JP6773628B2 - 電気化学反応単位および電気化学反応セルスタック - Google Patents
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Description
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の構成を概略的に示す外観斜視図である。図1には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸を示している。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100がそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図2以降についても同様である。
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
図2から図5は、発電単位102の構成を概略的に示す説明図である。図2には、図1、図4および図5のII−IIの位置における発電単位102の断面構成を示しており、図3には、図1、図4および図5のIII−IIIの位置における発電単位102の断面構成を示しており、図4には、図2のIV−IVの位置における発電単位102の断面構成を示しており、図5には、図2のV−Vの位置における発電単位102の断面構成を示している。
図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161に酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を経て、空気室166に供給される。また、図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171に燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を経て、燃料室176に供給される。
図6は、図3におけるX1部分(集電体要素135、接合層138および空気極114)の構成を拡大して示す説明図である。図6に示すように、空気極側集電体134を構成する各集電体要素135の上下方向に平行な断面(YZ断面)において、集電体要素135の一対の角部135Aは、集電体要素135の上下方向に直交する横方向(Y軸方向)の中心に向かうにつれて、空気極114に近づくように傾斜する傾斜面とされている。
第1の要件:「電極側接触線L1の両端のうちの少なくとも一方の端は、投影範囲H内に含まれている。」
電極側接触線L1は、接合層138と空気極114との接触部分における空気極114の外周線分である。なお、接合層138と空気極114との間に空隙が存在することによって、接合層138と空気極114との接触部分が複数存在する場合がある。この場合には、電極側接触線L1は、複数の接触部分全体における、上記横方向(Y軸方向)の両端同士を結ぶ空気極114の外周線分である。この場合、電極側接触線L1の全長に対する複数の接触部分の合計長さの割合は80%以上であることが好ましい。
投影範囲Hは、集電体要素135を上下方向(Z軸方向)において空気極114上に投影した範囲に位置する空気極114の外周線分である。具体的には、集電体要素135の横方向の両端をそれぞれ通過し、かつ、上下方向に平行な2本の垂線のそれぞれと、空気極114との交点同士を結ぶ空気極114の外周線分である。なお、ここでいう「集電体要素135の横方向の両端のそれぞれ」の位置は、集電体要素135のうちの空気極114に最も近い部位(図6における集電体要素135の最下部位)から、空気極114とは反対側(Z軸正方向)に、集電体要素135の上下方向の全長の25%〜55%の距離だけ離れた所定範囲内に位置する横方向に平行な任意の仮想直線と、集電体要素135の外周線との交点であって、かつ、該交点における集電体要素135の接線の上記横方向に対する傾斜角度が80度以上である交点が好ましい。なお、図6のように、集電体要素135の角度部分が傾斜している構成では、傾斜角度は、90度以下であることが好ましい。また、上記所定範囲は、空気極114とは反対側に、集電体要素135の最下部位から集電体要素135の上下方向の全長の30%〜55%の距離だけ離れた範囲であることが好ましい。
突出部側接触線L2は、接合層138と集電体要素135との接触部分における集電体要素135の外周線である。なお、接合層138と集電体要素135との間に空隙が存在することによって、接合層138と集電体要素135との接触部分が複数存在する場合がある。この場合には、電極側接触線L1は、複数の接触部分全体における上記横方向の両端同士を結ぶ集電体要素135の外周線分である。
第3の要件:「傾斜部分138Aを、少なくとも一部に含んでいる。」
傾斜部分138Aは、突出部側接触線L2の端から、突出部側接触線L2の中心に向かうにつれて、空気極114と接合層138との距離が短くなるように傾斜する部分である。
第4の要件:「傾斜部分138Aにおける接合層138の厚さは、突出部側接触線L2の端から、突出部側接触線L2の中心に向かうにつれて厚くなっている。」
接合層138の厚さは、接合層138の延びる方向に略直交する方向における接合層138の幅である。
第5の要件:「接合層138の横側外周線分上に、集電体要素135側から順に並ぶ第1の位置と第3の位置と第2の位置とのそれぞれにおける第1の傾斜角度θ1と第3の傾斜角度θ3と第2の傾斜角度θ2との大小関係は、
第3の傾斜角度θ3<第1の傾斜角度θ1、および、第3の傾斜角度θ3<第2の傾斜角度θ2、である。」
第1の傾斜角度θ1は、第1の位置における第1の接線SL1の空気極114の表面に対する傾斜角度であり、第3の傾斜角度θ3は、第3の位置における第3の接線SL3の空気極114の表面に対する傾斜角度であり、第2の傾斜角度θ2は、第2の位置における第2の接線SL2の空気極114の表面に対する傾斜角度である。なお、集電体要素135の上下方向に平行な断面(YZ断面)を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて30倍〜100倍で撮影したときのSEM画像にて各接線を特定することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の単セル110では、接合層138は、上記YZ断面において、上述の第1の要件「電極側接触線L1の両端のうちの少なくとも一方の端は、投影範囲H内に含まれている」を満たす。このため、電極側接触線L1の両端が投影範囲H外にはみ出している構成(例えば、後述の比較例2)に比べて、空気極114における空気室166への露出部分の表面積が広いため、空気室166に供給された酸化剤ガスOGの空気極114への供給効率の向上を図ることができる。しかも、本実施形態の単セル110では、電極側接触線L1の両端が投影範囲H内に含まれている。このため、電極側接触線L1の両端の一方だけが投影範囲H内に含まれている構成に比べて、空気極114における空気室166への露出部分の表面積がより広いため、空気室166に供給された酸化剤ガスOGの空気極114への供給効率の向上をより効果的に図ることができる。
複数の単セルのサンプルを作製し、作製された複数の単セルのサンプルを用いて性能評価を行った。図7は、性能評価結果を示す説明図である。以下、この性能評価について説明する。なお、図7中の各要件欄の「○」は、各要件を満たすことを意味し、「×」は、同要件を満たさないことを意味する。また、図7中の「圧損」は、空気極114への酸化剤ガスOGの供給量が所定量である場合に発生する圧力損失を意味し、接合層138と空気極114との間の電極側接触線が短いほど、圧損が小さいと評価した。「圧損」欄の「◎」は、燃料極116側に露出する空気極114の表面積(以下、「露出面積」という)が、比較例1と同等であることを意味し、「○」は、空気極114の露出面積が比較例1に比べて小さいことを意味し、「×」は、空気極114の露出面積が比較例1に比べて大幅に小さいことを意味する。また、図7中の「電気抵抗」は、集電体要素135と接合層138との間の電気抵抗を意味し、集電体要素135と接合層138との間の突出部側接触線の長さが長いほど、同電気抵抗は小さいと評価した。「電気抵抗」欄の「○」は、突出部側接触線の長さが比較例2と同等であることを意味し、「×」は、突出部側接触線の長さが比較例2に比べて短いことを意味する。
図7に示すように、単セルの性能評価は、比較例1,2および実施例1〜4を対象として行った。比較例1は、上述の接合部の幅が狭い従来の構成に相当し、第1の要件を満たすが、第2の要件から第5の要件のいずれも満たさない。比較例2は、上述の接合部の幅が広い構成に相当し、第2の要件を満たすが、第1の要件と第3の要件から第5の要件とのいずれも満たさない。
図7に示すように、比較例1,2では、いずれも、発電特性の評価において不良(×)であると判定された。これに対して、実施例1〜4では、いずれも、発電特性の評価において良好(○)以上であると判定された。この評価結果からも、第1の要件と第2の要件との両方を満たすことによって、酸化剤ガスOGの空気極114への供給効率の向上と、集電体要素135と接合層138との接触箇所の電気抵抗の低減との両立を図ることができることが分かる。また、比較例2のみ、接触圧力の評価において不良(×)であると判定された。これは、比較例2のみ、第1の要件を満たしておらず、空気極114の露出面積が他のサンプルに比べて特に小さいからである。
本明細書で開示される技術は、上述の各実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
Claims (5)
- 固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む単セルと、
前記単セルの前記空気極および前記燃料極の一方の電極側に配置され、前記一方の電極に向けて突出する突出部を有する集電部材と、
前記突出部と前記一方の電極とを接合する導電性の接合部と、を備える電気化学反応単位において、
前記突出部と前記接合部と前記一方の電極とを含む前記第1の方向に平行な少なくとも1つの断面において、
前記接合部のうち、前記一方の電極に接触する電極側接触線の両端のうちの少なくとも一方の端は、前記突出部を前記一方の電極上に投影した投影範囲内に含まれており、
前記接合部のうち、前記突出部に接触する突出部側接触線は、前記突出部の角部まで延びており、
かつ、前記突出部側接触線の長さは、前記電極側接触線の長さより長いことを特徴とする、電気化学反応単位。 - 請求項1に記載の電気化学反応単位において、
前記少なくとも1つの断面において、
前記接合部は、前記突出部側接触線の端から、前記突出部側接触線の中心に向かうにつれて、前記一方の電極と前記接合部との距離が短くなるように傾斜する傾斜部分を、少なくとも一部に含んでいることを特徴とする、電気化学反応単位。 - 請求項1または請求項2に記載の電気化学反応単位において、
前記少なくとも1つの断面において、
前記接合部の厚さは、前記突出部側接触線の端から、前記突出部側接触線の中心に向かうにつれて厚くなっていることを特徴とする、電気化学反応単位。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電気化学反応単位において、
前記少なくとも1つの断面において、
前記接合部は、前記投影範囲内に含まれる前記電極側接触線の前記少なくとも一方の端と、前記突出部側接触線との間に位置する外周線を含んでおり、
前記外周線上の第1の位置における第1の接線の前記一方の電極に対する第1の傾斜角度と、前記外周線上の前記第1の位置と前記電極側接触線との間の第2の位置における第2の接線の前記一方の電極に対する第2の傾斜角度と、前記外周線上の前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置における第3の接線の前記一方の電極に対する第3の傾斜角度との大小関係は、
前記第3の傾斜角度<前記第1の傾斜角度、および、前記第3の傾斜角度<前記第2の傾斜角度、の両方を満たす
ことを特徴とする、電気化学反応単位。 - 複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタックにおいて、
前記複数の電気化学反応単位の少なくとも1つは、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電気化学反応単位であることを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
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