以下に添付図面を参照して、この発明にかかる通報システムの実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
ここで、図1は第1の実施の形態に係る通報システムの概略構成を示す図である。警備会社に警備を委託している警備先は、例えばコンビニエンスストアなどである。
図1に示すように、警備先には、通報用の非常ボタン50と、当該非常ボタン50が接続される警備端末53と、電話端末52が接続される電話回線を共有する通報端末51とが設置される。警備先には、その他、警備先の画像を撮像する監視カメラ54や警備先の侵入者等を検知する各種センサ55が設置される。
警備端末53は、警備会社の監視センタに設置される監視サーバ60とネットワーク56を介して接続され、通信を行う。ネットワーク56は、例えば、LAN(Local Area Network)、イーサネット(登録商標)またはインターネットなどである。非常ボタン50が押下されると、警備端末53は、ネットワーク56を介して監視サーバ60へ通報を行う。
通報端末51は、警察の有する電話端末(警察電話端末)やその他の電話端末と電話回線を介して接続される。
監視サーバ60は、警備端末53からの通報を受けた場合、警備会社の警備員の所有する携帯端末装置70に対して出動要請を行う。携帯端末装置70は、例えば携帯電話やスマートフォンである。警備会社の警備員は、出動要請受理後、出動要請に応じて現場に急行し、現場の状況を確認する。
現場に急行した警備員は、現場より監視センタの電話に架電して報告する。センタ員は、携帯端末装置70からの音声通話における報告に基づき状況判断を行う。そして、センタ員の状況判断に基づき、監視サーバ60は、他の警備員の応援要請や警備端末53を制御して通報端末51から電話回線を介して警察への通報を行わせる。
ところで、現場で状況確認を行う場合、警備員は、不法侵入者や強盗犯等(以下、賊という)に襲われる等の不測の事態に備える必要がある。そこで、携帯端末装置70は、特別な操作をするだけで監視センタの監視サーバ60に向けて映像通話による緊急通報を行う機能を備えている。
現場に急行した警備員による特別な操作が有った場合、携帯端末装置70の映像通話における映像(静止画像を含む)や音によって、センタ員が状況判断を行う。そして、センタ員の状況判断に基づき、監視サーバ60は、他の警備員の応援要請や警備端末53を制御して通報端末51から電話回線を介して警察への通報を行わせる。
次に、図1においては、警備先は1つしか図示していないが、複数の警備先が存在して、各警備先に設置された複数の警備端末53が監視サーバ60に接続され、複数の通報端末51が電話回線に接続される。この場合、複数の警備先には、各々を識別するための警備先識別情報が付与される。
ここで、警備端末53、監視サーバ60および携帯端末装置70のハードウェア構成について説明する。
ここで、図2は警備端末53、監視サーバ60のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施の形態の警備端末53および監視サーバ60は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部101と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の主記憶部102と、各種データや各種プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やCD(Compact Disk)ドライブ装置等の補助記憶部103と、これらを接続するバス104を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成により実現可能である。CPUは、現在時刻を計る計時機能を有する。警備端末53と監視サーバ60とは、補助記憶部103に記憶されるプログラムの違いにより、警備端末53と監視サーバ60との特有の機能をそれぞれ発揮する。
また、制御部101には、情報を表示する表示部105と、ユーザの指示入力を受け付けるキーボードやマウス等の操作入力部106と、外部装置との通信を制御する通信I/F(interface)107とがバス104により各々接続される。
また、警備端末53の通信I/F107には、上述した監視カメラ54や各種センサ55が接続され得る。
監視サーバ60には、電話回線が接続されており、通話や音声メッセージの発信や着信が可能である。
次に、携帯端末装置70について説明する。ここで、図3は携帯端末装置70のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施の形態の携帯端末装置70は、装置全体を制御するCPU等の制御部201と、各種データや各種プログラムを記憶するROMやRAM等の主記憶部202と、各種データや各種プログラムを記憶するフラッシュメモリ等の補助記憶部203と、これらを接続するバス204とを備えている。本実施の形態の携帯端末装置70は、例えばスマートフォンなどを利用したハードウェア構成により実現可能である。CPUは、現在時刻を計る計時機能を有する。
また、制御部201には、情報を表示する表示部205と、監視サーバ60との通信を制御する通信I/F(interface)206とがバス204により各々接続される。携帯端末装置70は、通信I/F206および音声回線網207を経由した監視センタの電話との音声通話や、通信I/F206およびデータ網208を経由した監視センタの監視サーバ60との映像通話が可能である。
また、本実施の形態の携帯端末装置70は、映像を撮像するカメラ209を内蔵する。また、本実施の形態の携帯端末装置70は、周囲の音を取り込むマイク210を内蔵する。制御部201には、カメラ209と、マイク210とがバス204により各々接続される。
また、制御部201には、ユーザの指示入力を受け付けるタッチパネルやボタン等の操作入力部211がバス204により接続される。操作入力部211は、携帯端末装置70と接続されたイヤホンのボタン、またはBluetooth(登録商標)等の無線で接続されたボタンであってもよい。
次に、このようなハードウェア構成において、警備端末53、監視サーバ60および携帯端末装置70によって各々実現される各種機能について説明する。ここで、図4は警備端末53、監視サーバ60および携帯端末装置70の機能的構成を例示するブロック図である。
まず、警備端末53によって実現される各種機能について説明する。
警備端末53は、画像取得部53aと、信号送信部53bと、信号受信部53cとを有する。これらの機能は、警備端末53の制御部101が補助記憶部103に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。また、警備端末53のHDDなどの補助記憶部103には、警備端末53が設置されている警備先を識別するための警備先識別情報が記憶されている。警備先識別情報は、例えば警備先に付与されている管理番号や警備先の名称(例えばコンビニエンスストアの店舗名)などである。通報の際の音声メッセージは、例えば警備先の名称や異常が発生した旨や出動を要請する旨を示す。
画像取得部53aは、通報用の非常ボタン50が押下されたとき、監視カメラ54で撮像された画像を取得する。
信号送信部53bは、画像取得部53aが取得した画像を表す画像信号を含み通報用の非常ボタン50が押下された旨を示すと共に警備先識別情報を示す非常信号を監視サーバ60にネットワーク56を介して送信する。
次に、監視サーバ60によって実現される各種機能について説明する。
監視サーバ60は、信号受信部60aと、画面表示制御部60bと、信号送信部60cと、非常信号送信部60dと、緊急通報受信部60eと、マイクOFF部60fと、を有する。信号受信部60a、画面表示制御部60b、信号送信部60c、非常信号送信部60d、緊急通報受信部60eおよびマイクOFF部60fの各機能は、監視サーバ60の制御部101が補助記憶部103に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
また、監視サーバ60のHDDなどの補助記憶部103には、監視サーバ60に接続される警備端末53が設置された警備先に関する警備先情報が記憶される。警備先情報は、例えば、警備先の名称と、電話番号と、警備先識別情報とを示す。
信号受信部60aは、画像信号を含み通報用の非常ボタン50が押下された旨を示すと共に警備先識別情報を示す非常信号を警備端末53から受信する。また、信号受信部60aは、詳細は後述するが、警備端末53に管理された映像(警備端末53に接続されている監視カメラ54で撮像されているリアルタイムの映像も含む)を取得する取得手段としても機能する。
画面表示制御部60bは、信号受信部60aが受信した非常信号に含まれる警備先識別情報を用いて警備先を特定し、通報確認画面を表示部105に表示させる。
信号送信部60cは、画面表示制御部60bが表示部に表示させた通報確認画面において、警察への通報が必要であるとの判断を示す操作入力が操作入力部106を介してあった場合、当該操作入力を受け付け、警察への通報を指示する制御信号を警備端末53に送信する。
非常信号送信部60dは、画像取得部53aが取得した画像を表す画像信号を含み通報用の非常ボタン50が押下された旨を示すと共に警備先識別情報を示す非常信号を携帯端末装置70に音声回線網207またはデータ網208を介して送信する。
緊急通報受信部60eは、映像や音を含む映像通話による緊急通報および現在位置情報を携帯端末装置70から受信する。また、緊急通報受信部60eは、後述する「賊警戒」および「賊発見」の種別を受信する。
マイクOFF部60fは、後述する「賊警戒」および「賊発見」の種別を受信した場合、自動的に監視サーバ60に接続されたセンタ側のマイク(図示せず)をOFFとする。
次に、携帯端末装置70によって実現される各種機能について説明する。
携帯端末装置70は、信号受信部70aと、画面表示制御部70bと、信号送信部70cと、画像取得部70dと、緊急通報送信部70eと、ノイズキャンセル機能部70fと、機能OFF部70gと、位置検出部70hとを有する。信号受信部70a、画面表示制御部70b、信号送信部70c、画像取得部70d、緊急通報送信部70e、および機能OFF部70gの各機能は、携帯端末装置70の制御部201が補助記憶部203に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。ノイズキャンセル機能部70fは、ハードウェアであるノイズキャンセリング回路により実現される。位置検出手段として機能する位置検出部70hは、GPS(Global Positioning System)受信機などで構成され、アンテナから受信する携帯端末装置70の現在位置を検出して現在位置情報を生成する。
信号受信部70aは、画像取得部53aが取得した画像を表す画像信号を含み通報用の非常ボタン50が押下された旨を示すと共に警備先識別情報が含まれる非常信号を監視サーバ60から受信する。
画面表示制御部70bは、信号受信部70aが受信した非常信号に含まれる警備先識別情報を用いて警備先を特定し、警備先における状況確認のための出動要請を警備員に伝達するための出動要請画面を表示部205に表示させる。
信号送信部70cは、画面表示制御部70bにより出動要請画面を表示部205に表示させた後、操作入力部211(タッチパネルなど)の所定の操作があった場合、予め設定された番号(監視センタの電話の電話番号)に発信する。
画像取得部70dは、画面表示制御部70bにより出動要請画面を表示部205に表示させた後、操作入力部211(携帯端末装置70に接続されたイヤホンのボタンや無線で接続されたボタンなど)の特別な操作があった場合、携帯端末装置70に内蔵されたカメラ209で撮像された映像を取得する。すなわち、画像取得部70dは、映像取得手段として機能し、操作入力部211(携帯端末装置70に接続されたイヤホンのボタンや無線で接続されたボタンなど)は、緊急通報を指示する緊急通報指示手段として機能する。
また、緊急通報送信部70eは、画面表示制御部70bにより出動要請画面を表示部205に表示させた後、操作入力部211(携帯端末装置70に接続されたイヤホンのボタンや無線で接続されたボタンなど)の特別な操作があった場合、「緊急通報ON状態」として画像取得部70dで取得した映像を含む映像通話による緊急通報を監視サーバ60に送信する。すなわち、緊急通報送信部70eは、データ通信を携帯端末装置70と監視サーバ60との間で実行する映像通信手段として機能する。
なお、「緊急通報ON状態」とする操作入力部211の特別な操作としては、「緊急」等のキーワードによる音声認識、強い衝撃を受けた場合の加速度センサの変化などであっても良い。
また、操作入力部211における特別な操作にかかるボタンやキーワードを複数用意し、「火事」、「賊警戒」、「賊発見」、「救急」、「事故」等の種別を分けるようにしても良い。この場合、緊急通報送信部70eは、緊急通報と共に種別を送信し、監視センタの監視サーバ60に要件(「火事」、「賊警戒」、「賊発見」、「救急」、「事故」)を表示させても良い。
なお、緊急通報送信部70eは、携帯端末装置70が圏外等の理由でデータ網208を経由して映像通話による緊急通報を監視サーバ60に送信することができない場合、BluetoothまたはWi−Fi(登録商標)等の無線通信を利用して最寄の補助装置(警備端末53、警備用ロボット、監視カメラ54等)に接続し、その補助装置からネットワーク56を経由して映像通話による緊急通報を監視サーバ60に送信する。こうすることにより、携帯端末装置70の電波状況の悪い場所でも監視センタの監視サーバ60に緊急通報を送信することができる。
すなわち、携帯端末装置70の電波状況が悪い場合においても、警備先であって警備端末53が設置されている施設であれば、警備端末53、警備用ロボット、監視カメラ54等を経由して映像や音を監視センタで確認することができる。
携帯端末装置70の画面表示制御部70bは、「緊急通報ON状態」とする操作入力部211の特別な操作があった場合でも、表示部205において、「緊急通報ON状態」を表す表示をしない。すなわち、携帯端末装置70の画面表示制御部70bは、緊急通報が指示された場合、映像通話が実行されていることを報知しない。
また、監視サーバ60は、「賊警戒」および「賊発見」の種別を受信した場合、自動的に監視サーバ60に接続されたセンタ側のマイク(図示せず)をOFFとする。
これにより、現場に急行した警備員が賊から隠れている場合において、監視センタから送信された音を賊に気付かれないように携帯端末装置70および監視サーバ60を設定することができる。
なお、本実施の形態において、画像取得部70dは、映像通話の映像として携帯端末装置70に内蔵されたカメラ209で撮像された映像を取得するようにしたが、これに限るものではない。例えば、携帯端末装置70に接続されたウェアラブルカメラ、警備先に設置もしくは警備会社の警備員とともに警備先に到着したドローン(無人航空機)や警備用ロボットに設置されているカメラ、警備先の画像を撮像する監視カメラ54のうちいずれかで撮像された映像、または複数の映像を合わせた映像を取得するようにしても良い。
なお、ドローンや警備用ロボットに設置されているカメラや監視カメラ54からの映像の送信は、無線接続された携帯端末装置70を経由するものに限らない。例えば、ドローンや警備用ロボットに設置されているカメラや監視カメラ54からの映像は、携帯端末装置70経由でなく、Wi−Fiルータ等を経由しネットワーク56を利用して送信するようにしても良い。
ノイズキャンセル機能部70fは、ノイズキャンセル手段として機能する。ノイズキャンセル機能部70fは、マイク210で拾った周囲の騒音(車の走行音、室内の雑音や街なかの喧騒などのノイズ)を解析し、解析した騒音を打ち消す逆位相の音をリアルタイムで発生させて騒音を打ち消す機能を有する。ノイズキャンセル機能部70fは、通常、ノイズキャンセル機能をONに設定されており、マイク210で拾った音を騒音に邪魔されずにクリアに聞くことができるようにしている。
一方、携帯端末装置70の映像通話における音を聞き取ることによるセンタ員の状況判断においては、マイク210で拾った周囲の騒音(車の走行音、室内の雑音や街なかの喧騒などのノイズ)が必要となる場合がある。そこで、画像取得部70dは、「緊急通報ON状態」とする操作入力部211の特別な操作があった場合、機能OFF部70g制御してノイズキャンセル機能部70fのノイズキャンセル機能をOFFとする。
なお、画像取得部70dは、信号受信部70aを介して監視サーバ60から送信されたノイズキャンセル機能をOFFとする信号を受信した場合、機能OFF部70gを制御してノイズキャンセル機能部70fのノイズキャンセル機能をOFFとするようにしても良い。
ところで、上述したような映像通話は、電波状況が悪い場合や通信速度を十分得られない場合、開始できない、または開始しても十分な品質が得られない場合がある。そこで、緊急通報送信部70eは、一定時間映像通話が接続できない場合、または映像通話が開始されたが途中で接続切断された場合に、映像通話を中止し、信号送信部70cにより予め設定された番号(監視センタの電話の電話番号)の発信に切り替えて監視センタに音声通話を開始する。すなわち、緊急通報送信部70eは、音声通話手段、切替手段、通信維持手段としても機能する。
なお、映像通話を中止した場合、監視センタの監視サーバ60の信号受信部60aが、警備先の映像を管理する映像管理装置である警備端末53や警備用ロボットに接続し、警備端末53に管理された映像を取得するようにしても良いし、警備端末53に接続されている監視カメラ54で撮像されているリアルタイムの映像を取得するようにしても良い。
また、電波状況の悪化等で、緊急通報送信部70eにより映像通話が一定時間以上途切れるのを回避できなくなった場合、携帯端末装置70は、携帯端末装置70内の映像記憶手段である補助記憶部203に映像を蓄積するようにしても良い。この場合、緊急通報送信部70eは、電波状況が復旧したタイミングで、監視センタに補助記憶部203に記憶した映像のデータ通信(映像通話)を実行する。
これにより、映像通話においてはデータ網208の輻輳、携帯端末装置70の電波強度、携帯端末装置70のパケット制限、監視サーバ60のメンテナンスや混雑による性能低下、監視センタ側の回線状況等、様々な要因により、「接続ができない」、「接続しても映像や音が十分に伝わらない」、「遅延が発生する」等、音声通話に比べて通信安定性が低いという問題を解決することができる。
位置検出部70hは、「緊急通報ON状態」とする操作入力部211の操作があった場合、現在位置情報を生成する。そして、緊急通報送信部70eは、生成した現在位置情報を映像通話による緊急通報に含ませて監視サーバ60に送信する。
次に、本実施の形態にかかる通報システムで行う通報処理の手順について説明する。ここで、図5は通報システムで行う通報処理の手順を示すフローチャートである。通常時、警備端末53は、非常ボタン50の押下があるまで(ステップS1:No)、もしくは制御信号が受信されるまで(ステップS26:No)、待機する。また、監視サーバ60は、非常信号が受信されるまで(ステップS3:No)、もしくは緊急通報が受信されるまで(ステップS20:No)、待機する。携帯端末装置70は、非常信号が受信されるまで(ステップS8:No)、所定の操作があるまで(ステップS10:No)、もしくは特別な操作があるまで(ステップS12:No)、待機する。
警備先では、通報用の非常ボタン50が押下されたとき(ステップS1:Yes)、警備端末53は、監視カメラ54で撮像された画像を取得し、当該画像を表す画像信号を含み通報用の非常ボタン50が押下された旨を示すと共に警備先識別情報を示す非常信号を監視サーバ60にネットワーク56を介して送信する(ステップS2)。
監視サーバ60は、警備端末53から非常信号を受信すると(ステップS3:Yes)、当該非常信号に含まれる警備先識別情報を用いて警備先を特定し、当該非常信号に含まれる画像信号によって表される画像を用いて、警察への通報の要否の確認をセンタ員に促すための通報確認画面を表示部105に表示させる(ステップS4)。
当該通報確認画面において、警察への通報が必要であるとの判断を示す操作入力が操作入力部106を介してあった場合(ステップS5:Yes)、監視サーバ60は、当該操作入力を受け付け、警察への通報を指示する制御信号を警備端末53にネットワーク56を介して送信する(ステップS6)。
一方、警察への通報が必要であるとの判断を示す操作入力がなかった場合(ステップS5:No)、監視サーバ60は、制御信号を警備端末53に送信することなく、センタ員が、警備先識別情報によって特定された警備先への警備員の出動を促す非常信号を携帯端末装置70にネットワーク56を介して送信する(ステップS7)。非常信号には、警備先識別情報が含まれている。
携帯端末装置70は、監視サーバ60から警備先識別情報によって特定された警備先への警備員の出動を促す非常信号を受信すると(ステップS8:Yes)、当該非常信号に応じて、非常信号に含まれる警備先識別情報を用いて警備先を特定し、警備先における状況確認のための出動要請を警備員に伝達するための出動要請画面を表示部205に表示する(ステップS9)。出動要請画面には、警備先の名称や住所などが表示される。
警備会社の警備員は、携帯端末装置70に表示された出動要請画面を見ながら現場に急行し、現場の状況を確認する。
携帯端末装置70は、現場に急行した警備員による所定の操作が有った場合(ステップS10:Yes)、信号送信部70cにより予め設定された番号(監視センタの電話の電話番号)に架電する(ステップS11)。
また、携帯端末装置70は、現場に急行した警備員による特別な操作が有った場合(ステップS10:No、ステップS12:Yes)、「緊急通報ON状態」とし、映像を含む映像通話による緊急通報および現在位置情報を監視サーバ60に送信する(ステップS13)。なお、この場合、携帯端末装置70は、「通報状態がONであること」を報知しない。さらに、携帯端末装置70は、ノイズキャンセル機能をOFFとする(ステップS14)。
携帯端末装置70は、一定時間映像通話が接続できない場合、または映像通話が開始されたが途中で接続切断された場合(ステップS15:Yes)、映像通話を中止し(ステップS16)、信号送信部70cにより予め設定された番号(監視センタの電話の電話番号)に架電して(ステップS17)、処理を終了する。このようにするのは、映像通話は、電波状況が悪い場合や通信速度を十分得られない場合、開始できない、または開始しても十分な品質が得られない場合があるからである。
一方、携帯端末装置70は、一定時間映像通話が接続できている場合(ステップS15:No)、現場に急行した警備員による緊急通報の解除操作に待機する(ステップS18)。すなわち、携帯端末装置70は、緊急通報の解除操作がない場合(ステップS18:No)、ステップS15に戻る。携帯端末装置70は、緊急通報の解除操作があった場合(ステップS18:Yes)、緊急通報解除を指示する制御信号を監視サーバ60に送信して(ステップS19)、処理を終了する。
監視サーバ60は、携帯端末装置70から緊急通報を受信すると(ステップS20:Yes)、携帯端末装置70と接続して警備先における状況を確認するための映像や音を出力する画面を表示部205に表示する(ステップS21)。これにより、警備員が賊に襲われた場合等の非常事態に、監視センタがその警備員の周囲の状況を映像と音によって適確に把握することができる。そして、警察への通報が必要であるとの判断を示す操作入力が操作入力部106を介してあった場合(ステップS22:Yes)、監視サーバ60は、当該操作入力を受け付け、警察への通報を指示する制御信号を警備端末53にネットワーク56を介して送信し(ステップS23)、ステップS24に進む。なお、警察への通報が必要であるとの判断を示す操作入力がなかった場合(ステップS22:No)、監視サーバ60は、そのままステップS24に進む。
また、監視サーバ60は、緊急通報解除を指示する制御信号を受信すると(ステップS24:Yes)、携帯端末装置70との接続を切断し(ステップS25)、処理を終了する。なお、監視サーバ60は、緊急通報解除を指示する制御信号を受信していない場合には(ステップS24:No)、ステップS21に戻る。
警備端末53は、制御信号を受信すると(ステップS26:Yes)、当該制御信号に応じて、警察への通報を行うことを指示する制御信号を通報端末51へ送信する(ステップS27)。
なお、通報端末51は、制御信号を受信すると、当該制御信号に応じて、予め記憶した警察への電話番号を用いて電話回線を介して警察電話端末を発呼して、当該警察電話端末が着呼したときに、予め記憶した音声メッセージを出力することで、警察への通報を行う。なお、警察では、電話番号と住所や店舗の名称等の住民情報とが対応付けて予め記憶されている。このため、警察では、この住民情報が記憶された通報元については、警察電話端末を発呼した通報元の電話番号に対応付けられている住所を自動的に判別することが可能であり、当該住所の現場に急行することが可能になる。
このように本実施の形態によれば、携帯端末装置70において操作入力部211(携帯端末装置70に接続されたイヤホンのボタンや無線で接続されたボタンなど)の操作、「緊急」等のキーワードによる音声認識、強い衝撃を受けた場合の加速度センサの変化などの特別な操作が有った場合、警備員が賊に襲われる等の不測の事態に遭遇していると判断し、監視センタの監視サーバ60に向けて映像通話による緊急通報を行う。これにより、警備員が賊に襲われた場合等の非常事態に、監視センタがその警備員の周囲の状況を映像と音によって適確に把握することができる。
加えて、本実施の形態によれば、携帯端末装置70と監視サーバ60との間でデータ通信が一定時間以上途切れるのを回避するようにしたことにより、映像通話においては音声通話に比べて通信安定性が低くなってしまうという問題を解決することができる。
また、本実施の形態によれば、特別な操作が有った場合、ノイズキャンセル機能部70fのノイズキャンセル機能をOFFとすることにより、携帯端末装置70の映像通話における音を聞き取ることによるセンタ員の状況判断において、マイク210で拾った周囲の騒音(車の走行音、室内の雑音や街なかの喧騒などのノイズ)を聞き取ることが可能になる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
本実施の形態の監視サーバ60は、携帯端末装置70からの映像通話の開始後、映像の品質を判定し、その映像の品質値を通報元の携帯端末装置70にフィードバックするようにしたものである。
ここで、図6は第2の実施の形態に係る警備端末53、監視サーバ60および携帯端末装置70の機能的構成を例示するブロック図である。図6に示すように、監視サーバ60は、品質判定部60gを有する。品質判定部60gの機能は、監視サーバ60の制御部101が補助記憶部103に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
品質判定部60gは、品質判定手段として機能する。品質判定部60gは、携帯端末装置70からの映像通話の開始後、映像の品質を判定し、その映像の品質値を通報元の携帯端末装置70にフィードバックする。
判定対象となる映像の品質としては、フレームレート、解像度、音声抜け、遅延、輝度の変化の多寡などが挙げられる。フレームレートは、動画像において、単位時間あたりに処理させるフレーム数(静止画像数、コマ数)である。フレームレートが低下すると動きが滑らかでなくなり、品質が落ちる。解像度は、ビットマップ画像における画素の密度を示す数値である。解像度が低いと画像が粗くなり、品質が落ちる。
上述したような映像の品質が低下する場合は、通信速度が低い場合や、カメラにテープが貼られている場合などに起こり得る。
図6に示すように、携帯端末装置70は、通話切替部70iを有する。通話切替部70iの機能は、携帯端末装置70の制御部201が補助記憶部203に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
通話切替部70iは、監視サーバ60の品質判定部60gからフィードバックされた映像の品質値が一定時間を超えて一定値以下の場合、映像通話を中止し、信号送信部70cにより予め設定された番号(監視センタの電話の電話番号)の発信による音声通話に切り替える。
なお、通話切替部70iは、監視サーバ60の品質判定部60gからフィードバックされた映像の品質値が一定時間を超えて一定値以下の場合、映像通話と音声通話とを同時に接続するようにしても良い。
次に、本実施の形態にかかる通報システムで行う通報処理の手順について説明する。ここで、図7は通報システムで行う通報処理の手順を示すフローチャートである。
図7に示したように、携帯端末装置70は、現場に急行した警備員による特別な操作が有った場合(ステップS12:Yes)、「緊急通報ON状態」とし、監視センタに対して映像を含む映像通話による緊急通報および現在位置情報を監視サーバ60に送信し、さらにノイズキャンセル機能をOFFとする(ステップS13〜S14)。
一方、監視サーバ60は、携帯端末装置70からの映像通話の開始後(ステップS20〜21)、映像の品質を判定し(ステップS31)、その映像の品質値を通報元の携帯端末装置70にフィードバックする(ステップS32)。
携帯端末装置70は、一定時間映像通話が接続できていて(ステップS15:No)、かつ、監視サーバ60からフィードバックされた映像の品質値が一定時間を超えて一定値以下の場合(ステップS33:Yes)、映像通話を中止し、信号送信部70cにより予め設定された番号(監視センタの電話の電話番号)の発信による音声通話に切り替え(ステップS34)、処理を終了する。なお、携帯端末装置70は、監視サーバ60からフィードバックされた映像の品質値が一定時間を超えて一定値以下の場合(ステップS33:No)、映像通話と音声通話とを同時に接続するようにしても良い。
なお、携帯端末装置70は、一定時間映像通話が接続できていて(ステップS15:No)、かつ、監視サーバ60からフィードバックされた映像の品質値が一定時間を超えて一定値以下でない場合(ステップS33:No)、ステップS18に進む。
このように本実施の形態によれば、映像通話における監視センタ側での映像の品質を一定に保つことができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態または第2の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
本実施の形態は、警備会社の警備員が複数の携帯端末装置70を所持していることを前提とする。本実施の形態の監視サーバ60は、複数の携帯端末装置70が略同時に監視センタに対して映像通話(データ通信)を行った場合、最も映像通話(データ通信)のデータ通信速度が速い一の携帯端末装置70で映像通話を開始するようにしたものである。
ここで、図8は第3の実施の形態に係る警備端末53、監視サーバ60および携帯端末装置70の機能的構成を例示するブロック図である。図8に示すように、監視サーバ60は、端末装置選択部60hを有する。端末装置選択部60hの機能は、監視サーバ60の制御部101が補助記憶部103に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
端末装置選択部60hは、端末装置選択手段として機能する。端末装置選択部60hは、緊急通報受信部60eにより複数台の携帯端末装置70から略同時に映像通話(データ通信)を受信した場合、最も映像通話(データ通信)のデータ通信速度が速い一の携帯端末装置70を選択して緊急通報受信部60eに映像通話を開始させる。
このように本実施の形態によれば、警備員が所持する携帯端末装置70が複数台ある場合に、各携帯端末装置70が同時に監視センタにデータ通信を行った場合、最もデータ通信速度が速い携帯端末装置70で映像送信を実行することができる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
本実施の形態は、「緊急通報ON状態」の時に映像通話が途切れた場合、賊への対応で携帯端末装置70の着信操作が行えない場合を想定したものである。本実施の形態の携帯端末装置70は、「緊急通報ON状態」の時に映像通話が途切れた場合、監視センタの監視サーバ60から送信された映像通話開始信号、または電話の発呼に応じて監視サーバ60に対して自動で接続し、映像通話を再開する。
ここで、図9は第4の実施の形態に係る警備端末53、監視サーバ60および携帯端末装置70の機能的構成を例示するブロック図である。図9に示すように、監視サーバ60は、映像通話再開部60iを有する。映像通話再開部60iの機能は、監視サーバ60の制御部101が補助記憶部103に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
映像通話再開部60iは、「緊急通報ON状態」の時に映像通話が途切れた場合、映像通話開始信号の送信、または監視センタの電話からの発呼を行う。すなわち、映像通話再開部60iは、通信維持手段としても機能する。
携帯端末装置70の緊急通報送信部70eは、「緊急通報ON状態」の時に映像通話が途切れた場合、監視センタの監視サーバ60から送信された映像通話開始信号、または電話の発呼に応じて監視サーバ60に対して自動で接続し、映像通話を再開する。
このように本実施の形態によれば、「緊急通報ON状態」の時に通話が途切れた場合において賊への対応等で着信操作が行えない場合であっても、監視センタからの映像通話開始、または電話の発呼に対して自動で接続することができる。
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
賊に携帯端末装置70を奪われ、映像通話による緊急通報を切られる場合、または、切るように賊に脅される場合がある。本実施の形態は、賊に携帯端末装置70を奪われた場合、「緊急通報ON状態」を解除されないようにするものである。本実施の形態の携帯端末装置70は、賊に映像通話を切られないようにする。より詳細には、本実施の形態の携帯端末装置70は、映像通話を実行していることを相手に気付かせないように動作する。
ここで、図10は第5の実施の形態に係る警備端末53、監視サーバ60および携帯端末装置70の機能的構成を例示するブロック図である。図10に示すように、携帯端末装置70は、状態維持部70jを有する。状態維持部70jの機能は、携帯端末装置70の制御部201が補助記憶部203に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
状態維持部70jは、状態維持手段として機能する。状態維持部70jは、賊に携帯端末装置70を奪われた場合を想定し、「緊急通報ON状態」を「緊急通報OFF状態」にする偽装操作として、画面表示制御部70bを制御して特定のパスワード入力を要求する。状態維持部70jは、特定のパスワード入力が有った場合、携帯端末装置70の画面上では「通話終了状態」とするが、バックグラウンドで映像通話を継続する。
次に、状態維持部70jの他の実施例について説明する。本例の携帯端末装置70は、パニック操作用の「終了ボタン」を備えている。
状態維持部70jは、賊に携帯端末装置70を奪われた場合を想定し、「緊急通報ON状態」を「緊急通報OFF状態」にする偽装操作として、「終了ボタン」の操作を要求する。状態維持部70jは、「終了ボタン」の操作が有った場合、携帯端末装置70の画面上では「通話終了状態」とするが、バックグラウンドで映像通話を継続する。
次に、本実施の形態にかかる通報システムで行う通報処理の手順について説明する。ここで、図11は通報システムで行う通報処理の手順を示すフローチャートである。
図11に示したように、携帯端末装置70は、現場に急行した警備員による特別な操作が有った場合(ステップS12:Yes)、「緊急通報ON状態」とし、監視センタに対して映像を含む映像通話による緊急通報および現在位置情報を監視サーバ60に送信し、さらにノイズキャンセル機能をOFFとする(ステップS13〜S14)。
このような状態で、図11に示すように、一定時間映像通話が接続できていて(ステップS15:No)、かつ、監視サーバ60からフィードバックされた映像の品質値が一定時間を超えて一定値以下でない場合において(ステップS33:No)、携帯端末装置70は、「緊急通報ON状態」を「緊急通報OFF状態」にする偽装操作(パニック操作)を実行した場合(ステップS41:Yes)、監視センタの監視サーバ60に対してパニック信号を送信し(ステップS42)、ステップS18に進む。監視サーバ60は、パニック信号を受信すると、パニック操作が発生した旨を報知(表示)する。なお、偽装操作(パニック操作)が実行されていない場合(ステップS41:No)、携帯端末装置70は、そのままステップS18に進む。
「緊急通報ON状態」を「緊急通報OFF状態」にする偽装操作(パニック操作)を実行した場合、携帯端末装置70は、画面上では「通話終了状態」とするが、監視センタに対して映像を含む映像通話による緊急通報および現在位置情報を監視サーバ60にバックグラウンドで送信し(ステップS43)、当該送信が行われていることを報知しない。
このように本実施の形態によれば、賊に襲われる等の不測の事態になった場合であっても、映像通話を切断されることなく継続することができる。
なお、各実施形態においては、例えばコンビニエンスストアなどを警備先とした通報システムについて説明したが、これに限るものではない。本実施の形態の通報システムは、例えば、タクシー、バス、飛行機等が乗っ取られた場合における乗務員から監視センタに対する緊急通報にも適用可能である。さらに、本実施の形態の通報システムは、例えば、坑道、工事現場、登山等の危険が伴う場所で単独行動する際のユーザから監視センタに対する緊急通報にも適用可能である。
なお、本実施の形態の警備端末53、監視サーバ60および携帯端末装置70で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、本実施の形態の警備端末53、監視サーバ60および携帯端末装置70で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の警備端末53、監視サーバ60および携帯端末装置70で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。