JP6782716B2 - 抗体またはリガンドの結合および機能を明らかにするための細胞ベースアッセイ法 - Google Patents
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Description
本発明は、抗体またはリガンドの結合および機能を明らかにするための新しい細胞ベースアッセイ法に関する。
化学療法は、これまでのところ依然として、最も一般的に使用される癌治療法の内の1つである。しかし、化学療法薬は、癌細胞の1つの特徴である活発に分裂している細胞を標的とするため、血液細胞、腸、口、および毛髪の細胞などの健常な分裂細胞も影響を受け、その結果、かなり強い副作用が生じる。科学者らは、それらの副作用を最小限にするために化学療法薬の投与および組合せを改善することに継続的に取り組んでいる。さらに、抗体ベースの療法が、この15年間の間に発展し、現在では、血液悪性疾患および固形腫瘍の治療において有益な組合せまたは化学療法アプローチの代替方法になっている。化学療法とは異なり、抗体療法は、癌細胞表面の特異的抗原を標的とし、したがって、より部位特異的な治療を可能にし、それによって健常組織に対する副作用を軽減する。抗体をベースとする治療薬を開発する過程では、臨床試験に持ち込み最終的に販売するための最良の候補物を特定するために、様々なアッセイ法が必要とされる。最初の初期の前臨床段階において、これらの抗体は、作製され、その標的特異性、ならびに標的に対する親和性および機能性について解析されなければならない。結合特性は、様々なタンパク質-タンパク質相互作用アッセイ法、例えば、FRETベースの方法、表面プラズモン共鳴(SPR)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、またはアルファスクリーン(AlphaScreen)(商標)を用いて解析することができる。通常、機能性は、臨床試験に入る前に動物モデルで試験するための最良の候補物を特定するために、できるだけ似た生理学的状況を再現するように設計された様々な細胞ベースアッセイ法で試験される。一般に、これらの機能アッセイ法は、初代細胞、腫瘍細胞株、または特定の経路が活性化されるとレポーターを発現するように設計されたレポーター細胞を用いて実施される。抗体治療分子の開発過程において初期段階(state)で結合および機能性を評価することを可能にする組合せアッセイ法を設計することは、大いに有益であると思われる。
1つの態様において、以下の段階を含む、標的抗原に特異的に結合する抗体またはリガンドの結合および機能性を明らかにするためのインビトロアッセイ法が提供される
i)細胞を提供する段階であって、該細胞が
a)該細胞の表面で標的抗原を発現し、
b)エネルギードナー化合物で共有結合的または非共有結合的に標識されており、かつ
c)標的抗原の応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子を含む、
段階;
ii)試験しようとする抗体またはリガンドを添加する段階;
iii)エネルギー移動を測定することによって標的抗原への結合を測定する段階であって、エネルギーアクセプター化合物が、試験しようとする抗体かまたは一次抗体(第1の抗体)に結合する二次抗体のいずれかに共有結合的または非共有結合的に結合している、段階;および
iv)レポーター遺伝子の発現レベルと標的抗原の活性化レベルまたは阻害レベルとの相関関係を明らかにすることによって、抗体またはリガンドの機能性を明らかにする段階。
[本発明1001]
以下の段階を含む、標的抗原に特異的に結合する抗体またはリガンドの結合および機能性を明らかにするためのインビトロアッセイ法:
i)細胞を提供する段階であって、該細胞が
a)該細胞の表面で該標的抗原を発現し、
b)エネルギードナー化合物で共有結合的または非共有結合的に標識されており、かつ
c)該標的抗原の応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子を含む、
段階;
ii)試験しようとする該抗体またはリガンドを添加する段階;
iii)エネルギー移動を測定することによって該標的抗原への結合を測定する段階であって、エネルギーアクセプター化合物が、試験しようとする該抗体かまたは一次抗体に結合する二次抗体のいずれかに共有結合的または非共有結合的に結合している、段階;および
iv)該レポーター遺伝子の発現レベルと標的抗原の活性化レベルまたは阻害レベルとの相関関係を明らかにすることによって、該抗体またはリガンドの機能性を明らかにする段階。
[本発明1002]
前記エネルギードナー化合物および前記エネルギーアクセプター化合物が、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)エネルギードナー化合物および蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)エネルギーアクセプター化合物であり、段階iii)で測定されるエネルギー移動が、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)である、本発明1001のアッセイ法。
[本発明1003]
前記FRETが時間分解FRETである、本発明1002のアッセイ法。
[本発明1004]
前記FRETエネルギードナー化合物がテルビウムクリプテートであり、かつ/または前記FRETエネルギーアクセプター化合物がd2である、本発明1003のアッセイ法。
[本発明1005]
前記エネルギードナー化合物および前記エネルギーアクセプター化合物が、生物発光エネルギー移動(BRET)エネルギードナー化合物および生物発光エネルギー移動(BRET)エネルギーアクセプター化合物であり、段階iii)で測定されるエネルギー移動が、生物発光エネルギー移動(BRET)である、本発明1001のアッセイ法。
[本発明1006]
前記エネルギードナー化合物および前記エネルギーアクセプター化合物が、アルファスクリーンドナービーズおよびアルファスクリーンアクセプタービーズであり、段階iii)で測定されるエネルギー移動が、一重項酸素から該アクセプタービーズ内のチオキセン誘導体へのエネルギー移動である、本発明1001のアッセイ法。
[本発明1007]
前記抗体の前記標的抗原への結合および機能性が、同じバイアル中で測定される、本発明1001〜1006のいずれかのアッセイ法。
[本発明1008]
前記標的抗原が、前記エネルギードナー化合物によって共有結合的または非共有結合的に標識される、本発明1001〜1007のいずれかのアッセイ法。
[本発明1009]
前記エネルギードナー化合物が、コムギ胚芽凝集素(WGA)に共有結合的または非共有結合的に連結される、本発明1001〜1007のいずれかのアッセイ法。
[本発明1010]
前記レポーター遺伝子が、蛍光タンパク質をコードしている遺伝子、またはその触媒活性を検出することができる酵素をコードしている遺伝子より選択される、本発明1001〜1009のいずれかのアッセイ法。
[本発明1011]
前記レポーター遺伝子が、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはルシフェラーゼをコードしている、本発明1010のアッセイ法。
[本発明1012]
前記標的抗原が細胞表面受容体である、本発明1001〜1011のいずれかのアッセイ法。
[本発明1013]
段階iii)およびiv)が、連続的または同時に実施される、本発明1001〜1012のいずれかのアッセイ法。
[本発明1014]
前記標的抗原および前記応答エレメントが、NF-κB経路の一部分である、本発明1001〜1013のいずれかのアッセイ法。
[本発明1015]
前記応答エレメントが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、または5のDNA配列を有している少なくとも1つのDNAリピートを含む、本発明1014のアッセイ法。
[本発明1016]
前記応答エレメントが、SEQ ID NO: 6、7、8、または9のDNA配列を含む、本発明1014または1015のアッセイ法。
[本発明1017]
前記標的抗原の応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子をコードしているDNA配列を含む発現ベクターを用いて細胞をトランスフェクションする予備段階を含む、本発明1001〜1016のいずれかのアッセイ法。
[本発明1018]
本質的に本明細書において前述したようなアッセイ法。
I. 定義
本明細書において使用される場合、「レポーター遺伝子」とは、その発現を分析することができる遺伝子を意味する。1つの好ましい態様において、「レポーター遺伝子」とは、試験しようとする抗体またはリガンドの活性を間接的に検出するための代用物としてその産生および検出が使用されるタンパク質をコードする遺伝子である。レポータータンパク質は、レポーター遺伝子によってコードされる、そのタンパク質である。好ましくは、レポーター遺伝子は、その触媒活性を単純なアッセイ方法によって検出できる酵素をコードするか、または内部蛍光のような特性を有しており、その結果、最低限の試料調製しか必要としない単純かつ迅速なアッセイ法でレポーター遺伝子の発現を検出できるタンパク質をコードする。その触媒活性を検出できる酵素の非限定的な例は、ルシフェラーゼ、βガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼである。ルシフェラーゼは、分子量(MW)が61kDaである単量体酵素である。ルシフェラーゼは、触媒として作用し、アデノシン三リン酸(ATP)およびMg2+の存在下でD-ルシフェリンをルシフェリルアデニル酸に変換することができる。さらに、ピロリン酸(PPi)およびアデノシン一リン酸(AMP)が副産物として生成する。次いで、中間体であるルシフェリルアデニル酸が酸化されてオキシルシフェリン、二酸化炭素(CO2)、および光となる。オキシルシフェリンは、反応によって放出される光に基づいてルミノメーターで定量的に測定することができる生物発光産物である。ルシフェラーゼレポーターアッセイ法、例えばルシフェラーゼ1000アッセイシステムおよびONE-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイシステムは市販されており、当技術分野において公知である。
1表A中のすべてのCDR定義の番号付与は、Kabatらによって説明される番号付与の慣例に従っている(下記を参照されたい)。
2表A中で使用される、小文字の「b」を含む「AbM」は、Oxford Molecularの「AbM」抗体モデリングソフトウェアによって定義されるCDRを意味する。
100×比X/Y
上式で、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムによるAおよびBのアラインメントにおいて同一のマッチとして採点されたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくならないことが認識されるであろう。別段の記載が特に無い限り、本明細書において使用されるアミノ酸配列同一性%の値はすべて、すぐ前の節で説明したようにして、ALIGN-2コンピュータープログラムを用いて得られる。
本発明者らは、1つのウェルまたはバイアル中で抗体またはリガンドの結合および機能性を一緒に解析することを可能にする、ハイスループット形式(384ウェル)に適しているアッセイ法を開発した。抗体またはリガンドの機能性(例えば、抗体またはリガンドの生物活性、例えば、抗体またはリガンドが細胞応答を誘発して、例えば標的抗原を活性化または阻害する能力)を、応答エレメントが活性化されると発現されるレポーター遺伝子を有しているトランスフェクトされたレポーター細胞を用いることによって評価する。1つの態様において、該レポーター遺伝子は、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質、GFP)をコードしている遺伝子および/またはその触媒活性を検出できる酵素(例えばルシフェラーゼ)をコードしている遺伝子より選択される。結合を検討するために、細胞ベースのFRET法、BRET、またはアルファスクリーンを適用する。
i)細胞を提供する段階であって、該細胞が
a)該細胞の表面で標的抗原を発現し、
b)エネルギードナー化合物で共有結合的または非共有結合的に標識されており、かつ
c)標的抗原の応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子を含む、
段階;
ii)試験しようとする抗体またはリガンドを添加する段階;
iii)エネルギー移動を測定することによって標的抗原への結合を測定する段階であって、エネルギーアクセプター化合物が、試験しようとする抗体かまたは一次抗体(第1の抗体)に結合する二次抗体のいずれかに共有結合的または非共有結合的に結合している、段階;および
iv)レポーター遺伝子の発現レベルと標的抗原の活性化レベルまたは阻害レベルとの相関関係を明らかにすることによって、抗体またはリガンドの機能性を明らかにする段階。
。1つの態様において、該応答エレメントは、前述のDNAリピートのうちの3〜6個、3個、または6個を含む。1つの態様において、該応答エレメントは、前述のDNAリピートのうちの3〜6個、3個、または6個、および1個、2個、3個、または4個の付加的なヌクレオチドを含む。
以下は、本発明の方法および組成物の例である。上記に提供した一般的説明を前提として、他の様々な態様が実行され得ることが理解される。
HeLa NFκB-Luc細胞の一過性トランスフェクションの最適化
HeLa NFκB-Luc細胞は、SNAPタグ(登録商標)受容体X融合物をコードする遺伝子を有しているプラスミドでトランスフェクトしなければならなかった。最良のトランスフェクション方法を明らかにするために、ウェル当たりの播種細胞数ならびに3種の異なるトランスフェクション試薬(Lipofectamine(登録商標)2000、Lipofectamine(登録商標)LTX、およびX-tremeGene HP DNAトランスフェクション試薬)を評価した。
6通りの異なる細胞数を6ウェルプレートに播種して(ウェル当たり300000個、400000個、最大800000個の生細胞)、24時間のインキュベーション期間後に70%の集密度を達成するのに使用すべき最適数を見つけた。
トランスフェクション試薬を評価するために、ウェル当たり500000個のHeLa NFκB-Luc生細胞を6ウェルプレートに播種し、37℃、5% CO2で24時間、インキュベートした。細胞をPBS 1mlで洗浄し、予め温めた増殖培地2mlを加え、次いで各ウェルを異なるトランスフェクション試薬で処理した。
最良のトランスフェクション方法を明らかにするために、3種の異なるトランスフェクション試薬、すなわちLipofectamine 2000、Lipofectamine LTX、およびXtreme Gene HPを6ウェルプレートにおいて試験した。各試薬について、ウェル当たり500000個の生細胞を播種した。その後、SNAPタグ融合タンパク質をドナー蛍光体テルビウムで標識して、プロスペクティブなTag-lite(登録商標)実験を実施した。さらに、テルビウム標識によって、波長615nmでの蛍光を測定する場合、トランスフェクション効率の測定が可能になる。さらに、トランスフェクションおよび標識後の細胞生存率も測定した(図1)。図1は、Lipofectamine LTXがHeLa細胞をトランスフェクトするための最良の試薬であったことを示している。トランスフェクションおよび標識後の細胞生存率が最も優れていたことに加えて、最大のテルビウムシグナルも達成することができた。一方、Xtreme Gene HPならびにLipofectamine 2000は、より多くの細胞を死滅させ、トランスフェクションのレベルは低かった。
最良のトランスフェクション方法を決定した後、進行中のプロジェクトのために計画された実験用に、より多くの数の細胞をトランスフェクトし標識しなければならなかった。HeLa NFκB-Luc細胞のほかに、HEK NFκB-Luc-GFP細胞もトランスフェクトしなければならなかった。したがって、15×106(Mio)個のHeLa NFκB-Luc生細胞および11×106個のHEK NFκB-Luc-GFP生細胞を、トランスフェクションの1日前に、T150細胞培養フラスコに入れた25mlのDMEM+10%FBS中に播種した。HeLa細胞のトランスフェクション複合物(complex)は、SNAP-受容体Xプラスミド18.75μgをOpti-MEM(登録商標)I低血清培地7.5mlに添加することによって調製し、一方、HEK細胞の場合は、DNA 37.5μgを同じ体積のトランスフェクション培地中に希釈した。希釈物を穏やかに混合した後、Lipofectamine(登録商標)LTX DNAトランスフェクション試薬75μlを添加した。細胞をT150細胞培養フラスコ中で洗浄した後、トランスフェクション複合物を滴下して加え、加湿インキュベーター中で24時間インキュベートした。その後、トランスフェクトされた細胞を再び洗浄し、加湿インキュベーター中で37℃で1時間インキュベーションすることによって100nM標識試薬希釈物10mlで標識した。これらの細胞をPBS中で3回洗浄し、Beckmann Coulter Vi-cell(商標)XRを用いて計数した。次いで、細胞を300gで5分間遠心分離し、Tag-lite(登録商標)反応緩衝液中に再懸濁して、タンパク質発現を測定した。したがって、ウェル当たり10000個の生細胞を、体積20μlのTag-lite(登録商標)反応緩衝液中で使用した。テルビウムシグナルは、615nmの波長で2ウェルずつ測定した。細胞懸濁液を再び遠心分離し、上清を廃棄し、90%の加熱不活性化FBSおよび10%のDMSOである適切な体積の凍結培地中にペレットを再懸濁して、1×106細胞/mlとなるようにした。イソプロパノールを含むNalgene(登録商標)低温貯蔵用バイアル凍結箱を用いて凍結保存用バイアル(cryovial)中で、-80℃で0.5mlおよび1mlの分取物を凍結した。
進行中のプロジェクトのために、より多量の細胞が必要であった。したがって、HEK NFκB-Luc-GFP細胞およびHeLa NFκB-Luc細胞を、Lipofectamine LTXを用いてT150細胞培養フラスコ中でトランスフェクトし、テルビウムシグナルを測定した(図2)。
一般的なTag-lite(登録商標)プロトコール
Tag-lite(登録商標)反応緩衝液に溶かした抗体Iと呼ばれる抗ヒト受容体X抗体の2倍希釈系列を、100nM〜0.2nMの範囲で調製した。抗ヒトIgG-d2検出抗体を同じ緩衝液で希釈して、最終濃度が150nM/ウェルになるようにした。SNAP-受容体Xプラスミドで一過性にトランスフェクトしテルビウムで標識したHEK NFκB-Luc-GFP細胞を、各アッセイ法で使用した。細胞株を解凍し、350 gで5分間遠心分離することによってPBS 10mlで洗浄した。上清を廃棄し、Tag-lite(登録商標)反応緩衝液にペレットを再懸濁して、1×106細胞/mlを得た。Tag-lite(登録商標)アッセイ法では、これらの細胞は一定の細胞数で使用されず、その代わりに、一定のTbシグナルに合わせられる。このアッセイ法でウェル当たり何個の細胞を使用しなければならないかを明らかにするために、再懸濁した細胞10μl(10000細胞/ウェル)を384ウェルプレート中でTag-lite(登録商標)反応緩衝液10μlと3ウェルずつ混合し、615nmでのテルビウムシグナルをVictor3(商標)プレートリーダーで測定した。次いで、Tag-lite(登録商標)アッセイ法のために、Victor3(商標)プレートリーダーで測定されるテルビウムシグナルが20000〜30000カウント/ウェルの間になるように細胞数を調整した。Tag-lite(登録商標)アッセイ法では、10μlの希釈細胞、5μlの抗ヒトIgG-d2、および5μlの抗体希釈系列を用いてピペット分注した(pipetted)。ブランクとして、10μlの細胞、5μlの二次抗体、および5μlの緩衝液をピペット分注した。測定はいずれも、3ウェルずつ実施した。室温で0時間、2時間、および4時間インキュベーションした後、Tecan Infinite(登録商標)M1000 Proプレートリーダーを用いてプレートを測定した。
トランスフェクションおよび標識の後、受容体Xを標的とする2種の異なるIgG(抗体Iおよび抗体II)を用いる間接的Tag-lite(登録商標)結合アッセイ法で、両方の細胞株を試験した(図3)。図3は、抗体Iの方が抗体IIよりも両方の細胞株(受容体Xを発現するHEK NFκB-Luc-GFP細胞およびHeLa NFκB-Luc細胞)にうまく結合することを示している。抗体Iの結合シグナルは、両方の細胞株に対して同じ強さであった。抗体IIの場合、HeLa NFκB-Luc-受容体X-Tb細胞に対しては弱いシグナルしか検出することができず、HEK NFκB-Luc-GFP-受容体X-Tb細胞では結合を認めることができない。したがって、進行中の実験のために抗体Iを使用した。
HEK NFκB-Luc-GFP細胞をSNAP-受容体Xプラスミドで一過性にトランスフェクションした後、これらの細胞を凍結し、日々の実験のために使用した。解凍した一過性にトランスフェクションした細胞を培養状態にした後の受容体の安定性を明らかにするために、間接的Tag-lite(登録商標)結合アッセイ法を3日間、毎日実施した。したがって、解凍した細胞を6ウェルプレートの4つのウェル中に分け、4mlのFluoroBrite(商標)DMEM+10%FBS中で培養した。毎日、この6ウェルプレートの1つのウェルの細胞を剥離し、350gで5分間遠心分離し、FluoroBrite(商標)DMEM+10%FBS中に再懸濁して、最終濃度を1×106細胞/mlにした。次いで、ウェル当たり10000個の細胞を、FluoroBrite(商標)DMEM+10%FBS媒体に溶かした抗体IIIの80nM〜0.16nMの範囲の2倍希釈系列と混合して、結合を試験した。抗ヒトIgG-d2検出抗体を同じ媒体で希釈して、最終濃度が75nM/ウェルになるようにした。テルビウムシグナルを毎日モニターした。
一過性にトランスフェクトされた細胞の細胞表面の受容体の存在を経時的にモニターした。細胞の解凍直後(0日目)およびまたその後の3日間、10000個/ウェルの解凍細胞または培養細胞を用いて、間接的Tag-lite(登録商標)結合アッセイ法(図8)ならびに細胞のテルビウムシグナル測定(図9)を実施した。図8は、0日目から1日目に結合シグナルが有意に減少し、2日目および3日目では、まったくなかったことを示している。0日目時点の比665nm/620nm×10000は約10000であったのに対し、1日後、Bmaxは約3000であった。これは元のシグナルの70%に相当する。0日目および1日目時点のKD値はどちらもナノモル濃度範囲であり、それぞれ0.49nM±0.08nM(R2=0.98)、および0.12nM±0.03nM(R2=0.87)であった。
これらのアッセイ法の解析のために、生データをMicrosoft Excelによって最初に編集した。HTRFアッセイ法において、結果の変動は、細胞、媒体添加物のピペット分注段階が原因で、およびウェル当たりの溶解細胞数に起因して、ウェルごとに起こり得る。そのような変動を最小限にするために、665nmと620nmの比を算出することによって、アクセプターの発光を各ウェルのドナーシグナルの発光に対して標準化した:
比 = 665nm/620nm×10000。
Y =(Bmax × X)/(KD + X)。
2種の異なる細胞株のルシフェラーゼ活性化の評価
一過性トランスフェクションのために使用されるHeLa NFκB-Luc細胞ならびに既に安定にトランスフェクトされたNFκB-Luc-受容体X細胞を、TNFαによって刺激した際のルシフェラーゼ活性について比較した。
前述したのと同じアッセイ法を、ただしDMEM+10%FBS中に80000細胞/ウェルで播種した一過性にトランスフェクトされたHEK NFκB-Luc-GFP-SNAP-受容体X細胞のみを用いて、3ウェルずつ実施した。TNFα受容体を介した活性化に加えて、オリゴマー化するとNFκB経路を同様に活性化することができるはずである受容体Xに結合させるために、抗体Iを使用した。したがって、抗体Iの120〜0.03nMの範囲の4倍希釈系列を調製し、各濃度50μlを細胞に添加し、続いて、37℃および5% CO2で15分間のインキュベーション段階を行った。NFκB経路を活性化するのに必要とされる受容体を高度架橋(hypercrosslinking)するために、二次抗体(抗hu IgG Fcγ特異的ヤギIgG F(ab)2)50μlを使用した。この二次抗体の濃度は480nMで一定に保った。この濃度は、一次抗体と比べて少なくとも4倍モル濃度過剰となる。
ルシフェラーゼ1000アッセイシステムに加えて、ONE-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイシステムも試験し、結果を比較した。したがって、一過性にトランスフェクトされたHEK NFκB-Luc-GFP-SNAP-受容体X細胞を、陽性対照としての機能を果たす安定にトランスフェクトされたHEK NFκB-Luc-GFP-受容体X細胞と比較して試験した。さらに、TNFαならびに受容体Xによる活性化も解析した。
最初に、ルシフェラーゼアッセイ法でHeLa NFκB-Luc細胞をHeLa NFκB Luc-受容体X細胞と比較した。後者は、TNFα受容体によってNFκB経路を活性化する能力が公知であり、したがって、それらを陽性対照として使用した(データ不掲載)。陽性対照によるものとほぼ同じ発光シグナルが、HeLa NFκB-Luc細胞によって達成された(reached)。したがって、NFκB経路はTNFαによって活性化されることができ、このことは、SNAP-受容体Xをコードする遺伝子を有しているプラスミドをトランスフェクションするためにこれらの細胞を使用できることを意味した。
機能性および結合の組合せアッセイ法のために、通常は96ウェルプレートで実施されるルシフェラーゼアッセイ法を384ウェルプレートに移す必要があった。ONE-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイ法を96ウェルプレートで実施したが、ウェル当たり30000個の細胞を使用する代わりに、わずか5000個の細胞を使用した。一次抗体および二次抗体をそれぞれ10nMおよび40nMの一定濃度に保ち、一方、TNFαは濃度50ng/mlで使用した。37℃および5% CO2で24時間インキュベーションした後、適切な体積の上清を除去して、各ウェルに体積15μlが残るようにした。ウェル当たり15μlのONE-Glo(商標)ルシフェラーゼ試薬を添加した。測定は、安定なHEK NFκB-Luc-GFP-受容体X細胞を用いて3ウェルずつ実施した。
機能性および結合の評価を組み合わせることは、ハイスループットなスクリーニング(HTS)のために使用されると考えられた。こういう理由で、またコストが理由で、ルシフェラーゼアッセイ法をTag-lite(登録商標)実験と調和させるために、96ウェルプレートから384ウェルへの「規模縮小」を試験した(図13)。
ルシフェラーゼアッセイ法はすべて、10nMの一次抗体および40nMの二次抗体を用いて実施した。このアッセイ法の目的は、5種の希釈物を用いて一次抗体(第1の抗体)を用量設定すること、および検出のために二次抗体を1:4の比で保つことであった。
機能性アッセイ法のために、二次抗体(抗hu IgG Fcγ特異的ヤギIgG F(ab)2)を架橋のために使用した。ルシフェラーゼアッセイ法と結合アッセイ法を組み合わせるために、アクセプター蛍光体d2で標識されている抗体が必要であった。抗hu IgG Fcγ特異的ヤギIgG F(ab)2を標識しなければならないか、またはCisBio製の抗ヒトIgG-d2を使用できるかのどちらかであった。一次抗体は、先にアッセイ法で最適化されていた40nMの一定濃度で保ったのに対し、一次抗体と二次抗体の比は1:1から1:5の比に変わった。
抗ヒトIgG-d2検出抗体をTag-lite(登録商標)反応緩衝液で希釈して、最終濃度が75nM/ウェルになるようにした。Tag-lite(登録商標)反応緩衝液に溶かした抗体IIIの2倍希釈系列を、1.56nM〜0.01nMの範囲で調製した。安定なHEK NFκB-Luc-GFP受容体X細胞を解凍し350gで5分間遠心分離することによってPBS 10mlで洗浄した。上清を廃棄し、Tag-lite(登録商標)反応緩衝液にペレットを再懸濁して、1×106細胞/mlとなるようにした。0.05ng/μlのWGA-テルビウムを細胞懸濁液に添加し、室温で30分間インキュベートした。その後、細胞を再び洗浄し、適切な体積のTag-lite(登録商標)反応緩衝液に再懸濁して、最終濃度が1×106細胞/mlとなるようにした。
安定にトランスフェクトされた細胞を、テルビウムが結合されたレクチンWGAと共にインキュベートし、抗ヒトIgG-d2をアクセプター標識された二次抗体として用いることによって間接的HTRFアッセイ法を設定した(図15)。
組合せアッセイ法のために、FluoroBrite DMEM+10%FBSに溶かした抗体IIIの2倍希釈系列を、200nM〜0.1nMの範囲で調製した。これは、40nM〜0.02nMの範囲のウェル当たり最終濃度をもたらす。抗ヒトIgG-d2検出抗体を同じ媒体で希釈して、最終濃度が120nM/ウェルになるようにした。SNAP-受容体Xプラスミドで一過性にスーパートランスフェクトしテルビウムで標識したHEK NFκB-Luc-GFP細胞を使用した。細胞株を解凍し、350gで5分間遠心分離することによってPBS 10mlで洗浄した。上清を廃棄し、FluoroBrite DMEM+10%FBSにペレットを再懸濁した。このアッセイ法では、ウェル1つにつき、媒体15μlに溶かした10000個の細胞、5μlの抗ヒトIgG-d2、および5μlの抗体希釈系列を用いて、384ウェルプレートにピペット分注した。ブランクとして、15μlの細胞、5μlの二次抗体、および5μlの緩衝液をピペット分注した。測定はいずれも、3ウェルずつ実施した。37℃および5% CO2で0時間、2時間、および4時間インキュベーションした後、Tecan Infinite(登録商標)M1000 Proプレートリーダーを用いてプレートを測定した。24時間のインキュベーション後、上清10μlを除去して、ウェル当たり最終体積15μlが残るようにした。ウェル当たり15μlのONE-Glo(商標)ルシフェラーゼ試薬を添加した。暗所で5分間のインキュベーション後、500msの積分時間を用いてSpectraMax M5/M5eプレートリーダーによって、発光を測定した。ブランクとして、ルシフェラーゼ試薬を含む非活性化溶解細胞のシグナルを引いた。
機能性および結合の評価を組み合わせるのに適した細胞株の評価
新しいアプローチは、安定にトランスフェクトされたHEK NFκB-Luc-GFP-受容体X細胞を「一過性にスーパートランスフェクトする」ことである。これは、SNAP-受容体Xをコードしているプラスミドを用いて、SNAPタグ(登録商標)に融合された受容体Xを再びHEK NFκB-Luc-GFP-受容体X細胞にトランスフェクトすることを意味する。その後、これらの細胞をテルビウムで標識し、通常の間接的Tag-lite(登録商標)結合実験に使用することができた(図16)。一過性にトランスフェクトされた細胞は、最初の実験で抗体IIIとの良好な結合を示したことから、これらを対照として使用した。図16は、一過性にトランスフェクトされた細胞と比べて一過性にスーパートランスフェクトされた細胞の場合に比が小さかったことを示している。しかし、シグナルは、正確な(nice)曲線当てはめを実現しKD値を決定するのに十分な大きさであった。KDは両方の細胞型について同じであった。スーパートランスフェクトされたHEK NFκB-Luc-GFP受容体X-Tb細胞およびトランスフェクトされたHEK NFκB-Luc-GFP受容体X-Tb細胞についてそれぞれ、0.09nM±0.02nM(R2=0.92)および同じく0.09nM±0.02nM(R2=0.96)であった。
結合アッセイ法を機能性アッセイ法と組み合わせるための必要なパラメーターすべてを評価し、定めた。
細胞株の評価
SNAP-受容体Xプラスミドのトランスフェクションに先立って、ルシフェラーゼアッセイ法でHEK NFκB-Luc-GFPおよびHeLa NFκB-Lucを試験した。HEK NFκB-Luc-GFP細胞のシグナルは、HeLa NFκB-Luc細胞の場合に検出されたものよりも有意に高かったが、これら2種の細胞株の増殖速度は全く異なるため、これらを比較すべきではない。活性化の前日に、同じ量の細胞を播種した。HEK NFκB-Luc-GFP細胞の方がずっと速く分割するため、より多くの細胞を翌日に活性化することができた。さらに別の実験をする場合、HEK NFκB-Luc-GFP細胞よりも多い細胞数のHeLa NFκB-Luc細胞を播種しなければならない。しかし、どちらの細胞株もうまく活性化することができたため、SNAPタグ(登録商標)に融合された標的受容体のトランスフェクションのためにそれらを使用した。
間接的Tag-lite(登録商標)結合アッセイ法において、抗体Iを抗体IIと比較した。これらの抗体の差異は、抗体Iの軽鎖の相補性決定領域(CDR)中の1つのアミノ酸の交換であった。このことが、抗体Iが抗体IIとは違って標的に結合する理由であるに違いない。
Tag-lite(登録商標)アッセイ法で良好な結合を示した抗体Iを、一過性トランスフェクションおよび標識後に、最初のルシフェラーゼアッセイ法のために使用した。さらに、NFκB経路がTNFαによって活性化されるかも試した。TNFαによる活性化はかなり上手く機能した。このことから、細胞のトランスフェクションおよび標識によって細胞は改変されず、NFκB経路は引き続き機能することが実証された。また、活性化を行わずにアッセイ法で使用された細胞もあり、これらはシグナルから引かれるブランクとして役立った。これにより、細胞はいかなるルシフェラーゼも構成的に発現しないことが確認された。抗体Iおよび二次抗体を用いて細胞を活性化した場合、弱い発光シグナルしか観察されなかった。抗体Iは最良の結合体の内の1つであることが判明しているため、このことは、組合せアッセイ法を実施する必要性を示す良い例であった。
WGAは、細胞表面で発現された受容体の直接的標識を避けることにより、新しい方法で、細胞ベースのタンパク質-タンパク質相互作用測定を実施することを可能にする。SNAPタグ(登録商標)を避け、かつ安定にトランスフェクトされた細胞を組合せアッセイ法に使用することを可能にするためのアプローチは、WGAを用いることによってそれらをテルビウムで標識することであった。したがって、間接的HTRFアッセイ法を実施することができた。KD値は、0.15nM±0.03nMであった。これは、一過性にトランスフェクトされた受容体X発現HEK NFκB-Luc-GFP細胞に対する通常のTag-lite(登録商標)実験で測定されたのと同じ範囲であった。したがって、標識ツールとしてのWGAは、組合せアッセイ法を実施するためのこの設定においても有用であると思われるが、時間的制約のため、それ以上評価することはできなかった。
安定にトランスフェクトされたHEK NFκB-Luc-GFP-受容体X細胞の一過性スーパートランスフェクションは第2のアプローチであった。このアプローチは、通常の間接的Tag-lite(登録商標)結合実験を実施することを可能にする。結合アッセイ法でそれらを試験することに加えて、ルシフェラーゼアッセイ法も、この細胞株を用いて評価した。したがって、これらの細胞を用いて、一次抗体の最適濃度を明らかにし、同時に、それらを、一過性にトランスフェクトされた受容体X発現HEK NFκB-Luc-GFP細胞および安定にトランスフェクトされた受容体X発現HEK NFκB-Luc-GFP細胞と比較した。抗体IIIのどの濃度に対しても、スーパートランスフェクトされた細胞が、最も強い発光シグナルをはっきりと示している。スーパートランスフェクトされた細胞の方が、安定な細胞と比べて高いシグナルを示す1つの理由は、より多くの標的受容体が細胞表面に存在していたということである。したがって、より多くの抗体が結合することができ、より多くの架橋が起こることができ、その結果、NFκB経路がより強く活性化された。通常、安定にトランスフェクトされた細胞のシグナルは、このアッセイ法では極めて低い。その理由は、細胞を継代する際の誤った取り扱いである可能性が高かった。非常に遅くに分けられ、それらの細胞が高い集密度を有している場合には、それほど上手くそれらの細胞を活性化できないことが観察された。一部の細胞が細胞表面の受容体を失ったか、それらがシグナル伝達事象をどういうわけか下方調節したかのいずれかであった。
両方の個別のアッセイ法、すなわちルシフェラーゼアッセイ法およびTag-lite(登録商標)アッセイ法のパラメーターを調整して、1つのウェル中で両方を組み合わせる新しいアッセイ法を開発することが可能であった。例えば、Tag-lite(登録商標)アッセイ法は、室温でのインキュベーションの代わりに37℃で実施することができる。さらに、Tag-lite(登録商標)反応緩衝液の代わりに培地を使用することができ、また1つのウェルに播種される細胞の量も、大幅に変動することができ、それによって結果は変わらない。さらに、ONE-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイシステムの規模縮小は、上手く機能した。したがって、組合せアッセイ法を、過去にTag-lite(登録商標)実験のためにも使用された384ウェルプレート中で実施することができた。この規模の利点は、必要とされる試薬の量が少ないことから全費用が減少することだけでなく、さらに、HTSを実施するのに適していることである。
様々なアッセイ法を評価するために、huDR5特異的抗体ドロジツマブを使用した。HuDR5は、HEK EBNA細胞によって発現された。アルファスクリーンに基づく方法のために、ビオチン標識WGAをストレプトアビジンドナービーズ(PerkinElmer)に結合させ、DR5へのドロジツマブの結合を、抗体のFc部分に結合するProtAアクセプタービーズ(PerkinElmer)を用いて検出した。ビーズは感光性であるため、すべてのピペット分注段階および測定を暗所で実施したことは注目に値する。
アッセイウィンドウを決定するために、1.4nMのWGA-ビオチンおよび10000個の細胞を用いてアルファスクリーンアッセイ法を実施した。PerkinElmer社は、各ビーズ、すなわちアクセプターおよびドナーについて濃度10μg/mlを推奨した。最初に、10μg/mlのストレプトアビジンドナービーズを1.4nMのWGA-ビオチンと混合し、30分間インキュベートした。その間に、濃度1200nMから始まる0.0011nMまでのドロジツマブの希釈系列(dilution row)を4倍希釈段階で調製した。huDR5 SNAPタグを発現するHEK EBNA細胞を解凍し、10mlの1×PBSで洗浄し、350gで8分間遠心分離した。上清を廃棄した。ペレットを適切な体積に再懸濁して、1×106細胞/mlとなるようにした。再懸濁した細胞にWGA-ビオチンで標識したストレプトアビジンビーズを添加し、室温で30分間インキュベートした。細胞をインキュベートしている間、希釈した抗体5μlを384ウェルプレートに2ウェルずつ移し、5μlのプロテインAアクセプタービーズ(10μg/ml)を添加した。この384プレートを30分間インキュベートした。これらの細胞に10mlになるまで1×反応緩衝液を加え、350gで8分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを1×反応緩衝液を用いて適切な体積に再懸濁して、1.0×106細胞/mlになるようにした。WGA-ストレプトアビジンビーズで標識した細胞10μlを384ウェルプレートの各ウェルに移した。10μlのWGA-ストレプトアビジン標識細胞、5μlのプロテインAアクセプタービーズ、および5μlの1×反応緩衝液を用いてブランクを調製した。測定はいずれも、2ウェルずつ実施した。1時間、2時間、3時間、および4時間後に、アルファスクリーンテンプレートを用いてTecan M1000 Proリーダーによって384ウェルプレートを測定した。ブランクを引き、GraphPad Prismでさらに解析することによって、生データをExcelで評価した。
最初に、10μg/mlのストレプトアビジンドナービーズを1.4nMまたは2.8nMいずれかのWGA-ビオチンと混合し、30分間インキュベートした。その間に、濃度6.25nMから始まる0.020nMまでのドロジツマブの希釈系列を2倍希釈段階で調製した。huDR5 SNAPタグを発現するHEK EBNA細胞を解凍し、2本の15ml容Falconチューブに分け、10mlの1×PBSで洗浄し、350gで8分間遠心分離した。上清を廃棄した。これら2本のバイアルのペレットを適切な体積に再懸濁して、1×106細胞/mlまたは2.0×106細胞/mlとなるようにした。再懸濁した細胞にWGA-ビオチンで標識したストレプトアビジンビーズを移し、室温で30分間インキュベートした。細胞をインキュベートしている間、希釈した抗体5μlを384ウェルプレートに2ウェルずつ移し、5μlのプロテインAアクセプタービーズ(10μg/ml)を添加した。この384プレートを30分間インキュベートした。これらの細胞に10mlになるまで1×反応緩衝液を加え、350gで8分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを1×反応緩衝液を用いて適切な体積に再懸濁して、1.0×106細胞/mlおよび2.0×106細胞/mlになるようにした。WGA-ストレプトアビジンビーズで標識した細胞10μlを384ウェルプレートに移した。10μlのWGA-ストレプトアビジン標識細胞、5μlのプロテインAアクセプタービーズ、および5μlの1×反応緩衝液を用いてブランクを調製した。測定はいずれも、2ウェルずつ実施した。1時間、2時間、3時間、および4時間後に、アルファスクリーンテンプレートを用いてTecan M1000 Proリーダーによって384ウェルプレートを測定した。生データを、ブランクを引くことによってExcelで評価し、さらにGraphPad Prismで解析する(analyses)。
どのアクセプター/ドナーペアが一番良く機能するかを明確にするために、2.8nMのWGA-ビオチンおよび20000個の細胞を用いてアルファスクリーンアッセイ法を実施した。最初に、10μg/mlのストレプトアビジンドナービーズまたは10μg/mlのストレプトアビジンアクセプタービーズを2.8nMのWGA-ビオチンと混合し、30分間インキュベートした。その間に、濃度25nMから始まる0.024nMまでのドロジツマブおよびAbYの希釈系列を2倍希釈で調製した。huDR5 SNAPタグを発現するHEK EBNA細胞を解凍し、2本の15ml容Falconチューブ、すなわち各ストレプトアビジンビーズ(ドナーまたはアクセプター)用の1本ずつに分けた。これらの細胞を10mlの1×PBSで洗浄し、350gで8分間遠心分離した。上清を廃棄した。これら2本のバイアルのペレットを適切な体積に再懸濁して、2.0×106個細胞/mlとなるようにした。再懸濁した細胞にWGA-ビオチンで標識したストレプトアビジンビーズを移し、室温で30分間インキュベートした。細胞をインキュベートしている間、希釈した抗体5μlを384ウェルプレートに2ウェルずつ移し、5μlのプロテインAドナービーズ(10μg/ml)またはプロテインAアクセプタービーズ(10μg/ml)のいずれかを添加した。この384プレートを30分間インキュベートした。これらの細胞に10mlになるまで1×反応緩衝液を加え、350gで8分間遠心分離した。上清を廃棄し、両方のバイアルのペレットを1×反応緩衝液を用いて適切な体積に再懸濁して、2.0×106細胞/mlになるようにした。WGA-ストレプトアビジンビーズで標識した細胞10μlを384ウェルプレートに移した。10μlのWGA-ストレプトアビジン標識細胞、5μlのプロテインAビーズ、および5μlの1×反応緩衝液を用いてブランクを調製した。測定はいずれも、2ウェルずつ実施した。1時間、2時間、3時間、および4時間後に、アルファスクリーンテンプレートを用いてTecan M1000 Proリーダーによって384ウェルプレートを測定した。生データを、ブランクを引くことによってExcelで評価し、かつGraphPad Prismで解析した。
最初に、10μg/mlのストレプトアビジンアクセプタービーズを2.8nMのWGA-ビオチンと混合し、30分間インキュベートした。その間に、濃度2.5nMから始まる0.020nMまでのドロジツマブの希釈系列を調製した。この希釈は、2倍希釈段階で行った。huDR5 SNAPタグを発現するHEK EBNA細胞を解凍し、10mlの1×PBSで洗浄し、350gで8分間遠心分離した。上清を廃棄した。ペレットを適切な体積に再懸濁して、2.0×106細胞/mlとなるようにした。再懸濁した細胞にWGA-ビオチンで標識したストレプトアビジンビーズを移し、室温で30分間インキュベートした。細胞をインキュベートしている間、希釈した抗体5μlを384ウェルプレートに2ウェルずつ移し、5μlのプロテインAドナービーズ(10μg/ml)を添加した。この384プレートを30分間インキュベートした。これらの細胞に10mlになるまで1×反応緩衝液を加え、350gで8分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを1×反応緩衝液を用いて適切な体積に再懸濁して、2.0×106細胞/mlになるようにした。WGA-ストレプトアビジンビーズで標識した細胞10μlを384ウェルプレートに移した。10μlのWGA-ストレプトアビジン標識細胞、5μlのプロテインAドナービーズ、および5μlの1×反応緩衝液を用いてブランクを調製した。測定はいずれも、3ウェルずつ実施した。1時間、2時間、3時間、および4時間後に、アルファスクリーン テンプレートを用いてTecan M1000 Proリーダーによって384ウェルプレートを測定した。ブランクを引くことによって生データをExcelで評価した。非線形回帰によってKD値を算出した。
データをバックグラウンドに対して標準化した。標準化したデータを非線形回帰によって評価して、ソフトウェアGraphPad Prism 6.0によって結合曲線およびKD値を明らかにした。以下の式に従うシグモイド用量応答(可変勾配)を用いて、結合曲線を適合させた。
アルファスクリーンのアッセイウィンドウの決定
最初のアッセイ法において、huDR5を発現するHEK EBNA細胞のウェル当たりの数、ビオチン標識WGAのウェル当たりの量、およびWGA-ビオチンと細胞とのインキュベーション期間は、WGA-HTRFでのものを採用した。10000細胞/ウェルおよび1.4nM/ウェルのWGA-ビオチンを使用した。両方の抗体を、ウェル中で4倍希釈して、300nMから始めて最終的に3.0×104nMまで希釈した。アルファスクリーンアッセイ法の最初の試験は、このアッセイ設定の考えがうまくいくはずであることを示した。しかし、ドロジツマブの曲線は、濃度0.018nMから始まり19nMまでの比較的小さなアッセイウィンドウを示した。
次の段階でこのアッセイ法を改善するために、細胞数を10000細胞/ウェルおよび20000細胞/ウェルに設定し、WGA-ビオチンの量を1.4nM/ウェルまたは2.8nM/ウェルのいずれかに設定した。より優れたアッセイウィンドウを得るために、希釈段階を5倍希釈ではなく2倍希釈に減らし、ウェル中の最終濃度50nMから始まる希釈系列とした。両方の抗体を、ウェル中で2倍希釈して、50nMから始めて最終的に0.049nMまで希釈した。1.4nM/ウェルのWGA-ビオチンを用いるどちらのアッセイ設定も、少ししか結合シグナルを示さないか、または結合シグナルを示さなかった。10000細胞/ウェルおよび2.8nM/ウェルのWGA-ビオチンを用いたアッセイ設定は、弱い結合曲線を示した。20000細胞/ウェルおよび2.8nM/ウェルのWGA-ビオチンを用いた場合、最も良い結果が得られた。
アルファスクリーンアッセイ法を実施するために、ストレプトアビジンドナービーズをProtAアクセプタービーズと共に使用すること、またはストレプトアビジンアクセプタービーズをProtAドナービーズと共に使用することのいずれも可能である。最良のドナー/アクセプターペアを明らかにするために、それらを互いに比較した。両方の抗体を、ウェル中で2倍希釈して、1.6nMから始めて最終的に0.006nMまで希釈した。これら2種の異なるドナー/アクセプターペアは、ほぼ同じ結合曲線を示した。R2値の差さえも、ほぼ同じであった。ストレプトアビジンドナービーズおよびProtAアクセプタービーズを用いて測定したアッセイ法では、R2値が0.99であり、ProtAアクセプタービーズとペアにしたストレプトアビジンアクセプタービーズを用いて測定したアッセイ法では、R2値が0.99であった。
アルファスクリーンの評価の結果は、アルファスクリーンを以下の設定で実行するということであった(表2)。
ジャーカットNFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞株は、活性化T細胞核内因子(NFAT)の活性の変化をもたらすT細胞活性化をモニターするように設計されている。
WGA-TbによるジャーカットNFATレポーター細胞の標識
ジャーカットNFAT細胞を遠心沈殿し、PBS/1%FCSまたは増殖培地のいずれかに再懸濁して、4×106細胞/mlを得た。続いて、0.5ng/μlのWGA-テルビウムを添加することによって1×106個の細胞を標識し、室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、280gで8分間遠心分離することによってPBSで細胞を2回洗浄した。最後に、細胞をPBS/1%FCSまたは増殖培地のいずれかに再懸濁して、4×106細胞/mlという最終数を得た。
CD3に結合するd2標識抗体ならびに結合しないd2標識対照IgGをPBS/1%FCSまたは増殖培地のいずれかに再懸濁し、1:2希釈段階で、最終的に50〜0.1nMの範囲の段階希釈物を作製した。40000個(10μl)の標識細胞を、384ウェル中で5μlの標識抗体および5μlのPBS/1%FCSまたは増殖培地と混合した。結合アッセイ法は、37℃で5時間インキュベートした。M1000 Proリーダーを用いて、60秒の遅延時間後に665nmならびに615nmでの吸光度を測定することによって、TR-FRETシグナルを測定した。40000個のWGA-Tb標識ジャーカット-NFAT細胞が、ブランクとしての機能を果たした。665nm/615nmの比を各ウェルについて決定して、各ウェルのドナーシグナルに対する個々のFRETシグナルを標準化した。さらに、GraphPad Prism 6.0でKD値およびEC50値を決定する前に、ブランクの比を試料の比から引いた。非線形回帰を用いて結合曲線を当てはめた。BmaxおよびKDは、式Y =(Bmax × X)/(KD + X)を用いる「一部位特異的結合」モデルを用いて決定した。
HTRF生データの評価。これらのアッセイ法の解析のために、生データをMicrosoft Excelによって最初に編集した。HTRFアッセイ法において、結果の変動は、細胞、媒体添加物のピペット分注段階が原因で、およびウェル当たりの溶解細胞数に起因して、ウェルごとに起こり得る。そのような変動を最小限にするために、665nmと620nmの比を計算することによって、アクセプターの発光を各ウェルのドナーシグナルの発光に対して標準化した:比=665nm/620nm×10000。GraphPad Prism 6.0と呼ばれるソフトウェアによって、算出された比の値を評価した。非線形回帰を用いて結合曲線を当てはめた。BmaxおよびKDは、式Y =(Bmax × X)/(KD + X)を用いる「一部位特異的結合」モデルを用いて決定した。
37℃で6時間のインキュベーション後に細胞を溶解することによって、結合アッセイ法と同じウェルからCD3シグナル伝達を測定した。したがって、ウェル当たり5μlのアッセイ混合物を取り出し、続いて15μのOne-Gloルシフェラーゼ試薬を添加した。暗所、室温で5〜10分間インキュベーションした後、1000msの積分時間を用いてM1000 Proプレートリーダーによって発光シグナルを測定した。ブランクとして、ルシフェラーゼ試薬を含む非活性化溶解細胞のシグナルを引いた。測定は、3ウェルずつ実施した。
結合アッセイ法
増殖培地(図23a)ならびにPBS/1%FCS(図23b)において、CD3結合を検出することができた。非結合対照は、このアッセイシステムにおいていかなる結合も示さない。増殖培地におけるCD3への抗CD3の結合に関するKD値は、PBS/1%おける当該KD値と比べて約7倍大きく、それぞれ7nMと0.98nMである。
これらの結果から、両方の条件下で同様の結合が観察されたものの、CD3結合の際のシグナル伝達は増殖培地(図24a)中でのみ機能し、PBS/1%FCS(図24b)中では機能しなかったことが示される。ルシフェラーゼ活性のEC50は1.4nMであった。
ジャーカットNFATレポーター細胞株におけるCD3結合および機能性評価実験は、1つのウェル中でハイスループットな形式で結合および機能性を測定できるアッセイシステムの追加例である。
Claims (15)
- 以下の段階を含む、標的抗原に特異的に結合する抗体またはリガンドの結合および機能性を明らかにするためのインビトロアッセイ法:
i)細胞を提供する段階であって、該細胞が
a)該細胞の表面で該標的抗原を発現し、
b)エネルギードナー化合物で共有結合的または非共有結合的に標識されており、かつ
c)該標的抗原の応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子を含む、
段階;
ii)試験しようとする該抗体またはリガンドを添加する段階;
iii)エネルギー移動を測定することによって該標的抗原への結合を測定する段階であって、エネルギーアクセプター化合物が、試験しようとする該抗体もしくはリガンド、または該一次抗体もしくはリガンドに結合する二次抗体、のいずれかに共有結合的または非共有結合的に結合している、段階;および
iv)該レポーター遺伝子の発現レベルと標的抗原の活性化レベルまたは阻害レベルとの相関関係を明らかにすることによって、該抗体またはリガンドの機能性を明らかにする段階
であって、該抗体またはリガンドの該標的抗原への結合および機能性が、同じバイアル中で測定される、前記アッセイ法。 - 前記エネルギードナー化合物および前記エネルギーアクセプター化合物が、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)エネルギードナー化合物および蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)エネルギーアクセプター化合物であり、段階iii)で測定されるエネルギー移動が、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)である、請求項1記載のアッセイ法。
- 前記FRETが時間分解FRETである、請求項2記載のアッセイ法。
- 前記エネルギードナー化合物および前記エネルギーアクセプター化合物が、生物発光エネルギー移動(BRET)エネルギードナー化合物および生物発光エネルギー移動(BRET)エネルギーアクセプター化合物であり、段階iii)で測定されるエネルギー移動が、生物発光エネルギー移動(BRET)である、請求項1記載のアッセイ法。
- 前記エネルギードナー化合物および前記エネルギーアクセプター化合物が、増幅発光近接ホモジニアスアッセイ法アクセプタービーズおよび増幅発光近接ホモジニアスアッセイ法ドナービーズであり、段階iii)で測定されるエネルギー移動が、一重項酸素から該アクセプタービーズ内のチオキセン誘導体へのエネルギー移動である、請求項1記載のアッセイ法。
- 前記標的抗原が、前記エネルギードナー化合物によって共有結合的または非共有結合的に標識される、請求項1〜5のいずれか一項記載のアッセイ法。
- 前記エネルギードナー化合物が、コムギ胚芽凝集素(WGA)に共有結合的または非共有結合的に連結される、請求項1〜5のいずれか一項記載のアッセイ法。
- 前記レポーター遺伝子が、蛍光タンパク質をコードしている遺伝子、またはその触媒活性を検出することができる酵素をコードしている遺伝子より選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載のアッセイ法。
- 前記レポーター遺伝子が、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはルシフェラーゼをコードしている、請求項8記載のアッセイ法。
- 前記標的抗原が細胞表面受容体である、請求項1〜9のいずれか一項記載のアッセイ法。
- 段階iii)およびiv)が、連続的または同時に実施される、請求項1〜10のいずれか一項記載のアッセイ法。
- 前記標的抗原および前記応答エレメントが、NF-κB経路の一部分である、請求項1〜11のいずれか一項記載のアッセイ法。
- 前記応答エレメントが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、または5のDNA配列を有している少なくとも1つのDNAリピートを含む、請求項12記載のアッセイ法。
- 前記応答エレメントが、SEQ ID NO: 6、7、8、または9のDNA配列を含む、請求項12または13記載のアッセイ法。
- 前記標的抗原の応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子をコードしているDNA配列を含む発現ベクターを用いて細胞をトランスフェクションする予備段階を含む、請求項1〜14のいずれか一項記載のアッセイ法。
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