以下、図面を参照し、本発明の情報提供システム、および情報処理方法の実施形態について説明する。
図1は、情報処理システム1の機能構成を示す図である。情報処理システム1は、例えば、位置測位装置10と、実績生成装置30と、気象情報管理装置40と、計測装置50と、情報提供装置52と、リスク算出装置60と、交通情報処理装置70と、注意領域推定装置80と、誘導情報生成装置90とを備える。これらの装置は、LAN(Local Area Network)や、WAN(Wide Area Network)、携帯電話網、Wi−Fi網、インターネット等のネットワークNWを介して互いに通信する。なお、情報処理システム1は、複数の位置測位装置10を含んでもよい。
位置測位装置10は、四輪車両または二輪車両に、搭載されてもよく、持ち込まれていてもよく、運転者により保持されていてもよい。
図2は、位置測位装置10の機能構成図である。位置測位装置10は、例えば、2輪や4輪などの車両に搭載される装置である。位置測位装置10は、例えば、GPS(Global Positioning System)アンテナ12と、準天頂アンテナ14と、各種センサ16と、位置特定部18と、収集部20と、通信部22と、表示制御部24と、反映部26と、表示部28と、地図情報29とを備える。なお、位置測位装置10は、携帯端末の一部を構成する装置であってもよい。この場合、車両の乗員が位置測位装置10を搭載した携帯端末を所持または車両内に持ち込むことにより、車両の位置情報に相当する位置情報を実績生成装置30に送信する。また、各種センサ16の検出値は、通信部22を介して車両から取得されてもよいし、携帯端末が備える装置が各種センサの一部であってもよい。
表示制御部24と、反映部26とは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてよい。また、これらの機能部のうち、全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現され、これらの機能部の機能を実現するための回路構成を有してもよい。また、これらの機能部は、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。地図情報29は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶媒体に記憶される。
GPSアンテナ12は、複数のGPS衛星から情報(測位情報)が重畳された電波を受信する。なお、GPSアンテナ12は、GPS衛星に限らず、例えば、GLONASS、Galileo等の全地球型測位システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)を構成する衛星から電波を受信するものであってもよい。
準天頂アンテナ14は、準天頂衛星システムを構成する複数の準天頂衛星のうち1つ以上の準天頂衛星から情報(後述する測位情報および補正情報)が重畳された電波を受信する。準天頂衛星システムは、ある地域(例えば日本)のほぼ天頂(真上)を通る軌道を持つ衛星を複数機組み合わせた衛星システムである。準天頂アンテナ14は、高層ビル等によるマルチパスの影響を受けていない電波を準天頂衛星から受信することができる可能性がGPSアンテナ12に比べて高い。なお、GPSアンテナ12と準天頂アンテナ14とは統合されてもよい。
各種センサ16は、例えば、加速度センサや、方位センサ、車速センサ等を含む。加速度センサは、例えば三軸式の加速度センサである。加速度センサは、車両の加速度を検出し、検出結果を位置特定部18に出力する。方位センサは、磁気を測定して車両の地球に対する向きを検出し、検出結果を位置特定部18に出力する。車速センサは、例えば、各車輪に取り付けられた車輪速センサと、これらの検出結果を統合するコントローラとを含む。車速センサは、車両の速度を検出し、検出結果を位置特定部18に出力する。操舵角センサは、ステアリングホイールの操舵角を検出し、検出結果を位置特定部18または収集部20に出力する。
位置特定部18は、GPSアンテナ12により受信された情報が重畳された電波、準天頂アンテナ14により受信された情報が重畳された電波に基づいて、所定のサンプリング間隔で、例えば三角測量の原理で自装置の位置を特定する測位演算を行うことによって車両の位置を特定する。
測位情報には、対応する衛星に関する衛星軌道情報(エフェメリスやアルマナク)、時計の補正値、電離層の補正係数が含まれている。補正情報は、予め所定の位置に設けられた電子基準点である基準装置により導出された情報である。この補正情報は、予め地上側の設備から準天頂衛星に送信されている。なお、基準装置は、予め取得されている、自装置の位置と、GPS衛星または準天頂衛星(以下、対象衛星)の位置とに基づいて、自装置から対象衛星までの幾何学的な距離を導出する。また、基準装置は、対象衛星から取得した電波の伝播時間に基づいて、自装置と対象衛星との疑似距離を導出する。基準装置は、疑似距離と幾何学的な距離との差を誤差として取得する。そして、基準装置は、誤差の情報を地上局装置に送信する。地上局装置は、複数の基準装置から取得した誤差に基づいて、座標点ごとに疑似距離の誤差を導出する関数のパラメータを導出し、導出した関数のパラメータを補正情報として準天頂衛星に送信する。
また、位置特定部18は、車両に搭載された各種センサ16等の検出結果に基づいて、自車両の位置変化を導出する。位置特定部18は、導出した位置変化に基づいて、測位演算を行うことによって車両の位置を補正してもよい。
収集部20は、位置特定部18により特定された位置情報を収集し、所定量の位置情報を収集した場合に、通信部22を用いて収集した位置情報を実績生成装置30に送信する。また、収集部20は、各種センサ16の検知結果を収集し、収集した検知結果を実績生成装置30に送信してもよい。収集部20により収集された情報を、以下、プローブ情報とも記す。
表示制御部24は、実績生成装置30、交通情報処理装置70、注意領域推定装置80、および誘導情報生成装置90により生成された情報に基づいて、利用者に提示するための情報を生成し、生成した情報を表示部28に表示させる。反映部26は、実績生成装置30、交通情報処理装置70、および注意領域推定装置80により送信された情報を地図情報29に反映させる。
表示部28は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置を含む。
地図情報29は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。地図情報29は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。また、地図情報29は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等の道路情報を含む。道路情報には、高速道路、有料道路、国道、都道府県道といった道路の種別を表す情報や、道路の車線数、各車線の幅員、道路の勾配、道路の位置(経度、緯度を含む座標)、車線のカーブの曲率、車線の合流および分岐ポイントの位置等の情報が含まれる。地図情報29は、反映部26の処理によって随時、アップデートされる。
実績生成装置30は、例えば、地図情報32と、マップマッチング部34と、走行実績生成部36とを備える。地図情報32は、地図情報29と同等の情報を有する。
マップマッチング部34は、位置測位装置10から取得した情報に対して、マップマッチング処理を実行する。マップマッチング部34は、取得した位置情報と、地図情報32とに基づいて、地図情報32に含まれる要素(例えばリンク)のうち、位置測位装置10がどのリンクに存在しているかを判定する処理である。このマップマッチング処理によって、位置測位装置10が、地図情報32に含まれるどのリンクおよびどの車線に位置しているかが判定される。
走行実績生成部36は、マップマッチング部34の処理結果を取得し、取得した情報に基づいて走行実績情報を生成する。走行実績情報とは、位置測位装置10が搭載された車両が実際に走行した実績(走行状況)を示す情報である。走行実績情報には、例えば、車両が実際に走行した位置情報やこの位置情報が取得された日時、道路のリンク、道路の車線の情報等が含まれる。走行実績情報は、車両に搭載等された位置測位装置10、交通情報処理装置70、および注意領域推定装置80に送信される。また、走行実績生成部36は、走行実績情報とともに、プローブ情報に含まれていた車両の速度を示す情報も、交通情報処理装置70に送信する。
気象情報管理装置40は、例えば、気象災害情報42を含む。気象災害情報42には、領域ごとに対応付けられた気象に関する情報または災害に関する情報が記憶されている。気象災害情報42には、例えば、計測装置50から取得した計測装置50の計測結果(例えば雨量)や、情報提供装置52から取得した気象または災害に関する情報(例えば大雨の情報)が記憶されている。
計測装置50は、例えば、所定の位置に設けられた気象観測装置である。計測装置50は、例えば、降水量や風向、風速、気温、日照時間などを観測する。
情報提供装置52は、例えば、国や地方公共団体等が管理するサーバ装置であって、気象に関する情報や、災害に関する情報を気象情報管理装置40に提供する。災害に関する情報とは、例えば、大雨や大雪、地震等の自然災害に関する情報である。
リスク算出装置60は、例えば、リスク算出部62と、過去算出リスク情報64とを備える。リスク算出部62は、気象情報管理装置40から取得した気象や災害に関する情報と、実績生成装置30から取得した車両の情報に基づいて、道路において異常が生じるリスクを導出する。道路における異常とは、車両の走行にとって不都合な異常であり、例えば、ハイドロプレーニング現象が生じるような道路の冠水や、路面凍結等である。過去算出リスク情報64は、リスク算出部62により過去に算出されたリスクの情報である。
交通情報処理装置70は、走行実績生成部36から入力する走行実績情報(つまり、四輪車両の走行状況と二輪車両の走行状況)とに基づいて、解析対象の区間(以下、解析区間と記す)における四輪車両の交通状況を判定し、判定結果を含む交通情報を作成する。なお、解析区間は、地図データ内で定義されている1以上のリンクであってもよく、何らかの条件の下で区切られた区間であってもよい。交通情報処理装置70は、さらに、走行実績情報に基づいて、二輪車両の交通状況を判定し、判定結果を交通情報に含めてもよい。交通情報処理装置70は、これらの処理を実行するため、例えば、四輪交通情報解析部72と、二輪交通情報解析部74と、交通状況解析部76とを備える。
四輪交通情報解析部72は、実績生成装置30によって取得された四輪車両の走行実績情報を取得し、取得した四輪車両の交通状況を解析する。二輪交通情報解析部74は、実績生成装置30によって取得された二輪車両の走行実績情報を取得し、取得した二輪車両の交通状況を解析する。交通状況解析部76は、四輪交通情報解析部72による解析結果と、二輪交通情報解析部74による解析結果とに基づいて、交通状況を総合的に判定する。
交通状況解析部76は、四輪交通情報解析部72または二輪交通情報解析部74による解析結果が得られない場合に不足した情報を補完する処理(以下、補完処理と記す)や、四輪交通情報解析部72または二輪交通情報解析部74による解析結果を補正する処理(以下、補正処理と記す)を行う。交通状況解析部76は、補完処理により補完情報が作成された場合、補完情報を交通情報に含める。また、交通状況解析部76は、補正処理により解析結果が補正された場合、補正後の情報を交通情報に含める。各処理の詳細については、後述する。交通状況には、例えば、解析区間内の移動に要した時間(以下、旅行時間と記す)や、解析区間内の混雑度等が含まれる。
旅行時間は、解析区間の始点から終点を通過するまでに要した実際の時間であってもよく、対象車両が解析区間内の途中で停車している場合には移動に要すると推定される時間であってもよい。旅行時間は、例えば、渋滞の程度を示す情報として取り扱われてもよい。
混雑度とは、混雑状況の度合を段階的に示す情報であって、例えば、最も混雑している状態から順に「過剰渋滞」、「渋滞」、「軽渋滞」、「順調」で区別される。例えば、「過剰渋滞」は、車両がほとんど動くことができない状態であって、二輪車両の場合すり抜けもできない状態である。また、「渋滞」は、車両が進んでもすぐに停車してしまう状態であって、二輪車両の場合すり抜けができる状態である。「軽渋滞」は、車両が停車することはほとんどないがゆっくり進んでいる状態であって、二輪車両の場合すり抜けができる状態である。「順調」とは、車両が停車することがほとんどなく法定速度程度で走行している状態である。
以下、交通情報処理装置70内の各構成部による処理の内容について説明する。例えば、四輪交通情報解析部72は、四輪車両の走行状況に基づいて、当該四輪車両が解析区間内の移動に要した旅行時間を導出し、交通状況解析部76に出力する。また、四輪交通情報解析部72は、四輪車両の走行状況に基づいて、当該四輪車両が解析区間内の途中で一定時間以上停車しているか否かを判定し、停車している判定した場合、旅行時間を導出することができないため、四輪車両が解析区間内の途中で一定時間以上停車していることを交通状況解析部76に通知する。
例えば、二輪交通情報解析部74は、二輪車両の走行状況に基づいて、当該二輪車両が解析区間内を移動する旅行時間を導出し、交通状況解析部76に出力する。また、二輪交通情報解析部74は、二輪車両の走行状況に基づいて、当該二輪車両が解析区間内の途中で一定時間以上停車しているか否かを判定し、停車している判定した場合、旅行時間を導出することができないため、二輪車両が解析区間内の途中で一定時間以上停車していることを交通状況解析部76に通知する。
例えば、交通状況解析部76は、解析区間の混雑度を車両の種類ごとに判定する。交通状況解析部76は、例えば、車両の平均速度に基づいて混雑度を判定する。「平均速度」は、各種センサ16によって計測された車速の平均値であってもよく、旅行時間が導出された場合にはこれに基づいて求められる平均速度であってもよい。また、これに限られず、交通状況解析部76は、解析区間の走行時の最高時速や停車時間等に基づいて混雑度を判定してもよく、車両の種類(四輪車両、二輪車両等)に応じた車両の動きから総合的に判断してもよい。例えば、交通状況解析部76は、二輪車両の走行実績情報に基づいて、解析区間の停車時間が一定時間以上である場合に、混雑度を「過剰渋滞」と判定してもよい。また、交通状況解析部76は、二輪車両の走行実績情報に基づいて、二輪の走行状況において、平均速度が一定値以下である場合や、一定時間内に走行と停車を一定回数以上繰り返している場合に、二輪車両の混雑度が「過剰渋滞」であると判定してもよい。また、混雑度を判定する際に参照される平均速度や停車時間等の閾値は、車両の種類(二輪か四輪か)や解析区間の法定速度や道の勾配や道の形状に応じて、車両の種類ごと、あるいは、区間ごとに決められていてもよい。
また、交通状況解析部76は、解析区間に一定時間以上停止している四輪車両について、予測される旅行時間を、同じ解析区間の同じ時間帯(以下、同区間・同時間帯と記す)に存在する二輪車両の走行状況や旅行時間等に基づいて導出する。また、交通状況解析部76は、解析区間に一定時間以上停止している二輪車両について、予測される旅行時間を、同区間・同時間帯に存在する四輪車両の走行状況や旅行時間等に基づいて導出してもよい。また、交通状況解析部76は、例えば、四輪車両あるいは二輪車両の旅行時間を導出できないとの通知があった場合、または、四輪車両あるいは二輪車両の混雑度が「過剰渋滞」であると判定した場合、直前の一定期間あるいは一定距離内での平均速度で解析区間を走行した場合に要する時間を、予測される旅行時間として導出してもよい。このように、四輪車両(あるいは二輪車両)の旅行時間が導出できなかった場合に、同区間・同時間帯の二輪車両(あるいは四輪車両)の走行状況や旅行時間等に基づいて導出できなかった旅行時間を補完する処理が、上述の補完処理である。
また、交通状況解析部76は、四輪車両の混雑度または二輪車両の混雑度に基づいて、車両の種類ごとに交通情報を作成する。なお、一方の車両(例えば、四輪車両)の交通情報を作成する際に同区間・同時間帯に存在する他方の車両(例えば、二輪車両)の走行実績情報がある場合、交通状況解析部76は、両方の車両の混雑度に基づいて、少なくともいずれか一方の混雑度を再判定し、再判定の結果を含む交通情報を作成してもよい。交通状況解析部76は、四輪車両の混雑度と二輪車両の混雑度の組み合わせが予め決められた組み合わせである場合、再判定を行う。このように、再判定して、各車両のプローブ情報に基づいて導出された混雑度を、四輪車両の混雑度と二輪車両の混雑度とに基づいて補正する処理が、上述の補正処理である。
また、交通状況解析部76は、四輪車両の交通情報を生成する際、同じ時間帯の観測区間に存在する二輪車両のうち、渋滞道路において予め決められ動きをする二輪車両がある場合、交通状況解析部76は、四輪車両の混雑度に基づいて交通情報を作成するとともに、二輪車両の走行実績情報に基づいて渋滞の終点を示す情報を作成し、交通情報に含める。観測区間とは、四輪車両の進行方向に対して、解析区間を含みそれ以降の所定区間である。予め決められた動きとは、例えば、急激な加速の後の順調な走行等である。これにより、交通状況解析部76は、渋滞している区間の終点を判定することができる。
注意領域推定装置80は、例えば、推定部82と、地図情報84とを備える。推定部82は、実績生成装置30から取得した、位置測位装置10により特定された位置測位装置10の位置に基づいて認識される位置測定位置10の走行状況に基づいて、車両が走行する際に注意するべき注意領域を、道路の車線レベルで推定する。車線レベルで推定するとは、複数の車線を有する道路のうち、どの車線のどの位置に注意領域が存在するかを推定することである。また、推定部82は、推定した注意領域を地図情報に反映させる。これにより地図情報84において、道路のリンクやノードに対して注意領域が対応付けられる。
誘導情報生成装置90は、例えば、経路生成部92と、誘導情報生成部94とを備える。経路生成部92は、利用者からの要求に応じて、目的地までの経路を生成する。誘導情報生成部94は、経路生成部92により生成された経路を走行する際に、利用者に対して出力する情報であって、車両が生成された経路を滑らかに走行することができるように誘導する誘導情報を生成する。誘導情報生成部94は、推定部82により推定された注意領域を回避するための誘導情報を、道路の車線レベルで生成する。また、誘導情報生成装置90は、交通情報処理装置70により生成された交通情報に基づいて、渋滞道路を回避するための誘導情報を道路の車線レベルで生成してもよく、経路上の渋滞に関する渋滞情報を道路の車線レベルで生成して誘導情報に含めてもよい。渋滞情報には、例えば、渋滞している道路とそうでない道路を色や表示態様等で区別する情報や、渋滞している道路を渋滞の度合(例えば、混雑度)に応じて色や表示態様等で区別する情報等、あるいは、両行時間等のその他の渋滞に関する情報が含まれる。
誘導情報生成部94により生成された目的地までの経路および誘導情報は、要求を送信した車両に送信される。要求を送信した車両に搭載されたナビゲーション装置は、車両の走行位置や走行状態に応じて、表示部に画像として表示されたり、スピーカから音声として出力されたりする。なお、情報処理システム1が備える各装置により取得された情報や、装置の処理過程、処理結果は、システムを管理する管理者端末100や携帯端末110に送信されてもよい。
ここで、図3を参照して、補完処理と補正処理の具体例について説明する。図3は、混雑度の対応関係を示す図である。図3には、各車両のプローブ情報に基づいて導出される混雑度Aと、補正あるいは補完される混雑度Bとの関係を示す。図3において、(※1)が付された混雑度Aは、補完処理により混雑度Bに補完される混雑度である。(※2)が付された混雑度Aは、補正処理により混雑度Bに補正される混雑度である。なお、混雑度Aと混雑度Bとが同一である部分については、補完も補正もしない部分である。以下、図3に示す組み合わせに基づく補正処理と補完処理の具体例について説明する。ケースA〜Dが補正処理の具体例であり、図4を用いて説明するものが補完処理の具体例である。なお、交通状況解析部76は、図3に示す対応関係のデータを保存しており、データを参照することで、補正処理や補完処理を実行してもよい。また、図3に示すような対応関係に応じた補正処理や補完処理を実行させるプログラムが交通状況解析部76にインストールされており、そのプログラムを交通状況解析部76が実行することにより、補正処理や補完処理を実行するものであってもよい。
(ケースA)例えば、四輪車両の混雑度Aが「順調」で二輪車両の混雑度Aが「軽渋滞」である場合、交通状況解析部76は、二輪車両の混雑度Bを「順調(A)」に補正する。つまり、交通状況解析部76は、二輪車両が原動機付き車両等であるために平均速度が遅くなり混雑度を「軽渋滞」と判定したが、四輪車両の交通状況は「順調」であるため、混雑しておらず、交通流は流れている状態(つまり、「順調」)であると再判定する。
(ケースB)例えば、四輪車両の混雑度Aが「順調」で二輪車両の混雑度Aが「渋滞」または「過剰渋滞」である場合、交通状況解析部76は、二輪車両の混雑度Bを「順調(B)」に補正する。つまり、交通状況解析部76は、二輪車両がバイク便やバイクタクシーなどの移動以外の目的を持った車両であり渋滞以外の理由で停車したため平均速度が遅くなり混雑度を「渋滞」または「過剰渋滞」と判定したが、四輪車両の交通状況は「順調」であるため、混雑しておらず、交通流は流れている状態(つまり、「順調」)であると再判定する。
(ケースC)例えば、四輪車両の混雑度Aが「軽渋滞」で二輪車両の混雑度Aが「過剰渋滞」である場合、交通状況解析部76は、二輪車両の混雑度Bを「渋滞(C)」に補正する。つまり、交通状況解析部76は、二輪車両がバイク便やバイクタクシーなどの移動以外の目的を持った車両であり渋滞以外の理由で停車したため平均速度が遅くなり混雑度を「過剰渋滞」と判定したが、四輪車両の交通状況は「軽渋滞」であるため、進んでもすぐに停車してしまう状態であって、二輪車両の場合すり抜けはできる状態(つまり、「渋滞」)であると再判定する。
(ケースD)例えば、四輪車両の混雑度Aが「過剰渋滞」で二輪車両の混雑度Aが「順調」である場合、交通状況解析部76は、二輪車両の混雑度Bを「渋滞(D)」に補正する。つまり、交通状況解析部76は、二輪車両はほとんど停車をせずに法定速度程度で走行しているため混雑度を「順調」と判定したが、四輪車両の交通状況は「過剰渋滞」であるため、道路上に四輪車両が詰まっている渋滞状態であるが、二輪車両の場合すり抜けはできる状態(つまり、「渋滞」)であると再判定する。
次に、図4を参照して、補完されるケースについて説明する。図4は、道路を走行する車両の概念図である。図4(a)は、道路を走行する四輪車両の概念図である。ここで、四輪車両は、M1の地点で自由走行しており、その後M2の地点で渋滞により停車したとする。区間Aについて、四輪交通情報解析部72は、自由走行する四輪車両の走行実績情報に基づいて旅行時間を導出することができる。一方、区間Bについて、四輪交通情報解析部72は、四輪車両が渋滞により停車しているため、旅行時間を導出することができない。
図4(b)は、図4(a)に示す区間Bおいて、同時間帯を走行する二輪車両を追加した概念図である。二輪車両は、N1の地点で自由走行しており、その後N2の地点ですり抜け走行をしたとする。よって、二輪交通情報解析部74は、自由走行する二輪車両の走行実績情報に基づいて旅行時間を導出することができる。
図4(c)は、図4(b)に示す観測区間Bにおいて、四輪車両の旅行時間を補完した場合の概念図である。交通状況解析部76は、区間Bの四輪車両の旅行時間を、同じ区間の同じ時間帯に存在する二輪車両の走行状況や旅行時間等に基づいて導出する。
図5は、情報処理システム1により実行される処理を示すシーケンス図である。まず、位置測位装置10の位置特定部18が、自装置の位置情報を取得する(ステップS100)。次に、位置測位装置10の収集部20が、自装置の記憶装置(不図示)に位置情報が所定量蓄積するまで待機する(ステップS102)。次に、位置測位装置10の収集部20は、通信部22を用いて蓄積された情報を実績生成装置30に送信する(ステップS104)。
次に、実績生成装置30のマップマッチング部34が、マップマッチング処理を実行する(ステップS106)。次に、実績生成装置30の走行実績生成部36が、道路ごとの走行実績情報を生成する(ステップS108)。次に、実績生成装置30は、生成した走行実績情報を交通情報処理装置70に送信する(ステップS110)。走行実績情報は、例えば、位置測位装置10に送信され、位置測位装置10の表示部28には、走行実績情報を示す画像が表示されてもよい。走行実績情報を示す画像とは、例えば、位置測位装置10の走行状況を地図上に表示した画像である。
次に、交通情報処理装置70は、四輪車両の走行実績情報と二輪車両の走行実績情報とに基づいて、交通情報を作成する(ステップS112)。次に、交通情報処理装置70は、作成した交通情報を位置測位装置10に送信する(ステップS114)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
また、位置測位装置10の反映部26は、交通情報や注意領域の情報を地図情報29に反映させる。例えば、反映部26は、交通情報や注意領域の位置情報を、地図情報29(リンク等)に対応付ける。また、車両にナビゲーション装置が搭載され、このナビゲーション装置が地図情報29を用いてもよい。ナビゲーション装置は、自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、乗員により指定された目的地までの経路を、地図情報29を参照して決定する。ナビゲーション装置は、決定した経路に基づいて、表示部28を用いた経路案内を行う。この場合、ナビゲーション装置は、渋滞している道路や注意領域を回避した経路を選択したり、経路において渋滞状況や注意領域が存在する場合、渋滞している道路や注意領域を回避できる車線を案内したりする。
また、推定部82が、推定した注意領域の情報や交通情報処理装置70により生成された交通情報を地図情報84に反映させてもよい。この場合、誘導情報生成部94は、渋滞している道路や注意領域を回避するための誘導情報を、道路の車線レベルで生成する。誘導情報は、経路生成部92により算出された経路に対応付けられて、車両に送信される。そして、車両の表示部には、目的地までの経路や、渋滞している道路あるいは注意領域を回避する案内等が表示される。
ここで、図6を参照して、交通情報処理装置70により作成された交通情報に基づいて、交通状況が地図に反映された画像例について説明する。図6は、交通状況を反映した地図の一例を示す図である。図示の地図は、区間C〜Eの道路を含む。区間Cと区間Dは、直線道路の隣同士の区間である。区間Eは、区間Cと区間Dとの連結部分から分岐する道路である。図示の例では、区間Cは「軽渋滞」、区間Dは「渋滞」、区間Eは「順調」である。区間Cと区間Dは、それぞれ異なる色や異なるハッチングで表示されており、渋滞している道路であることと、それぞれが異なる渋滞のレベルにあることが示されている。一方、渋滞していない区間Eには、何らの色もハッチングも施されていない。このようなに、交通状況に応じて表示態様を変化させることにより、視覚的に渋滞のレベルを利用者に認識させることができる。
次に、図7,8を参照して、交通情報処理装置70により実行される処理を示すフローチャートである。図7は、四輪車両の交通情報を生成するための処理を示すフローチャートであり、図8は、二輪車両の交通情報を生成するための処理を示すフローチャートである。
先に、図7に示すフローチャートについて説明する。まず、四輪車両の走行状況を示す走行実績情報が、走行実績生成部36から四輪交通情報解析部72に入力する(ステップS200)。四輪交通情報解析部72は、入力する四輪車両の走行実績情報に基づいて、当該四輪車両が解析区間内の途中で一定時間以上停車しているか否かを判定する(ステップS202)。四輪車両が解析区間内の途中で一定時間以上停車していると判定しない場合、四輪交通情報解析部72は、入力する四輪車両の走行実績情報に基づいて、当該四輪車両の旅行時間を導出する(ステップS204)。一方、四輪車両が解析区間内の途中で一定時間以上停車していると判定された場合、交通状況解析部76は、同区間・同時間帯に存在する二輪車両の旅行時間が二輪交通情報解析部74により導出されたか否かを判定する(ステップS206)。同区間・同時間帯に存在する二輪車両の旅行時間が導出されたと判定された場合、交通状況解析部76は、同区間・同時間帯に存在する二輪車両の走行状況に基づいて、四輪車両の旅行時間を導出する(ステップS208)。
次いで、交通状況解析部76は、四輪車両の混雑度を判定する(ステップS210)。そして、交通状況解析部76は、同じ時間帯の観測区間に存在する二輪車両の走行実績情報に基づいて、渋滞道路において予め決められ動きをする二輪車両があるか否かを判定する(ステップS212)。渋滞道路において予め決められ動きをする二輪車両がないと判定した場合、交通状況解析部76は、四輪車両の混雑度に基づいて、交通情報を作成する(ステップS214)。一方、渋滞道路において予め決められ動きをする二輪車両があるか否かを判定した場合、交通状況解析部76は、四輪車両の混雑度に基づいて交通情報を作成するとともに、二輪車両の走行実績情報に基づいて渋滞の終点を示す情報を作成し、交通情報に含める(ステップS216)。
次に、図8に示すフローチャートについて説明する。まず、二輪車両の走行状況を示す走行実績情報が、走行実績生成部36から二輪交通情報解析部74に入力する(ステップS300)。二輪交通情報解析部74は、入力する二輪車両の走行実績情報に基づいて、当該二輪車両が解析区間内の途中で一定時間以上停車しているか否かを判定する(ステップS302)。二輪車両が解析区間内の途中で一定時間以上停車していると判定しない場合、二輪交通情報解析部74は、入力する二輪車両の走行実績情報に基づいて、当該二輪車両の旅行時間を導出する(ステップS304)。一方、二輪車両が解析区間内の途中で一定時間以上停車していると判定された場合、交通状況解析部76は、同区間・同時間帯に存在する四輪車両の旅行時間が四輪交通情報解析部72により導出されたか否かを判定する(ステップS306)。同区間・同時間帯に存在する四輪車両の旅行時間が導出されたと判定された場合、交通状況解析部76は、同区間・同時間帯に存在する四輪車両の走行状況に基づいて、二輪車両の旅行時間を導出する(ステップS308)。
次いで、交通状況解析部76は、二輪車両の混雑度を判定する(ステップS310)。そして、交通状況解析部76は、同区間・同時間帯に存在する四輪車両の走行実績情報に基づいて混雑度が判定されたか否かを判定する(ステップS312)。同区間・同時間帯の四輪車両の混雑度が判定された場合、交通状況解析部76は、二輪車両の混雑度と四輪車両の混雑度とに基づいて、二輪車両の混雑度を再判定し、再判定の結果を含む交通情報を作成する(ステップS314)。一方、同区間・同時間帯の四輪車両の混雑度が判定されない場合、交通状況解析部76は、二輪車両の混雑度に基づいて、交通情報を作成する(ステップS316)。
以上説明した実施形態によれば、全地球型測位システムを構成する複数の衛星、および準天頂衛星システムを構成する準天頂衛星から、情報が重畳された電波を受信し、受信した電波から取り出された情報に基づいて、自身の位置を特定する位置測位装置10と、四輪車両に搭載されまたは持ち込まれた位置測位装置10により特定された位置に基づいて認識される四輪車両の走行状況と、二輪車両に搭載されまたは二輪車両の運転者によって保持された位置測位装置10により特定された位置に基づいて認識される二輪車両の走行状況とに基づいて、対象区間における少なくとも四輪車両の交通状況を含む交通情報を作成する交通情報処理装置70とを備えることにより、四輪車両の交通情報に含まれる交通状況の精度を高めることができる。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。