以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示す車両用冷凍サイクル装置10は、冷凍サイクル11および冷却水回路12を備えている。冷凍サイクル11は蒸気圧縮式冷凍機である。冷却水回路12には冷却水が循環する。
冷却水は、熱媒体としての流体である。例えば、冷却水は、少なくともエチレングリコール、ジメチルポリシロキサンもしくはナノ流体を含む液体、または不凍液体である。冷却水回路12は、熱媒体が循環する熱媒体回路である。
冷凍サイクル11は、圧縮機20、凝縮器21、高圧側内部熱交換器22、膨張弁23、蒸発器24および低圧側内部熱交換器25を有している。冷凍サイクル11の冷媒はフロン系冷媒である。冷凍サイクル11は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルである。
圧縮機20は、電池から供給される電力によって駆動される電動圧縮機であり、冷凍サイクル11の冷媒を吸入して圧縮して吐出する。圧縮機20は、エンジンの駆動力によってエンジンベルトで駆動されるベルト駆動式圧縮機であってもよい。
凝縮器21は、圧縮機20から吐出された高圧冷媒と外気とを熱交換させることによって高圧冷媒を凝縮させる高圧側熱交換器である。外気は、図示しない室外送風機によって凝縮器21に送風される。
凝縮器21は、圧縮機20から吐出された高圧冷媒と冷却水回路12の冷却水とを熱交換させることによって高圧冷媒を凝縮させてもよい。
高圧側内部熱交換器22は、凝縮器21から流出した液相冷媒と冷却水回路12の冷却水とを熱交換させる熱交換器である。
膨張弁23は、高圧側内部熱交換器22から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧部である。膨張弁23は、蒸発器24出口側冷媒の温度および圧力に基づいて蒸発器24出口側冷媒の過熱度を検出する感温部23aを有する温度式膨張弁である。すなわち、膨張弁23は、蒸発器24出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定範囲となるように機械的機構によって絞り通路面積を調節する温度式膨張弁である。膨張弁23は、電気的機構によって絞り通路面積を調節する電気式膨張弁であってもよい。
蒸発器24は、膨張弁23で減圧膨張された低圧冷媒と、図示しない室内送風機によって車室内へ送風される空気とを熱交換させることによって低圧冷媒を蒸発させる低圧側熱交換器である。
低圧側内部熱交換器25は、蒸発器24から流出した気相冷媒と冷却水回路12の冷却水とを熱交換させる熱交換器である。低圧側内部熱交換器25で熱交換された気相冷媒は圧縮機20に吸入されて圧縮される。
蒸発器24は、膨張弁23で減圧膨張された低圧冷媒と冷却水とを熱交換させることによって低圧冷媒を蒸発させてもよい。
高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25は、冷却水回路12に配置されている。冷却水回路12はポンプ28を有している。
ポンプ28は、冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。ポンプ28は、エンジン21の駆動力をベルトを介して動力伝達することによって駆動されるベルト駆動式ポンプであってもよい。
高圧側内部熱交換器22、低圧側内部熱交換器25およびポンプ28は、冷却水回路12に直列に配置されている。
冷却水回路12は、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25において冷却水の流れ方向が冷媒の流れ方向に対して反対方向となるように構成されている。すなわち、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25では、冷媒と冷却水とが対向流となる。高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25では、冷媒と冷却水とが顕熱変化によって熱交換するので、冷媒と冷却水とが対向流となることによる熱交換効率向上効果が大きくなる。
次に、車両用冷凍サイクル装置10の電気制御部を図2に基づいて説明する。制御装置30は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御装置30は、ROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行う。制御装置30の出力側には各種制御対象機器が接続されている。制御装置30は、各種制御対象機器の作動を制御する制御部である。
制御装置30によって制御される制御対象機器は、圧縮機20、ポンプ28等である。制御装置30の入力側には、内気温度センサ31、外気温度センサ32、日射センサ33、冷媒温度センサ34、高圧側温度センサ35、低圧側温度センサ36等のセンサ群の検出信号が入力される。
内気温度センサ31は、内気の温度を検出する内気温度検出部である。外気温度センサ32は、外気の温度を検出する外気温度検出部である。日射センサ33は、車室内の日射量を検出する日射量検出部である。
冷媒温度センサ34は、冷凍サイクル11の冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部である。具体的には、冷媒温度センサ34は、圧縮機20から吐出された冷媒の温度を検出する。
高圧側温度センサ35は、高圧側内部熱交換器22の温度を検出する高圧側温度検出部である。具体的には、高圧側温度センサ35は、高圧側内部熱交換器22に流入する冷却水の温度を検出する。
低圧側温度センサ36は、低圧側内部熱交換器25の温度を検出する低圧側温度検出部である。具体的には、低圧側温度センサ36は、低圧側内部熱交換器25に流入する冷却水の温度を検出する。
制御装置30の入力側には、操作パネル37に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。例えば、操作パネル37は、車室内前部の計器盤付近に配置されている。
操作パネル37に設けられた各種空調操作スイッチは、車室内温度設定スイッチ、オートスイッチ、エアコンスイッチ、風量設定スイッチおよび空調停止スイッチ等である。
各スイッチは機械的に押し込むことによって電気接点を導通させる方式のプッシュスイッチでもよいし、静電パネル上の所定の領域に触れることによって反応するタッチスクリーン方式でもよい。
車室内温度設定スイッチは、乗員の操作によって車室内目標温度Tsetを設定する目標温度設定手段である。オートスイッチは、空調の自動制御を設定または解除するスイッチである。エアコンスイッチは、冷房または除湿の作動・停止を切り替えるスイッチである。風量設定スイッチは、室内送風機から送風される風量を設定するスイッチである。空調停止スイッチは、空調を停止させるスイッチである。
制御装置30は、内気温度と車室内吹出空気の目標吹出温度TAOとに基づいて空調モードを決定する。目標吹出温度TAOは、内気温度を速やかに乗員の所望の目標温度Tsetに近づけるために決定される値であって、下記数式F1により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C …F1
この数式において、Tsetは車室内温度設定スイッチによって設定された車室内の目標温度であり、Trは内気温度センサ31によって検出された内気温度であり、Tamは外気温度センサ32によって検出された外気温度であり、Tsは日射センサ33によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
制御装置30は、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOが内気温度よりも低い場合、と空調モードを冷房モードに決定し、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOが内気温度よりも高い場合、空調モードを暖房モードに決定する。
次に、上記構成における作動を説明する。制御装置30が圧縮機20等を作動させると、車室内へ送風される空気が蒸発器24によって冷却される。このとき、制御装置30がポンプ28を作動させると、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25が冷却水回路12の冷却水を介して熱交換するので、蒸発器24の出口側冷媒と入口側冷媒とのエンタルピ差(すなわち冷凍能力)を拡大させて、サイクルの成績係数(いわゆるCOP)を向上させることができる。
高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25では、冷媒の流れ方向と冷却水の流れ方向とが対向する。すなわち、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25では、冷媒と冷却水とが対向流となる。そのため、冷媒と冷却水との熱交換効率が高くなる。
特に、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25では、冷媒および冷却水がともに顕熱変化にて熱交換するので、対向流による熱交換効率向上効果が大きくなる。
本実施形態では、ポンプ28は、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25を流れる冷却水の流量を調節する。これにより、高圧側冷媒と低圧側冷媒との熱交換量を任意に調節できるので、作動環境に応じて高圧側冷媒と低圧側冷媒との熱交換量を調節して内部熱交換器22、25を有効に利用できる。
例えば、冷凍サイクル11の高低圧差が小さい場合、内部熱交換器22、25にて逆熱交換してしまい、冷凍サイクル効率が大幅悪化するおそれがある。すなわち、通常の場合、内部熱交換器22、25において高圧側冷媒が冷却されて低圧側冷媒が加熱されるのに対して、冷凍サイクル11の高低圧差が小さい場合、内部熱交換器22、25において高圧側冷媒が加熱されて低圧側冷媒が冷却されるというように逆の熱交換が行われてしまうおそれがある。
この点に鑑みて、本実施形態では、制御装置30は、高圧側内部熱交換器22に流入する冷媒と低圧側内部熱交換器25に流入する冷媒との温度差が所定値以下になった場合、高圧側内部熱交換器22に流入する冷媒と低圧側内部熱交換器25に流入する冷媒との温度差が所定値以下になる前と比較して、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器5を流れる冷却水の流量が減少するように流量調節部の作動を制御する。
これによると、ポンプ28の回転数を小さくしたりポンプ28を停止させたりして冷却水流量を少なくすることによって内部熱交換量を少なくできるので、逆熱交換を防止できる。
本実施形態では、制御装置30は、圧縮機20から吐出された冷媒の温度が所定温度以上になった場合、圧縮機20から吐出された冷媒の温度が所定温度以上になる前と比較して、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25を流れる冷却水の流量が減少するようにポンプ28の作動を制御する。
これによると、圧縮機20から吐出された冷媒の温度が高い場合、冷却水流量を少なくして内部熱交換量を少なくすることによって圧縮機20に吸入される冷媒の過熱度を小さくできる。そのため、圧縮機20の回転数すなわち冷凍サイクル11の性能を低く抑えることなく、圧縮機20から吐出される冷媒温度を低くできる。
冬期の低外気温時ではサイクル起動時に膨張弁23の感温部23aが冷え込んでおり、なかなか弁開口が大きくならず、結果として所望の高圧を得るのが遅れてしまいサイクル起動が遅くなってしまう。
この点に鑑みて、本実施形態では、制御装置30は、圧縮機20が起動された場合、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25に冷却水が流れるようにポンプ28の作動を制御する。
これによると、サイクル起動時に冷却水流量を大きくすることによって、冷凍サイクル11の高圧冷媒の熱を膨張弁23の感温部23aに導入して感温部を速やかに温めることができるので、弁開口を速やかに大きくして所望の高圧を速やかに得ることができ、ひいてはサイクル起動を早くできる。
本実施形態では、制御装置30は、圧縮機20が起動されてから所定時間が経過した場合、圧縮機20が起動されてから所定時間が経過する前と比較して、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25を流れる冷却水の流量が減少するようにポンプ28の作動を制御する。
これによると、サイクル起動時に冷却水流量を通常時よりも大きくすることによって、冷凍サイクル11の高圧冷媒の熱を膨張弁23の感温部に導入して感温部を速やかに温め、膨張弁23の感温部が温められたら冷却水流量を減少させて通常時の内部熱交換量に調節することができる。
本実施形態では、高圧側熱交換器22および低圧側熱交換器25は、冷却水の流れにおいて互いに直列に配置されている。これにより、高圧側熱交換器22および低圧側熱交換器25の熱交換器効率を向上できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図3に示すように、冷却水回路12に発熱機器40が配置されている。発熱機器40は、作動に伴って発熱し、温度保持が必要とされる温調機器である。
高圧側内部熱交換器22、低圧側内部熱交換器25、ポンプ28および発熱機器40は、冷却水回路12に直列に配置されている。図3では、冷凍サイクル11の図示を省略している。
制御装置30の入力側には、図示しない機器温度センサの検出信号が入力される。機器温度センサは、発熱機器40の温度を検出する機器温度検出部である。
本実施形態では、冷却水回路12に発熱機器40が配置されているので、冷凍サイクル11の高圧側冷媒の温度と低圧側冷媒の温度との間の温度の冷却水が発熱機器40を流れる。そのため、発熱機器40の温度を適切な温度範囲内に調節できる。
例えば、夏期の高外気温時には発熱機器40が冷却され、冬期の低外気温時には発熱機器40が加熱されるので、発熱機器40を自動的に適切な温度に調節できる。
例えば、発熱機器40は電池である。電池は0〜25℃程度が適温とされており、夏期には冷却が要求され、冬期には加熱が要求される。一方、電池は極端な温度変化を嫌う特性がある。
。
電池が冷却水回路12に配置されていることによって、電池に流入する冷却水の温度は、冷凍サイクル11の高圧側冷媒の温度と低圧側冷媒の温度との中間温度になる。そのため、夏期には電池を冷却でき、冬期には電池を加熱できる。また、電池を加熱することによって、高圧側内部熱交換器22で熱交換された冷媒の過冷却度が一層高くなるので、蒸発器24におけるエンタルピ差が一層大きくなり、冷凍サイクルの性能および効率が一層向上する。
(第3実施形態)
本実施形態では、図4に示すように、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25は、冷却水回路12に互いに並列に配置され、ポンプ28および発熱機器40は、冷却水回路12において高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25に対して直列に配置されている。
冷却水回路12には発熱機器40が配置されている。図4では、冷凍サイクル11の図示を省略している。
図5に示すように、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25は、熱交換器41として一体化されている。熱交換器41は、複数の高圧側冷媒流通部41a、複数の低圧側冷媒流通部41b、複数の冷却水流通部41c、冷却水分配タンク41dおよび冷却水集合タンク41eを有している。
複数の高圧側冷媒流通部41aは、凝縮器21から流出した液相冷媒が流れる冷媒流路を形成している。複数の低圧側冷媒流通部41bは、蒸発器24から流出した気相冷媒が流れる冷媒流路を形成している。
複数の冷却水流通部41cは、冷却水分配タンク41dから分配された冷却水が流れる冷却水流路を形成している。冷却水流通部41cは、高圧側冷媒流通部41aおよび低圧側冷媒流通部41bと隣り合って配置されている。
高圧側冷媒流通部41aと、高圧側冷媒流通部41aに隣り合う冷却水流通部41cとによって高圧側内部熱交換器22が構成されている。低圧側冷媒流通部41bと、低圧側冷媒流通部41bに隣り合う冷却水流通部41cとによって低圧側内部熱交換器25が構成されている。
冷却水分配タンク41dおよび冷却水集合タンク41eは、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25に対して冷却水の分配および集合を行う共通のタンク部である。
冷却水分配タンク41dは、ポンプ28から吐出された冷却水を複数の冷却水流通部41cに分配する空間を形成している。冷却水分配タンク41dには、ポンプ28から吐出された冷却水が流入する冷却水入口41fが形成されている。冷却水入口41fは、高圧側内部熱交換器22および低圧側熱交換器25に熱媒体を流入させる共通の熱媒体入口である。
冷却水集合タンク41eは、複数の冷却水流通部41cを流れた冷却水を集合させてポンプ28の吸入側へ流出させる空間を形成している。冷却水集合タンク41eには、冷却水をポンプ28の吸入側へ流出させる冷却水出口41gが形成されている。冷却水出口41gは、高圧側内部熱交換器22および低圧側熱交換器25から熱媒体を流出させる共通の熱媒体出口である。
熱交換器41は、図示しない高圧側冷媒分配タンク、図示しない高圧側冷媒集合タンク、図示しない低圧側冷媒分配タンクおよび図示しない低圧側冷媒集合タンクを有している。
高圧側冷媒分配タンクは、凝縮器21から流出した液相冷媒を複数の高圧側冷媒流通部41aに分配する空間を形成している。高圧側冷媒集合タンクは、複数の高圧側冷媒流通部41aを流れた液相冷媒を集合させて膨張弁23の入口側へ流出させる空間を形成している。
低圧側冷媒分配タンクは、蒸発器24から流出した気相冷媒を複数の低圧側冷媒流通部41bに分配する空間を形成している。低圧側冷媒集合タンクは、複数の低圧側冷媒流通部41bを流れた気相冷媒を集合させて圧縮機20の吸入側へ流出させる空間を形成している。
高圧側冷媒流通部41aと隣り合う冷却水流通部41cでは、冷却水が高圧側冷媒流通部41aの液相冷媒と熱交換するので、高圧側冷媒流通部41aの液相冷媒が冷却され、冷却水が加熱される。
低圧側冷媒流通部41bと隣り合う冷却水流通部41cでは、冷却水が低圧側冷媒流通部41bの気相冷媒と熱交換するので、低圧側冷媒流通部41bの気相冷媒が冷却され冷却水が冷却される。
高圧側冷媒流通部41aと隣り合う冷却水流通部41cで加熱された冷却水と低圧側冷媒流通部41bと隣り合う冷却水流通部41cで冷却された冷却水とが冷却水集合タンク41eで混ざって中間温度となり、ポンプ28の吸入側へ流出する。
冷却水集合タンク41eで混ざった冷却水の温度を、高圧側冷媒流通部41aと低圧側冷媒流通部41bとの本数比率の設定によって最適化できる。
本実施形態では、高圧側内部熱交換器22および低圧側熱交換器25は、冷却水の分配および集合を行う共通の冷却水分配タンク41dおよび冷却水集合タンク41eを有することによって一体化されている。そして、ポンプ28は、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25を流れる冷却水の流量を調節する。これによると、高圧側内部熱交換器22および低圧側熱交換器25の構成を簡素化できる。
(第4実施形態)
本実施形態では、図6に示すように、上記第3実施形態に対して、高圧側内部熱交換器22側と低圧側内部熱交換器25側との冷却水流れの分岐部に三方弁42が配置されている。
三方弁42は、高圧側内部熱交換器22側の冷却水流路と低圧側内部熱交換器25側の冷却水流路との開度比を調節することによって、高圧側内部熱交換器22側の冷却水流路と低圧側内部熱交換器25側の冷却水流路との冷却水流量比を調節する。三方弁42の作動は制御装置30によって制御される。
制御装置30が三方弁42の作動を制御することによって、発熱機器40に流入する冷却水の温度を調節できる。
本実施形態では、三方弁42は、高圧側内部熱交換器22を流れる冷却水の流量と低圧側内部熱交換器25を流れる冷却水との流量比を制御できるようになっている。そして、制御装置30は、発熱機器40を加熱する必要がある場合、高圧側内部熱交換器22を流れる冷却水の流量比が増加し、かつ低圧側内部熱交換器25を流れる冷却水の流量比が減少するように三方弁42の作動を制御する。
これにより、発熱機器40を加熱する必要がある場合、発熱機器40に流入する冷却水の温度を上昇させて発熱機器40を確実に加熱することができる。
制御装置30は、発熱機器40を冷却する必要がある場合、高圧側内部熱交換器22を流れる冷却水の流量比が減少し、かつ低圧側内部熱交換器25を流れる冷却水の流量比が増加するように三方弁42の作動を制御する。
これにより、発熱機器40を冷却する必要がある場合、発熱機器40に流入する冷却水の温度を低下させて発熱機器40を確実に冷却することができる。
(第5実施形態)
上記第3実施形態では、冷却水回路12は共通のポンプ28を備えるが、本実施形態では、図7に示すように、冷却水回路12は高圧側ポンプ43および低圧側ポンプ44を備える。高圧側ポンプ43は、低圧側内部熱交換器25側の冷却水流路に配置されている。低圧側ポンプ44は、高圧側内部熱交換器22側の冷却水流路に配置されている。
高圧側ポンプ43および低圧側ポンプ44の作動は制御装置30によって制御される。制御装置30が高圧側ポンプ43および低圧側ポンプ44の出力比を制御することによって、高圧側内部熱交換器22側の冷却水流路と低圧側内部熱交換器25側の冷却水流路との冷却水流量比を調節できるので、発熱機器40に流入する冷却水の温度を調節できる。
制御装置30が高圧側ポンプ43および低圧側ポンプ44を間欠的に駆動し、間欠動作の時間比を制御することによって、高圧側内部熱交換器22側の冷却水流路と低圧側内部熱交換器25側の冷却水流路との冷却水流量比を調節できるので、発熱機器40に流入する冷却水の温度を調節できる。
本実施形態では、図8に示すように、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25を一体化した熱交換器41において、冷却水分配タンク41dは、高圧側ポンプ43から吐出された冷却水を、高圧側冷媒流通部41aに隣り合う冷却水流通部41cに分配するとともに、低圧側ポンプ44から吐出された冷却水を、低圧側冷媒流通部41bに隣り合う冷却水流通部41cに分配する。冷却水集合タンク41eは、高圧側冷媒流通部41aに隣り合う複数の冷却水流通部41cを流れた冷却水と、低圧側冷媒流通部41bに隣り合う冷却水流通部41cを流れた冷却水とを別々に流出させる。
(第6実施形態)
本実施形態では、図9〜12に示すように、高圧側内部熱交換器22と低圧側内部熱交換器25との間で冷却水が循環する状態と、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25のうち少なくとも1つの内部熱交換器と発熱機器40との間で冷却水が循環する状態とを切り替え可能になっている。図9〜12では、冷凍サイクル11の図示を省略している。
冷却水回路12は、高圧側流路45と低圧側流路46と機器流路47とを備える。高圧側流路45には、高圧側内部熱交換器22および高圧側ポンプ43が配置されている。低圧側流路46には、低圧側内部熱交換器25および低圧側ポンプ44が配置されている。機器流路47には、発熱機器40が配置されている。
機器流路47の一端は、高圧側流路45の冷却水流れ下流側端部と低圧側流路46の冷却水流れ上流側端部とに接続されている。機器流路47の他端は、高圧側流路45の冷却水流れ上流側端部と低圧側流路46の冷却水流れ下流側端部とに接続されている。
機器流路47と高圧側流路45と低圧側流路46との接続部には三方弁48が配置されている。
三方弁48は、図10〜12に示すように冷却水の流れを切り替える。図10は、低圧側内部熱交換器25と発熱機器40とが接続された状態を示している。この状態では、低圧側内部熱交換器25の低圧側冷媒で発熱機器40の廃熱を吸熱できる。すなわち、発熱機器40の廃熱を冷凍サイクル11で利用できる。
図11は、低圧側内部熱交換器25と高圧側内部熱交換器22とが接続された状態を示している。この状態では、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25が冷却水回路12の冷却水を介して熱交換するので、蒸発器24の出口側冷媒と入口側冷媒とのエンタルピ差(すなわち冷凍能力)を拡大させて、サイクルの成績係数(いわゆるCOP)を向上させることができる。
図12は、高圧側内部熱交換器22と発熱機器40とが接続された状態を示している。この状態では、高圧側内部熱交換器22の高圧側冷媒の熱を発熱機器40に供給できる。すなわち、冷凍サイクル11の廃熱を利用して発熱機器40を加熱できる。
本実施形態では、三方弁48は、高圧側内部熱交換器22と低圧側内部熱交換器25との間で冷却水が循環する状態と、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25のうち少なくとも1つの内部熱交換器と発熱機器40との間で冷却水が循環する状態とを切り替える。
これによると、例えば、冷凍サイクル11の熱負荷が高い場合、内部熱交換による冷凍サイクル性能・効率の向上効果が大きいことから、高圧側内部熱交換器22と低圧側内部熱交換器25との間で熱交換させ、冷凍サイクル11の熱負荷が低い場合、内部熱交換による冷凍サイクル性能・効率の向上効果が小さいことから、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25を発熱機器40の温度調整や発熱機器40の廃熱回収のために利用するといった使い方ができる。
すなわち、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25が、内部熱交換器の役割のみならず、発熱機器40の温度を調整したり発熱機器40の廃熱を回収したりする役割をも果たすことができるので、これらの役割を果たす機器が別々に設けられる場合と比較して構成を簡素化して装置体格を小型化できる。
(第7実施形態)
本実施形態では、図13に示すように、上記第6実施形態に対して高圧側ポンプ43の配置が異なっている。
機器流路47の一端は、高圧側流路45の冷却水流れ上流側端部と低圧側流路46の冷却水流れ上流側端部とに接続されている。機器流路47の他端は、高圧側流路45の冷却水流れ下流側端部と低圧側流路46の冷却水流れ下流側端部とに接続されている。
三方弁48は、図14、15に示すように冷却水の流れを切り替える。図14は、低圧側内部熱交換器25と高圧側内部熱交換器22と発熱機器40とが接続された状態を示している。この状態では、中間温度の冷却水で発熱機器40を温度調整できる。
三方弁48の開度比や、高圧側ポンプ43および低圧側ポンプ44の出力比および間欠動作の時間比を制御することによって、高圧側内部熱交換器22側の冷却水と低圧側内部熱交換器25側の冷却水との流量比を調節できるので、発熱機器40に流入する冷却水の温度を調節できる。
図15は、低圧側内部熱交換器25と高圧側内部熱交換器22とが接続された状態を示している。この状態では、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25が冷却水回路12の冷却水を介して熱交換するので、蒸発器24の出口側冷媒と入口側冷媒とのエンタルピ差(すなわち冷凍能力)を拡大させて、サイクルの成績係数(いわゆるCOP)を向上させることができる。
図15に示す状態では、高圧側ポンプ43を冷却水が逆流するので、高圧側ポンプ43として正転逆転可能なポンプを使用したり、高圧側ポンプ43を迂回するバイパス回路を設けたりするのが好ましい。
(第8実施形態)
本実施形態では、図16〜18に示すように、冷却水回路12に第1発熱機器51、第2発熱機器52、第1三方弁53および第2三方弁54が配置されている。
冷却水回路12は、第1接続流路55、第2接続流路56、第1機器流路57および第2機器流路58とを有している。第1機器流路57には第1発熱機器51が配置されている。第2機器流路58には第2発熱機器52が配置されている。第1発熱機器51および第2発熱機器52は、作動に伴って発熱する機器である。
第1接続流路55は、高圧側流路45の冷却水流れ下流側端部と低圧側流路46の冷却水流れ上流側端部とを接続している。第2接続流路56は、高圧側流路45の冷却水流れ上流側端部と低圧側流路46の冷却水流れ下流側端部とを接続している。
第1機器流路57の一端は、高圧側流路45と第1接続流路55との接続部に接続されている。第1機器流路57の他端は、高圧側流路45と第2接続流路56との接続部に接続されている。
第2機器流路58の一端は、低圧側流路46と第1接続流路55との接続部に接続されている。第2機器流路58の他端は、低圧側流路46と第2接続流路56との接続部に接続されている。
第1三方弁53は、高圧側流路45と第1機器流路57との接続部に配置されている。第2三方弁54は、低圧側流路46と第2機器流路58との接続部に配置されている。
第1三方弁53および第2三方弁54は、図17、18に示すように冷却水の流れを切り替える。
図17は、高圧側内部熱交換器22と第1発熱機器51とが接続されるとともに、低圧側内部熱交換器25と第2発熱機器52とが接続された状態を示している。この状態では、高圧側内部熱交換器22の高圧側冷媒の熱を第1発熱機器51に供給できるとともに、低圧側内部熱交換器25の低圧側冷媒で第2発熱機器52の廃熱を吸熱できる。すなわち、冷凍サイクル11の廃熱を利用して第1発熱機器51を加熱できるとともに、第2発熱機器52の廃熱を冷凍サイクル11で利用できる。
図18は、低圧側内部熱交換器25と高圧側内部熱交換器22とが接続された状態を示している。この状態では、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25が冷却水回路12の冷却水を介して熱交換するので、蒸発器24の出口側冷媒と入口側冷媒とのエンタルピ差(すなわち冷凍能力)を拡大させて、サイクルの成績係数(いわゆるCOP)を向上させることができる。
(第9実施形態)
本実施形態では、図19〜21に示すように、上記第8実施形態の第1三方弁53および第2三方弁54の代わりに二方弁59が配置されている。二方弁59は第1接続流路55に配置されている。
二方弁59は、図20、21に示すように冷却水の流れを切り替える。図20は、高圧側内部熱交換器22と第1発熱機器51とが接続され、低圧側内部熱交換器25と第2発熱機器52とが接続された状態を示している。この状態では、高圧側内部熱交換器22の高圧側冷媒の熱を第1発熱機器51に供給できるとともに、低圧側内部熱交換器25の低圧側冷媒で第2発熱機器52の廃熱を吸熱できる。すなわち、冷凍サイクル11の廃熱を利用して第1発熱機器51を加熱できるとともに、第2発熱機器52の廃熱を冷凍サイクル11で利用できる。
図21は、低圧側内部熱交換器25と高圧側内部熱交換器22と第1発熱機器51と第2発熱機器52とが接続された状態を示している。この状態では、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25が冷却水回路12の冷却水を介して熱交換するので、蒸発器24の出口側冷媒と入口側冷媒とのエンタルピ差(すなわち冷凍能力)を拡大させて、サイクルの成績係数(いわゆるCOP)を向上させることができる。また、この状態では、高圧側内部熱交換器22の高圧側冷媒の熱を第1発熱機器51および第2発熱機器52に供給できるので、冷凍サイクル11の廃熱を利用して第1発熱機器51および第2発熱機器52を加熱できる。
(第10実施形態)
本実施形態では、図22〜24に示すように、上記第8実施形態の冷却水回路12に空気放熱器60が配置されている。空気放熱器60は、冷却水と空気とを熱交換させることによって冷却水の熱を空気に放熱させる熱媒体空気熱交換器である。空気放熱器60への空気の送風は、送風機61によって行われる。
第1接続流路55には、接続流路ポンプ62が配置されている。接続流路ポンプ62の作動は制御装置30によって制御される。
図22では、高圧側内部熱交換器22と低圧側内部熱交換器25と第1発熱機器51と第2発熱機器52と空気放熱器60とが接続された状態を示している。
この状態では、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25が冷却水回路12の冷却水を介して熱交換するので、蒸発器24の出口側冷媒と入口側冷媒とのエンタルピ差(すなわち冷凍能力)を拡大させて、サイクルの成績係数(いわゆるCOP)を向上させることができる。また、この状態では、高圧側内部熱交換器22の高圧側冷媒の熱を第1発熱機器51および第2発熱機器52に供給できるので、冷凍サイクル11の廃熱を利用して第1発熱機器51および第2発熱機器52を加熱できる。また、この状態では、空気放熱器60において冷却水の熱が空気に放熱される。
図23は、高圧側内部熱交換器22と低圧側内部熱交換器25と第1発熱機器51と空気放熱器60とが接続された状態を示している。この状態では、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25が冷却水回路12の冷却水を介して熱交換するので、蒸発器24の出口側冷媒と入口側冷媒とのエンタルピ差(すなわち冷凍能力)を拡大させて、サイクルの成績係数(いわゆるCOP)を向上させることができる。また、この状態では、高圧側内部熱交換器22の高圧側冷媒の熱を第1発熱機器51に供給できるので、冷凍サイクル11の廃熱を利用して第1発熱機器51を加熱できる。また、この状態では、空気放熱器60において冷却水の熱が空気に放熱される。
図24は、高圧側内部熱交換器22と低圧側内部熱交換器25とが接続された状態を示している。この状態では、高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25が冷却水回路12の冷却水を介して熱交換するので、蒸発器24の出口側冷媒と入口側冷媒とのエンタルピ差(すなわち冷凍能力)を拡大させて、サイクルの成績係数(いわゆるCOP)を向上させることができる。
本実施形態では、第1三方弁53および第2三方弁54は、空気放熱器60に対して、高圧側内部熱交換器22、低圧側熱交換器25、第1発熱機器51および第2発熱機器52のうち少なくとも1つとの間で選択的に冷却水を循環させる。
これにより、種々の作動モードに切り替えることができる。例えば、外気温度が低い場合、空気放熱器60と低圧側熱交換器25との間で冷却水を循環させることによって、外気から冷媒に吸熱させることができる。
例えば、第1発熱機器51および第2発熱機器52の発熱量が多い場合、空気放熱器60と第1発熱機器51および第2発熱機器52との間で冷却水を循環させることによって、第1発熱機器51および第2発熱機器52から外気に放熱させて冷凍サイクル11の効率悪化を抑制することができる。
例えば、最大冷房時には空気放熱器60と高圧側内部熱交換器22との間で冷却水を循環させることによって、高圧側冷媒の熱を外気に放熱させて冷凍サイクル11の効率を向上させることができる。
(第11実施形態)
本実施形態では、図25に示すように、冷凍サイクル11は、冷媒流れ切替弁65および冷却水冷媒熱交換器66を有している。冷媒流れ切替弁65は、空調モードに応じて冷媒流れ状態を切り替える冷媒流れ切替部である。
冷却水冷媒熱交換器66は、冷却水回路12の冷却水と冷媒とを熱交換させる熱媒体冷媒熱交換器である。冷却水冷媒熱交換器66は、圧縮機20の冷媒吐出側かつ凝縮器21の冷媒入口側に配置されている。
冷却水冷媒熱交換器66には、第1冷媒入口66a、第2冷媒出口66b、第1冷却水入口66cおよび第2冷却水出口66dが形成されている。
凝縮器21には、室外送風機67によって外気が送風される。車両の走行時には凝縮器21に走行風を当てることができるようになっている。室外送風機67は、凝縮器21へ向けて外気を送風する送風部である。室外送風機67は、ファンを電動モータにて駆動する電動送風機である。
凝縮器21は、第1空気冷媒熱交換部211、気液分離部212および第2空気冷媒熱交換部213を有している。第1空気冷媒熱交換部211および第2空気冷媒熱交換部213は、冷媒と空気とを熱交換させる熱交換コア部であり、冷媒が流れる冷媒流路と、空気が流れる空気流路とを有している。
気液分離部212は、冷媒の気液を分離させる気液分離空間を有している。気液分離部212は、第1空気冷媒熱交換部211との間で冷媒が流通する第1冷媒流通口212aを有している。気液分離部212は、第2空気冷媒熱交換部213との間で冷媒が流通する第2冷媒流通口212bを有している。第1冷媒流通口212aは、第2冷媒流通口212bよりも重力方向上方側に配置されている。
第1空気冷媒熱交換部211は、冷却水冷媒熱交換器66の第2冷媒出口66bに接続されている。これにより、凝縮器21と冷却水冷媒熱交換器66とが冷媒流れに対して直列に配置されている。第2空気冷媒熱交換部213は、膨張弁23に接続されている。
膨張弁23は双方向膨張弁である。双方向膨張弁は、冷媒が逆流しても冷媒を減圧膨張させることが可能な膨張弁である。
蒸発器24は、第1冷却水冷媒熱交換部241、気液分離部242および第2冷却水冷媒熱交換部243を有している。第1冷却水冷媒熱交換部241および第2冷却水冷媒熱交換部243は、冷却水と冷媒とを熱交換させる熱交換コア部であり、冷媒が流れる冷媒流路と、冷却水が流れる冷却水流路とを有している。
気液分離部242は、冷媒の気液を分離させる気液分離空間を有している。気液分離部242は、第1冷却水冷媒熱交換部241との間で冷媒が流通する第1冷媒流通口242aを有している。気液分離部242は、第2冷却水冷媒熱交換部243との間で冷媒が流通する第2冷媒流通口242bを有している。第1冷媒流通口242aは、第2冷媒流通口242bよりも重力方向下方側に配置されている。第1冷却水冷媒熱交換部241は、膨張弁23に接続されている。
冷媒流れ切替弁65は、冷媒が流入する冷媒流入口65aと、冷媒が流出する冷媒流出口65bと、冷媒が流入出する第1流入出口65cおよび第2流入出口65dとを有している。
冷媒流入口65aは、圧縮機20の冷媒吐出側に接続されている。冷媒流出口65bは、圧縮機20の冷媒吸入側に接続されている。第1流入出口65cは、冷却水冷媒熱交換器66の第1冷媒入口66aに接続されている。第2流入出口65dは、蒸発器24の第2冷却水冷媒熱交換部243に接続されている。
冷媒流れ切替弁65は、図25に示すように冷媒流入口65aが第1流入出口65cに接続され且つ冷媒流出口65bが第2流入出口65dに接続される状態と、図26に示すように冷媒流入口65aが第2流入出口65dに接続され且つ冷媒流出口65bが第1流入出口65cに接続される状態とを切り替える。
冷媒流れ切替弁65は、空調モードが冷房モードである場合、図25に示す冷媒流れ状態に切り替える。換言すれば、冷媒流れ切替弁65は、空調モードが冷房モードである場合、圧縮機20の冷媒吐出口20bと冷却水冷媒熱交換器66とを接続し、圧縮機20の冷媒吸入口20aと蒸発器24とを接続する。
冷媒流れ切替弁65は、空調モードが暖房モードである場合、図26に示す冷媒流れ状態に切り替える。換言すれば、冷媒流れ切替弁65は、空調モードが暖房モードである場合、圧縮機20の冷媒吐出口20bと蒸発器24とを接続し、圧縮機20の冷媒吸入口20aと冷却水冷媒熱交換器66とを接続する。
高圧側内部熱交換器22は、凝縮器21と膨張弁23との間に配置されている。低圧側内部熱交換器25は、冷媒流れ切替弁65の冷媒流出口65bと圧縮機20の冷媒吸入口20aとの間に配置されている。
図27に示すように、冷却水回路12は、第1冷却水ポンプ68、第2冷却水ポンプ69および第3冷却水ポンプ70を有している。
第1冷却水ポンプ68、第2冷却水ポンプ69および第3冷却水ポンプ70は、冷却水を吸入して吐出する電動式のポンプである。第1冷却水ポンプ68、第2冷却水ポンプ69および第3冷却水ポンプ70は、エンジン21の駆動力をベルトを介して動力伝達することによって駆動されるベルト駆動式ポンプであってもよい。
第1冷却水ポンプ68、第2冷却水ポンプ69および第3冷却水ポンプ70の冷却水吐出側は、上流側冷却水流れ切替弁71の冷却水入口側に接続されている。第1冷却水ポンプ68、第2冷却水ポンプ69および第3冷却水ポンプ70の冷却水吸入側は、下流側冷却水流れ切替弁72の冷却水出口側に接続されている。
冷却水回路12には、冷却水冷媒熱交換器66、高圧側内部熱交換器22、蒸発器24、低圧側内部熱交換器25、クーラコア73、ヒータコア74、温調機器75、廃熱回収熱交換器76、上流側冷却水流れ切替弁71および下流側冷却水流れ切替弁72が配置されている。
クーラコア73、ヒータコア74、温調機器75および廃熱回収熱交換器76は、冷却水が流通する冷却水流通機器(換言すれば熱媒体流通機器)である。
クーラコア73は、冷却水と車室内空間へ送風される空気とを熱交換させて車室内空間へ送風される空気を冷却する空気冷却用熱交換器(換言すれば熱媒体空気熱交換器)である。クーラコア73は、冷却水の冷熱を利用する冷熱利用機器である。
クーラコア73では、冷却水が顕熱変化にて空気から吸熱する。すなわち、クーラコア73では、冷却水が空気から吸熱しても冷却水が液相のままで相変化しない。
ヒータコア74は、冷却水と車室内空間へ送風される空気とを熱交換させて車室内空間へ送風される空気を加熱する空気加熱用熱交換器(換言すれば熱媒体空気熱交換器)である。ヒータコア74は、冷却水の温熱を利用する温熱利用機器である。
ヒータコア74では、冷却水が顕熱変化にて空気に放熱する。すなわち、ヒータコア74では、冷却水が空気に放熱しても冷却水が液相のままで相変化しない。
クーラコア73およびヒータコア74は、図示しない室内空調ユニットのケーシングに収容されている。室内空調ユニットのケーシングの内部には、車室内へ向けて空気が流れる空気通路が形成されている。
温調機器75は、冷却水によって温度調整される車載機器である。廃熱回収熱交換器76は、各種車載機器の廃熱を冷却水に回収させる熱交換器である。
冷却水冷媒熱交換器66、蒸発器24、高圧側内部熱交換器22、低圧側内部熱交換器25、クーラコア73、ヒータコア74、温調機器75および廃熱回収熱交換器76の冷却水入口側は、上流側冷却水流れ切替弁71の冷却水出口側に接続されている。
冷却水冷媒熱交換器66、蒸発器24、高圧側内部熱交換器22、低圧側内部熱交換器25、クーラコア73、ヒータコア74、温調機器75および廃熱回収熱交換器76の冷却水出口側は、下流側冷却水流れ切替弁72の冷却水入口側に接続されている。
上流側冷却水流れ切替弁71および下流側冷却水流れ切替弁72は、空調モードに応じて冷却水流れ状態を切り替える冷却水流れ切替部である。
上流側冷却水流れ切替弁71および下流側冷却水流れ切替弁72は、冷却水冷媒熱交換器66、蒸発器24、高圧側内部熱交換器22、低圧側内部熱交換器25、クーラコア73、ヒータコア74、温調機器75および廃熱回収熱交換器76のそれぞれに対して、第1冷却水ポンプ68、第2冷却水ポンプ69および第3冷却水ポンプ70のいずれか1つを選択的に接続させる。
すなわち、上流側冷却水流れ切替弁71および下流側冷却水流れ切替弁72は、冷却水冷媒熱交換器66、蒸発器24、高圧側内部熱交換器22、低圧側内部熱交換器25、クーラコア73、ヒータコア74、温調機器75および廃熱回収熱交換器76のそれぞれに対して、第1冷却水ポンプ68との間で冷却水が循環する状態と、第2冷却水ポンプ69との間で冷却水が循環する状態と、第3冷却水ポンプ70との間で冷却水が循環する状態とを切り替える。
制御装置30は、冷媒流れ切替弁65、上流側冷却水流れ切替弁71、下流側冷却水流れ切替弁72、第1冷却水ポンプ68、第2冷却水ポンプ69および第3冷却水ポンプ70等の作動も制御する。
次に、上記構成における作動を説明する。空調モードが冷房モードである場合、制御装置30は、冷媒流れ切替弁65を図25に示すように切り替える。これにより、圧縮機20、冷却水冷媒熱交換器66、凝縮器21、高圧側内部熱交換器22、膨張弁23、蒸発器24、低圧側内部熱交換器25、圧縮機20の順に冷媒が循環する。
また、空調モードが冷房モードである場合、制御装置30は、第1冷却水ポンプ68と蒸発器24、クーラコア73、温調機器75および廃熱回収熱交換器76との間で冷却水が循環し、第2冷却水ポンプ69と冷却水冷媒熱交換器66およびヒータコア74との間で冷却水が循環し、第3冷却水ポンプ70と高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25との間で冷却水が循環するように、上流側冷却水流れ切替弁71および下流側冷却水流れ切替弁72を切り替える。
これにより、冷房モードでは、冷却水冷媒熱交換器66および凝縮器21は、冷凍サイクルの高圧側熱交換器として機能し、蒸発器24は、冷凍サイクルの低圧側熱交換器として機能する。すなわち、冷却水冷媒熱交換器66および凝縮器21では冷凍サイクルの高圧側冷媒が放熱し、蒸発器24では冷凍サイクルの低圧側冷媒が吸熱する。したがって、冷却水冷媒熱交換器66で冷却水が加熱され、蒸発器24で冷却水が冷却される。
蒸発器24で冷却された冷却水は、クーラコア73で車室内へ送風される空気を冷却する。これにより、車室内を冷房できる。蒸発器24で冷却された冷却水は、温調機器75および廃熱回収熱交換器76から吸熱する。これにより、温調機器75を冷却できるとともに廃熱回収熱交換器76で廃熱を回収できる。
冷却水冷媒熱交換器66で加熱された冷却水は、ヒータコア74で車室内へ送風される空気を加熱する。これにより、クーラコア73で冷却された冷風を再加熱して所望温度で冷房できる。
高圧側内部熱交換器22と低圧側内部熱交換器25とが冷却水を介して熱交換するので、蒸発器24の出口側冷媒と入口側冷媒とのエンタルピ差(すなわち冷凍能力)を拡大させて、サイクルの成績係数(いわゆるCOP)を向上させることができる。
冷房モードでは、凝縮器21において、第1空気冷媒熱交換部211、気液分離部212、第2空気冷媒熱交換部213の順で冷媒が流れる。第1空気冷媒熱交換部211で熱交換された気液二相冷媒は、第1冷媒流通口212aから気液分離部212に流入する。気液分離部212の冷媒は、第2冷媒流通口212bから第2空気冷媒熱交換部213へ流出する。
第1冷媒流通口212aは、第2冷媒流通口212bよりも重力方向上方側に配置されているので、気液分離部212で冷媒の気液が分離されて液相冷媒が気液分離部212内の底部に溜まる。そして、気液分離部212内の底部に溜まった液相冷媒が第2空気冷媒熱交換部213に流れる。
したがって、第1空気冷媒熱交換部211は、冷媒を凝縮させる凝縮器として機能し、第2空気冷媒熱交換部213は、冷媒の過冷却度を高める過冷却器として機能する。
冷房モードでは、蒸発器24において、第1冷却水冷媒熱交換部241、気液分離部242、第2冷却水冷媒熱交換部243の順で冷媒が流れる。第1冷却水冷媒熱交換部241で熱交換されたミスト状の気液二相冷媒は、第1冷媒流通口242aから気液分離部242に流入する。気液分離部242の冷媒は、第2冷媒流通口242bから第2冷却水冷媒熱交換部243へ流出する。
第1冷媒流通口242aは、第2冷媒流通口242bよりも重力方向下方側に配置されているので、気液分離部242でミスト状の冷媒の気液が分離されず気液二相状態のまま第2冷却水冷媒熱交換部243に流れる。
したがって、第1冷却水冷媒熱交換部241および第2冷却水冷媒熱交換部243は、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
空調モードが暖房モードである場合、制御装置30は、冷媒流れ切替弁65を図26に示すように切り替える。これにより、圧縮機20、蒸発器24、膨張弁23、高圧側内部熱交換器22、凝縮器21、冷却水冷媒熱交換器66、低圧側内部熱交換器25、圧縮機20の順に冷媒が循環する。
また、空調モードが暖房モードである場合、制御装置30は、第1冷却水ポンプ68と蒸発器24およびヒータコア74との間で冷却水が循環し、第2冷却水ポンプ69と高圧側内部熱交換器22、冷却水冷媒熱交換器66、低圧側内部熱交換器25、クーラコア73、温調機器75および廃熱回収熱交換器76との間で冷却水が循環するように、上流側冷却水流れ切替弁71および下流側冷却水流れ切替弁72を切り替える。
暖房モードでは、蒸発器24は、冷凍サイクルの高圧側熱交換器として機能し、高圧側内部熱交換器22、凝縮器21、冷却水冷媒熱交換器66および低圧側内部熱交換器25は、冷凍サイクルの低圧側熱交換器として機能する。すなわち、蒸発器24では冷凍サイクルの高圧側冷媒が放熱し、高圧側内部熱交換器22、凝縮器21、冷却水冷媒熱交換器66および低圧側内部熱交換器25では冷凍サイクルの低圧側冷媒が吸熱する。
したがって、蒸発器24で冷却水が加熱され、高圧側内部熱交換器22、凝縮器21、冷却水冷媒熱交換器66および低圧側内部熱交換器25で冷却水が冷却される。
高圧側内部熱交換器22、冷却水冷媒熱交換器66および低圧側内部熱交換器25で冷却された冷却水は、クーラコア73で車室内へ送風される空気を冷却除湿する。蒸発器24で加熱された冷却水は、ヒータコア74で車室内へ送風される空気を加熱する。これにより、クーラコア73で冷却除湿された冷風をヒータコア74で加熱して除湿暖房できる。
高圧側内部熱交換器22、冷却水冷媒熱交換器66および低圧側内部熱交換器25で冷却された冷却水は、温調機器75および廃熱回収熱交換器76にて吸熱する。これにより、温調機器75を冷却できるとともに廃熱回収熱交換器76で廃熱を回収できる。
暖房モードでは、蒸発器24において、第2冷却水冷媒熱交換部243、気液分離部242、第1冷却水冷媒熱交換部241の順で冷媒が流れる。第2冷却水冷媒熱交換部243で熱交換された気液二相冷媒は、第2冷媒流通口242bから気液分離部242に流入する。気液分離部242の冷媒は、第1冷媒流通口242aから第1冷却水冷媒熱交換部241へ流出する。
第1冷媒流通口242aは、第2冷媒流通口242bよりも重力方向下方側に配置されているので、気液分離部242で冷媒の気液が分離されて液相冷媒が気液分離部242内の底部に溜まる。そして、気液分離部242内の底部に溜まった液相冷媒が第1冷却水冷媒熱交換部241に流れる。
したがって、第2冷却水冷媒熱交換部243は、冷媒を凝縮させる凝縮器として機能し、第1冷却水冷媒熱交換部241は、冷媒の過冷却度を高める過冷却器として機能する。
暖房モードでは、凝縮器21において、第2空気冷媒熱交換部213、気液分離部212、第1空気冷媒熱交換部211の順で冷媒が流れる。第2空気冷媒熱交換部213で熱交換されたミスト状の気液二相冷媒は、第2冷媒流通口212bから気液分離部212に流入する。気液分離部212の冷媒は、第1冷媒流通口121aから第1空気冷媒熱交換部211へ流出する。
第1冷媒流通口212aは、第2冷媒流通口212bよりも重力方向上方側に配置されているので、気液分離部212でミスト状の冷媒の気液が分離されず気液二相状態のまま第1空気冷媒熱交換部211に流れる。
したがって、第2空気冷媒熱交換部213および第1空気冷媒熱交換部211は、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
暖房モードにおいて凝縮器21に着霜が生じた場合、冷房モードに切り替えることによって凝縮器21を除霜できる。すなわち、冷房モードに切り替えることによって、冷凍サイクルの高圧側冷媒の熱を利用して凝縮器21を除霜できる。
本実施形態では、冷媒流れ切替弁65は、凝縮器21が冷媒の流れにおいて膨張弁23よりも上流側に位置し且つ蒸発器24が冷媒の流れにおいて膨張弁23よりも下流側に位置する状態と、凝縮器21が冷媒の流れにおいて膨張弁23よりも下流側に位置し且つ蒸発器24が冷媒の流れにおいて膨張弁23よりも上流側に位置する状態とを切り替える。
そして、上流側冷却水流れ切替弁71および下流側冷却水流れ切替弁72は、高圧側内部熱交換器22、低圧側内部熱交換器25および冷却水冷媒熱交換器66に対して冷却水の流れを切り替える。
これにより、冷凍サイクル11の作動モード(すなわち冷房モードおよび暖房モード)の切り替えに応じて、高圧側内部熱交換器22、低圧側内部熱交換器25および冷媒冷却水熱交換器66と冷却水との熱交換を適切に制御できる。
本実施形態では、冷却水回路12は、高圧側内部熱交換器22、低圧側熱交換器25および冷却水冷媒熱交換器66と、温調機器75、廃熱回収熱交換器76、クーラコア73およびヒータコア74のうち少なくとも1つとの間で冷却水を循環させる。
これによると、高圧側内部熱交換器22、低圧側熱交換器25および冷却水冷媒熱交換器66と、温調機器75、廃熱回収熱交換器76、クーラコア73およびヒータコア74のうち少なくとも1つとの間で熱交換させて適切に熱管理を行うことができる。
(第12実施形態)
上記第11実施形態では、膨張弁23は双方向膨張弁であるが、本実施形態では、膨張弁23は一方向膨張弁である。一方向膨張弁は、冷媒が逆流している場合、冷媒を減圧膨張させることが不可能な膨張弁である。
図28、29に示すように、冷凍サイクル装置10は、膨張弁用切替弁77を備えている。膨張弁用切替弁77は、空調モードにかかわらず、膨張弁23に対する冷媒流れ方向を常に同じ方向にする。すなわち、膨張弁用切替弁77は、冷房モード時と暖房モード時とで、膨張弁23における冷媒の流れ方向を同一にする。膨張弁用切替弁77の作動は、制御装置30によって制御される。
膨張弁用切替弁77は、冷媒が流入する冷媒流入口77aと、冷媒が流出する冷媒流出口77bと、冷媒が流入出する第1流入出口77cおよび第2流入出口77dとを有している。
冷媒流入口77aは、膨張弁23の冷媒出口23a側に接続されている。冷媒流出口77bは、膨張弁23の冷媒入口23b側に接続されている。第1流入出口77cは、凝縮器21に接続されている。第2流入出口77dは、蒸発器24の第1冷却水冷媒熱交換部241に接続されている。
膨張弁用切替弁77は、図28に示すように冷媒流入口77aが第2流入出口77dに接続され且つ冷媒流出口77bが第1流入出口77cに接続される状態と、図29に示すように冷媒流入口77aが第1流入出口77cに接続され且つ冷媒流出口77bが第2流入出口77dに接続される状態とを切り替える。
高圧側内部熱交換器22は、膨張弁用切替弁77の冷媒流出口77bと膨張弁23の冷媒入口23bとの間に配置されている。
膨張弁用切替弁77は、空調モードが冷房モードである場合、図28に示すように冷媒流れを切り替え、空調モードが暖房モードである場合、図29に示すように冷媒流れを切り替える。
これにより、冷房モード時と暖房モード時とで膨張弁23における冷媒の流れ方向が同一になるので、膨張弁23が一方向膨張弁であっても冷房モードおよび暖房モードの両方で膨張弁23で冷媒を減圧膨張できる。
空調モードが冷房モードである場合、図28に示すように、上記第11実施形態と同様に、圧縮機20、冷却水冷媒熱交換器66、凝縮器21、高圧側内部熱交換器22、膨張弁23、蒸発器24、低圧側内部熱交換器25、圧縮機20の順に冷媒が循環する。
また、空調モードが冷房モードである場合、制御装置30は、上記第11実施形態と同様に、第1冷却水ポンプ68と蒸発器24、クーラコア73、温調機器75および廃熱回収熱交換器76との間で冷却水が循環し、第2冷却水ポンプ69と冷却水冷媒熱交換器66およびヒータコア74との間で冷却水が循環し、第3冷却水ポンプ70のうち他方の冷却水ポンプと高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25との間で冷却水が循環するように、上流側冷却水流れ切替弁71および下流側冷却水流れ切替弁72を切り替える。これにより、本実施形態の冷房モードでは、上記第11実施形態の冷房モードと同様に作動する。
空調モードが暖房モードである場合、図29に示すように、圧縮機20、蒸発器24、高圧側内部熱交換器22、膨張弁23、凝縮器21、冷却水冷媒熱交換器66、低圧側内部熱交換器25、圧縮機20の順に冷媒が循環する。
また、空調モードが暖房モードである場合、制御装置30は、第1冷却水ポンプ68と蒸発器24およびヒータコア74との間で冷却水が循環し、第2冷却水ポンプ69と冷却水冷媒熱交換器66、クーラコア73、温調機器75および廃熱回収熱交換器76との間で冷却水が循環し、第3冷却水ポンプ70と高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25との間で冷却水が循環するように、上流側冷却水流れ切替弁71および下流側冷却水流れ切替弁72を切り替える。
暖房モードでは、蒸発器24は、冷凍サイクルの高圧側熱交換器として機能し、冷却水冷媒熱交換器66および凝縮器21は、冷凍サイクルの低圧側熱交換器として機能する。すなわち、蒸発器24では冷凍サイクルの高圧側冷媒が放熱し、冷却水冷媒熱交換器66および凝縮器21では冷凍サイクルの低圧側冷媒が吸熱する。したがって、蒸発器24で冷却水が加熱され、冷却水冷媒熱交換器66で冷却水が冷却される。
冷却水冷媒熱交換器66で冷却された冷却水は、クーラコア73で車室内へ送風される空気を冷却除湿する。蒸発器24で加熱された冷却水は、ヒータコア74で車室内へ送風される空気を加熱する。これにより、クーラコア73で冷却除湿された冷風を加熱して所望温度で除湿暖房できる。
冷却水冷媒熱交換器66で冷却された冷却水は、温調機器75および廃熱回収熱交換器76から吸熱する。これにより、温調機器75を冷却できるとともに廃熱回収熱交換器76で廃熱を回収できる。
高圧側内部熱交換器22および低圧側内部熱交換器25が冷却水を介して熱交換するので、蒸発器24の出口側冷媒と入口側冷媒とのエンタルピ差(すなわち冷凍能力)を拡大させて、サイクルの成績係数(いわゆるCOP)を向上させることができる。
(他の実施形態)
上記実施形態を適宜組み合わせ可能である。上記実施形態を例えば以下のように種々変形可能である。
(1)上記各実施形態では、冷却水回路12を循環する冷却水として冷却水を用いているが、油などの各種媒体を冷却水として用いてもよい。
冷却水として、ナノ流体を用いてもよい。ナノ流体とは、粒子径がナノメートルオーダーのナノ粒子が混入された流体のことである。ナノ粒子を冷却水に混入させることで、エチレングリコールを用いた冷却水(いわゆる不凍液のように凝固点を低下させる作用効果に加えて、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、特定の温度帯での熱伝導率を向上させる作用効果、冷却水の熱容量を増加させる作用効果、金属配管の防食効果やゴム配管の劣化を防止する作用効果、および極低温での冷却水の流動性を高める作用効果を得ることができる。
このような作用効果は、ナノ粒子の粒子構成、粒子形状、配合比率、付加物質によって様々に変化する。
これによると、熱伝導率を向上させることができるので、エチレングリコールを用いた冷却水と比較して少ない量の熱媒体であっても同等の冷却効率を得ることが可能になる。
また、熱媒体の熱容量を増加させることができるので、熱媒体自体の蓄冷熱量を増加させることができる。熱媒体自体の蓄冷熱量は、顕熱による蓄冷熱量である。
蓄冷熱量を増加させることにより、圧縮機20を作動させない状態であっても、ある程度の時間は蓄冷熱を利用した機器の冷却、加熱の温調が実施できるため、車両用冷凍サイクル装置10の省動力化が可能になる。
ナノ粒子のアスペクト比は50以上であるのが好ましい。十分な熱伝導率を得ることができるからである。なお、アスペクト比は、ナノ粒子の縦×横の比率を表す形状指標である。
ナノ粒子としては、Au、Ag、CuおよびCのいずれかを含むものを用いることができる。具体的には、ナノ粒子の構成原子として、Auナノ粒子、Agナノワイヤー、カーボンナノチューブ(いわゆるCNT)、グラフェン、グラファイトコアシェル型ナノ粒子、およびAuナノ粒子含有CNTなどを用いることができる。グラファイトコアシェル型ナノ粒子とは、上記原子を囲むようにカーボンナノチューブ等の構造体があるような粒子体のことである。
(2)上記各実施形態の冷凍サイクル11では、冷媒としてフロン系冷媒を用いているが、冷媒の種類はこれに限定されるものではなく、二酸化炭素等の自然冷媒や炭化水素系冷媒等を用いてもよい。
(3)上記各実施形態の冷凍サイクル11は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成しているが、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える超臨界冷凍サイクルを構成していてもよい。