本発明者らは、従来、手押し車を椅子として利用するためには、バッグを取り外さなければならず、利便性が低いこと、また、手押し車で多くの荷物を運んだ後、バッグごと取り外して移動させる場合、荷物をすべて手で抱える必要があったことに着目し、メインボードを回転させることによって、バッグを取り外さなくても椅子として利用できると共に、バッグを着脱可能として、キャリーバッグとして利用できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の手押し車は、フレームの一端に前輪および後輪を有すると共に、前記フレームの他端にハンドルを有する手押し車であって、前記フレームに回転可能に挟持され、一方がバッグ搭載面として機能し、他方が座面として機能するメインボードと、前記フレームに対して前記メインボードの回転をロックするロック機構と、を備え、前記ロック機構は、起立姿勢においてバッグ搭載面が前方または上方を向く第1の回転位置および前記座面が上方を向く第2の回転位置で前記メインボードの回転をロックすることを特徴とする。
これにより、本発明者らは、メインボードのバッグ搭載面にバッグを搭載している状態であっても、その裏面である座面を鉛直上方に向けることを可能とした。その結果、バッグを取り外すことなく、椅子として利用することを可能とした。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1A、図1B、図2Aおよび図2Bは、本実施形態に係る手押し車の斜視図である。図1Aおよび図1Bは、手押し車1の高さに対して、約半分の高さから斜めに見た場合の斜視図であり、図2Aおよび図2Bは、手押し車1の車輪側から斜めに見た場合の斜視図である。この手押し車1は、フロントフレーム3、リアフレーム5およびアッパーフレーム7によって、基本的な骨組み(フレーム)が構成されている。フロントフレーム3は、前進方向の端部にフロントサブフレーム11を有しており、概略コ字状の形状を有している。リアフレーム5は、後進方向の端部にリアサブフレーム13を有しており、梯子状の形状を有している。また、アッパーフレーム7は、使用者の体重がかかる背もたれ部31の裏側に、アッパーサブフレーム15を有しており、梯子状の形状を有している。
また、フロントフレーム3、リアフレーム5およびアッパーフレーム7は、それぞれの一端で接続部9によって回転可能に接続されている。このため、フロントフレーム3、リアフレーム5およびアッパーフレーム7は、それぞれ接続部9を中心に回転することが可能となっている。
また、メインボード17は、板状に形成されており、車幅方向の両端に一対の側面部18aを有している。メインボード17は、フロントフレーム3によって、側面部18aに設けられた回転軸18bを中心に回転可能に挟持されている。このメインボード17は、二つの面を有しており、一方がバッグ搭載面17aとして機能し、他方が座面17bとして機能する。メインボード17は、回転することにより、バッグ搭載面17aが鉛直上方を含む方向に面する第1の姿勢、または座面17bが鉛直上方を含む方向に面する第2の姿勢を切り替えて、いずれか一方の姿勢でフロントフレーム3に固定される。バッグ搭載面17aには、バッグ19が着脱可能に搭載される。図1Aおよび図2Aは、バッグ19がバッグ搭載面17aに搭載されている状態を示し、図1Bおよび図2Bは、バッグ19をバッグ搭載面17aから離脱させた状態を示している。
リンク機構21は、連結点21aで3つの部材が連結し、フロントフレーム3とリアフレーム5とが離間する距離を規制する一方、アッパーフレーム7と連動してフロントフレーム3とリアフレーム5とを近接させる機能を有する。
一対の前輪23は、キャスタ方式でフロントフレーム3の接続部9に対して反対側の端部に設けられており、一対の後輪25は、リアフレーム5の接続部9に対して反対側の端部に設けられている。また、アッパーフレーム7は、接続部9においてフロントフレーム3およびリアフレーム5と接続されており、手押し車1の使用時に、フロントフレーム3と概略同一平面をなすように固定される。この構成により、使用者は、アッパーフレーム7の接続部9に対して反対側の端部に設けられたハンドル27を操作することによって、手押し車1の進行方向を容易に変えることが可能となる。また、ブレーキレバー29は、後輪25の回転を止めるブレーキに連結しており、手押し車1の速度を落としたり、後輪をロックして手押し車1の停止状態を維持したりするために用いられる。
背もたれ部31は、座面17bが鉛直上方を含む方向に面する第2の姿勢に固定され、使用者が手押し車1を椅子として使用する場合に、使用者の背中を支持する。本体側把持部33は、使用者が手押し車1を椅子として使用する場合、座った状態から起立する際に支えとして機能したり、後述するように、手押し車1を折り畳んだ状態で運搬する際の取っ手として機能したりする。ロック解除ワイヤー35は、手押し車1を通常の状態から折り畳む場合や、折り畳んだ状態から通常の状態へ展開する場合に、それぞれの姿勢をロックするロック機構を解除するために用いられる。
バッグ19において、バッグ本体は、荷物を収容する空間を有し、ファスナー式で開閉が可能な荷物取り出し口を有している。バッグ本体の一端部には、持ち手が設けられており、使用者がバッグ19を運搬するときに利用される。バッグ本体の持ち手とは反対側の端部には、一対の車輪が設けられている。バッグ本体は、荷物取り出し口の反対側に、概略平面の腹面を有している。腹面が概略平面であるため、腹面と手押し車1のバッグ搭載面17aとを良好に整合させることが可能となる。
図3Aおよび図3Bは、メインボード17をフロントフレーム3に固定させる概念を示す図であり、説明の都合のため、一部を透視図として示している。図3Aは、バッグ搭載面17aが鉛直上方を含む方向に面する姿勢で固定された状態を示し、図3Bは、座面17bが鉛直上方を含む方向に面する姿勢で固定された状態を示す。なお、図3Aおよび図3Bでは、図面作成上の都合から、紙面に対して奥側に位置するフロントフレーム3のみを示している。
メインボード17は、回転の中心軸上の2点に設けられた回転軸18bでフロントフレーム3に連結されている。この連結点は、メインボード17の側面部18a上において中間位置より一方の端面に近い側(着座位置における前側またはバッグ露出時における上側)の位置にあることが好ましい。また、フロントフレーム3上では、起立姿勢の手押し車において着座位置の高さに左右対称に連結点があることが好ましい。
なお、メインボード17は、着座またはバッグ19の利用の観点で上記の例にようにフロントフレーム3に回転可能に連結されていることが好ましいが、リアフレーム5またはアッパーフレーム7に対して回転可能に連結されていてもよい。
ロック機構39は、メインボード17の回転をロックすることで、フロントフレーム3に対してメインボード17を固定できる。ロック機構39は、スライダ40、付勢部42、ロック用突起43a(第1の係止部(バッグ露出用))およびロック用突起43b(第2の係止部(着座用))を有している。図3Aに示す例では、スライダ40および付勢部42がスライダ機構17cを形成している。スライダ機構17cは、一対のフロントフレーム3のメインボード17に対向する位置に設けられている。
ロック機構39は、バッグ搭載面17aが前方または上方を向くバッグ使用時の回転位置(第1の回転位置)でメインボード17の回転をロックする。前方または上方を向いてバッグ搭載面17aがロックされるので、バッグ搭載面17aが起立姿勢の手押し車1の前面または上面に露出し、バッグ19の搭載や搭載されたバッグ19に対する荷物の出し入れが容易にできる。フロントフレーム3の軸方向とバッグ搭載面17aとが平行になる位置でメインボード17がロックされることが好ましい。
また、ロック機構39は、起立姿勢において座面が上方を向く着座時の回転位置(第2の回転位置)でメインボード17の回転をロックできる。このように上方を向いて座面がロックされるので、手押し車を椅子として用いることができる。また、バッグ19を搭載したままでも着座に利用できる。
スライダ40は、フロントフレーム3上に設置され、フロントフレーム3に沿って移動可能である。スライダ40は、フロントフレーム3の表面に沿った形状を有しており、フロントフレーム3の軸方向に平行にスライド移動が可能に設けられている。図に示す例では、フロントフレーム3上に設けられたスライド用突起17h(ネジの頭)が、スライダ40に設けられたスライド移動方向に平行なガイド溝17kに挿入されている。そして、スライダ40がスライド用突起17hに対しガイド溝17kに沿った移動のみ許容されることで、フロントフレーム3の軸に垂直な動きが制限されている。
付勢部42は、スライダ40とフロントフレーム3とを連結し、スライダ40に対し自動でフロントフレーム3上の所定の中立位置に向けて付勢する。付勢部42は、一対で一組として設けられており、スライダ40に互いに逆方向の力を与えており、これらの力は中立位置でスライダ40をバランスさせている。
付勢部42は、例えばバネのような弾性部材であり、長期間の使用に耐えるものが好ましい。図に示す例では、フロントフレーム3とスライダ40が移動方向に平行に設けられたバネで連結されている。
スライダ40は、このフロントフレーム3上の中立位置に戻る力を用いてロック用突起43aまたは43bをフロントフレーム3に対して係止することが好ましい。スライダ40が中立位置に戻る力に対抗してスライダ40をずらすことでロックおよびロック解除が容易になる。
ロック用突起43a(第1の係止部)は、フロントフレーム3の幅をD1とするとメインボード17の側面部18aにおいてバッグ搭載面17aからの距離がD1以下となる位置に設置され、スライダ40に係止されることでメインボード17の回転をバッグ使用時の回転位置(第1の回転位置)でロックする。ロック用突起43aは、手押し車の起立姿勢においてバッグ搭載面17aが前方または上方を向く回転位置にあるときにフロントフレーム3と重なる位置に設けられている。ロック用突起43aは、側面部18aにおいて回転軸18bよりバッグ露出姿勢時の下端に近い位置に設けられていることが好ましい。
ロック用突起43b(第2の係止部)は、メインボード17の側面部18aに設置され、スライダ40に係止されることでメインボード17の回転を着座時の回転位置(第2の回転位置)でロックする。ロック用突起43bは、回転軸18bとバッグ搭載面17aとの距離をD2とすると、側面部18aにおいて回転軸18bからの距離がD2以上となる位置に設けられている。ロック用突起43bは、側面部18aのバッグ搭載面17aから離れるように突き出た山状部18cに設けられている。その結果、ロック用突起43bは、起立姿勢において座面が上方を向く回転位置にあるときにフロントフレーム3と重なる。ロック用突起43bは、側面部18aにおいて回転軸18bより着座姿勢時の前端に近い位置に設けられていることが好ましい。
このようにそれぞれのロック用突起43a、43bがスライダ40に係止されることで、フロントフレーム3上の回転軸18bと係止位置の2点で確実にメインボード17が固定される。その結果、フロントフレーム3に対し、メインボード17をそれぞれの回転位置でロックできる。
スライダ40には、スライド方向の両端部にロック用切欠き部41a、41bが形成されている。ロック用突起43a、43bは、例えば頭部と軸部を有するネジ形であり、ロック用切欠き部41a、41bは、それぞれロック用突起43a、43bの軸部に嵌る半長円形であることが好ましい。このように、ロック機構39は、一方に切欠き部、他方に突起が形成され、切欠き部に突起が嵌ることでメインボード17の回転をロックする。なお、上記の例が製造上の観点では好ましいが、逆にメインボード17の係止部に切欠き部が形成され、スライダ40に突起が形成されていてもよい。
図3Aおよび図3Bに示すように、メインボード17の側面部には、一対のストッパ17dおよび一対のストッパ17eが設けられている。一対のストッパ17dは、L字形に形成され、回転方向に対し垂直な面を作るように設けられた先端部がフロントフレーム3に当たることでメインボード17の回転を止められる。その結果、ストッパ17dは、着座時の回転位置またはバッグ使用時の回転位置を超えたメインボード17の回転を止められる。これにより、取扱いが容易になる。また、それぞれのロック位置でメインボードをロック操作しやすくなる。
一対のストッパ17dの本体部上には一対のロック用突起43aが設けられている。メインボード17が図3Aの状態にあるときに、一対のロック用突起43aがスライダ40の前輪23側のロック用切欠き部41aと係合すると共に、一対のストッパ17dが、フロントフレーム3の車輪側と当接し、メインボード17が、回転軸18bを中心に、係合満17が上昇し、バッグ固定孔17fが下降する方向に回転することを妨げている。
また、一対のストッパ17eは、L字形に形成され、先端部がフロントフレームに当たることでメインボードの回転を止められる。一対のストッパ17eの本体部上には一対のロック用突起43bが設けられている。メインボード17が図3Bの状態にあるときに、一対のロック用突起43bがスライダ40の回転軸18b側のロック用切欠き部41bと係合すると共に、フロントフレーム3の鉛直上方を含む方向に面する表面に当接することによって、メインボード17が、回転軸18bを中心に、係合溝17gが上昇し、バッグ固定孔17fが下降する方向に回転することを妨げている。
このような構成を採っているため、図3Aおよび図3Bのいずれの状態においても、メインボード17をフロントフレーム3に固定することが可能となる。
また、図3Aにおいて、各側面部18aのロック用突起43aから回転軸18bへ向かう方向の端部には、バッグ19のロックピンが係合する一対のバッグ固定孔17fが設けられている。また、メインボード17の回転軸18bからロック用突起43aへ向かう方向の端部には、バッグ19の係合突起が係合する係合溝17gが設けられている。この構成により、バッグ19をメインボード17のバッグ搭載面17aにワンタッチで搭載することが可能となる。
以上のように、メインボード17をフロントフレーム3に固定させることができるため、本実施形態に係る手押し車1は、次のように変形することができる。図4A、図4B、図4C、および図4Dは、メインボード17のバッグ搭載面17a上にバッグ19が固定された状態で、メインボード17が回転する様子を順番に示した図である。図4Aに示すように、通常状態では、手押し車1は、バッグ搭載面17aが鉛直上方を含む方向に面する第1の姿勢を取っている。この場合、ロック機構17cが機能し、メインボード17がフロントフレーム3に固定されている。
使用者がロック機構17cのロックを解除して、メインボード17を、回転軸18bを中心に、係合溝17gが上昇し、バッグ固定孔17fが下降する方向に回転させると、図4Bに示すように、バッグ19を搭載したまま、メインボード17を回転させることができる。さらに回転させると、図4Cに示すように、座面17bが鉛直上方を含む方向に面するようになる。最後に、座面17bが鉛直上方を含む方向に面する第2の姿勢(着座用の回転位置)でメインボード17が固定される。この場合、ロック機構17cが機能し、メインボード17がフロントフレーム3に固定されている。なお、メインボード17を元の姿勢に戻すためには、上記の説明と逆の手順で操作すればよい。
また、図5A、図5B、図5C、および図5Dは、メインボード17のバッグ搭載面17aからバッグ19が取り外された状態で、メインボード17が回転する様子を順番に示した図である。図5Aに示すように、通常状態では、メインボード17は、バッグ搭載面17aが鉛直上方を含む方向に面する第1の姿勢(バッグ使用時の回転位置)で回転をロックされている。この場合、ロック機構17cが機能し、メインボード17がフロントフレーム3に固定されている。
使用者がロック機構17cのロックを解除して、メインボード17を、回転軸18bを中心に、係合溝17gが上昇し、バッグ固定孔17fが下降する方向に回転させると、図5Bに示すように、メインボード17を回転させることができる。さらに回転させると、図5Cに示すように、座面17bが鉛直上方を含む方向に面するようになる。最後に、図5Dに示すように、座面17bが鉛直上方を含む方向に面する第2の姿勢(着座時の回転位置)で固定される。この場合、ロック機構17cが機能し、メインボード17がフロントフレーム3に固定されている。なお、メインボード17を元の姿勢に戻すためには、上記の説明と逆の手順で操作すればよい。
図6Aは、手押し車1を背面側から見た場合の一部を示す斜視図である。図6Aに示すように、フロントフレーム3、リアフレーム5およびアッパーフレーム7が接続部9において回転可能に接続されている。アッパーフレーム7は、使用者の身長に応じてハンドルの高さを変えられるように、伸縮機能を有している。すなわち、アッパーフレーム7の伸縮機構70は、調整孔71を有する伸縮ロッド72、および調整ねじ73、から構成されており、調整ねじ73を操作することで伸縮ロッド72を伸ばしたり縮めたりすることができ、好みの長さで固定することができる。
図6Bは、接続部9の概略構成を示す図であり、説明の都合上、一部を透視図として示している。接続部9は、手押し車1が使用時の姿勢を取るときのアッパーフレームの位置を決める第1の切欠き部9aと、手押し車1が折り畳み時の姿勢を取るときの第2の切欠き部9bとを有している。また、アッパーフレーム7の接続部9側の端部に、爪部35aが進退可能に設けられている。この爪部35aは、図示しないスプリングで常に進出する方向に付勢されている。また、爪部35aは、ロック解除ワイヤー35と連結され、ロック解除ワイヤー35が使用者に操作されると、退避するように構成されている。
爪部35aが第1の切欠き部9aに嵌合することによって、手押し車1は、使用時の姿勢に固定される。一方、爪部35aが第2の切欠き部9bに嵌合することによって、手押し車1は、折り畳み時の姿勢に固定される。
以上のように、アッパーフレーム7を第1の切欠き部9aまたは第2の切欠き部9bで固定させることができるため、本実施形態に係る手押し車1は、次のように変形することができる。図7A、図7B、図7C、および図7Dは、手押し車1を使用時の姿勢から折り畳み時の姿勢に変形する様子を順番に示した図である。図7Aに示す状態では、爪部35aが第1の切欠き部9aに嵌合しているため、手押し車1はこの姿勢に固定されている。この状態で、使用者がロック解除ワイヤー35を操作すると、爪部35aが退避し、アッパーフレーム7を、接続部9を中心としてリアフレーム5の方向に回転させることが可能となる。アッパーフレーム7が回転し始めると、アッパーフレーム7とリンク機構21が連動するため、リンク機構21の連結点21aが引き上げられる。その結果、リンク機構21が屈折し始め、フロントフレーム3とリアフレーム5が近接するように移動する。さらにアッパーフレーム7を回転させると、図7Cに示す状態となり、フロントフレーム3とリアフレーム5とが近接すると共に、リアフレーム5とアッパーフレーム7とが近接する。さらにアッパーフレーム7を回転させると、爪部35aが第2の切欠き部9bと嵌合し、アッパーフレーム7が固定され、図7Dに示す状態となる。これにより、手押し車1は、完全に折り畳まれた状態となる。このように、アッパーフレーム7がリアフレーム5に近接する状態となるため、手押し車1の高さを使用時の約半分にすることができ、折り畳み時の小型化を図ることが可能となる。折り畳まれた手押し車1を使用する場合は、上記の説明と逆の手順で展開すればよい。
次に、以上のように構成された手押し車1の使用態様について説明する。図8A、図8B、図8C、図8Dおよび図8Eは、手押し車1の使用態様を側面から示した図である。図8Aは、バッグ搭載面17aが鉛直上方を含む方向に面する状態でバッグ19を搭載した状態を示す。この状態で、使用者は、手押し車1を押しながら歩行することができ、また、買い物などで荷物を入手した場合は、バッグ19に収納することが可能となる。
図8Bは、バッグ19を搭載した状態で、座面17bを、鉛直上方を含む方向に面するようにメインボード17を回転させた状態を示す。このように、バッグ19を取り外すことなく、座面17bを、鉛直上方に向けることができるので、使用者は手押し車1をワンタッチで椅子として使用することが可能となる。
図8Cは、バッグ搭載面17aが鉛直上方を含む方向に面する状態でバッグ19を取り外した状態を示す。この状態で、使用者は、手押し車1を押しながら歩行することができる。図8Dは、バッグ19を手押し車1から離脱させた状態を示す。バッグ19は、車輪19dを有しているため、キャリーバッグとして使用することが可能となる。すなわち、使用者は、手押し車1から取り外したバッグ19を運搬する場合、手で抱える必要はない。図8Eは、バッグ19において、バッグ用伸縮ロッド19mを伸ばした状態を示す。このように、把持部19jがバッグ用伸縮ロッド19mによって、伸縮自在であるため、バッグ19をキャリーバッグとして使用することが可能となる。また、買い物などで荷物を入手した場合は、バッグ19に収納することが可能となる。
図8Fは、バッグ19を外した状態で、座面17bを、鉛直上方を含む方向に面するようにメインボード17を回転させた状態を示す。このように、座面17bを、鉛直上方に向けることができるので、使用者は手押し車1をワンタッチで椅子として使用することが可能となる。
図8Gは、バッグ19を取り外した状態で手押し車1を折り畳んだ状態を示し、図8Hは、バッグ19を搭載した状態で手押し車1を折り畳んだ状態を示す。このように、手押し車1を小さく折り畳むことができるので、収納スペースが限られていても、手押し車1を収納することができる。また、図8Hに示すように、バッグ19を搭載した状態でも折り畳むことができるので、タクシーに乗車する場合など、手押し車1を折り畳む場面において、バッグ19を取り外す必要がないため、迅速に手押し車1を小さく折り畳むことが可能となる。
以上説明したように、本実施形態に係る手押し車によれば、メインボード17のバッグ搭載面17aにバッグを搭載している状態であっても、その裏面である座面17bを鉛直上方に向けることが可能となる。その結果、使用者は、バッグを取り外すことなく、椅子として利用することが可能となる。