JP6783558B2 - 搾油方法および搾油システム - Google Patents

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Description

本発明は、搾油方法および搾油システムに関する。
米糠は、ビタミン、ミネラル、繊維質成分の宝庫であり、また良質な油分を含んでいる貴重な食料源である。玄米の栄養分のうち90%以上は米糠に含まれている。日本国における米糠の年間生産量は約90万トンであるので、米糠を有効利用することは、食料の大半を輸入に依存するわが国において重要な課題である。
米糠から米油と脱脂米糠とを得る方法としては、いわゆる溶剤抽出法が通常用いられている。溶剤抽出法とは、まず、米糠を乾式エクストルージョンまたはクッキング、あるいは湿式エクストルージョンまたは水蒸気処理に供することによって、米糠に含まれるリパーゼを失活させ、その後、米糠をノルマルヘキサンによって処理することで米油を抽出する方法である。この方法で得られた米油原油は、通常、0.5%程度の微粉末と3〜5%の蝋を含んでおり、原油を脱ガム、脱酸、脱蝋、脱色、ウインター処理し、次いで脱臭している。そして、米油原油を抽出した残留分がいわゆる脱脂米糠である。
ところで、ノルマルヘキサンを使用して米糠から米油原油を抽出する溶剤抽出法を用いると、大豆油や菜種油の場合と比べて溶剤のロスが多く、大気中に比較的に多量の溶剤が放出されるために、環境的に悪影響がある。そして、ノルマルヘキサンを使用して米油原油を抽出すると、抽出後の脱脂米糠は、ノルマルヘキサンを含有するおそれがあることから、人用の食品としては使用できない。また、従来においては、米糠から得られる米油原油を苛性ソーダによってアルカリ精製することできるが、アルカリ精製すると栄養成分や生理活性物質の多くが失われてしまう。
そこで、溶剤を用いず、米糠を圧搾して米油を抽出する、いわゆる圧搾法が注目されている(例えば特許文献1参照)。圧搾法では、米糠に溶剤を用いないので、抽出される米油の風味が豊かであるという特徴があるだけではなく、脱脂米糠に溶剤が残留する危険性は皆無であるので、抽出後の脱脂米糠を食品として有効活用する際にも大きな利点がある。
特開2005-143364号公報
しかしながら、圧搾法は、胡麻やオリーブ等の油分が多い原材料から油を抽出することに適した方法であり、米糠等の油分が少ない原材料から油を抽出するためには困難が伴う。例えば、少ない油分の原材料から多くの油を抽出するためには圧搾機における圧力を高める必要があるが、圧搾の圧力を高めると、圧搾の際の発熱が増加し、この熱によって米油および脱脂米糠が変質してしまう。つまり、油分が少ない原材料に対する圧搾法では、抽出油および副産物の変質を抑制しながらも、搾油率を向上させるという課題が存在した。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、抽出油および副産物の変質を抑制しながらも、搾油率を向上させることのできる搾油システムおよび搾油方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る搾油方法は、原材料の細胞内で油分を包み込んでいるオイルボディーを破壊した後または同時に、前記原材料を圧搾することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油方法は、前記オイルボディーを破壊するために前記原材料に電圧を印加した後または同時に、該原材料を圧搾することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油方法は、前記オイルボディーを破壊するために前記原材料に圧力を加えながら電圧を印加することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油方法は、前記オイルボディーを破壊するために100℃以上130℃以下の温度に加熱した前記原材料に圧力および電圧を印加することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油方法は、前記オイルボディーを破壊するために13%以上15%以下の水分含有率に加水した前記原材料に圧力および電圧を印加することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油方法は、前記オイルボディーを破壊するために粉末状の前記原材料に圧力および電圧を印加しながら該原材料を粒状に造粒することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油方法は、前記オイルボディーを破壊するために、前記原材料を圧搾する前処理として、前記原材料を爆砕することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油方法は、前記原材料は、米糠であること特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油システムは、粉末状の原材料の細胞内で油分を包み込んでいるオイルボディーを破壊するために、前記原材料に圧力および電圧を印加しながら該原材料を粒状に造粒する造粒機を備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油システムは、前記造粒機に投入するための前記原材料を、100℃以上130℃以下の温度に加熱し、13%以上15%以下の水分含有率に加水する加温・加水機を、さらに備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油システムは、前記造粒機が造粒した原材料を100℃以上130℃以下の温度に維持しながら圧搾する圧搾機を、さらに備えること特徴とする。
また、本発明の一態様に係る搾油システムは、前記原材料は、米糠であることを特徴とする。
本発明に係る搾油システムおよび搾油方法は、抽出油および副産物の変質を抑制しながらも、搾油率を向上させることができるという効果を奏する。
図1は、実施形態に係る搾油システムの概略構成を示す図である。 図2は、造粒機の正面図である。 図3は、造粒機の側面図である。 図4は、造粒機の上面図である。 図5は、実施形態に係る搾油方法の概略フローを示す図である。 図6は、米糠の細胞中のオイルボディーを模式的に示す図である。 図7は、米糠に電圧を加えた作用を模式的に示す図である。 図8は、搾油時間に対する搾油量を比較したグラフである。 図9は、搾油時間に対する残脂を比較したグラフである。
以下に、本発明の実施形態に係る搾油システムおよび搾油方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
(搾油システム)
図1は、実施形態に係る搾油システム100の概略構成を示す図である。図1に示されるように、搾油システム100は、定量供給機10とロータリーシフター20と空気輸送機30と加温・加水機40と造粒機50と粉砕機60とケトル70と圧搾機80と出口スクリュー90とを備えている。
図1に示される搾油システム100は、原材料である米糠を米油原油と脱脂米糠とを分離するまでの工程を行うように構成されている。搾油システム100によって生産された米油原油と脱脂米糠とは、別途の後工程の処理によって製品化される。
定量供給機10は、投入された米糠(矢印A)を秤量し、一定量の米糠を送出するための装置である。定量供給機10によって一定量に秤量された米糠は、ロータリーシフター20へ送られる。
なお、定量供給機10に投入される原材料の米糠は、一般的に、次のような成分を含有している。
水分:13〜15%
油分:18〜20%
固形分:65〜70%
蝋分:0.9〜1.6%
リン脂質:0.3〜0.5%
酵素:リパーゼ等
ロータリーシフター20は、不要な異物(例えば石、砕けた米)を除去するための装置である。ロータリーシフター20は、多段に積み重ねた篩の水平円運動によって、粉末状の米糠と異物とを高精度に篩分けすることができる。
ロータリーシフター20によって異物が除去された米糠は、圧搾の前処理工程へ進む。空気輸送機30は、ロータリーシフター20によって異物が除去された米糠を圧搾の前処理工程へ搬送するための装置である。圧搾の前処理工程は、主に加熱・加水機40および造粒機50によって行われる。
圧搾の前処理工程では、米糠に(1)加熱、(2)加水、(3)加圧、(4)造粒、(5)電圧印加が施される。
加温・加水機40は、米糠に熱および水分を加えるための装置である。米糠に熱および水分を加える目的は、造粒機50における電圧印加を容易にするためである。米糠は、基本的性質として、電気を通し難い。そこで、米糠に水分を加えることによって電気を通り易くすると共に、油分の流動性を高めるように処理を施す。さらに、米糠に熱および水分を加える効果として、米糠の殺菌ならびに酵素失活をすること、および、後段の造粒を容易にすることが挙げられる。
加温・加水機40による米糠への加熱は、米糠の温度が100℃以上130℃以下となるように調整することが好ましい。米糠の温度が130℃より高くなると、米糠中のたんぱく質およびデンプンが変質し、品質保持の観点から好ましくないからである。一方、酵素(リパーゼ)を失活させるためには100℃以上とすることが好ましい。リパーゼが機能するとて米糠の酸価が上昇してしまうからである。さらに好ましくは、米糠の温度が105℃以上110℃以下となるように調整することが好ましい。
この点について補足説明する。一般に、玄米を精米すると、米糠中のリパーゼが直ちに活性化され、米糠中のトリグリセリドを加水分解し、遊離脂肪酸、ジグリセリド、モノグリセリドを生み出す。遊離脂肪酸の量が増大すると、遊離脂肪酸の酸化によって米糠に石鹸様の匂いが発生し、米糠および米油が食用に適さなくなる。
加温・加水機40による米糠への加水は、米糠の水分が13%以上15%以下となるように調整することが好ましい。
造粒機50は、後に詳述する構成により、投入された米糠に圧力、電圧を加え、米糠を造粒するための装置である。
米糠に加圧する目的は、米糠を造粒するためだけではなく、米糠に電気を流し易くする目的がある。先述のように、米糠は、基本的性質として、電気を通し難い。造粒機50では、米糠に熱、水分、および圧力を加えることにより、米糠に効率よく電流を流すことを可能にする。
米糠に電圧を加える目的は、米糠の細胞中のオイルボディーを破壊し、米糠中の油分を流出させ易くするためである。後に詳述するように、米糠中の油分は、オイルボディーと呼ばれるリン脂質に包まれた状態で米糠中に存在している。したがって、米糠から油分を抽出する際にはこのオイルボディーを破壊する必要がある。造粒機50は、米糠に熱、水分、および圧力を加えた状態で電圧を印加することで、米糠中のオイルボディーを破壊する。これにより、造粒機50によって造粒された米糠を後段の圧搾機80にて圧搾した際に、米糠の搾油率が向上する。米糠に印加する電圧は、例えば直流100Vの電圧とする。
米糠を造粒する目的は、後段の圧搾工程にて効率よく米糠を圧搾するためである。圧搾によって米糠中から米油を絞り出すには、米油が流れ出る流路が確保されることが好ましい。そこで、造粒機50は、米糠を圧搾する前に、圧搾機80での圧搾工程中でも米糠間に米油が流れでる流路が確保するように造粒加工を施す。
なお、造粒機50は、加温・加水機40にて加熱した米糠が冷めないように、保温機構を備えることが好ましい。すなわち、造粒機50中で処理中の米糠の温度は、100℃以上130℃以下を維持することが好ましく、さらに105℃以上110℃以下を維持することが好ましい。
造粒機50にて造粒された米糠は、粉砕機60によって、例えば1mm程度の粒径になるように粉砕され、一定量に秤量される。その後、造粒された米糠は、ケトル70へ搬送される。なお、造粒機50からケトル70までの搬送は、空気輸送を用いることができる。
ケトル70は、米糠を加熱焙煎するための装置である。ケトル70における加熱焙煎の温度は、100℃以上130℃以下とすることが好ましい。先述のように、糠中のたんぱく質およびデンプンの品質保持の観点、および、酵素(リパーゼ)の失活の観点からである。また、加熱焙煎の温度は、105℃以上110℃以下とすることがさらに好ましい。
ケトル70にて加熱焙煎された米糠の水分は、2%〜8%であることが好ましい。
ケトル70にて加熱焙煎された米糠は、圧搾機80によって圧搾される。圧搾機80は、いわゆる低温圧搾を行うことができる専用圧搾機である。ここで、低温圧搾とは、米糠を加圧し130℃以下の温度の米油原油を搾り出すことをいう。また、低温圧搾では、米油原油のみならず、副産物である脱脂米糠の温度も130℃以下となる。
一般の圧搾機では、米糠等の原材料が数十気圧以上という高い圧力が印加されて原材料が搾られる。この際の圧力および摩擦によって、大きな熱が発生する。圧搾機80は、この圧搾時の発熱を効率よく排熱し、米油原油および脱脂米糠が110℃以下に維持されるように構成されている。例えば、上記条件を満たした圧搾機の例として、株式会社テクノシグマ製「ミラクルチャンバー」を例示することができる。
圧搾機80によって低温圧搾された米糠は、米油原油(矢印B)と脱脂米糠(矢印C)とに分離されて圧搾機80から出力される。なお、出口スクリュー90は、圧搾機80から排出される脱脂米糠を搬送するための装置である。
ここで、図2〜図4を参照しながら、造粒機50の構成について説明する。図2は、造粒機50の正面図であり、図3は、造粒機50の側面図であり、図4は、造粒機50の上面図である。
図2〜図4に示されるように、造粒機50は、主要構成として、スクリューシャフト51とスクリューケース52とモータ53とを備えている。
スクリューシャフト51は、スクリューケース52に収容されており、スクリューケース52内で回転するように構成されている。また、モータ53は、スクリューケース52内でスクリューシャフト51を回転させるための動力源である。
図2に示されるように、スクリューシャフト51にはスクリュー51aが設けられ、スクリューシャフト51が回転することにより、スクリューケース52内に投入された米糠が図2中の右方向に搬送されるよう構成されている。スクリューシャフト51の径およびスクリュー51aのピッチは、クリューケース52内を搬送されるにつれて強い圧力が加えられるように設計されている。
スクリューケース52には、投入口52aが設けられ、投入口52aから米糠をスクリューケース52内に投入し得るよう構成されている。なお、投入口52aには、撹拌シャフト54が貫通配置されており、撹拌シャフト54が回転することにより、撹拌シャフト54に設けられたヘラ54aが投入口52aに投入された米糠を撹拌するように構成されている。
また、図2に示されるように、スクリューシャフト51とスクリューケース52との間には、電圧が印加されている。印加する電圧は、例えば直流100Vである。
スクリューシャフト51とスクリューケース52との間に電界を発生するために、スクリューシャフト51の軸およびスクリューケース52の本体は、例えば金属等の導電性材料で構成されており、スクリューシャフト51とスクリューケース52との間は絶縁されている。
具体的には、スクリューシャフト51をスクリューケース52内で回転可能に保持するためのベアリング52b,52cは、絶縁性材料によって構成されている。また、スクリューシャフト51に設けられたスクリュー51aは、セラミックコーティングが施されている。
図3に示されるように、スクリューシャフト51とモータ53の回転軸53aとは、プーリー51b,53bがベルトを介して連結されていることによって連動している。モータ53は、例えば3.7kWの出力のものであり、スクリューシャフト51を毎分60回転させるように構成されている。
また、図2に示されるように、スクリューシャフト51と撹拌シャフト54とは、プーリー51c,54bがベルトを介して連結されていることによって連動している。したがって、モータ53は、スクリューシャフト51の回転を介して、撹拌シャフト54を回転駆動することが可能である。なお、撹拌シャフト54は、例えば毎分78回転の速さで回転するように構成されている。
(搾油方法)
図5は、実施形態に係る搾油方法の概略フローを示す図である。ここで、図5を参照しながら、実施形態に係る搾油方法について説明する。なお、以下の構成では、上記説明した搾油システム100の構成を参照するが、実施形態に係る搾油方法は、搾油システム100の構成に限定されるものではない。また、図5に示される搾油方法は、全体工程のうち要部のみを抽出したものであり、図5に示されないステップも含み得るものである。
図5に示されるように、搾油の前処理工程として、米糠を加熱および加水する(ステップS1)。このステップは、例えば搾油システム100の加温・加水機40を用いて行うことができる。この米糠を加熱および加水する処理は造粒および電圧印加の前に行うことが好ましい。加熱および加水は、造粒を容易にするだけではなく、米糠に電流を流し易くする効果があるからである。
次に、米糠に圧力を加える(ステップS2)。そして、加水・加温・加圧下で米糠に電圧を印加する(ステップS3)。このステップは、例えば搾油システム100の造粒機50を用いて行うことができる。つまり、ステップS2およびS3は、米糠を造粒する工程(ステップS4)の中で、一連の処理として実行することが可能である。
米糠を造粒する工程では、米糠に圧力を加えることが一般的に行われる処理である。米糠に圧力を加えることは、米糠に電流を流し易くする効果があるからである。なお、米糠に電圧を加える目的は、先述のように米糠の細胞中のオイルボディーを破壊し、米糠中の油分を流出させ易くするためである。
その後、米糠を加熱焙煎する(ステップS5)。このステップは、例えば搾油システム100のケトル70を用いて行うことができる。この加熱焙煎の結果、米糠の水分は2%〜8%になる。
その後、米糠を圧搾する(ステップS6)。この圧搾は、いわゆる低温圧搾であることが好ましい。すなわち、ステップS6では、米糠を加圧し130℃以下の温度の米油原油を搾り出す。このステップは、例えば搾油システム100の圧搾機80を用いて行うことができる。
ステップS6にて圧搾された米糠は、ステップS3にて米糠に電圧が加えられた効果により、米糠の細胞中のオイルボディーが破壊されており、高い搾油率が実現されている。圧搾された米糠は、米油原油と脱脂米糠とに分離され、それぞれが後工程の処理が行われる。
(作用原理)
ここで、図6および図7を参照しながら、米糠に電圧を加えた場合の作用原理について説明する。図6は、米糠の細胞中のオイルボディーを模式的に示す図であり、図7は、米糠に電圧を加えた作用を模式的に示す図である。
図6に示されるように、米糠の細胞中では、油分がオイルボディーまたはスフェロゾームと呼ばれる胞体中に閉じ込められている。オイルボディーとは、図6に示されるように、リン脂質Pによって構成された膜によって油分を包み込んだ胞体である。
リン脂質Pは、両親媒性を有する物質であり、細胞中に多数含まれている。両親媒性とは、1つの分子中に、親水基と親油基とを有することをいう。このような性質を有するリン脂質Pは、親水性である細胞基質中で油分が安定して存在するために、細胞基質と油分との間に介在している。
このリン脂質Pの膜に包まれたオイルボディーから油分を抽出する場合、オイルボディーを破壊する必要がある。そこで、オイルボディーを破壊するために、上記説明した搾油システム100および圧搾方法では、圧搾の前処理工程にて、米糠に電圧を加えている。
図7に示されるように、電圧が加えられた米糠は、オイルボディー(および同じくリン脂質で構成されている細胞膜等)が破壊され、油分の抽出が容易となる。結果、上記説明した搾油システム100および圧搾方法では、圧搾工程における搾油率が向上する。
(予備実験1)
ここで、上記説明した搾油システム100および圧搾方法の効果を検証した実験の結果を開示する。下記(表1)は、電圧印加の有無の違いについて玉締め式圧搾機を用いて米糠を圧搾した比較実験の結果を示す(予備実験1)。
この比較実験は、サンプルとして乾燥糠25.0g(調整水分約15%かつ80℃まで加温)を用い、0.3MPa(30気圧)と0.2MPa(20気圧)との2通りの圧力を印加して圧搾を行い、米油原油を搾油した。温度条件としては、圧搾開始時に80℃とし、開始10分後に最終温度である約100℃となるように温度を調整した。この各条件について、100Vの電圧を印加する場合と印加しない場合との比較実験を行っている。
上記比較実験から解るように、米糠に電圧を印加する方が搾油率に上昇傾向が見られる。例えば、実験例(1)と(2)とを比較すると、印加電圧なしの場合の搾油率を1としたとき、電圧を印加した場合の搾油率は1.08倍に向上する。同様に、実験例(3)と(3)とを比較すると、電圧を印加した場合の搾油率は1.31倍に向上する。このように、実際の製造プラントにおいて搾油システム100のように米糠に電圧を印加する装置を組み込み、上記のような圧搾方法を使った場合にも、搾油率の効果の向上を見込むことが可能である。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。
例えば、上記実施形態では、造粒機50または造粒工程にて米糠に電圧を印加しているが、圧搾機80または圧搾工程にて米糠に電圧を印加したとしても、同様に搾油率の向上が見込める。また、上記説明した装置構成以外であっても、例えばエクストルーダのような装置によって、圧搾および前処理工程の一部または全部を置き換えることも可能である。
(予備実験2および3)
また、米糠中のオイルボディーを破壊する方法は、米糠に電圧を印加する方法に限らず、爆砕する事でも構わない。例えば、造粒機50における加圧において、加圧中の米糠を急激に減圧すると米糠が膨化し、米糠が爆砕されてその中のオイルボディーが破壊される。あるいは、別途の爆砕専用装置を用いても米糠を爆砕することができる。しがたって、上記説明した搾油システム100を殆ど変更することなく、米糠に電圧を印加する代わりに米糠を爆砕すること、または、米糠に電圧を印加することに併用して米糠を爆砕することが可能である。なお、以下で開示する実験データは、図5を参照しながら説明した搾油方法においてステップS3を米糠に電圧を印加する代わりに米糠を爆砕すること、または、米糠に電圧を印加することに併用して米糠を爆砕することに変更することに相当している。
下記(表2)は、米糠の圧搾の前処理としての膨化処理の有無の比較実験を示す(予備実験2)。表2に示された比較実験は、膨化処理を行っていない米糠(生糠:(1)(2))と膨化処理を行った米糠(膨化品:(3)(4))とのそれぞれを、玉締め圧搾機を用いて圧搾したものを比較している。なお、膨化品は、膨化処理として事前に爆砕専用装置を用いて水蒸気爆砕した米糠を用いている。ここで、水蒸気爆砕とは、高圧の水蒸気によって米糠を蒸煮した後に瞬時に圧力を解放し、凝縮水の気化に伴う爆発的体積膨張による粉砕方法を言う。また、表2に示された比較実験は、玉締め圧搾機を用いて70Mpaの圧力で米糠を圧搾している。
なお、図8は、表2に示された比較実験において搾油時間に対する搾油量を比較したグラフである。また、図9は、表2に示された比較実験において搾油時間に対する残脂を比較したグラフである。図8および図9の何れにおいても、生糠(平均)は、表2に示されたサンプル(1)および(2)の平均値であり、膨化品(平均)は、表2に示されたサンプル(3)および(4)の平均値である。
上記比較実験から解るように、米糠の圧搾の前処理として膨化処理をすると搾油率に上昇傾向が見られる。例えば、生糠と膨化品を比較すると、平均では約2.5倍程度に搾油率が向上している。したがって、実際の製造プラントにおいても、米糠の圧搾の前処理としての膨化処理を加えた場合、圧搾率の向上を見込むことが可能である。
さらに、前処理として膨化処理は、米糠に電圧を印加しながら圧搾する圧搾法(電気浸透圧搾法)の効果を向上させることも可能である。
下記(表3)は、米糠の圧搾の前処理としての膨化処理と電気浸透圧搾法とを組み合わせた比較実験を示す(予備実験3)。表3に示された比較実験は、膨化処理を行っていない米糠(生糠)と膨化処理を行った米糠(膨化品)とのそれぞれを、米糠に電圧を印加しながら圧搾する圧搾法と通常の圧搾法で圧搾したものを比較している。なお、当該実験では、予備実験2と同様に、膨化品は事前に爆砕専用装置を用いて水蒸気爆砕した米糠を用いている。一方、実験に用いた玉締め圧搾機は、予備実験3異なり、米糠に電圧を印加するための電極等を設けた試作機である。また、表3に示された比較実験は、0.3Mpaの圧力で米糠を圧搾している。
上記表3の(1)と(2)を比較すると解るように、(膨化処理を行わない場合であっても)米糠に電圧を印加しながら圧搾すると搾油率を向上させる効果が認められる。一方、上記表3の(3)〜(6)を比較すると解るように、膨化処理を行った後に米糠に電圧を印加しながら圧搾すると搾油率の向上がさらに顕著になる。例えば、上記表3の(5)と(6)を比較すると解るように、膨化処理を行った後に米糠に電圧を印加しながら圧搾すると、単に膨化処理のみを行った場合と比較して、約1.2倍に向上している。また、記表3の(3)と(4)を比較すると解るように、膨化処理を行った後に米糠に電圧を印加しながら圧搾すると、膨化処理のみを行い、圧搾時間を4倍に増やした場合と比較しても、搾油率が上回っている。
したがって、上記比較実験から、米糠の圧搾の前処理としての膨化処理と電気浸透圧搾法とを組み合わせることが、搾油率の向上に顕著な効果がもたらされる。つまり、実際の製造プラントにおいても、米糠の圧搾の前処理としての膨化処理と電気浸透圧搾法とを組み合わせた場合、圧搾率の向上を見込むことが可能である。
なお、上記実施形態では、圧搾の原材料として米糠を用いているが、大豆を原材料として用いた場合であっても、同様に搾油率の向上が見込める。
100 搾油システム
10 定量供給機
20 ロータリーシフター
30 空気輸送機
40 加温・加水機
50 造粒機
51 スクリューシャフト
51a スクリュー
51b プーリー
51c プーリー
52 スクリューケース
52a 投入口
52b ベアリング
53 モータ
53a 回転軸
54 撹拌シャフト
54a ヘラ
60 粉砕機
70 ケトル
80 圧搾機
90 出口スクリュー

Claims (11)

  1. 原材料の細胞内で油分を包み込んでいるオイルボディーを破壊するために、前記原材料に、前記オイルボディーを破壊可能かつ直流100Vの電圧を印加した後または同時に、前記原材料を圧搾することを特徴とする搾油方法。
  2. 前記オイルボディーを破壊するために前記原材料に圧力を加えながら前記電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の搾油方法。
  3. 前記オイルボディーを破壊するために100℃以上130℃以下の温度に加熱した前記原材料に前記圧力および前記電圧を印加することを特徴とする請求項2に記載の搾油方法。
  4. 前記オイルボディーを破壊するために13%以上15%以下の水分含有率に加水した前記原材料に前記圧力および前記電圧を印加することを特徴とする請求項3に記載の搾油方法。
  5. 前記オイルボディーを破壊するために粉末状の前記原材料に前記圧力および前記電圧を印加しながら該原材料を粒状に造粒することを特徴とする請求項4に記載の搾油方法。
  6. 前記オイルボディーを破壊するために、前記原材料を圧搾する前処理として、前記原材料を爆砕することを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の搾油方法。
  7. 前記原材料は、米糠であること特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載の搾油方法。
  8. 粉末状の原材料の細胞内で油分を包み込んでいるオイルボディーを破壊するために、前記原材料に圧力および前記オイルボディーを破壊可能かつ直流100Vの電圧を印加しながら該原材料を粒状に造粒する造粒機を備える搾油システム。
  9. 前記造粒機に投入するための前記原材料を、100℃以上130℃以下の温度に加熱し、13%以上15%以下の水分含有率に加水する加温・加水機を、さらに備えることを特徴とする請求項8に記載の搾油システム。
  10. 前記造粒機が造粒した原材料を100℃以上130℃以下の温度に維持しながら圧搾する圧搾機を、さらに備えること特徴とする請求項9に記載の搾油システム。
  11. 前記原材料は、米糠であること特徴とする請求項8〜10の何れか1つに記載の搾油システム。
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