以下では、図1を用いて、第一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
図1に示す電力供給システム1は、住宅に設けられ、当該住宅の負荷(家庭内負荷)へと電力を供給するものである。電力供給システム1は、分電盤10、センサ部20、第一の太陽光発電装置30、第一の蓄電池システム40、第二の太陽光発電装置50、第二の蓄電池システム60及びEMS70等を具備する。
分電盤10は、電力の供給元から供給される電力を負荷に分配するものである。分電盤10には、電力の供給元(商用電源100や後述する第一の蓄電池システム40等)から、負荷の消費電力の要求に応じた電力が供給される。分電盤10は、配電線L1を介して商用電源100と接続される。
また、分電盤10内には、一般回路11や複数のブレーカが配置される。一般回路11は、負荷と接続される(不図示)と共に、後述する第二の蓄電池システム60と配電線L3を介して接続される。また、複数のブレーカは、配電線L1において一般回路11よりも上流側(商用電源100側)に接続される。なお、複数のブレーカには、ブレーカB1と、当該ブレーカB1よりも下流側(一般回路11側)に配置されるブレーカB2と、が含まれる。
センサ部20は、分電盤10内において、配電線L1を流れる電力を検出するものである。センサ部20は、第一のセンサ21及び第二のセンサ22等を具備する。
第一のセンサ21及び第二のセンサ22は、配置箇所の電力を検出するものである。第一のセンサ21及び第二のセンサ22は、それぞれ検出結果に関する信号を送信可能に構成される。第一のセンサ21は、ブレーカB1よりも上流側に配置される。また、第二のセンサ22は、ブレーカB1とブレーカB2との間に配置される。
第一の太陽光発電装置30は、太陽光を利用して発電する装置である。第一の太陽光発電装置30は、太陽光が当ると発電可能な太陽電池パネル等を具備する。
第一の蓄電池システム40は、負荷への電力の供給元の一つである。第一の蓄電池システム40は、第一の蓄電池41及び第一のパワコン42等を具備する。
第一の蓄電池41は、電力を充放電可能なものである。第一の蓄電池41は、第一の太陽光発電装置30や商用電源100からの電力を充放電可能に構成される。
第一のパワコン42は、電力の入出力を制御するハイブリッドパワーコンディショナーである。第一のパワコン42は、電力を所定の電圧に変換するトランスや、電力を直流から交流に変換するインバーター、動作を制御する制御部等を具備する。第一のパワコン42は、第一の蓄電池41と接続され、当該第一の蓄電池41の充放電を制御する。第一のパワコン42は、配電線L1の所定箇所(具体的には、第一のセンサ21の配置箇所)において負荷側へと流れる電力に基づいて(負荷の消費電力の要求に応じて)、出力する電力量を調整する負荷追従運転を行うことができる。
また、第一のパワコン42は、配電線L2を介して分電盤10のブレーカB1と接続される。こうして、第一の蓄電池システム40は、配電線L2を介して分電盤10と接続される。また、第一のパワコン42は、第一の太陽光発電装置30と接続される。こうして、第一の蓄電池システム40は、第一の太陽光発電装置30と接続される。
また、第一の蓄電池システム40においては、第一のパワコン42が第一のセンサ21と電気的に接続される。これによって、第一のパワコン42は、第一のセンサ21から送信された信号を受信し、当該第一のセンサ21の検出結果を取得する。第一のパワコン42は、第一のセンサ21の検出結果を取得すると、当該第一のセンサ21の検出結果(負荷側へと流れる電力)に基づいて、負荷追従運転を行う。
こうして、第一の蓄電池システム40は、第一のパワコン42が負荷追従運転を行うことによって、第一の蓄電池41の電力を当該第一のパワコン42によって直流から交流に変換し、当該変換した電力を分電盤10へと放電(出力)することができる。
なお、本実施形態において、第一の蓄電池システム40の最大放電電力(第一の蓄電池システム40が放電可能な電力の最大の値)は、初期値(後述の出力抑制機能が実行されていない場合の値)が、2000Wに設定されている。また、第一の蓄電池システム40は、最大放電電力の値を小さく変更する機能(以下では「出力抑制機能」と称する)を有している。こうして、第一の蓄電池システム40は、出力抑制機能を実行することにより、最大放電電力の値を0Wから2000Wまでの範囲で任意に設定することができる。なお、第一の蓄電池システム40の出力抑制機能は、後述のEMS70の制御により実行される。
第二の太陽光発電装置50は、太陽光を利用して発電する装置である。第二の太陽光発電装置50は、太陽光が当ると発電可能な太陽電池パネル等を具備する。
第二の蓄電池システム60は、負荷への電力の供給元の一つである。第二の蓄電池システム60は、第二の蓄電池61及び第二のパワコン62等を具備する。
第二の蓄電池61は、電力を充放電可能な装置である。第二の蓄電池61は、第二の太陽光発電装置50や商用電源100からの電力を充放電可能に構成される。
第二のパワコン62は、電力の入出力を制御するハイブリッドパワーコンディショナーである。第二のパワコン62は、電力を所定の電圧に変換するトランスや、電力を直流から交流に変換するインバーター、動作を制御する制御部等を具備する。第二のパワコン62は、第二の蓄電池61と接続され、当該第二の蓄電池61の充放電を制御する。第二のパワコン62は、配電線L1の所定箇所(具体的には、第二のセンサ22の配置箇所)において負荷側へと流れる電力に基づいて(負荷の消費電力の要求に応じて)、出力する電力量を調整する負荷追従運転を行うことができる。
また、第二のパワコン62は、配電線L3を介して分電盤10の一般回路11と接続される。すなわち、第二の蓄電池システム60は、配電線L3を介して分電盤10と接続される。また、第二のパワコン62は、第二の太陽光発電装置50と接続される。こうして、第二の蓄電池システム60は、第二の太陽光発電装置50と接続される。
また、第二の蓄電池システム60においては、第二のパワコン62が第二のセンサ22と電気的に接続される。これによって、第二のパワコン62は、第二のセンサ22から送信された信号を受信し、当該第二のセンサ22の検出結果を取得する。第二のパワコン62は、第二のセンサ22の検出結果を取得すると、当該第二のセンサ22の検出結果(負荷側へと流れる電力)に基づいて、負荷追従運転を行う。
こうして、第二の蓄電池システム60は、第二のパワコン62が負荷追従運転を行うことによって、第二の蓄電池61の電力を当該第二のパワコン62によって直流から交流に変換し、当該変換した電力を分電盤10へと放電(出力)することができる。
なお、本実施形態において、第二の蓄電池システム60の最大放電電力(第二の蓄電池システム60が放電可能な電力の最大の値)は、初期値(後述の出力抑制機能が実行されていない場合の値)が、2000Wに設定されている。また、第二の蓄電池システム60は、最大放電電力の値を小さく変更する機能(以下では「出力抑制機能」と称する)を有している。こうして、第二の蓄電池システム60は、出力抑制機能を実行することにより、最大放電電力の値を0Wから2000Wまでの範囲で任意に設定することができる。なお、第二の蓄電池システム60の出力抑制機能は、後述のEMS70の制御により実行される。
EMS70は、電力供給システム1の動作を管理するシステム(エネルギーマネジメントシステム(Energy Management System))である。EMS70は、RAMやROM等の記憶部や、CPU等の演算処理部、I/O等の入出力部等を具備する。EMS70は、所定の演算処理や記憶処理等を行うことができる。EMS70には、電力供給システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。
また、EMS70は、第一の蓄電池システム40(より詳細には、第一のパワコン42)及び第二の蓄電池システム60(より詳細には、第二のパワコン62)と電気的に接続される。こうして、EMS70は、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60の動作に関する情報を取得すると共に、当該第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60の動作を管理(制御)することができる。
具体的には、例えば、EMS70は、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60の放電(出力)電力の値を取得する。また、EMS70は、電力会社から出力抑制指示を取得した場合に、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60から商用電源100へと電力が逆潮流しないよう、当該第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60の放電電力を抑制する機能(出力抑制機能)を実行することができる。なお、本実施形態において、EMS70は、電力会社から出力抑制指示を取得しない場合であっても、後述の抑制制御を行う場合に、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60の出力抑制機能を実行することができる。
以下では、電力供給システム1の電力の供給態様について説明する。
商用電源100からの電力は、配電線L1を介して分電盤10(ひいては、一般回路11)に供給される。こうして、商用電源100からの電力は、配電線L1を介して負荷へ供給される。またこの場合、第二の蓄電池システム60においては、第二のセンサ22の検出結果に基づいて第二のパワコン62が負荷追従運転を行って、所定の電力が分電盤10に供給される。こうして、第二の蓄電池システム60から分電盤10に供給された電力は、当該分電盤10内で一般回路11に供給される。なお、第二の蓄電池システム60からの電力が一般回路11に供給されると、商用電源100側(商用電源100及び第一の蓄電池システム40)から分電盤10へと供給される電力が減少する。
負荷の消費電力を第二の蓄電池システム60からの電力だけで賄えない場合には、不足する電力が商用電源100側から一般回路11へ供給される。この場合、第一の蓄電池システム40においては、第一のセンサ21の検出結果に基づいて第一のパワコン42が負荷追従運転を行って、所定の電力が分電盤10に供給される。こうして、第一の蓄電池システム40から分電盤10に供給された電力は、当該分電盤10内で一般回路11に供給される。なお、第一の蓄電池システム40からの電力が一般回路11に供給されると、商用電源100から分電盤10へと供給される電力が減少する。
そして、負荷の消費電力が第二の蓄電池システム60及び第一の蓄電池システム40からの電力で賄えない場合には、不足する電力が商用電源100から一般回路11へ供給される。すなわち、この場合には、商用電源100から買電が行われる。これに対して、負荷の消費電力が第二の蓄電池システム60及び第一の蓄電池システム40からの電力で賄える場合には、商用電源100からの買電は行われない。
このように、電力供給システム1の電力の供給態様においては、負荷の消費電力に対して、複数の蓄電池システムのうち、まず下流側に配置された第二の蓄電池システム60から電力が供給され、不足する電力が上流側に配置された第一の蓄電池システム40から供給される。なお、例えば電力供給システム1が、蓄電池システムを(本実施形態のように2つではなく)3つ以上有している場合も同様であり、負荷の消費電力に対して、複数の蓄電池システムのうち、下流側に配置された蓄電池システムから順次電力が供給され、不足する電力が上流側に配置された蓄電池システムから供給される。
また、例えば、負荷の消費電力が第二の蓄電池システム60や第一の蓄電池システム40からの電力によって賄えている場合であって、太陽光発電部(第二の太陽光発電装置50又は第一の太陽光発電装置30)で発電された電力に余剰が生じる場合には、当該余剰した電力を蓄電装置(第二の蓄電池61又は第一の蓄電池41)に充電させることができる。こうして蓄電装置(第二の蓄電池61又は第一の蓄電池41)に充電させた電力は、必要なタイミングで一般回路11へと供給することができるため、商用電源100からの買電を減少させることができる。
なお、上述の如く負荷の消費電力が第二の蓄電池システム60や第一の蓄電池システム40からの電力によって賄えている場合であって、太陽光発電部(第二の太陽光発電装置50又は第一の太陽光発電装置30)で発電された電力に余剰が生じる場合には、当該余剰した電力を商用電源100へと逆潮流させることもできる。こうして、余剰した電力を売電することによって、経済的な利益を得ることができる。
また、第二の蓄電池システム60及び第一の蓄電池システム40においては、例えば深夜料金が適用される深夜時間帯に商用電源100から購入した電力が、第一の蓄電池41及び第二の蓄電池61に充電される。これによって、深夜料金が適用された比較的安価な電力を(深夜料金が適用されない)昼間時間帯に一般回路11へと供給することができる。すなわち、比較的高価な昼間時間帯の電力の購入を抑制することができ、経済性の向上を図ることができる。
以下では、図2を用いて、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60における放電電力と放電効率との関係について説明する。
なお、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60はそれぞれ放電電力と放電効率との関係が同一であるため、以下では第一の蓄電池システム40についてのみ説明を行い、第二の蓄電池システム60についての説明は省略する。
図2は、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60における放電電力(出力電力)と放電効率(変換効率)との関係を示したグラフである。図2のグラフにおいて、横軸は第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60からの放電電力(W)を示し、縦軸は放電効率(%)を示している。なお、本実施形態において、放電効率とは、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60の放電電力を直流から交流に変換する効率を示している。
図2に示すように、第一の蓄電池システム40においては、放電電力の値が大きいほど放電効率は高くなっている。その一方で、放電電力の値が小さいほど放電効率は低くなっている。すなわち、第一の蓄電池システム40において、放電効率は、放電電力の値の大小に応じて高低する。
具体的に見ると、放電効率は、放電電力が規定値P(本実施形態においては、1000W)以上である場合に、当該放電電力が小さくなるに従って緩やかに低下しているが、放電電力が規定値Pより小さい場合に、放電電力が小さくなるに従って激しく低下している。このように、第一の蓄電池システム40において、放電効率は、放電電力が所定の値(規定値P)よりも小さくなった場合に、急激に悪化している。すなわち、第一の蓄電池システム40においては、放電電力が規定値Pよりも小さい場合の放電効率が、放電電力が規定値P以上である場合の放電効率と比べて顕著に低下するという特性を有している。
以下では、電力供給システム1の電力の供給態様において、上述の如き放電効率についての特性から想定される問題について説明する。
電力供給システム1の電力の供給態様においては、上述の如く、負荷の消費電力に対して、複数の蓄電池システムのうち、まず下流側に配置された第二の蓄電池システム60から電力が供給され、不足する電力が上流側に配置された第一の蓄電池システム40から供給される。
このような場合、例えば負荷の消費電力が2500Wである場合、第二の蓄電池システム60からの電力は最大放電電力(2000W)となり、第一の蓄電池システム40からの電力は規定値P(1000W)よりも小さい500Wとなる。このように、電力供給システム1においては、下流側に配置された第二の蓄電池システム60からの電力は最大放電電力(2000W)となり易い。その一方で、上流側に配置された第一の蓄電池システム40からの電力は最大放電電力(2000W)となり難く、逆に規定値P(1000W)よりも小さくなり易い。
このように、電力供給システム1の電力の供給態様においては、上流側に配置された第一の蓄電池システム40からの電力が規定値P(1000W)よりも小さくなる場合が多くなるため、当該第一の蓄電池システム40の放電効率の低下により、経済性が低下するという問題が想定される。
このように想定される問題に対して、電力供給システム1においては、所定の制御(以下では「抑制制御」と称する)を行うことによって、当該第一の蓄電池システム40の放電効率の低下による経済性の低下を効果的に抑制している。
以下では、図3のフローチャートを用いて、抑制制御を行う場合のEMS70の処理について説明する。
ステップS11において、EMS70は、全ての蓄電池システム(第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60)それぞれの放電電力を確認する。EMS70は、ステップS11の処理の後、ステップS12の処理を行う。
ステップS12において、EMS70は、全ての蓄電池システムのうち、規定値P(1000W)よりも小さい電力を放電している蓄電池システムがあるか否かを判断する。
EMS70は、規定値P(1000W)よりも小さい電力を放電している蓄電池システムがないと判断した場合(ステップS12でNo)には、再びステップS11の処理を行う。これに対して、EMS70は、規定値P(1000W)よりも小さい電力を放電している蓄電池システムがあると判断した場合(ステップS12でYes)には、ステップS13の処理を行う。
ステップS13において、EMS70は、各蓄電池システムの放電電力が規定値P(1000W)以上となるように、最大放電電力(2000W)で放電している蓄電池システム(以下では「特定の蓄電池システム」と称する)の出力抑制機能を実行する。
なお以下では、図4のフローチャートを用いて、ステップS13の処理について詳細に説明する。
ステップS21において、EMS70は、特定の蓄電池システム(例えば最大放電電力で放電している蓄電池システムが複数ある場合には、そのうち一つの蓄電池システム)の放電電力と、規定値Pよりも小さい電力を放電している蓄電池システムの放電電力と、を合算する。
ここで、図5を用いて、電力供給システム1における電力の供給態様の一例を挙げて説明する。図5(a)は、負荷の消費電力が2200Wである場合において、第二の蓄電池システム60の放電電力が最大放電電力(2000W)であって、且つ、第一の蓄電池システム40の放電電力が200Wである場合における、電力の供給態様を例示したものである。すなわち、図5(a)に示す状態においては、第一の蓄電池システム40では、規定値P(1000W)よりも小さい電力を直流から交流に変換している。
図5(a)に示す状態においては、EMS70は、ステップS21の処理を行うことによって、(特定の蓄電池システムとしての)第二の蓄電池システム60の放電電力と、(規定値Pよりも小さい電力を放電している蓄電池システムとしての)第一の蓄電池システム40の放電電力と、を合算する。こうして、EMS70は、合算した電力(合算電力)として2200Wを算出する。
EMS70は、ステップS21の処理の後、ステップS22の処理を行う。
ステップS22において、EMS70は、ステップS21において算出した合算電力を合算の対象となった蓄電池システムの数(本実施形態においては、2)で除算する。
なお、図5(a)に示す状態においては、EMS70は、合算電力(2200W)を2で除算することにより、除算した電力(除算電力)として1100Wを算出することとなる。
EMS70は、ステップS22の処理の後、ステップS23の処理を行う。
ステップS23において、EMS70は、特定の蓄電池システムに対して、ステップS21において算出した除算電力の値が最大放電電力の値となるように、出力抑制機能を実行する。
なお、図5(b)は、図5(a)に示す状態から、特定の蓄電池システムとしての第二の蓄電池システム60に対して、ステップS21において算出した除算電力の値が最大放電電力の値となるように、出力抑制機能が実行された状態を示している。こうして、第二の蓄電池システム60は、最大放電電力の値が2000Wから1100Wへと小さく変更されたことに伴って、変更後の最大放電電力の値(すなわち、第二の蓄電池システム60が放電可能な電力の最大の値)である1100Wで放電している。また、第一の蓄電池システム40は、第一のセンサ21の検出結果に基づいて(負荷の消費電力の要求に応じて)、1100Wで放電している。
このように、ステップS23の処理が行われると、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60は、同一の値の電力を放電することとなる。また、前記合算電力は少なくとも最大放電電力(2000W)以上となることから、前記除算電力は少なくとも規定値P(1000W)以上の値となる。すなわち、ステップS23の処理が行われる前に規定値P(1000W)よりも小さい電力を放電していた第一の蓄電池システム40は、当該ステップS23の処理が行われることによって、規定値P(1000W)以上の電力を放電することとなる。
こうして、電力供給システム1においては、比較的簡単な演算を行うと共に出力抑制機能を実行することにより、複数の蓄電池システム(第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60)の何れも規定値P(1000W)よりも小さい電力を直流から交流に変換することがないため、蓄電池システム(第一の蓄電池システム40)の放電効率の低下による経済性の低下を効果的に抑制することができる。
EMS70は、ステップS23の処理の後、図3に示すフローチャートに戻ってステップS14の処理を行う。
図3に示すステップS14において、EMS70は、前記合算の対象となった蓄電池システムのうち、出力制御機能を実行していない蓄電池システム(すなわち、特定の蓄電池システムとは異なる蓄電池システム)が規定値Pよりも小さい電力で放電しているか否かを判断する。
EMS70は、出力制御機能を実行していない蓄電池システム(すなわち、特定の蓄電池システムとは異なる蓄電池システム)が規定値Pよりも小さい電力で放電していないと判断した場合(ステップS14でNo)には、ステップS15の処理を行う。これに対して、EMS70は、出力制御機能を実行していない蓄電池システム(すなわち、特定の蓄電池システムとは異なる蓄電池システム)が規定値Pよりも小さい電力で放電していると判断した場合(ステップS14でYes)には、ステップS16の処理を行う。
ステップS15において、EMS70は、前記合算の対象となった蓄電池システムのうち、出力制御機能を実行していない蓄電池システム(すなわち、特定の蓄電池システムとは異なる蓄電池システム)が最大放電電力(放電可能な電力の最大の値)で放電しているか否かを判断する。
EMS70は、出力制御機能を実行していない蓄電池システム(すなわち、特定の蓄電池システムとは異なる蓄電池システム)が最大放電電力で放電していると判断した場合(ステップS15でYes)には、ステップS16の処理を行う。これに対して、EMS70は、出力制御機能を実行していない蓄電池システム(すなわち、特定の蓄電池システムとは異なる蓄電池システム)が最大放電電力で放電していないと判断した場合(ステップS15でNo)には、再びステップS14の処理を行う。
ステップS16において、EMS70は、特定の蓄電池システムの出力抑制機能の実行を解除する。すなわち、特定の蓄電池システムは、最大放電電力が初期値である2000Wへと戻ることになる。
ここで、図6(a)は、図5(b)に示す状態(すなわち、負荷の消費電力が2200Wである状態)から1100Wに減少した状態を示している。このように、負荷の消費電力が2200Wから1100Wに減少すると、負荷の消費電力は第二の蓄電池システム60から供給された電力で賄えることとなる。すなわち、第一の蓄電池システム40は、第一のセンサ21の検出結果に基づいて、放電を行わない。
このような状態においては、第一の蓄電池システム40が規定値P(1000W)よりも小さい電力を直流から交流に変換しておらず、第二の蓄電池システム60の出力抑制機能を継続させる必要性がない。したがって、第二の蓄電池システム60の出力抑制機能の実行が解除される(ステップS14でYes、ステップS16)。
また、図6(b)は、図5(b)に示す状態(すなわち、負荷の消費電力が2200Wである状態)から1600Wに減少した状態を示している。このように、負荷の消費電力が2200Wから1600Wに減少すると、負荷の消費電力は第二の蓄電池システム60から供給された電力で賄えないため、不足した電力として第一の蓄電池システム40から負荷の消費電力の要求に応じた電力が供給される。すなわち、第一の蓄電池システム40は、第一のセンサ21の検出結果に基づいて(負荷の消費電力の要求に応じて)、500Wの電力を放電している。
このような状態においては、第一の蓄電池システム40が規定値P(1000W)よりも小さい電力を直流から交流に変換しているため、当該第一の蓄電池システム40の放電効率の低下による経済性の低下のおそれがある。したがって、第二の蓄電池システム60の最大放電電力の値を現状の1100Wではなく、再度新たな値に変更する必要がある。そこで、EMS70の処理により抑制制御を新たに行うために、現状の第二の蓄電池システム60の出力抑制機能の実行が解除される(ステップS14でYes、ステップS16)。
このように、特定の蓄電池システムとしての第二の蓄電池システム60の出力抑制機能が実行された後、第一の蓄電池システム40からの放電電力が、(0Wである場合も含めて)規定値P(1000W)よりも小さくなると、第二の蓄電池システム60の出力抑制機能の実行が解除される(ステップS16)。
また、図7は、図5(b)に示す状態(すなわち、負荷の消費電力が2200Wである状態)から3100Wに増加した状態を示している。このように、負荷の消費電力が2200Wから3100Wに増加すると、負荷の消費電力は第二の蓄電池システム60から供給された電力で賄えないため、不足した電力として第一の蓄電池システム40から負荷の消費電力の要求に応じた電力が供給される。すなわち、第一の蓄電池システム40は、第一のセンサ21の検出結果に基づいて、2000W(すなわち、最大放電電力と同一の値)の電力を放電している。なお、第二の蓄電池システム60は、最大放電電力の値が1100Wに変更されているため、1100W以上の電力で放電を行わない。
このような状態においては、第一の蓄電池システム40の放電電力は、規定値P(1000W)以上であるため、第二の蓄電池システム60は、出力抑制機能を継続させる必要性がない。また、仮に第二の蓄電池システム60の出力抑制機能を継続させた場合であって、負荷の消費電力が3100Wから増加すると、不足した電力が商用電源100から購入されることとなる。したがって、図7に示す状態においては、第二の蓄電池システム60は、出力抑制機能の実行を継続させる必要性がないため、当該実行が解除される(ステップS15でYes、ステップS16)。
こうして、EMS70は、ステップS16の処理の後、抑制制御を終了する。
このように、電力供給システム1においては、抑制制御を行うことによって、比較的簡単な演算を行うと共に出力抑制機能の実行により、当該第一の蓄電池システム40の放電効率の低下による経済性の低下を効果的に抑制することができる。
以上の如く、第一実施形態に係る電力供給システム1は、
電力を充放電可能であり、充電電力を直流から交流に変換して負荷の要求に応じて放電可能な蓄電池システムと、
前記蓄電池システムを制御し、前記蓄電池システムの最大放電電力の値を変更可能なEMS70(制御手段)と、
を具備し、
前記蓄電池システムは、
前記蓄電池システムの放電電力の値の大小に応じて変換の効率が高低するものであって、
前記EMS70(制御手段)は、
前記蓄電池システムの放電電力の値を取得し、
取得した前記蓄電池システムの放電電力の値が規定値P(所定の閾値)よりも小さい場合に、前記第二の蓄電池システム60の最大放電電力の値を小さく変更する抑制制御を行うものである。
このような構成により、比較的複雑な演算を行うことなく、電力を直流から交流に変更する効率低下による経済性の低下を抑制することができる。
また、第一実施形態に係る電力供給システム1においては、
前記蓄電池システムは、2つ(複数)設けられ、
前記抑制制御において、
前記EMS70(制御手段)は、
複数の前記蓄電池システムのうち、第一の蓄電池システム40(何れか一の前記蓄電池システム)の放電電力の値が前記規定値P(閾値)よりも小さい場合に、第二の蓄電池システム60(他の前記蓄電池システム)の最大放電電力の値を小さく変更して、前記第一の蓄電池システム40(一の前記蓄電池システム)の放電電力の値を前記規定値P(閾値)よりも大きくするものである。
このような構成により、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60の何れも規定値P(1000W)よりも小さい電力を直流から交流に変換することがないため、第一の蓄電池システム40の放電効率の低下による経済性の低下を効果的に抑制することができる。
また、第一実施形態に係る電力供給システム1においては、
前記EMS70(制御手段)は、
前記第二の蓄電池システム60(他の前記蓄電池システム)の最大放電電力の値を小さく変更した後、
前記第一の蓄電池システム40(一の前記蓄電池システム)の放電電力の値が前記規定値P(閾値)よりも小さくなった場合に、前記第二の蓄電池システム60(他の前記蓄電池システム)の最大放電電力の値の変更を解除するものである。
このような構成により、第二の蓄電池システム60の出力抑制機能を継続させる必要性がない場合や、抑制制御を新たに行う必要性がある場合に、当該第二の蓄電池システム60の出力抑制機能の実行を一旦解除することができる。すなわち、必要に応じて抑制制御を新たに行うことができ、ひいては第一の蓄電池システム40の放電効率の低下による経済性の低下を効果的に抑制することができる。
また、第一実施形態に係る電力供給システム1においては、
前記EMS70(制御手段)は、
前記第二の蓄電池システム60(他の前記蓄電池システム)の最大放電電力の値を小さく変更した後、
前記第一の蓄電池システム40(一の前記蓄電池システム)の放電電力の値が前記第一の蓄電池システム40(一の前記蓄電池システム)の最大放電電力の値になった場合に、前記第二の蓄電池システム60(他の前記蓄電池システム)の最大放電電力の値の変更を解除するものである。
このような構成により、第二の蓄電池システム60の出力抑制機能を継続させる必要性がない場合に、当該第二の蓄電池システム60の出力抑制機能の実行を一旦解除することができる。すなわち、必要に応じて抑制制御を新たに行うことができ、ひいては第一の蓄電池システム40の放電効率の低下による経済性の低下を効果的に抑制することができる。
また、第一実施形態に係る電力供給システム1においては、
前記EMS70(制御手段)は、
前記第二の蓄電池システム60(他の前記蓄電池システム)の最大放電電力の値を小さく変更する場合、変更後の値が前記閾値よりも高くなるように変更するものである。
このような構成により、第二の蓄電池システム60からの放電電力を規定値P(1000W)以上にすることができる。すなわち、第一の蓄電池システム40だけでなく、第二の蓄電池システム60の放電効率の低下による経済性の低下を効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態に係るEMS70は、制御手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一の蓄電池システム40は、一の蓄電池システムの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二の蓄電池システム60は、他の蓄電池システムの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る規定値Pは、所定の閾値の実施の一形態である。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、電力供給システム1の適用対象は、本実施形態のように、住宅に限定されるものでない。電力供給システム1は、住宅以外の場所にも適用可能である。具体的には、電力供給システム1は、工場や、オフィス、事業所、集合住宅等に適用することができる。
また、本実施形態に係るEMS70は制御部の実施の一形態であり、制御部はこれに限定するものではない。制御部は、例えば図示せぬホームサーバや、第一のパワコン42又は第二のパワコン62の制御部、第一の蓄電池41又は第二の蓄電池61の制御部等により構成されるものであってもよい。
また、本実施形態に係るステップS23において、特定の蓄電池システム(第二の蓄電池システム60)に対して、前記除算電力の値が最大放電電力の値となるように、出力抑制機能を実行するが、これに限定するものではない。すなわち、出力抑制機能が実行された後の最大放電電力の値は、規定値P(1000W)以上の値であれば、前記除算電力の値ではなくともよい。
また、第一の蓄電池システム40及び第二の蓄電池システム60の最大放電電力は2000Wに限定するものではない。また、規定値Pは、1000Wに限定するものではない。
また、本実施形態に係る電力供給システム1においては、2つの蓄電池システムが設けられていたが、蓄電池システムの数は2つの限定するものではない。すなわち、蓄電池システムの数は、1つでもよく、また3つ以上であってもよい。なお、蓄電池システムの数が3つ以上ある場合、出力抑制機能を実行する蓄電池システムは、1つでもよく、また複数であってもよい。
以下では、図8を用いて、第二実施形態に係る電力供給システム2について説明する。
図8に示す電力供給システム2において、第一実施形態に係る電力供給システム1と大きく異なる点は、蓄電池システムが1つだけ設けられていることである。具体的には、電力供給システム2は、第一実施形態に係る電力供給システム1とは異なり、第一の蓄電池システム40だけを具備し、第二の蓄電池システム60を具備していない。
以下では、図9のフローチャートを用いて、第二実施形態に係る抑制制御を行う場合のEMS70の処理について説明する。
ステップS31において、EMS70は、第一の蓄電池システム40の放電電力を確認する。EMS70は、ステップS31の処理の後、ステップS32の処理を行う。
ステップS32において、EMS70は、第一の蓄電池システム40が規定値P(1000W)よりも小さい電力を放電しているか否かを判断する。
EMS70は、第一の蓄電池システム40が規定値P(1000W)よりも小さい電力を放電していると判断した場合(ステップS32でYes)には、ステップS33の処理を行う。これに対して、EMS70は、第一の蓄電池システム40が規定値P(1000W)よりも小さい電力を放電していないと判断した場合(ステップS32でNo)には、再びステップS31の処理を行う。
ステップS33において、EMS70は、第一の蓄電池システム40の出力抑制機能を実行する。本実施形態においては、第一の蓄電池システム40の最大放電電力は0に変更される。すなわち、第一の蓄電池システム40は、負荷の消費電力の大小を問わず、放電を停止する。こうして、ステップS33の処理が行われると、負荷の消費電力は商用電源100から購入された電力によって賄われることとなる。EMS70は、ステップS33の処理の後、ステップS34の処理を行う。
ステップS34において、EMS70は、商用電源100から購入された電力が規定値P(1000W)以上であるか否かを判断する。
EMS70は、商用電源100から購入された電力が規定値P(1000W)以上であると判断した場合(ステップS34でYes)には、ステップS36の処理を行う。これに対して、EMS70は、商用電源100から購入された電力が規定値P(1000W)以上ではないと判断した場合(ステップS34でNo)には、再びステップS33の処理を行う。この場合には、第一の蓄電池システム40の出力抑制機能の実行が維持される。
ステップS36において、EMS70は、第一の蓄電池システム40の出力抑制機能の実行を解除する。
こうして、EMS70は、ステップS36の処理の後、第二実施形態に係る抑制制御を終了する。
このように、第二実施形態に係る抑制制御においては、第一の蓄電池システム40が規定値P(1000W)よりも小さい電力を放電していると判断した場合には、出力抑制機能を実行することにより第一の蓄電池システム40の放電を停止し、負荷の消費電力を商用電源100から購入した電力によって賄う。
なお、第一の蓄電池システム40の出力抑制機能を実行した後、商用電源100から購入した電力が規定値P(1000W)以上となった場合には、仮に第一の蓄電池システム40からの放電を開始すると、当該第一の蓄電池システム40の放電電力は規定値P以上となる。すなわち、商用電源100から購入した電力が規定値P(1000W)以上となった場合には、第一の蓄電池システム40の出力抑制機能を継続させる必要性がない。そのため、商用電源100から購入した電力が規定値P(1000W)以上となった場合には、第一の蓄電池システム40の出力抑制機能の実行が解除される。
このように、第二実施形態に係る電力供給システム2においては、比較的簡単な演算を行うと共に出力抑制機能を実行することにより、第一の蓄電池システム40の放電効率の低下による経済性の低下を効果的に抑制することができる。
以上の如く、第二実施形態に係る電力供給システム2は、
電力を充放電可能であり、充電電力を直流から交流に変換して負荷の要求に応じて放電可能な蓄電池システムと、
前記蓄電池システムを制御し、前記蓄電池システムの最大放電電力の値を変更可能なEMS70(制御手段)と、
を具備し、
前記蓄電池システムは、
前記蓄電池システムの放電電力の値の大小に応じて変換の効率が高低するものであって、
前記EMS70(制御手段)は、
前記蓄電池システムの放電電力の値を取得し、
取得した前記蓄電池システムの放電電力の値が規定値P(所定の閾値)よりも小さい場合に、前記第一の蓄電池システム40の最大放電電力の値を小さく変更する抑制制御を行うものである。
このような構成により、比較的複雑な演算を行うことなく、電力を直流から交流に変更する効率低下による経済性の低下を抑制することができる。
また、第二実施形態に係る電力供給システム2においては、
前記EMS70(制御手段)は、
前記抑制制御において、前記第一の蓄電池システム40の最大放電電力の値を0に変更するものである。
このような構成により、第一の蓄電池システム40が規定値P(1000W)よりも小さい電力を直流から交流に変換することがないため、第一の蓄電池システム40の放電効率の低下による経済性の低下を効果的に抑制することができる。