JP6774226B2 - サスペンション装置 - Google Patents

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本発明は、サスペンション装置に関する。
従来、インホイールモータ(IWM)等のモータで車輪を個別に駆動する車両がある。このようなインホイールモータ型の車両の中には、モータのトルク制御により各車輪の制駆動力を個別に制御して、車両のピッチ、バウンス、ロールを抑制するようにしたものがある(例えば、特許文献1,2,3)。当該車両では、制御指令に基づいてモータが正常に作動し、全車輪の制駆動力を個別に制御できる限り、減衰力を発揮するためのダンパを搭載しなくても問題はない。
特開2007−118898号公報 特開2005−225373号公報 特開2006−109642号公報
しかしながら、全てのダンパを廃すると、全てのモータMが失陥する等の理由により、全車輪の制駆動力を制御できなくなった場合(以下、全モータ失陥時という)に、車体の上下振動を抑制する減衰機能も同時に失われてしまう。よって、全てのダンパを廃した場合、全モータ失陥時に車両を路肩又は路側帯に退避させる際の乗り心地が著しく悪化するとともに、操縦安定性が低下する。そうかといって、全てのモータが失陥する万が一の事態に備えて、エンジン駆動の従来の車両のように各車輪にそれぞれダンパを設けると、コスト高になる。
そこで、本発明は、車輪をモータで個別に駆動する車両に搭載される場合に、全モータ失陥時の乗り心地及び操縦安定性の悪化を抑制するとともに、コストを低減できるサスペンション装置の提供を目的とする。
上記課題を解決する請求項1に記載の発明は、ダンパを三本のみ備えるとともに、前記ダンパが、車体の重心を原点とし、前記原点を通って前記車体の左右へ延びる直線をx軸とし、前記原点で前記x軸と直交して前記車体の前後へ延びる直線をy軸とすると、三本の前記ダンパが前記x軸を境に前後両側に一本以上配置されるとともに、前記y軸を境に左右両側に一本以上配置されている。このため、ダンパが三本のみであってもピッチ、バウンス及びロールに伴う車体の上下振動を抑制できる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の構成に加えて、前記ダンパのうちの二本が操舵輪である前記車輪に取り付けられている。このため、全モータ失陥時における操舵輪の接地性が良好になり、操縦安定性を向上できる。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記ダンパのうちの二本が前記y軸を中心に対称に配置されており、残りの一本が前記y軸上に配置されている。このため、ダンパが三本のみであっても、車体の上下振動をバランスよく減衰できる。
請求項4に記載の発明では、請求項1から3の何れか一項に記載の構成に加えて、前記ダンパのうちの一本が左右に並ぶ前記車輪を連結するビームに取り付けられている。このため、一本のダンパであっても左右輪の同相振動を抑制できるとともに、ダンパをy軸上に配置し易い。
請求項5に記載の発明では、請求項1から3の何れか一項に記載の構成に加えて、前記ダンパのうちの一本がスタビライザに取り付けられており、前記スタビライザの回転を抑制する。このため、一本のダンパであっても左右輪の同相振動を抑制できるとともに、ダンパをy軸上に配置し易い。さらに、ビームの有無を問わず左右輪の同相振動を抑制するダンパを取り付けられる。
請求項6に記載の発明では、請求項1から3の何れか一項に記載の構成に加えて、前記ダンパのうちの一本が左右に並ぶ前記車輪の振動時に左右に揺動して先端を遠近させる一対のロッカーの間に介装されている。このため、一本のダンパであっても左右輪の同相振動を抑制できるとともに、ダンパをy軸上に配置し易い。さらに、ビーム、スタビライザの有無を問わず左右輪の同相振動を抑制するダンパを取り付けられる。
請求項7に記載の発明では、請求項1から3の何れか一項に記載の構成に加えて、前記ダンパの何れか又は全てがロータリダンパであり、前記車輪を上下動可能に支持するアームのヒンジ結合部に設けられている。このため、ビーム、スタビライザ、及びロッカーの有無を問わずダンパを取り付けられるので、ダンパ設置場所の選択自由度が高い。
本発明のサスペンション装置によれば、車輪をモータで個別に駆動する車両においても、全モータ失陥時の乗り心地及び操縦安定性の悪化を抑制するとともに、コストを低減できる。
本発明の第一、第二、第三の実施の形態に係るサスペンション装置の取付状態を概略的に示す平面図である。 本発明の第一の実施の形態に係るサスペンション装置の一部を簡略化して示す斜視図である。 本発明の第一、第二、第三の実施の形態に係るサスペンション装置を備える車両において、車速、ロール、ヨー、ピッチ、及びバウンスを制御するための制御のうち、ピッチの制御を除いた制御を組み合わせて車輪の制駆動力を制御した場合と、制御しなかった場合のそれぞれのシミュレーション結果を示す。 本発明の第二の実施の形態に係るサスペンション装置の一部を簡略化して示す斜視図である。 本発明の第三の実施の形態に係るサスペンション装置の一部を簡略化して示す正面図である。 本発明の第四の実施の形態に係るサスペンション装置の取付状態を示す概略図である。 本発明の第四の実施の形態に係るサスペンション装置の一部を簡略化して示す斜視図である。 本発明の第四の実施の形態に係るサスペンション装置の取付状態の変形例を概略的に示す平面図である。 本発明に係るサスペンション装置における三本のダンパの配置例を示すマトリックス図である。 ダンパを備えていない車両において、車速、ロール、ヨー、ピッチ、及びバウンスを制御するための制御を組み合わせて車輪の制駆動力を制御した場合と、制御しなかった場合のそれぞれのシミュレーション結果を示す。 ダンパを備えていない車両において、車速、ロール、ヨー、ピッチ、及びバウンスを制御するための制御のうち、ピッチの制御を除いた制御を組み合わせて車輪の制駆動力を制御した場合と、制御しなかった場合のそれぞれのシミュレーション結果を示す。
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。図1〜8に示す本発明の各実施の形態に係るサスペンション装置S1,S2,S3,S4は、自動車Vに搭載されている。以下、自動車Vを運転する運転手から見た自動車V、及び当該自動車Vに取り付けられた状態のサスペンション装置S1,S2,S3,S4の前後左右を、特別な説明がない限り、単に「前」「後」「左」「右」という。
<第一の実施の形態>
本発明の第一の実施の形態に係るサスペンション装置S1が搭載される自動車Vは、車体Bと、左前輪W1、右前輪W2、左後輪W3、及び右後輪W4の四つの車輪と、左右前後輪W1,W2,W3,W4にそれぞれ取り付けられて車輪を制駆動(制動及び駆動)する電動のモータMとを備え、左右前後輪W1,W2,W3,W4と車体Bとの間に上記サスペンション装置S1が介装されている。また、上記自動車Vでは、左右前輪W1,W2にタイロッド(図示せず)が連結されており、ハンドル操作によって前輪の向きを変更して方向転換をするようになっている。つまり、左右前輪W1,W2が操舵輪、左右後輪W3,W4が非操舵輪(操舵輪でない車輪)である。
つづいて、車輪を制駆動するモータMは、インホイールモータであり、左右前後輪W1,W2,W3,W4のハブ内部にそれぞれ設けられている。そして、モータMのトルクを個別に制御して、左右前後輪W1,W2,W3,W4に個別に駆動力を与える。また、モータMを発電機として作用させてエネルギ回生を行うようにしており、回生制動に基づく制動力を左右前後輪W1,W2,W3,W4に個別に付与できる。なお、一つのモータMで一つの車輪を駆動するようになっていれば、モータMは車輪の外側に設けられていてもよい。
また、モータMは、制御装置(図示せず)に接続されており、当該制御装置が自動車Vの状態(例えば、ばね上の上下方向加速度、ばね下の上下方向加速度、サスペンション装置のストローク等)を検出するための各種センサ(図示せず)で得られた情報から車体振動を抑制するのに最適な制駆動力を車輪毎に求め、各車輪の制駆動力が最適になるようにモータMへ制御指令をそれぞれ送る。そして、各車輪に駆動力及び制動力を個別に付与することで、車体Bの上下振動を抑制し、ピッチ、バウンス、及びロールを防止する。なお、車輪に付与する制動力は、ディスクブレーキ又はドラムブレーキ等によるものであっても、これらの制動力と回生制動に基づく制動力を合わせたものでもよい。
つづいて、サスペンション装置S1は、左前輪W1近傍と、右前輪W2近傍と、左右後輪W3,W4の間の三か所に一本ずつ配置される計三本のダンパD1,D2,D3と、左右前後輪W1,W2,W3,W4の近傍にそれぞれ配置される計四本の懸架ばね(図示せず)とを備える。懸架ばねは、公知であるように、コイルばね又はエアばね等のばねであり、車体Bと各車輪W1,W2,W3,W4との間にそれぞれ介装されて、車体Bを弾性支持する。
また、ダンパD1,D2,D3は、公知であるように、アウターシェル1(図2)と、アウターシェル1に出入りするロッド2とを有し、ロッド2がアウターシェル1に出入りして伸縮作動するとともに、ロッド2とアウターシェル1の相対移動を抑制する減衰力を発揮する。当該ダンパD1,D2,D3は、外力を受けて伸縮作動するパッシブダンパでも、外力の入力によらず伸縮作動するアクティブダンパでもよく、減衰力を発揮するための機構は任意である。また、図2に示すダンパD3は、アウターシェル1が車体側に連結されるとともにロッド2が車輪側に連結されているが、この限りではなく、ダンパD1,D2,D3の取付方法は適宜変更できる。
左前輪W1近傍に配置されるダンパD1は、左前輪W1と車体Bとの間にアーム(図示せず)等を介して介装されており、車体Bに対して左前輪W1が上下に動くのを抑制する減衰力を発揮する。また、右前輪W2近傍に配置されるダンパD2も同様に、右前輪W2と車体Bとの間にアーム(図示せず)等を介して介装されており、車体Bに対して右前輪W2が上下に動くのを抑制する減衰力を発揮する。なお、これら左右前輪W1,W2の近傍に配置されるダンパ(以下、前輪側のダンパともいう)D1,D2の取付方法は、前輪のサスペンション形式等に応じて適宜変更できる。また、これらのダンパD1,D2は、懸架ばね(図示せず)と一体的になっていても、別置きになっていてもよい。
つづいて、左右後輪W3,W4の間に配置されるダンパD3(以下、後輪側のダンパともいう)は、図2に示すように、左後輪W3と右後輪W4の車軸をつなぐアクスルビーム3と車体B(図1)との間に介装されている。また、アクスルビーム3の両端部から前方へトレーリングアーム30,31が相対向して延びており、これらの先端がそれぞれ車体B又はサスペンションメンバ(図示せず)にヒンジ結合されている。このため、トレーリングアーム30,31は先端を車体Bに連結された状態で上下に揺動し、これに伴いアクスルビーム3及び左右後輪W3,W4が車体Bに対して上下に移動する。また、ダンパD3は、アクスルビーム3の軸方向の中央に取り付けられており、車体Bに対して左右後輪W3,W4が上下同方向に移動してアクスルビーム3が上下に移動するのを抑制する減衰力を発揮する。
ここで、図1に示すように、搭乗者及び積荷がない状態(無負荷時)の車体Bの重心Gを平面上の直交座標系の原点とし、当該原点を通り車体Bの左右へ水平に延びる直線を上記直交座標系のx軸とし、原点でx軸と直交し、車体Bの前後へ水平に延びる直線を上記直交座標系のy軸とし、x軸が車体B右方を正とし、y軸が車体B前方を正とする。すると、x軸とy軸で区画される四つの区域が、図1中右上部から反時計回りに第一象限Q1、第二象限Q2、第三象限Q3、第四象限Q4となる。そして、前輪側のダンパD1,D2のうち、一方のダンパD1が第二象限Q2に設けられるとともに、他方のダンパD2が第一象限Q1に設けられており、これらのダンパD1,D2がy軸を中心に左右対称に配置されている。また、後輪側のダンパD3は、前輪側のダンパD1,D2とx軸を挟んで反対側(第三、第四象限Q3,Q4側)のy軸上に設けられている。
以下、本実施の形態のサスペンション装置S1の作動について説明する。ダンパD1,D2,D3において、減衰力が車輪の上下同方向の変位を抑制する方向に作用する場合を減衰力の向きが同じ(同方向)、減衰力が車輪の上下逆方向の変位を抑制する方向に作用する場合を減衰力の向きが逆(逆方向)とする。
車体Bに対して左前輪W1が上下に変位(振動)する場合、左前輪W1近傍のダンパD1が減衰力を発揮して上記振動を抑制する。また、車体Bに対して右前輪W2が上下に変位(振動)する場合、右前輪W2近傍のダンパD2が減衰力を発揮して上記振動を抑制する。また、車体Bに対して左右後輪W3,W4が上下同方向に変位(同相振動)する場合、車体Bとアクスルビーム3が相対変位するので、後輪側のダンパが一本のみ(ダンパD3)であっても、当該ダンパD3が減衰力を発揮して後輪の同相振動を抑制する。しかし、車体Bに対して左右後輪W3,W4が上下逆方向に変位(逆相振動)する場合、前述のようにダンパD3がy軸上に設けられていると、ダンパD3が取り付けられるアクスルビーム3の軸方向の中央の上下変位が少なく当該ダンパD3による減衰力を略得られない。
このため、車体Bがx軸を中心に上下に回転するようなピッチ挙動を呈する場合には、ダンパD1,D2が同方向の減衰力を発揮するとともに、前輪側のダンパD1,D2と後輪側のダンパD3が逆方向の減衰力を発揮してピッチ挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。また、車体Bが上下にバウンドするようなバウンス挙動を呈する場合には、全てのダンパD1,D2,D3が同方向の減衰力を発揮してバウンス挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。また、車体Bがy軸を中心に上下に回転するようなロール挙動を呈する場合には、主に前輪側のダンパD1,D2が逆方向の減衰力を発揮してロール挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。
つまり、上記サスペンション装置S1によれば、車体Bがピッチ挙動、バウンス挙動、ロール挙動の何れの挙動を呈する場合にも、各挙動に伴う車体Bの上下振動を三本のダンパD1,D2,D3の何れか或いは全てで抑制できる。このため、全てのモータMが失陥する等の理由により、車輪の制駆動力の制御による車体Bの上下振動を抑制する減衰機能が失われたとしても(全モータ失陥時)、最小限のダンパで車体Bの上下振動を抑制し、ピッチ、バウンス、及びロールを抑制できる。
つづいて、図3,10,11は、全てのモータMを制御可能な状態で、車輪の制駆動力の制御により車体Bの上下振動を抑制しようとした場合と、制御をしなかった場合のそれぞれのシミュレーション結果を示している。図3,10,11中、FRは右前輪W2、FLは左前輪W1、RRは右後輪W4、RLは左後輪W3を示す。また、図10,11は、車両がダンパを備えておらず、車輪の制駆動力の制御のみで車体Bの上下振動を抑制しようとした場合を示しており、図3は車両がサスペンション装置S1を備えている場合を示す。
ダンパを備えていない車両において、車速、ロール、ヨー、ピッチ、及びバウンスを制御するための制御を組み合わせて左右前後輪W1,W2,W3,W4にトルクを付与すると(図10(d)列)、ロール及びヨーを抑制できるものの(図10(a)列(ハ)(二)行)、ピッチを充分に抑制できず(図10(a)列(ロ)行)、バウンスはかえって制御しない状態よりも増幅されてしまう(図10(a)列(イ)行)。また、車速、ロール、ヨー、ピッチ、及びバウンスのうちの、ピッチを除く制御を組み合わせて左右前後輪W1,W2,W3,W4にトルクを付与すると(図11(d)列)、バウンスの抑制は可能になるが(図11(a)列(イ)行)、ピッチを充分に抑制できない(図11(a)列(ロ)行)。これらのことから、ピッチの制御をしなければ、バウンスを充分に抑制できることがわかる。
そこで、図11と同様にピッチの制御のみをOFFにした状態で、サスペンション装置S1を利用すると、当該サスペンション装置S1でピッチを抑制できるので、ピッチとバウンスの両方を抑制でき、ロール、ヨー、ピッチ、及びバウンスの全ての振動について充分な抑制効果を得られる(図3(a)列)。
以下、本実施の形態に係るサスペンション装置S1及びダンパD3の作用効果について説明する。
ダンパD3は、左右後輪(左右に並ぶ車輪)W3,W4を連結するアクスルビーム(ビーム)3に取り付けられている。このため、一本のダンパD3であっても、アクスルビーム3で連結される左右輪が同相振動する場合には、当該振動を抑制する減衰力を発揮できる。よって、当該ダンパD3を、左右輪が同相・逆相振動する場合にこれらを抑制する減衰力を発揮できる二本のダンパD1、D2と組み合わせて利用するとともに、ダンパD3とダンパD1,D2をx軸の両側に配置すれば、三本のダンパD1,D2,D3でピッチ、バウンス及びロールを抑制できる。
なお、本実施の形態において、ダンパD3は、左右後輪W3,W4の車軸を連結するアクスルビーム3に取り付けられているが、この限りではなく、例えば、トレーリングアームの間に介装されるビーム等に取り付けられていてもよい。また、ダンパD3がロータリダンパである場合には、トレーリングアームのヒンジ結合部に設けられていてもよい。
また、上記サスペンション装置S1では、ダンパD1,D2(三本のダンパのうちの二本)がy軸を中心に対称に配置されており、ダンパD3(三本のダンパのうちの残りの一本)がy軸上に配置されている。このため車体Bの上下振動を三本のダンパD1,D2,D3でバランスよく減衰できる。そして、当該バランスを考えると、重心Gから三本のダンパD1,D2,D3までの距離がなるべく等しくなるのが好ましい。さらに、前述のように、ダンパD3をアクスルビーム3等のビームに取り付ける場合には、y軸上にダンパD3を容易に配置できる。なお、三本のダンパD1,D2,D3の配置は、上記の限りではなく、ダンパがx軸の両側とy軸の両側にそれぞれ一本以上存在するようになっていれば如何なる位置にダンパを設けてもよい。
また、二本のダンパD1,D2は、操舵輪である左右前輪(車輪)W1,W2と車体Bに取り付けられている。このため、左右何れの操舵輪が振動する場合にも、当該振動をダンパD1,D2で減衰し、操舵輪の接地性(凹凸のある路面を車両が通過する際、車輪が路面の凹凸に追従して接する性能)を良好にできるので、全モータ失陥時における操縦安定性を向上できる。なお、左右の操舵輪の振動を一本のダンパで減衰し、左右の非操舵輪の振動を二本のダンパで個別に減衰するようにしてもよい。そして、当該変更は、ダンパD1,D2,D3の配置によらず可能である。
また、上記サスペンション装置S1は、モータMで個別に駆動される四つの車輪を有する自動車(車両)Vに搭載されて、車体Bと車輪との間に介装されるダンパを三本のみ(ダンパD1,D2,D3)備えている。そして、車体Bの重心Gを原点とし、この原点(重心G)を通って車体Bの左右に延びる直線をx軸とし、上記原点(重心G)でx軸と直交して車体Bの前後に延びる直線をy軸とすると、ダンパがx軸を境にして車体Bの前側に二本(ダンパD1,D2)、後側に一本(ダンパD3)配置されるとともに、y軸を境にして車体Bの左側に一本(ダンパD1)、右側に一本(ダンパD2配置)配置されている。つまり、ダンパが同一直線上になく、上記x軸の前後両側に一本以上配置されるとともに、上記y軸の左右両側に一本以上配置されて、三本のダンパD1,D2,D3を直線でつなぐと三角形状の面ができる。
ここで、ダンパが三本よりも少なく、例えば、二本である場合には、二本のダンパをつなぐ軸回りに車体が回転するような振動を抑制できない。これに対して、上記サスペンション装置S1によれば、三本のダンパD1,D2,D3を前述のように配置しているので、サスペンション装置が備えるダンパが三本のみであっても、ピッチ、バウンス及びロールに伴う車体Bの上下振動を抑制できる。よって、上記サスペンション装置S1が自動車Vに搭載される場合、全モータ失陥時の乗り心地及び操縦安定性の悪化を抑制できる。さらに、従来の四輪自動車(例えば、エンジン駆動の自動車)に搭載されるサスペンション装置であれば、四輪にそれぞれダンパを取り付け、計四本のダンパを必要とするところを、上記サスペンション装置S1によれば三本のダンパD1,D2,D3で車体振動を抑制できるので、コストを低減できる。
なお、本実施の形態において、上記サスペンション装置S1は、四輪自動車Vに搭載されているが、四輪以上の車輪を有する車両に搭載されてもよく、この場合にも、三本のダンパD1,D2,D3で車体振動を抑制できる。そして、四輪以上の車輪を有する車両にサスペンション装置S1が搭載される場合には、従来であれば四本以上のダンパを必要とするところを三本にできるので、コストを低減する効果が高い。
<第二の実施の形態>
次に、本発明の第二の実施の形態に係るサスペンション装置S2について説明する。図1に示すように、本実施の形態に係るサスペンション装置S2は、上記サスペンション装置S1と同様に、モータMで個別に制駆動される左右前後輪W1,W2,W3,W4を有する四輪自動車Vに搭載されている。さらに、サスペンション装置S2は、上記サスペンション装置S1と同様に、左前輪W1近傍と、右前輪W2近傍と、左右後輪W3,W4の間の三か所に一本ずつ配置される計三本のダンパD1,D2,D4と、左右前後輪W1,W2,W3,W4の近傍にそれぞれ配置される計四本の懸架ばね(図示せず)とを備える。本実施の形態のサスペンション装置S2では、後輪側のダンパD4の取付対象が異なる点で上記サスペンション装置S1と異なり、その他は同様である。よって、共通の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる構成について以下詳細に説明する。
後輪側のダンパD4は、図4に示すように、左後輪W3と右後輪W4との間に設けたスタビライザ4と車体B(図1)との間にリンク40を介して介装されている。スタビライザ4は、車体Bの左右(車幅方向)へ延びる中央バー4aと、この中央バー4aの両端から後方へ向い合せに延びるアーム部4b,4cとを備えており、平面視でU字状に形成されている。そして、一方のアーム部4bの先端が左後輪W3を上下動可能に支持するアーム(図示せず)にスタビライザリンク等を介して連結されている。また、他方のアーム部4cの先端も右後輪W4を上下動可能に支持するアーム(図示せず)にスタビライザリンク等を介して連結されている。さらに、中央バー4aは、その軸方向の両端部が車体Bに固定されるブラケット41,42に挿通され、当該ブラケット41,42で前後方向へ回転可能に支持されている。
そして、中央バー4aの中央に上記リンク40が連結されており、中央バー4aの回転が直線運動に変換されてダンパD4に伝達される。つまり、ダンパD4は、リンク40を介してスタビライザ4と車体Bとの間に介装されており、車体Bに対して左右後輪W3,W4が上下同方向に移動してスタビライザ4が前後に回転するのを抑制する減衰力を発揮する。また、左右後輪W3,W4が上下反対方向に移動するとスタビライザ4が捩じられるので、当該スタビライザ4が元の形状に戻ろうとする弾性力を発揮する。なお、スタビライザ4は、アーム部4b,4cが前方へ延びるように配置されていてもよく、スタビライザ4とアームとの連結構造も適宜変更できる。
以下、本実施の形態のサスペンション装置S2の作動について説明する。ダンパD1,D2,D4において、減衰力が車輪の上下同方向の変位を抑制する方向に作用する場合を減衰力の向きが同じ(同方向)、減衰力が車輪の上下逆方向の変位を抑制する方向に作用する場合を減衰力の向きが逆(逆方向)とする。
左前輪W1が上下に振動する場合、左前輪W1近傍のダンパD1が減衰力を発揮して上記振動を抑制する。また、右前輪W2が上下に振動する場合、右前輪W2近傍のダンパD2が減衰力を発揮して上記振動を抑制する。また、左右後輪W3,W4が同相振動する場合、スタビライザ4が回転するので、後輪側のダンパが一本のみ(ダンパD4)であっても、当該ダンパD4が減衰力を発揮して後輪の同相振動を抑制する。しかし、左右後輪W3,W4が逆相振動する場合、前述のようにリンク40がスタビライザ4の中央に連結されていると、当該ダンパD4による減衰力を略得られない。
このため、車体Bがピッチ挙動を呈する場合には、ダンパD1,D2が同方向の減衰力を発揮するとともに、前輪側のダンパD1,D2と後輪側のダンパD4が逆方向の減衰力を発揮してピッチ挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。また、車体Bがバウンス挙動を呈する場合には、全てのダンパD1,D2,D4が同方向の減衰力を発揮してバウンス挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。また、車体Bがロール挙動を呈する場合には、主に前輪側のダンパD1,D2が逆方向の減衰力を発揮してロール挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。
つまり、上記サスペンション装置S2によれば、車体Bがピッチ挙動、バウンス挙動、ロール挙動の何れの挙動を呈する場合にも、各挙動に伴う車体Bの上下振動を三本のダンパD1,D2,D4の何れか或いは全てで抑制できる。このため、全てのモータMが失陥する等の理由により、車輪の制駆動力の制御による車体Bの上下振動を抑制する減衰機能が失われたとしても(全モータ失陥時)、最小限のダンパで車体Bの上下振動を抑制し、ピッチ、バウンス、及びロールを抑制できる。
また、車両がサスペンション装置S2を備える場合であって、全てのモータMの制御が可能な場合には、車両が上記サスペンション装置S1を備える場合と同様に、車速、ロール、ヨー、ピッチ、及びバウンスのうちの、ピッチを除く制御を組み合わせて左右前後輪W1,W2,W3,W4にトルクを付与すると(図3(d)列)、ロール、ヨー、ピッチ、及びバウンスの全ての振動について充分な抑制効果を得られる(図3(a)列)。
以下、本実施の形態に係るサスペンション装置S2及びダンパD4の作用効果について説明する。
ダンパD4は、スタビライザ4に取り付けられており、当該スタビライザ4の回転を抑制する。このため、一本のダンパD4であっても、スタビライザ4の両側に設けた左右輪が同相振動する場合に、当該振動を抑制する減衰力を発揮できる。よって、当該ダンパD4を、左右輪が同相・逆相振動する場合にこれらを抑制する減衰力を発揮できる二本のダンパD1、D2と組み合わせて利用するとともに、ダンパD4とダンパD1,D2をx軸の両側に配置すれば、三本のダンパD1,D2,D4でピッチ、バウンス及びロールを抑制できる。さらに、上記ダンパD4は、スタビライザ4があれば、フロント、リヤ(前輪側、後輪側)を問わず利用でき、左右輪を連結するビームを備えていない車両においても利用できるので、汎用性が高い。
なお、本実施の形態において、ダンパD4とスタビライザ4の間にリンク40が介装されており、スタビライザ4の回転運動を直線運動に変換してダンパD4に伝えるようにしているが、リンク40の構成は図示する限りではなく適宜変更できる。また、例えば、ダンパD4がロータリダンパである場合には、リンク40を廃して直接スタビライザ4にダンパD4を取り付けてもよい。
また、本実施の形態においても上記サスペンション装置S1と同様に、一台の車両に対して車体と車輪の間に介装されたダンパの数が三本のみ(ダンパD1,D2,D4)であり、ダンパがx軸の前後両側と、y軸の左右両側にそれぞれ一本以上配置される。また、本実施の形態においても、二本のダンパD1,D2が操舵輪である左右前輪W1,W2に取付けられるとともに、y軸を中心に対称に配置され、残り一本のダンパD4がy軸上に配置されている。当該ダンパの数及び配置は、第一の実施の形態と同様であり、同様の効果を得られるので、ここでの詳細な説明を省略する。
なお、本実施の形態においても、サスペンション装置S2は、四輪自動車Vに搭載されているが、四輪以上の車輪を有する車両に搭載されてもよく、この場合にも、三本のダンパで車体振動を抑制できる。
<第三の実施の形態>
次に、本発明の第三の実施の形態に係るサスペンション装置S3について説明する。図1に示すように、本実施の形態に係るサスペンション装置S3は、上記サスペンション装置S1と同様に、モータMで個別に制駆動される左右前後輪W1,W2,W3,W4を有する四輪自動車Vに搭載されている。さらに、サスペンション装置S3は、上記サスペンション装置S1と同様に、左前輪W1近傍と、右前輪W2近傍と、左右後輪W3,W4の間の三か所に一本ずつ配置される計三本のダンパD1,D2,D5と、左右前後輪W1,W2,W3,W4の近傍にそれぞれ配置される計四本の懸架ばね(図示せず)とを備える。本実施の形態のサスペンション装置S3では、後輪側のダンパD5の取付対象が異なる点で上記サスペンション装置S1と異なり、その他は同様である。よって、共通の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる構成について以下詳細に説明する。
後輪側のダンパD5は、図5に示す正面図のように、左右(車幅方向)に揺動する左右一対のロッカー5a,5bの間に介装されている。そして、一方のロッカー5aの先端が左後輪W3を上下動可能に支持するアーム6a及びリンク50等を介して左後輪W3に連結されており、他方のロッカー5bの先端が右後輪W4を上下動可能に支持するアーム6b及びリンク51等を介して右後輪W4に連結されている。また、ロッカー5a,5bの末端は、車体Bに回転可能に連結されており、先端が車体Bの左右方向に揺動する。そして、ダンパD5は、ロッカー5a,5bの先端部の間に介装されるとともに、車体Bに対して自由に動けるようになっており、車体Bに対して左右後輪W3,W4が上下同方向に移動してロッカー5a,5bが先端側を接近又は離間させる方向に回転するのを抑制する減衰力を発揮する。
以下、本実施の形態のサスペンション装置S3の作動について説明する。ダンパD1,D2,D5において、減衰力が車輪の上下同方向の変位を抑制する方向に作用する場合を減衰力の向きが同じ(同方向)、減衰力が車輪の上下逆方向の変位を抑制する方向に作用する場合を減衰力の向きが逆(逆方向)とする。
左前輪W1が上下に振動する場合、左前輪W1近傍のダンパD1が減衰力を発揮して上記振動を抑制する。また、右前輪W2が上下に振動する場合、右前輪W2近傍のダンパD2が減衰力を発揮して上記振動を抑制する。また、左右後輪W3,W4が同相振動する場合、一対のロッカー5a,5bがそれぞれ反対方向に回転して先端側の距離がかわるので、後輪側のダンパが一本のみ(ダンパD5)であっても、当該ダンパD5が減衰力を発揮して後輪の同相振動を抑制する。しかし、左右後輪W3,W4が逆相振動する場合、前述のようにロッカー5a,5bが同方向に動くとともに、ダンパD5が車体Bに対して自由に動くので、ダンパD5がロッカー5a,5bの回転方向にスライドして当該ダンパD5による減衰力を期待できない。
このため、車体Bがピッチ挙動を呈する場合には、ダンパD1,D2が同方向の減衰力を発揮するとともに、前輪側のダンパD1,D2と後輪側のダンパD5が逆方向の減衰力を発揮してピッチ挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。また、車体Bがバウンス挙動を呈する場合には、全てのダンパD1,D2,D5が同方向の減衰力を発揮してバウンス挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。また、車体Bがy軸を中心に上下に回転するようなロール挙動を呈する場合には、主に前輪側のダンパD1,D2が逆方向の減衰力を発揮してロール挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。
つまり、上記サスペンション装置S3によれば、車体Bがピッチ挙動、バウンス挙動、ロール挙動の何れの挙動を呈する場合にも、各挙動に伴う車体Bの上下振動を三本のダンパD1,D2,D5の何れか或いは全てで抑制できる。このため、全てのモータMが失陥する等の理由により、車輪の制駆動力の制御による車体Bの上下振動を抑制する減衰機能が失われたとしても(全モータ失陥時)、最小限のダンパで車体Bの上下振動を抑制し、ピッチ、バウンス、及びロールを抑制できる。
また、車両がサスペンション装置S3を備える場合であって、全てのモータMの制御が可能な場合には、車両が上記サスペンション装置S1を備える場合と同様に、車速、ロール、ヨー、ピッチ、及びバウンスのうちの、ピッチを除く制御を組み合わせて左右前後輪W1,W2,W3,W4にトルクを付与すると(図3(d)列)、ロール、ヨー、ピッチ、及びバウンスの全ての振動について充分な抑制効果を得られる(図3(a)列)。
以下、本実施の形態に係るサスペンション装置S3及びダンパD5の作用効果について説明する。
ダンパD5は、左右後輪(左右に並ぶ車輪)W3,W4の振動時に左右に揺動して先端を遠近させる一対のロッカー5a,5bの間に介装されている。このため、一本のダンパD5であっても、一対のロッカー5a,5bにそれぞれ連結される左右輪が同相振動する場合に、当該振動を抑制する減衰力を発揮できる。よって、当該ダンパD5を、左右輪が同相・逆相振動する場合にこれらを抑制する減衰力を発揮できる二本のダンパD1、D2と組み合わせて利用するとともに、ダンパD5とダンパD1,D2をx軸の両側に配置すれば、三本のダンパD1,D2,D5でピッチ、バウンス及びロールを抑制できる。さらに、ロッカー5a,5bを設ければ、上記ダンパD5をフロント、リヤ(前輪側、後輪側)を問わず利用でき、左右輪を連結するビーム及びスタビライザを備えていない車両においても利用できるので、汎用性が高い。
なお、本実施の形態において、ロッカー5a,5bは車輪を上下動可能に支持するアーム6a,6bに連結されているが、この限りではなく、車体と車輪の相対変位により左右(車幅方向)に揺動し、ダンパD5に伸縮方向の力を加えるようになっていれば、ロッカー5a,5bと車輪との接続方法を適宜変更できる。さらに、ロッカー5a,5bを設ける場所は、従来のエンジン駆動の車両において、エンジンルームがあった部分の上、下、内側等、何処でもよい。
また、本実施の形態においても上記サスペンション装置S1と同様に、一台の車両に対して車体と車輪の間に介装されたダンパの数が三本のみ(ダンパD1,D2,D5)であり、ダンパがx軸の前後両側と、y軸の左右両側にそれぞれ一本以上配置される。また、本実施の形態においても、二本のダンパD1,D2が操舵輪である左右前輪W1,W2に取付けられるとともに、y軸を中心に対称に配置され、残り一本のダンパD5がy軸上に配置されている。当該ダンパの数及び配置は、第一の実施の形態と同様であり、同様の効果を得られるので、ここでの詳細な説明を省略する。
なお、本実施の形態においても、サスペンション装置S3は、四輪自動車Vに搭載されているが、四輪以上の車輪を有する車両に搭載されてもよく、この場合にも、三本のダンパで車体振動を抑制できる。
<第四の実施の形態>
次に、本発明の第四の実施の形態に係るサスペンション装置S4について説明する。図6に示すように、本実施の形態に係るサスペンション装置S4は、上記サスペンション装置S1と同様に、モータMで個別に制駆動される左右前後輪W1,W2,W3,W4を有する四輪自動車Vに搭載されている。そして、上記サスペンション装置S4は、左前輪W1近傍と、右前輪W2近傍と、左後輪W3近傍の三か所に一本ずつ配置される計三本のダンパD6,D7,D8と、左右前後輪W1,W2,W3,W4の近傍にそれぞれ配置される計四本の懸架ばね(図示せず)とを備える。
上記ダンパD6,D7,D8は、図7に示すように、全てロータリダンパであり、車輪を上下動可能に支えるアーム7のヒンジ結合部に設けられている。アーム7は、平面視でA字状になっており、車輪に連結される頂部7aと、この頂部7aから二股に分かれて車体側に延びる一対の脚部7b,7cとを備える。そして、これら脚部7b,7cの先端部7d,7eが車体B又はサスペンションメンバ(図示せず)にヒンジ結合されている。
ロータリダンパであるダンパD6,D7,D8は、公知であるように、ハウジング10と、このハウジング10内に回転可能に挿入されるシャフト(図示せず)とを備えており、ハウジング10とシャフトが相対回転するのを抑制する減衰力を発揮する。ダンパD6,D7,D8は、外力を受けて作動するパッシブダンパでも、外力の入力によらず作動するアクティブダンパでもよく、減衰力を発揮するための機構は任意である。また、図7に示すダンパD6,D7,D8では、ハウジング10が車体側に連結されるとともに、シャフトがアーム7の先端部7eに連結されているが、この限りではなく、ダンパD6,D7,D8の取付方法は、それぞれ適宜変更できる。例えば、シャフトがハウジング10から両側に延びて、両端がアーム7の先端部7d,7eに連結されていてもよい。
以下、本実施の形態のサスペンション装置S4の作動について説明する。ダンパD6,D7,D8において、減衰力が車輪の上下同方向の変位を抑制する方向に作用する場合を減衰力の向きが同じ(同方向)、減衰力が車輪の上下逆方向の変位を抑制する方向に作用する場合を減衰力の向きが逆(逆方向)とする。
車体Bに対して左前輪W1が上下に変位(振動)する場合には、左前輪W1近傍のダンパD6が減衰力を発揮して上記振動を抑制する。また、車体Bに対して右前輪W2が上下に変位(振動)する場合には、右前輪W2近傍のダンパD7が減衰力を発揮して上記振動を抑制する。また、車体Bに対して左後輪W3が上下に変位(振動)する場合には、左後輪W3近傍のダンパD8が減衰力を発揮して上記振動を抑制する。しかし、右後輪W4近傍には、当該車輪の振動を抑制するためのダンパが設けられていない。
このため、車体Bがピッチ挙動を呈する場合には、前輪側のダンパD6、D7が同方向の減衰力を発揮するとともに、前輪側のダンパD6,D7と後輪側のダンパD8とが逆方向の減衰力を発揮してピッチ挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。また、車体Bがバウンス挙動を呈する場合には、全てのダンパD6,D7,D8が同方向の減衰力を発揮してバウンス挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。また、車体Bがロール挙動を呈する場合には、左側のダンパD6,D8が同方向の減衰力を発揮するとともに、左側のダンパD6,D8と右側のダンパD7が逆方向の減衰力を発揮してロール挙動に伴う車体Bの上下振動を抑制する。
つまり、上記サスペンション装置S4によれば、車体Bがピッチ挙動、バウンス挙動、ロール挙動の何れの挙動を呈する場合にも、各挙動に伴う車体Bの上下振動を三本のダンパD6,D7,D8で抑制できる。このため、全てのモータMが失陥する等の理由により、車輪の制駆動力の制御による車体Bの上下振動を抑制する減衰機能が失われたとしても(全モータ失陥時)、最小限のダンパで車体Bの上下振動を抑制し、ピッチ、バウンス、及びロールを抑制できる。
以下、本実施の形態に係るサスペンション装置S4及びダンパD6,D7,D8の作用効果について説明する。
上記ダンパD6,D7,D8は、ロータリダンパであり、車輪を上下動可能に支持するアーム7のヒンジ結合部に設けられている。このため、ダンパ設置場所の選択自由度が極めて高く、サスペンション形式も選ばない。例えば、サスペンション形式がダブルウィッシュボーン式の場合には、アッパーアームのヒンジ結合部、又はロアアームのヒンジ結合部等に設けられ、トレーリングアーム式の場合には、トレーリングアームのヒンジ結合部に設けられる。
なお、本実施の形態において、アーム7は、平面視でA字状となっているが、これ以外の形状でもよい。また、実施の形態において、三本全てのダンパD6,D7,D8がロータリダンパであるが、三本のダンパのうちの何れか一本又は二本がロータリダンパであり、その他のダンパが伸縮式になっていてもよい。
また、本実施の形態においても上記サスペンション装置S1と同様に、一台の車両に対して車体と車輪の間に介装されたダンパの数が三本のみ(ダンパD6,D7,D8)であり、ダンパがx軸の前後両側と、y軸の左右両側にそれぞれ一本以上配置される。また、本実施の形態においても、二本のダンパD6,D7が操舵輪である左右前輪W1,W2に取り付けられている。当該ダンパの数及び配置は、第一の実施の形態と同様であり、同様の効果を得られるので、ここでの詳細な説明を省略する。
なお、本実施の形態のサスペンション装置S4のダンパD6,D7,D8は、四輪自動車Vの、左前輪W1、右前輪W2及び左後輪W3を支持するアーム7にそれぞれ設けられているが、複数の車輪のうちの何れの車輪を支持するアームに取り付けられていてもよい。
また、本実施の形態においても、サスペンション装置S4は、四輪自動車Vに搭載されているが、四輪以上の車輪を有する車両に搭載されてもよく、この場合にも、三本のダンパで車体振動を抑制できる。例えば、自動車Vが六輪である場合には、上記サスペンション装置S4におけるダンパD6,D7,D8の配置が図8に示すようになっていてもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形及び変更が可能である。
例えば、本発明に係る三本のダンパの配置において、x軸の前後両側にダンパが一本以上存在する配置とは、ダンパがx軸の前側に二本、後側に一本配置される場合と、ダンパがx軸の前側に一本、軸上に一本、後側に一本配置される場合と、ダンパがx軸の前側に一本、後側に二本配置される場合の三種類である。同様に、三本のダンパの配置において、y軸の左右両側にダンパが一本以上存在する配置とは、ダンパがy軸の左側に二本、右側に一本配置される場合と、ダンパがy軸の左側に一本、軸上に一本、右側に一本配置される場合と、ダンパがy軸の左側に一本、右側に二本配置される場合の三種類である。
そして、三本のダンパそれぞれが、x軸の前後何れか、或いは、y軸の左右何れかに設けられるようになっており、三本のダンパのx軸に対する配置と、y軸に対する配置の組み合わせは自由である。図9は、縦の項目をx軸に対する三本のダンパの配置とし、横の項目をy軸に対する三本のダンパの配置としたマトリックス図である。当該マトリックス図における各マス目には、三本のダンパの配置を上から見た概略図を記載している。平面視において三本のダンパを直線でつなぐと三角形を描くようになっており、当該三角形は車体に対して大きい方が好ましく、三角形の内側に原点0が配置されるのが好ましい。
D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8・・・ダンパ、G・・・重心、M・・・モータ、S1,S2,S3,S4・・・サスペンション装置、V・・・自動車(車両)、W1・・・左前輪(車輪)、W2・・・右前輪(車輪)、W3・・・左後輪(車輪)、W4・・・右後輪(車輪)、3・・・アクスルビーム(ビーム)、4・・・スタビライザ、5a,5b・・・ロッカー、7・・・アーム

Claims (7)

  1. モータで個別に駆動される四輪以上の車輪を有する車両に搭載されて、
    車体と前記車輪との間に介装されるダンパを三本のみ備えており、
    前記車体の重心を原点とし、前記原点を通って前記車体の左右へ延びる直線をx軸とし、前記原点で前記x軸と直交して前記車体の前後へ延びる直線をy軸とすると、
    三本の前記ダンパは、前記x軸を境に前後両側に一本以上配置されるとともに、前記y軸を境に左右両側に一本以上配置されている
    ことを特徴とするサスペンション装置。
  2. 前記ダンパのうちの二本は、操舵輪である前記車輪に取り付けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション装置。
  3. 前記ダンパのうちの二本は、前記y軸を中心に対称に配置されており、
    前記ダンパのうちの残りの一本は、前記y軸上に配置されている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサスペンション装置。
  4. 前記ダンパのうちの一本は、左右に並ぶ前記車輪を連結するビームに取り付けられている
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のサスペンション装置。
  5. 前記ダンパのうちの一本は、スタビライザに取り付けられており、前記スタビライザの回転を抑制する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のサスペンション装置。
  6. 前記ダンパのうちの一本は、左右に並ぶ前記車輪の振動時に左右に揺動して先端を遠近させる一対のロッカーの間に介装されている
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のサスペンション装置。
  7. 前記ダンパの何れか又は全ては、ロータリダンパであり、前記車輪を上下動可能に支持するアームのヒンジ結合部に設けられている
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のサスペンション装置。
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