JP6772133B2 - Glp−2分泌促進用組成物 - Google Patents
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Description
(1)アミノ酸を構成単位とする環状ジペプチド又はその塩を有効成分として含有するGLP−2分泌促進用組成物であって、
前記環状ジペプチド又はその塩が、シクロメチオニルアルギニン〔Cyclo(Met-Arg)〕、シクログルタミニルアスパラギン酸〔Cyclo(Gln-Asp)〕、シクロアスパラギニルヒスチジン〔Cyclo(Asn-His)〕、シクロトリプトファニルリシン〔Cyclo(Trp-Lys)〕、シクロアスパルチルプロリン〔Cyclo(Asp-Pro)〕、シクロトリプトファニルヒスチジン〔Cyclo(Trp-His)〕、シクログルタミニルフェニルアラニン〔Cyclo(Gln-Phe)〕、シクロアルギニルプロリン〔Cyclo(Arg-Pro)〕、シクロトリプトファニルアルギニン〔Cyclo(Trp-Arg)〕、シクロアスパラギニルメチオニン〔Cyclo(Asn-Met)〕、シクログリシルアラニン〔Cyclo(Gly-Ala)〕、シクロトレオニルリシン〔Cyclo(Thr-Lys)〕、シクロバリルプロリン〔Cyclo(Val-Pro)〕、シクロトレオニルアラニン〔Cyclo(Thr-Ala)〕、シクロアスパラギニルグルタミン酸〔Cyclo(Asn-Glu)〕、シクロトレオニルトレオニン〔Cyclo(Thr-Thr)〕、シクログルタミニルヒスチジン〔Cyclo(Gln-His)〕、シクロアスパラギニルアラニン〔Cyclo(Asn-Ala)〕、シクロアスパルチルアラニン〔Cyclo(Asp-Ala)〕、シクロトレオニルグルタミン酸〔Cyclo(Thr-Glu)〕、シクログルタミニルリシン〔Cyclo(Gln-Lys)〕、シクロリシルグリシン〔Cyclo(Lys-Gly)〕、シクロロイシルリシン〔Cyclo(Leu-Lys)〕、シクロロイシルプロリン〔Cyclo(Leu-Pro)〕、シクロフェニルアラニルセリン〔Cyclo(Phe-Ser)〕、シクロメチオニルプロリン〔Cyclo(Met-Pro)〕、シクロアラニルアラニン〔Cyclo(Ala-Ala)〕、シクログルタミルグリシン〔Cyclo(Glu-Gly)〕、シクロセリルプロリン〔Cyclo(Ser-Pro)〕、シクログリシルプロリン〔Cyclo(Gly-Pro)〕、シクログルタミニルグリシン〔Cyclo(Gln-Gly)〕、シクログリシルヒスチジン〔Cyclo(Gly-His)〕、シクロアラニルセリン〔Cyclo(Ala-Ser)〕、シクロヒスチジルプロリン〔Cyclo(His-Pro)〕、シクロアスパルチルセリン〔Cyclo(Asp-Ser)〕、シクログルタミニルトレオニン〔Cyclo(Gln-Thr)〕、シクロヒスチジルヒスチジン〔Cyclo(His-His)〕、シクロアスパラギニルプロリン〔Cyclo(Asn-Pro)〕、シクロアスパラギニルアスパラギン〔Cyclo(Asn-Asn)〕、シクロアルギニルヒスチジン〔Cyclo(Arg-His)〕、シクロアルギニルバリン〔Cyclo(Arg-Val)〕、シクロリシルリシン〔Cyclo(Lys-Lys)〕、シクロアスパラギニルアルギニン〔Cyclo(Asn-Arg)〕、シクロアルギニルトレオニン〔Cyclo(Arg-Thr)〕、シクロアスパラギニルアスパラギン酸〔Cyclo(Asn-Asp)〕、シクロトレオニルヒスチジン〔Cyclo(Thr-His)〕、シクロアスパルチルヒスチジン〔Cyclo(Asp-His)〕、シクロリシルプロリン〔Cyclo(Lys-Pro)〕、シクロプロリルトレオニン〔Cyclo(Pro-Thr)〕、シクロプロリルプロリン〔Cyclo(Pro-Pro)〕、シクロL−アラニルプロリン〔Cyclo(L-Ala-Pro)〕、シクロアルギニルグリシン〔Cyclo(Arg-Gly)〕、シクログルタミニルセリン〔Cyclo(Gln-Ser)〕、シクロアスパラギニルトレオニン〔Cyclo(Asn-Thr)〕、シクロアスパラギニルグリシン〔Cyclo(Asn-Gly)〕、シクロアルギニルアスパラギン酸〔Cyclo(Arg-Asp)〕、シクロイソロイシルプロリン〔Cyclo(Ile-Pro)〕、及びシクログルタミニルアスパラギン〔Cyclo(Gln-Asn)〕からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含むものである、前記GLP−2分泌促進用組成物。
(2)環状ジペプチド又はその塩が、シクロメチオニルアルギニン〔Cyclo(Met-Arg)〕、シクログルタミニルアスパラギン酸〔Cyclo(Gln-Asp)〕、シクロアスパラギニルヒスチジン〔Cyclo(Asn-His)〕、シクロトリプトファニルリシン〔Cyclo(Trp-Lys)〕、シクロアスパルチルプロリン〔Cyclo(Asp-Pro)〕、シクロトリプトファニルヒスチジン〔Cyclo(Trp-His)〕、シクログルタミニルフェニルアラニン〔Cyclo(Gln-Phe)〕、シクロアルギニルプロリン〔Cyclo(Arg-Pro)〕、シクロトリプトファニルアルギニン〔Cyclo(Trp-Arg)〕、シクロアスパラギニルメチオニン〔Cyclo(Asn-Met)〕、シクログリシルアラニン〔Cyclo(Gly-Ala)〕、シクロトレオニルリシン〔Cyclo(Thr-Lys)〕、シクロバリルプロリン〔Cyclo(Val-Pro)〕、シクロトレオニルアラニン〔Cyclo(Thr-Ala)〕、シクロアスパラギニルグルタミン酸〔Cyclo(Asn-Glu)〕、シクロトレオニルトレオニン〔Cyclo(Thr-Thr)〕、シクログルタミニルヒスチジン〔Cyclo(Gln-His)〕、シクロアスパラギニルアラニン〔Cyclo(Asn-Ala)〕、シクロアスパルチルアラニン〔Cyclo(Asp-Ala)〕、シクロトレオニルグルタミン酸〔Cyclo(Thr-Glu)〕、シクログルタミニルリシン〔Cyclo(Gln-Lys)〕、シクロリシルグリシン〔Cyclo(Lys-Gly)〕、シクロロイシルリシン〔Cyclo(Leu-Lys)〕、シクロロイシルプロリン〔Cyclo(Leu-Pro)〕、シクロフェニルアラニルセリン〔Cyclo(Phe-Ser)〕、シクロメチオニルプロリン〔Cyclo(Met-Pro)〕、シクロアラニルアラニン〔Cyclo(Ala-Ala)〕、シクログルタミルグリシン〔Cyclo(Glu-Gly)〕、シクロセリルプロリン〔Cyclo(Ser-Pro)〕、シクログリシルプロリン〔Cyclo(Gly-Pro)〕、シクログルタミニルグリシン〔Cyclo(Gln-Gly)〕、シクログリシルヒスチジン〔Cyclo(Gly-His)〕、シクロアラニルセリン〔Cyclo(Ala-Ser)〕、及びシクロヒスチジルプロリン〔Cyclo(His-Pro)〕からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含むものである、(1)に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(3)環状ジペプチド又はその塩が請求項1に記載の群から選択される3つ以上を含むものである、(1)に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(4)環状ジペプチド又はその塩が請求項2に記載の群から選択される3つ以上を含むものである、(2)に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(5)腸保護作用を有する、(1)〜(4)のいずれかに記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(6)腸の炎症抑制作用を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(7)腸粘膜の増殖作用を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(8)腸粘膜のバリア機能の維持作用を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(9)消化吸収促進作用を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(10)腸の運動抑制作用を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(11)環状ジペプチド又はその塩が、大豆ペプチド、茶ペプチド、麦芽ペプチド、乳ペプチド、プラセンタペプチド、又はコラーゲンペプチドから得られるものである、(1)〜(10)のいずれかに記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(12)環状ジペプチド又はその塩が、大豆ペプチド、又は茶ペプチドから得られるものである、(1)〜(10)のいずれかに記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(13)GLP−2分泌促進により発揮される機能の表示を付した(1)〜(12)のいずれかに記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(14)機能の表示が、「腸の炎症を抑える」、「腸粘膜を保護する」、「腸のバリア機能を高める」、「消化吸収を助ける」、「腸の過剰な働きを抑える」、及び「腸の健康を保つ」からなる群から選択されるものである、(13)に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
(15)GLP−2の分泌を促進するための、アミノ酸を構成単位とする環状ジペプチド又はその塩の使用であって、
前記環状ジペプチド又はその塩が、シクロメチオニルアルギニン〔Cyclo(Met-Arg)〕、シクログルタミニルアスパラギン酸〔Cyclo(Gln-Asp)〕、シクロアスパラギニルヒスチジン〔Cyclo(Asn-His)〕、シクロトリプトファニルリシン〔Cyclo(Trp-Lys)〕、シクロアスパルチルプロリン〔Cyclo(Asp-Pro)〕、シクロトリプトファニルヒスチジン〔Cyclo(Trp-His)〕、シクログルタミニルフェニルアラニン〔Cyclo(Gln-Phe)〕、シクロアルギニルプロリン〔Cyclo(Arg-Pro)〕、シクロトリプトファニルアルギニン〔Cyclo(Trp-Arg)〕、シクロアスパラギニルメチオニン〔Cyclo(Asn-Met)〕、シクログリシルアラニン〔Cyclo(Gly-Ala)〕、シクロトレオニルリシン〔Cyclo(Thr-Lys)〕、シクロバリルプロリン〔Cyclo(Val-Pro)〕、シクロトレオニルアラニン〔Cyclo(Thr-Ala)〕、シクロアスパラギニルグルタミン酸〔Cyclo(Asn-Glu)〕、シクロトレオニルトレオニン〔Cyclo(Thr-Thr)〕、シクログルタミニルヒスチジン〔Cyclo(Gln-His)〕、シクロアスパラギニルアラニン〔Cyclo(Asn-Ala)〕、シクロアスパルチルアラニン〔Cyclo(Asp-Ala)〕、シクロトレオニルグルタミン酸〔Cyclo(Thr-Glu)〕、シクログルタミニルリシン〔Cyclo(Gln-Lys)〕、シクロリシルグリシン〔Cyclo(Lys-Gly)〕、シクロロイシルリシン〔Cyclo(Leu-Lys)〕、シクロロイシルプロリン〔Cyclo(Leu-Pro)〕、シクロフェニルアラニルセリン〔Cyclo(Phe-Ser)〕、シクロメチオニルプロリン〔Cyclo(Met-Pro)〕、シクロアラニルアラニン〔Cyclo(Ala-Ala)〕、シクログルタミルグリシン〔Cyclo(Glu-Gly)〕、シクロセリルプロリン〔Cyclo(Ser-Pro)〕、シクログリシルプロリン〔Cyclo(Gly-Pro)〕、シクログルタミニルグリシン〔Cyclo(Gln-Gly)〕、シクログリシルヒスチジン〔Cyclo(Gly-His)〕、シクロアラニルセリン〔Cyclo(Ala-Ser)〕、シクロヒスチジルプロリン〔Cyclo(His-Pro)〕、シクロアスパルチルセリン〔Cyclo(Asp-Ser)〕、シクログルタミニルトレオニン〔Cyclo(Gln-Thr)〕、シクロヒスチジルヒスチジン〔Cyclo(His-His)〕、シクロアスパラギニルプロリン〔Cyclo(Asn-Pro)〕、シクロアスパラギニルアスパラギン〔Cyclo(Asn-Asn)〕、シクロアルギニルヒスチジン〔Cyclo(Arg-His)〕、シクロアルギニルバリン〔Cyclo(Arg-Val)〕、シクロリシルリシン〔Cyclo(Lys-Lys)〕、シクロアスパラギニルアルギニン〔Cyclo(Asn-Arg)〕、シクロアルギニルトレオニン〔Cyclo(Arg-Thr)〕、シクロアスパラギニルアスパラギン酸〔Cyclo(Asn-Asp)〕、シクロトレオニルヒスチジン〔Cyclo(Thr-His)〕、シクロアスパルチルヒスチジン〔Cyclo(Asp-His)〕、シクロリシルプロリン〔Cyclo(Lys-Pro)〕、シクロプロリルトレオニン〔Cyclo(Pro-Thr)〕、シクロプロリルプロリン〔Cyclo(Pro-Pro)〕、シクロL−アラニルプロリン〔Cyclo(L-Ala-Pro)〕、シクロアルギニルグリシン〔Cyclo(Arg-Gly)〕、シクログルタミニルセリン〔Cyclo(Gln-Ser)〕、シクロアスパラギニルトレオニン〔Cyclo(Asn-Thr)〕、シクロアスパラギニルグリシン〔Cyclo(Asn-Gly)〕、シクロアルギニルアスパラギン酸〔Cyclo(Arg-Asp)〕、シクロイソロイシルプロリン〔Cyclo(Ile-Pro)〕、及びシクログルタミニルアスパラギン〔Cyclo(Gln-Asn)〕からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含むものである、前記使用。
(16)アミノ酸を構成単位とする環状ジペプチド又はその塩を有効成分として使用する、GLP−2の分泌を促進する方法であって、
前記環状ジペプチド又はその塩が、シクロメチオニルアルギニン〔Cyclo(Met-Arg)〕、シクログルタミニルアスパラギン酸〔Cyclo(Gln-Asp)〕、シクロアスパラギニルヒスチジン〔Cyclo(Asn-His)〕、シクロトリプトファニルリシン〔Cyclo(Trp-Lys)〕、シクロアスパルチルプロリン〔Cyclo(Asp-Pro)〕、シクロトリプトファニルヒスチジン〔Cyclo(Trp-His)〕、シクログルタミニルフェニルアラニン〔Cyclo(Gln-Phe)〕、シクロアルギニルプロリン〔Cyclo(Arg-Pro)〕、シクロトリプトファニルアルギニン〔Cyclo(Trp-Arg)〕、シクロアスパラギニルメチオニン〔Cyclo(Asn-Met)〕、シクログリシルアラニン〔Cyclo(Gly-Ala)〕、シクロトレオニルリシン〔Cyclo(Thr-Lys)〕、シクロバリルプロリン〔Cyclo(Val-Pro)〕、シクロトレオニルアラニン〔Cyclo(Thr-Ala)〕、シクロアスパラギニルグルタミン酸〔Cyclo(Asn-Glu)〕、シクロトレオニルトレオニン〔Cyclo(Thr-Thr)〕、シクログルタミニルヒスチジン〔Cyclo(Gln-His)〕、シクロアスパラギニルアラニン〔Cyclo(Asn-Ala)〕、シクロアスパルチルアラニン〔Cyclo(Asp-Ala)〕、シクロトレオニルグルタミン酸〔Cyclo(Thr-Glu)〕、シクログルタミニルリシン〔Cyclo(Gln-Lys)〕、シクロリシルグリシン〔Cyclo(Lys-Gly)〕、シクロロイシルリシン〔Cyclo(Leu-Lys)〕、シクロロイシルプロリン〔Cyclo(Leu-Pro)〕、シクロフェニルアラニルセリン〔Cyclo(Phe-Ser)〕、シクロメチオニルプロリン〔Cyclo(Met-Pro)〕、シクロアラニルアラニン〔Cyclo(Ala-Ala)〕、シクログルタミルグリシン〔Cyclo(Glu-Gly)〕、シクロセリルプロリン〔Cyclo(Ser-Pro)〕、シクログリシルプロリン〔Cyclo(Gly-Pro)〕、シクログルタミニルグリシン〔Cyclo(Gln-Gly)〕、シクログリシルヒスチジン〔Cyclo(Gly-His)〕、シクロアラニルセリン〔Cyclo(Ala-Ser)〕、シクロヒスチジルプロリン〔Cyclo(His-Pro)〕、シクロアスパルチルセリン〔Cyclo(Asp-Ser)〕、シクログルタミニルトレオニン〔Cyclo(Gln-Thr)〕、シクロヒスチジルヒスチジン〔Cyclo(His-His)〕、シクロアスパラギニルプロリン〔Cyclo(Asn-Pro)〕、シクロアスパラギニルアスパラギン〔Cyclo(Asn-Asn)〕、シクロアルギニルヒスチジン〔Cyclo(Arg-His)〕、シクロアルギニルバリン〔Cyclo(Arg-Val)〕、シクロリシルリシン〔Cyclo(Lys-Lys)〕、シクロアスパラギニルアルギニン〔Cyclo(Asn-Arg)〕、シクロアルギニルトレオニン〔Cyclo(Arg-Thr)〕、シクロアスパラギニルアスパラギン酸〔Cyclo(Asn-Asp)〕、シクロトレオニルヒスチジン〔Cyclo(Thr-His)〕、シクロアスパルチルヒスチジン〔Cyclo(Asp-His)〕、シクロリシルプロリン〔Cyclo(Lys-Pro)〕、シクロプロリルトレオニン〔Cyclo(Pro-Thr)〕、シクロプロリルプロリン〔Cyclo(Pro-Pro)〕、シクロL−アラニルプロリン〔Cyclo(L-Ala-Pro)〕、シクロアルギニルグリシン〔Cyclo(Arg-Gly)〕、シクログルタミニルセリン〔Cyclo(Gln-Ser)〕、シクロアスパラギニルトレオニン〔Cyclo(Asn-Thr)〕、シクロアスパラギニルグリシン〔Cyclo(Asn-Gly)〕、シクロアルギニルアスパラギン酸〔Cyclo(Arg-Asp)〕、シクロイソロイシルプロリン〔Cyclo(Ile-Pro)〕、及びシクログルタミニルアスパラギン〔Cyclo(Gln-Asn)〕からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含むものである、前記方法。
本明細書において、「GLP−2」とは、グルカゴン様ペプチド−2(Glucagon-like peptide-2)を意味し、プログルカゴン由来ペプチドの一種として知られている。GLP−2は、プログルカゴンを構成する158アミノ酸のうち、カルボキシル基側末端の33アミノ酸から構成され、prohormone convertase 1/3によるプロセシングを経て活性化される。GLP−2はGタンパク質共役型受容体に結合し、そのシグナル伝達は受容体発現細胞内のみならず、インスリン様成長因子(insulin-like growth factor:IGF-1)や迷走神経線維を介して、様々な作用を発揮する。例えば、腸の炎症抑制作用、腸粘膜の増殖作用、腸粘膜のバリア機能の維持作用、消化吸収促進作用、腸の運動抑制作用などの多様な作用が発揮され、腸管機能の恒常性維持や腸保護などに寄与する。
本明細書において「環状ジペプチド」とは、アミノ酸を構成単位とすることを特徴とし、アミノ酸のアミノ基とカルボキシル基とが脱水縮合することにより生成したジケトピペラジン構造を有する環状ジペプチドのことをいう。尚、本明細書において、環状ジペプチド又はその塩をまとめて、単に、環状ジペプチドと称する場合がある。また、本明細書において、環状ジペプチドのアミノ酸構成が同じであれば、それらの記載順序はいずれが先でも構わなく、例えば、〔Cyclo(Met-Arg)〕と〔Cyclo(Arg-Met)〕は同じ環状ジペプチドを表すものである。
本明細書における「動植物由来ペプチド」は特に限定されないが、例えば、大豆ペプチド、茶ペプチド、麦芽ペプチド、乳ペプチド、プラセンタペプチド、コラーゲンペプチド等を用いることができる。動植物由来のタンパク質又はタンパク質を含む原料から動植物由来ペプチドを調製して用いてもよいが、市販品を用いてもよい。
本明細書でいう「大豆ペプチド」とは、大豆タンパク質に酵素処理や熱処理を施し、タンパク質を低分子化することによって得られる低分子ペプチドをいう。原料となる大豆(学名:Glycine max)は品種や産地などの制限なく用いることができ、粉砕品などの加工品段階のものを用いることもできる。
本明細書でいう「茶ペプチド」とは、茶(茶葉や茶殻を含む)抽出物に酵素処理や熱処理を施し、タンパク質を低分子化することによって得られる茶由来の低分子ペプチドをいう。抽出原料となる茶葉としては、茶樹(学名:Camellia sinensis)を用いて製造された茶葉の葉、茎など、抽出して飲用可能な部位を使用することができる。また、その形態も大葉、粉状など制限されない。茶葉の収穫期についても、所望する香味に合わせて適宜選択できる。
本明細書でいう「麦芽ペプチド」とは、麦芽又はその粉砕物から得られる抽出物に酵素処理や熱処理を施し、タンパク質を低分子化することによって得られる麦芽由来の低分子ペプチドをいう。原料となる麦芽ペプチドは、品種や産地などの制限なく用いることができるが、特に大麦の種子を発芽させた大麦麦芽が好適に用いられる。本明細書においては、大麦麦芽を単に「麦芽」と表記することもある。
本明細書でいう「乳ペプチド」とは、天然の乳由来の成分である乳蛋白質をアミノ酸が少なくとも数個結合した分子に分解したものである。より具体的には、ホエイ(乳清タンパク質)又はカゼイン等の乳蛋白質をプロテナーゼ等の酵素により加水分解し、これを濾過して得られる濾液を殺菌及び/又は濃縮して乾燥することにより得られるホエイペプチド、カゼインペプチド等が挙げられる。
プラセンタとは哺乳類の胎盤のことであり、その優れた機能性から、近年、健康食品、化粧品、医薬品素材として用いられている。本明細書において「プラセンタペプチド」とは、プラセンタを酵素処理、又は亜臨界処理により可溶化、低分子化したものをいう。また、本来の意味とは異なるが、植物の胎座から得られる抽出物が胎盤由来のプラセンタと同等の生理学的効果を有するものとして健康食品、化粧品等に利用されており、これらは植物プラセンタと呼ばれる。本明細書における「プラセンタペプチド」には、植物プラセンタに酵素処理、又は亜臨界処理等を施し、可溶化、低分子化したものも含まれる。
本明細書でいう「コラーゲンペプチド」とは、コラーゲン又はその粉砕物を酵素処理や熱処理を施し、コラーゲンを低分子化することによって得られる低分子ペプチドをいう。コラーゲンは動物の結合組織の主要なタンパク質であり、ヒトを含めた哺乳類の身体に最も多く含まれるタンパク質である。
本明細書において「高温加熱処理」とは、100℃以上の温度かつ大気圧を超える圧力下で一定時間処理することを意味する。高温高圧処理装置としては、耐圧性抽出装置や圧力鍋、オートクレーブ等を条件に合わせて用いることができる。
5−1.環状ジペプチド含有GLP−2分泌促進用組成物
本発明の一態様は、特定の環状ジペプチド又はその塩を有効成分とするGLP−2分泌促進用組成物である。
GLP−2は、生体内に分布する様々な細胞、例えば、腸管内分泌細胞から分泌され、腸管神経叢などに発現するGタンパク質共役型受容体に結合し、GLP−2結合に起因したシグナル伝達を発生させる。このシグナル伝達は受容体発現細胞内のみならず、インスリン様成長因子(insulin-like growth factor:IGF-1)や迷走神経線維を介して、腸の炎症抑制、腸粘膜の増殖、腸粘膜のバリア機能の維持、消化吸収促進、腸の運動抑制等の様々な作用を発揮し、これにより腸管機能の恒常性維持効果や腸保護効果が得られる(非特許文献5)。従って、GLP−2の分泌を促進させることで、腸の炎症抑制作用、腸粘膜の増殖作用、腸粘膜のバリア機能の維持作用、消化吸収促進作用、腸の運動抑制作用などを増強することができ、腸管機能の恒常性維持効果や腸保護効果を高めることができる。
本発明のGLP−2分泌促進用組成物は、その形態に応じて、環状ジペプチド又はその塩の他に、任意の添加剤、通常用いられる任意の成分を含有することができる。これらの添加剤及び/又は成分の例としては、ビタミンE、ビタミンC等のビタミン類、ミネラル類、栄養成分、香料などの生理活性成分の他、製剤化において配合される賦形剤、結合剤、乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤、着色剤、凝固剤、又はコーティング剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のGLP−2分泌促進用組成物は、前述の環状ジペプチド又はその塩を有効量含有するという特徴を有することによりGLP−2の分泌が促進されることで、腸の炎症を抑制する効果、腸粘膜を増殖させる効果、腸粘膜のバリア機能の維持する効果、消化吸収を促進する効果、腸の運動を抑制する効果等を奏することができる。その結果、腸管機能の恒常性を維持する効果や腸保護効果等が発揮される。従って、本発明の一態様は、特定の環状ジペプチド又はその塩を有効成分として含有するGLP−2分泌促進用組成物であって、腸の炎症抑制作用、腸粘膜の増殖作用、腸粘膜のバリア機能の維持作用、消化吸収促進作用、又は腸の運動抑制作用を有する前記組成物である。さらに、本発明は、特定の環状ジペプチド又はその塩を有効成分として含有するGLP−2分泌促進用組成物であって、腸管機能の恒常性維持作用、又は腸保護作用を有する前記組成物でもある。
本発明の一態様は、アミノ酸を構成単位とする特定の環状ジペプチド又はその塩のGLP−2の分泌を促進するための使用である。好ましくは、シクロメチオニルアルギニン〔Cyclo(Met-Arg)〕、シクログルタミニルアスパラギン酸〔Cyclo(Gln-Asp)〕、シクロアスパラギニルヒスチジン〔Cyclo(Asn-His)〕、シクロトリプトファニルリシン〔Cyclo(Trp-Lys)〕、シクロアスパルチルプロリン〔Cyclo(Asp-Pro)〕、シクロトリプトファニルヒスチジン〔Cyclo(Trp-His)〕、シクログルタミニルフェニルアラニン〔Cyclo(Gln-Phe)〕、シクロアルギニルプロリン〔Cyclo(Arg-Pro)〕、シクロトリプトファニルアルギニン〔Cyclo(Trp-Arg)〕、シクロアスパラギニルメチオニン〔Cyclo(Asn-Met)〕、シクログリシルアラニン〔Cyclo(Gly-Ala)〕、シクロトレオニルリシン〔Cyclo(Thr-Lys)〕、シクロバリルプロリン〔Cyclo(Val-Pro)〕、シクロトレオニルアラニン〔Cyclo(Thr-Ala)〕、シクロアスパラギニルグルタミン酸〔Cyclo(Asn-Glu)〕、シクロトレオニルトレオニン〔Cyclo(Thr-Thr)〕、シクログルタミニルヒスチジン〔Cyclo(Gln-His)〕、シクロアスパラギニルアラニン〔Cyclo(Asn-Ala)〕、シクロアスパルチルアラニン〔Cyclo(Asp-Ala)〕、シクロトレオニルグルタミン酸〔Cyclo(Thr-Glu)〕、シクログルタミニルリシン〔Cyclo(Gln-Lys)〕、シクロリシルグリシン〔Cyclo(Lys-Gly)〕、シクロロイシルリシン〔Cyclo(Leu-Lys)〕、シクロロイシルプロリン〔Cyclo(Leu-Pro)〕、シクロフェニルアラニルセリン〔Cyclo(Phe-Ser)〕、シクロメチオニルプロリン〔Cyclo(Met-Pro)〕、シクロアラニルアラニン〔Cyclo(Ala-Ala)〕、シクログルタミルグリシン〔Cyclo(Glu-Gly)〕、シクロセリルプロリン〔Cyclo(Ser-Pro)〕、シクログリシルプロリン〔Cyclo(Gly-Pro)〕、シクログルタミニルグリシン〔Cyclo(Gln-Gly)〕、シクログリシルヒスチジン〔Cyclo(Gly-His)〕、シクロアラニルセリン〔Cyclo(Ala-Ser)〕、シクロヒスチジルプロリン〔Cyclo(His-Pro)〕、シクロアスパルチルセリン〔Cyclo(Asp-Ser)〕、シクログルタミニルトレオニン〔Cyclo(Gln-Thr)〕、シクロヒスチジルヒスチジン〔Cyclo(His-His)〕、シクロアスパラギニルプロリン〔Cyclo(Asn-Pro)〕、シクロアスパラギニルアスパラギン〔Cyclo(Asn-Asn)〕、シクロアルギニルヒスチジン〔Cyclo(Arg-His)〕、シクロアルギニルバリン〔Cyclo(Arg-Val)〕、シクロリシルリシン〔Cyclo(Lys-Lys)〕、シクロアスパラギニルアルギニン〔Cyclo(Asn-Arg)〕、シクロアルギニルトレオニン〔Cyclo(Arg-Thr)〕、シクロアスパラギニルアスパラギン酸〔Cyclo(Asn-Asp)〕、シクロトレオニルヒスチジン〔Cyclo(Thr-His)〕、シクロアスパルチルヒスチジン〔Cyclo(Asp-His)〕、シクロリシルプロリン〔Cyclo(Lys-Pro)〕、シクロプロリルトレオニン〔Cyclo(Pro-Thr)〕、シクロプロリルプロリン〔Cyclo(Pro-Pro)〕、シクロL−アラニルプロリン〔Cyclo(L-Ala-Pro)〕、シクロアルギニルグリシン〔Cyclo(Arg-Gly)〕、シクログルタミニルセリン〔Cyclo(Gln-Ser)〕、シクロアスパラギニルトレオニン〔Cyclo(Asn-Thr)〕、シクロアスパラギニルグリシン〔Cyclo(Asn-Gly)〕、シクロアルギニルアスパラギン酸〔Cyclo(Arg-Asp)〕、シクロイソロイシルプロリン〔Cyclo(Ile-Pro)〕、及びシクログルタミニルアスパラギン〔Cyclo(Gln-Asn)〕からなる群から選択される1つ又は2つ以上の環状ジペプチド又はその塩の、GLP−2の分泌を促進するための使用である。より好ましくは、前記環状ジペプチド又はその塩から選択される3つ以上を含むものの、GLP−2の分泌を促進するための使用である。
本発明の一態様は、GLP−2の分泌促進を必要とする対象に、特定の環状ジペプチド又はその塩を有効成分として治療有効量を投与することを含む、GLP−2の分泌を促進する方法を提供するものである。好ましくは、シクロメチオニルアルギニン〔Cyclo(Met-Arg)〕、シクログルタミニルアスパラギン酸〔Cyclo(Gln-Asp)〕、シクロアスパラギニルヒスチジン〔Cyclo(Asn-His)〕、シクロトリプトファニルリシン〔Cyclo(Trp-Lys)〕、シクロアスパルチルプロリン〔Cyclo(Asp-Pro)〕、シクロトリプトファニルヒスチジン〔Cyclo(Trp-His)〕、シクログルタミニルフェニルアラニン〔Cyclo(Gln-Phe)〕、シクロアルギニルプロリン〔Cyclo(Arg-Pro)〕、シクロトリプトファニルアルギニン〔Cyclo(Trp-Arg)〕、シクロアスパラギニルメチオニン〔Cyclo(Asn-Met)〕、シクログリシルアラニン〔Cyclo(Gly-Ala)〕、シクロトレオニルリシン〔Cyclo(Thr-Lys)〕、シクロバリルプロリン〔Cyclo(Val-Pro)〕、シクロトレオニルアラニン〔Cyclo(Thr-Ala)〕、シクロアスパラギニルグルタミン酸〔Cyclo(Asn-Glu)〕、シクロトレオニルトレオニン〔Cyclo(Thr-Thr)〕、シクログルタミニルヒスチジン〔Cyclo(Gln-His)〕、シクロアスパラギニルアラニン〔Cyclo(Asn-Ala)〕、シクロアスパルチルアラニン〔Cyclo(Asp-Ala)〕、シクロトレオニルグルタミン酸〔Cyclo(Thr-Glu)〕、シクログルタミニルリシン〔Cyclo(Gln-Lys)〕、シクロリシルグリシン〔Cyclo(Lys-Gly)〕、シクロロイシルリシン〔Cyclo(Leu-Lys)〕、シクロロイシルプロリン〔Cyclo(Leu-Pro)〕、シクロフェニルアラニルセリン〔Cyclo(Phe-Ser)〕、シクロメチオニルプロリン〔Cyclo(Met-Pro)〕、シクロアラニルアラニン〔Cyclo(Ala-Ala)〕、シクログルタミルグリシン〔Cyclo(Glu-Gly)〕、シクロセリルプロリン〔Cyclo(Ser-Pro)〕、シクログリシルプロリン〔Cyclo(Gly-Pro)〕、シクログルタミニルグリシン〔Cyclo(Gln-Gly)〕、シクログリシルヒスチジン〔Cyclo(Gly-His)〕、シクロアラニルセリン〔Cyclo(Ala-Ser)〕、シクロヒスチジルプロリン〔Cyclo(His-Pro)〕、シクロアスパルチルセリン〔Cyclo(Asp-Ser)〕、シクログルタミニルトレオニン〔Cyclo(Gln-Thr)〕、シクロヒスチジルヒスチジン〔Cyclo(His-His)〕、シクロアスパラギニルプロリン〔Cyclo(Asn-Pro)〕、シクロアスパラギニルアスパラギン〔Cyclo(Asn-Asn)〕、シクロアルギニルヒスチジン〔Cyclo(Arg-His)〕、シクロアルギニルバリン〔Cyclo(Arg-Val)〕、シクロリシルリシン〔Cyclo(Lys-Lys)〕、シクロアスパラギニルアルギニン〔Cyclo(Asn-Arg)〕、シクロアルギニルトレオニン〔Cyclo(Arg-Thr)〕、シクロアスパラギニルアスパラギン酸〔Cyclo(Asn-Asp)〕、シクロトレオニルヒスチジン〔Cyclo(Thr-His)〕、シクロアスパルチルヒスチジン〔Cyclo(Asp-His)〕、シクロリシルプロリン〔Cyclo(Lys-Pro)〕、シクロプロリルトレオニン〔Cyclo(Pro-Thr)〕、シクロプロリルプロリン〔Cyclo(Pro-Pro)〕、シクロL−アラニルプロリン〔Cyclo(L-Ala-Pro)〕、シクロアルギニルグリシン〔Cyclo(Arg-Gly)〕、シクログルタミニルセリン〔Cyclo(Gln-Ser)〕、シクロアスパラギニルトレオニン〔Cyclo(Asn-Thr)〕、シクロアスパラギニルグリシン〔Cyclo(Asn-Gly)〕、シクロアルギニルアスパラギン酸〔Cyclo(Arg-Asp)〕、シクロイソロイシルプロリン〔Cyclo(Ile-Pro)〕、及びシクログルタミニルアスパラギン〔Cyclo(Gln-Asn)〕からなる群から選択される1つ又は2つ以上の環状ジペプチド又はその塩を有効成分として治療有効量を投与することを含む、GLP−2の分泌を促進する方法を提供する。より好ましくは、前記環状ジペプチド又はその塩から選択される3つ以上を含むものを有効成分として治療有効量を投与することを含む、GLP−2の分泌を促進する方法を提供する。
<試薬>
環状ジペプチドは化学合成した標品を使用した。Poly−L−Lysine 96−wellプレートはBecton Dickinson(BD)社より入手した。PBS(+)、抗生物質、Dulbecco‘s Modified Eagle’s Medium(DMEM)、及び12−0−tetradecanoylphorbol−13−acetate(TPA)はCell Signaling社より入手した。GLP−2 ELISAキットはMerck Millipore社、Fetal bovine serum(FBS)はSigma社、Sitagliptin phosphateはSantaCruz Biotechnology社、大豆ペプチド(ハイニュートAM)は不二製油株式会社、茶葉は市販品を用いた。Sodium Dextran Sulfate 5000(DSS)は和光純薬工業株式会社、注射用水は大塚製薬株式会社よりそれぞれ入手して使用した。また、ヒト腸管細胞株であるNCI−H716細胞は、ATCC社より譲渡されたものを用いた。
以降の実施例において、データは平均値±標準誤差で表示した。統計学的検定は、実施例1及び2ではStudent‘s t−testを用いた。結果における「*」は、p<0.05の有意差があることを示す。尚、これらの解析は全てSPSS for Windows release 17.0(SPSS社製)を用いて実施した。
環状ジペプチドの内、水溶性の高い92種を選択し、本実験に用いた。DMEM培地(10%FBS、2mMグルタミン、1%抗生物質添加済)に懸濁させたNCI−H716細胞をPoly−L−Lysine 96‐wellプレートに0.5×105cells/wellで100μLずつ播種し、CO2インキュベーター(espec社製)で48時間培養した。PBS(+)で洗浄後、各環状ジペプチドを添加したPBS(+)溶液(Sitagliptin phosphate添加済)100μLを細胞に添加した。各環状ジペプチドの最終濃度は10mMとし、Sitagliptin phosphateの最終濃度は10μMとして実験を行った。添加後1時間で添加溶液を回収し、GLP−2 ELISAキットを用いて溶液中のGLP−2分泌量を測定した。解析は環状ジペプチドを添加していない群のGLP−2分泌量を100としたときの相対値を用いた。尚、本実験はn=3で行った。結果を表1に示す。
(2−1)大豆ペプチド熱処理物の調製
植物由来ペプチドとして大豆ペプチドを用い、液体中にて高温高圧処理して大豆ペプチド熱処理物を製造した。具体的には、大豆ペプチド(ハイニュートAM、不二製油社製)3gに、それぞれ15mlの蒸留水を加え、オートクレーブ(トミー精工社製)に入れて、135℃、0.31MPa、3時間の高温高圧処理を加えた。
植物体として、鹿児島県産の一番茶茶葉(品種:やぶきた、全窒素:6.3%)を用いた。この茶葉に対して、まず、水溶性タンパク質を低減する前処理(3回の前抽出)を行った。即ち、茶葉10gに対して、熱湯200gを加えて適宜攪拌し、5分間抽出を行った。抽出終了後、140メッシュで濾過し、抽出残渣(茶滓)を回収した。この茶滓に対して、200gの熱湯を注ぎ5分間抽出を行って茶滓を回収した。再度、この茶滓に対して同様に抽出処理を行い茶滓を回収した。
大豆ペプチド、大豆ペプチド熱処理物、茶ペプチド、茶ペプチド熱処理物又は陽性対照であるTPA添加によるin vitro GLP−2分泌促進作用を評価した。DMEM培地(10%FBS、2mMグルタミン、1%抗生物質添加済)に懸濁させたNCI−H716細胞をPoly−L−Lysine 96‐wellプレートに0.5×105cells/wellで100μLずつ播種し、CO2インキュベーター(espec社製)で48時間培養した。その後、PBS(+)で洗浄後、大豆ペプチド、大豆ペプチド熱処理物、茶ペプチド、茶ペプチド熱処理物又はTPAを添加したPBS(+)溶液(Sitagliptin phosphate添加済)100μLを細胞に添加した。大豆ペプチド及び大豆ペプチド熱処理物の最終濃度は2.0%、茶ペプチド及び茶ペプチド熱処理物の最終濃度は3.0%、TPAの最終濃度は1μMとして実験を行った。尚、Sitagliptin phosphateの最終濃度は10μMである。添加後1時間で添加溶液を回収し、GLP−2 ELISAキットを用いて添加溶液中のGLP−2分泌量を測定した。結果は未処理群(control群)のGLP−2分泌量を100としたときの相対値で評価した。尚、本実験はn=6で行った。
Claims (15)
- アミノ酸を構成単位とする環状ジペプチド又はその塩を有効成分として含有するGLP−2分泌促進用組成物であって、
前記環状ジペプチド又はその塩が、シクロメチオニルアルギニン〔Cyclo(Met-Arg)〕、シクログルタミニルアスパラギン酸〔Cyclo(Gln-Asp)〕、シクロアスパラギニルヒスチジン〔Cyclo(Asn-His)〕、シクロトリプトファニルリシン〔Cyclo(Trp-Lys)〕、シクロアスパルチルプロリン〔Cyclo(Asp-Pro)〕、シクロトリプトファニルヒスチジン〔Cyclo(Trp-His)〕、シクログルタミニルフェニルアラニン〔Cyclo(Gln-Phe)〕、シクロアルギニルプロリン〔Cyclo(Arg-Pro)〕、シクロトリプトファニルアルギニン〔Cyclo(Trp-Arg)〕、シクロアスパラギニルメチオニン〔Cyclo(Asn-Met)〕、シクログリシルアラニン〔Cyclo(Gly-Ala)〕、シクロトレオニルリシン〔Cyclo(Thr-Lys)〕、シクロバリルプロリン〔Cyclo(Val-Pro)〕、シクロトレオニルアラニン〔Cyclo(Thr-Ala)〕、シクロアスパラギニルグルタミン酸〔Cyclo(Asn-Glu)〕、シクロトレオニルトレオニン〔Cyclo(Thr-Thr)〕、シクログルタミニルヒスチジン〔Cyclo(Gln-His)〕、シクロアスパラギニルアラニン〔Cyclo(Asn-Ala)〕、シクロアスパルチルアラニン〔Cyclo(Asp-Ala)〕、シクロトレオニルグルタミン酸〔Cyclo(Thr-Glu)〕、シクロロイシルプロリン〔Cyclo(Leu-Pro)〕、シクロフェニルアラニルセリン〔Cyclo(Phe-Ser)〕、シクロメチオニルプロリン〔Cyclo(Met-Pro)〕、シクロアラニルアラニン〔Cyclo(Ala-Ala)〕、シクロセリルプロリン〔Cyclo(Ser-Pro)〕、シクログリシルプロリン〔Cyclo(Gly-Pro)〕、シクログリシルヒスチジン〔Cyclo(Gly-His)〕、シクロアラニルセリン〔Cyclo(Ala-Ser)〕、及びシクロヒスチジルプロリン〔Cyclo(His-Pro)〕〕からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含むものである、前記GLP−2分泌促進用組成物。 - 環状ジペプチド又はその塩が、シクロメチオニルアルギニン〔Cyclo(Met-Arg)〕、シクログルタミニルアスパラギン酸〔Cyclo(Gln-Asp)〕、シクロアスパラギニルヒスチジン〔Cyclo(Asn-His)〕、シクロトリプトファニルリシン〔Cyclo(Trp-Lys)〕、シクロアスパルチルプロリン〔Cyclo(Asp-Pro)〕、シクロトリプトファニルヒスチジン〔Cyclo(Trp-His)〕、シクログルタミニルフェニルアラニン〔Cyclo(Gln-Phe)〕、シクロアルギニルプロリン〔Cyclo(Arg-Pro)〕、シクロトリプトファニルアルギニン〔Cyclo(Trp-Arg)〕、シクロアスパラギニルメチオニン〔Cyclo(Asn-Met)〕、シクログリシルアラニン〔Cyclo(Gly-Ala)〕、シクロトレオニルリシン〔Cyclo(Thr-Lys)〕、シクロバリルプロリン〔Cyclo(Val-Pro)〕、シクロトレオニルアラニン〔Cyclo(Thr-Ala)〕、シクロアスパラギニルグルタミン酸〔Cyclo(Asn-Glu)〕、シクロトレオニルトレオニン〔Cyclo(Thr-Thr)〕、シクログルタミニルヒスチジン〔Cyclo(Gln-His)〕、シクロアスパラギニルアラニン〔Cyclo(Asn-Ala)〕、シクロアスパルチルアラニン〔Cyclo(Asp-Ala)〕、シクロトレオニルグルタミン酸〔Cyclo(Thr-Glu)〕、シクロロイシルプロリン〔Cyclo(Leu-Pro)〕、シクロフェニルアラニルセリン〔Cyclo(Phe-Ser)〕、シクロメチオニルプロリン〔Cyclo(Met-Pro)〕、シクロアラニルアラニン〔Cyclo(Ala-Ala)〕、シクロセリルプロリン〔Cyclo(Ser-Pro)〕、シクログリシルプロリン〔Cyclo(Gly-Pro)〕、シクログリシルヒスチジン〔Cyclo(Gly-His)〕、シクロアラニルセリン〔Cyclo(Ala-Ser)〕、及びシクロヒスチジルプロリン〔Cyclo(His-Pro)〕からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含むものである、請求項1に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 環状ジペプチド又はその塩が、シクログルタミニルアスパラギン酸〔Cyclo(Gln-Asp)〕、シクロアスパラギニルヒスチジン〔Cyclo(Asn-His)〕、シクロトリプトファニルリシン〔Cyclo(Trp-Lys)〕、シクロアスパルチルプロリン〔Cyclo(Asp-Pro)〕、シクロトリプトファニルヒスチジン〔Cyclo(Trp-His)〕、シクログルタミニルフェニルアラニン〔Cyclo(Gln-Phe)〕、シクロアルギニルプロリン〔Cyclo(Arg-Pro)〕、シクロトリプトファニルアルギニン〔Cyclo(Trp-Arg)〕、シクロアスパラギニルメチオニン〔Cyclo(Asn-Met)〕、シクログリシルアラニン〔Cyclo(Gly-Ala)〕、シクロトレオニルリシン〔Cyclo(Thr-Lys)〕、シクロバリルプロリン〔Cyclo(Val-Pro)〕、シクロトレオニルアラニン〔Cyclo(Thr-Ala)〕、シクロアスパラギニルグルタミン酸〔Cyclo(Asn-Glu)〕、シクロトレオニルトレオニン〔Cyclo(Thr-Thr)〕、シクログルタミニルヒスチジン〔Cyclo(Gln-His)〕、シクロアスパラギニルアラニン〔Cyclo(Asn-Ala)〕、シクロトレオニルグルタミン酸〔Cyclo(Thr-Glu)〕、シクロロイシルプロリン〔Cyclo(Leu-Pro)〕、シクロフェニルアラニルセリン〔Cyclo(Phe-Ser)〕、シクロメチオニルプロリン〔Cyclo(Met-Pro)〕、シクロアラニルアラニン〔Cyclo(Ala-Ala)〕、シクロセリルプロリン〔Cyclo(Ser-Pro)〕、シクログリシルプロリン〔Cyclo(Gly-Pro)〕、シクログリシルヒスチジン〔Cyclo(Gly-His)〕、シクロアラニルセリン〔Cyclo(Ala-Ser)〕、及びシクロヒスチジルプロリン〔Cyclo(His-Pro)〕からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含むものである、請求項1又は2に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 環状ジペプチド又はその塩が請求項1に記載の群から選択される3つ以上を含むものである、請求項1に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 環状ジペプチド又はその塩が請求項2に記載の群から選択される3つ以上を含むものである、請求項2に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 腸保護作用を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 腸の炎症抑制作用を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 腸粘膜の増殖作用を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 腸粘膜のバリア機能の維持作用を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 消化吸収促進作用を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 腸の運動抑制作用を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 環状ジペプチド又はその塩が、大豆ペプチド、茶ペプチド、麦芽ペプチド、乳ペプチド、プラセンタペプチド、又はコラーゲンペプチドから得られるものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 環状ジペプチド又はその塩が、大豆ペプチド、又は茶ペプチドから得られるものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- GLP−2分泌促進により発揮される機能の表示を付した請求項1〜13のいずれか一項に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
- 機能の表示が、「腸の炎症を抑える」、「腸粘膜を保護する」、「腸のバリア機能を高める」、「消化吸収を助ける」、「腸の過剰な働きを抑える」、及び「腸の健康を保つ」からなる群から選択されるものである、請求項14に記載のGLP−2分泌促進用組成物。
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