JP6782914B2 - ケーブルの引き回し構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ケーブルの引き回し構造に関する。
従来、ケーブルを配線する際には、平面的に敷設することが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、建物を免震化する場合、設備機器と接続されたケーブル(例えば、電力用ケーブル)を免震部と非免震部とに固定することが行われている。このような構造の場合、免震部と非免震部とにおいて、動きが異なるため、大きな変位があるとケーブルに張力やねじれが発生する恐れがある。
このような問題を解決するために、従来、ケーブルを平面上で大きくループさせたループ部を設けて、ケーブルに余長を持たせることが行われている。
特開2012−249474号公報
上述したケーブルを平面上で大きくループさせてループ部を設ける技術は、ケーブルの径が小さく、かつ本数の少ない高圧ケーブルに適用することは容易である。
しかしながら、キュービクル等の重要な設備機器を免震化する場合、高圧ケーブルと比較して、口径が大きく、かつ本数が多い低圧ケーブルを、平面上で大きくループさせるとケーブルのループ部分(以下、「湾曲部」という)を配置するための水平面方向の設置領域が多く必要になるという問題があった。
そこで、本発明は、水平面方向における湾曲部の設置領域を小さくすることの可能なケーブルの引き回し構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るケーブルの引き回し構造は、構造体の上方に、免震装置を介して、支持された設備機器と接続されたケーブルの引き回し構造であって、前記ケーブルは、前記設備機器の外側において、前記設備機器の高さ方向に湾曲した湾曲部を有しており、前記ケーブルが変位可能な状態で、該湾曲部を支持する支持部材を含み、前記湾曲部は、前記構造体の上方に突出した形状とされており、前記支持部材は、前記湾曲部の頂点を支持する第1の支持部と、前記湾曲部の頂点よりも前記設備機器から離間した位置であって、前記湾曲部のうち最も高さの低い最下点を支持する第2の支持部と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、設備機器の高さ方向に湾曲した湾曲部を含むケーブルと、ケーブルが変位可能な状態で、湾曲部を支持する支持部材と、を有することで、水平面上に湾曲部を載置させた場合と比較して、水平面方向における湾曲部の設置領域を小さくすることができる。
具体的には、例えば、従来のケーブルの引き回しに必要な水平面領域内に湾曲部を配置することが可能である。
また、湾曲部の頂点を支持する第1の支持部と、湾曲部の頂点よりも設備機器から離間した位置であって、湾曲部のうち最も高さの低い最下点を支持する第2の支持部と、を有することで、2つの位置のみで湾曲部の形状を略維持した状態で湾曲部を支持することが可能となる。
これにより、水平面上に湾曲部を載置させた場合と比較して、湾曲部とケーブルとの間の接触面積が小さくなるので、ケーブルの変位時における摩擦抵抗を小さくすることができる。
また、上記ケーブルの引き回し構造において、前記構造体上に設けられ、前記設備機器を前記構造体の上方に嵩上げする嵩上げ部を含み、前記湾曲部は、前記設備機器よりも下方に配置してもよい。
このような構成とした場合も水平面方向における湾曲部の設置領域を小さくすることができる。
本発明によれば、ケーブルの湾曲部の設置領域を小さくすることができる。
本発明の第1の実施形態に係るケーブルの引き回し構造を説明するための側面図である。 本発明の第2の実施形態に係るケーブルの引き回し構造を説明するための側面図である。 本発明の第3の実施形態に係るケーブルの引き回し構造を説明するための側面図である。 本発明の第4の実施形態に係るケーブルの引き回し構造を説明するための側面図である。 図4に示すケーブルの引き回し構造の平面図である。 実験例におけるケーブルの抵抗力とケーブルの変形量との関係を図示する。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のケーブルの引き回し構造の寸法関係とは異なる場合がある。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るケーブルの引き回し構造を説明するための側面図である。図1では、説明の便宜上、第1の実施形態のケーブルの引き回し構造10以外の構成も図示する。図1において、X方向は、構造体1の上面1aに対して平行な方向を示しており、Y方向は、構造体1の上面1aに対して直交する設備機器3の高さ方向(鉛直方向)を示している。
また、図1では、ケーブル11を支持するケーブルラックの図示を省略する。
ここで、図1を参照して、構造体1と、免震装置2と、設備機器3と、について説明する。
構造体1は、Y方向に対して直交する上面1aを有する。構造体1としては、例えば、屋上スラブを例示することが可能である。
免震装置2は、構造体1の上面1aに複数立設されている。
設備機器3は、複数の免震装置2上に設けられている。設備機器3としては、例えば、キュービクル式高圧受電設備を例示することができる。
次いで、図1を参照して、第1の実施形態のケーブルの引き回し構造10について説明する。
第1の実施形態のケーブルの引き回し構造10は、ケーブル11と、支持部材13と、を有する。
ケーブル11は、一端が設備機器3の下端(下部)と接続されている。ケーブル11は、湾曲形状とされた湾曲部16を有する。
湾曲部16は、設備機器の外側に配置されており、ケーブル11の一端から所定の範囲内に設けられている。湾曲部16は、構造体1の上方に突出した形状とされている。
湾曲部16は、頂点16Aと、最下点16Bと、を有する。頂点16Aは、湾曲部16の凸形状とされた部分の頂点であり、湾曲部16のうちで最も高さの高い位置である。
最下点16Bは、湾曲部16の頂点16Aよりも設備機器3から離間した位置であって、湾曲部16のうち最も高さの低い位置である。
湾曲部16の湾曲した各部分の形状は、ケーブル11の最小曲げ半径以上を確保された形状とされている。
ケーブル11としては、例えば、低圧ケーブルを用いてもよい。低圧ケーブルは、高圧ケーブルよりも口径が大きく、かつ高圧ケーブルよりも本数の多いケーブルである。
支持部材13は、第1の支持部14と、第2の支持部15と、を有する。
第1の支持部14は、ケーブル11がX方向に変位可能な状態で、湾曲部16の頂点16Aを支持している。
第2の支持部15は、ケーブル11がX方向に変位可能な状態で、湾曲部16の最下点16Bを支持している。第2の支持部15は、第1の支持部14よりも設備機器3からX方向に離間した位置であって、かつ第1の支持部14の配設位置よりも高さが低い位置に設けられている。
第1及び第2の支持部14,15としては、例えば、リング状の支持部を用いることが可能である。また、第1及び第2の支持部14,15は、設備機器3の外側に配置されたケーブルラック(図示せず)に固定してもよい。
このように、湾曲部16の頂点16Aを支持する第1の支持部14と、湾曲部16の頂点16Aよりも設備機器3から離間した位置であって、湾曲部16のうち最も高さの低い最下点16Bを支持する第2の支持部15と、を有することで、2つの位置のみで湾曲部16の形状を略維持した状態で湾曲部16を支持することが可能となる。
これにより、水平面上に湾曲部16を載置させた場合と比較して、湾曲部16とケーブル11との間の接触面積が小さくなるので、ケーブル11の変位時における摩擦抵抗を小さくすることができる。
上述した構成とされたケーブルの引き回し構造10では、地震等の発生により、ケーブル11の位置が変位した際、第1の支持部14と第2の支持部15との間の区間の高さ方向において、ケーブル11の変位を吸収する。このため、ケーブルの引き回し構造10は、ケーブル11が大きく変位した場合でもその変位を吸収することが可能となる。
第1の実施形態のケーブルの引き回し構造10によれば、設備機器3の高さ方向(Y方向)に湾曲した湾曲部16を含むケーブル11と、ケーブル11が変位可能な状態で、湾曲部16を支持する支持部材13(第1及び第2の支持部14,15)と、を有することで、水平面上に湾曲部16を載置させた場合と比較して、水平面方向(構造体1の上面1aに対して平行な面方向)における湾曲部16の設置領域を小さくすることができる。
具体的には、例えば、従来のケーブル11の引き回しに必要な水平面領域内に湾曲部16を配置することが可能である。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係るケーブルの引き回し構造を説明するための側面図である。図2では、説明の便宜上、第2の実施形態のケーブルの引き回し構造20以外の構成も図示する。図2において、図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。また、図2では、ケーブル11を支持するケーブルラックの図示を省略する。
図2を参照するに、第2の実施形態に係るケーブルの引き回し構造20は、嵩上げ部21と、ケーブル11と、第2の支持部15と、を有する。
嵩上げ部21は、構造体1の上面1aから上方に突出した部分であり、複数設けられている。複数の嵩上げ部21の上面には、それぞれ免震装置2が配置されている。複数の嵩上げ部21は、免震装置2を介して、設備機器3を支持している。
複数の嵩上げ部21は、構造体1と一体に構成してもよいし、別体としてもよい。複数の嵩上げ部21の材料としては、例えば、コンクリートを用いてもよい。
構造体1の上面1aを基準としたときの複数の嵩上げ部21の高さは、同じ高さとなるように設定されている。構造体1の上面1aを基準としたときの嵩上げ部21の高さは、例えば、ケーブル11の湾曲部22の高さH(設備機器3の下端面(ケーブル11の一端)から湾曲部22の最下点22Aまでの高さ)が1200mm以上となるように設定するとよい。
このように、ケーブル11の湾曲部22の高さHを1200mm以上とすることで、水平最大変位が±500mmの範囲でケーブル11が動いても抵抗力を15kg程度まで小さくすることができる。
ケーブル11は、一端が設備機器3の下端と接続されている。ケーブル11は、設備機器3の下方に垂らされれることで湾曲する湾曲部22を有する。この場合、湾曲部22の頂点は、ケーブル11の一端となる。湾曲部22の最下点22Aは、湾曲部22が変位可能な状態で、第2の支持部15により支持されている。
上述した構成とされたケーブルの引き回し構造20では、地震等の発生により、ケーブル11の位置が変位した際、湾曲部22の高さ方向において、ケーブル11の変位を吸収する。
第2の実施形態のケーブルの引き回し構造20によれば、ケーブル11の変位を吸収する湾曲部22を、ケーブル11を下方に垂らすことで容易に形成することができる。
また、湾曲部22の形状を略維持するために、湾曲部22の最下点22Aのみを第2の支持部15で支持すればよいため、支持部の数を削減することができる。
さらに、上述した第2の実施形態のケーブルの引き回し構造20は、先に説明した第1の実施形態のケーブルの引き回し構造10と同様な効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係るケーブルの引き回し構造を説明するための側面図である。図3では、説明の便宜上、第3の実施形態のケーブルの引き回し構造30以外の構成も図示する。図3において、図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。また、図3では、ケーブル11を支持するケーブルラックの図示を省略する。
図3を参照するに、第3の実施形態のケーブルの引き回し構造30は、第2の実施形態のケーブルの引き回し構造20を構成する嵩上げ部21に替えて、嵩上げ部31を有すること以外は、ケーブルの引き回し構造20と同様に構成されている。
嵩上げ部31は、複数の脚部31Aと、板部31Bと、を有する。複数の脚部31Aは、構造体1の上面1aに配置されており、Y方向に延在している。
板部31Bは、複数の脚部31Aの上端に配置されている。板部31Bは、構造体1の上面1aに対して平行な上面31Baを有する。
複数の免震装置2は、板部31Bの上面31Baに配置されている。嵩上げ部31は、複数の免震装置2を介して、設備機器3を支持している。
構造体1の上面1aから上面31Baまでの嵩上げ部31の高さHは、例えば、1200mm以上が好ましい。
このように、嵩上げ部31の高さHを1200mm以上とすることで、ケーブル11を設備機器3の下方に垂らすだけで、容易に湾曲部22を形成することができる。
上記嵩上げ部31としては、例えば、鉄骨架台を用いることが可能である。
第3の実施形態のケーブルの引き回し構造30は、先に説明した第2の実施形態のケーブルの引き回し構造20と同様な効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態に係るケーブルの引き回し構造を説明するための側面図である。図4では、説明の便宜上、第4の実施形態のケーブルの引き回し構造40以外の構成も図示する。図4において、図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。また、図4では、複数のケーブル11を支持するケーブルラックの図示を省略する。
図5は、図4に示すケーブルの引き回し構造の平面図である。図5において、図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図4及び図5を参照するに、第4の実施形態のケーブルの引き回し構造40は、複数のケーブル11、及び複数の支持部材13を有すること以外は、第1の実施形態のケーブルの引き回し構造10と同様な構成とされている。
複数のケーブル11を構成する湾曲部16の頂点16A及び最下点16Bは、異なる高さに配置されている。これにより、複数の湾曲部16の高さは、異なる高さとされている。
また、複数のケーブル11は、平面視した状態で、横方向(水平面方向)に広がるように敷設されている。
このような構成とされた第4の実施形態のケーブルの引き回し構造40は、第1の実施形態のケーブルの引き回し構造10と同様な効果を得ることができる。
なお、図4及び図5に示す複数のケーブル11及び支持部材13を、先に説明した図2及び図3に示す構造体に適用してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、第1ないし第3の実施形態のケーブルの引き回し構造10,20,30,40では、ケーブル11を1本毎に支持した場合を例に挙げて説明したが、複数本のケーブル(一例として、例えば、2〜3本)をまとめて並列支持させてもよい。
以下、実験例について説明する。本発明は、下記実験例に限定されない。
(実験例)
実験例では、図3に示す状態のケーブル11、及び第2の支持部15を用いた試験装置により、加圧ジャッキを用いてX方向及び−X方向に対してそれぞれ500mmの範囲内で変位させたときのケーブル11の移動量及びケーブル11の抵抗力を計測した。
このとき、図3に示す高さHは、100cm、120cm、150cmとした。
また、ケーブル11の断面積(公称断面積)は、38mm、100mm、250mmとした。また、100mmについては、3束を並列配置した場合の確認も行った。
表1に、高さHが100cm、120cm、150cmのときの湾曲部の曲がり方向及び伸び方向における抵抗力(kg)を測定した結果を示す。また、図6には、実験例におけるケーブルの抵抗力とケーブルの変形量との関係を図示する。
Figure 0006782914
表1及び図6を参照するに、表1では、変位最大時の静止荷重がケーブル抵抗力となっているが、図2では、変形を与える過程において、慣性力の影響でケーブルの抵抗力が上下している。
表1の結果から、ケーブル抵抗力は、固定高さを120cm確保すると、最大の径とされた250mmの場合にも15.2kgと小さいことが確認できた。
また、ケーブル11を3束並列配置させた場合、相互干渉に起因するケーブルの抵抗力の増大や、伸び方向のケーブル張力発生によるハードニングも見られず、安定した状態を示した。
なお、別途X方向に対して直交する方向に加力したところ、ケーブル抵抗力は、表1に示す値よりも小さくなることを確認した(図6参照。)。
1…構造体、1a,31Ba…上面、2…免震装置、3…設備機器、10,20,30…ケーブルの引き回し構造、11…ケーブル、13…支持部材、14…第1の支持部、15…第2の支持部、16,22…湾曲部、16A…頂点、16B,22A…最下点、21,31…嵩上げ部、31A…脚部、31B…板部、H,H…高さ

Claims (2)

  1. 構造体の上方に、免震装置を介して、支持された設備機器と接続されたケーブルの引き回し構造であって、
    前記ケーブルは、前記設備機器の外側において、前記設備機器の高さ方向に湾曲した湾曲部を有しており、
    前記ケーブルが変位可能な状態で、該湾曲部を支持する支持部材を含み、
    前記湾曲部は、前記構造体の上方に突出した形状とされており、
    前記支持部材は、前記湾曲部の頂点を支持する第1の支持部と、
    前記湾曲部の頂点よりも前記設備機器から離間した位置であって、前記湾曲部のうち最も高さの低い最下点を支持する第2の支持部と、
    を含むことを特徴とするケーブルの引き回し構造。
  2. 前記構造体上に設けられ、前記設備機器を前記構造体の上方に嵩上げする嵩上げ部を含み、
    前記湾曲部は、前記設備機器よりも下方に配置することを特徴とする請求項1記載のケーブルの引き回し構造。
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