JP6783536B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、固定スクロール及び可動スクロールを備え、両スクロールの間に形成される圧縮室の容積を変化させることにより作動流体を圧縮するスクロール圧縮機に関するものであり、特に、可動スクロールの背圧制御構造を備えたスクロール圧縮機に関するものである。
例えば、空調装置において冷媒を圧縮するために用いるのに好適な圧縮機として、スクロール圧縮機が知られている。
スクロール圧縮機は、圧縮機構として、固定スクロール及び可動スクロールを備えている。固定スクロール及び可動スクロールは、それぞれ、円板状の端板と、端板に一体形成された渦巻きラップとから構成されており、両渦巻きラップを噛み合わせた状態で、軸方向に対向して配置されている。両渦巻きラップは、位相が互いに180度ずれた状態で、その側面が部分的に接触しており、これにより、両渦巻きラップ間に、密閉空間である圧縮室が形成されている。
可動スクロールは、駆動軸の回転に伴い、固定スクロールの中心軸の回りを、自転を阻止された状態で公転旋回運動するように構成されている。これにより、両渦巻きラップ間に形成された圧縮室は、渦巻きラップの外端部から中心部へ向かって移動し、その容積が次第に減少する。こうして、渦巻きラップの外端部から圧縮室内に取り込まれた作動流体(例えば冷媒ガス)が圧縮される。
以上のように構成されたスクロール圧縮機においては、圧縮室内の圧力と、可動スクロールの端板の背面側の圧力(背圧)との差に起因して、可動スクロールを固定スクロールから引き離す方向の荷重が作用する。そのため、スクロール圧縮機は、可動スクロールの端板の背面側に背圧室を形成し、そこに圧力流体を導入することにより、可動スクロールを固定スクロールに向けて押し付けるように構成されている。これにより、両渦巻きラップが対応するスクロールの端板に接触した状態を維持することができ、スクロール圧縮機の高効率作動が保証される。
特許文献1は、可動スクロールの端板の背面側に背圧室を形成し、圧縮室内で吐出圧まで圧縮された作動流体を、可動スクロールの端板を貫通する孔を経て背圧室へ導入し、可動スクロールを固定スクロールに向けて押し付けるように構成されたスクロール圧縮機を開示している。
特開平9−310687号公報
ところで、固定スクロールと可動スクロールの間に形成される圧縮室内の圧力は、スクロール圧縮機の運転条件によって変動する。そのため、特許文献1のように、端板の背面側に形成された背圧室に常に一定の圧力の圧力流体を供給する構成では、例えば、圧縮室内の圧力が高い場合、可動スクロールの背圧が相対的に不足した状態となり、可動スクロールが固定スクロールから引き離される。このような状況は、両渦巻きラップと対応するスクロールの端板との間に間隙を生じさせ、圧縮過程にある作動流体の漏洩、ひいてはスクロール圧縮機の圧縮効率の低下を招き、好ましいことではない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、運転条件によらず、可動スクロールの背圧を常に最適に維持し得るスクロール圧縮機、特に、可動スクロールの背圧が不足した状態を自動的に解消し得るスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のスクロール圧縮機は、可動スクロールの背面側に形成され、前記可動スクロールを固定スクロール側へ押圧付勢する背圧を生じる背圧室と、前記固定スクロール及び前記可動スクロールを収容すると共に、前記背圧室を包囲する中間ケーシングと、前記固定スクロールの背面側に設けられ、前記固定スクロールとの間に吐出室を形成する吐出ケーシングと、前記中間ケーシングに形成されたスラスト受け面と前記可動スクロールの背面との間に配置されたスラストプレートと、前記吐出ケーシングに穿設され、前記吐出室から前記背圧室へ前記作動流体の吐出圧が作用する高圧流体を供給する高圧流体供給流路と、前記中間ケーシングに穿設され、前記高圧流体を前記背圧室へ供給する高圧流体流路と、前記中間ケーシングに穿設され、前記高圧流体の圧力を低下させて中圧流体として前記背圧室へ供給する中圧流体流路と、前記可動スクロールの前記固定スクロールと反対側への軸方向変位に伴う前記スラストプレートの前記固定スクロールと反対側への軸方向変位に応じて変位することにより、前記高圧流体流路から前記背圧室に前記高圧流体が供給されるように構成された部材とを備えたことを特徴とする。
好ましくは、前記中間ケーシングは、軸方向において前記スラスト受け面よりも前記可動スクロールから離れた位置に、径方向に延在する第1端面を備え、前記高圧流体流路は前記第1端面に出口開口を有し、前記部材は、前記スラストプレートと前記第1端面との間に配置され、前記スラストプレートの軸方向変位に応じて回転変位することにより、前記出口開口を開閉するように構成される。
好ましくは、前記部材は、互いに垂直をなす開閉部とスラスト受容部とから成るL字形状のプレートと、圧縮ばねとから構成され、前記開閉部が前記第1端面に当接して前記出口開口を閉鎖する状態において、前記スラスト受容部の端部が前記スラストプレートに当接するような態様で、前記スラストプレートと前記第1端面との間に配置され、前記圧縮ばねは、前記開閉部と前記スラストプレートとの間に介装され、前記中間ケーシングは、前記第1端面と径方向に隣接し、軸方向において前記第1端面よりも前記可動スクロールから離れた位置に、径方向に延在する第2端面をさらに備え、前記スラスト受容部と前記ばねは、前記第1端面と前記第2端面との間に形成される角部を基準として、径方向において反対側に位置している。
好ましくは、前記圧縮ばねは、前記出口開口の面積と前記高圧流体の圧力の積として求められる力よりも大きな反発力を有している。
好ましくは、前記開閉部は、前記圧縮ばねと当接する部位に、前記圧縮ばねの外径よりも大きい径を有する凹部、または、前記圧縮ばねの内径よりも小さい径を有する凸部を有している。
好ましくは、前記開閉部は、前記出口開口に遊嵌される凸部を有している。
好ましくは、前記中間ケーシングは、前記スラスト受け面から軸方向に延在する凹部を有し、前記部材は、前記凹部内に配置され、前記スラストプレートの前記固定スクロールと反対側への軸方向変位に応じて前記固定スクロールと反対側へ軸方向変位することにより、前記高圧流体流路から前記背圧室に前記高圧流体が供給されるように構成される。
好ましくは、前記高圧流体流路は、前記凹部に開口しており、前記部材は、筒状の弁ハウジングと、弁体と、圧縮ばねとから成り、前記弁ハウジングは、一方の端面が前記スラスト受け面と面一となるように前記凹部内に配置されると共に、前記端面から延在する出口流路と、前記出口流路と連通する入口室とを包囲し、前記入口室が前記出口流路よりも大径に形成されることで前記入口室から前記出口流路への移行部に弁座が形成されており、前記弁体は、前記入口室内に配置されて前記弁座に当接可能なボールと、前記ボールと一体に形成されて前記出口流路内を軸方向に往復移動可能に構成された軸部とから成り、前記圧縮ばねは、前記凹部の底部と前記ボールとの間に介装されており、前記軸部は、前記ボールが前記弁座に当接している時、前記端面から突出している。
好ましくは、 前記高圧流体流路は、前記凹部と交差しており、前記部材は、前記凹部内を軸方向に往復移動可能に構成された弁体と、前記凹部の底部と前記弁体との間に介装された圧縮ばねから成り、前記弁体が備える貫通孔が前記凹部の前記高圧流体流路との交差部位に位置する時、前記高圧流体流路から前記背圧室へ前記高圧流体が流通し、前記弁体が備える貫通孔が前記凹部の前記高圧流体流路との交差部位よりも前記スラスト受け面側に位置する時、前記弁体は前記スラスト受け面から突出している。
本発明によれば、スクロール圧縮機の運転条件の変動に伴って圧縮室内の圧力が変動し、可動スクロールの背圧が相対的に不足した場合であっても、これに伴う可動スクロールの軸方向前方への変位によって、可動スクロールの背面側に形成された背圧室へ高圧流体を供給する流路の流通・遮断を切り替える部材が変位し、その結果、背圧室に高圧流体が供給されるので、背圧不足が自動的に解消される。したがって、スクロール圧縮機の運転条件によらず、可動スクロールの背圧を常に最適に保つことができる。
本発明のスクロール圧縮機の全体構造を示す断面図である。 本発明の第1態様に係るスクロール圧縮機の、図1とは異なる周方向位置における要部断面図である。 本発明の第1態様に係るスクロール圧縮機における、圧力調整プレートの形状を示す斜視図である。 本発明の第1態様に係るスクロール圧縮機における、圧力調整プレートによる高圧油供給流路出口開口部の開閉状態を示す概略説明図である。 本発明の第2態様に係るスクロール圧縮機の、図1とは異なる周方向位置における要部断面図である。 本発明の第2態様に係るスクロール圧縮機における、ボール弁による高圧油供給流路の流通/遮断状態を示す概略説明図である。 本発明の第3態様に係るスクロール圧縮機の、図1とは異なる周方向位置における要部断面図である。 本発明のスクロール圧縮機における、中圧油排出流路に関する第1付加態様を示す要部断面図である。 本発明のスクロール圧縮機における、中圧油排出流路に関する第2付加態様を示す要部断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明のスクロール圧縮機の全体構造を、図1を参照して説明する。なお、以下の説明では、スクロール圧縮機の吸入側、吐出側(それぞれ、図1において左側、右側)を、それぞれスクロール圧縮機の前側、後側としている。
スクロール圧縮機1は、円筒状のケーシングの内部に、主要構成要素である固定スクロール2、可動スクロール3、シャフト4及び電動機5を収容した構造を有している。
スクロール圧縮機1の圧縮機構を構成する固定スクロール2と可動スクロール3とは、スクロール圧縮機1の軸方向(中心軸CLの方向)で対向して配置されている。
固定スクロール2は、円板状の端板2aと、端板2aに一体形成された渦巻きラップ2bとから構成されており、同様に、可動スクロール3も、円板状の端板3aと、端板3aに一体形成された渦巻きラップ3bとから構成されている。
両スクロール2、3は、両渦巻きラップ2b、3bを噛み合わせた状態で、固定スクロール2の渦巻きラップ2bの軸方向先端部が可動スクロール3の端板3aに接触し、可動スクロール3の渦巻きラップ3bの軸方向先端部が固定スクロール2の端板2aに接触するように、それぞれ配設されている。なお、両渦巻きラップ2b、3bの軸方向先端部には、チップシールが埋設されている(図1においては、渦巻きラップ2bの軸方向先端部に埋設されたチップシール2cのみ図示している)。
また、両スクロール2、3は、両渦巻きラップ2b、3bの位相が互いに180度ずれた状態で、両渦巻きラップ2b、3bの側面が部分的に接触するように配設されている。これにより、両渦巻きラップ2b、3b間に、密閉空間である圧縮室Cが形成される。
可動スクロール3は、後述するように、端板3aの背面(渦巻きラップ3bが形成された面とは反対側の面)に設けられた円筒状のボス部3cにおいてシャフト4と連結されており、シャフト4と図示を省略した自転阻止機構の作用により、中心軸CLの回りを、自転を阻止された状態で公転旋回運動する。これにより、両渦巻きラップ2b、3b間に形成される圧縮室Cが、渦巻きラップ2b、3bの外端部から中心部へ向かって移動し、その容積が次第に減少する。これにより、渦巻きラップ2b、3bの外端部から圧縮室C内に取り込まれた作動流体(例えば冷媒ガス)が圧縮される。
固定スクロール2の端板2aの径方向中心部には、端板2aを貫通する吐出孔2dが設けられている。圧縮室C内で圧縮された作動流体は、吐出孔2dを経て、固定スクロール2の端板2aの背面(渦巻きラップ2bが形成された面とは反対側の面)側へ吐出される。吐出孔2dの出口には、リード弁などの一方向弁2eが設けられており、作動流体が圧縮室Cへと逆流することを防止している。
スクロール圧縮機1のケーシングは、フロントケーシング6と、センターケーシング7と、リアケーシング8とから構成されている。
フロントケーシング6とセンターケーシング7、センターケーシング7とリアケーシング8は、それぞれ、各ケーシングの軸方向端面において、図示しない締結具(ボルト・ナット等)により締結されている。
フロントケーシング6は、略円板状に形成された端壁部6aと、端壁部6aの外周縁部から軸方向後方へ延びる略円筒状の外殻部6bと、端壁部6aの径方向中心部近傍に設けられた円筒状の軸受支持部6cとから構成されている。これにより、フロントケーシング6の内部には、前端が端壁部6aにより閉鎖され後端が開放された吸入室Sが形成されている。
センターケーシング7(中間ケーシング)は、略円筒状に形成された外殻部7aと、外殻部7aの軸方向略中央部から径方向内方かつ軸方向前方へ延出する、略円錐台状の軸受支持部7bとから構成されている。これにより、センターケーシング7は、軸受支持部7bの後方において、外殻部7aの内側に、固定スクロール2及び可動スクロール3を収容している。また、軸受支持部7bの前端部近傍には、シャフト4を回転可能に支持する転がり軸受7cが嵌合されている。
リアケーシング8(吐出ケーシング)は、センターケーシング7との間に固定スクロール2の端板2aの外周縁部を挟んだ状態で、センターケーシング7に締結されている。リアケーシング8の径方向中央部には凹部が形成されており、これにより、固定スクロール2の端板2aとの間に吐出室8aを形成している。
シャフト4は、電動機5により回転駆動され、これにより、中心軸CLの周りに可動スクロール3を公転旋回運動させる機能を有している。
シャフト4は、シャフト本体4aと、シャフト本体4aの後端面4bから可動スクロール3側へ突出する偏心ピン部4cとから構成されている。
シャフト本体4aは、その前端部が、フロントケーシング6の軸受支持部6cの内周に嵌合されたすべり軸受6dにより回転可能に支持されると共に、後端面4bの近傍において、センターケーシング7の軸受支持部7bの内周に嵌合された転がり軸受7cによって回転可能に支持されている。
偏心ピン部4cの外周には偏心ブッシュ4dが嵌合固定されている。一方、可動スクロール3の背面に設けられた円筒状のボス部3cの内周には、すべり軸受3eが嵌合固定されている。そして、偏心ブッシュ4dがすべり軸受3eの内周に嵌合されることにより、シャフト4と可動スクロール3とが、互いに摺動可能に連結されている。
シャフト本体4aの後端面4bと転がり軸受7cとの間の部位には、カウンタウェイト4eが嵌合固定されている。カウンタウェイト4eの重心は、偏心ピン部4cに対して位相が180度ずれた位置にある。これにより、シャフト4の回転に伴って可動スクロール3が公転旋回運動をすることにより、すなわち中心軸CLの周りに振れ回ることにより発生するアンバランス荷重を相殺し、シャフト4に過大な振動が発生することを防止している。
フロントケーシング6の内部に形成された上記吸入室Sには、シャフト4を回転駆動するための電動機5が収容されている。
電動機5は、ステータ5aとロータ5bとから構成されている。ステータ5aは円筒状に形成されており、フロントケーシング6の外殻部6bの内周にしまり嵌めされている。ロータ5bも円筒状に形成されており、シャフト4の外周にしまり嵌めされている。ステータ5aとロータ5bとは、その間に微小な径方向間隙を保った状態で同軸に配置されており、ステータ5a内に設けられた図示しないコイルに外部から電流を供給することにより、ロータ5bが回転する。
フロントケーシング6の外殻部6bの開放された後端部の近傍には、図示しない吸入孔が設けられており、吸入ポート6sを経て供給された作動流体は、吸入孔を経てフロントケーシング6内部の吸入室Sに吸入される。吸入された作動流体は、外殻部6bの開放された後端部を経てセンターケーシング7の内部へ流入し、軸受支持部7bに設けられた図示しない流体流通孔を経て、両渦巻きラップ2b、3bの外端部の吸入室7sへ導入され、渦巻きラップ2b、3bの外端部側から圧縮室C内に取り込まれ、圧縮される。圧縮された作動流体は、固定スクロール2の端板2aの径方向中心部に設けられた吐出孔2dを経て、吐出室8aへ吐出され、そこから図示しない吐出ポートを介して外部に導出される。
以上のように構成されたスクロール圧縮機1においては、圧縮室C内の圧力と、可動スクロール3の端板3aの背面側の圧力(背圧)との差に起因して、可動スクロール3を固定スクロール2から引き離す方向(図1において左向き)の荷重が作用する。そのため、スクロール圧縮機1は、高効率作動を保証すべく、両渦巻きラップ2b、3bが対応するスクロールの端板3a、2bに接触した状態を維持させるために、可動スクロール3の端板3aの背面側に背圧室を形成し、そこに圧力流体を導入することにより、可動スクロール3を固定スクロール2に向けて押し付けるように構成されている。この構成について、以下で詳しく説明する。
センターケーシング7の軸受支持部7bの可動スクロール3側には、径方向に延在するスラスト受け面7eが形成されており、スラスト受け面7eと可動スクロール3の端板3aとの間には、円環状のスラストプレート9が配設されている。スラストプレート9の外周部と、軸受支持部7bの外周部及び可動スクロール3の端板3aの外周部との間には、それぞれ、円環状のシール部材7f、3dが介装されている。
センターケーシング7の軸受支持部7b、シャフト4、可動スクロール3の端板3a及びスラストプレート9によって囲まれた空間は、後述するように、中圧の潤滑油が供給されるように構成されており、この空間を、本明細書では中圧室Pmと称する。
スラストプレート9は、中圧室Pmに供給される潤滑油の圧力の作用により、可動スクロール3を後方へ、すなわち固定スクロール2に向けて押し付ける機能を有している。したがって、スラストプレート9は、図1ではスラスト受け面7eと接触しているように描かれているが、潤滑油の圧力により後向きのスラスト荷重を受ける状態においては、スラスト受け面7eから僅かに浮上し、そこにも空間が形成されている。この空間も中圧室Pmの一部であり、その外周縁は、シール部材7fの位置である。
中圧室Pmには、図1に示すように、鉛直方向下部の1箇所において、中圧油供給流路7m(中圧流体流路)が開口している。中圧油供給流路7mを経て中圧室Pmに導入された潤滑油は、スラストプレート9及び可動スクロール3の端板3aにスラスト荷重を負荷する。
また、中圧室Pmは、図2、図5及び図7に示すように、鉛直方向下部の、中圧油供給流路7mとは異なる周方向位置において、後述する切り替え部材を介して高圧油供給流路7d(高圧流体流路)と連通している。
高圧油供給流路7d及び中圧油供給流路7mは、鉛直方向下部において、センターケーシング7の外殻部7a及び軸受支持部7bの内部に穿設されている。
両流路は、軸受支持部7bの内部に後述する切り替え部材を設置する都合上、周方向の異なる位置に穿設されることが好ましいが、互いに交差することなく穿設することが可能であれば、両流路を、同一の周方向位置に設けてもよい。
いずれの流路も、センターケーシング7のリアケーシング8との接合端面に入口開口を有し、ここから、外殻部7aの内部を軸方向前方へ延在する軸方向流路部分と、軸方向流路部分の前方端から軸受支持部7bの内部を径方向内方へ延在する径方向流路部分とを有している。そして、いずれの流路も、径方向流路部分の末端において、中圧室Pmと連通している。また、中圧油供給流路7mの軸方向流路部分には、その入口開口に供給される高圧油の圧力を中圧にまで低下させるためのオリフィス7nが埋設されている。
リアケーシング8の鉛直方向下部には、油分離壁8bが設けられている。一方、固定スクロール2の端板2aの背面側にも、この油分離壁8bと軸方向に略対向する部位に油分離壁2fが設けられている。両油分離壁8b、2fは、協働して、貯油室8cを形成している。
固定スクロール2の端板2aに設けられた吐出孔2dから吐出室8aへ吐出された作動流体は、スクロール圧縮機1の軸受を潤滑するための潤滑油を含有している。この潤滑油は、吐出室8aの内壁及び油分離壁8b、2fに衝突し、これらの壁に付着することにより、作動流体から分離される。分離された潤滑油は、重力の作用により、貯油室8cへと流下し、ここに貯留される。
貯油室8cの、鉛直方向最下部近傍には、図1に示される高圧油供給流路8dと、図2、図5及び図7にそれぞれ示される高圧油供給流路8dの、合計2本の高圧油供給流路8d(高圧流体供給流路)が開口している。2本の高圧油供給流路8dは、それぞれリアケーシング8のセンターケーシング7との接合端面まで延在し、そこで、センターケーシング7のリアケーシング8との接合端面に入口開口を有する高圧油供給流路7d及び中圧油供給流路7mと連通するようになっている。
シャフト本体4aには、その後端面4bから軸方向前方へ向かって穿設された第1油流路4hと、その前端面から軸方向後方へ向かって穿設された第2油流路4jとが設けられている。第1油流路4hは、シャフト本体4aの後端面4bから偏心ピン部4cが突出しているため、中心軸CL上ではなく、中心軸CLから偏心した位置を延在している。一方、第2油流路4jは、中心軸CL上を延在している。両流路は、その先端部において互いに連通し、全体として、シャフト本体4aの後端面4bから前端面へ至る油流路を形成している。なお、第2油流路4jの前方端にはオリフィス4kが埋設されており、その上流側の圧力が中圧室Pmと同等の圧力に維持されるようになっている。
また、シャフト本体4aにおける転がり軸受7cの前方の位置にはシールリング4fが嵌合されており、その外周面に設けられた溝には、円環状のシール部材4gが嵌合されている。シール部材4gは、センターケーシング7の軸受支持部7bの内周面に摺動接触しており、これにより、中圧室Pmと吸入室Sとの間をシールしている。
リアケーシング8内の吐出室8aにおいて作動流体と分離され、貯油室8cに貯留された潤滑油は、スクロール圧縮機1の吐出圧に相当する高い圧力を有する高圧油である。この高圧油は、リアケーシング8に穿設された高圧油供給流路8dに導入され、リアケーシング8とセンターケーシング7との接合端面に至る。そこから中圧油供給流路7mに流入した高圧油は、オリフィス7nにおいてその圧力が中圧にまで低下し、中圧室Pmに流入する。一方、高圧油供給流路7dに流入した高圧油は、後述する切り替え部材へ至る。
中圧室Pmに流入した潤滑油は、転がり軸受7cやすべり軸受3eの潤滑に供される。中圧室Pm内の潤滑油は、次いで、シャフト4のシャフト本体4aに設けられた第1油流路4hに流入し、さらに第2油流路4j及びその下流端に埋設されたオリフィス4kを経て、吐油室6eに流入する。潤滑油は、ここから、すべり軸受6dを潤滑しながら吸入室S内に流入し、電動機5のステータ5a及びロータ5bの周囲の空間を通って、吸入室Sの後方に至る。そこで、吸入ポート6sを経て吸入室S内に供給された作動流体と合流し、再び両渦巻きラップ2b、3bの外端部の吸入室7sへ導入される。なお、中圧室Pmから吸入室Sへ至る潤滑油の経路は、例えばセンターケーシング7の軸受支持部7bに設けた貫通孔を利用するなどして、シャフト4の内部を経由しないようなものとして構成してもよい。
このようにして、潤滑油は、スクロール圧縮機1の内部を循環する。
なお、以上においては、リアケーシング8内の吐出室8aにおいて作動流体と分離された潤滑油が、中圧室Pmに供給されるものとして説明をしてきたが、リアケーシング8内の吐出室8aから中圧室Pmに作動流体が供給される場合であっても、同様に背圧制御を行うことができる。
そして、本発明のスクロール圧縮機は、可動スクロールの背圧(中圧室の圧力)が不足した場合に、中圧室に自動的に高圧油が導入され、背圧不足が解消するように構成されている。
具体的には、背圧が不足した状態では、可動スクロール3が、中圧室Pm側へ、換言すれば、センターハウジング7の軸受支持部7bに向かって変位することを利用し、この変位に応じて中圧室Pmへの高圧油の供給/遮断を切り替える部材を設けている。
この構成について、以下で詳しく説明する。
<第1態様>
本発明の第1態様を、図2を参照して説明する。
図2は、第1態様に係るスクロール圧縮機の、図1とは異なる周方向位置における要部断面図である。
第1態様においては、切り替え部材として、可動スクロール3の軸方向変位に応じて回転することにより、高圧油供給流路7dの中圧室Pmへの出口開口を開閉する部材を設けている。
この開閉部材を配置するための空間を確保すべく、スラスト受け面7eは、径方向内側の領域において、軸方向前方に向かって切り欠かれている。切り欠きは、加工を容易に行い得るよう、全周にわたるものとすることが好ましいが、開閉部材を収容可能であれば、周方向において局所的なものとしてもよい。
切り欠きによって、センターハウジング7の軸受支持部7bには、径方向に延在する第1端面7p及び第2端面7qが形成されている。第2端面7qは、第1端面7pと径方向に隣接して、かつ軸方向で前方に位置しており、その結果、第1端面7pと第2端面7qとの間には段差が形成されている。なお、図2では、第2端面7qを第1端面7pの径方向内側に配置した例を示しているが、第2端面7qを第1端面7pの径方向外側に配置してもよい。
一実施例において、切り替え部材は、L字形状の圧力調整プレート20として構成することができる。
圧力調整プレート20は、図2に示すように、L字の一方の辺をなす開閉部21が径方向に、L字の他方の辺をなすスラスト受容部22が軸方向に、それぞれ配向されるよう、スラストプレート9と、第1端面7p及び第2端面7qとの間に配置される。また、圧力調整プレート20は、開閉部21が第1端面7pに当接して高圧油供給流路7dの中圧室Pmへの出口開口を閉鎖する状態において、スラスト受容部22の端部はスラストプレート9に当接するように構成されており、かつ、この状態において、スラストプレート9とスラスト受け面7eとは、図2に示すように、軸方向に離間している。
開閉部21は、スラスト受容部22が延在する側の第1表面21aと、第1表面21aの裏側の第2表面21bとを有している。開閉部21の第1表面21aとスラストプレート9との間には、圧縮ばね23が介装されている。圧縮ばね23は、開閉部21をスラストプレート9から離れる方向へ付勢する機能を有している。スラスト受容部22と圧縮ばね23は、第1端面7pと第2端面7qとの間に形成される角部7rを基準として、径方向において反対側に位置している。
圧縮ばね23の一端は、スラストプレート9に適切な方法で固定されている。また、圧縮ばね23の他端は、開閉部21の第1表面21aに形成されたばねガイドに嵌め込まれている。
ばねガイドは、図3(A)に示すように、開閉部21の第1表面21aに形成され、圧縮ばね23の外径よりも大きい内径を有する凹部21cとして構成できる。これに代えて、ばねガイドを、図3(B)に示すように、開閉部21の第1表面21aに形成され、圧縮ばね23の内径よりも小さい外径を有する凸部21dとして構成してもよい。
また、図3(B)に示すように、開閉部21の第2表面21bに、高圧油供給流路7dの出口開口の径よりも十分に小さい径を有する凸部21eを形成し、当該凸部21eを高圧油供給流路7dの出口開口に嵌め込むように構成してもよい。高圧油供給流路7dの出口開口に遊嵌された凸部21eは、その外周に高圧油が流通する空間を確保しつつ、圧力調整プレート20が高圧油供給流路7dの出口開口から位置ずれを起こし、切り替え部材として機能し得なくなる事態を回避するように機能する。
以上のように構成された圧力調整プレート20の作用について、図4を参照して説明する。
可動スクロール3の背圧が適正な状態の場合、図4(A)に示すように、圧力調整プレート20の開閉部21は、圧縮ばね23によって、軸受支持部7bの第1端面7pに押し付けられている。
圧縮ばね23は、高圧油供給流路7dの出口開口の面積と高圧油の圧力の積として求められる力よりも大きな反発力を有するよう構成されている。これにより、圧縮ばね23は、高圧油が圧力調整プレート20の開閉部21を軸受支持部7bの第1端面7pから浮上させようとする力に打ち勝って、圧力調整プレート20の開閉部21が軸受支持部7bの第1端面7pに当接した状態を維持することができる。
この状態において、高圧油供給流路7dの出口開口は、圧力調整プレート20の開閉部21によって閉鎖されており、高圧油は中圧室Pmには流入しない。
次に、可動スクロール3の背圧が不足した状態の場合、図4(B)に示すように、可動スクロール3が中圧室Pm側へ、換言すれば、センターハウジング7の軸受支持部7bに向かって変位する。すると、圧力調整プレート20のスラスト受容部22が、スラストプレート9によってセンターハウジング7の軸受支持部7bに向かって押し付けられ、圧力調整プレート20は、軸受支持部7bの第1端面7pと第2端面7qとの間の角部7rを中心に、本例では反時計方向に回転する。これにより、圧力調整プレート20の開閉部21が径方向から僅かに傾き、開閉部21の、スラスト受容部22とは反対側の部位が、軸受支持部7bの第1端面7pから浮上する。その結果、圧力調整プレート20の開閉部21が軸受支持部7bの第1端面7pに当接した状態が解除され、高圧油供給流路7dの出口開口が開放される。これにより、中圧室Pmに高圧油が供給されて中圧室Pmの圧力が上昇し、背圧不足は解消する。なお、中圧室Pmの圧力が適正な背圧にまで回復した時点で、前述のように、高圧油供給流路7dの出口開口は再び閉鎖されるため、中圧室Pmの圧力が、適正な背圧を超えて過剰な圧力となることはない。
以上のように、本発明の第1態様によれば、可動スクロールの背圧が不足した場合であっても、これに伴う可動スクロールの軸方向前方への変位によって圧力調整プレートが傾き、高圧油供給流路の中圧室への開口部が開かれるので、中圧室に高圧油が供給され、背圧不足が自動的に解消される。
なお、以上においては、高圧油供給流路の中圧室への開口部の開閉を、L字形状の圧力調整プレートを用いて行う例について説明したが、切り替え部材は、可動スクロールの軸方向前方への変位によって、高圧油供給流路の中圧室への開口部が開かれるような態様で傾くものであれば、上記した態様のものに限定されない。
<第2態様>
本発明の第2態様を、図5を参照して説明する。
図5は、第2態様に係るスクロール圧縮機の、図1とは異なる周方向位置における要部断面図である。
第2態様においては、切り替え部材として、可動スクロール3の軸方向変位に応じて軸方向に変位することにより、高圧油供給流路7dの流通/遮断を切り替える部材を設けている。
この切り替え部材を配置するための空間を確保すべく、軸受支持部7bには、スラスト受け面7eから軸方向前方に向かって凹部7tが設けられており、凹部7tの底部または側部は、高圧油供給流路7dと連通している。
一実施例において、切り替え部材は、ボール弁30として構成することができる。
ボール弁30は、図5に示すように、弁ハウジング31と、弁体32と、圧縮ばね33とから構成されている。
弁ハウジング31は、略円筒状の部材であり、一方の端面がスラスト受け面7eと面一となるよう、凹部7t内に配置されている。また、弁ハウジング31は、前記端面から延在する出口流路31bと、出口流路31bと連通する入口室31aとを包囲している。入口室31aは出口流路31bよりも大径に形成されており、これにより、入口室31aから出口流路31bへの移行部に、後述する弁体32のボール32aが当接する弁座31cが形成されている。
弁体32は、ボール32aと、ボール32aと一体的に形成された軸部32bとから構成されている。
ボール32aは球状の部材であり、入口室31a内を長手方向に往復移動でき、かつ、上記した弁座31cに当接し得るように構成されている。軸部32bは円柱状の部材であり、上記した出口流路31b内に挿入されている。軸部32bの外径は、軸部32bが出口流路31b内を長手方向に往復移動でき、かつ、軸部32bの周囲に高圧油の流路が形成され得るよう、出口流路31bの内径よりも十分に小さく構成されている。また、軸部32bの長さは、後述するように、可動スクロール3の背圧が不足した状態において、軸部32bの先端(ボール32aとは反対側の端部)がスラストプレート9により軸方向前方へ押され、これに伴い、弁体32のボール32aが弁座31cから離れるようなものとして構成されている。換言すれば、軸部32bは、ボール32aが弁座31cに当接している時、先端がスラスト受け面7eから突出するような長さを有するものとして構成されている。
圧縮ばね33は、弁体32を、可動スクロール3側へ押し付ける機能を有しており、その一端はボール32aに固定され、その他端は凹部7tの底部に固定されている。
以上のように構成されたボール弁30の作用について、図6を参照して説明する。
可動スクロール3の背圧が適正な状態の場合、ボール32aは、図6(A)に示すように、弁座31cに当接しており、ボール弁30は閉じた状態となっている。この状態では、高圧油供給流路7dの高圧油は、入口室31aに貯留しており、中圧室Pmには流入しない。
次に、可動スクロール3の背圧が不足した状態の場合、図6(B)に示すように、可動スクロール3が中圧室Pm側へ、換言すれば、センターハウジング7の軸受支持部7bに向かって変位する。すると、弁体32の軸部32bは、スラストプレート9によって軸方向前方へ押され、これに伴い、弁体32のボール32aが弁座31cから離れる。すなわち、ボール弁30が開いた状態となり、高圧油供給流路7dの高圧油が、入口室31aから出口流路31bを経て中圧室Pmに流入する。これにより、中圧室Pmの圧力が上昇し、背圧不足は解消する。なお、中圧室Pmの圧力が適正な背圧にまで回復した時点で、前述のように、ボール32aが弁座31cに当接し、ボール弁30が閉じた状態となるため、中圧室Pmの圧力が、適正な背圧を超えて過剰な圧力となることはない。
以上のように、本発明の第2態様によれば、可動スクロールの背圧が不足した場合であっても、これに伴う可動スクロールの軸方向前方への変位によってボール弁が開き、高圧油供給流路から中圧室へ高圧油が供給されるので、背圧不足が自動的に解消される。
<第3態様>
本発明の第3態様を、図7を参照して説明する。
図7は、第3態様に係るスクロール圧縮機の、図1とは異なる周方向位置における要部断面図である。
第3態様においては、第2態様と同様に、切り替え部材として、可動スクロール3の軸方向変位に応じて軸方向に変位することにより、高圧油供給流路7dの流通/遮断を切り替える部材を設けている。
したがって、第3態様においても、第2態様と同様に、切り替え部材を配置するために、軸受支持部7bには、スラスト受け面7eから軸方向前方に向かって凹部7tが設けられている。なお、第3態様においては、凹部7tが、高圧油供給流路7dと交差するように設けられる。
一実施例において、切り替え部材は、スプール弁40として構成することができる。
スプール弁40は、図7に示すように、弁体41と、圧縮ばね42とから構成されている。
弁体41は、凹部7t内を摺動し得るように構成されており、長手方向の略中央部に、貫通孔である弁孔41aが設けられている。弁体41の長手方向における弁孔41aの位置は、後述するように、可動スクロール3の背圧が不足した状態において、弁体41の先端(圧縮ばね42とは反対側の端部)がスラストプレート9により軸方向前方へ押され、これに伴い、弁孔41aが高圧油供給流路7dと連通状態となるように設定されている。
圧縮ばね42は、弁体41を、可動スクロール3側へ押し付ける機能を有しており、その一端は弁体41に固定され、その他端は凹部7tの底部に固定されている。したがって、弁体41の先端は、圧縮ばね42の付勢力によって常にスラストプレート9の表面に当接している。
以上のように構成されたスプール弁40の作用について、以下に説明する。
可動スクロール3の背圧が適正な状態の場合、弁体41は、その先端がスラスト受け面7eから軸方向後方へ突出し、弁孔41aは、高圧油供給流路7dよりも軸方向後方に位置しており、両者は連通状態にない。この状態では、高圧油供給流路7dの高圧油は、弁体41によってせき止められており、中圧室Pmには流入しない。
次に、可動スクロール3の背圧が不足した状態の場合、可動スクロール3は中圧室Pm側へ、換言すれば、センターハウジング7の軸受支持部7bに向かって変位する。すると、弁体41は、スラストプレート9によって軸方向前方へ押され、これに伴い、弁孔41aが高圧油供給流路7dと連通状態となる。すなわち、スプール弁40が開いた状態となり、高圧油供給流路7dの高圧油が、弁孔41aを通過して中圧室Pmに流入する。これにより、中圧室Pmの圧力が上昇し、背圧不足は解消する。なお、中圧室Pmの圧力が適正な背圧にまで回復した時点で、前述のように、弁孔41aと高圧油供給流路7dとの連通状態が解消され、スプール弁40が閉じた状態となるため、中圧室Pmの圧力が、適正な背圧を超えて過剰な圧力となることはない。
以上で説明した第1〜第3態様は、可動スクロールの背圧が不足した場合に、中間室に自動的に高圧油が供給されるように構成されたものである。これらの態様のみによっても、可動スクロールの背圧不足を自動的に解消することは可能であるが、その効果をさらに高めるために、可動スクロールの背圧が不足した場合に、中間室から低圧部への油排出を抑制するように構成された以下に示す付加態様を、第1〜第3態様と併用してもよい。
<第1付加態様>
第1付加態様においては、図8に示すように、中圧油排出流路7uが、スラスト受け面7eから軸受支持部7bを貫通して吸入室Sに至るようなものとして構成されている。
可動スクロール3の背圧が適正な状態の場合、スラストプレート9はスラスト受け面7eから軸方向後方へ離れた状態にあり、中圧油排出流路7uは中圧室Pmに開口している。この状態では、中圧室Pm内の中圧油は、中圧油排出流路7uに設けられたオリフィス7vにおいて所定量だけ圧力降下して吸入室Sへ排出され、その結果、中圧室Pm内の圧力(背圧)は適正に維持される。
次に、可動スクロール3の背圧が不足した状態の場合、可動スクロール3は中圧室Pm側へ、換言すれば、センターハウジング7の軸受支持部7bに向かって変位する。すると、スラストプレート9がスラスト受け面7eに当接し、中圧油排出流路7uの中圧室Pmへの開口部が閉鎖される。この状態では、中圧室Pm内の中圧油が、中圧油排出流路7uを経て吸入室Sへ排出されることはなく、その結果、中圧室Pm内の圧力(背圧)は上昇し、最終的には適正な状態に復帰する。なお、中圧室Pmの圧力が適正な背圧にまで回復した時点で、前述のように、スラストプレート9がスラスト受け面7eから軸方向後方へ離れ、中圧油排出流路7uが中圧室Pmに開口するため、中圧室Pmの圧力が、適正な背圧を超えて過剰な圧力となることはない。
なお、図1において、シャフト4のシャフト本体4aに第1油流路4h及び第2油流路4jが穿設されており、中圧室Pmから吸気室Sへ至る中圧油排出経路を形成していると説明したが、この経路は、本付加態様においては、必ずしも設ける必要はない。第2油流路4jの下流端に配置されたオリフィス4kに代わって、中圧油排出流路7uに設けられたオリフィス7vが、中圧室Pmの圧力調整機能を果たし得るからである。
また、シャフト4内の中圧油排出経路と、上記した態様の中圧油排出流路7uを併用する場合には、第2油流路4jの下流端に配置されたオリフィス4kによる中圧室Pmの圧力調整作用を利用できることから、中圧油排出流路7u内のオリフィス7vは、設置を省略することができる。ただし、この場合には、中圧室Pmの圧力が下がりすぎることを防止するために、中圧油排出流路7uの流路面積を小さくすることが好ましい。
<第2付加態様>
第2付加態様においては、図9に示すように、中圧油排出流路が、中圧室Pmの径方向中央部からシャフト4を貫通して吐油室6eに至るようなものとして構成されている。
本付加態様においては、シャフト本体4aの後端面4bから軸方向前方へ向かって穿設された第1油流路4h(図1参照)に代えて、偏心ピン部4cの後端面から軸方向前方へ向かって穿設された第3油流路4mが設けられている。第3油流路4mと第2油流路4jとは、その先端部において互いに連通し、全体として、シャフト本体4aの後端面から前端面へ至る中圧油排出流路を形成している。
また、可動スクロール3の端板3aの、第3油流路4mの開口部と対向する部位には、第3油流路4mの開口部を覆い得るような大きさに構成された隆起部3fが設けられている。
可動スクロール3の背圧が適正な状態の場合、可動スクロール3の端板3aに設けられた隆起部3fは、第3油流路4mの開口部から軸方向後方へ離れた状態にあり、第3油流路4mは中圧室Pmに開口している。この状態では、中圧室Pm内の中圧油は、第2油流路4jの前方端に埋設されたオリフィス4kにおいて所定量だけ圧力降下して吐油室6eを経て吸気室Sへ排出され、その結果、中圧室Pm内の圧力(背圧)は適正に保たれている。
次に、可動スクロール3の背圧が不足した状態の場合、可動スクロール3は中圧室Pm側へ、換言すれば、シャフト4に向かって変位する。すると、可動スクロール3の端板3aに設けられた隆起部3fが第3油流路4mの開口部に当接し、当該開口部が閉鎖される。この状態では、中圧室Pm内の中圧油が、中圧油排出流路を経て吸入室Sへ排出されることはなく、その結果、中圧室Pm内の圧力(背圧)は上昇し、最終的には適正な状態に復帰する。なお、中圧室Pmの圧力が適正な背圧にまで回復した時点で、前述のように、可動スクロール3の端板3aに設けられた隆起部3fが、第3油流路4mの開口部から軸方向後方へ離れ、中圧油排出流路が中圧室Pmに開口するため、中圧室Pmの圧力が、適正な背圧を超えて過剰な圧力となることはない。
なお、隆起部3fは、可動スクロール3の端板3aと一体に形成してもよいし、別部材として形成して可動スクロール3の端板3aに取り付けてもよい。
1 スクロール圧縮機
2 固定スクロール
3 可動スクロール
3f 隆起部
4 シャフト
4h 第1油流路
4j 第2油流路
4k オリフィス
4m 第3油流路
5 電動機
6 フロントケーシング
6a 吐油室
7 センターケーシング(中間ケーシング)
7a 外殻部
7b 軸受支持部
7e スラスト受け面
7d 高圧油供給流路(高圧流体流路)
7m 中圧油供給流路(中圧流体流路)
7n オリフィス
7u 中圧油排出流路
8 リアケーシング(吐出ケーシング)
8a 吐出室
8c 貯油室
8d 高圧油供給流路
9 スラストプレート
20 圧力調整プレート
30 ボール弁
40 スプール弁
C 圧縮室
S 吸入室
Pm 中圧室

Claims (9)

  1. 可動スクロールが固定スクロールに対し公転旋回運動することにより、作動流体の吸入、圧縮、吐出の一連のプロセスを実施するスクロール圧縮機であって、
    前記可動スクロールの背面側に形成され、前記可動スクロールを前記固定スクロール側へ押圧付勢する背圧を生じる背圧室と、
    前記固定スクロール及び前記可動スクロールを収容すると共に、前記背圧室を包囲する中間ケーシングと、
    前記固定スクロールの背面側に設けられ、前記固定スクロールとの間に吐出室を形成する吐出ケーシングと、
    前記中間ケーシングに形成されたスラスト受け面と前記可動スクロールの背面との間に配置されたスラストプレートと、
    前記吐出ケーシングに穿設され、前記吐出室から前記背圧室へ前記作動流体の吐出圧が作用する高圧流体を供給する高圧流体供給流路と、
    前記中間ケーシングに穿設され、前記高圧流体を前記背圧室へ供給する高圧流体流路と、
    前記中間ケーシングに穿設され、前記高圧流体の圧力を低下させて中圧流体として前記背圧室へ供給する中圧流体流路と、
    前記可動スクロールの前記固定スクロールと反対側への軸方向変位に伴う前記スラストプレートの前記固定スクロールと反対側への軸方向変位に応じて変位することにより、前記高圧流体流路から前記背圧室に前記高圧流体が供給されるように構成された部材とを備えたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記中間ケーシングは、軸方向において前記スラスト受け面よりも前記可動スクロールから離れた位置に、径方向に延在する第1端面を備え、
    前記高圧流体流路は前記第1端面に出口開口を有し、
    前記部材は、前記スラストプレートと前記第1端面との間に配置され、前記スラストプレートの軸方向変位に応じて回転変位することにより、前記出口開口を開閉するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記部材は、互いに垂直をなす開閉部とスラスト受容部とから成るL字形状のプレートと、圧縮ばねとから構成され、前記開閉部が前記第1端面に当接して前記出口開口を閉鎖する状態において、前記スラスト受容部の端部が前記スラストプレートに当接するような態様で、前記スラストプレートと前記第1端面との間に配置され、
    前記圧縮ばねは、前記開閉部と前記スラストプレートとの間に介装され、
    前記中間ケーシングは、前記第1端面と径方向に隣接し、軸方向において前記第1端面よりも前記可動スクロールから離れた位置に、径方向に延在する第2端面をさらに備え、
    前記スラスト受容部と前記ばねは、前記第1端面と前記第2端面との間に形成される角部を基準として、径方向において反対側に位置していることを特徴とする、請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記圧縮ばねは、前記出口開口の面積と前記高圧流体の圧力の積として求められる力よりも大きな反発力を有していることを特徴とする、請求項3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記開閉部は、前記圧縮ばねと当接する部位に、前記圧縮ばねの外径よりも大きい径を有する凹部、または、前記圧縮ばねの内径よりも小さい径を有する凸部を有していることを特徴とする、請求項3または4に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記開閉部は、前記出口開口に遊嵌される凸部を有していることを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記中間ケーシングは、前記スラスト受け面から軸方向に延在する凹部を有し、
    前記部材は、前記凹部内に配置され、前記スラストプレートの前記固定スクロールと反対側への軸方向変位に応じて前記固定スクロールと反対側へ軸方向変位することにより、前記高圧流体流路から前記背圧室に前記高圧流体が供給されるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  8. 前記高圧流体流路は、前記凹部に開口しており、
    前記部材は、筒状の弁ハウジングと、弁体と、圧縮ばねとから成り、
    前記弁ハウジングは、一方の端面が前記スラスト受け面と面一となるように前記凹部内に配置されると共に、前記端面から延在する出口流路と、前記出口流路と連通する入口室とを包囲し、前記入口室が前記出口流路よりも大径に形成されることで前記入口室から前記出口流路への移行部に弁座が形成されており、
    前記弁体は、前記入口室内に配置されて前記弁座に当接可能なボールと、前記ボールと一体に形成されて前記出口流路内を軸方向に往復移動可能に構成された軸部とから成り、
    前記圧縮ばねは、前記凹部の底部と前記ボールとの間に介装されており、
    前記軸部は、前記ボールが前記弁座に当接している時、前記端面から突出している
    ことを特徴とする、請求項7に記載のスクロール圧縮機。
  9. 前記高圧流体流路は、前記凹部と交差しており、
    前記部材は、前記凹部内を軸方向に往復移動可能に構成された弁体と、前記凹部の底部と前記弁体との間に介装された圧縮ばねから成り、
    前記弁体が備える貫通孔が前記凹部の前記高圧流体流路との交差部位に位置する時、前記高圧流体流路から前記背圧室へ前記高圧流体が流通し、
    前記弁体が備える貫通孔が前記凹部の前記高圧流体流路との交差部位よりも前記スラスト受け面側に位置する時、前記弁体は前記スラスト受け面から突出していることを特徴とする、請求項7に記載のスクロール圧縮機。
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