JP6771907B2 - 筒状構造物の補修構造および補修方法 - Google Patents
筒状構造物の補修構造および補修方法 Download PDFInfo
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この既存鋼製煙突の補強方法は、既存鋼製煙突の内周面に、その周方向に沿って間隔を隔てて縦方向リブを接合する工程と、既存鋼製煙突の内周面に、その高さ方向に沿って間隔を隔ててかつ前記縦方向リブと井桁をなすように、横方向リブを接合する工程と、既存鋼製煙突の外周面に、炭素繊維の線材を巻き付ける工程とからなることを特徴としており、これによって、既存鋼製煙突の経年変化、腐食等に起因する脆弱化によってこれが内側ないし外側に倒れないように補強している。
また、座屈部分自体を外側から補強する方法も考えられるが、座屈部分が同形状と同間隔でない場合が多いため、それぞれの座屈形状に合った補強を要し、補強作業が煩雑となるとともに工期もかかる。
一方、座屈部分をそのまま残して、煙突等の筒状構造物をその自重および地震等による荷重に耐え得るよう補修する方法は現在のところ無い。
前記筒状構造物の外周面に、前記座屈部分を前記筒状構造物の軸方向に挟んで固定された一対のリング状部材と、
一対の前記リング状部材間に掛け渡されて当該リング状部材に両端部がそれぞれ固定されるとともに、前記リング状部材の周方向に所定間隔で配置された複数の柱状部材と、を備えていることを特徴とする。
前記筒状構造物の外周面に、前記座屈部分を前記筒状構造物の軸方向に挟んで一対のリング状部材を固定し、
次に、一対の前記リング状部材間に柱状部材を掛け渡してその両端部をそれぞれ一対の前記リング状部材に固定するとともに、前記リング状部材の周方向に前記柱状部材を所定間隔で複数配置することを特徴とする。
(第1の実施の形態)
図1および図2は、第1の実施の形態を示すもので、図1は筒状構造物の補修構造を示す断面図、図2は図1におけるA−A線断面図である。
円筒状の煙突(筒状構造物)1の軸方向の所定の位置に、地震等の外力を受けることによって、座屈部分2が生じている。この座屈部分2は煙突1の周方向に沿って形成され、径方向外側に向けて突出する形状となっている。なお、座屈部分2は突出する形状に限らず、径方向内側に向けて凹む形状、あるいは突出した形状と凹んだ形状とが混在している形状であってもよい。
このようなガセット4はリング状部材3の周方向に所定間隔で複数設けられている。
また、柱状部材5は座屈部分2より煙突1の径方向外側に配置されており、この柱状部材5の煙突1側を向く長辺部と煙突1の外周面との間には所定の隙間が設けられ、この隙間に座屈部分2が配置されている。
すなわち、接続部材6は矩形板状の鋼板によって形成されており、本実施の形態では座屈部分2より上側に上下に所定間隔で2つ、下側に上下に所定間隔で3つ設けられている。接続部材6の一端部は煙突1の外周面に溶接によって固定され、他端部は柱状部材5の側面に溶接によって固定されている。
周方向に隣り合う円筒分割片7a,7aを溶接接合する場合、柱状部材5の外側を向く側端面上において、隣り合う円筒分割片7a,7aの側端部どうしを接合してもよいし、図2に破線で示すように、断面L形でかつ柱状部材5の長手方向に延在するアングル材10の一片を柱状部材5の側面に溶接によって固定し、他片に一方の円筒分割片7aの側端部を当接したうえで、当該一方の円筒分割片7aの側端部に他方の円筒分割片7aの側端部を溶接によって接合してもよい。
図3(a)に示すように、煙突1の軸方向の所定の位置に、地震等の外力を受けることによって、座屈部分2が生じている。
この状態において、煙突1の座屈が生じていない健全部の外周面に、座屈部分2を軸方向に挟んで、一対のリング状部材3,3を溶接によって煙突1と同軸に固定する。この場合、当該リング状部材3を周方向に所定間隔で分割してなる複数の分割リング片をリング状に溶接接合するとともに、煙突1の外周面に溶接接合することによってリング状部材3を形成する。
この場合、外筒7を周方向に所定間隔で分割してなる複数の円筒分割片7aを円筒状に溶接接合するとともに、当該円筒分割片7aの内面を柱状部材5に溶接によって固定し、上下端部をそれぞれ上下のリング状部材3,3に溶接によって固定する。
特に、複数の柱状部材5の煙突1の軸と直交する方向の断面積の総和が、煙突1の軸方向と直交する断面積と等しいか、当該断面積より大きくなっているので、リング状部材3,3と柱状部材5とで煙突1の自重および地震による荷重に確実に耐えることができる。
また、柱状部材5が座屈部分2より煙突1の径方向外側に配置されているので、座屈部分2に干渉することなく、柱状部材5を設けることができる。したがって、座屈部分2の凹凸の形状と配置に拘らず、リング状部材3と柱状部材5とで煙突1の自重および地震による荷重に耐えることができる。
加えて、柱状部材5の外周側に設けられた外筒7が柱状部材5およびリング状部材3に固定されているので、リング状部材3と柱状部材5とで煙突1の自重および地震による荷重に、より確実に耐えることができるとともに、複数の柱状部材5が外筒7によって覆われるので、外観上も見映えがよくなる。
図4および図5は、第2の実施の形態を示すもので、図4は筒状構造物の補修構造を示す断面図、図5は図4におけるA−A線断面図である。
柱状部材15は上下に長尺な矩形板状の鋼板によって形成されており、リング状部材3の周方向に所定間隔で、かつその短辺をリング状部材3の径方向に向けて放射状に設けられている。また、柱状部材15とガセット4とはリング状部材3の周方向において等しい位置に配置されている。このような複数の柱状部材15の煙突1の軸と直交する方向の断面積の総和は、煙突1の軸方向と直交する断面積と等しいか、当該断面積より大きくなっている。
また、柱状部材15の煙突1側を向く長辺部には、凹所15aが設けられており、この凹所15aに煙突1の外周面から突出している座屈部分2が収められている。この凹所15aは、座屈部分2の位置や大きさに応じて、現場で柱状部材15を矩形状に切り欠くことによって形成されている。
次に、上下のリング状部材3,3間に、柱状部材15を掛け渡し、その上端部を上側のリング状部材3に溶接よって固定し、下端部を下側のリング状部材3に溶接によって固定する。この際、座屈部分2の位置や大きさに応じて、現場で柱状部材15の長辺部を矩形状に切り欠くことによって、柱状部材15に凹所15aを形成するとともに、この凹所15aに座屈部分2を収める。また、柱状部材15の長辺部を所定長さだけ煙突1の外周面に溶接する。
最後に、複数の柱状部材15の外周側に、円筒状の外筒7を設け、この外筒7の内周面を柱状部材5に溶接によって固定し、上下端部をそれぞれ上下のリング状部材3,3に溶接によって固定する。
また、柱状部材15に凹所15aが設けられ、この凹所15aに煙突1の外周面から突出している座屈部分2が収められているので、座屈部分2に干渉することなく柱状部材15を設けることができる。
また、現場で座屈部分2の位置や大きさに応じて柱状部材15に凹所15aを設けるという手間がかかるが、第1の実施の形態のような複数の接続部材6の配置や、溶接の手間がないという利点がある。
2 座屈部
3 リング状部材
4 ガセット
5,15 柱状部材
15a 凹所
6 接続部材
7 外筒
10 アングル材
Claims (6)
- 座屈部分を有する筒状構造物を補修する筒状構造物の補修構造であって、
前記筒状構造物の外周面に、前記座屈部分を前記筒状構造物の軸方向に挟んで固定された一対のリング状部材と、
一対の前記リング状部材間に掛け渡されて当該リング状部材に両端部がそれぞれ固定されるとともに、前記リング状部材の周方向に所定間隔で配置された複数の柱状部材と、を備え、
前記複数の柱状部材の前記筒状構造物の軸と直交する方向の断面積の総和が、前記筒状構造物の軸方向と直交する断面積以上であり、
前記柱状部材は、前記座屈部分より前記筒状構造物の径方向外側に、当該柱状部材の長手方向全域にわたって前記筒状構造物の外周面との間に所定の隙間を設けて配置されていることを特徴とする筒状構造物の補修構造。 - 前記柱状部材と前記筒状構造物とは、所定の間隔で配置された複数の接続部材によって接続されていることを特徴とする請求項1に記載の筒状構造物の補修構造。
- 前記柱状部材の外周側に設けられた外筒が前記柱状部材および前記リング状部材に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の筒状構造物の補修構造。
- 座屈部分を有する筒状構造物を補修する筒状構造物の補修方法であって、
前記筒状構造物の外周面に、前記座屈部分を前記筒状構造物の軸方向に挟んで一対のリング状部材を固定することと、
次に、一対の前記リング状部材間に柱状部材を掛け渡してその両端部をそれぞれ一対の前記リング状部材に固定するとともに、前記リング状部材の周方向に前記柱状部材を所定間隔で複数配置することと、
を備え、
複数の前記柱状部材の前記筒状構造物の軸と直交する方向の断面積の総和が、前記筒状構造物の軸方向と直交する断面積以上であり、
前記柱状部材は、前記座屈部分より前記筒状構造物の径方向外側に、当該柱状部材の長手方向全域にわたって前記筒状構造物の外周面との間に所定の隙間を設けて配置されることを特徴とする筒状構造物の補修方法。 - 前記柱状部材と前記筒状構造物とは、所定の間隔で配置された複数の接続部材によって接続されることを特徴とする請求項4に記載の筒状構造物の補修方法。
- 前記柱状部材の外周側に設けられた外筒が前記柱状部材および前記リング状部材に固定されることを特徴とする請求項4または5に記載の筒状構造物の補修方法。
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