JP6773603B2 - 斜面崩壊早期警報システム - Google Patents

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Description

本発明は、斜面の崩壊の危険度をリアルタイムで評価し、危険度が高くなったときに警報を実行する斜面崩壊早期警報システムに関する。
従来の斜面の監視システムとして、例えば本出願人により出願された特許文献1に開示されたものが知られている。この監視システムは、斜面に設置された複数の斜面崩壊感知装置(以下「感知装置」という)と、各感知装置から送信された計測データに基づき、斜面の崩壊の危険度をリアルタイムで評価する中央監視装置などを備えている。
各感知装置は、斜面の傾斜角を計測する第1及び第2傾斜計と、土壌の含水率を計測する土壌水分計と、それらの計測データを送信するための無線通信ユニットなどを備えている。第2傾斜計は、第1傾斜計の補完用として設けられており、第1傾斜計が転倒などで計測不能と判定された場合に、第2傾斜計の傾斜角が用いられる。
中央監視装置は、感知装置から送信された計測データに基づき、斜面の安定解析を行う。この安定解析では、第1又は第2傾斜計で計測された傾斜角から、各計測点における斜面の変位を算出し、この斜面の変位及び土壌水分計で計測された土壌の含水率とそれらの推移などに基づいて、斜面の崩壊に対する安全率を算出する。そして、算出した安全率が低下したときの推移などに基づいて警報が実行される。
特開2012−154708号公報
上述したように、この従来の監視システムでは、斜面に設置された複数の傾斜計で計測された傾斜角と土壌水分計で計測された土壌の含水率を用いて、斜面の崩壊に対する安全率を算出するとともに、算出した安全率の低下の推移などに基づいて警報が実行されるものの、それらの具体的な手法は確立されていない。例えば、傾斜計で計測された傾斜角から各計測点における斜面の変位を算出すると記載されているが、この斜面の変位の定義や傾斜角からの算出方法は明確でない。
また、各計測点における斜面の変位及び計測された土壌の含水率とそれらの推移などに基づいて、斜面の崩壊の安全率を算出すると記載されているが、その算出方法もまた明確ではない。特に、斜面内の複数の計測点においてそれぞれ得られた複数の斜面の変位をどのように集約・処理し、斜面全体の崩壊の安全率を算出するかについて、明確に示されていない。以上から、この従来の監視システムでは、斜面の面的な変状が斜面の崩壊の安全率に適切に反映されず、その結果、安全率の推移に基づいて実行される警報の安定性や信頼性を確保できないおそれがあり、この点において改善の余地がある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、斜面の面的な変状を適切に反映させながら、斜面の崩壊の危険度を精度良く評価でき、その評価に基づいて、安定した信頼性の高い警報を実行することができる斜面崩壊早期警報システムを提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本願の請求項1に係る発明は、斜面の崩壊の危険度をリアルタイムで評価し、危険度が高くなったときに警報を実行する斜面崩壊早期警報システムであって、斜面に設置され、斜面の変状を表す傾斜角を計測する多数の傾斜計と、多数の傾斜計によってそれぞれ計測された傾斜角の変化速度である多数の傾斜角速度を算出する傾斜角速度算出手段と、算出された多数の傾斜角速度の平均値を、斜面の崩壊の危険度を表す危険度パラメータとして算出する危険度パラメータ算出手段と、算出された危険度パラメータが所定の警報基準値に達したときに、警報を実行する警報手段と、を備えることを特徴とする。
この斜面崩壊早期警報システム(以下「警報システム」という)によれば、斜面に多数の傾斜計が設置され、各傾斜計によって斜面の変状を表す傾斜角が計測される。また、傾斜計ごとに、計測された傾斜角の変化速度である傾斜角速度が算出される。さらに、算出された多数の傾斜角速度の平均値を、斜面の崩壊の危険度を表す危険度パラメータとして算出するとともに、危険度パラメータが所定の警報基準値に達したときに、警報が実行される。
上記のように、本発明では、斜面の崩壊の危険度を表す危険度パラメータが、傾斜計で計測された傾斜角から算出された傾斜角速度に基づいて算出される。これは以下の理由による。図9に示すように、斜面に変状が発生し、最終的に崩壊に至る場合、斜面の変状が進行するにつれて傾斜角が増大するとともに、崩壊に近づくにつれて傾斜角の変化速度である傾斜角速度(図9における傾斜角の傾き)が増大するという特性が認められる。この特性から、傾斜角速度が小さいほど、斜面はより安定した状態にあり、傾斜角速度が大きいほど、斜面はより不安定で崩壊に近づいている状態を示す。
このような特性に基づき、本発明によれば、危険度パラメータを、多数の傾斜計で計測された傾斜角から算出された傾斜角速度を用いて算出する。これにより、斜面全体の面的な変状が危険度パラメータに良好に反映される。また、傾斜角速度の平均値を危険度パラメータとするので、傾斜計への動物の接触や傾斜計の誤作動などによって、算出された一部の傾斜角速度にばらつきなどが生じた場合でも、平均化により傾斜角速度のばらつきなどがある程度、吸収されることによって、危険度パラメータの精度を維持することができる。また、傾斜角速度の平均値を危険度パラメータとすることで、傾斜計の設置数にかかわらず、危険度パラメータを同一の警報基準値と比較することが可能になる。
以上から、本発明によれば、斜面の崩壊の危険度を表す危険度パラメータを、斜面の面的な変状を適切に反映させながら精度良く算出できるとともに、危険度パラメータが警報基準値に達したときに警報を実行することによって、誤報の少ない安定した信頼性の高い警報を実現することができる。
また、基本的に、危険度パラメータの算出に必要な計測データは傾斜計による傾斜角だけでよいので、斜面に設定される傾斜計を含む感知装置を簡略化でき、それにより装置コストや設置コストなどが削減されることによって、より多くの傾斜計を設置し、傾斜角の計測点を増やことが可能になる。その結果、より多くの計測点で得られたより多くの傾斜角速度を用いて、斜面の面的な変状をよりきめ細かく詳細に反映した危険度パラメータを算出でき、それにより、上述した本発明の利点をより良好に得ることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の斜面崩壊早期警報システムにおいて、多数の傾斜計によって監視される斜面の範囲が全体領域として定められ、全体領域は複数の傾斜計をそれぞれ含む所定の複数の区分領域に区分されており、危険度パラメータ算出手段は、危険度パラメータとして、全体領域を対象とする全体危険度パラメータと、複数の区分領域をそれぞれ対象とする複数の区分危険度パラメータを算出し、警報手段は、全体危険度パラメータ及び複数の区分危険度パラメータの少なくとも1つが警報基準値に達したときに、警報を実行することを特徴とする。
この構成によれば、危険度パラメータとして、斜面の全体領域を対象とする全体危険度パラメータと、全体領域を区分した所定の複数の区分領域をそれぞれ対象とする複数の区分危険度パラメータが算出される。そして、算出された全体危険度パラメータ及び複数の区分危険度パラメータの少なくとも1つが警報基準値に達したときに、警報を実行する。これにより、斜面が全体的に崩壊する場合及び局所的に崩壊する場合のいずれにおいても、それぞれの危険度を精度良く評価でき、安定した信頼性の高い警報を実行することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の斜面崩壊早期警報システムにおいて、傾斜計ごとに、傾斜計によって監視される斜面の面積である監視面積があらかじめ設定されており、危険度パラメータ算出手段は、多数の傾斜角速度の平均値を、監視面積に応じた重みを加えた加重平均によって算出することを特徴とする。
この構成によれば、危険度パラメータは、傾斜計ごとに設定された監視面積に応じた重みを加えた傾斜角速度の加重平均によって算出される。これにより、斜面に多数の傾斜計が不規則に配置されている場合には、その影響を補償しながら、危険度パラメータを適切に算出することができる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の斜面崩壊早期警報システムにおいて、傾斜角速度算出手段によって算出された傾斜角速度が所定の上限値を上回ったときに、危険度パラメータの算出に用いる傾斜角速度を上限値に制限する傾斜角速度制限手段をさらに備えることを特徴とする。
前述したように、危険度パラメータは、多数の傾斜角速度を平均することによって算出されるため、傾斜計への動物の接触や傾斜計の誤作動などによって、一部の傾斜角速度にばらつきなどが生じた場合でも、傾斜角速度のばらつきなどがある程度、吸収され、危険度パラメータの精度が維持される。一方、傾斜角速度のばらつきなどが過大になると、その吸収を十分に行えず、危険度パラメータの精度に影響を及ぼす。この構成によれば、算出された傾斜角速度が所定の上限値を上回ったときに、その傾斜角速度を上限値に制限し、危険度パラメータの算出に用いるので、傾斜角速度の過大なばらつきなどの影響を抑制し、危険度パラメータの精度を維持することができる。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の斜面崩壊早期警報システムにおいて、傾斜計ごとに、傾斜計の周囲における地盤の強度を表す地盤係数があらかじめ設定されており、危険度パラメータ算出手段は、地盤係数にさらに応じて、危険度パラメータを算出することを特徴とする。
この構成によれば、傾斜計ごとに設定された地盤係数にさらに応じて、危険度パラメータが算出されるので、各傾斜計の周囲における地盤の強度を反映させながら、危険度パラメータをより精度良く算出することができる。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の斜面崩壊早期警報システムにおいて、傾斜計の付近に設けられ、斜面の土壌中の水分を計測する土壌水分計をさらに備え、危険度パラメータ算出手段は、計測された土壌中の水分にさらに応じて、危険度パラメータを算出することを特徴とする。
斜面が崩壊する際、その兆候として、多くの場合、地中の水分(含水率)の上昇が認められる。この構成によれば、危険度パラメータを、土壌水分計で計測された土壌中の水分にさらに応じて算出するので、土壌中の実際の水分を反映させながら、危険度パラメータの算出をさらに精度良く行うことができる。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の斜面崩壊早期警報システムにおいて、斜面における降雨強度を取得する降雨強度取得手段と、傾斜計による傾斜角のサンプリング周期を、降雨強度が所定値以下のときに所定の第1周期に設定し、降雨強度が所定値を超えたときに第1時間よりも短い所定の第2周期に変更する周期変更手段と、をさらに備えることをを特徴とする。
降雨強度と斜面の安定性は密接な関係にあり、降雨強度が大きいほど、斜面は不安定になりやすい。この構成によれば、取得された斜面の降雨強度が所定値を超え、斜面の安定性が低下していると推定されるときに、傾斜角のサンプリング周期をより短い第2周期に変更する。これにより、傾斜角に基づく傾斜角速度及び危険度パラメータの算出間隔を短縮し、その結果に基づく警報をより迅速に行うことができる。
本発明の第1実施形態による斜面崩壊早期警報システムの全体構成を概略的に示す図である。 傾斜計を含む斜面崩壊感知装置などの斜面への設置状況を示す図である。 斜面崩壊感知装置の構成を模式的に示す図である。 傾斜計を含むセンサモジュールの(a)斜面に設置された初期状態と(b)斜面の変状発生後の状態を示す図である。 無線モジュールの構成を傾斜計などとともに模式的に示す図である。 崩壊警報処理に用いられる現場モデルの例を示す図である。 崩壊警報処理を示すフローチャートである。 崩壊警報処理で実行される傾斜角速度の算出処理を示すフローチャートである。 斜面の傾斜角及び傾斜角速度と斜面の変状から崩壊までの推移との関係を説明するための図である。 斜面が崩壊に至った事例における傾斜角の推移及び傾斜角速度と斜面の崩壊との関係を示す図である。 傾斜角速度に対する斜面の崩壊までの残余時間の分布を示す図である。 計測データのサンプリング周期の設定処理を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態において用いられる斜面崩壊感知装置の構成を模式的に示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1に示すように、第1実施形態による警報システム1は、監視対象の斜面Sに設置された多数の斜面崩壊感知装置(以下「感知装置」という)2と、通信基地局3、中央監視装置4及び警報装置5などで構成されている。通信基地局3は斜面Sに、中央監視装置4は斜面Sから離隔した場所に、警報装置5は斜面Sの周辺の住戸Bに近い場所に、それぞれ設置されている。これらの構成要素2〜5は、無線WLやインターネット回線INを介して順に接続されている。
図2に示す例では、感知装置2は、斜面Sを網羅するようにマトリックス状に配置されている。感知装置2の設置数及び配置は、斜面Sの状況、面積や形状などに応じて決定され、隣接する2つの感知装置2、2の間隔Sは、例えば20〜30mである。また、この斜面Sには、3つの通信基地局3と1つの雨量計16が設けられている。
図3に示すように、各感知装置2は、センサモジュール10及び無線モジュール11を備えている。センサモジュール10は、防水性のケース12に傾斜計13及び温度計14(図5参照)を内蔵したものであり、斜面Sに打ち込んだL型アングルなどから成る支柱18に固定され、地中に埋設されている。
傾斜計13は、例えばMEMS技術を利用した安価な省電力タイプのものであり、互いに直交する2軸(X軸及びY軸)回りの傾斜角(X軸傾斜角θX及びY軸傾斜角θY)を計測する。傾斜計13の精度は例えば0.0025度である。また、図2に示すように、傾斜計13は、X軸が斜面Sの主要な傾斜方向に一致し、Y軸が傾斜方向と直交する方向に一致するように設置されている。
以上の構成により、図4に示すように、感知装置12を設置した(a)初期状態から、その周囲で斜面Sに変状(変動)が発生すると(同図(b))、支柱18及びそれと一体の傾斜計13が傾動し、その傾斜角が傾斜計13によって計測される。したがって、計測された傾斜角とその変化速度である傾斜角速度は、傾斜計13の周囲における斜面Sの変状とその速度を表す。
また、図9を参照してすでに説明したように、傾斜角速度が小さいほど、斜面はより安定した状態にあり、傾斜角速度が大きいほど、斜面はより不安定で崩壊に近づいている状態を示す。したがって、傾斜計13で計測された傾斜角と傾斜角速度に基づいて、斜面Sの崩壊の危険度を評価し、崩壊を予測することが可能であり、そのような技術的観点に基づき、後述する崩壊警報処理が行われる。
温度計14は、傾斜計13の周囲の温度を計測する。計測された温度は、主として傾斜計13の計測データを補正するのに用いられる。傾斜計13及び温度計14は、ケーブル17を介して無線モジュール11内のマイコン23に接続されており(図5参照)、各計測データは、A/D変換された後、マイコン23に入力される。また、傾斜計13及び温度計14による計測データのサンプリング周期(計測間隔)Tsは、中央監視装置4からの制御信号によって制御される。
図3及び図5に示すように、無線モジュール11は、防水ボックス19に、無線通信ユニット20、メモリ21、電池22及びマイコン23などを組み込んだものであり、斜面Sに設置した支柱24に取り付けられ、地上に配置されている。無線通信ユニット20は、ユニット本体20aとアンテナ20bを有しており、マイコン23から出力され、A/D変換された計測データを通信基地局3に無線WLで送信するとともに、中央監視装置4からの制御信号を通信基地局3を介して無線WLで受信する。
メモリ21は、バックアップ用のものであり、SDメモリなどの着脱式のメモリで構成され、マイコン23から出力された計測データを記憶する。電池22は、傾斜計13や、無線通信ユニット20及びマイコン23などの電源として用いられる。マイコン23は、感知装置2全体の動作を制御するものであり、マイコンチップで構成されている。以上の構成により、感知装置2は、装置自体が安価で消費電力が小さいとともに、斜面Sへの設置も容易に行えるので、低コストで設置・維持することが可能である。
雨量計16は、斜面Sにおける降雨量Qrainを計測するものであり、その計測データは、雨量計16の付近に配置された感知装置2から、傾斜計13などの計測データとともに送信される。
通信基地局3は、感知装置2と中央監視装置4の間での計測データや制御信号の送受信を中継するものである。具体的には、各感知装置2及び雨量計16から無線WLで送信された計測データを受信するとともに、インターネット回線INを介して中央監視装置4に転送する。また、中央監視装置4からの制御信号を受信し、各感知装置2に転送する。図示しないが、通信基地局3の構成は、感知装置2の無線モジュール11と基本的に同じであり、防水ボックス内に、無線通信ユニット、メモリ、電池及びマイコンなどを一体に組み込むとともに、支柱に取り付けたものである。感知装置2や雨量計16の計測データは、中央監視装置4に転送される他、自身のマイコンに入力され、メモリに記憶される。
中央監視装置4は、警報システム1全体の動作を制御するものであり、監視サーバ6及び監視データベース7を備えている。監視データベース7は、感知装置2などから送信された計測データや監視サーバ6による演算結果などを記憶する。
監視サーバ6は、マイクロコンピュータで構成されており、雨量計16の計測データに基づき、感知装置2などの計測データのサンプリング周期を設定し、それに基づく制御信号を出力する。また、傾斜計13で計測された傾斜角に基づき、斜面Sの変状を常時、監視し、斜面Sの崩壊の危険度を評価するとともに、その結果に応じて警報を行うための崩壊警報処理を、後述するように実行する。この警報を指示するための制御信号は、中央監視装置4からインターネット回線INを介して警報装置5に送信される。
警報装置5は、斜面Sの周辺の住戸Bに近い場所に設置されており、中央監視装置4から送信された制御信号に基づき、住戸Bの住民に向けて、斜面Sの崩壊の危険度が高くなったことを警告するための警報を実行する。
以下、上述した崩壊警報処理において用いられる現場モデルについて、まず説明する。この現場モデルは、多数の傾斜計13が設置された斜面Sを複数の領域に区分するとともに、各傾斜計13及び各区分領域に対して、崩壊警報処理に必要なパラメータをあらかじめ設定したものである。例えば、図6は、図2に対応する現場モデルを示しており、この現場モデルは以下のように設定されている。
(1)全傾斜計13に通し番号nを割り当てる(n=1〜N、N:傾斜計総数)。
(2)全傾斜計13によって監視される斜面Sの範囲(全体領域)Tを定めるとともに、その面積(全体面積)A0を決定する。
(3)全体領域Tを図6の左右方向に区分し、3つの区分領域(左領域D1、中領域D2及び右領域D3)とするとともに、各区分領域の面積を決定する。
(4)これらの区分領域D1〜D3をさらに図6の上下方向に3つに区分し、計9つの細区分領域(左細区分領域D11〜D13、中細区分領域D21〜D23、及び右細区分領域D31〜D33)とするとともに、各細区分領域の面積を決定する。この場合、いずれの細区分領域においても複数の傾斜計13が含まれるようにする。
(5)傾斜計13ごとに、その傾斜計13によって監視される(監視を分担する)周囲の面積(以下「監視面積」という)Anを設定する。
この場合、図6の例では、傾斜計13がマトリックス状に間隔Sごとに配置されているため、監視面積Aは基本的にA=S×Sに設定される。また、例えば左細区分領域D11では、中央の格子点に傾斜計13が設置されていないため、その両側の傾斜計13の監視面積Aは、例えばA=1.5S×Sに設定される。いずれの場合にも、監視面積Aは、各領域に属する傾斜計13に関するものの和が、その領域の全体面積に等しくなるように設定される。
(6)傾斜計13ごとに地盤係数∂nを設定する。この地盤係数∂nは、各傾斜計13の周囲における地盤の強度を表し、特に地質・土質条件を反映するものであり、例えば、傾斜計13の周囲の地質・土質が強固で安定している条件では値1.0に設定され、地質・土質がより不安定な条件では、その度合が高いほど、値1.0を上回るより大きな値に設定される。
なお、地盤係数∂nに、傾斜計13の周囲の微地形や植生の条件を反映させてもよい。この場合、例えば、傾斜計13の周囲の地形が傾斜している条件や、植生が乏しい条件では、斜面Sがより不安定であるとして、地盤係数∂nはより大きな値に設定される。以上のように設定された現場モデルに関する各種のデータは、中央監視装置4の監視データベース7に記憶される。
次に、図7を参照しながら、崩壊警報処理について説明する。この崩壊警報処理は、感知装置2から傾斜計13による傾斜角を含む計測データが入力されるごとに、すなわち計測データのサンプリング周期Tsで、監視サーバ6において繰り返し実行される。本処理では、まずステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、すべての傾斜計13について傾斜角速度Vnを算出する。
この傾斜角速度Vnの算出は、図8に示す処理によって行われる。この処理では、まず傾斜計13の通し番号nを0にリセットした(ステップ21)後、インクリメントする(ステップ22)。
次に、傾斜計13で計測されたX軸傾斜角θXn及びY軸傾斜角θYnに基づき、X軸傾斜角速度VXn及びY軸傾斜角速度VYnを算出する(ステップ23)。具体的には、X軸傾斜角θXnの今回値θXn(i)と前回値θXn(i−1)との差を本処理の実行周期Tsで除算した値を「度/hr(時)」単位に換算することによって、X軸傾斜角速度VXnを算出する。同様に、Y軸傾斜角θYnの今回値θYn(i)と前回値θYn(i−1)との差を実行周期Tsで除算した値を「度/hr」単位に換算することによって、Y軸傾斜角速度VYnを算出する。
次に、算出したX軸傾斜角速度VXnとY軸傾斜角速度VYnを合成することによって、傾斜角速度Vnを算出する(ステップ24)。
次に、算出した傾斜角速度Vnが所定の上限値VLMT(例えば1.0度/hr)よりも大きいか否かを判別する(ステップ25)。この答えがNOで、Vn≦VLMTのときには、後述するステップ27に進む。一方、ステップ25の答えがYESで、Vn>VLMTのときには、傾斜角速度Vnが過大であり、その原因が、傾斜計13の誤作動や動物の接触などによる支柱18及び傾斜計13の転倒などである可能性があるとして、その影響を抑制するために、傾斜角速度Vnを上限値VLMTに制限し(ステップ26)、ステップ27に進む。
このステップ27では、通し番号nが傾斜計総数Nに等しいか否かを判別する。その答えがNOのときには、前記ステップ22に戻り、通し番号nをインクリメントするとともに、ステップ23以降における傾斜角速度Vnの算出を繰り返す。そして、ステップ27の答えがYESになり、すべての傾斜計13について傾斜角速度Vnの算出が完了したときに、図8の処理を終了する。
図7に戻り、ステップ2では、ステップ1で算出した傾斜角速度Vn、前述した現場モデルで設定された地盤係数∂n及び監視面積Anと全体面積A0を用い、次式(1)によって、全体危険度パラメータValarm Tを算出する。この全体危険度パラメータValarm Tは、斜面Sの全体領域Tにおける崩壊の危険度を表す。
Figure 0006773603
式(1)に示されるように、全体危険度パラメータValarm Tは、基本的に、すべての傾斜計13について各傾斜角速度Vnの絶対値|Vn|に監視面積/全体面積(=An/A0)を乗算したものの積算値であり、すなわち監視面積Anに比例する重みを加えた傾斜角速度Vn(絶対値)の加重平均値である。その次元は、傾斜角速度Vnと同様、度/hrである。このような算出方法により、全体危険度パラメータValarm Tを、傾斜角速度Vnに基づき、その個々のばらつきを適切に吸収し、かつ各傾斜計13の監視面積Anを良好に反映させながら、精度良く算出することができる。また、傾斜角速度Vnに地盤係数∂nが乗算されるので、全体危険度パラメータValarm Tには、傾斜計13の周囲における地盤強度も良好に反映される。
次に、算出した全体危険度パラメータValarm Tが所定の警報基準値VREFA(例えば0.1度/hr)よりも大きいか否かを判別する(ステップ3)。この答えがYESで、Valarm T>VREFAのときには、斜面S全体として崩壊の危険度が高くなっていると判定し、その危険状態を警告するための警報処理を実行する(ステップ4)。具体的には、監視サーバ6から警報装置5に警報を指示する制御信号が送信され、それに応じて警報装置5が作動することによって、斜面Sの周辺の住戸Bの住民に向けて警報が実行される。
前記ステップ3の答えがNOのときには、3つの区分領域(左領域D1、中領域D2及び右領域D3)を対象とする区分危険度パラメータValarm D1〜D3を、次式(2)によってそれぞれ算出する(ステップ5)。
Figure 0006773603
この式(2)は、全体危険度パラメータValarm Tの算出用の前記式(1)と基本的に同じであり、右辺のa〜bは、各区分領域内の傾斜計13に割り当てられた通し番号nに相当し、AD0は各区分領域の全体面積である。これにより、区分危険度パラメータValarm D1〜D3は、各区分領域において得られた傾斜角速度Vn、地盤係数∂n及び監視面積Anを用いて、全体危険度パラメータValarm Tと同様に算出され、したがって、それぞれの区分領域D1〜D3における崩壊の危険度を適切に表す。
次に、算出した区分危険度パラメータValarm D1〜D3が前記警報基準値VREFAよりも大きいか否かを判別する(ステップ6)。この答えがYESで、区分危険度パラメータValarm D1〜D3の少なくとも1つが警報基準値VREFAを上回ったときには、その区分領域において崩壊の危険度が局所的に高くなっていると判定し、その危険状態を警告するために警報処理を実行する(ステップ4)。
一方、前記ステップ6の答えがNOで、区分危険度パラメータValarm D1〜D3がいずれも警報基準値VREFA以下のときには、次のステップ7以降において、細区分領域を対象とする危険度パラメータの算出と崩壊の危険度の判定を同様に行う。
まず、左細区分領域D11〜D13を対象とし、その区分危険度パラメータValarm D11〜D13を前記式(2)によって算出する(ステップ7)とともに、区分危険度パラメータValarm D11〜D13が警報基準値VREFAよりも大きいか否かを判別する(ステップ8)。そして、区分危険度パラメータValarm D11〜D13の少なくとも1つが警報基準値VREFAを上回ったときには、その細区分領域において崩壊の危険度が局所的に高くなっていると判定し、その危険状態を警告するために警報処理を実行する(ステップ4)。
同様に、中細区分領域D21〜D23を対象として、区分危険度パラメータValarm D21〜D23を算出するとともに、警報基準値VREFAと比較し(ステップ9、10)、その比較結果に応じて警報処理を実行する(ステップ4)。さらに、右細区分領域D31〜D33を対象として、区分危険度パラメータValarm D31〜D33を算出するとともに、警報基準値VREFAと比較し(ステップ11、12)、その比較結果に応じて警報処理を実行し(ステップ4)、図7の崩壊警報処理を終了する。
ここで、上記の崩壊警報処理において、警報の要否の判定に用いられる警報基準値VREFAの意義について説明する。前述したように、傾斜角速度は、その値が小さいほど、斜面がより安定した状態にあり、その値が大きいほど、斜面はより不安定で崩壊に近づいている状態を示す(図9参照)。
例えば図10は、斜面が崩壊に至った事例における傾斜角(X軸傾斜角θX、Y軸傾斜角θY、それらの合成値θXY)の推移と傾斜角速度Vを示す。この例では、時刻t1で傾斜角速度V=0.083(度/hr)が計測され、その12.0時間後の時刻t2でV=0.89(度/hr)が計測されており、時刻t1から16.5時間後(時刻t2から4.5時間後)の時刻t3で、斜面が崩壊している。このように、ある傾斜角速度Vが計測されてから斜面が崩壊に至るまでの時間を「残余時間Tr」と定義し、傾斜角速度V(度/hr)と残余時間Tr(hr)の関係を整理すると、上記の例では、(V,Tr)=(0.083,16.5)(0.89,4.5)が得られており、傾斜角速度Vが大きいほど、残余時間Trがより短くなるという特性が認められる。
また、図11は、斜面が崩壊に至った上記の例を含む多数の事例について、傾斜角速度Vと残余時間Trをサンプリングし、両対数グラフにプロットしたものである。同図に示すように、残余時間Trは、傾斜角速度Vが大きいほど小さいという上記の特性を示すとともに、同一の傾斜角速度Vに対してある幅(ばらつき)をもって帯状に分布しており、この関係は次のように整理される。
・V=0.01(度/hr)→Tr=10〜300hr
・V= 0.1(度/hr)→Tr= 1〜15hr
・V= 1.0(度/hr)→Tr= 0.6〜5hr
この残余時間Trのばらつきは、斜面の地質・土質や地形、降雨状況などの相違によるものと考えられる。このため、このばらつきの範囲から、最も安全側を考慮して、残余時間Trの最小値を最短残余時間Trminとして設定するとともに、最短残余時間Trminの大きさを考慮して警戒レベルを段階的に設定すると、例えば次のようになる。警戒レベル1〜3の後のかっこ書きは、その警戒レベルに達したときに求められる対応を示す。
・V=0.01(度/hr)→Trmin= 10hr→警戒レベル1(注意)
・V= 0.1(度/hr)→Trmin= 1hr→警戒レベル2(避難準備)
・V= 1.0(度/hr)→Trmin=0.6hr→警戒レベル3(即避難)
このうち、前述した崩壊警報処理では、警戒レベル2が想定され、それに応じて警報基準値VREFAが設定されている。すなわち、警戒レベル2に相当する傾斜角速度V(=0.1(度/hr))を警報基準値VREFAとして設定するとともに、傾斜計13の計測データから算出される実際の傾斜角速度Vnの平均値に相当する全体危険度パラメータValarm Tが警報基準値VREFAを上回ったときに、警戒レベル2に達したとして、住民に避難の準備を促す内容の警報が実行される。
以上のように、本実施形態によれば、斜面Sに設置された多数の傾斜計13で計測された傾斜角に基づいてそれぞれ傾斜角速度Vnを算出し、前記式(1)により、すべての傾斜角速度Vnを平均することによって、斜面Sの全体領域Tにおける崩壊の危険度を表す全体危険度パラメータValarm Tを算出するとともに、全体危険度パラメータValarm Tが所定の警報基準値VREFAを上回ったときに警報を実行する(図7のステップ3、4)。これにより、斜面Sの面的な変状を適切に反映させながら、斜面Sの崩壊の危険度を精度良く評価できるとともに、その評価の結果に応じて安定した信頼性の高い警報を実行することができる。
また、式(1)と同様の前記式(2)により、全体領域Tを区分した3つの区分領域D1〜D3を対象として、区分危険度パラメータValarm D1〜D3を算出し、区分領域D1〜D3をさらに区分した細区分領域D11〜D33を対象として、区分危険度パラメータValarm D11〜D33を算出するとともに、これらの区分危険度パラメータValarm D1〜D3、D11〜D33の少なくとも1つが警報基準値VREFAを上回ったときに、警報を実行する(図7のステップ6、8、10、12及び4)。これにより、斜面Sが全体的に崩壊する場合に加えて、斜面Sが区分領域 D1〜D3及び細区分領域D11〜D33のいずれかにおいて局所的に崩壊する場合においても、各区分領域における危険度を精度良く評価でき、より安定した信頼性の高い警報を実行することができる。
さらに、式(1)及び(2)により、全体危険度パラメータValarm T及び区分危険度パラメータValarm Dを、それぞれの傾斜計13の監視面積Anに応じた重みを加えた傾斜角速度Vnの加重平均によって算出するので、斜面Sに傾斜計13が不規則に配置されている場合には、その影響を補償しながら、危険度パラメータを適切に算出することができる。
また、算出された傾斜角速度Vが所定の上限値VLMTを上回ったときに、その傾斜角速度Vを上限値VLMTに制限し、危険度パラメータの算出に用いるので、傾斜角速度Vの過大なばらつきなどの影響を抑制し、危険度パラメータの精度を維持することができる。
さらに、危険度パラメータを算出する際に、傾斜計13ごとに設定された地盤係数∂nが適用されるので、各傾斜計13の周囲における地盤の強度を反映させながら、危険度パラメータをより精度良く算出することができる。
次に、図12を参照しながら、傾斜計13による傾斜角などの計測データのサンプリング周期Tsを設定するサンプリング周期設定処理について説明する。この処理では、まずステップ31において、周期短縮フラグFPSが「1」であるか否かを判別する。この答えがNOのときには、雨量計16で計測された降雨量Qrainに基づき、降雨強度Irainを算出する(ステップ32)。
次に、算出した降雨強度Irainが所定値IREF(例えば20mm/hr)よりも大きいか否かを判別する(ステップ33)。この答えがNOで、斜面Sにおける降雨強度Irainが大きくないときには、周期短縮フラグFPSを「0」にセットする(ステップ34)とともに、サンプリング周期Tsを通常時用の所定の第1周期T1(例えば10分)に設定し(ステップ35)、図12の処理を終了する。
一方、前記ステップ33の答えがYESで、降雨強度Irainが大きい強雨時には、アップカウント式のタイマ値TMPSを0にセットし(ステップ36)、周期短縮フラグFPSを「1」にセットする(ステップ37)とともに、サンプリング周期Tsを第1周期T1よりも短い強雨時用の所定の第2周期T2(例えば5分)に設定し(ステップ38)、図12の処理を終了する。
上記ステップ37が実行されると、前記ステップ31の答えがYESになり、その場合にはステップ39に進み、タイマ値TMPSが所定時間TMREF(例えば1時間)以上であるか否かを判別する。この答えがNOで、サンプリング周期Tsを第2周期T2に設定した後、所定時間TMREFが経過していないときには、前記ステップ38に進み、サンプリング周期Tsを第2周期T2に維持する。一方、前記ステップ39の答えがYESで、サンプリング周期Tsを第2周期T2に設定した後、所定時間TMREFが経過したときには、前記ステップ32以降に進み、降雨強度Irainに応じて実行周期Tsを設定する。
以上の設定処理により、サンプリング周期Tsは、降雨強度Irainが所定値IREF以下のときには、通常の第1周期T1に設定され、降雨強度Irainが所定値IREFを超えたときには、強雨時用のより短い第2周期T2に設定され、その状態が所定時間TMREF、維持される。これにより、斜面Sにおける強雨によって斜面Sの安定性が低下していると推定されるときに、傾斜角に基づく傾斜角速度V及び危険度パラメータValarm の算出間隔を短縮し、その結果に基づく警報をより迅速に行うことができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図13は、第2実施形態で用いられる斜面崩壊感知装置(以下「感知装置」という)32を示す。図2との比較から明らかなように、この感知装置32は、第1実施形態の感知装置2に、地中に埋設された土壌水分計15を追加したものである。土壌水分計15は、例えば土壌中の含水率wを誘電率を介して計測するTDRタイプのもので、その精度は±3%である。
土壌水分計15は、ケーブル17を介して無線モジュール11内のマイコン23に接続されている。土壌水分計15による計測データは、A/D変換された後、マイコン23に入力されるとともに、傾斜計13の計測データとともに、無線通信ユニット20から送信される。
また、第2実施形態では、全体危険度パラメータValarm T及び区分危険度パラメータValarm Dは、それぞれ次式(3)及び(4)によって算出される。
Figure 0006773603
Figure 0006773603
ここで、式(3)(4)のWnは、各土壌水分計15で計測された土壌の含水率wに応じて設定される水分係数であり、例えば、含水率wが斜面Sの変状に影響を及ぼさない想定される所定値以下のときには、値1.0に設定され、含水率wがこの所定値を超えたときには、その度合が高いほど、値1.0を上回るより大きな値に設定される。他の構成は、第1実施形態と同様である。
したがって、本実施形態によれば、前述した第1実施形態による効果を同様に得ることができるとともに、斜面の崩壊の兆候として通常、認められる地中の含水率の上昇をさらに加味しながら、全体危険度パラメータValarm T及び区分危険度パラメータValarm Dをより精度良く算出でき、それに基づいて実行される警報の安定性及び信頼性をさらに高めることができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態で説明した傾斜計13の配置及び設置数などは、あくまで例示であり、斜面Sの状況に応じて適宜、設定することができる。このことは、現場モデルにおける領域の区分についても同様であり、実施形態で説明した以外の領域区分を行ってもよいことはもちろんである。
また、実施形態では、全体危険度パラメータValarm Tと比較される警報基準値VREFAと、区分危険度パラメータValarm Dと比較される警報基準値VREFAは、互いに同じ値に設定されているが、両者を異ならせてもよい、また、実施形態の警報基準値VREFAの値は、前述したように設定された推奨値に対応しており、適宜、変更することが可能である。
さらに、実施形態では、斜面Sの崩壊の警戒レベルとして前述した警戒レベル2を想定し、警戒レベル2に相当する警報基準値VREFAを設定するとともに、全体危険度パラメータValarm Tなどが警報基準値VREFを上回ったときに、避難を促す警報が実行される。本発明は、これに限らず実施でき、例えば、警戒レベル1〜3にそれぞれ相当する複数の基準値を設定し、全体危険度パラメータValarm Tなどがこれらの基準値を超えるごとに、警戒レベルに応じた注意喚起や警報を段階的に実行してもよい。
さらに、実施形態では、全体危険度パラメータValarm Tなどが警報基準値VREFを超えたときに、監視サーバ6から警報装置5に制御信号を送信し、これを作動させるように構成されているが、監視サーバ6から斜面Sを管理する管理事務所などに警報情報を提供し、それに応じた管理事務所などからの制御信号の送信によって、警報装置5を作動させるようにしてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
1 斜面崩壊早期警報システム
2 斜面崩壊感知装置
5 警報装置(警報手段)
6 監視サーバ(傾斜角速度算出手段、危険度パラメータ算出手段、警報手段、 傾斜角速度制限手段、降雨強度取得手段、周期変更手段)
13 傾斜計
15 土壌水分計
16 雨量計(降雨強度取得手段)
32 斜面崩壊感知装置
S 斜面
θX X軸傾斜角(傾斜角)
θY Y軸傾斜角(傾斜角)
V 傾斜角速度
Valarm T 全体危険度パラメータ(危険度パラメータ)
Valarm D 区分危険度パラメータ(危険度パラメータ)
VREFA 警報基準値
T 全体領域
D1〜D3 区分領域
D11〜D33 細区分領域(区分領域)
A 監視面積
VLMT 上限値
∂ 地盤係数
w 土壌の含水率(土壌中の水分)
W 水分係数
Irain 降雨強度
IREF 所定値
Ts サンプリング周期(傾斜角のサンプリング周期)

Claims (7)

  1. 斜面の崩壊の危険度をリアルタイムで評価し、当該危険度が高くなったときに警報を実行する斜面崩壊早期警報システムであって、
    前記斜面に設置され、当該斜面の変状を表す傾斜角を計測する多数の傾斜計と、
    当該多数の傾斜計によってそれぞれ計測された傾斜角の変化速度である多数の傾斜角速度を算出する傾斜角速度算出手段と、
    当該算出された多数の傾斜角速度の平均値を、前記斜面の崩壊の危険度を表す危険度パラメータとして算出する危険度パラメータ算出手段と、
    当該算出された危険度パラメータが所定の警報基準値に達したときに、前記警報を実行する警報手段と、
    を備えることを特徴とする斜面崩壊早期警報システム。
  2. 前記多数の傾斜計によって監視される前記斜面の範囲が全体領域として定められ、当該全体領域は複数の前記傾斜計をそれぞれ含む所定の複数の区分領域に区分されており、
    前記危険度パラメータ算出手段は、前記危険度パラメータとして、前記全体領域を対象とする全体危険度パラメータと、前記複数の区分領域をそれぞれ対象とする複数の区分危険度パラメータを算出し、
    前記警報手段は、前記全体危険度パラメータ及び前記複数の区分危険度パラメータの少なくとも1つが前記警報基準値に達したときに、前記警報を実行することを特徴とする、請求項1に記載の斜面崩壊早期警報システム。
  3. 前記傾斜計ごとに、当該傾斜計によって監視される斜面の面積である監視面積があらかじめ設定されており、
    前記危険度パラメータ算出手段は、前記多数の傾斜角速度の平均値を、前記監視面積に応じた重みを加えた加重平均によって算出することを特徴とする、請求項1又は2に記載の斜面崩壊早期警報システム。
  4. 前記傾斜角速度算出手段によって算出された傾斜角速度が所定の上限値を上回ったときに、前記危険度パラメータの算出に用いる傾斜角速度を前記上限値に制限する傾斜角速度制限手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の斜面崩壊早期警報システム。
  5. 前記傾斜計ごとに、前記傾斜計の周囲における地盤の強度を表す地盤係数があらかじめ設定されており、
    前記危険度パラメータ算出手段は、前記地盤係数にさらに応じて、前記危険度パラメータを算出することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の斜面崩壊早期警報システム。
  6. 前記傾斜計の付近に設けられ、前記斜面の土壌中の水分を計測する土壌水分計をさらに備え、
    前記危険度パラメータ算出手段は、前記計測された土壌中の水分にさらに応じて、前記危険度パラメータを算出することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の斜面崩壊早期警報システム。
  7. 前記斜面における降雨強度を取得する降雨強度取得手段と、
    前記傾斜計による傾斜角のサンプリング周期を、前記降雨強度が所定値以下のときに所定の第1周期に設定し、前記降雨強度が前記所定値を超えたときに前記第1時間よりも短い所定の第2周期に変更する周期変更手段と、
    をさらに備えることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の斜面崩壊早期警報システム。
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