温を60℃まで上昇させた。その後、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(信越化学工業製)141gを30分かけて滴下し、60℃で1時間反応させた。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することで下記式(7)を構造とするシリコーン変性エポキシ樹脂E−03を得た。E−03のエポキシ当量は257g/eqであった。
Figure 0006784226
(C)シリコーン変性フェノール樹脂(P−01,P−02)
[合成例4]
1Lのセパラブルフラスコに0.5質量%塩化白金酸トルエン溶液0.16g、トルエン80g、2−アリルフェノール(四日市合成製)263gを入れ、攪拌した後、内温を80℃まで上昇させた。その後、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(信越化学工業製、KF−9902)124gを30分かけて滴下し、90℃で3時間反応させた。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することで下記式(8)を構造とするシリコーン変性フェノール樹脂P−01を得た。P−01の水酸基当量は194g/eqであった。
Figure 0006784226
[合成例5]
1Lのセパラブルフラスコに0.5質量%塩化白金酸トルエン溶液0.16g、トルエン80g、2−アリルフェノール(四日市合成製)266gを入れ、攪拌した後、内温を80℃まで上昇させた。その後、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(信越化学工業製、HM−H)140gを30分かけて滴下し、90℃で3時間反応させた。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することで下記式(9)を構造とするシリコーン変性フェノール樹脂P−02を得た。P−02の水酸基当量は201g/eqであった。
Figure 0006784226
(C) フェノール樹脂
下記式(10)で示すフェノール化合物(MEH−7851SS、明和化成製、フェノール性水酸基当量203)
Figure 0006784226
(n=0〜10の混合物)
[比較例1,2]
参考例I及びIIで用いた各成分に加えて下記成分を表1に記載の組成に従って配合した後、100℃で3分間均一に溶融混合し熱硬化性樹脂組成物を調製した。
・(B)エポキシ樹脂:下記式(10)で示すエポキシ樹脂化合物(NC−3000、日本化薬製、エポキシ当量272)
Figure 0006784226
(n=0〜10の混合物)
得られた各組成物を以下に示す方法に従い評価した。
《評価方法》
硬化物サンプルの作製
以下のようにして実施例1,2、参考例I,II及び比較例1,2の試験片を作製した。熱硬化性エポキシ樹脂組成物を150℃で1時間、次いで180℃で4時間熱硬化して下記試験に供するための試験片を作製した。
実施例1,2、参考例I,II及び比較例1,2において作製した硬化物を、5×5×15mmの試験片にそれぞれを加工した後、それらの試験片を熱膨張計TMA8310(株式会社リガク社製)にセットした。そして、昇温プログラムを昇温速度5℃/分で25℃から300℃までの間で試験片の寸法変化を測定した。この寸法変化と温度との関係をグラフにプロットした。このようにして得られた寸法変化と温度とのグラフから、下記に説明するガラス転移温度の決定方法により、実施例1,2、参考例I,II及び比較例1,2におけるガラス転移温度を求めた。
〔ガラス転移温度(Tg)の決定方法〕
図1において、変曲点の温度以下で寸法変化−温度曲線の接線が得られる任意の温度2点をT1及びT2とし、変曲点の温度以上で同様の接線が得られる任意の温度2点をT1’及びT2’とした。T1及びT2における寸法変化をそれぞれD1及びD2として、点(T1、D1)と点(T2、D2)とを結ぶ直線と、T1’及びT2’における寸法変化をそれぞれD1’及びD2’として、点(T1’、D1’)と点(T2’、D2’)とを結ぶ直線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
曲げ強さ、曲げ弾性率
JIS K 6911:2006に準じて、100×10×4mmの試験片を得た後、試験片を室温(25℃)にて、オートグラフ試験機(島津製作所製)で3点曲げし、曲げ強さ及び曲げ弾性率を測定した。
Figure 0006784226
上記表1の結果から、本実施例1,2は、優れた熱安定性を保ちつつ、弾性率を低下しクラックや剥離を抑制できる樹脂組成物であることが分かる。

Claims (5)

  1. (A)1分子中に2個以上のシアナト基を有するシアネートエステル化合物、
    (B)アルケニル基含有エポキシ化合物と下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により得られるシリコーン変性エポキシ樹脂、
    Figure 0006784226
    (上記式(1)中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、aは0.01≦a≦1の正数であり、bは1≦b≦3の正数であり、1.01≦a+b<4である。)
    (C)アルケニル基含有フェノール化合物と上記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により得られるシリコーン変性フェノール樹脂
    を含み、上記(A)成分のシアネートエステル化合物中のシアナト基に対する上記(B)成分のエポキシ樹脂中のエポキシ基のモル比が0.04〜0.30であり、且つ、上記(A)成分のシアネートエステル化合物中のシアナト基に対する上記(C)成分のフェノール化合物中のフェノール性水酸基のモル比が0.08〜0.30であることを特徴とするシリコーン変性エポキシ樹脂組成物。
  2. (A)成分が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1記載のシリコーン変性エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0006784226
    [上記式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R3は、互いに独立に、下記式で表される2価の基のいずれかである。
    Figure 0006784226

    4は、互いに独立に、水素原子またはメチル基であり、nは0〜10の整数である。]
  3. (B)成分及び(C)成分における上記オルガノポリシロキサンが、下記式(a)〜(c)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載のシリコーン変性エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0006784226
    (上記式(a)において、Rは上記と同じであり、R1は水素原子又はRの選択肢から選ばれる基であり、n1は0〜200の整数であり、n2は0〜2の整数であり、n3は0〜10の整数であり、且つ、n1、n2、n3は同時に0とならない。R2は下記式(a’)に示す基であり、
    Figure 0006784226
    上記式(a’)において、R及びR1は上記と同じであり、n4は1〜10の整数であり、括弧内に示される各シロキサン単位はランダムに結合していてもブロック単位を形成していてもよい。但し、上記式(a)の化合物は1分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合した水素原子を有する。)
    Figure 0006784226
    (上記式(b)において、Rは上記と同じであり、n5は0〜10の整数であり、n6は1〜4の整数であり、但し、3≦n5+n6≦12を満たす数であり、括弧内に示される各シロキサン単位の結合順序は制限されない。)
    Figure 0006784226
    (上記式(c)において、R及びR1は上記と同じであり、rは0〜3の整数であり、R7は水素原子、又は炭素数1〜10の有機基であり、上記式(c)の化合物は1分子中に少なくとも1個の、ケイ素原子に結合した水素原子を有する。)
  4. 上記(C)成分のアルケニル基含有フェノール化合物は、下記式で表される請求項1〜3のいずれか1項記載のシリコーン変性エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0006784226
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコーン変性エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置。
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