以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
本発明に係るトイレキャビネットの第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るトイレ室を大便器の正面から見て示した図、図2は、トイレキャビネットの内部構成を断面的に示した図である。図1及び図2に示すように、トイレ室Rには、トイレ室Rの後壁BWと便器本体Mとの間にトイレキャビネット100が配設されている。
トイレキャビネット100は、左右方向についてトイレ室Rの左右の壁間の全体にわたって設けられている。すなわち、トイレキャビネット100の左端は、トイレ室Rの左側の側壁である左側壁LWに接しており、トイレキャビネット100の右端は、トイレ室Rの右側の側壁である右側壁RWに接している。なお、トイレキャビネット100において、便器本体Mに着座した状態の使用者の左側(図1における右側)を左側とし、同使用者の右側(図1における左側)を右側とする。トイレキャビネット100の内部空間10の左壁11はトイレ室Rの左側壁LWで構成され、内部空間10の右壁12はトイレ室Rの右側壁RWで構成され、内部空間10の下壁13はトイレ室Rの床FLで構成されている。むろん、内部空間10の左右及び下の壁は、トイレ室Rの左右の側壁や床を流用せず別途に設けた部材で構成してもよい。
内部空間10の上壁14は、トイレキャビネット100の天面板21により構成されている。内部空間10の前壁15は、便器本体Mの直後方(図1,図2において便器本体Mの左右幅と略一致する範囲)で内部空間10の前面を覆う前面板22、便器本体Mの右後方で内部空間10の前面を覆う右扉23、及び、便器本体Mの左後方で内部空間10の前面を覆う左扉24に分割して構成されている。なお、図1,図2には左扉24を開放した状態を示してある。
トイレキャビネット100の内部空間10は、収納空間として利用できる。図1には、便器本体Mをいわゆる壁掛便器の構成とした例を示してある。便器本体Mが壁掛便器である場合、便器本体Mを床FLから浮いた状態に支持する支持部材としてのフレームが、内部空間10内に収容配設される。また、便器本体Mの後部上面に貯水タンクを載置するタイプの大便器の場合、この貯水タンクが、内部空間10内に収容された状態で設けられる。
トイレキャビネット100の内部空間10には、内部空間10を区画する側面板20(20L,20R)が設けられる。側面板20は、図1に示す例では内部空間10を便器本体Mの直後方の中間収納空間10Mと、その左右の収納空間10S(10L,10R)とに区画するように左右2箇所に設けられている。すなわち、左側の収納空間10Sは、側面板20Lよりも左方の空間である側面板20Lとトイレ室Rの左側壁LWとの間の左収納空間10Lであり、右側の収納空間10Sは、側面板20Rよりも右方の空間である側面板20Rとトイレ室Rの右側壁RWとの間の右収納空間10Rである。また、中間収納空間10M内には、上述した構成例において、壁掛便器の支持部材や貯水タンクが配設される。
左収納空間10L及び右収納空間10Rのそれぞれにおいて、側面板20L,20Rに、棚30が取り付け可能に設けられている。これにより左収納空間10L及び右収納空間10Rにおける上下方向の空間利用性の向上が図られている。
以上のように、本実施形態に係るトイレキャビネット100は、トイレ室Rの後壁BWと便器本体Mとの間に配設されるものであり、トイレ室Rの左右いずれか一方の側壁(左側壁LW、右側壁RW)に対向して収納空間10Sを形成する側面板20と、側面板20に着脱可能に支持された状態で設けられる棚30とを備える。そして、本実施形態に係るトイレキャビネット100は、左右両側において、トイレ室Rの側壁に対向して収納空間を形成する側面板20L,20Rと、各側面板20L,20Rに取り付けられる棚30とを備える。また、本実施形態では、左右の各収納空間10Sにおいて、上下2段の棚30が設けられている。
棚30は、トイレキャビネット100の収納空間10S内において、トイレ室Rの側壁に対向する側面板20に支持された状態で設けられる。つまり、棚30は、収納空間10S内において、左右方向の内側を支持側として片持ち支持された状態で設けられる。
このような棚30の支持構成において、棚30の側面板20に対する支持側の端部寄りの部位には、棚30を側面板20に支持するための棚支持部40を構成する支持構造部40aが、棚30の支持側の端からの距離を互いに異ならせて複数設けられている。なお、棚30において、その幅方向(図1における左右方向)に対応する左右方向について、側面板20に対する支持側(左右方向内側)を基端側とし、その反対側(左右方向外側)を先端側とする。
上記のとおり棚30において棚支持部40を構成する支持構造部40aは、棚30の幅調整のために適宜切除される部分として設けられた部分である。トイレ室Rの左側壁LWと右側壁RWとの間の寸法、つまりトイレ室Rの幅寸法(左右方向の寸法)は、建物の間取りや現場によって異なるため、収納空間10Sの幅寸法に合わせて、棚30の幅寸法を調整する必要がある。そこで、棚30においては、その基端側に、間口調整用の被切除部分として、棚支持部40を構成する支持構造部40aが複数連続的に設けられている。
支持構造部40aは、棚支持部40の一部あるいは全部を構成する部分であって、棚30の幅方向について、所定の切断部を介して繰り返し連続的にかつ一体的に複数連設されている。複数の支持構造部40aは、棚30の基端側において、棚30が有する略面一の載置面30aの一部を形成するように、つまり棚30における一体的な棚板部分を構成するように設けられている。そして、複数の支持構造部40aの、棚30の支持側の端からの距離は、棚30の基端側の端面からの棚30の幅方向についての距離であり、この距離は、基端側の端に位置する支持構造部40aから先端側に位置する支持構造部40aにかけて順に段階的に長くなる。
棚30を構成する複数の支持構造部40aは、どの切断部によって切断されても、棚30の基端側の端部の形状・寸法を共通の形状・寸法とするように設けられている。すなわち、切除する支持構造部40aの数により、棚30の基端側の端部の形状・寸法が維持されながら棚30の幅寸法が調整される。隣り合う支持構造部40a間の境界部となる切断部は、棚30の幅方向に垂直な面に沿うように設けられている。ただし、支持構造部40a間の切断部は、棚30の幅方向に垂直な面に対して傾斜した面に沿って設けられたり、互いに異なる複数の平面に沿うように設けられたりしてもよい。
棚30において、支持構造部40a間の切断部は、例えば溝部や凹部等の、他の部分に対して相対的に薄肉状の部分をなす部分である。支持構造部40a間の切断部は、例えば棚30がPP(ポリプロピレン)やABS樹脂等の合成樹脂により成形された樹脂製の部材である場合において、例えばナイフ状のカッター等の刃物を用いることで支持構造部40aを容易に分離させることが可能な態様で設けられている。以下、本実施形態に係る棚30について詳細に説明する。
図3は、棚30全体を斜め下から見て示した斜視図、図4は、棚30全体を斜め上から見て示した斜視図である。棚30は、棚支持部40を構成する支持部材31と、支持部材31に設けられる棚板32とを有する。具体的には、棚30は、側面板20に取り付けられる支持部をなす支持部材31として、棚30の基端側の前後両側に設けられた2つの支持部材31a,31bを有する。また、棚30は、支持部材31a,31bに固定されて棚本体部をなす棚板32を有する。棚板32の上面32aが、棚30の載置面30aとなる。棚30は、全体として、平面視で幅方向に直交する方向である前後方向(図2における上下方向)について対称に構成されており、棚30を構成する支持部材31及び棚板32の各部材も、前後方向について対称に構成されている。
支持部材31a,31bは、側面板20に着脱自在に取り付けられる。支持部材31a,31bを側面板20に対して取り付ける方法としては、様々な手法を採用可能であるが、本実施形態では、磁力で支持部材31a,31bを側面板20に取り付ける構成を採用している。
具体的には、例えば、支持部材31の側に磁石を取り付けて、側面板20を磁石にくっつく金属等で構成する。磁石は支持部材31の内部に埋設してもよいし、支持部材31の側面板20に面する側面に一部露出させて固定してもよい。その他、磁力で支持部材31を側面板20に取り付ける構成としては、例えば、側面板20を磁石としたり側面板20の表面にシート状の磁石を貼り付けつつ支持部材31の少なくとも一部を磁石にくっつく部材で形成したりする構成や、側面板20と支持部材31の双方を磁石とする構成等がある。このように、本実施形態では、支持部材31は、磁力で側面板20に対して取り付けられる。むろん、側面板20に対する棚30の取付構成としては、磁力を用いた構成に限らず、フックと係止孔の組み合わせによる係止構造等を採用しても構わない。
このように、支持部材31を磁力で側面板20に取り付ける構成を採用することにより、棚30の高さ調整が極めて容易になる。また、磁力の働かない部位には支持部材31が固定されないため、予め棚30を取り付けることを想定した部位である側面板20以外に誤設置されるおそれがない。
次に、支持部材31の具体的構成について説明する。図5は支持部材31を前方から見て示した斜視図、図6は支持部材31を後方から見て示した斜視図、図7は支持部材31の側面図である。なお、前後の支持部材31a,31bは略同一形状又は左右対称な形状で実現されるため、以下では、特に断らない限り、支持部材31a,31bをまとめて支持部材31として説明する。
支持部材31は、例えばPP(ポリプロピレン)やABS樹脂等の合成樹脂により成形された一体の樹脂成形体を主体とする部材である。支持部材31は、壁部311と、台部312と、係止部313と、補強リブ314とを有する。壁部311は、側面板20に取り付けた状態で側面板20に沿う方向(略垂直方向)に延びる壁状の部分である。台部312は、壁部311に対して略垂直な面として形成されており側面板20に取り付けた状態で水平方向に延びる平坦な台面312aを構成する部分である。係止部313は、壁部311の台部312よりも上方位置に設けられるL字フック状の部分である。補強リブ314は、台部312の下方において台部312と壁部311との間に架設された略直角三角形の板状の部分であり、台部312と壁部311との間を補強する。
壁部311は、支持部材31を側面板20に取り付けた際に、側面板20に対向する対向面315を有する。対向面315の上部に磁石316が固定されている。また、対向面315の下端付近には滑り性の低い緩衝材317が固定されている。具体的には、図6に示すように、対向面315は、支持部材31の背面側において、壁部311の外形に沿う外周壁部315aと、壁部311の幅方向の中央部に上下方向に沿って配された互いに平行な2つの中間壁部315b,315bとにより形成されている。すなわち、対向面315は、外周壁部315a及び中間壁部315bそれぞれの、支持部材31の背面側の端面により、所定の平面に沿う複数の線状の面部を有する面として形成されている。そして、一対の中間壁部315b,315b間において、上端部に磁石316が設けられ、下端部に緩衝材317が設けられている。
このような支持部材31によれば、支持部材31を側面板20に固定した状態において、磁石316が側面板20に対して吸着する個所が支点、壁部311の下端が側面板20に対する力点となり、棚30の自重及び棚30の載置物の荷重により発生するトルクが壁部311の下端を介して側面板20へ加えられる。
このトルクによって、対向面315の下端付近に固定された緩衝材317が側面板20と壁部311の間に押圧挟持され、この緩衝材317が壁部311と側面板20の間の滑り止めとして機能する。これにより、磁石316の吸着によって磁石316と側面板20との間に発生する静止摩擦力を超える荷重が加わっても、緩衝材317と側面板20との間の静止摩擦力によって、側面板20に沿って棚30が下方に摺動しにくい構造が実現される。
係止部313は、壁部311に一体形成された基部313aから、先端を上方に向かって鉤状に屈曲形成することで側面視でL字をなすようにフック状に形成されている。この係止部313の上方に向かって延びる部位が、本実施形態において凸部313bを構成する。この係止部313を棚板32の下面322に形成される凹部321に係合させることで、支持部材31と棚板32とが連結固定される。
詳細には、係止部313において、凸部313bは、台面312aの上方において壁部311に対向するように設けられている。この凸部313bの下部と壁部311とを繋ぐ部分が、係止部313の基部313aとなる。基部313aは、支持部材31の幅方向に等間隔に3箇所に設けられている。このように、係止部313は、基部313aと凸部313bとにより、側面視で略「L」字状をなすように設けられている。したがって、係止部313と壁部311とにより、壁部311及び凸部313bの互いの対向面を内側面とするとともに基部313aを底部とする溝状の凹状部318が形成されている。
続いて、棚板32の具体的構成について説明する。図8は棚板32の底面図、図9は棚板32の平面図、図10は棚板32の側面図(図9におけるA方向矢視図)、図11は棚板32の基端側の側面図(図9におけるB方向矢視図)、図12は棚板32の縦断面図(図9におけるC−C断面図)、図13はトイレキャビネットに取り付けられた棚30を長さ方向に略垂直に切断して示した断面図である。
棚板32は、例えばPP(ポリプロピレン)やABS樹脂等の合成樹脂により成形された一体の樹脂成形体である。棚板32には、支持部材31に固定される側の端部である基端部寄りの部位に、棚板32の基端側(支持部材31側)の端(端面)である基端面323からの棚板32の幅方向(図8における左右方向)の距離を互いに異ならせて、棚板32を支持部材31に固定するための凹部321が複数設けられている。複数の凹部321において隣り合う凹部321の境界付近には、それぞれ切断部としてのカットライン324が設けられている。いずれかのカットライン324に沿って棚板32を切断することにより、切断に使用したカットライン324よりも基端部寄りの部位を棚板32の本体から切除できる。
すなわち、本実施形態において、棚板32の凹部321は、上述したように棚30において棚支持部40を構成する支持構造部40aに相当する。また、凹部321は、棚板32を支持部材31に固定するための固定構造部として機能する。棚板32は、固定構造部としての凹部321によって支持部材31に着脱自在に固定される。そして、本実施形態では、棚支持部40は、支持構造部40aとしての凹部321と、凹部321に固定される2つの支持部材31とにより構成されている。
このように、本実施形態の棚30において、棚板32の支持部材31側の端部(基端部)寄りの部位に、支持構造部40aとして、棚板32を支持部材31に固定するための固定構造部である凹部321が、棚板32の基端面323からの距離を互いに異ならせて複数設けられている。本実施形態では、7個の凹部321が設けられている。
凹部321は、支持部材31とともに棚支持部40を構成する部分であって、棚板32の幅方向について、カットライン324を介して繰り返し連続的にかつ一体的に複数連設されている。複数の凹部321は、棚板32の基端側において、棚30の載置面30aである棚板32の略面一の上面32aの一部を形成するように、つまり棚30において一体的な棚板部分をなす棚板32を構成するように設けられている。そして、複数の凹部321の、棚板32の基端面323からの距離は、基端面323からの棚板32の幅方向についての距離であり、この距離は、基端側の端に位置する凹部321から先端側に位置する凹部321にかけて順に段階的に長くなる。
複数の凹部321は、どのカットライン324によって切断されても、棚板32の基端部の形状・寸法を共通の形状・寸法とするように設けられている。すなわち、切除する支持構造部40aの数により、棚板32の基端部の形状・寸法が維持されながら棚板32の幅寸法が調整される。なお、棚板32は、その最も先端側のカットライン324により切断されて全ての凹部321が切除された状態においても、棚板32の本体の基端側の端部の形状・寸法が維持されるように構成されている。したがって、7個の凹部321を有する棚板32は、8段階で幅方向の寸法を調整することが可能となっている。また、隣り合う凹部321間の境界部となるカットライン324は、棚板32の幅方向に垂直な面に沿うように設けられている。ただし、カットライン324は、棚板32の幅方向に垂直な面に対して傾斜した面に沿って設けられたり、互いに異なる複数の平面に沿うように設けられたりしてもよい。
凹部321は、棚板32の上面32aの一部を形成する上面部321aと、棚板32の側面部を形成する側壁面部321b,321bと、棚板32の基端側の壁面部をなす基端側壁面部321cとを有する。基端側の端に位置する凹部321の基端側壁面部321cの基端側の面が、基端面323となる。
カットライン324は、隣り合う凹部321間において、上面部321a及び側壁面部321bに沿うように連続的に設けられている。すなわち、カットライン324は、棚板32の上面部において隣り合う凹部321の上面部321a間の直線状の境界線に沿う部分と、棚板32の側面部において隣り合う凹部321の側壁面部321b間の直線状の境界線に沿う部分とを有する。各凹部321は、その上面部321a、側壁面部321b,321b及び基端側壁面部321cにより、先端側(図8において右側)に隣接した凹部321の基端側壁面部321cとともに、棚板32の前後方向に細長い下面開放の箱状の部分を形成する。
棚板32は、図8〜図12に示す例では、全体として下面が開放した矩形箱状に形成されている。つまり、棚板32は、箱状の部分を形成する面部として、上面32aをなす上面部と、棚板32の前後方向両側の側面部と、基端側の壁面部と、先端側の壁面部334とを有する。そして、棚板32の箱内において、基端面323に沿う方向に略平行に延びて箱内を区画する横リブ325〜331が、棚板32の基端部寄りの部位に所定ピッチで7箇所に並設されている。各横リブ325〜331は、棚板32の幅方向を板厚方向とする板状の面部であり、棚板32の幅方向の全体にわたって形成されている。すなわち、図8に示すように、7つの凹部321がカットライン324を介して棚板32の基端側から棚板32の幅方向に連設された構成において、先端側(図8において右側)の6つの凹部321の基端側壁面部321cである6本の横リブ325〜330と、最も先端側のカットライン324により切断された状態の棚板32において基端側(図8において左側)の壁面部となる横リブ331とが設けられている。
これらの7本の横リブ325〜331により棚板32の箱内が区画され、この区画によって7本の凹条41〜47が形成されている。凹条41〜47のそれぞれが、上述した凹部321を構成する。すなわち、各凹条41〜47は、各凹部321と、その先端側(図8において右側)に隣接した凹部321の基端側壁面部321cとにより、棚板32の幅方向(図8における上下方向)に細長い下面開放の箱状の部分として形成されている。なお、図8に示す例では、棚板32の箱内において横リブ325〜331と直交する方向(棚板32の幅方向)に延びる2本の縦リブ332,333が、棚板32の幅方向の全体にわたって、棚板32の箱内を幅方向に略3分割する態様で形成されている。これらの横リブ325〜331と縦リブ332,333との交差部が十字リブとなって棚板32の箱構造を補強している。
棚板32の基端側の壁面部となる、最も基端側の凹部321の基端側壁面部321c、及び凹条41〜47を区画する横リブ325〜331の各壁面部には、支持部材31が係止される位置に切欠部48,49が設けられている。切欠部48,49は、各壁面部の下端部を切り欠き状に凹ませた凹状部である。本実施形態では、切欠部48,49は、棚板32の幅方向を長手方向とする矩形状に沿う形状を有する(図11参照)。また、切欠部48,49は、棚板32の幅方向について対称的に設けられている。各凹部321の基端側壁面部321c及び横リブ331の各壁面部において、棚板32の幅方向の一側の端部近傍に切欠部48が設けられており、同幅方向の他側の端部近傍に切欠部49が設けられている。このように切欠部48,49が設けられた壁面部が、棚板32における凹部321の切除状態(あるいは残存状態)に応じて棚板32の基端側の端部の壁面部(以下「基端壁面部」という。)となることで、支持部材31が固定される壁面部となる。
したがって、図8〜図12に示す棚板32においては、最も基端部寄りに位置する凹部321の基端側壁面部321cが、各切欠部48,49において支持部材31の固定を受ける基端壁面部となる。基端壁面部に対しては、支持部材31は、切欠部48,48に合わせて係止部313のL字フックを下方から係合させることで固定される。ここで、支持部材31は、係止部313を切欠部48,49に係合させることで、棚板32の幅方向について位置決めされる。つまり、基端壁面部において切欠部48,49が形成された部分が、支持部材31の凹状部318に挿嵌され、係止部313と壁部311の間に挟持固定された状態で、支持部材31が、基端壁面部に固定される。
図8〜図12に示す例では、カットライン324は、各凹部321の先端側において、棚板32の外面側及び内面側に形成されている。カットライン324は、棚板32の外面側については、棚板32の幅方向両画の側面部及び上面部のそれぞれの面部に沿って形成されている。また、カットライン324は、棚板32の内面側については、棚板32の上面部の裏側面及び各リブ325〜331の基端側の壁面に沿って、棚板32の箱内面及びリブ332,333に形成されている。カットライン324は、例えば、断面V字状の溝とされる。
このような位置で形成されるカットライン324の何れかに沿って例えばナイフ状のカッター等の切断具を用いて棚板32を切断すると、切断後の棚板32の基端側には、切欠部48,49を有するリブ325〜331の何れかが基端壁面部として現れることになる。従って、いずれのカットライン324で棚板32を切断した場合でも、同じ支持部材31を同じように棚板32の基端壁面部に固定することができる。なお、カットライン324は、例えば薄肉状の部分等、凹部321を切除する際に、ナイフ状のカッター等の刃物を用いることで凹部321を容易に分離させることが可能な部位であればよく、その形状や配設部分は、本実施形態に限定されるものではない。
以上のように、本実施形態に係る棚30においては、支持部材31は、棚板32の基端部を載置する台部312と、上方に突出する凸部313bとを有し、棚板32には、凸部313bと凹凸係合する凹部321が固定構造部として複数(本実施形態では7個)設けられている。そして、棚30は、凸部313bと凹部321を凹凸係合させつつ棚板32を台部312に載置して棚板32を支持部材31に固定する。
また、図8〜図13に示すように、棚板32において、固定構造部としての凹部321は、棚板32の基端面323から所定ピッチ(等ピッチ)で複数設けられている。そして、支持部材31及び棚板32は、支持部材31に棚板32を固定した状態で台部312の先端が支持部材31と棚板32の凹凸係合に用いる凹部321を超えるように構成されている。
具体的には、図13に示すように、棚板32の基端面323を支持部材31の壁部311に当接させつつ凹凸係合させた状態、つまり棚板32に支持部材31を固定した状態において、棚板32の基端側の端部は、支持部材31の台部312上に載置された状態となり、台面312aによって下方から部分的に覆われた状態となる。そこで、棚板32に支持部材31が固定された状態において、棚板32の基端面323から台部312の先端までの長さd1が、当該凹凸係合に用いられる凹部321の幅d2よりも長くなるように、凹部321の幅及び台部312の奥行き、並びに、支持部材31の位置が調整されている。すなわち、棚30は、棚板32の基端面323が接触する壁部311の正面側の壁面が台部312の突設の基準面と面一である構成において、棚板32の基端側の端部の載置支持面となる台面312aの奥行き方向(棚30の幅方向)の寸法が、凹部321の幅寸法よりも大きくなるように構成されている。
このように構成することで、台部312の先端が確実に凹凸係合に用いる凹部321を超え、その凹部321の先端側に隣接する凹部321の基端側壁面部321c(横リブ325〜331のいずれか)の下にまで台部312が伸びている状態が実現される。つまり、棚30の幅方向について、棚板32の基端側の端部の少なくとも1つの凹部321の幅寸法よりも大きな寸法の範囲で、棚板32の基端側の端部が支持部材31の台部312により支持された状態となる。これにより、台部312上に載置固定される棚板32の安定性が向上する。なお、本実施形態では、台部312の奥行き方向の長さ(長さd1)は、凹部321の幅寸法(幅d2)に対して、約1.7倍の長さであるが、凹部321の幅寸法2倍以上の長さであってもよい。
以上のような構成を備えた本実施形態に係るトイレキャビネット100は、複数の固定構造部としての凹部321が棚板32の基端部寄りの部位に基端面からの距離が互いに異なるように形成されている。また、基端部の最寄りにいずれかの凹部321が残るように基端部寄りの部位を切除するか、あるいは全ての凹部321を切除することで、棚板32のサイズ(幅)を調整可能になっている。このように、棚板32の切除した側の端部に対して支持部材31を固定する構造を採用している。つまり、棚板32の切断された端部が支持部材31を介して側面板20に対向する構造である。このため、棚板32の切断された端部が目立ちにくく、その端部に布製品の織糸等が引っ掛かる可能性も低い。さらに、棚板32の切断された端部を使用者が触る可能性も低い。このため、棚板32の切断面のバリ取り等の表面処理が不要になる、又は、低い作業負荷で可能な表面処理で済ませることができる。すなわち、トイレキャビネット100をトイレ室Rに設置する施工作業の作業性を向上することができる。
また、上述のように構成された棚30を、トイレキャビネット100の左収納空間10Lや右収納空間10Rで用いる場合、棚30のサイズ調整が従来に比べて容易になる。すなわち、支持部材31と棚板32とが別体になっていて着脱自在に構成されているため、左収納空間10Lや右収納空間10Rの横幅に合わせて棚30の幅を調整する際に、例えば、棚板32の基端面323あるいは棚板32の先端側の端面を側面板20L,20R又は左側壁LW,右側壁RWに当接させつつ実測して切断に用いるカットライン324を決定できるため、従来に比べて棚30の幅調整にかかる作業性が向上する。
すなわち、棚板32の幅調整作業においては、所定ピッチで複数設けられた凹部321間のいずれかのカットライン324に沿って切断具で切断するかを決定する必要がある。この点、上述したような従来技術に係る棚板によれば、フック側端部から突出状にフックを設けているため、フック側端部を側面板20又は左側壁LW,右側壁RWに当接させた状態で実測することが物理的に不可能である。このことは、キャビネットをトイレ室に設置する施工作業の作業性を低下させる一因となる。
そこで、本実施形態に係る棚30によれば、例えば、棚板32の先端側の端面を側面板20L,20R又は左側壁LW,右側壁RWに当接させた状態で、棚板32の基端面323の位置により、目視によって、切断に用いるカットライン324を決定することができる。このため、左収納空間10Lや右収納空間10Rの横幅の寸法を、棚板32の寸法に合わせるといった作業を省略することができるので、従来に比べて棚30の幅調整作業の作業性を向上することができる。
また、棚30は、いずれかのカットライン324に沿って棚板32を切断すると切断面の側に支持部材31と係合する凹部321の基端側壁面部321c及び切欠部48,49が現れる構造であり、この切断面の側に支持部材31が固定される。このため、側面板20に固定される側が切断面であり、その反対側には切断面が向かない構造である。これにより、通常、利用者が把持したり視認したりしやすい棚30の先端部に切断によるバリ等の荒れが無く、棚30の外観が悪化しにくく、利用者が違和感を覚えにくい。また、棚板32に載置される布製品の織糸等が切断面のバリ等の荒れに引っ掛かる可能性も低くなる。従って、棚板32の切断面のバリ取り等の表面処理を行わずに済んだり、表面処理を簡素化可能になったりする場合もあり、トイレキャビネット100をトイレ室Rに設置する際の施工作業の作業性が向上する。
また、支持部材31と棚板32が着脱自在に構成されているため、各々を個別に用いることもできる。棚板32については、例えば、床に置いて床保護部材として用いることが可能である。支持部材31については、例えば、支持部材31のみを側面板20に磁力で取り付けて、物を吊り下げるフックとして用いることが可能である。
[第2実施形態]
本発明に係るトイレキャビネットの第2実施形態について、図14〜図29を用いて説明する。なお、第1実施形態と共通する部分については同一の符号あるいは同一の名称を用いる等して適宜説明を省略する。
図14〜図18に示すように、本実施形態に係る棚50は、トイレキャビネット100の収納空間10S内において、トイレ室Rの側壁に対向する側面板70に支持された状態で設けられる。つまり、棚50は、収納空間10S内において、左右方向の内側を支持側として片持ち支持された状態で設けられる。なお、図14は、収納空間10Sのうち左収納空間10Lを示している。また、図15は、棚50の取付状態を示す側面断面図である。
本実施形態に係る棚50は、側面板70に対する支持構造の点で、第1実施形態と異なる。本実施形態に係る棚50は、側面板70に対して、係止構造によって支持される。すなわち、棚50は、側面板70に対する支持側(基端側)に係止部50bを有し、側面板70側には、係止部50bと係合する被係合部となる係止孔71が穿設されている。係止孔71は、側面板70において上下方向に間隔を隔てて複数設けられている。係止部50bを係合させる係止孔71により、棚50の高さ位置が調整される。係止孔71は、水平方向に沿って形成された横長のスリット状(細長の矩形状)の開口部である。棚50は、係止部50bを係止孔71に差し込むことで側面板70に係合し、水平状態で支持された状態となる。
このような棚50の支持構成において、棚50の側面板70に対する支持側の端部寄りの部位には、第1実施形態に係る棚30の場合と同様に、棚50を側面板70に支持するための棚支持部40を構成する支持構造部40aが、棚50の支持側の端からの距離を互いに異ならせて複数設けられている。
すなわち、支持構造部40aは、棚支持部40の一部あるいは全部を構成する部分であって、棚50の幅方向について、所定の切断部を介して繰り返し連続的にかつ一体的に複数連設されている。複数の支持構造部40aは、棚50の基端側において、棚50が有する略面一の載置面50aの一部を形成するように、つまり棚50における一体的な棚板部分を構成するように設けられている。棚50を構成する複数の支持構造部40aは、どの切断部によって切断されても、棚50の基端側の端部の形状・寸法を共通の形状・寸法とするように設けられている。以下、本実施形態に係る棚50について詳細に説明する。
棚50は、棚支持部40を構成する支持部材としての支持板51と、支持板51に設けられる棚板52とを有する。具体的には、棚50は、側面板70に取り付けられる支持部をなす支持部材として、棚50の基端側の端部に設けられた1つの支持板51を有する。また、棚50は、支持板51に固定されて棚本体部をなす棚板52を有する。棚板52の上面52aが、棚50の載置面50aとなる。棚50は、全体として、平面視で幅方向に直交する方向である前後方向(図28における左右方向)について対称に構成されており、棚50を構成する支持板51及び棚板52の各部材も、前後方向について対称に構成されている。
支持板51は、側面板70に着脱自在に取り付けられる。支持板51を側面板70に対して取り付ける方法としては、様々な手法を採用可能であるが、本実施形態では、上記にとおり係止構造により支持板51を側面板70に取り付ける構成を採用している。
具体的には、棚50において、係止部50bは、支持板51の一部として設けられている。係止部50bは、棚50の基端側の端部において載置面50aから上方に突出した横長状の突片部分であり、棚50の前後方向の中央部に設けられている。
詳細には、図16に示すように、係止部50bは、側面断面視で略クランク状(略「S」字状)の形状を有する。係止部50bは、側面断面視で略クランク状をなす部分として、棚50の基端側の端面である基端面50cと面一に設けられた下垂直面部53aと、下垂直面部53aに対して棚板52側と反対側(図16において左側)に略直角状に屈曲した水平面部53bと、水平面部53bに対して上側に略直角状に屈曲した上垂直面部53cとを有する。
このような係止部50bを基端部に有する棚50は、係止部50bをその先端側(上端側)から側面板70の係止孔71に差し込み、上垂直面部53cを側面板70の内側に係止させた状態で、係止孔71によって側面板70に取り付けられた状態、つまり側面板70に支持された状態となる。棚50の側面板70に対する取付状態においては、基端面50c及びこれと面一の下垂直面部53aの板面は、側面板70の外側面70aに接触し、水平面部53bの下面は、係止孔71の下面71aに接触し、上垂直面部53cの棚板52側(図16において右側)の面は、側面板70の内側面70bに接触した状態となる。すなわち、棚50は、基端面50c及びこれと面一の下垂直面部53aの板面と、上垂直面部53cの棚板52側の板面とにより、側面板70に対して両面側から接触し、支持された状態となる。
このような支持構成においては、棚50の自重及び棚50の載置物の荷重が、上述したような側面板70に対する接触面において受けられる。また、係止部50bによる係止作用を得るため、係止部50bにおける水平面部53bの下面と上垂直面部53cの上端面との間の寸法E1は、係止孔71の上下幅寸法E2よりも大きい。
このように、本実施形態では、棚50は、係止部50bを係止孔71に差し込むことで側面板70に係合して取付状態となる。なお、係止部50b及び係止孔71の形状等、棚50の側面板70に対する係止構造における各部の形状は、本実施形態に限定されるものではなく、係止作用が得られる適宜の形状を採用することができる。また、側面板70に対する棚50の取付構成としては、磁力を用いた構成であってもよい。
また、本実施形態において、棚50が支持される側面板70としては、例えばプレス加工等により複数の係止孔71等の所定の形状部分を容易に形成することができことから、部品としての加工コストの面で、鋼板等の金属板が好適に用いられる。また、側面板70を金属板により構成することにより、棚50の支持に上述したような磁力を用いることが可能となる。
次に、支持板51の具体的構成について、図19及び図20を用いて説明する。図19(a)は支持板51の表面側の斜視図、図19(b)は支持板51の裏面側の斜視図、図20(a)は支持板51の正面図、図20(b)は支持板51の側面図、図20(c)は支持板51の平面図である。
支持板51は、例えば鋼板等より形成された金属製の部材である。支持板51は、全体として、横方向を長手方向とする略矩形板状の部材である。支持板51は、一方の板面側を棚板52に向けた状態で、棚板52の基端側の端部に固定される。支持板51は、棚板52の基端側の端部に固定されることで、棚50において、棚板52の支持構造部40aとともに棚支持部40を構成する。なお、支持板51においては、棚板52に向く板面側を裏側、その反対の板面側を表側とする。
支持板51は、略矩形板状の本体部51aを有する。本体部51aの表側の板面51bが、上述のとおり棚50が有する基端面50cとなる。支持板51の本体部51aの上辺部の長手方向(図20(a)における左右方向)の中央部には、上述のとおり棚50が有する係止部50bをなす突片部53が設けられている。すなわち、突片部53は、下垂直面部53a、水平面部53b、及び上垂直面部53cを有し、略クランク状の断面形状をなし、本体部51aの上縁から上側かつ表側に突設されている。突片部53は、支持板51において、本体部51aの長手方向について全体の略1/3の寸法の範囲で、長手方向について共通の略クランク状の断面形状を有する屈曲板状の部分として設けられている。
支持板51は、棚板52に係合固定される。支持板51は、棚板52に係合する部分として、本体部51aの長手方向の両側に係合片部54を有する。係合片部54は、本体部51aの裏側の板面51cから突出するように設けられており、平面視で略「L」字状をなす屈曲板状の部分である。係合片部54は、平面視で略「L」字状をなす部分として、本体部51aに対して略垂直状に設けられた第1面部54aと、第1面部54aに対して長手方向の外側に略直角状に屈曲した第2面部54bとを有する。第2面部54bは、本体部51aに対して平行状の面部となる。
本実施形態では、係合片部54は、板状の本体部51aの所定の部位を長手方向の内側の辺部のみが繋がった状態で矩形状に沿って切り抜き、その部分を裏側に突出した段差面(表側において凹んだ段差面)を形成するように屈曲させた態様で設けられている。したがって、支持板51の正面視において、本体部51aには、係合片部54を含む範囲で、矩形状に沿う開口部51dが形成されている。
このような係合片部54を有する支持板51においては、支持板51の平面視において互いに対向する本体部51aと第2面部54bとの間の空間部分55が、板状部分を受け入れる空間となる。つまり、本体部51aの係合片部54の周囲の部分(開口部51dを形成する部分)と第2面部54bとにより、本体部51aと第2面部54bとの間の間隔よりも小さい板厚の板状の部分を、挟持ないし差し込ませることができる空間部分55が形成される。
また、支持板51において、本体部51aの長手方向両側の下側の角部分には、略直角状の切欠部56が設けられている。切欠部56は、水平状の横面部56aと、横面部56aとともに直角状をなす縦面部56bとを有する。切欠部56は、後述するように棚板52の基端側の端面に設けられた突起部分(係止突起部66)との干渉を避けるための部分となる。
続いて、棚板52の具体的構成について、図21〜図26を用いて説明する。図21は棚板52の平面図、図22は棚板52の底面図、図23は棚板52の側面図(図21におけるF方向矢視図)、図24は棚板52の基端側の側面図(図21におけるG方向矢視図)、図25は棚板52の基端部の部分拡大斜視図である。図26は棚板52の切断についての説明図である。
棚板52は、例えばPP(ポリプロピレン)やABS樹脂等の合成樹脂により成形された一体の樹脂成形体である。棚板52には、支持板51に固定される側の端部である基端部寄りの部位に、棚板52の基端側(支持板51側)の端(端面)である基端面52bからの棚板52の幅方向(図21における左右方向)の距離を互いに異ならせて、棚板52を支持板51に固定するための固定構造部60が複数設けられている。複数の固定構造部60において隣り合う固定構造部60の境界付近には、それぞれ切断部としてのカットライン61が設けられている。いずれかのカットライン61に沿って棚板52を切断することにより、切断に使用したカットライン61よりも基端部寄りの部位を棚板52の本体から切除できる。
すなわち、本実施形態において、棚板52の固定構造部60は、棚板52を支持板51に固定するための部分であり、上述したように棚50において棚支持部40を構成する支持構造部40aに相当する。つまり、棚板52は、固定構造部60によって支持板51に固定される。そして、本実施形態では、棚支持部40は、支持構造部40aとしての固定構造部60と、固定構造部60に固定される支持板51とにより構成されている。
このように、本実施形態の棚50において、棚板52の基端部寄りの部位に、支持構造部40aとして、固定構造部60が、棚板52の基端面52bからの距離を互いに異ならせて所定ピッチ(等ピッチ)で複数設けられている。本実施形態では、9個の固定構造部60が設けられている。
固定構造部60は、支持板51とともに棚支持部40を構成する部分であって、棚板52の幅方向について、カットライン61を介して繰り返し連続的にかつ一体的に複数連設されている。複数の固定構造部60は、棚板52の基端側において、棚50の載置面50aである棚板52の略面一の上面52aの一部を形成するように、つまり棚50において一体的な棚板部分をなす棚板52を構成するように設けられている。そして、複数の固定構造部60の、棚板52の基端面52bからの距離は、基端面52bからの棚板52の幅方向についての距離であり、この距離は、基端側の端に位置する固定構造部60から先端側(図21において右側)に位置する固定構造部60にかけて順に段階的に長くなる。
複数の固定構造部60は、どのカットライン61によって切断されても、棚板52の基端部の形状・寸法を共通の形状・寸法とするように設けられている。すなわち、切除する固定構造部60の数により、棚板52の基端部の形状・寸法が維持されながら棚板52の幅寸法が調整される。なお、棚板52は、その最も先端側のカットライン61により切断されて全ての固定構造部60が切除された状態においても、棚板52の本体の基端側の端部の形状・寸法が維持されるように構成されている。したがって、9個の固定構造部60を有する棚板52は、10段階で幅方向の寸法を調整することが可能となっている。また、隣り合う固定構造部60間の境界部となるカットライン61は、棚板52の幅方向に垂直な面に沿うように設けられている。
図21に示すように、棚板52は、その幅方向(図21における左右方向)について、基端側の過半部分を、複数の固定構造部60からなる切除可能部81とし、残りの先端側の部分を、棚基部82とする。切除可能部81は、細長の固定構造部60の長手方向である棚板52の前後方向(図21における上下方向)の中間部分を、隣り合う固定構造部60同士、あるいは最も先端側の固定構造部60と棚基部82とが互いに繋がった棚連結部83とする。また、同じく切除可能部81は、棚板52の前後方向の残りの両側の部分を、隣り合う固定構造部60同士、あるいは最も先端側の固定構造部60と棚基部82とが互いに分離した棚分離部84とする。棚連結部83は、棚板52の前後方向について全体の略1/2の寸法の範囲で設けられている。
したがって、各固定構造部60は、その長手方向の中間部を、棚連結部83をなす連結要素部63とし、長手方向の両側の部分を、棚分離部84をなす分離要素部64とする(図21、図24参照)。すなわち、固定構造部60を切除する際は、連結要素部63の部分を、先端側に隣接する固定構造部60、あるいは棚基部82からカットライン61に沿って分離させることになる。また、隣り合う分離要素部64同士の間、及び最も先端側の分離要素部64と棚基部82との間には、棚板52の幅方向について所定の寸法H1の間隔が存在する(図21参照)。
固定構造部60を構成する連結要素部63は、棚板52の上面52aの一部を形成する上面部63aと、固定構造部60の長手方向の両側の側壁面部63b,63bと、棚板52の基端壁面部をなす基端側壁面部63cとを有する。基端側の端に位置する固定構造部60の基端側壁面部63cの基端側の面が、基端面52bの一部となる。また、連結要素部63は、両側の側壁面部63b,63b間に、側壁面部63bと平行な2つの隔壁部63dを有する。
連結要素部63は、その上面部63a、側壁面部63b,63b及び基端側壁面部63cにより、先端側(図22において右側)に隣接した連結要素部63の基端側壁面部63cとともに、棚板52の前後方向に細長い下面開放の箱状の部分を形成する。そして、この箱状の空間部分が、2つの隔壁部63dにより、長手方向に3分割されている。
カットライン61は、隣り合う固定構造部60間において、上面部63a、側壁面部63b,63b及び隔壁部63dに沿うように設けられている。すなわち、上面部63aに沿うカットライン61は、棚板52の上面部において隣り合う固定構造部60の上面部63a間の直線状の境界線に沿うように設けられている。また、側壁面部63bに沿うカットライン61は、側壁面部63bの、先端側に隣接した固定構造部60の基端側壁面部63cに繋がる辺部(先端側の辺部)に沿うように(棚板52の板厚方向に沿って)設けられている。これと同様に、隔壁部63dに沿うカットライン61は、隔壁部63dの、先端側に隣接した固定構造部60の基端側壁面部63cに繋がる辺部(先端側の辺部)に沿うように設けられている。
図に示す例では、カットライン61は、断面V字状の溝として設けられている。また、カットライン61は、側壁面部63bにおいては、棚板52の前後方向の内側に形成されており、隔壁部63dにおいては、棚板52の前後方向の外側に形成されている。なお、カットライン61の形状や配設部分は、本実施形態に限定されるものではない。
固定構造部60を構成する分離要素部64は、連結要素部63の上面部63aと略面一状をなして棚板52の上面52aの一部を形成する上面部64aと、棚板52の側面部を形成する側壁面部64bと、連結要素部63の基端側壁面部63cとともに棚板52の基端壁面部をなす基端側壁面部64cと、基端側壁面部64cに平行な対向壁面部64dとを有する。基端側の端に位置する固定構造部60の基端側壁面部64cの基端側の面が、基端面52bの一部なる。また、対向壁面部64dは、基端側壁面部64cと略同じ形状・寸法を有し、棚板52の正面視(図24参照)において基端側壁面部64cと外形が重なるように設けられている。
分離要素部64は、その上面部64a、側壁面部64b、基端側壁面部64c及び対向壁面部64dにより、連結要素部63の側壁面部63bとともに、棚板52の前後方向に細長い下面開放の箱状の部分を形成する。そして、分離要素部64の、棚板52の幅方向の寸法(基端側壁面部64c及び対向壁面部64dの対向方向の寸法)が、連結要素部63の同方向の寸法よりも短く、その分、隣り合う固定構造部60の分離要素部64間において、上述のとおり寸法H1の隙間が存在する。つまり、この隙間は、対向壁面部64dと、先端側に隣接した固定構造部60の基端側壁面部64cとの間の隙間である。
棚基部82は、全体として下面が開放した矩形箱状に形成されている。つまり、棚基部82は、箱状の部分を形成する面部として、上面52aをなす上面部82aと、棚板52の前後方向両側の側面部82b,82bと、基端側の壁面部82cと、先端側の壁面部82dとを有する。先端側の壁面部82dの外側の壁面が、棚板52の先端側の端面となる。
棚基部82の箱内には、図22に示すように、複数の壁状のリブとして、棚板52の前後方向に沿う横リブ82e、棚板52の幅方向に沿う縦リブ82f、及び斜め方向に配された斜めリブ82gが設けられている。これらのリブは、いずれも上面部82aに対して垂直に設けられた板状部分であり、底面視で交差する等して棚板52の箱構造を補強している。ここで、縦リブ82fは、連結要素部63の側壁面部63b,63b、及び隔壁部63d,63dのそれぞれに対応する位置に、基端側の壁面部82cと先端側の壁面部82dとの間の全体にわたって設けられている。つまり、縦リブ82fは、棚板52の幅方向に連なった複数の固定構造部60の側壁面部63bまたは隔壁部63dに対して、これらの隔壁部63dとともに棚板52の幅方向に沿って略同一壁面状をなすように繋がった態様で設けられている。
また、棚基部82において、基端側の壁面部82cは、固定構造部60の基端側の壁面部と同様の壁面部である。すなわち、基端側の壁面部82cは、全ての固定構造部60が切除された状態の棚板52において、棚板52の基端面52bをなす壁面部であり、固定構造部60の連結要素部63の基端側壁面部63c、及び分離要素部64の基端側壁面部64cからなる基端壁面部と同じ形状・寸法を有する。
また、棚板52は、その下面側において、棚連結部83を構成する各固定構造部60の連結要素部63の配設部位を中心として、下側に張り出した膨出状の形状を有する(図18参照)。具体的には次のとおりである。
各固定構造部60は、その長手方向について、分離要素部64を主とする中間部分において、両側の分離要素部64の端部側の部分よりも、棚板52の板厚方向の寸法を下側に長くしている。ここで、図24に示すように、固定構造部60の長手方向の中間部分の、棚板52の板厚方向の寸法J1は、分離要素部64の端部側の部分の同方向の寸法J2の約2倍である。
また、分離要素部64は、その基端側壁面部64c及び対向壁面部64dにおいて、棚板52の前後方向の連結要素部63側(内側)の部分に、同前後方向の外側から内側にかけて棚板52の板厚方向の寸法を徐々に長くする傾斜部64eを有する。また、図18に示すように、棚基部82の底面側に設けられた縦リブ82f及び斜めリブ82gにおいて、切除可能部81側の部分には、先端側(壁面部82d側)からの基端側(壁面部82c)にかけて棚板52の板厚方向の寸法を徐々に長くする傾斜部82hを有する。このような下側への張り出し形状により、棚板52の補強が図られている。
棚板52には、その基端壁面部に、支持板51が取り付けられる。そこで、各固定構造部60における連結要素部63の基端側壁面部63c、及び分離要素部64の基端側壁面部64cからなる基端壁面部、並びに棚基部82の基端側の壁面部82cには、支持板51を受け入れて固定支持するための形状部分として、細長い直線状の切欠部であるスリット部65及び係止突起部66が設けられている。なお、以下の説明では、棚基部82の基端側の壁面部82cは固定構造部60の基端壁面部と同一の壁面部分であるとして、壁面部82cについての説明を省略する。
スリット部65は、固定構造部60の連結要素部63の基端側壁面部63cにおいて、棚板52の底面側(下側)を開放側としてスリット状に形成された縦長の開口部である。スリット部65により、基端側壁面部63cを介して連結要素部63の内部と外部とが連通する。スリット部65は、基端側壁面部63cにおいてその高さ方向の過半部に形成されている。スリット部65は、固定構造部60の長手方向の両側の2箇所に設けられている。詳細には、各スリット部65は、固定構造部60の長手方向について、隔壁部63d,63dの外側近傍の位置に設けられている。
スリット部65は、支持板51の係合片部54の第1面部54aを受け入れ、第2面部54bと本体部51aとの間の空間部分55に、基端側壁面部63cを差し込ませるための部分である。このため、スリット部65の幅寸法は、係合片部54の第1面部54aの板厚寸法よりも大きい。また、空間部分55を形成する第2面部54bと本体部51aとの間の間隔は、空間部分55において基端側壁面部63cを挟持できるように、基端側壁面部63cの板厚と略同じ大きさとなっている。
係止突起部66は、固定構造部60の分離要素部64の基端側壁面部64cにおける基端側の壁面(最も基端側に位置する固定構造部60における基端面52b)に設けられている。係止突起部66は、略直方体状に突出した突起部分である。係止突起部66は、固定構造部60の長手方向について、スリット部65よりも外側の位置の2箇所に設けられている。詳細には、係止突起部66は、固定構造部60の長手方向について分離要素部64の連結要素部63寄りの位置であって、基端側壁面部64cの下端部に設けられている。また、係止突起部66は、固定構造部60の長手方向について基端側壁面部64cの傾斜部64eよりも内側の、棚板52の板厚方向について寸法J1の寸法を有する部位(傾斜部64eの内側の角部分の近傍の部位)に設けられている。
係止突起部66は、棚板52に取り付けられた支持板51の長手方向の両端部に対して下側から係止する部分となる。このため、係止突起部66は、略水平状の上面66aを、支持板51の切欠部56の横面部56aに対向する係止面とする。また、係止突起部66は、突出側の端面を、分離要素部64の基端側壁面部64cの基端側の壁面に平行な面に対して傾斜したガイド斜面66bとする。ガイド斜面66bは、下側から上側にかけて係止突起部66の突出寸法を増やす向きに傾斜している。つまり、ガイド斜面66bは、オーバーハング状の斜面となっている。
また、固定構造部60の連結要素部63においては、基端側壁面部63cの基端側の壁面に、複数の直線状の突条部67が設けられている。突条部67は、樹脂成形品である棚板52における寸法調整用の部分である。突条部67は、固定構造部60の長手方向について、スリット部65よりも外側に2本ずつ、内側に1本ずつ、計6本設けられている。なお、スリット部65よりも外側の2本の突条部67が設けられた部分は、上述のとおり支持板51の本体部51aと第2面部54bとにより挟持された部分となるため(図28参照)、かかる部分の板厚は、突条部67の突出量も含み、本体部51aと第2面部54bとによる挟持作用が得られるように設定される。
また、棚板52の上面部においては、棚板52の幅方向に沿う細長い縦溝部68が設けられている。縦溝部68は、棚板52の前後方向について、連結要素部63の両端の位置、及びスリット部65と略同じ位置の計4箇所に設けられている。縦溝部68は、平面視で上面部63aに沿うカットライン61に直交するように、棚板52の幅方向の全体にわたって略連続的に形成されている。
以上のような構成を備えた棚板52によれば、隣り合う固定構造部60間の境界、あるいは隣り合う固定構造部60と棚基部82との間の境界のいずれかの部位をカットライン61に沿って例えばナイフ状のカッター等の切断具を用いて切断することで(図26、矢印M1)、スリット部65及び係止突起部66が設けられた壁面部分のいずれかが、支持板51の固定が可能な基端壁面部として現れる。そして、図26に示すように、切除する固定構造部60の数により、固定構造部60の幅方向の寸法K1(図示では係止突起部66を除く)のピッチで、棚板52の幅方向の寸法を調整することができる。寸法K1の大きさは、特に限定されるものではないが、例えば15mm程度である。
続いて、支持板51と棚板52の固定構造について、図27及び図28を用いて説明する。なお、図28は、棚50の本体部分(係止部50bを除いた部分)の厚さ方向の中央位置の平面断面図である。
図27に示すように、支持板51は、棚板52の基端面52bに対してスライドさせる態様で、基端壁面部に対して下側から嵌め込まれる(図27、矢印L1参照)。支持板51は、その長手方向の両端部において、係止突起部66の干渉を受けながら、両側の係合片部54をスリット部65に差し込ませる。棚板52に対する支持板51の嵌合方向について、支持板51が係止突起部66を乗り越えることで、係止突起部66が切欠部56に納まり、支持板51が棚板52に係合固定された状態となる。
ここで、支持板51が係止突起部66を乗り越えるまでの過程においては、支持板51及び棚板52の基端壁面部(主に樹脂部材である棚板52の基端壁面部)の弾性変形をともなう。この弾性変形については、係止突起部66のガイド斜面66bによってガイド作用が得られる。
支持板51の棚板52に対する固定状態においては、支持板51は、本体部51aを基端面52bに対向させるとともに、スリット部65により係合片部54を基端壁面部の裏側に位置させる(図28参照)。また、支持板51は、切欠部56の横面部56aを、係止突起部66の上面66aに対向ないし接触させるとともに、切欠部56の縦面部56bを、係止突起部66の内側の側面66cに対向ないし接触させた状態となる。このように、支持板51は、本体部51aと係合片部54とによる棚板52の基端壁面部に対する挟持作用により、係止突起部66による係止作用が得られる状態で、棚板52に固定支持された状態となる。
以上のような支持板51と棚板52の固定構造において、支持板51は、棚板52に対して嵌め殺し状態で固定される。すなわち、棚50は、支持板51を一旦棚板52に固定することで、支持板51を容易に取り外すことができないように、つまり嵌め殺しとなるように構成されている。
支持板51の嵌め殺しの構成は、例えばペンチ等の器具等を用いずには支持板51を棚板52から取り外すことができない構成である。支持板51の嵌め殺しの構成は、例えば、支持板51の板厚等による本体部51aの剛性、棚板52の基端壁面部の壁厚や棚板52の樹脂材料や固定構造部60の構造等による基端壁面部の剛性、係止突起部66の突出寸法等の各要素の調整により実現される。
また、本実施形態に係る棚50においては、支持板51は、棚板52の基端面52bを覆うように設けられている。本実施形態では、支持板51は、図17及び図21に示すように、棚板52の基端面52bにおいて、連結要素部63の範囲の全体を覆うように設けられている。
具体的には、支持板51の本体部51aは、上下方向について、棚板52の連結要素部63の部分の板厚方向の寸法(図24に示す寸法J1)と略同じ寸法を有する。また、支持板51の本体部51aの長手方向の両端は、切欠部56により、分離要素部64の部分に設けられた係止突起部66の位置まで達する。このように、支持板51は、棚板52に固定された状態において、棚50の基端側の側面視で、本体部51aの外形の範囲内に、連結要素部63の全部を含むように設けられている。
したがって、棚板52の幅調整のためにいずれかの固定構造部60が切除された場合、棚板52の基端面52bに現れる切断面(切断跡)が、棚板52に取り付けられた支持板51により覆われた状態となる。図29においてハッチング部分で示すように、棚板52の基端面52bに現れる切断跡69は、カットライン61が設けられた部分に沿う形状を有する。
具体的には、切断跡69は、連結要素部63の上面部63aの断面形状に沿う上横辺部69aと、連結要素部63の側壁面部63bの断面形状に沿う外側縦辺部69bと、連結要素部63の隔壁部63dの断面形状に沿う内側縦辺部69dとを有する。このような切断跡69が、棚板52に支持板51が固定されることで、支持板51によって全体的に覆われた状態となる。
本実施形態に係るトイレキャビネットによれば、上述したような第1実施形態に係るトイレキャビネットと共通の各構成よる作用効果に加え、次のような作用効果が得られる。
まず、本実施形態に係る棚50においては、上述したように、支持板51、棚板52の基端面52bを覆うように設けられている。このような構成によれば、棚50の幅調整のために棚板52の固定構造部60が切除された場合、棚板52の基端面52bに現れる切断跡69を支持板51によって覆い隠すことができる。これにより、上述したような棚板の切除可能側の端部に支持部材を固定する構造による効果を、より確実に得ることができる。
すなわち、棚50においては、棚板52の切断跡69が支持板51により隠されるため、切断跡69が露出した状態となることを防止することができる。これにより、棚板52の切断跡69に、布製品の織糸等が引っ掛かることを防止することができる。また、棚板52の切断跡69を使用者が触ることを防止することができる。また、棚板52の切断跡69についてのバリ取り等の表面処理を不要あるいは簡単な作業で済ますことが可能となる。
また、本実施形態に係る棚50においては、支持板51は、棚板52に対して嵌め殺し状態で固定されている。このような構成によれば、棚板52が支持板51から外れることがないため、側面板70に対する棚50の取付状態において、棚板52が脱落することがなく、比較的重い物品であっても、棚50上に安心して物品を置くことができる。つまり、本実施形態に係る棚50によれば、棚50の耐荷重を効率的に増大させることができ、棚50に対する載置物についての汎用性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る棚50は、側面板70に対する支持構造として、係止孔71及び係止部50bによる係止構造を採用している。このような構成によれば、側面板70に対して棚50を安定的に支持させることが可能となり、十分な耐荷重を容易に得ることができる。
[第3実施形態]
本発明に係るトイレキャビネットの第3実施形態について、図30〜図38を用いて説明する。なお、上述した実施形態と共通する部分については同一の符号あるいは同一の名称を用いる等して適宜説明を省略する。
上述した各実施形態に係る棚おいて棚板と支持部材とが互いに別体に構成されているのに対し、本実施形態に係る棚250においては、棚板と支持部材とが一体の部材として構成されている。このため、棚250においては、その幅方向に複数連設される支持構造部240aが、棚250の棚支持部40となる。つまり、棚板の幅調整に際して適宜切除される支持構造部240aのそれぞれにおいて、支持部材に対応する部分である支持部が設けられる。
具体的には、図30及び図31に示すように、本実施形態に係る棚250は、トイレキャビネット100の収納空間10S内において、トイレ室Rの側壁に対向する側面板270に支持された状態で設けられる。また、本実施形態に係る棚250は、側面板270に対して、係止構造によって支持される。このため、棚250は、側面板270に対する支持側(基端側)に、上述した実施形態に係る支持部材に対応する支持部として係止片部251を有し、側面板270側には、係止片部251と係合する被係合部となる係止支持部271が設けられている。係止支持部271は、側面板270において互いに同じ高さ位置で前後2箇所に設けられるとともに、上下方向に間隔を隔てて複数の高さ位置に設けられている。互いに同じ高さ位置に設けられた2箇所の係止支持部271が、棚250の支持に用いられる。係止片部251を係合させる係止支持部271の高さ位置により、棚250の高さ位置が調整される。
係止支持部271は、図30〜図32に示すように、上側開口のポケット状の部分である。係止支持部271は、係止片部251が差し込まれる開口である係止孔271aを有する。係止支持部271は、係止孔271aを形成する部分として、側面板270の外側面270aに対して膨出状に形成された膨出壁部272を有する。膨出壁部272の上端面は、水平面状の支持面272aとなり、この支持面272aに開口するように、係止孔271aが形成されている。膨出壁部272は、略上半部を上下方向に沿う鉛直状の壁面部とし、残りの略下半部を下窄まり状の傾斜壁面部とする。膨出壁部272の鉛直状の壁面部により形成された係止支持部271の部分に、係止片部251が挿入される(図31参照)。なお、図32(a)は側面板270の一部斜視図、図32(b)は側面板270の平面断面図である。
係止孔271aは、上面視において、膨出壁部272の内周面272bと側面板270の外側面270aとにより、前後方向を長手方向とする細長い孔形状であって、側面板270の内側(図32(b)における上側)から外側(同下側)にかけて徐々に前後方向(図32(b)における左右方向)の寸法を小さくする略台形状をなすように形成されている。膨出壁部272は、平面状の部材である側面板270においてその一部を内側から凹ませて外側に膨出させることで形成されている。つまり、膨出壁部272は、側面板270の一部が凹状に打ち抜かれた態様で形成されている。したがって、側面板270の外側において開口する係止孔271aは、側面板270の内側に連通している。棚250は、係止片部251を係止孔271aに差し込むことで側面板270に係合し、水平状態で支持された状態となる。
このような棚250の支持構成において、棚250の側面板270に対する支持側の端部寄りの部位には、棚250を側面板270に支持するための棚支持部40を構成する支持構造部240aが、棚250の支持側の端からの距離を互いに異ならせて複数設けられている。複数の支持構造部240aは、棚250の基端側において、棚250が有する略面一の載置面250aの一部を形成するように、つまり棚250における一体的な棚板部分を構成するように設けられている。
棚250は、各支持構造部240aにおいて、側面板270に対する係止部分である係止片部251を有する。棚250は、全体として、平面視で幅方向に直交する方向である前後方向(図35における上下方向)について対称に構成されている。棚250は、側面板270に着脱自在に取り付けられる。
棚250は、例えばPP(ポリプロピレン)やABS樹脂等の合成樹脂により成形された一体の樹脂成形体である。棚250には、基端部寄りの部位に、基端面250cからの幅方向(図37における左右方向)の距離を互いに異ならせて、棚250を側面板270に固定するための支持構造部240aが所定ピッチ(等ピッチ)で複数設けられている。本実施形態では、13個の支持構造部240aが設けられている。
複数の支持構造部240aにおいて隣り合う支持構造部240aの境界付近には、それぞれ切断部としてのカットライン261が設けられている。カットライン261は、棚250の幅方向に垂直な面に沿うように設けられている。いずれかのカットライン261に沿って棚250を切断することにより、切断に使用したカットライン261よりも基端部寄りの部位を棚250の本体から切除できる。
複数の支持構造部240aは、どのカットライン261によって切断されても、棚250の基端部の形状・寸法を共通の形状・寸法とするように設けられている。また、棚250は、その最も先端側のカットライン261により切断されて全ての支持構造部240aが切除された状態においても、棚250の本体の基端側の端部の形状・寸法が維持されるように構成されている。したがって、13個の支持構造部240aを有する棚250は、14段階で幅方向の寸法を調整することが可能となっている。
図34に示すように、棚250は、全体として、矩形板状の外形に沿う形状を有するとともに、下面が開放した矩形箱状に形成されている。つまり、棚250は、箱状の部分を形成する面部として、載置面250aをなす上面部と、前後方向両側の側面部と、基端側の壁面部と、先端側の壁面部とを有する。棚250は、その幅方向について、基端側の過半部分を、複数の支持構造部240aからなる切除可能部281とし、残りの先端側の部分を、棚基部282とする(図35参照)。
支持構造部240aは、棚250の上面部の一部を形成する上面部242aと、棚250の側面部の一部を形成する、支持構造部240aの長手方向の両側の側壁面部242b,242bと、棚250の基端側の壁面部をなす基端側壁面部242cとを有する。基端側の端に位置する支持構造部240aの基端側壁面部242cの基端側の面が、基端面250cとなる。また、支持構造部240aは、両側の側壁面部242b,242b間に、側壁面部242bと平行な4つの隔壁部242dを有する。
支持構造部240aは、その上面部242a、側壁面部242b,242b及び基端側壁面部242cにより、先端側(図36において右側)に隣接した支持構造部240aの基端側壁面部242cとともに、棚250の前後方向に細長い下面開放の箱状の部分を形成する。そして、この箱状の空間部分が、4つの隔壁部242dにより、長手方向に略1:2:1の割合で5分割されている。
カットライン261は、隣り合う支持構造部240a間において、上面部242a及び側壁面部242b,242bに沿うように設けられている。カットライン261は、断面V字状の溝として設けられている。また、カットライン261は、例えば各壁面部の表裏両側に設けられる。なお、カットライン261の形状や配設部分は特に限定されるものではない。
棚基部282は、全体として下面が開放した矩形箱状に形成されている。つまり、棚基部282は、箱状の部分を形成する面部として、載置面250aをなす上面部282aと、前後方向両側の側面部282b,282bと、基端側の壁面部282cと、先端側の壁面部282dとを有する。
棚基部82の箱内には、図36に示すように、複数の壁状のリブとして、棚250の幅方向に沿う縦リブ282fが複数設けられている。これらのリブは、いずれも上面部282aに対して垂直に設けられた板状部分であり、棚250の箱構造を補強している。ここで、縦リブ282fは、支持構造部240aの隔壁部242dのそれぞれに対応する位置に、基端側の壁面部282cと先端側の壁面部282dとの間の全体にわたって設けられている。つまり、縦リブ282fは、棚250の幅方向に連なった複数の支持構造部240aの隔壁部242dに対して、これらの隔壁部242dとともに棚250の幅方向に沿って略同一壁面状をなすように繋がった態様で設けられている。
また、棚基部282において、基端側の壁面部282cは、支持構造部240aの基端側の壁面部と同様の壁面部である。すなわち、基端側の壁面部282cは、全ての支持構造部240aが切除された状態の棚250において、棚250の基端面250cをなす壁面部であり、支持構造部240aの基端側壁面部242cと同じ形状・寸法を有する。
支持構造部240aにおいては、その基端側壁面部242cに、係止片部251が設けられている。係止片部251は、基端側壁面部242cにおいて、前後方向に所定の間隔を隔てて形成された切欠凹部242g間の部分として設けられている。切欠凹部242gは、棚250の底面側(下側)を開放側として矩形状に形成された縦長の凹部である。隣り合う2箇所の切欠凹部242gにより、基端側壁面部242cの一部として、下側に突出した態様の矩形板状の片部である係止片部251が形成されている。切欠凹部242gにより、基端側壁面部242cを介して支持構造部240aの内部と外部とが連通する。係止片部251は、基端側壁面部242cにおいてその高さ方向の略半分に形成されている。
係止片部251は、支持構造部240aの長手方向の両側それぞれにおいて3箇所ずつ計6箇所に設けられている。したがって、切欠凹部242gは、基端側壁面部242cにおいて12箇所に形成されている。支持構造部240aの長手方向の片側の3箇所の係止片部251について、最も外側の係止片部251は、側壁面部242bと、側壁面部242bに対向する隔壁部242dとの間の位置に設けられている。また、同3箇所の係止片部251のうち真ん中の係止片部251は、互いに対向する隔壁部242d,242d間に設けられている。また、同3箇所の係止片部251のうち最も内側の係止片部251は、内側の隔壁部242dの内側の位置に設けられている。なお、棚基部282の基端側の壁面部282cは、支持構造部240aの基端側壁面部242cと同一の壁面部分であり、基端側壁面部242cと同様に6つの係止片部251を有する。
また、棚250の上面部においては、棚250の幅方向に沿う細長い縦溝部268が設けられている。縦溝部268は、棚250の前後方向について、4箇所の縦リブ282fと略同じ位置の4箇所に設けられている。縦溝部268は、平面視で上面部282aに沿うカットライン261に直交するように、棚250の幅方向の全体にわたって形成されている。
以上のような構成を備えた棚250によれば、側面板270の各係止支持部271に対応する係止片部251を、係止支持部271の係止孔271aに対して上側から差し込むことで、棚250が側面板270に係合して取り付けられた状態となる。ここで、係止孔271aを形成する膨出壁部272は、係止片部251の両側の切欠凹部242gに受け入れられる。
棚250の取付状態においては、係止片部251が、膨出壁部272内に位置するとともに、膨出壁部272の上端面である支持面272aに、係止片部251の両側の切欠凹部242gの底端面242hが接触した状態となる。また、係止片部251を形成する基端側壁面部242cの基端面250cは、側面板270の外側面270aに接触した状態となる。つまり、係止支持部271は、係止孔271aの開口形状・寸法等について、係止片部251の板厚等との関係において、係止片部251により基端側壁面部242cをしっかりと係合させ、棚250が側面板270に対して堅実に固定されるように構成されている。なお、棚250の取付状態において、係止片部251は、側面板270の内側面270b側に露出した状態となる。
本実施形態において、係止片部251及び係止支持部271の形状等、棚250の側面板270に対する係止構造における各部の形状は、本実施形態に限定されるものではなく、係止作用が得られる適宜の形状を採用することができる。また、側面板270に対する棚250の取付構成としては、磁力を用いた構成であってもよい。また、側面板270としては、例えばプレス加工等により複数の係止支持部271等の所定の形状部分を容易に形成することができことから、鋼板等の金属板が好適に用いられる。
また、本実施形態では、棚250の側面板270に対する支持に関し、棚250の前後方向の両側のそれぞれにおいて3箇所の係止片部251のうち中央の係止片部251が用いられ、計2箇所で棚250が支持されているが、これに限定されず、他の係止片部251が用いられてもよい。また、棚250は、3箇所以上の係止片部251により側面板270に支持されてもよい。棚250の側面板270に対する支持には、例えば、側面板270におけるスペース上の制約等により、少なくとも2つの係止片部251が適宜採用される。すなわち、側面板270において、係止片部251を受け入れる係止支持部271は、少なくとも同じ高さ位置に2箇所に設けられればよく、また、棚250において、係止片部251は、例えば少なくとも棚250の前後方向の両側の2箇所に設けられればよい。さらに、棚250における係止片部251の大きさ等によっては、係止片部251による支持部分は、例えば棚250の前後方向の中央部の1箇所に設けられてもよい。
本実施形態に係るトイレキャビネットによれば、上述したような実施形態に係るトイレキャビネットと共通の各構成よる作用効果に加え、次のような作用効果が得られる。すなわち、本実施形態に係る棚250においては、側面板270に対する係止部分が、棚板の各支持構造部240aにおいて一体の部分として設けられており、棚250が支持部材に対応する部分及び棚板に対応する部分の各部を有する一体の棚部材として構成されている。このような構成により、棚250の構成部品を少なくすることができ、棚250の構造の簡略化を図ることができる。また、側面板270に対する棚250の取付作業について、一体の棚250を側面板270に係止支持させるだけでよいので、作業性の向上を図ることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成や、公知技術並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成等も含む。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。