以下、本発明の遊技機の一実施形態を、添付図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態は、本発明を限定するものではない。なお、以下の説明において遊技機の各部の基準となる方向は、その遊技機の正面に対面する遊技者の視点(正面視)に合わせて説明する。
(スロットマシンSの構成)
図1に示すように、本実施形態の遊技機であるスロットマシンSは、遊技媒体として、例えばメダルを投入または払出し可能であって、箱型の筐体1と、筐体1の前側の開口部を開閉可能な前扉2と、筐体1内に収容された左リール3L、中リール3C、及び右リール3R(以下、まとめてリール3L〜3Rともいう)とを備えている。リール3L〜3Rは、外周面が回転方向へ21つに区画され、当該区画された領域には複数種類の図柄(例えば、リプレイ図柄、ベル図柄、スイカ図柄、チェリー図柄、ボーナス図柄等)が予め定めた順番で配列されている。前扉2の前面には、リール3L〜3Rの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)を、前方から視認可能とする表示窓4と、表示窓4の下方にあって後述するクレジットメダル数(最大で50枚に制限)を表示するクレジット数表示器、及び入賞時の払出しメダル数を表示する払出表示器等を有する7セグメント表示器から構成される遊技情報表示部8とが設けられている。
前扉2の前面から前方へ突出する操作部OPの上面には、メダルを投入可能であって、投入されたメダルの通過によりオン状態に切り替わるメダル検出スイッチ9a(図2参照)を内蔵したメダル投入口9と、押下操作により内蔵されたベットスイッチ10a(図2参照)がオン状態に切り替わることに基づいて、後述するクレジットメダルから1回の遊技を行うためのメダルの枚数(以下、規定投入数という)を設定(以下、ベットという)可能とするベットボタン10とが設けられる。ここで、クレジットメダルとは、メダル投入口9にメダルが投入されたことに基づいて、後述するメインメモリ200に記憶されるメダル情報(メダル1枚につき1クレジット)のことである。また、操作部OPの前側垂直面には、前方に突出し押下操作により内蔵されたスタートスイッチ15a(図2参照)がオン状態に切り替わることに基づいて、リール3L〜3Rの回転を始動可能とするスタートレバー15と、リール3L〜3Rのそれぞれに対応し、押下操作により内蔵されたストップスイッチ16a(図2参照)がオン状態に切り替わることに基づいて、リール3L〜3Rの回転をそれぞれ停止可能とする左ストップボタン16L、中ストップボタン16C、及び右ストップボタン16R(以下、まとめてストップボタン16L〜16Rともいう)とが設けられる。さらには、操作部OPの下方には、メダル払出口18から払い出されたメダルを溜めておくためのメダル受皿19が設けられる。
前扉2における表示窓4の上方には、演出装置(演出手段)600(図2参照)を構成する、複数種類の動画または静止画像を表示可能な演出表示装置5と、複数種類の効果音や楽曲が出力されるスピーカ6と、複数種類の点滅パターンを有する演出ランプ7とが設けられており、遊技に係る情報の報知演出が可能となっている。
表示窓4には、左右方向に1本の入賞判定ラインLが設定されている。入賞判定ラインLは、規定投入数(例えば、3枚)のメダルが投入(設定)されることにより有効となる。入賞判定ラインL上に、役に対応する図柄の組合せが停止表示されると、入賞と判断されて当該役の入賞に対応する処理が後述のように実行される。
筐体1の内部には、リール3L〜3R及びリール3L〜3Rを回転させるための駆動源を含むリールユニット310(図2参照)と、投入されたメダルを貯留するメダル貯蔵タンク(図示省略)と、貯留しているメダルを1枚単位で払い出し可能なホッパーユニット320(図2参照)と、スロットマシンSに対して外部からの電力を供給可能な電源ユニット(図示省略)と、後述するメイン基板100と、サブ基板500(ともに図2参照)とが設けられる。メイン基板100とサブ基板500は、メイン基板100のみからの信号が送信可能な単方向通信で接続されている。
次に、図2を参照して本実施形態のスロットマシンSの制御について説明する。
(メイン基板100)
図2に示すように、メイン基板100は、遊技を統括的に制御する制御基板であって、メダル検出スイッチ9a、ベットスイッチ10a、スタートスイッチ15a、またはストップスイッチ16aからのオン信号(オン状態に切り替わった際の信号)を受信することで、遊技を進行させるための各種の演算処理を行うとともに、演算処理の結果に基づいて、リールユニット30やホッパーユニット32等の出力動作の制御を行う。
このメイン基板100の機能は、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムからなるソフトウエアを実行することにより実現される。
具体的には、図2に示すように、メイン基板100は、遊技制御手段110と、AT管理手段150と、メインメモリ200とを含んで構成される。
ここで、メインメモリ200は、本実施形態のスロットマシンSにおけるシステムプログラムが記憶されたROMと、メイン基板100で生成されるシステムプログラムで使用するフラグや演算した値等の各種データが記憶されるとともに、ワークエリアとして使用されるRAMとによって構成される。メインメモリ200は、遊技制御手段110等が処理に要する情報を格納するための記憶領域として、例えば、メインフラグ記憶手段201、AT終了判定カウンタ202が設定されるとともに、第1テーブル、第2テーブル、第3テーブル(以下、まとめて第1〜3テーブル203という)、当否抽選テーブル(第1抽選テーブル)204、回数抽選テーブル(第2抽選テーブル)206、ループ抽選テーブル(第3抽選テーブル)208等が記憶されている。
ここで、メイン基板100は、CPUが8ビットであり、ROMの記憶容量が最大16KBで、そのうちプログラム用の領域が最大4.5KB、データ用の領域が最大3KBという制限がある。また、RAMの記憶容量については最大1KBで、ワークエリアとしての使用領域が512Bという制限がある。
(遊技制御手段110)
遊技制御手段110は、遊技の進行管理を行い、規定投入数のメダルがメダル投入口9に投入されるか、または、クレジットメダルがベットされたことに基づいて、スタートレバー15への操作及び入賞判定ラインLを有効にする処理を行う。続いて、スタートレバー15の押下操作(開始操作)を契機に、遊技が開始され、リール3L〜3Rを回転制御するとともに、後述する内部抽選を実行し、リール3L〜3Rの回転速度が所定の速度まで上昇したことを条件として、ストップボタン16L〜16Rへの操作を有効化する処理を行う。続いて、ストップボタン16L〜16Rが押下操作(停止操作)されると、内部抽選の結果に応じた停止位置にリール3L〜3Rが停止するように、メインメモリ200に記憶された停止制御テーブル(図示省略)を参照等して停止制御する。そして、メインメモリ200に記憶された入賞判定テーブル(図示省略)を参照して当選した役の入賞形態を示す図柄の組合せ(以下、単に図柄組合せという)が入賞判定ラインL上に表示されたか否かを判断し、当選した役の入賞形態を示す図柄組合せが表示されたこと(遊技結果)に基づいて当該役が入賞したと判断した場合は、役の配当(役が入賞した際のメダルの払出数)に応じた枚数のメダルをホッパーユニット32に払出させる制御を行い、メダルをメダル払出口18からメダル受皿19へ払い出させて(所定の処理)遊技が終了する。
また、遊技制御手段110は、後述する役のうちリプレイが入賞したことに基づいて、遊技者が所持するメダル(クレジットメダルを含む)を投入せずに前回の遊技の際の投入数と同じ枚数分のメダルを自動的に投入状態とする自動投入処理(所定の処理)を行う。なお、ビッグボーナスについては当選、入賞を契機に後述する遊技状態を変動させる(他の遊技状態へ移行させる)制御を行う。
遊技制御手段110は、内部抽選や遊技状態等の上記処理の結果に係る情報等をコマンド信号としてサブ基板500へ送信する。
なお、本明細書において、スタートレバー15の押下操作によりリール3L〜3Rが回転してから、ストップボタン16L〜16Rの押下操作によりリール3L〜3Rが停止した結果、入賞判定ラインL上に表示された図柄組合せに基づく処理が完了するまでを単位遊技、すなわち1遊技(1ゲーム、以下単位を「G」とする)として説明する。
以下、遊技制御手段110が行う主な処理及び制御について詳説する。
(内部抽選)
遊技制御手段110は、スタートレバー15の押下操作を契機に、メイン基板100に設けられた乱数生成手段(図示省略)により生成された乱数値を取得し、取得した乱数値に基づいて、メイン基板100に設けられた複数の内部抽選テーブル(図示省略)から後述する遊技状態に応じた1の内部抽選テーブルを参照し、当該内部抽選テーブルの役に係る情報が格納されたフィールド等の値と照合して、役の当否を決定する内部抽選を行う。
参照される内部抽選テーブル(フィールド)には、上記の乱数値の範囲に対応した値(例えば、0〜65535)に対して、小役、リプレイ、ビッグボーナスなどの各種の役及びこれらの役に当選しないはずれのいずれかが対応するように設定されている。
小役には、例えば、主にベル図柄から構成された図柄組合せからなる「ベル」、少なくともリール3L上においてチェリー図柄が表示される図柄組合せからなる「チェリー」、主にスイカ図柄から構成された図柄組合せからなる「スイカ」、各図柄の適当な組合せの図柄組合せからなる複数の「特殊小役」等が設定されており、それぞれ配当や、入賞形態を示す図柄組合せの数が異なる場合があるように設定されている。また、スイカ及びチェリーは、後述するボーナス状態やAT状態等の有利遊技状態への移行抽選の第1契機役、ベル、スイカ、チェリー、後述するリプレイは、後述するAT状態中の上乗せ当否抽選の第2契機役として設定されている。
また、内部抽選テーブルには、1回の内部抽選で複数種類の小役(例えば、ベル及び特殊小役)が同時に当選するように同一の値に対して複数種類の小役が対応づけられる当選領域(フィールド)として複数種類の「打順小役」が設定されており、当選した打順小役の種類によって、ストップボタン16L〜16Rの押し順に応じて入賞する役が異なるよう(例えば、ベルまたは特殊小役のいずれか一方が入賞するよう)に設定されている。
また、リプレイとして、リプレイA〜Dが設定されている。
また、内部抽選テーブルには、1回の内部抽選で複数種類のリプレイが同時に当選するように同一の値に対して複数種類のリプレイが対応づけられる当選領域として複数種類の「打順リプレイ」が設定されており、当選した打順リプレイの種類によって、ストップボタン16L〜16Rの押し順に応じて入賞するリプレイが異なるように(リプレイA〜Dのいずれか一つが入賞するように)設定されている。
内部抽選テーブルは、後述する遊技状態(通常状態、ボーナス内部状態、及びボーナス状態)に応じて複数設定されており、通常状態に対応する内部抽選テーブルXには、ビッグボーナスが抽選対象として設定されているが、ボーナス内部状態に対応する内部抽選テーブルY及びボーナス状態に対応する内部抽選テーブルZには、ビッグボーナスが抽選対象から除外されている。
さらに、内部抽選テーブルX、Yには、複数種類の打順小役がそれぞれ当選する場合や打順リプレイが当選する場合があるように、また、内部抽選テーブルZにはベル(当該ベルは、打順小役で同時当選するベルとは異なる)が単独で当選する場合があるように、また、内部抽選テーブルX、Y、Zには、スイカまたはチェリーがそれぞれ単独で当選する場合があるように、各役に対してそれぞれの値が設定される。なお、リプレイの設定状態については、後述するリプレイの抽選状態の説明の際に説明する。
(リール制御処理)
遊技制御手段110は、リール3L〜3Rの回転及び停止を制御するリール制御処理を行う。
リール制御処理は、主にスタートレバー15の押下操作に基づいて、リール3L〜3Rを回転させるリール回転制御と、ストップボタン16L〜16Rの押下操作に基づいてリール3L〜3Rを、内部抽選の結果に応じた態様で停止させるリール停止制御とを行うことで、リール3L〜3Rに付された図柄を変動、停止させる。
本実施形態のスロットマシンSでは、遊技制御手段110は、打順小役や打順リプレイが当選した際、リール停止制御を適宜行うことにより、ストップボタン16L〜16Rの押し順、換言するとリール3L〜3Rの停止操作順序に応じて、リール(図柄)の停止位置を決定して入賞する役が異なるように制御している。
ここで、打順小役には、予め正解押し順と不正解押し順とがそれぞれ設定されており、内部抽選で、打順小役に当選した際、正解押し順でストップボタン16L〜16Rが押下操作された場合には、ストップボタン16L〜16Rの押下タイミングに関わらずベルが入賞するようにリール3L〜3Rが停止制御され、不正解押し順でストップボタン16L〜16Rが押下操作された場合には、ストップボタン16L〜16Rの押下タイミングに関わらず特殊小役が入賞するようにリール3L〜3Rが停止制御される。
なお、ベルは、特殊小役よりも配当が多く設定されているため、遊技者は、打順小役当選時に正解押し順で操作することによって、不正解押し順で操作した場合よりもメダルを多く獲得することができるようになっている。また、特殊小役の入賞に基づいて、後述するリプレイの抽選状態が、リプレイ高確率状態からリプレイ低確率状態へ転落するようにもなっている。
一方、打順リプレイには、打順小役のような正解押し順等が設定されていないが、ストップボタン16L〜16Rの押し順に応じて、遊技状態の変動に影響を及ぼすことがないリプレイA及びBや、後述するリプレイの抽選状態がリプレイ高確率状態からリプレイ低確率状態へ転落する契機となるリプレイCや、同じくリプレイ低確率状態からリプレイ高確率状態へ昇格する契機となるリプレイDが、ストップボタン16L〜16Rの押下タイミングに関わらず入賞するようにリール3L〜3Rが停止制御される。
(遊技状態移行制御)
遊技制御手段110は、所定の移行条件の成立に基づいて、通常状態、ボーナス内部状態、及びボーナス状態の間でそれぞれ遊技状態を移行させる(開始させ、終了させる)遊技状態移行制御を行う。
図3に示すように、遊技状態移行制御は、通常状態を初期状態として、通常状態において内部抽選によるビッグボーナスの当選を契機にボーナス内部状態へ移行させ、さらに、ビッグボーナスの入賞を契機にボーナス状態へ移行させ、ボーナス状態においてメダルの払出数の合計が予め定められた所定枚数(例えば、200枚)を超えたことを契機としてボーナス状態を終了させて、通常状態へ移行させる制御を行う。
ここで、各遊技状態では、リプレイの当選確率がそれぞれ異なるように、対応する各内部抽選テーブルX、Y、Zにおいてそれぞれリプレイの抽選状態が設定されている。
通常状態は、リプレイ低確率状態(リプレイの当選確率が例えば1/7.3)とリプレイ高確率状態(リプレイの当選確率が例えば1/1.5)との間で互いに移行可能に設定されている。ボーナス内部状態は、リプレイ中確率状態(リプレイの当選確率が例えば1/3.7)、ボーナス状態は、リプレイ無抽選状態(リプレイを抽選対象から除外)がそれぞれ設定されている。
遊技制御手段110は、通常状態におけるリプレイ低確率状態においてリプレイDの入賞を契機に、リプレイ高確率状態に設定し、リプレイ高確率状態においてリプレイCまたは特殊小役の入賞を契機に、リプレイ低確率状態に設定する。
なお、遊技制御手段110は、メインメモリ200に設定されたメインフラグ記憶手段201に、遊技状態やリプレイの抽選状態に対応するフラグを設定または消去(以下、クリアともいう)することによって、各遊技状態または各リプレイの抽選状態を移行(設定)するような制御を行っており、これに付随して各遊技状態において参照される内部抽選テーブルX、Y、Zが設定される。
(AT管理手段150)
AT管理手段(有利遊技管理手段)150は、AT状態(有利遊技状態)、及びAT状態での遊技(以下、AT遊技(有利遊技)ともいう)に係る管理を行う。
ここで、AT状態とは、図3に示すように、通常状態において非AT状態とともに予め設定された選択可能な遊技状態であって、役の当選確率が通常状態と同じであり、打順小役や打順リプレイが当選した遊技において、後述する演出制御手段510が、AT管理手段150(メイン基板100)からのコマンド信号に基づいて、所定の役(ベルやリプレイD)の入賞を容易とするように補助する特別演出(後述する第1特別演出、第2特別演出)を演出装置600、例えば、演出表示装置5やスピーカ6、または演出ランプ7等に実行させる状態をいう。
AT状態では、特別演出が実行されることによって、後述するように、内部抽選で打順小役が当選した場合には、特殊小役(リプレイ低確率状態への転落契機役であり相対的に配当が少ない役)を入賞させずに、相対的に配当が多いベルを入賞させることが容易となり、打順リプレイに当選した場合には、リプレイ高確率状態への昇格契機役であるリプレイDや、リプレイの抽選状態に影響を与えないリプレイAまたはBを入賞させることが容易となるため、リプレイ高確率状態へ昇格させることが容易となり、かつ、リプレイ低確率状態への転落契機役であるリプレイCを入賞させることなく、一旦移行したリプレイ高確率状態を維持することが容易となることから、メダルを消費し難く、かつメダルを獲得し易い遊技者に有利な遊技(有利遊技)となっている。このように、AT状態が設定され、かつリプレイの抽選状態がリプレイ高確率状態に設定された状態をアシストリプレイタイム(ART)状態という(図3参照)。
AT管理手段150は、メインメモリ200のメインフラグ記憶手段201に対するATフラグの設定及び解除により、AT状態及び非AT状態の切替え(AT状態の開始及び終了)を行う。
AT管理手段150は、非AT状態(例えば、通常状態やボーナス状態)において、内部抽選で第1契機役であるスイカまたはチェリーが当選したことに基づいて、非AT状態からAT状態へ移行させる(当選)か否(非当選、またははずれ)かを決定するためのAT抽選を行う。
AT管理手段150は、AT抽選に当選したことを契機にATフラグを設定してAT状態へ移行させ、その後、リプレイ高確率状態となってART状態へ移行したことに基づいて、メインメモリ200に記憶されたAT終了判定カウンタ202のカウント値に所定の加算値(例えば「50」)を設定する処理を行い、AT遊技を開始する。
AT管理手段150は、AT遊技が行われる毎にAT終了判定カウンタ202のカウント値をデクリメントするデクリメント処理を行い、デクリメント処理の結果、AT終了判定カウンタ202のカウント値が「0」に達したことに基づいて、ATフラグを消去して非AT状態としてAT遊技を終了させる。換言すると、例えば、本実施形態のAT遊技は、50ゲームを1セットとして管理されるものであるが、この場合、カウント値「50」の全てに対するデクリメント処理が実行されることが、AT遊技の終了条件となる。すなわち、AT遊技の遊技回数が後述する上乗せ処理等により増加(変動)した場合等には、AT遊技の終了条件が変動することとなる。例えば、上乗せ処理によりカウント値「30」が加算されて、カウント値が「80」となった場合は、カウント値「80」の全てに対するデクリメント処理が実行されることが、AT遊技の終了条件となる。
AT管理手段150は、デクリメント処理をAT状態とリプレイ高確率状態とが重畳的に設定された状態(ART状態)となった次の遊技(AT遊技の開始ゲーム)から開始する。
なお、AT管理手段150は、AT状態においてビッグボーナスが入賞した場合にもAT状態を終了させる。この場合、AT管理手段150は、AT終了判定カウンタ202の値をリセットしても、AT終了判定カウンタ202の値を持ち越すようにして、ビッグボーナス終了後に再びAT状態に設定してAT遊技を開始させて、残りのカウント値分の遊技回数を消化させるようにしてもよい。
AT管理手段150は、AT遊技において最初にデクリメント処理を行う遊技を、AT遊技の開始ゲームと判断し、当該開始ゲームにおいて後述する上乗せ処理に必要な初期パラメータのレベルを設定する初期パラメータ設定処理を行う。
AT管理手段150は、AT遊技(またはAT遊技前のAT状態)において、AT終了判定カウンタ202のカウント値に継続遊技として所定の値を加算(以下、上乗せという)するための上乗せ処理として、AT遊技(継続遊技)を上乗せするか否かを決定するための上乗せ当否抽選、上乗せ当否抽選の当選(以下、上乗せの初当りともいう)に基づいて、上乗せする遊技回数(以下、上乗せ遊技回数(継続遊技回数)ともいう)を決定するための上乗せ遊技回数抽選、当該上乗せ遊技回数抽選の結果、決定した上乗せ遊技回数に対応する値をAT終了判定カウンタ202のカウント値に加算する加算処理、及び後述する所定の繰返し率に基づく当選を契機に、上乗せ当否抽選の当選を経ずに上乗せ遊技回数抽選を実行させるための上乗せループ抽選(ループ抽選)を行う。
本実施形態のスロットマシンSには、これらの上乗せ当否抽選、上乗せ遊技回数抽選及び上乗せループ抽選に係る有利度(確率)に影響を与えるパラメータが複数種類、かつ複数段階(以下レベルという)で設定されている。
図4に示すように、これらのパラメータは、上記各抽選(上乗せ当否抽選、上乗せ遊技回数抽選及び上乗せループ抽選)の有利度に直接影響を与え得るPパラメータppと、Pパラメータppのレベルを決定する際の有利度に影響を与え得るSパラメータspとに大別される。すなわち、これらのパラメータは、AT遊技の継続遊技回数を増加させ易くするようにして、AT遊技の終了条件の変動(遊技を継続するための変動)に影響を与える。
Pパラメータppは、上乗せ当否抽選の「当選確率」(上乗せ初当り)に影響を与える当否パラメータ(第1パラメータ)pp1と、上乗せ遊技回数抽選の「上乗せ遊技回数の当選確率」に影響を与える回数パラメータ(第2パラメータ)pp2と、上乗せループ抽選の「当選確率(繰返し率)」に影響を与えるループパラメータ(第3パラメータ)pp3とを含み、そのうち当否パラメータpp1及び回数パラメータpp2は、例えば、レベル1〜4の4段階で構成され、ループパラメータpp3は、例えば、レベル1〜3の3段階で構成されている。
Sパラメータspは、Pパラメータppである回数パラメータpp2のレベルを決定する際に影響を与える回数レベルパラメータsp1と、同じくループパラメータpp3のレベルを決定する際に影響を与えるループレベルパラメータsp2とを含み、回数レベルパラメータsp1及びループレベルパラメータsp2は、例えば、レベル1〜4の4段階で構成される。
なお、Pパラメータpp及びSパラメータspは、高い値ほど関与する対象に対して良い影響を与え易いように設定されている。
AT管理手段150は、AT遊技の開始を契機に、初期パラメータ設定処理(レベル決定処理)として、メインメモリ200に記憶され、図5(a)に示す第1テーブルを参照して当否パラメータpp1のレベルを決定するための当否パラメータ抽選、同じく図5(b)に示す第2テーブルを参照して、回数レベルパラメータsp1のレベルを決定するための回数レベルパラメータ抽選、同じく図5(c)に示す第3テーブルを参照して、ループレベルパラメータsp2のレベルを決定するためのループレベルパラメータ抽選をそれぞれ行う。当否パラメータpp1、回数レベルパラメータsp1及びループレベルパラメータsp2の各レベルは、AT遊技が終了するまで維持される。なお、当否パラメータpp1、回数レベルパラメータsp1、及びループレベルパラメータsp2を初期パラメータともいう。
図5(a)〜(c)に示すように、第1〜第3テーブル203には、それぞれのパラメータのレベルとその当選確率が共通の値となるように、例えば、各パラメータのレベル1の当選確率が「50%」、レベル2が「30%」、レベル3が「15%」、レベル4が「5%」となるように設定されている。
AT管理手段150は、第2契機役の当選を契機に、当否パラメータ抽選によりレベルが決定(選択)された当否パラメータpp1に基づいて、上乗せ当否抽選を、図6に示す当否抽選テーブル204を参照して行う。換言すると、AT管理手段150は、当否抽選テーブル204において、当否パラメータpp1のレベルに応じて限定された抽選領域を参照して上乗せ当否抽選を行う。
図6に示すように、当否抽選テーブル204には、当否パラメータpp1の各レベルに対して、第2契機役が当選した際の上乗せ当否抽選の当選確率がそれぞれ設定されている。例えば、第2契機役であるリプレイ、ベル、スイカ、チェリーに当選した際の上乗せ当否抽選の当選確率が、当否パラメータpp1のレベル1〜4に応じて設定されている。
具体的には、図6に示すように、上乗せ当否抽選の当選確率は、当否パラメータpp1がレベル1においては、リプレイ及びベルが当選した場合は「0%」、スイカが当選した場合は「10%」、チェリーが当選した場合は「50%」、同じくレベル2においては、リプレイが当選した場合は「0%」、ベルが当選した場合は「1%」、スイカが当選した場合は「15%」、チェリーが当選した場合は「60%」、同じくレベル3においては、リプレイが当選した場合は「1%」、ベルが当選した場合は「3%」、スイカが当選した場合は「20%」、チェリーが当選した場合は「70%」、また、同じくレベル4においては、リプレイが当選した場合は「3%」、ベルが当選した場合は「5%」、スイカが当選した場合は「25%」、チェリーが当選した場合は「80%」となるようにそれぞれ設定されている。
このように、上乗せ当否抽選は、いずれの第2契機役が当選した場合であっても、設定された当否パラメータpp1のレベルが高い方が低い場合よりも当選確率が優遇される。
AT管理手段150は、上乗せ当否抽選の当選を契機に、回数パラメータpp2のレベルを決定するための回数パラメータ抽選(レベル決定処理)を、AT遊技開始時にレベルが決定(選択)された回数レベルパラメータsp1に基づいて、図7に示す回数レベルテーブル205を参照して行う。
回数レベルテーブル205には、回数レベルパラメータsp1の各レベルに対して、各レベルの回数パラメータpp2の当選確率がそれぞれ設定されている。
具体的には、図7に示すように、回数パラメータpp2の各レベルの当選確率は、回数レベルパラメータsp1がレベル1の場合には、レベル1が「90%」、レベル2が「6%」、レベル3が「3%」、レベル4が「1%」、回数レベルパラメータsp1がレベル2の場合には、レベル1が「50%」、レベル2が「35%」、レベル3が「10%」、レベル4が「5%」、回数レベルパラメータsp1がレベル3の場合には、レベル1が「0%」、レベル2が「50%」、レベル3が「35%」、レベル4が「15%」、また、回数レベルパラメータsp1がレベル4の場合には、レベル1及び2が「0%」、レベル3及び4が「50%」となるようにそれぞれ設定されている。
さらに、AT管理手段150は、回数パラメータpp2のレベルを決定したことを契機に、上乗せ遊技回数抽選を、レベルが決定(選択)された回数パラメータpp2に基づいて、図8に示す回数抽選テーブル206を参照して行う。換言すると、AT管理手段150は、回数抽選テーブル206において、回数パラメータpp2のレベルに応じて限定された抽選領域を参照して上乗せ遊技回数抽選を行う。
図8に示すように、回数抽選テーブル206には、回数パラメータpp2の各レベルに対して、段階的(例えば5段階)に設定された上乗せ遊技回数(例えば10、20、30、50、100)に対する当選確率がそれぞれ設定されている。
具体的には、図8に示すように、回数パラメータpp2がレベル1の場合には、上乗せ遊技回数として10Gが当選する確率が「85%」、20Gが「12%」、30G、50G、100Gが「1%」となるように設定され、回数パラメータpp2がレベル2の場合には、上乗せ遊技回数として10Gが当選する確率が「50%」、20Gが「25%」、30Gが「23%」、50G及び100Gが「1%」となるように設定され、回数パラメータpp2がレベル3の場合には、上乗せ遊技回数として10Gが当選する確率が「35%」、20Gが「30%」、30Gが「25%」、50G及び100Gが「5%」となるように設定され、また、回数パラメータpp2がレベル4の場合には、上乗せ遊技回数として10Gが当選する確率が「0%」、20Gが「50%」、30Gが「30%」、50G及び100Gが「10%」となるようにそれぞれ設定されている。
このように、上乗せ遊技回数抽選は、設定された回数パラメータpp2のレベルが高い方が低い場合よりも上乗せ遊技回数が多いものに対する当選確率が優遇される。
回数パラメータ抽選は、上乗せ当否抽選が実行される度に行われるため、その度に回数パラメータpp2が毎回変化する可能性がある。このように変化する回数パラメータpp2の影響を受けて、上乗せ遊技回数抽選の結果が大きく変化する場合があるため、遊技者は抽選毎に大量上乗せの期待を込めて遊技を行うことができ、遊技の興趣の向上を図ることができる。
AT管理手段150は、上乗せ当否抽選の当選を契機に、ループパラメータpp3のレベルを決定するためのループパラメータ抽選(レベル決定処理)を、AT遊技開始時にレベルが決定(選択)されたループレベルパラメータsp2に基づいて、図9に示すループレベルテーブル207を参照して行う。
ループレベルテーブル207には、ループレベルパラメータsp2の各レベルに対して、各レベルのループパラメータpp3の当選確率がそれぞれ設定されている。
具体的には、図9に示すように、ループレベルパラメータsp2がレベル1の場合には、ループパラメータpp3のレベル1が当選する確率が「95%」、レベル2が「4%」、レベル3が「1%」となるように設定され、ループレベルパラメータsp2がレベル2の場合には、ループパラメータpp3のレベル2が当選する確率が「90%」、レベル2が「9%」、レベル3が「1%」となるように設定され、ループレベルパラメータsp2がレベル3の場合には、ループパラメータpp3のレベル3が当選する確率が「85%」、レベル2が「12%」、レベル3が「3%」となるように設定され、ループレベルパラメータsp2がレベル4の場合には、ループパラメータpp3のレベル4が当選する確率が「80%」、レベル2が「15%」、レベル3が「5%」となるようにそれぞれ設定されている。
さらに、AT管理手段150は、ループパラメータpp3のレベルを決定したことを契機に、上乗せループ抽選を、レベルが決定(選択)されたループパラメータpp3に基づいて、図10に示すループ抽選テーブル208を参照して行う。換言すると、AT管理手段150は、ループ抽選テーブル208において、ループパラメータpp3のレベルに応じて限定された抽選領域を参照して上乗せループ抽選を行う。
上乗せループ抽選は、抽選結果がはずれとならない限り、繰返し行われる。
図10に示すように、ループ抽選テーブル208には、複数段階(例えば3段階)に設定されたループパラメータpp3の各レベルに対して、上乗せループ抽選の当選確率、換言すると、上乗せ当否抽選の当選を経ずに再び実行される上乗せ遊技回数抽選の実行確率(繰返し率)が設定されている。
具体的には、図10に示すように、ループパラメータpp3がレベル1の場合には、上乗せループ抽選が当選する確率が「1%」、ループパラメータpp3がレベル2の場合には、上乗せループ抽選が当選する確率が「80%」、また、ループパラメータpp3がレベル3の場合には、上乗せループ抽選が当選する確率が「90%」となるようにそれぞれ設定されている。
ここで、従前のスロットマシンでは、サブ基板がAT状態の管理を行っていたが、本実施形態のスロットマシンSを含む近年のスロットマシンにおいては、メイン基板がAT状態の管理を行うようになっている。
スロットマシンは、メイン基板よりもサブ基板の記憶領域に余裕があるため、従前のスロットマシンでは、記憶領域を考慮することなくAT状態に係るテーブル等の設計を行うことができたが、上述のように記憶領域が小さいメイン基板によりAT状態を管理する近年のスロットマシンにおいて、従来のサブ基板のテーブル設計を採用してしまうと、メイン基板の記憶領域を逼迫させてしまう虞がある。
具体的には、例えば、本実施形態における上乗せ当否抽選の当選確率、上乗せ遊技回数抽選の上乗せ遊技回数の当選確率や上乗せループ抽選の当選確率を、それぞれ第2契機役(4種類)に応じて、複数パラメータのレベル(4段階)ごとに設定した複数のテーブルを設けることもできるが、その分フィールド数が増加してしまい、メイン基板の記憶領域を逼迫させてしまう虞がある。
そこで、本実施形態のスロットマシンSでは、上記のようなテーブル構成とすることによって、上乗せ当否抽選に使用する当否抽選テーブル204のみに複数種類の第2契機役を採用して、各第2契機役とパラメータのレベルとにより上乗せ当否抽選の当選確率を設定し、その他の抽選テーブル(第1〜3テーブル203、回数抽選テーブル206、ループ抽選テーブル208等)は、第2契機役を除外して、パラメータのレベルによってのみ、当選確率を設定している。
これにより、その他の抽選テーブルをシンプルに構成することができ、第2契機役に係る情報を格納するためのフィールドを設ける必要がないため、これらのテーブルを記憶するメイン基板100のメインメモリ200の記憶領域の使用を抑制することができる。
AT管理手段150は、上乗せループ抽選に当選した場合に、メインフラグ記憶手段201にループ当選フラグを設定し、上乗せループ抽選にはずれた場合に、メインフラグ記憶手段201に設定されているループ当選フラグを削除する。
AT管理手段150は、ループ当選フラグが設定されているか否かを判断し、ループ当選フラグが設定されていると判断した場合は、上乗せ当否抽選に当選したものとみなして、初期パラメータ設定処理及び上乗せ当否抽選をスキップして、回数パラメータ抽選以降の一連の処理(回数パラメータ抽選、上乗せ遊技回数抽選、加算処理等)を行う。一方、AT管理手段150は、ループ当選フラグが設定されていないと判断した場合に、さらに初期パラメータのレベルの設定の有無を判断し、初期パラメータのレベルが設定されていないと判断した場合は、上乗せ処理の最初の処理(初期パラメータ設定処理)から実行し、同じく、初期パラメータのレベルが設定されていると判断した場合は、初期パラメータ設定処理をスキップして、内部抽選による第2契機役の当選に基づく上乗せ当否抽選から実行する。
ループパラメータpp3は、一度設定されると、上乗せループ抽選の結果がはずれとならない限り維持されるため、例えば、レベル2または3が選択された場合は、高確率で回数パラメータ抽選以降の上乗せ処理が繰り返されることとなるため、遊技者に大量上乗せの機会を付与することができる。
AT管理手段150は、後述する演出制御手段510がAT状態に係る演出を行うために必要なコマンド信号を適時にサブ基板500へ送信する。
(演出処理)
次に、本実施形態のスロットマシンSの演出処理について説明する。演出全般の制御はサブ基板500が担当する。サブ基板500の機能は、メイン基板100と同様、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムからなるソフトウエアを実行することにより実現される。
(サブ基板500)
サブ基板500は、メイン基板100からのコマンド信号の入力に基づいて、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算処理を行い、演算処理の結果に基づいて、演出装置600(図2参照)による演出等の出力動作の制御を行う。
具体的に、図2に示すように、サブ基板500は、演出制御手段510と、サブメモリ590とを含んで構成されている。
ここで、サブメモリ590は、本実施形態のスロットマシンSにおける演出に係るプログラムが記憶されたROMと、サブ基板500で生成される演出に係るプログラムで使用するフラグや演算した値等の各種データが記憶されるとともに、ワークエリアとして使用されるRAMとによって構成される。具体的に、サブメモリ590は、サブ基板500に設けられた各手段がそれぞれの処理に要する情報や、処理の結果に係る情報等を記憶するためのテーブル等が記憶されている。
(演出制御手段510)
演出制御手段510は、遊技の進行状況に合わせて演出を実行するために、所定の契機で複数種類の演出状態から遊技状態に応じた演出状態を設定する演出状態設定(移行)処理を行う。
例えば、演出状態として、通常状態に対応する通常演出状態と、ボーナス内部状態に対応するボーナス当選演出状態と、ボーナス状態に対応するボーナス演出状態と、AT状態に対応するAT演出状態等がそれぞれ設定されている。演出制御手段510は、メイン基板100からの遊技状態等に係るコマンド信号に基づいて対応する演出状態を設定する。
なお、演出制御手段510は、サブメモリ590に設定されたサブフラグ記憶手段(図示省略)に、演出状態に対応するフラグを設定または消去することによって、演出状態を移行(設定)する制御を行う。
演出制御手段510は、メイン基板100からの役の当選や入賞等に係るコマンド信号、及び演出状態に基づいて、演出データが記憶されているサブメモリ590の演出データ記憶領域(図示省略)を参照し、演出装置600の一つである演出表示装置5を介して行う表示演出、スピーカ6を介して行う音響演出、または演出ランプ7等を介して行う照明演出に係る演出制御を行う。
例えば、演出状態が通常演出状態の場合、演出制御手段510は、本実施形態のスロットマシンSのキャラクタ等を用いた一般的な演出を行う。例えば、リプレイや小役の当選を示唆する演出や、ビッグボーナスの当選またはAT状態への移行の可能性を、数ゲームに亘って示唆する前兆演出や、当該前兆演出と連続して行われ、ボーナスの当選の有無やAT抽選の結果を表示する結果演出を実行する制御を行う。
演出状態がボーナス当選演出状態の場合、演出制御手段510は、通常演出状態とは異なる特別な演出態様で、ビッグボーナスが入賞するまで継続的にビッグボーナスの当選を報知し、演出状態がボーナス演出状態の場合、通常演出状態とは異なる特別な演出態様で小役の当選等を報知する演出を実行する制御を行う。
演出状態がAT演出状態の場合、演出制御手段510は、複数の役が当選した遊技で所定の役の入賞を容易とするように補助する特別演出(後述する第1特別演出、第2特別演出)を演出表示装置5やスピーカ6、または演出ランプ7等に実行させる制御を行う。また、通常演出状態と同様、特別演出以外にもリプレイ、小役またはビッグボーナスの当選を示唆する演出や、それらの当選の可能性を示唆する演出等を実行する制御を行う。
例えば、AT演出状態では、演出制御手段510は、内部抽選で複数の打順小役のうちいずれかの打順小役が当選すると、ベルを入賞させることができるストップボタン16L〜16Rの押し順(正解押し順)を報知する第1特別演出を演出表示装置5やスピーカ6、または演出ランプ7等に実行させる制御を行う。第1特別演出としては、種々の演出を採用することができ、例えば、ベルを入賞させるための正解押し順を報知する演出画像を演出表示装置5に表示させたり、同じく正解押し順を報知するためにリール3L〜3Rの下方に設けたランプ(図示省略)を点灯させたり、同じく正解押し順を報知する音声をスピーカ6から出力させたりすることができる。
また、AT演出状態では、演出制御手段510は、内部抽選で複数の打順リプレイのうちいずれかの打順リプレイが当選すると、リプレイA、BまたはDを入賞させることができるストップボタン16L〜16Rの押し順を報知する第2特別演出を演出表示装置5やスピーカ6、または演出ランプ7等に実行させる制御を行う。なお、第2特別演出としては、上記のリプレイA、B、またはDを入賞させるため、第1特別演出と同様、種々の演出を採用することができる。
また、AT演出状態では、演出制御手段510は、上乗せ処理において、上乗せ抽選に当選した旨、上乗せ遊技回数、上乗せループ抽選に当選した旨を演出表示装置5に表示させる制御を行う。
ここで演出態様としては、上乗せる遊技回数や上乗せループ抽選に当選した旨の演出を即時に報知するだけでなく、当選した遊技から数ゲーム後に報知したり、当選した上乗せ遊技回数をAT遊技の最終遊技でまとめて報知するようにしてもよい。
(上乗せ処理フロー)
まず、図11を参照して、上乗せ処理の流れの概要を説明する。
図11に示すように、上乗せ処理は第1ステップから第4ステップの4ステップで構成される。
AT遊技の開始を契機に行われる第1ステップでは初期パラメータ設定処理として、AT管理手段150が、初期パラメータを設定するために、当否パラメータ抽選、回数レベルパラメータ抽選、ループレベルパラメータ抽選を行う。
第2契機役の当選を契機に行われる第2ステップでは、AT管理手段150が、第1ステップでレベルを決定した当否パラメータpp1に基づいて上乗せ当否抽選を行い、当選した場合にはステップ3の処理に進む。
上乗せ当否抽選の当選を契機に行われる第3ステップでは、AT管理手段150が、第1ステップでレベルを決定した回数レベルパラメータsp1に基づいて回数パラメータ抽選を行い、当該回数パラメータ抽選でレベルを決定した回数パラメータpp2に基づいて上乗せ遊技回数抽選を行って上乗せ遊技回数を決定し、決定した回数(値)分の上乗せ遊技の加算処理が行われる。
また、AT管理手段150は、同じく第1ステップでレベルを決定したループレベルパラメータsp2に基づいてループパラメータ抽選を行い、当該ループパラメータ抽選でレベルを決定したループパラメータpp3に基づいて上乗せループ抽選を行い、上乗せループ抽選に当選した場合にはステップ4の処理に進む。
上乗せループ抽選の当選を契機に行われる第4ステップでは、上乗せループ抽選の当選後の遊技において、上乗せ当否抽選の当選を経ずに、回数パラメータ抽選を行い、レベルが決定された回数パラメータpp2に基づいて上乗せ遊技回数抽選を行う。加算処理後、再び上乗せループ抽選が行われ、上乗せループ抽選の当選が継続する限り第4ステップの処理が繰返し行われ、上乗せループ抽選にはずれると、第4ステップの処理が終了する。
第4ステップは、上乗せ当否抽選が処理から除外され、必ず上乗せ処理が行われる特別に有利な遊技状態となっている。
次に、図12〜14を参照して、上乗せ処理の具体的な流れを説明する。
図12に示すように、スタートスイッチ15aがON状態となって(S100でYES)、遊技が開始されたことを契機に、遊技制御手段110は内部抽選を行う(S110)。一方、ステップS100の処理において、スタートスイッチ15aのON状態が認められない場合には(S100でNO)、当該処理を繰返し行う。
ステップS110の処理後に、AT管理手段150は、AT状態か否かを判定するために、ATフラグの設定の有無を判断し、ATフラグが設定中であって(S130でYES)、当該遊技がAT遊技の開始ゲームと判断した場合は(S140でYES)、初期パラメータのレベルを決定するための初期パラメータ設定処理(S150)を行う。一方、ATフラグが設定中でなければ(S130でNO)、以降の全ての処理をスキップして終了する。
図14に示すように、S150における初期パラメータ設定処理が開始されると、AT管理手段150は、当否パラメータ抽選を行い(S152)、当否パラメータpp1のレベルを決定し、回数レベルパラメータ抽選を行い(S154)、回数レベルパラメータsp1のレベルを決定し、ループレベルパラメータ抽選を行い(S156)、ループレベルパラメータsp2のレベルを決定して初期パラメータ設定処理を終了する。ここで決定された初期パラメータのレベルは、AT遊技が終了されるまで維持される。なお、初期パラメータ設定処理における各抽選の順番については上記の内容に限定されず、いずれの抽選を最初または最後に行うようにしてもよい。
図12に戻ると、ステップS150の処理後に、ステップS110の内部抽選の結果、第2契機役であるリプレイ、ベル、スイカ、チェリーのいずれかが当選したと判断した場合(S160でYES)、前述のステップS152でレベルを決定した当否パラメータpp1に基づいて上乗せ当否抽選を行い(S170)、上乗せ当否抽選に当選した場合(S180でYES)、図13に示すステップS190に移行する。また、第2契機役に当選しなかったと判断した場合(S160でNO)、または、第2契機役に当選したが(S160でYES)、上乗せ当否抽選に当選しなかった場合には(S180でNO)、図13に示すステップS295の処理に進む。
一方、当該遊技がAT遊技の開始ゲームではないと判断した場合であって(S140でNO)、ループ当選フラグが設定中でなければ(S145でNO)、ステップS150の処理をスキップしてステップS160の処理に進む。また、ループ当選フラグが設定中であれば(S145でYES)、図13に示すステップ190の処理に進む。
図13に示すように、ステップS190では、前述のステップS154でレベルを決定した回数レベルパラメータsp1に基づいて、回数パラメータ抽選を行う。続いて、ステップS190においてレベルを決定した回数パラメータpp2に基づいて、上乗せ遊技回数抽選を行う(S200)。さらに、AT管理手段150は、ステップS200において抽選により決定された上乗せ遊技回数をAT遊技回数に加算する加算処理を行い(S210)、回数パラメータpp2のレベルの初期化を行う(S220)。
上乗せ当否抽選に当選する度にステップS190〜S220の処理を行うことによって、回数パラメータpp2が変化し易くなっており、それに伴って抽選結果において加算される上乗せ遊技回数が変動し易くなっている。
次に、図13に示すように、AT管理手段150は、上乗せループ抽選を実行するに際して、まず、ループパラメータpp3のレベルが設定中か否かを判断し、ループパラメータpp3のレベルが設定中でなければ(S230でNO)、ステップ240に移行して前述のステップS156でレベルを決定したループレベルパラメータsp2に基づいて、ループパラメータ抽選を行う。次に、ステップS240においてレベルを決定したループパラメータpp3に基づいて、上乗せループ抽選を行う(S250)。一方、ループパラメータpp3のレベルが既に設定中であれば(S230でYES)、ステップS240の処理をスキップして、前遊技においてレベルが設定されたループパラメータpp3に基づいて、上乗せループ抽選を行う(S250)。
上乗せループ抽選に当選しなかった場合(S260でNO)、ループパラメータpp3のレベルの初期化を行うとともに(S270)、メインフラグ記憶手段201にループ当選フラグが設定中であれば(S280でYES)、ループ当選フラグを削除し(S290)、ループ当選フラグが設定中でなければ(S280でNO)、ステップ290の処理をスキップしてステップS295へ進む。
ステップS160、S180、S280またはS290の処理後において、AT管理手段150は、AT終了判定カウンタ202のカウント値のデクリメント処理を行うとともに(S295)、AT終了判定カウンタ202のカウント値が「0」と判断した場合は(S300でYES)、メインフラグ記憶手段201に設定されているATフラグを削除するとともに(S310)、初期パラメータのレベルを初期化して(S320)、一連の処理を終了する。一方、AT管理手段150が、カウント値が「0」でないと判断した場合は(S300でNO)、ステップS310、320の処理をスキップして一連の処理を終了する。
一方、ステップS250の上乗せループ抽選に当選した場合(S260でYES)、メインフラグ記憶手段201にループ当選フラグを設定、または既に設定されている場合はループ当選フラグの設定状態を維持し(S265)、ステップS270〜S320をスキップして一連の処理を終了する。
このように、ステップS145でループ当選フラグが設定中(S145でYES)であれば、ステップS150〜S180までの処理がスキップされてステップS190へ移行し、上乗せ遊技回数抽選(S200)により決定した遊技回数を加算する処理(S210)が実行される。その後、上乗せループ抽選に当選して(S260でYES)、ループ当選フラグが維持されると(S265)、次の遊技で、再びステップ145以降の同じ処理が実行される。
従って、上乗せループ抽選に当選し続け、上述の一部の処理がスキップされたこれらの処理が繰返し行われることによって、短時間で大量の遊技回数の上乗せが可能となっている。
次に、具体的に所定のレベルが個別に設定された各パラメータに基づく上乗せ処理を説明する。
例えば、初期パラメータ設定処理において、当否パラメータ抽選の結果、「レベル3」の当否パラメータpp1が確定し、回数レベルパラメータ抽選の結果、「レベル1」の回数レベルパラメータsp1が確定し、ループレベルパラメータ抽選の結果、「レベル4」のループレベルパラメータsp2が確定したと想定する。これらのパラメータのレベルはAT遊技が終了するまで維持される。
この想定下では、図6に示すように、AT遊技において、第2契機役であるスイカが当選した上乗せ当否抽選においては「レベル3」の当否パラメータpp1により当選確率が20%となっている。これはレベル1の当否パラメータpp1の場合の2倍の確率であり、比較的当選し易い状態にある。
図7に示すように、上乗せ当否抽選の当選に基づく回数パラメータ抽選においては、「レベル1」の回数レベルパラメータsp1により、「レベル1」の回数パラメータpp2の当選確率が90%となっており、レベル1が抽選され易い状態にある。
そして、例えば、「レベル1」の回数パラメータpp2が確定した場合、図8に示すように、上乗せ遊技回数抽選において、抽選される上乗せ遊技回数が「10G」が85%、「20G」が12%となっており、上乗せ遊技回数として比較的少ない値が抽選され易い状態にある。
図9に示すように、上乗せ当選確率の当選に基づくループパラメータ抽選においては、「レベル4」のループレベルパラメータsp2により、「レベル2」のループパラメータpp3の当選確率が15%、「レベル3」のループパラメータpp3の当選確率が5%となっている。これはレベル1のループレベルパラメータsp2の場合の4〜5倍の確率であり、高レベルのループパラメータpp3が抽選され易い状態にある。
そして、例えば「レベル3」のループパラメータpp3が確定した場合、図10に示すように、上乗せループ抽選の当選確率が「90%」となり、高確率で上乗せループ抽選が当選し、当該当選に基づいて繰り返し上乗せ処理が行われることを期待することができる。
このように、複数種類のパラメータのレベルに応じて、1回で上乗せされる遊技回数は少ないが、上乗せの初当りが容易で、かつ繰返し上乗せされる蓋然性が高い場合がある。
また、この例に限らず、上乗せの初当りが容易で、1回で上乗せされる遊技回数が多いが、繰返し上乗せされる蓋然性が低い場合や、上乗せの初当りが困難であるが、1回で上乗せされる遊技回数が多く、かつ繰返し上乗せされる蓋然性が高い場合がある。また、全てのレベルが高く設定されることにより、大量上乗せを期待できる場合や、逆に全てのレベルが低く設定されることにより、多くの上乗せを期待することができない場合等もある。
このように、複数のパラメータのレベルの組合せにより上乗せ処理に係る抽選の多様化を図ることができ、遊技の興趣の向上を図ることができ、例えば、あるパラメータのレベルが低くても、上記のように、多くの上乗せを期待することができるため、遊技者の上乗せに対する期待感を継続させることができる。
初期パラメータは、AT遊技が終了するまで設定したレベルが変化しないため、上乗せ処理の開始時に行われる初期パラメータ設定処理により、初期当りの確率や、初期パラメータに基づいて決定されるPパラメータpp(回数パラメータpp2、ループパラメータpp3)のレベルの当選確率における有利度を所定の範囲内で確定することができる。
一方、回数レベル抽選に影響を及ぼす回数パラメータpp2は、上乗せ当否抽選に当選する度、または上乗せループ抽選に当選する度に抽選されるため、抽選する度に上乗せ遊技回数に変化を与えることができ、遊技の興趣を高めることができる。
また、上乗せループ抽選(繰返し率)に影響を及ぼすループパラメータpp3も、上乗せ当否抽選に当選する度に抽選されるため、抽選する度に上乗せ遊技回数に変化を与えることができ、遊技の興趣を高めることができる。また、ループパラメータpp3は、上乗せループ抽選に当選し続ける限りは、ループパラメータpp3のレベルが維持されるため、レベル次第(例えばレベル2または3)では安定した多くの上乗せを期待することができる。
なお、本実施形態のスロットマシンSの機能は、コンピュータシステム(ゲームシステムを含む)によって仮想的に実現することが可能である。これらのシステムでは、メイン基板100やサブ基板500としてコンピュータを機能させるプログラムを、CD、DVD等の情報記憶媒体またはインターネット上のWebサーバからネットワークを介してダウンロードすることによって、その機能を実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、メダル検出スイッチ9a、ベットボタン10、スタートレバー15、ストップボタン16L〜16R等に相当する入力手段(操作手段)は、キーボードやボインティングデバイス(マウス等)、またはコントローラなどの操作手段に対してそれらの機能を仮想的に割り当てることにより実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、リールユニット310、ホッパーユニット320などは必須の構成要件ではなく、これらに代わって、演出表示装置5に表示出力される画像の制御によってこれらの機能を仮想的に実現できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような変形や変更を施すことが可能である。また、上記の本発明の一実施形態、及び下記変形例におけるそれぞれの構成部材や処理や条件等を適宜組み合わせることが可能である。
(変形例1)
上記実施形態では、AT遊技開始の際に初期パラメータ設定処理により決定される初期パラメータ(当否パラメータpp1、回数レベルパラメータsp1、ループレベルパラメータsp2)の各レベルは、AT遊技が終了されるまで維持されるが、それに限定されず、AT遊技中であっても所定の契機で変動するようにしてもよい。例えば、AT遊技中において、契機役の当選に基づいて、レベルを向上させ得る格上げ抽選を行うようにしてもよく、また、最低レベルの場合は強制的にレベルを向上させるようにしても良い。
(変形例2)
上記実施形態では、リプレイDの入賞を契機に移行するリプレイ高確率状態において、AT状態へ移行することにより、または、AT状態においてリプレイDに入賞することにより、ART状態となって有利な遊技を行うことができるようになっているが、これに限定されず、ビッグボーナス当選の契機に移行するボーナス内部状態において、ボーナス状態に移行させ難くし、同じくビッグボーナス当選を契機に移行するリプレイ高確率状態を維持し続け、その間に、所定の契機でAT状態に移行させることによって有利な遊技を行うことができるようにしてもよい。
(変形例3)
上記実施形態では、決定したパラメータのレベルを遊技者に報知等を行っていないが、これに限定されず、演出制御手段510が演出装置600を通してパラメータのレベルを適宜(例えば、所定の役の当選を契機に)明示、または示唆するようにしてもよい。演出態様としては、レベルが決定時に即時に表示、示唆するだけではなく、数ゲーム後や、数ゲームに亘って示唆するようにして、遊技者の期待を喚起させるようにしてもよい。
(変形例4)
上記実施形態では、初期パラメータとして、当否パラメータpp1、回数レベルパラメータsp1、及びループレベルパラメータsp2が設定されているが、当否パラメータpp1のレベルを決定する際に影響を与える当否レベルパラメータsp3を新たに設定するようにして、当否パラメータpp1のレベルを段階的に設定するようにしてもよい。
(変形例5)
上記実施形態の上乗せ処理として、上乗せ当否抽選の当選に基づいて、上乗せ遊技回数抽選及び上乗せループ抽選を行っているが、何れか一方の抽選のみを行うようにしてもよい。
また、上記実施形態の上乗せ処理として、AT遊技をセット単位(50ゲーム)で加算させるようにして遊技回数を上乗せするようにしてもよい。
具体的には、AT管理手段150は、AT遊技をセット単位(50ゲーム)で加算させるか否かを決定するためのセット数抽選、セット数抽選に当選したことに基づいて、メインメモリ200に記憶されたセット数カウンタ(図示省略)に抽選した値を加算するセット数加算処理、AT遊技終了後、セット数カウンタの値があると判断した場合に当該値をデクリメントするデクリメント処理、デクリメント処理とともにATフラグを設定するフラグ設定処理、フラグ設定処理とともにメインメモリ200のAT終了判定カウンタ202のカウント値に所定の加算値(例えば「50」)を設定する加算処理を行う。
(変形例6)
上記実施形態のメイン基板100は、遊技の主要な管理を行っているが、メイン基板100の一部の機能をサブ基板500に搭載して、メイン基板100から当該機能を省略するようにしてもよい。
例えば、上記実施形態のメイン基板100には、AT遊技を管理するAT管理手段150が設けられているが、メイン基板100にAT管理手段150を設けずに、サブ基板500に設けるようにしてもよい。また、例えば、AT管理手段150のような構成要件の機能を、メイン基板100及びサブ基板500にそれぞれ割振るように設定してもよい。
(変形例7)
上記実施形態では、AT遊技は遊技回数で管理されているが、これに限定されず、AT遊技時のメダルの払出数で管理してもよい。
ここで、メダルの払出数の管理には、AT遊技において、実際のメダルの払出数(総払出数)を計数して、当該計数値が所定の値に達したことを契機に、AT遊技を終了させる総払出数管理と、AT遊技において、メダルの投入数(総投入数)を払出数(総払出数)から減算した差枚数(実際に遊技者が獲得することができる実獲得数)に係る値が、所定の値に達したことを契機に、AT遊技を終了させるいわゆる差枚数管理がある。
AT遊技の終了条件をAT遊技時のメダルの総払出数に基づいて決定するようにして管理する総払出数管理では、AT遊技において設定されるメダルの払出可能数を増加させると、メダルの総払出数を増加させるとともに、AT遊技の遊技回数を増加させることができる。また、AT遊技の終了条件をAT遊技時のメダルの差枚数(実獲得数)に基づいて決定するようにして管理する差枚数管理では、AT遊技において設定されるメダルの実獲得可能数を増加させると、メダルの実獲得数を増加させるとともに、AT遊技の遊技回数を増加させることができる。
遊技機の性能等に応じて、上記のいずれの管理手法を採用してもよい。
いずれの場合においても、AT管理手段150は、遊技回数を管理するための抽選等の処理に代えて、適宜メダルの払出数を管理するための抽選等の処理を行う。
(変形例8)
また、AT遊技を、遊技回数で管理することに代えて、所定の対応役(例えばリプレイやベル等)の当選回数で管理するようにしてもよい。すなわち、AT遊技の終了条件をAT遊技時のベル等の当選回数に基づいて決定してもよい。このように管理することにより、AT遊技において対応役の当選可能回数を増加させることによって、AT遊技の遊技回数を増加させることができる。
この場合、AT管理手段150は、メダルの払出数を管理するための抽選等の処理に代えて、適宜当選役の数を管理するための抽選等の処理を行う。この場合、対応役を、予め定めても、遊技者が任意で選択可能としても、または抽選により決定するようにしてもよい。
(変形例9)
また、AT遊技を、遊技回数で管理することに代えて、AT遊技において行われる特別演出の実行回数で管理するようにしてもよい。すなわち、AT遊技の終了条件をAT遊技時の特別演出の実行回数に基づいて決定してもよい。
この場合、遊技者は、特別演出が実行される遊技(AT遊技)において、特別演出に従ってストップボタン16L〜16Rの操作を行うことにより、上述の通り、リプレイ高確率状態へ移行、またはリプレイ高確率状態を維持するとともに、配当が高いベルを入賞させることができ、有利なART遊技を継続(維持)することができる。一方、所定回数の特別演出の実行が終了して、特別演出が実行されなくなった遊技においては、自力で正解押し順(リプレイCを入賞させない押し順)でストップボタン16L〜16Rを押下操作することが困難となり、その結果、リプレイCや特殊小役を入賞させてしまった場合には、リプレイ高確率状態からリプレイ低確率状態へ転落して、通常状態へ移行する。このようにして、AT遊技の終了を管理する。
このように管理することにより、AT遊技において特別演出の実行可能回数を増加させることによって、ART遊技の遊技回数を増加させることができる。
この場合、AT管理手段150は、メダルの払出数を管理するための抽選等の処理に代えて、特別演出の実行可能回数に係る抽選等の処理を行う。